JP3866746B2 - 歪補償装置 - Google Patents

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Description

技術分野
この発明は、信号を送信する送信装置において使用される歪補償装置に係わる。
背景技術
近年、移動体通信の普及により、通信資源(特に、無線周波数)の有効利用に関する要求が高まってきている。そして、このような要求に答えるために、周波数利用効率の高い線形変調方式(例えば、QPSK等)を用いた無線装置が実用化されている。
無線装置は、一般に、低消費電力であり且つ小型であることが要求されることが多い。これに加えて、線形変調方式を利用した無線装置は、その送信回路において高い線形性が要求される。ところが、通常、無線装置の送信回路の最終段には高出力の増幅器(パワーアンプ)が設けられているので、これらの要求を同時に満たすことは難しい。すなわち、高出力増幅器の線形領域で信号が増幅される場合には、線形性は良好であるが、増幅器の効率が悪くなってしまう。このため、この場合は、消費電力が大きくなるので、大型の電源が必要になったり、放熱条件が厳しくなったりする。一方、高出力増幅器の非線形領域で信号が増幅される場合は、増幅器の効率は高くなるが、良好な線形性が得られなくなってしまう。そして、線形性が劣化すると、信号の歪みが大きくなるので、その漏洩電力の影響等により隣接チャネルの信号の特性を劣化させてしまう。
歪補償装置は、上記問題を解決するために利用される。すなわち、歪補償装置を備える無線装置では、高出力増幅器の非線形領域で信号を増幅するとによって消費電力を抑えつつ、その増幅器において発生する信号の歪がその歪補償装置により補償される。
図1は、歪補償装置の基本動作を説明する図である。なお、ここでは、デジタルプリディストーション方式の歪補償装置について説明する。また、ここでは、入力信号X(t)が処理部1により処理されて信号Y(t)として出力される場合を想定する。
歪補償装置は、処理部1において発生する歪を検出または推定し、その歪を補償するような補償信号を作成して信号X(t)に与える。具体的には、差分回路11は、参照信号21とフィードバック信号22との差分を表す誤差信号23を生成する。ここで、参照信号21は、歪を受けていない信号であって、信号X(t)を単に所定時間だけ遅延させることにより得られる。一方、フィードバック信号22は、処理部1により歪を受けた信号である。したがって、この誤差信号23は、処理部1において発生した歪に相当する。
歪補償部12は、補償信号24を作成するための情報を格納するテーブルを備える。また、歪補償信号更新部13は、誤差信号23に基づいて、歪補償部12が備えるテーブルを更新する。そして、歪補償部12は、信号X(t)の振幅または電力等を検索キーとしてテーブルから抽出した情報に基づいて補償信号24を作成する。ここで、この補償信号24は、誤差信号23をキャンセルするような信号である。
乗算器14は、入力信号X(t)に対して補償信号24を乗算する。したがって、処理部1において発生する歪は、この補償信号24により補償されることになるので、信号Y(t)は、歪のない(または、歪が抑制された)信号になる。
上記歪補償装置において、歪を適切に補償するためには、正確な誤差信号23を生成する必要がある。そして、正確な誤差信号23を得るためには、参照信号21およびフィードバック信号22のタイミングを精度よく一致させる必要がある。したがって、デジタルプリディストーション方式の歪補償装置は、通常、図2に示すように、遅延部31および遅延量制御部32を備える。
遅延部31は、フィードバック信号を遅延させる。ここで、遅延部31における遅延量は、遅延量制御部32からの指示に従う。遅延量制御部32は、参照信号21および遅延部31において遅延させられたフィードバック信号22のタイミングが互いに一致するような遅延量を算出し、その結果を遅延部31に通知する。なお、これらの信号のタイミングを調整する方法(即ち、フィードバック信号の遅延量を決定する方法)としては、例えば、上記2つの信号の相関を利用する方法、或いはACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio)を利用する方法などが知られている。
しかし、障害の発生等により、参照信号21またはフィードバック信号22が差分回路11に到達できない場合や、これらの信号の信頼性が低下した場合には、遅延量制御部32において誤った遅延量が算出されることになる。そして、もし、遅延量制御部32において誤った遅延量が算出されると、その誤った遅延量に基づいて正しくない誤差信号24が作成されることになり、結果として歪を補償できなくなってしまう。或いは、場合によっては、フィードバック系が暴走してしまい、かえって歪を増大させてしまうこともある。そして、このような事態が発生すると、隣接チャネルの信号に悪影響を及ぼすことになる。したがって、上記構成の歪補償装置は、遅延量制御部32において算出される遅延量が異常値にならないようにするための保護機能を有することが望ましい。
発明の開示
本発明は、障害が発生した場合であっても、信号の歪を最小限に抑えることができる歪補償装置を提供することを目的とする。
本発明の歪補償装置は、第1の信号から第2の信号を生成して出力する送信装置において使用されるものとし、上記第2の信号から得られるフィードバック信号を遅延させる遅延手段と、上記第1の信号から得られる参照信号と上記遅延手段により遅延させられたフィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように上記遅延手段の遅延量を決定する遅延制御手段を有する。そして、上記遅延制御手段は、上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限する。
