JPWO2012033150A1 - エクオールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明者らは、微生物の一例としてコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科およびストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌を用い、エクオール製造の好適な培養条件の検討を行った。その結果、発酵が行われる気相において水素ガスの質量パーセント濃度が40〜100%である場合(特に100%である場合)に、エクオールの製造効率が飛躍的に高まることが明らかとなった。即ち、本発明者らは、嫌気性微生物を用いたエクオール製造における好適な培養条件の確立に成功した。

Description

本発明は、エクオール生産能を有する嫌気性微生物によるエクオールの製造方法に関する。
大豆、葛などのマメ科の植物に多く含まれているイソフラボン類はポリフェノールの分類のひとつであり、イソフラボンを基本骨格とするフラボノイドである。近年の調査により、イソフラボン類は女性ホルモン作用(エストロゲン)や抗酸化作用を有し、イソフラボン類を摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害などに対して予防効果があることが明らかとなっている(非特許文献1〜6)。
イソフラボン類は、たとえば大豆内では、糖と共有結合した配糖体の形、ダイジン(daidzin)、グリシチン(glycitin)、ゲニスチン(genistin)として存在しており、アグリコンの形ではごく少量存在しているのみである。これら配糖体はさらにマロニル化、アセチル化されているものも存在している。これらの配糖体は、ヒトや動物の体内に入ると消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素であるβグルコシダーゼ等の働きにより、それぞれダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、ゲニステイン(genistein)となる。さらに、ダイゼインは腸内細菌の働きにより、ジヒドロダイゼイン(dihydrodaidzein)を経て、O-デスメチルアンゴレンシン(O-desmethylangolensin:O-DMA) 又はエクオール(equol)へと酵素的に変換されることが知られている(図1)。
エクオールは、これらの代謝産物の中で最もエストロゲン活性が高いことが知られている(非特許文献7及び8)。しかしながら、人間の場合、イソフラボンの代謝には個人差があり、上記のようにダイゼインを発酵させてエクオールを産生する能力を有する腸内細菌を保有する人は少なく、その保有率は日本人で約5割、欧米人で約3割程度であることが明らかとなっている(非特許文献9及び10)。そのため、エクオール産生菌を保有しない人は、大豆等のマメ科食物を摂取してもエクオールを体内で産生することができないという問題点が存在していた。
これらの課題を克服するために、近年、乳酸菌等の嫌気性微生物を用いて体外的にエクオールを産生させる試みがなされている(特許文献1〜4)。しかしながら、どのような発酵条件・発酵方法により、より効果的・実用的にエクオールが製造できるかについては、明らかとなっていなかった。たとえば、4種類の嫌気性微生物を水素気相下で混合培養し、エクオールの製造を試みた例(非特許文献11)が存在していたが、混合培養では実用的生産(工業化)には適さないものであった。
特開2006−204296 特表2006−504409 特開2008−61584 特開2010−104241
Adlercreutz, H., The Lancet Oncol., 3, 364-373 (2002) Duncan, A. M. et al., Best Pract. Res. Clin. Endocrinol. Metab., 17, 253-271 (2003) Wu, A. H. et al., Carcinogenesis, 23, 1491-1496 (2002) Yamamoto, S. et al., J. Natl. Cancer Inst., 95,906-913 (2003) Onozawa, M. et al., Jpn. J. Cancer Res., 90, 393-398 (1999) Ridges, L. et al., Asia Pac. J. Clin. Nutr., 10, 204-211 (2001) Schmitt, E. et al., Toxicol. In Vitro, 15, 433-439 (2001) Sathyamoorthy, N. and Wang, T. T., Eur. J. Cancer, 33, 2384-2389 (1997) Arai, Y. et al., J. Epidemiol., 10, 127-135 (2000) Setchell, K. D. et al., J. Nutr., 133, 1027-1035 (2003) Decroos、K. et al., Arch Microbiol., 183, 45-55 (2005)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、嫌気性微生物の作用を利用して、より最適な気相条件によりダイゼインを発酵させ、従来よりも効果的にエクオールを製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。
本発明者らは、嫌気性微生物の一例としてコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌を用い、エクオール製造の好適な培養条件の検討を行った。
