JPWO2012073767A1 - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
従来より、これらの問題を解決するために多種の添加剤が用いられるようになってきた。特許文献1には特定のリン系安定剤、フェノール系安定剤、紫外線吸収剤および離型剤を組み合わせることにより、耐候性を保ちつつ、成形耐熱性、耐乾熱性および耐湿熱疲労性が向上した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が示されている。特許文献2には紫外線吸収剤、特定の内部離型剤および特定のリン系安定剤組み合わせることにより、耐候性や機械特性を保ちつつ、押出加工でシート化する際のダイの汚れを低減できるポリカーボネート樹脂組成物が示されている。また、特許文献3には特定のリン系安定剤、特定のフェノール系安定剤およびエポキシ系化合物を組み合わせることにより、造粒時のみならず成形時やリサイクル時における熱安定性ならびに耐水性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供できることが示されている。
しかしながら、特許文献1および2の技術は耐沸水性と押出時の熱安定性に関して満足するものではなく、また成形加工の際に樹脂が接する金型や成形ロール等の金属部分が腐食するという問題がある。また、特許文献3の技術は耐候性と耐乾熱性に関して満足するものではなく、また射出成形加工や押出成形加工の際に成形品が割れる問題、添加剤等の昇華により金型やダイスや成形ロール等が汚染するという問題がある。
本発明は上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
1. [A]ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、
[B]下記式(1)で示されるリン系安定剤(B成分)0.005〜0.2重量部、
[C]下記式(2)で示されるフェノール系安定剤(C成分)0.005〜0.2重量部、
[D]分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤および下記式(3)で示される環状イミノエステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(D成分)0.01〜0.5重量部、
[E]ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)0.005〜0.5重量部、並びに
[F]エポキシ系化合物(F成分)0.003〜0.2重量部を含有し、
E成分およびF成分は溶融押出法で製造された粘度平均分子量24,500のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂シートに対し、4分の1楕円試験法において温度120℃で24時間処理した際の限界応力が12MPa以上である樹脂組成物。
[式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で置換されてもよい炭素数5〜20のアリール基である。]
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
[Arは炭素数6〜12の二価の芳香族炭化水素残基であり、ヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。]
2. ポリカーボネート樹脂(A成分)の粘度平均分子量が2.2×104〜3.2×104である前項1記載の樹脂組成物。
3. 前項1記載の樹脂組成物より形成された成形品。
4. 厚み0.1〜30mmのシートまたはフィルムである前項3記載の成形品。
5. 建材および車両用透明部材である前項3または前項4記載の成形品。
図2は、金型腐食性の評価に使用した金型(キャビティーサイズ横42mm×縦24mm×深さ3mmt、金型鋼材NAK80にて作成した腐食評価用入れ子(20mmφ)挿入)の概要図を示す。
2 楕円の長軸半径(10cm)
3 楕円の短軸半径(4cm)
4 ジグの幅(4cm)
5 押え金具(それぞれ幅1cm)
6 楕円中心から最も少ない歪みでクラックが生じている部分までの水平距離(cm)
7 ポリカーボネート樹脂シート
8 最も少ない歪みでクラックが生じている部分
9 ゲート
10 スプルー
11 腐蝕評価用入れ子(鋼材NAK80、20mmφ)
[ポリカーボネート樹脂]
ポリカーボネート樹脂(A成分)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールの具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これら二価フェノールは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
前記二価フェノールのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる二価フェノール成分とするのが好ましく、特に全二価フェノール成分中70モル%以上、特に80モル%以上がビスフェノールAであるものが好ましい。最も好ましいのは、二価フェノール成分が実質的にビスフェノールAである芳香族ポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆体としてホスゲンを用いる溶液法では、通常、酸結合剤および有機溶媒の存在下に二価フェノール成分とホスゲンとの反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。
