JP5786856B2 - 二次電池用非水電解液および二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、長期の不燃性および実用上充分な伝導度を兼ね備え、かつ充放電における電池容量の低下を抑制できる二次電池用非水電解液および該非水電解液を用いた二次電池に関する。
二次電池用の非水電解液の溶媒としては、一般的にリチウム塩を良好に溶解することで、高いリチウムイオン伝導度を発現し、また広い電位窓を持つという点から、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等のカーボネート系化合物が広く用いられてきた。しかしながら、カーボネート系化合物は一般的に引火点が低く、電池暴走時等の安全面で懸念があった。
非水電解液としての性能を落とさずに不燃性(難燃性)を高めるために、フッ素系溶媒を添加することも提案されている(特許文献1〜3参照)。
また、電解質塩の溶解性を向上させるために、非フッ素溶媒として環状非フッ素カーボネートと鎖状非フッ素エーテル類を用いることが提案されている(特許文献4参照)。
一方、CFSON(Li)SOCF、およびFSON(Li)SOF等のリチウム塩は、グライム系溶媒のエーテル性酸素原子と強く相互作用し、安定な1:1錯体を形成する。該錯体は、熱分析等の結果からは、あたかも単一のイオン種としての挙動を示し、バーナーによる加熱によっても全く着火しないことが報告されている(非特許文献1、および2参照)。また、リチウム塩とグライム系溶媒との錯体を電解液として用いる例として、LiBFと1−エトキシ−2−メトキシエタンからなる非水電解液(特許文献5参照)、および(CFSONLiとテトラグライムからなる非水電解液(特許文献6参照)が示されている。
しかし、非特許文献1および2に記載されたリチウム塩とグライム系溶媒との1:1錯体は、本発明者等が実際に非水電解液として評価したところ、粘度が高く、また伝導度が低いことから実用に適していなかった。また、特許文献5および6に記載された非水電解液についても同様に、伝導度が低く実用に適していなかった。
そこで、該非水電解液の粘度を低下させ、伝導度を向上させるために、LiPFや環状パーフルオロスルフォンイミド塩等のリチウム塩とグライム系溶媒からなるグライム錯体を、ハイドロフルオロエーテルに溶解させた電解液が報告されている(特許文献7参照)。
特開平08−037024号公報 特開2001−052737号公報 特開平11−307123号公報 特開2008−218387号公報 特許第4405779号公報 特開2009−245911号公報 国際公開第2009/133899号
2006年第47回電池討論会講演要旨集 1F06 2008年第75回電気化学会講演要旨集 3D09
しかしながら特許文献1〜3では、電解質塩の溶解能が低く、汎用されているLiPFやLiBFを溶解することができず、また粘度が高いためレート特性が悪くなるという問題がある。
特許文献4に記載されている電解液は、難燃性が低下することがある。
また、本発明者等による評価により、特許文献7の非水電解液を用いた二次電池は、高レート(電流量が多い)での充放電(たとえば2.0Cでの充放電。ただし、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。)を行った場合に、電池容量が低下する傾向があることがわかった。
本発明は、長期の不燃性および実用上充分な伝導度を兼ね備え、かつ高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制できる二次電池用非水電解液、および該二次電池用非水電解液を用いた二次電池の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]リチウム塩(I)と、下式(1)で表される化合物および下式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(II−1)、下式(3)で表される化合物(II−2)、ならびに、炭素原子と酸素原子からなる環を有する化合物であり、該環が−O−C(=O)−O−で表される結合を含み、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物(II−3)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)と、を含む電解液あり、
前記化合物(II−3)の含有量が電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して10体積%超60体積%以下であることを特徴とする二次電池用非水電解液。
Figure 0005786856
(ただし、式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素数3〜10のフッ素化シクロアルキル基、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。
Xは炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のフッ素化アルキレン基、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜5のアルキレン基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜5のフッ素化アルキレン基である。
mは2〜10の整数であり、Qは炭素数1〜4の直鎖アルキレン基、または、該直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上が、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜5のアルキル基に置換された基である。Qは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。)
[2]前記化合物(II−3)が、下式(4)で表される化合物である、前記[1]に記載の二次電池用非水電解液。
Figure 0005786856
(ただし、式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。)
[3]前記化合物(II−3)が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンからなる群から選ばれる1種以上であることを必須とする、前記[1]または[2]に記載の二次電池用非水電解液。
[4]二次電池用非水電解液中に含まれる、前記リチウム塩(I)中のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する前記化合物(II−2)中のエーテル性酸素原子の総モル数(N)の比(N/NLi)が2〜6である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
[5]前記リチウム塩(I)が、LiPF、下式(5)で表される化合物、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、下式(6)で表される化合物、下式(7)で表される化合物、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
Figure 0005786856
(ただし、式中、kは1〜5の整数である。)
[6]前記リチウム塩(I)が、前記式(5)で表され、かつ、kが2である化合物であることを必須とする、前記[5]に記載の二次電池用非水電解液。
[7]前記化合物(II−2)が、下式(3A)で表される化合物であることを必須とする、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
Figure 0005786856
(ただし、式中、mは2〜10の整数である。RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。)
[8]前記化合物(II−1)が、CFCHOCFCFH、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCHF、CFCHOCFCHFCF、およびCHFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる1種以上であることを必須とする、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
[9]前記化合物(II−1)が、前記式(2)で表され、かつ、XがCH、CHCH、CH(CH)CH、およびCHCHCHからなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物であることを必須とする、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
[10]炭素原子と酸素原子からなる環を有する化合物であり、該環が−O−C(=O)−O−で表される結合を含み、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含む化合物(II−4)を、さらに含有する、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。
[11]前記化合物(II−4)が、下式(8−1)で表される化合物および下式(8−2)で表される化合物の少なくとも一方である、前記[10]に記載の二次電池用非水電解液。
Figure 0005786856
(ただし、式中、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基であり、R11〜R14は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ビニル基またはアリル基であり、R11〜R14の少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
[12]前記[1]〜[11]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液を用いる、リチウムイオン二次電池の電解液。
[13]リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料である、金属リチウムまたはリチウム合金からなる負極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の二次電池用非水電解液と、を有することを特徴とする二次電池。