具体的には、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens) DSM 19450株、又はスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens) DSM 22006株を、複数種類の混合ガスからなる気相存在下で培養し、ダイゼインを発酵させ、エクオール製造における好適な培養条件の検討を行った。
その結果、発酵が行われる気相において水素ガスの質量パーセント濃度が40〜100%である場合(特に100%である場合)に、エクオールの製造効率が飛躍的に高まることが明らかとなり、水素にエクオール生成促進効果があることが判明した。
即ち、本発明者らは、嫌気性微生物を用いたエクオール製造における好適な培養条件の確立に成功し、これにより本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕次の工程を含むエクオール生産能を有する嫌気性微生物によるエクオールの製造方法;
(1)ダイゼインを、該嫌気性微生物により、水素を含む1種類以上の気体からなる気相下で発酵させる工程、及び
(2)工程(1)の嫌気性微生物が生産したエクオールを回収する工程。
〔2〕工程(1)の気相において、水素の質量パーセント濃度が40〜100%であることを特徴とする、〔1〕に記載のエクオールの製造方法。
〔3〕工程(1)の気相において、水素の質量パーセント濃度が100%であることを特徴とする、〔1〕に記載のエクオールの製造方法。
〔4〕前記嫌気性微生物がコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌、ストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌、又はこれらの類縁菌であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
〔5〕前記嫌気性微生物が、コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、アトポビウム(Atopobium)属、コリンゼラ(Collinsella)属、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)属、デニトロバクテリウム(Denitrobacterium)属、エガセラ(Eggerthella)属、エンテロハブダス(Enterorhabdus)属、ゴードニバクター(Gordonibacter)属、オルセネラ(Olsenella)属、パラエゲセエラ(Paraeggerthella)属、スラッキア(Slackia)属、又はラクトコッカス(Lactococcus)属、のいずれかに分類される菌であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
〔6〕前記嫌気性微生物が、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株、又はスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)DSM 22006株のいずれかであることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
嫌気性微生物の代謝によってエクオールが製造されることは、学術的にはかねてより知られていたものの、エクオール製造に適した嫌気性微生物及び培養条件については、確立されていなかった。
本発明によって、嫌気性微生物発酵を利用した、ダイゼインを原料とするエクオールの効率的な製造方法が実現でき、エクオールの工業的な製造技術が提供された。本発明の方法により製造されたエクオールを、飲食品又は医薬品等としてそのまま摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害等を予防できるものと考えられる。
ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオールの構造式及び反応式を示す図である。 エクオール生産における混合ガスの効果を示す図である。 エクオール生産における水素の効果を示す図である。
本発明は、次の工程を含むエクオール生産能を有する嫌気性微生物によるエクオールの製造方法に関する。
(1)ダイゼインを、該嫌気性微生物により、水素を含む1種類以上の気体からなる気相下で発酵させる工程、及び
(2)工程(1)の嫌気性微生物が生産したエクオールを回収する工程。
本方法発明の工程(1)の気相を構成する気体の組み合わせは特に制限されるものではなく、水素、二酸化炭素、窒素等から選択される1種類以上の気体を構成成分として用いることが可能である。当該気相においては、水素が構成成分として含まれていることが好ましい。
上記の場合、工程(1)の気相において、水素の質量パーセント濃度が40〜100%であることが好ましい。たとえば、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、又はこれらから選択される2点の質量パーセント濃度を下限(「〜以上、又は、〜より高い)及び上限(〜以下、又は、〜より低い)、とする濃度範囲により示される質量パーセント濃度であることが好ましい。また、水素の質量パーセント濃度が100%であることがより好ましい。
また、効率よくエクオールを回収するためには、気相を構成する混合気体の培養槽への通気量は0.01〜2.0 V/V/Mガス量/液量/分であることが好ましい。
本発明でエクオールの製造に用いられる嫌気性微生物は、37℃付近(30〜42℃)の温度でエクオール生産能を有する嫌気性微生物である。
