JPWO2012108444A1 - 心筋症特異的多能性幹細胞およびその用途 - Google Patents

心筋症特異的多能性幹細胞およびその用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、以下の工程:(1)ラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞由来の心筋細胞もしくは組織に被検物質を接触させる工程、および(2)被検物質を接触させなかった場合と比較して、該心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質を、正常心筋細胞の形質に近づけるように変化させるか、あるいは当該異なる形質の発現を阻止もしくは遅延させた被検物質を、心筋症の予防および/または治療薬の候補物質として選択する工程を含む、心筋症の予防および/または治療薬のスクリーニング方法を提供する。

Description

本発明は、心筋症特異的な多能性幹細胞、該幹細胞から分化誘導される、心筋症の形質を発現する心筋細胞、並びに該心筋細胞を用いた心筋症の予防および/または治療薬のスクリーニング方法に関する。より詳細には、本発明は、ラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞、特にラミンA/C心筋症患者由来の人工多能性幹(iPS)細胞、該幹細胞から分化誘導される、核形態の異常、核膜の障害、収縮力の低下等のラミンA/C心筋症に特徴的な表現型を示す心筋細胞、該心筋細胞に被検物質を作用させ、該表現型(病態)を改善した被検物質を心筋症の予防および/または治療薬の候補として選択することを含む、該予防および/または治療薬のスクリーニングする方法に関する。
拡張型心筋症(DCM)は、心室拡大、心筋細胞の脱落、心筋の線維化をきたし、突然死や心不全の原因となる難治性疾患である。DCMの20-35%は家族性に発症することから、それらの病因は遺伝子変異であると考えられており、原因遺伝子の探索の結果、これまでに約30種の原因遺伝子が発見されている。そのうちの1つであるラミンA/C遺伝子は、V型中間径フィラメントであるラミンA、C(スプライシングバリアント)をコードするが、これらのタンパク質は核膜内層の主な構成分子であり(非特許文献1)、核膜の構造保持やDNA転写、遺伝子発現に重要な役割を果たしている(非特許文献2)。ラミンA/C遺伝子の異常は、心筋症の他、筋ジストロフィー、末梢神経障害、家族性脂肪萎縮症、早老症など臓器特異的疾患を引き起こすことが知られており、ラミノパチーと総称される。心臓においては、心臓伝導障害を伴う拡張型心筋症(ラミンA/C心筋症)を引き起こし(非特許文献3)、致死性不整脈や重症心不全の合併により予後不良であり、根本的治療法はない。
現在、DCMの治療薬としては、βブロッカーやACE阻害剤などが用いられている。最近では、カルシウム増感剤による心不全治療も試みられているが、既存の薬剤にはPDE阻害作用があり、短期的に症状を軽減させるものの長期的な改善効果は得られていない。有効な新規DCM治療薬を開発するために、DCMの病態を再現し得る疾患モデルが求められる。
DCMの動物モデルとして、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィーの家系で同定されたラミンA/C遺伝子のミスセンス変異(H226P)を導入したノックインマウス(LmnaH226P/H226P)が知られている(非特許文献4)。このマウスは生後5-6ヶ月で心不全を発症し、心筋細胞の脱落や心筋の線維化をきたすとともに12-13ヶ月までに死亡するため、重症DCMの動物モデルとして研究によく用いられており、例えば、カルシウム増感剤による心不全の発症予防効果などが検討されている(非特許文献5)。しかし、動物モデルはヒトでの薬剤の効果を反映しているかどうか不明であり、動物愛護の観点からも、創薬研究のより早期のスクリーニングにおいては、ヒト培養細胞モデルを用いることがより望ましい。
iPS細胞は少量の体細胞から作製可能であり、高齢者の皮膚細胞からの作製例も報告されているので、ある疾患の患者の体細胞からiPS細胞を樹立し、それを該疾患の病態を発現する細胞タイプに分化させれば、該患者の遺伝子異常を有する疾患関連細胞(disease-relevant cells)を容易に取得することができる。既に筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病等の種々の疾患の患者由来のiPS細胞の作製が報告されている(非特許文献6, 7)。しかし、遺伝的変異に基づく疾患であっても、長い年月の潜伏期間を経て発症する疾患も多く、そのような疾患においては、疾患特異的iPS細胞由来の細胞といえども、短い実験期間の中で病態を再現することは非常に難しい。実際、心筋症患者由来のiPS細胞から心筋症の病態を再現する心筋細胞を誘導したとの報告は皆無である。
Lin F et al. J Biol Chem 1993;268:16321-6 Nature reviews 2002;3:848-58 N Engl J Med 1999;341:1715-24 Hum Mol Genet 2005;14:155-169 J Am Coll Cardiol 2010;55:1503-5 Science 2008;321:1218-21 Cell 2008;134:877-86
