JP2005020842A - 回転電機接続部の絶縁処理方法および絶縁装置 - Google Patents

回転電機接続部の絶縁処理方法および絶縁装置 Download PDF

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Hisashi Hirai
久之 平井
Noriyuki Iwata
憲之 岩田
Toshiyuki Aso
俊幸 阿曽
Hiroshi Hatano
浩 幡野
Kazuya Segawa
和哉 瀬川
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Abstract

【課題】回転電機接続部の絶縁処理部分の冷却性能を向上させて長期的信頼性を確保すると共に、当該絶縁処理部分の分解を容易にしてコイル交換などを行いやすくする。
【解決手段】回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの口出し裸導体部の接続部を絶縁処理する方法において、前記接続部を絶縁ケースで包含した後、前記接続部と前記絶縁ケースとの間隙に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を含有する硬化性樹脂組成物を充填し硬化させ、それらを一体成型する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機に使用されるコイルの絶縁処理方法および絶縁装置に係り、特にコイル端部のシリーズ接続部の絶縁処理方法および絶縁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、回転電機に使用されるコイルは、亀甲型または1/2ターン型コイルのいずれかを固定子鉄心のスロットに装着し、この各コイル間をコイル端部で所定の結線図にしたがって結線する。この各コイル間を結ぶ箇所をシリーズ接続部と称している。
【0003】
このシリーズ接続部の絶縁処理方法としては、例えばマイカテープ等の絶縁テープを絶縁ワニスを塗りながら所定回数テーピングする方法や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂とガラス繊維とからなるシートを複数枚積層し、これを箱形にプレス成形して絶縁ケースとし、この絶縁ケースでシリーズ接続部を覆った後、絶縁ケースとシリーズ接続部との空隙に常温硬化型の合成樹脂を充填する方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上述したようなシリーズ接続部の絶縁処理方法は処理が複雑であったり、処理に長時間を要するなどの課題がある。また、コイルに不具合が生じたときや、定期的な絶縁診断試験の際のコイルの分解あるいは組立が困難であるという課題がある。
【0005】
さらに、回転電機の固定子コイルのシリーズ接続部は、通常、大地電位の固定子鉄心から相当離れた位置にあるために、本来それ程強固(高耐電圧)な絶縁は必要でないが、特に水車発電機等が設置される場所では塵や埃等が多く湿度が高いため、導体と絶縁表面との間は少なくとも気密性を高めて、塵や埃や湿気等で導体と絶縁表面とが短絡状態になることだけは避ける必要がある。
【0006】
このような課題を解決する手段として、シリーズ接続部よりも大きい内法寸法を有し、変形能と耐湿性、接着性を有する絶縁充填材をあらかじめ充填した熱可塑性樹脂からなる2分割された一対の絶縁ケースでシリーズ接続部全体を包含して固着し、シリーズ接続部の絶縁処理を行うことが報告されている(例えば、特許文献1、2参照。)。このような絶縁処理方法によれば、シリーズ接続部の絶縁処理が容易になると共に、その気密性を向上し、防塵、耐湿性に優れたものとすることができる。
【0007】
また、充填材の沈降やシェル型からの樹脂漏れを抑制するために、熱可塑性のシェル型に従来よりも遥かに高粘度の複合充填物を加圧して充填することが報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
さらに、優れた接着性、熱安定性、耐水性などの他に亀裂が発生し難いようにするため、シェル型に充填するエポキシ樹脂組成物にフェノール系硬化促進剤および有機チタネート硬化触媒を必須成分として含有させることも報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−215244号公報
【特許文献2】
特開平10−146026号公報
【特許文献3】
特表昭61−501745
【特許文献4】
特開平2−238909
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来より回転電機の接続部の絶縁処理方法においては様々な工夫がなされ、作業性、絶縁性能などの向上が図られている。しかしながら、絶縁ケースに充填する硬化性樹脂組成物には通常細かいガラス繊維やシリカ粒子などの無機充填材を添加するのみであり、回転電機の運転温度が高くなると十分な冷却ができなくなり、絶縁性能や耐熱信頼性が低下するという課題がある。
【0011】
本発明はかかる従来の課題を解決するためになされたものであって、回転電機接続部の絶縁処理部分における熱伝導性の向上と熱膨張係数の調整と共に、コイル交換時に当該絶縁処理部分の分解が容易な回転電機接続部の絶縁処理方法および絶縁装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転電機接続部の絶縁処理方法は、回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの口出し裸導体部の接続部を絶縁処理する方法において、前記接続部を絶縁ケースで包含した後、前記接続部と前記絶縁ケースとの間隙に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を含有する硬化性樹脂組成物を充填し硬化させ、それらを一体成型することを特徴とする。