上記歪補償装置においては、参照信号またはフィードバック信号が異常値を示した場合であっても、遅延手段における遅延量は、限界値により規定される範囲内の値になる。このため、参照信号またはフィードバック信号が異常値を示した場合であっても、信号の歪を補償するためのフィードバック系が暴走することはなく、その歪は一定レベル以下に抑えられる。
なお、上記歪補償装置において、上記限界値は、上記第1の信号から上記第2の信号を生成する回路の近傍の温度、上記送信装置が使用されてきた期間、または上記第2の信号を送信するために使用される1または複数の搬送波のパターンに基づいて決定されるようにしてもよい。この構成によれば、送信装置の使用環境に応じて最適な限界値が設定されるので、歪補償の精度の向上が期待される。発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について説明する。
図3は、本発明の実施形態の歪補償装置が使用される環境の一例を示す図である。図3において、基地局40は、移動通信システムの基地局であって、移動機50との間で無線信号を送受信する。そして、基地局40は、移動機50へ無線信号を送信する送信装置41、および移動機50からの無線信号を受信する受信装置42を備える。一方、移動機50は、例えば携帯電話機であり、基地局40との間で無線信号を送受信する。そして、移動機50は、基地局40へ無線信号を送信する送信装置51、および基地局40からの無線信号を受信する受信装置52を備える。
上記システムにおいて、実施形態の歪補償装置は、送信装置41または送信装置51に設けられる。なお、本発明の歪補償装置は、必ずしも上述の無線送信装置に設けられる必要はなく、他の態様の送信装置に設けられてもよい。
図4は、実施形態の歪補償装置の構成を示す図である。なお、ここでは、この歪補償装置は、入力信号を変調して送信する送信装置において使用されるものとする。
入力信号は、直交変調器(QMOD)61により変調された後、D/A変換器(DAC)62によりアナログ信号に変換される。続いて、このアナログ信号は、周波数フィルタ63を通過した後、乗算器64において搬送波が乗算される。そして、この信号は、パワーアンプ(PA)65により増幅され、アンテナ66を介して送信される。
上記入力信号は、上述のようにして送信される際に歪を生じる。ここで、歪は、主に、パワーアンプ65により増幅される際に歪を発生する。
パワーアンプ65により増幅された信号は、フィードバック信号22を生成するためにその一部が分岐される。乗算器71は、この信号に対して所定周波数の周期信号(例えば、上述の搬送波)を乗算することにより、その信号の周波数を変換する。続いて、この信号は、周波数フィルタ72を通過した後、A/D変換器(ADC)73によってデジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号は、直交復調器(QDEM)74により復調され、さらに、遅延部31により遅延させられる。なお、直交復調器74による復調方式は、直交変調器61による変調方式に対応する。
遅延部31の出力は、フィードバック信号22として差分回路11に与えられる。ここで、フィードバック信号22は、上述の通り、入力信号を変調および増幅した信号から生成される。従って、このフィードバック信号22は、直交変調器61および直交復調器74が互いに対応しているので、入力信号と同じ信号である。ただし、フィードバック信号22は、アナログ部(主に、パワーアンプ65)200において発生した歪を含んでいる。また、このフィードバック信号22は、入力信号に対して、フィードバック系の処理時間だけ遅れた信号となっている。
差分回路11は、参照信号21とフィードバック信号22との差分を表す誤差信号23を生成する。ここで、参照信号21は、固定遅延回路75を用いて入力信号を所定時間だけ遅延させることにより得られる。なお、固定遅延回路75における遅延時間は、フィードバック系における処理時間(ここでは、入力信号がアナログ部200を経由して差分回路11に戻ってくるまでの時間から、遅延部31による遅延時間を除いた時間を意味する。)よりも長い時間が設定されている。
歪補償部12および歪補償信号更新部13は、図1を参照しながら説明した通りであり、既存の技術により実現可能である。即ち、歪補償部12は、補償信号24を作成するための情報を格納するテーブルを備える。また、歪補償信号更新部13は、誤差信号23に基づいて、歪補償部12が備えるテーブルを更新する。そして、歪補償部12は、入力信号の振幅または電力等を検索キーとして上記テーブルから抽出した情報に基づいて補償信号24を作成する。ここで、補償信号24は、誤差信号23をキャンセルするような信号である。
そして、乗算器14は、入力信号に対して補償信号24を乗算する。したがって、アナログ部200(主に、パワーアンプ65)において発生する歪は、この補償信号24により補償されることになるので、アンテナ66を介して送信される信号は、歪のない(または、歪が抑制された)信号になる。
遅延量制御部81は、図2に示した遅延量制御部32と同様に、参照信号21および遅延部31において遅延させられたフィードバック信号22のタイミングが互いに一致するような(または、タイミング差を最小化する)遅延量を算出し、その結果を遅延部31に通知する。ただし、遅延量制御部81は、何らかの障害により参照信号21またはフィードバック信号22が異常値を示した場合に、その障害から送信装置を保護する機能を備えている。また、実施形態の歪補償装置は、パワーアンプ65の近傍に温度センサ82を備えており、遅延量制御部81は、その温度センサ82の出力に応じて遅延量を決定する機能も備えている。