本発明において、嫌気性微生物を培養する際の加圧条件は、当該微生物が生育できる条件であれば特に限定されるものではないが、好ましい加圧条件としては、0.02〜0.2MPaの範囲を挙げることができる。
本発明は、ダイゼインを、エクオールの生産能を有する嫌気性微生物と接触させる工程を含む。本発明においては、ダイゼインを発酵させることにより、エクオールを生産する嫌気性微生物を用いることができる。
本発明においては、コーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌、ストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌、又はこれらの類縁菌を、エクオール生産能を有するものとして例示することができる。
また、以下の群から選択される属に分類される微生物を、エクオール生産能を有するものとして例示することができる。
コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属
アドレクラウチア(Adlercreutzia)属
アサッカロバクター(Asaccharobacter)属
アトポビウム(Atopobium)属
コリンゼラ(Collinsella)属
クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)属
デニトロバクテリウム(Denitrobacterium)属
エガセラ(Eggerthella)属
エンテロハブダス(Enterorhabdus)属
ゴードニバクター(Gordonibacter)属
オルセネラ(Olsenella)属
パラエゲセエラ(Paraeggerthella)属
スラッキア(Slackia)属
ラクトコッカス(Lactococcus)属
したがって、これらの属に分類された微生物から選択され、ダイゼインを利用して嫌気発酵によってエクオールを生成する微生物は、本発明における好ましい微生物である。中でも、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属に属する微生物は、本発明におけるエクオール産生能を有する微生物として好ましい。微生物がエクオールを生成することは、培養物中のダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオールを定量することにより確認することができる。より具体的には、たとえば、以下の微生物を、本発明におけるエクオール産生能を有する微生物として利用することができる。
Adlercreutzia equolifaciens DSM 19450
Enterorhabdus mucosicola DSM 19490
Slackia isoflavoniconvertens HE8(DSM 22006)
Slackia sp. TM-30 FERM AP-20729号
Eggerthella sp. KCCM-10490
Asaccharobacter celatus DSM 18785
Lactococcus garvieae DSM 6783
特に以下に記載するアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株、又はスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)DSM 22006株のいずれか又はこれらの菌と同様の種としての性質を有する類縁の菌をより好ましい嫌気性微生物として挙げることができる。
上記嫌気性微生物は、その寄託番号に示された寄託機関から入手することができる。各受託番号は、当該嫌気性微生物が、それぞれ次の寄託機関に寄託されていることを示す。
FERM 特許生物寄託センター;International Patent Organism Depositary (IPOD)
http://unit.aist.go.jp/pod/ci/index.html
DSM German Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ)
http://www.dsmz.de/
KCCM Korean Culture Center of Microorganisms
本発明においては、エクオール生産能を有する嫌気性微生物は、エクオールの生産に適した条件でダイゼインと接触させられ、培養される。本発明におけるエクオールの生産に適した条件とは、エクオール生成活性を持つ嫌気性微生物の生存と活動が維持されることを言う。より具体的には、嫌気性微生物の生存が可能な気相条件(嫌気性条件)が維持され、当該嫌気性微生物の活性と増殖を支持するための栄養素が与えられることを言う。嫌気性微生物の生存に適した種々の培地組成が公知である。したがって、先に示したエクオール生産能を有する嫌気性微生物について、当業者は、適切な培地組成を選択することができる。たとえば、実施例において用いた日水製薬社製のGAMブイヨン培地や、Difco社製のBHI培地等を使用することができる。
たとえば、本発明で用いられる培地には、水溶性の有機物を炭素源として加えることができる。水溶性の有機物として、以下の化合物を挙げることができる。
ソルボース
フラクトース
グルコース
メタノール
吉草酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸など有機酸類
炭素源としての培地に加える有機物の濃度は、効率的に培地中の嫌気性微生物を発育させるために適宜調節することができる。一般的には、0.1〜10wt/vol%の範囲から添加量を選択することによって、過不足を避けることができる。
