JPWO2012117941A1 - 電極活物質、電極、及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
電極活物質は、一般式(I)又は(II)を構成単位中に有している。XはC又はSi、Y1とY2、又はY3とY4は互いに異なる置換基であり、S、O、Se、Te、NH又はSR1′R2′、SR3′R4′から選択される。R1〜R4、R1′〜R4′は所定の置換基である。ZはCH2、CF2、O、S、SO、SO2、Se、又はN−Z′(Z′は水素原子、アルキル基、アリール基又は酸素ラジカル)である。これによりエネルギー密度が大きく高出力で、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好なものを実現する。【選択図】なし
Description
本発明は電極活物質、電極、及び二次電池に関し、より詳しくは電池電極反応を利用して充放電を繰り返す電極活物質、該電極活物質を使用した電極及び二次電池に関する。
携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の携帯用電子機器の市場拡大に伴い、これら電子機器のコードレス電源としてエネルギー密度が大きく高出力化が可能で長寿命の二次電池が待望されている。
そして、このような要求に応えるべく、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体とし、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が開発されている。特に、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が大きく、車載用バッテリーとしても広く普及しつつある。
ところで、二次電池の構成要素のうち電極活物質は、充電反応、放電反応という電池電極反応に直接寄与する物質であり、二次電池の中心的役割を有する。すなわち、電池電極反応は、電解質中に配された電極と電気的に接続された電極活物質に対し電圧を印加することにより、電子の授受を伴って生じる反応であり、電池の充放電時に進行する。したがって、上述したように電極活物質は、システム的には、二次電池の中心的役割を有する。
そして、上記リチウムイオン二次電池では、正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物、負極活物質として炭素材料を使用し、これらの電極活物質に対するリチウムイオンの挿入反応、及び脱離反応を利用して充放電を行っている。
しかしながら、リチウムイオン二次電池は、正極におけるリチウムイオンの移動が律速となるため、充放電の速度が制限されるという問題があった。すなわち、上述したリチウムイオン二次電池では、電解質や負極に比べて正極の遷移金属酸化物中でのリチウムイオンの移動速度が遅く、このため正極での電池反応速度が律速となって充放電速度が制限され、その結果、高出力化や充電時間の短時間化には限界があった。
そこで、このような課題を解決すべく、近年、有機ラジカル化合物や有機イオウ化合物、さらにはキノン化合物を電極活物質に使用した二次電池の研究・開発が盛んに行われている。
例えば、有機ラジカル化合物を電極活物質に使用した先行技術文献としては、特許文献1が知られている。
この特許文献1には、ニトロキシルラジカル化合物、オキシラジカル化合物、及び窒素原子上にラジカルを有する窒素ラジカル化合物を使用した二次電池用活物質が開示されている。
有機ラジカル化合物は、反応する不対電子がラジカル原子に局在化して存在するため、反応部位の濃度を増大させることができ、これにより高容量の二次電池の実現を期待することができる。また、ラジカルは反応速度が速いので、安定ラジカルの酸化還元反応を利用して充放電を行うことにより、充電時間を短時間で完了させることが可能と考えられる。
そして、この特許文献1では、ラジカルとして安定性の高いニトロキシルラジカルを使用した実施例が記載されており、例えば、ニトロニルニトロキシド化合物を含む電極層を正極とし、リチウム貼り合わせ銅箔を負極として二次電池を作製し、繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であることが確認されている。
また、有機イオウ化合物を電極活物質に使用した先行技術文献としては、特許文献2及び3が知られている。
特許文献2には、正極材料である有機イオウ化合物が充電状態でS−S結合を有すると共に、正極の放電時にはS−S結合が開裂し、金属イオンを有する有機イオウ金属塩を形成した新規な金属−イオウ型電池セルが提案されている。
この特許文献2では、有機イオウ化合物として、一般式(1′)で表されるジスルフィド系の有機化合物(以下、「ジスルフィド化合物」という。)を使用している。
R−S−S−R … (1′)
ここで、Rは脂肪族有機基又は芳香族有機基を示し、各々は同一又は異なる場合を含んでいる。
ここで、Rは脂肪族有機基又は芳香族有機基を示し、各々は同一又は異なる場合を含んでいる。
