JPWO2014010310A1 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

半導体素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014010310A1
JPWO2014010310A1 JP2014524682A JP2014524682A JPWO2014010310A1 JP WO2014010310 A1 JPWO2014010310 A1 JP WO2014010310A1 JP 2014524682 A JP2014524682 A JP 2014524682A JP 2014524682 A JP2014524682 A JP 2014524682A JP WO2014010310 A1 JPWO2014010310 A1 JP WO2014010310A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent conductive
gas
photoelectric conversion
plasma treatment
conductive film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014524682A
Other languages
English (en)
Inventor
真也 本多
真也 本多
善之 奈須野
善之 奈須野
和仁 西村
和仁 西村
敦志 東名
敦志 東名
山田 隆
隆 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Publication of JPWO2014010310A1 publication Critical patent/JPWO2014010310A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L31/00Semiconductor devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L31/18Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment of these devices or of parts thereof
    • H01L31/1884Manufacture of transparent electrodes, e.g. TCO, ITO
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L31/00Semiconductor devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L31/02Details
    • H01L31/0224Electrodes
    • H01L31/022466Electrodes made of transparent conductive layers, e.g. TCO, ITO layers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L31/00Semiconductor devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L31/18Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment of these devices or of parts thereof
    • H01L31/186Particular post-treatment for the devices, e.g. annealing, impurity gettering, short-circuit elimination, recrystallisation
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

透光性基板(11)上に透明導電膜(12)を形成した透明導電性基板(1)を洗浄を行わずにプラズマ装置の反応室内に搬入し(工程(a))、CH4ガスおよびH2ガスを用いたプラズマによって透明導電膜(12)を処理する(工程(b))。工程(b)の後、半導体素子を透明導電膜(12)上に順次積層し(工程(c),(d))、半導体素子(10)を製造する(工程(e))。

Description

この発明は、半導体素子の製造方法に関するものである。
薄膜トランジスタや薄膜太陽電池は、ガラス基板上に形成された透明導電膜上に作成される。通常、ガラス基板上の透明導電膜に上記のような半導体素子を形成する場合には、半導体素子特性への影響を避けるために、透明導電膜上の汚染を除去するための純水洗浄などによる洗浄工程が行われる。
従来、透明導電性基板メーカーから、半導体素子工場へ基板が搬送される場合、複数の透明導電性基板は、積層した状態で取り扱われ、表面に傷等の不具合を避けるために従来のガラス板梱包と同様のガラス用合紙が使用されている。半導体素子の高品質化に伴い、透明導電性基板の品質に対する要求が厳しくなり、使用される合紙の品質に対する要求も厳しくなっている。この際に使用される合紙には、樹脂分が含まれており、合紙と接するガラス面及び透明導電膜表面は、有機物などの付着により容易に汚染されてしまう。その為に、透明導電膜上に半導体素子を作成する前には、基板表面は、洗浄工程によって清浄化される。
しかし、近年、光電変換装置に代表される半導体素子では、基板の大型化による洗浄装置及び乾燥装置の大型化も求められ、洗浄工程のランニングコスト及び洗浄乾燥工程の時間の増大が半導体素子の製造コストの上昇に繋がる。透明導電膜の表面に十分な洗浄がなされないと、有機物が付着した透明導電膜の表面に半導体素子が形成され、密着性の低下に繋がり、光電変換層の堆積後に膜剥がれが起き易くなるという問題になる。また、清浄度が高くない環境下での製造ラインに関して、洗浄工程により清浄化された透明導電性基板が半導体素子の製造装置に搬入される搬送中または搬入待機中に大気成分によって再汚染されるという問題があり、透明導電性基板の再汚染を考慮すると、透明導電性基板を清浄化する工程は、半導体素子を堆積する工程の直前に行われることが望ましい。
特許第2521815号公報 特許第2674031号公報 特開2009−231246号公報 特開2009−211888号公報 特開2010−3872号公報 特開平7-101483公報 J.H Thomas III, Appl. Phys. Lett 42, 1983, p794.
透明導電性基板の表面を清浄化するたに実施されるスパッタリングによる物理エッチングは、製造装置内の汚染の問題があること、及びスパッタリングによる透明導電膜の損傷を引き起こす可能性があるために半導体素子工程においては望ましくない。光電変換層用の透明導電膜として用いられている酸化錫または酸化インジウム錫は、光電変換層の堆積時の水素ラジカルによって容易に還元されることが知られており、酸化錫または酸化インジウム錫に対して水素プラズマ処理による清浄化はなされていない(非特許文献1)。炭化水素を用いた反応性ドライエッチングによって酸化錫または酸化インジウム錫のパターニングを目的としてエッチングすることが知られている(特許文献1)。
しかし、特許文献1においては、透明導電膜のパターニングを目的としたエッチング技術に関して記載されているのみであり、エッチングされた透明導電膜の特性及び透明導電膜を含む半導体素子の特性、および信頼性の向上に関しては開示されていない。
本発明は、透明導電膜の表面を安価な方法によって洗浄することによって製造コストの上昇を防ぎ、その上に形成される半導体素子の特性および信頼性を向上させることが可能な半導体素子の製造方法を提供する。
この発明の実施の形態によれば、光電変換装置の製造方法は、酸化錫または酸化インジウムを主成分とする透明導電膜が透光性基板上に形成された透明導電性基板において、透明導電膜の表面をCHガスとHガスとを用いてプラズマ処理する第1の工程と、第1の工程の後、透明導電膜上に半導体素子を作製する第2の工程とを備える。
この発明の実施の形態によれば、透明導電性基板の透明導電膜の表面がCHガスとHガスとを用いてプラズマ処理によって処理され、還元とエッチングを同時に行うことにより透明導電膜としての透過率を維持し、かつ、カーボン膜が堆積せずに、透明導電膜の表面の不純物を透明導電膜と一緒にエッチングすることによって取り除き、半導体素子の形成直前に透明導電膜の表面を清浄化することが可能となり、その結果、透明導電膜と半導体素子との界面が良好に形成され、半導体素子の特性および信頼性を向上できる。