上記の炭素源に加えて、培地には、窒素源が加えられる。本発明において、窒素原としては通常の発酵に用いうる各種の窒素化合物を用いることができる。好ましい無機窒素源は、アンモニウム塩、及び硝酸塩である。好ましい有機窒素源はアミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類、肉エキス、肝臓エキス、消化血清末などである。より好ましい無機窒素源は、硫安、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウム及び硝酸ソーダである。より好ましい窒素源はアルギニン、シトルリン、オルニチン、リジン、酵母エキス、ペプトン類である。
さらに、炭素源や窒素源に加えて、嫌気性微生物の培養に適した他の有機物あるいは無機物を培地に加えることもできる。たとえば、ビタミンなどの補因子や各種の塩類等の無機化合物を培地に加えることによって、嫌気性微生物の増殖や活性を増強できる場合もある。たとえば無機化合物、ビタミン類、動植物由来の微生物増殖補助因子として以下のものを挙げることができる。
無機化合物 ビタミン類
リン酸二水素カリウム ビオチン
硫酸マグネシウム 葉酸
硫酸マンガン ピリドキシン
塩化ナトリウム チアミン
塩化コバルト リボフラビン
塩化カルシウム ニコチン酸
硫酸亜鉛 パントテン酸
硫酸銅 ビタミンB12
明ばん チオオクト酸
モリブデン酸ソーダ p-アミノ安息香酸
塩化カリウム
ホウ酸等
塩化ニッケル
タングステン酸ナトリウム
セレン酸ナトリウム
硫酸第一鉄アンモニウム
これらの無機化合物やビタミン類、あるいは増殖補助因子を添加して培養液を製造する方法は公知である。培地は、液体、半固体、あるいは固体とすることができる。本発明のエクオールの製造方法において、好ましい培地の形態は、液体培地である。
本発明において、嫌気性微生物は、公知の微生物の培養方法にしたがって培養することができる。工業的な製造には、培地や基質ガスを連続的に供給することができ、かつ培養物を回収するための機構を備えた連続培養システム (continuous fermentation system)が好適である。
嫌気性微生物の培養においては、連続培養システム内への酸素の混入を防ぐことが必要である。培養器は通常用いられる培養槽がそのまま利用できる。嫌気性微生物の培養にも利用することができる培養タンクは市販されている。培養槽内に混入する酸素を、窒素などの不活性気体あるいは基質ガスなどで置換することにより、嫌気的な雰囲気を作ることができる。
たとえば、嫌気培養ジャー(anaerobic jar)を、嫌気性微生物を培養するためのバイオリアクターとすることができる。嫌気培養ジャーは、金属、ガラス、あるいは合成樹脂製の気密容器で構成され、内部を大気中の酸素から遮断することができる。さらに、嫌気培養ジャーは、嫌気培養ジャー内部の空間や培養液中に含まれる分子状酸素を除去するための機構を備えることができる。たとえば、嫌気培養ジャー内部を吸引する真空ポンプを接続して吸引し、酸素以外の気体を供給することで、内部を嫌気状態に維持することができる。
本発明においては、培養槽に付加的な機能を与えることができる。たとえば、通常使用される撹はん混合槽のほか、気泡塔型、ドラフトチューブ型の培養槽も利用できる。液体培地に吹き込まれる混合気体によって微生物は遊離分散され、微生物と培地を十分に接触させることができる。また、バイオトリックリングフィルター(biotrickling filter)のように通気性の高いスラグ、その他セラミック系の無機充てん物、あるいはポリプロピレン等の有機合成物質の充てん層に、水分を滴らせながら微生物を生息させ、そこにガスを通気しながら培養することもできる。さらに、使用する微生物は常法によりカラギーナンゲル、アルギン酸ゲル、アクリルアミドゲル、キチン、セルロース、寒天などに固定化して用いることもできる。
当業者は、生成した嫌気性微生物と培養生成液を分離するため、公知の方法を用いることができる。好ましい分離の方法は、ろ過性能、濃縮性能を有するホローファイバー型限外ろ過あるいは精密ろ過膜を利用する方法である。また、微生物と該生成液の分離に十分なろ過速度を得るためには使用する微生物に応じて適当な分画分子量の膜を選択すれば良い。培養槽から限外ろ過膜を通して分離された培養液からエクオールを回収することができる。エクオールの精製方法は公知である。たとえば、培養物を遠心分離などで菌体を除き、上清を減圧下に濃縮、乾固後、70%エタノールあるいはメタノールで抽出する。抽出液をさらにシリカゲルクロマトグラフィーや晶析などの操作を行うことで精製できる。培養槽の形状によっては、培地を十分に撹はんするため、撹はん機等を利用することもできる。培養槽内の培養物を攪拌することによって、培地成分や基質ガスを嫌気性微生物に接触させる機会を増やして、エクオールの生成効率を最適化することができる。また基質ガスをナノバブルとして供給することもできる。
微生物の十分な生育のため、培養物のpHは、3.0〜8.0が好ましく、4.5〜7.5がより好ましい。また、エクオールの回収量を増加させるため、培養槽の温度は特に制限されるものではないが、37℃を好ましい温度として挙げることができる。
効率よくエクオールを回収するため、培養槽に供給される新鮮な培地の量は、培養槽内の培養物における希釈率が時間当たり0.04〜2/hrが好ましい。より好ましい希釈率は0.08〜1/hrである。
本発明の製造方法により得られたエクオールは、医薬品又は飲食物として提供することが可能である。
エクオールを医薬品として提供する場合、その製剤化には、一般的に製剤化に用いられる物質(たとえば、デンプン、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、無機塩類等)を用いることができる。医薬品として提供する場合の剤型としては、アンプル、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、輸液、ドリンク剤等を例示することができる。
