JPWO2014016918A1 - 電力送電装置 - Google Patents

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真理 来見
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Abstract

交流電源(1)から第2の制御ケーブル(5b)を介して送電された電力を整流した後、単相インバータ(14)により補償電圧を出力する直列補償回路(7)を備えた送電補償部(10)を、エレベータのかご(3)に設置する。交流電源(1)からかご(3)内の負荷機器(6)へ送電する第1の制御ケーブル(5a)に直列補償回路(7)の出力側を直列接続して、第1の制御ケーブル(5a)の相電圧に補償電圧を重畳する。そして、制御装置(8)内の電流波形制御部(33)により、負荷電流の高調波成分を抑制するように単相インバータ(14)が出力制御される。

Description

この発明は、例えば昇降行程の長いエレベータのかごへの電力送電に用い、複数の芯線を有する制御ケーブルを介して送電する電力送電装置に関するものである。
エレベータのかごには、照明器具、エアコン、ファン、ドアモータなどの各種負荷機器が搭載され、エレベータ機械室からかごへの電力送電には制御ケーブルを介して行われる。制御ケーブルは可撓性を保つため、比較的細線の芯線を複数本備えて構成される。また高層ビルのエレベータでは、制御ケーブルが長くなることによる電圧降下が大きくなり負荷機器での入力電圧が低下する。制御ケーブルの芯線数を増やすことで電圧降下を防止できるが、制御ケーブルの重量増につながり、制御ケーブルの揺れによりエレベータの走行の妨げになる。
従来の電力伝送方式では、昇圧した電力を一括してかごに送り、かごでこの電圧を変成して各機器用電源を作成し各機器に配電する。これにより、電力伝送用の芯線による電圧降下を小さくし、かつ芯線数を削減している(例えば特許文献1)。
特開平6−135645号公報
上記特許文献1記載の送電では、エレベータ機械室で予め送電電圧を昇圧し制御ケーブルに流れる電流を抑制する高電圧送電であり、負荷が変動すると制御ケーブルに流れる電流も変動するため制御ケーブルでの電圧降下が変動する。このため、負荷機器への入力電圧は負荷の状態に依存し変動するものであった。また、各負荷機器はそれぞれが高調波発生源であるため、高調波電流により電源力率を悪化させ、電源からの供給電力を増加させるものであった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、負荷機器への入力電圧変動を抑制可能で、また負荷機器からの高調波電流が制御ケーブルに流出するのを抑制し、力率を向上して交流電源からの送電電力を低減できる電力送電装置を、小型で安価な装置構成にて提供することを目的とする。
この発明による電力送電装置は、機器設置部に設けられた複数の負荷機器に交流電源から制御ケーブルを介して電力を送電するものであって、上記交流電源からの電力を受電して整流するコンバータ、該コンバータの出力に接続されたエネルギ蓄積要素、および該エネルギ蓄積要素の直流電力を交流電力に変換する単相インバータを有し、出力側が上記制御ケーブルに直列接続されて上記制御ケーブルの相電圧に重畳する電圧を出力する、上記機器設置部に設けられた直列補償回路と、上記直列補償回路を制御する制御装置とを備える。そして、上記制御装置は、上記制御ケーブルを流れる電流を検出し、該電流の高調波成分を抑制するように上記直列補償回路内の上記単相インバータを出力制御する電流波形制御部を備えるものである。
この発明による電力送電装置は、上記制御ケーブルの相電圧に重畳する電圧を出力する直列補償回路を備えるため、上記直列補償回路の出力電圧により、負荷機器への入力電圧変動が抑制可能となる。また、負荷機器からの高調波電流を制御ケーブルに流出するのを抑制でき、力率を向上して交流電源からの送電電力を低減できる。さらに、上記直列補償回路は比較的小容量に構成でき、電力送電装置を小型で安価な装置構成にできる。