カーボネート前駆体として炭酸ジエステルを用いるエステル交換法(溶融法)は、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノール成分と炭酸ジエステルとを加熱しながら撹拌し、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法である。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応させる。また反応を促進するために通常のエステル交換反応触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いる炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A成分)の分子量は、粘度平均分子量(M)で1.0×104〜5.0×104が好ましく、1.4×104〜3.5×104がより好ましく、2.2×104〜3.2×104がさらに好ましく、2.3×104〜3.0×104が特に好ましい。かかる粘度平均分子量(M)を有するポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強度を有するので好ましい。
本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(ηSP)を次式に挿入して求めるMを指す。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
[リン系安定剤]
本発明で用いられるリン系安定剤(B成分)は、下記式(1)で示される化合物である。
式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で置換されてもよい炭素数5〜20のアリール基である。
炭素数1〜20のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素数5〜20のアリール基としてフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。アリール基の置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
リン系安定剤(B成分)として、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトが挙げられる。特に好ましくはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
リン系安定剤(B成分)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して0.005〜0.2重量部である。0.005重量部未満では熱安定性が不充分である。また、0.2重量部を越すとポリカーボネート樹脂の着色や耐水性の低下が著しい。B成分の含有量は、A成分100重量部に対してより好ましくは0.01〜0.1重量部、特に好ましくは0.02〜0.08重量部である。
[フェノール系安定剤]
フェノール系安定剤(C成分)は下記式(2)で示される化合物である。
式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
炭素数1〜10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
フェノール系安定剤(C成分)として、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。特に好ましくはオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。
フェノール系安定剤(C成分)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し0.005〜0.2重量部である。0.005重量部未満では熱安定性が不充分である。また、0.2重量部を越すとポリカーボネート樹脂の着色や成形品の割れ等を引き起こす可能性がある。C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、より好ましくは0.01〜0.1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.08重量部であり、特に好ましくは、0.01〜0.06重量部である。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤(D成分)は、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤および下記式(3)で示される環状イミノエステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる。
分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[4―tert−ブチル−6−(2H―ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2,2’−オクチリデンビス[4−メチル−6−(2H―ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられる。特に好ましくは2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が挙げられる。
分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤として、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。特に好ましくは2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤とは、下記式(3)で示される化合物である。
Arは炭素数6〜12の二価の芳香族炭化水素残基であり、ヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。
二価の芳香族炭化水素残基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基等が挙げられる。芳香族炭化水素残基は置換基を有していても良い。置換基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等炭素数1〜10のアルキル基や、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
式(3)で示される化合物として、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(上記式(3)におけるn=0の場合)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。特に好ましくは2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)である。