この発明の実施の形態における光電変換装置の構成を示す概略図である。 図1に示す光電変換装置を製造するプラズマ装置の概略図である。 規格化透過率とプラズマ処理温度との関係を示す図である。 透明導電膜性基板にプラズマ未処理、水素プラズマ処理、およびメタンプラズマ処理を行ったときの透明導電膜の表面SEM画像を示す図である。 プラズマ処理無し、メタンプラズマ処理および水素プラズマ処理を190℃の温度で行ったときのSn3d 5/2のピーク波形を示す図である。 規格化透過率とメタンプラズマ処理時のCHガス流量比率との関係を示す図である。 図1に示す光電変換装置の製造方法を示す工程図である。 図7に示す工程(c)の詳細な工程を示す工程図である。 図7に示す工程(d)の詳細な工程を示す工程図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。また、透明導電性基板上に作成された半導体素子を、この明細書中の実施の形態においては光電変換装置とし、その光電変換装置の特性及び信頼性を評価する事で、透明導電性基板へのメタンプラズマ処理の効果を評価した。透明導電膜上に作成される光電変換装置の特性は、透明導電膜の透過率によって大きな影響を受けることが知られており、プラズマ処理による透明導電膜の特性の変化は、光電変換装置の特性に反映される。また、光電変換層と透明導電膜との界面特性は、光電変換装置の信頼性に大きく影響することが容易に考えられ、メタンプラズマ処理による基板洗浄効果を光電変換装置の特性と信頼性の2点から評価を行った。ここでいう半導体素子は、光電変換装置に限定されるわけではなく、透明導電性基板上に形成される半導体素子であればよい。
この明細書において、「非晶質相」とは、シリコン(Si)原子等がランダムに配列された状態を言う。また、「微結晶相」とは、Si原子等のランダムなネットワークの中に粒径が10〜100nm程度であるSiの結晶粒が存在する状態を言う。更に、アモルファスシリコンを「a−Si」と表記するが、この表記は、実際には、水素(H)原子が含まれていることを意味する。アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)、アモルファスシリコンオキサイド(a−SiO)、アモルファスシリコンナイトライド(a−SiN)、アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe)、アモルファスゲルマニウム(a−Ge)、微結晶シリコンカーバイド(μc−SiC)、微結晶シリコンオキサイド(μc−SiO)、微結晶シリコンナイトライド(μc−SiN)、微結晶シリコン(μc−Si)、微結晶シリコンゲルマニウム(μc−SiGe)、および微結晶ゲルマニウム(μc−Ge)についても、同様に、水素(H)原子が含まれていることを意味する。
図1は、この発明の実施の形態における光電変換装置の構成を示す概略図である。この発明の実施の形態における光電変換装置10は、図1に示すような、透明導電性基板1上に、光電変換層2,3を積層し、裏面電極4を備えた多接合光電変換装置でもよいし、図示しないが、光電変換層を1つ備える単接合光電変換装置でもよい。
図1に示す光電変換装置10の光電変換層用の材料としては、光電変換性を有していれば、特に限定されることはない。例えば、シリコン系の半導体では、Si,SiGe,SiC等が用いられることが好ましく、非晶質pin構造積層体としては、水素化非晶質シリコン系半導体(a−Si:H)のp−i−n型構造の積層体が特に好ましく、微結晶pin構造積層体としては、水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)のp−i−n型構造の積層体が特に好ましい。また、光電変換層は、シリコン系半導体材料に限定されることは無く、透明導電膜としての酸化錫(SnO)または酸化インジウム(In)、酸化インジウム錫(ITO)上に形成されるCdTe,CIGSからなる化合物半導体層により構成されていてもよい。
光電変換層2は、透明導電性基板1上に配置され、光電変換層3は、光電変換層2上に配置され、裏面電極4は、光電変換層3上に配置される。
透明導電性基板1は、透光性基板11と、透明導電膜12とを含む。透光性基板11は、例えば、ガラス、またはポリイミド等の透明樹脂からなる。透明導電膜12は、酸化錫(SnO)、酸化インジウム錫(ITO)もしくは酸化インジウム(In)が主成分である。そして、透明導電膜12は、透光性基板11上に配置される。
光電変換層2は、p型半導体層21と、i型半導体層22と、n型半導体層23とを含む。p型半導体層21は、透明導電膜12に接して配置される。i型半導体層22は、p型半導体層21に接して配置される。n型半導体層23は、i型半導体層22に接して配置される。
p型半導体層21は、非晶質相からなり、例えば、p型アモルファスシリコンカーバイド(p型a−SiC)からなる。p型半導体層21の膜厚は、3〜60nmであり、より好ましくは、10〜30nmである。
i型半導体層22は、非晶質相からなり、例えば、i型アモルファスシリコン(i型a−Si)からなる。i型半導体層22の膜厚は、100〜500nmであり、より好ましくは、200〜400nmである。
n型半導体層23は、非晶質相からなり、例えば、n型アモルファスシリコン(n型a−Si)からなる。n型半導体層23の膜厚は、3〜60nmであり、より好ましくは、10〜30nmである。
光電変換層3は、p型半導体層31と、i型半導体層32と、n型半導体層33とを含む。p型半導体層31は、光電変換層2のn型半導体層23に接して配置される。i型半導体層32は、p型半導体層31に接して配置される。n型半導体層33は、i型半導体層32に接して配置される。
p型半導体層31は、微結晶相からなり、例えば、p型微結晶シリコン(p型μc−Si)からなる。p型半導体層31の膜厚は、3〜60nmであり、より好ましくは、10〜30nmである。
i型半導体層32は、微結晶相からなり、例えば、i型微結晶シリコン(i型μc−Si)からなる。i型半導体層32の膜厚は、1000〜5000nmであり、より好ましくは、2000〜4000nmである。
n型半導体層33は、微結晶相からなり、例えば、n型微結晶シリコン(n型μc−Si)からなる。n型半導体層33の膜厚は、3〜300nmであり、より好ましくは、10〜30nmである。
裏面電極4は、光電変換層3のn型半導体層33に接して配置され、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、銀(Ag)からなる。
図2は、図1に示す光電変換装置10を製造するプラズマ装置の概略図である。図2を参照して、プラズマ装置100は、反応室101と、支持台102と、電極103と、ヒーター104と、排気装置105と、高周波電源106と、整合器107と、ガス供給装置108とを備える。
反応室101は、電気的に接地電位GNDに接続される。支持台102は、反応室101の底面101Aに固定される。これによって、支持台102は、電気的に接地電位GNDに接続される。
電極103は、支持台102と平行になるように反応室101内に配置される。ヒーター104は、支持台102の内部に配置される。
排気装置105は、排気口101Bを介して反応室101に連結される。高周波電源106および整合器107は、電極103と接地電位GNDとの間に直列に接続される。ガス供給装置108は、ガス供給口101Cを介して反応室101に連結される。
支持台102は、透明導電性基板1を支持する。ヒーター104は、透明導電性基板1を所望の温度に昇温する。
排気装置105は、例えば、ゲートバルブ、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプからなる。ゲートバルブは、最も反応室101側に配置され、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプは、ターボ分子ポンプがゲートバルブ側に配置され、ロータリーポンプが最も下流側に配置されるように直列に連結される。
そして、排気装置105は、排気口101Bを介して反応室101内のガスを排気して反応室101内を真空引きするとともに、ゲートバルブによって反応室101内の圧力を所望の圧力に設定する。
高周波電源106は、8〜100MHzの高周波電力を発生し、その発生した高周波電力を整合器107へ供給する。
整合器107は、高周波電源106から受けた高周波電力を反射波を抑制して電極103へ供給する。
ガス供給装置108は、メタン(CH)ガス、水素(H)ガス、シラン(SiH)ガス、ジボラン(B)ガスおよびフォスフィン(PH)ガスをガス供給口101Cを介して反応室101内に供給する。
透明導電性基板1が支持台102上にセットされると、排気装置105は、排気口101Bを介して反応室101内のガスを排気して反応室101を真空引きする。また、ヒーター104は、透明導電性基板1を所望の温度に昇温する。
そして、反応室101内の圧力が到達圧力(例えば、1×10−5Pa以下)に達すると、ガス供給装置108は、CHガスおよびHガスを反応室101内に供給する。また、排気装置105は、ゲートバルブによって反応室101内の圧力を所望の圧力に設定する。