この発明の実施の形態1による電力送電装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1による電力送電装置を用いたエレベータ用電力給電システムの概略図である。 この発明の実施の形態1による直列補償回路の制御ブロック図である。 この発明の実施の形態1による単相インバータの構成および動作を説明する図である。 この発明の実施の形態1による効果を説明する電圧、電流波形図である。 この発明の実施の形態2による直列補償回路の制御ブロック図である。 この発明の実施の形態3による直列補償回路の制御ブロック図である。 この発明の実施の形態4による直列補償回路の制御ブロック図である。 この発明の実施の形態5による電力送電装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態6による電力送電装置の構成を示す図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力送電装置を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態1による電力送電装置、より具体的には、三相商用電源である交流電源1から機器設置部に設置された各種の負荷機器6(6a〜6d)へ電力送電を行う電力送電装置100の構成を示す図である。また、電力送電装置100を用いたエレベータ用電力給電システムの概略図を図2に示す。
電力送電装置100は、交流電源1から機器設置部としてのかご3へ送電する送電制御ケーブル5と、かご3に設けられて、送電制御ケーブル5からの電力を受電して所望の電圧を出力する送電補償部10とを備えて負荷機器6である三相負荷6aおよび単相負荷6b〜6dに電力供給する。
図2に示すように、エレベータが設置される建物内に設けられた昇降路2内にかご3が配置されている。昇降路2の上部には制御盤4が設置されている。制御盤4は交流電源1から受電し、送電制御ケーブル5は、一端が制御盤4に接続されて、昇降路2に沿って懸垂され、かご3内の負荷機器6に接続される。送電制御ケーブル5は、かご3へ電力を送電する電源ケーブルと、制御盤4で生成される制御信号をかご3へ送る信号ケーブルなどから成り、可撓性を保つために比較的細い芯線を使用し、これらを複数束ねたものである。かご3に搭載される負荷機器6は、例えば、空調機、照明器具、ドア駆動装置、気圧制御装置などである。送電補償部10はかご3に設置される。
図1に示すように、送電制御ケーブル5は、主な電力送電を担う制御ケーブルとしての第1の制御ケーブル5aと、第2の制御ケーブル5bとを備え、送電補償部10では、第1の入力端子11aから第1の制御ケーブル5aを介した電力を入力し、第2の入力端子11bから第2の制御ケーブル5bを介した電力を入力する。そして、出力端子21から所望の電圧の電力を負荷機器6へ出力する。
送電補償部10は、第2の制御ケーブル5bから送電され、第1の制御ケーブル5aの各相に出力側が直列接続される直列補償回路7と、直列補償回路7をバイパスするバイパススイッチ20(20a〜20c)と、直列補償回路7を制御する制御装置8とを備える。
直列補償回路7は、第2の制御ケーブル5bからの電力を受電して整流するコンバータとしてのダイオード整流器12と、エネルギ蓄積要素としてのコンデンサ13と、各相の単相インバータ14(14a〜14c)と、フィルタ回路15(15a〜15c)と、一次側がフィルタ回路15に接続され、二次側が各相の第1の制御ケーブル5aに直列接続された直列トランス16(16a〜16c)とを備える。
送電補償部10内では、各相の送電線18(18a、18b、18c)が、各相の第1の制御ケーブル5aに直列接続され、直列補償回路7の各相の出力は、各相の送電線18の接続点19(19a、19b、19c)に接続されることで、第1の制御ケーブル5aの各相に直列接続される。
送電補償部10は、さらに、コンデンサ13の電圧を検出する直流電圧センサ22と、接続点19の交流電源側、負荷機器側の送電線18の各線間電圧を検出する電圧センサ23(23a、23b、23c)、24(24a、24b、24c)と、接続点19の交流電源側、負荷機器側の各相電流を検出する電流センサ25(25a、25b、25c)、26(26a、26b、26c)とを備える。なお、交流電源1から負荷機器6に流れる電流の方向を正とする。
負荷機器6の主な電力は、各相毎に第1の制御ケーブル5aにより送電され送電線18に接続される。直列補償回路7内の直列トランス16の二次巻線とバイパススイッチ20とが並列に接続され、これらが送電線18に直列接続される。バイパススイッチ20は通常時に開放され、直列補償回路7は、第1の制御ケーブル5aによる電圧降下を補償する各相の補償電圧を出力し、直列トランス16の二次巻線を介して送電線18の相電圧に重畳する。送電補償部10は、補償電圧を重畳後の電圧を出力端子21から出力する。
なお、直列補償回路7の制御及び動作の詳細は後述する。
