JP7343347B2 - 光変調器用接合体、光変調器および光変調器用接合体の製造方法 - Google Patents
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Description
更に、ニオブ酸リチウム基板と支持基板との相性によって、光変調器の周波数に対する光応答特性(帯域幅)にも限界がある。
支持基板、
前記支持基板上に設けられた、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウム-タンタル酸リチウムからなる群より選ばれた材質からなる光導波路用材料、
前記前記光導波路用材料にある光導波路、および
前記支持基板と前記光導波路用材料とを接合する、酸化物膜からなる接合層を備えている光変調器用接合体であって、
前記支持基板が、マグネシウム-珪素複合酸化物からなることを特徴とする。
マグネシウム-珪素複合酸化物からなる支持基板と、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウム-タンタル酸リチウムからなる群より選ばれた材質からなる光導波路用材料とを接合する工程、および
前記光導波路用材料に光導波路を設ける工程
を有することを特徴とする、光変調器用接合体の製造方法に係るものである。
図1(a)に示すように、光導波路用材料1上に中間層2を介して第一の酸化物膜3Aを設ける。そして、第一の酸化物膜3Aの表面に対して矢印Aのように中性化原子ビームを照射し、活性化面12Aとする。また、図1(b)に示すように、支持基板4上に第二の酸化物膜3Bを設ける。そして、第二の酸化物膜3Bの表面に対して矢印Bのように中性化原子ビームを照射し、活性化面12Bとする。次いで、第一の酸化物膜3Aの活性化面12Aと第二の酸化物膜3Bの活性化面12Bとを当接させ、直接接合することによって、図1(c)に示す接合体5を得る。第一の酸化物膜と第二の酸化物膜は一体化して接合層を構成する。
X板を使用する場合は、バッファ層9はなくてもよい。
支持基板の材質は、マグネシウム-珪素複合酸化物とする。また、マグネシウム-珪素複合酸化物は、マグネシウム原子と珪素原子と酸素原子との複合酸化物であり、安定な結晶組成としてはステアタイト(MgSiO3)、フォルステライト(Mg2SiO4)またはこれらの混合物が好ましい。
光導波路用材料の厚さは,光導波路の伝搬効率の観点からは、0.05~5μmであることが好ましく、0.1~1.0μmであることが更に好ましい。
中性化ビームによる表面活性化を行う際には、ビーム源として、サドルフィールド型の高速原子ビーム源を使用する。そして、チャンバーに不活性ガスを導入し、電極へ直流電源から高電圧を印加する。これにより、電極(正極)と筺体(負極)との間に生じるサドルフィールド型の電界により、電子eが運動して、不活性ガスによる原子とイオンのビームが生成される。グリッドに達したビームのうち、イオンビームはグリッドで中和されるので、中性原子のビームが高速原子ビーム源から出射される。ビームを構成する原子種は、不活性ガス(アルゴン、窒素等)が好ましい。
ビーム照射による活性化時の電圧は0.5~2.0kVとすることが好ましく、電流は50~200mAとすることが好ましい。
また、第一の酸化物膜、第二の酸化物膜の厚さは、本発明の観点からは、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。また、第一の酸化物膜、第二の酸化物膜の厚さは、本発明の観点からは、0.01μm以上であることが好ましい。
図1~図2を参照しつつ説明した方法により、光変調器を作製した。
具体的には、ニオブ酸リチウム単結晶からなる光導波路用材料1を準備した。この光導波路用材料はX板である。次いで、光導波路用材料1上に、スパッタリング法によって、酸化珪素からなる中間層2、アモルファス酸化珪素からなる第一の酸化物膜3Aを順次スパッタリング法によって成膜した。第一の酸化物膜3Aの厚さは50nmとした。
次いで、各酸化物膜の各表面を化学機械研磨加工(CMP)し、膜厚を20~40nmとし、Raを0.08~0.4nmとした。
具体的には、各表面を洗浄し、汚れを取った後、真空チャンバーに導入した。10-6Pa台まで真空引きした後、各表面に高速原子ビーム(加速電圧1kV、Ar流量27sccm)を120sec間照射し,各表面を活性化して活性化面とした。ついで、第一の酸化物膜の活性化面と第二の酸化物膜の活性化面とを接触させた後、10000Nで2分間加圧して接合した。
得られた接合体について、割れの有無を目視で観察した。
また、接合体に電極10A、10Bを形成し、光学特性(帯域)を測定した。具体的には、光変調器の周波数に対する光応答特性(dB)を測定し、3dBダウンするときの周波数を帯域幅とする。光応答特性は、光コンポーネントアラナイザー(HP8530)を用い、周波数0~50GHzで測定した。これらの結果を表2に示す。
