JP2016009034A - 光反射フィルム - Google Patents

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陽明 森田
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Abstract

【課題】温度変化の大きな環境においても、高い光反射率を発揮し得る光反射フィルムを提供する。
【解決手段】最表面より、ハードコート層、中間層、金属反射層が順次隣り合うように積層されてなり、前記中間層は、1層の厚さが当該中間層の厚さに対し10%以上である1層の厚膜層を含み、前記厚膜層の全てについて、前記ハードコート層、前記金属反射層、および前記厚膜層の、20℃から100℃へと変化させたときのそれぞれの平均膨張収縮率[%]の関係が下記(1)および(2)を満たす、光反射フィルム;(1)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]は、前記ハードコート層および前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]の間にある;(2)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]と、当該厚膜層の両方の面とそれぞれ最も近接する、前記ハードコート層、前記厚膜層、または前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]との差の絶対値が、それぞれ0.1〜0.5%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光反射フィルムに関する。より詳細には、本発明は、光反射フィルムにおいて、温度変化に対する耐久性を向上させるための技術に関する。
近年、化石燃料の代替エネルギーとして、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーを利用した発電技術の開発が行われている。なかでも、太陽光は、安定性およびエネルギー量の豊富さから特に注目されている。
一方で、太陽光は、エネルギー密度が低く、エネルギーとしての貯蔵および移送が困難であるという性質を有する。そこで、現在、太陽光を電気エネルギーへと変換する技術(太陽熱発電、太陽電池)の研究・開発が盛んに行われている。
太陽熱発電は、太陽光を集光して熱源として利用する発電方式である。太陽熱発電は、太陽電池と比較して、蓄熱により昼夜を問わず発電が可能であることや、製造・保守のコストが低いという長所を有し、長期的視野で見れば、太陽電池よりも発電効率が高いと考えられている。そこで、年間を通して日照条件の良好な砂漠地帯に太陽熱発電施設を建設する計画が進められている。
太陽熱発電では、太陽光を反射体(鏡)により反射させて一か所に集光する集光装置が用いられる。当該反射体は、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐などに晒されるため、耐久性の観点から、従来はガラス製光反射体が用いられてきた。しかしながら、ガラス製光反射体は、重い、体積が大きい、輸送時コストがかかる、設置が困難、破損しやすいなどの問題点を有していた。
上記問題を解決するために、銀などの金属反射層を含む樹脂製光反射フィルムを、支持基材に貼付した光反射体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような樹脂製光反射フィルムでは、フィルム表面に傷が付いて光反射率が低下してしまうのを防ぐため、最表層にハードコート層(耐傷層)を設けるのが一般的である。
国際公開2013/036220号パンフレット
近年、砂漠地帯における太陽熱発電において、温室内に集光装置を設置する発電システムが開発されている。通常、光反射体表面が汚染されることによる光反射率の低下を防ぐため、定期的に光反射体の表面を水などで洗浄する必要があるが、砂漠では水が貴重なために、光反射体の表面を洗浄するために莫大なコストがかかる。そこで、温室内に集光装置を設置することで、反射体の汚染を防ぎ、洗浄回数を少なくしようというのである。
しかしながら、砂漠地帯の温室内の温度は、1日に約20℃〜100℃もの幅で変動するため、上記特許文献1に記載されたような樹脂製光反射フィルムを用いた光反射体を設置した場合、過酷な温度変化サイクルを経ることによって、光反射率が低下するという問題を有していた。
そこで本発明は、温度変化の大きな環境においても、高い光反射率を発揮し得る光反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下の構成により解決される。
1.最表面より、ハードコート層と、中間層と、金属反射層とが順次隣り合うように積層されてなり、
前記中間層は、1層の厚さが当該中間層の厚さに対し10%以上である少なくとも1層の厚膜層を含み、
前記厚膜層の全てについて、前記ハードコート層、前記金属反射層、および前記厚膜層の、20℃から100℃へと変化させたときのそれぞれの平均膨張収縮率[%]の関係が下記(1)および(2)を満たす、光反射フィルム;
(1)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]は、前記ハードコート層および前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]の間にある;
(2)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]と、当該厚膜層の両方の面とそれぞれ最も近接する、前記ハードコート層、前記厚膜層、または前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]との差の絶対値が、それぞれ0.1〜0.5%である。
2.前記厚膜層の層数は、3層以下である、前記1に記載の光反射フィルム。
3.前記金属反射層は、銀を主成分として含む、前記1または2に記載の光反射フィルム。
4.前記1〜3のいずれかに記載の光反射フィルムが支持基材に貼付されてなる、光反射体。
5.前記4に記載の光反射体を有する、太陽光反射装置。
本発明によれば、温度変化の大きな環境においても、高い光反射率を発揮し得る光反射フィルムを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る光反射フィルムを表す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の形態のみに制限されない。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性などの測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
<光反射フィルム>
本発明の一形態にかかる光反射フィルムは、最表面より、ハードコート層と、中間層と、金属反射層とが順次隣り合うように積層されてなる。中間層は、1層の厚さが当該中間層の厚さに対し10%以上である少なくとも1層の厚膜層を含み、厚膜層の全てについて、ハードコート層、金属反射層、および厚膜層の、20℃から100℃へと変化させたときのそれぞれの平均膨張収縮率[%]の関係が下記(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]は、前記ハードコート層および前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]の間にある;