出力端子21は、各負荷機器6に接続される。各負荷機器6はそれぞれスイッチを有しており、直列補償回路7の停止時、あるいは内部故障時、もしくは交流電源1の影響で負荷機器6への入力電圧が低下した場合、重要度の低い負荷機器6からスイッチを切って負荷軽減する。これにより第1の制御ケーブル5aでの電圧降下が低減するため、重要度の高い負荷機器6は運転を継続することができる。
バイパススイッチ20は、直列補償回路7に故障が発生して補償電圧を出力できなくなった場合に閉じて直列トランス16(二次巻線)をバイパスすることで直列補償回路7をバイパスする。バイパススイッチ20を閉じている時は、第1の制御ケーブル5aにより送電された電力が、そのまま負荷機器6に供給される。このとき、上記のように重要度の低い負荷機器6のスイッチを切って負荷軽減を図る。
なお、バイパススイッチ20はリレー、電磁コンタクタ、半導体スイッチング素子など外部信号で開閉できるものであればよく、いずれか複数を組合せて構成することも可能である。
一方、交流電源1から第2の制御ケーブル5bを介して直列補償回路7に送電された交流電力は、ダイオード整流器12によって三相全波整流され、コンデンサ13によって平滑されてリップルが除去された直流となる。なお、第2の制御ケーブル5bは、この場合三相交流に対応する3本として図示したが、相数と異なるものでも良い。
各単相インバータ14は、それぞれダイオードを逆並列接続したIGBTやMOSFETなどの自己消弧型の半導体スイッチング素子を用いたフルブリッジインバータで構成される。各単相インバータ14は、制御装置8により駆動制御されてPWM変調された電圧を出力する。
なお、各単相インバータ14を構成する2組のハーフブリッジの一方のみを三相分集めて構成した三相回路と、他方のみを三相分集めて構成した三相回路とに、それぞれ三相インバータ回路に広く用いられている回路構成のモジュールを適用できる。このため、このような三相回路の2つのモジュールを用いて単相インバータ14の三相分を構成しても良い。
フィルタ回路15は、コンデンサおよびリアクトルを有して構成され、単相インバータ14から出力された電圧のリップル成分を除去する。フィルタ回路15からの出力電圧は、直列トランス16を介して送電線18の接続点19に接続される。
次に、直列補償回路7内の単相インバータ14の制御について説明する。
直流電圧センサ22、各電圧センサ23、24および各電流センサ25、26の出力が制御装置8に入力され、制御装置8は、これらの検出結果に基づいて単相インバータ14の出力指令を生成し、この出力指令に基づいて単相インバータ14をPWM制御するゲート信号を生成して単相インバータ14を駆動制御する。
図3は、制御装置8による直列補償回路7の制御ブロック図で、単相インバータ14の出力指令の生成について示すものである。
図3に示すように、制御装置8は、フィードフォワード電圧制御部31と、フィードバック電圧制御部32と、電流波形制御部33とを備えて、各制御部31〜33の制御を組み合わせて出力指令41を生成する。実際には、これらの制御部31〜33はマイコン、DSPあるいはアナログ回路等で構成されている。
制御装置8では、接続点19より負荷機器6側の負荷電圧(相電圧)の目標値35を予め設定して保持し、直流電圧センサ22、各電圧センサ23、24および各電流センサ25、26の出力がデジタル値に変換されて入力される。なお、この場合、電流センサ25、26の出力の内、電流センサ26の出力である、接続点19より負荷機器側の負荷電流を用いる。
フィードフォワード電圧制御部31では、電圧センサ23からの線間電圧を相電圧に変換した電源側電圧34の実効値を、負荷電圧目標値35の実効値から差し引いた差電圧を求める。また電源側電圧34から基準正弦波42を生成し、上記差電圧と基準正弦波42との積から電圧指令45を生成して出力する。
フィードバック電圧制御部32では、電圧センサ24からの線間電圧を相電圧に変換した負荷電圧36の実効値を、負荷電圧目標値35の実効値から差し引いた差電圧がゼロになるように、制御器37がPI制御などにより電圧制御値を生成する。そして、電源側電圧34から生成された基準正弦波42と電圧制御値との積により電圧指令46を生成して出力する。なお、制御器37では、ゲイン調整により制御応答が自由に設定できる。
電流波形制御部33では、電流センサ26からの電流(負荷電流)38の基本波成分を抽出し、この基本波成分を電流38から差し引いて高調波電流を求める。そして、この高調波電流がゼロとなるように、制御器39がPI制御などにより電圧制御値を電圧指令47として生成して出力する。なお、制御器39では、ゲイン調整により制御応答が自由に設定できる。
