JPWO2012114976A1 - ホウ酸の回収方法および回収装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、この排ガスは、そのまま大気中に放出することは出来ず、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリで処理して、有害な物質を除去した後に、大気中に放出される。
しかしながら、これらの排水や固形排物には、ホウ素化合物やアルカリ金属化合物など、有用な物質が多量に含有されている。特に、ホウ酸は高価であり、これを排ガスを処理した排水等から回収して、再利用できれば、ホウ素成分含有ガラスの製造コストを低減することができる。また、環境問題の観点からも、排水や固形排物からは、有用な物質は、できるだけ回収するのが好ましい。
具体的には、ガラス溶融炉から排出される排ガスを、スプレー塔で水と接触させて浄化し、あるいはさらに、水で浄化した排ガスを湿式電気集塵機で浄化して、大気中に放出する。この際にスプレードライヤや湿式電気集塵機から排出された排水を、消石灰で中和した後、乾燥して、得られた固形分をガラス原料に再利用する。
具体的には、排ガスを、水噴霧式冷却手段と空気混合式冷却手段との併用などの方法で70℃以下に冷却することにより、排ガス中のガス状のホウ酸を固体として析出させて、次いで、乾式の電気集塵機によってホウ酸を回収し、かつ、排ガスを浄化する。
この方法では、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂に、まず、硫酸を通液してホウ素溶離液を得る。このホウ素溶離液に水酸化ナトリウムを添加して中和した後、加熱濃縮することで硫酸ナトリウムを析出させて分離する。残った母液を35〜40℃に冷却した後、硫酸を添加してpHを4〜6に調整することにより、ホウ酸を析出させて、遠心分離機等によってホウ酸を分離することで、ホウ酸を回収する。
そのため、特許文献1に記載される方法では、ガラス溶融炉の燃料として重油を用いた場合など、排ガスに硫黄化合物が含まれている場合、硫酸塩などの硫黄化合物もリサイクルのガラス原料としてガラス溶融炉に投入されてしまう。このように、ガラス原料に硫酸等の硫黄化合物が含まれると、原料から入ってくる以外の硫黄成分が濃縮されてしまい、ガラスの品質低下等の問題を生じる。
そのため、この方法では、実質的に硫黄を含有しない燃料を用いた排ガスの浄化で副生した排水等しか、処理することができない。
そのため、この方法でも、実質的に硫黄を含有しない燃料を用いた排ガスしか、処理することができない。
しかしながら、この方法では、イオン交換樹脂での排水の処理を行っているため、イオン交換樹脂からホウ素を溶離させる手順が必要であり、排水濃度が高い場合、排水処理に必要なイオン交換樹脂装置が非常に大きくなるという問題がある。また、ホウ素溶離液が、ホウ酸以外の多種の物質を含有している場合には、充分に高純度なホウ酸を回収することができない。
前記被処理液に酸を添加してpH4未満に調整した後に濃縮し、または前記被処理液を濃縮した後に酸を添加してpH4未満に調整し、
前記濃縮及びpH調整され、かつ、不溶解物を含まない被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出した水溶液とし、
前記ホウ酸結晶が析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該ホウ酸結晶を分離した後の濾液の50〜90質量%を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、
前記分離したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱してホウ酸結晶を溶解し、該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出した水溶液とし、前記ホウ酸結晶が再析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該再析出したホウ酸結晶を分離した後の濾液の少なくとも一部を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加する、ホウ酸の回収方法(1)を提供する。
前記被処理液に酸を添加してpH4未満に調整した後に濃縮してアルカリ金属塩を析出させ、アルカリ金属塩が析出した前記被処理液からアルカリ金属塩を除去し、
または前記被処理液を濃縮してアルカリ金属塩を析出させ、アルカリ金属塩が析出した前記被処理液からアルカリ金属塩を除去した後に酸を添加してpH4未満に調整し、
前記濃縮及びpH調整され、かつ、前記アルカリ金属塩が除去された被処理液に水を加えて希釈し、
該希釈された被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出した水溶液とし、
前記ホウ酸結晶が析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該ホウ酸結晶を分離した後の濾液を前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、
前記分離したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱してホウ酸結晶を溶解し、該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出した水溶液とし、前記ホウ酸結晶が再析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該再析出したホウ酸結晶を分離した後の濾液の少なくとも一部を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加する、ホウ酸の回収方法(2)を提供する。
