JPWO2012081710A1 - 二次電池用非水電解液および二次電池 - Google Patents

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Abstract

CHF2CF2CH2OCF2CFHCF3を主成分とし、炭素材料からなる負極を有する二次電池において優れたサイクル特性が得られる二次電池用非水電解液、および該二次電池用非水電解液を有する二次電池の提供を目的とする。リチウム塩と、特定量のCHF2CF2CH2OCF2CFHCF3と、炭素材料からなる負極表面に被膜を形成し得る特定量の被膜形成剤とを含有する二次電池用非水電解液。また、リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる炭素材料からなる負極と、前記二次電池用非水電解液を有する二次電池。

Description

本発明は、二次電池用非水電解液および二次電池に関する。
二次電池用非水電解液としては、リチウム塩の溶解性が高く、優れた電導度が得られるエチレンカーボネート等のカーボネート系溶媒が広く使用されている。また、黒鉛負極の表面に被膜(SEI:Solid electrolyte interface)を形成して二次電池のサイクル特性を向上させるために、カーボネート系溶媒にビニレンカーボネート等の被膜形成剤を添加することが提案されている(特許文献1)。
一方、不燃性(難燃性)を高めるために、電解液にフッ素系溶媒を添加することが知られている。フッ素系溶媒を使用した電解液では、リチウム塩の溶解性を向上させるため、リチウム塩とグライム系溶媒で錯体を形成させることが提案されている。リチウム塩とグライム系溶媒の錯体をフッ素系溶媒に含ませた非水電解液としては、たとえば、リチウム塩、CFCHOCFCFH等の含フッ素エーテル溶媒、グライム系溶媒、および任意でビニレンカーボネート等の被膜形成剤を含む非水電解液(特許文献2)がある。
特開2004−31366号公報 国際公開第2009/133899号
本発明者らは、含フッ素エーテル溶媒の中でも沸点が高く、不燃性および耐酸化性に優れているという理由から、CHFCFCHOCFCFHCFを非水電解液の主成分として使用することを検討した。ところが検討の結果、炭素材料からなる負極を有する二次電池において、充分なサイクル特性が得られ難いことがわかった。
本発明は、炭素材料からなる負極を有する二次電池に使用する非水電解液として、CHFCFCHOCFCFHCFを主成分としながら、優れたサイクル特性を有する二次電池用非水電解液の提供を目的とする。また、本発明は、炭素材料からなる負極と、CHFCFCHOCFCFHCFを主成分とする非水電解液を有し、サイクル特性に優れた二次電池の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]リチウム塩と、CHFCFCHOCFCFHCFで表される含フッ素エーテル溶媒と、炭素材料からなる負極表面に被膜を形成し得る被膜形成剤とを含有する二次電池用非水電解液であって、
非水電解液の総体積に対する前記含フッ素エーテル溶媒の含有量が50〜90体積%であり、かつ非水電解液の総質量に対する前記被膜形成剤の含有量が0.01〜0.5質量%である二次電池用非水電解液。
[2]前記被膜形成剤が、下式(1)で表わされる化合物および下式(2)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]に記載の二次電池用非水電解液。
Figure 2012081710
(ただし、式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。また、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜6のアルキル基である。)
[3]前記被膜形成剤がビニレンカーボネートである[1]に記載の二次電池用非水電解液。
[4]下式(3)で表される化合物を含有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
Figure 2012081710
(ただし、式中、mは1〜10の整数である。
は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基、または、該直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上が、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜5のアルキル基に置換された基である。mが2以上の場合、Qは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
およびRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。)
[5]非水電解液に含有されるリチウム塩の量が0.1〜3.0mol/Lであり、リチウム塩由来のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する化合物(3)由来のエーテル性酸素原子の総モル数(N)の比率である、(N)/(NLi)で表わされる値が1〜8である[4]に記載の二次電池用非水電解液。
[6]前記化合物(3)が、モノグライム、またはジグライムである、[4]または[5]に記載の二次電池用非水電解液。
[7]炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−O−で表される結合を有し、環構造を形成する炭素原子に直接フッ素原子が結合しておらず、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物(4)、および、炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−C−で表される結合を有する化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する[1]〜[6]のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
[8]前記化合物(4)を含み、かつ前記化合物(4)が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、またはブチレンカーボネートである、[7]に記載の二次電池用非水電解液。
[9]非水電解液の総体積に対する前記化合物(4)および化合物(5)の合計量が0体積%超50体積%以下である[7]または[8]に記載の二次電池用非水電解液。
[10]リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる炭素材料からなる負極と、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液とを有する二次電池。
[11]前記炭素材料が黒鉛である[10]に記載の二次電池。
本発明の二次電池用非水電解液は、CHFCFCHOCFCFHCFを主成分としながら、炭素材料からなる負極を有する二次電池において、優れたサイクル特性を付与できる。
また、本発明の二次電池は、炭素材料からなる負極と、本発明に二次電池用非水電解液を有し、優れたサイクル特性を有している。
本明細書中では、特に説明しない限り、式(1)で表される化合物を化合物(1)と示し、他の式についても同様に示す。
<二次電池用非水電解液>
本発明の二次電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」という。)は、リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる炭素材料からなる負極を有する二次電池に使用する非水電解液である。本発明の非水電解液は、後述するリチウム塩および含フッ素エーテル溶媒と、特定量の被膜形成剤(SEI形成剤)を含む。
本発明の非水電解液は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、後述する化合物(3)、炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−O−で表される結合を有し、環構造を形成する炭素原子に直接フッ素原子が結合しておらず、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物(4)(以下、「化合物(4)」ともいう。)、炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−C−で表される結合を有する化合物(5)(以下、「化合物(5)」ともいう。)および界面活性剤から選ばれる成分、ならびにその他の化合物が挙げられる。炭素−炭素不飽和結合とは、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合である。
