JPWO2014061497A6 - フィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents

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Abstract

切断後の切断端面においても高い腐食耐性を有するフィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置を提供するために、樹脂フィルム状支持体に金属の反射層が設けられたフィルムミラーであって、前記反射層の光の入射側とその裏側のいずれかに粘着剤層を有し、且つ、該粘着剤層が前記反射層の金属と同種の金属の腐食防止剤を含有することを特徴とするフィルムミラーとした。

Description

本発明は、フィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置に関する。
近年の地球温暖化は一層深刻な事態に発展し、将来の人類の生存すら脅かされる可能性がでてきている。その主原因は、20世紀に入りエネルギー源として多量に使用されてきた化石燃料から放出された大気中の二酸化炭素(CO2)であると考えられている。したがって近い将来、化石燃料をこのまま使い続けることは許されなくなると考えられる。また、他方で、中国、インド、ブラジル等のいわゆる発展途上国の急激な経済成長に伴うエネルギー需用の増大により、かつては無尽蔵と考えられていた石油、天然ガスの枯渇が現実味を帯びてきている。
化石燃料の代替エネルギーとして、安定しており且つ量の多い自然エネルギーの一つとして、太陽エネルギーが考えられる。特に世界のサンベルト地帯と呼ばれている赤道近くには、広大な砂漠が広がっており、ここに降りそそぐ太陽エネルギーは正に無尽蔵と言える。これに関して、米国南西部に拡がる砂漠のわずか数%を使えば、実に7,000GWものエネルギーを得ることが可能であると考えられている。また、アラビア半島、北アフリカの砂漠のわずか数%を使えば、全人類の使うエネルギーを全て賄うことができるとも考えられている。
このように、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを社会活動の中で活用するためには、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。
これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な集光装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
当該集光装置は太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐などに晒されるため、従来から、当該集光装置にはガラス製ミラーが用いられてきた。ガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損したり、重量が重いために、ミラーを設置する架台の強度を持たせるために、プラントの建設費がかさむといった問題があった。
上記問題を解決するために、ガラス製ミラーを樹脂製ミラーに置き換えることが考えられてきた(例えば特許文献1及び特許文献2)が、樹脂製ミラーは反射層に銀などの金属を用いると、樹脂層を介して酸素や水蒸気、硫化水素などが透過し、銀を腐食してしまうといった問題や、紫外線により樹脂層が劣化し、変色や膜剥がれが生じるなどの問題も生じ、樹脂製ミラーの適用は困難であった。
上記のような問題に対して、紫外線を遮断し、耐光性の優れるアクリルフィルムを表面に用いた樹脂製ミラーが提案されている(例えば特許文献3、特許文献4)。しかしながら、特許文献3、特許文献4で提案されている層構成は、粘着剤層が様々なものを透過しやすいため、粘着剤層と銀反射層の界面から汚染物質が侵入し銀の腐食が進行しやすい等の問題があった。特にミラーを切断した端面の腐食が顕著であり、切断端面の腐食防止が望まれていた。
米国特許第4,307,150号明細書 米国特許第4,645,714号明細書 特表2009−520174号公報 米国特許出願公開第2012/0107609号明細書
本発明は係る点を鑑み、切断後の端面(切断端面;切り口)においても高い腐食耐性を有するフィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.樹脂フィルム状支持体に金属の反射層が設けられたフィルムミラーであって、前記反射層の光の入射側とその裏側のいずれかに粘着剤層を有し、且つ、該粘着剤層が前記反射層の金属と同種の金属の腐食防止剤を含有することを特徴とするフィルムミラー。
2.金属の反射層が、銀の反射層であることを特徴とする前記1に記載のフィルムミラー。
3.前記反射層の光の入射側とその裏側の両方に粘着剤層を有し、且つ、前記の粘着剤層の両方もしくは片方に、銀の腐食防止剤を含有することを特徴とする前記1または2に記載のフィルムミラー。
4.前記反射層の光の入射側とその裏側の両方に粘着剤層を有し、且つ、前記粘着剤層の両方に、銀の腐食防止剤を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
5.前記金属の腐食防止剤が、銀の腐食防止剤であって、メルカプト化合物、ベンゾトリアゾール化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
6.前記1〜5のいずれか1つに記載のフィルムミラーを、さらに切断処理により、切断箇所の粘着剤層の金属腐食防止剤を含む粘着剤を延展させて切断端面の金属反射層を被覆してなることを特徴とするフィルムミラー。
7.前記1〜6のいずれか1つに記載のフィルムミラーを、支持基材に貼り付けて形成したことを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
本発明の太陽熱発電用のフィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明に係る太陽熱発電用のフィルムミラーについて詳細について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
<1.フィルムミラー>
本発明の一実施形態である太陽熱発電用のフィルムミラー20は、光入射側から順に、アクリル層5、粘着剤層または接着剤層4、樹脂コート層8、金属(銀)反射層3、樹脂フィルム状支持体1及び粘着剤層6を有する。尚、これらの層の間に他の層を介していてもよいし、それぞれの層が隣接していてもよい。また、アクリル層5や粘着剤層6の上に更に別の層を有していてもよい。
上述の層の間に他の層を介在したり、アクリル層5や粘着剤層6の上に更に別の層を有する場合、好ましい例として以下のような例が挙げられる。
金属(銀)反射層3よりも光入射側のどこかにガスバリア層(図示せず)を有していてもよい。また、アクリル層5の光入射側に透明ハードコート層(図示せず)を設けてもよい。また、金属(銀)反射層3と樹脂フィルム状支持体1の間にアンカー層2を設けてもよい。また、粘着剤層6を覆う剥離層7を設けてもよい。
なお、本発明に係るフィルムミラー全体の厚さは、撓み防止、正反射率、取り扱い性等の観点から80〜300μmが好ましく、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは80〜170μmである。
本発明のフィルムミラーによれば、接着剤が接着後に硬化するのに対し、粘着剤は接着後も粘度を保つため、フィルムミラーをカッターやハサミ(量産時には裁断装置や切断装置)で切断すると、切り口に粘着剤の一部が移動し、切り口の金属反射層を覆い、金属反射層の暴露が防止できる。粘着剤層に金属反射層の腐食を防止する腐食防止剤を含有することで、特に顕著に効果を発揮することができる。
以下、各層の構成の詳細を記載する。
<2.アクリル層>
アクリル層5を設ける目的は、紫外線を吸収、遮断することで、下層の樹脂層(樹脂コート層8、接着剤層4、樹脂フィルム支持体1など)の劣化や変色、膜剥がれを防止し、優れた耐光性、耐候性を付与することにある。そのため、アクリル層5は、紫外線吸収剤を含有する。また、アクリル層5は酸化防止剤を含有してもよい。アクリル層5は固いため、柔らかく破損しにくいアクリル層5を得るため、可塑剤の微粒子を含有させてもよい。可塑剤の微粒子の好ましい例としては、例えば、ブチルゴムやブチルアクリレートの微粒子などが挙げられる。尚、アクリル層5の厚さは、20〜150μmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100μmである。アクリル層5の厚さが20μm以上であれば、紫外線吸収剤を適量含有しているため、下層の樹脂層への紫外線遮断機能を十分に発現することができる。アクリル層5の厚さが150μm以下であれば、フレキシブル性を十分に維持することができるため、クラックや割れを効果的に防止することができる。