そうすると、高周波電源106は、所望の高周波電力を整合器107を介して電極103に供給する。その結果、支持台102と電極103との間でプラズマが発生し、透明導電性基板1は、CHガスおよびHガスを用いたプラズマによって処理される。
一方、ガス供給装置108がSiHガスおよびHガスを反応室101内に供給すると、i型a−Siまたはi型μc−Siが透明導電性基板1上に堆積され、ガス供給装置108がSiHガス、HガスおよびBガスを反応室101内に供給すると、p型a−Siまたはp型μc−Siが透明導電性基板1上に堆積され、ガス供給装置108がSiHガス、HガスおよびPHガスを反応室101内に供給すると、n型a−Siまたはn型μc−Siが透明導電性基板1上に堆積される。
このように、プラズマ装置100は、透明導電性基板1をプラズマ処理するとともにプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法によってa−Si膜等を透明導電性基板1上に堆積する。
[メタンプラズマ処理の効果]
CHガスを用いたプラズマによる透明導電膜12の処理の有効性を確かめるために、CHガスを用いたプラズマと、Hガスを用いたプラズマとによって透明導電性基板1を処理した。
この場合、CHガスを用いたプラズマ処理時の条件は、CHガスの流量が2.25slmであり、Hガスの流量が10slmであり、CHガスの流量とHガスの流量とのガス流量比率(=CH/(CH+H))が0.18である。また、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度は、130℃〜220℃である。
この明細書において、「メタンプラズマ処理」と表現される処理工程は、CHガスのみ、またはCHガスとHガスを用いてプラズマ処理を行う工程を意味する。
一方、Hガスのみを用いたプラズマ処理時の条件は、Hガスの流量が10slmであり、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度は、130℃〜220℃である。なお、透明導電膜12は、SnOからなる。
SnOは、水素ラジカルによって容易に還元されることが知られており、プラズマ処理により光学特性が大きく変化する。
図3は、規格化透過率とプラズマ処理温度との関係を示す図である。ここで、縦軸は、プラズマ処理を行ったSnOの400nmの波長における透過率をプラズマ処理していないSnOの400nmの波長における透過率で規格化した規格化透過率を表し、横軸は、プラズマ処理温度を表す。また、菱形のプロットは、メタンプラズマ処理を行ったSnOの規格化透過率とプラズマ処理温度との関係を示し、正方形のプロットは、水素プラズマ処理を行ったSnOの規格化透過率とプラズマ処理温度との関係を示す。
図3より、メタンプラズマ処理を行ったSnOの規格化透過率は、プラズマ処理温度が200℃までは、ほぼ“1”であり、プラズマ処理温度が210℃以上になると、低下する。
一方、水素プラズマ処理を行ったSnOの規格化透過率は、プラズマ処理温度の上昇に伴って低下し、170℃以上のプラズマ処理温度においては、大きく低下する。
このように、メタンプラズマ処理を行った場合、SnOの透過率は、200℃のプラズマ処理温度まで低下しない。
CHガスを含むプロセスガスでSnOの表面をプラズマ処理すると、SnO中のSn原子が気相中のラジカルと結合してガス化することによってSnOがエッチングされる。
メタンプラズマによってSnOがエッチングされていることを確認するために、メタンプラズマ処理、および水素プラズマ処理中の発光スペクトルをOES(Optical Emission Spectroscopy)によって解析した。メタンプラズマ処理中において、Snが気相中に存在することを示す発光が観測され、メタンプラズマ処理により透明導電膜がエッチングされていることが確認された。また、このSnの発光スペクトルのプラズマ処理時間依存性から、SnOのエッチングが連続的に行われていることも確認された。一方、水素プラズマ処理中には、Snの発光が観測されていないので、水素プラズマ処理ではSnが気化しないことが判明した。
次に、プラズマ処理による表面形状の変化を確認するために透明導電膜性基板にプラズマ未処理、水素プラズマ処理、およびメタンプラズマ処理を行ったときの表面SEM画像を図4に示す。
この表面SEM画像は、プラズマ未処理、図3にて実施した同じプラズマ処理条件にてプラズマ処理温度190℃での水素プラズマ処理、およびメタンプラズマ処理が行われた場合のSEM画像である。図4(a)は、プラズマ未処理、図4(b)は、水素プラズマ処理、図4(c)は、メタンプラズマ処理を行った時の表面SEM画像を示す。
水素プラズマ処理(図4(b))を行った透明導電膜の表面は、プラズマ未処理(図4(a))の結晶表面と比較して、結晶粒径が約0.250μm〜0.600μmのSnO結晶表面に白い粒状のものが多数見られる。これは、水素プラズマ処理によりSnOの結晶表面形状が変化している事を示している。一方、メタンプラズマ処理(図4(c))を行っても、水素プラズマ処理時に結晶表面に観測された白い粒状のものは確認されず、表面形状は、プラズマ未処理とほぼ同じ表面形状を維持している。
次に、図4に示されたプラズマ未処理、水素プラズマ処理、およびメタンプラズマ処理を行ったときのSnO結晶表面をX線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)にて分析を行い、結果を図5に示す。
図5は、プラズマ処理無し、メタンプラズマ処理および水素プラズマ処理を190℃の温度で行ったときのSn3d 5/2のピーク波形を示す図である。
図5において、縦軸は、X線光電子分光の強度を表し、横軸は、結合エネルギーを表す。また、曲線k1、曲線k2および曲線k3は、それぞれ、プラズマ処理無し、メタンプラズマ処理、および水素プラズマ処理を行ったときのSn3d 5/2のピーク波形を示す。XPSスペクトルからSnOの主成分であるSn−O結合に起因するピークが486.7eVに見られ、Sn−Sn結合に起因するピークが484.9eVに見られる。水素プラズマ処理を行った時のスペクトルは、Sn−Sn結合ピークが、プラズマ未処理およびメタンプラズマ処理後と比較して増加していることから、図4(b)でSnOの結晶面上に見られる白い微小粒は、水素プラズマの還元作用によって析出したSnであることが明らかになった。
次に、メタンプラズマ処理による透明導電膜の還元性、カーボン膜堆積、およびカーボン膜のSnO上への堆積によるエッチング停止の可能性を検証するために、メタンプラズマ処理によるカーボン膜のSnOの表面への堆積の有無をX線光電子分光によって分析した。X線光電子分光では、基板表面処理無し、メタンプラズマ処理、および水素プラズマ処理の炭素、酸素および錫に関するピークの評価を行った。メタンプラズマ処理条件は、CHガスの流量が2.25slmであり、Hガスの流量が10slmであり、CHガスの流量とHガスの流量とのガス流量比率(=CH/(CH+H))が0.18である。また、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度が190℃である。Hガスを用いたプラズマ処理時の条件は、Hガスの流量が10slmであり、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度が190℃である。
メタンプラズマ処理を行ったSnOの最表面における炭素に関するピークは、プラズマ処理を行わなかったSnOの最表面における炭素に関するピークと同じスペクトルを示しており、SnOではない基板の最表面における炭素に関するピークとも同じスペクトルを示した。
この炭素ピークは、SnOの最表面をスパッタリングすると消えることから、表面汚染によるピークのみが検出され、かつ、最表面の光電子分光でSn−O結合のピークが観測されていることから、カーボン膜のSnO表面への堆積がなされていないことが解った。
図示していないが、メタンプラズマ処理を行ったSnOの最表面における炭素に関するピーク(C−C結合、C−H結合)は、プラズマ処理を行わなかったSnOの最表面における炭素に関するピークと同じスペクトルを示していた。また、最表面のX線光電子分光の測定において、上記炭素に関するピーク以外では、Sn−O結合のピークのみが観測されており、Sn−C結合のピークは見られていないので、基板表面と化学結合した炭素は、存在しておらず、付着または吸着した有機成分が検出されただけである可能性が高い。従って、メタンプラズマ処理を行った結果として炭素膜が堆積しているわけではないと考えられる。
図5を更に詳しく考察する。Sn3d 5/2のピークに関しては、上記のようにSnOの主成分であるSn−O結合に起因するピークが486.7eVに観測され、還元によって析出したSn−Sn結合に起因するピークが484.9eVに観測された。そして、この2つのピーク比から還元割合を求めることができる。
上記に記載したように、水素プラズマ処理を行った場合において、Sn−Sn結合に起因するピークの増加が観測された(曲線k3参照)。従って、水素プラズマ処理を行うことによってSnOが還元されて、図4(b)に示すようにSnが析出しており、この水素プラズマ処理によるSn析出が、図3において、水素プラズマ処理時の透過率の低下が大きいことの原因であると考えられる。