非水電解液とは、水を実質的に含まない溶媒を用いた電解液であり、仮に水を含んでいたとしてもその水分量が該非水電解液を用いた二次電池の性能劣化が見られない範囲の量である電解液である。かかる非水電解液中に含まれうる水分量は、電解液の総質量に対して500質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましく、50質量ppm以下であることが特に好ましい。水分量の下限値は、0質量ppmである。
[リチウム塩]
リチウム塩は、非水電解液中で解離してリチウムイオンを供給する電解質である。リチウム塩としては、LiPF、下記化合物(A)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、下記化合物(B)、下記化合物(C)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。リチウム塩としては、LiPF、LiBFおよび化合物(A)からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
リチウム塩としては1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のリチウム塩を併用する場合の組み合わせは、国際公開第2009/133899号に開示される組み合わせが挙げられる。
リチウム塩としては、LiPFを必須とすることがより好ましく、LiPFのみを用いることが特に好ましい。
Figure 2012081710
ただし、化合物(A)におけるkは1〜5の整数である。
化合物(A)としては、たとえば、下記化合物(A−1)〜(A−4)が挙げられる。本発明の非水電解液は、電導度の高い非水電解液が得られやすい点から、化合物(A)を使用する場合には、kが2の化合物(A−2)を必須とすることが好ましく、kが2の化合物(A−2)のみからなることがより好ましい。
Figure 2012081710
非水電解液中のリチウム塩の含有量は、特に限定されず、0.1〜3.0mol/Lが好ましく、0.5〜2.0mol/Lが特に好ましい。リチウム塩の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、電導度の高い非水電解液が得られやすい。また、リチウム塩の含有量が上記範囲の上限値以下であれば、本発明の電解液においてリチウム塩が均一に溶解しやすい。
[含フッ素エーテル溶媒]
含フッ素エーテル溶媒は、非水電解液に不燃性を付与する溶媒として用いる。本発明の非水電解液では、含フッ素エーテル溶媒として、CHFCFCHOCFCFHCF(以下、「HFE5510」という。)を使用する。HFE5510は、含フッ素エーテルのなかでも沸点が高く、不燃性および耐酸化性が特に優れる。
非水電解液の総体積(100体積%)におけるHFE5510の含有量は、不燃性の点から、非電解液の総体積量に対して、50体積%以上である。HFE5510の含有量は、より優れた不燃性が得られやすい点から、55体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましい。また、HFE5510の含有量は、リチウム塩の溶解性を確保する点から、90体積%以下であり、80体積%以下が好ましく、75体積%以下がより好ましい。
[被膜形成剤]
被膜形成剤(SEI形成剤)は、炭素材料からなる負極(以下、「炭素負極」という。)上で分解して被膜(SEI)を形成する化合物であって、還元分解電位がリチウムに対する電位として0.05〜3Vであり、かつ炭素負極上で分解して、分解生成物がリチウムイオン導電性被膜を形成する化合物である。被膜形成剤としては、分解生成物であるリチウム導電性官能基を有する有機多量体がリチウムイオン導電性被膜を形成する有機化合物、または分解生成物であるカチオンとアニオンが炭素負極表面に堆積してリチウムイオン導電性被膜を形成する無機化合物が好ましい。
リチウム導電性官能基は、リチウムイオンの受け渡しが可能な官能基であり、炭酸残基(−CO)、硝酸残基(−NO)、硫酸残基(−SO)が好ましい。
なお、前記還元分解電位とは、用いようとする電解液に1質量%の濃度でSEI形成剤を溶解し、作用極に用いようとする炭素負極を、参照極にリチウム金属箔を用い、掃引速度0.05mV/sにおいてサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した際の、SEI形成剤の還元分解に由来する電流値のピーク電位を意味する。
被膜形成剤としては、還元分解電位が、0.1〜2.0Vの化合物が好ましく、0.2〜1.5Vの化合物がより好ましい。被膜形成剤の還元分解電位が下限値以上であれば、その他の電解液成分が還元分解される以前にリチウムイオン導電性被膜を形成することができる。被膜形成剤の還元分解電位が上限値以下であれば、正極側で酸化分解されるよりも早く炭素負極で還元分解され、炭素負極表面にリチウムイオン導電性被膜を形成することができる。
有機化合物である被膜形成剤としては、たとえば、下記化合物(1)、(2)等が挙げられる。下記化合物(1)および化合物(2)は、炭素負極上で分解して、炭酸残基を有する有機多量体であるリチウムイオン導電性被膜を形成すると考えられる。
Figure 2012081710
ただし、前記式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子および塩素原子の少なくとも一方が好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜6のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含むアルキル基の炭素数は2〜6が好ましい。
化合物(1)と化合物(2)は、いずれかを単独で使用してもよく、化合物(1)と化合物(2)を併用してもよい。
化合物(1)としては、たとえば、ジメチルビニレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
化合物(2)としては、たとえば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
また、化合物(1)、化合物(2)以外の有機化合物である被膜形成剤としては、たとえば、硫酸アルキル類等が挙げられる。硝酸アルキル類は炭素負極上で分解して硫酸残基を有する有機多量体であるリチウムイオン導電性被膜を形成すると考えられる。
硫酸アルキル類としては、たとえば、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等が挙げられる。
無機化合物である被膜形成剤としては、カチオンがアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、かつアニオンが炭酸アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオンまたはハロゲンアニオンである化合物が好ましい。このような化合物は、炭素負極表面に存在する水酸基等の官能基との水素結合等による相互作用によって、電解液中に溶解したアニオンの一部または全部が炭素負極上に堆積してリチウムイオン導電性被膜を形成すると考えられる。
無機化合物である被膜形成剤としては、たとえば、炭酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
被膜形成剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
被膜形成剤としては、生成された被膜の堅牢さとリチウムイオン電導性の高さの点から、化合物(1)を必須とすることが好ましく、ビニレンカーボネートを必須とすることがより好ましく、ビニレンカーボネートの単独使用がさらに好ましい。
