JPWO2012101977A1 - モールド構造体およびモータ - Google Patents

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Abstract

本発明のモールド構造体は、少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とからなるモールド樹脂で形成される。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上させ、無機充填剤の高充填化、高流動化が可能になる。その結果、高い熱伝導率で成形性に優れたモールド樹脂により、高い放熱性を有するモールド構造体を実現できる。

Description

本発明は、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド成形するモールド構造体およびモータに関する。
従来から、家電機器用モータやトランスなどの機器には、小型化、薄型化および高出力化が強く要望されている。また、機器が使用される環境を考慮して、低騒音で、かつ低振動の機器が要求されている。
上記要求に応えるため、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド樹脂でモールド成形して低騒音で、低振動のモータが提案されている。なお、モータの構成については、以降の実施の形態で詳細に説明する。
しかし、近年、市場の環境意識の高まりにより、モータの小型・薄型化・高出力密度化だけでなく、安全性や低環境負荷に対する要望が強くなっている。そのため、モータの固定子1などを構成するモールド構造体に対して、小型化を実現しながら、温度上昇を抑える高放熱性が求められている。
また、モータの安全性を確保するために、モールド樹脂に対して、高い耐電圧と難燃性の両立が求められている。しかし、従来のモールド樹脂に配合される難燃剤は、環境への負荷が大きい臭素を使用している。そのため、環境負荷の少ない難燃剤が求められている。
そこで、上記要求に応えるために、例えば特許文献1から特許文献4に示す以下のような検討が行われている。
特許文献1に記載の発明は、不飽和ポリエステル樹脂に、熱伝導率の高い充填剤である硬焼マグネシアを65〜80%充填することにより、モールド樹脂の高熱伝導率化を実現している。しかし、上記モールド樹脂は難燃性を有さないため、家電機器用モータやトランスなどのモールド樹脂に要求される難燃性を確保することが困難である。また、充填剤を高充填するため、相対的にモールド樹脂中の樹脂成分が不足し、充填剤を均一分散させたモールド樹脂を実現できない。
また、特許文献2に記載の発明は、不飽和ポリエステル樹脂に、熱伝導率の高いアルミナと難燃性を付与する赤リンを含有することにより、モールド樹脂の高い熱伝導率化と難燃化を実現している。しかし、モールド樹脂を成形する際に、赤リンに起因して発生するブリードアウトによる金型の腐食、および高温高湿の使用環境下におけるリンの表面析出により固定子の絶縁抵抗が低下する可能性がある。また、モールド樹脂中に含有されているリンは、環境に配慮する製品への使用が認められない可能性がある。
また、特許文献3に記載の発明は、エポキシ樹脂と充填剤に金属粉を含有したモールド樹脂により、モールド樹脂の高い熱伝導率化を実現している。しかし、エポキシ樹脂自体の粘性が高いために、充填剤を均一分散できない。そこで、エポキシ樹脂の分子量の規制や、混錬方法に制限を設けて、充填剤を均一に分散されている。そのため、製造タクトが長くなるなどの課題がある。また、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド成形する際、巻線間に導電性を有する金属粉が入り込む場合がある。そのとき、金属粉の近傍の巻線皮膜にピンホールが存在すると、モールド構造体の絶縁耐圧が低下する。また、モールド樹脂に金属粉が充填されているため、モールド成形時に金属粉により金型が短期間で傷んでしまうという課題などがある。
また、特許文献4に記載の発明は、エポキシ樹脂に湿潤分散剤を添加し、充填剤である無機フィラーを高充填化したモールド樹脂により、プリプレグの高熱伝導率化を実現している。しかし、特許文献2と同様に、エポキシ樹脂自体の粘性が高いため、充填剤を均一分散できない。また、プリプレグ用の樹脂は、モータの電磁コイルをモールド成形するには流動性が低いため、モールド構造体を作製できないという課題がある。
特許第3622724号公報 特許第4186930号公報 特開2004−143368号公報 特開2010−260990号公報
上記課題を解決するために、本発明のモールド構造体は、少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とから構成されるモールド樹脂で形成される。
これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上させ、無機充填剤の高い充填性、高い流動性が可能になる。さらに、リン系難燃剤のような環境負荷の高い物質を含有しない金属水和物により、モールド樹脂の難燃性を向上できる。その結果、高い熱伝導率と難燃性を有する成形性に優れたモールド樹脂により、高い放熱性と高い信頼性を有するモールド構造体を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態におけるモータの構成を示す断面図である。 図2は、同実施の形態のモータの巻線温度とモールド樹脂の熱伝導率の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態のモールド構造体およびそれを用いたモータについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態におけるモールド構造体について、図1を用いて説明する。なお、図1では、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド樹脂でモールド成形したモールド構造体により形成された、例えば小型空調用モータなどの家電機器用のモータを例に説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるモータの構成を示す断面図である。
図1に示すように、モータは、固定子1と、駆動回路4と、外周に永久磁石7を有するロータ6とから構成されている。モータの固定子1は、鉄芯コア1aに巻枠を介して巻線2が巻かれて構成され、鉄芯コア1aの内周面を除いてモールド樹脂からなるモールド構造体3で包囲するように一体成形されている。このとき、固定子1の一方の端面側1bには、ロータ6を支持する軸受5aを収納する軸受ハウジングがモールド樹脂からなるモールド構造体3で一体成形され、固定子の他方の端面側1cは開口部が設けられている。駆動回路4は、巻線2と軸受5aとの間に配置され、固定子1とともにモールド樹脂からなるモールド構造体3で包囲するように一体成形されている。
また、ロータ6は、固定子1の開口部から軸受5aにシャフト8の一端を挿入した後、シャフト8の他端は、軸受収納部を有するブラケット9に形成された軸受収納部に収納された軸受5bに挿入される。そして、固定子1の他方の端面側1cをブラケット9で蓋をすることにより、ロータ6のシャフト8が軸受5a、5bを介して固定子1に回転自在に支持される。
以上の構成により、ロータの回転に伴う、鉄芯コア1aおよび巻線2に発生する振動を、固定子1を構成するモールド構造体3により抑制し、振動が少なく、静音性に優れたモータを実現している。
そして、本実施の形態のモールド構造体3を構成するモールド樹脂は、例えば不飽和ポリエステルからなる熱硬化性樹脂と、少なくとも、例えば水酸化アルミニウムなどの金属水和物からなる絶縁性の無機充填剤と、湿潤分散剤などの分散剤から構成されている。
このとき、以下で詳細に説明するように、分散剤の添加量は、無機充填剤の重量の0.5%から2%が好ましい。また、無機充填剤の含有量は、モールド樹脂中の熱硬化性樹脂などの樹脂の2倍以上が好ましい。
また、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂の粘度は、300mPa・s程度が好ましい。これにより、一般的な混錬機(羽の形状が、例えば双腕型、シグマ型、Z型など)で、容易に無機充填剤およびガラス繊維などを均一分散することができる。
なお、熱硬化性樹脂として、粘度が3000mPa・sのエポキシ樹脂を用いた場合、無機充填剤およびガラス繊維を、均一分散して混錬することが困難である。また、エポキシ樹脂などのモールド樹脂を長時間混錬すると、摩擦熱により硬化が始まるため、モールド成形時に巻線間にモールド樹脂が入り込みにくくなる。そのため、例え熱伝導率の高いエポキシ樹脂などからなるモールド樹脂を用いても、モールド構造体としては、電磁コイルの温度上昇の抑制や、防振特性が低下する。
これにより、熱伝導率が1.5W/m・K以上で、UL規格94、V−0(厚さ1/16 inch)(以下、「V−0」と記す)の難燃性を有するモールド構造体を実現できる。つまり、上記モールド樹脂を用いることにより、図1のモータのモールド構造体の最薄部10を、例えば1.6mmまで、従来に比べて、20%程度薄くできる。その結果、モータの小型化および難燃性V−0の両方を実現できる。
また、モールド樹脂は、熱硬化性樹脂と、絶縁性を有する無機充填剤のみで構成されている。そのため、巻線2に皮膜の欠陥(初期のピンホールや巻線時の傷など)が存在しても、モールド成形時の巻線2間の絶縁耐圧の低下を防止できる。その結果、モータを構成するモールド構造体全体の絶縁耐圧の低下を防ぐことができる。
以下に、本実施の形態のモールド構造体を構成するモールド樹脂の特性について、詳細に説明する。