一方、メタンプラズマ処理を行った場合、およびプラズマ処理を行わなかった場合には、Sn−Sn結合のピークが観測されず、Sn−O結合のピークのみが観測された(曲線k1,k2参照)。従って、メタンプラズマ処理を行った場合には、SnOが還元されないか、またはSnの析出物が表面に残留しないことがわかる。このことは、図3に示すようにメタンプラズマ処理によって透過率が低下していないこととも一致する。
上記の結論として、図3について総括すると、水素プラズマ処理では、SnOの還元による基板表面へのSnの析出が、低い透過率の原因となっており、それに対して、メタンプラズマ処理では、SnOが還元されず、Snの析出物が表面に残留しないことが、200℃以下の処理温度において透過率が低下しない原因であるといえる。
次に、メタンプラズマ処理におけるHガスの影響について考察する。
上述したメタンプラズマ処理の条件では、CHガスの流量とHガスの流量とのガス流量比率(=CH/(CH+H))は、0.18である。このように、CHガスとHガスとのガス流量比率においてHガス比率が高いにも拘わらず、水素ラジカルによる還元に伴うSnOの透過率低下が見られない。また、X線光電子分光からも、Sn−Sn結合に起因するピークは、観測されていない。この要因を検証するために、OESスペクトルから水素のみによる水素プラズマ処理時の水素ラジカル量と、メタンプラズマ処理時の水素ラジカル量とを比較した。その結果、水素とメタンとを混合したプラズマ処理時の水素ラジカル量は、水素プラズマ処理時の水素ラジカル量の1/4程度まで減少することが解った(図示せず)。
即ち、メタンを混合することで水素ラジカルの発生が抑制されるため、水素ラジカルによるSnOの還元が抑制されていることが、透過率低下が抑制される一因になっていることが明らかになった。また、上記のようにCHガス流量比率が低いメタンプラズマ処理条件では、カーボン膜の堆積は見られないことが確認された。
CHガス流量比率を変化させてメタンプラズマ処理を実施した時のCHガス流量比率(=CH/(CH+H))と規格化透過率との関係を図6に示す。ここで、規格化透過率とは、プラズマ処理を実施していない透明導電膜の400nmの波長における透過率で、メタンプラズマ処理または水素プラズマ処理を行った透明導電膜の400nmの波長における透過率を規格化したものを言う。
CHガス流量比がCH/(CH+H)<0.1の範囲では、メタンによる水素ラジカル抑制効果が十分でなく、SnOの還元によって析出したSnの吸収で透過率の低下が起こっていると考えられる。CH/(CH+H)≧0.1の範囲では、透過率の顕著な低下は見られないので、十分な水素ラジカル抑制効果が得られていると考えられる。
次に、メタンプラズマ処理において、CHガスの流量比率が大きい場合の影響について考察する。CHガス流量比率が大きなメタンプラズマ処理条件になると、同時に、SnOの表面にカーボン膜が堆積する可能性も否定できなくなってくる。カーボン膜が水素プラズマ処理に対する保護膜として機能した場合、SnOの還元が停止し、SnOの透過率低下が抑制されることが予想されるため、図6の結果と矛盾しないが、透明導電膜と光電変換層との間に炭素膜が形成されてしまうことそれ自体の光電変換効率への悪影響が発生する懸念が生じる。
透明導電膜上へのカーボン膜の堆積に関しては、酸化亜鉛からなる透明導電膜上にカーボン膜を積極的に堆積させると、光電変換効率が向上する旨の報告がなされている(特許文献3,4,5)が、SnO上では、同様の効果は確認されていない。
そこで、メタンプラズマによって生成されたカーボン膜堆積の影響を評価するために、予め、水素プラズマ処理により意図的に析出させたSnに対してメタンプラズマ処理をCHガス流量比率を変化させて行い、プラズマ処理後の表面をSEMにより観察した。析出しているSnに対するエッチングが優勢なメタンプラズマ条件の場合は、Snが除去され、滑らかなSnO表面になるはずであるが、カーボン膜堆積が支配的なメタンプラズマ条件の場合は、カーボン膜がエッチングに対する保護膜の役割を果たすため、析出しているSnの粒数の減少が停止し、Sn粒の微小な凹凸が残った表面になると考えられる。
上記評価の結果、CHガス流量比率が0.7よりも大きいメタンプラズマ条件においては、メタンプラズマ処理開始直後においてSnの粒数が減少するものの、次第に粒数の減少が停止し、表面にSnが残留することが表面SEM観察によって確認された。具体的には、CHガス流量比率が0.8,0.9,1.0のとき、基板表面へのSn析出が確認された。
これは、析出Snのエッチングがカーボン膜の堆積により停止したためと考えられ、メタンプラズマ処理時間を延ばしても、析出Snを完全に除去することは出来ない。析出Snが残ることにより、透過率は、CHガス流量比率が0.1〜0.7の値と比較して低い値を示した。以上より、CHガス流量比率が0.7よりも高い条件でメタンプラズマ処理を行うと、カーボン膜の堆積がエッチングよりも支配的になることが明らかになった。一方、CH/(CH+H)≦0.7の領域でメタンプラズマ処理を行った場合には、析出したSnは、メタンプラズマ処理により完全に除去された滑らかな表面形状を示し、透過率もプラズマ未処理と同程度となる事が確認された。
以上のことから、水素による還元作用が小さくなる温度領域と、CHラジカルによるSnのエッチング効果と、上記のCHガスの導入による水素ラジカルの発生抑制効果とに基づいて、水素による還元速度とCHラジカルによるエッチング速度とがほぼ等しくなる範囲で、SnOの透過率を低下させることなく、より効果的にSnOをエッチングできる領域があることを見出した。この還元とエッチングの速度とがほぼ等しくなる領域では、Snの析出が透明導電膜の表面(図4(c))で観測されておらず、透過率の低下もない。これは、還元とエッチングの速度とが等しくなっていることを示している。これらの結果からメタンプラズマ処理により、表面形状を変化させることなく、透過率を維持しながら、透明導電膜の表面をエッチングできることが確認された。
従って、カーボン膜が堆積せずに還元とエッチング速度とがほぼ等しくなるのは、ガス流量比率(=CH/(CH+H))が0.1≦CH/(CH+H)≦0.7の範囲であり、かつ、プラズマ処理温度(=透明導電性基板1の温度)が200℃以下の範囲で透明導電膜12をメタンプラズマ処理することが有効であり、汚染物質が付着している最表面汚染層を透明導電膜の透過率特性を低下させることなく、及びカーボン膜が堆積することなく、簡易に取り除くことが上記条件でのメタンプラズマ処理により可能であることが解った。
[光電変換装置の作製]
メタンプラズマ処理により透明導電膜の表面を清浄化する技術を光電変換装置の作製に適用し、メタンプラズマ処理による光電変換特性の評価および信頼性の評価を実施した。実施例では、以下に示す方法に従って、集積構造を有する光電変換装置を製造した。本実施例では、1000mm×1400mmの透明導電性基板を準備した。基板の表面には、SnOからなる透明導電膜が形成されたものであり、通常、ガラスメーカーから光電変換装置の製造工場に搬入された透明導電性基板は、積層された状態にて搬入され、基板と基板の間に合紙を挟み、基板と透明導電膜の傷を防いでいる。透明導電性基板は、工場に搬入されてから洗浄を行っていない状態である。
図7は、図1に示す光電変換装置10の製造方法を示す工程図である。本実施例では、基板側から順に、p層、i層、およびn層からなるpin構造の光電変換層を2つ堆積してタンデム型光電変換装置を作製した。ここで、光入射側に位置するpin構造の光電変換層2をトップ層と定義し、裏面電極4側に位置するpin構造の光電変換層3をボトム層と定義する。
光電変換装置10の製造が開始されると、透明導電性基板1を洗浄せずに、ISO14644−1のクラス4よりも清浄度が低い雰囲気中を通過して、レーザースクライブ法により所定間隔で第1分離溝を形成した後に、プラズマ装置100の反応室101内に搬入し、透明導電性基板1を支持台102上にセットする(図7の工程(a)参照)。ここで言う基板洗浄とは、例えば、純水を用いた純水洗浄、化学洗浄、および超音波洗浄などによって透明導電膜の表面の不純物を取り除き、透明導電膜の表面を清浄化し、乾燥させる工程を意味する。
工程(a)の後、メタンプラズマによって透明導電性基板1の透明導電膜12を処理する(図7の工程(b)参照)。
