JP2001068361A - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

内燃機関用点火コイル

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JP2001068361A
JP2001068361A JP24476399A JP24476399A JP2001068361A JP 2001068361 A JP2001068361 A JP 2001068361A JP 24476399 A JP24476399 A JP 24476399A JP 24476399 A JP24476399 A JP 24476399A JP 2001068361 A JP2001068361 A JP 2001068361A
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coil
resin
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Kuniyuki Eguchi
州志 江口
Kazutoshi Kobayashi
和俊 小林
Junichi Shimada
淳一 嶋田
Kenji Nakabayashi
研司 中林
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】独立点火形の内燃機関用点火コイルの耐熱衝撃
性、絶縁性能などの向上を図り、各種信頼性のマージン
を上げる。 【解決手段】エンジンの各点火プラグに直結してしよう
される独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、少
なくとも二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイ
ルとコイルケースとの間に、無機質充填剤を含有する熱
硬化性樹脂組成物であり、しかも前記熱硬化性樹脂組成
物中にはゴム成分または熱可塑性樹脂が無機質充填剤を
除く樹脂配合量100重量部に対して3〜50重量部含
有されることを特徴とする樹脂絶縁材を注入、加熱硬化
して充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの各プラ
グごとに用意されて各点火プラグに直結して使用される
独立点火形の内燃機関用点火コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのプラグホールに導入されて各
点火プラグと個別に直結される独立点火形の内燃機関用
点火コイルとして、一次コイルおよび二次コイルを巻回
した樹脂製のボビンを棒状のセンターコア(磁路鉄心で
珪素鋼板を多数積層したもの)の外周に配設し、センタ
コア、各コイル、各コイルを巻回したボビンを収容する
細長胴体形のコイルケース内に絶縁用の樹脂を充填する
ものが開発されている。
【0003】この独立点火形の内燃機関用点火コイルで
は、センタコア、二次ボビンに巻回された二次コイルを
内側、一次ボビンに巻回された一次コイルを外側に配置
する内二次コイル構造が静電浮遊容量を小さくできるた
め、小型、高出力化に適した構造となっている。
【0004】これら独立点火形の内燃機関用点火コイル
において、前記の内二次コイル構造およびコイルケース
内絶縁樹脂注入硬化方式を採用する場合には、二次ボビ
ンとセンターコアや二次コイル周囲の耐熱衝撃性の向上
と絶縁性能の保証が不可欠である。
【0005】すなわち、コイルケースに内側から順にセ
ンターコア、二次コイル、一次コイルを内蔵した内二次
コイル構造方式は、電位差のある二次コイルとセンター
コア間および二次コイルと一次コイル間の絶縁樹脂にお
いて熱応力に起因するクラックまたは剥離が発生する
と、その空隙部の電解強度が極端に大きくなるいわゆる
電界集中が発生し、絶縁破壊が起こる。この熱応力はセ
ンターコア、二次ボビン、および二次コイルと一次コイ
ル間の絶縁樹脂の線膨張係数の違いから発生するもので
あり、温度変化に伴いそれぞれの構成部材接触面におい
て歪が生じ、この歪による応力が部材間の接着力または
部材の強度を上回った場合に剥離またはクラックが発生
する。
【0006】これらの課題を解決するため、一次ボビ
ン、二次ボビンの樹脂材料としては、ガラス繊維、マイ
カ、タルク、または石英紛などの無機充填剤を含む種々
の熱可塑性樹脂が提案されている。例えば、特開平9−1
67709号公報には二次ボビン材料、一次ボビン材料とし
て、それぞれ変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)が記載されてい
る。また、特願平9−255659号公報では、センタコア、
二次コイルと二次ボビンとの間で発生する熱衝撃を小さ
くするために二次ボビン材料として熱膨張係数の小さい
ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはPPSと他の樹
脂との混合材料が提案されている。さらに、特開平10−
289831号公報には、温度変化による耐熱衝撃性を増すた
め、靭性を向上したゴム成分を配合したPPO(ポリフェ
ニレンエーテルPPEと同じ樹脂)、ポリスチレン(P
S)、またはPBTが一次ボビンまたは二次ボビンの樹脂材
料として記載されている。
【0007】コイルケース内に充填する樹脂において