エクオールを飲食物として提供する場合、その形態としては、健康食品、清涼飲料、ミルク、プリン、ゼリー、飴、ガム、ヨーグルト、チョコレート、スープ、クッキー、スナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、パン、ケーキ、シュークリーム、ハム、ミートソース、カレー、シチュー、チーズ、バター、ドレッシング等を例示することができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
以下、各実施例においては、以下の方法により、濁度の測定、ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオールの定量を行った。
濁度の測定
培養液を純水で3倍に希釈した液の660 nmの濁度を測定し、3倍して元の培養液の濁度とした。
ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオールの定量
培養液0.5 mLに対し、酢酸エチル1.5 mLを加えて、激しく攪拌した後、3000 rpmで10秒遠心し、酢酸エチル層をパスツールピペットで可能な限り取り出した。同培養液に同様の操作をあと2回行い、それら酢酸エチル層を合わせてエクオール抽出液を得た。この抽出液をエバポレーターで減圧下に濃縮、乾固し、1.0 mLのメタノールに溶解させた。これを0.45 μmのPTFE膜でろ過し、不溶物を除去したものを高速液体クロマトグラフィー測定サンプルとした。
(高速液体クロマトグラフィー条件)
カラム:J’sphere ODS M-80, 2.0(直径)×250 mm(ワイエムシィ製)
移動相:水/アセトニトリル/酢酸[70:30:0.1, v/v]
流速:0.2 mL/min
カラム温度.:40 ℃
検出:UV280 nm
保持時間:ダイゼイン 14.1分、ジヒドロダイゼイン 15.1分、エクオール 26.3分
〔実施例1〜7〕
GAMブイヨン培地(日水製薬製)5.9 gとL-アルギニン塩酸塩0.5 gを純水100 mLに溶かし、炭酸ガスを通じながら10 mLずつ嫌気性菌培養用18 mm試験管(三紳工業製)に分注し、ブチルゴム栓、プラスチックキャップをして115℃、15分間滅菌した。
この培地に-80℃で凍結保存していたアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus) DSM 18785株を植菌し、無菌フィルターを通した水素/炭酸ガス[4:1]で気相を2分間以上置換した後、37℃、160 spmで16時間振とう培養を行った。この種培養液0.1 mLを先の滅菌したGAMブイヨン+アルギニン培地に植菌し、次いで予め0.45 μmのPTFE膜でフィルター滅菌した20 mMダイゼイン(LKT製)溶液(DMSOに溶解)を0.2 mLずつ添加し、気相を表1に示すそれぞれの組成のガスで無菌的に2分間以上置換した後、37℃、160 spmの条件で振とう培養を行った。24時間後、培養液を取り出し、培養液の濁度(OD660)を測定し、また、高速液体クロマトグラフィーによりエクオールを定量した。
その結果、水素濃度が高いほど菌体の生育量、エクオール生成量ともに多いこと、炭酸ガス、窒素のみ、あるいは炭酸ガス/窒素混合ガスでは生育、エクオール生成とも極めて少ないことが明らかとなった(表1、図2)。
Figure 2012033150
〔実施例8〕
実施例1〜7と同様にしてGAM+アルギニン培地を調製し、この10 mLを、炭酸ガスを通じながら100 mL容バイヤルビン(マルエム製)に分注し、ブチルゴム栓をしてさらにアルミキャップをし、115℃、15分間滅菌した。
これに実施例1〜7と同様の方法で培養したアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株の種培養液を0.1 mL植菌し、次いで予め0.45 μmのPTFE膜でフィルター滅菌した40 mMダイゼイン(LKT製)溶液(DMSOに溶解)を0.5 mL添加し、気相を無菌的に水素/炭酸ガス[4:1]で3分間以上置換した後、37℃、200 spmの条件で振とう培養を行った。24時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにより生じたエクオールを定量した。
その結果、1.87 mMのエクオールが生成し、またダイゼインは0.06 mMに減少していること、ジヒドロダイゼインは検出されないことが判明した。これらのことから、水素ガス供給の著しい効果が明らかとなった。また、本条件の培養においてダイゼインに対してエクオール収率が94%と極めて高いことも明らかになった。
〔実施例 9〜17〕
実施例1〜7と同様にしてGAM+アルギニン培地を調製し、10 mLずつ嫌気性菌培養用18 mm試験管(三紳工業製)に分注し、ブチルゴム栓、プラスチックキャップをして115℃、15分間滅菌した。
これに実施例1〜7と同様の方法で培養したアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株の種培養液を0.1 mL植菌し、次いで予め0.45 μmのPTFE膜でフィルター滅菌した40 mMダイゼイン(LKT製)溶液(DMSOに溶解)を0.5 mL添加した。次いで、それぞれの試験管の気相を表2及び表3に示す組成のガスで無菌的に2分間以上置換した後、37℃、160 spmの条件で振とう培養を行った。24時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーによりエクオールを定量した。
