JPWO2013099148A1 - Hdd用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の一局面は、酸化セリウムを主成分とする研磨材と、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンと、を含む研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する粗研磨工程と、前記粗研磨工程後に行われる化学強化工程、前記粗研磨されたガラス基板を精密研磨する精密研磨工程とを有し、前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.05〜5mmol/kgであることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法である。

Description

本発明は、HDD用ガラス基板の製造方法に関する。
近年、磁気記録媒体を搭載した磁気ディスク装置(例えば、ハードディスクドライブ:HDD)は、様々な用途で使用されており、要求される品質も、より高度化されている。具体的には、磁気ディスクの高密度化や耐衝撃性向上等の要求が高度化されている。これに伴いHDD用ガラス基板に要求される品質も、より高度化しており、高平滑性や優れた耐衝撃性が求められている。
ここで、HDD用ガラス基板の耐衝撃性を向上させる方法としては、HDD用ガラス基板中に存在するアルカリイオンを、よりイオン半径の大きなアルカリイオンにイオン交換する化学強化処理を行う方法がある。具体的には、例えば、HDD用ガラス基板の表面を360℃程度で硝酸塩(KNOやNaNO)等を含有する化学強化処理液に浸漬させて化学強化し、イオン交換層及び圧縮応力層からなる強化層を形成する方法が知られている。
前記方法によってHDD用ガラス基板の表面に圧縮応力層を設けることにより、仮にHDD用ガラス基板の表面に傷が入ったとしても、傷を基点として生じる引っ張り応力に対抗することができる。その結果、傷が伸展せず、HDD用ガラス基板の破損を防止することができる。
例えば、特許文献1には、HDD用ガラス基板の表面に圧縮応力層に残しつつ、かつ基板表面の平滑性を保持させるために、化学強化工程の後に精密研磨を行う方法が開示されている。
特開2009−104703号公報
本発明は、高温高湿の環境下でも耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、酸化セリウムを主成分とする研磨材と、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンと、を含む研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する粗研磨工程と、前記粗研磨工程後に行われる化学強化工程と、前記粗研磨されたガラス基板を精密研磨する精密研磨工程と、を有し、前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.05〜5mmol/kgであることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法である。
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面によって、より明白となる。
図1は、HDD用ガラス基板の製造方法における工程を説明する製造工程図である。 図2は、ガラス基板の全体構成を示す図である。
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の製造方法のような化学強化工程を行って得られたHDD用ガラス基板は、高温高湿の環境下に置くと、耐衝撃性が悪化する場合があった。
この原因を調査すると、耐衝撃性が悪化したガラス基板では、前記ガラス基板の化学強化工程においてイオン交換が不充分な箇所が生じ、基板の一部において圧縮応力層が薄い箇所が存在することが分かった。さらに、調査を進めると、耐衝撃性が悪化したガラス基板では、化学強化工程の前に行う粗研磨工程においてガラス基板の一部からイオン溶出が発生することにより、後の化学強化工程にてイオン交換が不充分な箇所が生じ、その結果、基板の一部において圧縮応力層が薄い箇所が存在するようになるため、落下衝撃性が劣ることになることがわかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、粗研磨工程におけるガラス基板のイオン溶出を防ぐことにより化学強化工程を安定して行い、高温高湿の環境下でも耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を行った結果、下記構成の製造方法によって耐衝撃性の高いHDD用ガラス基板を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
<HDD用ガラス基板の製造方法>
本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法は、酸化セリウムを主成分とする研磨材と、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンと、を含む研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する粗研磨工程と、前記粗研磨工程後に行われる化学強化工程と、前記粗研磨されたガラス基板を精密研磨する精密研磨工程と、を有し、前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して0.05〜5mmol/kgであることを特徴とする。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板を製造する工程は、粗研磨工程の後に化学強化工程を採用すればよい。また、本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法は、例えば、図1に示されるように、研磨工程によって付着した研磨材を除去する洗浄工程や、ガラス基板の外周端面および内周端面の面取り加工を行う内・外径精密加工、ガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等を除去する研削工程等を有していてもよい。
