JPWO2013168623A1 - 半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents

半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

少なくともSiO2と、B2O3と、Al2O3と、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まないことを特徴とする半導体接合保護用ガラス組成物。本発明の半導体接合保護用ガラス組成物によれば、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に、高耐圧の半導体装置を製造することが可能となる。また、Znを実質的に含有しないことから、耐薬品性(特に耐フッ酸性)が高くなり、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。また、シリコン酸化膜をエッチング除去する工程などでガラス層をレジストで保護する必要がなくなるため、工程を簡略化できるという効果も得られる。

Description

本発明は、半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
メサ型の半導体装置を製造する過程でpn接合露出部を覆うようにパッシベーション用のガラス層を形成する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図15及び図16は、そのような従来の半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図15(a)〜図15(d)及び図16(a)〜図16(d)は各工程図である。
従来の半導体装置の製造方法は、図15及び図16に示すように、「半導体基体形成工程」、「溝形成工程」、「ガラス層形成工程」、「フォトレジスト形成工程」、「酸化膜除去工程」、「粗面化領域形成工程」、「電極形成工程」及び「半導体基体切断工程」をこの順序で含む。以下、従来の半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
(a)半導体基体形成工程
まず、n型半導体基板(n型シリコン基板)910の一方の表面からのp型不純物の拡散によりp型拡散層912、他方の表面からのn型不純物の拡散によりn型拡散層914を形成して、主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を形成する。その後、熱酸化によりp型拡散層912及びn型拡散層914の表面に酸化膜916,918を形成する(図15(a)参照。)。
(b)溝形成工程
次に、フォトエッチング法によって、酸化膜916の所定部位に所定の開口部を形成する。酸化膜のエッチング後、引き続いて半導体基体のエッチングを行い、半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝920を形成する(図15(b)参照。)。
(c)ガラス層形成工程
次に、溝920の表面に、電気泳動法により溝920の内面及びその近傍の半導体基体表面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層924を形成する(図15(c)参照。)。
(d)フォトレジスト形成工程
次に、ガラス層924の表面を覆うようにフォトレジスト926を形成する(図15(d)参照。)。
(e)酸化膜除去工程
次に、フォトレジスト926をマスクとして酸化膜916のエッチングを行い、Niめっき電極膜を形成する部位930における酸化膜916を除去する(図16(a)参照。)。
(f)粗面化領域形成工程
次に、Niめっき電極膜を形成する部位930における半導体基体表面の粗面化処理を行い、Niめっき電極と半導体基体との密着性を高くするための粗面化領域932を形成する(図16(b)参照。)。
(g)電極形成工程
次に、半導体基体にNiめっきを行い、粗面化領域932上にアノード電極934を形成するとともに、半導体基体の他方の表面にカソード電極936を形成する(図16(c)参照。)。
(h)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層924の中央部において半導体基体を切断して半導体基体をチップ化して、メサ型半導体装置(pnダイオード)900を作成する(図16(d)参照。)。
以上説明したように、従来の半導体装置の製造方法は、主面に平行なpn接合が形成された半導体基体の一方の表面からpn接合を超える溝920を形成する工程(図15(a)及び図15(b)参照。)と、当該溝920の内部にpn接合露出部を覆うようにパッシベーション用のガラス層924を形成する工程(図15(c)参照。)とを含む。このため、従来の半導体装置の製造方法によれば、溝920の内部にパッシベーション用のガラス層924を形成した後半導体基体を切断することにより、高信頼性のメサ型半導体装置を製造することができる。
特開2004−87955号公報
ところで、パッシベーション用のガラス層に用いるガラス材料としては、(a)適正な温度で焼成できること、(b)工程で使用する薬品(王水、めっき液及びフッ酸)に耐えること、(c)工程中におけるウェーハの反りを防止するためシリコンの線膨張率に近い線膨張率を有すること(特に50℃〜550℃における平均線膨張率がシリコンの線膨張率に近いこと)及び(d)優れた絶縁性を有することという条件を満たす必要があることから、従来より「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」が広く用いられている。
しかしながら、「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」には環境負荷の大きい鉛が含まれており、近未来にはそのような「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」の使用が禁止されていくことになると考えられる。
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に、高信頼性の半導体装置を製造することを可能とする、半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
[1]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物は、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まないことを特徴とする。
[2]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びBaOのうち1つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することが好ましい。
[3]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうち2つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することが好ましい。
[4]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうちすべてのアルカリ土類金属の酸化物を含有することが好ましい。
[5]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、Pを実質的に含有しないことが好ましい。
[6]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、Biを実質的に含有しないことが好ましい。
[7]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、前記原料は、ニッケル酸化物、銅酸化物、マンガン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選択された少なくとも1つの金属酸化物をさらに含有することが好ましい。
[8]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物は、50℃〜550℃の温度範囲において、平均線膨張率が3.3×10−6〜4.5×10−6の範囲内にあることが好ましい。
[9]本発明の半導体接合保護用ガラス組成物においては、SiOの含有量が50.0mol%〜68.0mol%の範囲内にあり、Bの含有量が6.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、Alの含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあることが好ましい。
[10]本発明の半導体装置の製造方法は、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、前記pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法であって、前記第2工程においては、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まない半導体接合保護用ガラス組成物を用いて前記ガラス層を形成することを特徴とする。
[11]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第1工程は、主面に平行なpn接合を備える半導体基体を準備する工程と、前記半導体基体の一方の表面から前記pn接合を超える深さの溝を形成することにより、前記溝の内部に前記pn接合露出部を形成する工程とを含み、前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことが好ましい。
[12]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部を直接覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことが好ましい。
[13]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部上に絶縁層又は高抵抗半絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層又は高抵抗半絶縁層を介して前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程とを含むことが好ましい。
[14]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第1工程は、半導体基体の表面に前記pn接合露出部を形成する工程を含み、前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことが好ましい。
[15]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部を直接覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことが好ましい。