ジスルフィド化合物は、2電子反応が可能であり、還元状態(放電状態)でS-S結合が開裂し、これにより有機チオレート(R−S−)を形成する。そして、この有機チオレートは酸化状態(充電状態)でS−S結合を形成し、一般式(1′)で示すジスルフィド化合物に復元する。つまり、ジスルフィド化合物は結合エネルギーの小さなS−S結合を形成するため、反応による結合と開裂を利用して可逆的な酸化還元反応が生じ、これにより充放電を行うことができる。
また、特許文献3には、次式(2′):
−(NH−CS−CS−NH)…(2′)
で示される構造単位を有し、リチウムイオンと結合可能であるルベアン酸またはルベアン酸ポリマーを含む電池用電極が提案されている。
−(NH−CS−CS−NH)…(2′)
で示される構造単位を有し、リチウムイオンと結合可能であるルベアン酸またはルベアン酸ポリマーを含む電池用電極が提案されている。
一般式(2′)で表されるジチオン構造を含有したルベアン酸又はルベアン酸ポリマーは、還元時にリチウムイオンと結合し、酸化時に前記結合したリチウムイオンを放出する。このようなルベアン酸又はルベアン酸ポリマーの可逆的な酸化還元反応を利用することによって充放電を行うことができる。
この特許文献3では、正極活物質にルベアン酸を使用した場合、2電子反応が可能であり、常温で400Ah/kgの容量密度を有する二次電池を得ている。
また、電極活物質にキノン化合物を使用した先行技術文献としては、特許文献4が知られている。
特許文献4には、オルト位の位置関係で2つのキノン基を有する特定のフェナントレンキノン化合物を含有した電極活物質が提案されている。
特許文献4に記載の特定のフェナントレンキノン化合物は、移動キャリアとの間で、キノン化合物に特有の2電子反応を生じ、可逆的な酸化還元反応を起こすことができる。さらに、前記特定のフェナントレンキノン化合物をオリゴマー化又はポリマー化することによって、電子同士の反発による反応電子数の減少が生じることなく、有機溶媒に対する不溶化を達成している。そして、特許文献4では、フェナントレンキノン2量体が二つの酸化還元電圧(2.9V付近及び2.5V付近)を示し、初回の放電容量が200Ah/kgに達することが示されている。
しかしながら、特許文献1では、ニトロキシルラジカル化合物等の有機ラジカル化合物を電極活物質に使用しているものの、充放電反応は、1つの電子のみが関与する1電子反応に限定されている。すなわち、有機ラジカル化合物の場合、2電子以上の電子が関与する多電子反応を起こさせると、ラジカルが安定性を欠いて分解等が生じ、ラジカルが消失して充放電反応の可逆性が失われる。このため、特許文献1のような有機ラジカル化合物では、1電子反応に限定せざるを得ず、高容量が期待できる多電子反応を実現するのは困難である。
また、特許文献2では、2電子が関与する低分子のジスルフィド化合物が利用されているが、充放電反応に伴って他の分子と結合、開裂を繰り返すため、安定性に欠け、充放電反応を繰り返すと容量が低下してしまうおそれがある。
特許文献3では、ジチオン構造を含有したルベアン酸化合物を使用して2電子反応を生じさせているが、ルベアン酸ポリマーのような高分子化合物を使用した場合は、ルベアン酸ポリマー内の分子間相互作用が大きく、イオンの移動が妨げられる結果、十分な反応速度を得ることができなかった。このため充電に長時間を要していた。また、上述のようにイオンの移動が妨げられるため、有効に利用できる活物質の割合が少なくなり、このため所望の高出力を有する二次電池を実現するのは困難な状況にあった。
特許文献4は、オルト位の位置関係で2つのキノン基を有するフェナントレンキノン化合物を電極活物質に使用しているため、安定性には優れているものの、縮環系化合物であるために合成が難しく、容量密度も小さい。
このように従来では、有機ラジカル化合物やジスルフィド化合物、ルベアン酸などの有機化合物を電極活物質に使用したとしても、多電子反応と充放電サイクルに対する安定性を両立させることは難しく、したがって、未だ十分に大きなエネルギー密度を有し、高出力でサイクル特性が良好で長寿命の電極活物質を実現できていないのが現状である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、エネルギー密度が大きく高出力で、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好な電極活物質、この電極活物質を使用した電極及び二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、置換基YがC及びSiのうちのいずれかの特定元素Xに二重結合した原子団X=Yを複数有する有機化合物は、電気化学的に活性な二重結合を複数有することから、高容量密度化が可能となる。そして、複数の原子団X=Y中の置換基Yを互いに異ならせることにより、複数の充放電反応が段階的に進行し、これにより、酸化還元反応で副反応が生じにくくなり、その結果、充放電時の安定性を向上させることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る電極活物質は、電池電極反応によって充放電を繰り返す二次電池の活物質として使用される電極活物質であって、一般式
