JPWO2013054869A1 - 太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents

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Abstract

樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーと、基材とを有する太陽光反射用ミラーであって、前記基材に前記フィルムミラーが接合されており、前記太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であり、前記フィルムミラーが凹面状の形状を有している構成とした。

Description

本発明は、太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置に関する。
近年の地球温暖化は一層深刻な事態に発展し、将来の人類の生存すら脅かされる可能性がでてきている。その主原因は、20世紀に入りエネルギー源として多量に使用されてきた化石燃料から放出された大気中の二酸化炭素(CO)であると考えられている。したがって近い将来、化石燃料をこのまま使い続けることは許されなくなると考えられる。また、他方で、中国、インド、ブラジル等のいわゆる発展途上国の急激な経済成長に伴うエネルギー需用の増大により、かつては無尽蔵と考えられていた石油、天然ガスの枯渇が現実味を帯びてきている。
化石燃料の代替エネルギーとして、安定しており且つ量の多い自然エネルギーの一つとして、太陽エネルギーが考えられる。特に世界のサンベルト地帯と呼ばれている赤道近くには、広大な砂漠が広がっており、ここに降りそそぐ太陽エネルギーは正に無尽蔵と言える。これに関して、米国南西部に拡がる砂漠のわずか数%を使えば、実に7,000GWものエネルギーを得ることが可能であると考えられている。また、アラビア半島、北アフリカの砂漠のわずか数%を使えば、全人類の使うエネルギーを全て賄うことができるとも考えられている。
このように、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを社会活動の中で活用するためには、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。
これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、反射装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
当該反射装置は太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐などに晒されるため、従来から、当該反射装置にはガラス製ミラーが用いられてきた。しかし、ガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、破損しやすい、質量が大きい、体積が大きい、輸送コストがかかる、設置が難しい、ミラーを設置する架台の強度を持たせるために、プラントの建設費がかさむ等の問題がある。
そこで、上記問題を解決するために、ガラス製ミラーではなく樹脂製のフィルムミラーを利用することが考えられてきたが(例えば特許文献1)、いくつかの問題が生じてしまうことを本発明者らは見出した。
先ず第1の問題は、フィルムミラーの生産段階における問題である。フィルムミラーを効率よく生産するためには連続的に製膜するロールトゥロール方式を採用することが好ましいが、フィルムミラーの表面の平面性があまりに平滑であると、フィルムミラーをロール状に巻いた際にフィルムミラー同士が貼りついてしまうブロッキングと呼ばれる現象などを引き起こしてしまい、生産性が悪くなってしまう。本発明者らは、生産段階において、フィルムミラーの表面を、フィラーを入れる等して貼りつきが起きない程度に表面に凹凸をつけ粗くする、又は凹凸のある剥離シートを用いて表面を粗くする、ことで第1の問題が解決できることを見出した。
ところが、その結果、太陽光反射用ミラーとしてガラス製ミラーの代わりにフィルムミラーを採用した際に、フィルムミラーの表面を故意に粗くしたことが原因となり、光を反射する際に光散乱を起こしてしまい、反射効率が悪くなってしまうという第2の問題が生じることに本発明者らは気付いた。なお、剥離シートを用いた際にもフィルムミラー自体の表面に凹凸が生じてしまうのは、外圧により剥離シートの粗さがフィルムミラーに転写されてしまい、そのまま表面に影響を与えてしまうことが原因として考えられる。
更に、第3の問題として、フィルムミラーを基材に接合して用いた際に、気泡を巻き込んでしまうことや、フィルムミラー自体のうねりや、接合させる基材自体の反りによる平面性や凹凸などの表面性によるうねりが生じ、結果として反射効率が悪くなってしまうことにも本発明者らは気付いた。
そして、第4の問題として、フィルムミラーの製造、基材への接合、輸送、設置、調整などを行う際に人の手による指紋などの汚れが付着してしまい反射効率が悪くなってしまう恐れがあることも見出した。この第4の問題に対して、フィルムミラーの表面に上述の方法などを用いて凹凸を付加することで、反射効率の悪化を軽減できることを見出したが、その場合においても、やはり表面の凹凸による光散乱を原因とした反射効率の低下という問題が生じてしまう。
米国特許第4,645,714号明細書
本発明は係る点を鑑み、フィルムミラーとして高い生産性や指紋などに対する防汚性を有しながら、表面の粗さによる反射効率の低下を防止でき、かつ、フィルムミラーを基材に接合させた際の気泡の巻き込みの影響や、フィルムミラーや基材自体の表面性・平面性の影響による反射効率の低下も防止できる、つまり、高い生産性・防汚性を有しながら、太陽光反射用ミラーとして表面性・平面性の悪さにも対応できる高い反射効率を持つものを得ることができる太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の太陽光反射用ミラーは、平面状の樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーと、基材とを有する太陽光反射用ミラーであって、前記基材に前記フィルムミラーが接合されており、前記太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であり、前記フィルムミラーが凹面状の形状を有していることを特徴としている。
当該構成によれば、フィルムミラーが平面状であるため、輸送の際にフィルムミラーをロール状に巻くことができ、そもそもフィルムミラー自体が軽量であるので、体積や質量の観点から輸送コストを低減することに貢献できる。更に、表面粗さRaが0.01μm以上なので、指紋などの汚れも付着しにくく、また、フィルムミラーの生産段階において、その平面性を活かして、連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーをロール状に巻いた際のブロッキングなどの貼りつきを防止することが出来る。加えて、フィルムミラーが凹面状の形状を有しているため(フィルムミラーが凹面形状で使用されるため)、0.1μm以下の表面粗さに起因した反射効率の低下も防止することができる。ここで、反射効率の低下を招く主な原因は2種類の凹凸として大別できる。1つめは、凹凸の周期が1000μm以下の高周波成分として検出される小さな凹凸であり、フィラー、剥離シートなどに起因した表面の凹凸に基づくフィルムミラー自体の表面粗さや基材自体の表面粗さなどが挙げられ、これらは光散乱を引き起こすことに強く影響を与えている。もう1つは、凹凸の周期が1000μmより大きい低周波成分として検出される大きな凹凸(うねり)であり、フィルムミラーを基材に接合させた際の気泡の巻き込みや、フィルムミラー自体のうねりや、基材自体がそもそも持っている反りなどによる面精度が挙げられ、これらは正反射率の低下に強く影響を与えている。
当該構成においては、フィルムミラーの生産性向上や指紋などに対する防汚性や光散乱の度合いを考慮した結果のフィルムミラーの表面粗さや、基材自体の表面粗さなどによる凹凸を原因とした光散乱に基づく反射効率の低下を、フィルムミラーを凹面状の形状にすることで解決している。更に、フィルムミラーを基材に接合させた際の気泡の巻き込みや、フィルムミラー自体のうねりや、基材自体がそもそも持っている反りなどによるうねりを原因とした正反射率の低下に基づく反射効率の低下も、フィルムミラーを凹面状の形状にすることで解決している。
つまり、請求項1に記載の構成によれば高い生産性、輸送コストの低減、指紋などに対する防汚性を達成しながら、凹凸による反射効率の低下を防止することが出来る太陽光反射用ミラーを得ることが出来る。
請求項2に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1に記載の発明であって、前記反射層の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の太陽光反射用ミラーは、平面状の樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーと基材とを有する太陽光反射用ミラーであって、前記基材に前記フィルムミラーが接合されており、前記反射層の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であり、前記フィルムミラーが凹面状の形状を有していることを特徴としている。請求項1と同様の構成においては請求項1と同様の効果を持つ。当該構成においては前記反射層の表面粗さRaが0.01μm以上であるため、その粗さに起因してフィルムミラー表面も粗くなり、フィルムミラーの生産段階において、連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーの反射層とその入射光側の隣接層におけるブロッキングなどの貼りつきを防止することができ、また、表面粗さRaが0.1μm以下であるため、太陽光を反射する際の光散乱による反射効率の低下もフィルムミラーを凹面状の形状にすることで防止できる。
請求項4に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1又は3に記載の発明であって、前記フィルムミラーの凹面形状は非球面であることを特徴とする。フィルムミラーの凹面形状が非球面であるため、球面やポリゴン状に平面を組み合わせたミラーに比べて、より集光度合いを高めることができ、凹凸による反射効率の低下をより一層防止することができる。特に、非球面の曲率を調整することにより反射後の光の位置を適宜調整することが可能となるため好ましい。
請求項5に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明であって、前記フィルムミラーはアクリル層を有していることを特徴とする。前記フィルムミラーはアクリル層を有しているので、耐候性(特に紫外線に対しての劣化を防止する性能)を持つ。この性能は屋外、特に太陽光反射用ミラーがよく用いられる砂漠のような環境下において使用する際に特に望まれる。また、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂に比して凹凸を生じ易いアクリル層が存在しているため、そのアクリル層表面の凹凸に起因し、太陽光反射用ミラーの表面粗さが粗くなるため、フィルムミラーを連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーをロール状に巻いた際のブロッキングなどの貼りつきを防止することができる。しかし、同時に、太陽光反射用ミラーとして用いた際には、アクリル層に起因した表面粗さに基づく反射効率の低下という問題も生じてしまうが、フィルムミラーの形状が凹状であるため、アクリル層に端を発する反射効率の低下という問題を防止することができる。
請求項6に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明であって、前記フィルムミラーはいずれかの層にフィラーを含有していることを特徴とする。前記フィルムミラーはいずれかの層にフィラーを含有しているので、フィラーにより生じる凹凸に起因し、太陽光反射用ミラーの表面粗さが粗くなるため、フィルムミラーを連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーをロール状に巻いた際のブロッキングなどの貼りつきを防止することができる。
請求項7に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明であって、前記太陽光反射用ミラーは太陽光集光用であることを特徴とする。
請求項8に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項7に記載の発明であって、前記太陽光反射用ミラーは一回の反射によって太陽光を集光することを特徴とする。一回の反射によって太陽光を集光するため、反射の度に生じてしまう光散乱の回数を最小限に抑えることができるため高い反射効率を獲得することができる。現実的には複数回の反射によって集光効率を高くすることに貢献する光線も存在すると考えられるため、請求項7においては、実質的に反射効率を高めている原因の大半が一回目の反射による光であるということを意味している。反射効率に寄与する光の80%以上が一回目の反射による光であることが好ましい。
請求項9に記載の太陽光反射用ミラーは、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発明であって、前記フィルムミラーは、全体の厚さが80μm以上600μm以下であることを特徴とする。前記フィルムミラーの全体の厚さが80μm以上600μm以下であるため、軽量で柔軟性があり、自由に形状を変えることが出来る。特に太陽光を集光する際には任意の曲率を持った凹状に変化させられるため好ましい。また、全体の厚さが80μm以上600μm以下と薄いため、相対的に凹凸の影響が生じ易くなってしまうが、任意の曲率を持った凹状に変化させることが可能であるので、凹凸による反射効率の低下は防止できる。
請求項10に記載の太陽熱発電用反射装置は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽光反射用ミラーと保持部材とを有することを特徴とする。
請求項11に記載の太陽熱発電用反射装置は、請求項10に記載の発明であって、タワー型の太陽熱発電システムに用いられることを特徴とする。本発明に記載の太陽光反射用ミラーによれば高い反射効率を獲得することができるため、遠くの所定箇所に集光する必要があり高い反射効率が求められるタワー型の太陽熱発電システムにおいて好適に用いることができる。
本発明によれば、高い生産性、輸送コストの低減、指紋などに対する防汚性を達成しながら、凹凸による反射効率の低下を防止することが可能な太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置を提供することができる。
フィルムミラーの表面101から反射層102までの厚さが薄い場合にゴミが付着した様子を示す図である。 フィルムミラーの表面101から反射層102までの厚さが厚い場合にゴミが付着した様子を示す図である。 本発明のフィルムミラーの層構成の一例を示す概略断面図である。 一つの実施形態における太陽光反射用ミラーSLの上面図である。 一つの実施形態における太陽光反射用ミラーSLの断面図である。 別な実施形態における太陽光反射用ミラーSLの上面図である。 別な実施形態における太陽光反射用ミラーSLの断面図である。 構造体の種々の断面形状A〜Qを示す図である。 太陽光反射用ミラーSLの分解図である。 本発明にかかる太陽光反射用ミラーを用いたタワー型の太陽熱発電システムの斜視図である。 タワー型の太陽熱発電システムを側方から見た図である。 比較例1としてのフィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図。 比較例2及び実施例1としてのフィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図。 フィルムミラーの反射率の測定に用いた装置の簡略図である。
以下、本発明に係る太陽光反射用のミラーの詳細について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
<0.太陽光反射用ミラー>
太陽光反射用ミラーは、基材と、樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーとを有する。太陽光反射用ミラーは粘着層を介してフィルムミラーが基材に接合されている構成となっていることが好ましい。また、太陽光入射側から順にフィルムミラー、粘着層、基材の順となっていることが好ましい。
太陽光反射用ミラーの入射側の最表面での表面粗さRaは0.01μm以上0.1μm以下、好ましくは0.02μm以上0.07μm以下である。また、フィルムミラーは凹面状の形状を有している。従って、表面粗さRaが粗くても凹面状の形状によって反射効率の低下を防止することができる。フィルムミラーの形状が凹面状でさえあれば、フィルムミラーと基材との接合部が一部であってもよいし、フィルムミラーと基材の接合部が全面であってもよい。フィルムミラーを基材の全面に渡って接合している場合には、基材を調整することにより、連動してフィルムミラーの凹面状の形状を調整することが可能になるため調整の容易さの観点から好ましい。なお、凹面状の形状が非球面であると、収差に対応できるため、より反射効率の低下を防止でき好ましい。また、凹面状の形状が略放物面又は放物面であると、さらに反射効率の低下を防止できるため好ましい。
太陽光反射用ミラーの入射側の最表面での表面粗さは、たとえば、ミラーを構成する少なくとも1つの層へのフィラーの添加、その添加量や大きさの調整、ミラーを構成する表面層以外の層の表面粗さが適当な層の選択、フィルムミラー作成後にカレンダー処理、ブラスト処理などの後処理、ロール状に適度な張力で巻き取って、構成層の表面粗さを転写する、などの方法を実施することによって調整することが可能である。
太陽光反射用ミラーを用いて太陽光を反射する際の反射効率とは、太陽からフィルムミラーに降り注いだ全光のエネルギーのうち、フィルムミラーにより所定の領域に反射された光のエネルギーの割合を示している。例えば、太陽からフィルムミラーに入射した全光のエネルギーが単位時間当たり4000ワットであって、そのフィルムミラーにより所定の領域に反射された光のエネルギーが単位時間当たり2400ワットであった場合には60%の反射効率と算出される。太陽光は表面が粗いフィルムミラーの表面や反射層に当たるたびに乱反射を繰り返してしまうため、反射効率が低下してしまう。乱反射による反射効率の低下は表面粗さが粗ければ粗いほど顕著になる。そのため、太陽光反射用ミラーの反射層による、所定の領域への太陽光の反射は複数回でなく一回で到達することが好ましく、望ましくは所定の領域への反射光量の80%以上が一回目の反射によるものであることが好ましい。
また、太陽光反射用ミラーの凹面状形状の内部の空間に別途小さいフィルムミラーを設置するなどして、反射効率を高めることは可能であるが、費用や構造の複雑さ、整備のしやすさなどの観点から、一つの太陽光反射用ミラーは一枚のフィルムミラーのみを有することが好ましい。また、反射効率の観点から、入射する太陽光のエネルギーの衰退や反射光のエネルギーの衰退を防ぐために、太陽光反射用ミラーと太陽の間には大気や雲などの自然物以外には何も存在しないことが好ましい。なお、太陽光反射用ミラーによる反射光を、ほぼ一点に集光させることにより、太陽光集光用ミラーとして用いることも可能である。
<1.基材>
太陽光反射用ミラーに用いられる基材にはフィルムミラーが接合されている。基材は接合されているフィルムミラーを支持するために用いられることが多いため、フィルムミラーを接合した状態においても、自己支持性を有していることが好ましい。ここで、「自己支持性」とは、太陽光反射用ミラーの基材として用いられる大きさに断裁された場合において、その対向する端縁部分を支持することで、基材を担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。太陽光反射用ミラーの基材が自己支持性を有することで、太陽光反射用ミラーを設置する際に取り扱い性に優れるとともに、太陽光反射用ミラーなどを保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、反射装置を軽量化することが可能となり、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