図5は、遅延量制御部81の概略動作を示す図である。ステップS1では、参照信号21および遅延部31において遅延させられたフィードバック信号22のタイミングが互いに一致するような遅延量を算出する。なお、この遅延量は、例えば、上記2つの信号の相関を利用する方法、或いはACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio)を利用する方法により算出される。そして、算出した遅延量に基づいて、遅延部31に対して指示を与える。
ステップS2およびS3では、タイマを用いてステップS1の処理が実行された時からの経過時間を計時する。ここで、このタイマにより計時される時間は、ステップS1の処理を実行する周期を表す。そして、上記タイマがタイムアウトすると、ステップS4においてそのタイマをリセットした後、ステップS1に戻る。これにより、遅延量を算出する処理が周期的に実行されることになる。
図6は、遅延量制御部81の構成図である。ここでは、相関を利用して遅延量が決定されるものとする。このため、遅延量制御部81は、参照信号21とフィードバック信号22との相関を求める相関器90および制御部100から構成されている。また、参照信号21およびフィードバック信号22は、それぞれI成分信号およびQ成分信号から構成されているものとする。
相関器90は、参照信号21のI成分信号およびQ成分信号と、フィードバック信号22のI成分信号およびQ成分信号とを複素乗算する。そして、この複素乗算後の信号が積算器91a、91bに与えられる。ここで、フィードバック信号22のI成分信号およびQ成分信号は、それぞれ遅延部31により遅延させられている。なお、遅延部31は、FIRフィルタ111およびシフトレジスタ112から構成されている。
積算器91a、91bは、それぞれ、与えられる信号を一定時間だけ積算する。また、2乗器92a、92bは、それぞれ、積算器91a、91bによる積算結果を二乗して出力する。そして、2乗器92a、92bの出力は、加算器により互いに加算されて、参照信号21とフィードバック信号22との間の「相関値」として出力される。
相関器90は、既知の技術により実現することができる。したがって、ここでは、相関器90の構成および動作についてのこれ以上詳しい説明は省略するが、図7A〜図7Cを参照しながら、相関値について簡単に示す。
図7Aは、参照信号21に対してフィードバック信号22が遅れている場合を示している。このケースでは、例えば、互いに異なるデータ列である「010110」と「110101」とが乗算されることになるので、その相関値は小さくなる。また、図7Cは、参照信号21に対してフィードバック信号22が進んでいる場合を示している。このケースでは、互いに異なるデータ列である「010110」と「011000」とが乗算されることになるので、その相関値は小さくなる。これに対して、図7Bに示す例では、参照信号21およびフィードバック信号22のタイミングが互いに一致している。したがって、この場合、互いに同じデータ列が乗算されることになるので、その相関値は大きくなる。
図8は、遅延部31における遅延量と相関器90により算出される相関値との関係を示す図である。参照信号21とフィードバック信号22との間の相関値は、上述したように、それら1組の信号のタイミングが互いに一致したときにのみ大きくなる。ここで、参照信号21とフィードバック信号22との間のタイミング差は、遅延部31における遅延量により調整される。したがって、遅延部31における遅延量を少しずつ変化させながら繰り返し相関値を算出していけば、図8に示すような結果が得られるはずである。そして、この場合、相関値がピークになるタイミングが、参照信号21およびフィードバック信号22が互いに一致するタイミングとして検出される。
図6に戻り、制御部100について説明する。制御部100は、相関器90から出力される相関値を利用して、参照信号21およびフィードバック信号22のタイミングが互いに一致するような遅延量を算出する。
遅延タイミング制御部101は、予め決められたアルゴリズムまたは相関値比較処理部103からの指示に従って遅延量を決定し、それを遅延部31に通知する。この場合、遅延部31は、与えられた指示に従ってフィードバック信号を遅延させる。なお、「遅延量」は、シフトレジスタ112のシフト量を指示するデータ、および/またはFIRフィルタ111のTAP係数を指示するデータを含む。
相関値記憶部102は、相関器90により算出された相関値を保持する。このとき、「相関値」は、遅延タイミング制御部101から遅延部31に対して指示された「遅延量」に対応づけられて保持される。また、相関値比較処理部103は、相関値記憶部102に保持されている複数の「相関値」を読み出し、その比較結果に基づいて遅延タイミング制御部101に指示を与える。
図9および図10は、遅延量制御部81の基本動作を示すフローチャートである。ここで、図9に示すフローチャートは、遅延量を大まかに決定する処理を示しており、図10に示すフローチャートは、図9に示す処理により決定された遅延量を微調整する処理を示している。なお、図9に示す処理は、必ずしも繰り返し実行される必要はなく、初期動作時にのみ実行されるようにしてもよい。
遅延量制御部81は、図5を参照しながら説明したように、所定時間ごとに遅延量を決定する処理を実行する。すなわち、ステップS11において、遅延量を調整するタイミングを表すタイマ割込が宛てられると、ステップS12〜S18を実行する。
ステップS12では、歪補償部12に設けられているテーブルの更新を中断する。ステップS13では、遅延部31に対して、遅延量として「下限値」を通知する。これにより、遅延部31は、この下限値に対応する時間だけフィードバック信号を遅延させることになる。なお、この下限値は、限界値保持部104に格納されているものとする。
