JPWO2014073616A1 - 位相差板、円偏光板、有機el表示装置 - Google Patents

位相差板、円偏光板、有機el表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、円偏光板としたときに、正面方向においても斜め方向においても反射率が低く、かつ、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥なども抑制された位相差板、並びに、該位相差板を含む円偏光板および有機EL表示装置を提供する。本発明の位相差板は、透明支持体と、積層光学異方性層とを備える位相差板であって、積層光学異方性層は、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成される第1光学異方性層(H)と、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成される第2光学異方性層(Q)とを有し、透明支持体の550nmにおける厚み方向のレタデーション値が20〜70nmであり、波長450nm、550nmおよび650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が所定の関係を満足する。

Description

本発明は、位相差板に係り、特に所定のディスコティック液晶化合物を用いて形成される光学異方性層を有する位相差板に関する。
また、本発明は、上記位相差板を有する円偏光板または有機EL表示装置に関する。
位相差板は、非常に多くの用途を有しており、既に反射型LCD、半透過型LCD、輝度向上膜、有機EL表示装置、タッチパネル等に使用されている。例えば、有機EL素子は、屈折率の異なる層を積層する構造や、金属電極を用いる構造を有するため、外光が各層の界面で反射し、コントラスト低下や映り込みの問題などを生じることがある。そこで、従来から、外光反射による悪影響を抑制するために、位相差板と偏光膜とから構成される円偏光板が有機EL表示装置やLCD表示装置などに使用されている。
位相差板としては、例えば、特許文献1に記載されるように、ディスコティック液晶化合物を含有する第1光学異方性層と、棒状液晶化合物を含有する第2光学異方性層とを有する位相差板が開示されている。特に、特許文献1の実施例欄では、以下の構造式のディスコティック液晶化合物が使用されている。また、第1光学異方性層と第2光学異方性層との間には、配向膜が設けられている。
特開2003−262727号公報
一方、近年、有機EL表示装置に代表される表示装置においては、視野角特性のより一層の向上が求められている。より具体的には、現在、円偏光板を有する有機EL表示装置においては、斜め方向から見た際の反射率が大きく着色が生じるという問題があり、入射角度依存性が大きい。
本発明者らは、特許文献1で具体的に使用されている上記ディスコティック液晶化合物を用いて、ディスコティック液晶化合物から形成される第1光学異方性層と棒状液晶化合物から形成される第2光学異方性層とを含む位相差板を作製し、さらに偏光膜と貼り合わせて円偏光板を作製し、その性能評価を行った。得られた円偏光板においては、第1光学異方性層に配向欠陥が多いために、正面方向からも斜め方向からも反射率が高く、必ずしも昨今の要求レベルを満たすものではなかった。また、それ以外にも、位相差ムラ、干渉ムラ、および、光学異方性層の密着性の点でも、更なる改良が必要であった。
本発明は、上記実情に鑑みて、円偏光板としたときに、正面方向においても斜め方向においても反射率が低く、かつ、干渉ムラや位相差ムラが抑制され、さらに、光学異方性層の密着性に優れた位相差板を提供することを目的とする。
また、本発明は、該位相差板を有する円偏光板および有機EL表示装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、所定のディスコティック液晶化合物を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 透明支持体と、積層光学異方性層とを備える位相差板であって、
積層光学異方性層は、後述する一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成される第1光学異方性層(H)と、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成される第2光学異方性層(Q)とを有し、
透明支持体の550nmにおける厚み方向のレタデーション値が20〜70nmであり、
波長450nm、550nmおよび650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が後述する式(1)〜(3)を満足する、位相差板。
(2) 第1光学異方性層(H)の厚みが2.7μm以下である、(1)に記載の位相差板。
(3) 波長550nmで測定した第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)のレタデーション値であるReH(550)およびReQ(550)が、後述する式(4)〜(5)の関係を満足する、(1)または(2)に記載の位相差板。
(4) 長尺状のフィルムであって、長手方向を90°としたとき、第1光学異方性層(H)の遅相軸角度が5〜25°であり、第2光学異方性層(Q)の遅相軸角度が65〜85°である、(1)〜(3)のいずれかに記載の位相差板。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の位相差板と、偏光膜とを有する円偏光板。
(6) (1)〜(4)のいずれかに記載の位相差板、または、(5)に記載の円偏光板を含む有機EL表示装置。
(7) 光学異方性層を有する位相差板と偏光膜とを有する円偏光板であって、
波長450nm、550nmおよび650nmで測定した光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が後述する式(1)〜(3)を満足し、
円偏光板中の位相差板と鏡面とが対向するように、円偏光板を鏡面上に配置して反射率を測定したとき、円偏光板面の法線方向から極角5°での入射光の平均反射率が1.0%以下で、円偏光板面の法線方向から極角60°での入射光の平均反射率が3.0%以下である、円偏光板。
本発明によれば、円偏光板としたときに、正面方向においても斜め方向においても反射率が低く反射光の色味がニュートラルであり、かつ、干渉ムラや位相差ムラが抑制され、さらに、光学異方性層の密着性に優れた位相差板を提供することを目的とする。
また、本発明によれば、該位相差板を有する円偏光板および有機EL表示装置を提供することができる。特に、本発明によれば、有機EL素子の内部反射による反射像の映り込みを、正面方向においても斜め方向においても十分に低減した高品位な有機EL表示装置を提供することができる。
本発明の位相差板の概略断面図の例である。 本発明の円偏光板の概略断面図の例である。 本発明の有機EL表示装置の概略断面図の例である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
有機ELとは、有機エレクトロルミネッセンスを意味する。また、本明細書において「遅相軸」とは、面内において屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。また、「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、および表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする。また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」のうち、特に、本発明の位相差板または一般的なλ/4板と偏光膜との積層体を含む形態を「円偏光板」と呼ぶ。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレタデーション、および厚さ方向のレタデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、またはWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、またはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、またはWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、および入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、および式(B)よりRthを算出することもできる。
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dは測定フィルムの厚みを示す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、またはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS、INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
以下に、本発明の位相差板の実施態様について図面を参照して説明する。図1に、本発明の位相差板の実施態様の概略断面図を示す。
位相差板10は、透明支持体12と、第1光学異方性層(H)14および第2光学異方性層(Q)16を含む積層光学異方性層18とを有する。第1光学異方性層(H)14は後述する一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成されており、第2光学異方性層(Q)16は棒状液晶化合物を含有する組成物から形成されている。
以下に、各部材について詳述する。
<透明支持体>
透明支持体は、後述する第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)を支持する基材である。
透明支持体の550nmにおける厚み方向のレタデーション値(Rth(550))は、20〜70nmであり、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される点で、25〜65nmが好ましく、30〜60nmがより好ましい。
厚み方向のレタデーション値が20nm未満または70nm超の場合、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率が大きくなる。
透明支持体の550nmにおける面内のレタデーション値(Re(550))は特に制限されないが、0〜50nmであることが好ましく、0〜30nmであることがより好ましく、0〜10nmであることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
透明支持体を形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましい。本発明でいう透明とは、可視光の透過率が60%以上であることを示し、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
透明支持体として用いることのできるポリマーフィルムとしては、例えば、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、脂環式構造を有するポリマーのフィルム(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))などが挙げられる。
なかでも、ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、または脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは特に制限されないが、10μm〜200μm程度のものを用いることが好ましく、10μm〜100μmがより好ましく、20μm〜90μmがさらに好ましい。また、透明支持体は複数枚の積層からなっていてもよい。外光反射の抑制には薄い方が好ましいが、10μmより薄いと、フィルムの強度が弱くなり、好ましくない傾向がある。透明支持体とその上に設けられる層との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。
また、透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止したりするために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[透明支持体の添加剤]
