JPWO2012111327A1 - 米澱粉ゲル含有食品 - Google Patents
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Abstract
米澱粉ゲル含有食品の製造方法であって、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて澱粉ゲル含有食品を得る工程を包含する、方法が提供される。
Description
本発明は、米澱粉ゲル含有食品、高粘度でかつゲル形成能がある米澱粉粒、その米澱粉粒から作製した食品、およびそれらの製造方法に関する。特に、本発明は、澱粉のゲル形成能を向上させることの可能な酵素を用いて米澱粉ゲル含有食品を製造する方法に関する。
食品の多様化に伴い、様々な形、物性およびテクスチャーを有する食品が求められている。特に、口どけおよび食感は食品を設計する上で、重要な物性として注目されている。最近注目されている嚥下および介護の分野においても、食感は重要な物性として検討されている。
加工食品を設計する場合、食感および物性改良のために、ゲル化剤の利用が重要であり、その利用の仕方により多様な製品開発が可能となっている。
従来、食品の物性を改変する目的で、食品を調製する場合に、様々なゲル化剤を食品素材に添加してきた。
一般に、食品加工において、寒天、ゼラチン、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギナン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、微結晶セルロース、カードラン、澱粉などの天然高分子、あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)またはメチルセルロースなどの合成高分子がゲル化剤として使用されている。
これらのゲル化剤を用いる場合、単独で用いる場合もあるが、より多様な特性を持ったゲルを形成させるために、例えば、ネイティブジェランガムとグアガム等、2種類以上のゲル化剤を組み合わせて用いることが検討されており、利用されている(特許文献1)。
しかし、食品のゲル強度を相乗的に変化させることができる組み合わせは少なく、相乗的に変化させることができたとしても、それによって得られるゲルの物性は満足のいくものではない。また、2種類以上のゲル化剤の混合は煩雑であり、さらに非常に高価な素材が多いという欠点がある。
さらに、例えばゼラチンは酸およびアルカリに弱く、寒天も酸に弱い、と言った、食品加工においての使用制限もつきまとう。
澱粉は、生澱粉だけではなく、酢酸澱粉、リン酸化澱粉など、澱粉を化学修飾した加工澱粉(化工澱粉とも言う)をゲル化剤として食品素材に添加されることにより、様々な物性を生み出すことに成功してきた。例えば、特許文献2、3および4に架橋澱粉を食パン、菓子類または麺類に利用した例を示す。しかし、架橋度の高い架橋澱粉を食品に添加した場合、ゲルの硬さおよび粘度を高めることができるが、最終製品は粉っぽい食感となり、また風味も劣るという欠点がある。また、架橋度の低い澱粉を食品に添加する場合は、所望の硬度を得るためには多量に使用する必要があるため、得られる食品は粉っぽい食感が強くなり、最終製品の品質の低下を招く。そのため、架橋度の低い澱粉の使用量には限界がある。加えて、化学反応を利用した澱粉の加工には、安全性を担保するために加工方法および加工程度に厳密な法的制限があること、安心安全を求める消費者のニーズに必ずしも適合していない、などの問題もある。
これら加工食品を設計する上で、様々な物性を示し、且つ安全性の高い、加工澱粉を得るための加工技術の開発が急がれている。
そこで、我々は、鋭意研究を重ねた結果、あらかじめ、澱粉粒を澱粉加水分解酵素または糖転移酵素で処理した後、食品素材及び水と混合し、それを加熱する工程をとることにより、弾力性、サクサク感などに富んだ食品を調製できることを見出した。
澱粉は、様々な目的に利用されている素材であり、その最も重要な機能はその増粘機能およびゲル形成機能である。特に食品産業においては、澱粉の増粘機能およびゲル形成機能が、食品の形、物性およびテクスチャーの形成に幅広く利用されている。澱粉の構造はその原料植物(例えば、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦、キャッサバなど)によって微妙に異なり、その結果、増粘機能およびゲル形成機能もその原料植物によって異なる。このため当業者は古くから、目的に応じて、使用する天然澱粉を選択してきた。たとえば、水産練り製品には古くから、小麦澱粉が多用されている。小麦澱粉はゲル形成機能に優れているからである。例えば、透明性が高く、もちもち感の必要な食品には一般にタピオカ澱粉が利用されている。しかしながら、昨今の食品産業で要求される特性は高度化しており、使用する天然澱粉を変更するだけでは対応できなくなってきている。そのため澱粉の増粘機能またはゲル形成機能を改変する必要が生じている。
澱粉の増粘機能またはゲル形成機能を改変するために最も汎用されている手段は、澱粉の化学修飾である。なかでも適切な化学的架橋剤を用いて澱粉分子間に新たな架橋点を導入する手法および適切な官能基を導入する手法などの化学的処理を施す手法は増粘機能またはゲル形成機能を顕著に改変するため、広く利用されるようになってきている。しかしながら、日本国では2008年10月より、このような化学的処理を施した澱粉が食品添加物として指定され、法規制を受けることとなった。このため、澱粉の増粘機能またはゲル形成機能を、化学的処理を伴わずに改変する技術が期待されていた。
化学的処理を伴わずに澱粉を改変する技術としては、澱粉の酵素処理技術がある。酵素は一般的に、水に溶解している基質に作用するため、通常の酵素処理は、澱粉を水に完全に溶解させてから酵素処理が行われている。水に溶解させた澱粉に加水分解酵素または糖転移酵素を作用させて澱粉を切断することにより、デキストリン、水あめ、マルトオリゴ糖、マルトース、グルコースなどのより低分子量の分子が製造されている。しかしながら、これら加水分解酵素または糖転移酵素による酵素処理では、澱粉分子が切断されて低分子量の分子になってしまうため、一般に、得られる分子の増粘機能およびゲル形成機能は澱粉の増粘機能およびゲル形成機能よりも低下するかあるいは消失すると考えられていた。
また、澱粉の物性を改変する方法として、澱粉を水に溶解させずに、水中で澱粉粒のままで酵素を作用させる技術が、特許文献5に開示されている。特許文献5は、澱粉を酵素処理する際に、従来一般には酵素処理前に水に溶解されるが、酵素処理前に澱粉を水に溶解することが必ずしも必要ではなく、水に溶解しておらず、水に懸濁した澱粉粒子に酵素処理をすることが可能であることを開示している。具体的にはα-アミラーゼ、グルコアミラーゼなどの加水分解酵素が、水に溶解しておらず、水に懸濁した澱粉粒子に作用し、還元糖を生成することが出来ることが開示されている。特許文献5にはまた、その結果として、酵素処理を受けた澱粉の粘度は酵素処理をしていない澱粉の粘度よりも低いことが開示されている。しかしながら、特許文献5は、澱粉粒子に加水分解酵素または糖転移酵素を作用させることにより、酵素処理していない澱粉よりも増粘機能またはゲル形成機能が向上した澱粉が得られることについては、示唆も開示もしていない。
特許文献6〜10においても、不溶性の澱粉粒に加水分解酵素を作用させる技術が開示されている。これら発明は、加水分解酵素を澱粉粒に作用させることにより、澱粉粒の表面に穴を開けて、多孔性の澱粉粒を作り、多孔性澱粉粒を粉末基材または多孔性担体などとして利用する技術を開示している。しかしながら、特許文献6〜10は、澱粉粒に加水分解酵素または糖転移酵素を作用させることにより、増粘機能およびゲル形成機能が向上した澱粉が得られることについては、示唆も開示もしていない。本発明の目的は酵素処理澱粉粒の表面に穴を開けることではなく、増粘機能およびゲル形成機能の向上と酵素処理澱粉粒の表面に穴が開くかどうかとは全く関係ない。本発明の酵素処理澱粉粒を使用して加熱食品を製造すると、酵素処理澱粉は加熱食品中で硬いゲルを形成する。本発明の酵素処理澱粉粒は加熱食品に使用可能である。それに対し、従来技術では澱粉粒の表面に穴があることが重要であって、酵素処理後の澱粉粒と水とを混合してから加熱すると澱粉粒が崩壊して穴開きの状態ではなくなってしまうため、当業者は従来技術の穴開き澱粉を加熱食品に使用しようとは考えなかった。本発明においては酵素処理の程度を調節することにより酵素処理澱粉粒を使用して形成されるゲルの硬さを調節することができる。ゲルの硬さは食品の食感、歯ごたえなどに影響を与える。従って、本発明の方法を用いることにより、食品の食感に影響を与えることができる。このように従来技術の酵素処理澱粉粒と本願で使用する酵素処理澱粉粒とは用途および使用方法が全く異なっている。
このように、従来、澱粉の化学修飾を利用せずに、増粘機能またはゲル形成機能に優れた澱粉を提供することはできなかった。
また、従来技術においては、酵素が、澱粉のゲル形成能を向上させるという特性を有するか否かということに一切着目されていなかった。酵素が、澱粉のゲル形成能を向上させるという特性を有することにより産業上の利点が存在するか否かも一切わかっていなかった。
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、所望の程度の硬さの米澱粉ゲルを含む食品およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明の特定の実施形態では、米澱粉の化学修飾を利用せずに、増粘機能またはゲル形成機能に優れた米粉または米澱粉を提供すること、その米粉または米澱粉を含む食品を提供すること、ならびにその米粉または米澱粉および食品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、澱粉のゲル形成能を向上させるという特性を有する特定の加水分解酵素または糖転移酵素を、澱粉が溶解しない条件で澱粉粒に作用させることにより、増粘機能およびゲル形成機能に優れた澱粉が得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。一般的に加水分解酵素または糖転移酵素を澱粉に作用させた場合、澱粉は切断されてより低分子となり、得られる分子の粘度およびゲル形成能は酵素処理前の澱粉の粘度およびゲル形成能力よりも低下するか、あるいは消失すると考えられる。実際、澱粉が溶解しない条件で澱粉粒に作用させた場合にこのような優れた澱粉を生成する加水分解酵素または糖転移酵素と同じ加水分解酵素または糖転移酵素を、澱粉を水に溶解させてから澱粉に作用させた場合、澱粉粘度は低下し、増粘機能またはゲル形成機能に優れた澱粉は得られない。このように本発明は、当業者が有するこれまでの一般的な知見および技術常識では予測できないものである。
本発明者らは最初に小麦澱粉、タピオカ澱粉およびコーンスターチについて上記の加水分解酵素または糖転移酵素を使用した場合に増粘機能およびゲル形成機能に優れた澱粉が得られることを見出して出願を行った。本発明者らはさらに、米粉または米澱粉についても同様に上記の加水分解酵素または糖転移酵素を使用することにより、増粘機能およびゲル形成機能に優れた澱粉が得られることを見出して本出願を行った。
澱粉粒の酵素処理条件は、酵素の特異性および澱粉粒の起源により異なり得る。例えば、まず、澱粉粒をイオン交換水または緩衝液に懸濁させて澱粉懸濁液を作製する。澱粉懸濁液のpH調整が必要な場合は、酵素の適性pHに調整する。この澱粉懸濁液を、澱粉粒が崩壊しない温度(好ましくは、約10℃〜約70℃)に加温しながら、酵素を添加し、例えば約24時間以内(好ましくは、約1時間〜約20時間)反応を行い得る。その後、澱粉調製の常法である洗浄及び脱水工程により、酵素および酵素分解により溶出した糖質を除去し、乾燥工程を経て、目的とする酵素処理澱粉粒が得られ得る。
本発明は、例えば、以下の通りである:
(項目1) 米澱粉ゲル含有食品の製造方法であって、
米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;
該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;
食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;
該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および
該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて米澱粉ゲル含有食品を得る工程
を包含し、該酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、方法。
(項目1) 米澱粉ゲル含有食品の製造方法であって、
米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;
該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;
食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;
該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および
該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて米澱粉ゲル含有食品を得る工程
を包含し、該酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、方法。
(項目2) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目4) 前記酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販される(英語ではCyclodextrin glucanotransferase “Amano”として販売される)Paenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5) 前記酵素が、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6) 前記酵素が、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7) 前記澱粉粒が、未処理澱粉、物理処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8) 前記澱粉粒が未処理澱粉の澱粉粒であり、該澱粉粒が前記方法により澱粉ゲル含有食品を得るまでのいずれの段階においても化学修飾も、物理処理もされない、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9) 前記澱粉粒が未処理澱粉または物理処理澱粉の澱粉粒であり、前記酵素処理澱粉粒を化学修飾する工程をさらに包含し、該化学修飾した酵素処理澱粉粒を前記食品材料および水と混合する、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目10) 前記澱粉粒が未処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒であり、前記酵素処理澱粉粒を物理処理する工程をさらに包含し、該物理処理した酵素処理澱粉粒を前記食品材料および水と混合する、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目11) 項目1〜10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、米澱粉ゲル含有食品。
(項目12) 前記食品が高水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり40gより高く95gより低い、項目11に記載の食品。
(項目13) 前記食品が、和菓子類、油脂含有食品、ゲル状食品、魚肉および畜肉加工食品、たれおよびソース類および麺類からなる群より選択される、項目12に記載の食品。
(項目14) 前記食品が低水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり1g以上40g以下である、項目11に記載の食品。
(項目15) 前記食品が、ベーカリー類、洋菓子類およびフライ食品からなる群より選択される、項目14に記載の食品。
(項目16) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目11〜15のいずれか1項に記載の食品。
(項目17) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目11〜16のいずれか1項に記載の食品。
特定の実施形態ではまた、本発明は、例えば、以下の通りである:
(項目1A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒から作製された加熱調理済みの米澱粉含有食品であって、
該米澱粉含有食品は、食品材料と該酵素処理澱粉粒とを混合した後に加熱することを含む方法によって製造された食品であり、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、食品。
(項目1A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒から作製された加熱調理済みの米澱粉含有食品であって、
該米澱粉含有食品は、食品材料と該酵素処理澱粉粒とを混合した後に加熱することを含む方法によって製造された食品であり、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、食品。
(項目2A) 前記酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率の110%以上850%以下(一つの実施形態においては110%以上330%以下)のヤング率または未処理澱粉粒の破断応力の110%以上600%以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、項目1Aに記載の食品。
(項目3A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理米澱粉粒から作製された加熱調理済みの澱粉含有食品であって、
該澱粉含有食品は、食品材料と該酵素処理米澱粉粒とを混合した後に加熱することを含む方法によって製造された食品であり、
該酵素処理米澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理米澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理米澱粉粒は、レオメータで測定した場合に6.0×105dyn/cm2以上2.2×106dyn/cm2以下のヤング率または40g以上250g以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、食品。
該澱粉含有食品は、食品材料と該酵素処理米澱粉粒とを混合した後に加熱することを含む方法によって製造された食品であり、
該酵素処理米澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理米澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理米澱粉粒は、レオメータで測定した場合に6.0×105dyn/cm2以上2.2×106dyn/cm2以下のヤング率または40g以上250g以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、食品。
(項目4A) 前記澱粉が、前記食品中でゲルを形成している、項目1A〜3Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目5A) 前記食品が高水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり40gより高く95gより低い、項目1A〜4Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目6A) 前記食品が、和菓子類、油脂含有食品、ゲル状食品、魚肉および畜肉加工食品、たれおよびソース類および麺類からなる群より選択される、項目1A〜5Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目7A) 前記食品が低水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり1g以上40g以下である、項目1A〜4Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目8A) 前記食品が、ベーカリー類、洋菓子類およびフライ食品からなる群より選択される、項目1A〜4Aおよび7Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目9A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される、項目1A〜8Aのいずれか1項に記載の食品。
(項目10A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus属由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目9Aに記載の食品。
(項目11A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus niger由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目9Aに記載の食品。
(項目12A) 澱粉含有食品の製造方法であって、
食品材料に酵素処理澱粉粒を添加して混合する工程;および
該混合物を加熱調理する工程
を包含し、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、方法。
食品材料に酵素処理澱粉粒を添加して混合する工程;および
該混合物を加熱調理する工程
を包含し、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、方法。
(項目13A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、澱粉粒。
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる、澱粉粒。
(項目14A) 前記酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に前記未処理澱粉粒のヤング率の110%以上850%以下(一つの実施形態においては110%以上330%以下)のヤング率または未処理澱粉粒の破断応力の110%以上600%以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、項目17Aに記載の澱粉粒。
(項目15A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に6.0×105dyn/cm2以上2.2×106dyn/cm2以下のヤング率または40g以上250g以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、澱粉。
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に6.0×105dyn/cm2以上2.2×106dyn/cm2以下のヤング率または40g以上250g以下の破断応力を有するゲルを形成することができる、澱粉。
(項目16A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される、項目14A〜14Aのいずれか1項に記載の澱粉。
(項目17A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus属由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目16Aに記載の澱粉。
(項目18A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus niger由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目16Aに記載の澱粉。
(項目19A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理米澱粉粒の製造方法であって、
米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を10℃以上70℃以下の温度において酵素で処理する工程を包含し、
該酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される、方法。
米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を10℃以上70℃以下の温度において酵素で処理する工程を包含し、
該酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される、方法。
(項目20A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus属由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目19Aに記載の方法。
(項目21A) 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus niger由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、項目19Aまたは20Aに記載の方法。
(項目22A) 前記酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus
niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目19A〜21Aのいずれか1項に記載の方法。
niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目19A〜21Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目23A) 前記酵素が、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、項目19A〜22Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目24A) 前記酵素が、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、項目19A〜22Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目25A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、澱粉粒。
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、澱粉粒。
(項目26A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素は、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、澱粉粒。
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素は、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、澱粉粒。
(項目27A) 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で未処理米粉または米澱粉の澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素は、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を
有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、澱粉粒。
該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で未処理米粉または米澱粉の澱粉粒を酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、
該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、