ステップS14では、参照信号21とフィードバック信号22との間の相関値が算出される。そして、算出された相関値は、相関値記憶部102に保持される。
ステップS15およびS16では、遅延量をインクリメントし、そのインクリメントされた遅延量が「上限値」に達したか否かを調べる。そして、その遅延量が上限値を越えていなければ、ステップS14に戻って再び相関値を算出する。ここで、「インクリメント」とは、遅延部31における遅延量を、シフトレジスタ112の1クロックタイミングだけ大きくすることを意味する。従って、ステップS14〜S16が繰り返し実行されることにより、「遅延量=下限値」から「遅延量=上限値」までの相関値が得られることになる。なお、この上限値も、限界値保持部104に格納されているものとする。
「遅延量=下限値」から「遅延量=上限値」までの相関値が得られると、ステップS17において、それらの中から最大相関値が選択される。そして、ステップS18において、最大相関値が得られたときの遅延量が検出され、その検出された遅延量が遅延部31に通知される。この後、歪補償部12のテーブルを更新する処理が再開される。
このように、図9に示すフローチャートの処理によれば、図8に示す「遅延量=下限値」から「遅延量=上限値」までの相関値が得られ、その中の最大相関値が検出される遅延量が遅延部31に設定される。したがって、遅延部31に設定される遅延量は、常に、「下限値」と「上限値」との間の範囲内の値となる。
図10に示すフローチャートの処理では、上記遅延量の微調整が行われる。なお、ここでは、ステップS21以降の処理について説明する。
ステップS21では、現在の遅延量(シフトレジスタ112のシフト量、およびFIRフィルタ111のTAP係数)で相関値を算出する。つづいて、ステップS22では、現在の遅延量をインクリメントして相関値を算出する。同様に、ステップS23では、現在の遅延量をデクリメントして相関値を算出する。なお、遅延量のインクリメント/デクリメントは、FIRフィルタ111のTAP係数を変更することにより行われる。ここで、FIRフィルタ111のTAP係数を変更する方法は、シフトレジスタ112のシフト量を変更する方法と比べて、十分に細かく遅延量を調整することが可能である。
ステップS24では、ステップS21〜S23で得られた3個の相関値の中から最も大きな相関値が得られる遅延量を検出する。続いて、ステップS25では、検出された遅延量が「限界値」を越えているか否かを調べる。ここで、限界値は、上述した上限値または下限値を意味する。すなわち、「遅延量が限界値を越える」は、「遅延量が上限値よりも大きくなる」または「遅延量が下限値よりも小さくなる」を意味する。
そして、検出された遅延量が限界値を越えていなければ、ステップS26において、その遅延量が遅延部31に設定される。一方、検出された遅延量が限界値を越えていたときは、ステップS27において、その限界値(上限値または下限値)が遅延部31に設定される。この後、歪補償部12のテーブルを更新する処理が再開される。
このように、図10に示すフローチャートの処理によれば、相関値に基づいて決定される遅延量が、限界値を越えていた場合には、その限界値が遅延部31に設定される。したがって、遅延部31に設定される遅延量は、常に、「下限値」と「上限値」との間の範囲内の値となる。
図11は、限界値について説明する図である。限界値は、上述したように、上限値および下限値から構成される。なお、上限値および下限値は、それぞれ直接的に指定されてもよいし、基準値とその基準値からの距離(W1、W2)により指定されるようにしてもよい。ここで、後者の場合は、距離W1および距離W2は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
上記限界値は、基本的には、送信装置の出荷前(たとえば、生産工場において)に決定される。この場合、これらの値は、シミュレーション等により決定されてもよいし、実際にその送信装置を用いて信号を送信しながら決定されるようにしてもよい。なお、限界値は、歪み特性(例えば、ACLR特性)が所定の規格を満足するように決定されるようにしてもよい。また、送信装置が複数のキャリアパターンの中から任意のパターンを選択して信号を送信できる場合には、それら複数のパターンの中で最も広い帯域を利用するパターンで信号を送信する場合に歪み特性が所定の規格を満足するように限界値が決定されるようにしてもよい。この理由は、以下の通りである。すなわち、図4に示す歪補償装置においては、広帯域信号を送信するときは、狭帯域信号を送信するときと比較して、参照信号21とフィードバック信号とのタイミング誤差が、大きな信号歪を引き起こす傾向にある。換言すれば、広帯域信号を送信するときは、狭帯域信号を送信するときと比較して遅延量の調整精度が高くなる。従って、広帯域信号を送信する場合を想定して遅延量の限界値を決定しておけば、その限界値が狭帯域信号を送信する場合に適用された場合であっても、フィードバック信号の遅延量の信頼性は高くなる。
ところで、遅延部31における遅延量(フィードバック信号22を遅延させるための遅延量)の限界値は、固定的に設定されてもよいが、外部環境または通信環境に応じて動的に調整してもよい。以下では、送信装置内の温度、送信装置の使用期間(経年劣化)、送信装置が信号を送信する際のキャリアパターンに基づいて限界値を変更する方法を説明する。
図4において、アナログ部200(パワーアンプ65を含む)における信号遅延時間は、温度に依存する。このため、入力信号が入力された時から、その入力信号に対応するフィードバック信号22が差分回路11に与えられるまでの時間は、温度に依存することになる。したがって、遅延部31における遅延量の限界値も、アナログ部200の近傍の温度に基づいて調整されることが望ましい。なお、アナログ部200の近傍の温度は、温度センサ82により検出されて遅延量制御部81に通知される。