電源側を基準として、高調波電流が正ならば直列補償回路7が負の電圧を出力して電源側電圧に重畳し、負荷機器6への入力電圧となる負荷電圧を低減する。負荷電圧が低下すると電流は流れにくくなり結果的に高調波電流を抑制することができる。また逆に高調波電流が負のときは直列補償回路7が正の電圧を出力して電源側電圧に重畳することで高調波電流を抑制する。
制御装置8は、上記3つの電圧指令45、46、47から単相インバータ14の出力電圧指令値48を演算し、直流電圧センサ22により検出されたコンデンサ13の電圧(コンデンサ電圧40)で出力電圧指令値48を除算して正規化することによって単相インバータ14の出力指令41を生成する。この出力指令41は各相毎に生成される。
なお、制御装置8は、電源側電圧34、負荷電圧目標値35および負荷電圧36について、それぞれ実効値を制御に用いたが、平均値を用いても良い。
単相インバータ14の構成および動作について図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、単相インバータ14は、それぞれダイオードを逆並列接続したIGBT53〜56を用いたフルブリッジインバータで構成される。制御装置8では、生成した出力指令41と二段の三角波(キャリア波)51、52とをコンパレータで比較して(図4(b)参照)、PWM制御の為のゲート信号を生成して各IGBT53〜56を次のようにスイッチング制御する。
電源側を基準として直列補償回路7が正の出力をするときは、IGBT54、55をオン、負の出力をするときはIGBT53、56をオン、ゼロの出力をするときはIGBT54、56をオンとする。そのため、出力指令41が正のときは、IGBT53をオフ固定、IGBT54をオン固定して、三角波51と出力指令41とを比較してIGBT55、56をスイッチングする。また、出力指令41が負のときは、IGBT55をオフ固定、IGBT56をオン固定して、三角波52と出力指令41とを比較してIGBT53、54をスイッチングする。
そして上述したように、単相インバータ14からの出力電圧はフィルタ回路15にてリップル成分が除去され、直列トランス16を介して出力される電圧が送電線18の相電圧に重畳される。この直列トランス16の二次側の出力電圧が、直列補償回路7が出力する補償電圧となる。直列補償回路7は、負荷機器6に入力される負荷電圧36が負荷電圧目標値35となるように、また、送電線18に流れる電流38の高調波成分がゼロに近づくような補償電圧を出力するように動作する。
なお、上記の単相インバータ14のスイッチング制御は、IGBTやMOSFET等のユニポーラ駆動の一例であり、バイポーラやダイポーラなどの駆動では別の方法が用いられる。
また、単相インバータ14は3レベルのフルブリッジインバータを用いたが、これに限るものではない。
上述したように制御装置8は、負荷電圧36が負荷電圧目標値35となるようなフィードフォワード電圧制御、フィードバック電圧制御、さらに高調波電流を抑制する電流波形制御とを、それぞれ個別に電圧指令45、46、47を演算した後に組み合わせている。
フィードフォワード電圧制御部31、フィードバック電圧制御部32では、基準正弦波を用いて電圧指令45、46を生成するため、電圧指令45、46は、単相インバータ14の出力電圧指令値48の基本波成分を構成する。一方、電流波形制御部33は、負荷電流の高調波成分を制御する電圧指令47を生成するため、高調波成分で構成される。このため、フィードフォワード電圧制御部31、フィードバック電圧制御部32による電圧制御と、電流波形制御部33による電流制御が互いに干渉することなく制御できる。
これにより、図5に示すように、負荷電圧、負荷電流が改善されることがわかる。制御無しの場合は、交流電源1から第1の制御ケーブル5aを介して送電される電力がそのまま負荷機器6に供給される場合で、負荷電圧が低下し負荷電流に高調波成分が多く含まれている。制御有りの場合は、この実施の形態による結果である負荷電圧、負荷電流であり、負荷電圧の電圧降下が抑制され、負荷電流の高調波電流も抑制されている。