上記のような特定の紫外線吸収剤を配合することで、耐候性を付与し、且つ成形加工の際にロール等の汚染を抑制することができる。
紫外線吸収剤(D成分)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し0.01〜0.5重量部である。0.01重量部未満では紫外線吸収性能が小さく、十分な耐候性が得られない。また0.5重量部を超えると紫外線吸収剤自体がその性質上黄色く着色している事が多く、ポリカーボネート樹脂を黄色く着色する為、その黄色味打ち消す為にブルーイング剤を大量に添加する事が必要となる。その結果として成形品の透明性の悪化や成形時に紫外線吸収剤の揮発分が多くなって金型汚染を引き起こす等の問題が生じる。D成分の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.05〜0.3重量部、さらに好ましくは0.1〜0.3重量部である。
[離型剤]
本発明の樹脂組成物は、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)を含有する。
脂肪族カルボン酸としては、炭素原子数10〜30の脂肪族カルボン酸が好ましく、具体的にはペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)として、具体的にはペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
本発明で離型剤として用いられるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)は、溶融押出法で製造された粘度平均分子量24,500のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂シートに対し、4分の1楕円試験法において温度120℃で24時間処理した際の限界応力が12MPa以上であることを特徴とするものである。
上記の限界応力の試験方法は、通常、脂肪酸エステルが融点60℃以上の固体であることから、次のように行う。すなわち脂肪酸エステルの固体は加熱して溶融状態にされ、4分の1楕円試験法の治具に設置された所定のポリカーボネート樹脂シートの表面一面に塗布される。その後かかるシートは120℃のギアオーブン中で24時間保管されて熱処理される。かかる処理後のシートは冷却され、表面の脂肪酸エステルを取り除いた後、そのクラックの発生位置から脂肪酸エステルの限界応力は評価される。尚、120℃での粘度があまりに低いためギアオーブン中の保管において、脂肪酸エステルがシート表面から容易に流れ落ちる場合には、脂肪酸エステルを染み込ませたガーゼをシート表面に載せることで処理を行う。更に、常温において既に液体のものについては加熱することなくシートの表面一面に塗布するか、またはかかる液体を染み込ませたガーゼをシート表面に載せて評価を行う。またかかる試験法において使用するポリカーボネート樹脂シートは、残留する歪みが極めて低いものが使用される。通常、溶融押出法により製造されたシートは残留する歪みが極めて低いためそのまま使用することができるが、万が一その歪みが大きい場合にはアニール処理等により残留歪みを低減して試験を行う必要がある。なお、後述する実施例で、図1に示す4分の1楕円試験法用の治具により測定される限界応力は、その最大値が47MPaとなる。
本発明は、フルエステル(E成分)の限界応力が特定値以上となる場合に成形品の割れ耐性が良好に改善され得ることを見出したことに基づく。成形品の割れは、金型表面に残留した脂肪酸エステルが歪みや応力が大きく残留した高温のポリカーボネート樹脂と成形時に直接接触することにより生じると考えられる。
フルエステル(E成分)は、そのエステル化率は特に制限されないものの、エステル化率は60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。エステル化率が低く、水酸基価が高いエステルは上記の限界応力が12MPa以上を満みたす事ができない。但し、本発明においてフルエステル(E成分)とは、そのエステル化率が必ずしも100%である必要はなく、80%以上であればよく、好ましくは85%以上である。
ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.005〜0.5重量部である。0.005重量部未満では離型性の改善が十分でない。また、0.5重量部を越すとポリカーボネート樹脂の着色により成形品の透明性を損なう。E成分の含有量は、A成分100重量部に対し、より好ましくは0.01〜0.4重量部、さらに好ましくは0.05〜0.3重量部である。
[エポキシ系化合物]
本発明の樹脂組成物は、エポキシ化合物(F成分)を含有する。エポキシ化合物(F成分)として、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。特に好ましくはスチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体である。
エポキシ系化合物(F成分)は、溶融押出法で製造された粘度平均分子量24,500のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂シートに対し、4分の1楕円試験法において温度120℃で24時間処理した際の限界応力が12MPa以上であることを特徴とするものである。
エポキシ系化合物(F成分)を含むポリカーボネート樹脂組成物は、車両用透明部材等の高温高湿の環境化に晒される用途において、良好な耐沸水性を付与するとともに、成形機の金型腐食を抑え、かつ良好な成形品の割れ耐性を有する。特に本発明のリン系安定剤と併用した場合に良好な耐沸水性を付与することができる。
本発明は、エポキシ系化合物(F成分)の限界応力が特定値以上となる場合に成形品の割れ耐性が良好に改善され得ることを見出したことに基づく。成形品の割れは、金型表面に残留したエポキシ系化合物が歪みや応力が大きく残留した高温のポリカーボネート樹脂と成形時に直接接触することにより生じると考えられる。
