JPWO2012172664A1 - 攪拌・脱泡装置 - Google Patents

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Abstract

容器外周部の弾性体の脱落・切断を防止でき、容器の公転・自転速度をより高速化することが可能な攪拌・脱泡装置を提供することを課題とする。解決手段として、この攪拌・脱泡装置1は、容器2の自転手段・公転手段を備え、容器2内の材料の攪拌・脱泡を行う装置において、容器2を保持する容器ホルダ11と、容器ホルダ11を自転可能に支持して公転させる公転アーム12と、公転アーム12の駆動手段3と、内周部が全ての容器ホルダ11の外周部11Aと当接するように配設された環状のアウターリング13とを備え、容器ホルダ11は自転軸が所定の角度θをなすと共に、凹状溝14内に嵌設された樹脂弾性リング31とアウターリング13の当接面15aとが当接するように配設され、凹状溝14とアウターリング13との間の隙間が、最も圧接された状態における樹脂弾性リング31の径方向寸法の2分の1以下となるように配設される。

Description

本発明は、攪拌・脱泡装置に関し、さらに詳細には、容器を自転させる手段および公転させる手段を備え、該容器を回転させて該容器内に収容された材料の攪拌および脱泡の少なくとも一方を行う攪拌・脱泡装置に関する。
従来より、容器を自転させる手段および公転させる手段を備えて、容器内に収容された単一材料、混合材料に対して攪拌あるいは脱泡を行う攪拌・脱泡装置が実用化されている。当該材料の例としては、医薬品、化学材料、食料品、塗料、半導体装置材料等の分野における、単一のもしくは混合された液体(流動体を含む)材料、あるいは液体材料と粉体材料との混合材料等(以下、単に「材料」という)が挙げられる。
ここで、従来の攪拌・脱泡装置の一例として、特許文献1記載の攪拌・脱泡装置100が提案されている(図10参照)。この攪拌・脱泡装置100は、モ−タ101と、このモ−タ101の出力軸102に固定され、上記出力軸102を中心にして水平に回転する回転ア−ム103と、上記回転ア−ム103につながると共に、上記回転ア−ム103の回転によって上記出力軸102の周囲を公転し、且つ上記モ−タ101の出力軸102側へ傾いた軸線Nを中心にして自転可能に軸支された混合槽104と、上記混合槽104を自転させる混合槽回転手段と、から成り、上記混合槽回転手段は、上記混合槽104の外周面104A全周に渡って取り付けられた混合槽側ゴム弾性体105と、上記混合槽104の外側母線Mが描く公転軌道よりも外側の公転軌道全周に渡って位置し、且つ上記混合槽104の公転時に、上記混合槽側ゴム弾性体105に滑ることなく接触する定位置ゴム弾性体106と、から成ることを特徴とする。これによれば、混合槽104を強制的に自転させる混合槽回転手段を提供することができるというものである。
特開平8−332367号公報
ここで、本願発明者が鋭意研究を行った結果、特許文献1に例示される攪拌・脱泡装置において、容器(例えば、攪拌・脱泡装置100における混合槽104)の公転・自転速度が高速になるにつれて、固定部材との当接によって容器を自転させるために該容器の外周部に設けられた弾性体(例えば、攪拌・脱泡装置100における混合槽側ゴム弾性体105)が容器の所定位置から脱落してしまう、あるいは脱落に起因して切断してしまう、または定位置ゴム弾性体106が脱落してしまうといった課題が生じ得ることが判った。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、固定部材との当接によって容器を自転させるために該容器の外周部に設けられた弾性体の脱落・切断を防止でき、容器の公転・自転速度をより高速化することが可能な攪拌・脱泡装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