基材の形状としては、凹面状の形状を有する又は凹面状の形状になり得ることが好ましい。そのために、平板状から凹面状の形状に可変である基材を用いてもよいし、凹面状の形状に固定されている基材を用いてもよい。凹面状の形状に可変である基材は、基材の曲率を調整することで、接合されているフィルムミラーの曲率も任意に調整することが可能となるため、反射効率調整の観点から好ましい。凹面状の形状が固定されている基材は曲率を調整する必要がなくなるため、調整費用の観点から好ましい。
<1−1.凹面状の形状に可変である基材>
凹面状の形状に可変である基材としては、弾性変形が可能であることが好ましい。また、前述のようにフィルムミラーを接合させた状態で自己支持性を有していることが好ましい。
凹面状の形状に可変である基材としては、ヤング率が10GPa以上であることが好ましい。また、基材の表面が凹凸の少ない平滑な平面であることが好ましい。
また、凹面状の形状にした基材を基材の中心部直交方向から見た形状は、特に制限されないが、円状、楕円状、正方形や長方形等の四角形状、正六角形状等の形状であることが好ましい。基材の中心部とは、円状の場合はその中心近辺、四角形状の場合は対角線の交点近辺、正六角形状の場合も対角線の交点近辺であることが好ましい。また、基材の中心部直交方向から見た基材の形状及び大きさが、フィルムミラーの中心部直交方向から見たフィルムミラーの形状及び大きさと略等しいことが好ましい。中心部は、基材またはフィルムミラー表面の全面積の10%以下の面積であることがそれぞれ好ましい。
基材は、単層であってもよいし、複数の層を積層させた形状であってもよい。基材は、単一構造でもよいし、複数に分割されていてもよい。
基材の素材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板などの金属板、ベニヤ板(好ましくは防水処理がされたもの)などの木板、繊維強化プラスチック(FRP)板、樹脂板、などが挙げられる。上述の材料の中でも金属板を用いることが、熱伝導率が高いという観点から好ましい。さらに好ましくは、高い熱伝導率だけでなく耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることである。最も好ましくは、樹脂と金属板を組み合わせた鋼板を用いることである。
なお、基材の大部分を樹脂により構成する場合には、中空構造を有する樹脂材料を用いて構成することが好ましい。なぜなら、基材を中空構造を有さない樹脂材料からなる層とした場合、自己支持性を持たせる程度の剛性を得るために必要な厚さが大きくなり、結果として基材の質量が重くなってしまうが、中空構造を有する樹脂材料から成る層とした場合、自己支持性を持たせながらの軽量化が可能となるからである。また、中空構造による断熱材としての機能も生じるため、光入射側とは反対側の表面の温度変化がフィルムミラーへ伝わることを抑制し、結露の防止や、熱による劣化を抑制することが可能となる。中空構造からなる樹脂材料を持つ層とする場合、表面層として平滑な面を有する樹脂フィルムを設け、中空構造を有する樹脂材料を中間層として用いることが、フィルムミラーの反射効率を高める観点で好ましい。
表面層としての樹脂フィルムの材料としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。この樹脂フィルムの厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmの範囲内である。好ましくは20〜200μmである。
中空構造を構成する樹脂材料としては、発泡樹脂からなる気泡構造、樹脂材料からなる壁面を有する立体構造(ハニカム構造等)や、中空微粒子を添加した樹脂材料等を用いることができる。発泡樹脂の気泡構造は、樹脂材料中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質形状に形成されたものを指し、材料としては、公知の発泡樹脂材料を使用可能であるが、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等が好ましく用いられる。ハニカム構造とは、空間が側壁で囲まれた複数の小空間で構成される立体構造全般を表すものとする。中空構造を樹脂材料からなる壁面を有する立体構造とする場合、壁面を構成する樹脂材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂又はオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、機械的強度及び成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂材料には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
<1−2.凹面状の形状に固定されている基材>
凹面状の形状に固定されている基材としては、特に限定されないが、前述のようにフィルムミラーを接合させた状態で自己支持性を有していることが好ましい。また、基材の凹面状の表面が凹凸の少ない平滑な平面であることが好ましい。
凹面状の形状に固定されている基材を基材の中心部直交方向から見た形状は、特に制限されないが、円状、楕円状、正方形や長方形等の四角形状、正六角形状等の形状であることが好ましい。基材の中心部とは、円状の場合はその中心近辺、四角形状の場合は対角線の交点近辺、正六角形状の場合も対角線の交点近辺であることが好ましい。また、基材の中心部直交方向から見た形状及び大きさが、凹面状の形状であるフィルムミラーの中心部直交方向から見た形状及び大きさと略等しいことが好ましい。
また、基材は、単層であってもよいし、複数の層が積層している形状であってもよい。単層の場合、金属層や木材層又は樹脂層等を用いることができるが、その中でも特に、以下のA及びBの何れかの構成であることが、より好ましい。
A:一対の凹板と、当該凹板の間に設けられた中間層とを有し、当該中間層は中空構造を有する層又は樹脂材料から構成される層である。
B:中空構造を有する樹脂材料層からなる。
構成Aにおける凹板には金属凹板が好適に用いられる。構成Aのようにすることで、基材の表面は、高い平滑性を有することができる。また、中間層が中空構造を有する層か、樹脂材料から構成される層であるので、凹板のみで基材を構成する場合に比べて、基材を大幅に軽量化することが可能になる。加えて、比較的軽量な中間層により剛性を上げることができるため、軽量且つ自己支持性を有する基材とすることが可能となる。中間層として樹脂材料から構成される層を用いる場合においても、中空構造を有する樹脂材料の層とすることで更に軽量化が可能である。
また、中間層を中空構造とした場合には、中間層が断熱材としての機能を果たすため、光入射側とは反対側の平板の温度変化がフィルムミラーへ伝わることを抑制し、結露の防止や、熱による劣化を抑制することが可能となる。
構成Aの表面層を形成する凹板としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料が好ましく用いることができる。特に、耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることが好ましい。
構成Aの中間層を中空構造とする場合、金属、無機材料(ガラス等)、樹脂等の素材を用いることができる。中空構造としては、発泡樹脂からなる気泡構造、金属、無機材料又は樹脂材料からなる壁面を有する立体構造(ハニカム構造等)や、中空微粒子を添加した樹脂材料等を用いることができる。中空構造を構成する樹脂材料としては、前述の<1−1.凹面状の形状に可変である基材>にて記載した発泡材料や、立体構造に用いられるものと同様のものを好ましく用いることができる。
また、中間層を樹脂フィルムからなる層とすることも可能であり、この場合に中間層を構成する樹脂材料としては、<1−1・凹面状の形状に可変である基材>で記載した樹脂フィルムの材料と同様のものを好ましく用いることができる。
中間層は、基材の全ての領域に設けられる必要はなく、金属平板の平面性及び基材としての自己支持性を担保できる範囲であれば、一部の領域に設けられていてもよい。中間層を上述の立体構造とする場合、金属平板の面積に対して、90〜95%程度の領域に立体構造を設けることが好ましく、発泡樹脂を用いる場合は、30〜40%程度の領域に設けることが好ましい。
また、上記の構成Bのように、自己支持性のある凹面状に固定された基材を、中空構造を有する樹脂材料のみからなる層とすることも可能である。基材を樹脂のみからなる層とした場合、自己支持性を持たせる程度の剛性を得るために必要な厚さが大きくなり、結果として基材の質量が重くなるが、樹脂基材に中空構造を持たせることにより、自己支持性を持たせながらの軽量化が可能となる。中空構造を有する樹脂材料からなる層とする場合、表面層として平滑な面を有する樹脂フィルム設け、中空構造を有する樹脂材料を中間層として用いることが、フィルムミラーの反射効率を高める観点で好ましい。この樹脂フィルムの材料としては、前述の<1−1.凹面状の形状に可変である基材>にて記載した樹脂フィルムの材料と同様のものを好ましく用いることができ、中空構造を構成する樹脂材料としては、前述の<1−1.凹面状の形状に可変である基材>にて記載した発泡材料や、立体構造に用いられるものと同様の樹脂材料を好ましく用いることができる。
<2.フィルムミラー>
フィルムミラーとは、反射層と、樹脂フィルム状支持体とを少なくとも有するフィルム状のミラーをいう。フィルムミラーの厚さは80〜600μmであり、好ましくは80〜300μm、更に好ましくは80〜200μm、最も好ましくは80〜170μmである。フィルムミラーの厚さを80μm以上にすることにより、フィルムミラーを基材に接合させた時に、ミラーが撓むことなく、良好な反射効率を得やすくなるため好ましい。また、フィルムミラーの厚さを600μm以下にすることにより、取り扱い性が良好になるため好ましい。フィルムミラーには平面性があるため、ロールトゥロールで製造することも可能であり、製造費用の観点から好ましく用いられる。また、フィルムミラーは、用いられる材料や、80〜600μm程度の厚さであることから、非常に軽量であるといえる。さらに、フィルムミラーはガラスとは異なり割れる等の問題が発生せず、柔軟性を有する。つまり、フィルムミラーは、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することができるという特長を有している。
なお、ゴミが付着した際の、フィルムミラーの反射効率の観点からフィルムミラーの太陽光入射側の表面から反射層までの厚さは、0.2mm以下であることが好ましい。図1A、図1Bを用いてその理由を詳述する。フィルムミラーの太陽光入射側の表面101から反射層102表面までの厚さが0.2mmより大きい場合、図1Bに示すように、フィルムミラーの表面101上にゴミ100が付着すると、ゴミ100の部分に入射する光Bは当然反射層102に到達しないため、反射効率には寄与しない。それに加えて、ゴミ100のない部分に入射する光Aも、太陽光入射側の表面101を透過し、反射層102で反射はされるのだが、反射光がゴミ100でブロックされてしまうため、反射効率に寄与しなくなってしまうという問題が発生する。一方、図1Aに示すように、前記表面101から反射層102までの厚さを0.2mm以下と薄くすると、反射効率の低下に寄与するのはゴミ100の部分に入射する光B´のみとなる。これは、前記表面101から反射層102までの厚さが薄いため、図1Bにおける入射光Aのような反射層102で反射された後にゴミに当たる光が少なくなるためである。また、反射光を遮られたことによる反射効率の低下はフィルムミラー表面に入射する太陽光の入射角が大きくなるほど顕著になる。特に、タワー型の太陽熱発電システムのような反射部から集熱部までの距離が長いシステムにおいては、朝や夕方に、フィルムミラーに入射する太陽光の入射角が大きくなることがあるため、前記表面から反射層までの厚さを0.2mm以下にすることが好ましい。また、フィルムミラーの太陽光入射側の表面から反射層までの厚さが厚くなればなるほど、太陽光の透過率が悪くなってしまう傾向があるため、反射層に到達する前に太陽光が減衰してしまうという観点からも、フィルムミラーの太陽光入射側の表面から反射層までの厚さは、0.2mm以下であることが好ましい。
また、フィルムミラーは反射層と樹脂フィルム状支持体以外の層を有していてもよい。また、フィルムミラーが粘着層を有していてもよい。好ましくは、ハードコート層、アクリル層、接着層、樹脂コート層、粘着層のいずれか又はいくつか又は全ての層を有することである。なお、上述したそれぞれの層を有する際には、図2に示すように、光入射側から順にハードコート層9、アクリル層5、接着層4、樹脂コート層8、反射層3、樹脂フィルム状支持体1、粘着層6の位置関係であることが好ましい。もちろん、上述のいずれかの層の光入射側や、その反対側に他の層を介してもよいし、前記他の層が複数あってもよい。また、当然ながら、上述したそれぞれの層が隣接していてもよい。
また、反射層と樹脂フィルム状支持体の間にアンカー層を設けてもよい。また、粘着層を覆う剥離シートによる層を設けてもよい。
フィルムミラーの入射側最表面の表面粗さRaは0.01μm以上0.1μm以下、好ましくは0.02μm以上0.07μm以下である。フィルムミラーの表面粗さが0.01μm以上であるため、輸送時や太陽光反射用ミラーの組み立て時や調整時に、誤って指でその表面を触ってしまったとしても、その表面粗さにより、指紋が付いてしまい反射効率が低下してしまうことを防止できる。また、フィルムミラーは凹面状の形状を有している。従って、表面粗さRaが粗くても凹面状の形状によって反射効率の低下を防止することができる。なお、フィルムミラーや太陽光反射用ミラーの表面の粗さやフィルムミラーを構成する各層の粗さは、その層の粗さだけでなく、隣接する層から離れている層の影響を含めた総合的な影響によって決まる。
また、フィルムミラーを中心部直交方向から見た形状は、特に制限されないが、円状、楕円状、正方形や長方形等の四角形状、正六角形状等の形状であることが好ましい。フィルムミラーの中心部とは、円状の場合はその中心近辺、四角形状の場合は対角線の交点近辺、正六角形状の場合も対角線の交点近辺であることが好ましい。
また、フィルムミラーを構成するいずれかの層にフィラーを含有させてもよい。フィラーにより生じる小さな凹凸に起因し、フィルムミラーの表面粗さが粗くなる。従って、フィラーを含有している層があることにより、フィルムミラーを連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーをロール状に巻いた際のブロッキングなどの貼りつきを防止することができる。また、フィラーに起因してフィルムミラーの表面粗さが粗くなることで太陽光反射用ミラーの反射効率も低下してしまうが、フィルムミラーが凹面状の形状を有することにより反射効率の低下を防止できる。
フィラーを含有している層をフィルムミラーのいずれかの層とする場合には、フィラーを含有している層は、フィルムミラーの光入射側の最表面層、または2層目に設けられることが好ましい。また、フィラーを含有している層は樹脂層であることが好ましい。さらに、フィラーを含有している層のフィラーの含有率は20〜50wt%が好ましい。フィラーを含有している層の厚さは、75〜125μmであることが好ましく、より好ましくは100〜125μmである。125μm以下の厚さであると、剛性が高くなり過ぎることがないため、フィルムミラーのコシが強くなり過ぎて巻き取り難くなってしまうということがないため好ましい。また、フィルムミラーが、フィラーを含有している層以外に、ある程度の表面粗さを持つ層を有している場合には、前記表面粗さを持つ層によってフィラーを含有している層の役割が担保される。例えば、剥離シートによる層が所定量のフィラーを含有している場合や、アクリル層がある程度の表面粗さを持っている場合などには、それらの層による表面粗さに起因してフィルムミラーの表面粗さが粗くなるため、フィラーを含有している層はなくともよい。
フィラーを含有している層に好ましく用いられる樹脂層としては、樹脂フィルム状支持体、ハードコート層、アクリル層等が挙げられる。
フィラーを含有している層の製造方法としては、その層の構成材料、例えば樹脂層である場合には層を構成している樹脂材料に所定量のフィラーを練りこみ、溶融流延製膜で製造した層であっても、溶液流延製膜で製造した層であってもよい。また、所定量のフィラーを練りこんだ樹脂液を、隣接する予定の層に塗布・コーティングして形成してもよい。
フィラーには、平均粒形が1〜30μm、好ましくは4〜10μmのものを好ましく用いることができる。また、フィラーの材料は、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーの具体的な材料としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物が挙げられる。有機フィラーの具体的な材料としては、各種ゴム、アクリル樹脂、アクリルニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。なかでも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。また、ゴムの具体的な材料としては、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系などのものを用いることができ、これらの材料を用いてゴム粒子を形成することが好ましい。なかでも屋外での紫外線などに対する耐候性の点からアクリルゴムが好ましく用いられる。アクリルゴムは、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有し、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子を形成してもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子を形成してもよいが、表面硬度の点から、多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とそれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。また、フィラーの形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも凹凸形状の均一性が得やすい球状が好ましい。
以下、フィルムミラーが有していると好ましい各層の構成の詳細を記述する。
<2−1.ハードコート層>
ハードコート層はフィルムミラーに、フィルムミラー表面の傷つきを防止する耐傷性、汚れの付着を防止する防汚性、などを付加することを目的に設けられる。太陽光反射用ミラーは主に砂漠で使用されることが多いため、紫外線や熱や風雨、砂嵐といった様々な外因に対する耐性を持っていることが好ましい。ハードコート層により、反射層に用いられている金属の、酸素や水蒸気や硫化水素などによる腐食、紫外線による樹脂層の劣化、フィルムミラーの変色や膜剥がれなどを低減することができる。また、ハードコート層により、フィルムミラーに付着した汚れをブラシなどで洗い流すことによるフィルムミラー表面の傷つきも低減することができ、結果として反射効率の低下も防止できる。ハードコート層の位置としてはフィルムミラーの太陽光入射側の最表面層、2層目、又は3層目のいずれかに設けられることが好ましい。ハードコート層の上に更に別の薄い層(1μm以下の厚さが好ましい)を設けてもよい。なお、ハードコート層の厚さは、0.05μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1μm以上4μm以下であり、更に好ましくは、1.5μm以上3μm以下である。ハードコート層の厚さが0.05μm以上だと十分な耐傷性を得ることができる。また、ハードコート層の厚さが10μm以下であると、応力が強くなり過ぎてハードコート層が割れることを防止できる。さらに、砂塵等の汚れの静電的な付着を防止する観点からも電気抵抗値が低いこと、つまり厚さが10μm以下であることが好ましい。
