JP2010113840A - 電極活物質及び電池 - Google Patents

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Nao Akutagawa
奈緒 芥川
Masaharu Sato
正春 佐藤
Koichi Watanabe
浩一 渡辺
Kenji Furukawa
健治 古川
Takahisa Yamamoto
隆久 山本
Yozo Miura
洋三 三浦
Takuya Koizumi
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Abstract

【課題】エネルギー密度が大きく高出力で、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好な電極活物質及び電池を実現する。
【解決手段】下記化学式に示すように、ニトロニルニトロキシラジカルを有する2つの五員環が芳香族環の側鎖に結合されている。ニトロキシラジカルに隣接する炭素原子にはメチル基等の電子供与性置換基R、R、R′、R′が接続されている。
Figure 2010113840

【選択図】なし

Description

本発明は電極活物質及び電池に関し、より詳しくは有機ラジカル化合物を使用した電極活物質、及び該電極活物質の電池電極反応を利用して充放電を繰り返す二次電池等の電池に関する。
携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の携帯用電子機器の市場拡大に伴い、これら電子機器のコードレス電源としてエネルギー密度が大きく長寿命の二次電池が待望されている。
そして、このような要求に応えるべく、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体とし、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が開発されている。特に、エネルギー密度の大きなリチウムイオン二次電池は、現在では広く普及している。
二次電池の構成要素のうち電極活物質は、充電反応、放電反応という電池電極反応に直接寄与する物質であり、二次電池の中心的役割を有する。すなわち、電池電極反応は、電解質中に配された電極と電気的に接続された電極活物質に対し電圧を印加することにより、電子の授受を伴って生じる反応であり、電池の充放電時に進行する。したがって、上述したように電極活物質は、システム的には、二次電池の中心的役割を有する。
そして、上記リチウムイオン二次電池では、正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物、負極活物質として炭素材料を使用し、これらの電極活物質に対するリチウムイオンの挿入反応、及び脱離反応を利用して充放電を行っている。
しかしながら、リチウムイオン二次電池は、正極におけるリチウムイオンの移動が律速となるため、充放電の速度が制限されるという問題があった。すなわち、上述したリチウムイオン二次電池では、電解質や負極に比べて正極の遷移金属酸化物中でのリチウムイオンの移動速度が遅く、このため正極での電池反応速度が律速となって充放電速度が制限され、その結果、高出力化や充電時間の短時間化には限界があった。
そこで、このような課題を解決すべく、近年、有機ラジカル化合物を使用した電極活物質の研究・開発が盛んに行われている。
有機ラジカル化合物は、電子軌道の最外殻に不対電子であるラジカルを有している。そして、このラジカルは、一般には反応性に富んだ化学種であり、周囲の物質との相互作用によって、ある程度の寿命をもって消失するものが多いが、共鳴効果や立体障害、溶媒和の状態によっては安定したものとなる。
そして、ラジカルは反応速度が速いので、安定ラジカルの酸化還元反応を利用して充放電を行うことにより、充電時間を短時間で完了させることが可能となる。また、有機ラジカル化合物は、反応する不対電子がラジカル原子に局在化して存在するため、反応部位の濃度を増大させることができ、これにより高容量の二次電池の実現を期待することができる。
さらに、有機ラジカル化合物は、ラジカルのみが反応に寄与するため、サイクル特性が電極活物質の拡散に依存しない安定性に優れた二次電池を得ることが可能と考えられる。また、有機ラジカル化合物は、一般には、炭素や水素、酸素、窒素などの原子量の小さな元素を構成要素とするので、電池の軽量化を図りつつ、容量密度の大きな二次電池を得ることも可能となる。
そして、特許文献1には、ニトロキシルラジカル化合物、オキシラジカル化合物、及び窒素原子上にラジカルを有する窒素ラジカル化合物を使用した二次電池用活物質が開示されている。
この特許文献1では、ラジカルとして安定性の高いニトロキシルラジカルを使用した実施例が記載されており、例えば、ニトロニルニトロキシド化合物を含む電極層を正極とし、リチウム張り合わせ銅箔を負極として二次電池を作製し、繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であることが確認されている。
また、特許文献2には、環状ニトロキシルラジカルからなる化合物を電極活物質とする蓄電デバイスが開示されている。
この特許文献2では、5員環〜6員環からなる環状ニトロキシルラジカル化合物を含む電極層を正極とし、リチウム金属板を負極として蓄電デバイスを作製し、充電を4.0V、放電を3.0Vになるまで繰り返し充放電したところ、サイクルを100回繰り返しても容量は減少しなかったことが確認されている。
特開2004−207249号公報(段落番号〔0278〕〜〔0282〕) 特開2002−304996号公報(段落番号〔0057〕〜〔0072〕)
しかしながら、特許文献1や特許文献2では、ニトロキシルラジカル化合物等の有機ラジカル化合物を電極活物質に使用しているものの、充放電反応は、一つの電子のみが関与する一電子反応に限定されていた。その理由は、二電子以上の電子が関与する多電子反応を起こさせると、ラジカルが安定性を欠いて分解等が生じ、ラジカルが消失して充放電反応の可逆性が失われるためである。