本発明の二次電池用非水電解液を用いれば、長期の不燃性および実用上充分な伝導度を兼ね備え、かつ高レートでの充放電における電池容量の低下が抑制された二次電池が得られる。
例21における各放電レートでの放電時の放電容量−電圧曲線を示したグラフである。 例22における各放電レートでの放電時の放電容量−電圧曲線を示したグラフである。 例23における各放電レートでの放電時の放電容量−電圧曲線を示したグラフである。
<二次電池用非水電解液>
本発明の二次電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」という。)は、後述するリチウム塩(I)と、化合物(II−1)、化合物(II−2)および化合物(II−3)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)とを含む電解液である。非水電解液とは、水を実質的に含まない溶媒を用いた電解液であり、仮に水を含んでいたとしてもその水分量が該非水電解液を用いた二次電池の性能劣化が見られない範囲の量である電解液である。かかる非水電解液中に含まれうる水分量は、電解液の総質量に対して500質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましく、50質量ppm以下であることが特に好ましい。水分量の下限値は、0質量ppmである。
以下、本明細書中では、特に説明しない限り式(1)で表される化合物を化合物(1)と示し、他の式についても同様に示す。
[リチウム塩(I)]
リチウム塩(I)は、非水電解液中で解離してリチウムイオンを供給する電解質である。リチウム塩(I)としては、LiPF、下記化合物(5)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、下記化合物(6)、下記化合物(7)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。リチウム塩(I)としては、LiPF、LiBFおよび化合物(5)からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。すなわち、LiPFの単独での使用、LiBFの単独での使用、化合物(5)の1種または2種以上での使用、LiPFと化合物(5)の併用、LiPFとLiBFの併用、LiBFと化合物(5)の併用、またはLiPFとLiBFと化合物(5)の併用が好ましい。リチウム塩(I)としては、LiPFの単独での使用、または、LiPFと化合物(5)(特にkが2である化合物(5))の併用が特に好ましい。
また、他のリチウム塩を併用する例としては、たとえば、LiPFとFSON(Li)SOFの併用、LiPFとCFSON(Li)SOCFの併用、LiPFとCFCFSON(Li)SOCFCFの併用、LiPFと化合物(6)の併用、LiPFと化合物(7)の併用、LiPFとLiClOの併用、LiPFと化合物(5)とFSON(Li)SOFの併用、LiBFとFSON(Li)SOFの併用、LiBFとCFSON(Li)SOCFの併用、LiBFとCFCFSON(Li)SOCFCFの併用、LiBFと化合物(6)の併用、LiBFと化合物(7)の併用、LiBFとLiClOの併用、化合物(5)とFSON(Li)SOFの併用、化合物(5)とCFSON(Li)SOCFの併用、化合物(5)とCFCFSON(Li)SOCFCFの併用、化合物(5)と化合物(6)の併用、化合物(5)と化合物(7)の併用、化合物(5)とLiClOの併用、LiPFとLiBFとFSON(Li)SOFの併用、LiPFとLiBFとCFSON(Li)SOCFの併用、LiPFとLiBFとCFCFSON(Li)SOCFCFの併用、LiPFとLiBFと化合物(6)の併用、LiPFとLiBFと化合物(7)の併用、LiPFとLiBFとLiClOの併用、LiPFと化合物(5)とFSON(Li)SOFの併用、LiPFと化合物(5)とCFSON(Li)SOCFの併用、LiPFと化合物(5)とCFCFSON(Li)SOCFCFの併用、LiPFと化合物(5)と化合物(6)の併用、LiPFと化合物(5)と化合物(6)の併用、LiPFと化合物(5)とLiClOの併用、等が挙げられる。
Figure 0005786856
ただし、前記化合物(5)におけるkは1〜5の整数である。
化合物(5)としては、たとえば、下記化合物(5−1)〜(5−4)が挙げられる。本発明の非水電解液は、伝導度の高い非水電解液が得られやすい点から、化合物(5)を使用する場合には、kが2の化合物(5−2)を必須とすることが好ましい。
Figure 0005786856
非水電解液中のリチウム塩(I)の含有量は、特に限定されず、0.1〜3.0mol/L(リットル)が好ましく、0.5〜2.0mol/Lが特に好ましい。リチウム塩(I)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、伝導度の高い非水電解液が得られやすい。また、リチウム塩(I)の含有量が上記範囲の上限値以下であれば、リチウム塩(I)を、後述する化合物(II−1)〜(II−3)、および必要に応じて化合物(II−4)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)に溶解させやすい。
また、LiPFと化合物(5)とを両方用いる場合、LiPFのモル量(Ma)と化合物(5)のモル量(Mb)とのモル比(Mb/Ma)は、特に限定されず、0.01〜10が好ましく、0.05〜2.0がより好ましい。
前記モル比(Mb/Ma)が上記範囲の下限値以上であれば、不燃性の非水電解液の伝導度を高く保ちやすい。また、前記モル比(Mb/Ma)が上記範囲の上限値以下であれば、化学的に安定性の高い非水電解液が得られやすい。
また、LiPFとLiBFとを両方用いる場合、LiPFのモル量(Ma)とLiBFのモル量(Mc)とのモル比(Mc/Ma)は、特に限定されず、0.01〜10が好ましく、0.05〜2.0がより好ましい。
前記モル比(Mc/Ma)が上記範囲の下限値以上であれば、不燃性の非水電解液の伝導度を高く保ちやすい。また、前記モル比(Mb/Ma)の上記範囲の上限値以下であれば、化学的に安定性の高い非水電解液が得られやすい。
また、LiPF、LiBFおよび化合物(5)からなる群から選ばれる1種類以上のリチウム塩(I−A)と、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、化合物(6)および化合物(7)からなる群から選ばれる1種類以上のリチウム塩(I−B)を組み合わせて用いる場合、リチウム塩(I−A)の合計のモル量(Md)とリチウム塩(I−B)の合計のモル量(Me)とのモル比(Me/Md)は、特に限定されず、0.01〜10が好ましく、0.05〜2.0がより好ましい。
前記モル比(Me/Md)が上記範囲の下限値以上であれば、不燃性の非水電解液の伝導度を高く保ちやすい。また、前記モル比(Me/Md)が上記範囲の上限値以下であれば、化学的に安定性の高い非水電解液が得られやすい。
[電解質塩溶解用溶媒(II)]
電解質塩溶解用溶媒(II)は、後述する化合物(II−1)〜(II−3)、および必要に応じて化合物(II−4)を含有する。
(化合物(II−1))
化合物(II−1)は、非水電解液に不燃性を付与する溶媒である。化合物(II−1)は、下記化合物(1)および下記化合物(2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物である。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
Figure 0005786856
ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素数3〜10のフッ素化シクロアルキル基、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。
また、式(2)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のフッ素化アルキレン基、炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜5のアルキレン基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜5のフッ素化アルキレン基である。
本明細書において、フッ素化とは、炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されることをいう。フッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換された基である。一部がフッ素化された基中には、水素原子が存在する。部分フッ素化とは、炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子に置換されることをいう。
また、前記アルキル基および炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキル基としては、それぞれ、直鎖構造、分岐構造、または部分的に環状構造を有する基(たとえば、シクロアルキルアルキル基)が挙げられる。
化合物(1)におけるRおよびRは、その一方または両方がフッ素化アルキル基であるのが好ましい。RおよびRの一方または両方がフッ素化アルキル基であることで、リチウム塩(I)の非水電解液への溶解性が向上する。化合物(1)におけるRとRは同じであってもよく、異なっていてもよい。
化合物(1)としては、RおよびRが、いずれも炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である化合物(1−A)と、Rが炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜10のフッ素化アルキル基であり、Rが炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である化合物(1−B)が好ましい。
化合物(1)は、炭素数が少なすぎると沸点が低すぎ、多すぎると高粘度化することから、総炭素数が4〜10の化合物が好ましく、4〜8の化合物がより好ましい。化合物(1)の分子量は150〜800が好ましく、150〜500がより好ましく、200〜500が特に好ましい。化合物(1)中のエーテル性酸素原子数は可燃性に影響することから、エーテル性酸素原子を有する化合物(1)である場合のエーテル性酸素原子数は、1〜4が好ましく、1または2がより好ましい。また化合物(1)中のフッ素含有量が高くなると不燃性を向上させることから、化合物(1)の分子量に対するフッ素原子の質量の割合は50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。