この攪拌・脱泡装置は、容器を自転させる手段および公転させる手段を備え、該容器を回転させて該容器内に収容された材料の攪拌および脱泡の少なくとも一方を行う攪拌・脱泡装置において、複数の容器を各々保持する複数の容器ホルダと、前記各容器ホルダを自転可能に支持すると共に、回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該回転軸の周りに公転させる公転部材と、前記公転部材を回転駆動する駆動手段と、内周部が全ての前記容器ホルダの外周部と当接するように該容器ホルダを取り囲んで配設された環状のアウターリングと、を備え、前記容器ホルダと前記アウターリングとは、該容器ホルダの外周部に環状に設けられた凹状溝内に嵌設された樹脂弾性リングと、該アウターリングの内周部に設けられた当接面とが当接するように配設されると共に該アウターリング配設面に対して該容器ホルダの自転軸が所定の角度をなすように配設され、且つ、前記当接を開始する位置から前記当接を終了する位置までにおける該容器ホルダの凹状溝と該アウターリングとの間の隙間が、該アウターリングとの当接により最も圧接された状態における前記樹脂弾性リングの径方向寸法の2分の1以下となるように配設されており、前記容器ホルダは、前記公転部材の公転によって、前記回転軸の周りに公転し且つ前記アウターリングから受ける摩擦力によって自転することを要件とする。
本発明によれば、固定部材との当接によって容器を自転させるために該容器の外周部に設けられた弾性体の脱落・切断を防止でき、容器の公転・自転速度をより高速化することが可能となる。
本発明の第一の実施形態に係る攪拌・脱泡装置の例を示す概略図である。 図1の攪拌・脱泡装置の一部を拡大した斜視図である。 図1の攪拌・脱泡装置の一部を拡大した概略図である。 図1の攪拌・脱泡装置における樹脂弾性リングのアウターリングへの当接状態を示す図である。 図1の攪拌・脱泡装置の容器の例を示す概略図である。 本発明の第二の実施形態に係る攪拌・脱泡装置の例を示す概略図である。 図6の攪拌・脱泡装置の一部を拡大した斜視図である。 図6の攪拌・脱泡装置の一部を拡大した概略図である。 図6の攪拌・脱泡装置における樹脂弾性リングのアウターリングへの当接状態を示す図である。 従来の実施形態に係る攪拌・脱泡装置の例を示す概略図である。
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る攪拌・脱泡装置1の例を示す正面断面図(概略図)であり、図2は、その一部を拡大した斜視図(概略図)である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図の簡素化のために、一部のボルト・ナット類については図示を省略している。
この攪拌・脱泡装置1は、容器を自転させる手段および公転させる手段を備え、当該容器を自転および公転させることによって当該容器内に収容された単一材料・混合材料の攪拌および脱泡の少なくとも一方(以下、単に「攪拌・脱泡」と記載する)を行うための装置である。
本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1は、図1に示すように、撹拌・脱泡される各種材料を収容可能な複数の容器2と、複数の容器2を各々保持する複数の容器ホルダ11と、各容器ホルダ11を自転可能に支持すると共に、回転軸12aを中心に回転可能に設けられて、各容器ホルダ11を回転軸12aの周りに公転させる公転部材12と、内周部13Aが全ての容器ホルダ11の外周部11Aと当接するように全容器ホルダ11を取り囲んで公転部材12の公転面と平行に配設された環状のアウターリング13と、公転部材12を回転駆動する駆動手段(本実施形態では、モータ)3と、これらを制御する制御部(不図示)とを備える。
本実施形体においては、容器ホルダ11と当該容器ホルダ11に保持された容器2、公転部材12、およびアウターリング13がケース20の内部に配設される。なお、構造材料として、一般構造材料(金属材料、樹脂材料)が用いられ、特に限定されるものではない(他の構成に関しても同様)が、強度部材にはジュラルミン等を用いると好適である。
また、本実施形体においては、4個の容器ホルダ11を周方向に等間隔で(すなわち回転軸12aを中心とする十字状に)備えて、4個の容器2を保持できる構造としているが、これに限定されるものではない。
上記構成によれば、公転部材12が公転する際に、容器ホルダ11の外周部11Aとアウターリング13の内周部13Aとの間の当接(詳細は後述)により生じる摩擦力によって、容器ホルダ11が自転する。したがって、容器ホルダ11および当該容器ホルダ11に保持された容器2が公転し且つ自転する作用が得られる。これにより、容器2内に収容された材料を効果的に撹拌・脱泡することが可能となる。