このように従来では、有機ラジカル化合物を電極活物質に使用したとしても、一電子反応に限定されていたため、取得できる容量密度にも限界があり、したがって、未だ十分に大きなエネルギー密度を有し、高出力でサイクル特性が良好で長寿命の電極活物質を実現できていないのが現状である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、エネルギー密度が大きく高出力で、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好な電極活物質及び電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するためにニトロニルニトロキシラジカルを有する有機ラジカル化合物について鋭意研究を行ったところ、前記ニトロニルニトロキシラジカルを有する五員環を構成単位中に2つ以上含有させることにより、多電子反応を行ってもラジカルが消失することなく持続的に反応に関与させることができ、これにより充放電反応を繰り返し行って容量低下を抑制できるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る電極活物質は、下記化学式
Figure 2010113840
で表されるニトロニルニトロキシラジカルを有する五員環を単位構造中に2つ以上含む有機化合物を主体としていることを特徴としている。
また、本発明の電極活物質は、前記五員環を構成する炭素原子のうち、前記ニトロニルニトロキシラジカルのニトロキシラジカルに隣接する炭素原子には電子供与性置換基が結合されていることを特徴としている。
さらに、本発明の電極活物質は、前記電子供与性置換基が、メチル基であることを特徴としている。
また、本発明の電極活物質は、前記有機化合物が、少なくとも一つ以上の芳香族環を有し、前記五員環は、前記芳香族環に結合されていることを特徴としている。
さらに、本発明の電極活物質は、前記有機化合物は、1.2〜4.2Vvs.Li/Liの範囲に2つ以上の酸化還元電位を有することを特徴としている。
また、本発明に係る電池は、上述した電極活物質が、前記電池電極反応の少なくとも放電反応における反応出発物、生成物及び中間生成物のうちのいずれかに含まれることを特徴としている。
また、本発明の電池は、前記放電反応が、少なくとも2つ以上の放電電圧を有することを特徴としている。
さらに、本発明の電池は、正極、負極、及び電解質を有し、前記正極が、前記電極活物質を主体としていることを特徴としている。
本発明の電極活物質によれば、ニトロニルニトロキシラジカルを有する五員環を構成単位中に2つ以上含む有機化合物を主体としているので、ラジカルが安定化し、多電子反応を生じさせてもラジカルが消失することなく、充放電反応における可逆性を確保することができる。したがって、分子量が小さくても大きな容量密度を得ることが可能となり、これによりエネルギー密度が大きく、充放電を繰り返しても容量低下の少ない二次電池を実現することが可能となる。
また、本発明の電極活物質は、前記五員環を構成する炭素原子のうち、前記ニトロニルニトロキシラジカルのニトロラジカルに隣接する炭素原子には電子供与性置換基(メチル基)が結合されているので、ラジカルをより効果的に安定させることができる。したがってラジカルを利用した酸化還元反応を安定して進行させることができ、多電子反応を容易に行うことができる。
また、前記有機化合物が、1.2〜4.2Vvs.Li/Liの範囲に2つ以上の酸化還元電位を有するので、多電子反応により一電子反応を利用する二次電池に比べて2倍以上の容量密度を得ることができ、より大きなエネルギー密度を有する高出力の二次電池を得ることが可能となる。また、本発明の電極活物質に使用される有機化合物は、酸化還元反応を繰り返しても安定で電解質に対する溶解性も小さいので、充放電を繰り返しても容量低下が少なく、長寿命でサイクル特性の良好な二次電池を得ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
下記化学式(1)は、本発明に係る電極活物質の一実施の形態を示している。
Figure 2010113840
すなわち、本電極活物質に使用される有機化合物は、下記化学式(1a)で表されるニトロニルニトロキシラジカルを単位構造中に2つ有している。
Figure 2010113840
ニトロニルニトロキシルラジカルは、ニトロニル基とニトロキシルラジカルとが炭素原子を介して結合されている。そして、ニトロニル基は、酸素原子と窒素原子がそれぞれイオン化した状態で存在し、ニトロキシルラジカルは、酸素原子と窒素原子の結合したニトロキシド基の酸素原子が不対電子、すなわちラジカルを有している。そして、ニトロキシルラジカルは窒素原子の電子吸引性により、酸素原子上のラジカルを安定化させることができ、したがってラジカル安定性に優れているという利点を有する。
しかしながら、ニトロニルニトロキシラジカルが単位構造中に1つしか含まれていない場合、多電子反応を生じさせると、電子の授受により、例えば、下記化学反応式(A)の(I)に示すように、ラジカルは2つのNOに挟まれた炭素原子上に移動する可能性がある。
そして、(I)の位置に移動したラジカルは安定性を失い、ベンゼン環の側鎖を順次移動し、(II)に示すように、最後にはパラ位に移動して短時間で消失してしまい、その結果、可逆的な充放電反応を遂行できなくなる。
Figure 2010113840
すなわち、構成単位中に一つのニトロキシラジカルを有することにより、最初は多電子反応も可能であるが、反応過程でラジカルが不安定となり、充放電を繰り返すと短時間で消失してしまうため、充放電を繰り返して行うことができなくなる。
このため本実施の形態では、単位構造中に2つのニトロニルニトロキシラジカルを含有させ、多電子反応時にラジカルが消失しないように該ラジカルの安定化を図っている。
また、ニトロニルニトロキシラジカルは炭素原子を介して五員環を形成している。すなわち、五員環は、六員環とは異なり平面構造を有しているので、ラジカルの安定化に寄与する。
また、上記化学式(1)中、ニトロキシラジカルに隣接する炭素原子の結合子には電子供与性置換基としてのR、R、R′、R′が結合されている。ここで、R、R、R′、R′を電子供与性置換基で形成したのは、R、R、R′、R′が脱離し易い基、例えば水素で形成した場合、ラジカルの相互作用により脱離反応が生じてラジカルが消失してしまうおそれがあるためである。