被膜形成剤は、二次電池の充電の際、炭素負極上で分解して安定なリチウムイオン導電性被膜(SEI)を形成する。炭素負極表面に該被膜が形成されることにより、リチウムイオンの炭素負極界面抵抗に由来するインピーダンスの増加を最小限に抑えることができると考えられる。また、該被膜は電子伝導性を有しないので炭素負極上で電解液成分が分解することを抑制することができると考えられる。これらの効果により、炭素負極へのリチウムイオンのインターカレーション/デインターカレーションを長期にわたり安定して行う事が出来るようになると考えられる。また、該被膜は高極性であるため、低極性なHFE5510に難溶であり、長期にわたって効果を持続できると考えられる。
本発明の非水電解液においては、被膜を充分に形成し、優れたサイクル特性を得る点から、非水電解液の総質量(100質量%)における被膜形成剤の含有量を0.01質量%以上とする。また、優れたサイクル特性を得るには、非水電解液の総質量(100質量%)における被膜形成剤の含有量を0.5質量%以下にする必要がある。
本発明者らが、HFE5510を主成分とする非水電解液を、炭素負極を有する二次電池に使用することを検討したところ、優れたサイクル特性が得られ難かった。詳細に検討した結果、極性の高いカーボネート系を主成分とする溶媒等では被膜形成剤を過剰に添加した場合でも、それによって形成される被膜に一定の溶解度があるため、膜厚が一定に維持されるのに対し、HFE5510を主成分とした非水電解液を使用した場合、被膜形成剤によって形成される被膜がHFE5510に難溶なために厚くなりやすいと考えられることがわかった。被膜が厚くなりすぎると抵抗が大きくなってサイクル特性を向上させる効果が得られないと考えられる。被膜形成剤の含有量を0.5質量%以下にすることで、被膜形成剤によって形成される被膜の厚みが厚くなりすぎることを抑制でき、優れたサイクル特性が得られると考えられる。
本発明の非水電解液の総質量(100質量%)における被膜形成剤の含有量は0.01〜0.5質量%であり、より優れたサイクル特性が得られやすい点から、0.02〜0.5質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。
[化合物(3)]
本発明の非水電解液は、さらに下記化合物(3)を含有することが好ましい。化合物(3)は、リチウム塩と効率良く溶媒和することにより、該リチウム塩を含フッ素エーテル溶媒に均一に溶解させる役割を果たす溶媒である。化合物(3)は、その一部または全部が電解液中でリチウム塩と錯体を形成すると考えられる。
Figure 2012081710
ただし、前記式(3)中、mは1〜10の整数であり、Qは炭素数1〜4の直鎖アルキレン基、または、該直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上が、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜5のアルキル基に置換された基である。mが2以上の場合、Qは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
また、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。
化合物(3)において、mは1〜6の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましく、1〜4の整数であることが特に好ましい。
は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基が好ましく、−CHCH−が特に好ましい。さらに、mが1の場合には、Qは−CHCH−であるのが好ましく、mが2以上である場合には、Qは、−CHCH−のみからなる、または−CHCH−と、−CHCH−以外の他のQとの組み合わせからなるのが好ましく、−CHCH−のみからなるのがより好ましい。
およびRはそれぞれメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明の非水電解液においては、化合物(3)が、下記化合物(3A)を必須とすることが好ましく、化合物(3A)のみからなることがより好ましい。
Figure 2012081710
ただし、前記式(3A)中、mは1〜10の整数である。RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。
化合物(3A)において、mは1〜6の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましく、1〜4の整数であることが特に好ましい。また、RおよびRはそれぞれメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
化合物(3)としては、モノグライム(1,2−ジメトキシエタン、m=1)、ジグライム(m=2)、トリグライム(m=3)、テトラグライム(m=4)、ペンタグライム(m=5)、ヘキサグライム(m=6)、ジエトキシエタン、ジエチレングリコール−ジエチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−ジエチルエーテル、トリエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコールジ−iso−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−ジエチルエーテル、テトラエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、テトラエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、テトラエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジエチルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、化合物(3A)にも該当する。これらの他にも、たとえば、国際公開第2009/133899号に記載の化合物等が挙げられる。
これらの中でも、化合物(3)としては、mが1〜6であり化合物(3A)に該当する化合物、すなわちモノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム、ヘキサグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、またはヘキサエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
さらに、化合物(3)としては、粘度(20℃)が5cP以下で非水電解液の実用上の溶媒粘度に優れ、かつ得られる非水電解液が良好な電導度を示す点から、mが1〜5であり化合物(3A)に該当する化合物、すなわち、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、またはペンタエチレングリコールジエチルエーテルが好ましく、粘度および引火点の両特性のバランスに優れる点から、モノグライム、ジグライム、トリグライムまたはテトラグライムであることがより好ましく、モノグライム、またはジグライムが特に好ましい。
また、化合物(3)において、RおよびRが連結して炭素数1〜10のアルキレン基を形成している化合物としては、たとえば、12−クラウン−4,14−クラウン−4,15−クラウン−5,18−クラウン−6等が挙げられる。
化合物(3)としては、前記式(3)のmが1〜6であり化合物(3A)に該当する化合物を必須とすることが好ましく、前記式(3)のmが1〜6であり化合物(3A)に該当する化合物のみからなることがより好ましく、前記式(3)のmが1〜6であり化合物(3A)に該当する化合物からなる群から選ばれる1種のみからなることがより好ましく、モノグライム、ジグライム、トリグライムまたはテトラグライムのみからなることが特に好ましい。
本発明の非水電解液が化合物(3)を含有する場合の含有量(モル比)は、前記リチウム塩に対して、0.2〜4.0倍が好ましく、0.5〜3.0倍がより好ましく、0.5〜2.0倍が特に好ましい。
リチウム塩に対する化合物(3)のモル比が前記範囲の下限値以上であれば、リチウム塩をHFE5510に均一に溶解させやすい。また、リチウム塩に対する化合物(3)のモル比が前記範囲の上限値以下であれば、耐酸化性および不燃性に優れた非水電解液が得られやすい。