図12Aは、アナログ部200の近傍の温度と遅延量の限界値との対応関係が登録されたテーブルを模式的に示す図である。ここで、このテーブルは、例えば、遅延量制御部81に設けられる限界値保持部104に相当する。なお、アナログ部200における信号遅延時間の温度依存特性は、既知であるものとする。そして、各温度に対応する限界値は、その温度特性に従って予め作成される。ただし、アナログ部200における信号遅延時間の温度依存特性を数式で表すことが出来るときは、アナログ部200の近傍の温度を検出したときにその検出温度から限界値を算出するようにしてもよい。この場合、予めテーブルを作成しておく必要がなくなる。
図13は、温度を参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。なお、温度を参照する場合の処理の基本動作は、図10に示した手順と同じである。ただし、温度を参照する場合は、ステップS24において最も大きな相関値が得られる遅延量を検出した後、ステップS31において、アナログ部200の近傍の温度を検出する。ここで、この温度は、温度センサ82により検出される。そして、ステップS32において、検出した温度に対応する限界値(上限値および下限値)を設定する。このとき、検出した温度に対応する限界値は、図12Aに示したテーブルから抽出するようにしてもよいし、予め定義されている数式を利用して算出するようにしてもよい。この後、ステップS24で検出した遅延量が限界値を越えているか否かを判断する。その判断結果に基づいて決まる遅延量を遅延部31に通知する処理は、図10を参照しながら説明した通りである。
このように、この方法を導入すれば、送信装置の使用環境に応じて最適な限界値を動的に設定することができる。
図14は、送信装置の使用期間を参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。この場合の動作は、基本的に、図13を参照しながら説明した手順と同じである。ただし、ステップS31およびS32の代わりに、ステップS41およびS42が実行される。すなわち、ステップS41では、送信装置の使用期間が検出される。ここで、送信装置の使用期間は、例えば、その送信装置の使用開始時に起動されるタイマ等により計時されるものとする。また、ステップS42では、検出した使用期間に対応する限界値を設定する。このとき、送信装置の使用期間に対応する限界値は、図12Bに示すようなテーブルから抽出するようにしてもよいし、予め定義されている数式を利用して算出するようにしてもよい。なお、ここでは、送信装置内の各部品(特に、アナログ部200)の経年劣化特性が既知であるものとする。
次に、送信装置が信号を任意のキャリアパターンで1または複数の信号を送信する場合の限界値の設定について説明する。
図15は、実施形態の歪補償装置を備えるマルチキャリア送信装置の構成を示す図である。ここで、この送信装置は、4信号を多重化して送信する能力を有する。すなわち、チャネルCH1〜CH4を介してベースバンド信号が入力されると、周波数変換部121は、各ベースバンド信号に対してそれぞれ対応する周波数(ω1〜ω4)を持った周期波を乗算する。これにより、各ベースバンド信号は、互いに異なる周波数帯に配置されることになる。そして、これらの信号は、合成器122により合成され、直交変調器(QMOD)61に送られる。
このように、図15に示す送信装置は、複数の入力信号を互いに異なる周波数帯に配置して多重化することができる。なお、歪補償装置、変調回路、アナログ部の基本構成および基本的動作は、図4を参照しながら説明した通りである。
上記構成において、多重化すべきチャネルが異なると、それに伴って使用される周波数帯も異なってくる。例えば、2チャネルが多重化される場合であっても、CH1およびCH2が多重化される場合と、CH3およびCH4が多重化される場合とでは、異なる周波数帯が使用されることになる。以下では、使用される周波数帯の組合せのことを、キャリアパターンと呼ぶことにする。
上記マルチキャリア送信装置において、アナログ部200における信号遅延特性が、周波数に依存しなければ、遅延部31に設定すべき遅延量の最適値は、キャリアパターンによらず一定になる。ところが、製造コストまたは回路規模を考慮すると、アナログ部200を構成する部品として比較的安価で小型の部品を使用することになるので、その場合、アナログ回路において信号遅延について周波数依存性が生じることになる。よって、遅延部31に設定すべき遅延量の最適値は、キャリアパターンに従って変化することになる。
図16は、送信信号のキャリアパターンと最適遅延量との関係を模式的に示す図である。図16では、例1として、1つの信号のみが送信される場合が描かれており、例2として、2チャネルまたは4チャネルが多重化される場合が描かれている。そして、図16においては、いずれの場合も、高い周波数帯が使用される場合に最適遅延量が大きくなっている様子が示されている。
上述のように、遅延部31に設定すべき遅延量の最適値がキャリアパターンに従って変化するものとすると、図17に示すように、その遅延量の変動範囲を制限するための限界値(上限値および下限値)も、それに合わせて変化させることが望ましい。したがって、実施形態の歪補償装置では、キャリアパターンに従って遅延量の限界値を変化させる機能を備えている。
