JPWO2014077213A1 - 複合基板 - Google Patents

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Abstract

本発明の複合基板は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの単結晶基板である圧電基板と、シリコンの単結晶基板である支持基板とが、アモルファス層を介して接合された複合基板である。アモルファス層は、Arを3atm%〜14atm%含有している。また、アモルファス層は、圧電基板から複合基板に向かって第1層、第2層及び第3層を有している。このうち、第1層は、第2層及び第3層に比べて圧電基板を構成する元素(Taなど)を多く含有し、第3層は、第1層及び第2層に比べて支持基板を構成する元素(Si)を多く含有し、第2層は、第1層及び第3層に比べてArを多く含有する。

Description

本発明は、複合基板に関する。
弾性表面波素子(SAW素子)は、携帯電話機のような通信機器におけるバンドパスフィルタとして幅広く使用されている。こうしたSAW素子は、例えば、タンタル酸リチウム(LT)やニオブ酸リチウム(LN)のような圧電基板と、サファイヤやシリコンのような支持基板とを接合した複合基板を利用して作製される。LTやLNのような圧電基板は、電気機械結合係数が大きいため広帯域のフィルタ特性を実現するのに有利ではあるが、温度安定性に劣るという欠点がある。一方、サファイヤやシリコンのような支持基板は、温度安定性に優れているが、電気機械結合係数が小さいという欠点がある。これに対して、両者を接合した複合基板は、大きな電気機械結合係数と優れた温度安定性を有するという利点がある。
特許文献1には、こうした複合基板として、圧電基板と支持基板との接合面を不活性ガス又は酸素のイオンビーム、中性化ビーム又はプラズマにより活性化させたあと、両基板を常温下又は100℃以下の加熱処理下で接合したものが開示されている。また、接合後に、200℃以下の比較的低温のアニール処理を施すことで、両基板間の接合強度を一層向上させることも開示されている。更に、Ar原子の照射ビームにより両基板の接合面を活性化させたあと両基板の接合面同士を貼り合わせると、基板間にアモルファス層を有する複合基板が形成されることも開示されている。このような基板間にアモルファス層を有する複合基板は、特許文献2にも開示されている。
特開2004−343359号公報 特開2005−252550号公報
ところで、このような複合基板は、例えば切断してチップ状にしたあと、高温プロセス工程を行うことがある。このような高温時において、複合基板の両基板間の接合強度が低いと基板の剥離が生じることがあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、圧電基板と支持基板とを接合した複合基板において、両基板間の接合強度を十分高くすることを主目的とする。
本発明の複合基板は、
タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの単結晶基板である圧電基板と、シリコンの単結晶基板である支持基板とが、アモルファス層を介して接合された複合基板であって、
前記アモルファス層は、Arを3atm%〜14atm%含有するものである。
この複合基板によれば、両基板間の接合強度を十分高くすることができる。その理由は現在のところ定かではないが、アモルファス層が3atm%〜14atm%のArを含有することが接合強度に寄与していると考えられる。ここで、アモルファス層は例えば1層だけで形成されていてもよいし、2層以上から形成されていてもよい。アモルファス層全体としてArを3atm%〜14atm%含有していれば、接合強度を十分高くする効果が得られる。なお、アモルファス層は、全体としてArを3atm%〜10atm%含有するものとしてもよい。
本発明の複合基板において、前記アモルファス層は、厚さが4nm〜12nmであることが好ましい。こうすれば、400℃以上の耐熱性を確保することができるからである。
本発明の複合基板において、前記アモルファス層は、前記圧電基板から前記複合基板に向かって第1層、第2層及び第3層を有し、前記第1層は、前記第2層及び前記第3層に比べて前記圧電基板を構成する元素を多く含有し、前記第3層は、前記第1層及び前記第2層に比べて前記支持基板を構成する元素を多く含有し、前記第2層は、前記第1層及び前記第3層に比べてArを多く含有することが好ましい。こうすれば、アモルファス層が2層からなる場合に比べて、両基板間の接合強度をさらに高くすることができる。
この場合において、前記第3層は、前記第1層及び前記第2層に比べて厚さが厚いことが好ましい。アモルファス層が3層である複合基板を実際に作製すると、第3層が第1層及び第2層に比べて厚い構造となっていることから、これが接合強度の向上に寄与していると考えられる。この場合、第3層は、第1層の厚さと第2層の厚さとの和よりも厚くなっていてもよい。
本発明の複合基板は、Feの含有率が検出限界以下(0.1atm%未満)であることが好ましい。Feが混入していると、複合基板を利用して作製したSAW素子などのデバイスに悪い影響を与えることがあるため好ましくない。例えば、Feが混入していると、電界が漏れてエネルギーが放散されてしまうことがある。
本発明の複合基板において、圧電基板としては、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの単結晶基板を使用する。また、圧電基板の大きさは、特に限定するものではないが、例えば、直径が50mm〜150mm、厚さが10μm〜50μmである。支持基板としては、シリコンの単結晶基板を使用する。また、支持基板の大きさは、特に限定するものではないが、例えば、直径が50mm〜150mm、厚さが100μm〜500μmである。アモルファス層は、圧電基板から複合基板に向かって第1層、第2層及び第3層を有していることが好ましい。この場合、第1〜第3層は、いずれもArを含有している。第1層は、第2層及び第3層に比べて圧電基板を構成する元素(Ta,Nbなど)を多く含有し、第3層は、第1層及び第2層に比べて支持基板を構成する元素(Si)を多く含有し、第2層は、第1層及び第3層に比べてArを多く含有する。