で表わされる有機化合物を主体とすることを特徴としている。
ここで、式中、XはC及びSiのいずれか一方であり、Y1及びY2は、S、O、Se、Te、NH及びSR1′R2′の中から選択された互いに異なる置換基であり、R1、R2、R1′、及びR2′は、水素原子、水酸基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のチオアリール基、置換若しくは無置換のチオアルキル基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換のホルミル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のスタンニル基、置換若しくは無置換のシアノ基、置換若しくは無置換のニトロ基、置換若しくは無置換のニトロソ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のイミノ基、置換若しくは無置換のカルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子の少なくともいずれか1種を示し、これらR1、R2、R1′、及びR2′は同一の場合を含み、互いに連結して飽和若しくは不飽和の環を形成する場合を含んでいる。
また、本発明に係る電極活物質は、電池電極反応によって充放電を繰り返す二次電池の活物質として使用される電極活物質であって、一般式
で表わされる有機化合物を主体とすることを特徴としている。
ここで、式中、XはC及びSiのいずれか一方であり、Y3及びY4は、S、O、Se、Te、NH及びSR3′R4′の中から選択された互いに異なる置換基であり、R3、R4、R3′、及びR4′は、水素原子、水酸基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のチオアリール基、置換若しくは無置換のチオアルキル基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換のホルミル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のスタンニル基、置換若しくは無置換のシアノ基、置換若しくは無置換のニトロ基、置換若しくは無置換のニトロソ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のイミノ基、置換若しくは無置換のカルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子の少なくともいずれか1種を示し、これらR3、R4、R3′、及びR4′は同一の場合を含み、互いに連結して飽和若しくは不飽和の環を形成する場合を含み、ZはCH2、CF2、O、S、SO2、Se、及びN−Z′(Z′は一つ以上の水素原子、アルキル基、アリール基 及び酸素ラジカルの中から選択された少なくとも1種又はこれらの組み合わせを示す。)の中から選択された少なくとも1種又はこれらの組み合わせを示している。
また、本発明に係る電極は、上記いずれかに記載の電極活物質と導電性物質とを含有していることを特徴としている。
また、本発明に係る二次電池は、上記いずれかに記載の電極活物質が、電池電極反応の少なくとも放電反応における反応出発物、生成物及び中間生成物のうちのいずれかに含まれることを特徴としている。
また、本発明に係る二次電池は、正極、負極、及び電解質を有し、前記正極が、上記いずれかに記載の電極活物質を含有していることを特徴としている。
本発明の電極活物質によれば、置換基YがC及びSiのいずれか一方からなる特定元素Xに二重結合し、かつ前記置換基Yが互いに異なる複数の原子団X=Yを構成単位中に含有する有機化合物を主体としているので、複数の充放電反応が段階的に進行する。そしてこれにより酸化還元反応で副反応が生じにくくなり、その結果、充放電時の安定性を向上させることができる。しかも電気化学的に活性でリチウムイオン等のカチオンとの反応性に富んだ二重結合を複数導入しているので、充放電効率が良好で高容量密度化が可能となる。その結果、充放電時の安定性が向上したエネルギー密度の大きな電極活物質を得ることができる。
また、置換基Yの異なる原子団X=Y3と原子団X=Y4との間に所定の連結基Zを介在させるのが好ましい。これにより、原子団間の分子間相互作用が弱められ、充放電反応時には容易にイオンが移動する。したがって、充放電反応が円滑に進行し、短時間での充電が可能になる。そして、このように充放電反応が円滑に進行することから、有効に利用できる電極活物質の割合が多くなり、高出力での放電が可能となる。
また、本発明の電極によれば、上記いずれかに記載の電極活物質と導電性物質とを含有しているので、充放電効率が良好であって短時間で充電ができ、かつ高出力化が可能な電極を得ることができる。
さらに、本発明の二次電池によれば、上記いずれかに記載の電極活物質が、電池電極反応の少なくとも放電反応における反応出発物、生成物及び中間生成物のうちのいずれかに含まれるので、エネルギー密度が大きく、迅速に充電でき、高出力での放電が可能で充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性が良好で電池特性の安定した長寿命の二次電池を得ることが可能となる。