透明支持体には、種々の添加剤(例えば、光学的異方性調整剤、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、など)を加えることができる。また、透明支持体がセルロースアシレートフィルムである場合、その添加する時期はドープ作製工程(セルロースアシレート溶液の作製工程)における何れでもよいが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
<積層光学異方性層>
積層光学異方性層は、透明支持体上に配置される層であり、位相差を生じさせる層である。積層光学異方性層は、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)を有する。
なお、図1では、積層光学異方性層18中において透明支持体12側に第1光学異方性層(H)14が配置されているがこの態様には限定されず、透明支持体12側に第2光学異方性層(Q)16が配置されていてもよい。
波長450nm、550nmおよび650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)は、式(1)〜(3)を満足する。式(1)〜(3)を満たすことにより、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される。
式(1) 100nm≦Re(550)≦180nm
式(2) 0.70≦Re(450)/Re(550)≦0.90
式(3) 1.05≦Re(650)/Re(550)≦1.30
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、式(1A)〜式(3A)を満足することが好ましい。
式(1A) 110nm≦Re550≦170nm
式(2A) 0.75≦Re(450)/Re(550)≦0.85
式(3A) 1.05≦Re(650)/Re(550)≦1.25
また、波長450nm、550nm、650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値/波長の値が、いずれも0.20〜0.30の範囲内であることが好ましい。該範囲を満たすことは、可視光領域において、位相差がλ/4に近いことを意味している。波長450nm、550nm、650nmで測定したレタデーション値/波長の値が、いずれも0.22〜0.28であることがさらに好ましい。
第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)は、いずれか一方がλ/4層であり、他方がλ/2層であることが好ましい態様の一つである。なかでも、第1光学異方性層(H)がλ/2層であり、第2光学異方性層(Q)がλ/4層であることが好ましい。
ここで、「λ/4層」とは、特定の波長λnmにおける面内レタデーションRe(λ)が、
Re(λ)=λ/4
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよいが、波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が
100nm≦Re(550)≦180nm
であることが好ましく、110nm〜170nmであることがより好ましい。この範囲であると、後述するλ/2層と組み合わせたときに、反射光の光漏れをより低減できるため好ましい。
また、「λ/2層」とは、特定の波長λnmにおける面内レタデーションRe(λ)が
Re(λ)=λ/2
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。さらに、本発明ではλ/2層の面内レタデーションRe1がλ/4層の面内レタデーションRe2に対して実質的に2倍であるように設定されることが好ましい。つまり、上記の好適態様の場合、第1光学異方性層(H)の面内レタデーションReH(550)が、第2光学異方性層(Q)の面内レタデーションQ(550)に対して実質的に2倍であることが好ましい。ここで、「レタデーションが実質的に2倍である」とは、
Re1=2×Re2±50nm
であることを意味する。なかでも、
Re1=2×Re2±20nm
であることがより好ましい。上式は可視光域のいずれかの波長において達成されていればよいが、波長550nmにおいて達成されていることが好ましい。この範囲であると、上記したλ/4層と組み合わせたときに、反射光の光漏れをより低減できるため好ましい。
なお、上記好適態様は、波長550nmで測定した第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)のレタデーション値であるReH(550)およびReQ(550)が、以下の式(4)〜(5)の関係を満足するとも言い換えられる。
式(4) ReH(550)=2×ReQ(550)±50nm
式(5) 100nm≦ReQ(550)≦180nm
第1光学異方性層(H)の厚みは特に制限されないが、2.7μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.2μm以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、位相差ムラおよび輝点欠陥などがより抑制される。なお、下限は特に制限されないが、通常、0.5μm以上である場合が多い。
第2光学異方性層(Q)の厚みは特に制限されないが、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。上記範囲であれば、位相差ムラおよび輝点欠陥などがより抑制される。下限は特に制限されないが、通常、0.2μm以上である場合が多い。
また、位相差板が長尺状のフィルムであって、長手方向を90°としたとき、第1光学異方性層(H)の遅相軸角度が5〜25°が好ましく(なかでも、10〜20°がより好ましい)、第2光学異方性層(Q)の遅相軸角度が65〜85°が好ましい(なかでも、70〜80°がより好ましい)。上記範囲内であれば、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される。
また、このようにすることで、長尺状フィルムの長手方向と後述する偏光膜の長手方向を一致させてロールトゥロールによる貼り合せを行うことが可能になり、貼り合せの軸角度の精度が高く、生産性の高い円偏光板や楕円偏光板の製造が可能になる。なお、光学異方性層の遅相軸の角度はラビングの角度で調整できる。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)との間には後述する配向膜が配置されていてもよいが、第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)とが隣接し、第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)との間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)との間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。本明細書において「実質的に配向膜がない」とは、配向膜として機能させるためだけに形成された膜を含んでいないことを意味する。下方に位置する層の表面が、上方に位置する層の液晶化合物が配向するのに寄与する場合であっても、下方に位置する層が配向膜としてのみ用いるために形成されていない限り、本発明に含まれる。
第1光学異方性層(H)は、表面がべとつかず、布などでこすった場合にも層中の成分が布に転写されることもない。従って、直接ラビング処理を施すことができる。従って、第1光学異方性層(H)を形成した後、引き続きその表面に直接ラビング処理を施し、棒状液晶化合物を含有する組成物を塗布して、第2光学異方性層(Q)を形成することができる。つまり、第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)とが直接接触するように、配置されていてもよい。
第1光学異方性層(H)は、後述する一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成される。言い換えると、第1光学異方性層(H)は、ディスコティック液晶化合物が重合等によって固定されて形成された層であり、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。なお、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物は2種以上使用してもよい。
また、第2光学異方性層(Q)は、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成される。なかでも、重合性基を有する棒状液晶化合物を含有する組成物から形成されることが好ましく、この場合、第2光学異方性層(Q)は、棒状液晶化合物が重合等によって固定されて形成された層であり、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)において、液晶化合物(ディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物)の分子は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向および傾斜配向のいずれかの配向状態に固定化されていることが好ましい。視野角依存性が対称である位相差板を作製するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤面が透明支持体面に対して実質的に垂直であるか、および/または、棒状液晶化合物の長軸が透明支持体面に対して実質的に水平であることが好ましい。ディスコティック液晶化合物が実質的に垂直とは、透明支持体面とディスコティック液晶化合物の円盤面とのなす角度の平均値が70°〜90°の範囲内であることを意味し、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が更に好ましい。棒状液晶化合物が実質的に水平とは、透明支持体面と棒状液晶化合物のダイレクターとのなす角度が0°〜20°の範囲内であることを意味し、0°〜10°がより好ましく、0°〜5°が更に好ましい。
ディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物の液晶化合物の分子をハイブリッド配向させる場合、液晶化合物のダイレクターの平均傾斜角は5〜85°であることが好ましく、10〜80°であることがより好ましく、15〜75°であることが更に好ましい。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)は、それぞれ一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物と、所望により、後述する重合開始剤や配向制御剤や他の添加剤を含む組成物(塗布液)を、塗布することで形成することができる。
なお、後述するように、透明支持体上に配向膜を形成し、該配向膜表面に組成物(塗布液)を塗布して形成するのが好ましい。
第1光学異方性層(H)または第2光学異方性層(Q)を形成するために使用される組成物中における一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物の含有量の好ましい範囲は、組成物の全固形分に対して(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物に対して)、50質量%以上であることが好ましく、70〜99質量%であることがより好ましく、80〜98質量%であることが更に好ましい。上記範囲にすることで充分な位相差を薄膜で発現させることができる。
なお、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)を形成するために使用される組成物は、液晶の配向を制御する配向制御剤を含有していてもよい。使用可能な配向制御剤の例には、配向膜界面側に偏在し、配向膜界面の液晶の配向を制御する配向膜界面配向制御剤、および空気界面側に偏在し空気界面側の液晶の配向を制御する空気界面配向制御剤が含まれる。
以下に、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の形成に使用される化合物について詳述する。
[一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物]
第1光学異方性層(H)は、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を用いて形成される。
11、Y12およびY13は、それぞれ独立に、置換されていてもよいメチンまたは窒素原子を表す。
11、Y12およびY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基で置き換わってもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がより好ましい。