本発明の非水電解液に化合物(3)を含有させる場合、リチウム塩由来のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する化合物(3)由来のエーテル性酸素原子の総モル数(N)の比率である、(N)/(NLi)で表される値は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、前記(N)/(NLi)で表される値は、8以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。前記(N)/(NLi)で表される値が下限値以上であれば、リチウム塩を含フッ素エーテル溶媒に溶解させることが容易になる。一方、前記(N)/(NLi)で表される値が上限値以下であれば、高電圧でのサイクル特性を向上させやすい。
[化合物(4)、化合物(5)]
本発明の非水電解液は、前記化合物(4)、または前記化合物(5)を含有してもよい。
化合物(4)、および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有すると、以下の点で好ましい。すなわち、化合物(4)と化合物(5)は、極性が高く、電解液中でのリチウムイオン解離を促進し、該非水電解液の電導度を向上させるため、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制する。また、化合物(4)と化合物(5)は、リチウム塩と効率よく溶媒和することにより、リチウム塩をHFE5510に均一に溶解させることを補助する。
化合物(4)における環構造は、4〜10員環が好ましく、4〜7員環がより好ましく、入手容易な点から、5〜6員環がさらに好ましく、5員環が特に好ましい。
化合物(4)の環構造は、−O−C(=O)−C−で表される結合(以下、「カーボネート結合」ともいう。)を1つ有する環構造が好ましく、カーボネート結合が直鎖アルキレン基と連結して形成された環構造がより好ましい。直鎖アルキレン基の炭素数は1〜7が好ましく、1〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましく、2が特に好ましい。また、化合物(4)は、前記直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上を置換基で置換した化合物でもよい。置換基としては、塩素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が好ましい。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子およびフッ素原子の少なくとも一方が好ましい。
化合物(4)としては、下記化合物(4−1)が好ましい。
Figure 2012081710
ただし、前記式中、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、ハロゲン化アルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。また、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子および塩素原子の少なくとも一方が好ましい。化合物(4−1)におけるR〜R11の少なくとも1個以上が塩素原子であれば、酸化され難くなるので、高電圧条件下での使用により適している。
化合物(4)としては、化合物(4)における環構造を形成する炭素原子(カルボニル基を形成する炭素原子を除く。)がメチレン基である化合物、または環構造を形成する炭素原子に結合する水素原子の1個以上が、塩素原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基に置換された化合物が好ましい。アルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、ハロゲン化アルキル基の炭素数は1〜6が好ましい、また、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子および塩素原子の少なくとも一方が好ましい。
このような化合物の中でも、化合物(4−1)に該当するプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、または4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、またはブチレンカーボネートがより好ましい。これらの中でも、入手容易な点および電解液の性質の点から、エチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートが好ましい。
化合物(4)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(5)は、分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物であるのが好ましい。
化合物(5)における環構造は、4〜10員環が好ましく、4〜7員環がより好ましく、入手容易な点から、5〜6員環がさらに好ましく、5員環が特に好ましい。
化合物(5)の環構造は、エステル結合を1つ有する環構造が好ましく、エステル結合が直鎖アルキレン基と連結して形成された環構造がより好ましい。直鎖アルキレン基の炭素数は1〜7が好ましく、1〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましく、2が特に好ましい。また、化合物(5)は、前記直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上を置換基で置換した化合物でもよい。置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、ハロゲン化アルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。また、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子およびフッ素原子の少なくとも一方が好ましい。
化合物(5)としては、下記化合物(5−1)が好ましい。
Figure 2012081710
ただし、式中、nは1〜5の整数であり、R12〜R15は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、ハロゲン化アルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。また、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子および塩素原子の少なくとも一方が好ましい。nが2以上の場合、R12は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、また、R13は、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
nは、1〜4の整数が好ましく、2または3がより好ましく、2が特に好ましい。
12およびR13は、水素原子が好ましい。nが2以上の場合、R12およびR13は、全て水素原子であることが好ましい。
14およびR15は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基がより好ましい。
化合物(5−1)の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、δ−バレロラクトン等の環状エステル化合物、および該環状エステル化合物の環を形成する炭素原子に結合する水素原子の1個以上が、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基に置換された化合物が挙げられる。なかでも、入手容易な点および電解液の性質の点から、γ−ブチロラクトン、またはγ−バレロラクトンが好ましく、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
化合物(5)は、1種の化合物を単独で使用してもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。
化合物(5)は化合物(5−1)を必須とするのが好ましく、化合物(5−1)のみからなることがより好ましい。