そして、このような電子供与性置換基としては、脱離し難い嵩高い置換基が好ましいが、過度に嵩高い置換基を使用した場合は炭素原子の2つの結合子に結合させるのが困難になる。このため比較的嵩の低いメチル基が好ましい。
尚、R、R、R′、R′は、特に限定されるものではなく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基などの任意の置換基を使用することができる。ただし、分子量が低いほど容量密度を大きくすることができることから、分子量の低い水素原子やメチル基が好ましい。
さらに、上記化学式(1)で示す有機化合物は、ベンゼン環(芳香族環)を有し、前記五員環はベンゼン環のパラ(−p)位に接続されている。すなわち、共鳴効果を有するベンゼン環を単位構造中に含み、かつ五員環をベンゼン環の側鎖に結合させることにより、ラジカルはより安定したものとなり、充放電反応を繰り返し行っても、容量低下の少ない高出力でエネルギー密度の大きな電極活物質を得ることが可能となる。
そして、上記各電極活物質は、充放電反応を起こさせると、下記化学反応式(B)に示すように、電子の授受により(I)〜(IV)の状態を有し、これにより多電子反応を安定して遂行させることができる。
Figure 2010113840
すなわち、ニトロニルキシルラジカルでは、一段階の酸化反応((I)→(II))と二段階の還元反応((I)→(III)、(III)→(IV))を有し、各反応過程で充放電電圧を有することとなる。
このように本実施の形態に係る電極活物質の主体となる有機化合物は、下記要件(i)〜(iv)を満たしている。
(i)ニトロニルニトロキシラジカルを単位構造中に2つ以上有している
(ii)ニトロニルニトロキシラジカルは炭素原子と環状に結合して五員環を形成している
(iii)ニトロキシラジカルに隣接する炭素原子の2つの結合子にはメチル基に代表される電子供与性置換基が結合している
(iv)単位構造中にベンゼン環を有し、前記五員環はベンゼン環に結合している
そして、上述したように、これら(i)〜(iv)の要件を具備することにより、安定した多電子反応が可能であり、エネルギー密度が大きく、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好な長寿命の二次電池を実現することが可能となる。さらに、ラジカルは反応速度が速いため、充電時間の短縮化も可能である。
また、本発明では、上記電極活物質を構成する有機化合物が、1.2〜4.2Vvs.Li/Liの範囲に2つ以上の酸化還元電位を有しているので、エネルギーの異なる2つ以上の反応が生じることとなる。したがって、電池電極反応に関与する電子数も1電子の場合に比べ2倍以上となるので、容量密度も1電子の場合に比べ2倍以上となり、これによりエネルギー密度が大きく、大容量かつ高出力の二次電池を得ることが可能となる。
尚、2つ以上の酸化還元電位を生じさせる範囲を1.2〜4.2Vvs.Li/Liとしたのは、酸化還元電位が1.2Vvs.Li/Li未満では、エネルギー密度が小さく、実用化が困難であり、一方、酸化還元電位が4.2Vvs.Li/Liを超える領域では、電解質の劣化が激しく、二次電池としての安定性を欠くからである。
このように本発明の電極活物質は、二次電池として安定して駆動する範囲で、2つ以上の酸化還元電位を有する。
また、上述した本発明の電極活物質は、酸化還元反応を繰り返しても安定で電解質に対する溶解性も小さいので、充放電を繰り返しても容量低下が少なく、長寿命でサイクル特性の良好な二次電池を得ることが可能となる。
化学式(2)〜(5)は他の実施の形態を示している。
Figure 2010113840
Figure 2010113840
Figure 2010113840
Figure 2010113840
化学式(2)はニトロニルニトロキシラジカルを有する2つの五員環が、ベンゼン環のメタ(−m)位に結合されている。また、化学式(3)はニトロニルニトロキシラジカルを有する2つの五員環が、ベンゼン環のオルト(−o)位に結合されている。また、化学式(4)は、2つのベンゼン環が単結合で接続されたビフェニルのパラ位にニトロニルニトロキシラジカルを有する2つの五員環が結合されている。化学式(5)は、ニトロニルニトロキシラジカルを有する3つの五員環が、いずれもベンゼン環のメタ位に結合されている。尚、化学式(5)中、R″、R″は、R、R、R′、R′と同様、電子供与性置換基、好ましくはメチル基を示し、R″、R″は、R、R、R′、R′と同様、水素原子やハロゲン原子、アルキル基などの任意の置換基を示している。
そして、上記化学式(2)〜(5)においても、上記(i)〜(iv)を具備するように構成されているので、安定した多電子反応が可能であり、エネルギー密度が大きく、充放電を繰り返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好な長寿命の二次電池を実現することが可能となる。また、ラジカルは反応速度が速いため、充電時間の短縮化も可能である。
次に、前記電極活物質を使用した二次電池について詳述する。
図1は、本発明に係る二次電池の一実施の形態としてのコイン型二次電池を示す断面図であって、本実施の形態では、本発明の電極活物質を正極活物質として使用している。
電池缶1は、正極ケース2と負極ケース3とを有し、該正極ケース2及び負極ケース3は、いずれも円盤状の薄板形状に形成されている。そして、正極集電体を構成する正極ケース2の底部中央には、電極活物質をシート状に形成した正極4が配されている。そして、正極4上にはポリプロピレン等の多孔質フィルムで形成されたセパレータ5が積層され、さらにセパレータ5には負極6が積層されている。負極6としては、例えば、Cuにリチウムの金属箔を重ね合わせたものや、黒鉛やハードカーボン等のリチウム吸蔵材料を前記金属箔に塗布したものを使用することができる。そして、負極6にはCu等で形成された負極集電体7が積層されると共に、該負極集電体7には金属製ばね8が載置されている。そして、電解質9が内部空間に充填されると共に、負極ケース3は金属製ばね8の付勢力に抗して正極ケース2に固着され、ガスケット10を介して封止されている。
次に、上記二次電池の製造方法の一例を詳述する。