まず、樹脂量、樹脂の成形性およびモールド樹脂またはモールド構造体の熱伝導率に対する湿潤分散剤の添加量との関係を、以下の(表1)に示す。(表1)では、湿潤分散剤の添加量は、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量の割合(%)で示している。なお、樹脂量とは、例えばモールド樹脂(100%)中に混錬される熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂の量である。また、(表1)には示していないが、モールド樹脂から、樹脂量と湿潤分散剤を引いた残りが、無機充填剤の量に相当する。また、(表1)中に示す「−」は、未測定であることを示し、以降の表も同様である。また、以降で示す、熱伝導率は、NETZSCH社製LFA 447 NanoFlash(キセノンフラッシュアナライザー)装置を用いて測定した値で示している。
Figure 2012101977
(表1)に示すように、湿潤分散剤を添加しない場合、樹脂量が20%以下になると混錬性が低下して、モールド構造体の成形が不可能となる。
しかし、樹脂量が19%以下の場合でも、無機充填剤に対して1%程度の湿潤分散剤を添加することにより樹脂量が17%までは、モールド構造体の成形が可能になる。
つまり、湿潤分散剤を添加することにより、無機充填剤を多くし、樹脂量を少なくしてもモールド構造体を成形することができる。その結果、1.6W/m・K以上の高い熱伝導率を有するモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。
なお、熱硬化性樹脂に、寸法安定性を向上させるために、例えばポリスチレンや熱可塑ポリエチレンなどのモールド樹脂の収縮を緩和させる作用を有する樹脂を含んでいてもよい。その場合は、熱硬化性樹脂と低収縮剤の総計が、(表1)の樹脂量に相当する。
つぎに、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量と、モールド樹脂の成形性およびモールド構造体の熱伝導率との関係を、(表2)に示す。
Figure 2012101977
(表2)に示すように、湿潤分散剤の添加がない場合、モールド樹脂の混錬性が悪く、モールド構造体を成形できない。一方、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量が3%以上の場合、モールド構造体の熱伝導率が低下し、熱伝導率を向上させる効果はなかった。
つまり、湿潤分散剤の添加量は、無機充填剤に対して0.5%から2%にすることが好ましい。その結果、熱伝導率が高いモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。
このとき、例えばシランカップリング剤を用いて無機充填剤の表面処理をしてもよい。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を高めるとともに、樹脂と無機充填剤の密着性を向上させることにより熱伝導率の高いモールド樹脂およびモールド構造体が得られる。
つぎに、モールド樹脂中の不飽和ポリエステル樹脂の樹脂量と無機充填剤である金属水和物の含有量の、モールド樹脂中に占める比率に対する難燃性との関係を、以下の(表3)に示す。
(表3)は、樹脂量と金属水和物の、モールド樹脂中に占める比率が異なる1.6mm厚(1/16inch)のサンプルA、サンプルBおよびサンプルCを用いて、UL燃焼試験法のUL94 V−0、V−1、V−2規格に基づいて、難燃性を評価している。
なお、(表3)では、難燃性を付与する金属水和物として、水酸化アルミニウムを例に説明するが、これに限られない。また、(表3)では、金属水和物以外の無機充填剤として、炭酸カルシウムを例に説明するが、これに限られない。
Figure 2012101977
(表3)に示すように、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍未満のサンプルAでは、V−2の難燃性を示している。一方、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍のサンプルB、2倍以上のサンプルCでは、V−0の高い難燃性が得られることがわかる。つまり、金属水和物は、加熱時に生じる分解水により燃焼熱を吸収することでモールド樹脂に難燃性を付与するが、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍以上において、より高い難燃性が付与できることがわかる。
なお、400℃以下で難燃性を示す金属水和物としては、水酸化アルミニウム以外に、水酸化マグネシウムを用いてもよい。
また、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエチレンに、寸法安定性を向上させるために、例えばポリスチレンや熱可塑ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる低収縮剤を含んでいてもよい。その場合は、熱硬化性樹脂と低収縮剤の総計が、(表3)の樹脂量に相当する。