11、Y12およびY13は、化合物の合成の容易さおよびコストの点において、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがさらに好ましい。
1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。
1、L2およびL3が二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1、L2およびL3における二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環およびピリミジン環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環および複素環がより好ましい。なお、本発明における二価の環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる二価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
1、L2およびL3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基およびナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基が好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2およびL3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2およびL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−および*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−および*−C≡C−二価の環状基−が好ましく、単結合が最も好ましい。ここで、*は一般式(I)中のY11、Y12およびY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
一般式(I)中、H1、H2およびH3は、それぞれ独立に一般式(I−A)または(I−B)の基を表す。
一般式(I−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し;
XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し;
*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
または一般式(I−B):
一般式(I−B)中、YB1およびYB2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し;
XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し;
*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す。
一般式(I−R)
*−(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
一般式(I−R)中、*は、一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表す。L21は単結合または二価の連結基を表す。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は単結合、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−および***−C≡C−(ここで、***は一般式(I−R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、または7員環を有する環状基が好ましく、5員環または6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基がさらに好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環およびピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
上記Q2のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基が好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基および1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1または2がさらに好ましい。
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−N(R101)−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−または**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表す。R101は、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を表す。
22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。L22が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。これらの置換基に置換されることにより、本発明の液晶化合物から液晶性組成物を調製する際に、使用する溶媒に対する溶解性を向上させることができる。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
1は重合性基または水素原子を表し、重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
更に、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような
重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられ
る。
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記式(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
一般式(I)の化合物の中でも、下記一般式(I’)で表される化合物がより好ましい。
一般式(I’)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、置換基を有してもよいメチンが好ましく、メチンは無置換であるのが好ましい。
11、R12およびR13は、それぞれ独立に下記一般式(I’−A)、下記一般式(I’−B)または下記一般式(I’−C)を表す。固有複屈折の波長分散性を小さくしようとする場合、一般式(I’−A)または一般式(I’−C)が好ましく、一般式(I’−A)がより好ましい。R11、R12およびR13は、R11=R12=R13であることが好ましい。
一般式(I’−A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
11およびA12は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
13、A14、A15およびA16は、それらのうち、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、該メチンは無置換であることが好ましい。
11、A12、A13、A14、A15またはA16が置換基を有してもよいメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
1は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’−B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
21およびA22は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
23、A24、A25およびA26は、それらのうち、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、該メチンは無置換であることが好ましい。
21、A22、A23、A24、A25またはA26が置換基を有してもよいメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
2は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’−C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
31およびA32は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
33、A34、A35およびA36は、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、該メチンは無置換であることが好ましい。
31、A32、A33、A34、A35またはA36が置換基を有してもよいメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
3は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’−A)中のL11、一般式(I’−B)中のL21、一般式(I’−C)中のL31はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−またはC≡C−を表す。好ましくは、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−C≡C−である。特に、小さい固有複屈折の波長分散性が期待できる、一般式(I’−A)中のL11は、−O−、−CO−O−、−C≡C−が特に好ましく、この中でも−CO−O−が、より高温でディスコティックネマチック相を発現できるため、好ましい。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(I’−A)中のL12、一般式(I’−B)中のL22、一般式(I’−C)中のL32はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−およびC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、特にハロゲン原子、メチル基、エチル基が好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−およびC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数2〜14であることがより好ましい。炭素数2〜14が好ましく、−CH2−を1〜16個有することがより好ましく、−CH2−を2〜12個有することが更に好ましい。
12、L22、L32を構成する炭素数は、液晶の相転移温度と化合物の溶媒への溶解性に影響を及ぼす。一般的に炭素数は多くなるほど、ディスコティックネマチック相(ND相)から等方性液体への転移温度が低下する傾向にある。また、溶媒への溶解性は、一般的に炭素数は多くなるほど向上する傾向にある。
一般式(I’−A)中のQ11、一般式(I’−B)中のQ21、一般式(I’−C)中のQ31はそれぞれ独立して重合性基または水素原子を表す。また、Q11、Q21、Q31は重合性基であることが好ましい。重合性基の例については、上記と同様であり、好ましい例も上記と同様である。
一般式(I)で表される化合物の具体例には、特開2010−244038号の段落[0068]〜[0077]に記載の例示化合物、および、特開2007−2220号公報の段落[0040]〜[0063]に記載の例示化合物が含まれる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
上記化合物は、種々の方法により合成することができ、例えば、特開2007−2220号公報の[0064]〜[0070]に記載の方法により合成することができる。
ディスコティック液晶化合物は、液晶相として、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を示すことが好ましく、これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。
[棒状液晶化合物]
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。
