JPWO2013108540A1 - 異方性光拡散フィルム - Google Patents

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Abstract

光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を高め、さらに、光拡散角度領域を効果的に拡大した異方性光拡散フィルムを提供する。屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する異方性光拡散フィルムであって、第1のルーバー構造領域の上端部と、第2のルーバー構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有する。

Description

本発明は、異方性光拡散フィルムに関する。
特に、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を高め、さらに、光拡散角度領域を効果的に拡大した、異方性光拡散フィルムに関する。
従来、液晶表示装置においては、装置内部に設けられた光源(内部光源)から出射された光を利用して、所定画像を認識することが可能である。
しかしながら、近年、携帯電話や車載用テレビ等の普及により、液晶表示画面を室外で見る機会が増加しており、それにともない、内部光源からの光強度が外光に負けてしまい、所定画面を視認しにくくなるという問題が生じている。
また、携帯電話等のモバイル用途においては、液晶表示装置の内部光源による消費電力が、全消費電力に対して大きな割合を占めるため、内部光源を多用した場合、バッテリーの持続時間が短くなってしまうという問題が生じている。
そこで、これらの問題を解決すべく、光源として外光を利用する反射型液晶表示装置が開発されている。
かかる反射型液晶表示装置であれば、光源として外光を利用することから、外光が強い程、鮮明な画像を認識することができるとともに、内部光源の電力消費についても、効果的に抑えることができる。
すなわち、このような反射型液晶表示装置において、外光を効率的に透過させて液晶表示装置の内部に取り込み、かつ、その外光として有効に利用すべく、効率的に光拡散するための異方性光拡散フィルムを備えることが提案されている(例えば、特許文献1)。
より具体的に説明すると、特許文献1には、図26(a)〜(b)に示すように、上基板1103と下基板1107との間に液晶層1105を挟んでなる液晶セルと、下基板1107の側に設けられた光反射板1110と、液晶層1105と光反射板1110との間に設けられた光制御板(異方性光拡散フィルム)1108とを有した液晶装置(1112)が開示されている。
そして、所定角度で入射する光を選択的に散乱させるとともに所定角度以外の角度で入射する光を透過させるための光制御板1108が設けてあり、かかる光制御板1108は、所定角度で入射する光を選択的に散乱する方向を光制御板1108の表面に投影した散乱軸方向1121が、液晶セル面内でほぼ6時方向の方角となるように液晶セルに配置されている。
また、反射型液晶表示装置に使用される異方性光拡散フィルムとしては、様々な態様が知られているが、特に、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って、細長い板状の高屈折率領域と、細長い板状の低屈折率領域とを、交互に平行配置することにより、フィルム内に、光方向を制御したり、光分散性を調節したりすることができる、ルーバー構造を備えた異方性光拡散フィルムが広く使用されている(例えば、特許文献2〜4)。
すなわち、特許文献2には、重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を複数種含む膜状組成物に特定方向から紫外線を照射して、該組成物を硬化させて得られ、特定角度範囲の入射光のみを選択的に散乱する光制御膜(異方性光拡散フィルム)において、該組成物に含まれる少なくとも1種の化合物が、複数の芳香環と1つの重合性炭素−炭素二重結合とを分子内に有する化合物であることを特徴とする光制御膜が開示されている。
また、特許文献3には、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を有するフルオレン系化合物(A)、該フルオレン系化合物(A)と屈折率が異なるカチオン重合性化合物(B)、および光カチオン重合開始剤(C)を含有することを特徴とする光硬化性組成物およびそれを硬化させてなる光制御膜が開示されている。
さらに、特許文献4には、少なくとも、(A)一般式(5)で表わされるビスフェノールA型エポキシ樹脂あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、(B)構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個以上含むラジカル重合性を有する化合物と、(D)化学放射線によってラジカル種を発生する光重合開始剤と、(E)熱によってカチオン種を発生する熱重合開始剤からなる異方性光拡散フィルム用組成物およびそれを用いて製造された異方性光拡散フィルムが開示されている。より具体的には、常温において、(B)ラジカル重合性を有する化合物の屈折率が(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂および(C)分子内に少なくとも一つのカチオン重合性基を有した化合物よりも低いことを特徴とする異方性光拡散フィルム用組成物およびそれを用いて製造された異方性光拡散フィルムが開示されている。
Figure 2013108540
(一般式(5)中、Rは水素原子あるいは臭素原子を示しており、繰り返し数pは自然数を示している。)
一方、さらに光拡散入射角度領域の幅を広げるべく、異方性光拡散フィルムを積層する方法が開示されている(例えば、特許文献5)。
すなわち、特許文献5には、曇価に角度依存性があり、その表面に対して0〜180°の角度で光を入射させたときに、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上である光制御膜(異方性光拡散フィルム)を複数枚積層してなることを特徴とするプロジェクション用スクリーンが開示されている。
また、光拡散入射角度領域の幅を広げる別の方法として、予め作成した異方性光拡散フィルム上に、さらに異方性光拡散フィルム用組成物を塗布した後、光硬化することで、フィルム内に2つのルーバー構造を形成する方法も開示されている(例えば、特許文献6)。
すなわち、特許文献6には、それぞれの屈折率に差がある分子内に1個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物の複数からなる樹脂組成物を、膜上に維持し、特定の方向から紫外線を照射して該組成物を硬化させる第1の工程と、得られた硬化物上に樹脂組成物を膜上に維持(塗布)し第1の工程とは別の方向から紫外線を照射して硬化させる第2の工程からなり、必要に応じて第2の工程を繰り返すことを特徴とする光制御板(異方性光拡散フィルム)の製造法が開示されている。
特許3480260号公報(特許請求の範囲) 特開2006−350290号公報(特許請求の範囲) 特開2008−239757号公報(特許請求の範囲) 特許3829601号公報(特許請求の範囲) 特開2005−316354号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−309902号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1〜4に開示された異方性光拡散フィルムは、異方性光拡散における光拡散角度領域が狭いために、反射型液晶表示装置において、外光を効率的に利用することが困難であった。
さらに、コスト低減の観点から該フィルムの膜厚を低減した場合、光拡散角度領域における拡散光の強度の均一性を保てずに、該光拡散角度領域内の所定角度に非常に強いピークを示すものとなる。
これは、当該所定角度において、入射光が拡散されずに光拡散フィルムを通過したことを示している。
したがって、このような光拡散フィルムを反射型液晶表示装置に適用した場合、表示画面内にスポットが生じ、非常に視認性が悪くなるという問題が見られた。
一方、特許文献5に開示された異方性光拡散フィルムは、ある程度光拡散入射角度領域の幅を広げることができるものの、複数の異方性光拡散フィルムを積層したことに起因して、画像の鮮明度が低下したり、虹彩色(モアレ現象)が現れたり、経済的に不利であるという問題が見られた。
また、特許文献6に開示された異方性光拡散フィルムにおいても、ある程度光拡散入射角度領域の幅を広げることができるものの、一枚目の異方性光拡散フィルム上に、別の異方性光拡散フィルムを別途形成する構成であることから、経済的に不利であるばかりか、層間剥離が生じ易くなるという問題が見られた。
そればかりか、特許文献5および6に開示された異方性光拡散フィルムは、フィルム内に存在する2つのルーバー構造領域の界面において、ルーバー構造が形成されない間隔部分が存在するため、総膜厚を低減する観点から不利であり、さらには、当該間隔部分にて予期せぬ散乱光が発生して光拡散における異方性が低下し易くなるという問題も見られた。
そこで、本発明の発明者らは、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、同一フィルム内に第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を形成するとともに、これらのルーバー構造領域を一部重なり合わせた重複ルーバー構造領域を設けることにより、上述した問題を解決した異方性光拡散フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を高め、さらに、光拡散角度領域を効果的に拡大した異方性光拡散フィルムを提供することにある。
なお、「良好な入射角度依存性」とは、入射光の光拡散が生じるフィルムに対する入射角度領域(光拡散入射角度領域)と、光拡散が生じないその他の入射角度領域との間の区別が、明確に制御されていることを意味する。かかる光拡散入射角度領域の詳細については、後述する。
本発明によれば、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する異方性光拡散フィルムであって、第1のルーバー構造領域の上端部と、第2のルーバー構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有することを特徴とする異方性光拡散フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、第1のルーバー構造領域と、第2のルーバー構造領域とを有している。
したがって、それぞれのルーバー構造領域が有する板状領域の傾斜角を異ならせることで、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
一方、それぞれのルーバー構造領域が有する板状領域の傾斜角を重複させた場合には、光拡散角度領域の拡大に対する寄与は少ないものの、膜厚方向におけるトータルとしてのルーバーの長さを安定的に延長することになる。そのため、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、第1のルーバー構造領域の上端部と、第2の構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有することから、それぞれのルーバー構造領域間のルーバー構造未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散における異方性を安定的に保持することができる。
なお、本発明において、「光拡散入射角度領域」とは、異方性光拡散フィルムに対して、点光源からの入射光の角度を変化させた場合に、拡散光を出光するのに対応する入射光の角度範囲を意味する。
一方、本発明において、「光拡散角度領域」とは、異方性光拡散フィルムに対して、入射光が最も拡散される角度に点光源を固定し、この状態で得られる拡散光の角度範囲を意味する。
ここで、本発明に係る異方性光拡散フィルムにおいては、特性上、光拡散角度領域の幅(以下、「拡散光の開き角」と称する場合がある。)と光拡散入射角度領域の幅は、略同一となる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、重複ルーバー構造領域が、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域にそれぞれ由来した板状領域のいずれか一方の先端が、もう一方のルーバー構造領域に由来した板状領域の先端近傍に対して接触してなることが好ましい。
このように構成することにより、限られたフィルム膜厚内に効率的にルーバー構造を配置することができ、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させるとともに、光拡散角度領域をより効果的に拡大することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、重複ルーバー構造領域の厚さを1〜40μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、重複ルーバー構造領域における第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の重複部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をより安定的に保持することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、重複ルーバー構造領域の厚さを、フィルム膜厚(100%)に対して0.1〜10%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、重複ルーバー構造領域における第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造の重なり具合をより好適な範囲に調整することができることから、それぞれのルーバー構造領域の重複部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をさらに安定的に保持することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、重複ルーバー構造領域において、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域にそれぞれ由来した屈折率が異なる板状領域の傾斜角の差の絶対値を、1°以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散角度領域を、より効果的に拡大することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、重複ルーバー構造領域において、第2のルーバー構造領域に由来した板状領域の傾斜角の絶対値を、第1のルーバー構造領域に由来した板状領域の傾斜角の絶対値よりも大きな値とすることが好ましい。