本発明の複合基板の製法は、
(a)タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの単結晶基板である圧電基板と、シリコンの単結晶基板である支持基板とを用意する工程と、
(b)前記圧電基板の接合面及び前記支持基板の接合面に真空中でAr中性原子ビームを照射する工程と、
(c)前記圧電基板及び前記支持基板を冷却する工程と、
(d)前記圧電基板のビーム照射面と前記支持基板のビーム照射面とを接触させ、加圧して両基板を接合する工程と、
(e)接合後、前記圧電基板を所定厚さになるまで研磨加工し、その後200℃を超える温度でアニールを行う工程と、
を含むものである。
この複合基板の製法によれば、上述した本発明の複合基板を比較的容易に作製することができる。
工程(a)では、圧電基板として、例えば、36°回転YカットX伝搬LT基板、42°回転YカットX伝搬LT基板、Xカット112.2°回転Y伝搬LT基板、127.86°回転YカットX伝搬LN基板、YカットZ伝搬LN基板、64°回転YカットX伝搬LN基板などを用意する。また、支持基板として、例えば、チョクラルスキー法又はフローティングゾーン法によって作製された単結晶Si基板を用意する。
工程(b)では、Ar中性原子ビームを使用する。なお、Ar中性原子ビームに代えてArイオンビームを使用してもよい。ただし、Arイオンビームを使用すると、真空チャンバーの材料(例えばFeやCrなど)が接合面に混入するおそれがあることから、Ar中性原子ビームを使用することが好ましい。また、アモルファス層を3層構造とする場合には、Ar中性原子ビームを使用することが好ましい。
工程(c)では、圧電基板及び支持基板を冷却する。冷却せずに接合した場合には、両基板が熱膨張差の大きい状態で接合されるため、接合後に剥離しやすくなる。圧電基板及び支持基板を20〜50℃に冷却するのが好ましく、20〜30℃に冷却するのがより好ましい。
工程(d)では、圧電基板のビーム照射面と支持基板のビーム照射面とを接触させ、加圧して両基板を接合する。加圧時の圧力は、基板の大きさ等を考慮して適宜設定すればよい。
工程(e)では、圧電基板を所定厚さ(例えば10〜50μm)になるまで研磨加工し、その後200℃を超える温度でアニールを行う。こうすることにより、熱応力の発生が低減される。また、両基板の接合強度も向上する。アニール温度は240〜280℃とするのが好ましく、250〜270℃とするのがより好ましい。この工程(e)では、接合後研磨加工前に、80℃以上の温度(好ましくは80〜110℃の温度)でアニールを行うことが好ましい。こうすれば、接合強度が一層向上する。
実施例1の複合基板のTEMによる断面写真。 実施例1の複合基板を構成するLT基板のEDXのグラフ。 実施例1の複合基板を構成するアモルファス層第1層のEDXのグラフ。 実施例1の複合基板を構成するアモルファス層第2層のEDXのグラフ。 実施例1の複合基板を構成するアモルファス層第3層のEDXのグラフ。 実施例1の複合基板を構成するSi基板のEDXのグラフ。 比較例3の複合基板のTEMによる断面写真。 比較例3の複合基板を構成するLT基板のEDXのグラフ。 比較例3の複合基板を構成するアモルファス層第1層のEDXのグラフ。 比較例3の複合基板を構成するアモルファス層第2層のEDXのグラフ。 比較例3の複合基板を構成するSi基板のEDXのグラフ。 クラックオープニング法の説明図。
[実施例1]
両面が鏡面の厚み230μmのLT基板と、両面が鏡面の厚み250μmのSi基板を用意した。LT基板としては、弾性表面波の伝搬方向であるX軸を中心に、Y軸からZ軸に42°回転した、42°回転YカットX伝搬LT基板(42°Y−X LT)を用いた。それぞれの基板の接合面を洗浄して表面の汚れを取った後、真空チャンバーに導入した。10-6Pa台の真空中で、それぞれの基板の接合面に高速Ar中性原子ビーム(加速電圧1kV、Ar流量60sccm)を70sec間照射した。照射後、10分間そのまま放置して各基板を26〜28℃に冷却した。ついでLT基板のビーム照射面とSi基板のビーム照射面とを接触させた後、4.90kNで2分間加圧して両基板を接合した。接合後、LT基板を厚みが30μmになるまで研磨加工し、その後260℃でアニールを行い、複合基板を得た。
この複合基板を切断しTEM(透過電子顕微鏡)で断面の観察を行った。その結果を図1に示す。図1からアモルファス層の厚さは7nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。また、第3層は、第1層及び第2層よりも厚かった。LT基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果を図2〜図6に示す。図2〜図6中、「point n」(nは1〜5の整数)は図1の「*n」の位置を示す。この点は後述の表1も同じである。組成分析の結果から明らかなように、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。なお、図2〜図6中のMoのピークはサンプルホルダーに由来するものである。また、元素分析の結果を表1に示す。表1から明らかなように、Ar原子は、第1層には5atm%、第2層には9atm%、第3層には3atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は8atm%含まれていた。また、複合基板から切り出した2mm角のチップをホットプレート上で加熱した。室温から徐々に加熱し、300℃を超えるまで加熱したが、クラック、剥がれ等の破損は見られなかった。ホットプレートではそれ以上の加熱は難しいため、チップを急速アニール炉内に投入し400℃まで急速に加熱した。炉から取り出したところ、チップの破損は一切認められなかった。
[実施例2]