なお、図1に示すように、研磨工程は、平滑性等の点において2工程とされており、それぞれ粗研磨を行う粗研磨工程と、精密研磨を行う精密研磨工程とに分けられている。近年は、平滑性と加工効率の観点から、粗研磨工程においては酸化セリウム、精密研磨工程においてはコロイダルシリカをそれぞれ使用して加工するのが一般的である。また、研削工程においても2工程にすると表面粗さ等の点において好ましいことから、図1に示す製造方法では、第1研削工程と、第2研削工程とに分けられている。なお、本発明において、研磨スラリーとは、被研磨物である基板に対して研磨作用を及ぼす研磨材(研磨砥粒と呼ぶ場合もある)と、その分散媒である溶媒(研磨液という場合もある)を含有する研磨スラリー全体を意味し、研磨スラリーを研磨剤と呼ぶ場合もある。
また、本実施形態に係る研磨スラリーを用いて粗研磨工程を行った後、化学強化工程を行っているのであれば、工程の順序は特に限定されず、例えば、図1における製造工程において、研削工程の直後に内径研磨工程を有するものであってもよい。
以上の製造方法によって得られたHDD用ガラス基板に対し、磁性膜を形成することによって磁気記録媒体が得られ、HDDに搭載される。
従来は、精密研磨工程後に化学強化工程が行われることが一般的であったが、化学強化工程を行うと平滑性が悪化してしまう。そのため、近年、500GB/P以上の高密度化されたハードディスク用のガラス基板においては、より高平滑性が求められていることから化学強化工程後に研磨工程を行うことにより、ガラス基板の主表面の圧縮応力層を残しつつ高平滑性との両立を達成している。
しかしながら、このような製造方法において製造したガラス基板を高温高湿の環境下において使用した場合、ガラス基板において落下衝撃性等の耐衝撃性が悪化してしまう場合があることが確認された。本発明者は、この原因について考察したところ、耐衝撃性が悪化したガラス基板では、化学強化工程において基板の一部にイオン交換が充分になされていない箇所があることに原因があることを突き止めた。
さらに、分散剤を添加している研磨スラリーを用いて粗研磨工程を行うと、使用する研磨スラリーに含まれる研磨材の砥粒径がD50値で0.5〜1.5μmと比較的大きいことが原因となり、ガラス基板の一部からイオンが溶出する。そのため、後に行う化学強化工程にてガラス基板に対してイオン交換が不充分な箇所が生じさせていることがわかった。
このように、イオン溶出した基板を化学強化すると、化学強化が不充分な箇所が発生し、その結果、圧縮応力の強度にばらつきが生じる。このようなガラス基板が高温高湿の環境下に置かれた場合、圧縮応力の弱い部分を中心に応力の緩和が生じる。すなわち、ガラス基板に圧縮応力の強度むらが存在すると、高温高湿時において圧縮応力の強度むらによる応力緩和が大きくなるのである。このようなことが起こると、衝撃を受けた際に圧縮応力層の弱い部分から割れが発生する。つまり耐衝撃性が悪化するのである。
以上のような問題を回避するため、分散剤を添加した、酸化セリウムを主成分とする研磨材を含む研磨スラリーを使用する粗研磨工程の後に化学強化工程を行うガラス基板の製造方法において、粗研磨工程にイオン溶出が抑えることのできる陽イオンを含む研磨スラリーを用いる。一般的に、ガラス組成中のイオン成分(特に、アルカリ金属)は、水溶液中に徐々に溶け出すが、溶け出す速度は、遅く、研磨加工中での溶出量としてはそれほど多くない。
しかし、研磨スラリーに分散剤が添加されている場合、ガラスから溶出した成分が分散剤に捕捉されることにより、イオン溶出の速度が大幅に上がる。予め陽イオンを研磨スラリー中に存在させておくことで、分散剤は、優先的に陽イオンを捕捉してガラス基板から溶出したイオンをあまり捕捉しなくなるため、ガラス基板からのイオン溶出速度を抑えることができる。その結果、研磨加工中でのガラス基板からのイオン溶出を防ぐことができ、ガラス基板に優れた耐衝撃性を付与することができる。
また、粗研磨工程で使用する研磨スラリー中の研磨材の砥粒径が、比較的大きいため、研磨材の分散性を維持するために分散剤が必要となる。
前記分散剤は、一般的に高分子を砥粒周辺に付着させ、その高分子同士の反発力(例えば、静電力)を利用して分散作用を付与させる働きをする。上記のような酸化セリウムを主成分とする研磨材を含む研磨スラリーにおいて、ノニオン型の分散剤(例えば、ポリオキシアルキレングリコール等)を用いると、酸化セリウムを安定して分散させることが難しい。これは、酸化セリウムの等電点が中性付近にあることから、反発が行いにくいためである。よって、分散性を付与するためには、アニオン性の分散剤を使用するのが好ましい。
まず、本発明の実施形態に係る粗研磨工程及び化学強化工程について説明する。
<粗研磨工程>
本実施形態における粗研磨工程は、後述する研削工程においてガラス基板に発生した傷をなくしつつ表面粗さを小さくする工程である。また、粗研磨工程では研削工程によって大きなうねりなどが除去されたガラス基板の主表面を鏡面にすることができる。
以下に、本実施形態に係る粗研磨工程において用いられる研磨スラリーについて詳述する。
(研磨スラリー)