まず、電極活物質を電極形状に形成する。例えば、電極活物質を導電補助剤、及び結着剤と共に混合し、有機溶剤を加えてスラリーとし、該スラリーを正極集電体上に任意の塗工方法で塗工し、乾燥することにより正極を形成する。
ここで、導電補助剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素繊維、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子などを使用することができる。また、導電補助剤を2種類以上混合して用いることもできる。尚、導電補助剤の正極4中の含有率は10〜80重量%が好ましい。
また、結着剤も特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等の各種樹脂を使用することができる。
さらに、有機溶剤についても、特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等の塩基性溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、アセトン等の非水溶媒、メタノール、エタノール等のプロトン性溶媒等を使用することができる。
また、有機溶剤の種類、有機化合物と有機溶剤との配合比、添加剤の種類とその添加量等は、二次電池の要求特性や生産性等を考慮し、任意に設定することができる。
次いで、この正極4を電解質9に含浸させて該正極4に前記電解質9を染み込ませ、その後、正極ケース2の底部中央の正極集電体上に正極4を載置する。次いで、前記電解質9を含浸させたセパレータ5を正極4上に積層し、さらに負極6及び負極集電体7を順次積層し、その後内部空間に電解質9を注入する。そして、負極集電体9上に金属製ばね8を載置すると共に、ガスケット10を周縁に配し、かしめ機等で負極ケース3を正極ケース2に固着して外装封止し、これによりコイン型二次電池が作製される。
尚、上記電解質9は、正極(電極活物質)4と対向電極である負極6との間に介在して両電極間の荷電担体輸送を行うが、このような電解質9としては、室温で10−5〜10−1S/cmの電気伝導度を有するものを使用することができ、例えば、電解質塩を有機溶剤に溶解させた電解液を使用することができる。
ここで、電解質塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、Li(CFSO、Li(CSON、Li(CFSOC、Li(CSOC等を使用することができる。
また、有機溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を使用することができる。
また、電解質9には、固体電解質を使用してもよい。固体電解質に用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにはポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びこれらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体等を挙げることができる。また、これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを電解質9として使用したり、或いは電解質塩を含有させた高分子化合物のみをそのまま電解質9に使用してもよい。
二次電池の電極活物質は、充放電により可逆的に酸化もしくは還元されるため、充電状態、放電状態、あるいはその途中の状態で異なる構造、状態を取るが、本実施の形態では、前記電極活物質は、少なくとも放電反応における反応出発物(電池電極反応で化学反応を起こす物質)、生成物(化学反応の結果生じる物質)、及び中間生成物のうちのいずれかに含まれている。そして、前記放電反応は、少なくとも2つ以上の放電電圧を有しており、これにより複数の電圧にまたがる高容量密度の電池を実現することが可能である。
このように本実施の形態によれば、上記電極活物質を使用して二次電池を構成しているので、エネルギー密度が大きく、高出力で大容量の二次電池を得ることができる。しかも、充放電を繰り返しても容量低下が少なく、長寿命でサイクル特性も良好なものとなる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、電極活物質の主体となる有機化合物についても、上記列挙した化学式(1)〜(5)はその一例であって、これらに限定されるものではない。すなわち、上記( 法繊ハiv)中、少なくとも(i)及び(ii)を具備していれば、ラジカルは相当程度安定化するので、繰り返し充放電しても多電子反応を行うことが可能であり、従来のラジカル化合物に比べ、エネルギー密度が大きく、大容量・高出力で充放電を繰り返しても容量低下を極力抑制できるサイクル特性の向上した各種二次電池を得ることが可能である。
また、上記実施の形態では、コイン型二次電池について説明したが、電池形状は特に限定されるものでないのはいうまでもなく、円筒型、角型、シート型等にも適用できる。また、外装方法も特に限定されず、金属ケースや、モールド樹脂、アルミラミネートフイルム等を使用してもよい。
また、上記実施の形態では、電極活物質を正極活物質に使用したが、負極活物質に使用するのも有用である。
また、上記実施の形態では、電極活物質を二次電池に使用した場合について述べたが、一次電池にも使用することが可能である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
尚、以下に示す実施例は一例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(C)に従い、1,4−ビス(4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−イルオキシル−3−オキシド−2−イル)ベンゼン(以下、「p−DNN」という。)(1)を作製した。
Figure 2010113840
まず、テレフタルアルデヒド(1A):0.39gと2,3−ビス(ヒドロキシアミノ)−2,3一ジメチルブタン(以下、「DNHOH」という。)(1B):1.82gをメタノール:20mLに溶解させ、次いで、DNHOHの硫酸塩を5mg加えた後、室温で4日間撹拌した。