化合物(1−A)、化合物(1−B)、化合物(1−A)および化合物(1−B)以外の化合物の具体例としては、たとえば、国際公開第2009/133899号に記載の化合物等が挙げられる。
本発明の非水電解液は、リチウム塩(I)を均一に溶解させやすく、不燃性に優れた伝導度の高い非水電解液が得られやすい。
化合物(II−1)として化合物(1)を使用する場合には、RおよびRが、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である場合の化合物(1−A)を必須とすることが好ましく、CFCHOCFCFH(商品名:AE−3000、旭硝子社製)、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、CFCHOCFCHFCF、またはCHFCFCHOCFCFHCFを必須とすることがより好ましく、CFCHOCFCFH、またはCHFCFCHOCFCFHCFを必須とすることが特に好ましい。
化合物(2)において、Xは直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。Xとしては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、2〜4のアルキレン基がより好ましい。該アルキレン基は、直鎖構造または分岐構造が好ましい。Xにおけるアルキレン基が分岐構造を有する場合には、側鎖は炭素数1〜3のアルキル基またはエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
さらに、化合物(2)としては、リチウム塩(I)を均一に溶解させ、不燃性に優れた伝導度の高い非水電解液が得られやすい点から、XがCH、CHCH、CH(CH)CH、およびCHCHCHからなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物(2)が好ましい。
化合物(2)の具体例としては、たとえば、下式で表される化合物等が挙げられる。
本発明の非水電解液は、リチウム塩(I)を均一に溶解させやすく、不燃性に優れた伝導度の高い非水電解液が得られやすい点から、化合物(II−1)として化合物(2)を使用する場合には、XがCHCHである化合物、またはCH(CH)CHである化合物を必須とすることが好ましい。
Figure 0005786856
化合物(II−1)としては、化合物(1)のみの使用、化合物(2)のみの使用、または化合物(1)および化合物(2)の併用のいずれであってもよく、化合物(1)または化合物(2)のみの使用が好ましい。
化合物(II−1)の含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、20〜85体積%が好ましく、30〜80体積%がより好ましく、40〜75体積%が特に好ましい。
化合物(II−1)の含有量の下限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましく、40体積%以上がさらに好ましく、45%以上が特に好ましく、50%以上が最も好ましい。化合物(II−1)の含有量の上限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、85体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましく、75体積%以下がさらに好ましい。
また、非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の下限値は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の上限値は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
また、化合物(II−1)として化合物(1)(体積:Va)と化合物(2)(体積:Vb)を併用する場合は、それらの体積比(Vb/Va)が0.01〜100であることが好ましく、0.1〜10であることがより好ましい。
(化合物(II−2))
化合物(II−2)は、リチウム塩(I)と効率良く溶媒和することにより、該リチウム塩(I)を前記化合物(II−1)に均一に溶解させる役割を果たす溶媒である。化合物(II−2)は、その一部または全部が電解液中でリチウム塩(I)と錯体を形成すると考えられる。前記化合物(II−2)は、下式(3)で表される化合物である。
Figure 0005786856
ただし、前記式(3)中、mは2〜10の整数であり、Qは炭素数1〜4の直鎖アルキレン基、または、該直鎖アルキレン基の水素原子の1個以上が、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜5のアルキル基に置換された基である。Qは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
また、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。
化合物(II−2)において、mは2〜6の整数であることが好ましく、2〜5の整数であることがより好ましく、2〜4の整数であることが特に好ましい。
は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基が好ましく、−CHCH−が特に好ましい。さらに、Qが1種のみである場合は、−CHCH−のみからなるのが好ましく、Qが2種以上である場合には、−CHCH−(m=2)とm=2以外の他のQとの組み合わせからなるのが好ましい。
およびRは、それぞれメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明の非水電解液は、化合物(II−2)が、下記化合物(3A)であることを必須とすることが好ましい。
Figure 0005786856
ただし、前記式(3A)中、mは2〜10の整数である。RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である。
化合物(3A)において、RとRがメチル基で、mが2〜6の化合物としては、ジグライム(m=2)、トリグライム(m=3)、テトラグライム(m=4)、ペンタグライム(m=5)、ヘキサグライム(m=6)が挙げられる。
化合物(3A)に含まれる他の化合物としては、たとえば、ジエチレングリコール−ジエチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−ジエチルエーテル、トリエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコールジ−iso−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−ジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、テトラエチレングリコールジ−iso−プロピルエーテル、テトラエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジエチルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ペンタエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル、ヘキサエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。
化合物(II−2)において、RとRがメチル基またはエチル基で、Qが−CHCH−以外の基である場合を含み、mが2〜6の化合物としては、たとえば、国際公開第2009/133899号に記載の化合物等が挙げられる。
化合物(II−2)としては、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム、ヘキサグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールジエチルエーテルなどが好ましく、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム、またはヘキサグライムがより好ましい。
さらに、化合物(II−2)としては、20℃における粘度が5cP以下で、非水電解液の実用上の溶媒粘度に優れ、かつ得られる非水電解液が良好な伝導度を示す点で、mが2〜5であるジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、またはペンタエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。粘度および引火点の両特性のバランスに優れる点から、ジグライム(引火点50℃)、トリグライム(引火点110℃)またはテトラグライム(引火点144℃)がより好ましい。
また、化合物(II−2)において、RとRが連結して炭素数1〜10のアルキレン基を形成している化合物としては、たとえば、12−クラウン−4、14−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等が挙げられる。
化合物(II−2)としては、前記式(3)のmが2〜6である化合物を必須とすることが好ましく、前記式(3)のmが2〜6である化合物のみからなることがより好ましく、前記式(3)のmが2〜6である化合物からなる群から選ばれる1種のみからなることがより好ましく、ジグライム、トリグライムまたはテトラグライムのみからなることが特に好ましい。
化合物(II−2)の含有量は、該非水電解液中の前記リチウム塩(I)の総量(モル)に対して、0.2〜4.0倍モルが好ましく、0.5〜3.0倍モルがより好ましく、0.5〜2.0倍モルが特に好ましい。
リチウム塩(I)に対する化合物(II−2)のモル比が上記範囲の下限値以上であれば、リチウム塩(I)を化合物(II−1)に均一に溶解させやすい。また、リチウム塩(I)に対する化合物(II−2)のモル比が上記範囲の上限値以下であれば、不燃性に優れた非水電解液が得られやすい。
本発明の非水電解液中に含まれる、リチウム塩(I)中のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する化合物(II−2)中のエーテル性酸素原子の総モル数(N)との比(N/NLi)は、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。前記比(N/NLi)が下限値以上であれば、リチウム塩(I)を化合物(II−1)に溶解させることが容易になる。一方、前記比(N/NLi)が上記範囲の上限値以下であれば、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制しやすい。また、高電圧下におけるサイクル特性が向上する。