このように構成することにより、第1のルーバー構造領域よりも、比較的、形成が困難である第2のルーバー構造領域において、フィルム膜厚方向に沿って十分な長さの板状領域を得ることができ、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させるとともに、光拡散角度領域を、より効果的に拡大することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における板状領域の幅を、それぞれ0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域内において、入射光をより安定的に反射させて、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を、より効果的に向上させることができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、第1のルーバー構造領域における板状領域が、フィルム膜厚方向に沿って上方または下方に湾曲していることが好ましい。
このように構成することにより、第1のルーバー構造領域における反射と透過のバランスを複雑化させて、拡散光の開き角を効果的に拡大することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における板状領域のうち、屈折率の高い板状領域の主成分が、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体であり、屈折率の低い板状領域の主成分が、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体であることが好ましい。
このように構成することにより、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域、並びに、重複ルーバー構造領域を効率的に形成することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、第1のルーバー構造領域の厚さを50〜500μmの範囲内の値とするとともに、第2のルーバー構造領域の厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を、より効果的に向上させることができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムを構成するにあたり、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の厚さの合計から重複ルーバー構造領域の厚さを引いた値を、フィルム膜厚(100%)に対して80%以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を、さらに効果的に向上させることができる。
図1(a)〜(b)は、異方性光拡散フィルムにおけるルーバー構造の概略を説明するために供する図である。 図2(a)〜(b)は、異方性光拡散フィルムにおける入射角度依存性、異方性および開き角を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、異方性光拡散フィルムにおける入射角度依存性、異方性および開き角を説明するために供する別の図である。 図4(a)〜(c)は、重複ルーバー構造領域について説明するために供する図である。 図5(a)〜(b)は、第1のルーバー構造領域を説明するために供する図である。 図6(a)〜(c)は、重複ルーバー構造領域を説明するために供する別の図である。 図7は、反射型液晶表示装置における異方性光拡散フィルムの適用例を説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、第1および第2の活性エネルギー線照射工程を説明するために供する図である。 図9(a)〜(b)は、第1および第2の活性エネルギー線照射工程を説明するために供する別の図である。 図10は、実施例1の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図11(a)〜(b)は、実施例1の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図12は、実施例2の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図13(a)〜(b)は、実施例2の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図14は、実施例3の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図15(a)〜(c)は、実施例3の異方性光拡散フィルムにおける断面の様子を説明する写真および図である。 図16(a)〜(b)は、実施例3の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図17は、比較例1の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図18(a)〜(b)は、比較例1の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図19は、比較例2の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図20(a)〜(b)は、比較例2の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図21は、比較例3の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図22(a)〜(b)は、比較例3の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図23は、比較例4の異方性光拡散フィルムの構成を説明する図である。 図24(a)〜(c)は、比較例4の異方性光拡散フィルムにおける断面の様子を説明する写真および図である。 図25(a)〜(b)は、比較例4の異方性光拡散フィルムの光拡散特性を説明するスペクトル図および写真である。 図26(a)〜(b)は、従来の異方性光拡散フィルムを用いた反射型液晶装置を説明するために供する図である。
本発明は、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する異方性光拡散フィルムであって、第1のルーバー構造領域の上端部と、第2のルーバー構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有することを特徴とする異方性光拡散フィルムである。
以下、本発明の異方性光拡散フィルムを、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.異方性光拡散フィルムにおける光拡散の基本原理
最初に、図1〜2を用いて、異方性光拡散フィルムにおける光拡散の基本原理について説明する。
なお、本発明において、「異方性」とは、図2(a)に示すように、光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって異なる性質を有することを意味する。
より具体的には、図2(a)に示すように、入射光に含まれる成分のうち、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに垂直な成分については、選択的に光の拡散が生じる一方、入射光に含まれる成分のうち、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに平行な成分については、光の拡散が生じにくくなることにより、異方性光拡散が実現する。
したがって、異方性光拡散フィルムにおける拡散光の広がりの形状は、図2(a)に示すように、略楕円状になる。
また、上述したように、異方性光拡散に寄与する入射光の成分は、主にフィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに垂直な成分であることから、図2(b)に示すように、本発明において、入射光の「入射角θ1」と言った場合、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに垂直な成分の入射角を意味するものとする。また、このとき、入射角θ1は、異方性光拡散フィルムの入射側表面の法線に対する角度を0°とした場合の角度(°)を意味するものとする。
また、本発明において、「拡散光の開き角」とは、光拡散角度領域の幅であり、図2(b)に示すように、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに平行な方向Xから、フィルムの断面を眺めた場合における、所定の入射角θ1の入射光に対する拡散光の開き角θ2を意味する。
ここで、図1(a)には、フィルム内に一つのルーバー構造領域を有する異方性光拡散フィルム10の上面図(平面図)が示してあり、図1(b)には、図1(a)に示す異方性光拡散フィルム10を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印方向から眺めた場合の異方性光拡散フィルム10の断面図が示してある。
また、図2(a)は、異方性光拡散フィルム10の全体図を表わし、図2(b)は、図2(a)の異方性光拡散フィルム10をX方向から見た場合の断面図を表わす。
かかる図1(a)の平面図に示すように、異方性光拡散フィルム10は、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って、相対的に屈折率が高い板状領域12と、相対的に屈折率の低い板状領域14と、が交互に平行配置されたルーバー構造13を備えている。
また、図1(b)の断面図に示すように、高屈折率の板状領域12と、低屈折率の板状領域14は、それぞれ所定厚さを有しており、異方性光拡散フィルム10の垂直方向においても、交互に平行配置された状態を保持している。
これにより、図2(a)に示すように、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が異方性光拡散フィルム10によって拡散されることになると推定される。
すなわち、図1(b)に示すように、異方性光拡散フィルム10に対する入射光の入射角が、ルーバー構造13の境界面13´に対し、平行から所定の角度範囲内の値、すなわち、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(52、54)は、ルーバー構造内の高屈折率の板状領域12内を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が異方性光拡散フィルム10によって拡散されると推定される(52´、54´)。
一方、異方性光拡散フィルム10に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合には、図1(b)に示すように、入射光56は、異方性光拡散フィルムによって拡散されることなく、そのまま異方性光拡散フィルム10を透過するものと推定される(56´)。
以上の基本原理により、ルーバー構造13を備えた異方性光拡散フィルム10は、例えば、図2(a)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
また、図2(a)に示すように、異方性光拡散フィルムは、入射光の入射角が光拡散入射角度領域に含まれる場合には、その入射角が異なる場合であっても、出光面側においてほぼ同様の光拡散をさせることができる。
したがって、異方性光拡散フィルムは、光を所定箇所に集中させる集光作用も有すると言うことができる。
なお、光拡散入射角度領域は、図2(a)に示すように、異方性光拡散フィルムにおけるルーバー構造の屈折率差や傾斜角等によって、その異方性光拡散フィルムごとに決定される角度領域である。
また、ルーバー構造内の高屈折率領域12内における入射光の方向変化は、図1(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合のほか、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
2.基本的構成
次いで、図面を用いて、本発明の異方性光拡散フィルムの基本的構成について説明する。
図3(a)〜(b)に示すように、本発明の異方性光拡散フィルム40は、第1のルーバー構造領域20、および第2のルーバー構造領域30を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有することを特徴としている。
したがって、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、例えば、図3(a)に示すように、それぞれのルーバー構造領域が有する板状領域の傾斜角を異ならせることで、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させつつ、光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができる。
一方、図3(b)に示すように、それぞれのルーバー構造領域が有する板状領域の傾斜角を重複させた場合には、光拡散角度領域の拡大に対する寄与は少ないものの、膜厚方向におけるトータルとしてのルーバーの長さを安定的に延長することになるため、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を効率的に向上させることができる。
なお、上述した「下方」とは、工程シート上に塗布層を設けた際に、塗布層の膜厚方向における工程シートに近い側を意味する。したがって、本発明を説明するための便宜的な用語であり、異方性光拡散フィルム自体の上下方向を何ら制約するものではない。
また、図4(a)に示すように、本発明の異方性光拡散フィルム40は、第1のルーバー構造領域20の上端部と、第2のルーバー構造領域30の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域50を有することを特徴とする。
したがって、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、それぞれのルーバー構造領域間のルーバー構造未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性と光拡散角度領域の幅(拡散光の開き角)の大きさの両方を安定的に保持することができる。
一方、図4(b)に示すように、フィルム42の内部に存在する2つのルーバー構造領域(20、30)の界面において、ルーバー構造未形成部分50´が存在する場合、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性が低下し易くなったり、あるいは、拡散光の開き角が不十分になったりする場合がある。
かかる現象は、第2のルーバー構造領域を通過してきた入射光が、第1のルーバー構造の上端部に当たって散乱することにより、光拡散における異方性が低下し易くなるものと推測される。
また、図4(c)に示すように、フィルム44の内部に存在する2つのルーバー構造領域(20、30)が過度に重なり合っている場合、拡散光の開き角が狭くなってしまう場合がある。
かかる現象は、高屈折率の板状領域と、低屈折率の板状領域との間における屈折率差が縮小し、各々のルーバー構造による光拡散が不十分になることによるものと推測される。
この点、図4(a)に示すように、本発明の異方性光拡散フィルム40であれば、第1のルーバー構造領域20の上端部と、第2のルーバー構造領域30の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域50を有することから、上述した問題点を解決し、光拡散における異方性を安定的に保持することができる。
3.第1のルーバー構造領域