(2)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]と、当該厚膜層の両方の面とそれぞれ最も近接する、前記ハードコート層、前記厚膜層、または前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]との差の絶対値が、それぞれ0.1〜0.5%である。
以下、本形態の光反射フィルムの全体の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る光反射フィルムを表す概略断面図である。図1の光反射フィルム10は、光入射面側から、ハードコート層11、中間層12、金属反射層13、腐食防止層14、および樹脂基材15が順次隣り合うように積層されている。
本形態において、中間層12は、少なくとも1層の厚膜層を有する。図1の形態では、光入射面側から、厚膜層12a、12b、12cが3層積層され、中間層を構成しているこれらの厚膜層は、ハードコート層と金属反射層との間で生じる熱膨張収縮による応力を緩和する機能を有する。以下、本形態の光反射フィルムの各構成要素について、詳細に説明する。
[樹脂基材]
本形態の光反射フィルムは、樹脂基材を有していてもよい。樹脂基材は、金属反射層(例えば、銀反射層)を支持し、光反射フィルム全体の機械的強度を保持する役割を有する。また、光反射フィルムを製造する際には、他の層を形成するための基板となる層である。
樹脂基材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステルなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル、ポリ塩化ビニル(軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂などを挙げることができる。なかでも、耐熱性と寸法安定性の観点から、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリノルボルネン、セルロースエステル、アクリル樹脂が好ましく、ポリエステル、アクリル樹脂がより好ましく、ポリエステルがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。なお、本明細書において、「アクリル樹脂」とは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの(共)重合体を意味する。これらの樹脂は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
本形態の樹脂基材の製造方法は特に制限されず、例えば、溶融流延製膜法、溶液流延製膜法などの方法で製造されたフィルムを適宜使用できる。また、樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
樹脂基材の厚さは、特に制限されず、樹脂の種類および目的などに応じて適宜設定できるが、光反射フィルムの機械的強度およびフレキシブル性を両立させる観点から、好ましくは10〜250μmであり、より好ましくは20〜200μmである。
[金属反射層]
本形態の光反射フィルムは、金属反射層を必須に有する。金属反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属からなる層である。金属反射層の表面反射率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
金属反射層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)および金(Au)からなる元素群の中から選ばれる少なくとも1種の元素を含む材料により形成されることが好ましい。なかでも、反射率、耐食性などの観点からアルミニウム(Al)または銀(Ag)を主成分としていることが好ましく、銀(Ag)を主成分としていることがより好ましく、銀(Ag)からなることがより好ましい。なお、上記「主成分」とは、金属反射層の構成成分のうち、50質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
金属反射層は、上記の金属からなる層が2層以上積層された構成であってもよい。また、金属反射層上にSiO、TiOなどの金属酸化物からなる層を設けてさらに反射率を向上させてもよい。
金属反射層の厚さは、反射率などの観点から、10〜200nmが好ましく、30〜150nmがより好ましい。
金属反射層の形成方法は、特に制限されず、湿式法および乾式法のいずれの方法も用いることができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例を挙げると銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的には、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタ法などがある。なかでも、ロール・ツー・ロール方式による製膜が可能な乾式法(特に真空蒸着法)を用いることが好ましい。
[中間層]
本形態の光反射フィルムは、中間層を必須に有する。中間層は、ハードコート層と金属反射層とにそれぞれ接するように配置されてなり、少なくとも1層の厚膜層を含む。
(厚膜層)
本形態において、中間層の厚さに対し、1層の厚さが10%以上である層を厚膜層と称する。厚さが10%未満となると、応力緩和効果が著しく低減するため、本発明の厚膜層から除外する。十分な応力緩和効果を発揮させる観点から、当該厚さの割合は、15%以上であることが好ましい。なお、本形態において、中間層は、このような10%未満の厚さの層を1層以上有していても構わない。ただし、厚膜層による応力緩和効果をより一層発揮させる観点から、中間層における10%未満の厚さの層数は、4層以下が好ましく、3層以下がより好ましく、2層以下がさらに好ましく、1層以下が特に好ましく、0層であることが最も好ましい。
また、厚膜層、ハードコート層、および金属反射層のそれぞれの平均膨張収縮率の関係が下記条件(1)および(2)を満たすことを必須とする。
なお、本明細書において、平均膨張収縮率とは、各層をそれぞれ独立の状態で20℃から100℃へと変化させた際に、任意の方向にどの程度伸び縮みするかを表し、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
条件(1):厚膜層の平均膨張収縮率は、ハードコート層および金属反射層の平均膨張収縮率の間にある。すなわち、ハードコート層、厚膜層、金属反射層の平均膨張収縮率をそれぞれα(A)、α(B)、α(C)とした場合に、α(A)<α(B)<α(C)またはα(A)>α(B)>α(C)となる。好ましくは、厚膜層の平均膨張収縮率は、ハードコート層の平均膨張収縮率よりも大きく、金属反射層の平均膨張収縮率よりも小さい(すなわち、α(A)<α(B)<α(C))。
