JPWO2013099520A1 - 正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

正極活物質の分散性、保存安定性および集電体に塗工する際の塗工性に優れ、かつ、集電体に塗工後は、集電体および正極活物質との密着性に優れた正極を得ることができる水系の正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供する。
正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤と、を含有する正極合剤である。

Description

本発明は、正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池に関し、詳しくは、正極活物質の分散性、保存安定性および集電体に塗工する際の塗工性に優れ、かつ、集電体に塗工後は、集電体および正極活物質との密着性に優れた正極を得ることができる水系の正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、電子部品の小型化、多機能化が進み、携帯型電子機器が多く登場している。これらは小型化、軽量化が望まれており、その電源として用いられる電池においても同様に小型化、軽量化が求められている。また、環境問題や資源問題を背景に、ハイブリッド自動車や電気自動車等が開発され、製造、販売されはじめている。このような、いわゆる電動車両においても、小型かつ軽量で充電および放電ができ、エネルギー密度の高い電源装置の活用が不可欠である。これらの電源装置としてはリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や電気二重層キャパシタ等が利用される。特にリチウムイオン二次電池をはじめとする非水電解質二次電池は、そのエネルギー密度の高さや、繰り返しの充電、放電に耐えうる耐久性の高さから、電源装置として注目され、開発が鋭意進められている。
二次電池の電極は、活物質、導電助剤、さらにはこれらを集電体に結着させるバインダー樹脂により構成される。二次電池は、充放電の際に正極または負極が体積膨張や収縮を繰り返すため、活物質や導電助剤の脱落が起こることで充放電のサイクル寿命を短くする場合がある。そのため、二次電池用バインダー樹脂には電極の膨潤、収縮に耐え得る柔軟性が要求され、従来、正極および負極共にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が多く用いられてきた。
しかしながら、一般的なフッ素樹脂では集電体に対する密着性が不十分であるため、充放電のサイクル寿命のさらなる向上要求に対して応えることができなかった。特に、ポリフッ化ビニリデンをバインダー樹脂として使用した場合、集電体、または充填剤(正極活物質および導電助剤)との結着力が弱いため、電池製造時および電池使用中に集電体と電極合剤の剥離が生じ、電池の内部抵抗が増大するという問題を有していた。
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、バインダー樹脂であるフッ素樹脂として、フッ化ビニリデンと不飽和二塩基酸のモノエステル等の極性モノマーとの共重合体が提案されている。これによれば、フッ素樹脂と集電体との結着性を改善することが可能である。また、特許文献2および特許文献3には、負極活物質のバインダー樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)粒子の水分散エマルションや、SBR粒子とカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩またはアンモニウム塩からなる組成物が提案されている。特許文献2および3のように、SBR粒子をバインダー樹脂に用いることで、二次電池使用時における、負極活物質の脱落を防止することができる。
さらに、特許文献4では、溶剤に溶解させたバインダー樹脂としてのアクリル樹脂に架橋剤を添加して、アクリル樹脂と架橋剤とを電極作製時の加熱、圧着工程で反応させて三次元架橋構造体を得ることにより、二次電池の充放電時における活物質や導電剤の脱落を防止する技術が提案されている。さらにまた、特許文献5では、平均粒径が0.01〜0.5μmの正極活物質表面を界面活性剤で被覆することにより、反応に供される正極活物質の表面積を増大させつつ、正極活物質の凝集を防止し、二次電池を高出力化する技術が提案されている。
特許第3121943号公報 特許第3101775号公報 特許第3260972号公報 特許第3066682号公報 特開2008−21415号公報
しかしながら、特許文献1で提案されているフッ素系樹脂は、非水系二次電池電極用のバインダー樹脂として用いる場合のように厳しい条件下での使用を考慮すると、未だ十分な耐溶剤性、耐薬品性を有するとはいい難い。また、特許文献2および3に記載のバインダー樹脂の使用においては、SBR粒子は充放電を繰り返しても負極活物質が脱落し難いという利点を有してはいるものの、容量の大きな電池を得ることができないという問題がある。また、SBR粒子は、負極活物質である炭素材料に吸着しやすく、炭素材料表面を被覆する傾向がある。そのため、リチウムイオンを含む電解液が浸透し難く、十分な電気特性を得られない場合がある。さらに、特許文献4で提案されている溶剤溶解型のバインダー樹脂を使用した場合、樹脂溶液を電極基体に塗布した後、有機溶媒を除去すると、樹脂によって電極活物質表面が隙間なく被覆されてしまう。そのため十分な電気特性が得られないという問題を有している。さらにまた、特許文献5で提案されている二次電池は、正極活物質の結着を阻害しやすく、正極活物質合剤層の耐久性が十分ではないという問題を有している。また、特許文献1および4では、バインダー樹脂としてフッ素樹脂を用いているが、フッ素樹脂はN−メチルピロリドン等の特定の溶剤にしか膨潤、溶解しないため、電極作製時の異臭等の人体や環境に対する悪影響が問題である。