前記被処理液を濃縮する濃縮装置と、
酸が添加されて被処理液のpHが4未満に調整されるpH調整装置と、
前記pH調整され、かつ、不溶解物を含まない被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出された水溶液とする晶析装置と、
析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該ホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の50〜90質量%を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
前記分離回収したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱しホウ酸結晶を溶解する加熱溶解装置と、
該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出された水溶液とする晶析装置と、
再析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該再析出されたホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の少なくとも一部を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
を備えるホウ酸の回収装置(1)を提供する。
ホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液からホウ酸を回収する装置であって、
前記被処理液を濃縮してアルカリ金属塩を析出させる濃縮装置と、
析出したアルカリ金属塩を被処理液から除去する除去装置と、
酸が添加されて被処理液のpHが4未満に調整されるpH調整装置と、
前記除去装置でアルカリ金属塩が除去され、かつ、前記pH調整装置でpH調整された被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出された水溶液とする晶析装置と、
析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該ホウ酸結晶を分離回収した後の濾液を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
前記分離回収したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱しホウ酸結晶を溶解する加熱溶解装置と、
該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出された水溶液とする晶析装置と、
再析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該再析出されたホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の少なくとも一部を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
を備えるホウ酸の回収装置(2)を提供する。
図1、図2に示すように、本発明のホウ酸の回収方法(以下、単に回収方法ともいう)は、冷却による晶析(結晶化/晶析)を利用して、被処理液からホウ酸を回収するものである。以下、第1の態様であること、または第2の態様であること、の特定がない限りは、第1の態様と第2の態様との共通する内容として説明する。
本発明における排水はホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む水からなり、本発明における固形排物はホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む固体(粉体など)からなる。これら排水と固形排物は、ホウ素化合物とアルカリ金属化合物以外の化合物を含有していてもよい。
これらは、ホウ素化合物やアルカリ金属化合物を取り扱う工業的工程から排出されるものであり、特に後述のホウケイ酸ガラスの製造工程から排出される排ガスを塩基性のアルカリ金属化合物水溶液に接触させる排ガス処理工程から排出される排水または固形排物であることが好ましい。
本発明における被処理液は、上記排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液であり、図1または図2に示すように、上記排水の場合は排水そのものであってもよく、排水に水を加えて得られる水希釈液であってもよい。上記固形排物の場合は、固形排物に水を加えて得られる水溶液である。また、図1または図2に示すように固形排物に加える水として上記排水を使用することができ、また固形排物と排水の混合物を水で希釈して本発明における被処理液とすることもできる。
さらに、後述のホウ酸結晶を析出させその結晶を分離した後のホウ酸を含む水溶液(濾液など)を希釈水の少なくとも一部として使用することもできる。
さらにまた、これらの被処理液は、その2以上を混合したものであってもよい。
ホウケイ酸ガラスの製造においては、酸化ホウ素が揮発性であることより、溶融途中の高温のガラス原料や溶融ガラスから酸化ホウ素が揮発し、燃焼排ガスなどの排出ガス中に混入して、酸化ホウ素含有排ガスとしてホウケイ酸ガラスの製造工程から排出される。このため、この排ガスの浄化が必要とされ、効率的な浄化を行うために多くの場合塩基性化合物の水溶液や粉末を使用して浄化が行われる。塩基性化合物としてはアルカリ金属化合物、特にナトリウム化合物が使用される。具体的なアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの水溶性の塩基性ナトリウム化合物が挙げられる。