本発明の異方性光拡散フィルムは、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域を有することを特徴とする。
以下、第1のルーバー構造領域について具体的に説明する。
(1)屈折率
第1のルーバー構造領域において、屈折率が異なる板状領域間の屈折率の差、すなわち、高屈折率板状領域の屈折率と、低屈折率板状領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、第1のルーバー構造領域内において入射光を安定的に反射させて、第1のルーバー構造領域に由来した拡散光の開き角をより効果的に拡大することができるためである。
より具体的には、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がルーバー構造内で全反射する角度域が狭くなることから、実質的に光拡散性を示さなくなる場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域における屈折率が異なる板状領域間の屈折率の差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値であることがさらに好ましい。
なお、高屈折率板状領域の屈折率と、低屈折率板状領域の屈折率との差は大きい程好ましいが、ルーバー構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
また、第1のルーバー構造領域において、屈折率が相対的に高い板状領域の屈折率を1.5〜1.7の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、高屈折率板状領域の屈折率が1.5未満の値となると、低屈折率板状領域との差が小さくなり過ぎて、所望のルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、高屈折率板状領域の屈折率が1.7を超えた値となると、異方性光拡散フィルム用組成物における材料物質間の相溶性が過度に低くなる場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域における高屈折率板状領域の屈折率を1.52〜1.65の範囲内の値とすることがより好ましく、1.55〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、高屈折率板状領域の屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、第1のルーバー構造領域において、屈折率が相対的に低い板状領域の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる低屈折率板状領域の屈折率が1.4未満の値となると、得られる異方性光拡散フィルムの剛性を低下させる場合があるためである。
一方、かかる低屈折率板状領域の屈折率が1.55を超えた値となると、高屈折率板状領域の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望のルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域における低屈折率板状領域の屈折率を1.42〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.44〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、低屈折率板状領域における屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
(2)幅
また、図5(a)に示すように、第1のルーバー構造領域20において、屈折率が異なる高屈折率板状領域12および低屈折率板状領域14の幅(S1、S2)を、それぞれ0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、これらの板状領域の幅を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、第1のルーバー構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第1のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をより向上させつつ、拡散光の開き角をより効果的に拡大することができるためである。
すなわち、かかる板状領域の幅が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、異方性光拡散を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる幅が15μmを超えた値となると、ルーバー構造内を直進する光が増加し、異方性光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域において、屈折率が異なる板状領域の幅を、それぞれ0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ルーバーを構成する板状領域の幅や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にてフィルム断面を観察することにより測定することができる。
(3)傾斜角
また、図5(a)に示すように、第1のルーバー構造領域において、屈折率が異なる複数の高屈折率板状領域12および複数の低屈折率板状領域14が、膜厚方向に対してそれぞれ一定の傾斜角θaにて延在してなることが好ましい。
この理由は、それぞれの板状領域の傾斜角θaを一定とすることにより、第1のルーバー構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第1のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域における拡散光の強度の均一性をさらに向上させつつ、拡散光の開き角をさらに効果的に拡大することができるためである。
なお、θaはフィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面の法線に対する角度を0°とした場合の板状領域の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、図5(a)に示す通り、第1のルーバー構造領域の上端面の法線と板状領域の最上部との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。なお、図5(a)に示す通り板状領域が右側に傾いているときの傾斜角を基準とし、板状領域が左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
また、図5(b)に示すように、第1のルーバー構造領域における屈折率が異なる板状領域(12、14)が、フィルム膜厚方向に沿って上方または下方に湾曲していることが好ましい(図5(b)では下方に湾曲している場合を示す。)。
この理由は、ルーバー構造が湾曲していることにより、第1のルーバー構造領域における反射と透過のバランスを複雑化させて、拡散光の開き角を効果的に拡大することができるためである。
なお、このような湾曲したルーバー構造は、塗膜の厚さ方向での紫外線による重合反応速度を遅らせることにより得られるものと考えられる。
具体的には、線状光源から発せられる紫外線の照度を抑え、照射されている状態の塗膜を低速で移動させることにより形成することができる。
(4)厚さ
また、第1のルーバー構造領域の厚さ、すなわち、図5(a)〜(b)に示すフィルム表面の法線方向におけるルーバー構造存在部分の厚さL1は50〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第1のルーバー構造領域の厚さをかかる範囲内の値とすることにより、膜厚方向に沿ったルーバー構造の長さを安定的に確保して、第1のルーバー構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第1のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をさらに向上させつつ、拡散光の開き角をさらに拡大することができるためである。
すなわち、かかる第1のルーバー構造領域の厚さL1が50μm未満の値となると、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性が悪化したり、拡散光の開き角が不足したりする場合があるためである。
一方、かかる第1のルーバー構造領域の厚さL1が500μmを超えた値となると、異方性光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してルーバー構造を形成する際に、初期に形成されたルーバー構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域の厚さL1を70〜300μmの範囲内の値とすることがより好ましく、80〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)材料物質
(5)−1 高屈折率重合性化合物
また、第1のルーバー構造領域において、屈折率が異なる板状領域のうち、屈折率が相対的に高い板状領域を構成するための材料物質の種類は、特に限定されないが、その主成分を複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体とすることが好ましい。
この理由は、かかる材料物質であれば、第1のルーバー構造領域としてのルーバー構造を効率的に形成することができるばかりか、第1のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をさらに向上させつつ、拡散光の開き角をさらに拡大することができるためである。
すなわち、高屈折率板状領域の主成分(以下、(A)成分と称する場合がある。)を特定の(メタ)アクリル酸エステルの重合体とすることにより、第1のルーバー構造領域を形成する際に、重合により(A)成分となるモノマー成分(以下、モノマー(A)成分と称する場合がある。)の重合速度を、重合により後述する屈折率が低い板状領域の主成分(以下、(B)成分と称する場合がある。)となるモノマー成分(以下、モノマー(B)成分と称する場合がある。)の重合速度よりも速くすることができると推定される。
そして、これらのモノマー成分間における重合速度に所定差を生じさせ、両モノマー成分同士が均一に共重合することを抑制し、より具体的には、両モノマー成分の相溶性を所定の範囲にまで低下させて、両モノマー成分同士の共重合性を効果的に低下させることができると推定される。
その結果、(A)成分に由来した板状領域および(B)成分に由来した板状領域がフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に延在したルーバー構造を、活性エネルギー線の照射により効率的に形成することができる。
また、モノマー(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、モノマー(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、ルーバー構造をさらに効率よく形成することができる。
さらに、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含むことにより、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した板状領域の屈折率との差を、所定以上の値に調節することができる。
したがって、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含むことにより、後述する(B)成分の特性と相まって、屈折率が異なる板状領域がフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に延在したルーバー構造を効率的に得ることができる。
よって、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させつつ、拡散光の開き角を効果的に拡大した第1のルーバー構造領域を得ることができる。
なお、「複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分に複数の芳香環を有する化合物を意味する。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、このような(A)成分を構成するモノマー(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラシル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ナフチルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸アントラシルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニルオキシアルキル等、若しくは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルキル等によって置換されたもの等を挙げることができる。
また、(A)成分を構成するモノマー(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとして、ビフェニル環を含有する化合物を含むことが好ましく、特に、下記一般式(1)で表わされるビフェニル化合物を含むことが好ましい。
Figure 2013108540
(一般式(1)中、R1〜R10は、それぞれ独立しており、R1〜R10の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表わされる置換基であり、残りは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基およびハロゲン原子のいずれかの置換基である。)
Figure 2013108540
(一般式(2)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、炭素数nは1〜4の整数であり、繰り返し数mは1〜10の整数である。)
この理由は、(A)成分を構成するモノマー(A)成分として、特定の構造を有するビフェニル化合物を用いることにより、モノマー(A)成分の重合速度を、モノマー(B)成分の重合速度よりも、さらに速くすることができると推定されるためである。
また、モノマー(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで、より容易に低下させることができると推定され、かつ、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した板状領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
さらに、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、モノマー(B)成分の代表例であるウレタン(メタ)アクリレートと均一に混合することができる。