アクリル層5は、メタクリル樹脂を基材樹脂として構成されていることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9質量%、アクリル酸エステルが0.1〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
<2−1.紫外線吸収剤>
アクリル層5に含有される紫外線吸収剤について以下に詳細を説明する。
紫外線吸収剤の添加目的は、アクリル層5に紫外線を吸収、遮断する機能を付与することにある。紫外線吸収剤に、特に制限は無いが、有機系として、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等が挙げられ、また無機系として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。尚、紫外線吸収剤を多量に含有させた際にブリードアウトしてしまうという問題を低減するためには、重量平均分子量1000以上の高分子の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。好ましくは、重量平均分子量1000以上、3000以下である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の例としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール〕(チヌビン1577FF、商品名、チバ・スペシャルティーケミカルズ製)、〔2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール〕(CYASORB UV−1164、商品名、サイテックインダストリーズ製)等が挙げられる。
また、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学株式会社のSumisorb400)などが挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては上記以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物を用いることもできる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用により効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。通常の紫外線吸収剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体などを含有させることもできる。
紫外線吸収剤のアクリル層への含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。また、紫外線吸収剤のアクリル層への含有量は、フィルム単位面積当たりの含有量が0.17〜2.28g/m2で、より好ましくは単位面積当たりの含有量が0.4〜2.28g/m2である。含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能を十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによるロールやフィルムの汚れを起こすことを防止できる。
<2−2.酸化防止剤>
アクリル層5の溶融製膜時の劣化を防止したり、ラジカルを捕捉してアクリル層5の劣化を防止するために、アクリル層5に酸化防止剤を含有させてもよい。好ましい酸化防止剤の例を以下に挙げる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特に、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、上記した酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。光安定剤としては、例えば、ニッケル系紫外線安定剤が使用可能であり、ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
酸化防止剤のアクリル層5への含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。酸化防止剤のアクリル層5への含有量が上記範囲内であれば、アクリル層5に求められる機能(上記目的)を損なうことなく、優れた酸化防止機能を発現することができる。
上記した酸化防止剤と上記の光安定剤を併用する場合、当該光安定剤のアクリル層5への含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。上記光安定剤のアクリル層5への含有量が上記範囲内であれば、アクリル層5に求められる機能(上記目的)を損なうことなく、優れた光安定化機能を有効に発現することができる。
<3.接着剤層>
接着剤層4は、層同士の接着性を高める機能があるものであれば特に限定はない。接着であっても粘着であってもよい。好ましくは、アクリル層5と樹脂コート層8とを接着させる層である。接着剤層4は、層同士を密着する密着性、金属(銀)反射層3を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属(特に銀)反射層3が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性を有する事が好ましい。
金属反射層3の光の入射側に、反射層3の金属と同種の金属腐食防止剤を含有する粘着剤層を有する場合には、アクリル層5と金属(銀)反射層3との間に粘着剤層を設けるのが望ましい。詳しくは、実施例にあるように当該接着剤層4を粘着剤層として用いてもよいし、樹脂コート層8と金属(銀)反射層3との間に新たな粘着剤層を設けてもよい。当該接着剤層4を、反射層3の金属と同種の金属腐食防止剤を含有する粘着剤層として用いる場合には、当該接着剤層4にも反射層3の金属と同種の金属(銀)の腐食防止剤を含む。かかる金属(銀)の腐食防止剤については、後述する樹脂コート層8の説明部分で詳しく説明する。ここで、当該接着剤層4を、反射層3の金属と同種の金属腐食防止剤を含有する粘着剤層として用いる場合、当該接着剤層4の位置に設けられた粘着剤層の金属(銀)腐食防止剤は、切断(裁断)時の金属(銀)反射層3の切り口を覆って、切り口からの腐食を防止すると共に、樹脂層(アクリル層5)を介して酸素や水蒸気、硫化水素などが透過し、反射層3の金属(銀)を腐食してしまうといった従来技術の問題を解消することに貢献し得る。一方、金属(銀)反射層3に近い(隣接する)樹脂コート層8の金属(銀)腐食防止剤は、主に樹脂層(アクリル層5)を介して酸素や水蒸気、硫化水素などが透過し、反射層3の金属(銀)を腐食してしまうといった従来技術の問題を解消することに貢献し得る。また、切断(裁断)時に切断用の刃物を入れる側(例えば、光の入射側から刃物を入れる場合には、光の入射側)に金属腐食防止剤を含有する粘着剤層が設けられているのが望ましいといえる。切断の際に、フィルムミラーを固定するための押圧力により金属腐食防止剤を含有する粘着剤がはみ出し、切断の断面に金属腐食防止剤を含有する粘着剤が金属反射層の端面を覆いやすいためである。但し、切断(裁断)時に切断用の刃物を入れる側とは反対側に金属腐食防止剤を含有する粘着剤層が設けられていても本発明の作用効果を発現することができる(表1の実施例4〜7(光の入射側)と実施例8〜12(光の入射側と反対側)とを対比参照のこと)。さらに好ましくは、金属の反射層3の光の入射側(例えば、当該接着剤層4を粘着剤層として使用)とその裏側(後述する粘着剤層6)の両方に粘着剤層を有し、且つ、前記粘着剤層の両方に、金属(特に銀)腐食防止剤を含有する構成とするのが、上記効果がより顕著に得られる点で優れている(表1の実施例13〜16参照のこと)。
接着剤層4は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。接着剤層4の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、1〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜8μmである。
接着剤層4が樹脂である場合、樹脂として、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂又はポリエステル系樹脂とウレタン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにアクリル系樹脂にイソシアネートを混合させるような、イソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。接着剤層4の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、接着剤層4が金属酸化物ないし金属窒化物である場合にも、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等、各種真空製膜法により製膜することができる。例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。接着剤層4は、上記金属酸化物ないし金属窒化物の単層(膜)でもよいし、2層以上の積層(膜)であってもよい。