非水電解液中の化合物(II−2)の量は、前記比(N/NLi)が上記範囲となる量とすることが好ましい。
化合物(II−2)の含有量の下限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、5体積%以上が好ましく、7体積%以上がより好ましく、10体積%以上がさらに好ましく、13体積%以上が特に好ましく、15%以上が最も好ましい。化合物(II−3)の含有量の上限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、30体積%以下が好ましく、25体積%以下がより好ましく、22体積%以下がさらに好ましい。
また、非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の下限値は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の上限値は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、17質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
(化合物(II−3))
化合物(II−3)は、炭素原子と酸素原子からなる環を有する化合物であり、該環が−O−C(=O)−O−で表される結合を含み、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含まない化合物である。なお、本明細書において、カーボネート化合物とは、−O−C(=O)−O−で表される結合(以下、「カーボネート結合」ともいう。)を含む化合物をいう。環状カーボネート化合物とは、カーボネート結合を含む環を有する化合物である。炭素−炭素不飽和結合とは、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合である。
化合物(II−3)は、極性が高く、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制する役割を果たす。また、リチウム塩(I)の解離度を向上させることで、該非水電解液の伝導度を向上させる。また、リチウム塩(I)と効率よく溶媒和することにより、該リチウム塩(I)を化合物(II−1)に均一に溶解させることを補助する。
化合物(II−3)における環は、4〜10員環が好ましく、4〜7員環がより好ましく、入手容易な点から、5〜6員環がさらに好ましく、5員環が特に好ましい。
化合物(II−3)の環は、カーボネート結合を1つ有する環が好ましく、カーボネート結合が、直鎖アルキレン基と連結して形成された環がより好ましい。直鎖アルキレン基の炭素数は1〜7が好ましく、1〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましく、2が特に好ましい。また、前記直鎖アルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
化合物(II−3)は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、およびブチレンカーボネートから選ばれる環状カーボネート化合物、または、該環状カーボネート化合物の環を形成する炭素原子に結合する水素原子の1個以上が、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基に置換された化合物が好ましい。ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基におけるハロゲンとしては、塩素原子またはフッ素原子が好ましい。
さらに、化合物(II−3)としては、下記化合物(4)が好ましい。
Figure 0005786856
ただし、前記式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。
化合物(4)の具体的な例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられる。なかでも、入手容易な点および電解液の性質の点から、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたは4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。
化合物(II−3)は、1種の化合物を単独で使用してもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。
化合物(II−3)の含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して10体積%超60体積%以下である。化合物(II−3)の含有量が10体積%超であれば、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制できる。また、リチウム塩(I)の解離度が向上し、伝導度がより良好になる。非水電解液中の化合物(II−3)の含有量が60体積%以下であれば、不燃性に優れた非水電解液が得られる。化合物(II−3)の含有量は、良好な伝導度と不燃性との両立の点から、含有量の上限値は50体積%がより好ましい。含有量の下限値は13体積%がより好ましい。
化合物(II−3)の含有量の下限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、10体積%以上が好ましく、12体積%以上がより好ましく、14体積%以上がさらに好ましく、16体積%以上が特に好ましい。化合物(II−3)の含有量の上限値は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、60体積%以下が好ましく、50体積%以下がより好ましく、40体積%以下がさらに好ましく、30体積%以下が特に好ましい。
また、非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の下限値は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、13質量%以上が特に好ましい。非水電解液の総質量(100質量%)に対する化合物(II−3)の含有量の上限値は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、27質量%以下が特に好ましい。化合物(II−3)の含有量が下限値以上であれば、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制しやすい。また、リチウム塩(I)の解離度が向上し、伝導度がより良好になる。非水電解液中の化合物(II−3)の含有量が上限値以下であれば、難燃性に優れた非水電解液を得やすい。
本発明の非水電解液中に含まれる、リチウム塩(I)中のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する化合物(II−3)の総モル数(NII)の比(NII/NLi)は、0.01〜6が好ましく、0.1〜5がより好ましく、1〜4が特に好ましい。前記比(NII/NLi)が上記範囲の下限値以上であれば、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制しやすい。前記比(NII/NLi)が上記範囲の上限値以下であれば、電解液の難燃性を維持しやすい。
本発明の非水電解液を用いた場合に、高レートでの充放電における電池容量の低下が、化合物(II−3)によって抑制される要因については必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
二次電池の充放電では、リチウムイオンが脱配位して電極の電極活物質と反応する必要があるが、化合物(II−2)は複数の分子内酸素原子がリチウムイオンに対して配位するために脱配位エネルギーが大きい。極性の高い化合物(II−3)を、リチウム塩(I)の化合物(II−1)への溶解性を補助する溶媒として電解液に用いると、溶媒全体の極性が向上することで脱配位エネルギーが低下し、化合物(II−2)が容易に脱配位してリチウムイオンを効率的に電極活物質と反応させることができるので、高レートでの充放電における電池容量の低下が抑制されると考えられる。
(化合物(II−4))
本発明における電解質塩溶解用溶媒(II)は、サイクル特性の点から、前述の化合物(II−1)〜(II−3)に加えて、炭素原子と酸素原子からなる環を有する化合物であり、該環がカーボネート結合を含み、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含む化合物(II−4)を含有することが好ましい。
化合物(II−4)における環は、4〜10員環が好ましく、4〜7員環がより好ましく、入手容易な点から、5〜6員環がさらに好ましく、5員環が特に好ましい。
化合物(II−4)の環は、カーボネート結合を1つ有する環が好ましい。
化合物(II−4)の炭素−炭素不飽和結合は、環内にあっても環の外にあってもよい。炭素−炭素不飽和結合は分子内に1〜5個あるのが好ましく、1〜3個がより好ましく、入手容易な点と非水電解液の耐久性の点から、1〜2個がさらに好ましく、1個が特に好ましい。
化合物(II−4)としては、下記化合物(8−1)、または化合物(8−2)が好ましい。
Figure 0005786856
ただし、前記式中、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。
11〜R14は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ビニル基またはアリル基であり、R11〜R14の少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。
化合物(II−4)としては、化合物(8−1)のみを使用してもよく、化合物(8−2)のみを使用してもよく、化合物(8−1)と化合物(8−2)を併用してもよい。
化合物(II−4)としては、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジメチルビニレンカーボネートまたはビニレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネートが特に好ましい。