メタンプラズマ処理後の反応室内には、CHによってエッチングされたSnを含むラジカル等が残留している可能性があるので、排気時間を十分に長く取る必要がある。適切な排気時間は、60秒〜600秒程度である。後述する実施例2では、300秒の排気を行った。また、単純な排気工程に代えて置換排気工程を設けてもよい。置換排気工程は、置換ガスを反応室に導入した後、排気する工程であり、置換ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスのような不活性ガスを用いることができるが、次の工程で使用するガス種を用いると、置換ガスの残留による不純物含有の影響がないため、望ましい。特に、メタンプラズマ処理の直後に同一反応室内において光電変換層を成膜する場合は、上記の残留物が光電変換層に取り込まれ、特性低下を引き起こす可能性があるため、置換排気工程を設けることが望ましい。そこで、後述する実施例1では、メタンプラズマ処理後に以下のような置換排気工程を追加した。実施例1の置換排気工程は、水素ガスを反応室に導入し、その後の反応室の圧力が予め設定した圧力以上となったときに、水素ガスの導入を停止し、置換ガス(=水素ガス)を排気する工程とし、この置換排気工程をメタンプラズマ処理と光電変換層の成膜との間で3回繰り返すものである。
そして、プラズマCVD法によってpin構造からなる光電変換層2,3を透明導電性基板1の透明導電膜12上に順次堆積する(図7の工程(c),(d)参照)。その後、試料をプラズマ装置100から取り出し、レーザースクライブ法により、所定間隔でシリコン系半導体層(光電変換層2,3)に第2分離溝を形成した。これにより、第2分離溝は、隣り合うシリコン系半導体層同士を電気的に直列に接続するためのコンタクトラインとなる。
第2分離溝を形成した後、シリコン系半導体層を覆うように蒸着法、スパッタリング法および印刷法等によって裏面電極4を光電変換層3上に形成する。そして、レーザースクライブ法により、所定間隔で、シリコン系半導体層(光電変換層2,3)および裏面電極4を連通する第3分離溝を形成する。これにより、第3分離溝のピッチで分離された光電変換層2,3が直列に接続されたストリングが形成された。その後、レーザースクライブ法およびサンドブラスト法などにより、基板の周縁部において、透明導電膜12、シリコン系半導体層(光電変換層2,3)および裏面電極4を取り除いた。これによって、光電変換装置10が完成する(図7の工程(e)参照)。基板の周縁部を取り除くことによってトリミング領域が形成され、光電変換装置の絶縁性能(絶縁耐圧)を向上できた。
図8は、図7に示す工程(c)の詳細な工程を示す工程図である。また、図9は、図7に示す工程(d)の詳細な工程を示す工程図である。
図8を参照して、図7に示す工程(b)の後、p型半導体層21、i型半導体層22およびn型半導体層23が透明導電膜12上に順次堆積される(図8の工程(c−1)〜工程(c−3)参照)。これによって、pin構造からなる光電変換層2が透明導電膜12上に形成される。
図9を参照して、図7に示す工程(c)の後、p型半導体層31、i型半導体層32およびn型半導体層33が光電変換層2上に順次堆積される(図9の工程(d−1)〜工程(d−3)参照)。これによって、pin構造からなる光電変換層3が光電変換層2上に形成される。
このように、図7に示す工程(c)および工程(d)は、反応室101内で連続的に実行され、光電変換層2,3を構成するp型半導体層21、i型半導体層22、n型半導体層23、p型半導体層31、i型半導体層32およびn型半導体層33は、材料ガスの切り替えによってプラズマCVD法を用いて透明導電膜12上に連続的に積層される。その結果、半導体層の各界面への酸素等の不純物の混入が抑制され、界面特性に優れた光電変換層2,3を製造できる。
なお、図7から図9においては、第1分離溝、第2分離溝および第3分離溝は、省略されている。
(実施例1)
図7に示す工程(a)〜工程(e)(図8に示す工程(c−1)〜(c−3)および図9に示す工程(d−1)〜(d−3)を含む)に従って光電変換装置を作製し、その後、樹脂封止、裏面保護シートまたは裏面ガラス基板を真空ラミネーターを用いて被覆し、外部への出力取出用端子が付いた端子箱を取り付けることによって太陽電池モジュールAを作製した。この場合、図7の工程(b)におけるメタンプラズマ処理の条件は、Hガスの流量が10slmであり、CHガスの流量が2.25slmであり、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度が190℃である。また、透明導電膜12は、SnOからなる。
(実施例2)
図7に示す工程(a)〜工程(e)(図8に示す工程(c−1)〜(c−3)および図9に示す工程(d−1)〜(d−3)を含む)の工程(b)と工程(c)との間に置換排気工程を有さず、メタンプラズマ処理後の排気時間が60秒〜300秒に変更になっている以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールBを作製した。
(比較例1)
図7に示す工程(a)〜工程(e)(図8に示す工程(c−1)〜(c−3)および図9に示す工程(d−1)〜(d−3)を含む)の工程(b)に代えて、透明導電性基板1の透明導電膜12を水素プラズマ処理した以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールCを作製した。この場合、水素プラズマ処理の条件は、Hガスの流量が10slmであり、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度が190℃である。
(比較例2)
図7に示す工程(a)〜工程(e)(図8に示す工程(c−1)〜(c−3)および図9に示す工程(d−1)〜(d−3)を含む)に従って光電変換装置を作製し、その後、樹脂封止、裏面保護シートまたは裏面ガラス基板を真空ラミネーターを用いて被覆し、外部への出力取出用端子が付いた端子箱を取り付けることによって太陽電池モジュールDを作製した。この場合、図7の工程(b)におけるメタンプラズマ処理の条件は、Hガスの流量が0.1slmであり、CHガスの流量が2.25slmであり、高周波電力が0.143W/cmであり、プラズマ処理温度が190℃である。また、透明導電膜12は、SnOからなる。上記のメタンプラズマ処理条件では、プラズマ処理後の透明導電膜上にカーボン膜が形成されている。
(参照例)
図7に示す工程(a)〜工程(e)(図8に示す工程(c−1)〜(c−3)および図9に示す工程(d−1)〜(d−3)を含む)の工程(b)を実行しなかった以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールEを作製した。
光電変換層2は、p型半導体層21と、i型半導体層22と、n型半導体層23とを含み、実施例1,2、比較例1,2および参照例ともに、以下の構造とし、プラズマ処理工程と同一の反応室101内で形成された。
p型半導体層21は、非晶質炭化シリコン層からなり、Hガス、SiHガス、BガスおよびCHガスを用いて形成された。そして、p型半導体層21の膜厚は、5〜20nmである。
i型半導体層22は、非晶質シリコン層からなり、HガスおよびSiHガスを用いて形成された。そして、i型半導体層22の膜厚は、220〜320nmである。
n型半導体層23は、非晶質シリコン層および微結晶シリコン層からなり、Hガス、SiHガスおよびPHガスを用いて形成された。そして、n型半導体層23の膜厚は、5〜30nmである。
p型半導体層21、i型半導体層22およびn型半導体層23を形成する上記条件以外の条件としては、成膜圧力を600〜1000Paとし、成膜温度を170〜200℃とした。また、プラズマ発生用の電極に印加する電力については、400Hzの周期にパルス化された11MHzの高周波で投入電力を50〜180mW/cmとした。
光電変換層3は、p型半導体層31と、i型半導体層32と、n型半導体層33とを含み、実施例1、比較例1,2および参照例ともに、以下の構造とし、プラズマ処理工程と同一の反応室101内で形成された。
p型半導体層31は、微結晶シリコン層からなり、Hガス、SiHガス、Bガス、CHガスおよびNガスを用いて形成された。そして、p型半導体層31の膜厚は、5〜30nmである。
i型半導体層32は、微結晶シリコン層からなり、HガスおよびSiHガスを用いて形成された。そして、i型半導体層32の膜厚は、1200〜2000nmである。
n型半導体層33は、非晶質シリコン層からなり、Hガス、SiHガスおよびPHガスを用いて形成された。そして、n型半導体層33の膜厚は、60〜80nmである。
p型半導体層31、i型半導体層32およびn型半導体層33を形成する上記条件以外の条件としては、成膜圧力を400〜1600Paとし、成膜温度を140〜170℃とした。また、プラズマ発生用の電極に印加する電力については、11MHzの高周波で投入電力を90〜350mW/cmとした。
なお、トップ層(光電変換層2)およびボトム層(光電変換層3)は、異なる反応室内で成膜されても良いが、生産効率の観点からは、同一の反応室で形成されるのが望ましい。
ボトム層を形成した後、試料をプラズマ装置100から取り出し、レーザースクライブ法により、所定間隔でシリコン系半導体層(光電変換層2,3)に第2分離溝を形成した。
第2分離溝を形成した後、シリコン系半導体層を覆うように蒸着法、スパッタリング法および印刷法等によってZnOおよびAgからなる裏面電極4を光電変換層3上に形成した。そして、レーザースクライブ法により、所定間隔で、シリコン系半導体層(光電変換層2,3)および裏面電極4を連通する第3分離溝を形成した。その後、レーザースクライブ法およびサンドブラスト法などにより、基板の周縁部(基板の外縁から10mm〜20mmの範囲)において、透明導電膜12、シリコン系半導体層(光電変換層2,3)および裏面電極4を取り除いた。