棒状液晶化合物には、活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる重合性基が含まれることが好ましい。重合性基の定義は、上述の通りであり、その個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
[垂直配向促進剤]
第1光学異方性層(H)を形成する際に、液晶化合物の分子を均一に垂直配向させるためには、配向膜界面側および空気界面側において液晶化合物を垂直に配向制御可能な配向制御剤を用いるのが好ましい。この目的のために、後述する配向膜に、排除体積効果、静電気的効果または表面エネルギー効果によって液晶化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を、液晶化合物とともに含有する組成物を用いて光学異方性層を形成するのが好ましい。また、空気界面側の配向制御に関しては液晶化合物の配向時に空気界面に偏在し、その排除体積効果、静電気的効果、または表面エネルギー効果によって液晶化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を、液晶化合物とともに含有する組成物を用いて光学異方性層を形成するのが好ましい。このような配向膜界面側で液晶化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(配向膜界面側垂直配向剤)としては、ピリジニウム誘導体が好適に用いられる。空気界面側で液晶化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(空気界面側垂直配向剤)としては、該化合物が空気界面側に偏在するのを促進する、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物が好適に用いられる。また、これらの化合物を配合することによって、例えば、液晶性組成物を塗布液として調製した場合に、該塗布液の塗布性が改善され、ムラ、ハジキの発生が抑制される。
[配向膜界面側垂直配向剤]
本発明に使用可能な配向膜界面側垂直配向剤としては、下記一般式(II)で表されるピリジニウム誘導体(ピリジニウム塩)が好適に用いられる。該ピリジニウム誘導体の少なくとも1種を上記組成物に添加することによって、ディスコティック液晶化合物の分子を配向膜近傍で実質的に垂直に配向させることができる。
式中、L23およびL24はそれぞれ二価の連結基を表す。
23は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−OCO−またはO−CO−AL−CO−O−であるのが好ましく、ALは、炭素原子数が1〜10のアルキレン基である。L23は、単結合、−O−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−COAL−O−CO−またはO−CO−AL−CO−O−が好ましく、単結合またはO−が更に好ましく、−O−が最も好ましい。
24は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−またはN=N−であるのが好ましく、−O−CO−またはCO−O−がより好ましい。mが2以上のとき、複数のL24が交互に、−O−CO−およびCO−O−であるのが更に好ましい。
22は水素原子、無置換アミノ基、または炭素原子数が1〜25の置換アミノ基である。
22が、ジアルキル置換アミノ基である場合、2つのアルキル基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環または6員環が好ましい。R22は水素原子、無置換アミノ基、または炭素原子数が2〜12のジアルキル置換アミノ基であるのが更に好ましく、水素原子、無置換アミノ基、または炭素原子数が2〜8のジアルキル置換アミノ基であるのがより更に好ましい。R22が無置換アミノ基および置換アミノ基である場合、ピリジニウム環の4位が置換されていることが好ましい。
Xはアニオンである。
Xは、一価のアニオンであることが好ましい。アニオンの例には、アニオンの例には、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。Xは、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。
22およびY23はそれぞれ、5または6員環を部分構造として有する二価の連結基である。
5または6員環が置換基を有していてもよい。好ましくは、Y22およびY23のうち少なくとも1つは、置換基を有する5または6員環を部分構造として有する二価の連結基である。Y22およびY23は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6員環を部分構造として有する二価の連結基であるのが好ましい。6員環は、脂肪族環、芳香族環(ベンゼン環)および複素環を含む。6員脂肪族環の例は、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびシクロヘキサジエン環を含む。6員複素環の例は、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環を含む。6員環に、他の6員環または5員環が縮合していてもよい。
置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1〜12のアルキル基および炭素原子数が1〜12のアルコキシ基を含む。アルキル基およびアルコキシ基は、炭素原子数が2〜12のアシル基または炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。置換基は、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3)のアルキル基であるのが好ましい。置換基は2以上であってもよく、例えば、Y22およびY23がフェニレン基である場合は、1〜4の炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3)のアルキル基で置換されていてもよい。
なお、mは1または2であり、2であるのが好ましい。mが2のとき、複数のY23およびL24は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21は、ハロゲン置換フェニル、ニトロ置換フェニル、シアノ置換フェニル、炭素原子数が1〜25のアルキル基で置換されたフェニル、炭素原子数が1〜25のアルコキシ基で置換されたフェニル、炭素原子数が1〜25のアルキル基、炭素原子数が2〜25のアルキニル基、炭素原子数が1〜25のアルコキシ基、炭素原子数が1〜25のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基および炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる一価の基である。
mが2の場合、Z21は、シアノ、炭素原子数が1〜25のアルキル基または炭素原子数が1〜25のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数4〜20のアルコキシ基であるのが更に好ましい。
mが1の場合、Z21は、炭素原子数が7〜25のアルキル基、炭素原子数が7〜25のアルコキシ基、炭素原子数が7〜25のアシル置換アルキル基、炭素原子数が7〜25のアシル置換アルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルキル基または炭素原子数が7〜25のアシルオキシ置換アルコキシ基であることが好ましい。
アシル基は−CO−R、アシルオキシ基は−O−CO−Rで表され、Rは脂肪族基(アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基)または芳香族基(アリール基、置換アリール基)である。Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることが更に好ましい。
pは、1〜10の整数である。pは、1または2であることが特に好ましい。Cp2pは、分岐構造を有していてもよい鎖状アルキレン基を意味する。Cp2pは、直鎖状アルキレン基(−(CH2p−)であることが好ましい。
式(II)で表される化合物の中でも、下記式(II’)で表される化合物が好ましい。
式(II’)中、式(II)と同一の符号は同一の意義であり、好ましい範囲も同様である。L25はL24と同義であり、好ましい範囲も同様である。L24およびL25は、−O−CO−またはCO−O−であるのが好ましく、L24が−O−CO−で、かつL25が−CO−O−であるのが好ましい。
23、R24およびR25はそれぞれ、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3)のアルキル基である。n23は0〜4、n24は1〜4、およびn25は0〜4を表す。n23およびn25が0で、n24が1〜4(より好ましくは1〜3)であるのが好ましい。
一般式(II)で表される化合物の具体例としては、特開2006−113500号公報明細書中[0058]〜[0061]に記載の化合物が挙げられる。
[空気界面側垂直配向剤]
空気界面側垂直配向剤としては、下記フッ素系ポリマー(式(II)を部分構造として含む)または一般式(III)で表される含フッ素化合物が好適に用いられる。
まずフッ素系ポリマー(式(II)を部分構造として含む)について説明する。本発明の空気界面側垂直配向剤としては、フッ素系ポリマーが、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記式(II)で表される繰り返し単位とを含む共重合体であることが好ましい。
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる二価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される二価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)若しくはその塩、スルホ基(−SO3H)若しくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}若しくはその塩を表す。
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有することを特徴とする。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。
フッ素系ポリマーとして好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体例として、特開2006−113500公報の段落[0110]〜[0114]に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はそれら具体例によってなんら制限されるものではない。
フッ素系ポリマーの質量平均分子量は1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、100,000以下であり、10000以上であるのが更に好ましい。この範囲にすることで、溶解性を満足しつつ液晶化合物の配向制御に有効である。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
組成物中におけるフッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜3質量%であるのが更に好ましい。フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼす。
下記式(III)で表される含フッ素化合物。
(III) (R0m−L0−(W)n
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基またはCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(m+n)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)若しくはその塩、スルホ基(−SO3H)若しくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}若しくはその塩を表し、nは1以上の整数を表す。
本発明に使用可能な式(III)にて表される含フッ素化合物の具体例として、特開2006−113500公報の段落[0136]〜[0140]に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はそれら具体例によってなんら制限されるものではない。