<4.樹脂コート層>
樹脂コート層8は、空気中の水分や化学物質等の金属反射層3(ミラー面)への侵入を防止(ひいては反射層3の金属材料(例えば、銀)の腐食を防止)し、更には外部からの機械的な圧力、例えば衝撃や引っ掻き等から保護する目的で設けられている。上記目的から、樹脂コート層8は、アクリル層5と金属(好ましくは銀)反射層3の間に設けられている。樹脂コート層8が金属(銀)反射層3に隣接している場合、樹脂コート層8が金属(銀)の腐食を防止するよう、樹脂コート層8が反射層3の金属と同種の金属(銀)の腐食防止剤を含有していることが好ましい。但し、上記目的を達成し得る範囲内であれば、金属(銀)反射層3から離して(隣接することなく)設けられていてもよく、そうした場合にも金属(銀)の腐食防止剤を含有していることが好ましい。
樹脂コート層8は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。樹脂コート層8の厚さは、1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。樹脂コート層8の厚さが1μm以上であれば、空気中の水分や化学物質等の金属反射層3(ミラー面)への侵入、更には外部からの機械的な圧力、例えば衝撃や引っ掻き等から保護することができる。樹脂コート層8の厚さが10μm以下であれば、フレキシブル性を十分に維持することができるため、クラックや割れを効果的に防止することができる。
樹脂コート層8は、屋外環境下で長期にわたって設置しても金属反射層3との高い膜密着性を保つことができ、上記目的を達成できるように、主にバインダー(樹脂)から構成されており、更に反射層3の金属と同種の金属(銀)の腐食防止剤を含む。このうち、樹脂コート層のバインダー(樹脂)としては、例えば、以下の樹脂を好ましく用いることができる。セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン(登録商標)、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
<4−2.腐食防止剤>
樹脂コート層8の金属(銀)腐食防止剤としては、反射層3の金属材料の腐食を防止する観点から、反射層3の金属と同種の金属(Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素)の腐食防止剤、特に銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.001〜0.1g/m2の範囲内であることが好ましい。
反射層の金属と同種の金属(Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素)の腐食防止剤としては、シリコーン変性樹脂、シランカップリング剤、チオール基を複数含有する化合物及び以下に挙げる銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤から選ばれることが望ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。ベンゾトリアゾール等の化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。シリコーン変性樹脂としては特に限定されない。
アミン類およびその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する化合物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
<5.金属反射層>
本発明に係るフィルムミラー20に形成される金属の反射層3は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。
反射層3の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。この反射層3は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。中でも、反射率、耐食性の観点からAlまたはAgを主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしてもよい。本発明においては、特に銀を主成分とする銀反射層3であることが好ましい。
また、反射層3上にSiO2、TiO2等の金属酸化物からなる層を設けてさらに反射率を向上させてもよい。
本発明における反射層3(例えば銀反射層)の形成法としては、例えば、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。
湿式法とは、めっき法または金属錯体溶液塗布法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例を挙げると銀鏡反応や、銀錯体インクの焼成(詳しくは銀錯体化合物を含有する銀コーティング液組成物を塗布して形成した塗布膜の焼成)による銀層形成等がある。
一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的には、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のフィルムミラー20の製造方法においては、反射層3を銀の蒸着により形成することが好ましい。
反射層3の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
このうち、特に好適な銀反射層3は、太陽光を良好に反射する機能を有する銀を主成分とする層(好ましくは銀からなる層)である。銀反射層3の表面反射率についても80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。尚、銀反射層3の厚さも、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。なお、金属(銀)反射層3の表面反射率は、市販の分光光度計を用いて測定することができる。
<5−2.気化・脱離しうる配位子を有する金属(銀)錯体化合物>
金属(銀)反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる金属(銀)錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより金属(銀)反射層3を形成するようにしてもよい。
「気化・脱離しうる配位子を有する金属(銀)錯体化合物」とは、溶液中では金属(銀)が安定に溶解するための配位子を有するが、溶媒を除去し、加熱焼成することによって、配位子が熱分解し、CO2や低分子量のアミン化合物となり、気化・脱離し、金属単体(金属銀)のみが残存することのできる金属(銀)錯体化合物のことをいう。
このような金属(銀)錯体化合物およびその製造方法については、例えば、公知である特開2012−137579号公報の段落「0064」〜「0089」に記載の銀錯体化合物およびその製造方法を適宜用いることができる。
<5−3.金属(銀)反射層の隣接層に用いられうる含窒素環状化合物>
金属(銀)反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる金属(銀)錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより金属(銀)反射層3を形成する場合、金属(銀)反射層3の隣接層(樹脂コート層8、アンカー層2など)に含窒素環状化合物を含有することが好ましい。含窒素環状化合物の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%である。含窒素環状化合物の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が0.001質量%以上であれば、金属(銀)の防錆および腐食防止機能を有効に発現することができる。含窒素環状化合物の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が5質量%以下であれば、着色することなく、隣接層の脆化防止機能を有効に発現することができる。当該含窒素環状化合物としては、大別して、金属(銀)に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