しかも、電極活物質が上述した有機化合物を主体としているため、環境負荷も低く安全性にも配慮した二次電池を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の電極活物質は、置換基YがC及びSiのいずれか一方からなる特定元素Xに二重結合し、かつ前記置換基Yが互いに異なる複数の原子団X=Yを構成単位中に含有した有機化合物を主体としている。そしてこれによりエネルギー密度が大きく、充放電効率が高く、高出力での放電が可能で充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性が良好で電池特性の安定した長寿命の二次電池を得ることが可能となる。
すなわち、上記電極活物質の主体となる有機化合物は、複数の原子団X=Y中、反応に寄与する置換基Yが互いに異なることから、複数の充放電反応が段階的に進行し、これにより酸化還元反応時に副反応が生じにくくなり、その結果充放電時の安定性を向上させることができる。
しかも、電気化学的に活性な二重結合を複数導入しているので、リチウムイオン等のカチオンとの反応性に富み、充放電効率が高くて高容量密度の電極活物質を得ることができる。
したがって、このような電極活物質を使用した二次電池は、充放電時の安定性が向上し、エネルギー密度が大きく、高出力での放電が可能で充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性が良好で電池特性の安定した長寿命の二次電池を得ることが可能となる。
そして、置換基Yの異なる複数の原子団X=Yを構成単位中に含有する有機化合物(第1の実施の形態)としては、例えば、一般式(1)に示すものを挙げることができる。
ここで、XはC及びSiのいずれか一方であり、Y1及びY2は、S、O、Se、Te、NH及びSR1′R2′の中から選択された互いに異なる置換基を示している。
また、R1、R2、R1′、及びR2′は、水素原子、水酸基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のチオアリール基、置換若しくは無置換のチオアルキル基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換のホルミル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のスタンニル基、置換若しくは無置換のシアノ基、置換若しくは無置換のニトロ基、置換若しくは無置換のニトロソ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のイミノ基、置換若しくは無置換のカルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子の少なくともいずれか1種を示している。さらに、これらR1、R2、R1′、及びR2′は同一の場合を含み、互いに連結して飽和若しくは不飽和の環を形成する場合を含んでいる。
下記化学反応式(1−I)〜(1−III)は、上記一般式(1)に示す有機化合物を電極活物質に使用し、Liを電解質塩のカチオンに使用した場合に予想される充放電反応の一例を示している。
上記電極活物質は、電池電極反応に伴って錯塩を生成し、充放電時には(1−I)、(1−II)、(1−III)に示す3つの酸化還元反応が進行する。
このように本実施の形態では、置換基が互いに異なる原子団X=Y1と原子団X=Y2を構成単位中に有することによって、複数の充放電反応は段階的に進行し、これにより酸化還元反応時に副反応が起こり難くなり、その結果、エネルギー密度が大きく、安定性に優れた電極活物質を得ることが可能となる。
そして、上記一般式(1)の範疇に含まれる化合物としては、例えば、化学式(1a)〜(1c)で表されるものを挙げることができる。
尚、上記電極活物質を構成する有機化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、分子量が小さい低分子の場合は、電解質に容易に溶解するおそれがあり、このため高分子であるのが好ましい。ただし、本発明が所望する効果の出現は、原子団X=Y1及び原子団X=Y2の反応性に依存しており、これらの原子団以外の部分が大きくなると単位質量あたりに蓄電できる容量、すなわち容量密度が小さくなる。
また、前記有機化合物の第2の実施の形態としては、置換基Yの異なる原子団X=Y3と原子団X=Y4との間に連結基Zを介在させた一般式(2)に示すものを挙げることができる。
ここで、Y3及びY4は、Y1及びY2と同様、S、O、Se、Te、NH及びSR3′R4′の中から選択された互いに異なる置換基を示している。