該酵素は、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を
有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、澱粉粒。
本発明によれば、澱粉のゲル形成能を向上させるという特性を有する酵素を用いることにより、従来の澱粉にない「ゲル形成能が強く、かつ高粘度を有する」米澱粉粒を開発することに成功した。
従来のゲル形成能が強い澱粉は、通常の加熱温度帯では十分に膨潤および糊化できないために、食品に添加した場合、粉っぽさが残りやすい。従来のゲル形成能が強い澱粉を十分に膨潤および糊化させるためには、通常の食品での加熱温度帯以上の加熱を必要とする。酸処理した澱粉およびアミロース画分を高めた澱粉に至っては、全く粘度が出ないか、或はほとんど粘度が出ないために、ゲル形成能には優れているがその用途は限定されていた。このような酸処理した澱粉などであっても、本発明の方法によって酵素処理することにより、ある程度の粘度を保持しながらも、従来よりもゲル形成能を向上させることができる。
さらには、ワラビモチ向けに化学処理された澱粉がよく使用されているが、アセチル化処理とリン酸架橋化処理といった併用処理を必要としている。
今回開発した澱粉粒はこれらの欠点を改良した澱粉であり、原料として未処理澱粉、物理処理澱粉または漂白澱粉を使用し、製造工程のどの段階においても化学修飾をしない条件下で製造した場合、通常の食品への添加、或は澱粉を主原料とする食品において、用途が限定されることなく、「食品扱い」として全ての食品への使用は可能である。
原料として未処理澱粉、物理処理澱粉または漂白澱粉を使用し、製造工程のどの段階においても化学修飾をしない条件下で製造した場合、澱粉加水分解酵素または糖転移酵素を用いて調製した本発明の酵素処理澱粉粒は、食品添加物の化学修飾された加工澱粉には該当しない。よって、澱粉加水分解酵素または糖転移酵素を用いて調製した本発明の酵素処理澱粉粒を用いれば、食品添加物未添加にて食品を調製することが可能である。
原料として未処理澱粉を使用し、製造工程のどの段階においても化学修飾も物理処理をしない条件下で酵素処理澱粉粒を製造した場合、本発明の酵素処理澱粉粒は、未処理の澱粉よりも高いゲル形成能を有しながら、強制的な結合がされていないために、通常の加熱温度でも十分な糊化に至り、粘度を発現させることが可能である。さらに、得られた糊液は、十分に糊化されているにも関わらず、曳糸性が少ない。本発明の澱粉粒を高濃度で使用して得られるゲルは、非常に弾力に富んでいる。すなわち、本発明の澱粉粒を高水分系の食品に添加した場合、ボディを付与することができ、強いゲル形成能により自然な弾力を付与することもできる。一方、本発明の澱粉粒を低水分系の食品に添加した場合、食品に口解けの良い食感を付与することが可能である。さらに、作業工程上においても、その糊化特性上、制約は少ない。
原料として加工澱粉または物理処理澱粉を使用するか、または食品の製造工程のいずれかの段階において化学修飾もしくは物理処理をする条件下で食品を製造した場合であっても、本発明の食品は、酵素処理をしないで製造された対応する澱粉を使用して製造された場合と比較してゲルが硬くなっており、異なった食感を有する。そのため、本発明により、従来と異なった食感の食品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1.材料)
(1.1 澱粉粒)
本明細書中では、用語「澱粉粒」とは、結晶状の澱粉分子をいう。澱粉粒は、未処理の澱粉粒であってもよく、未処理の澱粉粒を化学修飾または物理処理することによって得られる澱粉粒であってもよい。食品として分類される酵素処理澱粉を使用することが好ましい場合には、使用される澱粉粒は、植物から得られた未処理の澱粉粒である。植物は、アミロプラスト内に澱粉分子を顆粒として(すなわち、大きな結晶として)貯蔵する。この顆粒は澱粉粒と呼ばれる。澱粉粒内では、澱粉分子どうしが水素結合などによって結合している。そのため、澱粉粒はそのままでは水に溶けにくく、消化もされにくい。澱粉粒を水とともに加熱すると膨潤し、分子がほぐれてコロイド状になる。この変化は「糊化」と呼ばれる。澱粉粒の大きさおよび形態は、その澱粉粒が得られた植物によって異なる。コメではアミロプラスト内に直径数μmの角ばった澱粉小粒が多数蓄積される複粒構造となる。本発明においては、市販されている各種の澱粉粒を使用することが可能である。植物などから澱粉粒を精製するなどの方法により澱粉粒を調製して本発明に使用してもよい。
(1.1 澱粉粒)
本明細書中では、用語「澱粉粒」とは、結晶状の澱粉分子をいう。澱粉粒は、未処理の澱粉粒であってもよく、未処理の澱粉粒を化学修飾または物理処理することによって得られる澱粉粒であってもよい。食品として分類される酵素処理澱粉を使用することが好ましい場合には、使用される澱粉粒は、植物から得られた未処理の澱粉粒である。植物は、アミロプラスト内に澱粉分子を顆粒として(すなわち、大きな結晶として)貯蔵する。この顆粒は澱粉粒と呼ばれる。澱粉粒内では、澱粉分子どうしが水素結合などによって結合している。そのため、澱粉粒はそのままでは水に溶けにくく、消化もされにくい。澱粉粒を水とともに加熱すると膨潤し、分子がほぐれてコロイド状になる。この変化は「糊化」と呼ばれる。澱粉粒の大きさおよび形態は、その澱粉粒が得られた植物によって異なる。コメではアミロプラスト内に直径数μmの角ばった澱粉小粒が多数蓄積される複粒構造となる。本発明においては、市販されている各種の澱粉粒を使用することが可能である。植物などから澱粉粒を精製するなどの方法により澱粉粒を調製して本発明に使用してもよい。
澱粉粒の状態では澱粉分子どうしが強く結合しているため、酵素が作用しにくい。食品として扱われる酵素処理澱粉粒を得るための特定の実施形態では、本発明で使用される澱粉粒は、植物から単離または精製されているが、酸処理、化学修飾処理および熱処理を受けていないものである。本明細書中では、用語「未処理」の澱粉粒とは、天然で生成される澱粉粒であって、自然状態で共存している他の成分(例えば、タンパク質、脂質など)から澱粉粒を分離するために必要な処理以外の処理が施されていない澱粉粒をいう。したがって、植物などから不純物を除去して澱粉を精製する工程などの、澱粉粒を調製する方法における各工程は、本明細書中においては、澱粉粒の処理には含まれない。澱粉粒としては、通常市販されている澱粉粒であればどのような澱粉粒でも使用され得る。
別の特定の実施形態では、本発明で使用される澱粉粒は、未処理の澱粉粒に対して化学修飾または物理処理を行うことによって処理された澱粉粒であってもよい。化学修飾された澱粉粒の例としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、漂白澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉およびリン酸化モノエステル化リン酸架橋澱粉が挙げられる。「アセチル化アジピン酸架橋澱粉」とは、澱粉を無水酢酸および無水アジピン酸でエステル化して得られたものをいう。「アセチル化酸化澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理した後、無水酢酸でエステル化して得られたものをいう。「アセチル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンおよび無水酢酸または酢酸ビニルでエステル化して得られたものをいう。「オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム」とは、澱粉を無水オクテニルコハク酸でエステル化して得られたものをいう。「酢酸澱粉」とは、澱粉を無水酢酸または酢酸ビニルでエステル化して得られたものをいう。「酸化澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理して得られたものであって、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中のカルボキシ基(カルボキシル基ともいう)の分析を行った場合にカルボキシ基が1.1%以下であるものをいう。ただし、カルボキシ基の量がこの範囲にあっても「漂白澱粉」は「酸化澱粉」の定義には含まれない。「漂白澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理して得られたものであって、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中のカルボキシ基の分析を行った場合にカルボキシ基が0.1%以下であるものであって、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性でかつ粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できるものをいう。カルボキシ基の量が0.1%以下であっても粘度等の澱粉の性質が天然澱粉から変化しているものは酸化澱粉に分類され、日本では食品としては取り扱われず、食品添加物として取り扱われる。「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化し、酸化プロピレンでエーテル化して得られたものをいう。「ヒドロキシプロピル澱粉」とは、澱粉を酸化プロピレンでエーテル化して得られたものをいう。「リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化して得られたものをいう。「リン酸化澱粉」とは、澱粉をオルトリン酸、そのカリウム塩もしくはナトリウム塩またはトリポリリン酸ナトリウムでエステル化して得られたものをいう。「リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をオルトリン酸、そのカリウム塩もしくはナトリウム塩またはトリポリリン酸ナトリウムでエステル化し、トリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化して得られたものをいう。
物理処理された澱粉粒の種類の例としては、湿熱処理澱粉および熱抑制澱粉が挙げられる。
本発明において使用される澱粉粒は、米粉(例えば、もち米粉または粳米粉)または米澱粉(例えば、もち米澱粉または粳米澱粉)として提供される。
本明細書中では用語「米粉」とは、精白した米粒を粉砕したものをいう。「精白」とは、籾殻を除いた米粒を研磨して糠を除去することをいう。精白の程度の指標として精白歩合がある。精白歩合は、{(精白後の糠の重量)/(籾殻を除いた原料米粒の重量)}×100によって計算される。例えば、精白歩合10%とは、糠の重量が10%で、得られる精白した米粒の重量が90%である。本発明で使用される米粉の原料は、ジャポニカ米であってもインディカ米であってもよい。ジャポニカ米が好ましい。米粉の原料は、うるち米であっても糯米であってもよい。米粉の原料は砕米であってもよい。米粉の原料として使用される米粉の精白歩合は、約10%以上であることが好ましく、約15%以上であることがさらに好ましく、約20%以上であることが最も好ましい。精白歩合は約95%以下であることが好ましく、約90%以下であることがさらに好ましい。本発明で使用される米粉のタンパク質含量は、通常約1重量%以上であり、例えば、約5重量%以上または約6重量%以上であってもよい。本発明で使用される米粉のタンパク質含量は、約10重量%以下であることが好ましく、約9重量%以下であることがさらに好ましく、約8重量%以下であることがなおさらに好ましく、約7重量%以下であることが特に好ましく、約6重量%以下であることが最も好ましい。米粉は製造過程で澱粉粒の構造を崩壊させる処理(例えば、加熱処理)が施されていないものである必要がある。米粉は一般に、米粉麺(ライスヌードル、ビーフンなど)、和菓子(羊羹、饅頭、せんべいなど)、洋菓子(クッキー、ケーキなど)、パン、餃子の皮、焼売の皮などに用いられている。
本明細書中では用語「米澱粉」とは、米粒から精製した澱粉をいう。米澱粉は、例えば、原料米をタンパク質除去し、精製することにより製造され得る。米澱粉の一般的な製造方法をより詳細に説明する。例えば、原料米からタンパク質の分離および米粒の軟化のためにアルカリ液による浸漬を行うことで、米タンパク質の50%程度が除去され、米粒が軟化する。そして、さらにアルカリ液を添加しながら磨砕することで粗澱粉乳が得られる。分級型またはノズル型の遠心分離機を組み合わせて使用してこの粗澱粉乳を(例えば4〜5回)水洗することにより、さらにタンパク質が除去されて精製澱粉乳が得られ得る。こうして得られた精製澱粉乳を塩酸により中和し、水洗し、脱水し、乾燥し、その後精製することにより、タンパク質含量約0.3%以下の精製米澱粉を得ることができる。米澱粉は、その製造過程において澱粉粒の構造を崩壊させる処理(例えば、加熱処理)が施されていないものである必要がある。
米澱粉は多面形の複粒で、その平均粒径は一般に約2〜約5マイクロメートルであり、市販されている澱粉中で最も小さい。このために、製造は困難で収量も少ないために米澱粉は高価な場合が多い。
米澱粉は、微粒子であるために、凸凹面に付着することによってその凹凸面を平滑面に変えて滑らかな触感とすることが出来る。そのため、米澱粉は、印画紙用、化粧品用などの工業用や食品の手粉、打ち粉、振りかけ粉などの滑材によく使用される。
澱粉粒として未処理の澱粉を使用する場合には、未処理の米澱粉粒を使用することが好ましい。澱粉粒として化工澱粉を使用する場合には、米粉または米澱粉の、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、漂白澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉またはリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉を使用することが好ましい。物理処理澱粉を使用する場合には、米粉または米澱粉の、湿熱処理澱粉または熱抑制澱粉であることが好ましい。
化学修飾は、未処理の澱粉粒の物性を改変する。例えば、リン酸架橋、アジピン酸架橋などの架橋は、一般に、得られる澱粉粒を使用して形成されるゲルを、未処理の澱粉粒を使用して形成されるゲルよりも硬くし、濁りを増すことが多い。ヒドロキシプロピル化、アセチル化および酸化処理は、一般に、得られる澱粉粒を使用して形成されるゲルを、未処理の澱粉粒を使用して形成されるゲルよりも透明度を向上させ、ゲルを軟らかくすることが多い。オクテニルコハク酸処理は、一般に、得られる澱粉粒を使用して形成されるゲルが油を含むことを可能にすることができる。
物理処理もまた、未処理の澱粉粒の物性を改変する。例えば、湿熱処理は、一般に、得られる澱粉粒を使用して形成されるゲルを、未処理の澱粉粒を使用して形成されるゲルよりも硬くすることが多く、糊液粘度を減少させることが多い。例えば、熱抑制処理は、一般に、得られる澱粉粒を使用して形成されるゲルを、未処理の澱粉粒を使用して形成されるゲルよりも硬くすることが多い。また、ドライ加熱処理時間が長いものは、高架橋澱粉のような、低い糊液粘度を示すことが多い。
本発明において使用される澱粉粒は、なるべく不純物を含まないことが好ましい。澱粉粒中の不純物の含有量は、好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、さらに好ましくは約1重量%以下である。
(1.2 酵素)
本発明で使用可能な酵素は澱粉加水分解酵素または糖転移酵素である。澱粉加水分解酵素はα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびα−グルコシダーゼに大別される。しかし、同じ酵素(たとえばα−アミラーゼ)に分類される酵素であっても、その生産菌が異なる場合、酵素の反応特異性や基質特異性などの特徴は異なると考えられている。これら澱粉加水分解酵素および糖転移酵素は、動物、微生物、植物に非常に広く分布しているので、澱粉加水分解酵素および糖転移酵素の種類は無限にあるといえる。
本発明で使用可能な酵素は澱粉加水分解酵素または糖転移酵素である。澱粉加水分解酵素はα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびα−グルコシダーゼに大別される。しかし、同じ酵素(たとえばα−アミラーゼ)に分類される酵素であっても、その生産菌が異なる場合、酵素の反応特異性や基質特異性などの特徴は異なると考えられている。これら澱粉加水分解酵素および糖転移酵素は、動物、微生物、植物に非常に広く分布しているので、澱粉加水分解酵素および糖転移酵素の種類は無限にあるといえる。
本発明の澱粉粒の製造に使用可能な澱粉加水分解酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される澱粉加水分解酵素である。本明細書中では、「澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ」とは、下記に記載の判定方法で測定した場合に、酵素処理後の澱粉粒のヤング率または破断応力が、酵素処理前の澱粉粒のヤング率または破断応力よりも10%以上高いα−アミラーゼである。本発明で使用される澱粉加水分解酵素は、好ましくはα−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、またはα−グルコシダーゼに分類される酵素である。β−アミラーゼまたはプルラナーゼに分類される酵素は好ましくない。アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼまたはα−グルコシダーゼに分類される酵素であれば、澱粉粒に作用させた場合に高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒を生成できると考えられる。しかしながら、α−アミラーゼに分類される酵素の場合、すべての酵素が好適に利用できるわけではなく、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼを選択する必要があり、この活性を有さないα−アミラーゼを用いても、本発明の澱粉粒を製造することはできない。
α−アミラーゼに分類される酵素が、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼであるかどうかの判断は、以下の判定方法により判別することが出来る。
本発明の澱粉粒の製造に使用可能な糖転移酵素の例は、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼである。
(1.2.1 澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼの判定方法)
澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼは、以下の方法により判別することが出来る。小麦澱粉400gにイオン交換水900gを加え懸濁し、ここに各酵素を添加する。反応により懸濁液中に遊離される還元糖量を測定して分解率を求め、分解率が15%に達したところで澱粉粒をろ過で回収し、水洗し、そして乾燥する。このようにして得られた酵素処理澱粉粒を用い、レオメータ分析にてヤング率及び破断応力を求める。酵素処理後の澱粉粒のヤング率または破断応力が、酵素処理前の澱粉粒のヤング率または破断応力よりも10%以上上昇している場合、当該酵素は澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼと判定される。例として、以下の表1Aに各種澱粉加水分解酵素の判定結果を示す。本発明の方法で使用する澱粉粒は米粉または米澱粉として提供されるが、α−アミラーゼが澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するか否かは、小麦澱粉を使用して判定した結果が1つの指標として使用される。
澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼは、以下の方法により判別することが出来る。小麦澱粉400gにイオン交換水900gを加え懸濁し、ここに各酵素を添加する。反応により懸濁液中に遊離される還元糖量を測定して分解率を求め、分解率が15%に達したところで澱粉粒をろ過で回収し、水洗し、そして乾燥する。このようにして得られた酵素処理澱粉粒を用い、レオメータ分析にてヤング率及び破断応力を求める。酵素処理後の澱粉粒のヤング率または破断応力が、酵素処理前の澱粉粒のヤング率または破断応力よりも10%以上上昇している場合、当該酵素は澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼと判定される。例として、以下の表1Aに各種澱粉加水分解酵素の判定結果を示す。本発明の方法で使用する澱粉粒は米粉または米澱粉として提供されるが、α−アミラーゼが澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するか否かは、小麦澱粉を使用して判定した結果が1つの指標として使用される。
このように、多種類のα−アミラーゼについて澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するか否かを容易に決定することができる。なお、レオメータ分析の具体的方法は以下の1.2.2に記載の通りである。
(1.2.2 レオメータ分析の具体方法)
米粉については乾物換算で30重量%濃度となるように、米澱粉または小麦澱粉については乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作製し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填する。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持する。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)で測定する。レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定する。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)およびヤング率(dyn/cm2)で評価する。
米粉については乾物換算で30重量%濃度となるように、米澱粉または小麦澱粉については乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作製し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填する。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持する。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)で測定する。レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定する。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)およびヤング率(dyn/cm2)で評価する。
(1.2.3 本願で使用される酵素の好適な例)
本発明の澱粉粒を製造するためには、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ、およびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される酵素が使用される。
本発明の澱粉粒を製造するためには、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ、およびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される酵素が使用される。
特定の実施形態では、酵素は、アミログルコシダーゼ;イソアミラーゼ;α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される。
特定の実施形態では、酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される。
好ましい実施形態では、酵素は、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される。
特定の好ましい実施形態では、酵素は澱粉加水分解酵素であり、この澱粉加水分解酵素は、配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有し、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である。
好ましい実施形態では、澱粉加水分解酵素は、配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有する。
(1.2.4 α−アミラーゼ)
α−アミラーゼは多くの微生物、動物および植物に存在する。α−アミラーゼを産生する微生物の例としては、Aspergillus属(例えば、Aspergillus oryzae、Aspergillus niger、Aspergillus awamori、Aspergillus flavus、Aspergillus kawachii、Aspergillus sclerotiorumなど)、;Bacillus属(例えば、Bacillus subtilis、Bacillus acidocaldarius、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus cereus、Bacillus licheniformisなど);Geobacillus属(例えば、Geobacillus stearothermophilus、Geobacillus thermodenitrificans、Geobacillus thermodenitrificansなど);Lactobacillus属(例えばLactobacillus amylovorus、Lactobacillus cellobiosus、Lactobacillus manihotivoransなど);他に、Pseudomonas sp.、Pyrococcus furiosus、Rhizopus microsporus、Thermotoga maritima、Vibrio sp.などが挙げられる。その他に、動物由来のα−アミラーゼは、ヒト膵臓、ヒト唾液、ヒト尿、豚膵臓、ウシ膵臓、コイ腸管などで、植物由来のα−アミラーゼは、大麦、イネ、小麦、オート麦、ライ麦、大豆、ソラマメ中に存在することが確認されている。α−アミラーゼを産生する生物はこれらに限定されない。
α−アミラーゼは多くの微生物、動物および植物に存在する。α−アミラーゼを産生する微生物の例としては、Aspergillus属(例えば、Aspergillus oryzae、Aspergillus niger、Aspergillus awamori、Aspergillus flavus、Aspergillus kawachii、Aspergillus sclerotiorumなど)、;Bacillus属(例えば、Bacillus subtilis、Bacillus acidocaldarius、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus cereus、Bacillus licheniformisなど);Geobacillus属(例えば、Geobacillus stearothermophilus、Geobacillus thermodenitrificans、Geobacillus thermodenitrificansなど);Lactobacillus属(例えばLactobacillus amylovorus、Lactobacillus cellobiosus、Lactobacillus manihotivoransなど);他に、Pseudomonas sp.、Pyrococcus furiosus、Rhizopus microsporus、Thermotoga maritima、Vibrio sp.などが挙げられる。その他に、動物由来のα−アミラーゼは、ヒト膵臓、ヒト唾液、ヒト尿、豚膵臓、ウシ膵臓、コイ腸管などで、植物由来のα−アミラーゼは、大麦、イネ、小麦、オート麦、ライ麦、大豆、ソラマメ中に存在することが確認されている。α−アミラーゼを産生する生物はこれらに限定されない。
α−アミラーゼは、市販のものであっても、当該分野で公知の方法によりこれらの生物から調製されてもよく、またはこれらの生物のα−アミラーゼのアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組換え法により調製されてもよく、化学合成されてもよい。α−1,4−グルコシド結合をエンド型で分解するという性質を有する限り、当該分野で公知の任意のα−アミラーゼが使用され得る。