本発明の目的は、心筋症患者由来の多能性幹細胞を樹立し、該幹細胞から心筋症の形質を発現する心筋細胞を分化誘導し、該心筋細胞を用いて心筋症の予防および/または治療薬となり得る物質をスクリーニングする方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、まず家族性に拡張型心筋症および心伝導障害(DCM-CD)を発症する患者を対象に遺伝子解析を実施した結果、ラミンA/C遺伝子のコード領域(CDS)内の2塩基(908-909番目のCT)が欠失したために、303番目のアミノ酸(Ser)がCysに変異し、さらに無意味なアミノ酸が25残基続いた後に終止コドンを生じ、結果的に328アミノ酸からなる短縮されたタンパク質が翻訳されるフレームシフト変異を同定した。当該変異を有する患者から皮膚を採取して皮膚線維芽細胞を樹立し、これに4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入してラミンA/C心筋症特異的iPS細胞を樹立した。リアルタイム定量PCRの結果、このiPS細胞は変異ラミンA/C mRNAを野生型ラミンA/C遺伝子を有する対照iPS細胞と同等レベルで発現しており、ナンセンス変異介在性のRNA分解は起こっていなかった。次に、このiPS細胞を常法により心筋細胞に分化させ、得られた心筋細胞を電子顕微鏡により解析したところ、ラミンA/C心筋症の心筋細胞に特徴的な所見である核形態の異常と核膜の障害を認めた。このように、ラミンA/C心筋症患者から樹立されたiPS細胞由来の心筋細胞は心筋症の病態をよく再現していたので、本発明者らは、当該細胞を用いてこれらの病態の改善を指標として候補物質をスクリーニングすることにより、心筋症の予防および/または治療効果を有する物質を探索し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]心筋症の予防および/または治療薬のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)ラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞由来の心筋細胞もしくは組織に被検物質を接触させる工程、
(2)被検物質を接触させなかった場合と比較して、該心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質を、正常心筋細胞の形質に近づけるように変化させるか、あるいは当該異なる形質の発現を阻止もしくは遅延させた被検物質を、心筋症の予防および/または治療薬の候補物質として選択する工程。
[2]多能性幹細胞が人工多能性幹(iPS)細胞である、上記[1]記載の方法。
[3]ラミンA/C遺伝子異常が配列番号:1または3に示されるヌクレオチド配列中908-909番目のCTの欠失によるフレームシフト変異である、上記[1]または[2]記載の方法。
[4]心筋症が拡張型心筋症である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]心筋症がラミンA/C心筋症である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質が、心筋症の病態を再現する形質である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]心筋症の病態を再現する形質が、心筋細胞の核形態の異常および/または核膜の障害、心筋細胞の収縮力の低下、並びに心筋組織の線維化および/または細胞脱落から選ばれる、上記[6]記載の方法。
[8]iPS細胞が、Oct3/4を含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、上記[2]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]iPS細胞が、Oct3/4、Sox2およびKlf4を含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、上記[2]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[10]iPS細胞が、Oct3/4、Sox2、Klf4およびc-Mycを含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、上記[2]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[11]心筋症を引き起こすラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞であって、核形態の異常および核膜の障害を有しない多能性幹細胞。
[12]iPS細胞である、上記[11]記載の多能性幹細胞。
[13]ラミンA/C遺伝子異常が配列番号:1または3に示されるヌクレオチド配列中908-909番目のCTの欠失によるフレームシフト変異である、上記[11]または[12]記載の多能性幹細胞。
[14]Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、Klf4遺伝子およびc-Myc遺伝子から選ばれる1以上の外来性遺伝子を染色体中に含む、上記[11]〜[13]のいずれかに記載の多能性幹細胞。
[15]上記[11]〜[14]のいずれかに記載の多能性幹細胞から分化誘導された、核形態の異常および/または核膜の障害を有する心筋細胞。