以上のようにして、透明導電膜12上に、pin構造からなる2つの光電変換層2,3を含むタンデム型光電変換装置を作製した後、上述したレーザースクライブ法によって集積構造を作製した。透明導電膜が形成された1000mm×1400mmの基板寸法に対して、基板の周縁部のトリミング領域の寸法を基板の外縁から12mmとした。
トリミング領域を形成した後、樹脂封止、裏面保護シートまたは裏面ガラス基板を真空ラミネーターを用いて被覆し、外部への出力取出端子が付いた端子箱を取り付けることによって太陽電池モジュールA,B,C,D,Eを作製した。
メタンプラズマ処理(実施例1)を行った太陽電池モジュールA、メタンプラズマ処理(実施例2)を行った太陽電池モジュールB、水素プラズマ処理(比較例1)を行った太陽電池モジュールC、カーボン膜が形成される条件にてメタンプラズマ処理(比較例2)を行った太陽電池モジュールDおよび基板表面処理無し(参照例)の太陽電池モジュールEの特性を表1に示す。
なお、表1は、基板表面処理無し(参照例)の太陽電池モジュールEの特性によって規格化した特性を示す。
透明導電性基板1を水素プラズマによって処理した太陽電池モジュールCの特性は、短絡電流Iscが基板表面処理無しの場合と比べて大きく低下し、それに伴いPmaxが大きく低下している。この短絡電流Iscの大きな低下は、水素によるSnOの還元による透過率の低下が原因であると考えられる。
一方、実施例1のメタンプラズマ条件にてメタンプラズマ処理を行った太陽電池モジュールAの短絡電流は、低下せず、水素によるSnOの還元が起こっていないことを示す。また、メタンプラズマ処理を行った太陽電池モジュールAは、直列抵抗Rsが低下し、曲線因子FFが向上することによって、基板表面処理無しの太陽電池モジュールEよりも特性が向上している。メタンプラズマ処理によって作成された清浄表面と光電変換層2との界面が改善されたことによって直列抵抗Rsが低下したものと考えられる。
また、置換排気工程を有さず、メタンプラズマ処理後の排気時間を60秒〜300秒に変更した以外は、実施例1と同じ条件で作製した太陽電池モジュールBの特性は、基板表面処理無しの太陽電池モジュールEと比較すると、出力(Pmax)が向上しているが、置換排気工程を有している太陽電池モジュールAと比較すると、曲線因子FFが低下したことに起因してPmaxが低下している。よって、置換排気工程による残留物の低減効果によって光電変換層への不純物混入を抑制でき、その結果、出力(Pmax)を向上させることができると言える。
更に、透明導電膜上にカーボン膜が形成された時の光電変換装置への影響の評価を行った。比較例2のメタンプラズマ条件にてメタンプラズマ処理された透明導電膜上に光電変換層を作成した太陽電池モジュールDの特性は、直列抵抗Rsの大幅な増加が見られ、それに伴う曲線因子FFおよびPmaxの大幅な低下が見られた。これは、透明導電膜と光電変換層の間にカーボン膜が形成され、光電変換層で発生した光電流が透明導電膜へ流れるのを阻止していること、および光電変換層の透明導電膜からの剥離の発生によるものだと考えられる。よって、カーボン膜の形成は、光電変換装置として望ましい効果ではないといえる。
特許文献2によれば、SnOからなる透明導電膜に対して水素プラズマ処理を施すことによって、非晶質シリコンからなる光電変換層と透明導電膜との接触抵抗が低下することが報告されている。
しかし、上述したとおり、水素プラズマ処理は、SnOの還元を引き起こし、透明導電膜の透過率低下に伴う光電変換装置の電流の低下、それに伴う光電変換装置の特性の低下を引き起こす。また、水素ラジカルによる還元作用は、図3に示すとおり、プラズマ処理温度のバラツキの影響を受けやすいと考えられ、その結果、光電変換装置の特性のバラツキを生じる要因となる。
一方、メタンプラズマ処理は、上述した図3の透過率の結果より、プラズマ処理温度の変化に対するプロセスマージンが広く、基板温度の変化に伴うプロセス条件の変更に対して、安定的に実行可能な基板表面清浄化技術である。
また、メタンプラズマ処理を行ってもプラズマ装置100内の汚染を引き起こすことはなく、短時間で、かつ、光電変換層2,3を形成する反応室と同一反応室内で透明導電性基板1の表面を清浄化し、光電変換装置の特性を向上できる。
また、メタンプラズマ処理は、工程歩留まりを改善する効果もある。上記の集積構造の光電変換装置の作製のために、レーザースクライブ法により透明導電膜12に第1分離溝が形成され、短冊状に透明導電膜12が分離される。しかし、何らかの原因でレーザースクライブが不良になると、隣り合う短冊状の透明導電膜の絶縁抵抗が十分でなく、その上に作製された光電変換装置は、特性が低下する場合がある。しかし、メタンプラズマ処理を実施することによってレーザースクライブの不良部分を除去することが可能となり、隣り合う短冊状の透明導電膜の絶縁抵抗が光電変換装置の特性の低下を引き起こさない範囲である0.5MΩ以上に改善される。その結果、レーザースクライブ工程の不良による光電変換装置の出力低下を抑制し、生産歩留まりを向上できる。
透明導電性基板は、基板と基板との間に合紙を挟んだ状態で積層されて製造工程に搬入されている場合において、合紙自体からの有機物等の不純物の影響により透明導電膜の表面が汚染されており、汚染された透明導電膜上に形成された光電変換層との密着性が低下し、光電変換装置の信頼性が低下するなどの問題が考えられる。合紙自体に関しても、合紙がガラス表面に付着しても有機物成分が容易に水洗浄によって除去されるように改善されているが、洗浄工程を含むことが必要とされている(特許文献6)。また、膜表面に付着した有機物等の不純物は、純水などによる洗浄工程を実施すれば、ある程度除去可能であるが、光電変換装置の寸法が大きくなるにつれて光電変換層に必要な透明導電性基板の寸法も大きくなり、洗浄工程を含む製造ラインでは、大型化に伴う洗浄、乾燥装置の大型化および製造コスト、タクトの増加が避けられない。更に、ISO14644−1に規定される低レベルの清浄度を有する製造ラインでは、基板洗浄後において大気成分による表面再汚染も考えられる。しかし、メタンプラズマ処理を用いることで、洗浄工程がなされずに有機物等が付着している状態の透明導電膜自体をエッチングして有機物等を取り除く事で、光電変換層を成膜する直前に透明導電膜を清浄表面化することが可能となる。光電変換層の成膜室を透明導電膜の表面を清浄化する処理室としても適応可能であるために、追加装置導入による設備投資によるコスト上昇を抑制できる。また、光電変換層の成膜に一般的に使用されているHガスおよびCHガスを用いていることも、コスト上昇を抑制できるという効果もある。
上述したメタンプラズマ処理によって、清浄な透明導電性基板1上に光電変換層2,3を形成することが可能となったが、透明導電性基板1と光電変換層2との良好な界面を実現することによって、光電変換装置の信頼性の向上が考えられる。
光電変換層の形成前に基板を洗浄する工程を含まないプロセスでは、光電変換層を形成する前の環境下により透明導電性基板の表面状態が大きく左右され、表面汚れによる透明導電膜と光電変換層との密着性が低下し、剥離が起こりやすい。
そこで、メタンプラズマ処理による透明導電膜と光電変換層との界面特性を評価するために、メタンプラズマ処理の有無による透明導電膜と光電変換層との密着強度試験および光電変換装置のホットスポット試験を行った。
メタンプラズマ処理によって清浄化された表面を有する透明導電膜と光電変換層との界面への影響を信頼性の観点から評価するために、光電変換装置モジュールの構造でJIS K6854−2に準拠する剥離密着強度試験(180度)を行った。
剥離密着強度試験(180度)を上述した実施例1における太陽電池モジュールAと、参照例における太陽電池モジュールEとについて行った。
なお、透明導電膜と半導体層との密着性を評価するために、封止樹脂と光電変換層との密着性を高めるラミネート工程は、170℃以上で30分以上の処理によって行われた。
透明導電膜をプラズマ処理していない太陽電池モジュールEでは、剥離密着強度試験で20N/cm以上で透明導電膜と光電変換層との間で剥離が生じた。
一方、メタンプラズマ処理を行った太陽電池モジュールAでは、20N/cm以上でも剥離が生じなかった。これは、メタンプラズマ処理によって、透明導電性基板1と光電変換層2との間での密着強度が増加したことを示している。
次に、光電変換装置の信頼性試験として、メタンプラズマ処理の有無の光電変換装置に対して、ホットスポット試験(JIS C8991)を実施した。
メタンプラズマ処理の有無による光電変換装置のホットスポット試験の結果を表2に示す。
実施例1の条件にてメタンプラズマ処理を実施した太陽電池モジュールAの剥離個数は、メタンプラズマ処理を実施していない太陽電池モジュールEと比較して、大幅に減少している。また、メタンプラズマ処理を実施した太陽電池モジュールAのホットスポットは、プラズマ処理を実施していない太陽電池モジュールEと比較して、ホットスポットの大きさおよび剥離面積も減少している。