本発明の非水電解液は、化合物(4)と化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の非水電解液が化合物(4)および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する場合、非水電解液の総体積(100体積%)における化合物(4)および化合物(5)の合計の含有量は、0体積%超50体積%以下が好ましく、1〜40体積%がより好ましく、5〜30体積%がさらに好ましい。化合物(4)および化合物(5)の合計の含有量が下限値以上であれば、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制しやすい。また、リチウム塩の解離度が向上し、電導度がより良好になる。化合物(4)および化合物(5)の合計の含有量が上限値以下であれば、不燃性に優れた非水電解液を得やすい。
また、本発明の非水電解液が化合物(4)および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する場合、リチウム塩由来のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する、化合物(4)および化合物(5)を合計した総モル数(NII)である、(NII)/(NLi)で表される値は、0.01〜6が好ましく、0.1〜5がより好ましく、1〜4が特に好ましい。前記(NII)/(NLi)で表される値が下限値以上であれば、高レート条件での充放電における電池容量の低下を抑制しやすい。前記(NII)/(NLi)で表される値が上限値以下であれば、電解液の不燃性を維持しやすい。
また、化合物(3)と、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種を併用する場合、リチウム塩由来のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する、化合物(3)由来のエーテル性酸素原子の総モル数(N)と前記総モル数(NII)の和(N+NII)である、(N+NII)/(NLi)で表される値は、2〜6が好ましく、3〜6がより好ましく、3.5〜6がさらに好ましく、4〜6が特に好ましい。前記(N+NII)/(NLi)で表される値が下限値以上であれば、本発明の非水電解液においてリチウム塩が均一に溶解しやすい。一方、前記(N+NII)/(NLi)で表される値が上限値以下であれば、高レート条件での充放電における電池容量の低下を抑制しやすく、また高電圧でのサイクル特性を向上させやすい。
[界面活性剤]
本発明の非水電解液は、電解液と電極活物質の濡れ性を改善するための界面活性剤を含んでいることが好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよく、入手が容易で界面活性効果が高いことから、アニオン性界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤としては、耐酸化性が高く、サイクル特性、レート特性が良好な点から、含フッ素界面活性剤が好ましい。
アニオン性の含フッ素界面活性剤としては、下記化合物(6−1)および化合物(6−2)が好ましい。
Figure 2012081710
ただし、式中、R16およびR17はそれぞれ独立に炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基である。
およびMはそれぞれ独立にアルカリ金属またはNH(R18(R18は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)である。
16およびR17としては、非水電解液の表面張力を低下させる度合いが良好な点から、炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基が好ましく、溶解性に優れ、環境蓄積性の観点から、炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基がより好ましい。
およびMのアルカリ金属としては、Li、Na、Kが好ましい。MおよびMとしては、NH4+が特に好ましい。
化合物(6−1)の具体例としては、たとえば、CCOONH 、C11COONH 、C13COONH 、C11COONH(CH 、C13COONH(CH 、CCOOLi、C11COOLi、C13COOLi、COCF(CF)COONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH 、COCF(CF)COONH(CH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH(CH 、COCF(CF)COOLi、COCOCFCOOLi、COCOCFCOONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COOLi等の含フッ素カルボン酸塩が挙げられる。
なかでも、非水電解液への溶解性、表面張力を低下させる効果が良好な点から、C11COONH 、C11COOLi、C13COOLi、COCF(CF)COONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH 、COCF(CF)COOLi、COCF(CF)CFOCF(CF)COOLi、COCOCFCOOLi、またはCOCOCFCOONH が好ましい。
化合物(6−2)の具体例としては、たとえば、CSO NH 、C11SO NH 、C13SO NH 、CSO NH(CH 、C11SO NH(CH 、C13SO NH(CH 、CSO Li、C11SO Li、C13SO Li、COCF(CF)CFOC(CF)FSO NH 、COCF(CF)CFOCF(CF)CFOCF(CF)SO NH 、HCFCFOCFCFSO NH 、CFCFHCFOCFCFSO NH 、COC(CF)FSO NH 、COCF(CF)CFOC(CF)FSO NH(CH 、COCF(CF)CFOCF(CF)CFOCF(CF)SO NH(CH 、HCFCFOCFCFSONH(CH 、CFCFHCFOCFCFSO NH(CH 、COCF(CF)SO NH(CH 、COCF(CF)CFOC(CF)FSO Li、COCF(CF)CFOC(CF)FCFOCF(CF)SO Li、HCFCFOCFCFSO Li、CFCFHCFOCFCFSO Li、COCF(CF)SO Li等の含フッ素スルホン酸塩が挙げられる。
なかでも、非水電解液への溶解性、表面張力を低下させる効果が良好な点から、CSO NH 、C13SO NH 、CSO Li、C13SO Li、C17SO Li、COCF(CF)CFOCF(CF)SO NH 、COCF(CF)CFOCF(CF)SO Li、COCF(CF)SO NH 、またはCOCF(CF)SO Liが好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液が界面活性剤を含有する場合、非水電解液の総質量(100質量%)における界面活性剤の含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましい。
[非水電解液の好ましい組成]
本発明の非水電解液としては、下記組成1〜3が本発明の目的とする効果を奏することから好ましい。
(組成1)
LiPF、上記化合物(A)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、化合物(B)、化合物(C)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩;HFE5510;被膜形成剤;ならびに化合物(3A)を含有する二次電池用非水電解液。
(組成2)
LiPF、上記化合物(A)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、化合物(B)、化合物(C)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩;HFE5510;被膜形成剤;化合物(3A);ならびに化合物(4)および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含有する二次電池用非水電解液。
(組成3)
LiPF、上記化合物(A)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、化合物(B)、化合物(C)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩;HFE5510;被膜形成剤;化合物(3A);化合物(4)および化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種;ならびに界面活性剤を含有する二次電池用非水電解液。
