JPWO2012056822A1 - 多孔質セラミックス焼結体 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2010年10月26日に、日本に出願された特願2010−239969号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、多孔質セラミックス焼結体は、多孔質に由来する吸音性、断熱性、保水性、透水性、不燃性等の諸特性を生かし、例えば、ビル等の建築物の壁材や屋上材、道路や駐車場の路盤材への利用が検討されている。
例えば、珪藻土、スラグ、粘土の成形体を焼結した多孔質セラミックス焼結体が提案されている(例えば、特許文献1)。この多孔質セラミックス焼結体は、珪藻土由来のマクロ気孔と、人工的に生成されたミリメートルサイズのトンネル構造孔隙とが相互に連結された二元構造を有するため、耐火性、吸音性に優れると共に、水が浸透しやすくかつ保水性に優れている。
そこで、本発明は、諸特性を備え、高い強度の多孔質セラミックス焼結体を目的とする。
前記フィラーは、前記高融点ガラスの粒子であることが好ましく、前記高融点ガラスの粒子は、溶融温度が1000℃以上であることがより好ましく、前記高融点ガラスの粒子は、粒子径が0.6mm超1.2mm以下であることが好ましく、前記高融点ガラスの粒子は、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記高融点ガラスの粒子は、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスであってもよい。
前記原料は、さらに、鋳鉄スラグを含むことが好ましい。
本発明の多孔質セラミックス焼結体は、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維及びロックウールからなる群から選択される少なくとも1種のフィラーを含む原料を焼結したことを特徴とする。
本発明の多孔質セラミックス焼結体は、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維及びロックウールからなる群から選択される少なくとも1種のフィラーを含む原料を焼結したものである。
さらに、[多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm3)]で表される比重は、好ましくは0.6〜2g/cm3、より好ましくは0.6〜1.5g/cm3、さらに好ましくは0.6〜1.1g/cm3、さらに好ましくは0.65〜0.85g/cm3である。上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上できると共に、用途に応じた諸特性を向上できる。
多孔質セラミックス焼結体の大きさは、用途や施工方法等を勘案して決定でき、例えば、板状物であれば、長さ5〜200cm×幅5〜200cm×厚さ1〜10cmとされる。
本発明のフィラーは、単独又は後述する粘土類や珪藻土等と共に焼結されるものであり、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維及びロックウールからなる群から選択される少なくとも1種である。例えば、高融点ガラスをフィラーとして含む原料を焼結すると、高融点ガラスは、部分的に溶融し、フィラー同士で融着したり、後述する粘土類や珪藻土等のバインダーとして機能したりし、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上することができる。あるいは、炭素繊維、バサルト繊維又はロックウールは、多孔質セラミックス焼結体に取り込まれることで、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上させることができる。
フィラーの中でも、高融点ガラスの粒子が好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上でき、良好な成形性が得られる。
高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものであり、好ましくは溶融温度1000℃以上、より好ましくは溶融温度1200℃以上のものである。上記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土類や珪藻土類等のバインダーとして機能できる。加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上できる。また、高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下が好ましく、1600℃以下がより好ましい。上記上限値超であると、焼結した際に、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがある。
このような材質であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できる。
アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものをいう。
このような高融点ガラスとしては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
高融点ガラスの粒子には、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルを用いることができる。
高融点ガラスの粒子径は、多孔質セラミックス焼結体の生産性とさらなる強度の向上の観点から、0.4mm超2.0mm以下がより好ましい。0.6mm超1.2mm以下がさらに好ましい。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン及びセルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができる。
炭素繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
バサルト繊維は、天然に存在するバサルト(玄武岩)を射出して製造される繊維である。
バサルト繊維の長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
バサルト繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックスス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。また、炭素繊維も同様であるが、これらの繊維を1000〜100000本程度束ねた繊維束として用いることが強度向上の観点から好ましい。
ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶融し生成される人造鉱物繊維である。
ロックウールの太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれるおそれがある。
本発明の多孔質セラミックス焼結体の原料には、必要に応じて、珪藻土、粘土類、スラグ、有機汚泥、流動化剤、吸着剤、抗菌剤、顔料、消臭剤等を用いることができる。
本発明に用いられる珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。珪藻土を用いることで、珪藻土に由来する微細な気孔を多孔質セラミックス焼結体に形成できる。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。