剥離個数の減少については、メタンプラズマ処理によって基板表面の汚染物等を除去することで、ホットスポットの発生の着点となる微小な粉等をエッチングにより除去したことによるホットスポットの発生点数の減少の効果がある。
ホットスポット発生点付近の光電変換層がホットスポット現象で発生する熱によって引き起こされる熱膨張によって、透明導電膜と光電変換層の剥離を引き起こし、剥離面積が大きくなる。しかし、メタンプラズマ処理によって透明導電膜と光電変換層との界面が良好に形成され、それに伴う密着性の向上によって剥離の拡大が抑制され、剥離面積が減少する。これは、上記の密着強度試験の結果と一致している。
上述したように、SnOを主体とする透明導電膜12にメタンプラズマ処理を施すことによって、表面が汚染された基板でも、清浄な基板表面を形成することが可能となり、光電変換装置の特性向上と信頼性の向上とを実現できた。
なお、In,ITOを主体とする透明導電膜12にメタンプラズマ処理を施しても、透明導電膜12の透過率を維持しながら、透明導電膜12の表面が清浄化される。その結果、透明導電膜12と光電変換層2との界面が良好に形成され、透明導電膜12と光電変換層2との密着性が向上する。従って、光電変換装置10の特性および信頼性を向上できる。
上記においては、半導体素子は、透明導電性基板上の光電変換装置であるとしたが、この発明の実施の形態においては、光電変換装置以外の半導体素子にも有効である。
また、上記においては、透明導電性基板1を洗浄せずに反応室101内に搬入すると説明したが、この発明の実施の形態においては、透明導電性基板1を洗浄して反応室101内に搬入してもよい。透明導電性基板1を洗浄して反応室101内に搬入しても、洗浄後、透明導電性基板1を反応室101へ搬入するまでの環境下において、透明導電性基板1の表面が汚染される場合があり、そのような場合、CHガスおよびHガスを用いたプラズマ処理が有効であるからである。
更に、上記において、ISO14644−1のクラス4よりも清浄度が低い雰囲気中を通過して光電変換装置の製造が開始されるとしたが、もちろん、ISO14644−1のクラス4以上の清浄度が高いクラスにおいても、半導体素子の形成前に基板表面を清浄化するメタンプラズマ処理は有効である。
また、実施例1においては、置換排気工程では、置換ガスを反応室に導入した後、反応室内の圧力が、予め設定した圧力以上の圧力になったときに、置換ガスの導入を停止した後に置換ガスを排気したが、必ずしも圧力を高くする必要はなく、置換ガスの導入と排気とを同時に行ってもよい。また、置換ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスのような不活性ガスを用いることもできるが、水素ガスは、次の成膜工程でも使用するガスであるため、置換ガスの残留による不純物含有の影響が出にくいため望ましい。更に、置換排気工程は、最低、1回、行えばよいが、実施例に記載のように、複数回、繰り返し行うことで、メタンプラズマ処理における反応室内の残留物を大きく減少することができるので、置換排気工程を、複数回、実施することが望ましい。更に、置換排気工程に代えて、十分な排気時間を設けてもよい(実施例2)。
更に、上記では、メタンプラズマによる処理室と光電変換層の成膜室とを同一反応室としたが、この発明の実施の形態においては、メタンプラズマ処理および光電変換層の成膜は、異なる反応室において実施されてもよい。その場合においても、メタンプラズマ処理後に置換排気工程を実施してもよい。そして、光電変換層をプラズマCVD法以外の方法で成膜する場合においても、メタンプラズマ処理が有効である。
更に、上記においては、光電変換装置10は、2つの光電変換層2,3を透明導電性基板1上に積層した構造からなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、光電変換装置10は、1つの光電変換層を透明導電性基板1上に堆積した構造からなっていてもよく、3個以上の光電変換層を透明導電性基板1上に積層した構造からなっていてもよく、一般的には、1個以上の光電変換層を透明導電性基板1上に堆積した構造からなっていればよい。
そして、1つの光電変換層を構成するp型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層の材料は、上述した材料に限らず、一般的には、表3に示す材料からなる。
また、光電変換層は、シリコン系半導体材料に限定されることは無く、CdTe,CIGS等の化合物半導体層からなっていてもよく、一般的には、光電変換性を有する材料であれば、どのような材料からなっていてもよい。
光電変換装置10が1個の光電変換層を備える場合、1個の光電変換層を構成するp型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層の各々は、表3に示す材料から選択された1つの材料からなる。そして、i型半導体層は、光学的バンドギャップがp型半導体層の光学的バンドギャップよりも小さい材料からなることが好ましい。
また、光電変換装置10が2個以上の光電変換層を備える場合、2個以上の光電変換層に含まれる2個以上のi型半導体層は、透明導電膜12から裏面電極4側へ向かって光学的バンドギャップが小さくなる材料からなる。
そして、表3に示す材料は、プラズマCVD法によって形成されるので、光電変換装置10が1個以上の光電変換層を備える場合、光電変換装置10は、プラズマ装置100を用いて図7に示す工程(a)〜工程(e)に従って製造される。この場合、光電変換層が1個である場合、工程(d)が削除され、光電変換層が2個以上である場合、工程(b)と工程(e)との間で、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層をプラズマCVD法によって順次積層する工程が2回以上繰り返し実行される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、半導体素子の製造方法に適用される。

Claims (9)

  1. 酸化錫または酸化インジウムを主成分とする透明導電膜が透光性基板上に形成された透明導電性基板において、前記透明導電膜の表面をCHガスとHガスとを用いてプラズマ処理する第1の工程と、
    前記第1の工程の後、前記透明導電膜上に半導体素子を作製する第2の工程とを備える半導体素子の製造方法。
  2. 前記第1の工程と前記第2の工程との間に、前記第1の工程が実行される反応室内に置換ガスを導入して排気する第3の工程を更に備える、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記半導体素子が光電変換装置である、請求項1または請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記第1の工程において、CHガスの流量とHガスの流量との和に対するCHガスの流量の比であるガス流量比率は、0.1以上、かつ、0.9以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
  5. 前記第1の工程において、CHガスの流量とHガスの流量との和に対するCHガスの流量の比であるガス流量比率は、0.1以上、かつ、0.7以下である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記第1の工程において、プラズマ処理時の基板温度は、200℃以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に半導体素子の製造方法。
  7. 前記透明導電性基板は、洗浄されることなく前記第1の工程が実行される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  8. 前記透明導電性基板は、ISO14644−1のクラス4よりも清浄度が低い雰囲気中を通過して前記第1の工程が実行される反応室内へ搬入される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  9. 前記第1および第2の工程は、同じ反応室内で実行される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
JP2014524682A 2012-07-10 2013-05-21 半導体素子の製造方法 Pending JPWO2014010310A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012154324 2012-07-10
JP2012154324 2012-07-10