[16]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部上に絶縁層又は高抵抗半絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層又は高抵抗半絶縁層を介して前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程とを含むことが好ましい。
[17]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体接合保護用ガラス組成物は、脱泡剤としての多価元素を実質的に含有しない半導体接合保護用ガラス組成物であることが好ましい。
[18]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記多価元素は、V、Mn、Sn、Ce、Nb及びTaを含むことが好ましい。
[19]本発明の半導体装置は、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子と、前記pn接合露出部を覆うように形成されたガラス層とを備える半導体装置であって、前記ガラス層は、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まない半導体接合保護用ガラス組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする。
なお、本発明において、少なくともある特定成分(SiO、B等)を含有するとは、当該ある特定成分のみを含有する場合のほか、当該ある特定成分に加えて、ガラス組成物に通常含有可能な成分をさらに含有する場合も含む。
また、本発明において、ある特定元素(Pb、As等)を実質的に含有しないとは、当該ある特定元素を成分として含有しないという意味であり、ガラスを構成する各成分の原料中に不純物として上記ある特定元素が混入したガラス組成物を排除するものではない。
また、本発明のように半導体接合保護用ガラス組成物がいわゆる酸化物系のガラス組成物である場合、ある特定元素(Pb、As等)を含有しないとは、当該ある特定元素の酸化物、当該ある特定元素の窒化物などを含有しないことをいう。
また、本発明において、高抵抗半絶縁層とは、例えばSIPOS(Semi-Insulated POlycrystalline Silicon)のように高抵抗の半絶縁層のことをいい、高抵抗層又は半絶縁層ということもできる。
本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、後述する実施例からも明らかなように、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がZnを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、耐薬品性(特に耐フッ酸性)が高くなり、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。この場合、耐フッ酸性が高くなると、工程中でシリコン酸化膜をエッチング除去する工程(後述する図1(d)参照。)などでガラス層をレジストで保護する必要がなくなるため、工程を簡略化できるという効果も得られる。
また、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がアルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、ガラス化の過程で結晶化し難くなる。
また、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がアルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、ガラス化の過程で結晶化しない範囲で、50℃〜550℃における平均線膨張率をシリコンの線膨張率に近い線膨張率(例えば3.3×10−6〜4.5×10−6)にすることができる。このため、薄型ウェーハを使用したときでも工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となる。また、ガラス層を厚く堆積した場合であっても、工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となるため、より一層高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
ところで、半導体装置を製造する過程で、半導体接合保護用ガラス組成物として、フィラーを含む半導体接合保護用ガラス組成物を用いた場合には、pn接合露出部を覆うように半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する際に当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を均一に形成することが困難となる場合がある。すなわち、電気泳動法により半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する場合には、電気泳動の不均一により半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を均一に形成することが困難となり、スピンコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法により半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する場合には、粒径や比重などの違いにより半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を均一に形成することが困難となる場合がある。
これに対して、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、半導体接合保護用ガラス組成物として、フィラーを含まない半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を用いたことから、pn接合露出部を覆うように半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する際に当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を均一に形成することが可能となる。
ここで、Pbを実質的に含有しないこととしたのは、本発明の目的が「鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することを可能とする」ことにあるからである。
また、Asと、Sbとを実質的に含有しないこととしたのは、これらの成分は毒性を有するため、これらの成分の使用を制限する動きが広がりつつあるからである。
また、Liと、Naと、Kとを実質的に含有しないこととしたのは、これらの成分を含有する場合には平均線膨張率や焼成温度の点で有利であるが、半導体装置の絶縁性が低下する場合があるからである。
本発明の発明者らの研究により、これらの成分(すなわち、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Zn。)を実質的に含有しない場合であっても、少なくともSiOと、Bと、Alと、CaO、アルカリ土類金属の酸化物とを含有するガラス組成物は、半導体接合保護用ガラス組成物として使用可能であることが分かった。すなわち、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物によれば、鉛を含まないガラス材料を用いて従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
実施形態4に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態4に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態5に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態5に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態6に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態6に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態7に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態8に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施例の条件及び結果を示す図表である。 エッチング部と非エッチング部との段差を示す図である。 試験方法1及び試験方法2の結果を示す図表である。 半導体装置における逆方向特性を示す図である。 予備評価及び予備評価(参考)においてガラス層124の内部に発生する泡bを説明するために示す図である。 本評価及び本評価(参考)においてガラス層124の内部に発生する泡bを説明するために示す写真である。 従来の半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 従来の半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
以下、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
実施形態1は、半導体接合保護用ガラス組成物に係る実施形態である。
実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まないものである。そして、上記原料は、アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びBaOのうち1つのアルカリ土類金属の酸化物を含有する。
実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、SiOの含有量が50.0mol%〜68.0mol%の範囲内にあり、Bの含有量が6.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、Alの含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、ニッケル酸化物の含有量が0.01mol%〜3.0mol%の範囲内にある。
上記した原料は、Pを実質的に含有しない。また、上記した原料は、Biを実質的に含有しない。
実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、50℃〜550℃の温度範囲において、平均線膨張率が3.3×10−6〜4.5×10−6の範囲内にある。