さらに、組成4がより好ましい。
(組成4)
LiPF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩;HFE5510;モノグライム、ジグライム、トリグライムまたはテトラグライム;ならびにビニレンカーボネートを含有する二次電池用非水電解液。
さらに、組成5が特に好ましい。
(組成5)
LiPFを必須とするリチウム塩;HFE5510;モノグライムまたはジグライム;およびビニレンカーボネートを含有する二次電池用非水電解液。
[その他の化合物]
本発明における非水電解液は、相分離せず、本発明の効果を妨げない範囲内であれば、含フッ素エーテル溶媒であるHFE5510、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)および界面活性剤に加えて他の化合物(以下、「その他の化合物」という。)を含んでもよい。
その他の化合物としては、HFE5510を除く国際公開2009/133899号に記載の含フッ素エーテル等のHFE5510以外の含フッ素エーテル;含フッ素アルカン;プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等の鎖状カルボン酸エステル;プロパンサルトン等の環状スルホン酸エステル;スルホン酸アルキルエステル;アセトニトリル、イソブチロニトリル、ピバロニトリル等のカルボニトリル等が挙げられる。
非水電解液中のその他の化合物として含フッ素アルカン以外を用いる場合、その他の化合物の含有量は、非水電解液の総体積(100体積%)に対して、0超〜20体積%であることが好ましく、0超〜15体積%であることがより好ましく、0.01超〜10体積%であることが特に好ましい。
本発明の非水電解液がその他の化合物として含フッ素アルカンを含む場合には、非水電解液の蒸気圧を抑制し、非水電解液の不燃性をさらに向上させうる。含フッ素アルカンとは、アルカンの水素原子の1個以上がフッ素原子に置換され、水素原子が残っている化合物をいう。本発明においては、炭素数4〜12の含フッ素アルカンが好ましい。このうち、炭素数6以上の含フッ素アルカンを用いた場合は、非水電解液の蒸気圧を低下させる効果が期待でき、また炭素数が12以下であればリチウム塩の溶解度を保ちやすい。また、含フッ素アルカン中のフッ素含有量(フッ素含有量とは、分子量に占めるフッ素原子の質量の割合をいう。)は、50〜80%が好ましい。含フッ素アルカン中のフッ素含有量が50%以上であれば、不燃性がさらに高くなる。含フッ素アルカン中のフッ素含有量が80%以下であれば、リチウム塩の溶解性を保持しやすい。
含フッ素アルカンとしては、直鎖構造の化合物が好ましく、たとえば、n−CCHCH、n−C13CHCH、n−C13H、n−C17H等が挙げられる。これら含フッ素アルカンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液中にその他の化合物として前記含フッ素アルカンを含ませる場合、含フッ素アルカンの含有量は、非水電解液の総体積(100体積%)に対して、5〜30体積%が好ましい。前記含フッ素アルカンの含有量が5体積%以上であれば、蒸気圧を低下させやすく、不燃性を発現させやすい。前記含フッ素アルカンの含有量が30体積%以下であれば、リチウム塩の溶解度を維持しやすい。
本発明の非水電解液には、非水電解液の機能を向上させるために、必要に応じて他の成分を含ませてもよい。他の成分としては、たとえば、従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性およびサイクル特性を改善するための特性改善助剤が挙げられる。
過充電防止剤としては、たとえば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソールおよび2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物が挙げられる。過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液が過充電防止剤を含有する場合、非水電解液中の過充電防止剤の含有量は、非水電解液の総質量(100質量%)に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。非水電解液に過充電防止剤を0.01質量%以上含有させることにより、過充電による二次電池の破裂・発火を抑制することがさらに容易になり、二次電池をより安定に使用できる。
脱水剤としては、たとえば、モレキュラーシーブス、芒硝、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。本発明の非水電解液に用いる溶媒は、前記脱水剤で脱水を行った後に精留を行ったものを使用することが好ましい。また、精留を行わずに前記脱水剤による脱水のみを行った溶媒を使用してもよい。
高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための特性改善助剤としては、たとえば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物が挙げられる。これら特性改善助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液が特性改善助剤を含有する場合、非水電解液中の特性改善助剤の含有量は、非水電解液の総質量(100質量%)に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。
本発明の非水電解液は、負極として炭素材料からなる負極を使用する二次電池用に用いる。本発明の非水電解液は、含フッ素エーテル溶媒であるHFE5510を使用しているために不燃性に優れ、また被膜形成剤を特定の範囲内で含有することで、優れたサイクル特性が得られる。
<二次電池>
本発明の二次電池は、負極および正極と、本発明の非水電解液とを有する二次電池である。
負極は、負極活物質が、リチウムイオンを吸蔵および放出できる炭素材料の負極である。炭素材料としては、人造または天然グラファイト(黒鉛)、非晶質炭素等が挙げられる。これら炭素材料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
炭素質材料としては、黒鉛、および黒鉛の表面を該黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆した炭素質材料が特に好ましい。
正極としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる正極活物質を含む電極が挙げられる。
正極活物質としては、公知のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いることができ、たとえば、リチウム含有遷移金属酸化物、1種類以上の遷移金属を用いたリチウム含有遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物、オリビン型金属リチウム塩等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属複合酸化物中に含有される金属としては、Al、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Yb等が好ましく、たとえば、LiCoO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウムマンガン複合酸化物、Li(NiCoMn)O(ただし、a,b,c>0、a+b+c=1である。)等のリチウム三元系複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Yb等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。たとえば、具体的に、LiMn0.5Ni0.5、LiMn1.8Al0.2、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiMn1.5Ni0.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMn1.8Al0.2等が挙げられる。
遷移金属酸化物としては、たとえば、TiO、MnO、MoO、V、V13、遷移金属硫化物としてはTiS、FeS、MoS、金属酸化物としてはSnO、SiO等が挙げられる。