化合物(II−4)を含む非水電解液を用いた二次電池で充電を行う場合、化合物(II−4)が負極(たとえば炭素電極)表面上で分解して安定な被膜を形成する。化合物(V)により形成された被膜は電極界面における抵抗を低減できるため、リチウムイオンの負極へのインターカレーション(Intercalation)を促進する効果が得られる。すなわち、非水電解液中の化合物(II−4)により形成された被膜によって負極界面におけるインピーダンス(Impedance)が小さくなることで、リチウムイオンの負極へのインターカレーションが促進される。また、化合物(II−4)は、化合物(II−3)と同様に極性が高いため、化合物(II−3)による効果を妨げずに、リチウムイオンの負極へのインターカレーションを促進し、充放電のサイクル特性を向上させる。
化合物(II−4)の含有量は、長期にわたる不燃性、非水電解液中での相分離および炭酸ガスの大量発生の抑制、低温特性の低下の抑制、ならびにリチウム塩(I)の溶解性の向上の効果を兼ね備えやすい点から、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、0.01〜10体積%が好ましく、0.05〜5.0体積%がより好ましく、0.1〜3.0体積%が特に好ましい。
(リチウム塩(I)と電解質塩溶解用溶媒(II)の好ましい組み合わせ)
本発明の非水電解液としては、特に下記成分のリチウム塩(I)と電解質塩溶解用溶媒(II)との組み合わせの場合が、本発明の目的とする効果を奏することから好ましい。
好ましい組み合わせとしては、LiPF、上記化合物(5)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、上記化合物(6)、上記化合物(7)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩(I)と、化合物(II−1)である化合物(1)および化合物(2)からなる群から選ばれる1種以上、化合物(II−2)である化合物(3)、および化合物(II−3)である化合物(4)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)とである。
また、好ましい組み合わせとしては、LiPF、上記化合物(5)、FSON(Li)SOF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、上記化合物(6)、上記化合物(7)、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩(I)と、化合物(II−1)である化合物(1)および化合物(2)からなる群から選ばれる1種以上、化合物(II−2)である化合物(3)、および化合物(II−3)である化合物(4)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)とであり、かつ、化合物(II−4)の含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して0.01〜10体積%である。
より好ましい組み合わせとしては、LiPF、CFSON(Li)SOCF、CFCFSON(Li)SOCFCF、LiClO、およびLiBFからなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩(I)と、化合物(II−1)であるCFCHOCFCFH、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、CFCHOCFCHFCF、およびCHFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる1種以上、化合物(II−2)が上記式(2)で表され、XがCHCHである化合物、およびXがCH(CH)CHである化合物からなる群から選ばれる1種以上、ならびに化合物(II−3)であるエチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートを含有する電解質塩溶解用溶媒(II)とであり、かつ、化合物(II−4)であるビニレンカーボネートの含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して0.01〜10体積%である。
さらに好ましい組み合わせとしては、リチウム塩(I)としてのLiPFと、化合物(II−1)であるCFCHOCFCFH、化合物(II−2)であるジグライム、および化合物(II−3)として、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートを含有する電解質塩溶解用溶媒(II)とであり、かつ、化合物(II−4)であるビニレンカーボネートの含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して0.01〜10体積%である。
(その他の電解質塩溶解用溶媒)
本発明における電解質塩溶解用溶媒(II)は、該非水電解液が相分離せず、本発明の効果を妨げない範囲内であれば、前記化合物(II−1)、化合物(II−2)、化合物(II−3)および化合物(II−4)以外の化合物からなる溶媒(以下、「その他の電解質塩溶解用溶媒」という。)を含んでもよい。
その他の電解質塩溶解用溶媒としては、含フッ素アルカン;プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等のカルボン酸エステル;γブチロラクトン等の環状エステル;プロパンサルトン等の環状スルホン酸エステル;スルホン酸アルキルエステル;リン酸アルキルエステル;アセトニトリル、イソブチロニトリル、ピバロニトリル等のカルボニトリル等が挙げられる。
含フッ素アルカン以外のその他の電解質塩溶解用溶媒の含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、0超〜20体積%であることが好ましく、0超〜10体積%であることがより好ましく、0超〜5体積%であることが特に好ましい。
本発明の非水電解液が、その他の電解質塩溶解用溶媒として含フッ素アルカンを含む場合には、非水電解液の蒸気圧を抑制し、非水電解液の不燃性をさらに向上することができる。含フッ素アルカンとは、アルカンの水素原子の1個以上がフッ素原子に置換され、かつ水素原子が残っている化合物をいう。本発明においては、炭素数4〜12の含フッ素アルカンが好ましい。このうち、炭素数6以上の含フッ素アルカンを用いた場合は、非水電解液の蒸気圧を低下させる効果が期待でき、また炭素数が12以下であればリチウム塩(I)の溶解度を保ちやすい。また、含フッ素アルカン中のフッ素含有量(フッ素含有量とは、分子量に占めるフッ素原子の質量の割合をいう。)は、50〜80%が好ましい。含フッ素アルカン中のフッ素含有量が50%以上であれば、不燃性がさらに高くなる。含フッ素アルカン中のフッ素含有量が80%以下であれば、リチウム塩(I)の溶解性を保持しやすい。
含フッ素アルカンとしては、直鎖構造の化合物が好ましく、たとえば、n−CCHCH、n−C13CHCH、n−C13H、n−C17H等が挙げられる。これら含フッ素アルカンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水電解液に前記含フッ素アルカンを含ませる場合の含有量は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して、5〜60体積%が好ましく、5〜30体積%がより好ましい。前記含フッ素アルカンの含有量が5体積%以上であれば、蒸気圧を低下させやすく、不燃性を発現させやすい。前記含フッ素アルカンの含有量が60体積%以下であれば、リチウム塩(I)の溶解度を維持しやすい。
また、本発明の非水電解液は、下記化合物(9)の含有量の上限値が30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特にこのましい。下記化合物(9)の含有量の下限値は0%である。
化合物(9)は鎖状のカーボネート化合物であり、化合物(II−3)および化合物(II−4)のような環状カーボネート化合物とは異なり、引火点が低い。そのため、本発明の非水電解液に化合物(9)を30%以上含有させると、難燃性の低下を招く。
Figure 0005786856
ここで、前記式(9)中、R15〜R20は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。
(他の成分)
本発明の非水電解液には、非水電解液の機能を向上させるために、必要に応じて他の成分を含ませてもよい。他の成分としては、たとえば、従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性および充放電のサイクル特性を改善するための特性改善助剤等が挙げられる。
過充電防止剤としては、たとえば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物が挙げられる。過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液が過充電防止剤を含有する場合、非水電解液中の過充電防止剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。非水電解液に過充電防止剤を0.01質量%以上含有させることにより、過充電による二次電池の破裂・発火を抑制することがさらに容易になり、二次電池をより安定に使用できる。
脱水剤としては、たとえば、モレキュラーシーブス、芒硝、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。本発明の非水電解液に用いる溶媒は、前記脱水剤で脱水を行った後に精留を行ったものを使用することが好ましい。また、精留を行わずに前記脱水剤による脱水のみを行った溶媒を使用してもよい。
高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための特性改善助剤としては、たとえば、フェニルエチレンカーボネート、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物が挙げられる。これら特性改善助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解液が特性改善助剤を含有する場合、非水電解液中の特性改善助剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
[界面活性剤]
本発明の非水電解液は、非水電解液と電極活物質の濡れ性を改善するための界面活性剤を含んでいることが好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよく、入手が容易で界面活性効果が高いことから、アニオン性界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤としては、耐酸化性が高く、サイクル特性、レート特性が良好な点から、含フッ素界面活性剤が好ましい。
