JP5331925B2 - 情報記録媒体用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
一方で、ハードディスクの市場の一部がフラッシュメモリを使用した情報記録装置であるSSD(ソリッドステートドライブ)に置き換わりつつあり、SSDに対しての優位点である記憶容量当たりの単価を訴求する為に、より一層の製造コスト削減を求められている。
しかし、次世代のハードディスク用基板は機械的強度が高い故に加工効率(加工レート)が悪く、より高いレベルの表面平滑性を実現しようとすると、製造コストは増大してゆくこととなる。
すなわち、次世代のハードディスク用基板の製造においては、従来材料と比較して、加工効率が悪い材料を、より高いレベルの表面平滑性に優れた材料に仕上げるという、低コスト化とは相反する要求に対応しなければならない。
しかし近年、酸化セリウムは市場価格が従来のおおよそ8倍に高騰しており、製造コストへの影響が極めて大きくなっている。
このため、酸化セリウム砥粒を使用した研磨工程に代えて、新しい研磨工程が模索されているが、酸化セリウム砥粒と同等の効果が得られ、かつ低コストでこれを実現できる研磨工程は開発されていない。
特許文献2には、砥粒として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いることが開示されている。しかし酸化ジルコニウムを砥粒として用いる研磨によっては、近年の極めて高精度な基板の表面粗さを達成することは困難である。さらに酸化ジルコニウムは、従来の酸化セリウムの市場価格のおおよそ2倍であり、従来の酸化セリウムの市場価格と同等のコストを実現することは不可能である。
また、本発明のさらなる目的は、製造コストにおいても、従来の市場価格における酸化セリウムを使用した製造コストと同等か、それ以下の製造コストを実現する、情報記録媒体用基板の製造方法を提供することである。
本発明は、具体的には以下のような製造方法を提供する。
少なくともSiO2成分を含む板状の無機材料を、研磨液及び研磨パッドを用いて研磨する研磨工程を含む情報記録媒体用基板の製造方法であって、
前記研磨液は、Zr及びSiを含む化合物からなる研磨砥粒を少なくとも含有し、
前記研磨液中の砥粒濃度が2wt%〜40wt%の範囲であることを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成9)
前記研磨液中の砥粒の平均粒径d50が0.2μm〜2.0μmである構成1に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成10)
前記無機材料は酸化物基準の質量%で、SiO2成分40〜82%、Al2O3成分2〜20%、R’2O成分0〜20%(ただし、R’はLi、Na、Kから選ばれる1種以上)を含有することを特徴とする構成1または2に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成11)
前記無機材料は結晶化ガラスである構成1から3のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成12)
前記無機材料はガラスである構成1から3のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成13)
前記研磨工程終了後の基板の表面粗さRaを6Å未満となるようにする構成1から5のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(構成14)
前記研磨工程終了後、さらに研磨工程を施し、最終の研磨工程後の基板の表面粗さRaを1.5Å未満となるようにする構成6に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
また、本発明の製造方法によって得られた基板の表面粗さRaは、初回の研磨工程後において、6Å未満の表面粗さとすることが可能であり、より好ましい実施態様においては4Å以下の表面粗さを得ることが可能である。
さらに、本発明の製造方法によって得られた基板の表面粗さRaは、最終の研磨工程後において、1.5Å未満の表面粗さとすることが可能であり、より好ましい実施態様においては1.0Å以下の表面粗さを得ることが可能である。
また、本発明において、「無機材料」とはガラス、結晶化ガラスの両方を意味する。