次いで、約10mLのメタノールを除去し、析出した1,4−ビス(1,3−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イル)ベンゼン(以下、「p−DNOH」という。)(1C)をろ過して得た。尚、このp−DNOH(1C)の収率は77%であった。
次に、このようにして得られたp−DNOH:0.60gをメタノール:120mLに溶解させた。
一方、NaIO:0.78gを純水:60mLに溶解させてNaIO溶液を作製した。そして、メタノールに溶解させたp−DNOH(1C)にNaIO溶液を加えた後、10℃で7分間撹拌し、p−DNN(1)を生成した。
次いで、このp−DNN(1)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒により再結晶化させ、暗青色の結晶を得た。尚、収率は54%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
上記暗青色結晶のp−DNN:300mg、導電補助剤としてのグラファイト粉末:600mg、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン樹脂:100mgをそれぞれ秤量し、秤量物を均一に混合しながら混練した。この混合体を加圧成形し、厚さ約150μmのシート状部材を作製した。次に、このシート状部材を、真空中80℃で1時間乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜き、p−DNNを主体とする正極(正極活物質)を作製した。
次に、正極を電解液に含浸し、該正極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、モル濃度が1.0mol/LのLiPF(電解質塩)を含有した有機溶剤であるエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液を使用した。尚、有機溶剤であるエチレンカーボネート/ジエチルカーボネートの混合比率は体積%でエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7であった。
次に、この正極を正極集電体上に載置し、さらに前記電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フイルムからなる厚さ20μmのセパレータを前記正極上に積層し、さらに銅箔の両面にリチウムを貼着した負極をセパレータ上に積層した。そして、負極上にCu製の負極集電体を積層した後、内部空間に電解液を注入し、その後負極集電体上に金属製ばねを載置すると共に、周縁にガスケットを配置した状態で負極ケースを正極ケースに接合し、かしめ機によって外装封止し、これにより正極活物質としてp−DNN、負極活物質として金属リチウムを有する密閉型のコイン型電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.7V及び2.7Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.2mAhの二次電池であることが確認された。
また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、160Ah/kgであった。
これを一電子反応と仮定した場合の理論容量密度Qと比較すると以下のようになる。すなわち、二次電池の理論容量密度Q(Ah/kg)は、数式(1)で表される。
Figure 2010113840
ここで、Zは電池電極反応に関与した電子数、Wは電極活物質の分子量、rはニトロニルニトロキシラジカル当たりのラジカル(以下、単に「ラジカル」という。)の個数である。
p−DNNの分子量Wは388.46、ラジカルの個数rは2であるから、電池電極反応に関与する電子数Zを1とすると、数式(1)より、理論容量密度Qは、138Ah/kgとなる。
したがって、p−DNNを一電子反応と仮定した場合に比べて、大きな容量密度を得ることができ、少なくとも二電子反応以上の多電子反応をしていることが確認された。
その後、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返したところ、10サイクル後においても初期の50%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に作製した二次電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、5.0mAの定電流で放電した。その結果、容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが分かった。
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(D)に従い、1,3−ビス(4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−イルオキシル−3−オキシド−2−イル)ベンゼン(以下、「m−DNN」という。)(2)を作製した。
Figure 2010113840
まず、イソフタルアルデヒド(2A):0.50gとDNHOH(2B):2.33gをメタノール:8mLに溶解させ、次いで、DNHOHの硫酸塩を7mg加えた後、室温で1日間撹拌した。
次いで、約4mLのメタノールを除去し、析出した1,3−ビス(1,3−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イル)ベンゼン(以下、「m−DNOH」という。)(2C)をろ過して得た。尚、このm−DNOH(2C)の収率は34%であった。
次に、このようにして得られたm−DNOH(2C):0.50gをメタノール:185mLに溶解させた。
一方、NaIO:0.93gを純水:93mLに溶解させてNaIO溶液を作製した。そして、メタノールに溶解させたm−DNOH(2C)にNaIO溶液を加えた後、室温で7分間撹拌し、m−DNN(2)を生成した。
次いで、このm−DNN(2)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒により再結晶化させ、暗青色の結晶を得た。尚、収率は53%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