特に、本実施形態においては、公転部材12の公転方向すなわち容器ホルダ11および当該容器ホルダ11に保持された容器2の公転方向と、容器ホルダ11および当該容器ホルダ11に保持された容器2の自転方向を逆方向とすることが可能となる。その結果、容器ホルダ11(容器2)の公転方向と自転方向とが同方向である場合と比較して、容器2内の材料の攪拌効果を格段に向上させることが可能となる。なお、この効果はグリス等の高粘度攪拌材料を用いた比較実験の結果、実証されたものである。
また、本実施形態においては、容器ホルダ11が、その自転軸Rが公転部材12の公転面と平行に設けられたアウターリング13の配設面に対して所定の角度θをなすように配設されている。一例として、40[°]≦θ≦60[°]に設定する。このように、容器2を所定角度傾斜させた状態に保持して自転および公転を行うことによって、容器2内材料の攪拌・脱泡効果をより一層高めることができる。
また、容器ホルダ11は、外周部11Aにおいて周方向に沿って環状に設けられた径方向断面の形状が凹状である凹状溝14を有している。さらに当該凹状溝14内に当接用の弾性体として樹脂弾性リング31が嵌設されている。ここで、凹状溝14およびその周辺構造の拡大図として図1におけるX部の拡大図(断面図)を図3に示す。
例えば、樹脂弾性リング31として、ゴム材料(一例として、硬度50のシリコンゴムが好適である)からなるOリングが用いられ、緩み・撓み・滑り等が生じないように、縮径する方向に所定の張力を生じさせた状態で凹状溝14内に嵌設されている。
一方、容器11に自転を生じさせるための固定部材としてのアウターリング13は、ケース20に固定されて設けられている。例えば、ステンレンス材等を用いて形成されるが、その他の金属材料あるいは樹脂材料を用いて形成してもよい。本実施形態においては、アウターリング13は、内周部13Aにおいて周方向に沿って環状に設けられた径方向断面の形状が凸状である凸状レール15を有している。この凸状レール15の頭頂面15aが容器ホルダ11の外周部11Aの樹脂弾性リング31との当接面として構成される。当該当接面(凸状レール15の頭頂面)15aは、公転部材12の公転面と平行に設けられたアウターリング13の配設面に対して所定の角度(一例として、前述のθと同一角度もしくは同程度の角度に設定している)を有するように形成されている。
以上のように、容器ホルダ11の樹脂弾性リング31と、アウターリング13の当接面15aとが当接するように配設されている。ここで、図4に樹脂弾性リング31のアウターリング13への当接状態を示す。同図4は自転軸Rと直交する樹脂弾性リング31配設面における断面で図示している。同図4中、矢印Aは容器ホルダ11および容器2の公転方向であり、矢印Bは容器ホルダ11および容器2の自転方向である。また、C点は容器ホルダ11(樹脂弾性リング31)とアウターリング13(当接面15a)との当接が開始する位置であり、D点は樹脂弾性リング31が最も圧接された状態となる位置であり、E点は容器ホルダ11(樹脂弾性リング31)とアウターリング13(当接面15a)との当接が終了する位置である。
本実施形態に特徴的な構成として、容器ホルダ11とアウターリング13とは、当接開始位置(図4中のC点)から当接終了位置(図4中のE点)までにおける容器ホルダ11の凹状溝14とアウターリング13との間の隙間が、アウターリング13との当接により最も圧接された状態(図4中のD点)における樹脂弾性リング31の径方向寸法L1の2分の1以下となるように配設されている。より詳しくは、当接開始位置(図4中のC点)から当接終了位置(図4中のE点)までにおいて、凹状溝14の内周部と凸状レール15の頭頂面15aとで囲われた空間部において生じる隙間F(図3参照)の寸法が、L1の2分の1を越えないように設定される。
この構成によれば、当接開始位置(図4中のC点)から当接終了位置(図4中のE点)までの間において、樹脂弾性リング31が圧接されて径方向寸法が減少し、且つ、当接によって樹脂弾性リング31に軸方向分力(押動力)が作用した際に、当接部材間(ここでは、凹状溝14の内周部と凸状レール15の頭頂面15aとで構成される空間部)の隙間から外に出てしまうこと(脱落)が防止できる。本願発明者の研究の結果、隙間Fの寸法が、L1の2分の1を越えない程度の構成とすることが好適であることが判った。
なお、当接の際に樹脂弾性リング31に軸方向への分力(押動力)が作用するのは、曲率の異なる部材同士すなわち容器ホルダ11(凹状溝14の樹脂弾性リング31)とアウターリング13(凸状レール15の頭頂面15a)とが角度(ここではθ)を持って当接するためである。