上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られるためである。
含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い、試料を乾燥(200℃、12分)し、下記(1)式により求めた値である。
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)
最小表示:含水率;0.1質量%
測定範囲:含水率;0.0〜100質量%
乾燥温度:0〜200℃
測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%
熱源:赤外線ランプ;185W
m1:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)
m2:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)
m0:乾燥後の容器の質量(g)
本発明における粘土類は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料であり、珪藻土以外のものである。
粘土類は、セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成され、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックス焼結体の破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。前記石英の粗粒は、粒子径が5mm以下であることが好ましい。このような粘土類としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合できる。
スラグは、特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられ、中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。スラグを用いることで、例えば、多孔質セラミックス焼結体の長さ方向又は幅方向の長さよりも、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の長さが短い形状のミリメートルオーダーの気孔を形成し、透水係数(水を通す速度)を向上させたり、保水性を高めることができる。特に、鋳鉄スラグを用いると、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、発泡率が最大で3倍程度になる。
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥は、任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が特に好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集及び脱水工程を経て排出される。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔及びさらに小さなナノメートルオーダーの気孔を形成できる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として再度利用することができる。
抗菌剤としては、従来公知の抗菌剤を用いることができ、銀、銅、亜鉛等が挙げられる。
吸着剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ゼオライト、アパタイト等の吸着剤が挙げられる。
消臭剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。
本発明の多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、フィラーを含む原料を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を成形し成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成する焼成工程とを有する。
混合工程は、フィラー及び必要に応じて任意成分を原料とし、前記原料を混合して、混合物を得る工程である。任意成分として珪藻土、粘土類、スラグ及び有機汚泥を混合物に配合することが好ましい。
第二の混合操作では、珪藻土をさらに添加してもよい。
例えば、混合装置としては、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や多孔質セラミックス焼結体の形状を勘案して決定することができる。成形方法は、例えば、板状の多孔質セラミックス焼結体を製造する場合、成形機を用いて任意の板状の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型に充填し成形体を得る方法、あるいは混合物を延伸又は圧延した後、任意の寸法に切断する方法等が挙げられる。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機、平板押出し成形機等が挙げられ、中でも、真空土練成形機が好ましい。真空土練成形機を用いて成形体中の空気を除去することで、多孔質セラミックス焼結体中の気孔率を制御できる。
スラグを含む混合物を平板押出し機又は押し出し式真空上練機で成形すると、押出し方向にスラグが配向した成形体となる。この成形体を焼成することで、多孔質セラミックス焼結体の長さ方向又は幅方向の長さよりも、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の長さが短い形状のミリメートルオーダーの層状の気孔が、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向に重なって形成される。
あるいは、成形時に混合物を圧延又は圧縮することで、スラグが延伸方向に配向した成形体が得られ、この成形体を焼成することで、層状の気孔が、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向に重なって形成される。
また、例えば、柱状又は粒状の多孔質セラミックス焼結体を製造するために、柱状又は粒状の成形体を得る場合、成形装置としては、一次スクリュー押出式成形機、円盤型ダイス水平押出式成形機等が挙げられ、中でも、生産性、成形性の観点より円盤型ダイス水平押出式成形機を用いることが好ましい。
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、フィラー又は珪藻土もしくは粘土類等の任意成分を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る工程である。
乾燥操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理することで乾燥してもよい。乾燥した成形体の含水率は、特に限定されないが、例えば、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。乾燥の成形体の含水率は、下限値として0質量%であってもよい。
焼成の方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
加えて、フィラーは、その溶融温度以上で部分的に溶融し、フィラー同士が融着したり、珪藻土又は粘土類へ融着してバインダーとして機能する。こうしてフィラー同士が融着したり、フィラーがバインダーとして機能することで、多孔質セラミックス焼結体は、その骨格が補強され、諸特性を維持したまま、強度が向上したものとなる。