金属(銀)に対する吸着性基を有する腐食防止剤において、含窒素環状化合物を用いることで、所望の腐食防止効果を得ることができる。かかる金属(銀)に対する吸着性基を有する腐食防止剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%である。金属(銀)に対する吸着性基を有する腐食防止剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が0.001質量%以上であれば、金属(銀)の腐食防止機能を有効に発現することができる。金属(銀)に対する吸着性基を有する腐食防止剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が5質量%以下であれば、着色することなく、隣接層の脆化防止機能を有効に発現することができる。例えば、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物の少なくとも一種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
ピロール環を有する化合物としては、上記した<4−2.腐食防止剤>の樹脂コート層8の金属(銀)腐食防止剤のうち、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤として列挙した化合物のうち「ピロール環を有する化合物」に具体的に例示した化合物を用いることができる。
トリアゾール環を有する化合物としては、上記した<4−2.腐食防止剤>の樹脂コート層8の金属(銀)腐食防止剤のうち、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤として列挙した化合物のうち「トリアゾール環を有する化合物」に具体的に例示した化合物を用いることができる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、上記した<4−2.腐食防止剤>の樹脂コート層8の金属(銀)腐食防止剤のうち、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤として列挙した化合物のうち「イミダゾール環を有する化合物」に具体的に例示した化合物を用いることができる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
<5−4.酸化防止剤>
本発明に係るフィルムミラー20に用いられる金属(銀)反射層3の隣接層(例えば、樹脂コート層8やアンカー層2など)に含まれる含窒素環状化合物としては、酸化防止剤を用いることもできる。かかる酸化防止剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が0.001質量%以上であれば、金属(銀)の酸化防止機能を有効に発現することができる。酸化防止剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が5質量%以下であれば、着色することなく、隣接層の脆化防止機能を有効に発現することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、上記した<2−2.酸化防止剤>のアクリル層5の劣化を防止するために含有させる酸化防止剤として列挙した各種酸化防止剤のうち「フェノール系酸化防止剤」として具体的に例示した化合物を用いることができる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、上記した<2−2.酸化防止剤>のアクリル層5の劣化を防止するために含有させる酸化防止剤として列挙した各種酸化防止剤のうち「ホスファイト系酸化防止剤」として具体的に例示した化合物を用いることができる。
なお、上記酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。かかる光安定剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が0.001質量%以上であれば、光安定化機能を有効に発現することができる。光安定剤の金属(銀)反射層3の隣接層への含有量が5質量%以下であれば、着色することなく、隣接層の脆化防止機能を有効に発現することができる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
<6.樹脂フィルム状支持体>
樹脂フィルム状支持体(フィルム基材)1としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、セルロースエステル系フィルム、及びアクリルフィルムよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種が好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂フィルム状支持体1は、金属(特に銀)反射層3よりも光入射側から遠い位置にあるため、紫外線が樹脂フィルム状支持体1に到達しにくい。特に、樹脂フィルム状支持体1よりも光入射側にあるアクリル層5等に紫外線吸収剤を含有させたりする場合は、紫外線が、樹脂フィルム状支持体1により到達しにくい。従って、樹脂フィルム状支持体1は、紫外線に対して劣化しやすい樹脂であっても用いることが可能となる。そのような観点から、樹脂フィルム状支持体1として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを用いることが可能となる。
樹脂フィルム状支持体1の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmの範囲内である。好ましくは20〜200μmである。
<7.粘着剤層>
本発明に係るフィルムミラー20の粘着剤層6は、当該粘着剤層6によってフィルムミラー20を支持基材に貼り付けて、太陽光反射用ミラーを形成するための層である。尚、フィルムミラー20は粘着剤層6の光入射側とは逆側に剥離層7を有していてもよい。フィルムミラー20が剥離層7を有する場合、剥離層7を粘着剤層6から剥離した後、粘着剤層6を介してフィルムミラー20を支持基材に貼り付けることができる。
粘着剤層6に含まれる前記反射層3の金属と同種の金属(銀)の腐食防止剤としては、前記<4−2.腐食防止剤>項記載の腐食防止剤が例として挙げられる。好ましくは、メルカプト化合物及びベンゾトリアゾール化合物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であり、特に好ましくはメルカプト化合物である。これらを用いることで、切断後の切り口の金属反射層の腐食をより顕著に防止することができる。
粘着剤層6中の前記反射層3の金属と同種の金属(銀)の腐食防止剤の含有量は、0.01質量%以上、10質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以上、3質量%以下である。粘着剤層6中の金属(銀)の腐食防止剤の含有量が0.01質量%以上であれば、所望の腐食防止機能を有効に発現することができる。粘着剤層6中の金属(銀)の腐食防止剤の含有量が10質量%以下であれば、着色することなく、粘着剤層6が脆くなるのを防止し得る脆化防止機能を有効に発現することができる。
その他の粘着剤層6の構成は特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂(例えば、付加反応型シリコーン系粘着剤など)、ニトリルゴム、シリコーン系ゴム等が用いられる。また、粘着剤層6には、白金系触媒等の硬化促進剤が含まれていてもよい。粘着剤層6の作製方法としては特に制限されるものではなく、ラミネート法(例えば、樹脂フィルム状支持体1のフィルムと、剥離層7のフィルム上に粘着剤組成物を塗布、加熱して粘着剤層6を形成し、樹脂フィルム状支持体1のフィルムと、剥離層7のフィルムを粘着剤層6を介してラミネートして貼り合せることで、粘着剤層6を作製する方法)など従来公知の方法を適用することができる。ラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。また、粘着剤層6の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜100μm程度の範囲であることが好ましい。
粘着剤層6の硬度としては、本発明の作用効果(切断時に粘着剤層6の粘着剤がサイド(切り口)にはみ出し、端部(切り口)の金属反射層3を覆うことで、金属反射層3の腐食を効果的に防止することができる)を有効に発現し得るものであればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは107dyn/cm2以下、より好ましくは1×104〜106dyn/cm2の範囲である。粘着剤層6の硬度が上記範囲内であれば、切断時にサイド(切断の端面)にはみ出た粘着剤は、その後、太陽熱発電用反射装置に適用して実稼働する際に長期間、太陽熱に晒された場合でも粘性が低下(劣化)することなく、端部(切り口;切断の端面)の金属反射層3を覆い続けることができる。
<8.透明ハードコート層>