電極活物質に暗青色結晶のm−DNNを使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.6V及び2.7Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.19mAhの二次電池であることが確認された。
また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、450Ah/kgであった。
これを理論容量密度Qと比較すると、m−DNNはp−DNNの構造異性体であるから、〔実施例1〕と同様、一電子反応の場合の理論容量密度Qは、138Ah/kgとなる。
したがって、m−DNNを一電子反応と仮定した場合に比べて、3倍以上の大きな容量密度を得ることができ、多電子反応をしていることが確認された。
その後、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返したところ、10サイクル後においても初期の80%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に作製した二次電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、5.0mAの定電流で放電した。その結果、容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが分かった。
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(E)に従い、1,3−ビス(4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−イルオキシル−3−オキシド−2−イル)ベンゼン(以下、「o−DNN」という。)(3)を作製した。
Figure 2010113840
まず、フタルアルデヒド(3A):0.50gとDNHOH(3B):2.33gをメタノール:10mLに溶解させ、次いで、DNHOHの硫酸塩を5mg加えた後、室温で8日間撹拌した。
次いで、約5mLのメタノールを除去し、析出した1,2−ビス(1,3−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イル)ベンゼン(以下、「o−DNOH」)(3C)をろ過して得た。尚、このo−DNOH(3C)の収率は20%であった。
次に、このようにして得られたo−DNOH(3C):0.50gをメタノール:100mLに溶解させた。
一方、NaIO:0.65gを純水:50mLに溶解させてNaIO溶液を作製した。そして、メタノールに溶解させたo−DNOH(3C)にNaIO溶液を加えた後、室温で7分間撹拌し、o−DNN(3)を生成した。
次いで、このo−DNN(3)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒により再結晶化させ、暗青色の結晶を得た。尚、収率は15%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
電極活物質に暗青色結晶のo−DNNを使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.7V及び2.7Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.23mAhの二次電池であることが確認された。
また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、400Ah/kgであった。
これを理論容量密度と比較すると、o−DNNはp−DNNの構造異性体であるから、〔実施例1〕と同様、一電子反応の場合の理論容量密度Qは、138Ah/kgとなる。
したがって、o−DNNを一電子反応と仮定した場合に比べて、3倍近い大きな容量密度を得ることができ、多電子反応をしていることが確認された。
その後、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返したところ、10サイクル後においても初期の80%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に作製した二次電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、5.0mAの定電流で放電した。その結果、容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが分かった。
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(F)に従い、4,4’−ビス(4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−イルオキシル−3−オキシド−2−イル)ビフェニル)(以下、「p−PNN」という。)(4)を作製した。
Figure 2010113840
まず、4,4’−ジホルミルビフェニル(4A):0.64gをメタノール:20mLに分散させた後、DNHOH(4B):0.80gと該DNHOHの硫酸塩:5mgを加え、室温で4日間撹拌した。
次いで、約15mLのメタノールを除去し、析出した4,4’−ビス(1,3−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イル)ビフェニル(以下、「p−PDNOH」)(4C)をろ過して得た。尚、このp−PDNOH(4C)の収率は60%であった。
次に、このようにして得られたp−PDNOH(4C):0.80gをメタノール:200mLに溶解させた。
一方、NaIO:0.88gを純水:100mLに溶解させてNaIO溶液を作製した。そして、メタノールに溶解させたp−PDNOHにNaIO溶液を加えた後、室温で5分間撹拌し、p−PNN(4)を生成した。