図3に示す浄化プロセスでは、ホウケイ酸ガラスを製造するためのガラス溶融炉から排出された排ガスを、まず、冷却塔において水や水酸化ナトリウム水溶液によって200℃程度まで冷却する。この際において、必要に応じて、除害薬剤として、水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム(図3には、水酸化ナトリウム水溶液のみを表記)を添加する。
次いで、冷却済みの排ガスに、必要に応じて炭酸水素ナトリウム粉末などを添加して、バグフィルタで浄化する。さらに、バグフィルタで浄化した排ガスを、ベンチュリスクラバにおいて水酸化ナトリウムなどで処理して浄化して、浄化済みの排ガスとして大気に放出する。なお、この排ガスの浄化プロセスにおいて添加する水酸化ナトリウム等のアルカリ金属化合物は、固体で添加しても水溶液として添加してもよく、あるいは、固体および水溶液の両者を添加してもよい。
従って、本発明の回収方法では、この浄化プロセスにおいてバグフィルタで捕集された固形の廃物を、本発明における固形排物として扱うことができ、また、ベンチュリスクラバから排出された廃液を、本発明における排液として扱うことができる。なお、以下これら廃液や固形廃物を排水、固形排物ともいう。
本発明における固形排物および排水に含まれるホウ素化合物は、主にホウ酸とホウ酸ナトリウムであることが好ましい。本発明における固形排物および排水に含まれるアルカリ金属化合物は、主に硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムであることが好ましく、これら以外に比較的少量のフッ化ナトリウムや硝酸ナトリウムなどが含まれていてもよい。
本発明における固形排物および排水に含まれる化合物の構成元素比(質量比)としては、ホウ素量(質量)を1とした相対比で、アルカリ金属量が0.6〜13、硫黄量が0〜6、および、塩素量が0〜6であることが好適である。なお、この構成元素比における硫黄や塩素は、主に硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどのアルカリ金属化合物中の元素である。
このような構成元素比である各種化合物を含む固形排物および排水としては、ホウケイ酸ガラス製造工程から排出される排ガスの浄化で副生される排水や固形排物が代表的なものである。本発明はこのような排水や固形排物から高純度のホウ酸を回収できる。
また、被処理液中の化合物の多くはイオン化していると考えられる。例えば、ホウ酸イオン、ナトリウムイオン、硫酸イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、硝酸イオンなどが被処理液中に存在していると考えられる。
なお、被処理液は不溶解分を含まないことが好ましい。しかし、加熱して加熱水溶液とした段階で不溶解分を含まないものとなる限り、加熱により溶解する不溶解分を含んでいてもよい。必要により加熱前の被処理液からろ過等により不溶解分を除去することもできる。
加熱水溶液の加熱温度は特に限定されないが、50℃以上が好ましい。加熱水溶液の加熱温度が50℃未満では、ホウ酸の回収率が低く、また析出するホウ酸結晶が充分に成長しないため、分離性能が悪くなる不都合が生じる。
加熱水溶液の加熱温度は、好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは70℃〜80℃である。
これにより、ホウ酸結晶の回収率や分離性能を向上できる。
本発明においては、このように被処理液のpHを、加熱した状態でpH4未満(加熱しない場合は、被処理液のpHをpH4未満。以下同じ)となるようにpH調整装置(pH調整タンク)にて調整することにより、純度の高いホウ酸結晶を回収することができる。また、冷却晶析前にpHを調整することで、水溶液中のアルカリ金属ホウ酸塩をホウ酸に転化させた後で冷却操作を行うことができ、ホウ酸結晶の粒形や粒径の制御が容易となる。更にこれによってもホウ酸の純度を向上することができる。
pH調整された被処理液のpHは4未満であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.5未満であり、さらに好ましくは1〜3である。
これにより、より高純度のホウ酸結晶を回収できる。
ホウケイ酸ガラスのガラス溶融炉から排出される排ガスの浄化で副生された排水等からホウ酸を回収する場合には、この排水等に硫酸イオンが含まれている場合が多い。そのため、pH調整に硫酸を用いることにより、被処理液への余分な成分の添加を抑制することができる。
また、pH調整に塩酸を用いると、塩化物イオンが晶析装置を腐食する原因となるおそれがあり、硫酸の使用がより好ましい。
すなわち、被処理液のpH調整は、図1に点線で示すように、前述の被処理液の加熱を行なう前に行なってもよく、あるいは、後述する濃縮を行なった後に行なってもよい。
濃縮装置としては、例えば、減圧した濃縮結晶缶内で、内部を蒸気等の加熱流体が流通する複数の伝熱管の表面に、被処理液をノズルから散布して加熱蒸発させる公知の蒸発濃縮装置などを用いることができる。かかる濃縮装置では、濃縮結晶缶内の被処理液を循環ポンプによって複数の伝熱管に散布するノズルに循環させる。
濃縮装置で発生した蒸気は、凝縮されて凝縮水タンクに導入され、この凝縮水タンクの凝縮水は、希釈用水、各装置の洗浄水あるいは回収工程における結晶の洗浄水などに利用される。