[16]上記[15]記載の心筋細胞により構築された心筋組織。
[17]筋収縮力の低下、筋繊維化および心筋細胞の脱落から選ばれる心筋症の病態を再現する形質を発現する上記[16]記載の心筋組織。
本発明によれば、心筋症特異的多能性幹細胞から分化誘導された心筋細胞もしくは組織を用いて心筋症の予防および/または治療薬をスクリーニングすることができる。
ラミンA/C心筋症患者の皮膚線維芽細胞から樹立したiPS細胞コロニーの写真である。 ラミンA/C遺伝子の発現量を定量的PCRで調べた結果を示す棒グラフである。図中、「lamin iPS」(右棒)はラミンA/C心筋症患者由来のiPS細胞の結果を、「201B7」(左棒)はコントロールとして用いた正常ラミンA/C遺伝子を有する201B7株(Cell 131: 861-872(2007))の結果を示す。結果は、各増幅産物について201B7株における発現量を1とした相対発現量で示す。 細胞の核の形態を解析した電子顕微鏡写真である。図中「lamin」はラミンA/C心筋症患者から樹立したiPS細胞由来の心筋細胞を、「201B7」は201B7由来の心筋細胞を示す。 ラミンA/C心筋症患者から樹立したiPS細胞由来の心筋細胞の核膜の電子顕微鏡写真である。矢印の部分に核膜の障害を生じている。
本発明は、心筋症患者由来の多能性幹細胞、好ましくはiPS細胞を分化誘導して得られた心筋細胞もしくは組織における心筋症の病態を再現する形質を改善するか、該形質の発現を阻止もしくは遅延させる物質をスクリーニングする方法を提供する。
I. 多能性幹細胞
本発明において出発材料となる多能性幹細胞は、心筋症を引き起こすラミンA/C遺伝子の異常を有し、かつ未分化状態を保持したまま増殖できる「自己再生能」と三胚葉系列すべてに分化できる「分化多能性」とを有する未分化細胞であれば特に制限されず、例えば、iPS細胞、ES細胞の他、始原生殖細胞に由来する胚性生殖(EG)細胞、精巣組織からのGS細胞の樹立培養過程で単離されるmutipotent germline stem(mGS)細胞、骨髄から単離されるmultipotent adult progenitor cell(MAPC)等が挙げられる。ES細胞は体細胞から核初期化されて生じたES細胞であってもよい。好ましくはiPS細胞またES細胞であるが、出生後の個体から取得できる点でmGS細胞やMAPCもまた好ましい。多能性幹細胞はラミンA/C遺伝子の異常をホモ接合型で有していてもよいが、好ましくはヘテロ接合型である。
本発明の方法は、いずれかの多能性幹細胞が樹立されているか、樹立可能である、任意の哺乳動物において適用することができ、例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット、イヌ等が挙げられるが、好ましくはヒトである。
II. 多能性幹細胞の製造方法
本発明における多能性幹細胞として好適なiPS細胞の製造例を以下に示すが、これらに限定されない。
II-1. iPS細胞の製造方法
人工多能性幹 (iPS) 細胞は、ある特定の核初期化物質を、DNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126: 663-676; K. Takahashi et al. (2007) Cell, 131: 861-872; J. Yu et al. (2007) Science, 318: 1917-1920; M. Nakagawa et al. (2008) Nat. Biotechnol., 26: 101-106; 国際公開WO 2007/069666)。核初期化物質は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子またはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子もしくはその遺伝子産物であれば良く、特に限定されないが、例えばOct3/4, Klf4, Klf1, Klf2, Klf5, Sox2, Sox1, Sox3, Sox15, Sox17, Sox18, c-Myc, L-Myc, N-Myc, TERT, SV40 Large T antigen, HPV16 E6, HPV16 E7, Bmil, Lin28, Lin28b, Nanog, EsrrbまたはEsrrgが例示される。これらの初期化物質は、iPS細胞樹立の際には、組み合わされて使用されてもよい。例えば、上記初期化物質を、少なくとも1つ、2つもしくは3つ含む組み合わせであり、好ましくは4つを含む組み合わせである。
上記の各核初期化物質のマウスおよびヒトcDNAのヌクレオチド配列並びに該cDNAにコードされるタンパク質のアミノ酸配列情報は、WO 2007/069666に記載のNCBI accession numbersを参照すること、またL-Myc、Lin28、Lin28b、EsrrbおよびEsrrgのマウスおよびヒトのcDNA配列およびアミノ酸配列情報については、それぞれ下記NCBI accession numbersを参照することにより取得できる。当業者は、当該cDNA配列またはアミノ酸配列情報に基づいて、常法により所望の核初期化物質を調製することができる。
遺伝子名 マウス ヒト
L-Myc NM_008506 NM_001033081
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438