【0013】
前記絶縁ケースは一体型であってもよいし、分割型であってもよい。また、前記絶縁ケースはポリフェニレンサルファイドおよびポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のプラスチック材料、ガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材ならびに熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなることが好ましい。
【0014】
前記絶縁ケースを構成するガラス系充填材の含有量は10乃至40重量%であることが好ましく、また前記絶縁ケースを構成する熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は酸化マグネシウムおよびチッ化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であり、その含有量は10乃至40重量%であることが好ましい。
【0015】
前記硬化性樹脂組成物は一分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、アミン系硬化剤、および、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなり、前記熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材が酸化マグネシウムおよびチッ化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であり、かつその含有量が5乃至50体積%であることが好ましい。
【0016】
前記硬化性樹脂組成物はシリカを5乃至50体積%含むことが好ましく、ガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材を5乃至30体積%含むことが好ましい。
【0017】
前記硬化性樹脂組成物に含まれる熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材、シリカおよびガラス系充填材の総量は10乃至60体積%であることが好ましい。また、前記アミン系硬化剤は少なくともイソホロンジアミンを含むものであることが好ましい。
【0018】
本発明の回転電機接続部の絶縁装置は、回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの口出し裸導体部の接続部を絶縁処理した回転電機接続部の絶縁装置であって、請求項1乃至10のいずれか1項記載の回転電機接続部の絶縁処理方法によって前記接続部の絶縁処理を行ったことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は回転電機の接続部1の断面構造の一例を示したものである。回転電機の接続部1は、例えば回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの端部2、3のそれぞれの口出し裸導体部4、5を接続銅帯6によって相互に電気的に接続したものである。
【0021】
本発明の回転電機接続部の絶縁処理方法は、図1に示すような回転電機の接続部1の絶縁処理を行うものであって、例えば図2に示すように、接続部1よりも大きい内法寸法を有する絶縁ケース7で接続部1を包含した後、図3に示すように、この絶縁ケース7と接続部1との間隙に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を含有する硬化性樹脂組成物8を充填し硬化させ、それらを一体成型するものである。
【0022】
接続部1の包含に用いる絶縁ケース7は、一体型であってもよいし、分割型であってもよい。一体型の絶縁ケースとしては例えば一端が開放された筒状の絶縁ケースを用いることができ、この筒状の絶縁ケースの開放端から接続部1を挿入することにより接続部1を包含する。
【0023】
また、絶縁ケース7が分割型の絶縁ケースの場合、最終的に組み合わされたときの形状が一端が開放された筒状の絶縁ケースとなるようなものであればよく、例えば筒状の絶縁ケースをその軸を含む平面で2分割したようなものが挙げられる。このような分割型の絶縁ケースを用いる場合、例えば接続部1を囲むようにして分割型の絶縁ケースを組み合わせ、接続部1を包含する。
【0024】
このような絶縁ケースはポリフェニレンサルファイドおよびポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のプラスチック材料、ガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材ならびに熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなるものであることが好ましい。
【0025】
ポリフェニレンサルファイドおよびポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のプラスチック材料を用いることで、絶縁ケース7の耐熱性を向上させることができる。
【0026】