本実施形態で用いる研磨スラリーは、酸化セリウムを主成分とする研磨材と、アニオン性の高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径(6配位のイオン半径)が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンを含むものである。
また、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンとは、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmの、アルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、アルカリ土類金属イオンである。具体的には、リチウムイオン(6配位のイオン半径:90pm)、ナトリウムイオン(6配位のイオン半径:116pm)、カリウムイオン(6配位のイオン半径:152pm)、マグネシウムイオン(6配位のイオン半径:86pm)、カルシウムイオン(6配位のイオン半径:114pm)、ストロンチウムイオン(6配位のイオン半径:132pm)、バリウムイオン(6配位のイオン半径:149pm)が挙げられる。
・酸化セリウム
本実施形態で用いる研磨スラリーは、光学ガラス、各種ガラス基板等の研磨材として用いられる酸化セリウムを含むものである。前記酸化セリウムは、通常ガラス基板の研磨材として用いられるものであれば、特に限定されない。
酸化セリウムの含有量は、研磨スラリー全量に対して1〜10質量%であることが好ましく、3〜5質量%であることがより好ましい。酸化セリウムの含有量が少なすぎると、研磨速度が低下し、研磨した基板の形状が悪くなる傾向がある。また、酸化セリウムの含有量が多すぎると、生産性が悪くなる傾向がある。
また、酸化セリウムは、前記研磨材の主成分である。具体的には、前記研磨材が、酸化セリウムからなっていてもよく、また、他の成分を含有する場合であっても、酸化セリウムの含有量が、前記研磨材に対して、80質量%以上であることが好ましい。すなわち、酸化セリウムの含有量は、前記研磨材において、80〜100質量%であることが好ましい。
前記酸化セリウムの平均粒径(D50)は、0.5〜1.5μmであることが好ましく、0.7〜1.2μmであることがより好ましい。酸化セリウムの平均粒径(D50)が小さすぎると、研磨速度が低下する傾向がある。また、酸化セリウムの平均粒径(D50)が大きすぎると、ガラス基板の傷等が増える傾向がある。
ここで、前記平均粒径(D50)とは、JIS R 1629−1997「ファインセラミックス原料のレーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に倣い、体積基準の積算分率で50%(D50)に相当する粒子径を意味し、金属超微粉の平均粒径を表すものとして一般に用いられている。
・分散剤
また、本実施形態で用いる研磨スラリーは、分散剤として、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有するものである。研磨スラリーが、分散剤として、前記アニオン性高分子を含有することで、ガラス基板の溶出イオンを適度に捕捉し、かつ研磨材の分散性を高めることができる。
また前記分散剤は、前記アニオン性高分子を含有するものであり、前記アニオン性高分子を主成分とするものが好ましい。具体的には、分散剤中に前記アニオン性高分子を80〜100質量%含有することが好ましい。前記アニオン性高分子をこのような範囲で含有することによって、本発明の効果をより高めることができる。
また、前記分散剤に含むことができるものとしては、前記アニオン性高分子の他に、pH調整剤、還元剤等が挙げられる。
前記分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子の具体的な例としては、アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンカルボン酸、及びこれらの共重合体等のポリカルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸は、まず、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のような、重合可能なカルボン酸を重合させたものが挙げられる。また、ポリカルボン酸は、このような重合体だけではなく、アクリル酸/アクリル酸メチルの共重合体等のような、重合可能なカルボン酸と、前記カルボン酸と共重合可能なその他の単量体との共重合体等も含む。この場合は、カルボン酸の共重合比率が、50重量%以上になるようにすることが好ましい。
また、前記分散剤は、アクリル酸/マレイン酸共重合体が最も好ましい。これは、アクリル酸/マレイン酸共重合体におけるカルボン酸が、研磨材の分散を最も効率的に行わせることができるためである。
なお、分散剤として、ポリスチレンスルホン酸重合体のような、分子内にカルボキシル基を有さないアニオン性の高分子を用いた場合、ガラス基板の溶出イオンを捕捉し過ぎたり、研磨材の分散性が損なわれたりすることがある。
前記分散剤の含有量は、前記酸化セリウムの含有量に対して、0.01〜2質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%含有することがより好ましい。前記分散剤の含有量が少なすぎると、研磨材の分散性が悪化する傾向がある。また、前記分散剤の含有量が多すぎると、研磨スラリーの粘性等が変化し研磨に悪影響を及ぼす傾向がある。
前記アクリル酸/マレイン酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、100〜10000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。前記分子量(Mw)が低すぎると、研磨材の分散性が悪化して研磨加工性が悪化する傾向がある。また、前記分子量(Mw)が高すぎると、研磨スラリーの粘性が上がり、研磨特性が悪化する傾向がある。