アクリル層5の光入射側に透明ハードコート層(図示せず)を設けてもよい。透明ハードコート層は、フィルムミラー20表面の傷つきや汚れの付着を防止する目的に設けられる。透明ハードコート層は光入射側から最外層、2層目、又は3層目のいずれかであることが好ましい。透明ハードコート層の上に更に薄い(1μm以下が好ましい)別の層を設けてもよい。尚、ハードコート層の厚みは、十分な耐傷性を得つつ、フィルムミラー20にそりが発生するのを防止するという観点から、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上、10μm以下である。
透明ハードコート層を形成する材料としては、透明性、耐候性、硬度、機械的強度等が得られるものであれば、特に限定されるものではない。透明ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマー、反応性希釈剤などを含む組成物である。その他に必要に応じて光重合開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。なお、オリゴマーは、ある程度分子量の大きい、例えば、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名"ダイヤビーム(登録商標)"シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名"デナコール(登録商標)"シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名"NKエステル"シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名"UNIDIC(登録商標)"シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名"アロニックス(登録商標)"シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名"ブレンマー(登録商標)"シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名"KAYARAD(登録商標)"シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名"ライトエステル"シリーズ、"ライトアクリレート"シリーズなど)などの製品を利用することができる。
更に具体的には、例えば、電子線や紫外線の照射により硬化する樹脂や熱硬化性の樹脂等を使用でき、特にアルコキシシラン系化合物の部分加水分解オリゴマーからなる熱硬化型シリコーン系ハードコート、熱硬化型のポリシロキサン樹脂からなるハードコート、不飽和基を有するアクリル系化合物からなる紫外線硬化型アクリル系ハードコート、熱硬化型無機材料であることが好ましい。また、透明ハードコート層に用いることができる材料として、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコーン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタン等の光触媒性酸化物含有シリカ膜もしくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタンもしくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216号公報)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング膜(ピアレックス・テクノロジーズ社)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜、等も挙げることができる。
熱硬化型シリコーン系の透明ハードコート層には公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基又はアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法によりフィルムミラー等の外面に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによって透明ハードコート層を形成させる。但しこの場合、フィルムミラーの熱変形温度以下での硬化温度の設定が前提となる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/或いはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系の透明ハードコート層を製造することが可能である。
紫外線硬化型アクリル系のハードコート層には、不飽和基を有するアクリル系化合物として、例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート混合物等を使用することができ、これにベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を配合して用いる。そしてこれをアクリル層(=光入射側の最外層のほか、光入射側から2層目または3層目)の光入射側に塗布し、紫外線硬化することによって透明ハードコート層が形成される。
また、透明ハードコート層に表面処理を施して、親水性を付与することが好ましい。例えば、コロナ処理(特開平11−172028号公報)、プラズマ表面処理、紫外線・オゾン処理、表面突起物形成(特開2009−226613号公報)、表面微細加工処理などを挙げることができる。
透明ハードコート層の作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
透明ハードコート層が無機物からなる場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等を、真空製膜法により製膜することで形成できる。真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、透明ハードコート層については、例えば、公知である特開2012−137579号公報の段落「0105」に記載の「汚れの付着を防止する層」や段落「0110」〜「0113」に記載の「傷防止層」を適用することができる。更に特開2011−128501号公報の段落「0015」〜「0031」に記載されたものを適用することもできる。
また、透明ハードコート層の特に好ましい例の一つとして、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層が挙げられる。多官能アクリルモノマーを以下「A」成分とし、シリコーン樹脂を以下「B」成分とする。
<8−2.「A」成分>
多官能アクリルモノマー「A」成分は、不飽和基、特に、活性エネルギー線反応性不飽和基を有することが好ましい。尚、本明細書で言う活性エネルギー線とは、好ましくは電子線か紫外線をいう。活性エネルギー線反応性不飽和基を有する多官能アクリルモノマーとしては、ラジカル重合系モノマーが用いられ、好ましくは、分子中にα,β−不飽和二重結合を有する2官能以上の多官能モノマーである多官能アクリレート型もしくは多官能メタクリレート型モノマー等が挙げられる。他に、ビニル型モノマー、アリル型モノマーや単官能のモノマーを有していてもよい。また、ラジカル重合系モノマーは、単独でも、または架橋密度を調整すべく2種類以上のモノマーを併用することも可能である。「A」成分としては、これら比較的低分子量化合物、例えば分子量が1000未満のいわゆる狭義のモノマーの他、ある程度分子量の大きい、例えば重量平均分子量が1000以上10000未満のオリゴマー、プレポリマーも用いることが可能である。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレ−ト、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、コハク酸(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
このような重合性有機化合物である「A」成分の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
重合性有機化合物「A」成分の含有量は、防汚性や耐光性を良好にする観点から、「A」+「B」の組成物全体を100質量%として、10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%がさらに好ましい。
<8−3.「B」成分>
シリコーン樹脂「B」成分としては、活性エネルギー線反応性不飽和基を有するシリコーン樹脂であることが好ましい。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサンを含有し、好ましくは、活性エネルギー線硬化性不飽和結合を分子内に有したポリオルガノシロキサン鎖を有する化合物である。特に、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜50質量%と、ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する(a)以外の単量体(b)10〜95質量%と、(a)および(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)0〜89質量%とを含む単量体を重合してなる重合体(α)に、前記した反応性官能基と反応可能な官能基、およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(β)を反応させてなる数平均分子量5000〜100000のビニル共重合体である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の数平均分子量は、クロマトグラフィー法(GPC法)、末端基定量法などにより測定することができる。
ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)として、具体的には、例えばチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物、東亜合成(株)製のAC−SQ SI−20、Hybrid Plastics社製POSS(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)シリーズのアクリレート、メタクリレート含有化合物等が挙げられる。
「B」成分は、要求性能に応じて1種、または2種以上を混合して用いることができる。また、「B」成分の共重合比率は、重合体(「A」成分と「B」成分の共重合体)を構成する単量体(多官能アクリルモノマーの「A」成分とシリコーン樹脂の「B」成分)の総重量を基準として1〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜35質量%である。「B」成分の共重合比率が、1質量%以上であれば、硬化物の上部表面に防汚性、耐候性を十分に付与することができ、50質量%以下であれば、耐擦傷性を付与することができる上、ハードコート層形成用材料(モノマー「A」成分+樹脂「B」成分)に含まれる他の成分(「A」成分)との相溶性、基材(アクリル層等)との密着性、強靭性等の塗膜性能、および共重合体の溶媒への溶解性を十分に得ることができる。上記「B」成分中に、ポリシロキサンを適当量含有することもでき、「B」成分の化学構造や量比によっては、ポリシロキサンを添加することによって、耐久性が向上する。
この透明ハードコート層は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。フィルムミラーの最表面層における透明ハードコート層は密な架橋構造を形成する場合があり、そのためフィルムが反り曲がることや、屈曲性がないためにクラックが入りやすいようなことがあり、取り扱いが困難になる。このような場合、透明ハードコート層組成中の無機物の量を調整するなどして、柔軟性があり、平面性が得られるように設計することが好ましい。
<8−4.添加剤>
また、透明ハードコート層に紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の<2−2.紫外線吸収剤>や<2−3.酸化防止剤>に記載したものを用いることができる。
特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層において好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤をハードコート層に含有させることにより、耐候性を更に良好にするだけでなく、転落角も更に低下できるという優れた効果を得ることができる。特に、下記一般式(9)で表される化合物をハードコート層に含有させた場合、転落角の低下という効果が著しい。尚、転落角とは、水平なミラー上に水滴を滴下し、その後、当該ミラーの傾斜角を徐々に上げていき、静止していた所定重量の水滴が転落する最小の角度を計測したものをいう。転落角が小さければ小さい程、水滴が表面から転がり落ちやすく、水滴が付着しにくい表面であると言える。
尚、透明ハードコート層における紫外線吸収剤の使用量は、密着性を良好に保ちつつ、耐候性を良好にするために、0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
透明ハードコート層に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層に含有させることでも、転落角を低下し得る。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。酸化防止剤と併用し得る光安定剤としては、以下に例示するヒンダードアミン系の光安定剤のほか、ニッケル系紫外線安定剤なども使用可能である。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特に、ヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
その他、光安定剤としてニッケル系紫外線安定剤も使用可能であり、ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
透明ハードコート層、特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層は、重合を開始するための開始剤を含有することが好ましい。紫外線などの活性エネルギー線硬化性樹脂の光重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、開始剤を光増感剤と共に使用してもよい。上記開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。開始剤また光増感剤の使用量は該組成物(多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有する透明ハードコート層形成用材料)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは、2〜5質量部である。2種類以上の開始剤を併用することもでき、特にラジカル系開始剤の場合、少なくとも2種類の開始剤、好ましくは互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることである。より好ましくは、互いに紫外線吸収波長の異なる2種類の開始剤を使用することである。例えば、より短波長の波長を吸収する開始剤のみでは、開始剤によってモノマー全ての重合反応を行えない場合がある。一方、より長波長の波長を吸収する開始剤のみでは、反応性はよくなるが、長期使用時に開始剤が着色してしまう可能性がある。そこで、長期使用時においても着色することなく、耐候性を良好にし、更に、重合反応性も良好にするために、互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることが好ましい。
透明ハードコート層中には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
レベリング剤は、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
<9.ガスバリア層>
金属(特に銀)反射層よりも光入射側にガスバリア層を設けてもよい。アクリル層と金属(特に銀)反射層の間にガスバリア層を設けることが好ましい。更には、接着剤層と樹脂コート層の間にガスバリア層を設けることが好ましい。ガスバリア層は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂フィルム状支持体及び樹脂フィルム状支持体に支持される各構成層等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、上記劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層の詳細については、例えば、公知である国際公開番号WO2011/096151 A1公報の段落「0044」〜「0096」を適用することができる。
<10.アンカー層>
アンカー層2は、樹脂からなり、樹脂フィルム状支持体1と金属(特に銀)反射層3とを密着させるために設けられる層である。従って、アンカー層2は樹脂フィルム状支持体1と金属(特に銀)反射層3とを密着させる密着性、金属(特に銀)反射層3を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属(特に銀)反射層3が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
アンカー層2に使用する樹脂は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂又はポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
アンカー層2の厚さは、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。この範囲を満たすことにより、密着性を保ちつつ、樹脂フィルム状支持体1表面の凹凸を覆い隠すことができ、平滑性を良好にでき、アンカー層2の硬化も十分に行えるため、結果としてフィルムミラー20の反射率を高めることが可能となる。