ハードコート層の耐傷性は、鉛筆硬度がH以上6H未満、加重500g/cmのスチールウール試験における傷が30本以下であることが好ましい。防汚性に関しては、フィルムミラーの最表面の電気抵抗値が、1.0×10−3〜1.0×1012Ω・□であることが好ましい。より好ましくは、3.0×10〜2.0×1011Ω・□である。防汚性に関するもう一つの指標としては、ハードコート層の転落角が0°より大きく30°以下であれば雨や結露などによってフィルムミラー表面に付着する水滴が落ちやすくなるため好ましい。なお、転落角とは、水平なミラー上に水滴を滴下し、その後、当該ミラーの傾斜角を徐々に上げていき、静止していた所定重量の水滴が転落する最小の角度を計測したものをいう。転落角が小さければ小さい程、水滴が表面から転がり落ちやすく、水滴が付着しにくい表面であると言える。
ハードコート層の材料としては透明性、耐候性、耐傷性、防汚性が得られるものであることが好ましい。ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、耐傷性の観点から、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名"ダイヤビーム(登録商標)"シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名"デナコール(登録商標)"シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名"NKエステル"シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名"UNIDIC(登録商標)"シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名"アロニックス(登録商標)"シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名"ブレンマー(登録商標)"シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名"KAYARAD(登録商標)"シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名"ライトエステル"シリーズ、"ライトアクリレート"シリーズなど)などの製品を利用することができる。
更に具体的には、例えば、電子線や紫外線の照射により硬化する樹脂や熱硬化性の樹脂等を使用でき、特にアルコキシシラン系化合物の部分加水分解オリゴマーからなる熱硬化型シリコーン系ハードコート、熱硬化型のポリシロキサン樹脂からなるハードコート、不飽和基を有するアクリル系化合物からなる紫外線硬化型アクリル系ハードコート、熱硬化型無機材料であることが好ましい。また、ハードコート層に用いることができる材料として、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコーン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタン等の光触媒性酸化物含有シリカ膜もしくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタンもしくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216号公報)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング(ピアレックス・テクノロジーズ社)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜、等も挙げることができる。
熱硬化型シリコーン系のハードコート層には公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基又はアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法によりフィルムミラー等の外面に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによってハードコート層を形成させる。但しこの場合、フィルムミラーの熱変形温度以下での硬化温度の設定が前提となる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/あるいはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系のハードコート層を製造することが可能である。
紫外線硬化型アクリル系のハードコート層には、不飽和基を有するアクリル系化合物として、例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート混合物等を使用することができ、これにベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を配合して用いる。そしてこれを反射フィルム10等の外面に塗布し、紫外線硬化することによってハードコート層が形成される。
また、ハードコート層に表面処理を施して、親水性を付与することが好ましい。例えば、コロナ処理(特開平11−172028号公報)、プラズマ表面処理、紫外線・オゾン処理、表面突起物形成(特開2009−226613号公報)、表面微細加工処理などを挙げることができる。
ハードコート層の作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
ハードコート層が無機物からなる場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等を、真空製膜法により製膜することで形成できる。真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、ハードコート層が無機物からなる場合、ポリシラザンを塗布製膜し、加熱硬化した膜からなることが好ましい。ハードコートの前駆体が、ポリシラザンを含有する場合、例えば下記の一般式(1)で表されるポリシラザンを含む有機溶剤中に必要に応じて触媒を加えた溶液を塗布した後、溶剤を蒸発させて除去し、それによってフィルムミラー上に0.05〜3.0μmの層厚を有するポリシラザン層を残す。そして、水蒸気を含む雰囲気中で酸素、活性酸素、場合によっては窒素の存在下で、上記のポリシラザン層を局所的加熱することによって、フィルムミラー上にガラス様の透明なハードコートの被膜を形成する方法を採用することが好ましい。
−(SiR−NR− ・・・(1)
一般式(1)中、R、R、及びRは、同一か又は異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニル又は3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表す。この際、nは整数であり、nは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
触媒としては、好ましくは、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン又はN−複素環式化合物が使用される。触媒濃度は、ポリシラザンを基準にして通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%の範囲である。
なお、好ましい態様の一つでは、式(1)中のR、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを含む溶液が使用される。
また、別の好ましい態様の一つでは、ハードコート層が、下記の一般式(2)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことである。
−(SiR−NR−(SiR−NR− ・・・(2)
一般式(2)中、R、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n及びpは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
特に好ましいものは、R、R及びRが水素を表し、そしてR、R及びRがメチルを表す化合物。またR、R及びRが水素を表し、そしてR、Rがメチルを表し、そしてRがビニルを表す化合物。また、R、R、R及びRが水素を表し、そしてR及びRがメチルを表す化合物である。
さらに、別の好ましい態様の一つでは、透明ハードコート層が、下記の一般式(3)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことである。
−(SiR−NR−(SiR−NR−(SiR−NR− ・・・(3)
一般式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n、p及びqは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
特に好ましいものは、R、R及びRが水素を表し、そしてR、R、R及びRがメチルを表し、Rが(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてRがアルキル又は水素を表す化合物である。
溶剤中のポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシル基又はアミン基)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。これは、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル、例えば酢酸エチル又は酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトン又はメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジブチルエーテル、並びにモノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)又はこれらの溶剤からなる混合物である。
このポリシラザン溶液の追加の成分に、塗料の製造に慣用されているもののような、更に別のバインダーを用いることができる。これは、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、又は合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、又はポリシロキサンである。
また、このポリシラザン調合物に更に追加する別の成分として、例えば、調合物の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用又は排気性に影響を与える添加剤、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO、TiO、ZnO、ZrO又はAlを用いることができる。
このようにして形成したポリシラザンのハードコート層は、酸素・水蒸気バリア膜としても用いることができる。
また、透明ハードコート層の特に好ましい例の一つとして、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層が挙げられる。多官能アクリルモノマーを以下「A」成分とし、シリコーン樹脂を以下「B」成分とする。
<2−1−1.「A」成分>
多官能アクリルモノマー「A」成分は、不飽和基、特に、活性エネルギー線反応性不飽和基を有することが好ましい。なお、本明細書で言う活性エネルギー線とは、好ましくは電子線か紫外線をいう。活性エネルギー線反応性不飽和基を有する多官能アクリルモノマーとしては、ラジカル重合系モノマーが用いられ、好ましくは、分子中にα,β−不飽和二重結合を有する2官能以上の多官能モノマーである多官能アクリレート型もしくは多官能メタクリレート型モノマー等が挙げられる。他に、ビニル型モノマー、アリル型モノマーや単官能のモノマーを有していてもよい。また、ラジカル重合系モノマーは、単独でも、または架橋密度を調整すべく2種類以上のモノマーを併用することも可能である。「A」成分としては、これら比較的低分子量化合物、例えば分子量が1000未満のいわゆる狭義のモノマーの他、ある程度分子量の大きい、例えば重量平均分子量が1000以上10000未満のオリゴマー、プレポリマーも用いることが可能である。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレ−ト、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、コハク酸(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
このような重合性有機化合物である「A」成分の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
重合性有機化合物「A」成分の含有量は、防汚性や耐光性を良好にする観点から、「A」+「B」の組成物全体を100重量%として、10〜90重量%であることが好ましく、15〜80重量%がさらに好ましい。
<2−1−2.「B」成分>
シリコーン樹脂「B」成分としては、活性エネルギー線反応性不飽和基を有するシリコーン樹脂であることが好ましい。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサンを含有し、好ましくは、活性エネルギー線硬化性不飽和結合を分子内に有したポリオルガノシロキサン鎖を有する化合物である。特に、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜50重量%と、ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する(a)以外の単量体(b)10〜95重量%と、(a)および(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%とを含む単量体を重合してなる重合体(α)に、前記した反応性官能基と反応可能な官能基、およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(β)を反応させてなる数平均分子量5000〜100000のビニル共重合体である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)として、具体的には、例えばチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物、東亜合成(株)製のAC−SQ SI−20、Hybrid Plastics社製POSS(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)シリーズのアクリレート、メタクリレート含有化合物等が挙げられる。
「B」成分は、要求性能に応じて1種、または2種以上を混合して用いることができる。また、重合比率は、重合体を構成する単量体の総重量を基準として1〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜35重量%である。「B」成分の共重合比率が1重量%未満の場合には、硬化物の上部表面に防汚性、耐候性を付与することが困難となり、50重量%を越える場合には、耐擦傷性が低下する上、放射線硬化型組成物に含まれる他の成分との相溶性、基材との密着性、強靭性等の塗膜性能、および重合体の溶媒への溶解性を得ることが困難となる。上記成分中に、ポリシロキサンを適当量含有することもでき、「B」成分の化学構造や量比によっては、ポリシロキサンを添加することによって、耐久性が向上する。
このハードコート層は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。フィルムミラーの最表面層におけるハードコート層は密な架橋構造を形成する場合があり、そのためフィルムが反り曲がることや、屈曲性がないために割れが入りやすいようなことがあり、取り扱いが困難になる。このような場合、ハードコート層組成中の無機物の量を調整するなどして、柔軟性があり、平面性が得られるように設計することが好ましい。
<2−1−3.添加剤>
ハードコート層に紫外線吸収剤や酸化防止剤などの各種の添加材を含有させてもよい。以下に各種の添加材について詳述する。
<2−1−3(a).紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、特に制限は無いが、有機系として、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系、ベンゾエート系等が挙げられ、また無機系として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。なお、紫外線吸収剤を多量に含有させた際にブリードアウトしてしまうという問題を低減するためには、分子量の1000以上の高分子の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。好ましくは、分子量1000以上、3000以下である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール〕(チヌビン1577FF、商品名、チバ・スペシャルティーケミカルズ製)、〔2−[4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール〕(CYASORB UV−1164、商品名、サイテックインダストリーズ製)等が挙げられる。
また、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学株式会社のSumisorb400)などが挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては上記以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物を用いることもできる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用により効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。通常の紫外線吸収剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などを含有させることもできる。
特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層において好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤をハードコート層に含有させることにより、耐候性を更に良好にするだけでなく、転落角も更に低下できるという優れた効果を得ることができる。特に、下記一般式(4)で表される化合物をハードコート層に含有させた場合、転落角の低下という効果が著しい。
Figure 2013054869
なお、ハードコート層における紫外線吸収剤の使用量は、密着性を良好に保ちつつ、耐候性を良好にするために、0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
<2−1−3(b).酸化防止剤>
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層に含有させることでも、転落角を低下し得る。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3'、5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3'、5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特に、ヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテトラキスー(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、上記した酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。光安定剤としては、例えば、ニッケル系紫外線安定剤も使用可能であり、ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
<2−1−3(c).開始剤>