また、ガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材を複合させることで、絶縁ケース7の寸法安定性、強度を向上させると共に、成形性も向上させることが可能となる。このガラス系充填材の含有量は、10乃至40重量%とすることが好ましい。ガラス系充填材の含有量が10重量%未満であると寸法安定性、材料強度を向上させる効果が低く、40重量%を超えると成形性が低下するおそれがある。
【0027】
さらに、絶縁ケース7に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を複合させることで、絶縁ケース7の熱伝導性を向上させ、運転温度が高くなる場合であっても十分な冷却が行われるため絶縁性能や耐熱信頼性を維持することが可能になり、また絶縁ケース7の分解も容易となるため、分解を伴う定期的な絶縁診断試験も容易に実施することが可能となる。
【0028】
上述したような熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材としては、例えば酸化マグネシウム(熱伝導率32W/m・K、モース硬度6)、チッ化ホウ素(熱伝導率60W/m・K、モース硬度2)が挙げられ、これらは一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよく、絶縁ケース7に求められる特性に合わせて、適宜選択して用いることが好ましい。また、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は粒径が50μm以下であることが好ましい。
【0029】
この熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は絶縁ケース7に10乃至40重量%含有させることが好ましい。少なくとも10重量%の無機充填材を含有させることで、絶縁ケース7の熱伝導性を向上させることができる。また、40重量%を超えると絶縁ケース7の製造性が劣り、信頼性が低下する。
【0030】
上述したような絶縁ケース7に充填する硬化性樹脂組成物8は、例えば一分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、アミン系硬化剤、および、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなるものである。
【0031】
一分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては特に制限されるものではなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0032】
アミン系硬化剤としては公知のアミン系硬化剤を用いることができるが、芳香族アミンは反応が速すぎて作業時間の制約を受けるため実質上使用が難しく、脂肪族アミンのような直鎖状のものではガラス転移温度が低いため、室温での硬化が可能で作業性に優れるイソホロンジアミンを用いることが好ましい。
【0033】
本発明ではイソホロンジアミンを単独で用いてもよいし、他の硬化剤と併用してもよい。他の硬化剤を用いる場合であっても、硬化剤として少なくともイソホロンジアミンを用いることで反応時間やガラス転移温度の大幅な調整が可能となる。
【0034】
硬化性樹脂組成物8に含有される熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材としては、例えば酸化マグネシウム(熱伝導率32W/m・K、モース硬度6)、チッ化ホウ素(熱伝導率60W/m・K、モース硬度2)が挙げられ、これらは一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよく、硬化性樹脂組成物8に求められる特性に合わせて、適宜選択して用いることが好ましい。また、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は粒径が50μm以下であることが好ましい。
【0035】
この熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は、硬化性樹脂組成物8中に5乃至50体積%含有させることが好ましい。少なくとも5体積%含有させることで、硬化性樹脂組成物8の熱伝導性を向上させることができる。また、50体積%を超えると粘性が高く、生産性が低下するおそれがあるため好ましくない。
【0036】
また、硬化性樹脂組成物8にはシリカを含有させることが好ましい。シリカは硬化性樹脂組成物8の熱膨張を調整するために有効であり、硬化性樹脂組成物8中に5乃至50体積%含有させることが好ましい。シリカの含有量が5体積%未満であると熱膨張を改善する効果が低く、50体積%を超えると硬化性樹脂組成物8の粘度が上昇してしまうため好ましくない。
【0037】
さらに、硬化性樹脂組成物8にはガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材を含有させることが好ましい。硬化性樹脂組成物8にこのようなガラス系充填材を加えることで、硬化性樹脂組成物8を適用部所に合わせた粘度に調製し、作業性を向上することができる。また、このようなガラス系充填材を加えることで、硬化性樹脂組成物8の熱膨張を低減し、破壊強さを向上させることもできる。
【0038】
硬化性樹脂組成物8におけるガラス系充填材の含有量は5乃至30体積%とすることが好ましい。ガラス系充填材の含有量が5体積%未満であると熱膨張の低減や破壊強さの向上といった効果が得られにくく、30体積%を超えると硬化性樹脂組成物8の粘度が上昇してしまうため好ましくない。
【0039】