次いで、このp−PNN(4)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製した後、クロロホルム/ヘキサンの混合溶媒により再結晶化させ、暗青色の結晶を得た。尚、収率は34%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
電極活物質に暗青色結晶のp−PNNを使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.5V及び2.5Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.13mAhの二次電池であることが確認された。
また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、300Ah/kgであった。
これを理論容量密度と比較すると、p−PNNの分子量Wは464.56、ラジカルの個数rは2であるから、一電子反応の場合の理論容量密度Qは、上記数式(1)より115.4Ah/kgとなる。
したがって、p−PNNを一電子反応と仮定した場合に比べて、大きな容量密度を得ることができ、二電子反応以上の多電子反応をしていることが確認された。
その後、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返したところ、10サイクル後においても初期の80%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に作製した二次電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、5.0mAの定電流で放電した。その結果、容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが分かった。
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(G)に従い、1,3,5−トリス(4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−イルオキシル−3−オキシド−2−イル)ベンゼン(以下、「m′−DNN」という。)(5)を作製した。
Figure 2010113840
予め、NaIO:0.50gを純水:40mL溶解させてNaIO溶液を作製した。
そして、1,3,5−トリホルミルベンゼン(5A):0.20gをベンゼン:85mLに分散させた後、DNHOH(5B):1.60gと該DNHOHの硫酸塩:5mgを加え、室温で24時間還流した。
次いで、ベンゼンを除去し、残渣を90モルのメタノールに溶かし((5C)の生成)、その後、上記したNaIO溶液を加え、室温で5分間撹拌し、m′−DNN(5)を生成した。
次いで、このm′−DNN(5)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製し、これにより暗青色の結晶を得た。尚、収率は1,3,5−トリホルミルベンゼンを基準に25%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
電極活物質に暗青色結晶のm′−DNNを使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.5V及び2.5Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.13mAhの二次電池であることが確認された。
また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、350Ah/kgであった。
これを一電子反応と仮定した場合の理論容量密度と比較すると、o′−DNNの分子量Wは543.64、ラジカルの個数は3であるから、一電子反応の場合の理論容量密度Qは、上記数式(1)より、理論容量密度Qは148Ah/kgとなる。
したがって、m′−DNNを一電子反応と仮定した場合に比べて、2倍以上の大きな容量密度を得ることができ、多電子反応をしていることが確認された。
その後、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10サイクル繰り返したところ、10サイクル後においても初期の80%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に作製した二次電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、5.0mAの定電流で放電した。その結果、容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが分かった。
この実施例では、〔実施例1〕で作製したp−DNNを使用し、工業的手法で二次電池を作製し、動作確認した。
まず、小型ホモジナイザ容器に有機溶剤としてのN−メチルピロリドン:10gを秤量し、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン:400mgを加え、30分間攪拌して完全に溶解させた。これにp−DNN:0.5gを加え、均一になるまで攪拌した。次いで、導電性補助剤としてのグラファイト粉末:0.5gを加え、撹拌して黒色のスラリーを得た。このスラリーを高純度アルミニウム箔上に塗布し、120℃で乾燥させ、これによりp−DNNを主体とする膜厚85μmの正極を作製した。これを、直径12mmの円形に打ち抜き、その後は〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
以上のように作製した二次電池を、〔実施例1〕と同様、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電を行った。その結果、充放電電圧が3.7V及び2.7Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.24mAhの二次電池であることが確認された。また、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、500mAh/gであった。
すなわち、一電子反応と仮定した場合、p−DNNの理論容量密度Qは138Ah/kgであるから、本実施例で使用したp−DNNは、多電子反応を行うことにより、大きなエネルギー密度を有する二次電池の得られることが分った。