また、アンカー層2には、上述の<4−2.腐食防止剤>に記載した腐食防止剤を含有させることが好ましい。
尚、アンカー層2の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
<11.剥離層>
本発明に係るフィルムミラー20は、粘着剤層6の光入射側と逆側に剥離層7を有していてもよい。例えば、フィルムミラー20の出荷時には剥離層7が粘着剤層6に張り付いた状態で出荷し、剥離層7から粘着剤層6を有するフィルムミラー20を剥離し、他の基材に貼り合わせて太陽光反射用ミラー、更には太陽熱発電用反射装置を形成することができる。
剥離層7としては、金属(特に銀)反射層3の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂をコーティングしたりアルミニウム等の金属を金属蒸着などの表面加工を施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。
剥離層7の厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
また、これらの剥離層7をフィルムミラー20(剥離層7を除く)と貼り合わせる前に凹部や凸部を設けてから貼り合せてもよく、貼り合せた後で凹部や凸部を有するように成形してもよく、貼り合わせと凹部や凸部を有するように成形することを同時にしてもよいものである。
本発明では、上記したフィルムミラー20を、さらに(所定の大きさ、例えば、支持基材に貼りつけるための大きさに)切断処理することにより、(切断時にせん断応力により)前記粘着剤層6(ないし金属(特に銀)腐食防止剤を含む粘着剤を用いた接着剤層4)の金属(特に銀)腐食防止剤を含む粘着剤を延展させて切断端面(切り口)の金属(特に銀)反射層を被覆してなるフィルムミラーとしてもよい。これにより、本発明の所期の目的(切断後の切断端面においても高い腐食耐性を有するフィルムミラーの提供)を達成することができる。こうした形態は、通常、太陽光反射用ミラーの作製段階でフィルムミラー20(製品)を所定の大きさに切断して用いられるが、予めフィルムミラー20を所定の大きさに切断したフィルムミラー製品を、販売(提供)する場合もあり得るためである。
<12.太陽光反射用ミラー>
太陽光反射用ミラーは、フィルムミラーと、自己支持性の基材(支持基材)とを有し、粘着剤層を介してフィルムミラーが自己支持性の基材(支持基材)に接合されている。ここで、前記フィルムミラーは、上記したように、所定の大きさ(例えば、支持基材に貼りつけるための大きさ)に切断されたものである。詳しくは、前記フィルムミラーが、所定の大きさに切断処理され、金属の腐食防止剤を含む粘着剤で切断端面(切り口)の金属反射層が覆われてなるものである。これにより、本発明の所期の目的を達成することができる。
<12−2.自己支持性の基材>
自己支持性の基材(支持基材)は、以下のA及びBの何れかの構成を有することが好ましい。
A:一対の金属平板と、当該金属平板の間に設けられた中間層とを有し、当該中間層は中空構造を有する層又は樹脂材料から構成される層である。
B:中空構造を有する樹脂材料層からなる。
「自己支持性の基材」という場合の、「自己支持性」とは、太陽光反射用ミラーの基材(支持基材)として用いられる大きさに断裁された場合において、その対向する端縁部分を支持することで、基材を担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。太陽光反射用ミラーの基材(支持基材)が自己支持性を有することで、太陽光反射用ミラーを設置する際に取り扱い性に優れるとともに、太陽光反射用ミラーを保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、太陽熱発電用反射装置を軽量化することが可能となり、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
構成Aのように、自己支持性の基材(支持基材)を、一対の金属平板と、当該金属平板の間に設けられた中間層からなる構成とし、中間層は中空構造を有する層か樹脂材料から構成される層とすることにより、金属平板による高い平面性を有するとともに、中間層が中空構造を有する層か、樹脂材料から構成される層とされていることにより、金属平板のみで基材を構成する場合に比べて、基材を大幅に軽量化することが可能となるとともに、比較的軽量な中間層により剛性を上げることができるため、軽量且つ自己支持性を有する支持体とすることが可能となる。中間層として樹脂材料から構成される層を用いる場合においても、中空構造を有する樹脂材料の層とすることで更に軽量化が可能である。
また、中間層を中空構造とした場合には、中間層が断熱材としての機能を果たすため、裏面の金属平板の温度変化がフィルムミラーへ伝わることを抑制し、結露の防止や、熱による劣化を抑制することが可能となる。
構成Aの表面層を形成する、金属平板としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料を好ましく用いることができる。本発明においては、特に、耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることが好ましい。
構成Aの中間層を中空構造とする場合、金属、無機材料(ガラス等)、樹脂等の素材を用いることができる。中空構造としては、発泡樹脂からなる気泡構造、金属、無機材料又は樹脂材料からなる壁面を有する立体構造(ハニカム構造等)や、中空微粒子を添加した樹脂材料等を用いることができる。発泡樹脂の気泡構造は、樹脂材料中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質形状に形成されたものを指し、材料としては、公知の発泡樹脂材料を使用可能であるが、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン等が好ましく用いられる。ハニカム構造とは、空間が側壁で囲まれた複数の小空間で構成される立体構造全般を表すものとする。中空構造を樹脂材料からなる壁面を有する立体構造とする場合、壁面を構成する樹脂材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂などの、オレフィン系樹脂又はオレフィン系樹脂を主体にした樹脂が、機械的強度及び成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂材料には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
また、中間層を樹脂材料から構成される層として樹脂プレートからなる層とすることも可能であり、この場合に中間層を構成する樹脂材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂フィルム状支持体(フィルム基材)を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができる。
中間層は、基材(支持基材)の全ての領域に設けられる必要はなく、金属平板の平面性及び基材としての自己支持性を担保できる範囲であれば、一部の領域に設けられていてもよい。中間層を上述の立体構造とする場合、金属平板の面積に対して、90〜95%程度の領域に立体構造を設けることが好ましく、発泡樹脂を用いる場合は、30〜40%程度の領域に設けることが好ましい。
上記の構成Bのように、自己支持性の基材(支持基材)を、中空構造を有する樹脂材料からなる層とすることも可能である。基材(支持基材)を樹脂のみからなる層とした場合、自己支持性を持たせる程度の剛性を得るために必要な厚さが大きくなり、結果として基材の質量が重くなるが、樹脂基材に中空構造を持たせることにより、自己支持性を持たせながら軽量化が可能となる。中空構造を有する樹脂材料からなる層とする場合、表面層として平滑な面を有する樹脂シートを設け、中空構造を有する樹脂材料を中間層として用いることが、フィルムミラーの正反射率を高める観点で好ましい。この樹脂シートの材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂フィルム状支持体を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができ、中空構造を構成する樹脂材料としては、上述の発泡材料や、立体構造に用いられるものと同様の樹脂材料を好ましく用いることができる。
<13.保持部材>
太陽熱発電用反射装置は、太陽光反射用ミラーと、太陽光反射用ミラーを保持する保持部材とを有する。保持部材は、太陽光反射用ミラーを太陽を追尾可能な状態で保持する事が好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、例えば、太陽光反射用ミラーが所望の形状を保持できるように、複数個所を棒状の保持部材により、保持する形態が好ましい。保持部材は太陽を追尾可能な状態で太陽光反射用ミラーを保持する構成を有するが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