上述したように本発明に用いられる硬化性樹脂組成物には複数の種類の充填材、すなわち熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材、シリカおよびガラス系充填材を含有させることができるが、このように複数の種類の充填材を含有させる場合には、それら充填材の総量が10乃至60体積%となるようにすることが好ましい。充填材の総量が10体積%未満であると熱伝導率や熱膨張係数などを改善する効果が低く、60体積%を超えると粘度が高くなり作業性が低下することがある。
【0040】
このような構成の硬化性樹脂組成物は十分に混合した後、回転電機接続部を包含する絶縁ケース内に充填し硬化させ、回転電機接続部の絶縁処理に用いられる。
【0041】
本発明の回転電機接続部の絶縁装置は、上述したような絶縁処理方法により回転電機接続部を絶縁処理することにより得られるものである。具体的には、回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの端部の口出し裸導体部を接続銅帯で相互に電気的に接続して得られた接続部を、上述したような絶縁処理方法を用いて絶縁処理することにより得られるものである。
【0042】
上述したような回転電機接続部の絶縁処理方法によれば、接続部の絶縁処理部分の絶縁性、機械強度に優れ、かつ当該部分の熱伝導率にも優れた絶縁装置を容易に得ることができる。また、上述したような回転電機接続部の絶縁処理方法によれば、接続部の絶縁処理部分の分解性に優れた絶縁装置を容易に得ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を参照して詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
図1に示すように、回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルからの絶縁被覆が施された端部2、3の口出し裸導体部4、5に接続銅帯6をロー付けして接続部1を形成した。
【0045】
高耐熱性、高強度の熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイドとしてトレニナA504(東レ製 商品名)を射出成形して一体型および分割型の筒状の絶縁ケース7を作製し、図2に示すように、これらの筒状の絶縁ケース7の内部に接続部1を挿入し、さらに図3に示すように、それらの間隙に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材として酸化マグネシウム(モース硬度6)を添加した熱硬化性樹脂組成物8を充填し、それらを一体に成型した。
【0046】
このようにして得られた接続部1の絶縁処理部分を通常の切断工具を用いて分解したところ、モース硬度7以下の無機充填材である酸化マグネシウムを含んでいるため容易に分解することができた。
【0047】
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 Ep828(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名)100重量部、アミン系硬化剤A(イソホロンジアミン)16重量部およびアミン系硬化剤B(ポリエーテルジアミン)10重量部からなる樹脂成分に、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材としての酸化マグネシウム(MgO、モース硬度6)およびシリカを表1に示すような割合となるように添加した後、通常のプラネタリタイプの万能混合機で混合して硬化性樹脂組成物を作製した。
【0048】
ポリフェニレンサルファイド トレニナA504(東レ製 商品名)に強化材を添加したものを射出成形して一体型の筒状の絶縁ケースを作製し、この筒状の絶縁ケースの内部に回転電機の接続部を挿入し、さらに上記硬化性樹脂組成物をそれらの間隙に充填し一体に成型した。表1に、得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率および熱膨張係数を示す。
【0049】
【表1】
Figure 2005020842
【0050】
接続部を構成する導体(Cu)の熱膨張係数は約1.7×10−5であり、ポリフェニレンサルファイドを射出成型してなる絶縁ケースも強化材が添加されているため低い熱膨張係数となっていた。硬化性樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数が導体や絶縁ケースの熱膨張係数と大きく異なるとこれらの間に応力が発生し剥離しやすくなるため、硬化性樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数はこれら導体や絶縁ケースの熱膨張係数と同程度となっていることが好ましい。また、ポリフェニレンサルファイドの熱伝導率が0.2W/m・K程度であるため、硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率がそれよりも高くなっていれば冷却性能が向上していることになる。
【0051】
これらのことから、硬化性樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数を接続部の導体や絶縁ケースと同程度の熱膨張係数とし、あるいは高い熱伝導率とするためには、硬化性樹脂組成物の組成を表1のA−2からA−6で示されるような組成とすることが好ましいことがわかる。
【0052】
(実施例3)
熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材としての酸化マグネシウムとシリカとを同体積で混合したものを、エポキシ樹脂およびアミン系硬化剤からなる樹脂成分に表2に示すような割合となるように添加し硬化性樹脂組成物を作製した。
【0053】
ポリフェニレンサルファイド トレニナA504(東レ製 商品名)を射出成形して分割型の筒状の絶縁ケースを作製し、この筒状の絶縁ケースの内部に回転電機の接続部を挿入し、さらに上記硬化性樹脂組成物をそれらの間隙に充填し一体に成型した。表2に、得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率および熱膨張係数を示す。
【0054】
【表2】
Figure 2005020842
【0055】
このような絶縁処理が施されたものに対し、室温と150℃との間の温度サイクルを10回繰り返した。その結果、表2のB−1〜B−5で示される硬化性樹脂組成物中の充填材の総量が10乃至60体積%であるもののいずれについても、接続部の絶縁処理部分におけるクラックの発生は見られなかった。しかしながら、B−1で示される組成のものにおいてはケースに若干の膨らみが発生した。このため、接続部の絶縁処理部分の長期の信頼性を考慮すれば、硬化性樹脂組成物中の充填材の総量を20乃至60体積%、より好ましくは30乃至60体積%とすればよいことがわかる。
【0056】
(実施例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 Ep828(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名)に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材としての酸化マグネシウム30体積%、シリカ20体積%および長さ6mmのガラスチョップ5〜10体積%となるように添加し、通常のプラネタリタイプの万能混合機により混合して硬化性樹脂組成物を作製した。
【0057】
また、同様のエポキシ樹脂に酸化マグネシウム30体積%、シリカ10体積%および長さ6mmのガラスチョップ20〜30体積%となるように添加し、同様に混合して硬化性樹脂組成物を作製した。硬化性樹脂組成物にガラスチョップを含有させることで、その軟らかさに差はあるものの、いずれの硬化性樹脂組成物もパテ状となっていることが認められた。
【0058】
ポリフェニレンサルファイド トレニナA504(東レ製 商品名)に強化材を添加したものを射出成形して一体型の筒状の絶縁ケースを作製し、この筒状の絶縁ケースの内部に回転電機の接続部を挿入した後、上記硬化性樹脂組成物をそれらの間隙に充填し一体に成型した。絶縁処理部分である硬化性樹脂組成物の硬化物の絶縁性、強度、接着力を調べたところ、いずれのものについても優れた絶縁性と強度が得られており、接続部等に対する接着力も十分なものとなっていた。
【0059】
(実施例5)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 Ep828(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名)に以下のようなアミン系硬化剤を添加して、アミン系硬化剤の室温における反応性とガラス転移温度に及ぼす影響を調べた。
【0060】
芳香族アミンとしてキシリレンジアミンを添加したものは、混合して約10分程度で反応が始まり急激に発熱した。脂肪族アミンとしてポリエーテルアミンを添加したものは、ポットライフが長く作業性は良好であるものの、ガラス転移温度が60℃程度と低く、運転時の機械的強さに問題があることがわかった。
【0061】
これに対してイソホロンジアミンを添加したものはポットライフが2時間程度と長く作業性が良好であり、ガラス転移温度は室温放置のとき70℃、100〜120℃で1時間程度の加熱処理を行ったとき120℃以上となり、作業性、耐熱性共に良好であり、硬化剤として好適であることが認められた。
【0062】
(実施例6)
図4に示すように、回転電機のコイルの端部2、3に300Wのヒータ9、10を埋め込むと共に、口出し裸導体部4、5を接続する接続銅帯6に熱電対11を設けた。また、絶縁ケース7の内部にも熱電対12を設けた。この絶縁ケース7内に上記接続部1を挿入し、さらに硬化性樹脂組成物8を充填し一体に成型し接続部1の絶縁処理を行った。
【0063】
なお、接続部1の絶縁処理は2通りの方法で行った。すなわち、ガラスチョップ20重量%を含んだポリフェニレンサルファイドを絶縁ケース7として用い、これにエポキシ樹脂とアミン系硬化剤とからなる樹脂成分に酸化マグネシウムおよびシリカをそれぞれ5体積%ずつとなるように添加した硬化性樹脂組成物8を充填したもの(試料1)と、ガラスチョップ20重量%および酸化マグネシウム30重量%を含んだポリフェニレンサルファイドを絶縁ケース7として用い、これにエポキシ樹脂とアミン系硬化剤とからなる樹脂成分に酸化マグネシウムおよびシリカをそれぞれ30体積%ずつとなるように添加した硬化性樹脂組成物8を充填したもの(試料2)との2通りの絶縁処理を行った。
【0064】
試料2における絶縁処理部分は熱伝導率が1W/m・K、熱膨張係数が2.2×10−5となっており、試料1における絶縁処理部分はそれよりも熱伝導が低く、熱膨張係数は大きくなっていた。
【0065】
このようにして絶縁処理を行ったものについて、そのヒータ9、10を加熱するとともに、室温23℃の冷却風13を30〜50cm/sで吹付けた。そして、接続部1の接続銅帯6に設けた熱電対11および絶縁ケース7の内面に設けた熱電対12でそれらの箇所の温度を測定した。
【0066】