また、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜4の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素数が4を超えた値となると、モノマー(A)成分の重合速度が低下したり、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域の屈折率が低くなり過ぎたりして、第1のルーバー構造領域における所定のルーバー構造を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜3の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、一般式(1)におけるR1〜R10が、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子以外の置換基、すなわち、ハロゲンを含まない置換基であることが好ましい。
この理由は、異方性光拡散フィルムを焼却等する際に、ダイオキシンが発生することを防止して、環境保護の観点から好ましいためである。
なお、従来のルーバー構造を備えた異方性光拡散フィルムにおいては、所定のルーバー構造を得るにあたり、モノマー成分を高屈折率化する目的で、モノマー成分においてハロゲン置換が行われることが一般的であった。
この点、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物であれば、ハロゲン置換を行わない場合であっても、高い屈折率とすることができる。
したがって、モノマー(A)成分として一般式(1)で表わされるビフェニル化合物を用いることで、ハロゲンを含まない場合であっても、良好な入射角度依存性を発揮することができる。
また、一般式(1)におけるR2〜R9のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが好ましい。
この理由は、一般式(2)で表わされる置換基の位置を、ビフェニル環におけるR1およびR10以外の位置とすることにより、光硬化させる前の段階において、モノマー(A)成分同士が配向し、結晶化することを効果的に防止することができる。
さらに、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、見掛け上モノマー(B)成分と均一に混合することができる。
これにより、光硬化の段階において、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の微細なレベルでの凝集・相分離を可能とし、所定のルーバー構造を備えた第1のルーバー構造領域を、より効率的に得ることができるためである。
さらに、同様の観点から、一般式(1)におけるR3、R5、R6およびR8のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、通常1〜10の整数とすることが好ましい。
この理由は、繰り返し数mが10を超えた値となると、重合部位と、ビフェニル環とをつなぐオキシアルキレン鎖が長くなり過ぎて、重合部位におけるモノマー(A)成分同士の重合を阻害する場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、1〜4の整数とすることがより好ましく、1〜2の整数とすることが特に好ましい。
なお、同様の観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、通常1〜4の整数とすることが好ましい。
特に、重合部位である重合性炭素−炭素二重結合の位置が、ビフェニル環に対して近過ぎてビフェニル環が立体障害となり、モノマー(A)成分の重合速度が低下するのを防止する観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、2〜4の整数とすることがより好ましく、2〜3の整数とすることがさらに好ましい。
また、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物の具体例としては、下記式(3)〜(4)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 2013108540
Figure 2013108540
また、(A)成分を構成するモノマー(A)成分の分子量を、200〜2,500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(A)成分の分子量を所定の範囲とすることにより、モノマー(A)成分の重合速度をさらに速くして、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の共重合性をより効果的に低下させることができると推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した板状領域および(B)成分に由来した板状領域がフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に延在したルーバー構造を、より効率的に形成することができる。
すなわち、モノマー(A)成分の分子量が200未満の値となると、例えば、複数の芳香環の位置と重合性炭素−炭素二重結合の位置が近くなり過ぎて、立体障害により重合速度が低下して、モノマー(B)成分の重合速度に近くなり、モノマー(B)成分との共重合が生じ易くなる場合があるためである。一方、モノマー(A)成分の重量平均分子量が2,500を超えた値となると、モノマー(A)成分の重合速度が低下してモノマー(B)成分の重合速度に近くなり、モノマー(B)成分との共重合が生じ易くなる結果、ルーバー構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、モノマー(A)成分の分子量を、240〜1,500の範囲内の値とすることがより好ましく、260〜1,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、モノマー(A)成分の分子量は、分子の組成と、構成原子の原子量から得られる計算値から求めることができ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量として測定することもできる。
また、ルーバー構造における屈折率の高い部分を形成するモノマー(A)成分を単一とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域、つまり屈折率の高い板状領域における屈折率のばらつきを効果的に抑制して、所定のルーバー構造を備えた第1のルーバー構造領域を、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、モノマー(A)成分が、モノマー(B)成分に対する相溶性が低い場合、例えば、モノマー(A)成分がハロゲン系化合物等の場合、モノマー(A)成分をモノマー(B)成分に相溶させるための第3成分として、他のモノマー(A)成分(例えば、非ハロゲン系化合物等)を併用する場合がある。
しかしながら、この場合、かかる第3成分の影響により、(A)成分に由来した屈折率の高い板状領域における屈折率がばらついたり、低下する場合がある。
その結果、(B)成分に由来した屈折率の低い板状領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下し易くなったりする場合がある。
したがって、モノマー(B)成分との相溶性を有する高屈折率なモノマー成分を選択し、それを単一のモノマー(A)成分として用いることが好ましい。
なお、例えば、モノマー(A)成分としての式(3)〜(4)で表わされるビフェニル化合物であれば、モノマー(B)成分との相溶性を有するため、単一のモノマー(A)成分として使用することができる。
(5)−2 低屈折率重合性化合物
また、第1のルーバー構造領域において、屈折率が異なる板状領域のうち、屈折率が低い板状領域を構成するための材料物質の種類は、特に限定されないが、その主成分をウレタン(メタ)アクリレートの重合体とすることが好ましい。
この理由は、かかる材料物質であれば、第1のルーバー構造領域としてのルーバー構造を効率的に形成することができるばかりか、第1のルーバー構造領域に由来した入射角度依存性および光拡散における異方性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、低屈折率板状領域の主成分((B)成分)をウレタン(メタ)アクリレートの重合体とすることにより、(A)成分に由来した板状領域の屈折率と、(B)成分に由来した板状領域の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した板状領域の屈折率のばらつきを有効に抑制し、所定のルーバー構造を備えた第1のルーバー構造領域をより効率的に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
まず、(B)成分を構成するモノマー(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートは、(a)イソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物、(b)ポリオール化合物、好ましくはジオール化合物、特に好ましくはポリアルキレングリコール、および(c)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから形成される。
なお、モノマー(B)成分には、ウレタン結合の繰り返し単位を有するオリゴマーも含むものとする
このうち、(a)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等を挙げることができる。
また、上述した中でも、脂環式ポリイソシアナートであることが好ましい。
この理由は、脂環式ポリイソシアナートであれば、立体配座等の関係により、脂肪族ポリイソシアナートと比較して、各イソシアナート基の反応速度に差を設けやすく、得られるウレタン(メタ)アクリレートの分子設計が容易になるためである。
また、特に、(a)成分が脂環式ジイソシアナートであることが好ましい。
この理由は、脂環式ジイソシアナートであれば、例えば、(a)成分が(b)成分とのみ反応したり、(a)成分が(c)成分とのみ反応したりすることを抑制して、(a)成分を、(b)成分および(c)成分と確実に反応させることができ、余分な副生成物の発生を防止することができるためである。
その結果、第1のルーバー構造領域における(B)成分に由来した板状領域、すなわち、低屈折率板状領域の屈折率のばらつきを効果的に抑制することができる。
また、脂環式ジイソシアナートであれば、芳香族ジイソシアナートと比較して、得られるモノマー(B)成分と、モノマー(A)成分としての代表例である特定の構造を有するビフェニル化合物との相溶性を所定の範囲に低下させて、ルーバー構造をより効率よく形成することができる。
さらに、脂環式ジイソシアナートであれば、芳香族ジイソシアナートと比較して、得られるモノマー(B)成分の屈折率を小さくすることができることから、モノマー(A)成分の代表例である特定の構造を有するビフェニル化合物の屈折率との差を大きくし、光拡散性をより確実に発現するとともに、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性の高いルーバー構造をさらに効率よく形成することができる。
また、このような脂環式ジイソシアナートの中でも、2つのイソシアナート基の反応性の差が大きいことから、イソホロンジイソシアナート(IPDI)であることが、特に好ましい。
また、モノマー(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(b)成分であるポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキシレングリコール等が挙げられ、中でも、ポリプロピレングリコールであることが、特に好ましい。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、粘度が低いことから無溶剤で取り扱うことができるためである。
また、ポリプロピレングリコールであれば、モノマー(B)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、異方性光拡散フィルムのハンドリング性や実装性を、効果的に向上させることができるためである。
なお、モノマー(B)成分の重量平均分子量は、(b)成分の重量平均分子量により調節することができる。ここで、(b)成分の重量平均分子量は、通常、2,300〜19,500であり、好ましくは4,300〜14,300であり、特に好ましくは6,300〜12,300である。
また、モノマー(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(c)成分であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、所定のルーバー構造をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましい。
また、(a)〜(c)成分によるウレタン(メタ)アクリレートの合成は、常法に従って実施することができる。
このとき(a)〜(c)成分の配合割合を、モル比にて(a)成分:(b)成分:(c)成分=1〜5:1:1〜5の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合割合とすることにより、(b)成分の有する2つの水酸基に対してそれぞれ(a)成分の有する一方のイソシアナート基が反応して結合し、さらに、2つの(a)成分がそれぞれ有するもう一方のイソシアナート基に対して、(c)成分の有する水酸基が反応して結合したウレタン(メタ)アクリレートを効率的に合成することができるためである。
したがって、(a)〜(c)成分の配合割合を、モル比にて(a)成分:(b)成分:(c)成分=1〜3:1:1〜3の割合とすることがより好ましく、2:1:2の割合とすることがさらに好ましい。
また、(B)成分を構成するモノマー(B)成分の重量平均分子量を、3,000〜20,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(B)成分の重量平均分子量を所定の範囲とすることにより、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した板状領域および(B)成分に由来した板状領域が交互に延在したルーバー構造を効率よく形成することができる。
すなわち、モノマー(B)成分の重量平均分子量が3,000未満の値となると、モノマー(B)成分の重合速度が速くなって、モノマー(A)成分の重合速度に近くなり、モノマー(A)成分との共重合が生じ易くなる結果、ルーバー構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、モノマー(B)成分の重量平均分子量が20,000を超えた値となると、(A)成分に由来した板状領域および(B)成分に由来した板状領域がフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に延在したルーバー構造を形成することが困難になったり、モノマー(A)成分との相溶性が過度に低下して、異方性光拡散フィルム用組成物の塗布段階でモノマー(A)成分が析出する場合があるためである。