これらの核初期化物質は、タンパク質の形態で、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチドとの結合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよいし、あるいは、DNAの形態で、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 85, 348-62, 2009)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β-グルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞への導入後、核初期化物質をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する核初期化物質をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。さらに、上記ベクターには、染色体への取り込みされなくとも複製されて、エピソーマルに存在するようにEBNA-1およびoriPもしくはLarge TおよびSV40ori配列を含むこともできる。
核初期化に際して、iPS細胞の誘導効率を高めるために、上記の因子の他に、例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸(VPA)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA SmartpoolO (Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば5’-azacytidine)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤[例えば、BIX-01294 (Cell Stem Cell, 2: 525-528 (2008))等の低分子阻害剤、G9aに対するsiRNAおよびshRNA(例、G9a siRNA(human) (Santa Cruz Biotechnology)等)等の核酸性発現阻害剤など]、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644) (Cell Stem Cell, 3, 568-574 (2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)(Cell Stem Cell, 3, 475-479 (2008))、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell, 3, 132-135 (2008))、LIFまたはbFGFなどのサイトカイン、ALK5阻害剤(例えば、SB431542)(Nat Methods, 6: 805-8 (2009))、mitogen-activated protein kinase signalling阻害剤、glycogen synthase kinase-3阻害剤(PloS Biology, 6(10), 2237-2247 (2008))、miR-291-3p、miR-294、miR-295などのmiRNA (R.L. Judson et al., Nat. Biotech., 27:459-461 (2009))、等を使用することができる。
iPS細胞誘導のための培養培地としては、例えば(1) 10〜15% FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培地(これらの培地にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)、(2) bFGF又はSCFを含有するES細胞培養用培地、例えばマウスES細胞培養用培地(例えばTX-WES培地、トロンボX社)又は霊長類ES細胞培養用培地(例えば霊長類(ヒト&サル)ES細胞用培地、リプロセル、京都、日本)、などが含まれる。
培養法の例としては、たとえば、37℃、5% CO2存在下にて、10% FBS含有DMEM又はDMEM/F12培地上で体細胞と核初期化物質 (DNA又はタンパク質) を接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞 (たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上にまきなおし、体細胞と核初期化物質の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培地で培養し、該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにiPS様コロニーを生じさせることができる。また、iPS細胞の誘導効率を高めるために、5-10%と低い酸素濃度の条件下で培養してもよい。
あるいは、その代替培養法として、フィーダー細胞 (たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上で10% FBS含有DMEM培地(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で培養し、約25〜約30日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培地と培地交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