ハードコート層、特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層は、重合を開始するための開始剤を含有することが好ましい。開始剤には紫外線などの活性エネルギー線硬化性樹脂の光重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、開始剤を光増感剤と共に使用してもよい。上記開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは、2〜5質量部である。2種類の開始剤を併用することもでき、特にラジカル系開始剤の場合、少なくとも2種類の開始剤、好ましくは互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることである。より好ましくは、互いに紫外線吸収波長の異なる2種類の開始剤を使用することである。例えば、より短波長の波長を吸収する開始剤のみでは、開始剤によってモノマー全ての重合反応を行えない場合がある。一方、より長波長の波長を吸収する開始剤のみでは、反応性はよくなるが、長期使用時に開始剤が着色してしまう可能性がある。そこで、長期使用時においても着色することなく、耐候性を良好にし、更に、重合反応性も良好にするために、互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることが好ましい。
<2−1−3(d).その他の添加材>
ハードコート層中には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
レベリング剤は、表面の小さな凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
帯電防止剤は、フィルムミラーの防汚性を向上させることに有効である。帯電防止剤により、ハードコート層が導電性を持つことにより、フィルムミラー表面の電気抵抗値を小さくすることが可能となる。また、ハードコート層に隣接する層、あるいはハードコート層との間に極薄い層を介して帯電防止層を形成することによってもフィルムミラー表面の電気抵抗値を小さくし、防汚性を向上させることが可能である。
<2−2.帯電防止層>
帯電防止層は、フィルムミラーの太陽光入射側の最表層が帯電してしまうことを防止する機能を有している。フィルムミラーはガラスミラーなどと比較して、樹脂フィルム状支持体を有しており、また、表面が樹脂で形成されていることが多いため、帯電しやすく、砂や埃などの汚れを引き寄せやすい。そのため、砂や埃などが付着し、反射効率が低下することが問題として挙げられる。フィルムミラーの最表層の近い層に帯電防止層が存在することにより、フィルムミラーの表面の帯電を抑えることができ、砂やほこりなどの塵の汚れの付着を抑えることができ、長時間にわたって、高い反射効率を維持することができるため好ましい。帯電防止層はフィルムミラーの最表層に隣接する層または最表層との間に極薄い層を介して存在していることが好ましい。
帯電防止層に帯電防止能を付与する技術として、帯電防止層に導電性をもたせて、その帯電防止層の電気抵抗値を低下させるという手法がある。
例えば、その帯電防止技術として、帯電防止層に、導電性物質である導電性フィラーを分散させて含有させる方法、導電性ポリマーを用いる方法、金属化合物を分散もしくは表面にコートする方法、有機スルホン酸及び有機リン酸のような陰イオン性化合物を利用した内部添加法、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルケニルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性型の低分子型帯電防止剤を用いる方法、カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させる方法などがある。特に、導電性物質である導電性フィラーを分散させて含有させる方法を用いることが好ましい。
なお、帯電防止層の電気抵抗値に関し、そもそも塗膜抵抗を大きく分けると、粒子内部抵抗と接触抵抗に分けることができる。粒子内部抵抗は、異種金属のドープ量・酸素欠陥量及び結晶性に影響される。また、接触抵抗は、粒子径や形状、塗料中の微粒子の分散性、バインダー樹脂の導電性に影響される。導電性の比較的高い膜は、粒子内部抵抗よりも接触抵抗の影響が大きいと考えられるので、粒子状態の制御により導電パスを形成することが重要である。
帯電防止層は、導電性フィラーを含有することで、帯電防止性を有することが好ましい。帯電防止層に含有する導電性フィラーとして、導電性無機微粒子があり、その中でも金属微粒子や導電性の無機酸化物微粒子等を用いることができる。特に、導電性の無機酸化物微粒子を好適に用いることができる。
金属微粒子としては、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、スズ、アンチモン、インジウム等の微粒子が挙げられる。
無機酸化物微粒子としては、インジウム五酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫酸化物)、ATO(アンチモン錫酸化物)、リンドープ型酸化物等の微粒子が挙げられる。なかでもリンドープ型酸化物などの無機複酸化物微粒子が、導電性、耐候性が高い点から好ましい。
導電性フィラーを帯電防止層中に分散させる際、帯電防止層の透明性を低下させないために、導電性フィラーの1次粒子径が1〜100nmであることが好ましく、特に1〜50nmであることが好ましい。導電性を確保するためには、粒子同士がある程度近接しなければならないため、粒子径が1nm以上であることが好ましい。粒子径が100nmを超えると光が反射し、光透過率が低下してしまうので好ましくない。
導電性無機酸化物微粒子としては、市販されているものを用いることができ、具体的には、セルナックスシリーズ(日産化学工業社製)、P−30、P−32、P−35、P−45、P−120、P−130(いずれも日揮触媒化成社製)、T−1、S−1、S−2000、EP SP2(いずれも三菱マテリアル電子化成社製)などを用いることができる。
帯電防止層には、導電性フィラーを保持するバインダーとして有機バインダー又は無機バインダーを用いることができる。有機バインダーとしては、樹脂を用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。さらに、有機バインダーとして、ハードコートをバインダーとすることもでき、紫外線硬化性多官能アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、オキセタン系樹脂、多官能オキセタン系樹脂などが利用できる。また、無機バインダーとしては、無機酸化物系バインダー(ゾルゲル法を用いた無機酸化物系バインダーであってもよい)や、4官能無機バインダーを好ましい例として挙げることができる。無機酸化物系バインダーの好ましい例としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム等を挙げることができる。特に好ましいのは、二酸化ケイ素である。また4官能無機バインダーの好ましい例としては、ポリシラザン(例えば、商品名:アクアミカ(AZエレクトロニクス社製))、シロキサン系化合物(例えば、コルコートP(株式会社コルコート社製))、アルキルシリケート及び金属アルコラートの混合であるFJ803(GRANDEX社製)、アルミナゾル(川研ファインケミカル株式会社製)、などを用いることができる。また、4官能無機バインダーとして、テトラエトキシシランを主原料とし、触媒を添加したゾルゲル液を用いてもいい。さらに、有機と無機の両方の性質を併せ持つ材料としてポリオルガノシロキサン、ポリシラザンなどが挙げられ、これらの材料は有機バインダーとも言えるし、無機バインダーとも言える。帯電防止層のバインダーに無機バインダーと有機バインダーの混合物を用いてもよいが、バインダーの全量が無機バインダーであることが好ましい。バインダーが無機バインダーである場合、屋外で用いる場合であっても紫外線への耐候性を有し長期に渡って高い反射性を維持できるため望ましい。
また、ハードコート層の好ましい材料の一つであるポリオルガノシロキサンでハードコート層を形成した場合、帯電防止層のバインダーが無機バインダーであると、帯電防止層とハードコート層の密着性が良好になり、層剥がれ等による反射性能の低下といった問題を防止できるため好ましい。更に、無機バインダーは有機バインダーに比して割れを生じやすいが、帯電防止層の上層としてハードコート層を設けることにより、割れ防止、欠け防止、及び欠けの飛散防止効果が得られ、割れやすい無機バインダーでも問題なく使用できるため、フィルムミラーは帯電防止層とハードコート層の二つの層を持っていることが好ましい。
帯電防止層は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法によって形成できる。
なお、帯電防止層の膜厚は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。帯電防止層の膜厚が1μm以下であれば良好な光透過性を得ることができる。
また、帯電防止層は、導電性フィラー(導電性無機微粒子)を75%以上95%以下の割合で含有していることが好ましい。導電性フィラーの含有量が75%に満たないと導電性を確保できない。また、導電性フィラーの含有量が95%を超えてしまうと光透過性が悪化してしまう。
<2−3.アクリル層>
アクリル層は、紫外線吸収能を有する。また、アクリル層はポリエチレンテレフタレートなどの樹脂に比して凹凸を生じ易いため、アクリル層の表面に凹凸を有することが多い。前記凹凸に起因し、フィルムミラー表面の表面粗さが粗くなり、ひいては太陽光反射用ミラーの表面も粗くなる。なお、当然ながら、フィルムミラーのいずれかの層が小さな凹凸を持っている場合には、上記と同様にフィルムミラー表面の表面粗さや太陽光反射用ミラーの表面粗さも粗くなり得る。また、凹凸を有する層が複数存在することにより、フィルムミラー表面の表面粗さや太陽光反射用ミラー表面の表面粗さが更に粗くなり、太陽光反射用ミラーの反射効率の低下がより一層問題となり得る。しかし、本発明におけるフィルムミラーは凹面状の形状を有しているため上記問題を防止することができ、製造効率と反射効率の両立を図れる。アクリル層は固いため、柔らかく破損しにくいアクリル層を得るため、可塑剤の微粒子を含有させてもよい。可塑剤の微粒子の好ましい例としては、例えば、ブチルゴムやブチルアクリレートの微粒子などが挙げられる。アクリル層の厚さは、20〜150μmであると入射光の透過率やフィルムミラーに適度な表面粗さを付与することができるため好ましい。より好ましくは、40〜100μmである。また、アクリル層は紫外線吸収材や酸化防止剤を含有してもよい。なお、耐候性(特に紫外線に対しての劣化を防止する性能)を得ることが可能であるならば、アクリル層ではなく、他の樹脂層に換えてもよい。
アクリル層は、メタクリル樹脂を基材樹脂として構成されていることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100重量%、アクリル酸エステルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9重量%、アクリル酸エステルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムミラーの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
アクリル層に含有される紫外線吸収剤としては、<2−1−3(a).紫外線吸収剤>に記載したものを同様に用いることができる。
紫外線吸収剤のアクリル層への含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。また、紫外線吸収剤のアクリル層への含有量は、フィルム単位面積当たりの含有量が0.17〜2.28g/mで、より好ましくは単位面積当たりの含有量が0.4〜2.28g/m以上である。含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能を十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによる、ロールやフィルムミラーの汚れを防止できる。
アクリル層に含有される酸化防止剤としては、光安定剤についての記載も含め<2−1−3(b).酸化防止剤>に記載したものを同様に用いることができる。酸化防止剤を含有することにより、アクリル層の溶融製膜時の劣化を防止することができる。また、酸化防止剤がラジカルを捕捉することにより、アクリル層が劣化することも防止できる。
<2−4.接着層>
接着層は、層同士の接着性を高める機能があるものであれば特に限定はない。接着であっても粘着であってもよい。好ましくは、アクリル層と樹脂コート層とを接着させる層である。接着層は、層同士を密着する密着性、反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性を有する事が好ましい。
接着層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。接着層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、1〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜8μmである。
接着層が樹脂である場合、樹脂として、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂又はポリエステル系樹脂とウレタン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにアクリル系樹脂にイソシアネートを混合させるような、イソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、接着層が金属酸化物である場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等、各種真空製膜法により製膜することができる。例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
<2−5.ガスバリア層>
反射層よりも光入射側にガスバリア層を設けてもよい。アクリル層と反射層の間にガスバリア層を設けることが好ましい。更には、接着層と樹脂コート層の間にガスバリア層を設けることが好ましい。ガスバリア層は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂フィルム状支持体及び樹脂フィルム状支持体に支持される各構成層等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、上記劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリア層を設けることができる。
ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1g/m・day以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/m・day以下、更に好ましくは0.2g/m・day以下である。また、ガスバリア層の酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m/day/atm以下であることが好ましい。
ガスバリア層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。ガスバリア層の厚さは、10〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜200nmである。
ガスバリア層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング、イオンビームアシスト、化学気相成長法等の方法により無機酸化物を形成する方法が挙げられるが、ゾル−ゲル法による無機酸化物の前駆体を塗布した後に、その塗布膜に加熱処理及び/又は紫外線照射処理を施して、無機酸化物膜を形成する方法も好ましく用いられる。
<2−5−1.無機酸化物>
無機酸化物は、有機金属化合物を原料とするゾルから局所的加熱により形成されたものである。例えば、有機金属化合物に含有されているケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)等の元素の酸化物であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等である。これらのうち、好ましくは、酸化ケイ素である。
無機酸化物を形成する方法としては、いわゆるゾル−ゲル法またはポリシラザン法を用いることが好ましい。ゾル−ゲル法は無機酸化物の前駆体である有機金属化合物から無機酸化物を形成する方法であり、ポリシラザン法は無機酸化物の前駆体であるポリシラザンから無機酸化物を形成する方法である。
<2−5−2.無機酸化物の前駆体>
ガスバリア層は、加熱により無機酸化物を形成する前駆体を塗布した後に、一般的な加熱方法が適用して形成することできるが、局所的加熱により形成することが好ましい。この前駆体は、ゾル状の有機金属化合物又はポリシラザンが好ましい。
<2−5−3.有機金属化合物>
有機金属化合物は、ケイ素、アルミニウム、リチウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、亜鉛、バリウム、インジウム、スズ、ランタン、イットリウム、及びニオブのうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。特に、有機金属化合物が、ケイ素、アルミニウム、リチウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、及びバリウムのうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。さらに、ケイ素、アルミニウム、及びリチウムのうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。
有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、金属アルコキシドが挙げられる。この金属アルコキシドは、下記の一般式(5)で表される。
MR (ORn−m ・・・(5)
上記の一般式(5)において、Mは、酸化数nの金属を表す。R及びRは、各々独立にアルキル基を表す。mは、0〜(n−1)の整数を表す。また、R及びRは、同一でもよく、異なっていてもよい。R及びRとしては、炭素原子4個以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基CH(以下、Meで表す。)、エチル基C(以下、Etで表す)、プロピル基C(以下、Prで表す。)、イソプロピル基i−C(以下、i−Prで表す。)、ブチル基C(以下、Buで表す)、イソブチル基i−C(以下、i−Buで表す)等の低級アルキル基がより好ましい。
また、上記の式(5)で表される金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムエトキシドLiOEt、ニオブエトキシドNb(OEt)、マグネシウムイソプロポキシドMg(OPr−i)、アルミニウムイソプロポキシドAl(OPr−i)、亜鉛プロポキシドZn(OPr)、テトラエトキシシランSi(OEt)、チタンイソプロポキシドTi(OPr−i)、バリウムエトキシドBa(OEt)、バリウムイソプロポキシドBa(OPr−i)、トリエトキシボランB(OEt)、ジルコニウムプロポキシドZn(OPr)、ランタンプロポキシドLa(OPr)、イットリウムプロポキシドY(OPr)、鉛イソプロポキシドPb(OPr−i)等が好適に挙げられる。これらの金属アルコキシドは何れも市販品があり、容易に入手することができる。また、金属アルコキシドは、部分的に加水分解して得られる低縮合物も市販されており、これを原料として使用することも可能である。
<2−5−4.ゾル−ゲル法>
ここで、「ゾル−ゲル法」とは、有機金属化合物を加水分解すること等により、水酸化物のゾルを得て、脱水処理してゲルとし、さらにこのゲルを加熱処理することで、ある一定の形状(フィルム状、粒子状、繊維状等)の金属酸化物ガラスを調製する方法をいう。異なる複数のゾル溶液を混合する方法、他の金属イオンを添加する方法等により、多成分系の金属酸化物ガラスを得ることも可能である。具体的には、下記の工程を有するゾル−ゲル法で、無機酸化物を製造することが好ましい。