次いで、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を100サイクル繰り返した。その結果、100サイクル後においても初期の80%以上の容量を確保することができた。すなわち、充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性の良好な二次電池を得ることができた。
また、同様に試作したコイン型電池を0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、5.0mAの定電流で放電を行った。容量は0.1mAで放電した場合に比べて減少したが、5.0mAで放電したときの放電容量は、O.1mAで放電したときの放電容量に対して80%以上を確保することができた。すなわち、この実施例6においても、大電流でも大きな容量を取り出せる高出力密度の二次電池が得られることが確認された。
比較例
〔有機化合物の合成〕
合成スキーム(H)に従い、ベンゼンニトロニルニトロキシド(6)を作製した。
Figure 2010113840
まず、ベンズアルデヒド(6A):0.39gとDNHOH(6B):1.82gをメタノール:20mLに溶解させ、次いで、DNHOHの硫酸塩を5mg加えた後、室温で4日間撹拌した。
次いで、約10mLのメタノールを除去し、析出した1,3−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリンベンゼン(以下、「DNHOH」という。)(6C)をろ過して得た。尚、このDNHOH(6C)の収率は30%であった。
次に、このようにして得られたDNHOH(6C):0.60gをメタノール:120mLに溶解させた。
一方、NaIO:0.78gを純水:60mLに溶解させてNaIO溶液を作製した。そして、メタノールに溶解させたDNHOHにNaIO溶液を加えた後、10℃で7分間撹拌し、ベンズニトロニルニトロキシド(6)を生成した。
次いで、このベンズニトロニルニトロキシド(6)をクロロホルムで抽出し、シリカゲルカラムにより精製した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒により再結晶化させ、暗青色の結晶を得た。尚、収率は70%であった。また、化学構造は、赤外吸収スペクトル、元素分析及び電子スピン共鳴により確認した。
〔二次電池の作製〕
電極活物質に暗青色結晶のベンズニトロニルニトロキシドを使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法で二次電池を作製した。
〔二次電池の動作確認〕
以上のように作製した二次電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.0Vまで放電した。その結果、充放電電圧が3.7V及び2.7Vの二箇所で電圧平坦部を有する放電容量が0.21mAhの二次電池であることが確認された。
しかしながら、4.0〜2.0Vの範囲で充放電を繰り返し、最初のサイクル時に、電極活物質当たりの放電容量を実測したところ、250Ah/kgであったが、その後は容量が激減して初期の50%以下となった。
これを理論容量密度Qと比較すると、ベンズニトロニルニトロキシドは分子量Wが233.29、ラジカルの個数rは1であるから、一電子反応と仮定すると、上記数式(1)より、理論容量密度Qは114.9Ah/kgであり、二電子反応以上の多電子反応していることが分かる。
しかしながら、第2回目のサイクル以降は、容量が激減して十分な容量密度を得ることができず、サイクル特性が良好で長寿命が要求される二次電池としては不向きであることが分った。
本発明に係る二次電池としてのコイン型電池の一実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
4 正極
6 負極
9 電解質

Claims (8)

  1. 化学式
    Figure 2010113840
    で表されるニトロニルニトロキシラジカルを有する五員環を構成単位中に2つ以上含む有機化合物を主体としていることを特徴とする電極活物質。
  2. 前記五員環を構成する炭素原子のうち、前記ニトロニルニトロキシラジカルのニトロキシラジカルに隣接する炭素原子には電子供与性置換基が結合していることを特徴とする請求項1記載の電極活物質。
  3. 前記電子供与性置換基は、メチル基であることを特徴とする請求項2記載の電極活物質。
  4. 前記有機化合物は、少なくとも一つ以上の芳香族環を有し、前記五員環は、前記芳香族環に結合していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電極活物質。
  5. 前記有機化合物は、1.2〜4.2Vvs.Li/Liの範囲に2つ以上の酸化還元電位を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電極活物質。
  6. 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電極活物質が、前記電池電極反応の少なくとも放電反応における反応出発物、生成物及び中間生成物のうちのいずれかに含まれることを特徴とする電池。
  7. 前記放電反応は、少なくとも2つ以上の放電電圧を有することを特徴とする請求項6記載の電池。
  8. 正極、負極、及び電解質を有し、前記正極が、前記電極活物質を主体としていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の電池。
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DE102017005924A1 (de) 2017-06-23 2018-12-27 Friedrich-Schiller-Universität Jena Verwendung benzotriazinyl-haltiger Polymere als Ladungsspeicher

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