また、R3、R4、R3′、及びR4′は、R1、R2、R1′、及びR2′と同様、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のチオアリール基、置換若しくは無置換のチオアルキル基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換のホルミル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のスタンニル基、置換若しくは無置換のシアノ基、置換若しくは無置換のニトロ基、置換若しくは無置換のニトロソ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のイミノ基、置換若しくは無置換のカルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子の少なくともいずれか1種を示している。さらに、これらR3、R4、R3′、及びR4′は同一の場合を含み、互いに連結して飽和若しくは不飽和の環を形成する場合を含んでいる。
また、ZはCH2、CF2、O、S、SO2、Se、及びN−Z′(Z′は一つ以上の水素原子、アルキル基、アリール基 及び酸素ラジカルの中から選択された少なくとも1種又はこれらの組み合わせを示す。)の中から選択された少なくとも1種又はこれらの組み合わせを示している。
このように本第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態が奏する効果に加え、原子団X=Y3と原子団X=Y4との間に連結基Zを介在させることにより、原子団間の分子間相互作用がより一層弱められ、充放電反応時におけるイオンの移動がより促進され、充放電反応がより円滑に進行することから、より一層の高出力化が可能となる。
下記化学反応式(2−I)、(2−II)は、上記一般式(2)に示す有機化合物を電極活物質に使用し、Liを電解質塩のカチオンに使用した場合に予想される充放電反応の一例を示している。
上記電極活物質は、電池電極反応に伴って錯塩を生成し、充放電時には(2−I)及び(2−II)に示す2つの酸化還元反応が進行する。
このように本実施の形態では、置換基が互いに異なる原子団X=Y3と原子団X=Y4によって充放電反応は段階的に進行し、これにより酸化還元反応時に副反応が生じ難くなる。そしてこれによりエネルギー密度が大きく、安定性に優れた二次電池を得ることが可能となる。
そして、上記一般式(2)の範疇に含まれる化合物としては、例えば、化学式(2a)〜(2d)で表されるものを挙げることができる。
尚、上記電極活物質を構成する有機化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、第1の実施の形態と同様、分子量が小さい低分子の場合は、電解質に容易に溶解するおそれがあり、このため高分子であるのが好ましい。ただし、本発明が所望する効果の出現は、原子団X=Y3及び原子団X=Y4の反応性に依存しており、これらの原子団以外の部分が大きくなると単位質量あたりに蓄電できる容量、すなわち容量密度が小さくなる。
尚、上述した有機化合物の重合体として利用する場合には分子量や分子量分布は特に限定されない。
次に、上記電極活物質を使用した二次電池について詳述する。
図1は、本発明に係る二次電池の一実施の形態としてのコイン型二次電池を示す断面図であって、本実施の形態では、本発明の電極活物質を正極活物質に使用している。
電池缶1は、正極ケース2と負極ケース3とを有し、該正極ケース2及び負極ケース3は、いずれも円盤状の薄板形状に形成されている。正極集電体を構成する正極ケース2の底部中央には、正極活物質(電極活物質)及び導電性補助剤(導電性物質)を含有した混合物をシート状に成形した正極4が配されている。そして、正極4上には微多孔膜、織布、不織布などの多孔性のシートまたはフィルムで形成されたセパレータ5が積層され、さらにセパレータ5には負極6が積層されている。負極6としては、例えば、ステンレス箔や銅箔にリチウムの金属箔を重ね合わせたものや、黒鉛やハードカーボン等のリチウム吸蔵材料を銅箔に塗布したものを使用することができる。負極6には金属からなる負極集電体7が積層されるとともに、該負極集電体7には金属製ばね8が載置されている。そして、電解質9が内部空間に充填されると共に、負極ケース3は金属製ばね8の付勢力に抗して正極ケース2に固着され、ガスケット10を介して封止されている。
次に、上記二次電池の製造方法の一例を詳述する。
まず、電極活物質を電極形状に形成する。例えば、電極活物質を導電補助剤、及び結着剤と共に混合し、溶媒を加えてスラリーとし、該スラリーを正極集電体上に任意の塗工方法で塗工し、乾燥することにより正極を形成する。
ここで、導電補助剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素繊維、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子などを使用することができる。また、導電補助剤を2種類以上混合して用いることもできる。尚、導電補助剤の正極4中の含有率は10〜80質量%が望ましい。
また、結着剤も特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等の各種樹脂を使用することができる。