条件(2):厚膜層の平均膨張収縮率と、当該厚膜層の両方の面とそれぞれ最も近接する、ハードコート層、厚膜層、または金属反射層の平均膨張収縮率との差の絶対値が、それぞれ0.1〜0.5%であり、好ましくは0.2〜0.5%である。例えば、図1に示すように、厚膜層12a〜12cが積層されてなる中間層12がハードコート層11と金属反射層13との間に配置される場合、ハードコート層11、厚膜層12a、厚膜層12b、厚膜層12c、金属反射層113の平均膨張収縮率をそれぞれα(A)、α(Ba)、α(Bb)、α(Bc)、α(C)とすると、下記式を全て満たすことを意味する。
0.1≦|α(A)−α(Ba)|≦0.5
0.1≦|α(Ba)−α(Bb)|≦0.5
0.1≦|α(Bb)−α(Bc)|≦0.5
0.1≦|α(Bc)−α(C)|≦0.5
一般に、金属から構成される金属反射層は高温下で膨張するため、平均膨張収縮率は正の値となりうる。一方、樹脂から構成されるハードコート層は、高温下で収縮するため、平均膨張収縮率は負の値となりうる。そのため、上述の特許文献1のような構成を有する従来の光反射フィルムでは、温度変化により、互いに隣り合うハードコート層と金属反射層との間で膨張・収縮という逆方向の力が生じうる。したがって、従来の光反射フィルムを温度変化の大きな環境においた場合、経時的に界面剥離やクラックが発生し、十分な光反射率を維持することができなかった。本形態の光反射フィルムは、上記構成を有することにより、ハードコート層と金属反射層との間で生じる熱膨張収縮による応力が緩和され、ハードコート層と金属反射層との間の部分で界面剥離が起こったり、クラックが発生したりするのを防ぐことができる。その結果、本形態の光反射フィルムは、温度変化の大きな環境においても、長期間、高い光反射率を発揮することが可能となるのである。
本形態の光反射フィルムは、当業者により容易に設計および製造可能である。平均膨張収縮率は、主に、層を構成する材料および層の厚さに依存する。同じ材料からなる層であっても、層の厚さを大きくしていくと、平均熱膨張収縮率は小さくなる。したがって、各層を構成する材料を決定した後に、上記条件を満たすように各層の厚さを適宜設定することによって;あるいは、各層の厚さを設定した後に、所望の平均熱膨張収縮率となるような材料を選択することによって;本形態の光反射フィルムを設計することができる。また、ハードコート層と金属反射層との平均膨張収縮率の差が大きい場合(例えば、差が1.1%の場合)は、厚膜層1層のみでは上記条件(2)を満たすことができないが、厚膜層を複数層設けることにより対応可能である。
本形態において厚膜層の層数は特に制限されず、生産性を考慮すると厚膜層の層数はあまり多くない方が好ましい。具体的には、厚膜層の層数は7層以下が好ましく、5層以下がより好ましく、4層以下がさらに好ましく、3層以下が特に好ましくい、2または3層が最も好ましい。
また、厚膜層の厚さも特に制限されず、厚膜層を構成する材料によって適宜設定すればよい。例えば、厚膜層が、膨張収縮率が比較的小さいアクリル樹脂を含む場合は、1層あたり、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜8μmである。
本形態の厚膜層は、上記の要件を具備する限りにおいて、いかなる材料からなる層(いかなる機能を有する層)であっても構わない。好ましい態様の一つでは、厚膜層は、以下のような透光性樹脂層でありうる。
透光性樹脂層に用いる樹脂材料には特に制限はないが、形成した際に透明性を維持しうる、従来公知の種々の合成樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、およびセルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレートなどのセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂あるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂などを挙げられる。
透光性樹脂層を形成する材料として、上記例示した樹脂材料の中では、透明性と耐光性の観点から、アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、アクリル樹脂製の透光性樹脂層は、メタクリル樹脂を主成分としていることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%である。
メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。なかでもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を少なくとも2個有する化合物であってもよい。単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルなどの不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレートなどの多塩基酸のポリアルケニルエステル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、ジビニルベンゼンなどの芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、およびこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。上記のうち、好ましくは、ジイソシアネート類であり、より好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、または好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
また、本発明において、アクリル樹脂として市販品も適宜用いられる。例えば、三菱レイヨン製のアクリプレンHBS010P、ダイヤナールBR−85、旭化成ケミカルズ製のアクリルゴム(SRB215、)、旭化成ケミカルズ製のデルペット(登録商標)などを用いてもよい。
また、透光性樹脂層は、下地になる樹脂基材の劣化を防止するため、紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。かような紫外線吸収剤には特に制限はなく、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系(例えば、Tinuvin477(BASF製))、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などなどがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
有機系の紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報および特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書などに記載されている化合物を用いることができる。
これら紫外線吸収剤のなかでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。また、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、薄い透光性樹脂層4から他の構成層への移行性も小さく、積層体の表面にも析出しにくいため、含有された紫外線吸収剤量が長時間維持され、耐候性改良効果の持続性に優れるなどの点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