その結果を表2及び表3に示す。水素濃度にほぼ比例してエクオール生成量が増加し、水素のみで置換した場合が最もエクオール濃度が高いことが分かった。他のガスの影響については、炭酸ガス、窒素では顕著な差異はない結果であった(図3)。
Figure 2012033150
Figure 2012033150
〔実施例 18〜21〕
実施例1〜7と同様にしてGAM+アルギニン培地を調製し、この10 mLを炭酸ガスを通じながら100 mL容バイヤルビン(マルエム製)に分注し、ブチルゴム栓をしてさらにアルミキャップをし、115℃、15分間滅菌した。
これに実施例1〜7と同様の方法で培養したアドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens) DSM 19450株の種培養液を0.1 mL植菌し、次いで予め0.45 μmのPTFE膜でフィルター滅菌した40 mMダイゼイン(LKT製)溶液(DMSOに溶解)を0.5 mL添加した。気相を表4 に示すそれぞれの組成のガスで無菌的に3分間以上置換した後、37℃、200 spmの条件で振とう培養を行った。24時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーによりエクオールを定量した。
その結果、表4に示すように水素にエクオール生成促進効果があることが判明した。
Figure 2012033150
〔実施例 22〜25〕
実施例1〜7と同様にしてスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens) DSM 22006株について気相を水素に置換する効果を検討した。その結果、表5に示すように水素にエクオール生成促進効果があることが判明した。
Figure 2012033150
本発明の方法によって、嫌気性微生物を利用してエクオールを高効率で製造することができる。
本発明の方法により製造されたエクオールを、飲食品又は医薬品等としてそのまま摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害等を予防できるものと考えられる。
【0003】
(2001)
非特許文献7:Schmitt,E.et al.,Toxicol.In Vitro,15,433−439(2001)
非特許文献8:Sathyamoorthy,N. and Wang,T.T.,Eur.J.Cancer,33,2384−2389(1997)
非特許文献9:Arai,Y.et al.,J.Epidemiol.,10,127−135(2000)
非特許文献10:Setchell,K.D.et al.,J.Nutr.,133,1027−1035(2003)
非特許文献11:Decroos、K.et al.,Arch Microbiol.,183,45−55(2005)
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0007]
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、嫌気性微生物の作用を利用して、より最適な気相条件によりダイゼインを発酵させ、従来よりも効果的にエクオールを製造できる方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008]
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。
本発明者らは、嫌気性微生物の一例としてコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌を用い、エクオール製造の好適な培養条件の検討を行った。
具体的には、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株、又はスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)DSM 22006株を、複数種類の混合ガスからなる気相存在下で培養し、ダイゼインを発酵させ、エクオール製造における好適な培養条件の検討を行った。
[0009]
その結果、発酵が行われる気相において水素ガスの体積パーセント濃度が40〜100%である場合(特に100%である場合)に、エクオールの製造効率が飛躍的に高まることが明らかとなり、水素にエクオール生成促進効
【0004】
果があることが判明した。
即ち、本発明者らは、嫌気性微生物を用いたエクオール製造における好適な培養条件の確立に成功し、これにより本発明を完成するに至った。
[0010]
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕次の工程を含むエクオール生産能を有する嫌気性微生物によるエクオールの製造方法;
(1)ダイゼインを、該嫌気性微生物により、水素を含む1種類以上の気体からなる気相下で発酵させる工程、及び
(2)工程(1)の嫌気性微生物が生産したエクオールを回収する工程。
〔2〕工程(1)の気相において、水素の体積パーセント濃度が40〜100%であることを特徴とする、〔1〕に記載のエクオールの製造方法。
〔3〕工程(1)の気相において、水素の体積パーセント濃度が100%であることを特徴とする、〔1〕に記載のエクオールの製造方法。
〔4〕前記嫌気性微生物がコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌、ストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌、又はこれらの類縁菌であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
