JPWO2012033182A1 - 送信機、制御方法、コンピュータプログラム、およびδς変調器 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、IF−DSMを用いた送信機の構成例を示すブロック図である。該送信機は、デジタルベースバンドで生成される直交無線信号(IQ無線信号)をΔΣ(デルタシグマ)変調したのち、デジタルIQモジュレーションによりRF(Radio Frequency)帯無線信号を生成する。
図2は、EDSMを用いた送信機100の構成例を示すブロック図である。該送信機は、デジタルベースバンドで生成されたIQ無線信号から、振幅信号と位相信号を別々に生成し、振幅信号をΔΣ変調したのち、位相信号と掛け合わせてRF帯無線信号を生成する。具体的には、まず、変調信号をスプリッタ103で上下二経路に分ける。上段側において、包絡線検波器101は、変調信号から振幅情報を取り出し、ΔΣ変調器102に入力する。ΔΣ変調器102は、振幅情報を矩形信号に変換する。一方、下段側において、比較器104は、変調信号を矩形信号に加工することで位相信号を生成する。本位相信号は、上段のΔΣ変調器102の出力信号とタイミングが合うように遅延調整器105で遅延調整される。上段から出力される振幅情報を含んだ矩形信号と、下段から出力される位相情報を含んだ遅延調整後の矩形信号とは、ミキサ106でミキシングされ、矩形状の無線信号に変換される。なお、本矩形状の無線信号は、所望信号の他、矩形化する際に発生した量子化雑音を含む。本矩形状の無線信号は、信号増幅器107で増幅された後に出力フィルタ108で不要な量子化雑音が抑圧され、最終的には、アンテナより放射される送信信号となる。なお、信号増幅器107はD級のようなスイッチング動作するものを想定しているが、A級やAB級等のスイッチング動作ではない信号増幅器と結合することも可能である。
ここで、ΔΣ変調器について説明する。ΔΣ変調器は次数等で様々な回路構成にできるが、以下では、出力が1bitの1次ΔΣ変調器を例に挙げる。図3は、1次ΔΣ変調器の回路構成図である。本ΔΣ変調器における、入力信号のz変換をX(z)とし、出力信号のz変換をY(z)とし、量子化器で発生する量子化雑音のz変換をN(z)とすると、以下の式が成立する。
(式1)右辺において、X(z)の係数が信号伝達関数であり、N(z)の係数が雑音伝達関数である。(式1)が示すように、信号伝達関数および雑音伝達関数は、乗算器の乗算係数α、βに依存する。また、(式1)には示されないが、雑音伝達関数は、以下で説明する量子化器パラメータの影響も受ける。
ΔΣ変調器は以下に示す各要素が、トグル動作する信号の立ち上がりや立ち下りエッジもしくは立ち上がりと立ち下がり両方のエッジを契機に動作する。なお、契機となるエッジとエッジの時間間隔は一定周期に限らず、不定周期でも構わない。
加算器は、二つの入力データの加減算を行う。乗算器は、入力データに乗算係数(α、β)を乗算する。遅延器は、入力データを、上記のトグル動作する信号での契機となるエッジとエッジの間隔1個分だけ遅延させる。遅延動作から、1個の入力データを記憶する記憶素子とも表現できる。量子化器は、閾値に従って入力データを量子化する。量子化器は閾値と出力値の二つのパラメータを持つ。
図4(a)〜(c)は、ΔΣ変調器を構成する量子化器の、閾値と入出力値の関係図を示す。図4(a)に示すように、量子化器の出力が2値の場合、1つの閾値(例えば、0)により入力値を2つの出力値(例えば、+1と−1)に振り分ける。この場合、量子化器の入力値が0以上ならば出力値は+1となり、入力値が負ならば出力値は−1となる。
また、図4(b)に示すように、量子化器の出力が3値の場合、2つの閾値(例えば、+0.5と−0.5)により入力値を3つの出力値(例えば、+1、0、−1)に振り分ける。この場合、量子化器の入力値が+0.5以上ならば出力値は+1となり、入力値が−0.5以上で+0.5未満ならば出力値は0となり、入力値が−0.5未満ならば出力値は−1となる。
また、図4(c)に示すように、量子化器の出力が4値の場合、3つの閾値(例えば、+0.25、0、−0.25)により入力値を4つの出力値(例えば、+1、0.5、−0.5、−1)に振り分ける。この場合、量子化器の入力値が+0.25以上ならば出力値は+1となり、入力値が0以上で+0.25未満ならば出力値は+0.5となり、入力値が−0.25以上で0未満ならば出力値は−0.5となり、入力値が−0.25未満ならば出力値は、−1となる。