本発明で使用されるα−アミラーゼは、好ましくは、Aspergillus属のα−アミラーゼであり、最も好ましくは、Aspergillus oryzae由来またはAspergillus niger由来のα−アミラーゼである。
Aspergillus oryzae由来の代表的なα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号1に示し、そのアミノ酸配列を配列番号2に示す。Aspergillus niger由来の代表的なα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号3に示し、そのアミノ酸配列を配列番号4に示す。近縁種の間でのα−アミラーゼは非常に高い相同性を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。そのため、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼは、配列番号2と非常に相同性の高いアミノ酸配列を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。市販のAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼが澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有することが示されているため、配列番号2のアミノ酸配列を有するα−アミラーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するα−アミラーゼについても澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有すると考えられる。同様に、市販のAspergillus niger由来のα−アミラーゼが澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有することが示されているため、配列番号2のアミノ酸配列を有するα−アミラーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するα−アミラーゼについても澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有すると考えられる。
本発明で使用されるα−アミラーゼは、Bacillus amyloliquefaciens由来のアミラーゼではない。Bacillus amyloliquefaciens由来のアミラーゼは、高粘度でかつゲル形成能を有する澱粉を製造することができないからである。
多数のα−アミラーゼが市販されている。市販のα−アミラーゼの例を以下に記載する:ビオザイムF1OSD(起源Aspergillus oryzae;天野エンザイム(株))、ビオザイムA(起源Aspergillus oryzae;天野エンザイム(株))、コクラーゼ(起源Aspergillus oryzae;三菱化学フーズ(株))、スミチームL(起源Aspergillus oryzae;新日本化学工業(株))、AMYLEX A3(起源Aspergillus niger;ダニスコジャパン(株))、グリンドアミルA(起源Aspergillus oryzae;ダニスコジャパン(株))、VERON AX(起源Aspergillus oryzae;(株)樋口商会)、VERON GX(起源Aspergillus oryzae;(株)樋口商会)、VERON M4(起源Aspergillus oryzae;(株)樋口商会)、VERON ELS(起源Aspergillus oryzae;(株)樋口商会)、スミチーム AS(起源Aspergillus niger;新日本化学工業(株))、ベイクザイムP500(起源Aspergillus oryzae;日本シイベルヘグナー(株))、α−Amylase(起源Aspergillus oryzae;シグマアルドリッチ)。
このような市販のα−アミラーゼをアミノ酸分析してそのアミノ酸配列を決定し、そのアミノ酸配列に基づいてDNA配列を設計し、そのDNA配列を大腸菌などに導入して市販のα−アミラーゼと同じアミノ酸配列を有するα−アミラーゼを生産することが可能である。
(1.2.5 アミログルコシダーゼ)
アミログルコシダーゼとは、澱粉などの糖鎖の非還元末端の1,4−α結合を加水分解してβ−D−グルコースを生成する酵素をいう。アミログルコシダーゼは、α−1,4−グルコシド鎖を非還元末端から加水分解し、α−1,6−グルコシド鎖も速度は遅いが分解する。アミログルコシダーゼは系統名をグルカン1,4−α−グルコシダーゼという。アミログルコシダーゼは別名を、エキソ−1,4−α−D−グルコシダーゼ、1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼ、グルコアミラーゼ、γ−アミラーゼ、リソソーマルα−グルコシダーゼまたは酸性マルターゼという。アミログルコシダーゼは、EC3.2.1.3に分類される。
アミログルコシダーゼとは、澱粉などの糖鎖の非還元末端の1,4−α結合を加水分解してβ−D−グルコースを生成する酵素をいう。アミログルコシダーゼは、α−1,4−グルコシド鎖を非還元末端から加水分解し、α−1,6−グルコシド鎖も速度は遅いが分解する。アミログルコシダーゼは系統名をグルカン1,4−α−グルコシダーゼという。アミログルコシダーゼは別名を、エキソ−1,4−α−D−グルコシダーゼ、1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼ、グルコアミラーゼ、γ−アミラーゼ、リソソーマルα−グルコシダーゼまたは酸性マルターゼという。アミログルコシダーゼは、EC3.2.1.3に分類される。
アミログルコシダーゼは多くの微生物、動物および植物に存在する。アミログルコシダーゼを産生する微生物の例としては、Aspergillus属(例えば、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus candidus、Aspergillus terreus、Aspergillus awamori、Aspergillus phoenicis、Aspergillus saitoiなど);Candida属(例えば、Candida antarctica、Candida tsukubaensisなど);Rhizopus属(例えば、Rhizopus delemar、Rhizopus delmar、Rhizopus javanicus、Rhizopus niveus、Rhizopus niveus、Rhizopus oligosporus、Rhizopus oryzaeなど);Saccharomyces属(例えばSaccharomyces cerevisiae、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces fibuligera);他にはClostridium thermoamylolyticum、Cladosporium resinae、Lentinus edodes、Mucor rouxianus、Magnaporthe grisea、Monascus kaoliang、Paecilomyces varioti、Penicillium oxalicum、Thermomyces lanuginosus、Trichoderma reeseiなどが挙げられる。その他に、動物由来のアミログルコシダーゼは、ヒト、ラット、マウスの小腸粘膜内に、植物由来のアミログルコシダーゼでは、ビートなどに存在することが確認されている。アミログルコシダーゼを産生する生物はこれらに限定されない。
アミログルコシダーゼは、市販のものであっても、当該分野で公知の方法によりこれらの生物から調製されてもよく、またはこれらの生物のアミログルコシダーゼのアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組換え法により調製されてもよく、化学合成されてもよい。α−1,4−グルコシド結合及びα−1,6−グルコシド結合をエキソ型で非還元末端側からグルコース単位で分解し、β−グルコースを生成する性質を有する限り、当該分野で公知の任意のアミログルコシダーゼが使用され得る。
本発明で使用されるアミログルコシダーゼは、好ましくは、Aspergillus属のアミログルコシダーゼ、またはRizopus属のアミログルコシダーゼであり、最も好ましくはAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、またはRizopus niveus由来のアミログルコシダーゼである。
Aspergillus niger由来の代表的なアミログルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号5に示し、そのアミノ酸配列を配列番号6に示す。近縁種の間でのアミログルコシダーゼは非常に高い相同性を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。そのため、Aspergillus niger由来のアミログルコシダーゼは、配列番号6と非常に相同性の高いアミノ酸配列を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。市販のAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼが澱粉加水分解活性を有することが示されているため、配列番号6のアミノ酸配列を有するアミログルコシダーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するアミログルコシダーゼについても澱粉加水分解活性を有すると考えられる。
本発明で使用されるアミログルコシダーゼは、Candida tsukubaensis由来のアミログルコシダーゼではない。Candida tsukubaensis由来のアミログルコシダーゼは、高粘度でかつゲル形成能を有する澱粉を製造することができないからである。
多数のアミログルコシダーゼが市販されている。市販のアミログルコシダーゼの例を以下に記載する:グルクSG(起源Rhizopus niveus;天野エンザイム(株))、グルクザイムAF6(起源Rhizopus niveus;天野エンザイム(株))、グルクザイムNL4.2(起源Aspergillus niger;天野エンザイム(株))、酒造用グルコアミラーゼ「アマノ」SD(起源Aspergillus niger;天野エンザイム(株))、GODO−ANGH(起源Aspergillus niger;合同酒精(株))、OPTIDEX L−400(起源Aspergillus niger;ジェネンコア協和(株))、OPTIDEX L(起源Aspergillus niger;ジェネンコア協和(株))、スミチーム(起源Rhizopus oryzae;新日本化学工業(株))、スミチームSG(起源Rhizopus sp.;新日本化学工業(株))、スミチームHG(起源Rhizopus oryzae;新日本化学工業(株))、グルコチーム#20000(起源Rhizopus sp.;ナガセケムテックス(株))、AMG(起源Aspergillus niger;ノボザイムズジャパン(株))、グルターゼAN(起源Aspergillus niger;エイチビイアイ(株))、ユニアーゼK,2K(起源Rhizopus sp.;ヤクルト薬品工業(株))、ユニアーゼ30(起源Rhizopus sp.;ヤクルト薬品工業(株))、ユニアーゼ60F(起源Rhizopus sp.;ヤクルト薬品工業(株))、マグナックスJW−201(起源Rhizopus sp.;洛東化成工業(株))、グリンドアミルAG(起源Aspergillus sp.;ダニスコジャパン(株))、DIAZYME X4NP(起源Aspergillus niger;ダニスコジャパン(株))、ベイクザイムAG800(起源Aspergillus niger;日本シイベルヘグナー(株))、Amyloglucosidase(起源Aspergillus niger;シグマアルドリッチ)、Amyloglucosidase(起源Rhizopus sp.;シグマアルドリッチ)、Glucoamylase(起源Rhizopus sp.;東洋紡績株式会社)。
このような市販のアミログルコシダーゼをアミノ酸分析してそのアミノ酸配列を決定し、そのアミノ酸配列に基づいてDNA配列を設計し、そのDNA配列を大腸菌などに導入して市販のアミログルコシダーゼと同じアミノ酸配列を有するアミログルコシダーゼを生産することが可能である。
(1.2.6 イソアミラーゼ)
イソアミラーゼとは、アミロペクチン、グリコーゲンなどの分岐点のα−1,6−グルコシド結合を分解してアミロース様直鎖多糖類を生成する酵素をいう。イソアミラーゼは別名を、グリコーゲン6−グルカノヒドロラーゼという。イソアミラーゼは、EC3.2.1.68に分類される。イソアミラーゼは、イソアミラーゼを産生する任意の生物由来であり得る。
イソアミラーゼとは、アミロペクチン、グリコーゲンなどの分岐点のα−1,6−グルコシド結合を分解してアミロース様直鎖多糖類を生成する酵素をいう。イソアミラーゼは別名を、グリコーゲン6−グルカノヒドロラーゼという。イソアミラーゼは、EC3.2.1.68に分類される。イソアミラーゼは、イソアミラーゼを産生する任意の生物由来であり得る。
イソアミラーゼは多くの微生物、動物および植物に存在する。イソアミラーゼを産生する微生物の例としては、Flavobacterium sp.;Bacillus sp.;他に、Pseudomonas amyloderamosa、Sulfolobus solfataricusなどが挙げられる。その他に、動物由来のイソアミラーゼは、ヒト膵臓などに、植物由来のイソアミラーゼは、イネ(Oryza sativa)、バレイショ(Solanum tuberosum)塊茎、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などに存在することが確認されている。イソアミラーゼを産生する生物はこれらに限定されない。
イソアミラーゼは、市販のものであっても、当該分野で公知の方法によりこれらの生物から調製されてもよく、またはこれらの生物のイソアミラーゼのアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組換え法により調製されてもよく、化学合成されてもよい。アミロペクチンのα−1,6−グルコシド結合をエンド型で分解するという性質を有する限り、当該分野で公知の任意のイソアミラーゼが使用され得る。
本発明で使用されるイソアミラーゼは、好ましくは、Flavobacterium属、又はPseudomonas属のイソアミラーゼであり、より好ましくはFlavobacterium sp.由来のイソアミラーゼ、又はPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼである。
Flavobacterium sp.由来の代表的なイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号7に示し、そのアミノ酸配列を配列番号8に示す。Pseudomonas amyloderamosa由来の代表的なイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号9に示し、そのアミノ酸配列を配列番号10に示す。近縁種の間でイソアミラーゼは非常に高い相同性を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。そのため、Flavobacterium sp.由来のイソアミラーゼは、配列番号8と非常に相同性の高いアミノ酸配列を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。市販のFlavobacterium sp.由来のイソアミラーゼが澱粉加水分解活性を有することが示されているため、配列番号8のアミノ酸配列を有するイソアミラーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するイソアミラーゼについても澱粉加水分解活性を有すると考えられる。同様に、市販のPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼが澱粉加水分解活性を有することが示されているため、配列番号10のアミノ酸配列を有するイソアミラーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するイソアミラーゼについても澱粉加水分解活性を有すると考えられる。
多数のイソアミラーゼが市販されている。市販のイソアミラーゼの例を以下に記載する:GODO−FIA(起源Flavobacterium odoratum;合同酒精(株))、Isoamylase(起源Pseudomonas sp.;シグマアルドリッチ)。
このような市販のイソアミラーゼをアミノ酸分析してそのアミノ酸配列を決定し、そのアミノ酸配列に基づいてDNA配列を設計し、そのDNA配列を大腸菌などに導入して市販のイソアミラーゼと同じアミノ酸配列を有するイソアミラーゼを生産することが可能である。
(1.2.7 α−グルコシダーゼ)
α−グルコシダーゼとは、非還元末端のα−1,4−グルコシド結合を加水分解してα−グルコースを生成する酵素をいう。α−グルコシダーゼは系統名をα−D−グルコシドグルコヒドロラーゼという。α−グルコシダーゼは別名をマルターゼ、グルコインベルターゼまたはグルコシドスクラーゼという。α−D−グルコシダーゼは、EC3.2.1.20に分類される。
α−グルコシダーゼとは、非還元末端のα−1,4−グルコシド結合を加水分解してα−グルコースを生成する酵素をいう。α−グルコシダーゼは系統名をα−D−グルコシドグルコヒドロラーゼという。α−グルコシダーゼは別名をマルターゼ、グルコインベルターゼまたはグルコシドスクラーゼという。α−D−グルコシダーゼは、EC3.2.1.20に分類される。
α−グルコシダーゼは多くの微生物、動物および植物に存在する。α−グルコシダーゼを産生する微生物の例としては、Aspergillus属(例えば、Aspergillus oryzae、Aspergillus niger、Aspergillus awamori、Aspergillus fumigatus、Aspergillus nidulans、など);Bacillus属(例えば、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus amylolyticus、Bacillus caldovelox、Bacillus cereus、Bacillus licheniformis、Bacillusthermoglucosidius、Bacillus sp.、Bacillus subtilis、Bacillus brevis、Bacillus stearothermophilus;Lactobacillus属(Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus brevisなど);Penicillium属(Penicillium brevicompactum、Penicillium citrinum、Penicillium oxalicum、Penicillium purpurogenum);Pyrococcus属(Pyrococcus furiosus、Pyrococcus woeseiなど)、Saccharomyces属(Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces fibuligera、Saccharomyces oviformis、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces logos、など);他に、Candida tropicalis、Schizosaccharomyces pombe、Sulfolobus solfataricus、Thermotoga maritima、Escherichia coliなどが挙げられる。動物由来のα−グルコシダーゼは、軟体動物、甲殻類、昆虫などの無脊椎動物から魚類、両棲類、爬虫類、鳥類、哺乳類などの脊椎動物に至るまで広く存在し、植物類由来のα−グルコシダーゼは、豆類、イネ、ソバ、トウモロコシ、テンサイ種子などに存在することが確認されている。なお、α−グルコシダーゼを産生する生物はこれらに限定されない。
α−グルコシダーゼは、市販のものであっても、当該分野で公知の方法によりこれらの生物から調製されてもよく、またはこれらの生物のα−グルコシダーゼのアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組換え法により調製されてもよく、化学合成されてもよい。α−1,4−及びα−1,6−グルコシド結合をエキソ型で非還元末端側からグルコース単位で分解し、αグルコースを生成する性質を有する限り、当該分野で公知の任意のα−グルコシダーゼが使用され得る。
本発明で使用されるα−グルコシダーゼは、好ましくは、Aspergillus属のα−グルコシダーゼであり、より好ましくはAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼである。
Aspergillus niger由来の代表的なα−グルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列を配列番号11に示し、そのアミノ酸配列を配列番号12に示す。近縁種の間でのα−グルコシダーゼは非常に高い相同性を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。そのため、Aspergillus niger由来のα−グルコシダーゼは、配列番号12と非常に相同性の高いアミノ酸配列を有し、同様の酵素活性を示すと考えられる。市販のAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼが澱粉加水分解活性を有することが示されているため、配列番号12のアミノ酸配列を有するα−グルコシダーゼおよびそれに対して相同性が高いアミノ酸配列を有するα−グルコシダーゼについても澱粉加水分解活性を有すると考えられる。
多数のα−グルコシダーゼが市販されている。市販のα−グルコシダーゼの例を以下に記載する:トランスグルコシダーゼL 500(起源Aspergillus;ジェネンコア協和(株))、トランスグルコシダーゼL『アマノ』(起源Aspergillus niger;天野エンザイム(株))、α−Glucosidase(起源Bacillusstearothermophilus;シグマアルドリッチ)、α−Glucosidase(起源rice;シグマアルドリッチ)、α−Glucosidase(起源Saccharomyces cerevisiae;シグマアルドリッチ)、α−Glucosidase(起源Aspergillus niger;シグマアルドリッチ)、α−Glucosidase(起源Microorganism;東洋紡績株式会社)。
このような市販のα−グルコシダーゼをアミノ酸分析してそのアミノ酸配列を決定し、そのアミノ酸配列に基づいてDNA配列を設計し、そのDNA配列を大腸菌などに導入して市販のα−グルコシダーゼと同じアミノ酸配列を有するα−グルコシダーゼを生産することが可能である。
(1.2.8 サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)
サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼは、CGTaseとも呼ばれており、EC2.4.1.19に分類される。CGTaseは、マルトオリゴ糖の糖転移反応(すなわち、不均一化反応)を触媒し得る酵素である。CGTaseは、供与体分子の非還元末端の6〜8個のグルコース鎖を認識してこの部分を環状化させるように転移反応を行い、重合度6〜8個のシクロデキストリンと非環状リミットデキストリンとを生成する酵素である。本発明で使用され得るCGTaseの例としては、周知の微生物由来のCGTase、あるいは市販のCGTaseが用いられ得る。CGTaseは、好ましくは、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(至適pH6.0)からなる群より選択される。
サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼは、CGTaseとも呼ばれており、EC2.4.1.19に分類される。CGTaseは、マルトオリゴ糖の糖転移反応(すなわち、不均一化反応)を触媒し得る酵素である。CGTaseは、供与体分子の非還元末端の6〜8個のグルコース鎖を認識してこの部分を環状化させるように転移反応を行い、重合度6〜8個のシクロデキストリンと非環状リミットデキストリンとを生成する酵素である。本発明で使用され得るCGTaseの例としては、周知の微生物由来のCGTase、あるいは市販のCGTaseが用いられ得る。CGTaseは、好ましくは、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(至適pH6.0)からなる群より選択される。
CGTaseは、市販のものであっても、当該分野で公知の方法によりCGTase産生生物から調製されてもよく、またはCGTase産生生物のCGTaseのアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組換え法により調製されてもよく、化学合成されてもよい。糖転移活性を有し、かつ澱粉のゲル形成能を向上させる活性を有する限り、当該分野で公知の任意のCGTaseが使用され得る。
(1.2.9 酵素の併用)
本発明の澱粉粒を製造する際には、複数種類の澱粉加水分解酵素または糖転移酵素を組み合わせて作用させてもよい。特にα−グルコシダーゼは、単独では澱粉粒と反応しにくいために、α−アミラーゼと併用することが好ましい。
本発明の澱粉粒を製造する際には、複数種類の澱粉加水分解酵素または糖転移酵素を組み合わせて作用させてもよい。特にα−グルコシダーゼは、単独では澱粉粒と反応しにくいために、α−アミラーゼと併用することが好ましい。
(1.2.10 酵素についての共通の説明)
本明細書中では、酵素がある生物に「由来する」とは、その生物から直接単離したことのみを意味するのではなく、その生物が持っている酵素のアミノ酸配列またはそれをコードする塩基配列に基づいて同じアミノ酸配列を有する酵素を別の生物で作製することも意味する。例えば、その生物から入手したその酵素をコードする遺伝子を大腸菌に導入して、その大腸菌から酵素を単離する場合も、その酵素はその生物に「由来する」という。
本明細書中では、酵素がある生物に「由来する」とは、その生物から直接単離したことのみを意味するのではなく、その生物が持っている酵素のアミノ酸配列またはそれをコードする塩基配列に基づいて同じアミノ酸配列を有する酵素を別の生物で作製することも意味する。例えば、その生物から入手したその酵素をコードする遺伝子を大腸菌に導入して、その大腸菌から酵素を単離する場合も、その酵素はその生物に「由来する」という。
本明細書においては、澱粉粒に対して酵素を大過剰に添加する。そのため、酵素の量が重量%で表される。単位(U)で表す必要はない。
多数のα−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼおよびシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが公知であり、従って、これらの酵素について多数の天然の塩基配列およびアミノ酸配列が公知である。天然の配列とはわずかに異なる配列を有する改変体(いわゆる、対立遺伝子改変体)が天然に存在し得ることも公知である。本発明の方法においては、上記に例示した酵素以外にも、所望の活性を有する限り、このような、天然に存在する改変体および天然の酵素に対して人工的に変異を導入した改変体も用い得る。改変体酵素は、改変を導入する前の酵素と同等以上の活性を有することが好ましい。例えば、本発明で用いられる澱粉加水分解酵素のアミノ酸配列は、本願の実施例で使用した澱粉加水分解酵素のアミノ酸配列または配列番号2、4、6、8、10もしくは12のアミノ酸配列(すなわち、対照アミノ酸配列)と同一、すなわち、100%同一であってもよく、別の実施形態では、このアミノ酸配列は、対照アミノ酸配列と比較してある一定の数までアミノ酸が変化していてもよい。このような変化は、少なくとも1個(好ましくは1または数個;上限は特にないが、例えば、約50個以下、約40個以下、約30個以下、約20個以下、約10個以下など)のアミノ酸の欠失、置換(保存的置換および非保存的置換を含む)または挿入からなる群より選択され得る。この変化は対照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端の位置で生じてもよく、またはこれら末端以外のどの位置で生じてもよい。アミノ酸残基の変化は、1残基ずつ点在していてもよく、数残基連続していてもよい。当業者は、所望の性質を有する目的の酵素を容易に選択することができる。あるいは、目的の酵素をコードする遺伝子を直接化学合成してもよい。そのような化学合成の方法は、当該分野において周知である。