組成物中における含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜3質量%であるのが更に好ましい。
[重合開始剤]
配向(好ましくは垂直配向)させた液晶化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)並びにオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、組成物の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
[光学異方性層の他の添加剤]
上記の液晶化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特願2003−295212号明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
液晶化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃が更に好ましい。
[塗布溶剤]
組成物(塗布液)の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[配向膜]
本発明では、配向膜の表面に上記組成物を塗布して、液晶化合物(例えば、ディスコティック液晶化合物)の分子を配向させてもよい。配向膜は液晶化合物の配向方向を規定する機能を有するため、本発明の好ましい態様を実現する上で利用するのが好ましい。しかし、液晶化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを別の透明支持体上に転写して本発明の光学フィルム用光学基材を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射(好ましくは偏光)により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
ポリマーの例には、例えば、特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%が更に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。特に、ディスコティック液晶を含む光学異方性層の遅相軸方向をラビングローラーの回転軸と実質的に平行にする場合は、89〜99%であるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールと前述の配向膜界面側垂直配向剤を用いることが好ましい。
配向膜において、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤および添加剤を含む溶液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノールやイソプロパノール等のアルコール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:アルコールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることが更に好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方性層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜形成時に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法やエクストルージョンコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5が好ましい。
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
<位相差板の製造方法>
上記位相差板の製造方法は特に制限されないが、以下の工程(1)〜(6)の手順を実施することが好ましい。
工程(1):透明支持体上に配向膜を設ける。
工程(2):配向膜上に、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物を塗布して、必要により加熱処理を行い、ディスコティック液晶化合物を配向させる工程
工程(3):一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第1光学異方性層(H)を形成する工程
工程(4):第1光学異方性層(H)上をラビングする。
工程(5):ラビングした第1光学異方性層(H)上に重合性基を有する棒状液晶化合物を含む組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、棒状液晶化合物を配向させる工程
工程(6) 重合性基を有する棒状液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第2光学異方性層(Q)を形成する工程
工程(1)は、透明支持体上に配向膜を形成する工程である。配向膜の形成方法は、上述の通りであり、ポリマー層を形成したのち、その表面にラビング処理を施し、配向膜を得る方法が好ましい。
工程(2)は、配向膜上に一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、ディスコティック液晶化合物を配向させる工程である。
使用される組成物は、上述の通りである。
組成物の塗布方法は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
加熱処理の条件は、使用されるディスコティック液晶化合物の種類に応じて、適宜最適な温度が選択されるが、通常、20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の温度で10〜600秒(好ましくは、30〜300秒)加熱処理を実施することが好ましい。
工程(3)は、配向状態にある一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第1光学異方性層(H)を形成する工程である。
硬化処理は、重合性基間で反応が進行すればその方法は特に制限されず、例えば、加熱処理または光照射処理(好ましくは、紫外線照射処理)が挙げられる。
なお、配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0〜50℃、より過酷な条件下では−30〜70℃の温度範囲において、該固定化された組成物に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
工程(4)は、第1光学異方性層(H)上をラビングする工程である。ラビング処理の方向は、第1光学異方性層(H)の遅相軸の方向に対して所定の角度となるように適宜調整される。
ラビング処理の方法は、上述の通りである。
工程(5)は、ラビングした第1光学異方性層(H)上に重合性基を有する棒状液晶化合物を含む組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、棒状液晶化合物を配向させる工程である。
使用される組成物は、上述の通りである。
また、組成物の塗布方法は、工程(2)と同様である。
工程(6)は、配向状態にある重合性基を有する棒状液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第2光学異方性層(Q)を形成する工程である。
硬化処理は、重合性基間で反応が進行すればその方法は特に制限されず、例えば、加熱処理または光照射処理(好ましくは、紫外線照射処理)が挙げられる。
<位相差板>
上述した本発明の位相差板にさらに後述する偏光膜を積層して円偏光板として、位相差板と鏡面とが対向するように、円偏光板を鏡面上に配置して、偏光膜側から光を入射させて反射率を測定したとき、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角5°での入射光の平均反射率は1.0%以下であり、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角60°での入射光の平均反射率が3.0%以下であることが好ましい。なかでも、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角5°での入射光の平均反射率が0.7%以下で、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角60°での入射光の平均反射率が2.5%以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、斜め方向から見た際の反射率が低減される。
また、同様に測定したとき、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角5°での入射光の最大反射率が1.0%以下であることが好ましく、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角60°での入射光の最大反射率が6.0%以下であることが好ましい。さらに、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角5°での入射光の最大反射率が0.7%以下であることがより好ましく、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から極角60°での入射光の最大反射率が3.0%以下であることがより好ましい。
ここで、反射率は、以下のようにして求める。まず、円偏光板中の位相差板を鏡面側に向けて、円偏光板を鏡面上に粘着剤で貼り付ける。その後、分光光度計を用いて、可視領域(例えば、380〜780nmの波長領域)において、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から入射角5°における出射角5°の鏡面反射率、または、円偏光板面(偏光膜面)の法線方向から入射角60°における出射角60°の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均を反射率として算出する。より具体的には、入射角5°または60°として、円偏光板の方位角を変更しながら鏡面反射率を測定し、方位0〜180°の間における平均値を本明細書では平均反射率とし、方位0〜180°の間における最大値を最大反射率とした。なお、平均反射率を測定する際には、少なくとも2箇所での反射率を測定し、それらを算術平均する。そして、別途、裏面を黒インキで塗りつぶした偏光板(位相差板を含まず)の反射率を同様に測定して、該測定値を表面反射由来のバックグラウンドとして、円偏光板の反射率測定値から引くことで、円偏光板の鏡面反射率を求める。
<円偏光板>
本発明の円偏光板は、上述した位相差板と偏光膜とを備える。より具体的には、図2(A)に示すように、円偏光板100は、位相差板10と、偏光膜20とを有する。なお、図2(A)において、透明支持体12は偏光膜20側に設けられているがこの態様には限定されず、透明支持体12は第2光学異方性層(Q)16側に設けられていてもよい。
上記構成を有する本発明の円偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置の反射防止用途に好適に用いられ、表示光のコントラスト比を向上させるためのものである。
例えば、有機EL表示装置の光取り出し面側に本発明の円偏光板を用いた態様が挙げられる。この場合、外光は偏光膜によって直線偏光となり、次に位相差板を通過することで、円偏光となる。これが金属電極にて反射された際に円偏光状態が反転し、再び位相差板を通過した際に、入射時から90°傾いた直線偏光となり、偏光膜に到達して吸収される。結果として、外光の影響を抑制することができる。
第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の遅相軸と、偏光膜の吸収軸とのなす角度は特に制限されず、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の性質に応じて適宜最適な角度が調整される。
例えば、第1光学異方性層(H)がλ/2層で、第2光学異方性層(Q)がλ/4層であり、第1光学異方性層(H)の波長550nmにおけるRthが負である場合には、第1光学異方性層(H)の遅相軸方向と偏光膜の吸収軸方向とのなす角が75°±10°の範囲であることが好ましく、75°±8°の範囲であることがより好ましく、75°±5°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、第2光学異方性層(Q)の遅相軸方向と偏光膜の吸収軸方向とのなす角が15°±10°の範囲であることが好ましく、15°±8°の範囲であることがより好ましく、15°±5°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