また、本願発明者は、従来の攪拌・脱泡装置における樹脂弾性リングが切断してしまう課題について、当接部材間の隙間から脱落する際に、樹脂弾性リングに負荷がかかり切断に至ることを突き止めた。したがって、上記の通り、本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1によれば、樹脂弾性リング31の脱落が防止される結果、切断の防止も図ることができる。
ここで、本実施形態においては、容器ホルダ11は、樹脂弾性リング31のつぶししろ(図4中のD点におけるつぶししろ)L2が径方向寸法の20〜30[%]となるようにアウターリング13に圧接されて配設されている。これにより、樹脂弾性リング31の滑りを防止することができ、摩擦力の伝達が可能となる。
例えば、樹脂弾性リング31として、直径7[mm]のOリングを用いて、つぶししろL2を径方向寸法の30[%]つまりL2=2.1[mm]に設定すると、最も圧接された状態の径方向寸法L1は、L1=4.9[mm]となる。したがって、上記の隙間Fは、寸法が2.45[mm]以下となるように設定される。
なお、隙間Fの寸法は、当接開始位置(図4中のC点)から当接終了位置(図4中のE点)までの間で変化する。これは、曲率の異なる部材同士すなわち容器ホルダ11(凹状溝14の樹脂弾性リング31)とアウターリング13(凸状レール15の頭頂面15a)とが角度(ここではθ)を持って当接し、且つ、凸状レール15の頭頂面15aが容器ホルダ11の凹状溝14内に入り込むように構成(詳細は後述)されているためである。
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、例えば、図2の斜視図によって説明されるように、容器ホルダ11とアウターリング13とは、当該アウターリング13の周方向において樹脂弾性リング31と凸状レール15の頭頂面15aとが当接を開始する位置以前から当接を終了する位置以後まで、当該頭頂面15aが容器ホルダ11の凹状溝14内に入り込んだ状態となるように配設されている。すなわち、図4を用いて位置関係を説明すれば、当接開始位置(図4中のC点)以前(自転方向の後方側)において、凸状レール15の頭頂面15aが容器ホルダ11の凹状溝14内に入り込む状態となり、当接終了位置(図4中のE点)以後(自転方向の先方側)において、凸状レール15の頭頂面15aが容器ホルダ11の凹状溝14内に入り込む状態が解除される構成となっている。
この構成によれば、当接を開始する位置以前から当接を終了する位置以後まで、凸状レール15の頭頂面15aが容器ホルダ11の凹状溝14内に入り込んだ状態となるように配設されていることで、当接が行われている区間よりも広い区間において隙間Fの寸法を所定値以下に設定することができるため、より一層、確実な脱落・切断防止効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1は、ケース20内を真空にする真空ポンプ6を備える。当該真空ポンプ6による真空度は適宜設定することができ、一例として、ケース20内が大気圧〜10[Pa]程度の真空状態とされる。
これによれば、ケース20内を真空にして、攪拌・脱泡を行うことで、より一層、脱泡作用を高めることが可能となる。
ここで、容器2は図5に示すように、上部に開口部2aが設けられた有底円筒状の本体部2Aと、開口部2aに嵌合される中蓋2Bと、その外方から開口部2aに羅合される外蓋2Cとを備えて構成される。
攪拌・脱泡を行う対象物となる材料は、中蓋2Bおよび外蓋2Cを取り外した状態で、開口部2aから本体部2Aに入れられて、その後本体部2Aに中蓋2Bおよび外蓋2Cが嵌合および羅合される。
なお、本実施形態においては、中蓋2Bおよび外蓋2Cには、それぞれ通気孔2bおよび2cが設けられているが、適宜、当該通気孔2b、2cを省略する構成としてもよい。また、適宜、中蓋2B、外蓋2Cを省略する構成としてもよい。
容器2は、図1、図2に示すように、上部がカップ状に形成された容器ホルダ11の開口部に、底面側から進入させて嵌め込まれることによって、当該容器ホルダ11に保持される。その際に、容器2の本体部2Aの外周部に設けられている突起2d(本実施形態においては、2箇所)が、容器ホルダ11に設けられる溝11bに係合される。
これによれば、容器ホルダ11が回転(自転)する際に、容器ホルダ11に対して容器2が周方向に回動することが防止され、容器ホルダ11の回転力が容器2に伝達されて、当該容器2を回転(自転)させる作用を得ることができる。