は、この樹脂が絶縁材としてだけではなく、コイルの線
材間に浸透してコイルの巻線崩れを防止する役割を有し
ており、前記の公知例では熱硬化性樹脂であるエポキシ
樹脂の注入硬化が行われている。 特に、特願平9−255
659号公報では、熱衝撃によるクラック防止のためにセ
ンターコアと二次ボビン間の隙間に低ガラス転移温度と
低弾性率を有する軟質の可とう性エポキシ樹脂が提案さ
れている。一方、二次コイルと一次ボビンとの間、一次
コイルとコイルケースとの間は耐熱ストレスと高温下で
の耐高電圧特性などを向上させるため、無機充填剤を含
み。しかもガラス転移温度の高い硬質のエポキシ樹脂を
注形硬化するのが一般的となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】独立点火形の内燃機関
用点火コイルは、コイル部の少なくとも一部がプラグホ
ール内に挿入されるためにペンシル形と細長い構造を有
しており、しかも前記の硬質エポキシ樹脂を注入する二
次ボビンとセンターコアとの間、二次コイルと一次ボビ
ンとの間、または一次コイルとコイルケースとの間の隙
間は狭い形状となっている。そのため、硬質エポキシ樹
脂の注形後熱硬化時に、コイル上下及び表裏における硬
化温度のバラツキによってエポキシ樹脂の硬化収縮によ
るヒケの発生や特性の変動がおきやすい構造となってい
る。エポキシ樹脂硬化物のヒケおよび物性の変動が大き
くなった場合は、硬質エポキシ樹脂と各ボビン、コイ
ル、またはコイルケースとの界面で剥離が発生する。ま
た、硬質エポキシ樹脂は、前記の狭い隙間への注入を容
易にするために低粘度が必須となり、エポキシ樹脂に配
合できるフィラ量は65wt%位が限度である。これらの
硬質エポキシ樹脂では加熱硬化時の硬化収縮がやや大き
くなる。さらに膨張係数の低下も不十分であるために熱
応力の増大が懸念される。熱応力の増大は硬質エポキシ
樹脂界面に剥離またはクラックの発生にまで至ることが
あり、信頼性の点でマージンが低くなる。
【0009】硬質エポキシ樹脂と各ボビンとの界面での
剥離を防止する方法として、一次ボビンまたは二次ボビ
ン用材料にエポキシ樹脂と相性の良い樹脂、例えば、変
性ポリフェニレンオキサイド(PPO)などを適用する方
法がある。しかし、一般にPPO樹脂はガラス転移温度
が160℃以下であるため耐熱性を要求する用途には適
用に限界がある。一方、高耐熱性樹脂、例えばPPS、
PBTなどを用いる場合は硬質エポキシ樹脂との接着性が
低下する傾向にあるため、樹脂表面に接着性を上げるた
めの煩雑な処理、例えばカップリング剤処理や表面粗化
処理など、が必要となる。
【0010】本発明の目的は、独立点火形の内燃機関用
点火コイルにおいて、特に内二次コイル構造およびコイ
ルケース内絶縁樹脂注入方式のコイルにおいて、コイル
形成時の作業性に優れ、かつ耐熱衝撃性と絶縁性能を向
上した高信頼性の点火コイルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、硬質エポキシ
樹脂の注入含浸性を容易にするとともに、各ボビンまた
は各コイルに対する接着性の向上と硬化収縮による応力
及び熱応力の低減を図るためになされたもので、基本的
には次のように構成する。
【0012】棒状のセンタコアと、前記センタコアの外
周に巻回された一次コイルおよび二次コイルと、前記一
次コイルを巻回する一次ボビン、および前記二次コイル
を巻回する二次ボビンと、前記点火コイル内に充填され
た樹脂絶縁材と、これらの部品を内装するコイルケース
とからなるエンジンの各点火プラグに直結して使用され
る独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、少なく
とも二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルと
コイルケースとの間に充填された前記樹脂絶縁材が無機
質充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、しかも
前記熱硬化性樹脂組成物中にはゴム成分または熱可塑性
樹脂が無機質充填剤を除く樹脂配合量100重量部に対
して3〜50重量部含有されることを特徴としており、前
記熱硬化性樹脂組成物が具体的には、無機質充填剤を除
く樹脂配合量100重量部に対してゴム成分または熱可
塑性樹脂を3〜50重量部含有するエポキシ樹脂組成物で
ある。熱硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレ
タン樹脂、シアネートエステル樹脂など種々のものも使
用できるが、エポキシ樹脂が成形性と作業性並びに樹脂
硬化物の諸物性、例えば耐熱性、接着性、吸湿特性な
ど、の特性において最もバランスがとれており、好適で
ある。
【0013】さらに、前記ゴム成分がエポキシ基、水酸
基、カルボキシル基またはアミノ基の中の少なくとも1
種類以上の官能基を有するブタジエン系、またはシリコ
ーン系のゴムまたはオイルであることを特徴としてい
る。また、前記ゴム成分の別の種類としてブタジエン
系、アクリル系、またはシリコーン系ゴムを樹脂で被覆
したコア/シェル型ゴム成分、または0.1〜3μm径
のアクリル系ゴム微粒子またはブタジエン系ゴム微粒
子、を用いる。これらのゴム成分は主成分であるエポキ
シ樹脂と非相溶系でありながら、一部エポキシ樹脂と反