また、ΔΣ変調器の信号及び雑音の伝達関数は、量子化器パラメータ(閾値と出力値)と乗算係数(α、β)以外に、ΔΣ変調器の次数の影響も受ける。伝達関数は、送信機の無線特性で欠かせない規格の一つであるACPR(Adjacent Channel leakage Power Ratio:隣接チャネル漏洩電力比)に密接に関係する。
具体的には、ACPRを決める量子化雑音のシェーピングの形は、ΔΣ変調器の次数、乗算係数、量子化器の出力bit数に依存する。一般的に、次数を大きくするとシェーピングの形の自由度が上がって送信信号帯域近傍の雑音を小さくすることができる。また、bit数を増やせば量子化雑音全体の電力を小さくすることができる。すなわち、次数を上げたり出力bit数を増やしたりすることで、結果的にACPRを改善することができる。
しかしながら、パラメータを固定とする場合、一つの伝達関数しか持つことができない。伝達関数が1つに固定される場合、送信信号の種別、変調方式による時間波形の変化、あるいは送信電力の時間的変動等に順応しきれず、常に最善のACPRが得られるとは限らないため、無線特性の劣化を許容せざるを得ない状況が存在していた。
本発明は、送信機における無線特性を向上させることが可能な送信機、制御方法、コンピュータプログラム、およびΔΣ変調器を提供することを目的とする。
本発明の制御方法は、所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調器の制御方法であって、所定の条件に応じてΔΣ変調器のパラメータを変更する。
本発明のコンピュータプログラムは、所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調器を備える送信機のコンピュータに、所定の条件に応じてΔΣ変調器のパラメータを変更する処理を実行させる。
本発明のΔΣ変調器は、所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調手段と、所定の条件に応じて前記ΔΣ変調手段のパラメータを変更する制御手段と、を備える。
[第1の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態に係る送信機301の構成例を示すブロック図である。この送信機301は、図2と同様に、EDSMを用いた送信機である。この送信機301の、図2に示す送信機100に対する違いは、ΔΣ変調器102をΔΣ変調器201に置き換え、さらに、パラメータ制御器202(制御手段)を追加する点にある。ΔΣ変調器102がパラメータ固定であるのに対して、ΔΣ変調器201はパラメータ変更制御に対応している。すなわち、パラメータ制御器202から入力されるパラメータに基づいてΔΣ変調処理を実行することができる。パラメータ制御器202は、上位装置等の外部装置から入力される外部制御信号(例えば、制御情報や変更タイミング情報)に基づいて、ΔΣ変調器201のパラメータ(例えば、乗算係数や、量子化器の閾値および/または出力値)を変更する。
なお、送信機301を構成する他の構成要素(包絡線検波器101、スプリッタ103、比較器104、遅延調整器105、ミキサ106、信号増幅器107、出力フィルタ108)の機能および接続については、図2に示す送信機100の各機能および接続と同一である。従って、それらの説明については省略する。また、この場合、ΔΣ変調器201は、1次ΔΣ変調器である場合を例に挙げ、その構成は図3と同等とする(ただし、パラメータ固定ではなく入力されるパラメータに基づいて変調処理が可能)。
次に、送信機301の動作について説明する。図6は、図5に示す送信機301の動作を説明するための図である。図6は、本実施形態の特徴であるパラメータ制御に直接関係する構成のみを示しており、パラメータ制御とは直接関係しない他の構成要素は省略している。また、以下の説明では、ΔΣ変調器201の量子化器のパラメータを変更する場合を例に挙げて説明するので、図6においてΔΣ変調器201の量子化器のみを示す。また、パラメータ制御器202は、上述したとおり、上位装置等から入力される「制御情報」や「変更タイミング情報」に基づいてΔΣ変調器201のパラメータを変更する。「制御情報」に関して、以下の説明では、一例として「送信信号種別」の場合を例に挙げる。
上位装置302は、送信信号の種別を判定し、変更が必要な時点で、送信信号種別(制御情報の一例)と変更タイミング情報とをパラメータ制御器202へ通知する。表1は、送信信号種別(条件)とΔΣ変調器201のパラメータとの関係を示す。
また、表1に示した通り、条件1と条件2において、乗算係数(α、β)と量子化器の出力値は共通(すなわち、固定)であり、量子化器の閾値は異なっている(すなわち、可変である)。従って、表1に基づいた処理によれば、条件1と条件2とで、ΔΣ変調器201を構成する量子化器の「閾値」のみが可変となる。
