JPWO2013125011A1 - 電流センサ及び電力変換器 - Google Patents

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Abstract

スイッチングノイズの影響を抑制した電流計測技術を提供する。
本明細書が開示する技術は、スイッチング回路の出力電流を計測する電流センサである。電流センサは、電流の計測ポイントに配置した磁気光学素子と、磁気光学素子に光を照射する光源と、磁気光学素子の透過光、または、反射光を受信する光受信器を備える。光源は、スイッチング回路のキャリア信号に同期して光を照射する。キャリア信号に同期して光を照射し、その光で電流を計測する。キャリア信号に同期させるので、キャリア信号に基づいて生成されるPWM信号に起因するスイッチングタイミング以外で電流を計測することができる。

Description

本明細書が開示する技術は、スイッチング回路の出力電流の計測に適した電流センサと、そのような電流センサを含む電力変換器に関する。本明細書が開示する電流センサは、磁気光学素子(Magneto-Optical Crystal)を利用する。
極めて短時間に精度良く電流を計測するデバイスに、磁気光学素子を用いた電流センサがある。その電流センサは、基本的に、電流の計測ポイントに配置した磁気光学素子と、磁気光学素子にレーザを照射するレーザ光源と、磁気光学素子による反射レーザ(あるいは、透過レーザ)を受信するレーザ受信器と、受信したレーザの偏光状態から計測ポイントにおける電流値を算出する演算部で構成されている。
磁気光学素子は、受けている磁界に応じて反射光あるいは透過光の偏光状態を変化させる特定を有している。従って、電流が発する磁界内に磁気光学素子を配置し、その磁気光学素子にレーザを照射し、反射光(あるいは透過光)の偏光状態から電流の大きさを求めることができる。磁気光学素子を使った電流センサは、極めて短時間で計測できること(周波数帯域が広いこと)、非侵襲であること、電磁ノイズに強いこと、などの利点がある。なお、磁界の影響によって透過光の偏光状態が変化し、偏光面が回転する現象はファラデー効果と呼ばれ、反射光の偏光状態が変化する現象は磁気光学カー効果(Magneto-Optical Kerr Effect)と呼ばれる。
例えば、特開平6−224727号公報(特許文献1)、そのような電流センサの適用例が開示されている。また、特願2011−56473号(本願出願時は未公開)にも、そのような電流センサの一例が開示されている。特に、特許文献1は、電気自動車や鉄道のインバータが強い電磁ノイズを発生することを理由に、インバータの出力交流電流を計測する電流センサに上記の磁気光学素子を使った電流センサを適用することを提案している。
インバータに限らず、スイッチング回路を含む電力変換器は、スイッチング動作が電磁ノイズの原因の一つである。本明細書が開示する技術も、磁気光学素子を利用した電流センサを採用する。本明細書が開示する技術は、スイッチング回路に特有の構成を巧みに利用し、電流計測においてスイッチング動作に起因するノイズの影響を抑制する。
スイッチング回路を駆動する信号は、多くの場合PWM信号(あるいはPAM信号)である。PWM信号は、キャリア信号と呼ばれる周期信号と、指令信号(駆動信号)と呼ばれる信号から生成される。指令信号は、出力させたい交流波形に相当する。スイッチング回路のコントローラは、キャリア信号と指令信号を比較し、いずれか一方(例えばキャリア)の電圧が高い期間がパルス幅に相当する可変パルス幅の信号、すなわちPWM信号を生成する。ここで、スイッチング動作が生じるタイミングは、キャリア信号と指令信号の交点に相当する。そして、スイッチング動作に起因してノイズが発生する。そこで、本明細書が開示する技術は、その交点を避けるようにレーザの発射タイミングを調整する。具体的には、本明細書が開示する電流センサでは、レーザ光源が、スイッチング回路の駆動信号を生成するためのキャリア信号に同期して光を照射する。そのように構成することによって、スイッチング動作のタイミングと異なるタイミングで電流計測のためのレーザ光が照射される。スイッチングタイミングで発生するノイズは、そのようなレーザ光に基づく電流計測値には影響しないか、影響してもわずかである。