以上のように、直列補償回路7が制御されて補償電圧を出力して、送電線18の相電圧に重畳することにより、負荷電圧が目標値に維持され、負荷電流の高調波電流が抑制される。この高調波電流の抑制により、電源力率が向上して電力送電装置100の効率が向上し、交流電源1からの送電電力を低減できる。また、負荷電圧を目標値に維持する電圧制御は、高調波電流を抑制する電流制御と干渉することなく、電圧制御、電流制御のそれぞれが信頼性良く行える。また、電圧制御は、フィードフォワード電圧制御部31、フィードバック電圧制御部32を組み合わせて行っているため、負荷電圧の変動を速やかに、しかも高精度に補償して目標値に維持することができる。
また直列補償回路7は相毎に制御された補償電圧を出力するため、各負荷機器6a〜6dの個別の負荷変動にも対応でき、各負荷機器6への入力電圧の電圧変動を確実に抑制できる。さらに、単相負荷である負荷機器6b〜6dが個別に負荷変動を起こしても、各負荷機器6b〜6dへの入力電圧はほぼ一定にでき、接続された三相の負荷機器6aにも電圧変動が抑制された良好な三相交流電圧が入力される。
また、制御ケーブルでの電圧降下をもたらすインピーダンスは芯線数に反比例し、芯線数が多くなるほどインピーダンス、特に抵抗成分は減少する。この実施の形態では、第1の制御ケーブル5aでの電圧降下を許容して第1の制御ケーブル5aの芯線数を低減し、直列補償回路7が出力する補償電圧を送電線18の相電圧に重畳することで負荷電圧を目標値に復帰させる。このため、負荷機器6への入力電圧の電圧変動を抑制できると共に、第1の制御ケーブル5aの芯線数を低減できる。
ビルの高層化でエレベータの昇降行程が大きくなると第1の制御ケーブル5aが長くなるが、芯線数が低減できるため第1の制御ケーブル5aの重量増大を抑制できる。なお、第2の制御ケーブル5bが送電する電力は第1の制御ケーブル5aと比して格段と小さいため、送電制御ケーブル5全体の芯線数も低減でき重量増大を抑制できる。このため、エレベータ装置の小型・軽量化および低コスト化につながる。
また、直列補償回路7を有する送電補償部10がエレベータのかご3に設けられているため、かご3に搭載される負荷機器6へ送電する第1の制御ケーブル5aによる電圧降下をかご3の位置で補償することになり確実に補償できる。また、エレベータ機械室で予め送電電圧を昇圧し制御ケーブルに流れる電流を抑制する必要が無く、第1の制御ケーブル5aに高耐圧のケーブルを使用する必要が無い。
さらに、直列補償回路7は、第1の制御ケーブル5aによる電圧降下を補償するためのの電力のみを扱うため、直列補償回路7内の単相インバータ14は容量の小さなものでよく、装置構成を小型で安価なものにできる。
さらにバイパススイッチ20を設けることにより、直列補償回路7の異常時や起動停止時など必要な場合はバイパススイッチ20をオンして負荷機器6に交流電源1から電力を直送することが可能である。その場合、いずれかの負荷機器6のスイッチを切ってその負荷機器6を停止させることにより、第1の制御ケーブル5aの電圧降下を抑制し、他の負荷機器6への入力電圧を確保することができる。これにより重要度の高い負荷機器6に対し入力電圧を確保できる。
また、直列補償回路7が直列トランス16を備えて補償電圧を送電線18に接続しているため、直列補償回路7の入力側と出力側とで絶縁でき、所望の補償電圧を容易に送電線18に接続できる。
なお、上記実施の形態では、第2の制御ケーブル5bにより直列補償回路7に送電したが、第2の制御ケーブル5bがなく、第1の制御ケーブル5aから直列補償回路7に送電しても良い。この場合、交流電源1からかごに電力送電する送電制御ケーブル5を第1の制御ケーブル5aのみにできるので電力送電が簡素化され、全体の送電制御ケーブル5の芯線数がさらに低減できる。
また、直列補償回路7の入力端子である第2の入力端子11bを送電補償部10の出力端子21に接続して、送電補償部10の出力側から直列補償回路7へ電力供給して、第2の制御ケーブル5bを省略しても良い。
また、直列補償回路7内のコンバータには、ダイオード整流器12を用いたが、IGBT等の半導体スイッチング素子を用いた高力率コンバータを用いても良い。これにより、交流電源1の電圧が上昇した場合にも、直列補償回路7は電圧上昇を補償して送電補償部10は所望の負荷電圧を出力することができる。このとき、単相インバータ14が吸収した電力は高力率コンバータを介して交流電源1側に戻される。
また、交流電源1は、変圧器やパワーエレクトロニクス機器を用いて商用電源の電圧を昇圧もしくは降圧されたものでもよい。
さらにまた、上記実施の形態では、電力送電装置100は、送電制御ケーブル5を有して構成されるものとしたが、送電制御ケーブル5は上位のエレベータ用電力給電システムが有するものとしても良い。
実施の形態2.