さらに、溶媒についても、特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等の塩基性溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、アセトン等の非水溶媒、メタノール、エタノール等のプロトン性溶媒、さらには水等を使用することができる。
また、有機溶剤の種類、有機化合物と有機溶剤との配合比、添加剤の種類とその添加量等は、二次電池の要求特性や生産性等を考慮し、任意に設定することができる。次いで、この正極4を電解質9に含浸させて該正極4に前記電解質9を染み込ませ、その後、正極集電体を構成する正極ケース2の底部中央の正極4を載置する。次いで、前記電解質9を含浸させたセパレータ5を正極4上に積層し、さらに負極6及び負極集電体7を順次積層し、その後内部空間に電解質9を注入する。そして、負極集電体7上に金属製ばね8を載置すると共に、ガスケット10を周縁に配し、かしめ機等で負極ケース3を正極ケース2に固着して外装封止し、これによりコイン型二次電池が作製される。
尚、上記電解質9は、正極4と該正極4の対向電極である負極6との間に介在して両電極間の荷電担体輸送を行うが、このような電解質9としては、室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導度を有するものを使用することができ、例えば、電解質塩を有機溶剤に溶解させた電解液を使用することができる。
ここで、電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等を使用することができる。
また、有機溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等を使用することができる。
また、電解質9には、固体電解質を使用してもよい。固体電解質に用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリロニトリル系重合体、さらにはポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びこれらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体等を挙げることができる。また、これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを電解質9として使用したり、或いは電解質塩を含有させた高分子化合物のみをそのまま電解質9に使用してもよい。
このように本発明の電極は、上述した電極活物質と導電性物質とを含有しているので、充放電効率が良好であって短時間で充電ができ、かつ高出力化が可能となる。
また、二次電池の電極活物質は、充放電により可逆的に酸化又は還元されるため、充電状態、放電状態、あるいはその途中の状態で異なる構造、状態を有するが、本実施の形態では、前記電極活物質は、少なくとも放電反応における反応出発物(電池電極反応で化学反応を起こす物質)、生成物(化学反応の結果生じる物質)、及び中間生成物のうちのいずれかに含まれている。そしてその結果、エネルギー密度が大きく、迅速に充電でき、高出力での放電が可能で充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性が良好で電池特性の安定した長寿命の二次電池を得ることが可能となる。
また、本発明の二次電池は、放電反応が少なくとも2つ以上の放電電圧を有しており、これにより複数の電圧に跨る高容量密度の二次電池を実現することができる。
しかも、電極活物質が有機化合物を主体としているため、環境負荷も低く安全性にも配慮した二次電池を得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、電極活物質の主体となる有機化合物についても、上記列挙した化学式(1a)〜(1c)、(2a)〜(2d)はその一例であって、これらに限定されるものではない。すなわち、置換基YがC及びSiのいずれか一方からなる特定元素Xに二重結合し、かつ前記置換基Yが互いに異なる複数の原子団X=Yを構成単位中に含有していれば、上記化学反応式(1−I)〜(1−III)又は(2−I)〜(2−II)と同様、電池電極反応が段階的に進行するので、副反応が生じることもなく充放電反応の安定性が向上し、エネルギー密度が大きく、安定性に優れた所望の二次電池を得ることが可能となる。
また、本実施の形態では、コイン型二次電池について説明したが、電池形状は特に限定されるものでないのはいうまでもなく、円筒型、角型、シート型等にも適用できる。また、外装方法も特に限定されず、金属ケースや、モールド樹脂、アルミラミネートフィルム等を使用してもよい。
また、本実施の形態では、電極活物質を正極活物質に使用したが、負極活物質に使用するのも有用である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
尚、以下に示す実施例は一例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[二次電池の作製]