結晶化ガラスとは、ガラスセラミックスとも呼ばれ、ガラスを加熱することでガラス内部に結晶を析出させてなる材料であり、非晶質固体とは区別される。ガラスを出発材料として製造したものであれば、100%が結晶となったものも結晶化ガラスとして良い。結晶化ガラスは、内部に分散している結晶により、ガラスでは得られない物性を備える事ができる。例えば、ヤング率、破壊靱性等の機械的強度、酸性やアルカリ性の薬液に対する被エッチング特性、熱膨張係数等の熱的特性等について、結晶化ガラスは、ガラスでは実現しえない特性を付与することができる。
同様に、結晶化ガラスは紛体を焼結してなるセラミックスとは異なる物性を備えることができる。結晶化ガラスはガラスを出発材料として、内部に結晶を析出させることにより製造される為、セラミックスと比較して、空孔が無く、緻密な組織を得ることができる。
ガラス、結晶化ガラス、セラミックスの違いは以上の通りであるが、本発明は、ガラス、結晶化ガラスの双方に効果があることが、実験により明らかになっている。
次に板状の無機材料を、中心に円孔を有するディスク状に前加工し、板厚や平坦度を最終形状に近づける為の研削工程、平滑な表面性状を得る為の研磨工程を施した後、サブストレートと呼ばれるハードディスク用基板となる。
必要に応じ、化学強化法等により基板表面に圧縮応力層を生じさせ、基板の強度を高める工程を有していても良い。
コアリング工程やチャンファー工程に使用する研削工具としては、ダイヤモンド粒子をメタルで結合したメタル電着仕様や、ダイヤモンド粒子をビトリファイドで結合したビトリファイド電着仕様を用いることができる。治具の粗さ、仕上げ番手の組み合わせとしては#270〜#1000までが好ましい。
また、ダイヤモンドパッドに固定されているダイヤモンド砥粒の平均径はレーザー回折錯乱法で測定された体積基準のd50の値を用いることができる。通常は製造段階で管理されるダイヤモンド砥粒の粒径分布により把握されるが、ダイヤモンドパッドを薬液で溶解する等してダイヤモンド砥粒のみを取りだして測定することも可能である。
以上はアルカリ金属成分の交換について述べたが、アルカリ土類金属成分の交換処理を行うことも可能である。
当該研磨装置は、例えば公知の遊星歯車方式の両面研磨装置を例示できる。
遊星歯車方式の両面研磨装置は下定盤、外歯を備えたサンギア、内歯を備えたインターナルギア及び上定盤を有しており、これらはそれぞれ回転軸を同一にして機台に回転可能に支持されている。上定盤はさらに昇降可能になっており、被研磨物(ワーク)に対して加圧することが可能となっている。
また、研磨加工時には上定盤と下定盤にそれぞれ研磨パッドが貼付けられる。
ワークは外歯を有する円形のキャリアの保持孔内に収められ、研磨パッドが貼付けられた上定盤と下定盤の間に保持される。
キャリアの外歯がサンギアとインターナルギアに噛合する事によって、キャリアは公転しながら自転し、さらに上下の定盤が回転する事によって、ワークと研磨パッドが相対移動し、ワークが研磨される。その他、研磨液の供給装置等の付属装置も公知のものが使用できる。
Zr及びSiを含む化合物としては、ジルコン(ZrSiO4)、ZrSi2等が挙げられ、その他、これらの化合物に他の元素が固溶したものでもよい。ジルコンは市場価格が従来の酸化セリウムのおおよそ半額であり、これを砥粒として用いることにより、酸化セリウムの市場価格が高騰する以前の製造コストよりもさらにコストを低減することが可能となる。
また、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒のほか、その他の研磨砥粒を研磨液に混合することも可能である。従って、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒の含有量は、研磨液中の全砥粒重量に対し、70wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることが最も好ましい。その他研磨砥粒には、スピネル(RAl2O4、ただしRはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)、又は酸化ケイ素(SiO2)などが好ましく挙げられる。その他の研磨砥粒は、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒の効果を損なわない範囲で混合することが好ましく、ジルコン(ZrSiO4)のみを用いることが最も好ましい。