・陽イオン
前記陽イオンの六配位換算におけるイオン半径は、80〜160pmであり、80〜120pmであることが好ましい。前記イオン半径が80pm未満である場合、ガラス基板のイオン溶出を充分に抑えられず、前記イオン半径が160pmを超えると、陽イオンがイオン溶出の抑制に充分に寄与しない。このことから、六配位換算におけるイオン半径は、80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンを含む研磨スラリーを用いて研磨すると、ガラス基板のイオン溶出を好適に抑制することができる。よって、粗研磨中のイオン溶出が抑えられ、高温高湿時においても耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板を得ることができる。
また、前記陽イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群より選択される少なくとも一つの陽イオンであることが好ましい。これらの陽イオンであると、より研磨工程時のガラス基板からのイオン溶出を抑えることができ、分散性の高い研磨スラリーとすることができる。
また、前記陽イオンの対イオンとしての陰イオンは、塩化物イオンや炭酸イオン用いることができる。そして、前記陽イオンと陰イオンからなる塩は、研磨工程時のガラス基板からのイオン溶出を抑えることができる研磨スラリーの成分として好適に用いられる。
前記塩のうち、溶液のpH変化が小さく、対となるイオンが研磨に影響しない理由から、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ヨウ化カリウム、炭酸ナトリウム等が好ましい。
さらに、前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.05〜5mmol/kgであり、0.2〜1mmol/kgであることが好ましい。すなわち、研磨スラリーに対し前記塩を添加する際、酸化セリウムの含有量に対して、前記陽イオンの含有量が0.05〜5mmol/kgの範囲内になるように添加することが好ましい。前記陽イオン濃度が0.05mmol/kg未満であると、分散剤への寄与が小さいことからイオン溶出を抑えることができなくなり、5mmol/kgを超えると、研磨材の分散性に悪影響を及ぼし、研磨材の凝集が発生する。
・溶媒
本実施形態で用いる研磨スラリーで使用する溶媒として、例えば、水を使用することができる。前記水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。本実施形態で用いる研磨スラリー中の溶媒の含有量は、研磨スラリーの取扱いがさらに容易になるため、55質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
本実施形態で用いる研磨スラリーは、さらに、酸、酸化剤、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質及びpH調整剤等を含んでもよい。
本実施形態で用いる研磨スラリーは、基板の製造方法におけるあらゆる研磨工程に使用できるが、その中でも基板の製造方法における粗研磨工程での使用に適している。
次に、粗研磨工程における研磨処理について説明する。
(研磨処理)
粗研磨工程では、後述する研削工程後のガラス基板の形状を整え、面粗さをより精密に除去する。そして、精密研磨工程で最終的に必要とされる面粗さを効率よく得ることができるように研磨を行う。
粗研磨工程にてガラス基板の表裏の表面を研磨する機械として、両面研磨機と呼ばれる公知の研磨機を使用できる。両面研磨機は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤と下定盤とを備えており、互いに逆方向に回転する。この上下の定盤の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研削するための複数のダイヤモンドペレットが貼り付けられている。
上下の定盤の間には、下定盤の外周に円環状に設けてあるインターナルギアと下定盤の回転軸の周囲に設けてあるサンギアとに結合して回転する複数のキャリアがある。このキャリアには、複数の穴が設けてあり、この穴にガラス基板をはめ込んで配置する。上下の定盤、インターナルギア及びサンギアは別駆動で動作することができる。
前記両面研磨機の動作は、上下の定盤が互いに逆方向に回転し、ダイヤモンドペレットを介して定盤に挟まれているキャリアは、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤の回転中心に対して下定盤と同じ方向に公転する。このような動作している研磨機において、上述した研磨スラリーを上定盤とガラス基板及び下定盤とガラス基板との間に供給することでガラス研磨の研磨を行うことができる。
前記研磨スラリーの供給速度は1〜10L/分であることが好ましい。当該範囲で研磨スラリーを供給することによって、ガラス基板に対して安定した研磨処理を行うことができる。
研磨パッドは、硬度Aで80〜90程度の硬質パッドで、例えば、発泡ウレタンを使用するのが好ましい。パッドの硬度が研磨による発熱により柔らかくなると研磨面の形状変化が大きくなるため硬質パッドを用いるのが好ましい。
粗研磨工程による取り代は、10〜30μmとするのが好ましい。10μm未満では、キズや欠陥を十分に除去ができず、残存したイオン交換層を除去できない。また、30μmを超える場合は、面粗さをRmaxが2〜60nm、Raが0.2〜0.4nmの範囲とすることができるが、必要以上に研磨を行うことになり製造効率が低下する。