パラメータ制御器202は、参照用テーブル(図5および図6においては不図示)を備える。本実施形態の場合、参照用テーブルには、表1の内容が記憶されているものとする。パラメータ制御器202は、上位装置302から、変更内容(送信信号種別であってもよいし、条件そのものであってもよい)を含む変更タイミング情報を受信する。以下、変更内容は、送信信号種別である場合を例に挙げる。パラメータ制御器202は、送信信号種別を抽出し、抽出した送信信号種別をキーに参照用テーブルをサーチし、ヒットした送信信号種別に対応する各パラメータ(本実施形態の場合、少なくとも変更の対象である量子化器の閾値)を取得する。パラメータ制御器202は、ΔΣ変調器201の量子化器の閾値を、参照用テーブルから取得した閾値に変更する。すなわち、送信機301を構成するΔΣ変調器201のパラメータ(本実施形態の場合は、量子化器の閾値)は、上位装置302からの変更タイミング情報の受信に同期して変更される。
なお、表1のように、切り替え条件の数が2つである場合、変更タイミング情報は、必ずしも変更内容を含む必要はない。すなわち、変更タイミング情報が入力されるたびに現在設定されている状態(例えば、条件1のパラメータが設定されている状態)から他の状態(例えば、条件2のパラメータが設定されている状態)へ自動的に切り替えるような制御を行うこともできる。これにより、上位装置302および送信機301の各処理負荷、および両者の間の通信負荷を軽減させることができる。
図7は、送信機301において、送信信号種別の変更に伴ってΔΣ変調器201の量子化器の閾値を条件1の値から条件2の値に変更する場合のタイミング図を示す。なお、この場合、表1の記載に従い、乗算係数(α、β)および量子化器の出力値は条件が変わっても一定であるものとする。時点Tにおいて、送信信号が、「制御信号」から「通話/データ送信」に変更されたとする。時点Tにおいて、上位装置302は、送信信号種別(この場合、「通話/データ送信」)を含む変更タイミング情報を、送信機301へ通知する。パラメータ制御器202は、送信信号種別を抽出し、抽出した送信信号種別をキーに参照用テーブルをサーチし、ヒットした条件2の閾値(±0.125、0)を取得する。パラメータ制御器202は、ΔΣ変調器201の量子化器の現在の閾値(±0.25、0/条件1の閾値)を、取得した閾値に変更する。図7から諒解されるように、時点Tを境に閾値は、条件1の閾値から条件2の閾値に変化している。なお、図7において、上述したとおり、乗算係数(α、β)は、時点Tを境に変化することがなく一定であり、量子化器の出力値は4値のままである(ただし、閾値の変更により、同一入力値の場合、時点Tの前後で出力内容は異なる)。
図8は、送信信号種別毎の各送信信号スペクトラムを示す。詳細には、図8(a)は、送信信号種別が「制御信号」の場合の条件1、2(いずれも表1参照)毎の各送信信号スペクトラムを示す。図8(a)において、条件1での送信信号スペクトラムを実線で示し、条件2での送信信号スペクトラムを破線で示す。図8(b)は、送信信号種別が「通話/データ送信」の場合の条件1、2(いずれも表1参照)毎の各送信信号スペクトラムを示す。図8(b)において、条件1での送信信号スペクトラムを実線で示し、条件2での送信信号スペクトラムを破線で示す。
図8(a)および図8(b)において、Bwは送信信号の帯域であり、fcは送信信号の中心周波数であり、f1H、f2H、f3H、f1L、f2L、f3LはACPRを計算する(電力を計測する)6つの周波数帯域の中心周波数である。なお、図8(a)および図8(b)において、上記6つの周波数帯域をハッチングで示し、その帯域幅はBwである。また、図8(a)および図8(b)において、横軸の単位や実数値は省略する。
ACPRを計算する6つの周波数帯域の中心周波数f1H、f2H、f3H、f1L、f2L、f3Lの求め方は、例えば、以下のようにすることができる。
f1H=fc+(Bw×1.5×1)
f2H=fc+(Bw×1.5×2)
f3H=fc+(Bw×1.5×3)
f1L=fc−(Bw×1.5×1)
f2L=fc−(Bw×1.5×2)
f3L=fc−(Bw×1.5×3)
表2に、以上のようにして計算したACPRの例を示す。
以上説明した第1の実施形態によれば、時々の条件や状況に基づいて、パラメータ制御器202が、ΔΣ変調器201のパラメータ(乗算係数(α、β)、量子化器の閾値あるいは出力値)を変更するので、ΔΣ変調器の信号及び雑音の伝達関数が1つに固定されることはない。すなわち、例えば、送信状況(送信信号の種別、変調方式、あるいは送信電力等)の時間的変動等に順応することができ、常にベストあるいはベターなACPRが得られる。この結果、送信機301の無線特性を向上させることが可能となる。