なお、Zrを含む化合物として酸化ジルコニウム(ZrO2)があるが、酸化ジルコニウムを用いると、基板表面にスクラッチが多数発生し、近年の極めて高精度な基板の表面粗さを達成することは困難であるために、酸化ジルコニウムは研磨液中の全砥粒重量に対し7%以下に制限され、3%以下がより好ましく、砥粒として使用しないことが最も好ましい。
また、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マンガン(MnO、MnO2、Mn2O3、Mn3O4、Mn2O7等)、水酸化アルミニウム、およびベーマイト(AlOOH)は、平滑な表面が得られないか、加工レートが低い為、その含有量は、研磨液中の全砥粒重量に対し7%以下に制限され、3%以下がより好ましく、使用しないことが最も好ましい。
上記研磨砥粒は、最終の研磨工程以外の研磨工程で使用する事が好ましく、1段目の研磨工程で使用することが最も好ましい。
なお、複数の段階の研磨工程のうち、Zr及びSiを含む化合物からなる研磨砥粒を少なくとも含有する研磨液を使用した研磨工程が、少なくとも1つ含まれていれば、他の工程は特に限定されない。
タンクに貯留された研磨液中の研磨砥粒の濃度を、上記の範囲となるように管理することが好ましい。研磨液の濃度は所定量のスラリーの重量を測定し、砥粒と溶媒の比重から求めることができる。
例えばスピネル系結晶を主結晶とする結晶化ガラスの場合、研磨液のpHが5.0以上であると、基板の表面の荒れがより低減し、より平滑な表面が得られるため、5.0以上が好ましく、7.0以上がより好ましく、8.5以上がさらに好ましく、9.0以上が最も好ましい。また、12.0以下であると研磨加工中の化学的研磨作用が適度に作用し、ガラス基板の表面が荒れがより低減され、より平滑な表面が得られる為12.0以下が好ましく、11.5以下がより好ましく、11.0以下が最も好ましい。
また、研磨砥粒の平均粒径d50が3.0μm以下であるとガラス基板表面にマイクロスクラッチの発生がより低減し、より平滑な表面が得られるため3.0μm以下が好ましく、2.8μm以下がより好ましく、2.6μm以下が最も好ましい。
ナップ層の材質はポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート等を使用でき、これらの樹脂に異種の材料を添加させたものでも良い。
硬質パッドとしては砥粒含有ウレタンパッドが例示される。本発明においては研磨パッドの少なくとも表面層またはナップ層にベーマイト、酸化アルミニウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、スピネル系化合物、カーボンブラック、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウムから選ばれる一種以上の微粒子が分散して含まれていても良い。これにより、研磨レートをより向上させることや研磨後の表面性状をより良好にすることができる。ナップ層の樹脂にカーボンブラックを添加した軟質パッドが、本発明の目的とする被研磨材料に対して研磨後のスクラッチを効果的に低減できる点で好ましい。
無機材料が結晶化ガラスの場合、主結晶相がスピネル系結晶(RAl2O4:RはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)、R2TiO4、二珪酸リチウム、エンスタタイト(MgSiO3)、β−石英、α−クリストバライト及びそれらの固溶体から選ばれる1種以上の結晶を含む結晶化ガラスを使用することができる。
無機材料がガラスの場合、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス等を使用することができる。
より好ましくは、本発明が目的とする被加工材料は、酸化物基準の質量%で、SiO2成分40〜82%、Al2O3成分2〜20%、R’2O成分0〜20%(ただし、R’はLi、Na、Kから選ばれる1種以上)を含有するガラスまたは結晶化ガラスからなる無機材料である。
さらに好ましくは、酸化物基準の質量%で、SiO2成分40〜82%、Al2O3成分2〜20%、R’2O成分0〜20%(ただし、R’はLi、Na、Kから選ばれる1種以上)、P2O5成分0〜7%、ZrO2成分0〜10%、B2O3成分0〜15%、BaO成分0〜15%、SrO成分0〜15%、ZnO成分0〜35%、MgO成分0〜35%、FeO成分0〜35%を含有するガラスまたは結晶化ガラス無機材料である。