したがって、モノマー(B)成分の重量平均分子量を、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがより好ましく、7,000〜13,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、モノマー(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することもできるし、あるいは、構成原子の原子量をもとに、構造式から算出することもできる。
また、モノマー(B)成分は、分子構造や重量平均分子量が異なる2種以上を併用してもよいが、ルーバー構造における(B)成分に由来した板状領域の屈折率のばらつきを抑制する観点からは、1種類のみを用いることが好ましい。
すなわち、モノマー(B)成分を複数用いた場合、(B)成分に由来した屈折率の低い板状領域における屈折率がばらついたり、高くなったりして、(A)成分に由来した屈折率の高い板状領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下する場合があるためである。
4.第2のルーバー構造領域
本発明の異方性光拡散フィルムは、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第2のルーバー構造領域を、上述したフィルム膜厚方向に沿って、上述した第1のルーバー構造領域の上方に有することを特徴とする。
なお、第2のルーバー構造領域の構成は、基本的に第1のルーバー構造領域の構成と同様であるため、具体的な内容については重複を避けて、省略する。
但し、第2のルーバー構造領域は、光拡散における第1のルーバー構造領域の補助的な役割を果たす観点から、その厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましく、20〜150μmの範囲内の値とすることがより好ましく、40〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の厚さの合計から重複ルーバー構造領域の厚さを引いた値を、フィルム膜厚(100%)に対して80%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、フィルム全体に対してルーバー構造が形成されている領域の合計が占める割合をかかる範囲内の値とすることにより、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をさらに向上させつつ、拡散光の開き角をさらに拡大させることができるためである。
すなわち、フィルム全体に対してルーバー構造が形成されている領域の合計が占める割合が80%未満の値となると、ルーバー構造の絶対量が不足して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性が不十分になったり、拡散光の開き角が不十分になったりする場合があるためである。
したがって、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の厚さの合計から重複ルーバー構造領域の厚さを引いた値を、フィルム膜厚(100%)に対して90%以上の値とすることがより好ましく、95%以上の値とすることがさらに好ましい。
5.重複ルーバー構造領域
本発明の異方性光拡散フィルムは、第1のルーバー構造領域の上端部と、第2のルーバー構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有することを特徴とする。
以下、重複ルーバー構造領域について具体的に説明する。
(1)態様
本発明における重複ルーバー構造領域50は、第1のルーバー構造領域20の上端部と、第2のルーバー構造領域30の下端部とが重なり合って形成されていれば、特に限定されるものではない。
より具体的には、図6(a)〜(b)に示すように、第1のルーバー構造領域20および第2のルーバー構造領域30のいずれか一方の先端が、もう一方のルーバー構造領域に由来した板状領域の先端近傍に対して接触してなる重複ルーバー構造領域50であることが好ましい。
この理由は、重複ルーバー構造領域をこのように構成することにより、限られたフィルム膜厚内に効率的にルーバー構造を配置することができ、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を向上させるとともに、光拡散角度領域をより効果的に拡大することができるためである。
なお、図6(c)に示すように、第1のルーバー構造領域20および第2のルーバー構造領域30に由来したそれぞれの板状領域同士が、非接触の状態で重複してなる重複板状領域50であってもよい。
(2)傾斜角の組み合わせ
また、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域にそれぞれ由来した板状領域の傾斜角の差を、1°以上の値とすることが好ましい。
すなわち、図6(a)に示すように、第1のルーバー構造領域に由来した板状領域の傾斜角θaと、第2のルーバー構造領域に由来した傾斜角θb´との差の絶対値を、1°以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる傾斜角の差の絶対値を1°以上の値とすることにより、光拡散角度領域を、より効果的に拡大することができるためである。
すなわち、かかる差の絶対値が1°未満の値となると、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域が有する入射角度依存性のずれが不十分となって、光拡散角度領域を効果的に拡大することが困難になる場合があるためである。
一方、かかる傾斜角の差の絶対値が過度に大きな値となると、第1および第2のそれぞれのルーバー構造領域に対応して、拡散光が独立に発生することとなり、拡散光の開き角を有効に拡大することが困難になる場合がある。
したがって、第1のルーバー構造領域に由来した板状領域の傾斜角θaと、第2のルーバー構造領域に由来した傾斜角θb´との差の絶対値を、2〜30°の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、θaおよびθb´は、フィルム面に沿った任意の一方向に沿ったルーバー構造に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面の法線に対する角度を0°とした場合の板状領域の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、図6(a)〜(c)に示す通り、θaは、第1のルーバー構造領域の上端面の法線と板状領域の最上部との為す角度の内狭い側の角度を意味する。
また、θb´は、第2のルーバー構造領域の下端面の法線と板状領域の最下部との為す角度の内狭い側の角度を意味する。
また、図6(a)〜(c)に示す通り板状領域が右側に傾いているときの傾斜角を基準とし、板状領域が左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
なお、図6(a)〜(c)に示すように、θbは、第1のルーバー構造領域の下端面の法線と板状領域の最下部との為す角度の内狭い側の角度を意味し、θa´は、第2のルーバー構造領域の上端面の法線と板状領域の最上部との為す角度の内狭い側の角度を意味する。
また、第2のルーバー構造領域に由来した板状領域の傾斜角の絶対値を、第1のルーバー構造領域に由来した屈折率が異なる板状領域の傾斜角の絶対値よりも大きな値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、第1のルーバー構造領域よりも、比較的、形成が困難である第2のルーバー構造領域において、フィルム膜厚方向に沿って十分な長さの板状領域を得ることができ、光拡散角度領域を、より効果的に拡大することができるためである。
(3)厚さ
また、重複ルーバー構造領域の厚さL2を1〜40μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、重複ルーバー構造領域の厚さL2をかかる範囲内の値とすることにより、重複ルーバー構造領域における第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の重なり具合を好適な範囲に調整することができることから、それぞれのルーバー構造領域間のルーバー構造未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散における異方性をより安定的に保持することができるためである。
すなわち、重複ルーバー構造領域の厚さL2が1μm未満の値となると、それぞれのルーバー構造領域の連結部分において、散乱光が発生し易くなり、光拡散における異方性を安定的に保持することが困難になる場合があるためである。
一方、重複ルーバー構造領域の厚さL2が40μmを超えた値となると、異方性光拡散による拡散光の取り出し効率が低下する場合があるためである。
すなわち、重複ルーバー構造領域は、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域と比較して、隣合う板状領域間の屈折率差が小さいと考えられ、重複ルーバー構造領域が長すぎると、その領域における拡散光の損失が推測される。
したがって、重複ルーバー構造領域の厚さL2を3〜35μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、重複ルーバー構造領域の厚さを、フィルム膜厚(100%)に対して0.1〜10%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、フィルム全体に対して重複ルーバー構造領域が占める割合をかかる範囲内の値とすることにより、重複ルーバー構造領域における第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の重なり具合をより好適な範囲に調整することができることから、それぞれのルーバー構造領域間のルーバー構造未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散における異方性をさらに安定的に保持することができるためである。
すなわち、フィルム全体に対して重複ルーバー構造領域が占める割合が0.1%未満の値となると、第1のルーバー構造領域と、第2のルーバー構造領域とが、ミクロにみて重複構造を形成していない部分が多くなる場合があるためである。そのため、当該構造領域において散乱光が発生し易くなり、拡散光の取り出し効率が低下する場合があるためである。
一方、フィルム全体に対して重複ルーバー構造領域が占める割合が10%を超えた値となると、相対的に第1もしくは第2のルーバー構造領域の厚さが不十分になる場合があるためである。
したがって、重複ルーバー構造領域の厚さを、フィルム膜厚(100%)に対して0.2〜5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜4%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.総膜厚
また、本発明の異方性光拡散フィルムの総膜厚を60〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、異方性光拡散フィルムの総膜厚が60μm未満の値となると、ルーバー構造領域内を直進する入射光が増加し、異方性光拡散を示すことが困難になる場合があるためである。一方、異方性光拡散フィルムの総膜厚が700μmを超えた値となると、異方性光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してルーバー構造領域を形成する際に、初期に形成されたルーバー構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、異方性光拡散フィルムの総膜厚を90〜450μmの範囲内の値とすることがより好ましく、120〜250μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、第1のルーバー構造領域と、第2のルーバー構造領域を、さらに交互に形成し、例えば、第3のルーバー構造領域、第4のルーバー構造領域等として設けてもよい。
7.傾斜角度の組み合わせ
また、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、第1のルーバー構造領域における膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaと、第2のルーバー構造領域における膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θa´とを、それぞれ調節することにより、その光拡散特性を変化させることができる。
すなわち、例えば、図3(a)に示すように、それぞれのルーバー構造領域が有する入射角度依存性を異ならせることで、光の透過と拡散における良好な入射角度依存性を実現できるとともに、光拡散入射角度領域および光拡散角度領域を効果的に拡大することができる。
この場合、第1のルーバー構造領域において、膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaを−80〜80°の範囲内の値とするとともに、第2のルーバー構造領域において、膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θa´を−80〜80°の範囲内の値とし、かつ、θa−θa´の絶対値を0〜80°の範囲内の値とすることが好ましく、2〜30°の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、図3(b)に示すように、それぞれのルーバー構造領域が有する入射角度依存性を重複させた場合には、光拡散角度領域の拡大に対する寄与は少ないものの、膜厚方向におけるトータルとしてのルーバーの長さを安定的に延長することになるため、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を効果的に増強させることができる。
この場合、第1のルーバー構造領域において、膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaを−80〜80°の範囲内の値とするとともに、第2のルーバー構造領域において、膜厚方向に対する傾斜角度θa´を−80〜80°の範囲内の値とし、かつ、θa−θa´の絶対値を0〜20°の範囲内の値とすることが好ましく、開き角の増加と拡散光の強度の均一性を考慮すると、θa−θa´の絶対値を2〜15°の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、本発明の異方性光拡散フィルムにおいては、光拡散における異方性を保持する観点から、フィルム面に沿った方向における板状領域の方向は、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域におけるフィルム面に沿った方向における板状領域の方向は、図3(a)および(b)に示すように、平行あるいは実質的に平行であることが好ましいが、用途によってはこれに限定されるものではない。
また、第1のルーバー構造領域の下方および第2のルーバー構造領域の上方に、ルーバー構造が形成されていない空白領域を、所定の厚さで設けてもよい。
8.用途
また、図7に示すように、本発明の異方性光拡散フィルムを、反射型液晶表示装置100に用いることが好ましい。
この理由は、本発明の異方性光拡散フィルムであれば、外光を集光し効率的に透過させて液晶表示装置の内部に取り込み、かつ、その光を光源として利用できるように、効率的に拡散させることができるためである。