また、紫外線吸収剤としては上記した以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギーなどとして放出する機能を有する化合物を用いることもできる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤などとの併用により効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤なども併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。通常の紫外線吸収剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体などを含有させることもできる。
透光性樹脂層への紫外線吸収剤の含有量(固形分換算)は、特に制限されないが、透光性樹脂層に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%である。また、紫外線吸収剤の透光性樹脂層への含有量(フィルム単位面積当たりの含有量)もまた特に制限されないが、好ましくは0.17〜2.28g/m、より好ましくは0.4〜2.28g/mである。紫外線吸収剤の含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能をより十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによるロールやフィルムの汚れを起こすこと(ひいては、ヘイズの上昇)をより有効に抑制・防止できる。
また、紫外線吸収基を含むポリマーを用いて透光性樹脂層を形成してもよい。紫外線吸収基を含むポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、新中村化学製のニューコートUVA−204W、日本触媒製のUV−G13などが使用できる。
透光性樹脂層には、劣化を防止するために、酸化防止剤をさらに含有させてもよい。酸化防止剤としては、特に制限されないが、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。ここで、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤としては、それぞれ、国際公開第2012/165460号などに記載される公知の酸化防止剤が使用できる。
[ハードコート層]
本形態の光反射フィルムは、光入射側の最表層にハードコート層を有する。ハードコート層を形成する材料は、透明性、耐候性、硬度、機械的強度などが得られるものであれば、特に限定されない。例えば、電子線や紫外線の照射により硬化する樹脂や熱硬化性の樹脂などを使用でき、特にアルコキシシラン系化合物の部分加水分解オリゴマーからなる熱硬化型シリコーン系ハードコート、熱硬化型のポリシロキサン樹脂からなるハードコート、不飽和基を有するアクリル系化合物からなる紫外線硬化型アクリル系ハードコート、熱硬化型無機材料であることが好ましい。また、ハードコート層には、酸化防止剤や、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
ハードコート層に用いることができる具体的な材料としては、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコーン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタンなどの光触媒性酸化物含有シリカ膜もしくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタンもしくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング(ピアレックス・テクノロジーズ社製)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜などが使用できる。なかでも、本形態のハードコート層は、無機物から構成されることが好ましい。
熱硬化型シリコーン系ハードコートとしては、公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下のとおりである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸などの酸触媒の存在下、所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃の範囲で反応させる。この反応によりアルコキシシランが加水分解し、さらに縮合反応することにより、一分子中にシラノール基またはアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次に、これに酢酸、マレイン酸などの硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶媒に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗布法(例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法など)を用いて塗布し、80〜140℃の範囲の温度で加熱硬化することによってハードコート層が形成させる。ただし、この場合、光反射フィルムの熱変形温度以下での硬化温度の設定が前提となる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシランならびに/あるいはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系のハードコート層を製造することが可能である。
紫外線硬化型アクリル系ハードコートとしては、不飽和基を有するアクリル系化合物として、例えば、ウレタンアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート混合物などを使用することができ、これにベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を配合して用いる。そしてこれを上記と同様の通常の塗布法を用いて塗布し、紫外線硬化することによってハードコート層が形成される。
ハードコート層が乾式法で形成した無機物からなる場合、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタンなどを、真空製膜法により製膜することで形成できる。真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、ハードコート層が湿式法で形成した無機物からなる場合、ポリシラザンを塗布製膜し、加熱硬化した膜からなることが好ましい。ハードコートの前駆体が、ポリシラザンを含有する場合は、例えば、下記の一般式(1)で表されるポリシラザンおよび有機溶媒に必要に応じて触媒を加えた溶液を塗布した後、溶媒を蒸発させて除去し、それによって光反射フィルム表面に0.05〜3.0μm厚さのポリシラザン層を形成する。そして、水蒸気を含む雰囲気中で、酸素、活性酸素、場合によっては窒素の存在下で、上記のポリシラザン層を局所的加熱することによって、光反射フィルム表面にガラス様の透明なハードコートの被膜を形成する。