なお、以上説明した第1の実施形態において、上位装置等の外部装置から送信される制御情報は、送信信号種別に限定されない。また、送信信号種別も、制御信号と通話/データ送信に限定されない。
また、条件の数および各種パラメータの値は任意に設定することができる。ただし、各種パラメータの値に関して、ΔΣ変調器の遅延器に記憶するデータの絶対値が非常に大きな値になる場合や、非常に大きな値とゼロに近い小さな値を繰り返してΔΣ変調器の動作が不安定となる場合がある。従って、実用上は遅延器に記憶するデータが一定範囲内で遷移するように各種パラメータの値を設定することが望ましい。
また、パラメータを変更するタイミングには制限はない。例えば、電源投入時やリセット時等決まったタイミングでパラメータを変更してもよく、あるいは、条件や状況の変化を随時監視し変化の度に逐次パラメータを変更してもよい。また、パラメータ変更の契機は、任意である。例えば、上位装置からの変更タイミングに同期してもよいし、変更タイミングに基づいてパラメータ制御器202自身が設定したタイミングを契機にしてもよい。あるいは、パラメータ制御器202自身が、電源投入やリセット、あるいは状況変化を検出できるのであれば、上位装置の指示に基づくことなく自身の判断でパラメータ変更をすることも可能である。
また、パラメータ制御器202はハードウェアでもソフトウェアでも実現可能である。パラメータ制御器202をソフトウェアにて実現する場合、送信機301は、コンピュータ回路(例えば、CPU(Central Processing Unit))を備える。コンピュータ回路は、送信機301に内蔵された記憶媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等)、あるいは、外部の記憶媒体(例えば、リムーバブルメディアやリムーバブルディスク等)に記憶されたパラメータ制御プログラムを実行する。
また、変更するパラメータの決定方法は、上述したように、適応制御する条件に従って参照用テーブル等を参照することにより決定する方法に限定されない。例えば、条件に従って演算を行って変更する値を決めてもよい。また、条件に従って参照用テーブルを参照しながら演算も行って変更する値を決めることもできる。さらに、参照用テーブルを演算によって適宜書き換えることも可能である。
適応制御の条件例として、前述の条件例以外のものを以下に列挙する。もちろん、適応制御する条件はこれらに限定されるものではない。また、複数の条件を組み合わせて適応制御を行うこともできる。
送信信号の種別や平均電力等で信号増幅器に対するバックオフ要求値が複数存在する場合に、それぞれのバックオフ要求値毎に最善の無線特性が得られるΔΣ変調器の乗算係数や量子化器の閾値、出力値を設定し、それらをバックオフ要求値に合わせて変更することで適応制御する。
送信信号の変調方式毎に最善の無線特性が得られるΔΣ変調器の乗算係数や量子化器の閾値、出力値を設定し、それらを現時点で送信している信号の変調方式に合わせて変更することで適応制御する。
送信機で計測した送信電力の大きさやACPR、受信側で計測したSIR(Signal to Interference Ratio:希望波対干渉波比)等から最善の無線特性が得られるΔΣ変調器の乗算係数や量子化器の閾値、出力値を設定し、それらを前出の計測値に合わせて変更することで適応制御する。送信機で計測した送信電力の大きさは、ΔΣ変調器入力の平均値と関連しており、この値を量子化器の閾値とすることも可能である。
朝/昼/夜/深夜、曜日や祝祭日といった時間帯によって送信機の負荷が変化するため、時間帯毎に最善の無線特性が得られるΔΣ変調器の乗算係数や量子化器の閾値、出力値を設定し、それらを時間帯に合わせて変更することで適応制御する。
送信機を構成する信号増幅器の効率に合わせて、例えば効率を重視する場合と、それ以外の場合でそれぞれ最善の無線特性が得られるΔΣ変調器の乗算係数や量子化器の閾値、出力値を設定し、それらを現時点で要求されている信号増幅器の効率に合わせて変更することで適応制御する。
一定数の送信データを用いて振幅分布を分析し、例えば最も数が多い振幅値を量子化器の閾値にする。振幅分布の分析は一定時間毎もしくは上位装置からの指示に従って実行され、そのたびに閾値を更新する。