被処理液を晶析に適したホウ素濃度まで濃縮及びpH調整を行なったときにNa塩が析出しない場合は、第1の態様が好ましい。被処理液を晶析に適したホウ素濃度まで濃縮したとき、または被処理液を晶析に適したホウ素濃度まで濃縮及びpH調整を行なったときにNa塩が析出する場合は、後述の第2の態様が好ましい。
被処理液が、Na2SO4およびNaClを含む場合、質量比(Na/B)が3.6以下であれば、第1の態様が好ましく、質量比(Na/B)が3.6超であれば、第2の態様が好ましい。
被処理液が、Na2SO4を含まず、NaClを含む場合、質量比(Na/B)が3.9以下であれば、第1の態様が好ましく、質量比(Na/B)が3.9超であれば、第2の態様が好ましい。
被処理液が、Na2SO4を含み、NaClを含まない場合、質量比(Na/B)が3.1以下であれば、第1の態様が好ましく、質量比(Na/B)が3.1超であれば、第2の態様が好ましい。
また第2の態様では、濃縮は不溶解物であるアルカリ金属塩が析出するように行う。被処理液に含まれるアルカリ金属塩であるNa塩、例えば、硫酸ナトリウム(Na2SO4)や塩化ナトリウム(NaCl)等を不純物として析出させる。
第1の態様でも第2の態様でも、ホウ酸の回収率を向上させるために、濃縮によって、pH調整された被処理液の固形分濃度が15質量%以上とすることが好ましい。言い換えれば、被処理液の固形分濃度が15質量%以上となるまで濃縮を行うのが好ましい。
また第2の態様では、設備負荷を考慮すると、濃縮後の液に対して析出されるアルカリ金属塩は、10質量%を超えないことが好ましい。
具体的には、循環ポンプのインペラの先端速度を、例えば、10〜18m/secとしており、これによって、析出するNa塩である塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムの粒径を、100〜300μm程度にしている。このとき、不所望に析出するホウ酸結晶の粒径は、20〜50μmであり、後続のサイクロンによって、不純物であるNa塩を、ホウ酸を含む濃縮液から分離することができる。
なお、固液分離装置としては、サイクロンに限らず、横型連続式の遠心分離機による大粒径結晶の分離や流動層による分級、あるいは、バッチ式の沈降分離法などを用いてもよい。
第2の態様の場合は、サイクロンによって不純物であるNa塩の結晶が除去された被処理液は、晶析原液として晶析原液タンクに導入される。晶析原液タンクに、希釈用の水が加えられて被処理液が希釈される(希釈工程という)。このように被処理液を、希釈用の水で希釈するので、後続の晶析工程において、ホウ酸結晶以外の不純物の析出を抑制することができる。
すなわち、第1の態様および第2の態様の別の実施形態として、被処理液を50℃以上に加熱した後に(ただしここでも前述のように加熱は必須ではない)濃縮を行い、濃縮済みの被処理液(第2の態様の場合は、濃縮して不純物であるNa塩結晶を析出させた後にサイクロンによってNa塩結晶が除去された被処理液)が50℃以上の状態で、硫酸等の酸を添加してpH調整を行い、pHを4未満、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.5未満、さらに好ましくは1〜3に調整した濃縮済みのpH調整された被処理液としてもよい(以下、実施形態2という)。
なお、この際においても、先と同様の理由で、濃縮済みのpH調整された被処理液の固形分濃度は、15質量%以上であるのが好ましく、また、30質量%以下であるのが好ましい。
第2の態様の実施形態2では、除去工程と晶析工程との間にpH調整工程を設けたが、この場合、除去工程後の被処理液(アルカリ金属塩の飽和溶液に相当)に、pH調整によってアルカリ金属ホウ酸塩の転化に伴い発生するアルカリ金属塩が加わる結果として新たにアルカリ金属塩の結晶が生成する場合がある。この場合、アルカリ金属塩結晶が全量、晶析原液タンクに供給されるため、晶析工程へのアルカリ金属塩の結晶の混入を抑制するのに用いられる希釈用水の量が多くなることがある。それにより希釈晶析原液中のホウ酸濃度も低下し、晶析工程で析出されるホウ酸結晶の量が減少する場合がある。
その場合には、第2の態様の実施形態1,2とは別の形態として、濃縮工程と除去工程の間にpH調整工程を設けることもできる(不図示)。
この実施形態では、pH調整により新たに発生したアルカリ金属塩の結晶の少なくとも一部を除去工程で除くことにより、除去工程と晶析工程との間にpH調整工程を設ける場合に比べて希釈用水の量を減らすことができ、晶析工程で回収できるホウ酸の量を増やすことができる。ただし、この場合には除去工程がpHが低い状態で行われることになるため、除去工程での耐酸性の負荷を軽減する場合は、除去工程と晶析工程との間にpH調整工程を設けることが好ましい。なお、硫酸添加により析出するアルカリ金属塩結晶は微結晶になりやすいため、サイクロン等によりアルカリ金属塩の結晶を分離する場合は、アルカリ金属塩の結晶が効率的には除去できない可能性もあり、その場合には濃縮工程前に硫酸添加を行うことが好ましい。
濃縮工程前に、被処理液中のアルカリ金属ホウ酸塩の少なくとも一部がホウ酸とアルカリ金属塩に転化するようにpH調整(好ましくはpH4〜6、より好ましくはpH4〜5.5、さらに好ましくはpH4〜5)を行い、さらに除去工程の後に、ホウ酸純度を上げるためにpH調整(好ましくはpH4未満、より好ましくはpH1〜3)を行なうこともできる(不図示)。
この実施形態では、濃縮装置で処理する液のpHは比較的高いので、高価な材料の使用が抑えられ、コスト低減できるとともに、濃縮工程の前でアルカリ金属ホウ酸塩の少なくとも一部が転化することで、これに伴い発生するアルカリ金属塩は濃縮工程で除去に適した大きさの粒径に成長するため、除去工程で効率的に除去でき、その結果希釈用水の量が抑えられ、晶析工程で析出されるホウ酸結晶の量を増やすことができる。