応または相容する官能基を有するため、熱硬化後は球状
のゴム成分がエポキシ樹脂中に均一に分散した形態を示
す。ゴム成分とエポキシ樹脂との間は前記のエポキシ樹
脂と反応または相容する官能基により、お互いに接着し
た界面相を形成する。この形態はエポキシ樹脂のガラス
転移温度をほとんど低下させないで、樹脂の高接着化、
低弾性率化および高靭性化を図ることができる。この場
合、分散ゴムまたはオイルの粒子径は0.1〜5μm、
好ましくは0.1〜3μmである。粒子径が0.1μm
未満ではエポキシ樹脂のガラス転移温度が大幅に低下
し、耐熱性が劣る。また、5μmを超える分散粒子径で
は樹脂の高接着化、低弾性率化および靭性の向上に対し
てほとんど効果がなく、3μmを超えた場合にもこの効
果は小さい。ゴムまたはオイルの微粒子が分散したエポ
キシ樹脂は前記の物性向上により、温度変化時の熱応力
低減と耐クラック性向上に有効であり、内二次コイル構
造からなる内燃機関用点火コイルの耐熱衝撃性と高温で
の絶縁性能を大幅に向上できる。さらに、前記のゴムま
たはオイル成分は、エポキシ樹脂の加熱硬化時において
は膨張挙動を示すため、見かけ上、エポキシ樹脂の硬化
収縮を小さくし、硬化収縮による応力の発生を抑えるこ
とができる。
【0014】本発明においては、さらに、ポリエステル
系熱可塑性樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂、ポ
リウレタン系熱可塑性樹脂、ポリスルホン系熱可塑性樹
脂、またはナイロン系熱可塑性樹脂の少なくとも1種類
を含有するエポキシ樹脂組成物を、少なくとも二次コイ
ルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイルケース
との間に充填する樹脂絶縁材として用いる。この樹脂絶
縁材は、内に含まれる熱可塑性樹脂が熱硬化時に熱膨張
するため、見かけ上、エポキシ樹脂の硬化収縮の低減を
図ることができる。さらに、これらの熱可塑性樹脂は樹
脂そのもののが靭性を有するため、これらを含有するエ
ポキシ樹脂の靭性を向上させることができる。
【0015】本発明において、無機充填剤を除く樹脂配
合量100重量部に対して、ゴム成分または熱可塑性樹脂
を3〜50重量部含有するエポキシ樹脂組成物は、少なく
とも二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルと
コイルケースとの間に充填される樹脂絶縁材を形成する
ために使用されるが、センターコアと二次ボビン間の樹
脂絶縁材としても用いることができる。この場合は本発
明による低弾性または低線膨張係数を有するエポキシ樹
脂組成物を直接、センターコアと二次ボビン間に注入、
硬化する。また、センターコアとボビン間の線膨張係数
の違いによる熱応力を緩和するため、センターコア表面
にあらかじめ低ガラス転移温度と低弾性率を有するゴム
材または可とう性エポキシ樹脂やウレタン樹脂による樹
脂薄層を設けた後、前記のエポキシ樹脂を注入、硬化す
る方法を採用することもできる。
【0016】本発明におけるゴム成分または熱可塑性樹
脂を無機充填剤を除く樹脂配合量100重量部に対して、
3〜50重量部含有するエポキシ樹脂組成物は、耐熱衝撃
性と高温下での耐高電圧特性の両方の特性が要求される
ため、樹脂の特性としては、ガラス転移温度が100〜150
℃、線膨張係数がガラス転移温度以下において15〜45pp
m/℃、弾性率が室温において5000〜20000Mpaの範囲で
あることが好ましい。 ガラス転移温度が100℃未満で
は耐高電圧特性が低下し、150℃を超えると熱応力が増
大して熱衝撃性が劣る。線膨張係数が15ppm/℃未満で
は、エポキシ樹脂中に配合される無機充填剤の量が80wt
%以上必要となるため、樹脂の粘度上昇が顕著となり注
形含浸が困難になる。一方、線膨張係数が45ppm/℃を
超えると熱衝撃性の向上がほとんどみられなくなる。弾
性率が5000MPa未満では高温の絶縁特性の低下が起き、2
0000MPaを超えると熱応力が増大して耐熱衝撃性の低下
が生じる。
【0017】本発明において用いるエポキシ樹脂組成物
はエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、ゴム成分または
熱可塑性樹脂、無機充填剤および各種添加剤の構成から
なる。
【0018】エポキシ樹脂としては、1分子内に2個以
上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂全般を意味するもの
であるが、点火コイルへの注入含浸時の易作業性と低粘
度性を考慮すると、室温で液状のものが好ましい。エポ
キシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールS、ビスフェノールF、およびビスフェノールAD
とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるビスフェ
ノール系エポキシ樹脂、シクロヘキセンのような脂環式
化合物から得られるエポキシ樹脂、グリセリンなどの脂
肪族多価アルコールから得られるエポキシ樹脂などがあ
る。必要であれば、樹脂の低粘度化を図るため、エポキ
シ基を1〜2個有する化合物を反応希釈剤として用いる
こともできる。
【0019】本発明においては、硬化剤として、樹脂の