[比較例17]
(フィルムミラーの作製)
比較例17の層構成概略を図1に示す。樹脂フィルム状支持体1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学工業株式会社製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC株式会社製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2(質量比)に、固形分濃度10質量%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、アンカー層2上に、銀反射層3として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀からなる銀反射層3を形成した。更に、上記銀反射層3上に、ポリエステル系樹脂とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2(質量比)に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ3.0μmの樹脂コート層8を形成した。
次に、樹脂コート層8上に、ドライラミネーションプロセスにより、接着剤層4と、アクリル層5として透明アクリルフィルム(三菱レイヨン株式会社製アクリプレンHBS010P 厚さ100μm)を、ラミネート温度60℃にて貼合した。
更に付加反応型シリコーン系粘着剤X−40−3103(信越化学工業株式会社製の商品名)の100質量部にトルエン50質量部、白金触媒・CAT−PL−50T(信越化学工業株式会製の商品名)の0.5質量部を添加し、均一に混合してシリコーン粘着剤組成物を調製し、剥離層7である厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、80℃で30秒間加熱して厚さ25μmのシリコーン系粘着剤層6(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのアンカー層2及び銀反射層3とは反対面側にラミネートし、比較例17のフィルムミラーを得た。
上記接着剤層4の形成法は以下の通りである。
ポリエステル樹脂(ポリエスターSP−181、日本合成化学工業株式会社製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820、DIC株式会社製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率20:1:1:2(質量比)で、固形分濃度10質量%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、樹脂コート層8上にグラビアコート法によりコーティングして、厚さ8μmの接着剤層4を形成した。
[比較例18、19、実施例1〜16、20、21]
(フィルムミラーの作製)
比較例18、19、実施例1〜16、20、21では、図1の接着剤層4と粘着剤層6を、表1の内容に変更した以外、比較例17と同じ方法でフィルムミラーを作製した。
なお、比較例17の接着剤層4に代えて粘着剤層を用いる場合(実施例3〜16、20、21)には、重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤X−40−3103(信越化学工業株式会社製の商品名)100質量部に白金触媒・CAT−PL−50T(信越化学工業株式会製の商品名)1質量部と、更に必要に応じて表1の「接着剤層4を以下の内容に変更」の欄に記載の所定量の銀腐食防止剤とを加えて35質量%トルエン溶液としたものを、樹脂コート層8上に塗布し、80℃で30秒間加熱して厚さ18μmのシリコーン系粘着剤層(Si系)を形成した。
また、比較例17の粘着剤層6に代えて接着剤層を用いる場合(比較例18〜19)には、ポリエステル樹脂(ポリエスターSP−181、日本合成化学工業株式会社製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820、DIC株式会社製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率20:1:1:2(質量比)とし、更に表1の「粘着剤層6を以下の内容に変更」の欄に記載の所定量の銀腐食防止剤を加えて、固形分濃度10質量%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのアンカー層2及び銀反射層3とは反対面側に、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ25μmの接着剤層を形成し、フィルムミラーを得た。この場合には、当該接着剤層上に剥離層7は設けなかった。
[評価]
上記で得たフィルムミラーについて、下記の方法(加速度寿命試験)により、切断の端面の腐食耐性を評価した。
(1)作製したフィルムミラーをはさみで5cm□(5cm×5cmの正方形)に切断した後、密閉のバイアル管に、硫黄粉末と一緒に入れて、110℃オーブンで48時間加熱し、銀反射面(銀反射層3の切断の端面)の損傷を目視で確認した。
当該評価試験(1)の銀反射面の損傷(特に切断の端面からの腐食)の目視による評価基準は、下記の通りである。
◎; 端面に反射面の損傷、変色は全く見られない
○; 端面を横から見るとわずかな損傷、変色がみられるが、反射面方向からみると、全く損傷はみられない
○△;反射面方向からみて、わずかな損傷がみられる(端から0.5mm未満)
△; 反射面方向からみて、やや損傷がみられる(端から0.5mm以上1mm未満)
×; 反射面方向からみて、明らかに損傷がみられる(端から1mm以上)
(2)作製したフィルムミラーをはさみで5cm□(5cm×5cmの正方形)に切断した後、硫化アンモニウム水溶液(硫化アンモニウム濃度;1質量%)に浸漬し、10日後の銀反射面(銀反射層3の切断の端面)の損傷を目視で確認した。
当該評価試験(2)の銀反射面の損傷(特に切断の端面からの腐食)の目視による評価基準は、下記の通りである。
◎; 端面に反射面の損傷、変色は全く見られない
○; 端面を横から見るとわずかな損傷、変色がみられるが、反射面方向からみると、全く損傷はみられない
○△;反射面方向からみて、わずかな損傷がみられる(端から0.5mm未満)
△; 反射面方向からみて、やや損傷がみられる(端から0.5mm以上1mm未満)
×; 反射面方向からみて、明らかに損傷がみられる(端から1mm以上)
各比較例、実施例の内容と評価結果を表1に示す。
本出願は、2014年10月16日に出願された日本特許出願番号2012−228936号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
1 樹脂フィルム状支持体、
2 アンカー層、
3 金属(銀)反射層、
4 接着剤層、または、粘着剤層、
5 アクリル層(UV吸収剤入り)、
6 粘着剤層、
7 剥離層、
8 樹脂コート層、
20 フィルムミラー。

Claims (7)

  1. 樹脂フィルム状支持体に金属の反射層が設けられたフィルムミラーであって、
    前記反射層の光の入射側とその裏側のいずれかに粘着剤層を有し、且つ、該粘着剤層が前記反射層の金属と同種の金属の腐食防止剤を含有することを特徴とするフィルムミラー。
  2. 前記金属の反射層が、銀の反射層であることを特徴とする請求項1記載のフィルムミラー。
  3. 前記反射層の光の入射側とその裏側の両方に粘着剤層を有し、且つ、前記粘着剤層の両方もしくは片方に、銀の腐食防止剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムミラー。
  4. 前記反射層の光の入射側とその裏側の両方に粘着剤層を有し、且つ、前記粘着剤層の両方に、銀の腐食防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記金属の腐食防止剤が、銀の腐食防止剤であって、メルカプト化合物、ベンゾトリアゾール化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムミラーを、さらに切断処理により、切断箇所の粘着剤層の金属腐食防止剤を含む粘着剤を延展させて切断端面の金属反射層を被覆してなることを特徴とするフィルムミラー。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムミラーを、支持基材に貼り付けて形成したことを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
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