酵素の改変は、当該分野で周知の方法を用いて、例えば、部位特異的変異誘発法、変異原を用いた変異誘発法(対象遺伝子を亜硝酸塩などの変異剤で処理すること、紫外線処理を行うこと)、エラープローンPCRを行うことなどによって行われ得る。目的の変異を得やすい点から、部位特異的変異誘発を用いることが好ましい。部位特異的変異誘発を用いれば、目的とする部位で目的とする改変を導入することができるからである。あるいは、目的とする配列をもつ核酸分子を直接合成してもよい。そのような化学合成の方法は、当該分野において周知である。部位特異的変異誘発の手法は、例えば、Nucl.Acid Research,Vol.10,pp.6487−6500(1982)に記載される。
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、澱粉加水分解酵素または糖転移酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として実質的に同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において実質的に等価なタンパク質)を生じさせ得ることは、当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。米国特許第4,554,101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換が挙げられるがこれらに限定されない:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
本発明の方法において使用する酵素は、上記の目的の酵素を産生する天然の微生物から単離されてもよい。例えば、最初に、目的の酵素を産生する微生物を適切な培地(例えば、Lブロス(1% Bactto−Tryptone(Difco Laboratories、Detroit,Mich.,USA)、0.5% Bacto−Yeast Extract(Difco)、0.5% NaCl、pH7.3))中に接種し、振盪させながら適切な温度(例えば、約30℃〜約40℃)で一晩培養する。次いで、この培養液を遠心分離して、菌体を沈殿させ、培養上清を得る。得られた培養上清をUF膜で濃縮し、目的の酵素液とする。さらなる精製を必要とする場合、必要に応じて、Q−Sepharoseなどを用いたイオン交換クロマトグラフィーによる分画、Sephacryl S−200HR(ファルマシア社製)などを用いたゲルフィルトレーションクロマトグラフィーによる分画、Phenyl−TOYOPEARL 650M(東ソー社製)などを用いた疎水クロマトグラフィーによる分画を組み合わせることにより、精製された目的の酵素を含有する溶液を得ることができる。
あるいは、本発明の方法において使用する酵素は、目的の酵素をコードする塩基配列を含む核酸分子を適切な宿主細胞に導入して酵素を発現させ、この発現された酵素をこの宿主細胞またはその培養液から精製することによって入手され得る。
天然の酵素をコードする塩基配列を含む核酸分子(遺伝子ともいう)は、上記のようにして得た精製酵素をトリプシン処理し、得られるトリプシン処理断片をHPLCにより分離し、分離されたいずれかのペプチド断片のN末端のアミノ酸配列を、ペプチドシークエンサーにより同定し、次いで、同定したアミノ酸配列をもとに作製した合成オリゴヌクレオチドプローブを用いて、適切なゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、入手され得る。オリゴヌクレオチドプローブおよびDNAライブラリーを調製するための、ならびに核酸のハイブリダイゼーションによりそれらをスクリーニングするための基本的な戦略は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989);DNA Cloning,第IおよびII 巻(D.N.Glover編 1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編 1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins編 1984)を参照のこと。
あるいは、既知の酵素遺伝子の塩基配列に対する相同性に基づいて、この塩基配列の少なくとも一部を含む核酸プローブを用いたハイブリダイゼーションによってスクリーニングして、別種の酵素遺伝子を含む核酸分子を獲得することもできる。このような方法は当該分野で公知である。
あるいは、種々の酵素のアミノ酸配列において保存された領域に対応する縮重プライマーを作製して、PCRによって酵素の塩基配列を獲得することも可能である。このような方法は当該分野で公知である。
ゲノムライブラリーをスクリーニングする場合、得られた核酸分子は、当業者に周知の方法を用いてサブクローニングされ得る。例えば、目的の遺伝子を含むλファージと、適切な大腸菌と、適切なヘルパーファージとを混合することにより、容易に目的の遺伝子を含有するプラスミドを得ることができる。その後、プラスミドを含有する溶液を用いて、適切な大腸菌を形質転換することにより、目的の遺伝子をサブクローニングし得る。得られた形質転換体を培養して、例えばアルカリSDS法によりプラスミドDNAを得、目的の遺伝子の塩基配列を決定し得る。塩基配列を決定する方法は、当業者に周知である。さらに、DNAフラグメントの塩基配列を基に合成されたプライマーを用い、Aquifex aeolicus、Rhodothermus obamensis、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldovelox、Bacillus thermocatenulatus、Bacillus caldolyticusなどのゲノムDNAなどを鋳型に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて直接酵素遺伝子を増幅することもできる。
あるいは、公知の塩基配列に基づいて化学合成されてもよい。
本発明の方法で用いられる酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、上記の対照アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(すなわち、対照塩基配列)と比較してある一定の数まで変化していてもよい。このような変化は、少なくとも1個のヌクレオチドの欠失、トランジションおよびトランスバージョンを含む置換、または挿入からなる群より選択され得る。この変化は対照塩基配列の5’末端もしくは3’末端の位置で生じてもよく、またはこれら末端以外のどの位置で生じてもよい。塩基の変化は、1塩基ずつ点在していてもよく、数塩基連続していてもよい。
塩基の変化は、そのコード配列において、ノンセンス、ミスセンスまたはフレームシフト変異を生じ得、このような変化をした後の塩基配列によりコードされる酵素に変化をもたらし得る。
本発明で使用される酵素が澱粉加水分解酵素である場合、この酵素は、例えば、実施例で使用した澱粉加水分解酵素のアミノ酸配列に対して、または配列番号2、4、6、8、10もしくは12のアミノ酸配列に対して少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約50%、特に好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有し、かつ澱粉加水分解活性(特定の場合には澱粉のゲル形成能を向上させる特性)を有することが好ましい。
本発明で使用される酵素が糖転移酵素である場合、この酵素は、例えば、実施例で使用した糖転移酵素のアミノ酸配列に対して、または配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約50%、特に好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有し、かつ糖転移活性(特定の場合には澱粉のゲル形成能を向上させる特性)を有することが好ましい。
本明細書では配列の同一性は、GENETYX−WIN Ver.4.0(株式会社ゼネティックス)のマキシマムマッチングを用いて算出される。このプログラムは、解析対象となる配列データに対して、比較対照となる配列データを置き換えおよび欠損を考慮しながら、配列間で一致するアミノ酸対が最大になるように並べ替え、その際、一致(Matches)、不一致(Mismatches)、ギャップ(Gaps)についてそれぞれ得点を与え合計を算出して最小となるアライメントを出力しその際の同一性を算出する(参考文献:Takashi,K.,およびGotoh,O.1984.Sequence Relationships among Various 4.5 S RNA Species J.Biochem.92:1173−1177)。本明細書では配列の同一性は、GENETYX−WIN Ver.4.0のマキシマムマッチングをMatches=−1;Mismatches=1;Gaps=1;*N+=2の条件で用いて算出される。
天然の酵素または核酸分子としてはまた、酵素のアミノ酸配列または酵素をコードする塩基配列に対して同一ではないが相同性のある配列を有するものもまた使用され得る。天然の酵素または核酸分子に対して相同性を有するそのような酵素または核酸分子としては、例えば、GENETYX−WIN Ver.4.0のマキシマムマッチングにおいて、上記の条件で用いて比較した場合に、比較対象の配列に対して、核酸の場合、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の同一性を有する塩基配列を含む核酸分子が挙げられ、そして酵素の場合、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素が挙げられるがそれらに限定されない。
天然で公知の澱粉加水分解酵素をコードする塩基配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9または11)の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる澱粉加水分解酵素は、澱粉加水分解活性(特定の場合には澱粉のゲル形成能を向上させる特性)を有する限り、本発明の方法において使用され得る。天然で公知の澱粉加水分解酵素をコードする塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子に対して改変を行って得られる改変塩基配列を含む核酸分子によってコードされる澱粉加水分解酵素もまた、高粘度でゲル形成能を有する澱粉を生産する能力を有する限り、本発明の方法において使用され得る。当業者は、所望の澱粉加水分解酵素遺伝子を容易に選択することができる。
天然で公知の糖転移酵素をコードする塩基配列(例えば、配列番号13)の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる糖転移酵素は、糖転移活性(特定の場合には澱粉のゲル形成能を向上させる特性)を有する限り、本発明の方法において使用され得る。天然で公知の糖転移酵素をコードする塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子に対して改変を行って得られる改変塩基配列を含む核酸分子によってコードされる糖転移酵素もまた、高粘度でゲル形成能を有する澱粉を生産する能力を有する限り、本発明の方法において使用され得る。当業者は、所望の糖転移酵素遺伝子を容易に選択することができる。
本明細書中で使用する用語「ストリンジェントな条件」とは、特異的な配列にはハイブリダイズするが、非特異的な配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件の設定は、当業者に周知であり、例えば、Moleculer Cloning(Sambrookら、前出)に記載される。「ストリンジェントな条件」は、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である。それゆえ、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、具体的には、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄するという条件を用いることにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。
本発明の方法で用いられる酵素を製造するために用いられる核酸分子は、天然の酵素をコードする塩基配列を含む核酸分子に対して保存的に改変された核酸分子であってもよい。「天然の酵素をコードする塩基配列を含む核酸分子に対して保存的に改変された核酸分子」とは、天然の酵素のアミノ酸配列と同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸分子をいう。「天然の酵素のアミノ酸配列と本質的に同一のアミノ酸配列」とは、天然の酵素と本質的に同じ酵素活性を有するアミノ酸配列をいう。遺伝コードの縮重のため、機能的に同一な多数の塩基配列が任意の所定のアミノ酸配列をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、GCAコドンによってアラニンが特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたアラニンを変更することなく、GCC、GCGまたはGCUに変更され得る。同様に、複数のコドンによってコードされ得るアミノ酸に関しては、コドンによってそのアミノ酸が特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされた特定のアミノ酸を変更することなく、そのアミノ酸をコードする任意の別のコドンに変更され得る。このような塩基配列の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての塩基配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を包含する。サイレント変異は、コードするアミノ酸が変化しない「サイレント置換」と、そもそも核酸がアミノ酸をコードしない場合(例えば、イントロン部分での変異、他の非翻訳領域での変異など)を包含する。ある核酸がアミノ酸をコードする場合、サイレント変異は、サイレント置換と同義である。本明細書において「サイレント置換」とは、塩基配列において、あるアミノ酸をコードする塩基配列を、同じアミノ酸をコードする別の塩基配列に置換することをいう。遺伝コード上の縮重という現象に基づき、あるアミノ酸をコードする塩基配列が複数ある場合(例えば、グリシンなど)、このようなサイレント置換が可能である。したがって、サイレント置換により生成した塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、もとのポリペプチドと同じアミノ酸配列を有する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンをコードする唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンをコードする唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。
本発明で用いられる酵素をコードする塩基配列は、発現のために導入される生物におけるコドンの使用頻度にあわせて変更され得る。コドン使用頻度は、その生物において高度に発現される遺伝子での使用頻度を反映する。例えば、大腸菌において発現させることを意図する場合、公開されたコドン使用頻度表(例えば、Sharpら,Nucleic Acids Research 16 第17号,8207頁(1988))に従って大腸菌での発現のために最適にすることができる。
上記のようにして改変された塩基配列を含む核酸分子を用いて、発現ベクターが作製され得る。特定の核酸配列を用いて発現ベクターを作製する方法は、当業者に周知である。
本明細書において核酸分子について言及する場合、「ベクター」とは、目的の塩基配列を目的の細胞へと移入させることができる核酸分子をいう。そのようなベクターとしては、目的の細胞において自律複製が可能であるか、または目的の細胞の染色体中への組込みが可能で、かつ改変された塩基配列の転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。本明細書において、ベクターはプラスミドであり得る。
本明細書において、「発現ベクター」とは、改変された塩基配列(すなわち、改変された酵素をコードする塩基配列)を目的の細胞中で発現し得るベクターをいう。発現ベクターは、改変された塩基配列に加えて、その発現を調節するプロモーターのような種々の調節エレメント、および必要に応じて、目的の細胞中での複製および組換え体の選択に必要な因子(例えば、複製起点(ori)、および薬剤耐性遺伝子のような選択マーカー)を含む。発現ベクター中では、改変された塩基配列は、転写および翻訳されるように作動可能に連結されている。調節エレメントとしては、プロモーター、ターミネーターおよびエンハンサーが挙げられる。また、発現された酵素を細胞外へ分泌させることが意図される場合は、分泌シグナルペプチドをコードする塩基配列が、改変された塩基配列の上流に正しいリーディングフレームで結合される。特定の生物(例えば、細菌)に導入するために使用される発現ベクターのタイプ、その発現ベクター中で使用される調節エレメントおよび他の因子の種類が、目的の細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本明細書において使用される「ターミネーター」は、タンパク質コード領域の下流に位置し、塩基配列がmRNAに転写される際の転写終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。
本明細書において使用される「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、また転写頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウェアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモーター領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
本明細書において使用される「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。そのようなエンハンサーは当該分野において周知である。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
本明細書において使用される「作動可能に連結された(る)」とは、所望の塩基配列が、発現(すなわち、作動)をもたらす転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
改変した核酸配列を、上記調節エレメントに作動可能に連結するために、酵素遺伝子を加工すべき場合がある。例えば、プロモーターとコード領域との間が長すぎて転写効率の低下が予想される場合、またはリボゾーム結合部位と翻訳開始コドンとの間隔が適切でない場合などである。加工の手段としては、制限酵素による消化、Bal31、ExoIIIなどのエキソヌクレアーゼによる消化、あるいはM13などの一本鎖DNAまたはPCRを使用した部位特異的変異の導入が挙げられる。
次いで、上記のようにして作製された発現ベクターを細胞に導入して目的の酵素が発現される。
本明細書において酵素の「発現」とは、その酵素をコードする塩基配列が、インビボまたはインビトロで転写および翻訳されて、コードされる酵素が生産されることをいう。
発現ベクターを導入する細胞(宿主ともいう)としては、原核生物および真核生物が挙げられる。発現ベクターを導入する細胞は、目的の酵素の発現の容易さ、培養の容易さ、増殖の速さ、安全性などの種々の条件を考慮して容易に選択され得る。例えばこのような細胞の例としては、細菌、真菌などの微生物が挙げられる。より好ましい細胞の例としては、中温性微生物(例えば、酵母、カビ、大腸菌、枯草菌)が挙げられる。細胞は、微生物細胞であってもよいが、植物、動物などの細胞であってもよい。用いる細胞によっては、澱粉加水分解酵素は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
本発明の方法において、発現ベクターを細胞に導入する技術は、当該分野で公知の任意の技術であり得る。このような技術の例としては、例えば、形質転換、形質導入、トランスフェクションなどが挙げられる。そのような核酸分子の導入技術は、当該分野において周知であり、かつ、繁用されるものであり、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載される。
(1.3 他の材料)
酵素処理澱粉粒の製造においては、酵素の作用を妨害しない限り、酵素処理において通常用いられる任意の材料が用いられ得る。このような他の材料の例としては、塩、緩衝剤などが挙げられる。一般的に、各酵素に適切な特定の塩を添加することにより酵素反応の速度が飛躍的に向上することが公知であるので、そのような特定の塩を添加することが好ましい。このような各酵素に適切な塩を添加することにより、処理時間の短縮が可能である。このような酵素と塩との組み合わせの例としては、アミログルコシダーゼと金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオン)との組み合わせが挙げられる。例えば、本発明者らが実験したところ、未処理の天然のタピオカ澱粉をアミログルコシダーゼ(例えば、Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」)で処理する際に、塩化ナトリウム、または硫酸ナトリウム、または塩化カリウム、または塩化カルシウム、または塩化マグネシウムを、金属イオンとして100ppm添加する系は、添加しない系と比較して澱粉の分解速度が1.5〜2倍速まった。
酵素処理澱粉粒の製造においては、酵素の作用を妨害しない限り、酵素処理において通常用いられる任意の材料が用いられ得る。このような他の材料の例としては、塩、緩衝剤などが挙げられる。一般的に、各酵素に適切な特定の塩を添加することにより酵素反応の速度が飛躍的に向上することが公知であるので、そのような特定の塩を添加することが好ましい。このような各酵素に適切な塩を添加することにより、処理時間の短縮が可能である。このような酵素と塩との組み合わせの例としては、アミログルコシダーゼと金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオン)との組み合わせが挙げられる。例えば、本発明者らが実験したところ、未処理の天然のタピオカ澱粉をアミログルコシダーゼ(例えば、Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」)で処理する際に、塩化ナトリウム、または硫酸ナトリウム、または塩化カリウム、または塩化カルシウム、または塩化マグネシウムを、金属イオンとして100ppm添加する系は、添加しない系と比較して澱粉の分解速度が1.5〜2倍速まった。
(2.酵素処理澱粉粒の製造方法)
澱粉粒を澱粉加水分解酵素または糖転移酵素によって処理することにより酵素処理澱粉粒が製造される。それぞれの工程の詳細について以下で説明する。
澱粉粒を澱粉加水分解酵素または糖転移酵素によって処理することにより酵素処理澱粉粒が製造される。それぞれの工程の詳細について以下で説明する。
(2.1 懸濁液の調製)
本発明の製造方法では、例えば、米粉または米澱粉として提供される澱粉粒と、澱粉加水分解酵素または糖転移酵素と、緩衝剤と、それを溶かしている溶媒とを主な材料として用いる。これらの材料は通常、反応開始時に全て添加されるが、反応の途中でこれらのうちの任意の材料を追加してもよい。本発明の製造方法に用いる溶媒は、使用される酵素の酵素活性を損なわない溶媒であれば任意の溶媒であり得る。代表的な溶媒は、水(例えば、イオン交換水、精製水、水道水など)である。溶媒は、酵素を調製する際に酵素に付随して得られる細胞破砕液のうちの水分であってもよい。
本発明の製造方法では、例えば、米粉または米澱粉として提供される澱粉粒と、澱粉加水分解酵素または糖転移酵素と、緩衝剤と、それを溶かしている溶媒とを主な材料として用いる。これらの材料は通常、反応開始時に全て添加されるが、反応の途中でこれらのうちの任意の材料を追加してもよい。本発明の製造方法に用いる溶媒は、使用される酵素の酵素活性を損なわない溶媒であれば任意の溶媒であり得る。代表的な溶媒は、水(例えば、イオン交換水、精製水、水道水など)である。溶媒は、酵素を調製する際に酵素に付随して得られる細胞破砕液のうちの水分であってもよい。
本発明の製造方法においては、まず、反応溶液を調製する。反応溶液は、例えば、適切な溶媒に、米粉または米澱粉として提供される澱粉粒と澱粉加水分解酵素または糖転移酵素とを添加することにより調製され得る。例えば、澱粉粒を溶媒(例えば、水または緩衝液)に懸濁させて澱粉懸濁液を作製した後に酵素を添加してもよい。あるいは、反応溶液は、澱粉粒を含む懸濁液と酵素を含む溶液とを混合することによって調製してもよい。この反応溶液には、酵素反応を阻害しない限り、必要に応じて、pHを調整する目的で任意の緩衝剤を加えてもよい。なお、反応溶液中で澱粉粒は懸濁しており溶解していないが、酵素などの他の成分を溶解しているため、反応溶液と呼ぶ。
反応溶液のpHは、使用する酵素が活性を発揮し得るpHであれば任意に設定され得る。反応溶液のpHは、使用する酵素の至適pH付近であることが好ましい。反応溶液のpHは、代表的には約2以上であり、好ましくは約3以上であり、さらに好ましくは約4以上であり、特に好ましくは約5以上であり、特に好ましくは約6以上であり、最も好ましくは約7以上である。反応溶液のpHは、代表的には約13以下であり、好ましくは約12以下であり、さらに好ましくは約11以下であり、特に好ましくは約10以下であり、特に好ましくは約9以下であり、最も好ましくは約8以下である。1つの実施形態では、反応溶液のpHは、代表的には、使用する酵素の至適pHの±3以内であり、好ましくは至適pHの±2以内であり、さらに好ましくは至適pHの±1以内であり、最も好ましくは至適pHの±0.5以内である。
反応溶液中の澱粉粒の量は、酵素反応が可能な量である限り、任意に設定され得る。反応溶液中の澱粉粒の量は、好ましくは約5重量%以上であり、より好ましくは約10重量%以上であり、さらに好ましくは約20重量%以上であり、最も好ましくは約30重量%以上である。反応溶液中の澱粉粒の量は、好ましくは約60重量%以下であり、より好ましくは約50重量%以下であり、さらに好ましくは約40重量%以下であり、最も好ましくは約35重量%以下である。
反応溶液中の酵素の量は、酵素反応が可能な量である限り、任意に設定され得る。酵素の量は、合理的な時間内に反応を行うに充分な量であることが好ましい。酵素量が多いほど反応に要する時間は短くなり、酵素量が少ないほど反応に要する時間は長くなる。酵素量が多すぎると、コストが非常に高くなり、さらに、酵素が凝集して沈澱物を形成する場合もあるので、適切に設定することが好ましい。
反応溶液中の酵素の量は、澱粉粒乾燥重量に対して、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上である。反応溶液中の酵素の量は、澱粉粒乾燥重量に対して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約5重量%以下であり、さらに好ましくは約1重量%以下である。反応溶液中の酵素の量は、酵素反応が進行するのに充分な量であればよいので、酵素の活性(ユニット数)について詳細に検討する必要はない。
(2.2 酵素反応)
次いで、反応溶液を、当該分野で公知の方法によって必要に応じて加熱することにより、反応させる。反応工程における溶液温度は、澱粉粒が実質的に崩壊しない温度である限り、任意の温度であり得る。反応温度は、使用する酵素が活性を十分に発揮し得、かつ活性を十分に保持する(すなわち、失活しにくい)温度であることが好ましい。この反応工程における溶液の温度は、所定の反応時間後に反応前のこの溶液に含まれる酵素の活性の約50%以上、より好ましくは約80%以上の活性が残る温度であることが好ましい。例えば、この温度は、使用する酵素の至適温度±10℃であり得、至適温度±5であることがより好ましく、至適温度±1℃であることがさらに好ましく、至適pH±0.5℃であることが最も好ましい。反応温度は、好ましくは約10℃以上であり、より好ましくは約10℃以上であり、さらに好ましくは約15℃以上であり、さらにより好ましくは約20℃以上であり、特に好ましくは約30℃以上であり、そして最も好ましくは40℃以上である。反応温度は、好ましくは約70℃以下であり、より好ましくは約65℃以下であり、特に好ましくは約60℃以下であり、最も好ましくは55℃以下である。