低粘度化のために酸無水物、脂肪族アミン、ポリアミ
ド、液状フェノール化合物などの室温で液状のものを用
いる。これらの中で、低粘度で、しかも樹脂硬化物のガ
ラス転移温度が高く、吸湿率も比較的小さくできること
から酸無水物が好適である。酸無水物の例としては、メ
チルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレン
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸などの室温で液状のものがある。
【0020】本発明において、硬化促進剤としてはトリ
フェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムフェ
ニルボレートなどの含リン有機塩基性化合物またはこれ
らのテトラ置換ボロン塩、トリエチレンジアミン、ベン
ジルメチルアミンなどの3級アミン、1,8−ジアザビ
シクロ(5,4,0)−ウンデセン、イミダゾールなど
の少なくとも1種を用いることができる。
【0021】本発明でもっとも重要な構成であるゴム成
分または熱可塑性樹脂の配合量は、無機質充填剤を除い
た樹脂配合量100重量部に対して3〜50重量部であ
ることが好ましい。これはゴム成分または熱可塑性樹脂
の配合量が3重量部未満では樹脂硬化物の高接着化、低
弾性率化、および高靭性化に対してほとんど効果がな
く、50重量部を超えると、樹脂組成物の粘度上昇が顕
著になり、コイル内への注入含浸ができなくなるためで
ある。ゴム成分として用いるエポキシ基、水酸基、カル
ボキシル基またはアミノ基の中の少なくとも1種類以上
の官能基を有するブタジエン系ゴムには、例えば、末端
カルボキシル基変性アクリロニトリル.ブタジエンゴ
ム、末端アミノ基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴ
ム、末端エポキシ基変性アクリロニトリル・ブタジエン
ゴム、またはアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン
共重合体などがある。また、エポキシ基、水酸基、カル
ボキシル基またはアミノ基の中の少なくとも1種類以上
の官能基を有するシリコーンゴムまたはオイルとして
は、末端または側鎖を前記の各種官能基で変性したジメ
チルシロキサンまたはフェニルシロキサン重合体があ
る。これらのブタジエン系ゴムまたはシリコーンゴム
(オイル)はエポキシ樹脂組成物と機械的に混合する方
法の他に、あらかじめエポキシ樹脂と予備反応して均一
分散させた後に他の構成材料と混合する方法を採用する
こともできる。ブタジエン系、アクリル系、またはシリ
コーン系ゴムを樹脂で被覆したコア/シェル型ゴム成分
としては、例えば、乳化重合によってポリブタジエン共
重合体やポリブチルアクリレート共重合体またはシリコ
ーン重合体の表面をポリメチルメタクリレートやグリシ
ジルメタクリレートまたはエチレングリコールメタクリ
レートなどのエポキシ樹脂と相容性の良い樹脂で被覆し
たものがある。コア/シェル型ゴムの粒子径は前記の通
り、0.1〜3μmが好ましい。さらに、0.1〜3μ
m径のアクリル系ゴム微粒子またはブタジエン系ゴム微
粒子としては、アクリルゴムまたはアクリロニトリルブ
タジエンゴムをあらかじめ特殊乳化剤または相溶化剤と
ともに液状エポキシ樹脂に均一混合したものを用いるこ
とができる。また、熱可塑性樹脂としては、前記のポリ
エステル系熱可塑性樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性
樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリスルホン系熱
可塑性樹脂、またはナイロン系熱可塑性樹脂の少なくと
も1種類を用いるが、分子量としては500〜5000
0の範囲のものが好ましい。分子量500未満では樹脂
硬化物の高靭性化にはほとんど効果が無く、分子量50
000を超えると樹脂組成物の粘度が急激に増大した
り、熱可塑性樹脂が分離するなどの問題がある。熱可塑
性樹脂の配合量は前記のように樹脂配合量100重量部
に対して3〜50重量部であるが、コイル内への注入含
浸できる樹脂組成物の粘度を考慮すると、3〜20重量
部がさらに好適である。
【0022】本発明では、樹脂組成物全体に対して40
〜80重量%の無機質充填剤を配合する。無機質充填剤は
硬化物の線膨張係数や熱伝導率、弾性率などの改良を目
的に添加するものであり、この配合量が40重量%未満
ではこれらの特性の改良を充分に行なえず、また、80
重量%を超えて配合した場合には樹脂の粘度が著しく上
昇しコイル内への注入含浸ができなくなる。無機充填剤
としては種々の化合物が挙げられるが、具体的には結晶
性シリカ、マイカ、タルク、溶融シリカ、アルミナ、ボ
ロンナイトライド、アルミニウムナイトライドから選ば
れる少なくとも1種の無機質粒子が好ましい。これらの
充填剤の平均粒径は1〜30μmが好ましい。これは平
均粒径が1μm未満であると樹脂組成物の粘度が上昇し
注入含浸性が著しく低下するためであり、また、30μ
mを超えると注入時に樹脂成分と充填剤の分離が起きや
すく硬化物が不均一となり硬化物物性にバラツキが生じ
たり、狭い隙間への充填性が悪くなる。無機質充填剤の
形状としては破砕状(角形)または球形のどちらも用い
ることができるが、樹脂組成物の粘度と硬化物物性との