なお、その他の成分も適宜含むことが可能である。
酸化物基準の質量%で表1の組成となるように酸化物、炭酸塩のバッチ原料を混合し、これを石英製の坩堝を用いて約1250〜1450℃の温度で溶解した。
溶解工程では、原料となるバッチを溶け残りが発生しないよう充分溶解した後、約1,350〜1,500℃の温度に昇温後、1,450〜1,250℃の温度まで降温し、ガラス内部に発生していた泡の消泡、清澄化を行った。
その後、温度を維持したまま所定量の溶融ガラスを流出し、上型の温度を300±100℃、下型の温度を当該ガラスのTg±50℃に設定した成形型を用い、ダイレクトプレス方式により、直径約67mm、厚さ0.95mmのディスク状に成形した。
次にディスク状のセラミックス製セッターと得られたガラスディスクを交互に積み重ね、核形成温度670℃で3時間保持し、その後結晶成長温度750℃で5時間保持する事により結晶を析出させた。
溶解工程では、原料となるバッチを溶け残りが発生しないよう充分溶解した後、約1,350〜1,500℃の温度に昇温後、1,450〜1,250℃の温度まで降温し、ガラス内部に発生していた泡の消泡、清澄化を行った。
その後、温度を維持したまま所定量の溶融ガラスを流出し、上型の温度を300±100℃、下型の温度を当該ガラスのTg±50℃に設定した成形型を用い、ダイレクトプレス方式により、直径約67mm、厚さ0.95mmのディスク状に成形した。
次にディスク状のセラミックス製セッターと得られたガラスディスクを交互に積み重ね、表2に記載の条件で熱処理し、結晶を析出させた。
比重はアルキメデス法、ヤング率は超音波法を用いて測定した。
ビッカース硬度は対面角が136°のダイヤモンド四角すい圧子を用いて、試験面にピラミッド形状のくぼみをつけたときの荷重(N)を、くぼみの長さから算出した表面積(mm2)で割った値で示した。(株)明石製作所製微小硬度計MVK−Eを用い、試験荷重は4.90(N)、保持時間15(秒)で行った。
結晶化度はリートベルト法を用い粉末XRDから得られた回折強度より算出した結晶の量(質量%)から求めた。リートベルト法については、日本結晶学会「結晶解析ハンドブック」編集委員会編、「結晶解析ハンドブック」、共立出版株式会社、1999年9月、p.492−499に記載されている方法を用いた。
結晶相の平均結晶粒径はTEM(透過型電子顕微鏡)により倍率100,000〜500,000倍での任意の部位の画像を取得し、得られた画像に現われた結晶を平行な2直線で挟んだ時の最長距離の平均値とした。このときのn数は100とした。
破壊靭性(K1C)はSEPB法(JIS R1607)によって得られた値を用いた。
次にこれらのディスク状材料をコアドリルで中央部分へΦ18.7mmの孔を空け、その後コアツールで被加工物の内外周部端面を研削し、面取形状加工を施した。
研削工具としては、ダイヤモンド粒子をメタルで結合したメタル電着仕様や、ダイヤモンド粒子をビトリファイドで結合したビトリファイド電着仕様を用いても良い。
治具の粗さ、仕上げ番手の組み合わせとしては#270〜#1000までが好ましい。
1)1段目の工程
浜井産業社製または、スピードファム社製の12B〜16B両面加工機、#1000のダイヤモンドシートを使用し研削加工をした。
当該1段目の研削を省略し、研削工程をダイヤモンドシートを使用した研削工程のみとする場合もある。
2)2段目のサブ工程(最終のサブ工程または唯一の研削工程)
浜井産業社製または、スピードファム社製の12B〜16B両面加工機、ダイヤモンド粒子をシート状の樹脂に分散させたダイヤモンドシートを使用し、研削加工をした。
研削工程の後、内外周の端面の表面を平滑に研磨した。加工後のディスクの直径は65.0mmである。
1)1段目の工程(1P)
表面粗さRaで5.0〜6.0Å未満とすることを目的として、浜井産業株式会社製の16B両面加工機、研磨パッドを使用し、上下の定盤に研磨パッドを貼付け、上記前加工、研削工程、内外周研磨工程を施した結晶化ガラス板を樹脂製のキャリアと共に上下の定盤間(研磨パッドの間)に保持し、遊離砥粒を含む研磨スラリーを再生循環供給しながら1段目の研磨加工を連続3〜5バッチ行い、条件を変えながら研磨効率(加工レート)の測定を行った。