本発明においては、晶析を利用することによって、ホウ素化合物やアルカリ金属化合物を含有する被処理液から、ホウ酸を選択的に回収することができる。また、晶析によって、ホウ酸を選択的に回収できるので、硫黄成分を含む排ガスを浄化して副生された排水や固形排物からも、ホウ酸を回収できる。さらに、前述のように、加熱水溶液を酸でpH調整した後、冷却して晶析によってホウ酸結晶を析出することにより、ホウ酸結晶の粒形や粒径の制御が容易となる。更に回収するホウ酸結晶の純度を向上することができる。
特に第2の態様の場合は、冷却晶析に先立って、被処理液を濃縮して不純物であるアルカリ金属塩を析出させて除去するので、アルカリ金属塩の濃度が高い被処理液であっても、純度の高いホウ酸を回収することができる。
しかしながら、この方法では、pHの調整によって瞬間的にホウ酸の結晶が析出するために、ホウ酸結晶中にNa塩等の不純物が取り込まれやすく、また微結晶であるために結晶表面に付着するNa塩等の不純物を含んだ水が付着する量が増えるため、被処理液に各種の化合物が混在する場合には、高純度なホウ酸結晶を得ることができない。
また、この処理順では、瞬間的にホウ酸結晶が析出するため、ホウ酸結晶の形が歪む不都合が生じる。
逆に、冷却温度が30℃未満では、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物の結晶が混晶として析出する不都合が生じる。
さらに、冷却前のpH調整された被処理液の温度と冷却温度との差は10℃以上が適当であり、20℃以上が好ましい。特に好ましくは30℃以上である。この温度差を大きくすることにより、ホウ酸結晶の回収率を向上できる。
減圧下で冷却して、ホウ酸結晶の析出を行うことにより、ジャケット冷却方式を採用した場合に懸念される伝熱面へのスケール生成を抑制でき、装置のメンテナンスが容易になるとともに、ホウ酸結晶の損失が減少することでホウ酸の回収率を向上できる。
なお、この際における圧力の高さは特に限定されないが、冷却開始時は好ましくは10000Pa〜70000Pa、より好ましくは20000Pa〜60000Paで減圧することが好ましく、冷却終了時には好ましくは1000Pa〜15000Pa、より好ましくは2000Pa〜8000Paで減圧することが好ましい。
ホウ酸結晶の分離方法は、特に限定されず、ろ過、遠心分離、沈降など、液体中から固体成分を分離するための公知の分離方法が、各種、利用可能である。
そのため、この濾液を送液装置により、排水及び固形排物の少なくとも一方を含む被処理液へ送り、前記被処理液の原料として再利用(以下、前記被処理液に濾液を添加するともいう)するのが好ましい。すなわち、この濾液を前記排液や固形排物の希釈水などとして使用することが好ましい。例えば、前述のバグフィルタで捕集された固形排物とこの濾液の混合物を前記被処理液に添加して使用(もしくは被処理液として使用)することができ、また、固形排物と濾液の混合物に必要により水を加えて前記被処理液とすることもできる。これにより、前記排液や固形廃物からのホウ酸の回収率を、より向上できる。
従って、被処理液に添加して再利用する濾液は、濾液の一部とするのが好ましい。具体的には、被処理液に添加する濾液は、ホウ酸結晶を分離した後の濾液全体に対して、50質量%〜90質量%とするのが好ましい。これにより、被処理液における不純物の増加に起因する悪影響を防止しつつ、好適に、ホウ酸の回収率向上を図ることができる。
また第2の態様では、被処理液に含まれる不純物であるNa塩を、濃縮装置で濃縮させて析出させ、除去装置としてのサイクロンで除去するようにしているので、アルカリ金属塩濃度が高い被処理液を濃縮した場合であっても、アルカリ金属の結晶がほとんど含まれずに濃縮後の液を得ることができる。従って、被処理液に添加して再利用する濾液は、濾液の少なくとも一部、好ましくは全部とすることができる。これにより、好適に、ホウ酸の回収率を高めることができる。
第1の態様及び第2の態様とも、ホウ酸結晶を回収した後の処理水の一部を廃棄し、残部を前記添加工程に戻すので、処理水の廃棄量を調整することによって、すなわち、被処理液のアルカリ金属塩濃度が高く、濃縮工程や除去工程に負荷がかかる場合は、処理水の廃棄量を多くして、濃縮工程や除去工程を容易にすることができる。一方、濃縮工程や除去工程の負荷が大きくない場合は、処理水の廃棄量を少なくして、ホウ酸の回収率を高めることができる。
しかしながら、用途等によっては、回収したホウ酸結晶が充分に清浄ではなく、ホウ酸結晶の純度が所望の値に満たない場合もある。その場合には、アルカリ金属成分を含まないホウ酸水溶液または水によって、回収したホウ酸結晶を洗浄してもよい。なお、ホウ酸結晶の洗浄は、公知の方法で行えばよい。なお、アルカリ金属成分を含まないホウ酸水溶液とは、アルカリ金属化合物は勿論、ホウ酸ナトリウムなどのアルカリ金属原子を含むホウ素化合物、それら化合物以外のアルカリ金属原子を含む化合物、アルカリ金属イオンなどを含まないホウ酸水溶液をいう。
再結晶用被処理液を調製するための水やホウ酸水溶液の添加量には、特に限定はなく、ホウ酸結晶の量等に応じて、適宜、設定すればよい。また、加熱温度にも特に限定はなく、ホウ酸結晶を溶解できる温度であればよいが、50℃〜100℃が好ましく、70℃〜80℃がさらに好ましい。
冷却温度範囲の限定理由は、先の晶析の際と同様である。また、先と同様の理由で、冷却によるホウ酸結晶の再析出は、先と同様の減圧下で行うのが好ましい。
この再結晶処理による精製によって得られたホウ酸結晶は、アルカリ金属化合物等の不純物がさらに少ない、より高純度のホウ酸結晶である。