また、第1光学異方性層(H)がλ/2層で、第2光学異方性層(Q)がλ/4層であり、第1光学異方性層(H)の波長550nmにおけるRthが正である場合には、第1光学異方性層(H)の遅相軸方向と偏光膜の吸収軸方向とのなす角が15°±10°の範囲であることが好ましく、15°±8°の範囲であることがより好ましく、15°±5°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、第2光学異方性層(Q)の遅相軸方向と偏光膜の吸収軸方向とのなす角が75°±10°の範囲であることが好ましく、75°±8°の範囲であることがより好ましく、75°±5°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
[偏光膜]
偏光膜(偏光子層)は、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であればよく、吸収型偏光子を利用することができる。
偏光膜の種類は特に制限はなく、通常用いられている偏光膜を利用することができ、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を利用した染料系偏光膜、およびポリエン系偏光膜のいずれも用いることができる。ヨウ素系偏光膜、および染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
なお、偏光膜は、その両面に保護フィルムが貼合された偏光板として用いられることが一般的である。
円偏光板の製造方法は特に制限されないが、例えば、上記位相差板と偏光膜とが、それぞれ長尺の状態で連続的に積層される工程を含むことが好ましい。長尺の円偏光板は、用いられる画像表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
円偏光板は図2(A)の態様に限定されず、さらに別の層が含まれていてもよい。
例えば、図2(B)に示すように、円偏光板110は、位相差板10と、偏光膜20と、保護膜22とを含む。
保護膜22としては、光学的等方性が高いセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。
また、図2(C)に示すように、円偏光板120は、位相差板10と、偏光膜20と、保護膜22と、機能層24とを有する。機能層24としては、反射防止層、防眩層、およびハードコート層からなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。これらは公知の層材料が使用される。なお、これらの層は、複数層が積層してもよい。
例えば、反射防止層は、最も単純な構成では、フィルムの最表面に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、屈折率の高い高屈折率層と、屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて反射防止層を構成することが好ましい。構成例としては、下側から順に、高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(下層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に有することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、特開平8−110401号公報、特開平10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。また、膜厚変動に対するロバスト性に優れる3層構成の反射防止フィルムは特開2008−262187号公報記載されている。上記3層構成の反射防止フィルムは、画像表示装置の表面に設置した場合、反射率の平均値を0.5%以下とすることができ、映り込みを著しく低減することができ、立体感に優れる画像を得ることができる。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層、帯電防止性のハードコート層、防眩性のハードコート層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報、特開2007−264113号公報等)等が挙げられる。
<有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述した位相差板(または円偏光板)を有する。通常、円偏光板は、有機EL表示装置の有機ELパネル上に設けられる。より具体的には、図3(A)に示すように、有機EL表示装置200は、少なくとも、有機ELパネル26と、位相差板10と、偏光膜20とを有する。
なお、有機EL表示装置は図3(A)の態様に限定されず、図3(B)に示すように、有機EL表示装置210は、偏光膜20上にさらに保護膜22を有していてもよく、さらには図3(C)に示すように、有機EL表示装置220は、偏光膜20上に保護膜22および機能層24を有していてもよい。
有機ELパネルは、陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した部材であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(1)セルロースアシレートフィルムの作製
(セルロースエステル溶液A−1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースエステル溶液A−1を調製した。
セルロースエステル溶液A−1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・セルロースアセテート(アセチル化度2.86) 100質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 320質量部
・メタノール(第2溶媒) 83質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
・トリフェニルフォスフェート 7.6質量部
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤分散液B−1の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤分散液B−1を調製した。
マット剤分散液B−1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・シリカ粒子分散液(平均粒径16nm)
"AEROSIL R972"、日本アエロジル(株)製 10.0質量部
・メチレンクロライド 72.8質量部
・メタノール 3.9質量部
・ブタノール 0.5質量部
・セルロースエステル溶液A−1 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤溶液C−1の調製)
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液C−1を調製した。
紫外線吸収剤溶液C−1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 10.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−2) 10.0質量部
・メチレンクロライド 55.7質量部
・メタノール 10質量部
・ブタノール 1.3質量部
・セルロースエステル溶液A−1 12.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースエステルフィルムの作製)
セルロースアシレート溶液A−1を94.6質量部、マット剤分散液B−1を1.3質量部とした混合物に、セルロースアシレート100質量部当たり、紫外線吸収剤(UV−1)および紫外線吸収剤(UV−2)がそれぞれ1.0質量部となるように、紫外線吸収剤溶液C−1を加え、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は1470mmとした。流延したドープ膜をドラム上で34℃の乾燥風を150m3/分で当てることにより乾燥させ、残留溶剤が150%の状態でドラムより剥離した。剥離の際、搬送方向(長手方向)に15%の延伸を行った。その後、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で把持しながら搬送し、幅手方向には延伸処理を行わなかった。さらに、熱処理装置のロール間を搬送することによりさらに乾燥し、セルロースアシレートフィルム(T1)を製造した。作製した長尺状のセルロースアシレートフィルム(T1)の残留溶剤量は0.2%で、厚みは60μmで、550nmにおけるReとRthはそれぞれ0.8nm、40nmであった。
(2)位相差板の作製
(アルカリ鹸化処理)
前述のセルロースアシレートフィルム(T1)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムのバンド面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを作製した。
アルカリ溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤SF−1:C1429O(CH2CH2O)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(配向膜の形成)
セルロースアシレートフィルム(T1)のアルカリ鹸化処理を行った面に、下記組成の配向膜塗布液(A)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。使用した変性ポリビニルアルコールの鹸化度は96.8%であった。
配向膜塗布液(A)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 308質量部
メタノール 70質量部
イソプロパノール 29質量部
光重合開始剤(イルガキュアー2959、チバ・ジャパン製)0.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(第1光学異方性層(H)の形成)
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が75°(時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は15°)。
下記の組成のディスコティック液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(A)を上記作製した配向膜上に#5.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥およびディスコティック液晶化合物の配向熟成のために、115℃の温風で90秒間、続いて、80℃の温風で60秒間加熱し、80℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第1光学異方性層(H)の厚みは2.0μmであった。DLC化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、DLC化合物がフィルム面に対して、垂直に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と平行で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、15°であった。
光学異方性層塗布液(A)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のディスコティック液晶化合物(A) 80質量部
下記のディスコティック液晶化合物(B) 20質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 10質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
下記のピリジニウム塩(A) 0.9質量部
下記のボロン酸含有化合物 0.08質量部
下記のポリマー(A) 0.6質量部
下記のフッ素系ポリマー(FP1) 0.3質量部
メチルエチルケトン 183質量部
シクロヘキサノン 40質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
フッ素系ポリマー(FP1)
(第2光学異方性層(Q)の形成)
上記作製した第1光学異方性層(H)に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が−75°(反時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は165°)。