すなわち、少なくとも水及び有機溶媒を含有する反応液中で、ホウ素イオン存在下にてハロゲンイオンを触媒として、pHを4.5〜5及びその反応生成物を200℃以下の温度で加熱してガラス化する工程、を有するゾル.0に調整しながら、有機金属化合物を加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程、−ゲル法により製造されてなることが、高温熱処理による微細孔の発生や膜の劣化等が発生しないという観点から特に好ましい。
このゾル−ゲル法において、原料として用いられる有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、上記した金属アルコキシドが挙げられる。
ゾル−ゲル法において、上記した有機金属化合物は、そのまま反応に用いてもよいが、反応の制御を容易にするため溶媒で希釈して用いることが好ましい。希釈用溶媒は、有機金属化合物を溶解することができ、かつ水と均一に混合することができるものであればよい。そのような希釈用溶媒としては、脂肪族の低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びそれらの混合物が好適に挙げられる。また、ブタノールとセロソルブとブチルセロソルブの混合溶媒、あるいはキシロールとセロソルブアセテートとメチルイソブチルケトンとシクロヘキサンの混合溶媒などを使用することもできる。
この有機金属化合物において、金属がカルシウム、マグネシウム、アルミニウム等である場合には、反応液中の水と反応して水酸化物を生成したり、炭酸イオンCO 2−が存在すると炭酸塩を生成したりして沈殿を生ずるため、反応液に隠蔽剤としてトリエタノールアミンのアルコール溶液を添加することが好ましい。溶媒に混合溶解するときの有機金属化合物の濃度としては、70質量%以下が好ましく、5〜70質量%の範囲に希釈して使用することがより好ましい。
ゾル−ゲル法において用いられる反応液は、少なくとも水及び有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、水及び酸、アルカリと均一な溶液をつくるものであればよく、通常、有機金属化合物の希釈に用いる脂肪族の低級アルコール類と同様のものが好適に挙げられる。脂肪族の低級アルコール類の中でも、メタノール、エタノールより、炭素数の多いプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びイソブタノールが好ましい。これは、生成する金属酸化物ガラスの膜の成長が安定であるためである。この反応液において、水の割合としては、水の濃度として0.2〜50mol/Lの範囲が好ましい。
また、ゾル−ゲル法においては、反応液中において、ホウ素イオンの存在下にて、ハロゲンイオンを触媒として、有機金属化合物を加水分解する。ホウ素イオンB3+を与える化合物としては、トリアルコキシボランB(OR)が好適に挙げられる。その中でも、トリエトキシボランB(OEt)がより好ましい。また、反応液中のB3+イオン濃度としては、1.0〜10.0mol/Lの範囲が好ましい。
ハロゲンイオンとしては、フッ素イオン及び/又は塩素イオンが好適に挙げられる。即ち、フッ素イオン単独、塩素イオン単独でもよく、これらの混合物でもよい。用いる化合物としては、上記した反応液中でフッ素イオン及び/又は塩素イオンを生ずるものであればよく、例えば、フッ素イオン源として、フッ化水素アンモニウムNHHF・HF、フッ化ナトリウムNaF等が好適に挙げられ、塩素イオン源として、塩化アンモニウムNHCl等が好適に挙げられる。
また、反応液中のハロゲンイオンの濃度としては、製造しようとする無機マトリックスを有する無機組成物からなるフィルムの膜厚や、その他の条件によって異なるが、一般的には、触媒を含む反応液の合計質量に対して、0.001〜2mol/kg、特に0.002〜0.3mol/kgの範囲が好ましい。ハロゲンイオンの濃度が0.001mol/kgより低いと、有機金属化合物の加水分解が十分に進行し難くなり、膜の形成が困難となる。またハロゲンイオンの濃度が2mol/kgを超えると、生成する無機マトリックス(金属酸化物ガラス)が不均一になり易いため、いずれも好ましくない。
なお、反応時に使用したホウ素に関しては、得られる無機マトリックスの設計組成中にB成分として含有させる場合は、その含有量に応じた有機ホウ素化合物の計算量を添加したまま生成物とすればよく、またホウ素を除去したいときは、成膜後、溶媒としてのメタノールの存在下、又はメタノールに浸漬して加熱すればホウ素はホウ素メチルエステルとして蒸発させて除去することができる。
有機金属化合物を、加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程においては、通常所定量の有機金属化合物を、所定量の水及び有機溶媒を含有する混合溶媒に混合溶解した主剤溶液、ならびに所定量のハロゲンイオンを含有する所定量の反応液を、所定の比で混合し十分に攪拌して均一な反応溶液とした後、酸又はアルカリで反応溶液のpHを希望の値に調整し、数時間熟成することにより進行させて反応生成物を得る。ホウ素化合物は、主剤溶液又は反応液に予め所定量を混合溶解しておく。また、アルコキシボランを用いる場合は、他の有機金属化合物と共に主剤溶液に溶解するのが有利である。
反応溶液のpHは、目的によって選択され、無機マトリックス(金属酸化物ガラス)を有する無機組成物からなる膜の形成を目的とするときは、例えば、塩酸等の酸を用いてpHを4.5〜5の範囲に調整して熟成するのが好ましい。この場合は、例えば、指示薬としてメチルレッドとブロモクレゾールグリーンとを混合したもの等を用いると便利である。
なお、ゾル−ゲル法においては、同一成分の同一濃度の主剤溶液、及び反応液(B3+及びハロゲンイオンを含む。)を所定のpHに調整しながら、逐次同一割合で追加添加することにより簡単に継続して、反応生成物を製造することもできる。なお、反応溶液の濃度は±50質量%の範囲で、水(酸又はアルカリを含む。)の濃度は、±30質量%の範囲で、及びハロゲンイオンの濃度は±30質量%の範囲で変化させることができる。
次に、前工程で得られた反応生成物(熟成後の反応溶液)を、200℃以下の温度に加熱して乾燥しガラス化させる。加熱にあたって、特に50〜70℃の温度区間を注意して徐々に昇温して、予備乾燥(溶媒揮散)工程を経た後さらに昇温することが好ましい。この乾燥は、膜形成の場合、無孔化膜とするために重要である。予備乾燥工程後、加熱し乾燥する温度としては、70〜150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。
<2−6.樹脂コート層>
樹脂コート層は、アクリル層と反射層の間に設けられていることが好ましい。樹脂コート層が反射層に隣接している場合、樹脂コート層が反射層の腐食を防止するよう、腐食防止剤を含有していることが好ましい。
樹脂コート層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。樹脂コート層の厚さは、1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。
樹脂コート層のバインダーとしては、例えば以下の樹脂を好ましく用いることができる。セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系、ポリカーボネート、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
<2−6−1.腐食防止剤>
腐食防止剤としては、反射層の主な構成物質である金属に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。ベンゾトリアゾール等の化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。シリコーン変性樹脂として特に限定されない。
アミン類およびその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−2,5ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ3'5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2‐エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
<2−7.反射層>
本発明に係る反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。反射層の表面反射率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。反射層は太陽光入射側(表面側)にあっても、その反対側(裏面側)にあってもよいが、樹脂基材が、太陽光線により樹脂劣化してしまうことを防止する目的から、光入射側に配置することが好ましい。
反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。反射層の膜厚が10nmより大きいと、膜厚が充分であり、光を透過してしまうことがなく、フィルムミラーの可視光領域での反射率を十分確保できるため好ましい。また、200nm程度までは膜厚に比例して反射率も大きくなるが、200nm以上は膜厚に依存しない。
反射層の表面粗さRaは0.01μm以上0.1μm以下、好ましくは0.02μm以上0.07μm以下である。この表面粗さRaは光の入射側の表面粗さが所定の範囲であるべきである。反射層の表面粗さRaが0.01μm以上であるため、その粗さに起因してフィルムミラー表面も粗くなり、フィルムミラーの生産段階において、連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、フィルムミラーの反射層とその入射光側の隣接層におけるブロッキングなどの貼りつきを防止することができる。また、表面が粗くなると反射光が散乱する恐れがあるが、反射層を有するフィルムミラーは凹面状の形状を有しているので、表面粗さRaが0.1μm以下であればフィルムミラーを凹面状の形状にすることによって反射効率の低下を防止することができる。
この反射層の表面粗さは、たとえば、ミラーを構成する少なくとも1つの層へのフィラーの添加やミラーを構成する反射層以外の層の表面粗さが適当な層の選択を行った後、フィルムミラー全体へのカレンダー処理や、ロール状に適度な張力でフィルムミラーを巻き取ることなどによって、また、反射層へのブラスト処理など方法を実施することによって調整することが可能である。
反射層は、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、ビスマス及び金からなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料として形成されることが好ましい。中でも、反射率、耐食性の観点からアルミニウムまたは銀を主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしてもよい。そうすることにより、フィルムミラーの赤外域から可視光領域での反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。赤外域から可視光領域とは、2500〜400nmの波長領域を意味する。入射角とは、膜面に対して垂直な線(法線)に対する角度を意味する。特に銀を主成分とする銀反射層とすることが好ましい。
反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。
一方、乾式法とは、真空製膜法の総称であり、具体的には、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に製膜するロールトゥロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。例えば、太陽光反射用ミラーの製造方法においては、反射層を蒸着によって形成する製造方法であることが好ましい。
また、反射層の耐久性を向上させる観点から、上記元素軍から2種以上の金属を選び合金としてもよい。反射率の観点を考慮し、反射層を銀合金からなる膜とする場合には、反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、銀は90〜99.8原子%が好ましい。また、他の金属は、耐久性の点から0.2〜10原子%が好ましい。この場合の他の金属としては、高温耐湿性、反射率の点から、特に金が好ましい。
<2−7−1.気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物>
本発明における反射層には、特に銀反射層を用いることが好ましい。銀反射層を形成する際には、乾式法や湿式法以外に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより形成するようにしてもよい。
「気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物」とは、溶液中では銀が安定に溶解するための配位子を有するが、溶媒を除去し、加熱焼成することによって、配位子が熱分解し、COや低分子量のアミン化合物となり、気化・脱離し、金属銀のみが残存することのできる銀錯体化合物のことをいう。
このような錯体の例は、公知である特表2009−535661号、特表2010−500475号各公報等に記載されており、下記一般式(6)で表される銀化合物と、一般式(7)〜(9)で表されるアンモニウムカルバメート系化合物又はアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる銀錯体化合物であることが好ましい。
また、銀錯体化合物は銀コーティング液組成物に含有され、これを塗布することにより支持体上に本発明に係る錯体を含有する塗布膜が形成される。すなわち、銀錯体化合物を用いてフィルム上に塗布膜を形成した後に、塗布膜を80〜250℃の範囲内の温度において加熱焼成することにより銀反射層を形成することが好ましい。更に好ましくは100〜220の範囲内、特に好ましくは120〜200℃の範囲内である。加熱焼成手段としては、特に制限は無く、一般的に用いられる加熱手段はどんなものでも適用できる。
以下、下記一般式(6)で表される銀化合物と、一般式(7)〜(9)で表されるアンモニウムカルバメート系化合物又はアンモニウムカーボネート系化合物等について説明をする。
AgX ・・・(6)
Figure 2013054869
一般式(6)〜(9)において、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基であり、nは、1〜4の整数であって、R〜Rは、互いに独立して、水素、C1〜C30の脂肪族や脂環族アルキル基、アリール基又はアラルキル(aralkyl)基、官能基が置換されたアルキル及びアリール基、ヘテロ環化合物基と高分子化合物及びその誘導体から選択される置換基である。
一般式(6)の具体例としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、硫化銀、塩化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、一般式(7)〜(9)において、R〜Rは、具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、ヒドロキシ、メトキシ、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル及びその誘導体、そしてポリアリールアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物及びこれらの誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(7)〜(9)の化合物例としては、例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、アンモニウムカーボネート(ammoniumcarbonate)、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウム モルホリンカルバメート、ピリジウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウム バイカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム バイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム バイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム バイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム バイカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム バイカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウム モルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウム バイカーボネート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウム バイカーボネート、及びその誘導体から選択される一種又は二種以上の混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一方、上記のアンモニウムカルバメート又はアンモニウムカーボネート系化合物の種類及び製造方法は、特に制限する必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号では、第1アミン、第2アミン、第3アミン、又は少なくとも1つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素からアンモニウムカルバメート系化合物が製造できると記述しており、前記アミン1モル当り水0.5モルをさらに添加すると、アンモニウムカーボネート系化合物が得られて、水1モル以上を添加する場合は、アンモニウムバイカーボネート系化合物を得ることができる。この際、常圧又は加圧状態で特別な溶媒を使用せずに直接製造するか、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒又はこれらの混合溶媒などが挙げられて、二酸化炭素は、気相状態でバブリング(bubbling)するか、固体相ドライアイスを使用することができて、超臨界(supercritical)状態でも反応することができる。アンモニウムカルバメート又はアンモニウムカーボネート誘導体の製造には、上記の方法の他にも、最終物質の構造が同一であれば、公知のいかなる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度又は触媒などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
このように製造されたアンモニウムカルバメート又はアンモニウムカーボネート系化合物と銀化合物とを反応して、有機銀錯体化合物を製造することができる。例えば、一般式(6)に示したような少なくとも一つ以上の銀化合物と、一般式(7)〜(9)に示したような少なくとも一つ以上のアンモニウムカルバメート又はアンモニウムカーボネート誘導体及びこれらの混合物を、窒素雰囲気の常圧又は加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒又はこれらの混合溶媒などを使用することができる。
銀錯体化合物の製造には、上記の方法の他に、一般式(6)の銀化合物と一つ以上のアミン化合物とが混合された溶液を製造した後、二酸化炭素を反応して、銀錯体化合物を製造することもできる。上記のように、窒素雰囲気の常圧又は加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用して反応することができる。しかしながら、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度又は触媒の使用有無などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