兼ね合いで両者を併用してもよい。特に、コイル内への
注入含浸性を重視する場合には、無機質充填剤をすべて
球形にし、しかも粒度分布を広くすることを行えば、よ
り低粘度の樹脂組成物を得ることができる。
【0023】本発明のエポキシ樹脂組成物にはこの他必
要に応じて、樹脂成分と無機質充填剤との接着性を高め
るためのカップリング剤、着色のための染料、顔料、ま
たはカーボンなどの着色剤、無機質充填剤の沈降を防止
するための水和アルミナやアエロジルなどの沈降防止剤
などの各種添加剤を発明の目的を損なわない範囲におい
て用いることができる。
【0024】本発明の独立点火形の内燃機関用点火コイ
ルにおいて、コイル作成の作業性とコイルそのものの耐
熱衝撃性および絶縁特性が優れるのは、少なくとも二次
コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイルケ
ースとの間にゴム成分または熱可塑性樹脂を含有するエ
ポキシ樹脂組成物を注入、硬化して樹脂絶縁材を形成す
ることにより、エポキシ樹脂の硬化収縮による発生応力
を低減できるとともに、樹脂硬化物の低弾性化および高
接着化による効果が温度変化時の熱応力を小さくし、点
火コイルの各種信頼性において信頼性マージンを大きく
するように作用するためである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面により説明
する。
【0026】(実施例1)本発明の第1実施例による点
火コイルを図1および図2に基づいて説明する。
【0027】図1に点火コイル装置21の縦断面図および
その一部を拡大したE部拡大断面図を示し、図2に図1
のA−A'線断面図を示す。図1に示す点火コイルは、エ
ンジンブロックの上部に気筒毎に形成されたプラグホー
ル内に内蔵され、点火プラグと図1の下側で電気的に接
続している。細長円筒系のコイルケース(外装ケース)
6の内部には、内側から外側に向けて順にセンターコア
1、二次ボビン2、二次コイル3、一次ボビン4、一次コイ
ル5が収容されている。
【0028】センターコア1は、その断面積を増やすよ
うに、幅長を数段階に設定した多数の0.3〜0.5mm程度
の珪素鋼板あるいは方向性珪素甲板をプレス積層してお
り、二次ボビン2の内側に挿入される。
【0029】二次ボビン2は、センターコア1と二次コイ
ル3の間に配置され、二次コイル4で発生した高電圧を絶
縁する役割がある。二次ボビン2の材料はガラス繊維と
タルクなどの無機質充填剤を40〜70重量%以上配合され
た熱可塑性樹脂PPSである。
【0030】二次ボビン2に巻かれる二次コイル3は、線
径0.03〜0.06mm程度のエナメル線を用いて合計10000〜3
0000回程度分割巻されている。二次コイル3を巻いた二
次ボビン2の外径は、一次ボビン4の内径よりも小径に形
成して二次ボビン2および二次コイル3が一次ボビン4の
内側に位置している。二次ボビン2の肉厚は0.5〜1.2mm
にする。図1においては、前記のエナメル線の巻回を容
易にし、さらに、二次ボビンのアンカー効果によるエポ
キシ樹脂に対する接着力を向上させる目的で、二次ボビ
ンに鍔2Bを形成している。二次ボビンとしては前期のPP
Sの他に、変性PPOで形成してもよいが、ガラス繊維、タ
ルク、マイカなどの無機質充填剤を20〜60重量%配合さ
れた低熱膨張性で、しかもガラス転移温度が150℃以上
のものを用いる。
【0031】一次ボビン4も、二次ボビン2と同様にガラ
ス繊維とタルクなどの無機質充填剤を40〜70重量%以上
配合された熱可塑性樹脂PPSで形成され、一次コイル5が
巻線されている。この時、一次ボビン4の肉厚は0.5〜1.
2mmである。一次ボビンにおいても、低熱膨張性で高ガ
ラス転移温度を有する変性PPOを用いることができる。
【0032】また、PPS、変性PPOの他に無機質充填剤を
配合したPBT熱可塑性樹脂を採用することも可能であ
る。
【0033】一次コイル5は線径0.3〜1.0mm程度のエナ
メル線を一層あたり数十回ずつ数層にわたり合計100〜3
00回程度巻回される。
【0034】点火コイルの構成材料の周囲には絶縁用の
熱硬化性樹脂が注入される。まず、センターコア1と二
次ボビン2間の隙間には、低弾性率(室温の弾性率1000M
Pa以下)でガラス転移温度が室温以下の軟質エポキシ樹
脂17が充填される。軟質エポキシ樹脂の注型は、例え
ば、二次ボビンにセンターコアを挿入後、これらを真空
チャンバー内で真空引きし、この真空下で二次ボビン2
とセンターコア1との間に液状の軟質エポキシ樹脂を注
入含浸し、その後100〜150℃で1〜3時間加熱硬化させ
る方法を採用する。
【0035】次に、本発明によるエポキシ樹脂が、以下
のようにして充填される。
【0036】図1に示すように、コイルケース6と結合
されるコネクタ付きケース9は、その底部9Eがコイルケ
ース6上部に連通して前記コネクタ付き回路ケース9の内
部からコイルケース6の二次コイル3、一次ボビン4間お
よび一次コイル5、コイルケース6間にかけてエポキシ樹
脂8を真空注入後、大気圧で70℃/2時間+110℃/1時間
+140℃/3時間の硬化条件で加熱硬化する。このエポキ
シ樹脂8は次のようにして得られる。
【0037】室温で液状のビスフェノールA型エポキシ
樹脂100重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸95重