時分割送信では送信信号電力がゼロとなる時間帯が存在するが、EDSMを用いた送信機では無信号であってもシェーピングされた雑音が送信される。この、無信号時の雑音電力を小さくするΔΣ変調器のパラメータを設定し、通常の送信時と無信号時でそれらを変更することで適応制御する。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、パラメータ制御器202をΔΣ変調器201の外部に設ける場合を例に挙げているが、パラメータ制御器202の機能をΔΣ変調器の内部に設けることも可能である。
図9は、第2の実施形態に係り、パラメータ制御機能を内蔵するΔΣ変調器20の構成例を説明するブロック図である。ここで、ΔΣ変調器20は、例えば、ワンチップLSI(Large Scale Integration)として具現化される。ΔΣ変調器20は、ΔΣ変調部22と、パラメータ制御部24とを含む。ΔΣ変調部22は、図5に示すΔΣ変調器201と同様の構成である。すなわち、ΔΣ変調部22は、パラメータ固定ではなく入力されるパラメータに基づいて変調処理が可能である。パラメータ制御部24は、図5に示すパラメータ制御器202と同等の構成である。このΔΣ変調器20の動作については、第1の実施形態で説明した動作と同等である。
以上説明したように、パラメータ制御器202の機能をΔΣ変調器の内部に設ける構成とすることにより、送信機の回路構成を簡素なものとし、さらに、部品実装スペースを削減することが可能となる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態の特徴は、ΔΣ変調器の各種パラメータを安定して変更するために、送信信号にパラメータ変更のためのギャップ区間を設け、このギャップ区間内において、ΔΣ変調器の各種パラメータを変更する点にある。なお、ギャップ区間中は意味のある信号を含まない。従って、不定であってもよく、あるいは所定の値(例えば、0)に固定してもよい。第3の実施形態の、第1の実施形態に対する違いは動作が異なる点にある。従って、以下では、第1の実施形態の構成を用いて説明を行う場合がある。
図10は、本発明の第3の実施形態の動作を説明するためのタイミング図である。上位装置は、時点Tsにおいて、例えば、送信信号の送信信号種別を「制御信号」(条件1/表1参照)から「通話/データ送信」(条件2/表1参照)に変更したとする。時点Tsにおいて、上位装置は、送信信号の出力がなされない(出力自体が意味を持たない)区間であるギャップ期間Tgをスタートさせるとともに、送信機301(具体的には、パラメータ制御器202)に対して、変更タイミング情報を送信する。この変更タイミング情報には、それを受信した時点でΔΣ変調器201のパラメータを条件1から条件2へ変更する旨の指示が含まれている。
該変更タイミング情報を受信したパラメータ制御器202は、例えば、参照用テーブルを参照するなどして、条件2に対応するパラメータを取得する。パラメータ制御器202は、取得したパラメータをΔΣ変調器201に設定し、その後、ΔΣ変調器201においてパラメータが確定する。
一方、上位装置は、ギャップ期間Tgの終了(時点Te)を監視し、ギャップ期間Tの終了を検出した場合、送信信号を有効にする、換言すれば、通常通りの意味のある信号を出力する。具体的には、本ケースの場合、「通話/データ送信」である送信信号の出力が開始される。
変更タイミング情報の受信(時点Ts)からΔΣ変調器201においてパラメータが確定するまでには所定の期間Tc(パラメータ不定期間)がかかるものとする。この期間Tc中に送信信号が有効であると、確定していないパラメータによって変調処理が行われ、出力の信頼性低下が懸念される。しかしながら、ギャップ期間Tgを期間Tcよりも長く設定することにより、パラメータが確定した後に確実に変調処理を実行することができるので、出力の信頼性低下の懸念は払拭される。
以上の説明では、専用のギャップ区間を設けたが、必ずしも専用のギャップ区間を設ける必要はない。例えば、TDD(Time Division Duplex)方式の場合、受信時間帯はシステム上必ず送信信号が停止する時間帯であるため、パラメータ変更のためのギャップ区間として利用することができる。また、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)の場合、ガードインターバルは送信信号がゼロではないが、不連続な時間帯なので、ギャップ区間として、パラメータ変更のために利用することができる。
なお、本実施形態において、ΔΣ変調器201のパラメータの例としては、ΔΣ変調器201を構成する乗算器の乗算係数、ΔΣ変調器201を構成する量子化器の閾値および該量子化器の出力値等を挙げることができる。
[第4の実施形態]
本実施の形態においては、EDSM送信機における、最適な量子化器パラメータの選択の仕方について述べる。