したがって、難燃剤として金属水和物を用いることにより、V−0の難燃性を備えるモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。そのため、環境負荷の観点から使用が制限されているハロゲンやリンなどを含む難燃剤を使用する必要がない。
なお、(表3)では、一例として、(表1)に示す21%の樹脂量に対する金属水和物の効果について説明したが、これに限られない。(表1)の湿潤分散剤を添加した場合には、17%から19%の樹脂量に対して2倍以上の金属水和物を添加すれば、同様の効果が得られる。
以下に、上記により形成されたモールド構造体を構成するモールド樹脂の放熱性について、図2を用いて説明する。なお、図2は、上記モールド樹脂からなるモールド構造体で形成した小型空調用のモータを例に説明する。
図2は、本発明の実施の形態におけるモータの巻線温度とモールド構造体の熱伝導率の関係を示す図である。
図2に示すように、モールド構造体の熱伝導率が1.7の場合、巻線の温度上昇を120℃程度に抑制できる。一方、モールド構造体の熱伝導率が0.75の場合、巻線の温度が140℃まで上昇する。したがって、熱伝導率を向上させることにより、例えば20℃のモータの巻線温度上昇の裕度(マージン)を、持たせることができる。
つまり、上記(表1)から(表3)で説明した所定の配合比率により、モールド構造体を構成するモールド樹脂の熱伝導率を上げることで、巻線で発生する熱を外部により効率的に放熱できることがわかる。
本実施の形態によれば、巻線の温度上昇およびモータ各部の温度上昇を、高い熱伝導率を有するモールド構造体により低減することができる。その結果、駆動回路4を構成する電子部品などの耐久性を向上させて、モータなどの機器の信頼性や安全性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態では、熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステルを例に説明したが、これに限られない。例えば、エポキシ変性ポリエステルでもよい。これにより、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、金属水和物以外の無機充填剤として、炭酸カルシウムを例に説明したが、これに限られない。例えば、タルクでもよい。これにより、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、無機充填剤の表面処理剤として、シランカップリング剤を例に説明したが、これに限られない。例えば、チタネート系やアルミネート系のカップリング剤でもよい。これにより、同様の効果が得られる。
本発明のモールド構造体は、少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とから構成されるモールド樹脂で形成される。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上させ、無機充填剤の高充填化、高流動化が可能になる。その結果、高い熱伝導率で成形性に優れたモールド樹脂により、高い放熱性を有するモールド構造体を実現できる。さらに、モールド樹脂の高い流動性により、成形時にモールド樹脂が電磁コイル間の細部まで流れ込んで、電磁コイル表面に密着する。その結果、電磁コイルの放熱性を向上させることができる。
また、本発明は、分散剤が、湿潤分散剤である。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上できる。
また、本発明モールド構造体は、湿潤分散剤の添加量が、無機充填剤の重量に対して0.5%から2%である。これにより、モールド樹脂の流動性と放熱性を、より最適にできる。
また、本発明は、無機充填剤の含有量はモールド樹脂中の樹脂の総含有量の2倍以上である。これにより、環境負荷の高い物質を含有させず、モールド樹脂の難燃性を向上できる。
また、本発明モールド構造体は、熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステルである。これにより、モールド樹脂の熱伝導率を向上できるとともに、無機充填剤を十分に混錬できる。
また、本発明モールド構造体は、モールド樹脂に湿潤分散剤に加えてシランカップリング剤を含む。これにより、無機充填剤の分散性を、さらに高めることができる。
また、本発明のモータは、上記モールド樹脂により少なくとも鉄芯コアに巻かれた電磁コイルがモールド成形されたモールド構造体を備える。これにより、難燃性の高い、安全な、高出力の小型・薄型モータを実現できる。
本発明は、高い安全性や信頼性が要求されるモールド樹脂で形成されるモールド構造体や、特にモールド構造体を用いる小型化、高出力化が望まれるモータなどの技術分野に有用である。
1 固定子
1a 鉄芯コア
1b,1c 端面側
2 巻線
3 モールド構造体
4 駆動回路
5a,5b 軸受
6 ロータ
7 永久磁石
8 シャフト
9 ブラケット
10 最薄部