実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、後述する実施例からも明らかなように、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、Znを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、耐薬品性(特に耐フッ酸性)が高くなり、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。この場合、耐フッ酸性が高くなると、工程中でシリコン酸化膜をエッチング除去する工程(後述する図1(d)参照。)などでガラス層をレジストで保護する必要がなくなるため、工程を簡略化できるという効果も得られる。
また、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がアルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、ガラス化の過程で結晶化し難くなる。
また、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、アルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、後述する実施例からも明らかなように、ガラス化の過程で結晶化しない範囲で、50℃〜550℃における平均線膨張率をシリコンの線膨張率に近接できるようになる。このため、薄型ウェーハを使用したときでも工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となる。また、ガラス層を厚く堆積した場合であっても、工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となるため、より一層高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、フィラーを含まないことから、pn接合露出部を覆うように半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する際に当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を均一に形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がニッケル酸化物を含有するため、後述する実施例からも明らかなように、電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン又は絶縁層)との境界面から発生することがある泡の発生を抑制して、半導体装置の逆方向特性が劣化するという事態の発生を抑制することが可能となる。
ここで、SiOの含有量を50.0mol%〜68.0mol%の範囲内としたのは、SiOの含有量が50.0mol%未満である場合には、耐薬品性が低下したり、絶縁性が低下したりする場合があるからであり、SiOの含有量が68.0mol%を超える場合には、焼成温度が高くなる傾向にあるからである。これらの観点から言えば、SiOの含有量を58.0mol%〜66.0mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
また、Bの含有量を6.0mol%〜18.0mol%の範囲内としたのは、Bの含有量が6.0mol%未満である場合には、焼成温度が高くなる傾向があるからであり、Bの含有量が18.0mol%を超える場合には、平均線膨張率が高くなる傾向にあるからである。これらの観点から言えば、Bの含有量を9.0mol%〜15.0mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
また、Alの含有量を7.0mol%〜18.0mol%の範囲内としたのは、Alの含有量が7.0mol%未満である場合には、ガラス化の過程で結晶化し易くなる傾向にあるからであり、Alの含有量が18.0mol%を超える場合には、絶縁性が低下する傾向にあるからである。これらの観点から言えば、Alの含有量を9.0mol%〜15.0mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
また、アルカリ土類金属の酸化物の含有量を7.0mol%〜18.0mol%の範囲内としたのは、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が7.0mol%未満である場合には、焼成温度が高くなる傾向にあるからであり、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が18.0mol%を超える場合には、耐薬品性が低下したり、絶縁性が低下したりする場合があるからである。これらの観点から言えば、アルカリ土類金属の酸化物の含有量を9.0mol%〜15.0mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びBaOのうち1つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することとしたのは、アルカリ土類金属の酸化物として、MgO1成分のみを含有する場合には、ガラス化の過程で結晶化し易くなるため単独での使用が困難となる場合があるからである。
また、ニッケル酸化物の含有量を0.01mol%〜3.0mol%の範囲内としたのは、ニッケル酸化物の含有量が0.01mol%未満である場合には、電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン)との境界面から発生することのある泡の発生を抑制することが困難となる場合があるからであり、ニッケル酸化物の含有量が3.0mol%を超える場合には、ガラス化の過程で結晶化し易くなる傾向にあるからである。これらの観点から言えば、ニッケル酸化物の含有量を0.1mol%〜1.5mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、以下のようにして製造することができる。すなわち、上記した組成比(モル比)になるように原料(SiO、HBO、Al、(CaCO及びBaCOのうち1つのアルカリ土類金属の酸化物)、MgO及びNiO)を調合し、混合機でよく攪拌した後、その混合した原料を白金ルツボに入れ、電気炉中で所定温度(1550℃)まで上昇させて2時間溶融させた。その後、融液を水冷ロールに流し出して薄片状のガラスフレークを得る。その後、このガラスフレークをボールミルなどで所定の平均粒径となるまで粉砕して、粉末状のガラス組成物を製造する。
[実施形態2]
実施形態2は、半導体接合保護用ガラス組成物に係る実施形態である。
実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、基本的には実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物と同様の成分を含有するが、アルカリ土類金属の酸化物の組成が実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物とは異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうち2つのアルカリ土類金属の酸化物を含有する。
実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物においては、SiOの含有量、Bの含有量、Alの含有量、アルカリ土類金属の酸化物の含有量及びニッケル酸化物の含有量は、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同じである。
ここで、アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びBaOを含有する場合においては、CaO含有量が3.0mol%〜10.0mol%の範囲内にあり、BaO含有量が3.0mol%〜10.0mol%の範囲内にあることが好ましい。
また、アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びMgOを含有する場合においては、CaO含有量が3.0mol%〜10.0mol%の範囲内にあり、MgO含有量が1.0mol%〜5.0mol%の範囲内にあることが好ましい。
また、2つのアルカリ土類金属の酸化物として、BaO及びMgOを含有する場合においては、BaO含有量が3.0mol%〜10.0mol%の範囲内にあり、MgO含有量が1.0mol%〜5.0mol%の範囲内にあることが好ましい。
このように実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、アルカリ土類金属の酸化物の組成が実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物とは異なるが、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、Znを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、耐薬品性(特に耐フッ酸性)が高くなり、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。この場合、耐フッ酸性が高くなると、工程中でシリコン酸化膜をエッチング除去する工程などでガラス層をレジストで保護する必要がなくなるため、工程を簡略化できるという効果も得られる。
また、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がアルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、ガラス化の過程で結晶化し難くなる。
また、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、アルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、ガラス化の過程で結晶化しない範囲で、50℃〜550℃における平均線膨張率をシリコンの線膨張率に近接できるようになる。このため、薄型ウェーハを使用したときでも工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となる。また、ガラス層を厚く堆積した場合であっても、工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となるため、より一層高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がニッケル酸化物を含有するため、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン又は絶縁層)との境界面から発生することがある泡の発生を抑制して、半導体装置の逆方向特性が劣化するという事態の発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、原料が、CaO、BaO及びMgOのうち2つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合よりも、所望の特性を持ったガラス(焼成温度が低く、耐薬品性が高く、平均線膨張率が所定の範囲に入り、結晶化し難く、泡が発生し難いガラス)を製造し易いという効果も得られる。