図2に示したEDSM送信機においては、ΔΣ変調器には、包絡線検波器で検出された、無線信号のエンベロープ信号が入力される。無線信号の種類として、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やLTE(Long Term Evolution)などのような、振幅にも変調がなされている信号の場合、本エンベロープ信号は時間変動する。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る送信機400の構成例を示すブロック図である。送信機400において、エンベロープ信号には、ΔΣ変調器201入力手前までに、本ΔΣ変調器201の入力可能範囲に過不足なく収まるように、スケーリング、レベルシフトを行うことができる。スケーリングは、振幅調整器401で行われる。レベルシフトは、レベルシフト回路402で行われる。例えば、エンベロープ信号の変動幅が0からVmaxであり、ΔΣ変調器201の入力可能範囲がaからb(b>aとする)の場合、本エンベロープ信号には、(b−a)/Vmaxが掛け合わされたのち、aだけレベルシフトされる。本操作により、ΔΣ変調器201手前における入力信号(以降、入力エンベロープ信号と呼ぶ)の変動幅は、aからbとなる。本操作により、ΔΣ変調器201が取り扱えるダイナミックレンジをフルに活用することができ、ΔΣ変調器201内部の量子化で発生する量子化雑音の影響を最小限に抑えることができる。ただし、ΔΣ変調器201の出力には、入力側で行ったレベルシフト量の符号反転した値(=−a)を加算する必要がある。
入力エンベロープ信号の平均値Venvdcは、元のエンベロープ信号の最大値Vmax、時間平均値Vdcを用いて、以下の(式2)で表される。
Venvdc=a+(b−a)×Vdc/Vmax (式2)
図3に示す乗算係数α、βがともに1の場合、(式1)より、信号伝達関数は1であるため、ΔΣ変調器201の出力信号の時間平均値は、同入力信号の時間平均値と一致する。よって、ΔΣ変調器201の出力信号の時間平均値も、Venvdcとなる。
以降、簡単な例として、aを−1とし、bを1とした場合を例に挙げる。ΔΣ変調器201の量子化器の閾値、出力値の組み合わせにおいて、表3の組み合わせ例1、2、3に示すような、出力値にVenvdcを含んだ組み合わせであれば、入力信号の値がVenvdcで一定の場合、ΔΣ変調器201から出力される値はVenvdcで一定となり、量子化雑音は0になる。入力信号の値が時間変動を起こしたとしても、信号値がVenvdc近傍に存在する確率が高い場合は、出力値にVenvdcを持たせることにより、量子化雑音は小さくなると考えられる。
よって、信号の時間平均値がVenvdcの場合、ΔΣ変調器201の出力値としてVenvdcを持つ場合、量子化雑音低減の効果があると考えられる。
なお、EDSMの構成として、図2に示した構成では、ΔΣ変調器の入力・出力側にスケーリング(振幅調整器401)、レベルシフト回路402がないため、入力エンベロープ信号の時間平均値Venvdcは、エンベロープ信号の時間平均値Vdcに等しい。この場合も、ΔΣ変調器の出力値として、Venvdcを持たせることで、量子化雑音低減の効果があると考えられる。また、この場合も、図11の場合と同様に、ΔΣ変調器の出力値としては、Venvdcそのものでなくとも、Venvdcにもっとも近い、導入が容易な値を選ぶことでも量子化雑音低減の効果があると考えられる。
すなわち、送信機全体としては、送信したい信号のエンベロープの時間平均値から、上記組み合わせ例1〜4のように、量子化雑音低減に効果があるような量子化器の閾値、出力値に変更することで、常に量子化雑音の影響を最小限に抑えたRF帯無線信号を生成することができる。
以上説明した第1〜第4の実施形態において、ハードウェア上での対応が必要となるが、ΔΣ変調器の出力bit数を適応制御することも可能である。
また、ΔΣ変調器は背景技術で説明した1次ΔΣ変調器に限定されず、2次以上のものや、カスケードやMASH(Multi−stAge noise SHaping)のような多段型といった構成のΔΣ変調器にも応用することができる。
また、以上説明第1〜第4の実施形態では、EDSM構成における送信機の無線特性を向上させることを目的としてΔΣ変調器の各種パラメータを変更する手段について述べたが、図1に示したIF−DSM構成においても、上記のパラメータ変更手段を適用することができる。
[第5の実施形態]
図12は、本発明の第5の実施形態に係る送信機10の構成例を示すブロック図である。