定盤によるガラス基板への加重は、90〜110g/cmとするのが好ましい。定盤によるガラス基板への加重は、外周端部の形状に大きく影響する。加重を大きくしていくと、外周端部の内側が下がり外側に向かって上がる傾向を示す。また、加重を小さくしていくと、外周端部は平面に近くなるとともに面ダレが大きくなる傾向を示す。こうした傾向を観察しながら加重を決めることができる。
また、面粗さを向上させるために、定盤の回転数を25〜50rpmとし、上の定盤の回転数を下の定盤回転数より30〜40%遅くするのが好ましい。
<化学強化工程>
本実施形態に係る化学強化工程として、具体的には、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬させる方法等が挙げられる。該方法によって、ガラス基板の表面、例えば、ガラス基板表面から5μmの領域に圧縮応力層を形成することができる。また、該圧縮応力層のうち、外側に前記イオン交換層を形成することができる。そして、圧縮応力層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
つまり、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬させることによって、ガラス基板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の表面が強化される。
化学強化工程の処理液に使用した塩は、公知のものを使用することができる。塩としては、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などがあげられる。またイオン交換されるイオンとしては、ナトリウムやカリウムなどである。その中で、硝酸カリウムが最も良い。硝酸カリウムは融点が低いので扱いやすく、かつカリウムイオンの交換によりばらつきなくイオン交換ができる。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の表面が強化される。
化学強化処理液は、上記の成分が融解する温度よりも高温になるように加熱される。一方、化学強化処理液の加熱温度が高すぎると、ガラス基板の温度が上がりすぎ、ガラス基板の変形を招く恐れがある。このため、化学強化処理液の加熱温度はガラス基板のガラス転移点(Tg)よりも低い温度が好ましく、ガラス転移点−50℃よりも低い温度とすることが更に好ましい。
<精密研磨工程>
精密研磨工程は、粗研磨工程後のガラス基板の表面をさらに精密に研磨する工程である。
精密研磨工程にてガラス基板を研磨する機械は、前記粗研磨工程で用いる両面研磨機と同様の研磨機を使用することができる。
精密研磨工程に用いられる研磨スラリーとしては、ガラス基板の表面をより滑らかにするため、粒径がより細かくばらつきが少ない研磨材を含有するものを用いるのが好ましい。例えば、粒径の平均粒子径が20〜40nmのコロイダルシリカを含有する研磨スラリー用いることが好ましい。
この精密研磨工程における取り代は、0.3〜3μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすると、表面に発生した微小な荒れやうねり、これまでの工程で生じた微小な傷痕といった微小な欠陥を効率良く除去することができる。しかし、精密研磨工程における取り代が0.3μmより小さいと、粗研磨工程での傷が残存し、3μmより大きいと端面形状が崩れる。
精密研磨工程で使用するパッドは、粗研磨工程で使用するパッドより柔らかい硬度65〜80(Asker−C)程度の軟質パッドで、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。
また、精密研磨工程における、定盤によるガラス基板への加重は、90〜110g/cmが好ましい。定盤によるガラス基板への加重は、粗研磨工程と同様に外周端部の形状に大きく影響するが、研磨速度が遅いため粗研磨工程ほど効率的に形状を変化させることはできない。加重の加減による外周端部の形状の変化は、粗研磨工程と同様であり、加重を大きくしていくと、外周端部の内側が下がり外側に向かって上がる傾向を示す。また、加重を小さくしていくと、外周端部は平面に近くなるとともに面ダレが大きくなる傾向を示す。外周端部の形状を得るために、こうした傾向を観察しながら加重を決めることができる。定盤の回転数を15〜35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数より30〜40%遅くするのが好ましい。
上記のように精密研磨工程をおこなった後のガラス基板主表面の面粗さは、Rmaxが2〜6nm、Raが0.2〜0.4nmの範囲とすることができる。
続いて、上述の粗研磨工程、化学強化工程、精密研磨工程以外の製造工程について具体的に説明するが、本実施形態は上記研磨工程及び化学強化工程を有していれば、その他の工程については下記のものに限定されない。
<円盤加工工程>
円盤加工工程は、所定の組成のガラス素材を溶融、プレス成形し板状に成形したガラス基板から、図2に示すように、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔5が形成された円盤状のガラス基板1に加工する工程である。
(ガラス溶融工程)
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、特に限定されない。例えば、HDD用ガラス基板の材料として、一般的に用いることができるガラス素材を用いることができる。より具体的には、下記表1に示す組成のガラス素材を用いることができる。
(プレス工程)
次に、プレス工程として、溶融ガラスを下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板前駆体を得る。なお、円板状のガラス基板前駆体は、プレス成形によらず、例えば、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