一般式(1)中、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子、置換されたまたは無置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。なかでも、水素原子、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニル、3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリル)プロピルからなる群から選択される基であることが好ましい。この際、nは整数であり、nは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの範囲の数平均分子量を有するように定められる。
触媒としては、好ましくは、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N−複素環式化合物が使用される。触媒濃度は、ポリシラザンを基準にして通常0.1〜10モル%であり、好ましくは0.5〜7モル%である。
なお、好ましい態様の一つでは、一般式(1)中のR、RおよびRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを含む溶液が使用される。
また、別の好ましい態様の一つでは、下記の一般式(2)で表される少なくとも一種のポリシラザンが使用される。
一般式(2)中、R、R、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、置換されたまたは無置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、nおよびpは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの範囲の数平均分子量を有するように定められる。
なかでも、R、RおよびRが水素原子であり、R、RおよびRがメチルである化合物;R、RおよびRが水素原子であり、そしてR、Rがメチルであり、Rがビニルである化合物;R、R、RおよびRが水素原子であり、RおよびRがメチルである化合物;が好ましい。
さらに、別の好ましい態様の一つでは、下記の一般式(3)で表される少なくとも一種のポリシラザンが使用される。
一般式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、置換されたまたは無置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n、pおよびqは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの範囲の数平均分子量を有するように定められる。
なかでも、R、RおよびRが水素原子であり、R、R、RおよびRがメチルであり、Rが(トリエトキシシリル)プロピルであり、そしてRがアルキルまたは水素である化合物が好ましい。
ポリシラザン溶液中のポリシラザンの濃度は、一般的には1〜80質量%であり、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
ポリシラザン溶液に使用される溶媒としては、水または反応性基(例えばヒドロキシ基またはアミン基)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶媒(非プロトン性有機溶媒)が好適である。このような有機溶媒としては、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−またはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)、または、これらの混合溶媒が挙げられる。
上記ポリシラザン溶液には、公知のバインダーを含有させてもよい。バインダーとしては、例えば、セルロースエーテル、セルロースエステル(例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート)、天然樹脂、(例えば、ゴム、ロジン樹脂)、合成樹脂(例えば、重合樹脂、縮合樹脂)などが挙げられる。上記合成樹脂としては、例えばアミノプラスト(特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂)、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、またはポリシロキサンなどが挙げられる。
また、上記ポリシラザン溶液には、溶液の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用、排気性を制御するための添加剤、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO、TiO、ZnO、ZrOまたはAlを添加してもよい。
本形態において、ハードコート層の厚さは、10nm〜10μmの範囲内にすることが好ましい。なお、ポリシラザンのハードコート層は、酸素・水蒸気バリア層としても用いることができる。
ハードコート層は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。ハードコート層の表面では、密な架橋構造を形成する場合があり、その際、フィルムが反り曲がることや、屈曲性がなくクラックが入りやすいようなことがあり、取り扱いが困難になる。このような場合、組成中の無機物の量を調整するなどで、柔軟性があり、平面性が得られるようにハードコート層を設計することが好ましい。
また、ハードコート層は、紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有してもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の透光性樹脂層で用いられる紫外線吸収剤や酸化防止剤を用いることができる。ハードコート層に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層に含有させることでも、転落角を低下させうる。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。ここで、光反射層の酸化防止剤および併用する場合には光安定剤は、特に制限されないが、上記透光性樹脂層の項で記載されたものと同様のものが使用できるため、ここでは説明を省略する。
[腐食防止層]
本形態の光反射フィルムは、金属反射層の腐食を防止する目的で、金属反射層に隣接するように腐食防止層を有していてもよい。腐食防止層は、腐食防止剤およびバインダーを含みうる。
腐食防止層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。腐食防止層の厚さは、好ましくは30〜200nm、より好ましくは20nm〜100nmである。
腐食防止層のバインダーとしては、例えば、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、またはアクリル樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂が好ましい。さらに、腐食防止層は、2.4−トリレンジイソシアネートなどの硬化剤を含んでもよい。