その結果、試料1の接続銅帯6の表面温度は115℃、絶縁ケース7の内面温度は80℃、試料2の接続銅帯6の表面温度は106℃、絶縁ケース7の内面温度は72℃となっており、絶縁ケース7の熱伝導率およびその中に充填する硬化性樹脂組成物8の熱伝導率を高めることで絶縁処理部分の冷却性能を向上できることが認められた。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を含有する硬化性樹脂組成物により回転電機の接続部の絶縁処理を行うことで、絶縁処理部分の冷却性能を向上させることにより長期的な信頼性を確保することができると共に、その分解を容易にすることによりコイル交換などを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転電気の接続部の一例を示した断面図。
【図2】回転電気の接続部を絶縁ケースで包含した一例を示した断面図。
【図3】回転電気の接続部を絶縁処理した一例を示した断面図。
【図4】絶縁処理部分の冷却性能を測定するための装置を示した断面図。
【符号の説明】
1…接続部 2、3…コイル端部 4、5…口出し裸導体部 6…接続銅帯 7…絶縁ケース 8…硬化性樹脂組成物

Claims (11)

  1. 回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの口出し裸導体部の接続部を絶縁処理する方法において、
    前記接続部を絶縁ケースで包含した後、前記接続部と前記絶縁ケースとの間隙に熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材を含有する硬化性樹脂組成物を充填し硬化させ、それらを一体成型することを特徴とする回転電機接続部の絶縁処理方法。
  2. 前記絶縁ケースは一体型または分割型であることを特徴とする請求項1記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  3. 前記絶縁ケースはポリフェニレンサルファイドおよびポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のプラスチック材料、ガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材、ならびに、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなることを特徴とする請求項1または2記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  4. 前記絶縁ケースを構成するガラス系充填材の含有量は10乃至40重量%であることを特徴とする請求項3記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  5. 前記絶縁ケースを構成する熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材は酸化マグネシウムおよびチッ化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であり、その含有量は10乃至40重量%であることを特徴とする請求項3または4記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  6. 前記硬化性樹脂組成物は一分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、アミン系硬化剤、および、熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材から主としてなり、前記熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材が酸化マグネシウムおよびチッ化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であり、かつその含有量が5乃至50体積%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  7. 前記硬化性樹脂組成物はシリカを5乃至50体積%含むことを特徴とする請求項6記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  8. 前記硬化性樹脂組成物はガラスチョップおよびガラスフレークから選ばれる少なくとも1種のガラス系充填材を5乃至30体積%含むことを特徴とする請求項6または7記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  9. 前記硬化性樹脂組成物に含まれる熱伝導率10W/m・K以上かつモース硬度7以下の無機充填材、シリカ、および、ガラス系充填材の総量が10乃至60体積%であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  10. 前記アミン系硬化剤が少なくともイソホロンジアミンを含むものであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載の回転電機接続部の絶縁処理方法。
  11. 回転電機の鉄心スロットに装着されたコイルの口出し裸導体部の接続部を絶縁処理した回転電機接続部の絶縁装置であって、請求項1乃至10のいずれか1項記載の回転電機接続部の絶縁処理方法によって前記接続部の絶縁処理を行ったことを特徴とする回転電機接続部の絶縁装置。
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