アニオン性の含フッ素界面活性剤としては、下記化合物(8−1)および化合物(8−2)が好ましい。
Figure 0005786856
ただし、式中、R23およびR24はそれぞれ独立に炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基である。
およびMはそれぞれ独立にアルカリ金属またはNH(R25(R25は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)である。
23およびR24としては、非水電解液の表面張力を低下させる度合いが良好な点から、炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基が好ましく、溶解性、環境蓄積性の観点から、炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基、または炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基がより好ましい。
およびMのアルカリ金属としては、Li、Na、Kが好ましい。MおよびMとしては、NH4+が特に好ましい。
化合物(8−1)の具体例としては、たとえば、CCOONH 、C11COONH 、C13COONH 、C11COONH(CH 、C13COONH(CH 、CCOOLi、C11COOLi、C13COOLi、COCF(CF)COONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH 、COCF(CF)COONH(CH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH(CH 、COCF(CF)COOLi、COCOCFCOOLi、COCOCFCOONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COOLi等の含フッ素カルボン酸塩が挙げられる。
なかでも、非水電解液への溶解性、表面張力を低下させる効果が良好な点から、C11COONH 、C11COOLi、C13COOLi、COCF(CF)COONH 、COCF(CF)CFOCF(CF)COONH 、COCF(CF)COOLi、COCF(CF)CFOCF(CF)COOLi、COCOCFCOOLi、COCOCFCOONH が好ましい。
化合物(8−2)の具体例としては、たとえば、CSO NH 、C11SO NH 、C13SO NH 、CSO NH(CH 、C11SO NH(CH 、C13SO NH(CH 、CSO Li、C11SO Li、C13SO Li、COCF(CF)CFOC(CF)FSO NH 、COCF(CF)CFOCF(CF)CFOCF(CF)SO NH 、HCFCFOCFCFSO NH 、CFCFHCFOCFCFSO NH 、COC(CF)FSO NH 、COCF(CF)CFOC(CF)FSO NH(CH 、COCF(CF)CFOCF(CF)CFOCF(CF)SO NH(CH 、HCFCFOCFCFSONH(CH 、CFCFHCFOCFCFSO NH(CH 、COCF(CF)SO NH(CH 、COCF(CF)CFOC(CF)FSO Li、COCF(CF)CFOC(CF)FCFOCF(CF)SO Li、HCFCFOCFCFSO Li、CFCFHCFOCFCFSO Li、COCF(CF)SO Li等の含フッ素スルホン酸塩が挙げられる。
なかでも、非水電解液への溶解性、表面張力を低下させる効果が良好な点から、CSO NH 、C13SO NH 、CSO Li、C13SO Li、C17SO Li、COCF(CF)CFOCF(CF)SO NH 、COCF(CF)CFOCF(CF)SO Li、COCF(CF)SO NH 、COCF(CF)SO Liが好ましい。
本発明の非水電解液が界面活性剤を含有する場合には、界面活性剤は1種のみでもよく、2種以上をであってもよい。
非水電解液が界面活性剤を含有する場合、非水電解液の総質量(100質量%)に対する界面活性剤の質量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましい。
本発明の非水電解液は、二次電池用として好ましい。特にリチウムイオン二次電池の電解液として用いた場合には、リチウム塩(I)を良好に溶解させ、実用上充分な伝導度が得られ、かつ、高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制でき、不燃性にも優れる。また、リチウムイオン二次電池以外の他の二次電池に使用してもよい。他の二次電池としては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。
特許文献4には、電解液に鎖状非フッ素エーテル類であるモノグライムを含有してもよいことが記載されているが、モノグライムは引火点が低く、特にその含有量が多い場合には難燃性を低下させる傾向がある。これに対し、本発明の非水電解液では、モノグライムよりも引火点が高い化合物(II−2)を使用するため、優れた難燃性を発現できる。
<二次電池>
本発明の非水電解液は、リチウムイオンの二次電池用の電解液として用いるのが好ましい。該二次電池としては、負極および正極と、本発明の非水電解液とを有する二次電池である。
負極としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質を含む電極が挙げられる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料もしくは金属リチウム等が挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、負極活物質としては、炭素質材料が好ましい。
炭素質材料としては、黒鉛、および黒鉛の表面を該黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆した炭素質材料が特に好ましい。
黒鉛としては、日本学術振興会炭素材料第117委員会で制定された方法(以下、「学振法」という。)によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離、以下単に「d値」という。)が0.335〜0.338nmが好ましく、0.335〜0.337nmがより好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、30nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、100nm以上が特に好ましい。黒鉛の灰分は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
また、黒鉛の表面を非晶質炭素で被覆した炭素質材料としては、d値が0.335〜0.338nmである黒鉛を核材とし、該黒鉛の表面に該黒鉛よりもd値が大きい非晶質炭素が被覆されており、かつ核材の黒鉛(質量W)と該黒鉛を被覆する非晶質炭素(質量W)の割合が質量比(W/W)で80/20〜99/1であることが好ましい。この炭素質材料を用いることにより、高い容量で、かつ非水電解液と反応しにくい負極を製造することが容易になる。
炭素質材料の粒径は、レーザー回折・散乱法によるメジアン径で、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましい。また、炭素質材料の粒径の上限は、100μmが好ましく、50μmがより好ましく、40μmがさらに好ましく、30μmが特に好ましい。
炭素質材料のBET法により測定される比表面積は、0.3m/g以上が好ましく、0.5m/g以上がより好ましく、0.7m/g以上がさらに好ましく、0.8m/g以上が特に好ましい。炭素質材料の比表面積の上限は、25.0m/gが好ましく、20.0m/gがより好ましく、15.0m/gがさらに好ましく、10.0m/gが特に好ましい。
炭素質材料は、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトルで分析したときに、1,570〜1,620cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度Iと、1,300〜1,400cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度Iとの比で表されるR値(=I/I)が、0.01〜0.7であることが好ましい。また、ピークPの半値幅が、26cm−1以下であることが好ましく、25cm−1以下であることが特に好ましい。
金属リチウム以外に負極活物質として使用できる金属としては、Ag、Zn、Al、Ga、In、Si、Ti、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Cu、Ni、Sr、Ba等が挙げられる。また、リチウム合金としては、リチウムと前記金属の合金が挙げられる。また、金属化合物としては、前記金属の酸化物等が挙げられる。
なかでも、Si、Sn、Ge、TiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属、該金属を含む金属化合物、金属酸化物、リチウム合金が好ましく、Si、SnおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属、該金属を含む金属化合物、リチウム合金、またはチタン酸リチウムがより好ましい。
リチウムイオンを吸蔵・放出できる、金属、該金属を含む金属化合物およびリチウム合金は、一般に黒鉛に代表される炭素質材料と比較して、単位質量当たりの電池容量が大きいので、より高エネルギー密度が求められる二次電池の負極活物質として好適である。
正極としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる正極活物質を含む電極が挙げられる。