次いで、反応溶液を、当該分野で公知の方法によって必要に応じて加熱することにより、反応させる。反応工程における溶液温度は、澱粉粒が実質的に崩壊しない温度である限り、任意の温度であり得る。反応温度は、使用する酵素が活性を十分に発揮し得、かつ活性を十分に保持する(すなわち、失活しにくい)温度であることが好ましい。この反応工程における溶液の温度は、所定の反応時間後に反応前のこの溶液に含まれる酵素の活性の約50%以上、より好ましくは約80%以上の活性が残る温度であることが好ましい。例えば、この温度は、使用する酵素の至適温度±10℃であり得、至適温度±5であることがより好ましく、至適温度±1℃であることがさらに好ましく、至適pH±0.5℃であることが最も好ましい。反応温度は、好ましくは約10℃以上であり、より好ましくは約10℃以上であり、さらに好ましくは約15℃以上であり、さらにより好ましくは約20℃以上であり、特に好ましくは約30℃以上であり、そして最も好ましくは40℃以上である。反応温度は、好ましくは約70℃以下であり、より好ましくは約65℃以下であり、特に好ましくは約60℃以下であり、最も好ましくは55℃以下である。
反応時間は、反応温度、澱粉粒に対する酵素量などを考慮して、任意に設定することができる。反応時間は、好ましくは約1時間以上であり、例えば、約2時間以上、約3時間以上、約6時間以上、約12時間以上などであり得る。反応時間に特に上限はないが、好ましくは約72時間以下、より好ましくは約48時間以下、さらにより好ましくは約36時間以下、特に好ましくは約24時間以下、最も好ましくは約20時間以下である。
(2.3 後処理)
酵素処理を行った澱粉粒は、用途によってはそのまま使用することも可能であるが、酵素処理された澱粉粒を洗浄し、脱水することによって、使用した酵素および酵素分解により溶出した糖質を除去することが好ましい。酵素処理された澱粉粒の洗浄および脱水は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得る。澱粉粒の洗浄および脱水は澱粉調製の常法であり、一般的に行われている。さらに、脱水後の澱粉を乾燥して、目的とする酵素処理澱粉粒を得ることが好ましい。脱水後の澱粉の乾燥は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得る。
酵素処理を行った澱粉粒は、用途によってはそのまま使用することも可能であるが、酵素処理された澱粉粒を洗浄し、脱水することによって、使用した酵素および酵素分解により溶出した糖質を除去することが好ましい。酵素処理された澱粉粒の洗浄および脱水は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得る。澱粉粒の洗浄および脱水は澱粉調製の常法であり、一般的に行われている。さらに、脱水後の澱粉を乾燥して、目的とする酵素処理澱粉粒を得ることが好ましい。脱水後の澱粉の乾燥は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得る。
(2.4 化学修飾)
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により化学修飾され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または物理処理した澱粉粒の場合だけでなく、何らかの化工澱粉の澱粉粒を使用した場合にも、その化工澱粉に施された種類の化学修飾とは異なる種類の化学修飾を施すことができる。化学修飾の例としては、アセチル化、アジピン酸架橋、酸化、漂白、リン酸架橋、オクテニルコハク酸処理、ヒドロキシプロピル化、リン酸化およびリン酸モノエステル化が挙げられる。これらの化学修飾の方法は当該分野で周知である。これらの化学修飾は、日本国の食品衛生法で許容される範囲内であれば任意の程度まで行われ得る。日本では、化学修飾された加工澱粉が食品添加物として認められるためには、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中の各種化学物質の分析を行って、下記の基準を満たすことが必須である:
(a)アセチル化アジピン酸架橋デンプン:アジピン酸基が0.135%以下であってかつアセチル基が2.5%以下であること;
(b)アセチル化酸化デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつカルボキシ基が1.3%以下であること;
(c)アセチル化リン酸架橋デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(d)オクテニルコハク酸デンプンナトリウム:オクテニルコハク酸基が3.0%以下であること;
(e)酢酸デンプン:アセチル基が2.5%以下であること;
(f)酸化デンプン:カルボキシ基が1.1%以下であること;
(g)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(h)ヒドロキシプロピルデンプン:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であること;
(i)リン酸架橋澱粉:リンがPとして0.5%以下であること;
(j)リン酸化デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(k)リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(l)漂白デンプン;カルボキシ基が0.1%以下であり、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性で、かつ、粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できること。日本以外の国についてはその国で許容される範囲内であれば任意の程度の化学処理が行われ得る。化学修飾は何種類か組み合わせて使用することができる。
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により化学修飾され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または物理処理した澱粉粒の場合だけでなく、何らかの化工澱粉の澱粉粒を使用した場合にも、その化工澱粉に施された種類の化学修飾とは異なる種類の化学修飾を施すことができる。化学修飾の例としては、アセチル化、アジピン酸架橋、酸化、漂白、リン酸架橋、オクテニルコハク酸処理、ヒドロキシプロピル化、リン酸化およびリン酸モノエステル化が挙げられる。これらの化学修飾の方法は当該分野で周知である。これらの化学修飾は、日本国の食品衛生法で許容される範囲内であれば任意の程度まで行われ得る。日本では、化学修飾された加工澱粉が食品添加物として認められるためには、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中の各種化学物質の分析を行って、下記の基準を満たすことが必須である:
(a)アセチル化アジピン酸架橋デンプン:アジピン酸基が0.135%以下であってかつアセチル基が2.5%以下であること;
(b)アセチル化酸化デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつカルボキシ基が1.3%以下であること;
(c)アセチル化リン酸架橋デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(d)オクテニルコハク酸デンプンナトリウム:オクテニルコハク酸基が3.0%以下であること;
(e)酢酸デンプン:アセチル基が2.5%以下であること;
(f)酸化デンプン:カルボキシ基が1.1%以下であること;
(g)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(h)ヒドロキシプロピルデンプン:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であること;
(i)リン酸架橋澱粉:リンがPとして0.5%以下であること;
(j)リン酸化デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(k)リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(l)漂白デンプン;カルボキシ基が0.1%以下であり、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性で、かつ、粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できること。日本以外の国についてはその国で許容される範囲内であれば任意の程度の化学処理が行われ得る。化学修飾は何種類か組み合わせて使用することができる。
(2.5 物理処理)
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により物理処理され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または化工澱粉の場合だけでなく、何らかの物理処理をした澱粉粒を使用した場合にも、その物理処理とは異なる種類の物理処理を施すことができる。物理処理の例としては、湿熱処理および熱抑制処理が挙げられる。
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により物理処理され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または化工澱粉の場合だけでなく、何らかの物理処理をした澱粉粒を使用した場合にも、その物理処理とは異なる種類の物理処理を施すことができる。物理処理の例としては、湿熱処理および熱抑制処理が挙げられる。
「湿熱処理」とは、澱粉を糊化させない程度の低水分状態で、密閉容器内で相対湿度約100%の条件下で約95〜約125℃に加熱することをいう。「澱粉を糊化させない程度の低水分状態」は、例えば水分含量約50%以下を示す。澱粉を糊化させない程度の低水分状態は、例えば水分含量約35%以下、約30%以下、約25%以下または約20%以下であってもよい。湿熱処理の加熱時間は、湿熱処理の方法によって変化し得る。例えば、特開平6−145203号公報に記載の方法に従って湿熱処理される場合、まず約0〜約500トール(約0〜66.661kPa)に減圧し、その後加圧蒸気を導入して約100℃〜約150℃にて約2分〜約120分間保持することにより加熱処理される。湿熱処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の湿熱処理方法に従って行われ得る。湿熱処理は例えば、特開平6−145203号公報、特開平4−130102号公報および月刊フードケミカル 2010−2(P.37−42)等に記載されている。湿熱処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。
「熱抑制処理」とは、極めて低水分に乾燥した澱粉粒を、ドライ加熱処理することにより澱粉粒の結晶構造を強化することをいう。「極めて低水分に乾燥した澱粉粒」とは、水分含量が約1%未満の澱粉粒をいう。熱抑制処理される澱粉粒の水分含量は好ましくは約0%である。澱粉粒を極めて低水分に乾燥する方法は、例えば、特開2008−223032号公報に記載され、例えば、澱粉粒のpHを7.0以上のpHに調整してから、水分含量が約1%未満になるまで脱水する方法であり得る。この低水分に乾燥する場合のpHは好ましくはpH7以上であり、より好ましくはpH8より大きく、好ましくはpH7.5〜10.5であり、より好ましくはpH8〜9.5である。脱水は熱的脱水であってもよく、非熱的脱水であってもよい。ドライ加熱処理の際には、澱粉を抑制するのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。好ましくは、澱粉を非凝集性にするのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。熱抑制処理のための好ましい加熱温度は、約100℃よりも高い。熱処理温度は好ましくは約200℃以下である。熱抑制処理のための加熱温度は、より好ましくは約120℃〜約180℃であり、特に好ましくは約140℃〜約160℃であり、最も好ましくは約160℃である。抑制のレベルはpH、加熱温度および加熱時間に依存する。pHが高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理温度が高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理時間が長いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱抑制処理のための熱処理時間は、例えば約3時間以上であり得、好ましくは約20時間以下である。熱抑制処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の熱抑制処理方法に従って行われ得る。熱抑制処理は、例えば、米国特許第6,221,420号公報、国際公開第95/04082号パンフレットおよび特開2008−223032号公報に記載されている。熱抑制処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。物理処理は当該分野で周知の方法に従って実施され得る。
湿熱処理澱粉の例としては、例えば、三和澱粉工業株式会社製の「デリカスター・シリーズ」、「ナチュラスター・シリーズ」、「アミロジェル」および日本食品化工株式会社製の「ロードスター」が挙げられる。熱抑制澱粉の例としては、例えば、ナショナルスターチ社製「ノベーション・シリーズ」が挙げられる。
(3.本発明の酵素処理澱粉粒の特性)
特定の実施形態では、本発明の酵素処理澱粉粒は、高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、該酵素処理澱粉粒は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理することにより得られた酵素処理澱粉粒である。本明細書中で酵素処理澱粉粒について「高粘度」とは、その酵素処理澱粉粒を水に分散し加熱して得られる懸濁液の粘度が高いことをいう。例えば、粘度特性をアミログラフで分析した場合に高い最高粘度を示す酵素処理澱粉粒をいう。
特定の実施形態では、本発明の酵素処理澱粉粒は、高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、該酵素処理澱粉粒は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理することにより得られた酵素処理澱粉粒である。本明細書中で酵素処理澱粉粒について「高粘度」とは、その酵素処理澱粉粒を水に分散し加熱して得られる懸濁液の粘度が高いことをいう。例えば、粘度特性をアミログラフで分析した場合に高い最高粘度を示す酵素処理澱粉粒をいう。
別の特定の実施形態では、本発明の酵素処理澱粉粒は、高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒であって、該酵素処理澱粉粒は、澱粉粒が溶解しない条件下で米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を澱粉加水分解酵素で処理することによって得られた澱粉粒であり、該酵素処理澱粉粒は、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されておらず、該酵素処理澱粉粒は、レオメータで測定した場合に該未処理澱粉粒のヤング率よりも高いヤング率または該未処理澱粉粒の破断応力よりも高い破断応力を有するゲルを形成することができる。
(3.1 粘度)
澱粉は、通常、所定以上の水分と共に加熱すると、澱粉粒が膨潤し、透明度の増大、及び粘度上昇という糊化現象を起こすことはよく知られている。そして、さらに加熱を続けることにより、澱粉粒は崩壊する。これら一連の事象にともなう粘度変化を測定するために、いくつかの方法があるが、ブラベンダー社のアミログラフが実用的で広く使用されている。アミログラフは、対象物を所定の速度で加熱し、温度と対象物の粘度との関係を記録するものである。すなわち、加熱とともに澱粉粒は膨潤するが、アミログラフでは粘度の発現および粘度の増大が起こる。やがて、澱粉粒の膨潤が最大になる時に粘度もピークに達する。この粘度を最高粘度という。さらに加熱を続けると、澱粉粒は崩壊し、同時に粘度も低下していく。この粘度低下の度合いをブレイクダウンという。このアミログラフでの粘度曲線は澱粉の起源および製法によって異なり、澱粉の特徴を示す測定法である。
澱粉は、通常、所定以上の水分と共に加熱すると、澱粉粒が膨潤し、透明度の増大、及び粘度上昇という糊化現象を起こすことはよく知られている。そして、さらに加熱を続けることにより、澱粉粒は崩壊する。これら一連の事象にともなう粘度変化を測定するために、いくつかの方法があるが、ブラベンダー社のアミログラフが実用的で広く使用されている。アミログラフは、対象物を所定の速度で加熱し、温度と対象物の粘度との関係を記録するものである。すなわち、加熱とともに澱粉粒は膨潤するが、アミログラフでは粘度の発現および粘度の増大が起こる。やがて、澱粉粒の膨潤が最大になる時に粘度もピークに達する。この粘度を最高粘度という。さらに加熱を続けると、澱粉粒は崩壊し、同時に粘度も低下していく。この粘度低下の度合いをブレイクダウンという。このアミログラフでの粘度曲線は澱粉の起源および製法によって異なり、澱粉の特徴を示す測定法である。
アミログラフでの測定は、例えば以下のように行われる。所定量の酵素処理澱粉粒(例えば、乾物換算で小麦澱粉粒は8.5重量%濃度、米澱粉粒は9.0重量%濃度、米粉は9重量%濃度)となるように、450mlの水で、澱粉粒懸濁液を調製し、試料容器に投入後、それらを回転させながら50℃まで加温する。その後1.5℃/minで95℃まで昇温し、95℃で15分間保持する。続いて1.5℃/minで冷却する。アミログラフはブラベンダー社製のVISCOGRAPH−E、また試料容器の回転数は75rpm、測定カートリッジは700cmgで測定する。この時、粘度がピークに達した時の粘度を最高粘度とし、そして、この最高粘度と95℃にて15分間保持した時の粘度の差をブレイクダウンとする。この差をブレイクダウン粘度ともいう。最高粘度と95℃にて15分間保持した時の粘度の差が100BU未満の場合、その澱粉粒は「ブレイクダウンを有さない」という。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の澱粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、本発明の酵素処理澱粉粒は、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に未処理の澱粉粒の最高粘度の約50%以上(より好ましくは約60%以上、特に好ましくは約70%以上、最も好ましくは約80%以上、約90%以上または約100%以上)の最高粘度を有することが好ましい。本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の澱粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合に得られる本発明の酵素処理澱粉粒の最高粘度に特に上限はないが、例えば、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に未処理の澱粉粒の最高粘度の約300%以下、約250%以下、約200%以下、約150%以下、約110%以下、約100%以下などであり得る。
澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒は、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒の最高粘度の約50%以上(より好ましくは約60%以上、特に好ましくは約70%以上、最も好ましくは約80%以上、約90%以上または約100%以上)の最高粘度を有することが好ましい。澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒の最高粘度に特に上限はないが、例えば、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒の最高粘度の約300%以下、約250%以下、約200%以下、約150%以下、約110%以下、約100%以下などであり得る。
例えば、米粉については、上記条件下にてアミログラフで測定した場合の天然の米粉の最高粘度は約1000BU〜約1200BUである。他方、本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合の本発明の酵素処理澱粉粒の最高粘度は、好ましくは約900BU以上であり、より好ましくは約920BU以上であり、特に好ましくは約940BU以上であり、最も好ましくは約960BU以上であり、例えば、約1000BU以上、約1050BU以上、約1100BU以上または約1150BU以上などであってもよい。上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合の本発明の酵素処理澱粉粒の最高粘度は、例えば、約1350BU以下、約1300BU以下、約1250BU以下または約1200BU以下であり得る。
例えば、米澱粉については、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合の天然の米澱粉の最高粘度は約1000BU〜約1200BUである。他方、本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米澱粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合の本発明の酵素処理米澱粉粒の最高粘度は、好ましくは約860BU以上であり、より好ましくは約900BU以上であり、さらにより好ましくは約920BU以上であり、特に好ましくは約940BU以上であり、最も好ましくは約960BU以上であり、例えば、約1000BU以上、約1050BU以上、約1100BU以上または約1150BU以上などであってもよい。上記条件下にてアミログラフで測定した場合の本発明の酵素処理米澱粉粒の最高粘度は、例えば、約1350BU以下、約1300BU以下、約1250BU以下または約1200BU以下であり得る。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の澱粉粒から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、本発明の酵素処理澱粉粒は、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合にブレイクダウン粘度を有する。従来の澱粉ではアミログラフで測定した場合にブレイクダウン粘度を有さないものもあるのに対し、本発明の酵素処理澱粉粒は上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合にブレイクダウン粘度を有する。
さらに、本発明の酵素処理澱粉粒が化学修飾または物理修飾された澱粉粒を酵素処理することによって得られた酵素処理澱粉粒であっても、酵素処理に使用した澱粉粒が上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合にブレイクダウン粘度を有するものであれば、本発明の酵素処理澱粉粒はアミログラフで測定した場合にブレイクダウン粘度を有する。
例えば、未処理米粉または米澱粉が化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒は約100BU以上のブレイクダウン粘度を有する。
未処理澱粉粒が米粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に得られる酵素処理澱粉粒のブレイクダウン粘度は、好ましくは約600BU以上であり、より好ましくは約650BU以上であり、更に好ましくは約700BU以上であり、最も好ましくは約800BU以上である。未処理澱粉粒が米粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に得られる酵素処理澱粉粒のブレイクダウン粘度に特に上限はないが、例えば、約1000BU以下、約950BU以下、約900BU以下、約850BU以下、または約800BU以下などであり得る。
未処理澱粉粒が米澱粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に得られる酵素処理澱粉粒のブレイクダウン粘度は、好ましくは約600BU以上であり、より好ましくは約650BU以上であり、更に好ましくは約700BU以上であり、最も好ましくは約800BU以上である。未処理澱粉粒が米澱粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、上記3.1に記載の条件下にてアミログラフで測定した場合に得られる酵素処理澱粉粒のブレイクダウン粘度に特に上限はないが、例えば、約1000BU以下、約950BU以下、約900BU以下、約850BU以下、約800BU以下、約700BU以下、約600BU以下、約500BU以下、約400BU以下または約300BU以下などであり得る。
(3.2 ゲル形成能)
一般に澱粉糊液は所定濃度以上になると、冷却することにより澱粉ゲルを形成することがよく知られている。この澱粉ゲルの物性は粘度同様、澱粉の起源、製法によって異なっており、このゲル化物性の特徴を考慮した上で、様々な食品に使用されている。このゲル物性を測定する方法はいくつか実用化されているが、その1つにレオメータを用いて測定する方法がある。レオメータによるゲル形成能の測定は、例えば、澱粉糊液をケーシングに充填し、加熱後、例えば16時間または21日間(例えば、約5℃で)冷蔵保存し、室温(例えば、約25℃)に戻した後、レオメータでそのゲル物性を測定することにより行われ得る。
一般に澱粉糊液は所定濃度以上になると、冷却することにより澱粉ゲルを形成することがよく知られている。この澱粉ゲルの物性は粘度同様、澱粉の起源、製法によって異なっており、このゲル化物性の特徴を考慮した上で、様々な食品に使用されている。このゲル物性を測定する方法はいくつか実用化されているが、その1つにレオメータを用いて測定する方法がある。レオメータによるゲル形成能の測定は、例えば、澱粉糊液をケーシングに充填し、加熱後、例えば16時間または21日間(例えば、約5℃で)冷蔵保存し、室温(例えば、約25℃)に戻した後、レオメータでそのゲル物性を測定することにより行われ得る。
レオメータでの具体的な測定方法は、上記1.2.2で記載したとおりである。本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、酵素処理澱粉粒は、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、未処理澱粉粒(すなわち、未処理の米粉)の破断応力の110%以上850%以下の破断応力を有するかまたは未処理澱粉粒のヤング率の110%以上600%以下(一つの実施形態においては110%以上330%以下)のヤング率を有することが好ましい。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米澱粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、酵素処理澱粉粒は、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、未処理澱粉粒(すなわち、未処理の米澱粉)の破断応力の110%以上850%以下の破断応力を有するかまたは未処理澱粉粒のヤング率の110%以上600%以下(一つの実施形態においては330%以下)のヤング率を有することが好ましい。
米澱粉の場合も米粉の場合も、澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒は、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒の破断応力の約110%以上(より好ましくは約120%以上、特に好ましくは約130%以上、最も好ましくは約140%以上)の破断応力を有することが好ましい。澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒の破断応力に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒の破断応力の約600%以下、約550%以下、約500%以下、約450%以下、約400%以下、約300%以下、約200%以下などであり得る。
澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒は、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒のヤング率の約110%以上(より好ましくは約120%以上、特に好ましくは約130%以上、最も好ましくは約140%以上)のヤング率を有することが好ましい。澱粉粒(未処理澱粉、化学修飾澱粉または物理処理澱粉のいずれであってもよい)の酵素処理を本発明の方法によって行うことによって得られる酵素処理澱粉粒のヤング率に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、酵素処理に使用した澱粉粒のヤング率の約850%以下、約800%以下、約750%以下、約700%以下、約650%以下、約600%以下、約500%以下、約400%以下、約300%以下、約250%以下、約200%以下、約150%以下などであり得る。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、得られる酵素処理澱粉粒の破断応力は、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、好ましくは約45g以上であり、より、好ましくは約50g以上であり、更により好ましくは約60g以上であり、特に好ましくは約65g以上であり、最も好ましくは約70g以上である。本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、得られる酵素処理澱粉粒の破断応力に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、例えば、約150g以下、約140g以下、約130g以下、約120g以下、約110g以下または約100g以下などであり得る。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の米澱粉から調製されかつ化学修飾も物理処理もされていない場合、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、得られる酵素処理澱粉粒の破断応力は、好ましくは約15g以上であり、より好ましくは約20g以上であり、更に好ましくは約30g以上であり、最も好ましくは約40g以上である。この場合の酵素処理澱粉粒の破断応力はまた、例えば、約45g以上、約50g以上、約55g以上、約60g以上、約65g以上、約70g以上、約80g以上、約90g以上、約100g以上、約110g以上または約120g以上であってもよい。未処理澱粉粒が米澱粉であって、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒の破断応力に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、例えば、約170g以下、約160g以下、約150g以下、約140g以下、約130g以下、約120g以下、約100g以下または約100g以下などであり得る。
未処理澱粉粒が米粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、得られる酵素処理澱粉粒のヤング率は、好ましくは約7.0×105dyn/cm2以上であり、より好ましくは約7.1×105dyn/cm2以上であり、更に好ましくは約7.2×105dyn/cm2以上であり、最も好ましくは約7.3×105dyn/cm2以上である。未処理澱粉粒が米粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒のヤング率に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、例えば、約2.5×106dyn/cm2以下、約2.4×106dyn/cm2以下、約2.3×106dyn/cm2以下、約2.2×106dyn/cm2以下、約2.1×106dyn/cm2以下または約2.0×106dyn/cm2以下などであり得る。
未処理澱粉粒が米澱粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、得られる酵素処理澱粉粒のヤング率は、好ましくは約2.5×105dyn/cm2以上であり、より好ましくは約2.6×105dyn/cm2以上であり、更に好ましくは約2.7×105dyn/cm2以上であり、最も好ましくは約2.8×105dyn/cm2以上である。この場合の酵素処理澱粉粒のヤング率はまた、例えば、約3.0×105dyn/cm2以上、約3.2×105dyn/cm2以上、約3.4×105dyn/cm2以上、約3.6×105dyn/cm2以上、約3.8×105dyn/cm2以上、約4.0×105dyn/cm2以上、約4.2×105dyn/cm2以上、約4.4×105dyn/cm2以上、約4.6×105dyn/cm2以上、約4.8×105dyn/cm2以上、約5.0×105dyn/cm2以上、約5.2×105dyn/cm2以上、約5.4×105dyn/cm2以上、約5.6×105dyn/cm2以上、約5.8×105dyn/cm2以上、約6.0×105dyn/cm2以上、約6.2×105dyn/cm2以上、約6.4×105dyn/cm2以上、約6.4×105dyn/cm2以上、約6.6×105dyn/cm2以上、約6.8×105dyn/cm2以上、約7.0×105dyn/cm2以上、約8.0×105dyn/cm2以上、約9.0×105dyn/cm2以上、約1.0×106dyn/cm2以上、約1.5×106dyn/cm2以上、約2.0×106dyn/cm2以上または約2.5×106dyn/cm2以上などであってもよい。未処理澱粉粒が米澱粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒のヤング率に特に上限はないが、例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に、例えば、約4.0×106dyn/cm2以下、約3.8×106dyn/cm2以下、約3.5×106dyn/cm2以下、約2.5×106dyn/cm2以下、約2.4×106dyn/cm2以下、約2.3×106dyn/cm2以下、約2.2×106dyn/cm2以下、約2.1×106dyn/cm2以下または約2.0×106dyn/cm2以下などであり得る。
特定の実施形態では、未処理澱粉粒が米粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒は、例えば、上記3.1の条件下で測定した場合にブレイクダウンを有し(約100BU以上)、且つ例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に破断応力約55〜約100(g)もしくはヤング率約7.0×105〜約2.0×106(dyn/cm2)を有する。
特定の実施形態では、未処理澱粉粒が米澱粉として提供され、かつ化学修飾も物理処理もされない場合、得られる酵素処理澱粉粒は、例えば、上記3.1の条件下で測定した場合にブレイクダウンを有し(約100BU以上)、且つ例えば、上記1.2.2の条件下にて澱粉ゲルを作製してレオメータで測定した場合に破断応力約15〜約100(g)もしくはヤング率約2.5×105〜約2.0×106(dyn/cm2)を有するか、または破断応力約120〜約170(g)もしくはヤング率約2.5×106〜約4.0×106(dyn/cm2)を有する。
澱粉粒として化工澱粉もしくは物理処理澱粉を用いる場合、または酵素処理後に化学修飾もしくは物理処理を行った場合も上記と同様にゲル形成能の向上が得られる。
(3.3 グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていない酵素処理澱粉)
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の澱粉、物理処理澱粉または漂白澱粉から調製されかつ化学修飾がされていない場合、本発明の酵素処理澱粉は、人為的な化学処理をされていないため、天然の澱粉(すなわち、未処理澱粉)と比較して、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていない。グルコース残基の2位、3位及び6位の水酸基が修飾されている澱粉とは、工業的なプロセスによりいわゆる化学修飾を受けた加工澱粉(化工デンプンともいう)のことである。平成20年10月1日の厚生労働省告示第485号で告示された食品衛生法施行規則の一部を改正する省令によれば、次の加工デンプン11品目が添加物として取り扱われることになった:
・アセチル化アジピン酸架橋デンプン;
・アセチル化酸化デンプン;
・アセチル化リン酸架橋デンプン;
・オクテニルコハク酸デンプンナトリウム;
・酢酸デンプン;
・酸化デンプン;
・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン;
・ヒドロキシプロピルデンプン;
・リン酸架橋デンプン;
・リン酸化デンプン;
・リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン。厚生労働省告示第485号には、これらのデンプンについての純度試験法が記載されている。よって、例えば、平成20年10月1日の厚生労働省告示第485号記載の上記各種加工澱粉の純度試験方法に準じ、試料澱粉中のアジピン酸基、アセチル基、カルボキシル基などの各種化学物質の分析を行い、比較対象として実施した原料生澱粉での分析結果と比較し、対応する各種化学物質の含有量の増加が見られないことを確認することにより、試料澱粉が化学修飾を受けた澱粉ではないことを判断できる。特に、アジピン酸基の含量、アセチル基の有含量、カルボキシル基の含有量、酢酸ビニルの含有量、オクテニルコハク酸基の含有量、ヒドロキシプロピル基の含有量およびプロピレンクロロヒドリン類の含有量を測定し、これらの含有量が原料生澱粉についてのこれらの含有量よりも増加していないことを確認することにより、試料澱粉が化学修飾を受けた澱粉ではないことを判断できる。アジピン酸基の含量、アセチル基の有含量、カルボキシル基の含有量、オクテニルコハク酸基の含有量、ヒドロキシプロピル基の含有量と、プロピレンクロロヒドリン類の含有量を判断基準とすることが好ましい。また、次亜塩素酸ナトリウムを用いて漂白処理を行った漂白デンプンについては、食品として流通することが認められている。この漂白デンプンも、上記酸化デンプンと同様の純度試験方法にて、カルボキシル基の含有量を測定し、判断することが可能である。上記の11品目の加工デンプン以外の化学修飾加工デンプンについては食品衛生法で認められていないため、食品に使用することができない。そのため、上記11品目以外の化学修飾デンプンは基本的に日本では使用されておらず、流通していない。従って、実用上、本願発明の澱粉についてグルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていないか否かを確認する際に、上記の化学修飾以外による化学修飾がされていないかを確認する必要はない。
本発明の酵素処理澱粉粒が未処理の澱粉、物理処理澱粉または漂白澱粉から調製されかつ化学修飾がされていない場合、本発明の酵素処理澱粉は、人為的な化学処理をされていないため、天然の澱粉(すなわち、未処理澱粉)と比較して、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていない。グルコース残基の2位、3位及び6位の水酸基が修飾されている澱粉とは、工業的なプロセスによりいわゆる化学修飾を受けた加工澱粉(化工デンプンともいう)のことである。平成20年10月1日の厚生労働省告示第485号で告示された食品衛生法施行規則の一部を改正する省令によれば、次の加工デンプン11品目が添加物として取り扱われることになった:
・アセチル化アジピン酸架橋デンプン;
・アセチル化酸化デンプン;
・アセチル化リン酸架橋デンプン;
・オクテニルコハク酸デンプンナトリウム;
・酢酸デンプン;
・酸化デンプン;
・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン;
・ヒドロキシプロピルデンプン;
・リン酸架橋デンプン;
・リン酸化デンプン;
・リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン。厚生労働省告示第485号には、これらのデンプンについての純度試験法が記載されている。よって、例えば、平成20年10月1日の厚生労働省告示第485号記載の上記各種加工澱粉の純度試験方法に準じ、試料澱粉中のアジピン酸基、アセチル基、カルボキシル基などの各種化学物質の分析を行い、比較対象として実施した原料生澱粉での分析結果と比較し、対応する各種化学物質の含有量の増加が見られないことを確認することにより、試料澱粉が化学修飾を受けた澱粉ではないことを判断できる。特に、アジピン酸基の含量、アセチル基の有含量、カルボキシル基の含有量、酢酸ビニルの含有量、オクテニルコハク酸基の含有量、ヒドロキシプロピル基の含有量およびプロピレンクロロヒドリン類の含有量を測定し、これらの含有量が原料生澱粉についてのこれらの含有量よりも増加していないことを確認することにより、試料澱粉が化学修飾を受けた澱粉ではないことを判断できる。アジピン酸基の含量、アセチル基の有含量、カルボキシル基の含有量、オクテニルコハク酸基の含有量、ヒドロキシプロピル基の含有量と、プロピレンクロロヒドリン類の含有量を判断基準とすることが好ましい。また、次亜塩素酸ナトリウムを用いて漂白処理を行った漂白デンプンについては、食品として流通することが認められている。この漂白デンプンも、上記酸化デンプンと同様の純度試験方法にて、カルボキシル基の含有量を測定し、判断することが可能である。上記の11品目の加工デンプン以外の化学修飾加工デンプンについては食品衛生法で認められていないため、食品に使用することができない。そのため、上記11品目以外の化学修飾デンプンは基本的に日本では使用されておらず、流通していない。従って、実用上、本願発明の澱粉についてグルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていないか否かを確認する際に、上記の化学修飾以外による化学修飾がされていないかを確認する必要はない。
本明細書中で「グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基が修飾されていない」という場合、グルコース残基の全ての2位、3位および6位の水酸基が修飾されていないことが好ましいが、天然の状態で何らかの修飾を受けている場合は多少の修飾を含んでも良い。この場合、グルコース残基の2位、3位および6位の水酸基の数の合計のうち、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらにより好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上または約99.5%、最も好ましくは約100%が修飾されていない。
(4.本発明の食品)
特定の実施形態では、本発明の食品は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて米澱粉ゲル含有食品を得る工程を包含する方法によって製造された食品である。
特定の実施形態では、本発明の食品は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて米澱粉ゲル含有食品を得る工程を包含する方法によって製造された食品である。
別の特定の実施形態では、本発明の食品は、高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉粒から作製された加熱調理済みの米澱粉含有食品である。別の特定の実施形態では、本発明の澱粉含有食品は、食品材料と該酵素処理澱粉粒とを混合した後に加熱することを含む方法によって製造された食品である。
本明細書中で、米澱粉ゲル含有食品とは、米澱粉ゲルを含有する食品をいう。米澱粉ゲルを含有していれば、その食品が全体としてゲルの形態である必要はない。例えば、カスタードプディングなどのゲル状食品、くず餅、ういろうなどのゲル状和菓子などは食品全体がゲルを形成している。ホイップクリーム、アイスクリームなどの油脂含有食品、ミートソースなどのソース類は食品全体としてはゲル状ではないが、微小な澱粉ゲルを含有しているため、本発明の澱粉ゲル含有食品に含まれる。また、ベーカリー類、洋菓子類なども、製造工程中に一旦ゲルを形成し、焼成などにより、水分が減少した澱粉ゲルを含有しているため、本発明の澱粉ゲル含有食品に含まれる。
特定の実施形態では、本発明の食品は、酵素処理米澱粉粒を使用して調製され得る。本発明の方法によって製造された澱粉粒は、従来の澱粉と同様の用途に利用され得る。本発明の酵素処理米澱粉粒を食品に利用することにより、食品の物性および食感が改変される。本発明の酵素処理米澱粉粒は、従来澱粉を利用して調製されているほとんど全ての飲食用組成物または食品添加物用組成物に使用することが可能である。本発明の食品においては、酵素処理米澱粉粒によって得られる優れた効果を妨害しない限り、目的とする組成物および食品において通常用いられる任意の材料が用いられ得る。好ましい実施形態では、本発明の澱粉は、本発明の食品中でゲルを形成している。
本発明の酵素処理米澱粉粒は、高水分系の食品に利用した場合、ボディを付与し、強いゲル形成能による自然な弾力を付与し、且つ適度な口溶け感をも与える。さらに、本発明の酵素処理米澱粉粒は、高水分系の食品において、従来の米粉および米澱粉よりも優れたモチモチ感またはしっとり感を付与し得る。高水分系の食品とは、摂食時の状態で可食部100gあたりの水分量が40gよりも多い食品をいう。高水分系の食品の例としては、例えば、和菓子類、油脂含有食品、ゲル状食品、魚肉および畜肉加工食品、たれおよびソース類、麺類などが挙げられる。
本発明の酵素処理米澱粉粒は、低水分系の食品に利用した場合、口解けの良い、滑らかな食感を付与したりすることが可能である。さらに、本発明の酵素処理米澱粉粒は、低水分系の食品において、従来の米粉および米澱粉よりも優れたクリスピー感または香ばしさを付与し得る。低水分系の食品とは、摂食時の状態で可食部100gあたりの水分量が40g以下の食品をいう。低水分系の食品の例としては、例えば、ベーカリー類、洋菓子類、フライ食品、ゼリーキャンデー類などが挙げられる。
このように、高水分系の食品と低水分系の食品とは、可食部100gあたりの水分量が40gよりも高いかまたは40g以下であるかによって分類される。ただし、可食部100gあたりの水分量が40g付近(35〜50g)の食品に関しては、同じ水分量であっても、形態により、相反する物性を示す場合がある。また、フライ食品などの場合、中身の具材を除いた、衣部分に対する水分量で判断する。
種々の食品の可食部100gあたりの水分量を以下に例示する(五訂増補日本食品標準成分表より;カッコ内が水分量):
(1)ベーカリー類:食パン(38.0g)、ハードビスケット(2.6g)、パイ生地(32.0g)、衛生ボーロ(4.5g);
(2)和菓子類:ういろう(54.5g)、くずまんじゅう(45.0g)、大福餅(41.5g);
(3)洋菓子類:スポンジケーキ(32.0g)、カステラ(25.6g)、ホットケーキ(40.0g);
(4)油脂含有食品:ホイップクリーム(乳脂肪タイプ、42.1g)、ホイップクリーム(植物性脂肪タイプ、41.2g)、アイスクリーム類(アイスミルク:65.6g、ラクトアイス:60.4g);
(5)ゲル状食品:カスタードプディング(74.1g);
(6)魚肉、畜肉加工食品:す巻かまぼこ(75.8g)、焼きぬきかまぼこ(72.8g)、ウィンナー(53.0g);
(7)たれ、ソース類:ウスターソース(61.7g)、ミートソース(78.8g)、サウザンアイランドドレッシング(44.1g);および
(8)ゼリーキャンデー類:ゼリーキャンデー(16g)、ゼリービーンズ(9.5g)。
(1)ベーカリー類:食パン(38.0g)、ハードビスケット(2.6g)、パイ生地(32.0g)、衛生ボーロ(4.5g);
(2)和菓子類:ういろう(54.5g)、くずまんじゅう(45.0g)、大福餅(41.5g);
(3)洋菓子類:スポンジケーキ(32.0g)、カステラ(25.6g)、ホットケーキ(40.0g);
(4)油脂含有食品:ホイップクリーム(乳脂肪タイプ、42.1g)、ホイップクリーム(植物性脂肪タイプ、41.2g)、アイスクリーム類(アイスミルク:65.6g、ラクトアイス:60.4g);
(5)ゲル状食品:カスタードプディング(74.1g);
(6)魚肉、畜肉加工食品:す巻かまぼこ(75.8g)、焼きぬきかまぼこ(72.8g)、ウィンナー(53.0g);
(7)たれ、ソース類:ウスターソース(61.7g)、ミートソース(78.8g)、サウザンアイランドドレッシング(44.1g);および
(8)ゼリーキャンデー類:ゼリーキャンデー(16g)、ゼリービーンズ(9.5g)。
このような食品に本発明の酵素処理米澱粉粒を使用することにより、従来の澱粉を使用した場合と比較して、例えば以下の物性が改善される:
(1)ベーカリー類において、ソフトで、口溶けの良好な食感を付与する。ベーカリー類の例としては、パン、クッキー、ビスケット、ピザ生地、パイ生地、アイスクリームのコーンカップ、モナカの皮、シュークリームの皮などが挙げられる。
(1)ベーカリー類において、ソフトで、口溶けの良好な食感を付与する。ベーカリー類の例としては、パン、クッキー、ビスケット、ピザ生地、パイ生地、アイスクリームのコーンカップ、モナカの皮、シュークリームの皮などが挙げられる。
(2)和菓子類において、適度な硬さ、脆さを有し、且つ、適度な粘弾性、もちっとした食感を付与する。和菓子類の例としては、くず餅、ういろう、饅頭などが挙げられる。
(3)洋菓子類において、焼成後の膨らみが良好でボリュームがあり、ふわっとした良好な食感を付与する。洋菓子類の例としては、スポンジケーキ、シフォンケーキ、カステラ、マドレーヌ、フィナンシェ、パウンドケーキ、ロールケーキなどが挙げられる。
(4)油脂含有食品において、適度なボディ感、保形性を有しつつ、且つ、口溶け良好で滑らかな食感を付与する。油脂含有食品の例としては、カスタードクリーム、フラワーペースト、フィリング、ホイップクリーム、アイスクリーム類(例えば、アイスミルク、ラクトアイス)などが挙げられる。
(5)ゲル状食品において、もちっとして、ぷるっとした良好な弾力を有しつつ、口溶けも良好で滑らかな食感を付与する。ゲル状食品の例としては、ゼリー、プリン、ムース、ヨーグルト、ごま豆腐などが挙げられる。
(6)魚肉および畜肉加工食品において、良好な歯ごたえを持つ弾力を有し、かつ経時的な変化も少ない効果を付与する。魚肉および畜肉加工食品の例としては、蒲鉾、ソーセージなどが挙げられる。
(7)たれおよびソース類において、良好なボディ感、保形性を有し、食品へののりが良く滴り落ちにくく、且つ、粘りや糸曳き感も小さく、滑らかな食感を付与する。たれおよびソース類の例としては、蒲焼きのたれ、みたらし団子のたれ、フルーツソース、ホワイトソース、ドレッシングなどが挙げられる。
(8)フライ食品において、サクッとした軽い食感を付与する。フライ食品の例としては、天ぷら、エビフライなどが挙げられる。
(9)麺類において、歯ごたえに富むモチモチとした食感を付与する。麺類の例としては、うどん、そうめん、冷麦、中華麺、そば、マカロニ、スパゲティーなどが挙げられる。
(10)ゼリーキャンデー類において、適度な弾力を有しつつ、口溶けも良好で滑らかな食感を付与する。ゼリーキャンデー類の例としては、ゼリーキャンデー、ゼリービーンズなどが挙げられる。
本発明の食品において、本発明の酵素処理米澱粉粒は、従来その食品に用いられる澱粉量と同量で使用することができる。一部を従来の澱粉を使用し、残りを本発明の酵素処理米澱粉粒に置換してもよい。本発明の酵素処理米澱粉粒は、好ましくは通常の澱粉使用量の約50重量%以上であり、より好ましくは約60重量%以上であり、さらに好ましくは約70重量%以上であり、ことに好ましくは約80重量%以上であり、特に好ましくは約90重量%以上であり、最も好ましくは100重量%である。すなわち、本発明の酵素処理米澱粉粒で従来の澱粉の全量を置換することが最も好ましい。
(5.澱粉ゲル含有食品の製造方法)
特定の実施形態では、本発明の澱粉ゲル含有食品の製造方法は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理米澱粉粒を得る工程;食品材料と該酵素処理米澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理米澱粉粒を糊化する工程;および該糊化した酵素処理米澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて澱粉ゲル含有食品を得る工程を包含する。従来の食品製造においては、食品製造過程で澱粉粒に酵素処理を施して使用することはない。
特定の実施形態では、本発明の澱粉ゲル含有食品の製造方法は、米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理米澱粉粒を得る工程;食品材料と該酵素処理米澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理米澱粉粒を糊化する工程;および該糊化した酵素処理米澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて澱粉ゲル含有食品を得る工程を包含する。従来の食品製造においては、食品製造過程で澱粉粒に酵素処理を施して使用することはない。
米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程および該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理米澱粉粒を得る工程は、上記「2.2 酵素反応」において詳述した通りに行われ得る。上述のように、この澱粉粒は、未処理澱粉、物理処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒であり得る。食品として扱われる酵素処理米澱粉粒を得ることが好ましい場合には、澱粉粒は未処理澱粉、物理処理澱粉または漂白澱粉の澱粉粒であり、この澱粉粒を使用して澱粉ゲル含有食品を得るまでのいずれの段階においても、この澱粉粒は化学修飾がされない。特定の実施形態では、澱粉粒は未処理澱粉または物理処理澱粉の澱粉粒であり、酵素処理米澱粉粒を化学修飾する工程をさらに包含し、この化学修飾した酵素処理米澱粉粒を食品材料および水と混合する。別の特定の実施形態では、澱粉粒は未処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒であり、酵素処理米澱粉粒を物理処理する工程をさらに包含し、この物理処理した酵素処理米澱粉粒を食品材料および水と混合する。
次いで、食品材料とこの酵素処理米澱粉粒と水とを混合して混合物が得られる。食品材料と酵素処理米澱粉粒と水との混合方法およびその混合比率は、目的の食品の通常の製造方法での混合方法および混合比率に従って行われ得る。
次いで、この混合物を加熱してこの混合物中のこの酵素処理米澱粉粒が糊化される。この加熱は、加熱調理であり得る。加熱は、目的の食品の通常の製造方法での加熱調理と同じ条件で行われ得る。
次いで、この糊化した酵素処理米澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて澱粉ゲル含有食品が得られる。冷却は、加熱後の混合物を室温に放置することによって行われてもよく、冷蔵庫などで冷却することによって行われてもよい。
本発明の酵素処理米澱粉粒を使用する実施形態では、本発明の食品は、酵素処理米澱粉粒を使用すること以外は、通常の澱粉を使用する場合と同様の方法で製造することができる。本発明の澱粉含有食品の製造方法は、食品材料に酵素処理米澱粉粒を添加して混合する工程;および該混合物を加熱調理する工程を包含する。
本発明の酵素処理米澱粉粒は、従来の未処理澱粉に比べて優れた粘度およびゲル形成能を有する。そのため、本発明の酵素処理米澱粉粒を食品材料に添加して混合し、その混合物を加熱調理することによりこの酵素処理米澱粉粒は糊化し、その後冷却することによりゲルを形成する。そのため、得られる加熱調理物は従来の未処理澱粉を使用した加熱調理物よりも優れた物性(例えば、優れたボディ感、自然な弾力、良好な口溶け、滑らかな食感、もちっとした食感、ふわっとした食感など)を付与する。本明細書中では、食品は、飲料であってもよい。