なお、本実施形態においては、容器2と容器ホルダ11とを別体に形成しているが、一体に形成する構成とすることも考えられる。
なお、本実施形態に係る容器2は、図5に示すように、内壁面2eに複数の凸状部2fを有する形状に形成される。これによれば、材料が収容された容器2を自転させた際に、凸状部2fが抵抗、外刃作用となり材料の攪拌が促進されるため、より一層、攪拌作用を高めることが可能となる。ただし、これに限定されるものではなく、凸状部2fを設けない構成とすることも考えられる。
一方、図1に示すように、ケース20は、本体部21と当該本体部21の上部に配設される蓋部22とを備えて構成される。また、蓋部22は、ヒンジ(不図示)を用いて開閉可能なように本体部21に固定されると共に、本体部21に密着可能な構造に形成されることによって、ケース20内が密閉可能となる構造に形成されている。
これによれば、蓋部22を開くことによって、容器ホルダ11への容器2の着脱が可能となる。一方、蓋部22を閉めることによって、ケース20内を真空状態とすることができ、その状態で、容器2を自転および公転させて容器2内の材料の攪拌・脱泡を行うことが可能となる。一例として、蓋部22は、透明な樹脂材料を用いて形成される。
公転部材12は、図1に示すように、ケース20の本体部21を貫通する回転軸12aを有し、当該回転軸12aはその周方向に回転可能で且つケース20内の真空保持が可能となる軸受(本実施形態では、磁性流体軸受)32を介してケース20の本体部21に固定されている。ここで、公転部材12の形状は、円板状、アーム状、もしくはそれらの組み合わせ等とする構造が考えられる。本実施形態においては、容器ホルダ11を公転面(公転軸すなわち回転軸12aの中心軸Sと直交する面)に対して所定の傾斜角θで傾けて自転可能に支持するために、公転部材12は径方向の途中に曲折部12bを有している。公転部材12は、回転(公転)によって容器ホルダ11(および容器2)に遠心力が作用すると、特に曲折部12bが公転面と平行な状態に近づくように撓む作用が生じる。したがって、公転部材12はジュラルミン等の高強度で軽量な材料を用いて形成することが好適である。ただし、これに限定されるものではない。
また、回転軸12aと、モータ3の回転軸3aとが、駆動力伝達手段を介して連結されている。なお、本実施形態では、駆動力伝達手段として、第1プーリー4a、第2プーリー4b、ベルト5を用いて構成しているが、これに限定されるものではなく、歯車等を用いて構成してもよい。
これによれば、モータ3が作動し、その回転駆動力が駆動力伝達手段を介して回転軸12aへ伝達され、回転軸12aが回転すると、これに伴って公転部材12が周方向に回転する。したがって、公転部材12に固定された容器ホルダ11および容器ホルダ11に保持された容器2は、当該回転軸12aの中心軸Sを回転中心とする同一平面内の一定軌道上を周回する(公転する)。さらに、公転部材12が公転すると、容器ホルダ11の外周部11Aとアウターリング13の内周部13Aとの間の当接により生じる摩擦力によって、容器ホルダ11が自転する。その際の公転速度および自転速度は、材料に応じて適宜設定される。
特に、本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1においては、前述の通り、樹脂弾性リング31に対する確実な脱落・切断防止効果を得ることができるため、公転速度および自転速度の高速化が可能となる。
本実施形体においては、アウターリング13における凸状レール15の頭頂面15aの全長(すなわち当接部の周方向長さ)が、容器ホルダ11の外周部11Aの樹脂弾性リング31の全長(すなわち当接部の周方向長さ)よりも長くなるように形成している。
これによれば、公転速度(回転速度[rpm])に対して、自転速度(回転速度[rpm])を高速化することが可能となり、攪拌能力を高めることができる。
一例として、凸状レール15の頭頂面15aの全長を、容器ホルダ11の樹脂弾性リング31の全長の2倍に設定している。したがって、公転速度が800[rpm]に設定された場合、レール部13bの全長と凸状レール15の頭頂面15aの全長との比(ここでは2:1)に応じて、自転速度が1600[rpm]に設定されることとなる。なお、当該公転速度および自転速度は上限ではなく、さらなる高速化もなし得るものである。