正極活物質としては、公知のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いることができ、たとえば、リチウム含有遷移金属酸化物、1種類以上の遷移金属を用いたリチウム含有遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物、オリビン型金属リチウム塩等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、たとえば、LiCoO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウムマンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Yb等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。他の金属で置換されたものとしては、具体的には、LiMn0.5Ni0.5、LiMn1.8Al0.2、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiMn1.5Ni0.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMn1.8Al0.2等が挙げられる。
遷移金属酸化物としては、たとえば、TiO、MnO、MoO、V、V13等が挙げられる。
遷移金属硫化物としてはTiS、FeS、MoS等が挙げられる。
金属酸化物としてはSnO、SiO等が挙げられる。
オリビン型金属リチウム塩は、Li(ただし、XはFe(II)、Co(II)、Mn(II)、Ni(II)、V(II)、またはCu(II)を示し、YはPまたはSiを示し、L、x、y、z、およびgは、それぞれ0≦L≦3、1≦x≦2、1≦y≦3、4≦z≦12、0≦g≦1である。)で示される物質またはこれらの複合体である。たとえば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiFePOF、LiMnPOF、LiNiPOF、LiCoPOF、LiFeSiO、LiMnSiO、LiNiSiO、LiCoSiO等が挙げられる。
これら正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物;硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
表面付着物質の付着量としては、正極活物質の全質量に対して、下限は0.1ppmが好ましく、1ppmがより好ましく、10ppmが特に好ましい。また、上限は20%が好ましく、より10%がより好ましく、5%が特に好ましい。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。
正極活物質としては、放電電圧が高く、かつ電気化学的安定性が高い点から、LiCoO、LiNiO、LiMnO等のα−NaCrO構造を母体とするリチウム含有複合酸化物、またはLiMn等のスピネル型構造を母体とするリチウム含有複合酸化物が好ましい。
本発明の二次電池は、負極および/または正極のいずれか一方または両方が分極性電極である負極および正極と、本発明の非水電解液とを有する。分極性電極は、電気化学的に不活性な高比表面積の材料を主体とするものが好ましく、活性炭、カーボンブラック、金属微粒子、および導電性酸化物微粒子からなるものが特に好ましい。なかでも、金属集電体の表面に活性炭等の高比表面積の炭素材料粉末からなる電極層が形成されたものが好ましい。
電極の製造には、負極活物質または正極活物質を結着させる結着剤を用いる。
負極活物質および正極活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒、電解液等に対して安定な材料であれば、任意の結着剤を使用することができる。
結着剤としては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有する重合体およびその共重合体;アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系重合体およびその共重合体等が挙げられる。これらの結着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電極中には、機械的強度、または電気伝導度を高めるために増粘剤、導電材、充填剤等を含有させてもよい。
増粘剤としては、たとえば、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの増粘剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電材としては、たとえば、銅またはニッケル等の金属材料、グラファイトまたはカーボンブラック等の炭素質材料等が挙げられる。これら導電材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電極の製造法としては、負極活物質または正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布し、乾燥して製造することができる。この場合、乾燥後にプレスすることによって電極を圧密化することが好ましい。
正極活物質層の密度が低すぎると二次電池の容量が不充分となるおそれがある。
集電体としては、各種の集電体を用いることができるが、通常は金属または合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、銅が好ましい。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属またはその合金が挙げられ、アルミニウムまたはその合金が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
二次電池の形状は、用途に応じて選択すればよく、コイン型、円筒型、角型、ラミネート型等のいずれであってもよい。また、正極および負極の形状も、二次電池の形状に合わせて適宜選択することができる。
本発明の二次電池の充電電圧は、3.4V以上とするのが好ましく、4.0V以上がより好ましく、4.2V以上が特に好ましい。二次電池の正極活物質が、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物等の場合の充電電圧は、4.0V以上が好ましく、4.2Vがより好ましい。また、正極活物質がオリビン型金属リチウム塩の場合の充電電圧は、3.2Vが好ましく、3.4V以上がより好ましい。
二次電池の正極と負極の間には、短絡を防止するために通常はセパレータとして多孔膜を介在させる。この場合、非水電解液は該多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質および形状は、非水電解液に対して安定であり、かつ保液性に優れていれば特に制限はない。
多孔膜の材質としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー等のフッ素樹脂、またはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンがより好ましい。また、多孔膜の形状は、上記材質を原料とする多孔性シートまたは不織布が好ましい。また、これらの多孔膜に電解液を含浸させてゲル化させたものをゲル電解質として用いてもよい。
本発明の非水電解液に使用される電池外装体の材質も二次電池に通常用いられる材質であればよく、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、樹脂材料、フィルム材料等が挙げられる。
以上説明した本発明の二次電池は、本発明の非水電解液を用いているため、長期の不燃性および実用上充分な伝導度を兼ね備え、かつ高レートでの充放電における電池容量の低下が抑制される。
そのため、本発明の二次電池は、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電動工具、ノートパソコン、携帯情報端末、携帯音楽プレーヤー、電気自動車、ハイブリット式自動車、電車、航空機、人工衛星、潜水艦、船舶、無停電電源装置、ロボット、電力貯蔵システム等の様々な産業分野で用いることができる。また、本発明の二次電池は、電気自動車、ハイブリット式自動車、電車、航空機、人工衛星、潜水艦、船舶、無停電電源装置、ロボット、電力貯蔵システム等の産業分野で大型二次電池として用いた場合、特に好ましい特性を有する。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜6、および21は実施例であり、例7〜10、22および23は比較例である。
<溶解性および伝導度の評価>
[例1]
リチウム塩(I)であるLiPF(1.52g)を、化合物(II−1)である商品名「AE3000」(CFCHOCFCFH、旭硝子社製、7.4mL(ミリリットル))中に拡散した後、化合物(II−2)であるジグライム(1.89mL)および化合物(II−3)であるエチレンカーボネート(1.76g)を添加し、混合して非水電解液とした。
[例2〜10]
リチウム塩(I)および化合物(II−1)〜(II−3)の組成を表1に示す通りに変更した以外は、例1と同様にして非水電解液を得た。
[評価方法]
例1〜10で得られた非水電解液について、各溶媒成分の溶解性試験、伝導度測定および引火性試験を行った。
(溶解性試験)
各例において、非水電解液を調製してから1時間経過後の該非水電解液の溶解状態を目視により評価した。溶解性の評価は、電解液が均一であるものを「○(良)」、2相に分離したものを「×(不可)」とした。
(伝導度測定)
伝導度測定は、得られた非水電解液について、「溶融塩及び高温化学、2002年、vol.45、p42」に記載の既知の方法を用いて25℃で行った。
(引火性試験)
非水電解液10mLを20mLガラスバイアル(Glass Vial)に仕込んだ後、液面上方5mmの気相部をライターの炎で炙り続け、15秒未満で着火したものを「×(不可)」、15秒〜30秒未満で着火したものを「△(可)」、30秒後においても着火しなかったものを「○(良)」として難燃性を評価した。
溶解性、伝導度および難燃性の評価結果を表1に示す。
Figure 0005786856
表1に示すように、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して10体積%超60体積%以下の化合物(II−3)を含む例1〜6は、均一に溶解し、良好な伝導度が得られ、難燃性に優れていた。
一方、例7の非水電解液は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して化合物(II−3)の含有量が10体積%以下であるため、ジグライムの含有量が同じで、例7よりも化合物(II−3)の含有量の多い例1および2の非水電解液と比べて、伝導度が低かった。
例8の非水電解液は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積に対して化合物(II−3)の含有量が60体積%超であるため、ジグライムの含有量が同じで、例8よりも化合物(II−3)の含有量の少ない例1および2の非水電解液と比べて、難燃性が不充分であった。