マーカー遺伝子として薬剤耐性遺伝子を含む遺伝子を用いた場合は、対応する薬剤を含む培地(選択培地)で培養を行うことによりマーカー遺伝子発現細胞を選択することができる。またマーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、マーカー遺伝子発現細胞を検出することができる。
本明細書中で使用する「体細胞」は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット等)由来の生殖細胞以外のいかなる細胞であってもよく、例えば、角質化する上皮細胞(例、角質化表皮細胞)、粘膜上皮細胞(例、舌表層の上皮細胞)、外分泌腺上皮細胞(例、乳腺細胞)、ホルモン分泌細胞(例、副腎髄質細胞)、代謝・貯蔵用の細胞(例、肝細胞)、境界面を構成する内腔上皮細胞(例、I型肺胞細胞)、内鎖管の内腔上皮細胞(例、血管内皮細胞)、運搬能をもつ繊毛のある細胞(例、気道上皮細胞)、細胞外マトリックス分泌用細胞(例、線維芽細胞)、収縮性細胞(例、平滑筋細胞)、血液と免疫系の細胞(例、Tリンパ球)、感覚に関する細胞(例、桿細胞)、自律神経系ニューロン(例、コリン作動性ニューロン)、感覚器と末梢ニューロンの支持細胞(例、随伴細胞)、中枢神経系の神経細胞とグリア細胞(例、星状グリア細胞)、色素細胞(例、網膜色素上皮細胞)、およびそれらの前駆細胞 (組織前駆細胞) 等が挙げられる。細胞の分化の程度や細胞を採取する動物の齢などに特に制限はなく、未分化な前駆細胞 (体性幹細胞も含む) であっても、最終分化した成熟細胞であっても、同様に本発明における体細胞の起源として使用することができる。ここで未分化な前駆細胞としては、たとえば神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)が挙げられる。
本発明において、体細胞を採取する由来となる哺乳動物個体は特に制限されないが、好ましくはヒトである。より好ましくは、家族性ラミンA/C心筋症(好ましくは、心刺激伝導障害を伴う拡張型心筋症(DCM-CD))の患者または当該患者と同一のラミンA/C遺伝子変異を有する未発症のヒトから体細胞を採取することが望ましい。ここで、遺伝子変異として、ラミンA/C遺伝子のコーディング領域(CDS)やスプライシング異常を引き起こすイントロン領域の変異が挙げられる。好ましくは、CDS(ラミンA mRNAのCDSを配列番号:1に、ラミンC mRNAのCDSを配列番号:3にそれぞれ示す)の908-909番目の2塩基(CT)を欠失する変異が挙げられるが、これに限定されない。当該欠失変異の結果、フレームシフトが起こって終止コドンを生じ、328アミノ酸からなる変異ラミンA/Cタンパク質(配列番号:6)が生成される。
DCM-CDを来たす他のラミンA/C遺伝子変異としては、例えば、ラミンA/Cタンパク質の166番目のArgがProで置換されるミスセンス変異(R166P)、225番目のArgが他のアミノ酸で置換されるミスセンス変異(R225X)、259番目のTyrがHisで置換されるミスセンス変異(Y259H)、ラミンA/C遺伝子のCDSの815-818番目の4塩基がCCAGACの6塩基に置き換わることによるフレームシフト変異、ラミンA/C遺伝子の第3イントロンの3’端から10塩基上流のA<G置換によるスプライシング異常で9塩基(3アミノ酸)が挿入される変異(J Cardiovasc Electrophysiol 2005;16:137-45)、あるいはUniProtKBにP02545として登録されているヒトラミンA/C(LMNA_HUMAN)の配列アノテーション情報欄に列挙される天然の変異が挙げられる。
あるいは、ラミンA/C遺伝子異常を有するiPS細胞は、正常なラミンA/C遺伝子を有する体細胞から、上述の方法によりiPS細胞を樹立した後、心筋症を引き起こす遺伝子異常を有するラミンA/C遺伝子を、iPS細胞のラミンA/C遺伝子座にノックインすることによっても作製することができる。
II-2. 他の多能性幹細胞の製造方法
不妊治療における体外受精では、病原性変異が同定されている家系に対して着床前診断(PGD)を行い、受精卵が病原性変異を有する場合は余剰胚として処理される場合がある。海外ではこのような病原性変異を有する余剰胚から樹立したヒト胚性幹(ES)細胞が、疾患特異的ES細胞として研究に利用されている。従って、PGDによりラミンA/C遺伝子異常が発見され、余剰胚となった初期胚から、心筋症特異的ES細胞を取得することができる。
ES細胞の作製方法としては、例えば、哺乳動物の胚盤胞ステージにおける内部細胞塊を培養する方法(例えば、Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1994) を参照)、体細胞核移植によって作製された初期胚を培養する方法(Wilmut et al., Nature, 385, 810 (1997); Cibelli et al., Science, 280, 1256 (1998); 入谷明ら, 蛋白質核酸酵素, 44, 892 (1999); Baguisi et al., Nature Biotechnology,17, 456 (1999); Wakayama et al., Nature, 394, 369 (1998); Wakayama et al., Nature Genetics, 22, 127 (1999); Wakayama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 14984 (1999); RideoutIII et al., Nature Genetics, 24, 109 (2000))などが挙げられるが、これらに限定されない。