研磨パッドは硬質発泡ウレタン(硬度(アスカーC)90または100:浜井産業社製HPC90D2)、ナップ層にカーボンブラックを含有した軟質パッド(硬度(アスカーC)81:FILWEL社製、硬度(アスカーC)86:浜井産業製)を使用した。
研磨パッドは、使用する前に、#400、#600、#800のドレッサーでドレス処理を施した。
研磨スラリーは、遊離砥粒として平均粒子径(d50)が0.2〜2.0μmのジルコン等を水に分散し、希釈濃度を種々変化させ使用した。必要に応じ研磨スラリーのpH調整の為にNaOH水溶液を添加した。
研磨スラリーのタンク内は第1バッチ開始時において上記研磨スラリー38リットルを貯留し、当該研磨スラリーの濃度を30wt%、pHを種々変化させ研磨した。研磨スラリーの循環供給経路内には100μmのフィルターを設けた。
加工開始から回転数、加工圧力ともに段階的に上昇させ、最大回転数、最大加工圧力で一定時間保持し、その後回転数、加工圧力ともに下降させる。
尚、1バッチの加工枚数はディスク110枚である。測定はこの中から2枚を任意に抜だし、内外周別に測定した。1バッチ終了後に研削工程終了後の新たなディスクを用意し、次バッチの加工を行った。一つの実施例または比較例の開始前には未使用の研磨スラリーに交換して加工を行った。
Dub−Off値とは、基板端部のダレ形状についての指標であり、0に近い事が好ましい。本発明におけるDub−Off値とは、基板主表面に垂直であり、基板の中心を通る断面に現れる外径について、基板を水平に保持した場合の基板の外周縁に接する垂直線から中心に向かって水平に0.575mmの距離にある基板表面上の点と、基板の外周縁に接する垂直線から中心に向かって水平に0.475mmの距離にある基板表面上の点との2点について、当該2点を結んだ直線と、当該2点間の基板外径線との最大距離をいう。
実施例7において、重量比でZrSiO4:SiO2=9:1である。
実施例1〜5において、表面品質、加工レート共に良好であった。
実施例16〜20において、表面品質、加工レート共に良好であった。
実施例21〜25において、表面品質、加工レート共に良好であった。
実施例30において、重量比でZrSiO4:SiO2=7:3である。
実施例26〜30において、表面品質、加工レート共に良好であった。
洗浄後の基板を、浜井産業社製の16B両面加工機、スピードファム社製の16B両面加工機、スエード研磨パッドを使用し、遊離砥粒を含む研磨スラリーを供給しながら以下の条件で2段目の研磨加工をし、表面粗さRaを1.0Å以下とした。
研磨砥粒:コロイダルシリカ(平均粒径d50=0.02μm)
研磨スラリーpH:1.0〜7.7
研磨スラリー濃度:10〜30wt%
最大加工圧力:110g/cm2
最大回転数:25rpm
加工時間:30分
加工後の表面粗さと、板端部形状Dub−Off値を表14に示す。
基板の機械的強度を向上させる為、化学強化処理を行った。化学強化工程は、研削工程後や1段目の研磨工程後、または最終研磨工程後に適宜行うことができる。
材料3の基板について、研削工程終了後、RO水による洗浄を行い、下記の条件で化学強化処理を行った。
強化塩:硝酸カリウム(KNO3:純度99.5%)
温度:530℃
時間:60分
化学強化用溶融塩から基板を引き揚げた後、70℃のRO水に10分浸漬し、さらにその後pH10のKOH水溶液で5分洗浄した。
その後、実施例1の条件で1段目、2段目の研磨加工を施した。
この基板は化学強化処理工程を施さず、それ以外は同条件で作成した基板と比較して、リング曲げ強度が3〜6倍に向上していることが確認された。
なお、リング曲げ強度とは、作製した情報記録媒体用基板を円形の支持リングと荷重リングにより該円板状試料の強度を測定する同心円曲げ法で測定した曲げ強度をいう。
実施例1と同じ条件で製造した基板について、1段目の研磨工程終了後、KOHによる洗浄を行い、下記の条件で化学強化処理を行った。
強化塩:硝酸カリウム(KNO3:純度99.5%)
温度:500℃
時間:30分
化学強化用溶融塩から基板を引き揚げた後、70℃のRO水に10分浸漬し、さらにその後pH10のKOHで5分間洗浄した。
その後、実施例1の条件で2段目の研磨加工を施した。
この基板は化学強化処理工程を施さず、それ以外は同条件で作成した基板と比較して、リング曲げ強度が1.5〜4倍に向上していることが確認された。
実施例1と同じ条件で製造した基板について、最終の研磨工程終了後、H2SO4による洗浄を行い、下記の条件で化学強化処理を行った。
強化塩:硝酸カリウム(KNO3:純度99.5%)