銀錯体化合物は、特表2008−530001号公報にその製造方法が記載されており、下記一般式(10)の構造で認識される。
Ag[A] ・・・(10)
(一般式(10)において、Aは、一般式(7)〜(9)の化合物であり、mは、0.5〜1.5である。)
高反射、高光沢の反射面の形成のために使用される銀コーティング液組成物は、前記の銀錯体化合物を含有し、必要に応じて、溶媒、安定剤、レベリング剤(Leveling agent)、薄膜補助剤、還元剤、熱分解反応促進剤の添加剤を、銀コーティング組成物に含有することができる。補助剤、還元剤、熱分解反応促進剤の添加剤を、本発明の銀コーティング組成物に含有することができる。
一方、前記安定剤としては例えば、第1アミン、第2アミン又は第3アミンのようなアミン化合物や、前記アンモニウムカルバメート、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート系化合物、又はホスフィン(phosphine)、ホスファイ(phosphite)、ホスフェート(phosphate)のようなリン化合物、チオール(thiol)やスルフィド(sulfide)のような硫黄化合物と、少なくとも一つ以上のこれらの混合物が挙げられ、アミン化合物としては、具体的に例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリールアミン、ヒドロキシアミン、アンモニウムヒドロキシド、メトキシアミン、2−エタノールアミン、メトキシエチルアミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、シアノエチルアミン、エトキシアミン、n−ブトキシアミン、2−ヘキシルオキシアミン、メトキシエトキシエチルアミン、メトキシエトキシエトキシエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アニリン、アニシジン、アミノベンゾニトリル、ベンジルアミン及びその誘導体、そしてポリアリールアミンやポリエチレンイミンのような高分子化合物及びその誘導体などのようなアミン化合物が挙げられる。
アンモニウムカルバメート、カーボネート、バイカーボネート系化合物として具体的に例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウム モルホリンカルバメート、ピリジウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウム バイカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム バイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム バイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム バイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム バイカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム バイカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウム モルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウム バイカーボネート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウム バイカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。
また、リン化合物としては、一般式RP、(RO)P又は(RO)POで表されるリン化合物で挙げられる。ここでRは、炭素数1〜20のアルキル又はアリール基を示し、具体的に例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジベンジルホスフェート、トリエチルホスフェートなどが挙げられる。
そして、硫黄化合物として、具体的に例えば、ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、ジエチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、アリールジスルフィド、2−メルカプトベンゾアゾール、テトラヒドロチオフェン、オクチルチオグリコレートなどが挙げられる。
このような安定剤の使用量は、本発明のインク特性に符合する限り、特に制限する必要はない。しかしながら、その含量は、銀化合物に対し、モル比で0.1%〜90%が好ましい。
また、薄膜補助剤としては、有機酸及び有機酸誘導体、又は少なくとも一つ以上のこれらの混合物が挙げられる。具体的に例えば、酢酸、酪酸(Butyric acid)、吉草酸(Valeric acid)、ピバル酸(Pivalic acid)、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ネオデカン酸(Neodecanoic acid)、ラウリン酸(Lauric acid)、ステアリン酸、ナフタル酸などの有機酸が挙げられ、有機酸誘導体としては、具体的に例えば、酢酸アンモニウム塩、クエン酸アンモニウム塩、ラウリン酸アンモニウム塩、乳酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、シュウ酸アンモニウム塩、モリブデン酸アンモニウム塩などの有機酸アンモニウム塩と、金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、ルテニウム、カドミウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、鉛、ビスマス、サマリウム、ユウロピウム、アクチニウム、トリウムなどのような金属を含有するシュウ酸マンガン、酢酸金、シュウ酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸銀、オクタン酸銀、ネオデカン酸銀、ステアリン酸コバルト、ナフタル酸ニッケル、ナフタル酸コバルトなどの有機酸金属塩が挙げられる。前記薄膜補助剤の使用量は、特に限定されないが、銀錯体化合物に対して、モル比で0.1〜25%が好ましい。
前記還元剤としては、ルイス酸又は弱いブレンステッド酸(bronsted acid)が挙げられ、具体的に例えば、ヒドラジン、ヒドラジンモノハイドレート、アセトヒドラジド、水酸化ホウ素ナトリウム又は水酸化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ブチルアミンボランのようなアミン化合物、第1塩化鉄、乳酸鉄のような金属塩、水素、ヨウ化水素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサールのようなアルデヒド化合物、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、トリエチル−o−ギ酸のようなギ酸化合物、グルコース、アスコルビン酸、ヒドロキノンのような還元性有機化合物を少なくとも一つ以上含有するこれらの混合物を挙げることができる。
前記熱分解反応促進剤としては、具体的に例えば、エタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルエタノールアミンのようなヒドロキシアルキルアミン類、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、1−アミノ−4メチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリンのようなアミン化合物、アセトンオキシム、ジメチルグリオキシム、2−ブタノンオキシム、2,3−ブタジオンモノオキシムのようなアルキルオキシム類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類、メトキシエチルアミン、エトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミンのようなアルコキシアルキルアミン類、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノールのようなアルコキシアルカノール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、アセトール、ジアセトンアルコールのようなケトンアルコール類、多価フェノール化合物、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ピロール、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のような酸化重合性樹脂などが挙げられる。
なお、銀コーティング液組成物の粘度調節や円滑な薄膜形成のために溶媒が必要な場合があるが、この際使用できる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシプロパノール、ブタノール、エチルヘキシルアルコール、テルピネオールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートのようなアセテート類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、パラフィンオイル、ミネラルスピリットのような炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、又はこれらの混合溶媒などを使用することができる。
<2−7−2.銀反射層の隣接層に含窒素環状化合物>
銀反射層を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより銀反射層を形成する場合、銀反射層の隣接層に含窒素環状化合物を含有することが好ましい。当該含窒素環状化合物としては、大別して、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤において、含窒素環状化合物を用いることで、所望の腐食防止効果を得ることができる。例えば、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物の少なくとも一種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物としては<2−6−1.腐食防止剤>で記載したものを好適に用いることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤としては<2−1−3(b).酸化防止剤>で記載したものを好適に用いることができる。なお、上記酸化防止剤と光安定剤を併用することもできる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ニッケル系紫外線安定剤を使用することが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤、ニッケル系紫外線安定剤としては<2−1−3(b).酸化防止剤>で記載したものを好適に用いることができる。
<2−8.アンカー層>
アンカー層は、樹脂からなり、樹脂フィルム状支持体と反射層とを密着させるために好ましく設けられる層である。従って、アンカー層は樹脂フィルム状支持体と反射層とを密着させる密着性、反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
アンカー層に使用する樹脂は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂又はポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
アンカー層の厚さは、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。この範囲を満たすことにより、密着性を保ちつつ、樹脂フィルム状支持体表面の凹凸を覆い隠すことができ、平滑性を良好にでき、アンカー層の硬化も十分に行えるため、結果としてフィルムミラーの反射率を高めることが可能となる。
また、アンカー層には、上述の<2−6−1.腐食防止剤>に記載した腐食防止剤を含有させることが好ましい。
なお、アンカー層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
<2−9.樹脂フィルム状支持体>
樹脂フィルム状支持体としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂フィルム状支持体は、反射層よりも光入射側から遠い位置にあることが好ましいため、紫外線が樹脂フィルム状支持体に到達しにくい。特に、樹脂フィルム状支持体よりも光入射側にあることが好ましいアクリル層等に紫外線吸収剤を含有させたりする場合は、紫外線が、樹脂フィルム状支持体により一層到達しにくい。従って、樹脂フィルム状支持体は、紫外線に対して劣化しやすい樹脂であっても用いることが可能となる。そのような観点から、樹脂フィルム状支持体として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを用いることが可能となる。
樹脂フィルム状支持体の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmの範囲内である。好ましくは20〜200μmである。
<2−10.粘着層>
フィルムミラーの粘着層は、当該粘着層によってフィルムミラーを基材に接合して、太陽光反射用ミラーを形成するための層である。なお、フィルムミラーは粘着層の太陽光入射側とは逆側に、剥離シートによる層を有していてもよい。フィルムミラーが剥離シートによる層を有する場合、剥離シートを粘着層から剥離した後、粘着層を介してフィルムミラーを基材に接合させることができる。
粘着層としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。粘着層と基材とを接合するためのラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。また、粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜100μm程度の範囲であることが好ましい。厚さが1μmより大きいと充分な粘着効果が得られるため好ましく、一方100μm未満であると粘着剤層が厚すぎて乾燥速度が遅くなるということがなく、能率的である。しかも本来の粘着力が得られ、溶剤が残留するなどの弊害が生じることもない。
<2−11.剥離シート>
フィルムミラーは、粘着層の光入射側と逆側に剥離シートによる層を有していてもよい。例えば、フィルムミラーの出荷時には剥離シートが粘着層に張り付いた状態で出荷し、剥離シートを剥がし粘着層を露出させ、基材に接合させて太陽光反射用ミラーを形成することができる。
剥離シートとしては、反射層の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム、または酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム、これらを練り込んだ樹脂をコーティングしたり、アルミニウム等の金属によって金属蒸着などを行い表面加工を施した樹脂フィルムが用いられる。
剥離シートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。また、剥離シートによって、太陽光反射用ミラーまたは反射層に表面粗さを付与する場合には、剥離層の表面粗さRaは0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。剥離層の表面粗さにより、太陽光反射用ミラーまたは反射層の表面も粗くなるため、フィルムミラーの生産段階において、連続的に製膜するロールトゥロール方式を用いた場合でも、ブロッキングなどの貼りつきを防止することができる。また、剥離層の表面粗さに起因して、太陽光反射用ミラーまたはフィルムミラーの表面が粗くなり反射光が散乱する恐れもあるが、フィルムミラーは凹面状の形状を有しているため、反射効率の低下を防止することができる。
剥離シートをフィルムミラーに貼り合わせる前に、フィルムミラーの形状を凹面状の形状にしてもよく、貼り合せた後で凹面状の形状にしてもよく、貼り合わせと同時に凹面状の形状にしてもよい。
以下でフィルムミラーを凹面状の形状にする方法または機構について説明する。
<3.フィルムミラーを凹面状の形状にする方法>
フィルムミラーを凹面状の形状にする方法としては特に制限されないが、フィルムミラーと接合している基材を凹面状の形状にすることで、連動してフィルムミラーを凹面状の形状にすることが好ましく用いられる。もちろん、フィルムミラーを基材に接合させる方法を工夫するなどして、結果としてフィルムミラーが凹面状の形状を有することができていればよいのは言うまでもない。しかし、フィルムミラー単体では薄く剛性が低いため、凹面状の形状に変形させたとしても、表面が波打ち反射効率が低下する恐れがある。そのため、ある程度の剛性を持つ基材にフィルムミラーを接合することにより、フィルムミラー表面の波打ちなどを防止することが好ましい。以下では<1−1.凹面状の形状に可変である基材>、<1−2.凹面状の形状に固定されている基材>で詳述したそれぞれの基材について、凹面状の形状にする方法の一例を記載する。
<3−1.凹面状の形状に可変である基材を凹面状にする方法>
凹面状の形状に可変である基材を凹面状の形状にする方法としては、特に制限されないが、基材を凹面状の形状にするためのコストが低いこと、凹面状の形状にする方法の手順が容易であること、基材と接合しているフィルムミラーの性能を妨げないことがそれぞれ好ましい。さらに、基材と接合しているフィルムミラーの凹面形状の曲率を適宜調整できることが好ましく、その中でも特に基材と接合しているフィルムミラーの凹面の形状を容易に略放物面、または放物面にできることが、高い反射効率を得るという観点から好ましい。
以下ではX軸、Y軸、Z軸を用いて凹面状の形状に可変である基材を凹面状の形状にする方法を説明する。X軸、Y軸とは、凹面状の形状にする前の基材の表面に平行な面上の軸であり、X軸とY軸は互いに直交している。また、Z軸とは凹面状の形状にする前の基材の表面に垂直な軸であり、X軸ともY軸とも直交する軸をいう。
凹面状の形状に可変である基材を凹面状の形状にする方法としては、基材の中心部と外側領域のZ軸方向の相対的位置を変化させることなどが挙げられる。凹面状になってさえいれば、中心部のZ軸方向の位置を固定し、外側領域の位置を可変としてもよいし、その逆に中心部の位置を可変とし、外側領域のZ軸方向の位置を規制してもよい。あるいは中心部の位置も外側領域の位置も可変としてもよい。好ましくは外側領域の位置を規制し、中心部の位置を可変とすることである。特に好ましくは中心部の位置を、主にZ軸方向で可変にすることである。なお、基材の中心部とは、基材をZ軸方向から見た際の中心点付近の部分、または、基材が円状の場合はその中心近辺、四角形状の場合は対角線の交点近辺、正六角形状の場合も対角線の交点近辺であることが好ましい。あるいは、基材の重心近辺の表面、または基材が一様な素材で形成されていると仮定したときの重心近辺の表面を指すこともある。また、中心部は、基材表面の全面積の10%以下の面積であることが好ましい。また、基材の外側領域とは中心部外の領域のことを指す。外側領域の位置を規制または可変させる際には、後述する構造体との接触部をできるだけ基材の中心部から離れている領域または基材の端縁付近を最低3点以上選択することが基材のX軸、Y軸、Z軸の安定性の観点から好ましい。外側領域を点状にではなく線状または面状に選択する場合には、その線または面が略円状または円状になるよう選択することがさらに好ましい。
基材の外側領域をZ軸方向に規制する方法としては、例えば、Z軸方向に一定の高さを有する構造体を設け、その上に外側領域が接するように基材を配置することなどがあげられる。そうすることにより、外側領域のZ軸方向の高さは構造体の高さより低くならない。