エポキシ系化合物(F成分)は、良好な耐沸水性を付与するという目的や、金型腐食を抑制するという目的に対しては、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。しかしながら、本発明の樹脂組成物の場合には、加えて限界応力が12MPa以上であることが必要である。
エポキシ系化合物(F成分)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.003〜0.2重量部である。0.003重量部未満では耐沸水性の改善効果が十分でない。また、0.2重量部を越すとポリカーボネート樹脂の耐熱性が悪化し、結果として成形品の着色を引き起こす等の問題がある。F成分の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.1重量部、さらに好ましくは0.007〜0.05重量部である。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂組成物中には、ポリカーボネート樹脂や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアントラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名SolventViolet36[CA.No 68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名SolventBlue45[CA.No 61110;商標名 サンド社製「テトラゾールブルーRLS」]が代表例として挙げられる。これらブルーイング剤は通常0.05〜3.0ppmの濃度でポリカーボネート樹脂中に配合される。かかる配合量であれば、成形品に自然な透明感を付与できる。
本発明の樹脂組成物には、さらに本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、熱線遮蔽剤、蛍光増白剤、顔料、光拡散剤、強化充填剤、他の樹脂やエラストマー等を配合することができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また、本発明の樹脂組成物は押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルム等の形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により中空成形品とすることも可能である。シートまたはフィルムは、その厚みが0.1〜30mmの範囲が好ましく、0.3〜10mmの範囲がより好ましく、0.5〜5mmの範囲がさらに好ましい。なお、厚みが0.5〜10mmのものをポリカーボネート樹脂シート、厚みが0.1〜0.5mmのものをポリカーボネート樹脂フィルムと定義する。
本発明の樹脂組成物は、成形耐熱性、リプロ性、耐乾熱性、耐候性、離型性および耐水性に優れる。本発明の樹脂組成物は、射出成形加工や押出成形加工の際に成形品の割れが少なく、添加剤等の昇華による金型やダイスや成形ロール等の汚染が少ない。また本発明の樹脂組成物は、樹脂が接触する金型等の金属部分の腐食抑制効果を有することから、各種透明部材において好適に用いられる。各種透明部材としては例えば、建築部材やグレージング材に代表される車両用透明部材に好適に用いることができる。更に建築部材や車両用透明部材以外でも、眼鏡レンズ、防護眼鏡、ゴーグル、銘板、太陽電池カバーまたは太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、タッチパネル、並びにパチンコ機等の遊技機用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイド等)等の幅広い用途に使用可能である。
[評価方法]
(1)脂肪族エステル(E成分)とエポキシ系化合物(F成分)の限界応力
図1に示す4分の1楕円試験法用の治具に設置して限界応力を測定した。試験片として、Tダイを用いた押出成形により製造した粘度平均分子量24,500、厚み1mmのポリカーボネート樹脂シート(曲げ弾性率Eb=2,040MPa)から、長さ120mmおよび幅40mmの大きさに切り出した試験片を用いた。かかるポリカーボネート樹脂シート(符号7)を治具に取り付け、楕円の曲面に沿うように押え金具(符号5)で固定し、シート面にあらかじめ溶融させた脂肪酸エステルおよびエポキシ化合物をそれぞれ塗付した。その後120℃で24時間ギアオーブン中に保持し最も少ない歪みでクラックが生じている部分(符号8)の楕円中心(符号1)からの水平距離X(cm)(符号6、すなわち楕円短軸からクラック発生点までの水平距離)を測定した。試験に使用した治具において距離Xとポリカーボネート樹脂シートのひずみεの関係は次のようになる。
ε=0.02×(1−0.0084X2)−3/2t
t:ポリカーボネート樹脂シートの厚さ(cm)
X:楕円中心から最も少ない歪みでクラックが生じている部分までの水平距離(cm)
本発明の試験においてt=0.1であることから、ひずみεは下記式より求めた。
ε=2×(1−0.0084X2)−3/2×10−3
更にクラックの発生の限界応力は上記のεの値から下記式により求めた。
限界応力(MPa)=ε×Eb
Eb:ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率(MPa)
(2)成形耐熱性
最大型締め力が85Tonの射出成形機にて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して「滞留前の成形板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。さらに、該射出成形機のシリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して、「滞留後の成形板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。滞留前後の成形板の色相(L、a、b)を、日本電色(株)製SE−2000を用いてC光源反射法で測定し、下記式により色差ΔEを求めた。ΔEが小さいほど成形耐熱性に優れることを示す。