量部、末端カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴム(分子量3400)20重量部、硬化促進剤として
イミダゾール1重量部、エポキシ系シランカップリング
剤2重量部をミキサーで均一に混合後、この樹脂40重量
%と溶融シリカと結晶性シリカを5/5の割合で併用した
無機質充填剤60重量%とを再度、均一に混合する。この
エポキシ樹脂組成物の80℃における粘度は10Pa・sであ
り、樹脂硬化物の線膨張係数が32ppm/℃、曲げ弾性率
が室温で12500MPaである。表1には、得られたエポキシ
樹脂においてボビン材の1種であるPPS熱可塑性樹脂(ガ
ラス繊維40重量%、タルク13重量%を配合)に対する接
着力と衝撃強度を示す。PPSに対する接着力は幅10mm、
長さ50mm、厚さ5mmのPPS板の間にエポキシ樹脂組成
物を挿入後(接着面積は1cm2である)、前記と同様の
硬化条件にて加熱硬化した試料をせん断(せん断速度:
50mm/分)によって室温で測定した。衝撃強度は日本規
格協会JIS K-6911に基づいて測定した結果である。
【0038】
【表1】
【0039】なお、本実施例のエポキシ樹脂組成物は、
エポキシ樹脂と硬化剤を別々の2液として扱い、コイル
への吐出注入時に1液に混合できる混合吐出機を用いて
充填することも可能である。この場合、無機質充填剤や
各種の添加剤はどちらか一方または両者の液とあらかじ
め混合しておくことも可能である。
【0040】最後にコイルケース6とサイドコア7が取付
けられて、点火コイル21が得られる。 この時、コイル
ケース6は耐熱性の点からPPS、変性PPS、PBTなどの熱可
塑性樹脂、またはPPSに変性PPOを20重量%以下配合した
混合樹脂などが用いられる。コイルケース6の外側面に
装着されるサイドコア7は、センターコア1と協働して磁
路を構成するもので、0.3〜0.5mm程度の薄い珪素鋼また
は方向性珪素板を管状に丸めて形成する。サイドコア円
周上において少なくとも1箇所は軸方向に切れ目を設け
ている。
【0041】以上のようにして、本発明によるエポキシ
樹脂組成物を用いて形成した内燃機関用点火コイルの各
種信頼性の評価結果を表2に示す。
【0042】なお、表2に示す各信頼性評価内容は次の
通りである。
【0043】(1)ヒートショック試験 −40℃/1時間⇔130℃/1時間を1サイクルとし
て、各温度サイクルにおいてクラックまたは電圧、電流
波形乱れによる絶縁不良が発生した本数。試料数は各10
本である。
【0044】(2)高温動作特性試験 周囲温度130℃において、電源電圧14ボルト、放電電圧2
5ボルトを通電時間2m秒、周波数50ヘルツの条件で負
荷し、各放置時間でレアショートによる絶縁不良が発生
した本数。試料数は各10本である。
【0045】
【表2】
【0046】(実施例2)二次コイル3と一次ボビン4と
の間または一次コイル5とコイルケース6との間に充填す
るエポキシ樹脂組成物を除き、実施例1と同様のコイ
ル、ボビン材、およびコイルケース材を用いて点火コイ
ルを作成する。本実施例の充填用エポキシ樹脂組成物8
は次のようにして得られる。
【0047】ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重
量部、末端カルボキシル基変性シリコーン(分子量29
00)30重量部、硬化促進剤としてトリフェニルホスフ
ィン0.3重量部をトルエンに溶解させ、100℃2時間予備
反応させる。その後、真空蒸発によりトルエンを揮散さ
せてシリコーンオイル成分を有するエポキシ樹脂を得
る。このエポキシ樹脂に、メチルヘキサヒドロ無水フタ
ル酸90重量部、イミダゾール硬化促進剤1.5重量部、エ
ポキシシランカップリング剤2重量部とを加え、樹脂分
40重量%となるように、溶融シリカ60重量%を配合して
ミキサーを用いて均一の混合する。得られたエポキシ樹
脂組成物のの80℃における粘度は12Pa・s、樹脂硬化物
の線膨張係数が30ppm/℃、曲げ弾性率が室温で11300M
Paであり、本実施例によるエポキシ樹脂硬化物の接着力
と衝撃強度を表1に示す。
【0048】このエポキシ樹脂組成物を実施例1と同様
にコイルケース6の二次コイル3、一次ボビン4間および
一次コイル5、コイルケース6間に真空注入後、実施例1
と同様の硬化条件で加熱硬化する。最後にコイルケース
6とサイドコア7を取付けて点火コイル21を得る。
【0049】以上のようにして得られた内燃機関用点火
コイルの各種信頼性の評価結果を表2に示す。
【0050】(実施例3)二次コイル3と一次ボビン4と
の間または一次コイル5とコイルケース6との間に充填す
るエポキシ樹脂組成物を除き、実施例1と同様のコイ
ル、ボビン材、およびコイルケース材を用いて点火コイ
ルを作成する。本実施例の充填用エポキシ樹脂組成物は
次のようにして得られる。
【0051】脂環式エポキシ樹脂であるアリサイクリッ
クジエポキシカルボキシレート100重量部、メチルヘキ
サヒドロ無水フタル酸95重量部、ポリブチルアクリレー
ト共重合体をコア剤とし、ポリメチルメタクリレートを
シェル剤としたコア/シェル型ゴム成分25重量部、硬化
促進剤としてイミダゾール1重量部、エポキシ系シラン
カップリング剤2重量部をミキサーで均一に混合後、こ
の樹脂45重量%と溶融シリカとアルミナを9/1の割合で