例9の非水電解液は、化合物(II−3)を含まないため、ジグライムの含有量が例9と同じで、化合物(II−3)を含む例1および例2に比べて、低い伝導度であった。
例10の非水電解質は、化合物(II−3)を含まないため、相分離を起こしてしまうのに対し、ジグライムの含有量が例10と同じで、化合物(II−3)を含む例3では均一に溶解し、かつ良好な伝導度が得られ、難燃性にも優れていた。
<LiCoO正極−リチウム金属箔からなる単極セルのシート状非水電解液二次電池の評価>
[例21]
LiCoO(AGCセイミケミカル社製、商品名「セリオンC」)の90質量部と、カーボンブラック(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック」)の5質量部と、ポリフッ化ビニリデンの5質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリーとした。該スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.0g/cmになるようにプレスしてLiCoO正極を製造した。
前記LiCoO正極、該LiCoO正極と同面積のリチウム金属箔、およびポリエチレン製のセパレータを、リチウム金属箔、セパレータ、LiCoO正極の順に2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、例2で調製した非水電解液を添加し、これを密封することによりコイン型非水電解液二次電池を製造した。この際、非水電解液には電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して2体積%のビニレンカーボネートを含有させた。
[例22〜23]
表2に示す非水電解液を用いた以外は、例21と同様にしてコイン型二次電池を作製した。
<高レート充放電特性の評価>
[評価方法]
LiCoO正極−リチウム金属箔からなる単極セルのコイン型二次電池の高レート放電特性の評価は、以下に示す方法により行った。
25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.3V(電圧はリチウムに対する電圧を表す)まで充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまで充電を行い、しかる後に0.2Cに相当する定電流で3Vまで放電するサイクルを5サイクル行い、二次電池を安定させた。6サイクル目は、0.2Cの定電流で4.3Vまで充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまで充電を行い、しかる後に0.5Cの定電流で3Vまで放電させた。7サイクル目は、0.2Cの定電流で4.3Vまで充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまで充電を行い、しかる後に1.0Cの定電流で3Vまで放電させた。8サイクル目は、0.2Cの定電流で4.3Vまで充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまで充電を行い、しかる後に2.0Cの定電流で3Vまで放電させた。0.2C放電時の放電容量に対する、各レートの放電容量の容量維持率を評価成績とした。
ただし、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。評価結果を表2に示す。また、各レートでの放電時における放電容量−電圧曲線を図1〜3に示す。
Figure 0005786856
表2および図1〜3に示すように、例21の二次電池は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して10体積%超60体積%以下の化合物(II−3)を含む非水電解液を用いたので、0.2C放電時の放電容量に対する2.0C放電時の容量維持率が高く、高レートでの放電における電池容量の低下が抑制されていた。
一方、例22の二次電池は、電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して10体積%以下の化合物(II−3)を含む非水電解液を用いたので、0.2C放電時の放電容量に対する2.0C放電時の容量維持率が低く、高レートでの放電における電池容量が低下した。
例23の二次電池は、化合物(II−3)を含まない非水電解液を用いたので、0.2C放電時の放電容量に対する2.0C放電時の容量維持率が低く、高レートでの放電における電池容量が低下した。
本発明の二次電池用非水電解液およびそれを用いた二次電池は、長期の不燃性および実用上充分な伝導度を兼ね備え、かつ高レートでの充放電における電池容量の低下を抑制できる。そのため、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車等の様々な産業分野の二次電池に好適に使用できる。また、本発明の二次電池用非水電解液は、リチウム塩を良好に溶解させ、かつ、不燃性にも優れることから、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の他の帯電デバイスにも使用できる。
なお、2010年5月28日に出願された日本特許出願2010−123177号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (10)

  1. リチウム塩(I)と、
    下式(1)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物(II−1)、下式(3A)で表される化合物(II−2)、ならびに、下式(4)で表される化合物(II−3)を含有する電解質塩溶解用溶媒(II)と、を含む電解液であり、
    前記リチウム塩(I)が、LiPF 、下式(5)で表される化合物、FSO N(Li)SO F、CF SO N(Li)SO CF 、CF CF SO N(Li)SO CF CF 、LiClO 、下式(6)で表される化合物、下式(7)で表される化合物、およびLiBF からなる群から選ばれる1種以上であり、
    前記リチウム塩(I)の含有量が、0.1〜3.0mol/Lであり、
    前記化合物(II−1)の含有量が、前記電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して40〜75体積%であり、
    前記化合物(II−3)の含有量が、前記電解質塩溶解用溶媒(II)の総体積量に対して10体積%超60体積%以下であることを特徴とする二次電池用非水電解液。
    Figure 0005786856
    (ただし、式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である
    mは2〜10の整数である。R およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、またはRとRが連結して形成した炭素数1〜10のアルキレン基である
    〜R は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基である。
    kは1〜5の整数である。
  2. 前記化合物(II−3)が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンからなる群から選ばれる1種以上であることを必須とする、請求項1に記載の二次電池用非水電解液。
  3. 二次電池用非水電解液中に含まれる、前記リチウム塩(I)中のリチウム原子の総モル数(NLi)に対する前記化合物(II−2)中のエーテル性酸素原子の総モル数(N)の比(N/NLi)が2〜6である、請求項1または2に記載の二次電池用非水電解液。
  4. 前記電解液が、下式(9)で表わされる飽和鎖状カーボネート化合物を含有し、かつ電解液の総質量に対する該飽和鎖状カーボネート化合物の質量が、0〜30質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
    Figure 0005786856
    (ただし、前記式(9)中、R 15 〜R 20 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはハロゲン化アルキル基である。)
  5. 前記リチウム塩(I)が、前記式(5)で表され、かつ、kが2である化合物であることを必須とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
  6. 前記化合物(II−1)が、CFCHOCFCFH、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCHF、CFCHOCFCHFCF、およびCHFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる1種以上であることを必須とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
  7. 炭素原子と酸素原子からなる環を有する化合物であり、該環が−O−C(=O)−O−で表される結合を含み、かつ分子内に炭素−炭素不飽和結合を含む化合物(II−4)を、さらに含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液。
  8. 前記化合物(II−4)が、下式(8−1)で表される化合物および下式(8−2)で表される化合物の少なくとも一方である、請求項に記載の二次電池用非水電解液。
    Figure 0005786856
    (ただし、式中、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン化アルキル基であり、R11〜R14は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ビニル基またはアリル基であり、R11〜R14の少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液を用いる、リチウムイオン二次電池の電解液。
  10. リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料である、炭素材料、金属リチウム、リチウム含有金属複合酸化物材料またはリチウム合金からなる負極と、リチウムイオンを吸蔵および放出できる材料からなる正極と、請求項1〜のいずれか一項に記載の二次電池用非水電解液とを有することを特徴とする二次電池。
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