PCT/JP2013/064100 WO2014010310A1 (ja) 2012-07-10 2013-05-21 半導体素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014010310A1 true JPWO2014010310A1 (ja) 2016-06-20

Family

ID=49915784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014524682A Pending JPWO2014010310A1 (ja) 2012-07-10 2013-05-21 半導体素子の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20150140726A1 (ja)
JP (1) JPWO2014010310A1 (ja)
CN (1) CN104321853A (ja)
WO (1) WO2014010310A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6661283B2 (ja) * 2015-05-14 2020-03-11 東京エレクトロン株式会社 クリーニング方法及びプラズマ処理方法
US9824893B1 (en) 2016-06-28 2017-11-21 Lam Research Corporation Tin oxide thin film spacers in semiconductor device manufacturing
KR20180093798A (ko) * 2017-02-13 2018-08-22 램 리써치 코포레이션 에어 갭들을 생성하는 방법
US10546748B2 (en) * 2017-02-17 2020-01-28 Lam Research Corporation Tin oxide films in semiconductor device manufacturing
CN113675081A (zh) 2018-01-30 2021-11-19 朗姆研究公司 在图案化中的氧化锡心轴
WO2019182872A1 (en) 2018-03-19 2019-09-26 Lam Research Corporation Chamfer-less via integration scheme
US10840082B2 (en) * 2018-08-09 2020-11-17 Lam Research Corporation Method to clean SnO2 film from chamber
KR20240031441A (ko) 2019-06-27 2024-03-07 램 리써치 코포레이션 교번하는 에칭 및 패시베이션 프로세스
FR3098343B1 (fr) * 2019-07-01 2021-06-04 Commissariat Energie Atomique Procédé de passivation

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0377209A (ja) * 1989-08-17 1991-04-02 Oki Electric Ind Co Ltd 透明導電膜のエッチング方法
JPH06120176A (ja) * 1992-06-30 1994-04-28 Ashida:Kk エッチング方法と装置
JPH09326298A (ja) * 1996-04-01 1997-12-16 Denso Corp ドライエッチング方法及びel素子の製造方法
JP2009193674A (ja) * 2008-02-12 2009-08-27 Kaneka Corp 透明導電膜の製造方法およびそれに従って製造される透明導電膜
JP2013179127A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 電子デバイスの製造方法及び薄膜トランジスタ

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1034617C (zh) * 1995-05-19 1997-04-16 李毅 内联式非晶硅太阳能电池及制造方法
US7235492B2 (en) * 2005-01-31 2007-06-26 Applied Materials, Inc. Low temperature etchant for treatment of silicon-containing surfaces
CN1866546A (zh) * 2006-05-18 2006-11-22 威海蓝星玻璃股份有限公司 一种太阳能电池及其制备方法
JP2008066437A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 太陽電池パネルの製造方法
JP2011165757A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Mitsubishi Electric Corp 光電変換装置およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0377209A (ja) * 1989-08-17 1991-04-02 Oki Electric Ind Co Ltd 透明導電膜のエッチング方法
JPH06120176A (ja) * 1992-06-30 1994-04-28 Ashida:Kk エッチング方法と装置
JPH09326298A (ja) * 1996-04-01 1997-12-16 Denso Corp ドライエッチング方法及びel素子の製造方法
JP2009193674A (ja) * 2008-02-12 2009-08-27 Kaneka Corp 透明導電膜の製造方法およびそれに従って製造される透明導電膜
JP2013179127A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 電子デバイスの製造方法及び薄膜トランジスタ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014010310A1 (ja) 2014-01-16
CN104321853A (zh) 2015-01-28
US20150140726A1 (en) 2015-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014010310A1 (ja) 半導体素子の製造方法
AU2008233856B2 (en) Photovoltaic device and process for producing same.
JPWO2009022414A1 (ja) 光電変換装置およびその製造方法
JP5330723B2 (ja) 光電変換装置
JP5022341B2 (ja) 光電変換装置
WO2010052953A1 (ja) 光電変換装置の製造方法及び光電変換装置
WO2010050035A1 (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2010023991A1 (ja) 光電変換装置の製造方法、光電変換装置、及び光電変換装置の製造システム
JP4764469B2 (ja) 光電変換装置及び光電変換装置の製造方法
JP2011061017A (ja) 光電変換装置の製造方法
JP5030745B2 (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2010064455A1 (ja) 光電変換装置
US20120090664A1 (en) Photovoltaic device
JP5308225B2 (ja) 光電変換装置及びその製造方法
JP4875566B2 (ja) 光電変換装置の製造方法
JP2011155026A (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2009081855A1 (ja) 光電変換装置の製造方法及び光電変換装置
JP4077456B2 (ja) 集積化薄膜太陽電池
WO2009081713A1 (ja) 光電変換装置及びその製造方法
JP2010129785A (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2010146846A1 (ja) 光電変換装置及び光電変換装置の製造方法
JP5308226B2 (ja) 光電変換装置及びその製造方法
JP2008251914A (ja) 多接合型光電変換装置
JP2011018857A (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2011125878A1 (ja) 光電変換装置及び光電変換装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160315

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160920