下記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(B)を、上記作製した配向膜上に#2.2のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、60℃の温風で60秒間加熱し、60℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第2光学異方性層(Q)の厚みは0.8μmであった。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、液晶化合物がフィルム面に対して、水平に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と直交で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、75°であった。
光学異方性層塗布液(B)の組成
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下記の棒状液晶化合物(A) 80質量部
下記の棒状液晶化合物(B) 20質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー(FP4) 0.3質量部
メチルエチルケトン 193質量部
シクロヘキサノン 50質量部
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上記のようにして、セルロースアシレートフィルムの上に、ディスコティック液晶化合物から形成された第1光学異方性層(H)と棒状液晶化合物から形成された第2光学異方性層(Q)とが積層された位相差板(F1)を作製した。このフィルムを1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(3)偏光膜の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
(4)偏光膜保護フィルムの鹸化
上記作製したセルロースアシレートフィルム(T1)を1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(5)円偏光板の作製
前述の位相差板(F1)の透明支持体の面と、前述の偏光膜と、前述の偏光膜保護フィルムとをポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続的に貼り合せた。このようにして長尺状の円偏光板(P1)を作製した。
なお、偏光膜の吸収軸は、円偏光板の長手方向と一致しており、偏光膜の吸収軸と第1光学異方性層(H)の遅相軸とのなす角度が75°で、偏光膜の吸収軸と第2光学異方性層(Q)の遅相軸とのなす角度が15°であった。
(6)有機EL表示装置の作製
有機ELパネル搭載のLG電子社製15EL9500を分解し、円偏光板を剥離した。上記作製した円偏光板(P1)を画面サイズに裁断し、パネル前面に粘着剤を用いて貼合した。このとき、第2光学異方性層(Q)がパネル面側で、偏光膜保護フィルムが視認者側になるように円偏光板(P1)を貼合した。
<比較例1>
上記実施例1と同様にして、セルロースアシレートフィルム(T1)を作製し、表面を鹸化処理した。この上に下記組成の配向膜塗布液(B)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。
配向膜塗布液(B)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の配向膜ポリマー(A) 10質量部
水 200質量部
メタノール 200質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――

配向膜ポリマー(A)
(第1光学異方性層(H)の形成)
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が75°(時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は15°)。
下記の組成のディスコティック液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(C)を上記作製した配向膜上に#6.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥およびディスコティック液晶化合物の配向熟成のために、130℃の温風で90秒間、続いて、80℃の温風で60秒間加熱し、80℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第1光学異方性層(H)の厚みは3.2μmであった。ディスコティック液晶化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、ディスコティック液晶化合物がフィルム面に対して、垂直に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と平行で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、15°であった。
光学異方性層塗布液(C)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のディスコティック液晶化合物(C) 32.6質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 3.2質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製)1.1質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.4質量部
下記の垂直配向促進剤 0.5質量部
メチルエチルケトン 77.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(第2光学異方性層(Q)の形成)
上記作製した第1光学異方性層(H)の上に下記組成の配向膜塗布液(C)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。
配向膜塗布液(C)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の配向膜ポリマー(B) 10質量部
水 200質量部
メタノール 200質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が−75°(反時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は165°)。
上記実施例1と同様にして、棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(B)を上記作製した配向膜上に塗布して、厚みが0.8μmの第2光学異方性層(Q)を形成した。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、液晶化合物がフィルム面に対して、水平に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と直交で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、75°であった。
以上のようにして、セルロースアシレートフィルム/非ポリビニルアルコール系配向膜/ディスコティック液晶化合物を含む第1光学異方性層(H)/非ポリビニルアルコール系配向膜/棒状液晶化合物を含む第2光学異方性層(Q)がこの順で積層された比較例1の位相差板(FH1)を作製した。
なお、位相差板(FH1)においては、ディスコティック液晶化合物が本発明の態様と異なる。
(円偏光板の作製)
上記実施例1と同様にして、偏光膜の作製および偏光膜保護フィルムの鹸化処理を行った。前述の位相差板(FH1)の透明支持体の面と、偏光膜と、保護フィルムとをポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続的に貼り合せた。このようにして長尺状の円偏光板(PH1)を作製した。
なお、偏光膜の吸収軸は、円偏光板の長手方向と一致しており、偏光膜の吸収軸と第1光学異方性層(H)の遅相軸とのなす角度が75°で、偏光膜の吸収軸と第2光学異方性層(Q)の遅相軸とのなす角度が15°であった。
<比較例2>
上記実施例1と同様にして、セルロースアシレートフィルム(T1)の表面を鹸化処理し、この上に配向膜塗布液(A)を塗布し、配向膜を形成した。
(棒状液晶化合物を含む第1光学異方性層(H)の形成)
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が−30°(反時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は120°)。
下記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(D)を上記作製した配向膜上に#4.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥およびディスコティック液晶化合物の配向熟成のために、60℃の温風で90秒間、続いて、60℃の温風で60秒間加熱し、60℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第1光学異方性層(H)の厚みは1.8μmであった。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、液晶化合物がフィルム面に対して、水平に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と直交で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、60°であった。
なお、この比較例2の配向膜および光学異方性層塗布液(D)を用いたとき、上記実施例1や比較例1と同様に、フィルム長手方向(90°)に対して第1光学異方性層(H)の遅相軸を15°とするためには、ラビングローラー回転軸をフィルム長手方向に対して−15°に設定する必要があったが、長尺フィルムをラビング処理しながら搬送したところ、蛇行やシワが発生し、連続的にラビング処理をすることができなかった。
光学異方性層塗布液(D)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の棒状液晶化合物(A) 80質量部
上記の棒状液晶化合物(B) 20質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
上記のポリマー(A) 0.6質量部
上記のフッ素系ポリマー(FP1) 0.3質量部
メチルエチルケトン 159質量部
シクロヘキサノン 40質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(第2光学異方性層(Q)の形成)
上記作製した第1光学異方性層(H)に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が30°(時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は60°)。
上記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(B)を上記作製した配向膜上に#2.2のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、60℃の温風で60秒間加熱し、60℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。光学異方性層(Q)の厚みは0.8μmであった。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、液晶化合物がフィルム面に対して、水平に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と直交で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、120°であった。
以上のようにして、セルロースアシレートフィルム/変性ポリビニルアルコール配向膜/棒状液晶化合物を含む第1光学異方性層(H)/棒状液晶化合物を含む第2光学異方性層(Q)がこの順で積層された比較例2の位相差板(FH2)を作製した。
なお、位相差板(FH2)では、第1光学異方性層がディスコティック液晶化合物で形成されていない。
(円偏光板の作製)