オリビン型金属リチウム塩は、Li(ただし、XはFe(II)、Co(II)、Mn(II)、Ni(II)、V(II)、またはCu(II)を示し、YはPまたはSiを示し、0≦L≦3、1≦x≦2、1≦y≦3、4≦z≦12、0≦g≦1である数をそれぞれ示す)で示される物質またはこれらの複合体である。たとえば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiFePOF、LiMnPOF、LiNiPOF、LiCoPOF、LiFeSiO、LiMnSiO、LiNiSiO、LiCoSiO等が挙げられる。
これら正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物;硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
表面付着物質の量としては、正極活物質に対する質量の下限は0.1ppmが好ましく、1ppmがより好ましく、10ppmが特に好ましい。上限は20%が好ましく、10%がより好ましく、5%が特に好ましい。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。
正極活物質としては、放電電圧が高く、かつ電気化学的安定性が高い点から、LiCoO、LiNiO、LiMnO等のα−NaCrO構造を母体とするリチウム含有複合酸化物、LiMn等のスピネル型構造を母体とするリチウム含有複合酸化物が好ましい。
本発明の二次電池は、負極および正極の少なくとも一方が分極性電極である負極および正極と、本発明の非水電解液とを有する。分極性電極は、電気化学的に不活性な高比表面積の材料を主体とするものが好ましく、活性炭、カーボンブラック、金属微粒子、導電性酸化物微粒子からなるものが特に好ましい。なかでも、金属集電体の表面に活性炭等の高比表面積の炭素材料粉末からなる電極層が形成されたものが好ましい。
電極の製造には、負極活物質または正極活物質を結着させる結着剤を用いる。
負極活物質および正極活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒、電解液に対して安定な材料であれば、任意の結着剤を使用することができる。結着剤は、たとえば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有する重合体およびその共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系重合体およびその共重合体等が挙げられる。これらの結着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電極中には、機械的強度、電気伝導度を高めるために増粘剤、導電材、充填剤等を含有させてもよい。
増粘剤としては、たとえば、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン、ポリビニルピロリドンが挙げられる。これらの増粘剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電材としては、たとえば、グラファイトまたはカーボンブラック、カーボンファイバー等の炭素質材料が挙げられる。これら導電材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電極の製造法としては、負極活物質または正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥して製造することができる。この場合、乾燥後にプレスすることによって電極を圧密化することが好ましい。
正極活物質層の密度が低すぎると二次電池の容量が不充分となるおそれがある。
集電体としては、各種の集電体を用いることができるが、通常は金属または合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、銅が好ましい。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属またはその合金が挙げられ、アルミニウムまたはその合金が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
二次電池の形状は、用途に応じて選択すればよく、コイン型であってもよく、円筒型であっても、角型であってもラミネート型であってもよい。また、正極および負極の形状も、二次電池の形状に合わせて適宜選択することができる。
本発明の二次電池の充電電圧は、3.4V以上とするのが好ましく、4.0V以上がより好ましく、4.2V以上が特に好ましい。二次電池の正極活物質が、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物の場合の充電電圧は4.0V以上が好ましく、4.2V以上がより好ましい。また、正極活物質がオリビン型金属リチウム塩の場合の充電電圧は3.2V以上が好ましく、3.4V以上がより好ましい。
二次電池の正極と負極の間には、短絡を防止するために通常はセパレータとして多孔膜を介在させる。この場合、非水電解液は該多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質および形状は、非水電解液に対して安定であり、かつ保液性に優れていれば特に制限はなく、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー等のフッ素樹脂、ポリイミド、またはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シートまたは不織布が好ましく、材質はポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。また、これらの多孔膜に電解液を含浸させてゲル化させたものをゲル電解質として用いてもよい。
本発明の非水電解液に使用される電池外装体の材質も二次電池に通常用いられる材質であればよく、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、樹脂材料、フィルム材料等が挙げられる。
以上説明した本発明の二次電池は、本発明の非水電解液を用いているため、優れたサイクル特性を有し、電池特性に優れている。
そのため、本発明の二次電池は、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電動工具、ノートパソコン、携帯情報端末、携帯音楽プレーヤー、電気自動車、ハイブリット式自動車、電車、航空機、人工衛星、潜水艦、船舶、無停電電源装置、ロボット、電力貯蔵システム等の様々な用途に用いることができる。また、本発明の二次電池は、電気自動車、ハイブリット式自動車、電車、航空機、人工衛星、潜水艦、船舶、無停電電源装置、ロボット、電力貯蔵システム等の大型二次電池に特に好ましい特性を有する。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例2〜5は実施例であり、例1、例6〜8は比較例である。
[例1]
HFE5510の72.7mL、化合物(3)であるモノグライムの10.4mL、化合物(4)であるプロピレンカーボネートの16.9mLを混合して調製した電解液溶媒に、リチウム塩であるLiPFの0.10molを溶解して非水電解液1とした。
[例2]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを0.02質量%添加して非水電解液2とした。
[例3]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを0.05質量%添加して非水電解液3とした。
[例4]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを0.2質量%添加して非水電解液4とした。
[例5]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを0.5質量%添加して非水電解液5とした。
[例6]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを1.0質量%添加して非水電解液6とした。
[例7]
非水電解液1に、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを2.0質量%添加して非水電解液7とした。