本発明は、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド成形するモールド構造体およびモータに関する。
従来から、家電機器用モータやトランスなどの機器には、小型化、薄型化および高出力化が強く要望されている。また、機器が使用される環境を考慮して、低騒音で、かつ低振動の機器が要求されている。
上記要求に応えるため、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド樹脂でモールド成形して低騒音で、低振動のモータが提案されている。なお、モータの構成については、以降の実施の形態で詳細に説明する。
しかし、近年、市場の環境意識の高まりにより、モータの小型・薄型化・高出力密度化だけでなく、安全性や低環境負荷に対する要望が強くなっている。そのため、モータの固定子1などを構成するモールド構造体に対して、小型化を実現しながら、温度上昇を抑える高放熱性が求められている。
また、モータの安全性を確保するために、モールド樹脂に対して、高い耐電圧と難燃性の両立が求められている。しかし、従来のモールド樹脂に配合される難燃剤は、環境への負荷が大きい臭素を使用している。そのため、環境負荷の少ない難燃剤が求められている。
そこで、上記要求に応えるために、例えば特許文献1から特許文献4に示す以下のような検討が行われている。
特許文献1に記載の発明は、不飽和ポリエステル樹脂に、熱伝導率の高い充填剤である硬焼マグネシアを65〜80%充填することにより、モールド樹脂の高熱伝導率化を実現している。しかし、上記モールド樹脂は難燃性を有さないため、家電機器用モータやトランスなどのモールド樹脂に要求される難燃性を確保することが困難である。また、充填剤を高充填するため、相対的にモールド樹脂中の樹脂成分が不足し、充填剤を均一分散させたモールド樹脂を実現できない。
また、特許文献2に記載の発明は、不飽和ポリエステル樹脂に、熱伝導率の高いアルミナと難燃性を付与する赤リンを含有することにより、モールド樹脂の高い熱伝導率化と難燃化を実現している。しかし、モールド樹脂を成形する際に、赤リンに起因して発生するブリードアウトによる金型の腐食、および高温高湿の使用環境下におけるリンの表面析出により固定子の絶縁抵抗が低下する可能性がある。また、モールド樹脂中に含有されているリンは、環境に配慮する製品への使用が認められない可能性がある。
また、特許文献3に記載の発明は、エポキシ樹脂と充填剤に金属粉を含有したモールド樹脂により、モールド樹脂の高い熱伝導率化を実現している。しかし、エポキシ樹脂自体の粘性が高いために、充填剤を均一分散できない。そこで、エポキシ樹脂の分子量の規制や、混錬方法に制限を設けて、充填剤を均一に分散されている。そのため、製造タクトが長くなるなどの課題がある。また、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド成形する際、巻線間に導電性を有する金属粉が入り込む場合がある。そのとき、金属粉の近傍の巻線皮膜にピンホールが存在すると、モールド構造体の絶縁耐圧が低下する。また、モールド樹脂に金属粉が充填されているため、モールド成形時に金属粉により金型が短期間で傷んでしまうという課題などがある。
また、特許文献4に記載の発明は、エポキシ樹脂に湿潤分散剤を添加し、充填剤である無機フィラーを高充填化したモールド樹脂により、プリプレグの高熱伝導率化を実現している。しかし、特許文献2と同様に、エポキシ樹脂自体の粘性が高いため、充填剤を均一分散できない。また、プリプレグ用の樹脂は、モータの電磁コイルをモールド成形するには流動性が低いため、モールド構造体を作製できないという課題がある。
特許第3622724号公報 特許第4186930号公報 特開2004−143368号公報 特開2010−260990号公報
上記課題を解決するために、本発明のモールド構造体は、少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とから構成されるモールド樹脂で形成される。
これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上させ、無機充填剤の高い充填性、高い流動性が可能になる。さらに、リン系難燃剤のような環境負荷の高い物質を含有しない金属水和物により、モールド樹脂の難燃性を向上できる。その結果、高い熱伝導率と難燃性を有する成形性に優れたモールド樹脂により、高い放熱性と高い信頼性を有するモールド構造体を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態におけるモータの構成を示す断面図である。 図2は、同実施の形態のモータの巻線温度とモールド樹脂の熱伝導率の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態のモールド構造体およびそれを用いたモータについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態におけるモールド構造体について、図1を用いて説明する。なお、図1では、鉄芯コアに巻かれた電磁コイルをモールド樹脂でモールド成形したモールド構造体により形成された、例えば小型空調用モータなどの家電機器用のモータを例に説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるモータの構成を示す断面図である。