化学式(1a)で表わされる2−ベンジルアミノ−N−(4−メチルフェニル)−2−チオキソアセトアミド(以下、「化合物A」という。)を用意した。
化学式(1a)で表わされる2−ベンジルアミノ−N−(4−メチルフェニル)−2−チオキソアセトアミド(以下、「化合物A」という。)を用意した。
そして、正極活物質(電極活物質)としての化合物A:100mg、導電補助剤としてのグラファイト粉末:600mg、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン:100mgをそれぞれ秤量し、均一に混合しながら混練し、混合物を作製した。次いで、この混合物を加圧成形し、厚さ約150μmのシート状部材を得た。この後、このシート状部材を真空中70℃で1時間乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜き、化合物Aを含有した正極を作製した。次に、正極を電解液に含浸させ、正極中の空隙に電解液を染み込ませた。ここで、電解液としては、LiPF6(電解質塩)のモル濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を有機溶剤であるエチレンカーボネート/ジエチルカーボネートに溶解させた混合溶液を使用した。尚、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合比率は、体積%でエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=30:70とした。
次に、この正極を、正極集電体上に載置し、さらに前記電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムからなる厚さ20μmのセパレータを前記正極上に積層し、さらにステンレス製集電板の両面にリチウムを貼付した負極をセパレータ上に積層した。そして、集電体上に金属製ばねを載置すると共に、周縁にガスケットを配した状態で負極ケースを正極ケースに接合し、かしめ機によって外装封止して、正極活物質として化合物A、負極活物質として金属リチウムを有する密閉型のコイン型電池を作製した。
[二次電池の動作確認]
以上のように作製したコイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vになるまで放電を行った。その結果、この電池は、充放電電圧1.8〜3.8Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.21mAhの二次電池であることが確認された。
以上のように作製したコイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vになるまで放電を行った。その結果、この電池は、充放電電圧1.8〜3.8Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.21mAhの二次電池であることが確認された。
その後、1.5〜4.2Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返した。その結果、10サイクル後においても初期の50%以上となり、充放電を繰り返しても容量低下が少ない長サイクル寿命の二次電池であることが分かった。
化学式(1c)で表わされるチオオキサム酸エチル(以下、「化合物B」という。)を用意した。
そして、実施例1の化合物Aに代えて、上記化合物Bを正極活物質に使用した以外は、実施例1と同様の方法でコイン型電池を作製した。
[二次電池の動作確認]
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量1.17mAhの二次電池であることが確認された。
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量1.17mAhの二次電池であることが確認された。
その後、1.5〜4.2Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返した。その結果、10サイクル後においても初期の50%以上となり、充放電を繰り返しても容量低下が少ない長サイクル寿命の二次電池であることが分かった。
[二次電池の作製]
化学式(2a)で表わされるグアニルチオ尿素(以下、「化合物C」という。)を用意した。
化学式(2a)で表わされるグアニルチオ尿素(以下、「化合物C」という。)を用意した。
そして、実施例1の化合物Aに代えて、上記化合物Cを正極活物質に使用した以外は、実施例1と同様の方法でコイン型電池を作製した。
[二次電池の動作確認]
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.61mAhの二次電池であることが確認された。
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.61mAhの二次電池であることが確認された。