ガラス基板の大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチなど種々の大きさのガラス基板がある。また、ガラス基板の厚みにも限定はなく、2mm、1mm、0.63mmなど種々の厚みのガラス基板がある。
(コアリング加工工程)
プレス成形したガラス基板前駆体は、コアリング加工工程で、中心部に穴を開ける。穴開けは、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することで中心部に穴を開ける。
<内・外径精密加工工程>
次に、内・外径精密加工工程として、ガラス基板前駆体の外周端面および内周端面を、例えば鼓状のダイヤモンド等の研削砥石により研削して内・外径加工し、ガラス基板を作製する。
<内径研磨工程>
内・外径精密加工工程を終えたガラス基板を複数積み重ねて積層し、その状態で内周面の研磨加工を、端面研磨機を用いて研磨する。
<研削工程>
研削工程によって、ガラス基板表面の大きなうねり、欠け、ひび等を除去することができる。研削工程は、ガラス基板の平行度、平坦度等を精密に調節できる点から、第1研削工程および第2研削工程の2工程を有することが好ましい。
<外径研磨工程>
外径研磨工程はガラス基板を複数積み重ねて積層し、その状態で外周端面の研磨加工を、端面研磨機や研磨ブラシを用いて研磨する。端面研磨機は、公知の装置を使用することができる。
(第1研削工程)
第1研削工程として、ガラス基板の両表面を研削加工し、ガラス基板の全体形状、すなわちガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する。また、第1研削工程において、固定砥粒を用いることが好ましい。
(第2研削工程)
第2研削工程として、前記第1研削工程の後にガラス基板の両表面を再び研削加工して、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを微調整する。
第1及び第2研削工程にてガラス基板の表裏の表面を研削する機械として、前記研磨工程で用いる両面研磨機と同様の研磨機を使用することができる。
第2研削工程を終えた時点で、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥は除去され、ガラス基板の主表面の面粗さは、Rmaxが2〜4μm、Raが0.2〜0.4μm程度とするのが好ましい。
なお、第1研削工程では、第2研削工程を効率よく行うことができるように大まかに大きなうねり、欠け、ひびを効率よく除去する。このため、第2研削工程で使用する粗さ#1300メッシュから#1700メッシュより粗い#800メッシュから#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレットを使用するのが好ましい。第1研削工程が完了した時点での面粗さは、Rmaxが4〜8μm、Raが0.4〜0.8μm程度とするのが好ましい。
なお、第1研削工程及び第2研削工程で使用する研磨機は、同一構成ではあるがそれぞれの工程専用に用意された別の研磨機を用いて研削加工を行うのが好ましい。これは、専用のダイヤモンドペレットを貼り付けているため交換が大掛かりな作業となり、また、研磨条件を再設定する等の煩雑な作業が必要となり、製造効率が低下するためである。
<洗浄工程>
洗浄工程は、前記研削工程や研磨工程が施されたガラス基板を洗浄する工程である。
前記研削工程後のガラス基板や研磨工程後のガラス基板は、その都度洗浄工程によって洗浄することが好ましい。洗浄工程としては、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のような洗浄工程が挙げられる。
まず、pH13以上のアルカリ洗剤を用いて、ガラス基板の洗浄を行い、ガラス基板にリンスを行う。次に、pH1以下の酸系洗剤を用いて、ガラス基板の洗浄を行い、ガラス基板にリンスを行う。また、各洗浄の後にリンス槽を用いることが好ましい。これらの洗剤には、場合によって界面活性剤、分散材、キレート剤、還元材などを添加しても良い。また、各洗浄槽には、超音波を印加し、それぞれの洗剤には脱気水を使用することが好ましい。そして、最後に、ガラス基板を取り出し、純水でリンスを行い、IPA乾燥させる。
また、このガラス基板の洗浄は、ガラス基板表面の酸化セリウム量が0.125ng/cm以下となるように行なわれることが好ましい。ガラス基板表面の酸化セリウム量が多すぎると、ガラス基板の平坦度を良好にできない傾向がある。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一局面は、酸化セリウムを主成分とする研磨材と、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンと、を含む研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する粗研磨工程と、前記粗研磨工程後に行われる化学強化工程と、前記粗研磨されたガラス基板を精密研磨する精密研磨工程と、を有し、前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.05〜5mmol/kgであることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法である。
このような構成によれば、粗研磨中のイオン溶出が抑えられ、高温高湿時においても耐衝撃性の優れたHDD用ガラス基板を得ることができる。
また、前記HDD用ガラス基板の製造方法において、前記陽イオンは、六配位換算におけるイオン半径が80〜120pmであることが好適である。
このような構成によれば、ガラス基板のイオン溶出をより抑えることができる。