図18は、キャリアパターンと遅延量の限界値との対応関係が登録されたテーブルを模式的に示す図である。ここで、このテーブルは、例えば、遅延量制御部81に設けられる限界値保持部104に相当する。なお、図18に示すテーブルおいて、例えば、「キャリアパターン=0001」はチャネルCH1のみが送信されておる場合を表し、「キャリアパターン=0011」はチャネルCH1およびCH2が多重化されている場合を表し、「キャリアパターン=1111」はチャネルCH1〜CH4が多重化されている場合を表している。
図19は、キャリアパターンを参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。なお、この場合の処理も、基本的には、図10に示した手順と同じである。ただし、キャリアパターンを参照する場合は、ステップS12〜S27を実行する前に、ステップS51〜S53を実行する。
ステップS51では、現在のキャリアパターンを確認する。即ち、チャネルCH1〜CH4のうちのどのチャネルが使用されているのか調べる。なお、各チャネルが使用されているか否かを表す情報は、この送信装置の中に設けられる不図示の上位制御装置から遅延量制御部81に通知されるものとする。
ステップS82では、現在のキャリアパターンが、このフローチャートの処理が前回実行されたときのキャリアパターンから変化しているか否かが調べられる。そして、キャリアパターンが変化していたときは、ステップS53において、新たなキャリアパターンに対応する限界値(上限値および下限値)を図18に示すテーブルから抽出し、それを保持する。
以降の処理は、図10を参照しながら説明した通りである。すなわち、ステップS21〜S24において遅延部31に設定すべき遅延量を算出し、その遅延量とステップS51〜S53で取得した限界値とを比較する。そして、算出した遅延量が上記限界値を越えていなければ、その遅延量がそのまま遅延部31に設定され、算出した遅延量が限界値を越えていたときは、その算出した遅延量に代わりに上記限界値が遅延部31に設定される。
このように、この方法を導入すれば、マルチキャリア送信装置においてキャリアパターンが変更された場合であっても、常に、好適な限界値を動的に使用することができる。
なお、限界値の幅(図11に示す調整範囲)は、図17に示すように、全キャリアパターンに対して一定であってもよいし、図20に示すように、キャリアパターンに応じて変化するようにしてもよい。後者の場合は、例えば、信号送信のために使用される帯域幅が広くなるときに限界値の幅を狭くし、信号送信のために使用される帯域幅が狭いときに限界値の幅を広くするようにしてもよい。具体的には、例えば、図16の例2に示す5種類のキャリアパターンのうち、中央に描かれているパターンのときに限界値の幅を狭く設定し、右端または左端に描かれているパターンのときに限界値の幅を広く設定する。
また、図21に示すように、温度およびキャリアパターンの双方を考慮しながら遅延量の限界値を設定するようにしてもよい。図21では、パワーアンプ65の近傍の温度が55度であったときの限界値範囲A、25度であったときの限界値範囲B、および氷点下5度であったときの願経値範囲Cが、それぞれ実線、波線、および2点鎖線で描かれている。
ところで、実施形態の歪補償装置は、上述したように、遅延部31に通知すべき遅延量に対して限界値を設け、参照信号21とフィードバック信号22との相関を利用して算出した遅延量がその限界値を越えた場合には、何らかの障害が発生したものと判断して、上記算出した遅延量の代わりにその限界値を遅延部31に通知する。したがって、参照信号21またはフィードバック信号22に異常が発生した場合であっても、歪補償装置が暴走することはなく、送信信号に生じる歪も一定値以下に抑えられる。
上記歪補償装置において、上記算出した遅延量が上記限界値を越えていなければ、その算出した遅延量がそのまま遅延部31に通知されることになる。しかし、このとき、実際に障害が発生していなくても、その算出した遅延量が一時的に限界値に近づくこともあり得る。この場合、基本的には、算出遅延量が短時間のうちに最適遅延量に収束することが望ましい。
そこで、以下に示す実施形態では、参照信号21とフィードバック信号22との相関を利用して算出した遅延量がその限界値に近づいたときに、その算出した遅延量を短時間のうちに最適遅延量に収束させるための機能について説明する。
なお、以下に示す歪補償装置は、通常動作時は、図5を参照しながら説明したように、予め決められた所定の周期で遅延量を調整する処理を実行するものとする。ここで、「所定の周期」は、例えば、数分〜数十分程度である。また、所定の周期ごとに実行される遅延量調整処理は、例えば、図9〜図10に示すフローチャートを実行することにより実現されるものとする。この場合、ステップS22でインクリメントする単位時間およびステップS23でデクリメントする単位時間は、通常動作時は、例えば、数十ピコ秒程度である。ここで、この単位時間は、1回の遅延量調整処理における遅延量の変化の大きさに相当するので、以下では「調整ステップサイズ」と呼ぶことにする。
図22は、遅延量調整処理を実行する頻度を変更しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
このフローチャートの基本動作は、図10に示した手順と同じである。ただし、このフローチャートでは、遅延部31に通知すべき遅延量が限界値に近づいたときに、遅延量調整処理を実行する頻度を上げる手順、すなわち、遅延量調整処理を実行する周期を短くする手順を含んでいる。具体的には、以下の通りである。
ステップS11〜S27の処理により遅延部31に遅延量を通知した後、ステップS61およびS62が実行される。ステップS61では、遅延部31に通知した遅延量が、頻度変更領域内であるか否かを調べる。なお、頻度変更領域は、図23に示すように、1組の限界値により規定される調整範囲内であって、それらの各限界値に近接する所定の領域を意味する。具体的には、頻度変更領域は、「+側頻度しきい値」から「上限値」までの領域、および「−側頻度しきい値」から「下限値」までの領域から構成される。なお、ステップS21〜S24において算出された遅延量が限界値を越えたときは、その限界値が遅延部31に通知されることになるが、この場合、遅延部31に通知した遅延量が頻度変更領域内であると判断するようにしてもよい。