そのため、図1または図2に示すように、この再結晶後の濾液も、前述のホウ酸結晶分離後の濾液と同様に、少なくとも一部を送液装置により、排水及び固形排物の少なくとも一方を含む被処理液へ送り、前記被処理液の原料として再利用(以下、前記被処理液に濾液を添加するともいう)するのが好ましい。これにより、被処理液からのホウ酸の回収や再結晶処理における回収率を、より向上できる。
また、この際にも、先と同様に、この濾液に固形排物を添加/混合して、被処理液に添加して加えてもよい(もしくは被処理液としてもよい)。
前記再析出されたホウ酸結晶を分離した後の濾液の5〜100質量%、好ましくは10〜75質量%、より好ましくは15〜50質量%を前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、また該濾液の0〜95質量%、好ましくは25〜90質量%、より好ましくは50〜85質量%を前記再結晶用被処理液に添加することが好ましい。
従って、ホウ酸の回収率を向上するためには、再結晶後の濾液は、前記被処理液の原料として再利用し、出来るだけ多く被処理液に添加するのが有利であり、特に、その全量を、被処理液に添加して再利用するのが好ましい。
ホウケイ酸ガラスとしては、アルカリ金属成分(ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属の酸化物)の少ないまたは実質的にアルカリ金属成分を含まない(すなわち、無アルカリの)ホウケイ酸ガラスが好ましい。
ホウケイ酸ガラスとしては、酸化物基準の質量百分率表示で下記組成(1)さらには(2)のホウケイ酸ガラスが好ましい。ただし、下記Rはアルカリ金属を表す。さらに、下記以外の金属酸化物(Fe2O3、SnO2等)、非金属酸化物(イオウ酸化物(SO3)など)、ハロゲン(Cl、F)などを少量(好ましくは総量で3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下)含有していてもよい。
SiO2:40〜85質量%、Al2O3:1〜22質量%、B2O3:2〜20質量%、MgO:0〜8質量%、CaO:0〜14.5質量%、SrO:0〜24質量%、BaO:0〜30質量%、R2O:0〜10質量%・・・(1)。
SiO2:58〜66質量%、Al2O3:15〜22質量%、B2O3:5〜12質量%、MgO:0〜8質量%、CaO:0〜9質量%、SrO:3〜12.5質量%、BaO:0〜2質量%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18質量%を含有する無アルカリガラス・・・(2)。
一方、液晶表示素子の基板として使用されるホウケイ酸ガラスとしては、アルカリ金属成分が少ないホウケイ酸ガラス、より好ましくは無アルカリホウケイ酸ガラスと呼ばれる、アルカリ金属成分が極めて少ないホウケイ酸ガラスが使用される。無アルカリホウケイ酸ガラス(無アルカリガラス)と呼ばれるホウケイ酸ガラスは、前記組成(1)においてアルカリ金属成分(R2O)含有割合が0.1質量%以下のホウケイ酸ガラスであり、前記組成(2)において不可避的不純物として含まれる以外にアルカリ金属酸化物を実質含有しない(例えばアルカリ金属酸化物0.1質量%以下)ホウケイ酸ガラスである。
このため、前記のように、本発明の回収方法で得られたホウ酸中のアルカリ金属含有量(アルカリ金属原子に換算した量)は、0.5質量%以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、500ppm以下である。このような純度の高いホウ酸は無アルカリホウケイ酸ガラスの原料として使用できる。
したがって、例えば、無アルカリホウケイ酸ガラスの製造工程から排出される排ガスの処理によって副生する排液や固形排物から回収したホウ酸を、その無アルカリホウケイ酸ガラス(アルカリ金属含有量が2質量%未満であるホウケイ酸ガラス)の原料として再利用することが可能となる。
[実施例1]
図3に示す浄化プロセスによって、ホウケイ酸ガラスを製造するためのガラス溶融炉から排出された排ガスを浄化した。この浄化プロセスにおいて、ベンチュリスクラバから排出された排水に、バグフィルタで捕集された固形排物を溶解することで、処理対象となる液体を調製した(以下、この液体を母液体という)。
この母液体を1000mL、取り分け、まず、75℃に加熱して、加熱水溶液とした。次いで、加熱水溶液に硫酸を添加して、pHを2に調整した。
次いで、このpH調整した加熱水溶液を75℃で固体が析出する直前まで濃縮した。この濃縮した加熱水溶液(pH調整済)にはホウ素32g/L、ナトリウム60g/L、硫酸イオン61g/Lそれぞれ含有されていた。
ホウ酸結晶を析出させた被処理液を35℃でろ過して、ホウ酸結晶を回収した。
実施例1で回収したホウ酸結晶に、75℃の水溶液が飽和水溶液となる量の水を添加して再結晶用被処理液とした。この再結晶用被処理液を75℃に加熱してホウ酸結晶の全量を溶解し、飽和水溶液を製造した。
次いで、上記75℃の飽和水溶液を35℃まで冷却して、ホウ酸結晶を再析出させた。
ホウ酸結晶を再析出させた水溶液を35℃でろ過して、ホウ酸結晶を回収した。
回収したホウ酸の純度を実施例1と同様に測定したところ、ホウ酸結晶中の不純物、ナトリウムイオン、硫酸イオン、塩素イオン、フッ素イオンは全て100ppm以下であった。
加熱水溶液をpH調整する硫酸の添加量を調整して、pH調整した加熱水溶液のpHを4とした以外は、実施例1と同様にして、ホウ酸結晶を回収した。
回収したホウ酸結晶の純度を実施例1と同様に測定したところ、回収したホウ酸結晶中の不純物濃度は、硫酸イオンが1.7質量%、ナトリウムが1.0質量%であった。