また、前記HDD用ガラス基板の製造方法において、前記陽イオンは、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群より選択される少なくとも一つの陽イオンであることが好適である。
このような構成によれば、イオンが水溶液中に安定して存在することが可能であるため、分散剤への作用を安定して供給でき、その結果、効果的にイオン溶出を抑えることができる。
また、前記HDD用ガラス基板の製造方法において、前記分散剤は、重量平均分子量(Mw)が100〜10000であるアクリル酸/マレイン酸の共重合体であることが好適である。
このような構成によれば、前記分散剤による、研磨材の分散性を高める効果をより発揮することができ、研磨材の凝集をより防止することができる。
また、前記HDD用ガラス基板の製造方法において、前記分散剤の含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.01〜2質量%であることが好適である。
このような構成によれば、前記分散剤による、研磨材の分散性を高める効果をより発揮することができるため、研磨材の主成分である酸化セリウムが研磨スラリー中でより安定に存在することができる。よって、研磨材の凝集をより防止することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下の各工程によって製造された研磨工程前のガラス基板を用意した。
(円盤加工工程)
ガラス素材として、ガラス素材(組成は表1参照)を用い、溶融したガラス素材をプレス成形して、外径が約66mmの円板状のブランクスを作製した。ブランクスの厚みは1.05mmとした。
Figure 2013099148
(内外径加工工程)
円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が20.5mmの円形の孔(中心孔)を開けた。次に、鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面および内周端面を外径65mm、内径20mmに内・外径加工を行った。続いて、上記円盤加工工程後のガラス基板の外周端面および内周端面を、内外周加工機(TKV−1、舘野機械製作所製)により研削した。
(研削工程)
前記内外径加工工程後のガラス基板の主表面を、両面研削機を使用して主表面の平坦度が10μmとなるよう、35μmの取り代で主表面を研削した。次に、前記ガラス基板の両表面を再び研削加工し、ガラス基板の平坦度が3μmとなるように、50μmの取り代で主表面を研削した。
(粗研磨工程)
研磨材としての酸化セリウムを10質量%、重量平均分子量(Mw)が1000であるアクリル酸/マレイン酸共重合体を0.1質量%、炭酸マグネシウム0.0017質量%、溶媒として水89.9質量%を、スリーワンモーターを用いて攪拌し、研磨スラリー1を調製した。なお、前記炭酸マグネシウム中のマグネシウムイオンは、前記酸化セリウムの含有量に対して、0.2mmol/kgであった。
(化学強化工程)
前記研磨後のガラス基板を、硝酸ナトリウム54%、硝酸カリウム46%混合した強化塩を480℃にて溶融し、前記ガラス基板を4時間浸漬させた。
(精密研磨工程)
粗研磨工程で使用した両面研磨機と同型の研磨機を使用して、平均粒径が20nmであるコロイダルシリカを研磨砥粒として含有する研磨スラリーを用いて研磨行い、ガラス基板の表面を2Åに仕上げた。取り代は1μmであった。
(洗浄工程)
前記精密研磨工程を行ったガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、KOHとNaOHとを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
〔耐衝撃性の評価〕
前記工程によって得られたガラス基板を製膜後、ハードディスクドライブに組み込み、250℃、RT80%の状態において96時間放置した後に耐衝撃性試験を行った。この耐衝撃性試験は、前記放置後の各ガラス基板をドライブに組み込んで落下させて荷重を変更しながらそれぞれテストを行い、基板が割れなかった荷重の最大値を測定し、その値を以下のように評価した。
◎:最大値が1200G以上である。
○:最大値が1100G以上1200G未満である。
×:最大値が1100G未満である。
<実施例2〜13>
実施例2〜4では、下記表2に示すように、マグネシウムイオンをそれぞれ酸化セリウムに対して0.05mmol/kg、5mmol/kg、1mmol/kgとなるように研磨スラリーを調製した他は、前記実施例1と同様にして研磨スラリー2〜4を調製した。
また、実施例5〜6は、イオン半径が80〜160pmであるカルシウムイオンを有する炭酸カルシウム、カリウムイオンを有する塩化カリウムを用いて研磨スラリーを調製した他は、前記実施例1と同様にして研磨スラリー5〜6とした。
実施例7〜9は、分散剤であるアクリル酸/マレイン酸共重合体の分子量をそれぞれ700、5000、10000となるように、また、マグネシウムイオンをそれぞれ酸化セリウムに対して1mmol/kg、2mmol/kg、3mmol/kgとなるように研磨スラリーを調製した他は、実施例1と同様にして研磨スラリー7〜9とした。
また、実施例10は、分散剤としてそれぞれ重量平均分子量(Mw)が1000であるスチレン/マレイン酸共重合体を用いて研磨スラリーを調製した他は、前記実施例4と同様にして研磨スラリー10を調製した。
また、実施例11〜13は、分散剤であるアクリル酸/マレイン酸共重合体の配合量を酸化セリウムに対してそれぞれ0.01質量%、2質量%、0.005質量%となるように研磨スラリーを調製した他は実施例1と同様にして研磨スラリー11〜13を調製した。