したがって、本発明の異方性光拡散フィルムは、ガラス板(104、108)および液晶106、並びに、鏡面反射板107等からなる液晶セル110の上面、あるいは下面に配置して、反射型液晶表示装置100における光拡散板103として使用することが好ましい。
なお、本発明の異方性光拡散フィルムは、偏光板101や位相差板102に提供することで、広視野角偏光板や広視野位相差板を得ることもできる。
9.製造方法
また、本発明の異方性光拡散フィルムは、下記工程(a)〜(d)を含む製造方法によって製造することができる。
(a)異方性光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)異方性光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域を形成するとともに、塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程
(d)塗布層に対して、さらに第2の活性エネルギー線照射を行い、ルーバー構造未形成領域に屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第2のルーバー構造領域を形成する工程
以下、かかる製造方法につき、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
(1)工程(a):異方性光拡散フィルム用組成物の準備工程
工程(a)は、異方性光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分を40〜80℃の高温条件下にて撹拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、これと同時に、混合液に対し、所望により後述する(C)成分等その他の添加剤を添加した後、均一になるまで撹拌しつつ、所望の粘度となるように、必要に応じて希釈溶剤をさらに加えることにより、異方性光拡散フィルム用組成物の溶液を得ることが好ましい。
なお、モノマー(A)成分は、重合することにより、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における高屈折率板状領域を構成する(A)成分になるモノマー成分であり、モノマー(B)成分は、重合することにより、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における低屈折率板状領域を構成する(B)成分になるモノマー成分である。
また、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の種類についての詳細は、既に記載した通りであるため、省略する。
(1)−1 モノマー(A)成分の屈折率
また、モノマー(A)成分の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(A)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域と、(B)成分に由来した板状領域の屈折率との差を、より容易に調節して、所定のルーバー構造を備えた異方性光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、モノマー(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、モノマー(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、モノマー(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、モノマー(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、粘度が過度に低下して、モノマー(B)成分との相溶が困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.52〜1.65の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述したモノマー(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前のモノマー(A)成分の屈折率を意味する。
そして、モノマー(A)成分の屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
(1)−2 モノマー(A)成分の含有量
また、モノマー(A)成分の含有量を、後述するモノマー(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(A)成分の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、モノマー(B)成分との混合性を維持しつつも、光照射した場合には、両成分の共重合性を効果的に低下させ、所定のルーバーを効率的に形成することができるためである。
すなわち、モノマー(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、モノマー(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域の幅等が、(B)成分に由来した板状領域の幅等と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、異方性光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバーの長さが不十分になる場合があるためである。一方、モノマー(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、モノマー(B)成分に対するモノマー(A)成分の存在割合が多くなって、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域の幅等が、(B)成分に由来した板状領域の幅等と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、異方性光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバーの長さが不十分になる場合があるためである。
したがって、モノマー(A)成分の含有量を、モノマー(B)成分100重量部に対して、40〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−3 モノマー(B)成分の屈折率
また、モノマー(B)成分の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(B)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、ルーバー構造における(A)成分に由来した板状領域と、(B)成分に由来した板状領域の屈折率との差を、より容易に調節して、所定のルーバー構造を備えた異方性光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、モノマー(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、モノマー(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、モノマー(A)成分との相溶性が極端に悪化し、ルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、モノマー(B)成分の屈折率が1.55を超えた値となると、モノマー(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、モノマー(B)成分の屈折率を、1.45〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述したモノマー(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前のモノマー(B)成分の屈折率を意味する。
そして、モノマー(B)成分の屈折率についても、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
(1)−4 モノマー(B)成分の含有量
また、モノマー(B)成分の含有量を、異方性光拡散フィルム用組成物の全体量(100重量%)に対して、20〜80重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、モノマー(B)成分の含有量が20重量%未満の値となると、モノマー(A)成分に対するモノマー(B)成分の存在割合が少なくなって、ルーバー構造における(B)成分に由来した板状領域の幅等が、(A)成分に由来した板状領域の幅等と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、異方性光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバーの長さが不十分になる場合があるためである。
一方、モノマー(B)成分の含有量が80重量%を超えた値となると、モノマー(A)成分に対するモノマー(B)成分の存在割合が多くなって、ルーバー構造における(B)成分に由来した板状領域の幅等が、(A)成分に由来した板状領域の幅等と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、異方性光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバーの長さが不十分になる場合があるためである。
したがって、モノマー(B)成分の含有量を、異方性光拡散フィルム用組成物の全体量に対して、30〜70重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜60重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−5 光重合開始剤
また、本発明における異方性光拡散フィルム用組成物においては、所望により、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、異方性光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に所定のルーバー構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の合計量100重量部に対し、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−6 他の添加剤
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、上述した以外の化合物を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、このような添加剤の含有量は、一般に、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)工程(b):塗布工程
工程(b)は、図8(a)に示すように、準備した異方性光拡散フィルム用組成物を、工程シート2に対して塗布して塗布層1を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
また、後述する工程を考慮すると、工程シート2としては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたフィルムであることが好ましい。
このようなフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
また、工程シートに対しては、光硬化後に、得られた異方性光拡散フィルムを工程シートから剥離し易くするために、工程シートにおける異方性光拡散フィルム用組成物の塗布面側に、剥離層を設けることが好ましい。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、工程シート上に異方性光拡散フィルム用組成物を塗布する方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
なお、このとき、塗布層の厚さを、100〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
(3)工程(c):第1の活性エネルギー線照射工程
工程(c)は、塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域を形成するとともに、塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程である。
すなわち、図8(b)に示すように、工程シート2の上に形成された塗布層1に対し、照射角度の制御された直接光のみからなる活性エネルギー線150を照射する。
より具体的には、例えば、図9(a)に示すように、線状の紫外線ランプ125に集光用のコールドミラー122が設けられた紫外線照射装置120(例えば、市販品であれば、アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX等)に、熱線カットフィルター121および遮光板123を配置することにより、照射角度の制御された直接光のみからなる活性エネルギー線150を取り出し、工程シート2の上に形成された塗布層1に対し、照射する。
なお、線状の紫外線ランプは、塗布層1を有する工程シート2の長手方向と直行する方向を基準(0°)として、通常−80〜80°の範囲内の値、好ましくは−50〜50°の範囲内の値、特に好ましくは−30〜30°の範囲内の値になるように設置される。
ここで、線状光源を用いる理由は、屈折率が異なる板状領域が交互に、かつ、膜厚方向に対して一定の傾斜角にて平行配置してなる第1のルーバー構造領域を、効率的、かつ、安定的に製造することができるためである。
より具体的には、線状光源を用いることにより、線状光源の軸方向から見た場合には実質的に平行光であり、線状光源の軸方向とは垂直な方向から見た場合には非平行な光を照射することができる。
このとき、照射光の照射角度としては、図9(b)に示すように、塗布層1の表面の法線に対する角度を0°とした場合の照射角度θ3を、通常、−80〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照射角度が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層1の表面での反射等の影響が大きくなって、十分なルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
また、照射角度θ3は、1〜80°の幅(照射角度幅)θ3´を有していることが好ましい。
この理由は、かかる照射角度幅θ3´が1°未満の値となると、ルーバー構造の間隔が狭くなり過ぎて、所望の第1のルーバー構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる照射角度幅θ3´が80°を超えた値となると、照射光が分散し過ぎて、ルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、照射角度θ3の照射角度幅θ3´を2〜45°の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、照射光としては、紫外線や電子線等が挙げられるが、紫外線を用いることが好ましい。