また、公転速度と自転速度とを別々に駆動制御する必要が無いため、回転駆動機構および制御機構をきわめて簡素にすることができる。これにより、製造コストの低減が可能となり、故障発生率を低減させる観点からも好適である。
また、本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1には、回転(公転)速度、回転時間、真空圧力等を設定する操作盤(不図示)が設けられ、この操作盤から制御部(不図示)に指令を出すことによって、公転部材12の回転速度、回転時間、および真空ポンプ6により真空にされるケース20内の圧力等が制御される。
なお、前述の通り、公転部材12の回転速度に応じて、容器2の自転速度も自動的に設定されるため、複雑な制御機構が不要となり、製造コストの低減が達成される。
(第二の実施形態)
続いて、本発明の第二の実施形態に係る攪拌・脱泡装置1について説明する。第二の実施形態に係る攪拌・脱泡装置1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、特にアウターリング13、凹状溝14等の構成において相違点を有する。ここで、図6は、第二の実施形態に係る攪拌・脱泡装置1の例を示す正面断面図(概略図)であり、図7は、その一部を拡大した斜視図(概略図)である。また、凹状溝14およびその周辺構造の拡大図として、図6におけるY部の拡大図(断面図)を図8に示す。図9は、樹脂弾性リング31のアウターリング13への当接状態を示す図であり、自転軸Rと直交する樹脂弾性リング31配設面における断面で図示している。以下、第一の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態においては、アウターリング13は、内周部13Aにおいて周方向に沿って環状に設けられた当接面13aを有している。この当接面13aは、内周部13Aに沿った曲面(円錐内面)形状に形成されており、容器ホルダ11の外周部11Aの樹脂弾性リング31との当接面となる。当該当接面13aは、前述の第一の実施形態と同様に所定の角度(一例として、前述のθと同一角度もしくは同程度の角度に設定している)を有するように形成されている。
また、本実施形態においては、容器ホルダ11とアウターリング13とは、当接開始位置(図9中のC点)から当接終了位置(図9中のE点)までにおける容器ホルダ11の凹状溝14とアウターリング13との間の隙間が、アウターリング13との当接により最も圧接された状態(図9中のD点)における樹脂弾性リング31の径方向寸法L1の2分の1以下となるように配設されている。より詳しくは、当接開始位置(図9中のC点)から当接終了位置(図9中のE点)までにおいて、凹状溝14の内周部とアウターリング13の当接面13aとで囲われた空間部において生じる隙間F(図8参照)の寸法が、L1の2分の1を越えないように設定される。
この構成によれば、前述の第一の実施形態と同様に、当接開始位置(図9中のC点)から当接終了位置(図9中のE点)までの間において、樹脂弾性リング31が圧接されて径方向寸法が減少し、且つ、当接によって樹脂弾性リング31に軸方向分力(押動力)が作用した際に、当接部材間(ここでは、凹状溝14の内周部とアウターリング13の当接面13aとで構成される空間部)の隙間から外に出てしまうこと(脱落)が防止でき、その結果、切断の防止も図ることができる。
また、容器ホルダ11は、外周部11Aにおいて周方向に沿って環状に設けられた径方向断面の形状が凹状である凹状溝14を有している。さらに当該凹状溝14内に樹脂弾性リング31が嵌設されている。ここで、本実施形態に係る容器ホルダ11に特徴的な構成として、図8に示すように、凹状溝14の上部頭頂面14aとアウターリング13の当接面13aとの間隔L3が相対的に大きく、凹状溝14の下部頭頂面14bとアウターリング13の当接面13aとの間隔L4が相対的に小さくなるように設けられている。なお、同図8中の間隔L3およびL4は、容器ホルダ11の凹状溝14とアウターリング13の当接面13aとが最も接近する位置(図9中のD点)における間隔として図示している。
本実施形態に係る攪拌・脱泡装置1においては、公転部材12の公転速度を高速にすると、容器ホルダ11に作用する遠心力が大きくなるため、公転部材12が撓んで容器ホルダ11が公転面の径方向外方に傾く(自転軸Rの傾斜角θが大きくなる方向に傾く)作用が生じる。その結果、特に、容器ホルダ11の凹状溝14とアウターリング13の当接面13aとが最も接近する位置(図9中のD点)において、凹状溝14の上部頭頂面14aとアウターリング13の当接面13aとが接触してしまうという課題が生じ得る。しかし、上記の構成を備えることによって、当該課題の解決が可能となる。