送信機10は、ΔΣ変調器12とパラメータ制御部14を備える。パラメータ制御部14は、所定の条件に応じてΔΣ変調器12のパラメータを変更する。ここで、所定の条件の例としては、送信信号の種別あるは変調方式、送信機10で測定した送信電力の大きさやACPR、あるいは、上位装置等からのパラメータ変更指示の受信等を挙げることができる。一方、ΔΣ変調器12のパラメータの例としては、ΔΣ変調器12を構成する乗算器の乗算係数、ΔΣ変調器12を構成する量子化器の閾値および該量子化器の出力値等を挙げることができる。上記複数のパラメータを同時に変更することもでき、いずれか1つのパラメータのみを変更することもできる。
以上説明した第5の実施形態によれば、時々の条件や状況に基づいて、パラメータ制御部14が、ΔΣ変調器12のパラメータを変更するので、ΔΣ変調器の信号及び雑音の伝達関数が1つに固定されることはない。すなわち、送信状況(送信信号の種別、変調方式、あるいは送信電力等)の時間的変動等に順応することができ、常にベストあるいはベターなACPRが得られる。この結果、送信機10の無線特性を向上させることができる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2010年9月10日に出願された日本出願特願2010−202725を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
Claims (10)
- 所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調手段と、
所定の条件に応じて前記ΔΣ変調手段のパラメータを変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする送信機。 - 前記ΔΣ変調手段は、ベースバンドで生成した直交無線信号、または、前記直交無線信号から抽出されるエンベロープ信号をΔΣ変調することを特徴とする請求項1記載の送信機。
- 前記パラメータは、前記ΔΣ変調手段を構成する乗算手段の乗算係数、前記ΔΣ変調手段を構成する量子化手段の閾値、および前記量子化手段の出力値の内の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2記載の送信機。
- 前記所定の条件は、前記入力信号の送信信号種別、前記送信機を構成する増幅手段に対するバックオフ要求値、前記入力信号の変調方式、前記送信機で計測した送信電力の大きさ、ACPR(Adjacent Channel leakage Power Ratio)、受信装置側で計測したSIR(Signal to Interference Ratio)、送信時間帯、前記増幅手段の効率、前記入力信号の振幅分布、および無信号か否かの判断結果の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の送信機。
- 前記量子化手段の出力値として変更可能な値の中から、前記入力信号の平均値以上の中での最小値、もしくは、上記平均値より低い値の中での最大値のうちの少なくともいずれか1つの値を含んで選択することを特徴とする請求項3記載の送信機。
- 前記量子化手段の出力値として変更可能な値の中には、出力値の最大値と最小値の間を任意の整数で等分割した場合の境界値の中から、前記入力信号の平均値以上の中での最小値、もしくは、前記平均値より低い値の中での最大値のうちの少なくとも1つの値が含まれることを特徴とする請求項3記載の送信機。
- 前記入力信号は、意味のある信号を含まない、所定の時間幅のギャップ区間を備え、前記制御手段は、前記ギャップ区間内に前記パラメータの変更を行うことを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の送信機。
- 所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調器の制御方法であって、
所定の条件に応じてΔΣ変調器のパラメータを変更することを特徴とする制御方法。 - 所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調器を備える送信機のコンピュータに、
所定の条件に応じてΔΣ変調器のパラメータを変更する処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 所定の入力信号をΔΣ変調するΔΣ変調手段と、
所定の条件に応じて前記ΔΣ変調手段のパラメータを変更する制御手段と、
を備えることを特徴とするΔΣ変調器。
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