実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、以下のようにして製造することができる。すなわち、上記した組成比(モル比)になるように原料(SiO、HBO、Al、(CaCO、BaCO及びMgOのうち2つのアルカリ土類金属の酸化物)及びNiO)を調合し、混合機でよく攪拌した後、その混合した原料を白金ルツボに入れ、電気炉中で所定温度(1550℃)まで上昇させて2時間溶融させた。その後、融液を水冷ロールに流し出して薄片状のガラスフレークを得る。その後、このガラスフレークをボールミルなどで所定の平均粒径となるまで粉砕して、粉末状のガラス組成物を製造する。
[実施形態3]
実施形態3は、半導体接合保護用ガラス組成物に係る実施形態である。
実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、基本的には実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物と同様の成分を含有するが、アルカリ土類金属の酸化物の組成が実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物とは異なる。すなわち、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうちすべてのアルカリ土類金属の酸化物を含有する。
実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物においては、SiOの含有量、Bの含有量、Alの含有量、アルカリ土類金属の酸化物の含有量及びニッケル酸化物の含有量は、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同じである。また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物においては、アルカリ土類金属の酸化物のうち、CaO含有量が2.8mol%〜7.8mol%の範囲内にあり、BaO含有量が1.7mol%〜4.7mol%の範囲内にあり、MgO含有量が1.1mol%〜3.1mol%の範囲内にあることが好ましい。
ここで、アルカリ土類金属の酸化物のうち、CaOの含有量を2.8mol%〜7.8mol%の範囲内としたのは、CaOの含有量が2.8mol%未満である場合には、焼成温度が高くなる傾向にあるからであり、CaOの含有量が7.8mol%を超える場合には、耐薬品性が低下したり、絶縁性が低下したりする場合があるからである。これらの観点から言えば、CaOの含有量を3.3mol%〜7.3mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
また、BaOの含有量を1.7mol%〜4.7mol%の範囲内としたのは、BaOの含有量が1.7mol%未満である場合には、焼成温度が高くなる傾向にあるからであり、BaOの含有量が4.7mol%を超える場合には、耐薬品性が低下したり、絶縁性が低下したりする場合があるからである。これらの観点から言えば、BaOの含有量を2.2mol%〜4.2molmol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
また、MgOの含有量を1.1mol%〜3.1mol%の範囲内としたのは、MgOの含有量が1.1mol%未満である場合には、焼成温度が高くなる傾向にあるからであり、MgOの含有量が3.1mol%を超える場合には、耐薬品性が低下したり、絶縁性が低下したりする場合があるからである。これらの観点から言えば、MgOの含有量を1.6mol%〜2.6mol%の範囲内とするのがより一層好ましい。
このように実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、アルカリ土類金属の酸化物の組成が実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物とは異なるが、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、Znを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、耐薬品性(特に耐フッ酸性)が高くなり、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。この場合、耐フッ酸性が高くなると、工程中でシリコン酸化膜をエッチング除去する工程などでガラス層をレジストで保護する必要がなくなるため、工程を簡略化できるという効果も得られる。
また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がアルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、ガラス化の過程で結晶化し難くなる。
また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、アルカリ土類金属の酸化物を含有するとともにZnを実質的に含有しないことから、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、ガラス化の過程で結晶化しない範囲で、50℃〜550℃における平均線膨張率をシリコンの線膨張率に近接できるようになる。このため、薄型ウェーハを使用したときでも工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となる。また、ガラス層を厚く堆積した場合であっても、工程中におけるウェーハの反りを防止することが可能となるため、より一層高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、半導体接合保護用ガラス組成物がニッケル酸化物を含有するため、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合と同様に、電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン又は絶縁層)との境界面から発生することがある泡の発生を抑制して、半導体装置の逆方向特性が劣化するという事態の発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物によれば、原料が、CaO、BaO及びMgOのうちすべてのアルカリ土類金属の酸化物を含有することから、実施形態2に係る半導体接合保護用ガラス組成物の場合よりも、所望の特性を持ったガラス(焼成温度が低く、耐薬品性が高く、平均線膨張率が所定の範囲に入り、結晶化し難く、泡が発生し難いガラス)をさらに製造し易いという効果も得られる。
実施形態3に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、以下のようにして製造することができる。すなわち、上記した組成比(モル比)になるように原料(SiO、HBO、Al、CaCO、BaCO、MgO及びNiO)を調合し、混合機でよく攪拌した後、その混合した原料を白金ルツボに入れ、電気炉中で所定温度(1550℃)まで上昇させて2時間溶融させた。その後、融液を水冷ロールに流し出して薄片状のガラスフレークを得る。その後、このガラスフレークをボールミルなどで所定の平均粒径となるまで粉砕して、粉末状のガラス組成物を製造する。
[実施形態4]
実施形態4は、半導体装置の製造方法に係る実施形態である。
実施形態4に係る半導体装置の製造方法は、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法である。そして、当該第2工程においては、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成する。第1工程は、主面に平行なpn接合を備える半導体基体を準備する工程と、半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより、溝の内部にpn接合露出部を形成する工程とを含み、第2工程は、溝の内部におけるpn接合露出部を直接覆うようにガラス層を形成する工程を含む。
図1及び図2は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図1(a)〜図1(d)及び図2(a)〜図2(d)は各工程図である。
実施形態4に係る半導体装置の製造方法は、図1及び図2に示すように、「半導体基体形成工程」、「溝形成工程」、「ガラス層形成工程」、「フォトレジスト形成工程」、「酸化膜除去工程」、「粗面化領域形成工程」、「電極形成工程」及び「半導体基体切断工程」をこの順序で実施する。以下、実施形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
(a)半導体基体形成工程
まず、n型半導体基板(n型シリコン基板)110の一方の表面からのp型不純物の拡散によりp型拡散層112、他方の表面からのn型不純物の拡散によりn型拡散層114を形成して、主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を形成する。その後、熱酸化によりp型拡散層112及びn型拡散層114の表面に酸化膜116,118を形成する(図1(a)参照。)。
(b)溝形成工程
次に、フォトエッチング法によって、酸化膜116の所定部位に所定の開口部を形成する。酸化膜のエッチング後、引き続いて半導体基体のエッチングを行い、半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝120を形成する(図1(b)参照。)。このとき、溝の内面にpn接合露出部Aが形成される。
(c)ガラス層形成工程
次に、溝120の表面に、電気泳動法により溝120の内面及びその近傍の半導体基体表面に実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層124を形成する(図1(c)参照。)。従って、溝120の内部におけるpn接合露出部はガラス層124により直接被覆された状態となる。
(d)フォトレジスト形成工程
次に、ガラス層124の表面を覆うようにフォトレジスト126を形成する(図1(d)参照。)。
(e)酸化膜除去工程
次に、フォトレジスト126をマスクとして酸化膜116のエッチングを行い、Niめっき電極膜を形成する部位130における酸化膜116を除去する(図2(a)参照。)。
(f)粗面化領域形成工程
次に、Niめっき電極膜を形成する部位130における半導体基体表面の粗面化処理を行い、Niめっき電極と半導体基体との密着性を高くするための粗面化領域132を形成する(図2(b)参照。)。