そこで、本発明の目的は、正極活物質の分散性、保存安定性および集電体に塗工する際の塗工性に優れ、かつ、集電体に塗工後は、集電体および正極活物質との密着性に優れた正極を得ることができる水系の正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者は上記課題を解消するために鋭意検討した結果、正極合剤に界面活性剤と、特定の高分子材料を水分散性高分子バインダー樹脂として用いることで、正極活物質が溶媒中で容易に均一に分散し、また、得られた正極合剤は集電体に塗布する際の塗工性に優れており、これを乾燥して得られた正極は正極合剤層と集電板との密着性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明者は正極合剤に特定の物性を有する界面活性剤を添加することで、正極活物質が溶媒中で容易に均一に分散し、また、得られた正極合剤は集電体に塗布する際の塗工性に優れており、これを乾燥して得られた正極は正極合剤層と集電板との密着性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明の正極合剤は、正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤と、を含有することを特徴とするものである。
本発明の正極合剤においては、前記界面活性剤のHLB値は13.0〜20.0であることが好ましい。また、本発明の正極合剤においては、溶媒として水を含むことが好ましい。
また、本発明の正極は、上記本発明の正極合剤が集電体に塗布されてなることを特徴とするものである。
さらに、本発明の非水電解質二次電池は、上記本発明の正極を用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、正極活物質の分散性、保存安定性および集電体に塗工する際の塗工性に優れ、かつ、集電体に塗工後は、集電体および正極活物質との密着性に優れた正極を得ることができる水系の正極合剤、正極、およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<正極合剤>
本発明の正極合剤は、正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤と、を含有する。正極合剤に界面活性剤を添加することで、正極活物質および水分散性高分子バインダー樹脂を水系の溶媒に短時間で均一に分散させることができる。また、正極活物質および水分散性高分子バインダー樹脂は凝集、沈降を起こしにくくなるため、集電体に対する塗工性も向上する。さらに、本発明の正極合剤を用いた正極は、集電体および正極活物質との密着性および可撓性に優れている。さらにまた、得られた正極を用いた非水電解質二次電池は、充電および放電の繰り返しや、発熱による高温環境下にあっても充電放電サイクルにおける放電容量の低下を抑制でき、長寿命の二次電池を得ることができる。以下、本発明の正極合剤の各成分、およびその製造方法について詳細に説明する。
<正極活物質>
本発明の正極合剤においては、正極活物質として、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、およびリチウム含有複合金属酸化物等を用いることができる。遷移金属としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等を挙げることができ、遷移金属酸化物としては、例えば、MnO、MnO、V、V13、TiO、Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13等を好適に用いることができる。特に、サイクル安定性と容量の観点からMnO、V、V13、TiOが好適である。遷移金属硫化物としては、TiS、TiS、非晶質MoS、FeS等を好適に用いることができる。また、リチウム含有複合金属酸化物の構造については、特に制限はないが、層状構造、スピネル構造、またはオリビン型構造等のものを好適に用いることができる。
層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co−Ni−Mnの複合酸化物を主構造とするリチウム含有複合金属酸化物、Ni−Mn−Alの複合酸化物を主構造とするリチウム含有複合金属酸化物、Ni−Co−Alの複合酸化物を主構造とするリチウム含有複合金属酸化物を挙げることができる。
スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としてはマンガン酸リチウム(LiMn)やMnの一部を他の遷移金属で置換したLi[Mn3/21/2]O(ここでMは、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等)等を挙げることができる。
オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としてはLiMPO(式中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、BおよびMoから選ばれる少なくとも1種、0≦X≦2)であらわされるオリビン型リン酸リチウム化合物を挙げることができる。リチウム含有複合金属酸化物の中でも、LiFePO、LiCoPOは導電性が低いために微粒化させて用いることが多く、これらは多くの細孔を有するため表面積が大きくバインダーとなる樹脂との相溶性が悪い。しかしながら、本発明の正極合剤は界面活性剤を含有しているため、LiFePO、LiCoPOであっても好適に用いることができる。
本発明の正極合剤においては、正極活物質としては、平均粒子径が0.01μm以上50μm未満のものを好適に用いることができ、より好適には0.1μm〜30μmである。粒子径が上記範囲内であれば、水分散性高分子バインダー樹脂の配合量を少なくすることができ、電池の容量の低下を抑制できると共に、正極活物質の凝集を防ぎ、正極合剤の分散性を良好にして均一な電極を得ることができる。ここで、粒子径とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lであり、平均粒子径の値とは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値である。