図6は、この実施の形態2による制御装置8による直列補償回路7の制御ブロック図で、単相インバータ14の出力指令の生成について示すものである。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
上記実施の形態1と同様に、制御装置8は、フィードフォワード電圧制御部31aと、フィードバック電圧制御部32aと、電流波形制御部33aとを備える。そして、各制御部31a〜33aからの3つの電圧指令45a、46a、47aから単相インバータ14の出力電圧指令値48aを演算し、コンデンサ電圧40で出力電圧指令値48aを除算して単相インバータ14の出力指令41aを生成する。
フィードフォワード電圧制御部31aでは、電源側電圧34から、バンドパスフィルタやローパスフィルタを用いて基本波抽出61を行い、この基本波を負荷電圧目標値35から差し引いて電圧指令45aを生成する。
フィードバック電圧制御部32aでは、負荷電圧36から、バンドパスフィルタやローパスフィルタを用いて基本波抽出62を行い、この基本波を負荷電圧目標値35から差し引いた差電圧がゼロになるように、制御器37がPI制御などにより電圧指令46aを生成して出力する。
電流波形制御部33aでは、電流(負荷電流)38から、ハイパスフィルタやバンドストップフィルタを用いて高調波抽出63を行い、この高調波電流がゼロとなるように、制御器39がPI制御などにより電圧指令47aを生成して出力する。
この実施の形態では、フィードフォワード電圧制御部31a、フィードバック電圧制御部32aにおける基本波成分、および電流波形制御部33aにおける高調波成分の生成方法が上記実施の形態1と異なるが、上記実施の形態1と同様に、電圧制御と電流制御が互いに干渉することなく、負荷電圧を目標値に維持でき、負荷電流の高調波電流が抑制できて電源力率を向上できる。
実施の形態3.
この実施の形態では、上記実施の形態1における単相インバータ14の出力指令の生成において、電流波形の制御に、さらに特定次数の電流を抑制する制御を追加する。
図7は、この実施の形態3による制御装置8による直列補償回路7の制御ブロック図で、単相インバータ14の出力指令の生成について示すものである。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
図7に示すように、制御装置8は、フィードフォワード電圧制御部31と、フィードバック電圧制御部32と、電流波形制御部33bとを備える。フィードフォワード電圧制御部31およびフィードバック電圧制御部32は上記実施の形態1と同様であり、電流波形制御部33bは、上記実施の形態1と同様の電流波形制御部33に、さらに特定電流制御部70を備える。そして、各制御部31〜33、70からの4つの電圧指令45、46、47、47bから単相インバータ14の出力電圧指令値48bを演算し、コンデンサ電圧40で出力電圧指令値48bを除算して単相インバータ14の出力指令41bを生成する。
特定電流制御部70では、電流センサ26からの電流(負荷電流)38の特定次数の電流を抽出72し、この特定次数電流がゼロとなるように、制御器73がPI制御などにより電圧指令47bを生成して出力する。制御器73では、ゲイン調整により制御応答が自由に設定できる。
この電圧指令47bは、電流波形制御部33からの電圧指令47と同様に、極性反転されて電圧指令45、46に加算される。
この実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、負荷電圧を目標値に維持でき、負荷電流の高調波電流が抑制できて電源力率を向上でき、さらに特定次数の電流が抑制できる。この特定次数に関しては一種類でも複数種類でもよい。
なお、上記各実施の形態において、電流制御に用いる電流38は、電流センサ26で検出する負荷電流を用いたが、電流センサ25で検出する電源側の電流でも良い。いずれの電流も送電線18を流れる電流であり、第1の制御ケーブル5aを流れる電流となる。
また、上記各実施の形態において、電流制御と共に行う電圧制御は、フィードフォワード電圧制御部31、フィードバック電圧制御部32の双方を組み合わせたものであったが、フィードバック電圧制御部32のみとしても良い。その場合、負荷電圧が大きく変動した場合に目標値に戻るのが少し遅くなるが、負荷電圧の変動を高精度に補償できる。
また、電圧制御をフィードフォワード電圧制御部31のみで構成することもでき、負荷電圧を速やかに目標値にすることができる。
実施の形態4.