実施例1と同様にして光変調器用接合体および光変調器を得、割れの有無および帯域を測定した。
ただし、本例においては、支持基板をフォルステライト(Mg2SiO4)によって形成した。具体的には、MgOとSiO2の原料粉末を所定比率で秤量し、これを混合、仮焼、粉砕することで、フォルステライト(Mg2SiO4)の混合粉を得た。次に、この混合粉に対して、アルミナ(Al2O3)、分散剤を添加し、エタノール中で混合、乾燥させた。続いて、得られた混合粉にバインダおよびアセトンを添加し、湯煎乾燥させ、篩い通しによって粒径100μm前後の粉末を得た。さらに、この粉末を金型に充填し、一軸プレス機を用いて、ウェハー形状の円柱状の成形体を成形した。これをCIP処理(冷間等方静水圧プレス処理)を行い、所定温度(1300~1400℃)で焼成することで、円柱状の酸化物焼結体からなる支持基板を得た。
実施例1と同様にして光変調器用接合体および光変調器を得、割れの有無および帯域を測定した。
ただし、本例においては、支持基板をステアタイト(MgSiO3)によって形成した。具体的には、MgOとSiO2の原料粉末を所定比率で秤量し、これを混合、仮焼、粉砕することで、ステアタイト(MgSiO3)の混合粉を得た。次に、この混合粉に対して、アルミナ(Al2O3)、分散剤を添加し、エタノール中で混合、乾燥させた。続いて、得られた混合粉にバインダおよびアセトンを添加し、湯煎乾燥させ、篩い通しによって粒径100μm前後の粉末を得た。さらに、この粉末を金型に充填し、一軸プレス機を用いて、ウェハー形状の円柱状の成形体を成形した。これをCIP処理(冷間等方静水圧プレス処理)を行い、所定温度(1300~1400℃)で焼成することで円柱状の酸化物焼結体からなる支持基板を得た。
実施例1と同様にして光変調器用接合体および光変調器を得、割れの有無および帯域を測定した。
ただし、支持基板の材質をガラス(石英ガラス)とした。この他は実施例1と同様とした。
実施例1と同様にして光変調器用接合体および光変調器を得、割れの有無および帯域を測定した。
ただし、支持基板の材質をニオブ酸リチウムとした。この他は実施例1と同様とした。
比較例1では、ガラスからなる支持基板を用いたが、アニール時の割れが生じた。
比較例2では、帯域が本発明実施例に比べて劣っていた。
Claims (8)
- 支持基板、
前記支持基板上に設けられた、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウム-タンタル酸リチウムからなる群より選ばれた材質からなる光導波路用材料、
前記光導波路用材料にある光導波路、および
前記支持基板と前記光導波路用材料とを接合する、酸化物膜からなる接合層を備えている光変調器用接合体であって、
前記支持基板が、マグネシウム-珪素複合酸化物からなることを特徴とする、光変調器用接合体。 - 前記マグネシウム-珪素複合酸化物が、ステアタイトまたはフォルステライトであることを特徴とする、請求項1記載の光変調器用接合体。
- 請求項1または2記載の光変調器用接合体、および前記光導波路用材料上に設けられ、前記光導波路を伝搬する光を変調する電極を備えていることを特徴とする、光変調器。
- マグネシウム-珪素複合酸化物からなる支持基板と、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウム-タンタル酸リチウムからなる群より選ばれた材質からなる光導波路用材料とを接合する工程、および
前記光導波路用材料に光導波路を設ける工程
を有することを特徴とする、光変調器用接合体の製造方法。 - 前記マグネシウム-珪素複合酸化物が、ステアタイトまたはフォルステライトであることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 前記支持基板と前記光導波路用材料との間に接合層を設けることを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
- 前記光導波路用材料上に第一の酸化物膜を形成する工程、
前記支持基板上に第二の酸化物膜を形成する工程、および
前記第一の酸化物膜と前記第二の酸化物膜とを直接接合する工程
を有することを特徴とする、請求項4~6のいずれか一つの請求項に記載の方法。 - 前記第一の酸化物膜の表面に中性化原子ビームを照射することによって第一の活性化面とする工程、および
前記第二の酸化物膜の表面に中性化原子ビームを照射することによって第二の活性化面とする工程
を有しており、前記第一の活性化面と前記第二の活性化面とを直接接合することを特徴とする、請求項7記載の方法。
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