なお、正極活物質として、電気伝導性に乏しい鉄系酸化物を用いる場合は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた正極活物質として用いることができる。これら炭素源物質は、部分的に元素置換したものであってもよい。また、非水電解質二次電池用正極活物質は、上記の無機化合物と、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子である有機化合物との混合物であってもよい。
<水分散性高分子バインダー樹脂>
本発明の正極合剤においては、水分散性高分子バインダー樹脂とは、後述する水系溶媒に分散することができる高分子バインダー樹脂である。水分散性高分子バインダー樹脂としては、ビニル系重合体、アクリル系重合体、ニトリル系重合体、ポリウレタン系重合体、ジエン系重合体等の非フッ素系重合体や、PVDFやPTFE等のフッ素系重合体を挙げることができる。特に、集電体や正極合剤との接着性の観点から非フッ素系重合体が好ましく、より好ましくは、アクリル樹脂、または、少なくともポリオールとポリイソシアネートとからなる重量平均分子量が8,000〜1,500,000、好適には、重量平均分子量が10,000〜1,000,000のポリウレタン樹脂である。
水分散性高分子樹脂バインダーとしてアクリル樹脂を用いる場合、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルと、その他の官能性モノマーの共重合体からなるものを用いてもよい。また、水分散性高分子樹脂バインダーとしてポリウレタン樹脂を用いる場合、重量平均分子量が8,000未満であるとバインダーの耐久性が低下することがあり、一方、重量平均分子量が1,500,000を超えるとバインダーの耐久性は向上するものの、バインダー自体が凝集してしまい、分散性、塗工性が著しく低下してしまう場合がある。また、粒子径としては、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。粒子径が5μmを超えると結着性が低下するおそれがあり、一方、粒子径が0.05μm未満であると正極活物質の表面が覆われてしまい、内部抵抗を増加させてしまうおそれがある。上記ポリウレタン樹脂の合成に用いられるポリオールおよびポリイソシアネートとしては特に制限はなく、既知のものを用いることができる。また、上記アクリル樹脂としても特に制限はなく、既知のものを用いることができる。さらに、上記アクリル樹脂の合成に用いられるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその他のモノマーについても特に制限はなく、既知のものを用いることができる。なお、本発明の正極合剤においては、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂は、水性エマルションや水性ディスパージョンの形態で用いてもよい。
水性エマルションの調製方法としては、公知の手法を採用することができ、例えば、セッケン等の界面活性剤を用いる界面活性剤法、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを保護コロイドとして用いるコロイド法等の乳化重合により製造し、一括重合法、プレエマルジョン滴下法、モノマー滴下法等を用いればよい。また、モノマー濃度、反応温度、攪拌速度等の制御により、水性エマルションにおける各種重合体の平均粒径を変化させることができる。乳化重合により、重合体の粒度分布をシャープにすることができ、このような水性エマルションを用いることにより、電極における各種成分を均質にすることができる。
水性ディスパージョンとしては、ポリテトラフルオロエチレン系水性ディスパージョンを好適に用いることができる。なお、水性ディスパージョンの調製方法においても、公知の手法を採用することができ、ポリテトラフルオロエチレン系水性ディスパージョンは、ポリテトラフルオロエチレンを水に分散して得ることができる。
本発明の正極合剤に係るポリウレタン樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、ポリエステルポリオール類を好適に用いることができる。ポリエステルポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらのポリオールの中で、ポリエステルポリオールが、ポリウレタン樹脂をバインダー樹脂に用いた場合、良好な耐久性、強度を与えるので好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、低分子多価アルコールと低分子多価アルコールの化学量論的量より少ない量の多価カルボン酸またはそのエステル、無水物、ハライド等のエステル形成性誘導体との直接エステル化反応および/またはエステル交換反応により得ることができるものを挙げることができる。
低分子多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等脂環式ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のアルコール類を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類、トリメリト酸、トリメシン酸、ヒマシ油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類等の多価カルボン酸、これらの多価カルボン酸の酸無水物、これら多価カルボン酸のクロライド、ブロマイド等のハライド、上記多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級エステルや、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明の正極合剤に係るポリウレタン樹脂の合成に用いられるポリイソシアネートとしても特に制限はなく、既知のポリイソシアネートを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートの混合物が、得られるポリウレタン樹脂の分散性が良好で、安価であるため好適である。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類を挙げることができる。特に、脂環式ジイソシアネートが耐加水分解性に優れるので好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
トリイソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、上記ジイソシアネートのイソシアヌレート三量化物、ビューレット三量化物、トリメチロールプロパンアダクト化物等を挙げることができる。特に、イソシアヌレート三量化物がポリウレタン樹脂に対して安定した分散状態を与えるので好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の正極合剤においては、ポリウレタン樹脂としては、鎖延長剤を用いて重合されたポリウレタン樹脂を用いてもよい。すなわち、ポリウレタン樹脂として高分子量のものが必要な場合は、ポリウレタン樹脂の合成に用いられる既知の鎖延長剤を用いることができる。鎖延長剤としては、多価アミン化合物、多価一級アルコール化合物等が好ましく、多価アミン化合物がより好ましい。
多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の上記例示の低分子ポリオールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換された低分子ポリアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等のポリエーテルポリアミン類、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノメチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ポリアミン類、m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ジチオジアニリン等の芳香族ポリアミン類、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、イソフタル酸ジヒドラジド等を挙げることができる。本発明の正極合剤においては、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の正極合剤に係るポリウレタン樹脂の製造方法については特に制限はなく、既知の製造方法を用いることができる。例えば、ポリオール、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートを一括で反応させ、予めウレタンプレポリマーを調製し、それを鎖延長剤存在下の水中で鎖延長させることができるプレポリマー法が好ましい。
鎖延長剤の使用量については、特に制限されることはなく、任意の量を選択して使用できるが、例えば、ポリウレタン樹脂の合成としてプレポリマー法を選択した場合、プレポリマー中のイソシアネート基の数1に対して鎖延長剤の活性水素の数は0.1〜1.5が、得られる水分散型ポリウレタン組成物の分散性が良好で、変色もないので好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。
本発明の正極合剤に係るアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明の正極合剤に係るアクリル樹脂においては、上記アクリル酸エステルおよび上記メタクリル酸エステル以外に、官能性モノマーを加えることができる。例えば、単官能性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系モノマーが挙げられる。また、多官能性モノマーとしては、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
本発明に係るアクリル樹脂の製造方法については特に制限はなく、既知の製造方法を用いることができる。
なお、本発明の正極合剤においては、水分散性高分子系バインダー樹脂に、必要に応じて他の重合体粒子を添加してもよい。重合体粒子としては、例えば、ビニル系重合体、アクリル系重合体、ニトリル系重合体、ポリウレタン系重合体、ジエン系重合体等の非フッ素系重合体;PVDFやPTFE等のフッ素系ポリマー;を挙げることができ、特に、接着性の点から非フッ素系重合体が好ましい。なお、本発明の正極合剤においては、これら重合体粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における正極合剤においては、水分散性高分子バインダー樹脂(重合体粒子)の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、固形分で好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。重合体粒子の含有割合を上記範囲にすることで、本発明の正極合剤を集電体に塗布・乾燥して得られる正極合剤層の集電板に対するは密着性および柔軟性を向上させることができる。
なお、本発明の正極合剤においては、水分散性高分子系バインダー樹脂の平均粒子径は0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。粒子径が大きすぎると結着性が低下するおそれがあり、粒子径が小さすぎると正極活物質の表面が覆われてしまい、内部抵抗を増加させてしまうおそれがある。
<導電助剤>
本発明の正極合剤においては、導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、およびカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等の導電性カーボンを用いることができる。導電助剤を用いることにより、正極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、非水電解質二次電池に用いる場合に、放電レート特性を改善することができる。導電助剤の配合量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