本明細書中では、「加熱調理」とは、食品材料と澱粉との混合物を加熱することをいう。好ましくは、加熱調理は、澱粉粒の崩壊温度以上で加熱することであり得る。例えば、食品材料と澱粉との混合物は、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、または約95℃以上で加熱され得る。好ましくは、加熱調理は、食品素材と澱粉との過度の変性を引き起こさない温度で行われる。例えば、食品材料と澱粉との混合物は、約200℃以下、約150℃以下、約130℃以下、または約110℃以下で加熱され得る。加熱調理の時間は、目的とする食品の通常の調理時間で調理され得る。
加熱調理は、好ましくはある程度の水分の存在下で行われる。澱粉粒は、通常、所定以上の水の存在下で加熱されると膨潤し、透明度が増大し、粘度が上昇する。食品素材が必要以上の水分を含む場合、食品素材と澱粉との混合物に水を添加する必要はないが、食品素材の水分が少ない場合、食品素材と澱粉との混合物に水を添加することが好ましい。なお、無糖のくず湯のような、水と澱粉以外の食品素材を含まない食品の場合には、水を食品素材とみなす。
加熱調理は、目的とする食品の製造方法の一部であり得る。例えば、ゼリーなどのゲル状食品の場合、加熱調理した後で例えば約5〜10℃の温度で冷却され得る。
(6.配列の説明)
配列番号1は、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号2は、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号3は、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号4は、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号5は、Aspergillus niger由来のアミログルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号6は、Aspergillus niger由来のアミログルコシダーゼのアミノ酸配列である;
配列番号7は、Flavobacterium sp.由来のイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号8は、Flavobacterium sp.由来のイソアミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号9は、Pseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号10は、Pseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号11は、Aspergillus niger由来のα−グルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号12は、Aspergillus niger由来のα−グルコシダーゼのアミノ酸配列である;
配列番号13は、Paenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号14は、Paenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号1は、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号2は、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号3は、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号4は、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号5は、Aspergillus niger由来のアミログルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号6は、Aspergillus niger由来のアミログルコシダーゼのアミノ酸配列である;
配列番号7は、Flavobacterium sp.由来のイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号8は、Flavobacterium sp.由来のイソアミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号9は、Pseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号10は、Pseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼのアミノ酸配列である;
配列番号11は、Aspergillus niger由来のα−グルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号12は、Aspergillus niger由来のα−グルコシダーゼのアミノ酸配列である;
配列番号13は、Paenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列である;
配列番号14は、Paenibacillus macerans(Bacillus maceransとも分類される)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼのアミノ酸配列である。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において、粘度の測定は、ブラベンダー社のアミログラフで測定し、ゲル物性についてはレオテック社のレオメータで測定した。実施例および比較例においては、以下の分析及び評価方法に従って、各澱粉の物性および各澱粉から作製したゲルの物性を測定した。
1.分析及び評価方法:
(1.1.粘度の測定方法)
粘度を以下の方法で測定した。乾物換算で小麦澱粉粒は8.5重量%濃度、米澱粉粒は9.0重量%濃度、米粉は9重量%濃度となるように、450mlの水で、澱粉懸濁液を調整し、試料容器に投入後、それらを回転させながら50℃まで加温した。その後1.5℃/minで95℃まで昇温し、95℃で15分間保持した。続いて1.5℃/minで冷却した。アミログラフはブラベンダー社製のVISCOGRAPH−E、また試料容器の回転数は75rpm、測定カートリッジは700cmgで測定した。この時、粘度がピークに達した時の粘度を最高粘度とし、そして、この最高粘度と95℃にて15分間保持した時の粘度の差をブレイクダウンとした。
(1.1.粘度の測定方法)
粘度を以下の方法で測定した。乾物換算で小麦澱粉粒は8.5重量%濃度、米澱粉粒は9.0重量%濃度、米粉は9重量%濃度となるように、450mlの水で、澱粉懸濁液を調整し、試料容器に投入後、それらを回転させながら50℃まで加温した。その後1.5℃/minで95℃まで昇温し、95℃で15分間保持した。続いて1.5℃/minで冷却した。アミログラフはブラベンダー社製のVISCOGRAPH−E、また試料容器の回転数は75rpm、測定カートリッジは700cmgで測定した。この時、粘度がピークに達した時の粘度を最高粘度とし、そして、この最高粘度と95℃にて15分間保持した時の粘度の差をブレイクダウンとした。
(1.2.ゲル物性の測定方法)
ゲル物性を以下の方法で測定した。米粉については乾物換算で30重量%濃度となるように、米澱粉または小麦澱粉については乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作成し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填した。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持した。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)でゲル物性を測定した。また、レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定した。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)、ヤング率(dyn/cm2)で評価した。
ゲル物性を以下の方法で測定した。米粉については乾物換算で30重量%濃度となるように、米澱粉または小麦澱粉については乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作成し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填した。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持した。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)でゲル物性を測定した。また、レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定した。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)、ヤング率(dyn/cm2)で評価した。
(1.3.澱粉粒の分解率の測定方法)
澱粉粒の分解率を以下の方法で測定した。酵素反応後の澱粉分解懸濁液を遠心分離(3000rpm、5分間)して得た上清液に含まれる遊離した還元糖の量(g)をフェノール‐硫酸法により測定した。遊離した還元糖の量の、酵素反応前の澱粉総量(g)に対する百分率を求めた。
澱粉粒の分解率を以下の方法で測定した。酵素反応後の澱粉分解懸濁液を遠心分離(3000rpm、5分間)して得た上清液に含まれる遊離した還元糖の量(g)をフェノール‐硫酸法により測定した。遊離した還元糖の量の、酵素反応前の澱粉総量(g)に対する百分率を求めた。
2.試験例:
(試験例1:液体反応と固体反応との比較)
(1)液体反応
未処理の米粉90g(乾燥重量)にイオン交換水250g加え、pH5.0に調整後、沸騰湯浴にて加温し、米粉中の澱粉が完全に溶解した糊液を調製した。この糊液に、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae起源)を0.1重量%(対米粉乾燥重量)添加し、総重量300gに調整し、50℃で撹拌することにより酵素反応を行った。30分後、沸騰湯浴中に10分間放置し、酵素を失活させ、試料1とした。得られた試料1を用い、ゲル物性を測定し、破断応力とヤング率で評価した。結果を表1Bに示す。
(試験例1:液体反応と固体反応との比較)
(1)液体反応
未処理の米粉90g(乾燥重量)にイオン交換水250g加え、pH5.0に調整後、沸騰湯浴にて加温し、米粉中の澱粉が完全に溶解した糊液を調製した。この糊液に、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae起源)を0.1重量%(対米粉乾燥重量)添加し、総重量300gに調整し、50℃で撹拌することにより酵素反応を行った。30分後、沸騰湯浴中に10分間放置し、酵素を失活させ、試料1とした。得られた試料1を用い、ゲル物性を測定し、破断応力とヤング率で評価した。結果を表1Bに示す。
(2)固体反応
未処理の米粉400g(乾燥重量)にイオン交換水900gを加え、米粉懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調製した後、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae起源)を1重量%(対米粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。この酵素処理澱粉粒90g(乾燥重量)にイオン交換水を加え、総重量300gに調整した。これを、沸騰湯浴にて加温し、米粉中の澱粉が完全に溶解した糊液、試料2を調製した。得られた試料2を用い、ゲル物性を測定し、破断応力とヤング率で評価した。結果を表1Bに示す。
未処理の米粉400g(乾燥重量)にイオン交換水900gを加え、米粉懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調製した後、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae起源)を1重量%(対米粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。この酵素処理澱粉粒90g(乾燥重量)にイオン交換水を加え、総重量300gに調整した。これを、沸騰湯浴にて加温し、米粉中の澱粉が完全に溶解した糊液、試料2を調製した。得られた試料2を用い、ゲル物性を測定し、破断応力とヤング率で評価した。結果を表1Bに示す。
米粉中の澱粉を糊化した後に酵素を作用させた場合、得られた試料1は顕著な粘度の低下が確認され、もはや澱粉の粘度物性を保持しておらずゲルを形成しなかった。他方、米粉中の澱粉粒を保持したままで酵素を反応させた場合、得られた試料2は澱粉の粘度物性を保持し、固いゲルを形成することが確認された。したがって、米粉中の澱粉粒を糊化せずに澱粉粒のままで酵素を反応させることが重要であることが確認された。
3.参考例:小麦澱粉を使用することによる、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼの確認
(参考例1)
未処理の天然の小麦澱粉に酵素処理を施さずに、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性を分析した。結果を表1Cに示す。
未処理の天然の小麦澱粉に酵素処理を施さずに、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性を分析した。結果を表1Cに示す。
(参考例2〜7)
未処理の天然の小麦澱粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼを1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性をアミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して分解率を求めた。結果を表1Cに示す。
未処理の天然の小麦澱粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼを1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性をアミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して分解率を求めた。結果を表1Cに示す。
使用したα−アミラーゼは、以下の通りであった:
参考例2:Aspergillus oryzae由来、天野エンザイム(株)製「ビオザイムA」;至適pH5.0;
参考例3:Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0;
参考例4:Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0;
参考例5:Bacillus amyloliquefaciens由来、シグマアルドリッチ社製「αアミラーゼ」;至適pH6.0;
参考例6:Bacillus sp.由来、Novo社製「マルトゲナーゼ L」;至適pH5.0;または
参考例7:Bacillus licheniformis由来、Novo社製「ターマミル120L」;至適pH6.0。
参考例2:Aspergillus oryzae由来、天野エンザイム(株)製「ビオザイムA」;至適pH5.0;
参考例3:Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0;
参考例4:Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0;
参考例5:Bacillus amyloliquefaciens由来、シグマアルドリッチ社製「αアミラーゼ」;至適pH6.0;
参考例6:Bacillus sp.由来、Novo社製「マルトゲナーゼ L」;至適pH5.0;または
参考例7:Bacillus licheniformis由来、Novo社製「ターマミル120L」;至適pH6.0。
このように、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼおよびAspergillus niger由来のα−アミラーゼは、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有する。
4.米粉での実施例および比較例:
(比較例1)
日本産の精白されたうるち米(ジャポニカ米、精白歩合 20%)を原料米とし、十分な水洗後、1晩水に浸漬を行った。浸漬後、水を除去し、浸漬後の米の見かけの体積と同じ体積の加水を行い、従来技術に従って磨砕および篩別を行った。こうして得られた澱粉乳を従来技術に従って脱水および乾燥を行い、タンパク質含量5.5重量%の米粉を得た。こうして得られた未処理の米粉に酵素処理を施さずに、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性およびゲル物性を分析した。結果を表3に示す。
(比較例1)
日本産の精白されたうるち米(ジャポニカ米、精白歩合 20%)を原料米とし、十分な水洗後、1晩水に浸漬を行った。浸漬後、水を除去し、浸漬後の米の見かけの体積と同じ体積の加水を行い、従来技術に従って磨砕および篩別を行った。こうして得られた澱粉乳を従来技術に従って脱水および乾燥を行い、タンパク質含量5.5重量%の米粉を得た。こうして得られた未処理の米粉に酵素処理を施さずに、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性およびゲル物性を分析した。結果を表3に示す。
実施例1〜5および比較例2〜3:酵素反応単独での処理
(実施例1)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae由来、天野エンザイム(株)製「ビオザイムA」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例1)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus oryzae由来、天野エンザイム(株)製「ビオザイムA」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例2)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(比較例2および3)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0;比較例2)、α−アミラーゼ(Bacillus amyloliquefaciens由来、シグマアルドリッチ社製「αアミラーゼ」;至適pH6.0;比較例3)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0;比較例2)、α−アミラーゼ(Bacillus amyloliquefaciens由来、シグマアルドリッチ社製「αアミラーゼ」;至適pH6.0;比較例3)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例3)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例4)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−グルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「Transglucosidase L−500」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−グルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「Transglucosidase L−500」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例5)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、イソアミラーゼ(Flavobacterium sp.由来、合同清酒製「GODO‐FIA」;至適pH5.5)を0.1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、イソアミラーゼ(Flavobacterium sp.由来、合同清酒製「GODO‐FIA」;至適pH5.5)を0.1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表3に示す。
比較例4〜5および実施例6〜7:化学処理と酵素反応の併用
(比較例4)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH8.5に調整した後、酢酸ビニルモノマー22.5gを添加し、30℃で40分間撹拌することにより反応を行った。40分後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酢酸澱粉粒を回収した。得られた酢酸澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
(比較例4)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH8.5に調整した後、酢酸ビニルモノマー22.5gを添加し、30℃で40分間撹拌することにより反応を行った。40分後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酢酸澱粉粒を回収した。得られた酢酸澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
(比較例5)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン35μlを添加し、30℃で1時間撹拌することにより反応を行った。1時間後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、リン酸架橋澱粉粒を回収した。得られたリン酸架橋澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン35μlを添加し、30℃で1時間撹拌することにより反応を行った。1時間後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、リン酸架橋澱粉粒を回収した。得られたリン酸架橋澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
(実施例6)
比較例4で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
比較例4で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
(実施例7)
比較例5で調製したリン酸架橋澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
比較例5で調製したリン酸架橋澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
比較例6および実施例8:物理的処理と化学処理の併用
(比較例6)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉2kgにイオン交換水を加え、水分含量32%に調整し、それをできる限り空所の無い状態で3Lガラスビーカーに詰め、上部をアルミ箔で覆った後、120℃で15分間加熱することにより湿熱処理を行った。湿熱処理終了後、送風乾燥し、湿熱処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
(比較例6)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の米粉2kgにイオン交換水を加え、水分含量32%に調整し、それをできる限り空所の無い状態で3Lガラスビーカーに詰め、上部をアルミ箔で覆った後、120℃で15分間加熱することにより湿熱処理を行った。湿熱処理終了後、送風乾燥し、湿熱処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表4に示す。
(実施例8)
比較例6で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
比較例6で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を表4に示す。
実施例9〜12:遺伝子組み換え酵素の産生
(実施例9)
(Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号1の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYAMY1を調製した。
(実施例9)
(Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号1の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYAMY1を調製した。
pYAMY1をIto等の方法(J.bacteriol.,Vol.153,163〜168(1983))に従って酵母宿主DBY746に導入し、トリプトファン要求性が相補されたことにより、トリプトファンを含まない培地において生育可能な形質転換体を得た。この形質転換体を、2%グルコース、0.67%イーストニトロゲンベース、24mg/l L−ウラシル、24mg/l L−ヒスチジン、36mg/l L−ロイシン、pH5.7からなる合成培地100mlに接種し、30℃、120時間、振とう培養した。
培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)した上清を、分子量1万カットの中空糸型UF膜モジュールを用いて濃縮し、Aspergillus oryzae由来のαアミラーゼを調製した。このαアミラーゼは配列番号2のアミノ酸配列を有する。
(実施例10)
(Aspergillus niger由来のαアミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号3の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYAMY2を調製した。
(Aspergillus niger由来のαアミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号3の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYAMY2を調製した。
pYAMY2をIto等の方法(J.bacteriol.,Vol.153,163〜168(1983))に従って酵母宿主DBY746に導入し、トリプトファン要求性が相補されたことにより、トリプトファンを含まない培地において生育可能な形質転換体を得た。この形質転換体を、2%グルコース、0.67%イーストニトロゲンベース、24mg/l L−ウラシル、24mg/l L−ヒスチジン、36mg/l L−ロイシン、pH5.7からなる合成培地100mlに接種し、30℃、120時間、振とう培養した。
培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)した上清を、分子量1万カットの中空糸型UF膜モジュールを用いて濃縮し、Aspergillus niger由来のαアミラーゼを調製した。このαアミラーゼは配列番号4のアミノ酸配列を有する。
(実施例11)
(Aspergillus niger由来アミログルコシダーゼの調製方法)
配列表の配列番号5の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYGLU1を調製した。
(Aspergillus niger由来アミログルコシダーゼの調製方法)
配列表の配列番号5の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYGLU1を調製した。
pYGLU1をIto等の方法(J.bacteriol.,Vol.153,163〜168(1983))に従って酵母宿主DBY746に導入し、トリプトファン要求性が相補されたことにより、トリプトファンを含まない培地において生育可能な形質転換体を得た。この形質転換体を、2%グルコース、0.67%イーストニトロゲンベース、24mg/l L−ウラシル、24mg/l L−ヒスチジン、36mg/l L−ロイシン、pH5.7からなる合成培地100mlに接種し、30℃、120時間、振とう培養した。