ΔE={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
(3)リプロ性
各実施例で得られたバージンペレットを30mm径の単軸押出機にて押出温度270℃で2回リペレットした。得られたペレットの黄色度(b)を日本電色(株)製SE−2000を用いてC光源反射法で測定し、バージンペレットと2回リペレットの変色の度合い△bを求めた。△bが小さいほど色相の変化が小さく良好である。
Δb=b’−b
「バージンペレットの色相」:b
「2回リペレットの色相」:b’
(4)耐乾熱性
最大型締め力が85Tonの射出成形機にて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得た成形板(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を、熱風乾燥機を使用して温度130℃の条件で1,000時間処理し、乾熱処理前後の平板の黄色度(YI)の差△YIを求めた。△YIが小さいほど耐乾熱性が優れることを示す。
YI = [100(1.28X−1.06Z)]/Y
ΔYI = 処理後の成形板のYI − 処理前の成形板のYI
(5)耐候性
最大型締め力が85Tonの射出成形機にて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得た成形板(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を、サンシャイン・ウェザーメーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN:HC−B)を使用し、ブラックパネル温度63℃、湿度50%、18分間水噴霧と102分間噴霧無しの計120分サイクルの条件で1,000時間処理した。処理の前後の色相変化(ΔYI)は、日本電色(株)製SE−2000を用いて透過光を測定して得られたX、YおよびZ値からASTM−E1925に基づき、下記式にて求めた。ΔYIが小さいほど耐候性に優れることを示す。
YI = [100(1.28X−1.06Z)]/Y
ΔYI = 処理後の成形板のYI − 処理前の成形板のYI
(6)耐沸水性
最大型締め力が85Tonの射出成形機にて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得た成形板(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を、ヤマト科学(株)製オートクレーブSN510を使用して、温度120℃、湿度100%の条件で48時間処理した。処理前後のHazeを、日本電色(株)製NDH−2000を用いて、ISO14782に準じて測定し、処理前後のHazeの変化(ΔHaze)を下記式にて求めた。ΔHazeが小さいほど耐沸水性に優れることを示す。
ΔHaze = 処理後の成形板のHaze − 処理前の成形板のHaze
(7)離型性
最大型締め力75Tonの射出成形機にて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、射出圧力118MPaの条件で70mmφ×20mm、厚み4mmのコップ型成形品を成形する際の突き出しピンにかかる突き出し荷重を測定し、30ショット成形した平均値を離型荷重として示した。離型荷重が小さいほど離型性に優れることを示す。
(8)成形時の割れ
上記の離型性の測定と同条件でコップ型成形品を1,000ショット連続成形し、成形直後に割れが発生したものを×、全く割れが発生しなかったものを○とした。
(9)金型腐食性
図2に示す形状の金型(キャビティーサイズ横42mm×縦24mm×深さ3mmt、金型鋼材NAK80にて作成した腐食評価用入れ子(20mmφ)挿入)を用いて最大型締め力が85Tonの射出成形機にて500ショット連続成形した後、腐食評価用入子を金型から取り外し、50℃×90%RHに設定した恒温恒湿機に2時間いれたのち外観観察を目視にて行い、金型鏡面の腐食の有無を判定した。尚、判定基準は以下のとおりである。
○:腐食は鏡面の5%以下である
△:鏡面の5%を超えて50%以下の範囲に腐食が認められる
×:鏡面の50%を超える範囲に腐食が認められる
(10)シート成形時のロール汚れ
下記の溶融押出方法により、平板シートを連続6時間成形後のロールの曇り状態(汚れ)について、製品の外観不良に影響する曇りが目立つ場合を×、製品には影響が見られないが曇りが目立つものを△、曇りが目立たないものを○とし、目視にて評価した。
溶融押出方法;ベント付きTダイ押出機により、押出機温度250〜300℃、ダイス温度260〜300℃、ベント部の真空度を26.6kPaに保持して幅1,000mmの溶融したポリカーボネート樹脂組成物を押出し、第1ロール〜第3ロールはすべて鏡面金属ロール(ロール径300mm)を使用し、第1ロール、第2ロールおよび第3ロールの温度をそれぞれ140℃、150℃および145℃に設定し、押出した溶融ポリカーボネート樹脂組成物を第1ロールと第2ロールとの間に狭持し6MPa・cmの線圧で押圧して、第2ロールと第3ロールとの間を第3ロールに接触させながら通過させて、引取ロールにより引取り、ポリカーボネート樹脂シート(厚み2mm)を成形した。
実施例1〜4、比較例1〜11
ポリカーボネート樹脂100重量部に、表1記載の各種添加剤を表1記載の配合量で添加し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練しペレットを得た。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量30kg/h、スクリュー回転数300rpm、ベントの真空度2kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで290℃とした。
得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、該ペレットを用いて各種評価を行った。その評価結果を表1に示した。
表中の各記号は下記の化合物を示す。
[A]ポリカーボネート樹脂(A成分)
A−1:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量23,900のポリカーボネート樹脂パウダー