(g)電極形成工程
次に、半導体基体にNiめっきを行い、粗面化領域132上にアノード電極134を形成するとともに、半導体基体の他方の表面にカソード電極136を形成する(図2(c)参照。)。
(h)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層124の中央部において半導体基体を切断して半導体基体をチップ化して、メサ型半導体装置(pnダイオード)を作製する(図2(d)参照。)。
以上のようにして、高信頼性のメサ型半導体装置(実施形態4に係る半導体装置)100を製造することができる。
実施形態4に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いて半導体装置を製造するため、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
なお、実施形態4に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いて半導体装置を製造するため、実施形態4に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置は、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物の有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施形態5]
実施形態5は、半導体装置の製造方法に係る実施形態である。
実施形態5に係る半導体装置の製造方法は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法と同様に、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法である。そして、当該第2工程においては、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成する。但し、実施形態4に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なり、第1工程は、半導体基体の表面にpn接合露出部を形成する工程を含み、第2工程は、半導体基体の表面におけるpn接合露出部を直接覆うようにガラス層を形成する工程とを含む。
図3及び図4は、実施形態5に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(c)及び図4(a)〜図4(c)は各工程図である。
実施形態5に係る半導体装置の製造方法は、図3及び図4に示すように、「半導体基体準備工程」、「p型拡散層形成工程」、「n型拡散層形成工程」、「ガラス層形成工程」、「ガラス層エッチング工程」及び「電極形成工程」をこの順序で実施する。以下、実施形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
(a)半導体基体準備工程
まず、n型シリコン基板210上にn型エピタキシャル層212が積層された半導体基体を準備する(図3(a)参照。)。
(b)p型拡散層形成工程
次に、マスクM1を形成した後、当該マスクM1を介してn型エピタキシャル層212の表面における所定領域にイオン注入法によりp型不純物(例えばボロンイオン)を導入する。その後、熱拡散することにより、p型拡散層214を形成する(図3(b)参照。)。このとき、半導体基体の表面にpn接合露出部Aが形成される。
(c)n型拡散層形成工程
次に、マスクM1を除去するとともにマスクM2を形成した後、当該マスクM2を介してn型エピタキシャル層212の表面における所定領域にイオン注入法によりn型不純物(例えばヒ素イオン)を導入する。その後、熱拡散することにより、n型拡散層216を形成する(図3(c)参照。)。
(d)ガラス層形成工程
次に、マスクM2を除去した後、n型エピタキシャル層212の表面に、スピンコート法により、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成し、その後、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層220を形成する(図4(a)参照。)。
(e)ガラス層エッチング工程
次に、ガラス層220の表面にマスクM3を形成した後、ガラス層のエッチングを行う(図4(b)参照。)。これにより、n型エピタキシャル層212の表面における所定領域にガラス層220が形成されることとなる。
(f)電極形成工程
次に、マスクM3を除去した後、半導体基体の表面におけるガラス層220で囲まれた領域にアノード電極222を形成するとともに、半導体基体の裏面にカソード電極224を形成する(図4(c)参照。)。
以上のようにして、高信頼性のプレーナ型半導体装置(実施形態5に係る半導体装置)200を製造することができる。
なお、実施形態5に係る半導体装置の製造方法は、プレーナ型半導体装置を製造する方法である点以外は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法と同様であるため、実施形態4に係る半導体装置の製造方法の有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施形態6]
実施形態6に係る半導体装置の製造方法は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法と同様に、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法である。そして、当該第2工程においては、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成する。但し、実施形態6に係る半導体装置の製造方法においては、実施形態4に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なり、第2工程が、溝の内部におけるpn接合露出部上に絶縁層を形成する工程と、当該絶縁層を介してpn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する工程とを含む。実施形態6に係る半導体装置の製造方法においては、半導体装置としてメサ型のpnダイオードを製造する。
図5及び図6は、実施形態6に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(d)及び図6(a)〜図6(d)は各工程図である。
実施形態6に係る半導体装置の製造方法は、図5及び図6に示すように、「半導体基体形成工程」、「溝形成工程」、「絶縁層形成工程」、「ガラス層形成工程」、「フォトレジスト形成工程」、「酸化膜除去工程」、「粗面化領域形成工程」、「電極形成工程」及び「半導体基体切断工程」をこの順序で実施する。以下、実施形態6に係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
(a)半導体基体形成工程
まず、n型半導体基板(n型シリコン基板)110の一方の表面からのp型不純物の拡散によりp型拡散層112、他方の表面からのn型不純物の拡散によりn型拡散層114を形成して、主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を形成する。その後、熱酸化によりp型拡散層112及びn型拡散層114の表面に酸化膜116,118を形成する(図5(a)参照。)。
(b)溝形成工程
次に、フォトエッチング法によって、酸化膜116の所定部位に所定の開口部を形成する。酸化膜のエッチング後、引き続いて半導体基体のエッチングを行い、半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝120を形成する(図5(b)参照。)。このとき、溝の内面にpn接合露出部Aが形成される。
(c)絶縁層形成工程
次に、ドライ酸素(DryO)を用いた熱酸化法によって、溝120の内面にシリコン酸化膜からなる絶縁層121を形成する(図5(c)参照。)。絶縁層121の厚さは、5nm〜60nmの範囲内(例えば20nm)とする。絶縁層の形成は、半導体基体を拡散炉に入れた後、酸素ガスを流しながら900℃の温度で10分処理することにより行う。絶縁層121の厚さが5nm未満であると逆方向電流低減の効果が得られなくなる場合がある。一方、絶縁層121の厚さが60nmを超えると次のガラス層形成工程で電気泳動法によりガラス組成物からなる層を形成することができなくなる場合がある。
(d)ガラス層形成工程
次に、電気泳動法により溝120の内面及びその近傍の半導体基体表面に実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層124を形成する(図5(d)参照。)。なお、溝120の内面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する際には、溝120の内面を絶縁層121を介して被覆するようにガラス層124を形成する。従って、溝120の内部におけるpn接合露出部は絶縁層121を介してガラス層124により被覆された状態となる。
(e)酸化膜除去工程
次に、ガラス層124の表面を覆うようにフォトレジスト126を形成した後、当該フォトレジスト126をマスクとして酸化膜116のエッチングを行い、Niめっき電極膜を形成する部位130における酸化膜116を除去する(図6(a)参照。)。
(f)粗面化領域形成工程
次に、Niめっき電極膜を形成する部位130における半導体基体表面の粗面化処理を行い、Niめっき電極と半導体基体との密着性を高くするための粗面化領域132を形成する(図6(b)参照。)。
(g)電極形成工程
次に、半導体基体にNiめっきを行い、粗面化領域132上にアノード電極134を形成するとともに、半導体基体の他方の表面にカソード電極136を形成する(図6(c)参照。)。
(h)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層124の中央部において半導体基体を切断して半導体基体をチップ化して、半導体装置(メサ型のpnダイオード)102を製造する(図6(d)参照。)。
以上のようにして、高信頼性のメサ型半導体装置(実施形態6に係る半導体装置)102を製造することができる。
実施形態6に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態4に係る半導体装置の製造方法の場合と同様に、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いて半導体装置を製造するため、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態6に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基体とガラス層124との間に絶縁層121が介在することになることから、絶縁性が向上し、ガラス層の組成やガラス焼成条件の影響を受け難くなり、逆方向電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。