<界面活性剤>
本発明の正極合剤においては、界面活性剤としては、電解質への分散性が高く、リチウムイオン等との反応性が低く、かつ、電解質中のイオン伝導を妨げない限り、特に制限されるものではない。例えば、界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を挙げることができるが、特に非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。非イオン性界面活性剤は、周囲のイオン(リチウムイオン等)との反応性が低く、電解質中および活物質表面のイオン伝導を妨げないためである。本発明の正極合剤においては、界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノ/ジ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等を挙げることができる。また、アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはそのエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩、アルキルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;アルキルアルカノールアミド等を好適に用いることができる。
本発明の正極合剤においては、界面活性剤として非イオン界面活性剤を用いる場合、非イオン界面活性剤は高分子材料であることが好ましく、非イオン界面活性剤の重量平均分子量は、500以上であることが好ましい。非イオン性界面活性剤の重量平均分子量を500以上とすることにより、界面活性剤による正極活物質の分散効果が良好に発揮される。これは、高分子の界面活性剤により、溶媒と界面活性剤の親和性が高くなり、粒子の近傍に溶媒を保持しやすくなるため、粒子間の凝集が抑制されるからであると考えられる。一方、重量平均分子量の上限については特に制限はないが、100,000以下であることが好ましい。本発明の正極合剤における非イオン界面活性剤のより好適な重量平均分子量の範囲は1,000〜50,000である。重量平均分子量をこの範囲にすることで、正極活物質の分散性がより良好となるとともに、イオンの移動がスムーズに行われるようになる。
非イオン性界面活性剤の中でも、イオン伝導性が高く、リチウムイオン電池の電解質にも用いられ得るポリエチレングリコール系界面活性剤が好ましく、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系界面活性剤がより好ましく、さらに好ましくはポリエチレングリコールのステアリン酸エステル類である。ポリエチレングリコールのステアリン酸エステル類は増粘効果も高く、活物質の沈降凝集防止効果も優れている。また、ポリエチレングリコール系界面活性剤を活物質の被覆に用いることで、界面活性剤中のリチウムイオンの移動を促進することができる。なお、本発明においては、ポリエチレングリコール系界面活性剤とは、活性剤化合物中に、エチレングリコール鎖を含むものを指す。
本発明の正極合剤に用いる界面活性剤は、グリフィン法によるHLBが13〜20であることが好ましく、より好ましくは15〜20である。特に溶媒に有機溶媒を使用しない場合は、HLBが16〜20であることがより好ましい。HLBがこの範囲の界面活性剤を用いると、界面活性剤の親水基と疎水基がバランスよく配列されているため、水溶媒中で極性を有する正極活物質とバインダー樹脂の均一な分散が促進される。なお、グリフィン法とは、界面活性剤の親水基の式量と分子量を元に下記の式、
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量
にて定義される。
本発明の正極合剤においては、界面活性剤の配合量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。界面活性剤の配合量を、上記範囲とすることにより、正極合剤中の正極活物質の分散性および塗工性に優れた正極合剤を得ることができる。
<溶媒>
本発明の正極合剤に用いる溶媒としては、水分散性高分子バインダー樹脂および正極活物質を均一に分散および沈降凝集を阻害する界面活性剤と親和するものであれば特に制限はなく、水であっても有機溶媒であってもよい。また、本発明の正極合剤においては、溶媒としては、特に水を好適に用いることができるが、上記効果を阻害しない範囲で、有機溶媒を含んでいてもよい。かかる有機溶媒としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトン、ジソプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のケトン類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類を挙げることができる。
<その他添加剤>
本発明の正極合剤は、正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤と、を含有することのみが重要であり、それ以外に特に制限はなく、上記成分以外にも電池反応に影響を及ぼさない範囲で添加剤を含んでいてもよい。例えば、本発明の正極合剤には、上記成分の他に、補強材、増粘剤、消泡・レベリング剤、電解液分解抑制剤等の成分が含まれていてもよい。
補強材としては、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーを用いてもよい。補強材を用いることにより、さらに強靭で柔軟な電極を得ることができ、優れた長期サイクル特性を付与することができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。補強材の配合量は、正極活物質100質量部に対して、通常0.01〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。補強材の配合量を、上記範囲とすることにより、高い容量と高い負荷特性を付与することができる。