この実施の形態では、単相インバータ14の出力指令の生成において、電流制御のみを行う。
図8は、この実施の形態4による制御装置8による直列補償回路7の制御ブロック図で、単相インバータ14の出力指令の生成について示すものである。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
図8に示すように、制御装置8は、電流波形制御部33cを備える。電流波形制御部33cは、電流(負荷電流)38の実効値からピーク値を算出する。また電源側電圧34から位相検出74し、その位相の正弦波と算出されたピーク値との積を、電流38から差し引いた差電流がゼロになるように、制御器75がPI制御などにより出力電圧指令値48cを生成して出力する。なお、制御器75では、ゲイン調整により制御応答が自由に設定できる。
制御装置8は、直流電圧センサ22により検出されたコンデンサ13の電圧(コンデンサ電圧40)で出力電圧指令値48を除算して正規化することによって単相インバータ14の出力指令41cを生成する。
これにより、直列補償回路7が制御されて補償電圧を出力して、送電線18の相電圧に重畳することにより、負荷電流の高調波電流が抑制される。この場合、電圧制御との干渉を考慮する必要がないため、負荷電流の位相を制御して、負荷電流の高調波成分を抑制すると共に基本波成分の波形改善も行える。
この実施の形態では、第1の制御ケーブル5aによる電圧降下を、直列補償回路7の補償電圧で補償する必要のない場合に、負荷電流の波形を効果的に改善でき電源力率を向上できる。
実施の形態5.
上記実施の形態1では、直列補償回路7は直列トランス16を備えたが、この実施の形態5では、絶縁型DC/DCコンバータ17を備えた直列補償回路7aを用いる。
図9は、この発明の実施の形態5による電力送電装置100の構成を示す図である。
図9に示すように、送電補償部10aは、直列補償回路7aと、送電線18(18a〜18c)上で直列補償回路7aをバイパスするバイパススイッチ20(20a〜20c)と、直列補償回路7aを制御する制御装置8aとを備える。直列補償回路7aは、ダイオード整流器12とコンデンサ13との間に絶縁型DC/DCコンバータ17を備える。そして、各相の単相インバータ14(14a〜14c)の出力は、フィルタ回路15(15a〜15c)を介して送電線18の接続点19(19a〜19c)に接続される。
この実施の形態では、絶縁型DC/DCコンバータ17を用いて直列補償回路7aの入力側と出力側とを絶縁している。絶縁型DC/DCコンバータ17は、上記実施の形態1で用いた直列トランス16が扱う交流電源1の周波数より高周波で動作するもので、装置構成が小型化できる効果がある。
その他の装置構成は上記実施の形態1と同様であり、また、上記実施の形態1〜4で示した制御装置8による制御を同様に適用でき、同様の効果が得られる。
実施の形態6.
上記実施の形態1では、三相交流による送電について説明したが、単相による送電であってもよい。
図10は、この発明の実施の形態6による電力送電装置100Aの構成を示す図である。この場合、交流電源1は単相であり、交流電源1からかご3に設置された負荷機器6(単相負荷6b、6c)へ送電される。図に示すように、直列補償回路7bを備えて送電補償部10bが構成され、直列補償回路7b内の単相インバータ14、フィルタ回路15、直列トランス16およびバイパススイッチ20は各1台でよい。
この場合も、実施の形態1と同様に、制御装置8bは、負荷電圧が目標値となるようなフィードフォワード電圧制御、フィードバック電圧制御、さらに高調波電流を抑制する電流波形制御を行う。これにより、上記実施の形態1と同様に、負荷電圧を目標値に維持でき、また負荷電流の高調波電流が抑制できて電源力率を向上でき、交流電源1からの送電電力を低減できる。
なお、この場合、直列トランス16を用いたものを図示したが、上記実施の形態5と同様に、絶縁型DC/DCコンバータ17を用いても良い。
また、直列補償回路7b内のコンバータにはダイオード整流器12を用いたが、IGBT等の半導体スイッチング素子を用いた高力率コンバータを用いても良い。
なお、上記実施の形態1〜6は、交流電源1からエレベータのかご3内の負荷機器6への電力送電について示したが、複数の芯線を有し比較的長い制御ケーブルを用いて複数の負荷機器へ交流電源から電力送電する電力送電装置に適用でき、同様の効果が得られる。
また、この発明は、発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

Claims (14)

  1. 機器設置部に設けられた複数の負荷機器に交流電源から制御ケーブルを介して電力を送電する電力送電装置において、
    上記交流電源からの電力を受電して整流するコンバータ、該コンバータの出力に接続されたエネルギ蓄積要素、および該エネルギ蓄積要素の直流電力を交流電力に変換する単相インバータを有し、出力側が上記制御ケーブルに直列接続されて上記制御ケーブルの相電圧に重畳する電圧を出力する、上記機器設置部に設けられた直列補償回路と、