[例8]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比1:1で混合した溶媒に、LiPFを濃度が1Mとなるように溶解し、被膜形成剤であるビニレンカーボネートを2.0質量%添加して非水電解液8とした。
[評価用セルの作成]
人造黒鉛の20gと、導電助剤であるアセチレンブラックの0.7gを、自転公転式撹拌機(シンキー社製、あわとり練太郎AR−E310)を用いて2000rpmの回転数で1分間撹拌し、さらに同条件の撹拌を2回行った。次いで、1質量%のカルボキシメチルセルロース水溶液14gを添加し、さらに自転公転式撹拌機を用いて2000rpmの回転数で5分間撹拌した。さらに0.5質量%のカルボキシメチルセルロースの14gを添加し、自転公転式撹拌機を用いて2000rpmの回転数で5分間撹拌した。次いで、固形分濃度を40質量%に調整したスチレンブタジエンゴム水性分散ラテックスバインダの0.5gを添加し、自転公転式撹拌機を用いて2000rpmの回転数で、5分間撹拌を行って電極塗工用のスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20μmの銅箔上に、100μmの厚みで塗工し、乾燥した後、直径18mmの円形に打ち抜いて評価用電極とした。また、リチウム金属箔を直径18mmの円形に打ち抜いたものを対極とし、正極と負極の間にセパレータとしてポリオレフィン系微多孔膜を配置し、各例で調製した非水電解液の0.5mLを添加し、評価用セルを作成した。
[サイクル特性の評価方法]
評価用セルを充放電機(東洋システム社製TOSCAT−3100)に接続し、充放電を30サイクル行った。1サイクル目は、0.1Cの電流値で0.05V(リチウムに対する電位、以降同じ。)まで定電流充電した後、0.05Vの電圧を保ったまま、電流値が0.01Cに低下するか、または充電時間が合計で20時間となるまで評価用セルの充電を行った。その後、10分間の休止の後、0.1Cの電流値で3.0Vまで定電流放電を行った。2サイクル目の充放電は1サイクル目と同様に行った。3〜6サイクル目の充放電は、定電流放電における電流値を0.2C(3サイクル目)、0.5C(4サイクル目)、1.0C(5サイクル目)、2.0C(6サイクル目)とした以外は、1サイクル目と同様に行った。7〜30サイクル目は、0.2Cの電流値で0.05Vまで定電流充電した後、0.05Vの電圧を保ったまま、電流値が0.02Cに低下するか、または充電時間の合計が10時間となるまで評価用セルの充電を行い、10分間の休止の後、0.2Cの電流値で3.0Vまで定電流放電を行った。1サイクル目の放電容量(初期容量)に対する30サイクル目の放電容量の維持率をサイクル特性の評価成績とし、全く同様の構成のセルを各例について2個ずつ作製し、その成績の平均値を実施例および比較例の成績とした。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。各例の非水電解液を使用した評価用セルの放電容量維持率を表1に示す。
[引火性試験の評価方法]
例1〜8の非水電解液について引火性試験を行った。
引火性試験は、非水電解液10mLを20mLガラスバイアルに仕込んだ後、液面上方5mmの気相部をライターの炎で炙り続け、15秒未満で着火したものを「×」、15秒〜30秒未満で着火したものを「△」、30秒後においても着火しなかったものを「○」とした。
Figure 2012081710
表1に示すように、非水電解液1〜8を使用した評価用セルはいずれも良好な初期容量を発現し、被膜形成剤の含有量が本発明の範囲内の例2〜5の評価用セルでは、被膜形成剤の含有量が本発明の範囲外の評価用セルに比べて、30サイクル後の放電容量維持率が高く、サイクル特性が優れていた。また、例8のHFE5510を含有しない電解液は容易に着火したのに対して例1〜7のHFE5510を主溶媒とする非水電解液は長時間にわたって不燃性を保った。
本発明の二次電池用非水電解液は、炭素材料からなる負極を有する二次電池において、優れたサイクル特性と、不燃性を付与するので、リチウムイオン二次電池のみならず、リチウムイオンキャパシタ等の他の充電デバイスにも使用できる。
なお、2010年12月16日に出願された日本特許出願2010−280925号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (11)

  1. リチウム塩と、CHFCFCHOCFCFHCFで表される含フッ素エーテル溶媒と、炭素材料からなる負極表面に被膜を形成し得る被膜形成剤と、を含有する二次電池用非水電解液であって、
    非水電解液の総体積に対する前記含フッ素エーテル溶媒の含有量が50〜90体積%であり、かつ非水電解液の総質量に対する前記被膜形成剤の含有量が0.01〜0.5質量%である二次電池用非水電解液。
  2. 前記被膜形成剤が、下式(1)で表わされる化合物および下式(2)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の二次電池用非水電解液。
    Figure 2012081710
    (ただし、式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。また、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜6のアルキル基である。)
  3. 前記被膜形成剤がビニレンカーボネートである請求項1に記載の二次電池用非水電解液。
  4. 下式(3)で表される化合物を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
    Figure 2012081710
    (ただし、式中、mは1〜10の整数である。
    は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基、または、該直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上が、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜5のアルキル基に置換された基である。mが2以上の場合、Qは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
    およびRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。)
  5. 非水電解液に含有されるリチウム塩の量が0.1〜3.0mol/Lであり、リチウム塩由来のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する化合物(3)由来のエーテル性酸素原子の総モル数(N)の比率である、(N)/(NLi)で表わされる値が1〜8である請求項4に記載の二次電池用非水電解液。
  6. 前記化合物(3)が、モノグライム、またはジグライムである、請求項4または5に記載の二次電池用非水電解液。
  7. 炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−O−で表される結合を有し、環構造を形成する炭素原子に直接フッ素原子が結合しておらず、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物(4)、および、炭素原子と酸素原子からなる環構造を有する化合物であり、該環構造が−O−C(=O)−C−で表される結合を有する化合物(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
  8. 前記化合物(4)を含み、かつ前記化合物(4)が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、またはブチレンカーボネートである、請求項7に記載の二次電池用非水電解液。
  9. 非水電解液の総体積に対する前記化合物(4)および化合物(5)の合計量が0体積%超50体積%以下である請求項7または8に記載の二次電池用非水電解液。
  10. リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる炭素材料からなる負極と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液とを有する二次電池。
  11. 前記炭素材料が黒鉛である請求項10に記載の二次電池。
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