増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に制限はない。例えば、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。増粘剤の配合量は、正極活物質100質量部に対して、通常0.01〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。増粘剤の配合量を上記範囲とすることにより、比重の重い正極活物質の沈降凝集を良好に防止することができる。
消泡・レベリング剤としては、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を混合することにより、塗工時に発生するはじきを防止することができ、また、電極の平滑性を向上させることができる。消泡・レベリング剤の配合量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部である。消泡・レベリング剤の配合量を上記範囲とすることで、電極塗工時の塗工不具合を防止し、生産性を向上させることができる。
電解液分解抑制剤としては、電解液中に使用されるビニレンカーボネート等を用いることができる。電極中の電解液分解抑制剤の配合量は正極活物質100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部である。電解液分解抑制剤の配合量を上記範囲とすることでサイクル特性および高温特性を、さらに向上させることができる。その他には、フュームドシリカやフュームドアルミナ等のナノ微粒子を挙げることができる。ナノ微粒子を混合することにより電極形成用合剤のチキソ性をコントロールすることができる。本発明の正極合剤におけるナノ微粒子の配合量は、正極活物質100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部である。ナノ微粒子の配合量を上記範囲とすることで、合剤安定性、生産性をさらに向上させることができ、より高い電池特性を付与することができる。
<正極合剤の製造方法>
本発明の正極合剤は、上記の正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤および溶媒、その他必要に応じてその他の添加剤を混合して得ることができる。本発明の正極合剤を製造するにあたって、混合方法については特に制限はなく、例えば、撹拌式、振とう式、および回転式等の混合装置を使用した方法を採用することができる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、および遊星式混練機等の分散混練装置を使用した方法を採用してもよい。
<正極>
次に、本発明の非水電解質二次電池用正極について説明する。
本発明の正極は、上記本発明の正極合剤が集電体に塗布されてなるものである。本発明の正極は、上記本発明の正極合剤を集電体上に塗布する塗布工程と、得られた集電体を乾燥して正極合剤層を形成する乾燥工程と、を経て製造することができる。本発明の正極においては、正極合剤層を集電体の片面に形成してもよいが、両面に形成することが好ましい。以下、本発明の正極の構成および製造方法について詳細に説明する。
<集電体>
本発明の正極に用いる集電体は、電気導電性を有し、かつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有する金属材料が好ましい。例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等を挙げることができる。特に、充電時の酸化劣化が少ないことからアルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ5〜100μm程度のシート状のものを好適に用いることができる。
本発明の正極においては、集電体は、正極合剤層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法等が挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線等を備えたワイヤーブラシ等を用いることができる。また、電極層の接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
<塗布方法>
上記本発明の正極合剤を集電体上に塗布する方法についても特に限定はなく、既知の方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、ダイコーティング法、ドクターコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、または静電塗装法等を挙げることができる。
<乾燥方法>
上記塗布方法により得られた集電体を乾燥させる方法としては特に制限はないが、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線等の照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥時間は通常5〜30分間であり、乾燥温度は通常40〜180℃である。
<圧延>
本発明の製造方法においては、塗布工程、乾燥工程を経た後、金型プレスやロールプレス等を用いて、加圧処理により正極合剤層の空隙率を下げる圧延工程を経ることが好ましい。空隙率の好適な範囲は5%〜15%であり、より好適には7%〜13%である。空隙率が15%を超えると充電効率や放電効率が悪化するため、好ましくない。一方、空隙率が5%未満の場合は、高い体積容量が得難かったり、正極合剤層が集電体から剥がれやすく不良を発生しやすいといった問題が生じるおそれがある。なお、バインダー樹脂として硬化性樹脂を用いる場合は、この硬化性樹脂を硬化させる工程を有していることが好ましい。