実施例1と同様の母液体を1000mL取り分け、75℃まで加熱した。この加熱水溶液を35℃まで冷却してナトリウムのホウ酸塩を析出させ、その後、冷却済の水溶液に硫酸を添加して、pHを2に調整し、ホウ酸結晶に転化させた。
析出したホウ酸結晶を、実施例1と同様にろ過して回収した。
回収したホウ酸結晶の純度を実施例1と同様に測定したところ、不純物濃度は、硫酸イオンが2.4質量%、ナトリウムが1.8質量%であった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
[実施例3]
図3に示す浄化プロセスによって、ホウケイ酸ガラスを製造するためのガラス溶解炉から排出された排ガスを浄化した。この浄化プロセスにおいて、ベンチュリスクラバから排出された排水を原液として使用した。第2の態様では、被処理液には多量のアルカリ金属塩が含まれることになる。本プロセスにおける被処理液を再現するために、アルカリ金属塩濃度を高めた被処理液を得ることを目的として、スクラバから排出された原液に、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムを添加した液を調製した(以下、この液体を母液体という)。
この母液体を1440mL取り分け、硫酸を添加して、pHを2に調整した。
次いで、このpH調整した液を75℃で濃縮し、固形分を析出させた。次いで、濾紙を用いて濾過により固形分と上澄みとに分離した。固形分は69gであった。なお濃縮した際の凝縮水は430gであった。
実施例3と同様の操作で得た上澄みに、10wt%の純水を添加した上で、75℃から35℃まで冷却して、ホウ酸結晶を析出させた。ホウ酸結晶を析出させた被処理液を35℃でろ過して、ホウ酸結晶を回収した。
回収したホウ酸結晶の純度をイオンクロマトグラフ法によって測定したところ、回収したホウ酸結晶中の不純物濃度は、硫酸イオンが0.4質量%、塩化物イオンが0.8質量%であった。
実施例3と同様の操作で得た上澄みに、純水を添加せずに75℃から35℃まで冷却して、ホウ酸結晶を析出させた。ホウ酸結晶を析出させた被処理液を35℃でろ過して、ホウ酸結晶を回収した。
回収したホウ酸結晶の純度をイオンクロマトグラフ法によって測定したところ、回収したホウ酸結晶中の不純物濃度は、硫酸イオンが0.5質量%、塩化物イオンが6.7質量%であった。
本出願は、2011年2月22日出願の日本特許出願2011−035896及び2011年9月26日出願の日本特許出願2011−209254に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (12)
- ホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液からホウ酸を回収するホウ酸の回収方法であって、
前記被処理液に酸を添加してpH4未満に調整した後に濃縮し、または前記被処理液を濃縮した後に酸を添加してpH4未満に調整し、
前記濃縮及びpH調整され、かつ、不溶解物を含まない被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出した水溶液とし、
前記ホウ酸結晶が析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該ホウ酸結晶を分離した後の濾液の50〜90質量%を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、
前記分離したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱してホウ酸結晶を溶解し、該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出した水溶液とし、前記ホウ酸結晶が再析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該再析出したホウ酸結晶を分離した後の濾液の少なくとも一部を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加する、ホウ酸の回収方法。 - 前記濃縮及びpH調整前の被処理液が、Na2SO4およびNaClを含む場合、該被処理液に含まれるナトリウム(Na)とホウ素(B)との質量比(Na/B)が3.6以下であり、
該被処理液が、Na2SO4を含まず、NaClを含む場合、前記質量比(Na/B)が3.9以下であり、
該被処理液が、Na2SO4を含み、NaClを含まない場合、前記質量比(Na/B)が3.1以下である、請求項1に記載のホウ酸の回収方法。 - ホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液からホウ酸を回収するホウ酸の回収方法であって、
前記被処理液に酸を添加してpH4未満に調整した後に濃縮してアルカリ金属塩を析出させ、アルカリ金属塩が析出した前記被処理液からアルカリ金属塩を除去し、
または前記被処理液を濃縮してアルカリ金属塩を析出させ、アルカリ金属塩が析出した前記被処理液からアルカリ金属塩を除去した後に酸を添加してpH4未満に調整し、
前記濃縮及びpH調整され、かつ、前記アルカリ金属塩が除去された被処理液に水を加えて希釈し、
該希釈された被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出した水溶液とし、
前記ホウ酸結晶が析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該ホウ酸結晶を分離した後の濾液の少なくとも一部を前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、