焼成温度が1250℃を超えると、多孔質セラミッス焼結体の組織全体のガラス化が進み、焼成中に成形体が破損したり、気孔が閉塞するおそれがある。
温度勾配は、連続式焼結炉を均等な距離の10のゾーンに区分し、連続式焼結炉の温度勾配を入口側より0.4〜0.6℃/sec.、0.1〜0.2℃/sec.、0.3〜0.4℃/sec.、0.4〜0.6℃/sec.、0.7〜1.0℃/sec.、0.004〜0.005℃/sec.、−0.4〜−0.2℃/sec.、−0.8〜−0.5℃/sec.、−0.4〜−0.3℃/sec.、−0.3〜−0.1℃/sec.とすることが好ましい。
また、上述の実施形態では、混合物に珪藻土が配合されているが、本発明はこれに限定されず、混合物に珪藻土が配合されていなくてもよい。珪藻土を配合しないことで、珪藻土由来の気孔は減少するが、有機汚泥由来のナノメートルオーダーの気孔が増加するため、良好な多孔質セラミックス焼結体が得られる。
このため、本発明の多孔質セラミックス焼結体は、壁材、屋根材、床材、路盤材等の建築材料に好適である。
実施例に用いた原料は、次のとおりである。
<フィラー>
フィラーには、液晶テレビのフラットディスプレイ用のガラスパネルの廃ガラスを粉砕し、高融点ガラスの粒子としたものを用いた。高融点ガラスの粒子は、目開き1.2mmの篩を通過し、目開き0.6mmの篩を通過しないものである(粒子径0.6mm超1.2mm以下)。このガラスパネルは、溶融温度1300℃超の無アルカリガラスであり、偏光板を備えていないものである。
溶融温度は、熱重量分析(TG)と示唆熱分析(DTA)とを測定(測定温度:室温(25℃)〜1300℃(昇温速度:10℃/分)、測定機器:Thermo Plus、理学電機株式会社製)し、得られたTG、DTAから常法により求めた値である。
以下の実施例における有機汚泥には、染色工場(小松精練株式会社、美川工場)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集及び脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%であった。
<粘土類>
粘土類には、蛙目粘土(岐阜県産)を用いた。
<珪藻土>
珪藻土には、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が5質量%の粉末状の珪藻土を用いた。
<スラグ>
スラグには、ダグタイル鋳鉄スラグを用いた。このダグタイル鋳鉄スラグは、SiO2、Al2O3、CaO、Fe2O3、FeO、MgO、MnO、K2O、Na2Oを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
本発明における物性値は以下の方法により測定した。
<比重>
サンプルの外形寸法をノギスにより測定し体積を求めた。同サンプルを絶乾状態にし、電子天秤にて質量を測定(絶乾状態質量)し、下記(3)式により比重を算出した。サンプル(N)数はN=10とし、その平均値を求めた。
板状の多孔質セラミックス焼結体を水に60分間浸漬し、水平に保ち傾けないように水中から取り出し、表面の水滴を除去する程度に布に接触させた後、直ちに質量を測定(飽和含水状態質量)し、下記(4)式により飽和含水率を求めた。飽和含水率の測定を試料数(N)=10について行い、平均値を求めた。
万能材料試験機AGS−500D(株式会社島津製作所製)を用い、JIS R5201に準拠して測定した(三点曲げ強度試験法、スパン間隔5cm)。サンプル(N)数はN=10とし、その平均値を求めた。
多孔質セラミックス焼結体中の連通孔の有無の確認は、得られた多孔質セラミックス焼結体を水に浸漬し、十分に吸水させた後に切断し、その断面を観察することで確認した。
多孔質セラミックス焼結体の内部に、満遍なく水分が分布・保水されている場合、連通孔が形成されていると判断した(表中、「○」と記載)。多孔質セラミックス焼結体の内部に水分が行き渡っていない場合は、個々の気孔が独立しており、連通孔が形成されていないか又は連通孔の形成が不十分であると判断した(表中、「×」と記載)。
表1の混合物の組成に従い、以下の方法により各例の多孔質セラミックス焼結体を得た。高融点ガラスの粒子と、有機汚泥と、珪藻土とをミックスマラー(東新工業株式会社製)で混合して一次混合物を得た(第一の混合操作)。次いで、一次混合物に粘土類とスラグとを添加し、さらに混合して、可塑状態の混合物を得た(第二の混合操作)。
次に、連続式焼結炉として、ローラーハースキルン(株式会社アースエンジニアリング製)を用いて焼成した。焼成工程での焼成時間は65分間、最高温度は1050℃にて焼成し(焼成工程)、長さ1m×幅1m×厚さ4cmの板状の多孔質セラミックス焼結体を得た。得られた多孔質セラミックス焼結体について、比重、飽和含水率、曲げ強度の測定、連通孔の有無の確認を行い、その結果を表1に示す。
高融点ガラスの粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして多孔質セラミックス焼結体を得た。得られた多孔質セラミックス焼結体について、比重、飽和含水率、曲げ強度の測定、連通孔の有無の確認を行い、その結果を表1に示す。
本発明を適用した実施例1〜3は、いずれも曲げ強度が4.6N/mm2以上であった。
一方、混合物に高融点ガラスの粒子を配合しなかった比較例1は、曲げ強度が3.3N/mm2であった。
これらの結果から、本発明を適用した多孔質セラミックス焼結体は、諸特性を備えると共に、強度の向上が図られていることが判った。
Claims (8)
- 溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、ロックウールからなる群から選択される少なくとも1種のフィラーを含む原料を焼結したことを特徴とする多孔質セラミックス焼結体。
- 前記フィラーは、前記高融点ガラスの粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 前記高融点ガラスの粒子は、溶融温度が1000℃以上であることを特徴とする、請求項2に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 前記高融点ガラスの粒子は、粒子径が0.6mm超1.2mm以下であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 前記高融点ガラスの粒子は、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 前記高融点ガラスの粒子は、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスであることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 前記原料は、さらに、鋳鉄スラグを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス焼結体。
- 溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維及びロックウールからなる群から選択される少なくとも1種のフィラーを含む原料を焼結したことを特徴とする多孔質セラミックス焼結体。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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