本発明の正極の厚みは、通常5〜400μmであり、好ましくは30〜300μmである。正極の厚みを上記範囲にすることにより、良好な極板の柔軟性、密着性が得られる。
<非水電解質二次電池>
次に、本発明の非水電解質二次電池について説明する。
本発明の非水電解質二次電池は、上記本発明の正極を用いたものであり、正極、負極、セパレーターおよび電解液を有している。以下、本発明の非水電解質二次電池の構成およびその製造方法について詳細に説明する。
<非水電解質二次電池用負極>
本発明に係る非水電解質二次電池用負極は、負極活物質、導電助剤、水分散性高分子バインダー樹脂、溶媒およびその他必要に応じて添加剤等を混合して負極合剤スラリーを調整し、集電体に塗布、乾燥、必要に応じて圧延を経ることによって製造することができる。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出が可能な活物質であれば、従来より使用されてきた既知の材質を用いることができ、炭素系活物質と非炭素系活物質のいずれを用いてもよい。炭素系活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等を挙げることができる。非炭素系活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金、酸化物、硫化物、リチウム含有金属複合酸化物等公知のものを用いることができる。
導電助剤および溶媒としては、本発明の正極の作製に用いる上記の導電助剤および上記溶媒を用いることができる。また、バインダー樹脂としては、SBR粒子やPVDF樹脂等の非水電解質二次電池に一般的に用いられるものを用いることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池用負極に用いる集電体としては、本発明の非水電解質二次電池用正極と同様、電気導電性を有し、かつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限はなく、上記本発明の非水電解質二次電池用正極に用いられる集電体と同様のものを用いることができる。
<電解液>
本発明に用いられる電解液については特に制限はないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLi等を挙げることができる。特に、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiを好適に用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。支持電解質の添加量は、電解液に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン導電性は低下してしまい、電池の充電特性、放電特性が低下してしまう。
電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解させるものであれば特に制限はないが、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびメチルエチルカーボネート(MEC)等のアルキルカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類、1,2−ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、およびジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;を用いることができる。特に、高いイオン伝導性が得やすく、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、電解液にはその他添加剤を添加してもよい。添加剤としてはビニレンカーボネート(VC)等のカーボネート系の化合物や、シクロヘキシルベンゼンまたはジフェニルエーテル等を挙げることができる。
本発明の非水電解質二次電池に上記以外の電解液を用いる場合は、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル等のポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、硫化リチウム、LiI、LiN等の無機固体電解質を用いることができる。
<セパレーター>
セパレーターは気孔部を有する多孔性基材であって、(a)気孔部を有する多孔性セパレーター、(b)片面または両面上に高分子コート層が形成された多孔性セパレーター、または(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレーターを用いることができる、例えば、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、アラミド系多孔性セパレーター、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体等の固体高分子電解質用、ゲル状高分子電解質用の高分子フィルム、ゲル化高分子コート層がコーティングされたセパレーター、または無機フィラー、無機フィラー用分散剤からなる多孔膜層がコーティングされたセパレーター等を挙げることができる。
<非水電解質二次電池の製造方法>
本発明の非水電解質二次電池の製造方法については、特に制限はない。例えば、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折る等して電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する。本発明の非水電解質二次電池においては、必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、リード板等を入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型等いずれの形状であってもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
<実施例1>