併用した無機質充填剤65重量%とを再度、均一に混合す
る。このエポキシ樹脂組成物の80℃における粘度は18Pa
・s、樹脂硬化物の線膨張係数が35ppm/℃、曲げ弾性率
が室温で10800MPaであり、本実施例によるエポキシ樹脂
硬化物の接着力と衝撃強度を表1に示す。
【0052】このエポキシ樹脂組成物を実施例1と同様
にコイルケースの二次コイル、一次ボビン間および一次
コイル、コイルケース間に真空注入後、実施例1と同様
の硬化条件で加熱硬化する。最後にコイルケースとサイ
ドコアを取付けて点火コイル21を得る。
【0053】以上のようにして得られた内燃機関用点火
コイルの各種信頼性の評価結果を表2に示す。
【0054】(実施例4)二次コイル3と一次ボビン4と
の間または一次コイル5とコイルケース6との間に充填す
るエポキシ樹脂組成物を除き、実施例1と同様のコイ
ル、ボビン材、およびコイルケース材を用いて点火コイ
ルを作成する。本実施例の充填用エポキシ樹脂組成物8
は次のようにして得られる。
【0055】エポキシ樹脂100重量部に対してアクリル
ゴム20重量部を0.3μmの1次粒子径としてあらかじめ均
一分散させた液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂
(日本触媒製:CX-MN110)100重量部、メチルヘキサヒ
ドロ無水フタル酸95重量部、硬化促進剤としてイミダ
ゾール1重量部、エポキシ系シランカップリング剤2重
量部をミキサーで均一に混合後、この樹脂40重量%と溶
融シリカ(球形/角形=7/3の割合で混合)60重量%と
を再度、均一に混合する。このエポキシ樹脂組成物の80
℃における粘度は8Pa・s、樹脂硬化物の線膨張係数が3
3ppm/℃、曲げ弾性率が室温で12000MPaであり、本実施
例によるエポキシ樹脂硬化物の接着力と衝撃強度を表1
に示す。
【0056】このエポキシ樹脂組成物を実施例1と同様
にコイルケース6の二次コイル3、一次ボビン4間および
一次コイル5、コイルケース6間に真空注入後、実施例1
と同様の硬化条件で加熱硬化する。最後にコイルケース
6とサイドコア7を取付けて点火コイル21を得る。
【0057】以上のようにして得られた内燃機関用点火
コイルの各種信頼性の評価結果を表2に示す。
【0058】(実施例5)二次コイル3と一次ボビン4と
の間または一次コイル5とコイルケース6との間に充填す
るエポキシ樹脂組成物を除き、実施例1と同様のコイ
ル、ボビン材、およびコイルケース材を用いて点火コイ
ルを作成する。本実施例の充填用エポキシ樹脂組成物8
は次のようにして得られる。
【0059】室温で液状のビスフェノールAD型エポキ
シ樹脂100重量部、メチルテトラヒドロ無水フタル酸90
重量部、熱可塑性樹脂としてポリテトラメチレングリコ
ールとトルエンジイソシナネートの反応物であるウレタ
ンプレポリマー(分子量3000)30重量部、硬化促進剤と
してイミダゾール1重量部、エポキシ系シランカップリ
ング剤2重量部を含有する樹脂組成物40重量%と球状溶
融シリカ無機質充填剤60重量%とを再度、均一に混合す
る。このエポキシ樹脂組成物の80℃における粘度は20Pa
・s、樹脂硬化物の線膨張係数が36ppm/℃、曲げ弾性率
が室温で14000MPaであり、本実施例によるエポキシ樹脂
硬化物の接着力と衝撃強度を表1に示す。
【0060】得られたエポキシ樹脂組成物を実施例1と
同様にコイルケース6の二次コイル3、一次ボビン4間お
よび一次コイル5、コイルケース6間に真空注入後、実施
例1と同様の硬化条件で加熱硬化する。最後にコイルケ
ース6とサイドコア7を取付けて点火コイル21を得る。
【0061】以上のようにして得られた内燃機関用点火
コイルの各種信頼性の評価結果を表2に示す。
【0062】(比較例1)実施例1で用いたエポキシ樹
脂組成物において、末端カルボキシル基変性アクリロニ
トリル・ブタジエンゴムを除いた組成物を作成し、二次
コイル3と一次ボビン4との間または一次コイル5とコイ
ルケース6との間に真空注入後、実施例1と同様の硬化
条件にて加熱硬化する。このエポキシ樹脂組成物の80℃
における粘度は10Pa・s、樹脂硬化物の線膨張係数が34p
pm/℃、曲げ弾性率が室温で14000MPaであり、本実施例
によるエポキシ樹脂硬化物の接着力と衝撃強度を表1に
示す。
【0063】得られたエポキシ樹脂組成物を実施例1と
同様にコイルケース6の二次コイル3、一次ボビン4間お
よび一次コイル5、コイルケース6間に真空注入後、実施
例1と同様の硬化条件で加熱硬化する。最後にコイルケ
ース6とサイドコア7を取付けて点火コイルを得る。
【0064】以上のようにして得られた内燃機関用点火
コイルの各種信頼性の評価結果を表2に合わせて示す。
【0065】表1と表2から明らかなように、本発明の
エポキシ樹脂組成物は比較例と比べると、ボビン材であ
るPPSとの接着性に優れ、しかも靭性も向上している。
そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて作成し
た内燃機関用点火コイルは耐ヒートショック性と高温動
作特性が大幅に向上していることが分かる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、内二次コイル構造、コ
イルケース内絶縁樹脂注入効果方式の独立点火形の内燃