キャリア信号に同期したパルスレーザを発生させるには、例えば、電圧レベルが一定の指令信号とキャリア信号を比較し、キャリア信号が大きい期間だけ(あるいは小さい期間だけ)レーザを照射するようにすればよい。キャリア信号が大きい期間にレーザを照射するパルスレーザは、キャリア信号のピークに同期したパルスレーザとなり、さらには、ピークを中心とするパルスレーザとなる。逆に、キャリア信号が小さい期間にレーザを照射するパルスレーザは、キャリア信号のボトムに同期したパルスレーザとなり、さらには、ボトムを中心とするパルスレーザとなる。そのようなパルスレーザを用いれば、スイッチングタイミングを外して電流を計測することができ、スイッチングに起因するノイズの影響を排除できる。
なお、キャリア信号のピーク付近、あるいは、ボトム付近をトリガとしたパルスレーザであれば上記の利点を得ることができる。それゆえ、例えば、ピーク(あるいはボトム)に近いレベルの指令振動とキャリア信号を比較し、その交点のタイミングから所定の時間幅だけパルスを発生するレーザ光源も有用であることに留意されたい。
キャリア信号を利用する利点は他にもある。すでにあるキャリア信号を利用するので、パルスレーザを生成するための周期的なトリガ信号を別途に用意する必要がない。連続レーザではなく、パルスレーザを用いることで、レーザ光源の寿命が伸びる。また、パルスレーザは連続レーザよりも発熱量が小さい。電流センサをインバータの3相交流電流の計測に用いる場合、一つのキャリア信号に基づいて3個のパルスレーザを生成することによって、3つの交流信号を同じタイミングで計測することができる。
上記の電流センサは、スイッチング回路の特性を利用した技術である。そえゆえ、上記の電流センサとスイッチング回路を備えた電力変換器も本明細書が開示する新規なデバイスである。特に、一つのキャリア信号に同期した3個のレーザ光源によってUVW3相の出力交流電流を計測する電流センサを備えたインバータは、本明細書が開示する新規なデバイスの最も典型的な例である。
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明の実施の形態で説明する。
ハイブリッド車の駆動系のブロック図である。 電流センサのブロック図である。 ノイズを含む出力電流信号と、キャリア信号と、パルスレーザと、計測した電流値の関係の一例を示すグラフである。 ノイズを含む出力電流信号と、キャリア信号と、パルスレーザと、計測した電流値の関係の別の一例を示すグラフである。 ADコンバータの起動遅れの補償を説明する図である。
図面を参照して実施例の電流センサを説明する。本実施例は、電流センサをハイブリッド車のモータ駆動用のインバータに適用したものである。電流センサは、インバータのUVW3相の出力電流を計測するためにインバータに備えられている。
図1にハイブリッド車2の駆動系のブロック図を示す。ハイブリッド車2は、走行用の駆動源として、モータ8とエンジン6を備えている。モータ8の出力トルクとエンジン6の出力トルクは、動力分配機構7で適宜に分配/合成され、車軸9(即ち車輪)へ伝達される。なお、図1は、本明細書の説明に要する部品だけを描いてあり、説明に関係のない一部の部品は図示を省略していることに留意されたい。
モータ8を駆動するための電力はメインバッテリ3から供給される。メインバッテリ3の出力電圧は例えば300ボルトである。なお、図示を省略しているが、ハイブリッド車2は、メインバッテリ3の他に、カーナビやルームランプなど、メインバッテリ3の出力電圧よりも低い電圧で駆動するデバイス群(通称「補機」と呼ばれる)に電力を供給するための補機バッテリも備える。補機バッテリの出力電圧(即ち、補機の駆動電圧)は例えば12ボルトや24ボルトである。「メインバッテリ」との呼称は、「補機バッテリ」と区別するための便宜上のものである。
メインバッテリ3は、システムメインリレー4を介してインバータ5に接続される。システムメインリレー4は、メインバッテリ3と車両の電力回路を接続したり切断したりするスイッチである。システムメインリレー4は、上位コントローラ(不図示)によって切り換えられる。
インバータ5は、メインバッテリ3の電圧をモータ駆動に適した電圧(例えば600ボルト)まで昇圧する電圧コンバータ回路12と、昇圧後の直流電力を交流に変換するインバータ回路13を含む。インバータ回路13の出力電流が、モータ8への供給電力に相当する。なお、ハイブリッド車2は、エンジン6の駆動力、あるいは、車両の減速エネルギを利用してモータ8で発電することもできる。モータ8が発電する場合、インバータ回路13が交流を直流に変換し、さらに、電圧コンバータ回路12がメインバッテリ3よりも僅かに高い電圧まで降圧し、メインバッテリ3へ供給する。電圧コンバータ回路12とインバータ回路13はともにIGBTなどのスイッチング回路14を主とする回路であり、スイッチング回路14への制御信号(PWM信号)は、コントローラ20(インバータコントローラ)が生成し、供給する。なお、具体的には、スイッチング回路14は、IGBTとダイオードの逆並列接続で構成されており、PWM信号は、IGBTのゲートに供給される。また、インバータ5は、電圧コンバータ回路12とインバータ回路13の夫々に複数のスイッチング回路を備えるが、図1では一つのスイッチング回路にのみ符号「14」を付していることに留意されたい。