体細胞核移植による場合、体細胞の種類や体細胞を採取するソースは上記iPS細胞の場合に準ずる。
EG細胞は、常法に従って始原生殖細胞を単離し、これをLIF、bFGFおよびSCFの存在下で培養することにより誘導することができる。また、mGS細胞はWO 2005/100548に記載される方法に従って、精巣細胞から作製することができる。多能性成体前駆細胞(MAPC)はJ. Clin. Invest. 109:337-346 (2002) に記載される方法に従って、骨髄から単離することができる。
III. 多能性幹細胞からの心筋細胞の分化誘導法
上記のようにして得られる心筋症特異的多能性幹細胞は、自体公知の任意の分化誘導法により心筋細胞へと分化させることができる。心筋細胞への分化誘導法としては、例えば、胚様体(EB)形成を利用する方法や、指向的な分化アプローチを用いる方法が報告されている(例、Nature 2008;453:524-8, J Clin Invest 2001;108:407-14, Circ Res 2002;91:501-8, Circ Res 2003;93:32-9, Nat Biotechnol 2007;25:1015-24, Circulation 2008;118:517, Circulation 2008;118:506, Nat Biotechnol 2005;23:611等)。
培地は、基本培地へ添加剤を加えて用いることができ、基本培地としては、例えば、Neurobasal培地、Neural Progenitor Basal培地、NS-A培地、BME培地、BGJb培地、CMRL 1066培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle MEM培地、αMEM培地、DMEM培地、DMEM/F12培地、ハム培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地など、動物細胞の培養に用いることのできる培地であれば特に限定されない。より好ましくは、DMEM/F12の混合物である。添加剤として、血清、レチノイン酸、アスコルビン酸、BMP(BMP2、BMP4)、Nodal、TGFβ1、アクチビン-A、Dkk1、IGFBP-4、bFGF、EGF、HGF、LIF、アミノ酸、ビタミン類、インターロイキン類、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27-サプリメント、N2-サプリメント、ITS-サプリメント、抗生物質が挙げられる。また、分化誘導初期においては、BMP阻害剤としてのNoginを添加することも好ましい。
培養器は、例えば、コラーゲン、ゼラチン、マトリゲル、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、フィブロネクチン、ラミニンなどのコーティング剤でコーティングすることができる。
培養開始時の多能性幹細胞の濃度は、効率的に心筋細胞を形成させるように適宜設定できる。培養開始時の多能性幹細胞の濃度は、特に限定されないが、例えば、約1×103〜約1×106細胞/ml、好ましくは約1×104〜約5×105細胞/mlである。
培養温度、CO濃度等の他の培養条件は適宜設定できる。培養温度は、特に限定されるものではないが、例えば約30〜40℃、好ましくは約37℃である。また、CO濃度は、例えば約1〜10%、好ましくは約5%である。
上記のようにして得られた心筋細胞は、核形態の異常および/または核膜の障害に代表されるラミンA/C心筋症に特徴的な形質を発現するので、これらの形質の改善を指標として心筋症、特にラミンA/C心筋症の予防および/または治療薬をスクリーニングすることができる。
また、上記のようにして得られる心筋細胞から心筋組織を構築することもできる。例えば、アスコルビン酸処理した胚様体からPercollグラジエントにて心筋細胞を純化し、I型コラーゲンとマトリゲル存在下に心筋組織を構築することができる(Circulation 2006;113:2237)。このようにして得られる心筋組織では、筋収縮力の低下、心筋細胞の脱落、心筋組織の線維化等の心筋症に特徴的な病態が再現される。従って、これらの形質の改善、あるいはこれらの形質の発現の阻止もしくは遅延を指標として、ラミンA/C心筋症をはじめとして広く心筋症、特に拡張型心筋症の予防および/または治療薬をスクリーニングすることができる。
IV. 心筋症の予防および/または治療薬のスクリーニング方法
本発明は、前述のように得られた心筋症特異的多能性幹細胞由来の心筋細胞もしくは組織と被検物質とを接触させ、該被検物質が、該心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質を、正常心筋細胞の形質に近づけるように変化させるか、あるいは当該異なる形質の発現を阻止もしくは遅延させるかを指標として、心筋症、好ましくは拡張型心筋症、特にラミンA/C心筋症の予防および/または治療薬の候補物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明における被検物質は、いかなる公知化合物および新規化合物であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、蛋白質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。