以上、説明した通り、本発明に係る攪拌・脱泡装置によれば、曲率の異なる部材同士が角度を持って当接する構成において、当接開始位置から当接終了位置までの間で樹脂弾性リングが圧接されて径方向寸法が減少し、且つ、当接によって樹脂弾性リングに軸方向分力(押動力)が作用した際に、樹脂弾性リングが当接部材間の空間部に生じる隙間から脱落してしまうことが防止できる。また、当該脱落が防止できる結果、樹脂弾性リングの切断も防止することができる。
このように、樹脂弾性リングの脱落・切断が防止できるため、容器ホルダ(および容器)の公転・自転速度をより高速化することが可能となり、効率的な攪拌・脱泡作用を得ることができる。
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。

Claims (6)

  1. 容器を自転させる手段および公転させる手段を備え、該容器を回転させて該容器内に収容された材料の攪拌および脱泡の少なくとも一方を行う攪拌・脱泡装置において、
    複数の容器を各々保持する複数の容器ホルダと、
    前記各容器ホルダを自転可能に支持すると共に、回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該回転軸の周りに公転させる公転部材と、
    前記公転部材を回転駆動する駆動手段と、
    内周部が全ての前記容器ホルダの外周部と当接するように該容器ホルダを取り囲んで配設された環状のアウターリングと、を備え、
    前記容器ホルダと前記アウターリングとは、該容器ホルダの外周部に環状に設けられた凹状溝内に嵌設された樹脂弾性リングと、該アウターリングの内周部に設けられた当接面とが当接するように配設されると共に該アウターリング配設面に対して該容器ホルダの自転軸が所定の角度をなすように配設され、且つ、前記当接を開始する位置から前記当接を終了する位置までにおける該容器ホルダの凹状溝と該アウターリングとの間の隙間が、該アウターリングとの当接により最も圧接された状態における前記樹脂弾性リングの径方向寸法の2分の1以下となるように配設されており、
    前記容器ホルダは、前記公転部材の公転によって、前記回転軸の周りに公転し且つ前記アウターリングから受ける摩擦力によって自転すること
    を特徴とする攪拌・脱泡装置。
  2. 前記アウターリングの当接面は、該アウターリングの内周部に環状に設けられた凸状レールの頭頂面として形成され、
    前記容器ホルダと前記アウターリングとは、該アウターリングの周方向において前記樹脂弾性リングと前記凸状レールの頭頂面とが当接を開始する位置以前から当接を終了する位置以後まで、該頭頂面が前記容器ホルダの凹状溝内に入り込んだ状態となるように配設されていること
    を特徴とする請求項1記載の攪拌・脱泡装置。
  3. 前記容器ホルダは、前記凹状溝の上部頭頂面と前記アウターリングの当接面との間隔が相対的に大きく、前記凹状溝の下部頭頂面と前記アウターリングの当接面との間隔が相対的に小さくなるように設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の攪拌・脱泡装置。
  4. 前記容器ホルダは、前記樹脂弾性リングのつぶししろが径方向寸法の20〜30%となるように前記アウターリングに圧接されて配設されていること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の攪拌・脱泡装置。
  5. 少なくとも前記容器、前記容器ホルダ、前記公転部材、および前記アウターリングが配設されるケースを備え、
    前記ケースは密閉可能に形成され、
    前記ケース内を真空にする真空ポンプをさらに備えること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の攪拌・脱泡装置。
  6. 前記容器は、内壁面に一または複数の凸状部を有すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の攪拌・脱泡装置。

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