培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)した上清を、分子量1万カットの中空糸型UF膜モジュールを用いて濃縮し、Aspergillus niger由来アミログルコシダーゼを調製した。このアミログルコシダーゼは配列番号6のアミノ酸配列を有する。
(実施例12)
(Flavobacterium sp.由来イソアミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号7の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYISO1を調製した。
(Flavobacterium sp.由来イソアミラーゼの調製方法)
配列表の配列番号7の塩基配列の両末端にEcoRI認識部位(GAATTC)を加えて、2本鎖DNAを化学合成した。この合成DNAを制限酵素EcoRIで完全分解した後、あらかじめEcoRIで完全分解したpYCDE1(Method in Enzymology,101,pp.192〜201(1983))と混合し、ライゲーションを行った。ライゲーション反応液で大腸菌TG1を形質転換し、合成遺伝子が正しく導入された形質転換体を選択した。この形質転換体が保持するプラスミドpYISO1を調製した。
pYISO1をIto等の方法(J.bacteriol.,Vol.153,163〜168(1983))に従って酵母宿主DBY746に導入し、トリプトファン要求性が相補されたことにより、トリプトファンを含まない培地において生育可能な形質転換体を得た。この形質転換体を、2%グルコース、0.67%イーストニトロゲンベース、24mg/l L−ウラシル、24mg/l L−ヒスチジン、36mg/l L−ロイシン、pH5.7からなる合成培地100mlに接種し、30℃、120時間、振とう培養した。
培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)した上清を、分子量1万カットの中空糸型UF膜モジュールを用いて濃縮し、Flavobacterium sp.由来イソアミラーゼを調製した。このイソアミラーゼは配列番号8のアミノ酸配列を有する。
(実施例9A〜実施例12A)
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の天然の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼを1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を以下の表4に示す。
比較例1で使用したのと同じロットの未処理の天然の米粉400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼを1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性およびゲル物性を、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液を使用して、上記「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、分解率を求めた。結果を以下の表4に示す。
使用したα−アミラーゼは、以下の通りであった:
実施例9A:実施例9において調製したα−アミラーゼ;
実施例10A:実施例10において調製したα−アミラーゼ;
実施例11A:実施例11において調製したα−アミラーゼ;
実施例12A:実施例12において調製したα−アミラーゼ。
実施例9A:実施例9において調製したα−アミラーゼ;
実施例10A:実施例10において調製したα−アミラーゼ;
実施例11A:実施例11において調製したα−アミラーゼ;
実施例12A:実施例12において調製したα−アミラーゼ。
上記の実施例および比較例についての結果を以下にまとめる:
このように、米粉中の米澱粉粒についても、α−アミラーゼ、アミログルコシダーゼまたはイソアミラーゼを作用させることにより、ゲル形成能を向上させることができることが確認された。
5.試作例:
次に、本発明を試作例により詳しく説明するが、本発明はこれらの試作例によって限定されるものではない。また、特に記載のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
次に、本発明を試作例により詳しく説明するが、本発明はこれらの試作例によって限定されるものではない。また、特に記載のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
(試作例1:クッキーの調製)
下記表5に掲げる処方の内、ミキサーに、無塩バター、ショートニングを加えよく混ぜ合わせた。更に、上白糖、食塩を加えよく混ぜ合わせた後、予め水に溶解した炭酸水素アンモニウムを加えよく混ぜ合わせた。最後に、予め混合した薄力粉及び澱粉及び重曹(炭酸水素ナトリウム)の粉体試料を加え、生地の塊(ドウ)が形成されるまでよく混ぜ合わせた。生地の塊(ドウ)を麺棒で薄く伸ばし、型抜きをして、オーブンにて(200℃下15分間)焼成し、クッキーを調製した。
下記表5に掲げる処方の内、ミキサーに、無塩バター、ショートニングを加えよく混ぜ合わせた。更に、上白糖、食塩を加えよく混ぜ合わせた後、予め水に溶解した炭酸水素アンモニウムを加えよく混ぜ合わせた。最後に、予め混合した薄力粉及び澱粉及び重曹(炭酸水素ナトリウム)の粉体試料を加え、生地の塊(ドウ)が形成されるまでよく混ぜ合わせた。生地の塊(ドウ)を麺棒で薄く伸ばし、型抜きをして、オーブンにて(200℃下15分間)焼成し、クッキーを調製した。
試作例1のクッキーの食感は、試作比較例1のクッキーの食感が硬くてガリガリとした口溶けの悪い食感であったのに比べ、口溶けの良好な食感であった。且つ、試作例1のクッキーは、非常に軽い食感を有し、食べやすかった。また、試作例1のクッキーの成型時の生地は、試作比較例1のクッキーの成型時の生地と比較し、非常にドライでサラッとしており、手や麺棒等への付着が無く、作業性も非常に良好であった。
(試作例2:スポンジケーキの調製)
下記表6に掲げる処方にてオールインミックス法により生地比重を0.45に調整した。生地350gを6号型に流し込み、160℃(上)、170℃(下)のオーブンで55分間焼成してケーキ生地を得た。
下記表6に掲げる処方にてオールインミックス法により生地比重を0.45に調整した。生地350gを6号型に流し込み、160℃(上)、170℃(下)のオーブンで55分間焼成してケーキ生地を得た。
試作例2のスポンジケーキは、試作比較例2のスポンジケーキに比べ、焼成後の膨らみが良好でボリュームがあり、モチモチとした食感の中に弾力が付与されており、ふわっとした良好な食感を有した。
(試作例3:ロールケーキの調製)
下記表7に掲げる処方にてオールインミックス法により生地比重を0.45に調整した。生地350gを天板に流し込み、170℃(上)、180℃(下)のオーブンで15分間焼成してケーキ生地を得た。これを網に載せて室温程度まで放熱させ、巻いてロールケーキを調製した。
下記表7に掲げる処方にてオールインミックス法により生地比重を0.45に調整した。生地350gを天板に流し込み、170℃(上)、180℃(下)のオーブンで15分間焼成してケーキ生地を得た。これを網に載せて室温程度まで放熱させ、巻いてロールケーキを調製した。
得られたロールケーキを4℃で冷蔵保管し、翌日の食感を評価した。翌日の結果では、試作比較例3−1のロールケーキはベチャついた食感を感じるものであった。試作比較例3−2のロールケーキは、試作比較例3−1のロールケーキと比較してソフトな食感にはなっているが、くちゃついた食感のものであった。試作比較例3−1および3−2のロールケーキと比較して、試作例3−1のロールケーキは、モチモチとした食感を有しており、試作例3−2のロールケーキはモチモチとした食感とふわっとしたソフト感が良好で、口溶けも良い食感であった。
(試作例4:フラワーペーストの調製)
下記表8に掲げる処方を混ぜ合わせ鍋に入れ加熱した。粘度が出て滑らかな状態になるまで、木べらで掻き混ぜた。その後、冷蔵庫(4℃)にて冷却を行い調製した。
下記表8に掲げる処方を混ぜ合わせ鍋に入れ加熱した。粘度が出て滑らかな状態になるまで、木べらで掻き混ぜた。その後、冷蔵庫(4℃)にて冷却を行い調製した。
試作例4−1のフラワーペーストは、保形性を有しつつ、口溶け良好で滑らかな食感を有するものであった。試作例4−2のフラワーペーストは、滑らかさは試作例4−1ほどではないが、ボディ感が付与されており、そして、口溶け良好な食感のものであった。これに対し、試作比較例4のフラワーペーストは、口溶けも悪く、ざらつきなめらかさも無い食感のものであった。
(試作例5:揚げ物用バッターの調製)
下記表9に掲げる処方の内、予め粉体混合しておいた薄力粉及び澱粉試料を冷水に溶き、よく混ぜ合わせ、揚げ物用バッターを調製した。
下記表9に掲げる処方の内、予め粉体混合しておいた薄力粉及び澱粉試料を冷水に溶き、よく混ぜ合わせ、揚げ物用バッターを調製した。
試作例5の揚げ物用バッターに、海老などの具材を漬けて衣付けし、更にパン粉付けした後に油で調理したフライ食品は、いずれもサクッとした軽い食感のものであった。これに対し、試作比較例5の揚げ物用バッターを使用して得られたフライ食品は、サクッとした食感が弱く、軽さを感じにくいものであった。
(試作例6:生うどんの調製)
下記表10に掲げる処方に準じ、澱粉と中力小麦粉を下記の割合で混合した粉に、食塩2部を水40部に溶解した捏ね水を加え、真空ミキサーで12分間混練した。その後製麺機を用いて複合および圧延を行い麺帯とし、切り歯10番を用いて裁断し生うどんを得た。
下記表10に掲げる処方に準じ、澱粉と中力小麦粉を下記の割合で混合した粉に、食塩2部を水40部に溶解した捏ね水を加え、真空ミキサーで12分間混練した。その後製麺機を用いて複合および圧延を行い麺帯とし、切り歯10番を用いて裁断し生うどんを得た。
得られた生うどんを沸騰水中で10分間茹でた後、熱いスープに入れ食感を評価した。試作比較例6−1の茹でうどんは、モチモチ感は付与されてはいるが弾力に乏しくぼそぼそとしていた。それに比べ、試作比較例6−2の茹でうどんは、モチモチ感が付与され、ぼそぼそとした食感はなくなったものの、弾力に乏しかった。一方、試作例6−1の茹でうどんは、モチモチした食感に加え弾力が付与されており食感改良効果が認められ、試作例6−2の茹でうどんも、モチモチとした食感に加え弾力も付与されており且つ、つるみも付与され良好な食感のものであった。
(試作例7:パンの調製)
下記表11に掲げる処方により、ホームベーカリー(Panasonic SD−BH103)を用いて食パンを調製した。
下記表11に掲げる処方により、ホームベーカリー(Panasonic SD−BH103)を用いて食パンを調製した。
得られた食パンについて、翌日の食感を評価した。翌日の結果では、試作比較例7の食パンは、モチモチとした食感を有してはいるが、同時にベチャつき感も有していた。一方、試作例7の食パンは、ふんわりと軽くモチモチしており、且つ、弾力ある食感を有していた。
(試作例8:みたらし団子のたれの調製)
下記表12に掲げる処方の内、澱粉試料を予め水の1部に溶いておいた。鍋に、上白糖、濃口醤油、味醂、水飴、残りの水を全量加え、木べらでよく混ぜ合わせた。更に、予め水溶きしておいた澱粉試料を加え、木べらで掻き混ぜながら加熱した。粘度が出て糊状になり、かつ、透明感のある状態になるまで加熱し、みたらし団子のたれを調製した。
下記表12に掲げる処方の内、澱粉試料を予め水の1部に溶いておいた。鍋に、上白糖、濃口醤油、味醂、水飴、残りの水を全量加え、木べらでよく混ぜ合わせた。更に、予め水溶きしておいた澱粉試料を加え、木べらで掻き混ぜながら加熱した。粘度が出て糊状になり、かつ、透明感のある状態になるまで加熱し、みたらし団子のたれを調製した。
試作例8のみたらし団子のたれは、良好なボディ感、保形性を有し、団子へののりが良く落ちにくかった。試作例8のみたらし団子のたれは、且つ、滑らかで口溶けよい食感を有した。これに対し、試作比較例8のみたらし団子のたれはボディ感、保形性が弱かった。試作比較例8のみたらし団子のたれは、且つ、ざらつき感があり、非常に口溶けが悪い結果となった。
(試作例9:団子の調製)
下記表13に掲げる処方の、米粉試料または澱粉粒試料と水をミキサーに加え掻き混ぜ、その後、100℃30分間でスチームした。その間、5分毎によくかき混ぜ、スチーム後に、再度ミキサーに入れ、もちっぽくなるまで攪拌した。最後に攪拌後の生地を手でまるめ団子を調製した。
下記表13に掲げる処方の、米粉試料または澱粉粒試料と水をミキサーに加え掻き混ぜ、その後、100℃30分間でスチームした。その間、5分毎によくかき混ぜ、スチーム後に、再度ミキサーに入れ、もちっぽくなるまで攪拌した。最後に攪拌後の生地を手でまるめ団子を調製した。
試作比較例9の団子は、ボディ感、保形性が弱く、口溶けが悪い食感であった。これに対し、試作例9の団子は、良好なボディ感、保形性を有しており、非常に口溶け良い食感であった。
(試作例10:ソーセージの調製)
下記表14に掲げる処方の内、豚うで肉をサイレントカッターに入れ、高速でカッティングしながら、カゼインナトリウム、食塩、上白糖、調味料、総合塩漬剤、ポークパウダー、香辛料、ソルビン酸カリウム、pH調整剤、色素を加え、ペースト状になるまでよく混ぜ合わせた。そこに、氷水及び豚脂を加え、カッティングを続けた。最後に澱粉試料を加え混ぜ合わせ、均一なペーストにした。ケーシングに充填し、80℃にて40分間殺菌を行った後、流水にて冷却しソーセージを調製した。
下記表14に掲げる処方の内、豚うで肉をサイレントカッターに入れ、高速でカッティングしながら、カゼインナトリウム、食塩、上白糖、調味料、総合塩漬剤、ポークパウダー、香辛料、ソルビン酸カリウム、pH調整剤、色素を加え、ペースト状になるまでよく混ぜ合わせた。そこに、氷水及び豚脂を加え、カッティングを続けた。最後に澱粉試料を加え混ぜ合わせ、均一なペーストにした。ケーシングに充填し、80℃にて40分間殺菌を行った後、流水にて冷却しソーセージを調製した。
試作比較例10−1のソーセージは、弾力に乏しく歯ごたえもない食感であった。試作比較例10−2及び試作比較例10−3のソーセージは、弾力、歯ごたえも試作比較例10−1のソーセージより歯ごたえは増したが、ぼそぼそとしており、食感が悪かった。これらに対し、試作例10−1、及び試作例10−2のソーセージは、弾力、ボディ感も非常に良好な食感であった。特に、試作例10−2のソーセージは、弾力とボディ感に加え、十分な歯ごたえがあり良好な食感であった。
5.米澱粉での実施例及び比較例
以下の比較例および実施例で使用した米澱粉粒は、シグマアルドリッチ社製のrice starchであるかまたはその修飾物に基づく。シグマアルドリッチ社製のrice starchは、イネ由来である。
(比較例7)
未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)に酵素処理を施さずに、「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性を分析した。結果を表16に示す。
以下の比較例および実施例で使用した米澱粉粒は、シグマアルドリッチ社製のrice starchであるかまたはその修飾物に基づく。シグマアルドリッチ社製のrice starchは、イネ由来である。
(比較例7)
未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)に酵素処理を施さずに、「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにより粘度特性を分析した。結果を表16に示す。
(実施例13)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(実施例14)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(比較例8)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Bacillus subtilis由来、Novo社製「ノバミル」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(実施例15)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、イソアミラーゼ(Flavobacterium odoratum由来、合同清酒製「GODO‐FIA」;至適pH5.5)を0.1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、イソアミラーゼ(Flavobacterium odoratum由来、合同清酒製「GODO‐FIA」;至適pH5.5)を0.1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
化学処理と酵素処理の併用
(比較例9)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン35μlを添加し、30℃で1時間撹拌することにより反応を行った。1時間後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、リン酸架橋澱粉粒を回収した。得られたリン酸架橋澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表16に示す。
(比較例9)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン35μlを添加し、30℃で1時間撹拌することにより反応を行った。1時間後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、リン酸架橋澱粉粒を回収した。得られたリン酸架橋澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表16に示す。
(実施例16)
比較例9で調製したリン酸架橋澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例9で調製したリン酸架橋澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(比較例10)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH8.5に調整した後、酢酸ビニルモノマー 9gを添加し、30℃で40分間撹拌することにより反応を行った。40分後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酢酸澱粉粒を回収した。得られた酢酸澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表16に示す。
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)500gに、6.7%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液750gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH8.5に調整した後、酢酸ビニルモノマー 9gを添加し、30℃で40分間撹拌することにより反応を行った。40分後、懸濁液のpHを6.0に調整し、反応を停止させた。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酢酸澱粉粒を回収した。得られた酢酸澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。結果を表16に示す。
(実施例17)
比較例10で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例10で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(実施例18)
比較例10で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例10で調製した酢酸澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、酵素処理澱粉粒を回収した。得られた酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
物理的処理と酵素処理の併用
(比較例11)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)2kgにイオン交換水を加え、水分含量29%に調整し、それをできる限り空所の無い状態で3Lガラスビーカーに詰め、上部をアルミ箔で覆った後、120℃で15分間加熱することにより湿熱処理を行った。湿熱処理終了後、送風乾燥し、湿熱処理澱粉粒を回収した。結果を表16に示す。
(比較例11)
比較例7で使用したのと同じロットの未処理の米澱粉粒(rice starch;シグマアルドリッチ社製)2kgにイオン交換水を加え、水分含量29%に調整し、それをできる限り空所の無い状態で3Lガラスビーカーに詰め、上部をアルミ箔で覆った後、120℃で15分間加熱することにより湿熱処理を行った。湿熱処理終了後、送風乾燥し、湿熱処理澱粉粒を回収した。結果を表16に示す。
(実施例19)
比較例11で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例11で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、Genencor製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.4)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
(実施例20)
比較例11で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
比較例11で調製した湿熱処理澱粉粒400gにイオン交換水900gを加え、澱粉粒懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH5.0に調整した後、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO社製「AMYLEX A3」;至適pH5.0)を1重量%(対澱粉乾燥重量)添加し、50℃で18時間撹拌することにより酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、湿熱酵素処理澱粉粒を回収した。得られた湿熱酵素処理澱粉粒の粘度特性を「1.分析及び評価方法」に記載の方法に従って、アミログラフ及びレオメータにて分析した。また、反応終了後、一部の反応液より分解率を求めた。結果を表16に示す。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、ゲル形成能が強く、かつ高粘度を有する酵素処理澱粉粒が提供される。本発明の酵素処理澱粉粒を利用して澱粉ゲル含有食品を製造することにより、ボディがあって自然な弾力のある高水分系の食品が得られる。また、口溶けのよい低水分系の食品が得られる。
Claims (23)
- 米澱粉ゲル含有食品の製造方法であって、
米粉または米澱粉と酵素とを混合する工程;
該米粉または米澱粉中の澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において該酵素で処理して酵素処理澱粉粒を得る工程;
食品材料と該酵素処理澱粉粒と水とを混合して混合物を得る工程;
該混合物を加熱して該混合物中の該酵素処理澱粉粒を糊化する工程;および
該糊化した酵素処理澱粉粒を含む混合物を冷却してゲル化させて米澱粉ゲル含有食品を得る工程
を包含し、該酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、方法。 - 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記酵素が、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、請求項1に記載の方法。
- 前記酵素が、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記澱粉粒が、未処理澱粉、物理処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒である、請求項1に記載の方法。
- 前記澱粉粒が未処理澱粉の澱粉粒であり、該澱粉粒が前記方法により澱粉ゲル含有食品を得るまでのいずれの段階においても化学修飾も、物理処理もされない、請求項1に記載の方法。
- 前記澱粉粒が未処理澱粉または物理処理澱粉の澱粉粒であり、前記酵素処理澱粉粒を化学修飾する工程をさらに包含し、該化学修飾した酵素処理澱粉粒を前記食品材料および水と混合する、請求項1に記載の方法。
- 前記澱粉粒が未処理澱粉または化学修飾澱粉の澱粉粒であり、前記酵素処理澱粉粒を物理処理する工程をさらに包含し、該物理処理した酵素処理澱粉粒を前記食品材料および水と混合する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法によって製造される、米澱粉ゲル含有食品。
- 前記食品が高水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり40gより高く95gより低い、請求項11に記載の食品。
- 前記食品が、和菓子類、油脂含有食品、ゲル状食品、魚肉および畜肉加工食品、たれおよびソース類および麺類からなる群より選択される、請求項12に記載の食品。
- 前記食品が低水分系の食品であり、該食品の水分量が、可食部100gあたり1g以上40g以下である、請求項11に記載の食品。
- 前記食品が、ベーカリー類、洋菓子類およびフライ食品からなる群より選択される、請求項14に記載の食品。
- 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項11に記載の食品。
- 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項11に記載の食品。
- 高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理米澱粉粒の製造方法であって、
米粉または米澱粉の未処理澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度において酵素で処理する工程を包含し、
該酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよび澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される、方法。 - 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus属由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 前記酵素が、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼおよびAspergillus niger由来のα−アミラーゼからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 前記酵素が、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 前記酵素が、(1)配列番号1、3、5、7、9または11の塩基配列の相補配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号13の塩基配列に相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ、かつ糖転移活性を有し、ここで、該ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液(0.2% BSA、0.2% Ficoll 400および0.2%ポリビニルピロリドン)、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での65℃でのハイブリダイゼーション、およびその後の0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)での65℃条件下での洗浄である、請求項18に記載の方法。
- 前記酵素が、(1)配列番号2、4、6、8、10または12のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ澱粉加水分解活性を有するか、または(2)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有しかつ糖転移活性を有する、請求項18に記載の方法。
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