コントローラ20は、キャリア信号発生器21と、PWM発生器22を含む。キャリア信号発生器21は、予め定められた周波数の三角波を生成する。PWM発生器22は、上位コントローラ(不図示)から送られるモータ指令信号(モータ駆動信号)とキャリア信号を比較し、キャリア信号の電圧がモータ指令信号の電圧よりも高い期間をパルス幅として有するパルス信号(即ちPWM信号)を生成する。コントローラ20は、各スイッチング回路に対して個別にPWM信号を生成する。生成されたPWM信号はインバータ回路13の各スイッチング回路に供給される。
インバータ回路13は複数のスイッチング回路を備えるが、キャリア信号は一つであることに留意されたい。
電圧コンバータ回路12の低電圧側(即ちメインバッテリ側)にはコンデンサC2が接続されており、電圧コンバータ回路12の高電圧側(即ちインバータ回路側)にはコンデンサC1が接続されている。コンデンサC2は電圧コンバータ回路12と並列に接続されており、コンデンサC1も電圧コンバータ回路12と並列に接続されている。コンデンサC2は、リアクトルL1及びスイッチング回路とともに昇圧/降圧回路を構成する。コンデンサC2は、メインバッテリ3の電力を一時的に蓄積し、リアクトルL1が誘導起電力を発生するときの電力源となる。コンデンサC2は、フィルタコンデンサと呼ばれることがある。コンデンサC1は、インバータ回路13に入力される電流を平滑化するために挿入されており、平滑コンデンサと呼ばれることがある。なお、インバータ回路13のスイッチング素子群の高電位側の電線をP線と称し、グランド電位側の電線をN線と称する。コンデンサC1は、P線とN線の間に挿入されている。メインバッテリ3からモータ8へは大電流が供給されるので、コンデンサC2、コンデンサC1ともに大容量である。
インバータ5は、モータ8へ供給する電流を制御するため、電流フィードバック制御を行う。そのため、インバータ5は電流センサ30を備えている。電流センサ30は、一つのコントローラ31(センサコントローラ)と3つのセンサ本体32で構成される。コントローラ31は、インバータコントローラ20内のキャリア信号発生器21からキャリア信号を受け、そのキャリア信号に同期したレーザ駆動信号を生成する。レーザ駆動信号は、キャリア信号に同期したパルス信号である。レーザ駆動信号は3つのセンサ本体32の夫々に送られる。センサ本体32は、レーザ駆動信号に基づいてパルスレーザをターゲットに照射し、その反射波を受信する。ターゲットは、電流ケーブルに備えられた磁気光学素子である。センサ本体32は、レーザ反射波の偏光角を示す信号をコントローラ31へ送る。コントローラ31は、センサ本体32から送られた信号に基づき、電流の大きさを特定する。図1に示すように、センサ本体32は、インバータ5のUVW3相出力の夫々に取り付けられている。
センサ本体32の構成について説明する。センサ本体32のブロック図を図2に示す。図2に示すセンサ本体32は、インバータのU相出力のバスバ90に流れる電流Irを計測する。前述したように、コントローラ31は、キャリア信号発生器21からキャリア信号を受け、キャリア信号に同期したレーザ駆動信号をレーザ光源41に送る。コントローラ31が送信するレーザ駆動信号は、パルス信号である。レーザ光源41は、コントローラ31が生成したレーザ駆動信号に基づき、パルスレーザを照射する。レーザ駆動信号については後に詳しく説明する。レーザ光源41から照射されたパルスレーザは、偏光プリズム42を通り、直線偏光レーザとなる。直線偏光のパルスレーザは、バスバ90に沿って配置された磁気光学素子50(MOC:Magneto-Optical Crystal)に照射される。磁気光学素子は、磁界を受けると複屈折率が変化する特性を有する素子である。磁気光学素子50は、受けた磁界の強さに応じて複屈折率を変化させる。複屈折率が変化することによって、通過レーザ光の偏光状態が変化する。典型的には、磁界の強さに応じて偏光角が変化する。ここで、磁界Hrは、バスバ90を流れる電流Irに起因して生じる。従って磁気光学素子50を通過したレーザ光の偏光状態(偏光角)を計測することによって、磁界の強さHr、即ち、電流Irの大きさが計測できる。磁気光学素子50としては、例えば、Bi-YIGバルク単結晶48の背面に誘電体全反射ミラー(DM)49をコーティングしたものを用いればよい。