この理由は、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程でモノマー(A)成分とモノマー(B)成分が十分に相分離できず、ルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の選択の幅を広げることができるためである。
また、紫外線の照射条件としては、塗布層表面における照度を0.1〜3mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照度が0.1mW/cm2未満の値となると、ルーバー構造未形成領域を十分に形成することができるものの、第1のルーバー構造領域を形成するのに時間を要する場合があるためである。
一方、照度が3mW/cm2を超えた値となると、フィルムの総膜厚に対する第1のルーバー構造領域の占める割合が大きくなり過ぎて、第2のルーバー構造領域をその光拡散特性を発揮できる程度に十分に形成することが困難になる場合があるためである。また、重複ルーバー構造領域が形成されにくくなる場合があるためである。
したがって、紫外線の塗布層表面における照度を0.3〜2mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1.5mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう照度とは、塗布層表面に照射される活性エネルギー線が最大値を示す部分での測定値を意味する。
また、塗布層表面における光量を10〜100mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光量が10mJ/cm2未満の値となると、第1のルーバー構造領域を形成できなくなる場合があるためである。
一方、光量が100mJ/cm2を超えた値となると、第1のルーバー構造領域の占める割合が大きくなり過ぎて、第2のルーバー構造領域を形成するためのルーバー構造未形成領域の層厚が不十分になったり、あるいは、ルーバー構造未形成領域が十分に確保されたとしても、当該ルーバー構造未形成領域の硬化反応が進み過ぎて、後述する第2の活性エネルギー線照射工程において、第2のルーバー構造領域を十分に形成することができなくなったりする場合があるためである。
したがって、塗布層表面における紫外線の光量を7〜50mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、第1の活性エネルギー線照射工程は、効率的にルーバー構造未形成領域を残す観点から、空気雰囲気下にて実施することが好ましい。
また、工程シート上に形成された塗布層を、0.1〜10m/分の速度にて移動させて、紫外線照射装置による紫外線照射部分を通過させることが好ましい。
この理由は、かかる速度が0.1m/分未満の値となると、量産性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる速度が10m/分を超えた値となると、塗布層の硬化、言い換えれば、ルーバー構造の形成よりも速く、塗布層に対する紫外線の入射角度が変化してしまい、ルーバー構造の形成が不十分になる場合があるためである。
したがって、工程シート上に形成された塗布層を、0.2〜5m/分の範囲内の速度にて移動させて、紫外線照射装置による紫外線照射部分を通過させることがより好ましく、0.5〜3m/分の範囲内の速度にて通過させることがさらに好ましい。
(4)工程(d):第2の活性エネルギー線照射工程
工程(d)は、塗布層に対して、さらに第2の活性エネルギー線照射を行い、ルーバー構造未形成領域に屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第2のルーバー構造領域を形成する工程である。
すなわち、工程シートの上に形成された塗布層に対し、照射角度の制御された直接光のみからなる活性エネルギー線を照射する。
かかる第2の活性エネルギー線照射工程は、基本的に第1の活性エネルギー線照射工程と同様にして行うことができる。
また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合の照射条件としては、塗布層表面における照度を0.1〜20mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照度が0.1mW/cm2未満の値となると、第2のルーバー構造領域を十分に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、照度が20mW/cm2を超えた値となると、ルーバー構造未形成領域において、高屈折率成分と低屈折率成分の相分離が生じる前に硬化し、ルーバー構造が形成されなくなる場合があるためである。
したがって、紫外線の塗布層表面における照度を0.3〜10mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜5mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、塗布層表面における光量を5〜300mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光量が5mJ/cm2未満の値となると、第2のルーバー構造領域を十分に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、光量が300mJ/cm2を超えた値となると、異方性光拡散フィルムにおいて黄変等の異常が生じる場合があるためである。
したがって、紫外線の塗布層表面における光量を30〜200mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜150mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の活性エネルギー線照射工程は、効率的に第2のルーバー構造領域を形成する観点から、露出している塗布層表面に剥離フィルムを積層する、あるいは窒素パージを行う等して、非酸素雰囲気下にて実施することが、特に好ましい。
すなわち、露出している塗布層表面に剥離フィルムを積層して、剥離フィルム越しに照射することが好ましい。剥離フィルムとしては、工程シートとして上述したもののうち紫外線透過性を有するものを適宜選択することができる。
また、剥離フィルムとしては、塗布層と接しない側の表面の中心線平均粗さが2μm以下の値であることが好ましく、1μm未満の値であることがさらに好ましく、0.05μm未満であることが特に好ましい。
この理由は、このような中心線平均粗さであれば、第2の活性エネルギー線が剥離フィルムにより拡散されるのを有効に防止し、第2のルーバー構造領域を効率的に形成できるからである。
なお、中心線平均粗さは、JIS B 0633により求めることができる。
同様の観点から、剥離フィルムのヘーズ値は、0〜8%の範囲内の値であることが好ましく、0.1〜5%の範囲内の値であることが特に好ましい。
なお、ヘーズ値は、JIS K 7136により求めることができる。
また、剥離フィルムの像鮮明度(スリット幅:0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mmおよび2mmの合計値)が、200〜500の範囲内の値であることが好ましく、300〜490の範囲内の値であることが特に好ましい。
この理由は、像鮮明度がこのような範囲の値であれば、活性エネルギー線を該フィルムで損失することなく、塗膜層に透過させ、第2のルーバー構造領域を効率的に形成できるからである。
なお、像鮮明度は、JIS K 7374により求めることができる。
また、同様の観点から、剥離フィルムの波長360nmの光に対する透過率が、30〜100%の範囲内の値であることが好ましく、45〜95%の範囲内の値であることがさらに好ましく、75〜90%であることが特に好ましい。
なお、塗布層が十分に硬化する積算光量となるように、第1および第2の活性エネルギー線照射とは別に、さらに活性エネルギー線を照射することも好ましい。
このときの活性エネルギー線は、塗布層を十分に硬化させることを目的とするものであるため、平行光ではなくフィルムの長手方向および幅方向のいずれの進行方向においてもランダムな光を用いることが好ましい。
また、光硬化工程後の光拡散フィルムは、工程シートを剥離することによって、最終的に使用可能な状態となる。
以下、実施例を参照して、本発明の異方性光拡散フィルムをさらに詳しく説明する。
[実施例1]
1.モノマー(B)成分の合成
容器内に、(b)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(a)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および(c)成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って縮合させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
なお、ポリプロピレングリコールおよびポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件に沿って測定したポリスチレン換算値である。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
2.異方性光拡散フィルム用組成物の調製
次いで、得られたモノマー(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、モノマー(A)成分としての下記式(3)で表わされる重量平均分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)100重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン5重量部とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、異方性光拡散フィルム用組成物を得た。
なお、モノマー(A)成分およびモノマー(B)成分の屈折率は、アッベ屈折計[アタゴ社製、品名「アッベ屈折計DR−M2」、Na光源、波長:589nm]によりJIS K0062に準じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
Figure 2013108540
3.異方性光拡散フィルム用組成物の塗布
次いで、得られた異方性光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしての透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETと称する。)に対して、アプリケーターを用いて塗布し、膜厚200μmの塗布層を得た。
4.塗布層の光硬化
(1)第1の紫外線照射
次いで、図9(a)に示すような線状の高圧水銀ランプに集光用のコールドミラーが付属した紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX)を準備した。
次いで、熱線カットフィルター枠上に遮光板を設置し、塗布層の表面に照射される紫外線が、線状の紫外線ランプの長手方向から見たときの塗布層およびPETからなる積層体の法線方向を0°とした場合に、ランプからの直接の紫外線の照射角度(図9(b)のθ3)が30°となるように設定した。
このとき、塗布層からのランプの高さは500mmとし、ピーク照度は1.0mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2となるように設定した。
また、遮光板等での反射光が、照射機内部で迷光となり、塗布層の光硬化に影響を及ぼすことを防ぐため、コンベア付近にも遮光板を設け、ランプから直接発せられる紫外線のみが塗布層に対して照射されるように設定した。
なお、上述した照度および光量は、受光器を取り付けたアイグラフィックス(株)製のUV METER アイ紫外線積算照度計「UVPF−A1」を塗布層の位置に設置して測定した。
次いで、コンベアにより、塗布層を図9(a)における右方向に、0.2m/分の速度にて移動させながら上述のように設定した紫外線を照射した。
(2)第2の紫外線照射
次いで、線状光源による第1の紫外線照射工程を経た後、塗布層の露出面側に、厚さ38μmの紫外線透過性を有する剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET382050;紫外線照射側の表面における中心線平均粗さ0.01μm、ヘーズ値1.80%、像鮮明度425、波長360nmの透過率84.3%)をラミネートした。
次いで、第1の紫外線照射と同様の紫外線照射装置を用い、ランプからの直接の紫外線の照射角度(図9(b)のθ3)が16°となるように設定した。このとき、塗布層からのランプの高さは500mmとし、塗布層表面にてピーク照度は3.0mW/cm2、積算光量は80mJ/cm2となるように設定した。
次いで、コンベアにより、塗布層を図9(a)における右方向に、0.2m/分の速度にて移動させながら上述のように設定した紫外線を照射し、総膜厚200μmの異方性光拡散フィルムを得た。
なお、異方性光拡散フィルムの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG−02J)を用いて測定した。
また、得られた異方性光拡散フィルムは、図10に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が26°であり、第2のルーバー構造領域における板状領域も直線状で、その傾斜角θa´(=θb´)が12°であることを確認した。
また、かかる図10に示す図は、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、第1のルーバー構造領域の厚さは165μmであり、第2のルーバー構造領域の厚さは50μmであり、重複ルーバー構造領域の厚さは15μmであった。
5.測定
コノスコープ(autronic−MELCHERS GmbH社製)を用いて、図11(a)に示すように、得られた異方性光拡散フィルムの下側、つまり、第1のルーバー構造領域が存在する側より、当該フィルムに対して、入射角θ1(°)を変えながら光を入射させて、入射光が最も拡散される入射角として、θ1=35°に決定した。
このとき、異方性光拡散フィルムにより拡散された拡散光における拡散角度(°)を横軸にとり、拡散光の強度(cd/m2)を縦軸にとった場合のスペクトルチャートを図11(a)に示し、図11(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図11(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)を表1に示す。
なお、光拡散角度領域は、入射光を異方性光拡散フィルム表面での照度が65ルクスとなるように照射し、異方性光拡散フィルムにより拡散された光の強度が100cd/m2以上となる角度領域である。
また、光拡散角度領域内の拡散光の強度における最大ピーク値(cd/m2)を表1に示す。
なお、かかる最大ピーク値が1,500cd/m2以上の値を示す場合、光拡散角度領域内において、入射光が拡散されずにそのまま透過している部分があると判断され、拡散光の均一性が劣ることを示す。
[実施例2]
実施例2では、塗布層の厚さを変えるとともに、塗布層を硬化させる際に、第2の紫外線照射における照射角度θ3を30°に変えたほかは、実施例1と同様にして光拡散フィルムを得た。