温度:450℃
時間:15分
化学強化用溶融塩から基板を引き揚げた後、70℃のRO水に10分浸漬し、さらにその後pH2のH2SO4で洗浄した。
この基板は化学強化処理工程を施さず、それ以外は同条件で作成した基板と比較して、リング曲げ強度が1.5〜3倍に向上していることが確認された。
材料11の基板について、研削工程終了後、RO水による洗浄を行い、下記の条件で化学強化処理を行った。
強化塩:硝酸カリウム(KNO3:純度99.5%)
温度:430℃
時間:40分
化学強化用溶融塩から基板を引き揚げた後、70℃のRO水に10分浸漬し、さらにその後pH10のKOH水溶液で5分洗浄した。
その後、実施例18の条件で1段目、2段目の研磨加工を施した。
この基板は化学強化処理工程を施さず、それ以外は同条件で作成した基板と比較して、リング曲げ強度が3〜6倍に向上していることが確認された。
実施例15と同じ条件で製造した基板について、最終の研磨工程終了後、H2SO4による洗浄を行い、下記の条件で化学強化処理を行った。
強化塩:硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合塩(KNO3:NaNO3=1:3、純度99.5%)
温度:400℃
時間:15分
化学強化用溶融塩から基板を引き揚げた後、70℃のRO水に10分浸漬し、さらにその後pH2のH2SO4で洗浄した。
この基板は化学強化処理工程を施さず、それ以外は同条件で作成した基板と比較して、リング曲げ強度が1.5〜3倍に向上していることが確認された。
一方、比較例11の条件で、同様にスラリーを交換かつ継ぎ足しせずに、連続バッチ試験したところ、3バッチ目の研磨で研磨レート低下が確認できた。
また、比較例12の条件で、同様にスラリーを交換かつ継ぎ足しせずに、連続バッチ試験したところ、3バッチ目の研磨で研磨レート低下が確認できた。
Claims (8)
- 少なくともSiO2成分を含むガラス又は結晶化ガラスからなる板状の無機材料を、研磨液及び研磨パッドを用いて研磨する研磨工程を含む情報記録媒体用基板の製造方法であって、
前記研磨液は、Zr及びSiを含む化合物を砥粒として少なくとも含有し、
前記研磨液中の砥粒濃度が2wt%〜40wt%の範囲であり、
前記研磨液中の砥粒の全重量に対する、前記Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒の含有量が70wt%以上であり、
砥粒として酸化セリウムを含む場合、その含有量は、前記研磨液中の砥粒の全重量に対して20wt%以下であり、
前記研磨工程における加工圧力が120g/cm2〜160g/cm2であることを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。 - 前記研磨液中の砥粒の平均粒径d50が0.2μm〜2.0μmである請求項1に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記無機材料は酸化物基準の質量%で、SiO2成分40〜82%、Al2O3成分2〜20%、R’2O成分0〜20%(ただし、R’はLi、Na、Kから選ばれる1種以上)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記無機材料は結晶化ガラスである請求項1から3のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記無機材料はガラスである請求項1から3のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記研磨工程の終了後における基板の表面粗さRaを6Å未満となるようにする請求項1から5のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記研磨工程の終了後、さらに研磨工程を施し、最終の研磨工程後の基板の表面粗さRaを1.5Å未満となるようにする請求項6に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記研磨工程の後に、コロイダルシリカを用いた別の研磨工程を行う、請求項1から7に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
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