但し、この場合、基材の一点を見ると、X軸,Y軸方向に移動しながら、Z軸方向の位置も変化する可能性はあり、Z軸方向に規制するとはこのことを排除するものではない。即ち、Z軸方向に「規制する」とは、Z軸方向に「固定」するという意味ではない。基材の外側領域のX軸方向、Y軸方向の位置が固定されていないため、基材を凹面にした際にも外側領域に過大な応力が発生することがなく外側領域における歪みを少なくすることができ、その結果反射効率の向上に寄与できる。また、太陽光反射用ミラーは主に屋外で用いられるため、太陽光による熱や紫外線、風雨、砂嵐等にさらされる。外輪が領域において凹面の歪みが発生すると、その歪んだ部分を中心に外部環境によるフィルムミラーの劣化が促進されてしまう。しかしながら、外側領域における歪みを少なくすることによって、屋外で使用したとしても、太陽光反射用ミラーの反射効率の長期維持が可能となる。
基材の中心部の位置をX軸方向及びY軸方向において固定させる固定部材としては、ネジ、スペーサ、磁石、接着剤などが挙げられる。なお、固定部材は、フィルムミラーを貫通して基材を固定先の部材に固定してもよいが、フィルムミラーを貫通せずに基材を固定先の部材に固定していることが好ましい。更に好ましくは、フィルムミラーの表面には固定部材が一切露出していないことである。より具体的には、固定部材がネジやスペーサであって、基材上にフィルムミラーを有する場合、固定部材は基材を貫通させ固定先の部材に固定した状態となっていて、フィルムミラーは固定部材の上に設けられており、固定部材がフィルムミラーの反射層を貫通せず、固定部材(ネジのネジ頭や、スペーサの一部)が反射層上部に露出しないことが好ましい。固定部材が反射層を貫通しないことによって、基材の貫通部端面が外気に触れ劣化する可能性を防止できると共に、基材の貫通部付近の歪みも防止できる。更に、反射層の表面には固定部材が一切露出しないことにより、反射層の全面を太陽光の反射に用いることができるため、反射効率を向上できる。
また、固定部材が可動部を有していてもよい。例えば、固定部材が、基材の固定先の部材と基材の間や、基材とフィルムミラーに接触する部位の間に可動部を有し、基材と基材の固定先、または基材とフィルムミラーの間の位置関係にフレキシビリティを与えるようにしてもよい。極論すれば、フィルムミラー又は基材の中心部は原則としてはX軸方向及びY軸方向に固定されているが、その平面上で僅かに動けるようにしてもよい。このような構成にすることにより、よりスムーズな凹面状の形状を得られる可能性を増すことができる。
基材の中心部の位置をZ軸方向に可変とする手段としては、基材の中心部に設けられたネジ、スペーサ、磁石などを、手動又はアクチュエーターによってZ軸方向に動かす機構が考えられる。例えば、固定先の部材と基材の中心部を貫通するネジを設け、当該ネジを締める量に応じて、基材の中心部の位置をZ軸方向に変化させることができ、それに応じて、フィルムミラーの曲率も変化させることができる。そうすることにより、距離に応じた最適な反射効率を得ることが可能となる。上述の固定部材が、Z軸方向に位置を可変とする手段を兼ねていてもよい。また、Z軸方向に一定の高さを有する構造体は、Z軸方向に位置を可変とする手段を兼ねていてもよい。Z軸方向に一定の高さを有する構造体と固定先の部材が一体であってもよい。
ところで、基材の外側領域は、X軸方向及びY軸方向の位置が固定されている必要はない。例えば、Z軸方向に一定の高さを有する構造体の上に、基材の外側領域が接するように配置する場合、中心部と外側領域のZ軸方向の相対位置を変える際には、外側領域が構造体に接しながらその上を滑って移動してもよい。
基材を弾性変形させ、中心部と外側領域とのZ軸方向の相対位置を変えることにより、凹面状の形状を得ることができる。また、その凹面はきれいな曲面とでき、放物面または略放物面形状という反射効率の高い形状を容易に得ることができる。また、外側領域が固定されていないため、中心部と外側領域のZ軸方向の相対位置を変えることにより、フィルムミラーを凹面状の形状とした時に、外側領域で歪が生じることも防止できる。
<3−1−1.構造体>
「構造体」は、固定先の部材と、基材との間に設けられ、基材の周辺部に対して3点以上、或いは周状に接触するものをいう。構造体は、Z軸に一定の高さを有することが好ましい。また、構造体は、固定先の部材に固定されていることが好ましい。さらに、構造体は、基材を固定せず、Z軸方向の高さを規制することが好ましい。構造体の好ましい形状としては、円周状、四角周状、3点以上の複数の凸部等が挙げられる。複数の凸部とする場合は、隣り合う凸部間の距離はそれぞれ等しいことが好ましい。また、構造体は、固定先の部材からの高さが同一であることが好ましい。
特に、構造体の形状は、Z軸方向から見た際に、基材の中心部を中心とし等距離に配置された形状であることが好ましい。構造体をこのような構造とすることで、基材の中心部と外側領域のZ軸方向の相対位置を変化させた際に、歪みの少ないきれいな凹曲面を形成することができ、反射効率を向上することができるため好ましい。より好ましくは、構造体の形状が、図3A、図3B、図4A、図4BのRLに示すように、Z軸方向から見た際に、基材の中心部を中心としたリング状の形状であることである。従って、最も好ましい構造体は、固定先の部材上かつ周辺部に配置されたリング状であって、固定先の部材からの高さが同一で中心部から等しい距離に円形配置されることである。構造体は、好ましくは基材又は固定先の部材の内接円となるとよい。
また、円周状や四角周状等の周状の構造体は、そのZ軸方向の断面形状として様々なものを用いることができ、例えば図5の(A)〜(Q)に示すような、周方向に一様な断面形状とすることができる。特に、Z軸に一定の高さを有する構造体は、フィルムミラーの周辺部が歪まないように基材が移動しやすくするために、基材と点接触することが望ましい。従って、その観点から、構造体の断面は、図5の(A)〜(G)、(L)〜(O)であると好ましい。特に好ましくは、断面形状が少なくとも円または楕円の形状の一部を上部に含む形状である(図5の(A)、(B)、(C)、(E)、(L)、(M))。構造体は、ある程度の剛性があることが好ましく、例えば基材の2倍以上のヤング率を有することが望ましい。構造体の材質としては例えば、チタン、鉄、鋼、SUS、FRP、銅、黄銅又は青銅、アルミ、ガラス、ゴム、シリコン、テフロン(登録商標)、樹脂等を用いることができる。構造体の表面は滑りやすい形状及び材質であることが好ましい。
なお、構造体、固定先の部材及び基材とからなる空間は密閉されておらず、通気性がある事が好ましい。密閉されていると、屋外での温度変化による空気圧力の変化によって基材及びフィルムミラーが変形してしまう可能性があるため、通気性があることにより砂漠のような温度変化が激しいところに設置したとしても、空気圧力の変化によって構造体及びフィルムミラーが変形することがないため、好ましい。
<3−1−2.固定先の部材>
「固定先の部材」は、基材を支持する部材である。より具体的には、基材の中心部を固定先の部材に固定し、中心部のX軸方向及びY軸方向の位置を固定することが好ましい。固定先の部材の表面は平滑な平面であることが好ましい。又固定先の部材は、ある程度の剛性があることが好ましく、例えば、固定先の部材は、基材の2倍以上のヤング率を有することが望ましい。但し、中心部のZ軸方向の位置は固定しなくてもよい。固定先の部材は、構造体をその表面にすべて含められるような面積を有していることが好ましい。固定先の部材の形状としては、固定先の部材表面直交方向から見た形状(Z軸方向であることが好ましい)が、円状、楕円状、正方形や長方形等の四角形状、正六角形状等の形状であることが好ましい。また、固定先の部材の表面直交方向から見た形状及び大きさが、基材の表面直交方向から見た形状及び大きさと同じであることが好ましい。また、固定先の部材は、一枚の板形状であってもよいし、異なる材料の複数の板を積層させた形状であってもよいし、軽量化のために内部がハニカム構造や格子状枠を有し、表面を薄板で覆った形状であってもよい。固定先の部材の素材としては、チタン、鉄、鋼、SUS、FRP、銅、黄銅又は青銅、アルミ、ガラス等を単体、又は複合材として用いることができる。複合材として用いる場合、これらの素材を板材としてハニカム構造など中空の構造を挟むようにすると軽量化が促進され好ましい。ハニカム構造は、アルミ、樹脂、紙などを加工することで形成できる。固定先の部材のより具体的な例としては、2枚のアルミ合金板でハニカム構造を挟んだもの、2枚のアルミ合金板で発泡層を挟んだもの、2枚のFRPボードでハニカム構造を挟んだもの、アルミ合金板とFRPボードでハニカム構造を挟んだもの、SUS板でハニカム構造を挟んだものなどが挙げられる。なお、固定先の部材の中心部は、基材の中心部と同様に定義される。
<3−2.凹面状の形状に固定されている基材を作る方法>
凹面状の形状に固定されている基材を凹面状の形状にする方法としては、特に制限されないが、基材を凹面状の形状にするためのコストが低いこと、凹面状の形状にする方法の手順が容易であること、基材と接合するフィルムミラーの性能を極力妨げないことがそれぞれ好ましい。また、基材と接合しているフィルムミラーの凹面の形状が略放物面、または放物面なれるように、基材自体も略放物面、または放物面に固定されていると好ましい。凹面状の形状に固定されている基材を作る方法としては金型などを用いて、成形することにより作りだすことなどが挙げられる。
<4.太陽熱発電用反射装置>
太陽熱発電用反射装置は、太陽光反射用ミラーと太陽光反射用ミラーを保持する保持部材を有する。好ましくは、図6に示すように、フィルムミラーと基材を有する太陽光反射用ミラーの下に構造体、固定先の部材があり、その更に下に保持部材が配置されることが好ましい。この時、保持部材が構造体や固定先の部材の役割を兼ねていてもよい。
この太陽熱発電用反射装置を使用する場合、内部に流体を有する筒状部材を集熱部としてフィルムミラーの近傍に設け、筒状部材に太陽光を反射させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する、一般的にトラフ型と呼ばれる形態が一形態として挙げられる。また、その他の形態として、図7、図8に示すようなタワー型と呼ばれる太陽熱発電システムも挙げられる。トラフ型の太陽光発電システムと同様に、タワー型の太陽熱発電システムは少なくとも一つの集熱部と、太陽光を反射して集熱部に照射するための少なくとも一つの太陽熱発電用反射装置を有しており、集熱部に集められた熱を用いて液体を加熱しタービンを回して発電するものがある。なお、集熱部の周囲に、太陽熱発電用反射装置が複数配置されていることが好ましい。また、それぞれの太陽熱発電用反射装置が図7に示すように同心円状や、同心の扇状に複数配置されていることが好ましい。図7、8に示すタワー型の太陽光発電システムでは支持タワーの周囲に設置された太陽光反射用ミラーにより、太陽光が集光鏡へと反射され、その後、集光鏡によりさらに反射し、集熱部へと送られ熱交換施設へ送られる。本発明は特に、太陽熱発電用反射装置と集光部との間が10m以上離れているタワー型の太陽熱発電システムに好適に用いることが出来る。当然ながら、上述したビームダウン式のタワー型太陽熱発電システムだけでなくタワートップ式等の各種タワー型の太陽熱発電システムに好適に用いることが出来る。太陽熱発電用反射装置と集光部との距離が離れれば離れるほど、太陽光の反射効率が低下してしまうという問題が発生するが、本発明を用いれば遠距離においても高い反射効率を維持することが可能であるため、本発明の太陽光反射用ミラーや太陽熱発電用反射装置はタワー型の太陽熱発電システムに好適に用いることが出来る。
<4―1.保持部材>
保持部材は、太陽光反用ミラーを太陽を追尾可能な状態で保持する事が好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、例えば、太陽光反射用ミラーが所望の形状を保持できるように、複数個所を棒状の保持部材により、保持する形態が好ましい。保持部材は太陽を追尾可能な状態で太陽光反射用ミラーを保持する構成を有することが好ましいが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
<5.測定方法>
以下に表面粗さRaの測定方法をそれぞれ示す。
<表面粗さRaの測定方法>
表面粗さは三次元測定装置NH−3SP(三鷹光器)により測定した。その際の測定条件は、測定範囲を2mm、測定ピッチを2μm、対物レンズを100×とし、カットオフ値を0.250mmとした。
<基材貼付直後の反射効率の測定方法>
2mrad以内の集光率が測定できる装置を作製し測定した。その反射効率測定装置1000の光学系を図11に示す。
反射効率測定装置1000は、図11に示すように、光源(ハロゲン光源)1001、レンズ1002、アパーチャー1003、平行光調整レンズ1004、ミラー1005、平行光調整レンズ1006、アパーチャー1007、検出系1008等を備えている。平行光調整レンズは、平行光をつくるレンズである。
なお、図中、実線は散乱のない光路を示し、点線は散乱による光路を示している。
この反射効率測定装置1000を用い、ミラー1005の反射光がアパーチャー1007のφ0.2mmのピンホールに入射した時の光量を測定し、φ0.2mmで100%を示すミラーに対する値を反射効率とした。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
[比較例1]
(比較例1に用いるフィルムミラーの作製)
比較例1に用いるフィルムミラーの層構成概略を図9に示す。樹脂フィルム状支持体1として、表面粗さRa0.01μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、アンカー層2上に、反射層3として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。更に、上記銀反射層3上に、ポリエステル系樹脂とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ3.0μmの樹脂コート層8を形成した。次に、上記樹脂コート層8の上に、ドライラミネーションプロセスにより、接着層4と、後述する実施例におけるアクリル層5の代わりにポリエチレンテレフタレート層5‘として紫外線吸収剤を含有した表面粗さRa0.005μmのポリエチレンテレフタレート(厚さ100μm)を、ロールトゥロール方式を用いたラミネートで、速度5m/min、張力60N、圧力2kPaの条件により貼合した。更に重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、剥離層7である厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、130℃で5分間加熱して厚さ25μmのシリコーン系粘着層6(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのアンカー層及び銀反射層と反対面側にラミネートし、比較例1に用いるフィルムミラーを得た。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.005μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.005μmであった。
(比較例1に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記比較例1に用いるフィルムミラーから剥離層7を剥離し、表面粗さRa0.02μmの基材に接合した。基材には、厚さ2mmで、たて50cm×よこ50cmであり、中心部の開口の上部から下部へボルトが貫通しているアルミ板を使用した。アルミ板の上面と、フィルムミラーとを粘着層6を介して貼り合せて、比較例1に用いる太陽光反射用ミラーを得た。
上述した方法によって作製した比較例1に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.005μmであった。
次に、上記比較例1に用いる太陽光反射用ミラーの太陽光入射側とは反対方向に、構造体、固定部材、固定先の部材を設けることにより、基材とフィルムミラーを凹面状の形状にした。図6に太陽光反射用ミラーと構造体と固定部材と固定先の部材の位置関係の概略を示す。構造体には、基板の中心から等距離にあり高さが一様であって且つ基板に内接するリング状であって断面が円状(図5の(A))のテフロンチューブを使用した。Z軸方向に位置を可変とする手段を兼ねている固定部材としてボルトとワーシャーとナットを用いた。また、アルミ合金版の間にアルミハニカムコアを挟持してなる矩形板を固定先の部材とした。そして、基材の中心部に形成された開口の上部から固定先の部材の中心部に形成された開口の下部までボルトがワッシャーとナットを通し螺合され、一体化されている。即ち、ボルトはフィルムミラーを貫通しておらず、フィルムミラーはボルトの頭部を覆うように基材上に設けられているため、固定部材や基材やフィルムミラーの劣化や歪みが起こらず、フィルムミラー全面を反射に利用することができるため、高い反射効率を維持できる。図4Aは太陽光反射用ミラー、構造体、固定部材、固定先の部材を組み立てたものの上面図であり、図4Bは断面図である。ナットを締め上げると、ボルトに作用する軸力によって、フィルムミラーに接合された基材が弾性変形を生じ、フィルムミラーの中心部が固定先の部材に向かってZ軸方向に接近する。一方、フィルムミラーに接合している基材は、外周領域が構造体によってZ軸方向に規制されているが、X方向及びY方向には規制されておらず固定されていないので、中心部の変位に伴って外周領域が構造体との間で摺動し、相対変位を生じフィルムミラーの曲率を調整することが可能となる。従って、図4A、図4Bのように組み立てた後に、ナットを締め上げフィルムミラーの曲率を調整、略放物面の形状とすることで比較例1の反射装置を作製した。
[実施例1]
(実施例1に用いるフィルムミラーの作製)
実施例1に用いるフィルムミラーの層構成概略を図10に示す。樹脂フィルム状支持体1として、表面粗さRa0.02μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、アンカー層2上に、反射層3として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。更に、上記銀反射層3上に、ポリエステル系樹脂とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ3.0μmの樹脂コート層8を形成した。次に、上記樹脂コート層8の上に、ドライラミネーションプロセスにより、接着層4と、アクリル層5として、さらに紫外線吸収剤も含有した表面粗さRa0.01μmの透明アクリルフィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS010P 厚さ100μm)を、ロールトゥロール方式によりラミネート温度60℃、速度5m/min、張力60N、圧力2kPaの条件にて貼合した。この時の条件を貼合条件Aとする。更に重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、剥離層7である厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、130℃で5分間加熱して厚さ25μmのシリコーン系粘着層6(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのアンカー層及び銀反射層と反対面側にラミネートし、実施例1に用いるフィルムミラーを得た。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.01μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.02μmであった。
(実施例1に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例1に用いるフィルムミラーから剥離層7を剥離し、表面粗さRa0.02μmの基材に接合した。基材には、厚さ2mmで、たて50cm×よこ50cmのアルミ板を使用した。アルミ板の上面と、フィルムミラーとを粘着層6を介して貼り合せて、実施例1に用いる太陽光反射用ミラーを得た。
上述した方法によって作製した実施例1に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.01μmであった。