機関用点火コイルにおいて、耐熱衝撃性と絶縁性能を大
幅に向上した高信頼性のものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る点火コイル装置の縦断面
図およびその一部を拡大したE部拡大断面図。
【図2】図1のA−A’線断面図。
【符号の説明】
1…センターコア、2…二次ボビン、2A…二次ボビンヘッ
ド、3…二次コイル、4…一次ボビン、5…一次コイル、6
…コイルケース、7…サイドコア、8…本発明によるエポ
キシ絶縁樹脂、9…回路ケース、9B…コネクタハウジン
グ、17…軟質エポキシ樹脂、17‘…樹脂表面の加圧凹
部、18…一次、二次コイル兼用端子、19…一次コイル端
子、31…コネクタ端子、32…引出し端子(リード端
子)、37…金属ベース、39…点火制御駆動素子、40…点
火回路ユニット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋田 淳一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 中林 研司 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Fターム(参考) 5E044 AA01 AB01 AB07 AC01 AC02 AC04 DA01 DA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状のセンタコアと、前記センタコアの
    外周に巻回された一次コイルおよび二次コイルと、前記
    一次コイルを巻回する一次ボビン、および前記二次コイ
    ルを巻回する二次ボビンと、前記点火コイル内に充填さ
    れた樹脂絶縁材と、これらの部品を内装するコイルケー
    スとからなるエンジンの各点火プラグに直結して使用さ
    れる独立点火形の内燃機関用点火コイルにおいて、少な
    くとも二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイル
    とコイルケースとの間に充填された前記樹脂絶縁材が無
    機質充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、しか
    も前記熱硬化性樹脂組成物中にはゴム成分または熱可塑
    性樹脂が無機質充填剤を除く樹脂配合量100重量部に
    対して3〜50重量部含有されることを特徴とする内燃
    機関用点火コイル。
  2. 【請求項2】 前記点火コイル内において、少なくとも
    二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイ
    ルケースとの間に充填された樹脂絶縁材が無機質充填剤
    を含有するエポキシ樹脂組成物であり、しかも前記エポ
    キシ樹脂組成物中にはゴム成分または熱可塑性樹脂が無
    機質充填剤を除く樹脂配合量100重量部に対して3〜
    50重量部含有されることを特徴とする請求項1記載の
    内燃機関用点火コイル。
  3. 【請求項3】 前記点火コイル内において、少なくとも
    二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイ
    ルケースとの間に充填された樹脂絶縁材がエポキシ基、
    水酸基、カルボキシル基またはアミノ基の中の少なくと
    も1種類以上の官能基を有するブタジエン系またはシリ
    コーン系のゴムまたはオイルを含有するエポキシ樹脂組
    成物であることを特徴とする請求項1または2記載の内
    燃機関用点火コイル。
  4. 【請求項4】 前記点火コイル内において、少なくとも
    二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイ
    ルケースとの間に充填された樹脂絶縁材がブタジエン
    系、アクリル系、またはシリコーン系ゴムを樹脂で被覆
    したコア/シェル型ゴム成分を含有することを特徴とす
    る請求項1または2記載の内燃機関用点火コイル。
  5. 【請求項5】 前記点火コイル内において、少なくとも
    二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイ
    ルケースとの間に充填された樹脂絶縁材が0.1〜3μ
    m径のアクリル系ゴム微粒子またはブタジエン系ゴム微
    粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載
    の内燃機関用点火コイル。
  6. 【請求項6】 前記点火コイル内において、少なくとも
    二次コイルと一次ボビンとの間または一次コイルとコイ
    ルケースとの間に充填された樹脂絶縁材がポリエステル
    系熱可塑性樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂、ポ
    リウレタン系熱可塑性樹脂、ポリスルホン系熱可塑性樹
    脂、ナイロン系熱可塑性樹脂の少なくとも1種類を含有
    するエポキシ樹脂組成物であることを特徴とする請求項
    1または2記載の内燃機関用点火コイル。
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