高速Ar中性原子ビームを20sec間照射した以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製し、その一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは約4nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。第3層は、第1層や第2層よりも厚かった。LT基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には1.5atm%、第2層には3.9atm%、第3層には0.7atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は3.0atm%含まれていた。第1層は、第2層及び第3層に比べて圧電基板を構成する元素(Ta)を多く含有し、第3層は、第1層及び第2層に比べて支持基板を構成する元素(Si)を多く含有していた。また、実施例1と同様にして2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、400℃直後でLT基板が剥離した。
[実施例3]
高速Ar中性原子ビームを265sec間照射した以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製し、その一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは約12nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。第3層は、第1層や第2層よりも厚かった。LT基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には10.8atm%、第2層には16.3atm%、第3層には8.4atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は14atm%含まれていた。第1層は、第2層及び第3層に比べて圧電基板を構成する元素(Ta)を多く含有し、第3層は、第1層及び第2層に比べて支持基板を構成する元素(Si)を多く含有していた。また、実施例1と同様にして2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、400℃直後でLT基板が剥離した。
[実施例4]
Ar中性原子ビームの代わりにArイオンビームを照射した以外は、実施例1と同様にしてその一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは8nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層を有していた。LT基板、アモルファス層を構成する第1層、第2層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1層、第2層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には3atm%、第2層には4atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は5atm%含まれていた。また、この複合基板から切り出した2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、350℃でLT基板が剥離した。
[実施例5]
LT基板からLN基板に代えた以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製し、その一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは約5nmであった。アモルファス層は、LN基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。第3層は、第1層や第2層よりも厚かった。LN基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には3.1atm%、第2層には6.3atm%、第3層には1.6atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は5.4atm%含まれていた。第1層は、第2層及び第3層に比べて圧電基板を構成する元素(Nb)を多く含有し、第3層は、第1層及び第2層に比べて支持基板を構成する元素(Si)を多く含有していた。また、実施例1と同様にして2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、400℃直後でLN基板が剥離した。
[比較例1]
高速Ar中性原子ビームを15sec間照射した以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製し、その一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは約2.5nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。第3層は、第1層や第2層よりも厚かった。LT基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には1atm%、第2層には3atm%、第3層には0.4atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は2atm%含まれていた。また、実施例1と同様にして2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、300℃直後でLT基板が剥離した。
[比較例2]