腐食防止剤としては、金属反射層を構成する金属に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属がそれをとり囲む環境物質によって、化学的もしくは電気化学的に浸食されるかまたは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103:2004参照)。なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、例えば、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾールなどトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系化合物の少なくとも1種またはこれらの2種以上の混合物から選ばれることが好ましい。ベンゾトリアゾールなどの化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。さらに具体的には、特開2012−232538号公報の段落「0063」〜「0072」に記載の腐食防止剤を使用することができる。
[ガスバリア層]
本形態の光反射フィルムは、金属反射層よりも光入射側にガスバリア層を有していてもよい。ガスバリア層は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材および樹脂基材に支持される各構成層などの劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、上記劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリア層を設けることができる。好ましい態様の一つでは、上述のハードコート層がガスバリア層として機能してもよい。
ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1g/m・day以下であることが好ましく、0.5g/m・day以下であることがより好ましく、0.2g/m・day以下であることがさらに好ましい。また、ガスバリア層の酸素透過度としては、測定温度23℃、90%RHの条件下で、0.6ml/m/day/atm以下であることが好ましい。
ガスバリア層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング、イオンビームアシスト、化学気相成長法などの方法により無機酸化物を形成する方法が挙げられるが、ゾル−ゲル法による無機酸化物の前駆体を塗布した後に、その塗布膜に加熱処理および/または紫外線照射処理を施して、無機酸化物膜を形成する方法も好ましく用いられる。
無機酸化物は、有機金属化合物を原料とするゾルから局所的加熱により形成されたものである。例えば、有機金属化合物に含有されているケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)などの元素の酸化物であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどである。これらのうち、好ましくは酸化ケイ素である。
無機酸化物を形成する方法としては、いわゆるゾル−ゲル法またはポリシラザン法を用いることが好ましい。ゾル−ゲル法は無機酸化物の前駆体である有機金属化合物から無機酸化物を形成する方法であり、ポリシラザン法は無機酸化物の前駆体であるポリシラザンから無機酸化物を形成する方法である。ゾル−ゲル法に用いられる化合物や詳細については、特開2012−232538号公報の段落「0174」〜「0191」に記載の化合物や方法を適宜採用することができる。
[アンカー層]
アンカー層は樹脂からなり、各種の樹脂を含む層と金属反射層との間(例えば、樹脂基材と金属反射層との間)を密着させるために設けられる層である。したがって、アンカー層は、樹脂基材(支持基材)と金属反射層とを密着させる密着性、金属反射層を真空蒸着法などで形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、および金属反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性を有することが好ましい。
アンカー層に使用する樹脂は、上記の密着性、耐熱性、および平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などの単独またはこれらの混合樹脂などが使用できる。耐候性の点からポリエステル樹脂とメラミン樹脂との混合樹脂またはポリエステル樹脂とウレタン樹脂との混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネートなどの硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
また、アンカー層に、上述の「腐食防止層」の項に記載の腐食防止剤を含有させ腐食防止層としての機能も兼ね備えた層とすることができる。
アンカー層の厚さは、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.1〜2μmである。この範囲を満たすことにより、密着性を保ちつつ、樹脂基材表面の凹凸を覆い隠すことができ、平滑性を良好にでき、アンカー層の硬化も十分に行えるため、結果として光反射フィルムの反射率を高めることが可能となる。
アンカー層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法など、従来公知のコーティング方法が使用できる。
[剥離層]
本形態の光反射フィルムは、光入射側とは反対側の最表層に剥離層を有していてもよい。例えば、光反射フィルムの出荷時には剥離層が粘着層に張り付いた状態で出荷し、剥離層から粘着層を有する光反射フィルムを剥離し、支持基材に貼り合わせて太陽光反射装置などの光反射体として用いられる。
剥離層としては、金属反射層の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルムもしくはシート、ポリカーボネートフィルムもしくはシート、ポリアリレートフィルムもしくはシート、ポリエチレンナフタレートフィルムもしくはシート、ポリエチレンテレフタレートフィルムもしくはシート、フッ素樹脂フィルムなどのプラスチックフィルムもしくはシート、または酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルムもしくはシート、これらを練り込んだ樹脂をコーティングしたりアルミニウムなどの金属を金属蒸着などの表面加工を施したりした樹脂フィルムもしくはシートが用いられる。
剥離層の厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
さらに、本形態の光反射フィルムは、使用される環境や用途に応じて、剥離層、易接着層(接着層)、導電性層、帯電防止層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層などの機能性層を1つ以上有していてもよい。
<光反射体>