図1に示すように、モータは、固定子1と、駆動回路4と、外周に永久磁石7を有するロータ6とから構成されている。モータの固定子1は、鉄芯コア1aに巻枠を介して巻線2が巻かれて構成され、鉄芯コア1aの内周面を除いてモールド樹脂からなるモールド構造体3で包囲するように一体成形されている。このとき、固定子1の一方の端面側1bには、ロータ6を支持する軸受5aを収納する軸受ハウジングがモールド樹脂からなるモールド構造体3で一体成形され、固定子の他方の端面側1cは開口部が設けられている。駆動回路4は、巻線2と軸受5aとの間に配置され、固定子1とともにモールド樹脂からなるモールド構造体3で包囲するように一体成形されている。
また、ロータ6は、固定子1の開口部から軸受5aにシャフト8の一端を挿入した後、シャフト8の他端は、軸受収納部を有するブラケット9に形成された軸受収納部に収納された軸受5bに挿入される。そして、固定子1の他方の端面側1cをブラケット9で蓋をすることにより、ロータ6のシャフト8が軸受5a、5bを介して固定子1に回転自在に支持される。
以上の構成により、ロータの回転に伴う、鉄芯コア1aおよび巻線2に発生する振動を、固定子1を構成するモールド構造体3により抑制し、振動が少なく、静音性に優れたモータを実現している。
そして、本実施の形態のモールド構造体3を構成するモールド樹脂は、例えば不飽和ポリエステルからなる熱硬化性樹脂と、少なくとも、例えば水酸化アルミニウムなどの金属水和物からなる絶縁性の無機充填剤と、湿潤分散剤などの分散剤から構成されている。
このとき、以下で詳細に説明するように、分散剤の添加量は、無機充填剤の重量の0.5%から2%が好ましい。また、無機充填剤の含有量は、モールド樹脂中の熱硬化性樹脂などの樹脂の2倍以上が好ましい。
また、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂の粘度は、300mPa・s程度が好ましい。これにより、一般的な混錬機(羽の形状が、例えば双腕型、シグマ型、Z型など)で、容易に無機充填剤およびガラス繊維などを均一分散することができる。
なお、熱硬化性樹脂として、粘度が3000mPa・sのエポキシ樹脂を用いた場合、無機充填剤およびガラス繊維を、均一分散して混錬することが困難である。また、エポキシ樹脂などのモールド樹脂を長時間混錬すると、摩擦熱により硬化が始まるため、モールド成形時に巻線間にモールド樹脂が入り込みにくくなる。そのため、例え熱伝導率の高いエポキシ樹脂などからなるモールド樹脂を用いても、モールド構造体としては、電磁コイルの温度上昇の抑制や、防振特性が低下する。
これにより、熱伝導率が1.5W/m・K以上で、UL規格94、V−0(厚さ1/16 inch)(以下、「V−0」と記す)の難燃性を有するモールド構造体を実現できる。つまり、上記モールド樹脂を用いることにより、図1のモータのモールド構造体の最薄部10を、例えば1.6mmまで、従来に比べて、20%程度薄くできる。その結果、モータの小型化および難燃性V−0の両方を実現できる。
また、モールド樹脂は、熱硬化性樹脂と、絶縁性を有する無機充填剤のみで構成されている。そのため、巻線2に皮膜の欠陥(初期のピンホールや巻線時の傷など)が存在しても、モールド成形時の巻線2間の絶縁耐圧の低下を防止できる。その結果、モータを構成するモールド構造体全体の絶縁耐圧の低下を防ぐことができる。
以下に、本実施の形態のモールド構造体を構成するモールド樹脂の特性について、詳細に説明する。
まず、樹脂量、樹脂の成形性およびモールド樹脂またはモールド構造体の熱伝導率に対する湿潤分散剤の添加量との関係を、以下の(表1)に示す。(表1)では、湿潤分散剤の添加量は、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量の割合(%)で示している。なお、樹脂量とは、例えばモールド樹脂(100%)中に混錬される熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂の量である。また、(表1)には示していないが、モールド樹脂から、樹脂量と湿潤分散剤を引いた残りが、無機充填剤の量に相当する。また、(表1)中に示す「−」は、未測定であることを示し、以降の表も同様である。また、以降で示す、熱伝導率は、NETZSCH社製LFA 447 NanoFlash(キセノンフラッシュアナライザー)装置を用いて測定した値で示している。
Figure 2012101977
(表1)に示すように、湿潤分散剤を添加しない場合、樹脂量が20%以下になると混錬性が低下して、モールド構造体の成形が不可能となる。