遅延部31に通知した遅延量が頻度変更領域内であった場合は、ステップS62において、ステップS21〜S27に示す遅延量調整処理を実行する頻度を変更する。具体的には、図5を参照しながら説明したタイマのタイムアウト時間を短くする。この場合、例えば、通常動作時に数分〜数十分程度に設定されているタイムアウト時間が、数秒〜数十秒程度に変更される。これにより、今回の遅延量調整処理が実行されたときから、次回の遅延量調整処理が実行されるまでの期間が、通常動作時と比較して短くなる。したがって、算出された遅延量の変動が一時的なものであったとすると、遅延部31に通知すべき遅延量は、短時間のうちに、最適遅延量に収束していくことが期待される。
図24は、遅延量調整処理におけるステップサイズを変更しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
このフローチャートの基本動作は、図22に示した手順と同じである。ただし、このフローチャートでは、遅延部31に通知すべき遅延量が限界値に近づいたときに、遅延量調整処理を実行する頻度を上げる代わりに、遅延量調整処理におけるステップサイズが変更される。具体的には、以下の通りである。
ステップS71では、遅延部31に通知した遅延量が、ステップサイズ変更領域内であるか否かを調べる。なお、ステップサイズ変更領域は、図25に示すように、「+側ステップサイズしきい値」から「上限値」までの領域、および「−側ステップサイズしきい値」から「下限値」までの領域から構成される。なお、ステップサイズしきい値は、上述した頻度しきい値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
遅延部31に通知した遅延量がステップサイズ変更領域内であった場合は、ステップS72において、調整ステップサイズを変更する。具体的には、ステップS22およびS23において使用する調整ステップサイズを大きくする。この場合、例えば、通常動作時に数十ピコ秒程度に設定されている調整ステップサイズが、数百ピコ秒程度に変更される。これにより、次回の遅延量調整処理における調整ステップサイズが、通常動作時と比較して大きくなる。したがって、算出された遅延量の変動が一時的なものであったとすると、遅延部31に通知すべき遅延量は、短時間のうちに、最適遅延量に収束していくことが期待される。
なお、上述の実施例では、フィードバック信号の遅延量を調整することによって参照信号およびフィードバック信号のタイミングを互いに一致させる構成であるが、参照信号の遅延量を調整することによって同様の効果を得ることも可能である。ただし、参照信号の遅延量を調整する場合は、歪補償部12から歪補償信号更新部13へ与えられる信号を含む幾つかの信号も同様に遅延させる必要がある。
また、上述の実施例では、1組の限界値(上限値および下限値)を用いて遅延量の設定範囲が制限されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、上限値または下限値の一方のみが使用される構成にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、歪補償装置の基本動作を説明する図である。
図2は、参照信号とフィードバック信号との間のタイミングを調整する機能を備えた歪補償装置を示す図である。
図3は、本発明の実施形態の歪補償装置が使用される環境の一例を示す図である。
図4は、実施形態の歪補償装置の構成を示す図である。
図5は、遅延量制御部の概略動作を示す図である。
図6は、遅延量制御部の構成図である。
図7A〜図7Cは、相関器の動作を説明するための図である。
図8は、遅延量と相関値との関係を示す図である。
図9及び図10は、遅延量制御部の基本動作を示すフローチャートである。
図11は、限界値について説明する図である。
図12Aは、温度と遅延量の限界値との対応関係が登録されたテーブルを模式的に示す図である。
図12Bは、使用期間(経年劣化)と遅延量の限界値との対応関係が登録されたテーブルを模式的に示す図である。
図13は、温度を参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
図14は、送信装置の使用期間を参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
図15は、歪補償装置を備えるマルチキャリア送信装置の構成を示す図である。
図16は、キャリアパターンと最適遅延量との関係を示す図である。
図17は、キャリアパターンと限界値との関係を示す図である。
図18は、キャリアパターンと遅延量の限界値との対応関係が登録されたテーブルを模式的に示す図である。
図19は、キャリアパターンを参照しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
図20は、キャリアパターンに応じて遅延量の調整範囲の幅を設定する例を模式的に示す図である。
図21は、温度およびキャリアパターンの双方に応じて遅延量の調整範囲を設定する例を模式的に示す図である。
図22は、遅延量調整処理を実行する頻度を変更しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
図23は、頻度変更領域について説明する図である。
図24は、遅延量調整処理におけるステップサイズを変更しながら遅延量を決定する処理のフローチャートである。