また、実施形態6に係る半導体装置の製造方法によれば、得られる半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたときに、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いて得られる半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたものよりも、高温逆バイアス耐量を高くすることができるという効果も得られる。
また、実施形態6に係る半導体装置の製造方法によれば、ガラス層124が半導体基体よりも濡れ性の高い絶縁層121と接触するようになるため、ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体とガラス層との境界面から泡が発生し難くなる。このため、そのような泡の発生を、ニッケル酸化物等の脱泡作用のある成分を添加することなく又は添加するとしても少ない添加量(例えば2.0mol%以下)で、抑制することが可能となる。
なお、実施形態6に係る半導体装置の製造方法は、第2工程が、溝の内部におけるpn接合露出部上に絶縁層を形成する工程と、当該絶縁層を介してpn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する工程とを含む点以外は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法と同様であるため、実施形態4に係る半導体装置の製造方法の有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施形態7]
実施形態7に係る半導体装置の製造方法は、実施形態5に係る半導体装置の製造方法と同様に、pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法である。そして、当該第2工程においては、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成する。但し、実施形態7に係る半導体装置の製造方法においては、実施形態5に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なり、第2工程が、半導体素子におけるpn接合露出部上に絶縁層を形成する工程と、当該絶縁層を介してpn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する工程とを含む。実施形態7に係る半導体装置の製造方法においては、半導体装置としてプレーナー型のpnダイオードを製造する。
図7及び図8は、実施形態7に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図7(a)〜図7(d)及び図8(a)〜図8(d)は各工程図である。
実施形態7に係る半導体装置の製造方法は、図7及び図8に示すように、「半導体基体準備工程」、「p型拡散層形成工程」、「n型拡散層形成工程」、「絶縁層形成工程」、「ガラス層形成工程」、「エッチング工程」及び「電極形成工程」をこの順序で実施する。以下、実施形態7に係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
(a)半導体基体準備工程
まず、n型シリコン基板210上にn型エピタキシャル層212が積層された半導体基体を準備する(図7(a)参照。)。
(b)p型拡散層形成工程
次に、マスクM1を形成した後、当該マスクM1を介してn型エピタキシャル層212の表面における所定領域にイオン注入法によりp型不純物(例えばボロンイオン)を導入する。その後、熱拡散することにより、p型拡散層214を形成する(図7(b)参照。)。このとき、半導体基体の表面にpn接合露出部Aが形成される。
(c)n型拡散層形成工程
次に、マスクM1を除去するとともにマスクM2を形成した後、当該マスクM2を介してn型エピタキシャル層212の表面における所定領域にイオン注入法によりn型不純物(例えばヒ素イオン)を導入する。その後、熱拡散することにより、n型拡散層216を形成する(図7(c)参照。)。
(d)絶縁層形成工程
次に、マスクM2を除去した後、ドライ酸素(DryO)を用いた熱酸化法によって、n型エピタキシャル層212の表面(及びn型シリコン基板210の裏面)にシリコン酸化膜からなる絶縁層218を形成する(図7(d)参照。)。絶縁層218の厚さは、5nm〜60nmの範囲内(例えば20nm)とする。絶縁層218の形成は、半導体基体を拡散炉に入れた後、酸素ガスを流しながら900℃の温度で10分処理することにより行う。絶縁層218の厚さが5nm未満であると逆方向電流低減の効果が得られなくなる場合がある。一方、絶縁層218の厚さが60nmを超えると次のガラス層形成工程で電気泳動法によりガラス組成物からなる層を形成することができなくなる場合がある。
(e)ガラス層形成工程
次に、電気泳動法により、絶縁層218の表面に実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層220を形成する(図8(a)参照。)。
(f)エッチング工程
次に、ガラス層220の表面にマスクM3を形成した後、ガラス層220のエッチングを行い(図8(b)参照。)、引き続き、絶縁層218のエッチングを行う(図8(c)参照。)。これにより、n型エピタキシャル層212の表面における所定領域に絶縁層218及びガラス層220が形成されることとなる。
(g)電極形成工程
次に、マスクM3を除去した後、半導体基体の表面におけるガラス層220で囲まれた領域にアノード電極222を形成するとともに、半導体基体の裏面にカソード電極224を形成する(図8(d)参照。)。
(h)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、半導体基体を切断して半導体基体をチップ化して、半導体装置(プレーナー型のpnダイオード)202を製造する。
以上のようにして、高信頼性のプレーナ型半導体装置(実施形態7に係る半導体装置)202を製造することができる。
実施形態7に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態5に係る半導体装置の製造方法の場合と同様に、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いて半導体装置を製造するため、鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
また、実施形態7に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基体とガラス層220との間に絶縁層218が介在することになることから、絶縁性が向上し、ガラス層の組成やガラス焼成条件の影響を受け難くなり、逆方向電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。
また、実施形態7に係る半導体装置の製造方法によれば、得られる半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたときに、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いて得られる半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたものよりも、高温逆バイアス耐量を高くすることができるという効果も得られる。
また、実施形態7に係る半導体装置の製造方法によれば、ガラス層220が半導体基体よりも濡れ性の高い絶縁層218と接触するようになるため、ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体とガラス層との境界面から泡が発生し難くなる。このため、そのような泡の発生を、ニッケル酸化物等の脱泡作用のある成分を添加することなく又は添加するとしても少ない添加量(例えば2.0mol%以下)で、抑制することが可能となる。
なお、実施形態7に係る半導体装置の製造方法は、第2工程が、半導体素子におけるpn接合露出部上に絶縁層を形成する工程と、当該絶縁層を介してpn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する工程とを含む点以外は、実施形態5に係る半導体装置の製造方法と同様であるため、実施形態5に係る半導体装置の製造方法の有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施例]
1.試料の調整
図9は、実施例の条件及び結果を示す図表である。実施例1〜5及び比較例1〜9に示す組成比(図9参照。)になるように原料を調合し、混合機でよく攪拌した後、その混合した原料を白金ルツボに入れ、電気炉中で所定温度(1350℃〜1550℃)まで上昇させて2時間溶融させた。その後、融液を水冷ロールに流し出して薄片状のガラスフレークを得た。このガラスフレークをボールミルで平均粒径が5μmとなるまで粉砕して、粉末状のガラス組成物を得た。
なお、実施例において使用した原料は、SiO、HBO、Al、ZnO、CaCO、BaCO、MgO、NiO、ZrO及びPbOである。
2.評価
上記方法により得た各ガラス組成物を用いて以下の評価項目により評価した。
(1)評価項目1(環境負荷)
本発明の目的が「鉛を含まないガラス材料を用いて、従来の『珪酸鉛を主成分としたガラス材料』を用いた場合と同様に高信頼性の半導体装置を製造することを可能とする」ことにあるため、鉛成分を含まない場合に「○」の評価を与え、鉛成分を含む場合に「×」の評価を与えた。
(2)評価項目2(焼成温度)
焼成温度が高すぎると製造中の半導体装置に与える影響が大きくなるため、焼成温度が1000℃以下である場合に「○」の評価を与え、焼成温度が1000℃を超える場合に「×」の評価を与えた。なお、図9の評価項目2の欄中、括弧内の数字は、焼成温度を示す。
(3)評価項目3(耐薬品性)
ガラス組成物がフッ酸に対して難溶性を示す場合に「○」の評価を与え、フッ酸に対して溶解性を示す場合に「×」の評価を与えた。このうち、フッ酸に対して難溶性を示すか否かの試験は、以下の2つの試験方法(試験方法1及び2)により実施した。
(3−1)試験方法1
それぞれのガラス組成物を用いて電気泳動法により鏡面のシリコンウェーハの表面にガラス層を形成し、焼成した後、10mm×10mmのサイズに切り出して試験片とした。その後、各試験片をフッ酸溶液(6%)に5分間浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定した。その結果、試験片の重量変化が2.0mg以下の場合に「○」の評価を与え、試験片の重量変化が2.0mgを超える場合に「×」の評価を与えた。
(3−2)試験方法2