上記実施例1と同様にして、偏光膜の作製および偏光膜保護フィルムの鹸化処理を行った。前述の位相差板(FH2)の透明支持体の面と、偏光膜と、保護フィルムとをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸と第1光学異方性層(H)の遅相軸とのなす角度が15°で、偏光膜の吸収軸と第2光学異方性層(Q)の遅相軸とのなす角度が75°になるように、偏光膜、位相差板(FH2)および保護フィルムをそれぞれ枚葉に裁断した後に貼り合わせた。このようにして円偏光板(PH2)を作製した。
<比較例3>
市販の広帯域性λ/4板であるピュアエースWR−S(帝人化成(株)製)を準備した。このフィルムは延伸した一枚のポリカーボネートフィルムであった。
(円偏光板の作製)
上記実施例1と同様にして、偏光膜の作製および偏光膜保護フィルムの鹸化処理を行った。ピュアエースWR−Sと、偏光膜と、保護フィルムを貼り合わせた。このとき、ピュアエースWR−Sと偏光膜の間はUV硬化接着剤を用い、偏光膜と保護フィルムの間はポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せた。また、偏光膜の吸収軸とピュアエースWR−Sの遅相軸とのなす角度が45°になるように、それぞれのフィルムを枚葉に裁断した後に貼り合わせた。このようにして円偏光板(PH3)を作製した。
<有機EL表示装置の作製>
上記実施例1と同様にして、有機ELパネル前面に比較例1〜3の円偏光板(PH1〜3)を貼合して、有機EL表示装置を作製した。
<各種評価>
(鏡面反射率測定)
実施例1および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付けた。その後、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、円偏光板面の法線方向から入射角(極角)5°における出射角5°の鏡面反射率、または、円偏光板面の法線方向から入射角(極角)60°における出射角60°の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均を反射率として算出した。より具体的には、円偏光板面の法線方向から入射角5°または60°で、円偏光板の方位角0〜180°の間を15°刻みで変えて鏡面反射率を測定し、方位角0〜180°の間の平均反射率および最大反射率を求めた。そして、別途、裏面を黒インキで塗りつぶした偏光板(位相差板を含まず)の反射率を同様に測定して、該測定値を表面反射由来のバックグラウンドとして、円偏光板の反射率測定値から引いた。このようにして円偏光板の鏡面反射率を求めた。結果を表1にまとめて示す。
(密着性評価)
実施例1および比較例1〜3で製造した位相差板の光学異方性層が形成された面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着して密着試験を行い、剥がれの有無を目視で観察した。結果を表1にまとめて示す。
○:100個の升目中に剥がれが0〜5升
×:100個の升目中に剥がれが6升以上
(干渉ムラ評価)
実施例1および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付け、蛍光灯下で反射光の干渉色を観察し、官能評価した。結果を表1にまとめて示す。
○:視認されない、もしくは、非常に弱く視認できるが気にならない。
×:明らかに視認できる。
(位相差ムラ評価)
実施例1および比較例1〜3で製造した位相差板をクロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に置いて面状(光学異方性層のムラやポリマーフィルムのムラ)を観察し、官能評価した。結果を表1にまとめて示す。
○:視認されない、もしくは、非常に弱く視認できるが気にならない。
×:明らかに視認できる。
(輝点欠陥評価)
実施例1および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付け、蛍光灯下で目視し、配向欠陥(輝点として視認される)を観察した。結果を表1にまとめて示す。
○:100cm2の範囲に視認できる輝点が0〜5個
×:100cm2の範囲に視認できる輝点が6個以上
なお、表1中のRe(面内レタデーション)は上述した方法により測定した。
また、表1中、「第1光学異方性層(H)のReH(550)」および「第2光学異方性層(Q)のReQ(550)」は、それぞれ第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)を表す。
また、「積層光学異方性層」欄は、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)が積層した積層光学異方性層における面内レタデーションである。
表1に示すように、本発明の位相差板を用いた円偏光板においては、正面方向(入射角5°)および斜め方向(入射角60°)の両方において平均反射率が低く、かつ、密着性に優れ、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥の発生も抑制されることが確認された。
一方、特許文献1に開示されているディスコティック液晶化合物を使用した比較例1においては、正面方向および斜め方向の平均反射率の両方において実施例1よりも劣っており、実用上問題があった。さらに、密着性、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥のすべてにおいて、実施例1より劣っており実用上問題があった。
また、所定のディスコティック液晶化合物を使用していない比較例2および3においても、正面方向および斜め方向の平均反射率の両方において実施例1よりも劣っていた。
(有機EL表示装置の評価)
有機EL表示装置(点灯なし)を蛍光灯下で、正面および斜め方向から観察し、官能評価した。
実施例1の有機EL表示装置は正面方向でも斜め方向でも反射光は小さく抑えられ、色味はニュートラルな黒であった。
一方、比較例1の有機EL表示装置は正面方向および斜め方向の反射光は実施例1より大きく、輝点やムラが容易に視認され、さらに、取り扱い時に光学異方性層の剥がれが生じた。また、比較例2の有機EL表示装置は、正面方向の反射光は実施例1と同程度であったが、斜め方向での反射光が大きく、観察方位に依存して着色した。さらに、比較例3の有機EL表示装置は正面方向の反射光が実施例1よりも着色しており、さらに、斜め方向でも反射光が大きく、観察方位に依存して着色した。
10 位相差板
12 透明支持体
14 第1光学異方性層(H)
16 第2光学異方性層(Q)
18 積層光学異方性層
20 偏光膜
22 保護膜
24 機能膜
26 表示ELパネル
100,110,120 円偏光板
200,210,220 有機EL表示装置

Claims (7)

  1. 透明支持体と、積層光学異方性層とを備える位相差板であって、
    前記積層光学異方性層は、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成される第1光学異方性層(H)と、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成される第2光学異方性層(Q)とを有し、
    前記透明支持体の550nmにおける厚み方向のレタデーション値が20〜70nmであり、
    波長450nm、550nmおよび650nmで測定した前記積層光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が式(1)〜(3)を満足する、位相差板。
    式(1) 100nm≦Re(550)≦180nm
    式(2) 0.70≦Re(450)/Re(550)≦0.90
    式(3) 1.05≦Re(650)/Re(550)≦1.30

    (式中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチンまたは窒素原子を表し;
    1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し;
    1、H2およびH3は、それぞれ独立に一般式(I−A):

    (一般式(I−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し;
    XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し;
    *は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    **は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
    または一般式(I−B):

    (一般式(I−B)中、YB1およびYB2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し;
    XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し;
    *は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    **は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)を表し;
    1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R):
    一般式(I−R)
    *−(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
    (一般式(I−R)中、
    *は一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し;
    21は単結合または二価の連結基を表し;
    2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し;
    n1は、0〜4の整数を表し、
    22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−N(R101)−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−または**−C≡C−を表し、
    101は、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を表し、
    **はQ2側と結合する位置を表し;
    23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−C=CH−およびC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;
    1は重合性基または水素原子を表す。)
  2. 前記第1光学異方性層(H)の厚みが2.7μm以下である、請求項1に記載の位相差板。
  3. 波長550nmで測定した前記第1光学異方性層(H)および前記第2光学異方性層(Q)のレタデーション値であるReH(550)およびReQ(550)が、以下の式(4)〜(5)の関係を満足する、請求項1または2に記載の位相差板。
    式(4) ReH(550)=2×ReQ(550)±50nm
    式(5) 100nm≦ReQ(550)≦180nm
  4. 長尺状のフィルムであって、長手方向を90°としたとき、前記第1光学異方性層(H)の遅相軸角度が5〜25°であり、前記第2光学異方性層(Q)の遅相軸角度が65〜85°である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差板と、偏光膜とを有する円偏光板。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差板、または、請求項5に記載の円偏光板を含む有機EL表示装置。
  7. 光学異方性層を有する位相差板と偏光膜とを有する円偏光板であって、
    波長450nm、550nmおよび650nmで測定した前記光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が式(1)〜(3)を満足し、
    式(1) 100nm≦Re(550)≦180nm
    式(2) 0.70≦Re(450)/Re(550)≦0.90
    式(3) 1.05≦Re(650)/Re(550)≦1.30
    前記円偏光板中の前記位相差板と鏡面とが対向するように、前記円偏光板を鏡面上に配置して反射率を測定したとき、前記円偏光板面の法線方向から極角5°での入射光の平均反射率が1.0%以下で、前記円偏光板面の法線方向から極角60°での入射光の平均反射率が3.0%以下である、円偏光板。
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