本発明の他の一形態によると、上述の光反射フィルムが支持基材に貼付されてなる光反射体が提供される。光反射体は、光反射フィルムが粘着層を介してフィルムミラーが自己支持性の基材(支持基材)に接合されてなる構造を有する。ここで、「自己支持性の基材」という場合の、「自己支持性」とは、光反射体の基材として用いられる大きさに断裁された場合において、その対向する端縁部分を支持することで、基材を担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。光反射体の基材が自己支持性を有することで、後述の太陽光反射装置に設置する際に取り扱い性に優れるとともに、光反射体を保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、太陽光反射装置を軽量化することが可能となり、例えば、太陽熱発電の太陽光反射装置として用いた際、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
当該基材は、単層であってもよく、複数の層を積層させた形状であってもよい。また、単一構造であってもよく、複数に分割されていてもよい。基材の形状としては、凹面状の形状を有するまたは凹面状の形状になり得ることが好ましい。そのために、平板状から凹面状の形状に可変である基材を用いてもよいし、凹面状の形状に固定されている基材を用いてもよい。凹面状の形状に可変である基材は、基材の曲率を調整することで、接合されているフィルムミラーの曲率も任意に調整することが可能となるため、反射効率を調整し高い正反射率を得ることができるため好ましい。凹面状の形状が固定されている基材は曲率を調整する必要がなくなるため、調整費用の観点から好ましい。
基材の素材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板などの金属板、ベニヤ板(好ましくは防水処理がされたもの)などの木板、繊維強化プラスチック(FRP)板、樹脂板、などが挙げられる。前記材料のなかでも金属板を用いることが、熱伝導率が高いという観点から好ましい。さらに好ましくは、高い熱伝導率だけでなく耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることである。最も好ましくは、樹脂と金属板を組み合わせた鋼板を用いることである。
表面層としての樹脂フィルムの材料としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、およびセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルムまたはアクリルフィルムを用いることが好ましい。この樹脂フィルムの厚さは、樹脂の種類および目的などに応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmであり、好ましくは20〜200μmである。
<太陽光反射装置>
本発明の他の一形態によれば、光反射体を有する、太陽光反射装置が提供される。本形態の太陽光反射装置は、太陽熱発電において太陽光を集光に好適に用いられる。本形態の太陽光反射装置は、光反射体および光反射体を保持する保持部材を有する。
好ましい形態としては、当該太陽光反射装置を太陽熱発電用として場合、内部に流体を有する筒状部材を集熱部としてフィルムミラーの近傍に設け、筒状部材に太陽光を反射させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する、一般的にトラフ型と呼ばれる形態が挙げられる。また、その他の形態として、タワー型と呼ばれる形態も挙げられる。タワー型の形態は、少なくとも一つの集熱部と、太陽光を反射して集熱部に照射するための少なくとも一つの太陽熱発電用太陽光反射装置を有しており、集熱部に集められた熱を用いて液体を加熱しタービンを回して発電するものがある。なお、集熱部の周囲に、太陽熱発電用太陽光反射装置が複数配置されていることが好ましい。また、それぞれの太陽熱発電用太陽光反射装置が同心円状や、同心の扇状に複数配置されていることが好ましい。また、支持タワーの周囲に設置された太陽光反射用ミラーにより、太陽光が集光鏡へと反射され、その後、集光鏡によりさらに反射し、集熱部へと送られ熱交換施設へ送られる。本形態の太陽光反射装置はトラフ型、タワー型のどちらにも用いることができる。もちろん、それ以外の種々の太陽熱発電に用いることができる。
太陽光反射装置は、光反射体を保持する保持部材を有する。保持部材は、光反射体が太陽を追尾可能な状態で保持する事が好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、例えば、光反射体が所望の形状を保持できるように、複数個所を棒状の保持部材により、保持する形態が好ましい。保持部材は太陽を追尾可能な状態で光反射体を保持する構成を有することが好ましいが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<光反射フィルムの製造>
[実施例1]
樹脂基材として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。
ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とトリレンジイソシアネート(TDI)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合し、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、さらに腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテート(和光純薬製)10質量%となるように添加して混合液を調製した。この液を樹脂基材上にグラビアコート法によりコーティングして、厚さ60nmの腐食防止層(アンカー層)を形成した。
次に、腐食防止層上に、真空蒸着によって銀からなる金属反射層を厚さ80nmになるように製膜した。
次に、金属反射層上に、アクリル系の紫外線吸収ポリマー「ニューコートUVA−204W」(新中村化学製)を乾燥膜厚5μmになるようにグラビアコート法によりコーティングして、厚膜層1を形成した。
次に、シロキサン系ハードコート「サーコートBP−16N」(動研社製、45質量%のメタノール溶液)をメチルエチルケトン(MEK)で希釈した30質量%濃度のハードコート層用塗工液を調製した。塗工液中のMEKは32質量%であった。当該塗工液を厚膜層上に塗布し、80℃で90秒間乾燥した後に、45℃で48時間加熱処理を行い、乾燥膜厚3μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを完成させた。
[実施例2]
実施例1と同じ方法で厚膜層1まで形成した後に、以下の手順で厚膜層2を形成した。すなわち、アクリル樹脂溶液(BR−85、三菱レイヨン製)をMEKに溶解し、さらに紫外線吸収剤(Tinuvin477、BASF製)をアクリル樹脂固形分に対して3質量%添加して混合液を調製した。この液を厚膜層1上に乾燥膜厚1.5μmになるように塗布して厚膜層2を形成した。
その後、実施例1と同様の方法で、厚膜層2上に乾燥膜厚1μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[実施例3]
実施例2と同じ方法で厚膜層2まで形成した後に、以下の手順で厚膜層3を形成した。すなわち、厚膜層2上に、アクリル系の紫外線吸収ポリマー「ニューコートUVA−204W」(新中村化学製)を乾燥膜厚1μmになるようにグラビアコート法によりコーティングして、厚膜層1を形成した。