誘電体全反射ミラー49をコーティングしているので、パルスレーザは磁気光学素子50で反射する。反射レーザ光は、1/4波長板52を通過した後、プリズムビームスプリッタ43でp波とs波に分離される。それぞれのレーザ光は、レーザ検出器44a、44bで検出される。詳しい説明は省略するが、p波とs波の強度差が偏光角に相当する。レーザ検出器44a、44bは、それぞれ、p波の強度とs波の強度を計測する。レーザ検出器44a、44bの出力は作動アンプ46に入力され、2本のレーザ光の差が増幅される。2本のレーザ光の差が磁界Hrの大きさ、即ち、バスバ90を通る電流Irに相当する。作動アンプ46の出力はローパスフィルタ47を介してコントローラ31へ送られる。なお、作動アンプ46の出力から電流を算出する演算はコントローラ31が行う。また、磁気光学素子50は、電流を計測するバスバ上の任意の位置に取り付けてよい。磁気光学素子50が取り付けられた位置が計測ポイントに相当する。即ち、計測ポイントは、電流を計測するバスバ上の任意の位置に定めることができる。
レーザ光源41はインバータ5のキャリア信号に同期したパルスレーザを照射する。その利点を説明する。図3は、インバータの出力電流(図3(A))、キャリア信号(図3(B))、パルスレーザ(図3(C))、及び、計測した電流(図3(D))の関係を示すグラフである。図3(B)は、キャリア信号Caと、モータ駆動指令Drを示している。モータ駆動指令Drは、モータに供給したい電流波形を表す。PWM発生器22(図1参照)は、キャリア信号Caとモータ駆動指令Drを比較し、キャリア信号Caが高い期間をパルス幅とするPWM信号を生成する。PWM発生器22は、生成したPWM信号をスイッチング回路に供給する。スイッチング回路はPWM信号に応じてスイッチングを繰り返し、図3(A)に示す電流Irが出力される。スイッチングのタイミングは、キャリア信号Caとモータ駆動指令Drの交点に相当し、このタイミングで出力電流Irにノイズが生じる(図3(A)の記号N参照)。
他方、電流センサ30のコントローラ31は、キャリア信号Caと、電圧レベル一定の参照信号Ddから、レーザの駆動信号を生成する(図3(B)、(C)参照)。コントローラ31は、キャリア信号Caと参照信号Ddを比較し、キャリア信号の電圧が参照信号Ddの電圧よりも高い期間をパルス幅とするレーザ駆動信号を生成する(図3(C))。レーザ光源41(図2参照)は、レーザ駆動信号に応じたパルスレーザを照射する。図3から明らかなとおり、レーザ光源41が照射するパルスレーザは、インバータのキャリア信号Caに同期している。より詳しくは、レーザ光源41が照射するパルスレーザは、キャリア信号CaのピークPkを中心とする所定幅のパルスとなる。キャリア信号CaのピークPkがスイッチングタイミングと一致することはなく、スイッチングとスイッチングの間でレーザが照射され、電流が計測される。パルスレーザが照射されている期間内で、電流が計測される。図3(D)の符号Tsが、電流を計測するタイミングを示している。図3(D)に示すように、電流Irの計測タイミングTsは、スイッチングとスイッチングの間となり、電流計測値IdにはノイズNが影響しない。V相出力電流とW相出力電流を計測するセンサ本体32についても同様である。
インバータ5は、UVW3相出力電流の夫々を計測する3個のセンサ本体32を備えている。全てのセンサ本体に供給されるレーザ駆動信号は一つのキャリア信号Caに基づいている。それゆえ、インバータ5は、UVW3相出力電流を同時に計測することができる。
図3の例は、レーザ光源41がキャリア信号Caのピークタイミングを含むパルスレーザを照射した。同じ利点は、キャリア信号Caのボトムのタイミングを含むパルスレーザであっても得られる。図4は、ノイズを含む出力電流信号(図4(A))と、キャリア信号(図4(B))と、パルスレーザ(図4(C))と、計測した電流値(図4(D))の関係の別の一例を示すグラフである。図4の例では、コントローラ31は、低いレベルの参照信号Ddを使ってレーザ駆動信号を生成する。具体的には、コントローラ31は、キャリア信号Caと参照信号Ddを比較し、キャリア信号の電圧が参照信号Ddの電圧よりも低い期間をパルス幅とするレーザ駆動信号を生成する(図3(C))。他方、図4(B)に示すように、PWM信号は、キャリア信号Caとモータ駆動指令Drとの交点で定まるパルス信号であり、その交点(即ちスイッチングタイミング)が、キャリア信号CaのボトムBtmと一致することはない。それゆえ、キャリア信号CaのボトムBtmに同期したパルスレーザを採用する電流センサは、スイッチングノイズが生じるタイミング以外のタイミングで電流を計測することができる(図4(D)参照)。より詳細には、図4の例では、レーザ光源41は、キャリア信号CaのボトムBtmを中心とする所定幅のパルスレーザを照射する。パルスレーザの幅は、参照信号Ddのレベルで定まる。