それぞれのガラス組成物を用いて電気泳動法により鏡面のシリコンウェーハの表面にガラス層を形成し、焼成した後、10mm×10mmのサイズの試料を作製した。その後、これらの試料のガラス層形成面に4mmφの開口を有するレジストを形成し、これを試験片とした。その後、各試験片をフッ酸溶液(6%)に5分間浸漬した後、レジストを除去し、エッチング部と非エッチング部との段差(4箇所)を焦点深度法により測定した。図10は、エッチング部と非エッチング部との段差を示す図である。その結果、測定した4箇所における段差の平均値が6.0μm以下の場合に「○」の評価を与え、測定した4箇所における段差の平均値が6.0μmを超える場合に「×」の評価を与えた。
(3−3)評価項目3における総合評価
上記した試験方法1及び試験方法2についての各個別評価がすべて「○」の場合に「○」の評価を与え、各個別評価のうち1つでも「×」がある場合に「×」の評価を与えた。図11に、試験方法1及び試験方法2の結果を示す。なお、図9からも分かるように、比較例7〜9に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、ガラス化の過程で結晶化を起こすため、評価項目3における評価を行うことができなかった。従って、図9中、評価項目3の欄には「−」を記載した。
(4)評価項目4(平均線膨張率)
上記した「1.試料の調整」の欄で得られた融液から薄片状のガラス板を作製し、当該薄片状のガラス板を用いて、50℃〜550℃におけるガラス組成物の平均線膨張率を測定した。平均線膨張率の測定は、島津製作所製の熱機械分析装置TMA−60を用いて、長さ20mmのシリコン単結晶を標準試料として、全膨張測定法(昇温速度10℃/分)により行った。その結果、50℃〜550℃における平均線膨張率が4.5×10−6以下の場合に「○」の評価を与え、4.5×10−6を超える場合に「×」の評価を与えた。なお、図9の評価項目4の欄中、括弧内の数字は、50℃〜550℃におけるガラス組成物の平均線膨張率×10+6の値を示す。なお、シリコンの線膨張率は3.73×10−6である。
(5)評価項目5(絶縁性)
実施形態6に係る半導体装置の製造方法と同様の方法によって耐圧600V級の半導体装置(pnダイオード)を作製し、作製した半導体装置の逆方向特性を測定した。図12は、半導体装置における逆方向特性を示す図である。図12(a)は実施例1の半導体接合保護用ガラス組成物を用いて作製した半導体装置における逆方向特性を示す図であり、図12(b)は実施例3の半導体接合保護用ガラス組成物を用いて作製した半導体装置における逆方向特性を示す図であり、図12(c)は実施例5の半導体接合保護用ガラス組成物を用いて作製した半導体装置における逆方向特性を示す図である。その結果、半導体装置の逆方向特性が正常範囲にある場合に「○」の評価を与え、半導体装置の逆方向特性が正常範囲にない場合に「×」の評価を与えた。なお、図9からも分かるように、比較例7〜9に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、ガラス化の過程で結晶化を起こすため、評価項目5における評価を行うことができなかった。従って、図9中、評価項目5の欄には「−」を記載した。
(6)評価項目6(結晶化の有無)
実施形態6に係る半導体装置の製造方法と同様の方法によって半導体装置(pnダイオード)を作製し、その製造過程において結晶化することなくガラス化できた場合に「○」の評価を与え、結晶化によりガラス化できなかった場合に「×」の評価を与えた。
(7)評価項目7(泡発生の有無)
シリコン基板上に絶縁層を介してガラス層を形成した場合における泡の発生の有無を観察した。すなわち、実施形態6に係る半導体装置の製造方法と同様の方法により半導体装置(pnダイオード)を作製し、ガラス層124の内部(特に、絶縁層121との境界面近傍)に泡が発生しているかどうかを観察した(予備評価)。また、それぞれのガラス組成物を用いて電気泳動法により鏡面のシリコンウェーハの表面に絶縁層を介してガラス層を形成し、焼成した後、10mm×10mmのサイズに切り出して試験片とした。その後、当該試験片におけるガラス層に気泡があるかどうかを金属顕微鏡にて観察した(本評価)。
なお、参考のため、シリコン基板上に絶縁層を介することなくガラス層を形成した場合における泡の発生の有無を、シリコン基板上に絶縁層を介してガラス層を形成した場合と同様に観察した。すなわち、実施形態4に係る半導体装置の製造方法と同様の方法により半導体装置(pnダイオード)を作製し、ガラス層124の内部(特に、シリコン基板との境界面近傍)に泡が発生しているかどうかを観察した(予備評価(参考))。また、それぞれのガラス組成物を用いて電気泳動法により鏡面のシリコンウェーハの表面に直接ガラス層を形成し、焼成した後、10mm×10mmのサイズに切り出して試験片とした。その後、当該試験片におけるガラス層に気泡があるかどうかを金属顕微鏡にて観察した(本評価(参考))。
図13は、予備評価及び予備評価(参考)においてガラス層124の内部に発生する泡bを説明するために示す図である。図13(a)は予備評価において泡bが発生しなかった場合の半導体装置の断面図であり、図13(b)は予備評価(参考)において泡bが発生した場合の半導体装置の断面図である。図13は、本評価及び本評価(参考)においてガラス層の内部に発生する泡bを説明するために示す写真である。図13(a)は本評価において泡bが発生しなかった場合におけるシリコン基板とガラス層との境界面を拡大して示す図であり、図13(b)は本評価(参考)において泡bが発生した場合におけるシリコン基板とガラス層との境界面を拡大して示す図である。実験の結果、予備評価及び予備評価(参考)の結果と本発明及び本評価(参考)の評価結果には良好な対応関係があることがわかった。また、本評価及び本評価(参考)において、ガラス層の内部に直径50μm以上の泡が1個も発生しなかった場合に「○」の評価を与え、ガラス層の内部に直径50μm以上の泡が1個〜20個発生した場合に「△」の評価を与え、ガラス層の内部に直径50μm以上の泡が21個以上発生した場合に「×」の評価を与えた。なお、図9からも分かるように、比較例7〜9に係る半導体接合保護用ガラス組成物は、ガラス化の過程で結晶化を起こすため、評価項目7における評価を行うことができなかった。従って、図9中、評価項目7の欄には「−」を記載した。
(8)総合評価
上記した評価項目1〜7についての各評価がすべて「○」の場合に「○」の評価を与え、各評価のうち1つでも「△」又は「×」がある場合に「×」の評価を与えた。
3.評価結果
図9からも分かるように、比較例1〜9に係るガラス組成物はいずれも、いずれかの評価項目で「×」の評価があり、「×」の総合評価が得られた。すなわち、比較例1〜6に係るガラス組成物は、評価項目3で「×」の評価が得られた。また、比較例7〜9に係るガラス組成物は、評価項目6で「×」の評価が得られた。
これに対して、実施例1〜5に係るガラス組成物はいずれも、すべての評価項目(評価項目1〜7)について「○」の評価が得られた。その結果、実施例1〜5に係るガラス組成物はいずれも、鉛を含有しないガラス組成物でありながら、(a)適正な温度(例えば1000℃以下)で焼成できること、(b)工程で使用する薬品(フッ酸)に耐えること、(c)シリコンの線膨張率に近い線膨張率を有すること(特に50℃〜550℃における平均線膨張率がシリコンの線膨張率に近いこと)及び(d)優れた絶縁性を有することという条件をすべて満たし、さらには、(e)ガラス化の過程で結晶化しないこと、及び、(f)電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン)上に形成した絶縁層との境界面から発生することがある泡の発生を抑制して、半導体装置の逆方向耐圧特性が劣化するという事態の発生を抑制することを可能とする、ガラス組成物であることが分かった。
また、実施例1〜5によれば、シリコン基板上に絶縁層を介してガラス層を形成した場合には、ガラス層124が半導体基体よりも濡れ性の高い絶縁層と接触するようになるため、ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体(絶縁層)とガラス層との境界面から泡が発生し難くなる。このため、そのような泡の発生を、ニッケル酸化物等の脱泡作用のある成分を添加することなく又は添加するとしても少ない添加量(例えば2.0mol%以下)で、抑制することが可能となることが分かった。
また、上記のようにして作製した半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたときに、従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いて得られる半導体装置を樹脂でモールドして樹脂封止型半導体装置としたものよりも、高温逆バイアス耐量が高くなることも分かった。
以上、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記の実施形態4〜7においては、実施形態1に係る半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、請求項1の範囲に入る別の半導体接合保護用ガラス組成物を用いてガラス層を形成してもよい。
(2)上記の実施形態1〜3においては、「ニッケル酸化物、銅酸化物、マンガン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選択された少なくとも1つの金属酸化物」として、ニッケル酸化物を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、銅酸化物、マンガン酸化物又はジルコニウム酸化物を用いてもよい。また、「ニッケル酸化物、銅酸化物、マンガン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選択された少なくとも1つの金属酸化物」を用いないこととしてもよい。
(3)上記の実施形態4及び6においては、電気泳動法を用いてガラス層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スピンコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法その他のガラス層形成方法によりガラス層を形成してもよい。
(4)上記の実施形態5及び7においては、スピンコート法を用いてガラス層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電気泳動法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法その他のガラス層形成方法によりガラス層を形成してもよい。
なお、上記(3)及び(4)において、スピンコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法を用いてガラス層を形成する場合には、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物に有機バインダを添加した混合物を用いてガラス層を形成することが好ましい。例えば、本発明の半導体接合保護用ガラス組成物に有機バインダを添加した混合物を半導体基体に所定の方法で塗布すれば、ガラス焼成時に有機バインダが消失して所望のガラス層を形成することができる。