高速Ar中性原子ビームを600sec間照射した以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製し、その一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果、アモルファス層の厚さは約15nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有していた。第3層は、第1層や第2層よりも厚かった。LT基板、アモルファス層を構成する第1〜第3層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果、第1〜第3層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果、Ar原子は、第1層には15atm%、第2層には21atm%、第3層には13atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は18atm%含まれていた。また、実施例1と同様にして2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、300℃直後でLT基板が剥離した。
[比較例3]
LT基板とSi基板とが2層のアモルファス層を介して接合された複合基板を入手し、実施例1と同様にしてその一部を切断しTEMで断面の観察を行った。その結果を図7に示す。図7からアモルファス層の厚さは5nmであった。アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層を有していた。LT基板、アモルファス層を構成する第1層、第2層及びSi基板について、EDXで組成分析、元素分析を行った。組成分析の結果を図8〜図11に示す。組成分析の結果から明らかなように、第1層、第2層のいずれにもArが検出された。また、元素分析の結果を表2に示す。表2から明らかなように、Ar原子は、第1層には1atm%、第2層には2atm%含まれていた。また、Fe原子は、すべてにおいて全く検出されなかった。なお、アモルファス層全体では、Ar原子は2atm%含まれていた。また、この複合基板から切り出した2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、280℃でLT基板が剥離した。
なお、Ar中性原子ビームの照射時間を種々変更して複合基板を作製し、作製した複合基板から切り出した2mm角のチップをホットプレート上で加熱したところ、比較例1〜3を超える耐熱性を確保するにはアモルファス層全体でのAr量を3atm%〜10atm%とすることが有効であり、さらにアモルファス層の厚みを4nm〜12nmにすれば400℃以上の耐熱性が確保できることが分かった。また、アモルファス層全体でのAr量が3atm%〜14atm%の範囲でも、比較例1〜3を超える耐熱性を確保できることがわかった。また、いずれの複合基板も、アモルファス層は、LT基板からSi基板に向かって第1層、第2層、第3層を有しており、第3層が第1層や第2層よりも厚かった。また、Ar原子のatm%は、第2層が第1層や第3層よりも高かった。なお、Ar中性原子ビームの代わりにArイオンビームを使用した場合には、真空チャンバーに由来するFeがアモルファス層に30atm%以上混入してしまった。また、アモルファス層は2層に分かれて形成されていた。
[接合強度の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜3において、圧電基板と支持基板とを接合した貼り合わせ基板(研磨加工を行う前のもの)の接合強度を評価した。接合強度は、下記に示すクラックオープニング法(図12参照)により評価した。貼り合わせ基板の圧電基板と支持基板との接合界面に、厚み(tb)が100μmのブレードを挿入し、両基板の外周部を機械的に剥離させた。ブレード先端から最も剥離が進展した箇所までの距離(L)を測長し、以下の式を用いて表面エネルギー(γ)を算出し、これを接合強度とした。また、実施例1において研磨加工を行う前の貼り合わせ基板を80℃、72時間加熱(アニール)したものを、実施例6の貼り合わせ基板とした。この実施例6の貼り合わせ基板の接合強度も同じ手法により評価した。なお、1つの貼り合わせ基板につき、複数箇所で接合強度を測定した。その結果を表3に示す。表3から明らかなように、実施例1〜5は比較例1〜3に比べて接合強度が高く、特に実施例1〜3,5が接合強度が高いことがわかった。また、実施例6は、実施例1よりも更に接合強度が高いことがわかった。
γ:表面エネルギー
L:ブレード先端から最も剥離が進展した箇所までの距離
w1:圧電基板の厚み
w2:支持基板の厚み
1:圧電基板のヤング率
2:支持基板のヤング率
b:ブレードの厚み
本出願は、2012年11月14日に出願された日本国特許出願第2012−250071号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、SAW素子などの弾性波デバイスに利用可能である。

Claims (5)

  1. タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの単結晶基板である圧電基板と、シリコンの単結晶基板である支持基板とが、アモルファス層を介して接合された複合基板であって、
    前記アモルファス層は、Arを3atm%〜14atm%含有する、
    複合基板。
  2. 前記アモルファス層は、厚さが4nm〜12nmである、
    請求項1に記載の複合基板。
  3. 前記アモルファス層は、前記圧電基板から前記複合基板に向かって第1層、第2層及び第3層を有し、前記第1層は、前記第2層及び前記第3層に比べて前記圧電基板を構成する元素を多く含有し、前記第3層は、前記第1層及び前記第2層に比べて前記支持基板を構成する元素を多く含有し、前記第2層は、前記第1層及び前記第3層に比べてArを多く含有する、
    請求項1又は2に記載の複合基板。
  4. 前記第3層は、前記第1層及び前記第2層に比べて厚さが厚い、
    請求項3に記載の複合基板。
  5. Feの含有率が検出限界以下である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合基板。
JP2014514654A 2012-11-14 2013-11-11 複合基板 Active JP5583876B1 (ja)

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