その後、ウレタンアクリレート(UV−7550BV、日本合成化学製)を用い紫外線硬化により厚さ5μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[比較例1]
実施例1と同じ方法で金属反射層まで形成した後、実施例1と同様の方法で乾燥膜厚1μmの厚膜層1を形成した。
その後、実施例3と同じ方法で乾燥膜厚5μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[比較例2]
実施例1と同じ方法で金属反射層まで形成した後、実施例1と同様の方法で乾燥膜厚3μmの厚膜層1を形成した。
その後、実施例3と同じ方法で乾燥膜厚5μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[比較例3]
実施例1と同じ方法で金属反射層まで形成した後、以下の手順で厚膜層1を形成した。すなわち、PETフィルム(100μm、ルミラー、東レ製)にコロナ処理(800W・min/m)を施した後、コロナ処理面を金属反射層に合わせてラミネーター(PET側120℃加熱)で貼合し、乾燥膜厚100μmの厚膜層1を形成した。
その後、実施例1と同じ方法で乾燥膜厚3μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[比較例4]
実施例1と同じ方法で金属反射層まで形成した後、実施例1と同様の方法で乾燥膜厚3μmの厚膜層1を形成した。
その後、実施例1と同じ方法で乾燥膜厚3μmのハードコート層を形成し、光反射フィルムを作製した。
[比較例5]
厚膜層2を乾燥膜厚2μmとなるように塗布したこと以外は実施例2と同様の方法で光反射フィルムを作製した。
[比較例6]
厚膜層2を乾燥膜厚1μmとなるように塗布したこと以外は実施例2と同様の方法で光反射フィルムを作製した。
[比較例6]
厚膜層2を乾燥膜厚1.5μmとなるように塗布したことおよび厚膜層3の乾燥膜厚を1μmとなるように塗布したこと以外は実施例3と同様の方法で光反射フィルムを作製した。
<平均膨張収縮率の測定>
ハードコート層、厚膜層、金属反射層の平均膨張収縮率は、それぞれ以下の方法により測定した。
ハードコート層、厚膜層については、以下の方法で行った。まず、離型PETフィルム上に上述の方法で各層を形成し、離型PETフィルムをはがして単層膜を作製した。そして、単層膜の10cm×10cm角の四隅にマーキングし、20℃の温度下における単層膜の隅同士(正方形の4辺)の距離を顕微鏡(対物レンズ10倍、接眼レンズ1倍)で計測し、その平均値を「20℃における平均値」とした。次に、この単層膜を100℃のオーブン中で10時間放置した後、100℃に加熱できるステージを備えた顕微鏡を用いて、上記と同様に100℃の温度下における単層膜の隅同士の距離を顕微鏡で計測し、その平均値を「100℃における平均値」とした。そして、下記式に基づき、平均膨張収縮率を算出した。
金属反射層については、以下の方法で行った。まず、シリコーン膜(2異方性導電膜圧着用クッションシートSE60NHS、200μm、クレハエラストマー製)上に蒸着にて金属反射層を形成して膜を作製した。そして、上記と同様に、シリコーン膜上に形成された金属反射層の10cm×10cm角の四隅にマーキングし、上記と同様に20℃の温度下における金属反射層の隅同士(正方形の4辺)の距離を顕微鏡(対物レンズ10倍、接眼レンズ1倍)で計測し、その平均値を「20℃における平均値」とした。次に、このシリコーン膜上に形成された金属反射層を100℃のオーブン中で10時間放置した後、100℃に加熱できるステージを備えた顕微鏡を用いて、上記と同様に100℃の温度下における金属反射層の隅同士の距離を顕微鏡で計測し、その平均値を「100℃における平均値」とした。そして、下記式に基づき、平均膨張収縮率を算出した。
<評価>
実施例および比較例で作製した光反射フィルムを10×10cmのサイズに切断し、試料とした。各試料を、100℃で10時間放置した後、20℃で10時間放置した。このサイクルを100サイクル繰り返することにより、耐久試験を行った。
耐久試験後の各試料を観察し、クラックの有無およびハードコート層と金属反射層との間における各層の界面剥離の有無を顕微鏡(対物レンズ10倍、接眼レンズ1倍)を用いて確認した。
また、耐久試験後の光反射フィルムの反射率を以下の方法で行った。島津製作所社製の分光光度計UV265に積分球反射付属装置を取り付け、反射面の法線に対して入射光の入射角を5°となるように調整して、耐久試験後の各試料の反射角5°での正反射率を測定した。そして、250nmから2500nmの太陽光スペクトル(AM1.5Gフィルタ)での各波長での光強度を、分光光度計の光源の各波長での光強度で割った値を、得られた正反射率データに掛け各反射率の加重平均値を算出し、下記に従って評価を行った。
○:90%以上
△:85%以上、90%未満
×:85%未満。
各光反射フィルムの構成を表1に、評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の光反射フィルムは、温度変化の大きな環境においても、高い光反射率を発揮することが示された。
10 光反射フィルム、
11 ハードコート層、
12 中間層、
12a、12b、13c 厚膜層、
13 金属反射層、
14 腐食防止層、
15 樹脂基材。

Claims (5)

  1. 最表面より、ハードコート層と、中間層と、金属反射層とが順次隣り合うように積層されてなり、
    前記中間層は、1層の厚さが当該中間層の厚さに対し10%以上である少なくとも1層の厚膜層を含み、
    前記厚膜層の全てについて、前記ハードコート層、前記金属反射層、および前記厚膜層の、20℃から100℃へと変化させたときのそれぞれの平均膨張収縮率[%]の関係が下記(1)および(2)を満たす、光反射フィルム;
    (1)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]は、前記ハードコート層および前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]の間にある;
    (2)前記厚膜層の平均膨張収縮率[%]と、当該厚膜層の両方の面とそれぞれ最も近接する、前記ハードコート層、前記厚膜層、または前記金属反射層の平均膨張収縮率[%]との差の絶対値が、それぞれ0.1〜0.5%である。
  2. 前記厚膜層の層数は、3層以下である、請求項1に記載の光反射フィルム。
  3. 前記金属反射層は、銀を主成分として含む、請求項1または2に記載の光反射フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光反射フィルムが支持基材に貼付されてなる、光反射体。
  5. 請求項4に記載の光反射体を有する、太陽光反射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017164226A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 コニカミノルタ株式会社 光反射フィルム及び液晶表示装置用バックライトユニット

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