実施例で示した技術の留意点を述べる。図3、図4で示したように、レーザ光源41は、キャリア信号に同期したパルスレーザを照射する。パルスレーザの幅Pwは、参照信号Ddのレベルで定められる。パルスレーザの幅Pwは、次のとおりに設定することが望ましい。図5は、キャリア信号Ca(図5(A))と、パルスレーザ(図5(B))と、電流計測タイミングTs(図5(C))の関係を示すグラフである。図5(B)の符号Taは、パルスレーザの立ちあがりタイミングを示している。このタイミングTaで、パルスレーザが照射され始める。また、このタミングTaで、レーザ検知器44a、44bが動作を開始する。レーザ検知器44a、44bは、レーザの強さをデジタイズして取り込むAD変換器を含んでおり、一般に、AD変換器は起動に僅かに時間を要する。図5(C)の符号dTが、起動の遅れ時間を示している。遅れ時間は、0.01msec〜0.1msec程度であるが、その遅れ時間の間、レーザが照射されていることが必要である。前述したように、パルスレーザのパルス幅Pwは、参照信号Ddのレベルに依存する。パルスレーザのパルス幅Pwは、レーザ検知器の遅れ時間dTよりも長い時間に設定されることが望ましい。
電流センサ30のその他の利点を説明する。レーザ光源41は、パルスレーザを照射するので、連続レーザよりも寿命が長い。また、レーザ光源41は、パルスレーザを照射するので、連続レーザよりも発熱量が小さい。
実施例では、インバータの出力電流を計測する電流センサを説明した。本明細書が開示する技術は、スイッチングタイミング以外のタイミングでパルスレーザを照射することを特徴とする。本明細書が開示する技術は、インバータに限られず、スイッチング回路を有する電力変換器に広く適用することができる。例えば、図1に示したインバータ5において、電圧コンバータ回路12もスイッチング回路を備えている。それゆえ、電圧コンバータ回路12の出力(図1のポイントQ)の電流を計測する場合も本明細書が開示する技術が有効である。
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明した。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電流センサや電力変換器を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
また、上記の詳細な説明で開示された特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属請求項に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又は請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (6)

  1. スイッチング回路の出力電流を計測する電流センサであり、
    電流の計測ポイントに配置した磁気光学素子と、
    磁気光学素子に光を照射する光源と、
    磁気光学素子の透過光、または、反射光を受信する光受信器と、
    受信した光の偏光状態から計測ポイントにおける電流値を算出する演算部と、
    を備えており、
    光源が、スイッチング回路のキャリア信号に同期して光を照射することを特徴とする電流センサ。
  2. 光源は、キャリア信号のピーク又はボトムに同期したパルス光を照射することを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 光源は、キャリア信号のピーク又はボトムのタイミングを含むパルス光を照射することを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  4. 光源は、キャリア信号のピーク又はボトムのタイミングを中心とするパルス光を照射することを特徴とする請求項3に記載の電流センサ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチング回路と電流センサを備えた電力変換器。
  6. 請求項5の電力変換器であって、一つのキャリア信号に同期した3個の光源によってUVW3相の出力交流電流を計測する電流センサを備えたインバータ。
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