〔5〕前記嫌気性微生物が、コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、アトポビウム(Atopobium)属、コリンゼラ(Collinsella)属、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)属、デニトロバクテリウム(Denitrobacterium)属、エガセラ(Eggerthella)属、エンテロハブダス(Enterorhabdus)属、ゴードニバクター(Gordonibacter)属、オルセネラ(Olsenella)属、パラエゲセエラ(Paraeggerthella)属、スラッキア(Slackia)属、又はラクトコッカス(Lactococcus)属、のいずれかに分類される菌であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
〔6〕前記嫌気性微生物が、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Ad
【0006】
が構成成分として含まれていることが好ましい。
[0016]
上記の場合、工程(1)の気相において、水素の体積パーセント濃度が40〜100%であることが好ましい。たとえば、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、又はこれらから選択される2点の体積パーセント濃度を下限(「〜以上、又は、〜より高い)及び上限(〜以下、又は、〜より低い)、とする濃度範囲により示される体積パーセント濃度であることが好ましい。また、水素の体積パーセント濃度が100%であることがより好ましい。
[0017]
また、効率よくエクオールを回収するためには、気相を構成する混合気体の培養槽への通気量は0.01〜2.0V/V/Mガス量/液量/分であることが好ましい。
[0018]
本発明でエクオールの製造に用いられる嫌気性微生物は、37℃付近(30〜42℃)の温度でエクオール生産能を有する嫌気性微生物である。
[0019]
本発明において、嫌気性微生物を培養する際の加圧条件は、当該微生物が生育できる条件であれば特に限定されるものではないが、好ましい加圧条件としては、0.02〜0.2MPaの範囲を挙げることができる。
[0020]
本発明は、ダイゼインを、エクオールの生産能を有する嫌気性微生物と接触させる工程を含む。本発明においては、ダイゼインを発酵させることにより、エクオールを生産する嫌気性微生物を用いることができる。
[0021]
本発明においては、コーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌、ストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌、又はこれらの類縁菌を、エクオール生産能を有するものとして例示することができる。
[0022]
また、以下の群から選択される属に分類される微生物を、エクオール生産能を有するものとして例示することができる。
コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属
アドレクラウチア(Adlercreutzia)属
アサッカロバクター(Asaccharobacter)属

Claims (6)

  1. 次の工程を含むエクオール生産能を有する嫌気性微生物によるエクオールの製造方法;
    (1)ダイゼインを、該嫌気性微生物により、水素を含む1種類以上の気体からなる気相下で発酵させる工程、及び
    (2)工程(1)の嫌気性微生物が生産したエクオールを回収する工程。
  2. 工程(1)の気相において、水素の質量パーセント濃度が40〜100%であることを特徴とする、請求項1に記載のエクオールの製造方法。
  3. 工程(1)の気相において、水素の質量パーセント濃度が100%であることを特徴とする、請求項1に記載のエクオールの製造方法。
  4. 前記嫌気性微生物がコーリオバクテリアセアエ(Coriobacteriaceae)科に分類される菌、ストレプトコッカセアエ(Streptococcaceae)科に分類される菌、又はこれらの類縁菌であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
  5. 前記嫌気性微生物が、コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、アトポビウム(Atopobium)属、コリンゼラ(Collinsella)属、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)属、デニトロバクテリウム(Denitrobacterium)属、エガセラ(Eggerthella)属、エンテロハブダス(Enterorhabdus)属、ゴードニバクター(Gordonibacter)属、オルセネラ(Olsenella)属、パラエゲセエラ(Paraeggerthella)属、スラッキア(Slackia)属、又はラクトコッカス(Lactococcus)属、のいずれかに分類される菌であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
  6. 前記嫌気性微生物が、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株、又はスラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)DSM 22006株のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエクオールの製造方法。
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