その後、1.5〜4.2Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返した。その結果、10サイクル後においても初期の50%以上となり、充放電を繰り返しても容量低下が少ない長サイクル寿命の二次電池であることがわかった。
[二次電池の作製]
化学式(2b)で表わされる1−アセチル−2−チオ尿素(以下、「化合物D」という。)を用意した。
化学式(2b)で表わされる1−アセチル−2−チオ尿素(以下、「化合物D」という。)を用意した。
そして、実施例1の化合物Aに代えて、上記化合物Dを正極活物質に使用した以外は、実施例1と同様の方法でコイン型電池を作製した。
[二次電池の動作確認]
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5 Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧1.8〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.90mAhの二次電池であることが確認された。
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5 Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧1.8〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.90mAhの二次電池であることが確認された。
その後、1.5〜4.2Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返した。その結果、10サイクル後においても初期の50%以上となり、充放電を繰り返しても容量低下が少ない長サイクル寿命の二次電池であることが分かった。
[有機化合物の合成]
下記の合成スキーム(A)に従い、グアニルチオ尿素のホルムアルデヒド縮合物(以下、「化合物E」という。)を合成した。
下記の合成スキーム(A)に従い、グアニルチオ尿素のホルムアルデヒド縮合物(以下、「化合物E」という。)を合成した。
まず、グアニルチオ尿素:3.5gを50mLの純水に溶解させ、80℃の温度で撹拌しながら、10mLの37%ホルムアルデヒド液を滴下した。滴下後12時間撹拌を続け、グアニルチオ尿素(2d′)とホルムアルデヒド(2d″)の縮合反応を行った。このようにして得られたグアニルチオ尿素−ホルムアルデヒド縮合物(2d)をろ別し、純水で洗浄した後、乾燥し、化合物Eの褐色固体を得た。
[二次電池の作製]
実施例1の化合物Aに代えて、上記化合物Eを300mg秤量し、この化合物Eを正極活物質に使用した以外は、実施例1と同様の方法でコイン型電池を作製した。
実施例1の化合物Aに代えて、上記化合物Eを300mg秤量し、この化合物Eを正極活物質に使用した以外は、実施例1と同様の方法でコイン型電池を作製した。
[二次電池の動作確認]
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.30mAhの二次電池であることが確認された。
上記コイン型電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電を行った。その結果、この電池は充放電電圧2.0〜3.0Vに複数の電圧平坦部を有する放電容量0.30mAhの二次電池であることが確認された。
その後、1.5〜4.2Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返した。その結果、10サイクル後においても初期の50%以上となり、充放電を繰り返しても容量低下が少ない長サイクル寿命の二次電池であることがわかった。
エネルギー密度が大きく高出力で、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性が良好で安定した二次電池を実現する。
4 正極
6 負極
9 電解質
6 負極
9 電解質
Claims (5)
- 電池電極反応によって充放電を繰り返す二次電池の活物質として使用される電極活物質であって、
一般式
で表わされる有機化合物を主体としていることを特徴とする電極活物質。 - 電池電極反応によって充放電を繰り返す二次電池の活物質として使用される電極活物質であって、
一般式
で表わされる有機化合物を主体としていることを特徴とする電極活物質。 - 請求項1又は請求項2記載の電極活物質と導電性物質とを含有していることを特徴とする電極。
- 請求項1又は請求項2記載の電極活物質が、電池電極反応の少なくとも放電反応における反応出発物、生成物及び中間生成物のうちのいずれかに含まれることを特徴とする二次電池。
- 正極、負極、及び電解質を有し、前記正極が、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電極活物質を含有していることを特徴とする二次電池。
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