次に、上記実施例1に用いる太陽光反射用ミラーの太陽光入射側とは反対方向に、構造体、固定部材、固定先の部材を設けることにより、基材とフィルムミラーを凹面状の形状にした。比較例1と同様に図6に太陽光反射用ミラーと構造体と固定部材と固定先の部材の位置関係の概略を示す。構造体には、基板の中心から等距離にあり高さが一様であって且つ基板に内接するリング状であって断面が円状(図5の(A))のテフロンチューブを使用した。Z軸方向に位置を可変とする手段を兼ねている固定部材としてボルトとワーシャーとナットを用いた。また、アルミ合金版の間にアルミハニカムコアを挟持してなる矩形板を固定先の部材とした。そして、基材の中心部に形成された開口の上部から固定先の部材の中心部に形成された開口の下部までボルトがワッシャーとナットを通し螺合され、一体化されている。即ち、ボルトはフィルムミラーを貫通しておらず、フィルムミラーはボルトの頭部を覆うように基材上に設けられているため、固定部材や基材やフィルムミラーの劣化や歪みが起こらず、フィルムミラー全面を反射に利用することができるため、高い反射効率を維持できる。図4Aは太陽光反射用ミラー、構造体、固定部材、固定先の部材を組み立てたものの上面図であり、図4Bは断面図である。ナットを締め上げると、ボルトに作用する軸力によって、フィルムミラーに接合された基材が弾性変形を生じ、フィルムミラーの中心部が固定先の部材に向かってZ軸方向に接近する。一方、フィルムミラーに接合している基材は、外周領域が構造体によってZ軸方向に規制されているが、X方向及びY方向には規制されておらず固定されていないので、中心部の変位に伴って外周領域が構造体との間で摺動し、相対変位を生じフィルムミラーの曲率を調整することが可能となる。従って、図4A、図4Bのように組み立てた後に、ナットを締め上げフィルムミラーの曲率を調整、略放物面の形状とすることで実施例1の反射装置を作製した。
[実施例2]
(実施例2に用いるフィルムミラーの作製)
実施例1のフィルムミラーにおいて、アクリル層5に、フィラーとしてアクリルゴム(平均粒径10nm)を30質量%含有させた以外は同様にして実施例2に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.03μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.03μmであった。
(実施例2に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例2に用いるフィルムミラーから剥離層7を剥離し表面粗さRa0.02μm基材に接合した。基材には、厚さ2mmで、たて50cm×よこ50cmであり、中心部の開口の上部から下部へボルトが貫通しているアルミ板を使用した。アルミ板の上面と、フィルムミラーとを粘着層6を介して貼り合せて、実施例2に用いる太陽光反射用ミラーを得た。
上述した方法によって作製した実施例2に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.03μmであった。
[実施例3]
(実施例3に用いるフィルムミラーの作製)
実施例2のフィルムミラーにおいて、フィラーの含有量を40質量%となるように添加し、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例3に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.05μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.03μmであった。
(実施例3に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例2の太陽光反射用ミラーと同様にして、実施例3に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例3に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.05μmであった。
[実施例4]
(実施例4に用いるフィルムミラーの作製)
実施例2のフィルムミラーにおいて、フィラーとして粒径が30nmのフィラーを用い、その含有量が10質量%となるように添加し、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例4に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.07μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.07μmであった。
(実施例4に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例2の太陽光反射用ミラーと同様にして、実施例4に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例4に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.07μmであった。
[実施例5]
(実施例5に用いるフィルムミラーの作製)
実施例4のフィルムミラーにおいて、フィラーの含有量を30質量%となるように添加し、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例5に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.09μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.09μmであった。
(実施例5に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、実施例5に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例5に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.09μmであった。
[実施例6]
(実施例6に用いるフィルムミラーの作製)
実施例4のフィルムミラーにおいて、フィラーの含有量を40質量%となるように添加し、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例6に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.1μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.1μmであった。
(実施例6に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、実施例6に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例6に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.1μmであった。
[実施例7]
(実施例7に用いるフィルムミラーの作製)
実施例2のフィルムミラーにおいて、フィラーの含有量が25質量%となるように添加した以外は同様にして実施例7に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.03μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.08μmであった。
(実施例7に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例2の太陽光反射用ミラーと同様にして、実施例7に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例7に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.03μmであった。
[実施例8]
(実施例8に用いるフィルムミラーの作製)
実施例2のフィルムミラーにおいて、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例8に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.03μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.1μmであった。
(実施例8に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例2の太陽光反射用ミラーと同様にして、実施例8に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例8に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.03μmであった。
[実施例9]
(実施例9に用いるフィルムミラーの作製)
接合前の実施例3のフィルムミラーを採用した。
(実施例9に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
実施例3のミラーの組み立てにおいて、凹面形状を円盤型(ディッシュ型/球面状)の形状として実施例9に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例9に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.05μmであった。
[実施例10]
(実施例10に用いるフィルムミラーの作製)
実施例4のフィルムミラーにおいて、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例10に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.07μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.01μmであった。
(実施例10に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、実施例10に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例10に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.07μmであった。
[実施例11]
(実施例11に用いるフィルムミラーの作製)
実施例4のフィルムミラーにおいて、貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして実施例11に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.07μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.02μmであった。
(実施例11に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、実施例11に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例11に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.07μmであった。
[実施例12]
(実施例12に用いるフィルムミラーの作製)
実施例4のフィルムミラーにおいて、フィラーの含有量が30質量%となるように添加した以外は同様にして実施例12に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.07μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.1μmであった。
(実施例12に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、実施例12に用いる太陽光反射用ミラーを得た。実施例11に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.07μmであった。
[比較例2]
(比較例2に用いるフィルムミラーの作製)
実施例2のフィルムミラーにおいて、フィラーとして粒径が50nmのフィラーを用い、その含有量が30質量%となるように添加し貼合条件Aを表1に記載したように変更した以外は同様にして比較例3に用いるフィルムミラーを作製した。このフィルムミラーの光入射側の表面粗さRaは0.13μmであり、反射層の光入射側の表面粗さRaは0.13μmであった。
(比較例2に用いる太陽光反射用ミラーの作製)
上記実施例4と同様にして、比較例2に用いる太陽光反射用ミラーを得た。比較例2に用いる太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaを<表面粗さの測定方法>に従って測定したところ、表面粗さRaは0.13μmであった。
以上のように作製した比較例と実施例を評価した。
<フィルムミラーを基材に貼合した後のうねりと気泡巻きこみの有無>
フィルムミラーを基材に貼合した後のうねりと気泡巻きこみの有無を目視により判定した。
<製造時のブロッキングの有無>
ロールトゥロール方式による製膜時にブロッキングが発生したか否か(ブロッキングの有無)を確認した。
<基材接合後の反射効率>
基材貼付直後のたて50cm×よこ50cmのサンプルの反射面側の両端からそれぞれ10cmの幅の部分全面に観察者の手を1度触れさせ、中央部分の15cm幅には手を当てていない太陽光反射用ミラーを準備した。この太陽光反射用ミラーを用いて上述の反射効率の測定方法に基づき反射効率を測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎ :反射効率が95%以上
○ :反射効率が85%以上95%未満
△ :反射効率が75%以上85%未満
× :反射効率が65%以上75%未満
××:反射効率が65%未満
<凹面後の反射効率>
基材接合後の反射効率の測定で用いた太陽光反射用ミラーを太陽光反射用ミラーから100mの地点における直径50cmの所定の円に対する反射効率を測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎ :反射効率が95%以上
○ :反射効率が85%以上95%未満
△ :反射効率が75%以上85%未満
× :反射効率が65%以上75%未満
××:反射効率が65%未満
なお、比較例、実施例共に本願において定義される1回の反射によって所定の面積への集光が行われており、反射効率が100%を超えた場合は全て100%として扱っている。
これらの結果を、基材に接合後のフィルムミラーの表面粗さRa(μm)、基材に接合後の反射層の入射側の表面粗さRa(μm)、基材の表面粗さRa(μm)基材接合前のフィルムミラーのラミネートの条件、最表面層の材質と構成とともに表1に示す。
Figure 2013054869
比較例1のフィルムミラー(接合前)は、入射表面の表面粗さが0.01を下回るため、ロールトゥロールによる製膜時にブロッキングを引き起こしてしまい生産性が低下してしまうという問題が生じた。また、汚れに対する耐性が小さく、太陽光反射ミラーとして反射効率も結果として要求される性能が得られなかった。
比較例2のフィルムミラー(接合前)は、入射表面の表面粗さが0.1を上回るため、ブロッキングの発生はみられなかったものの、太陽光反射ミラーとして反射効率が不十分であった。
これに対し、実施例1〜12のフィルムミラー(接合前)においては、ブロッキングの発生がみられなかっただけでなく、太陽光反射ミラーとして反射効率が優れていた。そして実施例7及び8のように仮に平面時にうねりや気泡の巻き込みが見られたとしても本発明の構成を取ることによって反射効率を向上させることができた。
表1に示した評価結果から明らかなように、本発明に係る実施例は比較例に対して優れていることが分かる。即ち、比較例1のように製造時にブロッキングによるフィルムミラーの貼り付きを起こして生産性を悪化させることもなく、汚れ性を防止し、また、凹面状の形状を有しているため、遠くの所定の位置に対しても高い反射効率を維持することができる。なお、距離が遠くなればなるほど平板状と凹面状による反射効率の差は顕著なものとなる。本発明により高い生産性と高い反射効率を有する太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置が提供することができることが分かる。
本発明によれば、フィルムミラーを用いることにより、その軽量性、柔軟性を活かした高い生産性、輸送コストの低減が可能である。また、フィルムミラーに表面粗さを付与することにより、製造時のブロッキングの防止、指紋などに対する防汚性を達成することが可能となる。加えて、フィルムミラーを凹面状の形状にすることにより、フィルムミラーの表面の大きな凹凸や小さな凹凸による反射効率の低下や、フィルムミラーの貼り付けの際の気泡の巻き込みや、基材自体のうねりなどによる反射効率の低下を防止し、高い反射効率を維持することが可能である。即ち、本発明によれば上記多数の利点を得ることができる太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置を提供することができる。
本発明は、以上のように構成されていることから、太陽光反射用ミラー及び太陽熱発電用反射装置として利用できる。
1 樹脂フィルム状支持体
2 アンカー層
3 反射層
4 接着層
5 アクリル層
6 粘着層
7 剥離層
8 樹脂コート層
9 ハードコート層
11 集光鏡
12 支持タワー
13 熱交換施設
14 集熱部
15 太陽熱発電用反射装置
100 ゴミ
101 フィルムミラー表面
102 反射層
A,B、B’ 太陽光
BS 固定先の部材
BT ボルト
C 中心部
FM フィルムミラー
HC アルミハニカムコア
NT ナット
P 外側領域
PT1,PT2 アルミ合金板
RL 構造体
SL 太陽光反射用ミラー
ST 構造体
W ワッシャー
L 太陽光

Claims (11)

  1. 平面状の樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーと基材とを有する太陽光反射用ミラーであって、
    前記基材と前記フィルムミラーとが接合していて、
    前記太陽光反射用ミラーの光入射側の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であり、前記フィルムミラーが凹面状の形状を有していることを特徴とする太陽光反射用ミラー。
  2. 前記反射層の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光反射用ミラー。
  3. 平面状の樹脂フィルム状支持体に反射層が設けられたフィルムミラーと基材とを有する太陽光反射用ミラーであって、
    前記基材と前記フィルムミラーとが接合していて、
    前記反射層の表面粗さRaが0.01μm以上0.1μm以下であり、前記フィルムミラーが凹面状の形状を有していることを特徴とする太陽光反射用ミラー。
  4. 前記フィルムミラーの凹面形状は非球面であることを特徴とする請求項1又は3に記載の太陽光反射用ミラー。
  5. 前記フィルムミラーはアクリル層を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽光反射用ミラー。
  6. 前記フィルムミラーはいずれかの層にフィラーを含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽光反射用ミラー。
  7. 前記太陽光反射用ミラーは太陽光集光用であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽光反射用ミラー。
  8. 前記太陽光反射用ミラーは1回の反射によって太陽光を集光することを特徴とする請求項7に記載の太陽光反射用ミラー。
  9. 前記フィルムミラーは、全体の厚さが80μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の太陽光反射用ミラー。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の太陽光反射用ミラーと保持部材とを有することを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
  11. 請求項10に記載の太陽熱発電用反射装置はタワー型の太陽熱発電システムに用いられることを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
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