正極活物質として、三元系活物質である日本化学工業社製セルシードNMC−111(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を固形分比率95質量%、導電助剤として昭和電工社製VGCF−H(気相成長炭素繊維)を固形分比率2質量%、水分散性高分子バインダー樹脂としてADEKA社製アデカボンタイターHUX−822(ポリウレタンエマルション樹脂:固形分40質量%)を固形分比率1.5質量%、界面活性剤として花王社製エマノーン3299RV(ポリエチレングリコールジステアレート)を固形分比率1.5質量%、および溶媒としての水を合剤固形分が60質量%となるように配合し、1700rpmで10分間プロペラ攪拌を行い、正極合剤を作製した。
作製した正極合剤を24時間静置し、その後、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に50μmのアプリケーターを用いて塗布した。その後、熱風循環式箱型乾燥炉にて150℃で20分間乾燥し、溶媒である水を除去した。室温まで冷却した後、1mmのステンレス製の板に挟み、平板プレス機を用いて1.5ton/cmの圧力で常温にて1分間の圧延を行い、片面80μmの活物質合剤層を持つ、正極電極板を作製した。正極合剤の作製から正極電極板の作製までの工程につき、分散性、沈降凝集安定性、乾燥後の外観、乾燥後の密着性、電極層の外観、電極層の密着性および電極層の抵抗値について評価を行った。評価方法の詳細は以下のとおりである。得られた結果を表1に併記する。
<実施例2〜9、比較例1、2>
水分散性高分子バインダー樹脂、界面活性剤、増粘剤、導電助剤、正極活物質を表1〜4に示すように配合組成を変えた以外は、実施例1と同様にして攪拌・混合を行い、正極合剤を作製し、分散性、沈降凝集の安定性を評価した。作製した正極合剤を用いて、実施例1と同様に塗布・乾燥・圧延を行い、正極板を作製した。評価結果を表1〜4に併記する。
<分散性>
作製した正極合剤をアルミニウム箔の正極集電体に塗工するに際して、分散不良で解れていない粗い活物質粒子の塊やゲル状の樹脂の塊で塗工面にスジ状の跡が付くものを「不良」、若干跡が付くものを「可」、スジ状の跡が付かないものを「良」として、目視評価を行った。
<沈降凝集安定性>
作製した正極合剤を静置し、正極合剤の底面に沈降凝集物が発生した場合や液面に水が分離してしまったものを「不良」、変化していないものを「良」として、評価を行った。
<乾燥後の外観>
正極合剤を正極集電体に塗布・乾燥した後、塗膜表面に泡、はじき等の塗膜欠陥が発生したものを「不良」、異常のないものを「良」として、塗膜の目視評価を行った。
<乾燥後の密着性>
正極合剤を正極集電体に塗布・乾燥した後、塗膜表面をJIS K−5600に準じ、カット間隔2mmで格子パターン25マスのクロスカットを行い、交点の粉落ちが激しいものを「不良」、粉落ちが少ないものを「可」、粉落ちが全くないものを「良」として、評価を行った。
<電極層の外観>
作製した電極板表面に突起や割れ等が発生しているものを「不良」、異常がなく平滑であるものを「良」として、電極表面の目視評価を行った。
<電極層の密着性>
作製した電極板を用い、JIS K−5600に準じ、カット間隔2mmで格子パターン25マスのクロスカット法試験により、集電体と活物質間の密着性を評価した。評価は0〜5の6段階により行い、数字が少ないものほど密着性が良好であることを示す。
<電極層の抵抗値>
作製した電極板表面にテスタ(日置社製 ミリオームハイテスタ3540)を用いて表面の抵抗値を測定した。

Figure 2013099520
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1)アデカボンタイターHUX−822(ポリウレタン樹脂 分子量:800,000〜900,000) (株)ADEKA社製
2)HSV−900(ポリフッ化ビニリデン樹脂) アルケマ(株)社製
3)モビニールLDM7523(アクリル/シリコーン樹脂) 日本合成化学(株)社製
4)エマノーン3299RV(ポリエチレングリコールジステアレート系非イオン界面活性剤 HLB:19.2 分子量:約11200) 花王(株)社製
5)エマノーン3199V(ポリエチレングリコールモノステアレート系非イオン界面活性剤 HLB:19.4 分子量:約6800) 花王(株)社製
6)エマノーン1112(ポリエチレングリコールモノラウレート系非イオン界面活性剤 HLB:13.7 分子量:約730) 花王(株)社製
7)アデカミン4MAC−30(カチオン性界面活性剤) (株)ADEKA社製
8)ダイセルCMC#2200 ダイセルファインケム(株)社製
9)VGCF−H(気相成長炭素繊維) 昭和電工(株)社製
10)SP−270(黒鉛粉末) 日本黒鉛工業(株)社製
11)セルシードNMC111(LiNi1/3Co1/3Mn1/3) 日本化学工業(株)社製
12)LFP(リン酸鉄リチウム:LiFePO
13)NMP(N−メチルピロリドン)
表1〜4より、本発明の正極合剤は、正極活物質の分散性、保存安定性および集電体に対する塗工性に優れており、これを用いて製造された正極は正極合剤層と集電体と密着性に優れていることがわかる。比較例は、スラリーの状態では良好に分散しているように見えたが、荒い粒子状の塊等が残っており、分散性が悪く、塗膜形成が困難であった。

Claims (5)

  1. 正極活物質と、水分散性高分子バインダー樹脂と、導電助剤と、界面活性剤と、を含有することを特徴とする正極合剤。
  2. 前記界面活性剤のHLB値が13.0〜20.0である請求項1記載の正極合剤。
  3. 溶媒として水を含む請求項1または2記載の正極合剤。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項記載の正極合剤が集電体に塗布されてなることを特徴とする正極。
  5. 請求項4に記載の正極を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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