    上記直列補償回路を制御する制御装置とを備えて、
    上記制御装置は、上記制御ケーブルを流れる電流を検出し、該電流の高調波成分を抑制するように上記直列補償回路内の上記単相インバータを出力制御する電流波形制御部を備えた、
    電力送電装置。
  2. 上記制御装置は、上記直列補償回路が上記制御ケーブルに直列接続される接続点よりも上記負荷機器側の負荷電圧を検出し、該負荷電圧が設定された目標電圧となるように上記単相インバータを出力制御するフィードバック電圧制御部を備え、
    上記フィードバック電圧制御部は、基本波成分で構成される電圧指令を生成し、上記電流波形制御部は、高調波成分で構成される電圧指令を生成して、上記単相インバータを出力制御する、
    請求項1に記載の電力送電装置。
  3. 上記制御装置は、上記直列補償回路が上記制御ケーブルに直列接続される接続点より上記交流電源側の電圧を検出し、該検出電圧と、上記接続点よりも上記負荷機器側の負荷電圧に設定された目標電圧との差分を上記直列補償回路が出力するように、上記単相インバータを出力制御するフィードフォワード電圧制御部を備え、
    上記フィードフォワード電圧制御部は、基本波成分で構成される電圧指令を生成し、上記電流波形制御部は、高調波成分で構成される電圧指令を生成して、上記単相インバータを出力制御する、
    請求項1に記載の電力送電装置。
  4. 上記制御装置は、上記直列補償回路が上記制御ケーブルに直列接続される接続点より上記交流電源側の電圧を検出し、該検出電圧と、上記負荷電圧の目標電圧との差分を上記直列補償回路が出力するように、上記単相インバータを出力制御するフィードフォワード電圧制御部を備え、
    上記フィードフォワード電圧制御部は、基本波成分で構成される電圧指令を生成し、上記電流波形制御部は、高調波成分で構成される電圧指令を生成して、上記単相インバータを出力制御する、
    請求項2に記載の電力送電装置。
  5. 上記電流波形制御部は、上記制御ケーブルを流れる電流の高調波成分を抑制すると共に、該電流の位相を制御する電圧指令を生成して、上記単相インバータを出力制御する、
    請求項1に記載の電力送電装置。
  6. 上記直列補償回路内の上記コンバータは、第2の制御ケーブルを介して上記交流電源からの電力を受電する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  7. 上記制御ケーブルに直列接続された上記直列補償回路をバイパスするバイパススイッチを備えた、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  8. 上記電流波形制御部は、上記制御ケーブルを流れる電流の特定次数の高調波成分をさらに検出し、該特定次数の高調波成分をキャンセルする制御を併せて行う、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  9. 検出される上記制御ケーブルを流れる電流は、上記直列補償回路が直列接続される接続点よりも上記負荷機器側で検出される負荷電流である、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  10. 上記直列補償回路は、一次側が上記単相インバータの交流側に接続され、二次側が上記制御ケーブルに直列接続された直列トランスを備えて、該直列トランスの二次側に電圧を出力する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  11. 上記直列補償回路は、上記コンバータと上記エネルギ蓄積要素との間に絶縁型DC/DCコンバータを備えた、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  12. 上記制御装置は、上記直列補償回路内の異常を検出すると、上記バイパススイッチにより上記直列補償回路をバイパスすると共に、上記複数の負荷機器の内のいずれかを停止させる、
    請求項7に記載の電力送電装置。
  13. 上記交流電源は三相交流電源であり、上記制御ケーブルおよび上記単相インバータを各相毎に備え、上記直列補償回路の各相出力が上記各相の制御ケーブルに直列接続される、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
  14. 上記機器設置部はエレベータのかごであり、エレベータ機械室内の上記交流電源から上記かごに設けられた上記複数の負荷機器に送電する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力送電装置。
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