しかし、樹脂量が19%以下の場合でも、無機充填剤に対して1%程度の湿潤分散剤を添加することにより樹脂量が17%までは、モールド構造体の成形が可能になる。
つまり、湿潤分散剤を添加することにより、無機充填剤を多くし、樹脂量を少なくしてもモールド構造体を成形することができる。その結果、1.6W/m・K以上の高い熱伝導率を有するモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。
なお、熱硬化性樹脂に、寸法安定性を向上させるために、例えばポリスチレンや熱可塑ポリエチレンなどのモールド樹脂の収縮を緩和させる作用を有する樹脂を含んでいてもよい。その場合は、熱硬化性樹脂と低収縮剤の総計が、(表1)の樹脂量に相当する。
つぎに、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量と、モールド樹脂の成形性およびモールド構造体の熱伝導率との関係を、(表2)に示す。
Figure 2012101977
(表2)に示すように、湿潤分散剤の添加がない場合、モールド樹脂の混錬性が悪く、モールド構造体を成形できない。一方、無機充填剤に対する湿潤分散剤の添加量が3%以上の場合、モールド構造体の熱伝導率が低下し、熱伝導率を向上させる効果はなかった。
つまり、湿潤分散剤の添加量は、無機充填剤に対して0.5%から2%にすることが好ましい。その結果、熱伝導率が高いモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。
このとき、例えばシランカップリング剤を用いて無機充填剤の表面処理をしてもよい。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を高めるとともに、樹脂と無機充填剤の密着性を向上させることにより熱伝導率の高いモールド樹脂およびモールド構造体が得られる。
つぎに、モールド樹脂中の不飽和ポリエステル樹脂の樹脂量と無機充填剤である金属水和物の含有量の、モールド樹脂中に占める比率に対する難燃性との関係を、以下の(表3)に示す。
(表3)は、樹脂量と金属水和物の、モールド樹脂中に占める比率が異なる1.6mm厚(1/16inch)のサンプルA、サンプルBおよびサンプルCを用いて、UL燃焼試験法のUL94 V−0、V−1、V−2規格に基づいて、難燃性を評価している。
なお、(表3)では、難燃性を付与する金属水和物として、水酸化アルミニウムを例に説明するが、これに限られない。また、(表3)では、金属水和物以外の無機充填剤として、炭酸カルシウムを例に説明するが、これに限られない。
Figure 2012101977
(表3)に示すように、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍未満のサンプルAでは、V−2の難燃性を示している。一方、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍のサンプルB、2倍以上のサンプルCでは、V−0の高い難燃性が得られることがわかる。つまり、金属水和物は、加熱時に生じる分解水により燃焼熱を吸収することでモールド樹脂に難燃性を付与するが、樹脂量に対する金属水和物の比率が2倍以上において、より高い難燃性が付与できることがわかる。
なお、400℃以下で難燃性を示す金属水和物としては、水酸化アルミニウム以外に、水酸化マグネシウムを用いてもよい。
また、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエチレンに、寸法安定性を向上させるために、例えばポリスチレンや熱可塑ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる低収縮剤を含んでいてもよい。その場合は、熱硬化性樹脂と低収縮剤の総計が、(表3)の樹脂量に相当する。
したがって、難燃剤として金属水和物を用いることにより、V−0の難燃性を備えるモールド樹脂およびモールド構造体を実現できる。そのため、環境負荷の観点から使用が制限されているハロゲンやリンなどを含む難燃剤を使用する必要がない。
なお、(表3)では、一例として、(表1)に示す21%の樹脂量に対する金属水和物の効果について説明したが、これに限られない。(表1)の湿潤分散剤を添加した場合には、17%から19%の樹脂量に対して2倍以上の金属水和物を添加すれば、同様の効果が得られる。
以下に、上記により形成されたモールド構造体を構成するモールド樹脂の放熱性について、図2を用いて説明する。なお、図2は、上記モールド樹脂からなるモールド構造体で形成した小型空調用のモータを例に説明する。
図2は、本発明の実施の形態におけるモータの巻線温度とモールド構造体の熱伝導率の関係を示す図である。
図2に示すように、モールド構造体の熱伝導率が1.7の場合、巻線の温度上昇を120℃程度に抑制できる。一方、モールド構造体の熱伝導率が0.75の場合、巻線の温度が140℃まで上昇する。したがって、熱伝導率を向上させることにより、例えば20℃のモータの巻線温度上昇の裕度(マージン)を、持たせることができる。