(5)上記の各実施形態6及び7においては、ドライ酸素(DryO)を用いた熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる絶縁層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ドライ酸素及び窒素(DryO+N)を用いた熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる絶縁層を形成してもよいし、ウェット酸素(WetO)を用いた熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる絶縁層を形成してもよいし、ウェット酸素及び窒素(WetO+N)を用いた熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる絶縁層を形成してもよい。また、CVDによりシリコン酸化膜からなる絶縁層を形成してもよい。さらにまた、シリコン酸化膜以外の絶縁層(例えば、シリコン窒化膜からなる絶縁層、高抵抗半絶縁層(例えばSIPOS)など。)を形成してもよい。
(6)上記の実施形態4及び6においては、酸化膜116のエッチングを行う際のマスクとしてフォトレジスト126を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ピッチ系ガラス保護膜を用いてもよい。
(7)上記の実施形態5及び7においては、n型シリコン基板210上にn型エピタキシャル層212が積層された半導体基体を用いたが、n型シリコン基板にリンなどのp型不純物を拡散してn層を形成した半導体基体を用いてもよい。
(8)本発明においては、ガラス組成物層の焼成過程で結晶化を起こし難いガラス組成物を用いることが好ましい。このようにすることで、逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。この点で、本発明は、ガラス層の焼成過程でガラス組成物を高い結晶化度のガラスセラミック体に変化させる、特開昭63−117929号公報に記載の技術とは異なる。
(9)本発明においては、Biを実質的に含有しない原料を用いることが好ましい。このようにすることで、ガラス組成物層の焼成過程でガラス層が結晶化を起こし難くなり、逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。この点で、本発明は、Biを含有する原料を用いる、特表2005−525287号公報に記載の技術とは異なる。
(10)本発明においては、Cuを実質的に含有しない原料を用いることが好ましい。このようにすることで、ガラス組成物層の焼成過程でガラス層が結晶化を起こし難くなり、このことによっても、逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。この点で、本発明は、Cuを含有する原料を用いる、特開2001−287984号公報に記載の技術とは異なる。
(11)本発明においては、Li及びPbを実質的に含有しない原料を用いることとしている。この点で、本発明は、LiやPbを含有する原料を用いる、特開2002−16272号公報に記載の技術とは異なる。
(12)本発明においては、Pを実質的に含有しない原料を用いることが好ましい。このようにすることで、半導体接合保護用ガラス組成物からなる層の焼成過程でガラス層から半導体基体にP(リン)が拡散されることが防止され、高信頼性の半導体装置を製造することが可能となる。
(13)上記の実施形態4〜7においては、ダイオード(メサ型のpnダイオード、プレーナー型のpnダイオード)を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。pn接合が露出する半導体装置全般(例えば、サイリスター、パワーMOSFET、IGBTなど。)に本発明を適用することもできる。
(14)上記の実施形態4〜7においては、半導体基板としてシリコンからなる基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、SiC基板、GaN基板、GaO基板などの半導体基板を用いることもできる。
100,102,200,202,900…半導体装置、110,910…n型半導体基板、112,912…p型拡散層、114,914…n型拡散層、116,118,916,918…酸化膜、120,920…溝、121,218…絶縁層、124,220,924…ガラス層、126,926…フォトレジスト、130,930…Niめっき電極膜を形成する部位、132,932…粗面化領域、134,222,934…アノード電極、136,224,936…カソード電極、210…n型半導体基板、212…n型エピタキシャル層、214…p型拡散層、216…n型拡散層、b…泡

Claims (19)

  1. 少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まないことを特徴とする半導体接合保護用ガラス組成物。
  2. 前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO及びBaOのうち1つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  3. 前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうち2つのアルカリ土類金属の酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  4. 前記原料は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、CaO、BaO及びMgのうちすべてのアルカリ土類金属の酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  5. 前記原料は、Pを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  6. 前記原料は、Biを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  7. 前記原料は、ニッケル酸化物、銅酸化物、マンガン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選択された少なくとも1つの金属酸化物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  8. 50℃〜550℃の温度範囲において、平均線膨張率が3.3×10−6〜4.5×10−6の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  9. SiOの含有量が50.0mol%〜68.0mol%の範囲内にあり、Bの含有量が6.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、Alの含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあり、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が7.0mol%〜18.0mol%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体接合保護用ガラス組成物。
  10. pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と、
    前記pn接合露出部を覆うようにガラス層を形成する第2工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法であって、
    前記第2工程においては、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まない半導体接合保護用ガラス組成物を用いて前記ガラス層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 前記第1工程は、主面に平行なpn接合を備える半導体基体を準備する工程と、前記半導体基体の一方の表面から前記pn接合を超える深さの溝を形成することにより、前記溝の内部に前記pn接合露出部を形成する工程とを含み、
    前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部を直接覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記第2工程は、前記溝の内部における前記pn接合露出部上に絶縁層又は高抵抗半絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層又は高抵抗半絶縁層を介して前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記第1工程は、半導体基体の表面に前記pn接合露出部を形成する工程を含み、
    前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部を直接覆うように前記ガラス層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記第2工程は、前記半導体基体の表面における前記pn接合露出部上に絶縁層又は高抵抗半絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層又は高抵抗半絶縁層を介して前記pn接合露出部を覆うように前記ガラス層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記半導体接合保護用ガラス組成物は、脱泡剤としての多価元素を実質的に含有しない半導体接合保護用ガラス組成物であることを特徴とする請求項13又は16に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記多価元素は、V、Mn、Sn、Ce、Nb及びTaを含むことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
  19. pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子と、
    前記pn接合露出部を覆うように形成されたガラス層とを備える半導体装置であって、
    前記ガラス層は、少なくともSiOと、Bと、Alと、アルカリ土類金属の酸化物とを含有し、かつ、Pbと、Asと、Sbと、Liと、Naと、Kと、Znとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり、かつ、フィラーを含まない半導体接合保護用ガラス組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする半導体装置。
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