スクリーニングの方法としては、例えば、被検物質と接触させない場合の心筋細胞と、被検物質と接触させた場合の心筋細胞の核の形態および/または核膜の障害の有無や程度を比較し、接触時の核形態の異常および/または核膜の障害が、非接触時のそれらよりも軽度である場合に、該被検物質を心筋症の予防および/または治療薬の候補物質として選択する方法が挙げられる。核の形態や核膜の障害は心筋細胞を常法により電子顕微鏡で観察することにより検定することができる。
あるいは、被検物質と接触させない場合の心筋組織と、被検物質と接触させた場合の心筋組織とで、1)筋収縮力、2)心筋細胞の脱落、3)線維化などを比較し、接触時の筋収縮力の低下、心筋細胞の脱落、線維化の程度が、非接触時のそれらよりも軽度である場合に、該被検物質を心筋症の予防および/または治療薬の候補物質として選択する方法が挙げられる。
V. 心筋症の予防および治療剤
上記のスクリーニング法により選択された物質は、心筋症の予防および/または治療薬として使用し得る。
本発明における心筋症予防・治療剤は、有効成分である選択された物質をそのまま単独で、または薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、適当な剤型の医薬組成物として経口的又は非経口的に投与することができる。
経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。一方、非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等の剤形を包含しても良い。これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦形剤;及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤である)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体である)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同様の化合物である)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類である)、乳化剤(例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤である)、安定剤(メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸である)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等である)、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
本発明における心筋症予防・治療剤の有効成分の投与量は、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得る。
その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、1回当たり下限0.1mg(好適には0.5mg)、上限1000mg(好適には500mg)を、非経口的投与の場合には、1回当たり下限0.01mg(好適には0.05mg)、上限100mg(好適には50mg)を、成人に対して1日当たり1乃至6回投与することができる。症状に応じて増量もしくは減量してもよい。
さらに、本発明における心筋症予防・治療剤は、他の薬剤、例えば、βブロッカー、ACE阻害剤、カルシウム増感剤などと併用してもよい。本発明における心筋症予防・治療剤およびこれらの他の薬剤は、同時に、順次又は別個に投与することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
家族性に拡張型心筋症および心臓刺激伝導障害を来たし、ラミンA/C遺伝子変異(c.908_909delCT, p. S303fsX25)が同定されているラミンA/C心筋症患者より皮膚を採取し、皮膚線維芽細胞を樹立した。次に、高橋、山中らの方法(Cell 131: 861-872(2007))を用い、レトロウイルスにて以下の4遺伝子(OCT3/4、SOX2、KLF4、C-MYC)を前記皮膚線維芽細胞に導入し、ラミンA/C心筋症患者由来のiPS細胞を樹立した。樹立したiPS細胞コロニーの写真を図1に示す。
iPS細胞におけるラミンA/C遺伝子の発現をq-PCRで定量した。具体的には、N末プライマーでtotalのラミンA、C mRNAを定量し、C末プライマーで野生型アレルのラミンAまたはラミンCをそれぞれ定量した。結果を図2に示す。コントロールiPS細胞(201B7)に比べ、ラミンA/C心筋症患者由来のiPS細胞は、ラミンA/C遺伝子の発現量の低下を認めず、変異アレル由来mRNAも発現していた。