続いて、比較例1、2では、それぞれ鉄(III)イオンを有する水溶液(リン酸鉄(III)を塩酸に溶解させ中和させたもの)、セシウムイオンを有する塩化セシウムを用いて研磨スラリーを調製した他は、実施例4と同様にして研磨スラリー14〜15を調製した。
また、比較例3では、分散剤としてポリスチレンスルホン酸重合体を用いて研磨スラリーを調製した他は、実施例4と同様にして研磨スラリー16を調製した。
比較例4〜5では、マグネシウムイオンをそれぞれ酸化セリウムに対して0.04mmol/kg、6mmol/kgとなるように研磨スラリーを調製した他は、実施例1と同様にして研磨スラリー17〜18を調製した。
そして、以上のように実施例2〜13、比較例1〜5に係る前記各研磨スラリー2〜18を用いたこと以外は前記実施例1と同様に耐衝撃性試験を行い、前述の評価を行った。
以上の実施例1〜13,比較例1〜5によって得られた結果を下記表2に示す。
Figure 2013099148
上記表2に示すように、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160である第1族元素又は第2族元素の陽イオンを酸化セリウムに対して0.05〜5mmol/kg含む研磨スラリー(研磨スラリー1〜13)を用いて研磨を行った場合(実施例1〜13)は、耐衝撃性に優れたガラス基板を得ることができた。これは、前記陽イオンがイオン溶出を抑え、かつ前記分散剤が分散効果を持続させることができたことが原因であると考えられる。
特に、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンを0.2〜1mmol/kg含有する研磨スラリーを用いた場合(実施例1、実施例4〜6)は、さらに耐衝撃性に優れたガラス基板を得ることができた。
また、分散剤として含有されるアクリル酸/マレイン酸共重合体の分子量が5000である場合(実施例8)や、分散剤としてアクリル酸/マレイン酸共重合体を、0.01質量%、2質量%含有した場合(実施例11,12)に関しても、耐衝撃性にさらに優れたガラス基板を得ることができた。
一方で、第1族元素又は第2族元素以外のイオンを含有する研磨スラリー(研磨スラリー14)を用いた場合(比較例1)は、耐衝撃性に劣るガラス基板が得られた。これは、分散剤がガラス基板中のイオンに強く捕捉し、イオン溶出が発生したことが原因であると考えられる。
また、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmの範囲にないセシウムイオンを含有する研磨スラリー(研磨スラリー15)を用いた場合(比較例2)は、比較例1と同様の理由により、得られたガラス基板が耐衝撃性に劣る結果となった。
次に、分散剤として、分子内にカルボキシル基を有していないポリスチレンスルホン酸共重合体を含有する研磨スラリー(研磨スラリー16)を用いた場合(比較例3)は、得られたガラス基板が耐衝撃性に劣る結果となった。これは、ポリスチレンスルホン酸共重合体では酸化セリウムを十分に分散させることができないため、加工にてガラス基板が傷だらけとなり、その後化学強化を行っても傷を起点に割れが発生したことが原因であると考えられる。
また、マグネシウムイオンを0.04mmol/kg含有する研磨スラリー(研磨スラリー17)を用いた場合(比較例4)は、得られたガラス基板が耐衝撃性に劣る結果となった。これは、陽イオンと分散剤によるイオン溶出防止効果が低く、ガラス基板からイオン溶出してしまったことが原因であると考えられる。
さらに、マグネシウムイオンを6mmol/kg含有する研磨スラリー(研磨スラリー18)を用いた場合(比較例5)は、得られたガラス基板が耐衝撃性に劣る結果となった。これは、以下のことが原因であると考えられる。まず、研磨材の分散性が低下し、加工にてガラス基板が傷だらけとなった。よって、化学強化を行っても傷を起点に割れが発生したことが原因であると考えられる。
本発明によれば、高温高湿の環境下においても耐衝撃性に優れたHDD用ガラス基板の製造方法が提供される。

Claims (5)

  1. 酸化セリウムを主成分とする研磨材と、分子内にカルボキシル基を有するアニオン性高分子を含有する分散剤と、六配位換算におけるイオン半径が80〜160pmである第1族元素又は第2族元素の陽イオンと、を含む研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する粗研磨工程と、
    前記粗研磨工程後に行われる化学強化工程と、
    前記粗研磨されたガラス基板を精密研磨する精密研磨工程と、を有し、
    前記陽イオンの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.05〜5mmol/kgであることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記陽イオンは、六配位換算におけるイオン半径が80〜120pmであることを特徴とする請求項1に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記陽イオンは、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群より選択される少なくとも一つの陽イオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記分散剤は、重量平均分子量が100〜10000であるアクリル酸/マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記分散剤の含有量は、酸化セリウムの含有量に対して、0.01〜2質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
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