A−2:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量27,000のポリカーボネート樹脂パウダー
[B]リン系安定剤(B成分)
B−1:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト
(B成分以外のリン系安定剤)
B−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
[C]フェノール系安定剤(C成分)
C−1:ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(C成分以外のフェノール系安定剤)
C−2:n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
C−3:2,2−チオ[ジエチルビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
[D]紫外線吸収剤(D成分)
D−1:2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)
D−2:2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]
D−3:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール
(D成分以外の紫外線吸収剤)
D−4:(2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
[E]離型剤;ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)
E−1:上記評価法による限界応力値が18MPaであるペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
(E成分以外の離型剤)
E−2:上記評価法による限界応力値が11MPaであるグリセリンモノ脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
[F]エポキシ系化合物(F成分)
F−1:上記評価法による限界応力値が47MPaであるスチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(日油(株)製:マープルーフG−0250SP)
(F成分以外のエポキシ系化合物)
F−2:上記評価法による限界応力値が2MPaであるエポキシ化大豆油(日油(株)製:ニューサイザー510R)
(その他添加剤)
G−1:ブルーイング剤(アントラキノン系化合物、バイエル(株)製:マクロレックスバイオレットB)
発明の効果
本発明の樹脂組成物は、成形耐熱性、リプロ性、耐乾熱性、耐候性、離型性および耐沸水性に優れる。併せて本発明の樹脂組成物は、射出成形加工や押出成形加工の際に成形品の割れが少なく、添加剤等の昇華による金型やダイスや成形ロール等の汚染が少ない。さらには本発明の樹脂組成物は、樹脂が接触する金型等の金属部分の腐食抑制効果を有する。
また、該樹脂組成物より形成された成形品は、透明性、色相および耐沸水性が良好である為、建築部材やグレージング材に代表される車両用透明部材に好適に用いることができる。更に建築部材や車両用透明部材以外でも、眼鏡レンズ、防護眼鏡、ゴーグル、銘板、太陽電池カバーまたは太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、タッチパネル、並びにパチンコ機等の遊技機用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイド等)等の幅広い用途に使用可能である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、その優れた特徴から幅広い用途で好適に用いることができ、その奏する産業上の効果は格別である。
Claims (5)
- [A]ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、
[B]下記式(1)で示されるリン系安定剤(B成分)0.005〜0.2重量部、
[C]下記式(2)で示されるフェノール系安定剤(C成分)0.005〜0.2重量部、
[D]分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤および下記式(3)で示される環状イミノエステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(D成分)0.01〜0.5重量部、
[E]ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(E成分)0.005〜0.5重量部、並びに
[F]エポキシ系化合物(F成分)0.003〜0.2重量部を含有し、
E成分およびF成分は溶融押出法で製造された粘度平均分子量24,500のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂シートに対し、4分の1楕円試験法において温度120℃で24時間処理した際の限界応力が12MPa以上である樹脂組成物。
[式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で置換されてもよい炭素数5〜20のアリール基である。]
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
[Arは炭素数6〜12の二価の芳香族炭化水素残基であり、ヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。] - ポリカーボネート樹脂(A成分)の粘度平均分子量が2.2×104〜3.2×104である請求項1記載の樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物より形成された成形品。
- 厚み0.1〜30mmのシートまたはフィルムである請求項3記載の成形品。
- 建材および車両用透明部材である請求項3または請求項4記載の成形品。
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