次に、胚様体形成法及び二次元分化誘導法を用いて心筋分化を行った。胚様体形成法においては、iPS細胞を凝集させ胚様体を形成し、浮遊培養にてActivin A, BMP4, bFGFで3日間、VEGF,DKK1で4日間処理することにより、心筋細胞に分化して拍動する胚様体を得た(Yang et al, Nature. 2008 May 22;453(7194):524-8)。また、二次元分化誘導法においては、マトリゲルコートしたプレート上で培養したiPS細胞をActivin A, BMP4で5日間処理し、その後さらに2-3週間培養を続けることにより、拍動する心筋細胞が出現した (Laflamme et al, Nat Biotechnol. 2007 Sep;25(9):1015-24.)。
次に、胚様体形成法により得られた心筋細胞を電子顕微鏡により解析した。その結果、核形態の異常(図3)、および核膜の障害(図4:矢印の部位にて核二重層の障害)を認め、ラミンA/C心筋症患者の心筋組織にてみられる特徴的な所見を再現していることが明らかになった。
以上により、ラミンA/C関連心筋症患者の皮膚線維芽細胞よりiPS細胞を作製し、分化心筋において疾患を再現できた。
ラミンA/C関連心筋症は、根本的治療法の確立されていない、難治性疾患であり、本モデルが病態解明や薬効評価に役立つと期待される。
本発明を好ましい態様を強調して説明してきたが、好ましい態様が変更され得ることは当業者にとって自明であろう。本発明は、本発明が本明細書に詳細に記載された以外の方法で実施され得ることを意図する。したがって、本発明は添付の「請求の範囲」の精神および範囲に包含されるすべての変更を含むものである。
ここで述べられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
本願は、2011年2月7日付で出願された米国仮特許出願第61/439,968号を基礎としており、その内容は、ここで参照することにより本願明細書に全て包含される。

Claims (17)

  1. 心筋症の予防および/または治療薬のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
    (1)ラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞由来の心筋細胞もしくは組織に被検物質を接触させる工程、
    (2)被検物質を接触させなかった場合と比較して、該心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質を、正常心筋細胞の形質に近づけるように変化させるか、あるいは当該異なる形質の発現を阻止もしくは遅延させた被検物質を、心筋症の予防および/または治療薬の候補物質として選択する工程。
  2. 多能性幹細胞が人工多能性幹(iPS)細胞である、請求項1記載の方法。
  3. ラミンA/C遺伝子異常が配列番号:1または3に示されるヌクレオチド配列中908-909番目のCTの欠失によるフレームシフト変異である、請求項1または2記載の方法。
  4. 心筋症が拡張型心筋症である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 心筋症がラミンA/C心筋症である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 心筋細胞もしくは組織が発現する正常心筋細胞もしくは組織と異なる形質が、心筋症の病態を再現する形質である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 心筋症の病態を再現する形質が、心筋細胞の核形態の異常および/または核膜の障害、心筋細胞の収縮力の低下、並びに心筋組織の線維化および/または細胞脱落から選ばれる、請求項6記載の方法。
  8. iPS細胞が、Oct3/4を含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. iPS細胞が、Oct3/4、Sox2およびKlf4を含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. iPS細胞が、Oct3/4、Sox2、Klf4およびc-Mycを含有する初期化因子、または該初期化因子をコードする核酸を導入することにより作製される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 心筋症を引き起こすラミンA/C遺伝子異常を有する多能性幹細胞であって、核形態の異常および核膜の障害を有しない多能性幹細胞。
  12. iPS細胞である、請求項11記載の多能性幹細胞。
  13. ラミンA/C遺伝子異常が配列番号:1または3に示されるヌクレオチド配列中908-909番目のCTの欠失によるフレームシフト変異である、請求項11または12記載の多能性幹細胞。
  14. Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、Klf4遺伝子およびc-Myc遺伝子から選ばれる1以上の外来性遺伝子を染色体中に含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の多能性幹細胞。
  15. 請求項11〜14のいずれか1項に記載の多能性幹細胞から分化誘導された、核形態の異常および/または核膜の障害を有する心筋細胞。
  16. 請求項15記載の心筋細胞により構築された心筋組織。
  17. 筋収縮力の低下、筋繊維化および心筋細胞の脱落から選ばれる心筋症の病態を再現する形質を発現する請求項16記載の心筋組織。
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