図25は、ステップサイズ変更領域について説明する図である。

Claims (12)

  1. 第1の信号から第2の信号を生成して出力する送信装置において使用される歪補償装置であって、
    上記第2の信号から得られるフィードバック信号を遅延させる遅延手段と、
    上記第1の信号から得られる参照信号と上記遅延手段により遅延させられたフィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように、上記遅延手段の遅延量を決定する遅延制御手段、を有し、
    上記遅延制御手段が、上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限することを特徴とする歪補償装置。
  2. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記第1の信号から上記第2の信号を生成する回路は、増幅器を含む。
  3. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記第1の信号から上記第2の信号を生成する回路の近傍の温度を検出する温度検出手段をさらに有し、
    上記遅延制御手段は、上記温度検出手段により検出された温度に基づいて上記限界値を決定する。
  4. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記送信装置が使用されてきた期間を計時する計時手段をさらに有し、
    上記遅延制御手段は、上記送信装置が使用されてきた期間に基づいて上記限界値を決定する。
  5. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記遅延制御手段が上記遅延量を決定する処理を実行する頻度を調整する頻度調整手段をさらに有し、
    上記遅延量がある閾値を越えて上記限界値に近づいたときは、上記頻度調整手段は、上記遅延量が上記閾値を越えていないときと比較して、上記遅延制御手段が上記遅延量を決定する処理を実行する頻度を高くする。
  6. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記遅延量を変化させる際にその遅延量を段階的に変化させる変化量調整手段をさらに有し、
    上記遅延量がある閾値を越えて上記限界値に近づいたときは、上記変化量調整手段は、上記遅延量が上記閾値を越えていないときと比較して、上記変化量を大きくする。
  7. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記限界値は、上記送信装置が信号を送信するために使用可能な最大帯域を使用して信号を送信する状況下で決定される。
  8. 請求項1に記載の歪補償装置であって、
    上記限界値は、上記送信装置が送信する送信信号の歪特性が所定の規格を満たすように決定される。
  9. 第1の信号から第2の信号を生成して1または複数の搬送波を用いて出力する送信装置において使用される歪補償装置であって、
    上記第2の信号から得られるフィードバック信号を遅延させる遅延手段と、
    上記第1の信号から得られる参照信号と上記遅延手段により遅延させられたフィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように、上記遅延手段の遅延量を決定する遅延制御手段、を有し、
    上記遅延制御手段が、上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限するとともに、その限界値が、上記第2の信号を送信するために使用される1または複数の搬送波のパターンに基づいて決定されることを特徴とする歪補償装置。
  10. 第1の信号から第2の信号を生成して出力する送信装置において使用される歪補償装置であって、
    上記第1の信号を遅延させることにより参照信号を生成する遅延手段と、
    上記参照信号と上記第2の信号から得られるフィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように、上記遅延手段における遅延量を決定する遅延制御手段、を有し、
    上記遅延制御手段が、上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限することを特徴とする歪補償装置。
  11. 第1の信号から第2の信号を生成して出力する送信装置において使用される歪補償装置であって、
    上記第1の信号から得られる参照信号と上記第2の信号から得られるフィードバック信号の遅延を調整する遅延手段と、
    上記参照信号と上記フィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように、上記遅延手段の遅延量を決定する遅延制御手段、を有し、
    上記遅延制御手段が、上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限することを特徴とする歪補償装置。
  12. 第1の信号から第2の信号を生成して出力する送信装置であって、
    上記第1の信号から上記第2の信号を生成する生成手段と、
    上記第2の信号から得られるフィードバック信号を遅延させる遅延手段と、
    上記第1の信号から得られる参照信号と上記遅延手段により遅延させられたフィードバック信号との間のタイミング差が小さくなるように、上記遅延手段の遅延量を決定する遅延制御手段と、
    上記遅延量が所定の限界値を越えない範囲内に制限する制限手段と
    を有する送信装置。
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