また、得られた光拡散フィルムは、図12に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が23°であり、第2のルーバー構造領域における板状領域も直線状で、その傾斜角θa´(=θb´)が21°であることを確認した。
また、かかる図12に示す図は、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は130μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは95μmであり、第2のルーバー構造領域の厚さは50μmであり、重複ルーバー構造領域の厚さは15μmであった。
また、実施例1と同様に、コノスコープを用いて、入射光の入射角θ1=35°において、光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図13(a)に示し、図13(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図13(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、塗布層の厚さを変えるとともに、塗布層を硬化させる際に、第1の紫外線照射における照射角度θ3を24.3°に変えるとともに、照度を0.8mW/cm2、光量を20mJ/cm2に変え、さらに、第2の紫外線照射における照射角度θ3を5°に変えるとともに、照度を1.4mW/cm2、光量を40mJ/cm2に変えた。
さらに、第1および第2の紫外線照射における塗布層の移動速度を1.0m/分に変えたほかは、実施例1と同様にして光拡散フィルムを得た。
また、得られた光拡散フィルムは、図14に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は、低照射度に起因して湾曲状であり、その傾斜角θa=11°、θb=16°であることを確認した。
また、第2のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa´(=θb´)が2°であることを確認した。
また、かかる図14に示す図は、第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は165μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは105μmであり、第2のルーバー構造領域の厚さは75μmであり、重複ルーバー構造領域の厚さは15μmであった。
さらに、得られた光拡散フィルムの断面写真および断面写真から起こした線図を、図15(a)〜(c)に示す。
なお、図15(a)は、得られた光拡散フィルムの断面全体を示す断面写真および線図であり、図15(b)は、フィルム断面の上方部分、すなわち第2のルーバー構造領域部分を中心に示す断面写真および線図であり、図15(c)は、フィルム断面の下方部分、すなわち第1のルーバー構造領域部分を中心に示す断面写真および線図である。
また、入射光の入射角θ1=10°としたほかは、実施例1と同様に、コノスコープを用いて光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図16(a)に示し、図16(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図16(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、塗布層を硬化させる際に、第1の紫外線照射として、ピーク照度を3.0mW/cm2に変えたほかは、実施例1と同様にして異方性光拡散フィルムを得た。
また、得られた異方性光拡散フィルムは、図17に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が22°であり、第2のルーバー構造領域における板状領域も直線状で、その傾斜角θa´(=θb´)が10°であることを確認した。
なお、図17に示す図は、第1のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は200μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは165μmであり、第2のルーバー構造領域の厚さは35μmであり、重複ルーバー構造領域は存在しなかった。
また、実施例1と同様に、コノスコープを用いて、入射光の入射角θ1=35°において、異方性光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図18(a)に示し、図18(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図18(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、塗布層を硬化させる際に、第2の紫外線照射として、照度を10mW/cm2、光量を80mJ/cm2の散乱光を照射したほかは、実施例1と同様にして異方性光拡散フィルムを得た。
また、得られた異方性光拡散フィルムは、図19に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が22°であり、第2のルーバー構造領域は形成されていないことを確認した。
なお、かかる図19に示す図は、第1のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は200μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは165μmであり、第2のルーバー構造領域に相当する部分の厚さは35μmであった。
また、実施例1と同様に、コノスコープを用いて、入射光の入射角θ1=35°において、異方性光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図20(a)に示し、図20(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図20(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、塗布層の厚さを変えるとともに、塗布層を硬化させる際に、第2の紫外線照射として、照度を10mW/cm2、光量を80mJ/cm2の散乱光を照射したほかは、実施例1と同様にして異方性光拡散フィルムを得た。
また、得られた異方性光拡散フィルムは、図21に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が22°であり、第2のルーバー構造領域は形成されていないことを確認した。
なお、かかる図21に示す図は、第1のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は130μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは95μmであり、第2のルーバー構造領域に相当する部分の厚さは35μmであった。
また、実施例1と同様に、コノスコープを用いて、入射光の入射角θ1=35°において、異方性光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図22(a)に示し、図22(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図22(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、塗布層の厚さを変えるとともに、塗布層を硬化させる際に、第1の紫外線照射における照射角度θ3を24.3°に変えるとともに、照度を0.8mW/cm2、光量を20mJ/cm2に変えるとともに、第2の紫外線照射として、照度を10mW/cm2、光量を40mJ/cm2の散乱光を照射した。
さらに、第1および第2の紫外線照射における塗布層の移動速度を1.0m/分に変えたほかは、実施例1と同様にして異方性光拡散フィルムを得た。
また、得られた異方性光拡散フィルムは、図23に示すように、第1のルーバー構造領域における板状領域は直線状で、その傾斜角θa(=θb)が13°であり、第2のルーバー構造領域は形成されていないことを確認した。
なお、かかる図23に示す図は、第1のルーバー構造領域における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面を示す模式図である。
また、総膜厚は165μmであり、第1のルーバー構造領域の厚さは100μmであり、第2のルーバー構造領域に相当する部分の厚さは65μmであった。
さらに、得られた異方性光拡散フィルムの断面写真および断面写真から起こした線図を、図24(a)〜(c)に示す。
なお、図24(a)は、得られた異方性光拡散フィルムの断面全体を示す断面写真および線図であり、図24(b)は、フィルム断面の上方部分、すなわち第2のルーバー構造領域に相当する部分を中心に示す断面写真および線図であり、図24(c)は、フィルム断面の下方部分、すなわち第1のルーバー構造領域部分を中心に示す断面写真および線図である。
また、入射光の入射角θ1=30°としたほかは、実施例1と同様に、コノスコープを用いて異方性光拡散フィルムにより拡散された光の強度(cd/cm2)を測定した。得られたスペクトルチャートを図25(a)に示し、図25(a)におけるZ方向から見た拡散光の写真を図25(b)に示す。
また、かかるスペクトルチャートから認定される光拡散角度領域(°)および最大ピーク値(cd/cm2)を表1に示す。
Figure 2013108540
以上の結果を考察すると、実施例1と比較例1を比較することにより、重複ルーバー構造領域を有する実施例1の方が、当該重複ルーバー構造領域を有さない比較例1よりも、光拡散角度領域の幅(拡散光の開き角)が広くなっていることがわかる。
また、実施例1と比較例2、あるいは、実施例3と比較例4を比較することにより、第2のルーバー構造領域および重複ルーバー構造領域を有するものの方が、光拡散角度領域の幅(拡散光の開き角)が広くなっていることが分かる。
さらに、比較例3では光拡散角度領域内の拡散光の強度における最大ピーク値(cd/cm2)が1,500cd/cm2を超えてしまったことから、異方性光拡散フィルムとしては膜厚不足と判定されるのに対し、実施例2では、同じ膜厚でありながら、かかる最大ピーク値(cd/cm2)を1,500cd/cm2未満の値に抑えられることがわかる。
以上、詳述したように、本発明によれば、同一フィルム内に第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を形成するとともに、これらのルーバー構造領域を一部重なり合わせた重複ルーバー構造領域を設けることにより、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を高め、さらに、光拡散角度領域を効果的に拡大した異方性光拡散フィルムを得られるようになった。
したがって、本発明の異方性光拡散フィルムは、反射型液晶装置における光制御膜の他、視野角制御フィルム、視野角拡大フィルム、さらにはプロジェクション用スクリーンにも提供することができ、これらの高品質化に著しく寄与することが期待される。
1:塗布層、2:工程シート、10:通常の異方性光拡散フィルム、12:屈折率が相対的に高い板状領域、13:ルーバー構造領域、13´:ルーバー構造の境界面、14:屈折率が相対的に低い板状領域、20:第1のルーバー構造領域、20´:ルーバー構造未形成領域、30:第2のルーバー構造領域、40:本発明の異方性光拡散フィルム、50:重複ルーバー構造領域、100:反射型液晶表示装置、101:偏光板、102:位相差板、103:光拡散板、104:ガラス板、105:カラーフィルター、106:液晶、107:鏡面反射板、108:ガラス板、110:液晶セル、120:紫外線照射装置、121:熱線カットフィルター、122:コールドミラー、123:遮光板、125:線状の紫外線ランプ、150:活性エネルギー線

Claims (11)

  1. 屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する異方性光拡散フィルムであって、
    前記第1のルーバー構造領域の上端部と、前記第2のルーバー構造領域の下端部とが重なり合う重複ルーバー構造領域を有することを特徴とする異方性光拡散フィルム。
  2. 前記重複ルーバー構造領域が、前記第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域にそれぞれ由来した前記板状領域のいずれか一方の先端が、もう一方のルーバー構造領域に由来した板状領域の先端近傍に対して接触してなることを特徴とする請求項1に記載の異方性光拡散フィルム。
  3. 前記重複ルーバー構造領域の厚さを1〜40μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性光拡散フィルム。
  4. 前記重複ルーバー構造領域の厚さを、フィルム膜厚(100%)に対して0.1〜10%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  5. 前記重複ルーバー構造領域において、前記第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域にそれぞれ由来した前記屈折率が異なる板状領域の傾斜角の差の絶対値を、1°以上の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  6. 前記重複ルーバー構造領域において、前記第2のルーバー構造領域に由来した前記板状領域の傾斜角の絶対値を、前記第1のルーバー構造領域に由来した前記板状領域の傾斜角の絶対値よりも大きな値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  7. 前記第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における前記板状領域の幅を、それぞれ0.1〜15μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  8. 前記第1のルーバー構造領域における前記板状領域が、フィルム膜厚方向に沿って上方または下方に湾曲していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  9. 前記第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域における前記板状領域のうち、屈折率の高い板状領域の主成分が、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体であり、屈折率の低い板状領域の主成分が、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  10. 前記第1のルーバー構造領域の厚さを50〜500μmの範囲内の値とするとともに、前記第2のルーバー構造領域の厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
  11. 前記第1のルーバー構造領域および第2のルーバー構造領域の厚さの合計から前記重複ルーバー構造領域の厚さを引いた値を、フィルム膜厚(100%)に対して80%以上の値とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の異方性光拡散フィルム。
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