前記分離したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱してホウ酸結晶を溶解し、該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出した水溶液とし、前記ホウ酸結晶が再析出した水溶液から該ホウ酸結晶を分離し、
該再析出したホウ酸結晶を分離した後の濾液の少なくとも一部を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加する、ホウ酸の回収方法。 - 前記濃縮及びpH調整前の被処理液が、Na2SO4およびNaClを含む場合、該被処理液に含まれるナトリウム(Na)とホウ素(B)との質量比(Na/B)が3.6超であり、
該被処理液が、Na2SO4を含まず、NaClを含む場合、前記質量比(Na/B)が3.9超であり、
該被処理液が、Na2SO4を含み、NaClを含まない場合、前記質量比(Na/B)が3.1超である、請求項3に記載のホウ酸の回収方法。 - 前記被処理液の濃縮では、析出する前記アルカリ金属塩の粒径を制御し、アルカリ金属塩を選択的に除去する、請求項3または4に記載のホウ酸の回収方法。
- 前記再析出されたホウ酸結晶を分離した後の濾液の5〜100質量%を、前記濃縮及びpH調整前の被処理液に添加し、また該濾液の0〜95質量%を前記再結晶用被処理液に添加する請求項1〜5のいずれか1項に記載のホウ酸の回収方法。
- 前記排水の固形分および前記固形排物が、元素として少なくともホウ素、アルカリ金属、硫黄および塩素を含有し、その元素の質量比がホウ素を1とした場合、アルカリ金属が0.6〜13、硫黄が6以下および塩素が6以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のホウ酸の回収方法。
- 回収されたホウ酸中のアルカリ金属成分が0.5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のホウ酸の回収方法。
- 前記排水および固形排物が、いずれも、ホウケイ酸ガラスの製造工程から排出される排ガスを、アルカリ金属化合物の固体およびアルカリ金属化合物水溶液の少なくとも一方に接触させる、排ガス処理工程から排出される排水または固形排物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のホウ酸の回収方法。
- 前記ホウケイ酸ガラスのアルカリ金属含有量が、酸化物基準の質量百分率で2質量%未満である、請求項9に記載のホウ酸の回収方法。
- ホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液からホウ酸を回収する装置であって、
前記被処理液を濃縮する濃縮装置と、
酸が添加されて被処理液のpHが4未満に調整されるpH調整装置と、
前記pH調整され、かつ、不溶解物を含まない被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出された水溶液とする晶析装置と、
析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該ホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の50〜90質量%を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
前記分離回収したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱しホウ酸結晶を溶解する加熱溶解装置と、
該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出された水溶液とする晶析装置と、
再析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該再析出されたホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の少なくとも一部を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
を備えるホウ酸の回収装置。 - ホウ素化合物とアルカリ金属化合物とを含む排水および固形排物の少なくとも一方を含む被処理液からホウ酸を回収する装置であって、
前記被処理液を濃縮してアルカリ金属塩を析出させる濃縮装置と、
析出したアルカリ金属塩を被処理液から除去する除去装置と、
酸が添加されて被処理液のpHが4未満に調整されるpH調整装置と、
前記除去装置でアルカリ金属塩が除去され、かつ、前記pH調整装置でpH調整された被処理液を冷却してホウ酸結晶が析出された水溶液とする晶析装置と、
析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該ホウ酸結晶を分離回収した後の濾液を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
前記分離回収したホウ酸結晶にホウ酸水溶液または水を添加した再結晶用被処理液を加熱しホウ酸結晶を溶解する加熱溶解装置と、
該加熱しホウ酸結晶を溶解させた再結晶用被処理液を冷却してホウ酸結晶が再析出された水溶液とする晶析装置と、
再析出したホウ酸結晶を前記水溶液から分離して回収する回収装置と、
該再析出されたホウ酸結晶を分離回収した後の濾液の少なくとも一部を前記濃縮及びpH調整前の被処理液へ送る送液装置と、
を備えるホウ酸の回収装置。
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