つまり、上記(表1)から(表3)で説明した所定の配合比率により、モールド構造体を構成するモールド樹脂の熱伝導率を上げることで、巻線で発生する熱を外部により効率的に放熱できることがわかる。
本実施の形態によれば、巻線の温度上昇およびモータ各部の温度上昇を、高い熱伝導率を有するモールド構造体により低減することができる。その結果、駆動回路4を構成する電子部品などの耐久性を向上させて、モータなどの機器の信頼性や安全性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態では、熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステルを例に説明したが、これに限られない。例えば、エポキシ変性ポリエステルでもよい。これにより、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、金属水和物以外の無機充填剤として、炭酸カルシウムを例に説明したが、これに限られない。例えば、タルクでもよい。これにより、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、無機充填剤の表面処理剤として、シランカップリング剤を例に説明したが、これに限られない。例えば、チタネート系やアルミネート系のカップリング剤でもよい。これにより、同様の効果が得られる。
本発明のモールド構造体は、少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とから構成されるモールド樹脂で形成される。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上させ、無機充填剤の高充填化、高流動化が可能になる。その結果、高い熱伝導率で成形性に優れたモールド樹脂により、高い放熱性を有するモールド構造体を実現できる。さらに、モールド樹脂の高い流動性により、成形時にモールド樹脂が電磁コイル間の細部まで流れ込んで、電磁コイル表面に密着する。その結果、電磁コイルの放熱性を向上させることができる。
また、本発明は、分散剤が、湿潤分散剤である。これにより、モールド樹脂中の無機充填剤の分散性を向上できる。
また、本発明モールド構造体は、湿潤分散剤の添加量が、無機充填剤の重量に対して0.5%から2%である。これにより、モールド樹脂の流動性と放熱性を、より最適にできる。
また、本発明は、無機充填剤の含有量はモールド樹脂中の樹脂の総含有量の2倍以上である。これにより、環境負荷の高い物質を含有させず、モールド樹脂の難燃性を向上できる。
また、本発明モールド構造体は、熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステルである。これにより、モールド樹脂の熱伝導率を向上できるとともに、無機充填剤を十分に混錬できる。
また、本発明モールド構造体は、モールド樹脂に湿潤分散剤に加えてシランカップリング剤を含む。これにより、無機充填剤の分散性を、さらに高めることができる。
また、本発明のモータは、上記モールド樹脂により少なくとも鉄芯コアに巻かれた電磁コイルがモールド成形されたモールド構造体を備える。これにより、難燃性の高い、安全な、高出力の小型・薄型モータを実現できる。
本発明は、高い安全性や信頼性が要求されるモールド樹脂で形成されるモールド構造体や、特にモールド構造体を用いる小型化、高出力化が望まれるモータなどの技術分野に有用である。
1 固定子
1a 鉄芯コア
1b,1c 端面側
2 巻線
3 モールド構造体
4 駆動回路
5a,5b 軸受
6 ロータ
7 永久磁石
8 シャフト
9 ブラケット
10 最薄部

Claims (7)

  1. 少なくとも熱硬化性樹脂と、電気絶縁性を有し、少なくとも金属水和物を含有する無機充填剤と、分散剤とから構成されるモールド樹脂で形成されるモールド構造体。
  2. 前記分散剤は、湿潤分散剤である請求項1に記載のモールド構造体。
  3. 前記湿潤分散剤の添加量が、前記無機充填剤の重量に対して0.5%から2%である請求項2に記載のモールド構造体。
  4. 前記無機充填剤の含有量は、前記モールド樹脂の総含有量の2倍以上である請求項1に記載のモールド構造体。
  5. 前記熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステルである請求項1に記載のモールド構造体。
  6. 前記モールド樹脂に湿潤分散剤に加えてシランカップリング剤を含む請求項2に記載のモールド構造体。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモールド樹脂により少なくとも鉄芯コアに巻かれた電磁コイルがモールド成形されたモールド構造体を備えるモータ。
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