《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図6(B)に基づいて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置の表示パネルなどに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージ20を含むマスクステージ装置MST、投影光学系PL、マスクステージ装置MST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディ30、基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を備えている。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書あるいは米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、マスクM上に千鳥状に配置された複数、例えば5つの照明領域のそれぞれを照明する複数、例えば5つの照明系を有し、各照明系は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
マスクステージ装置MSTは、後述するボディ30の一部である鏡筒定盤33の上面に固定された一対のマスクステージガイド35、及び一対のマスクステージガイド35上にエアベアリング27(図4及び図5参照)を介して非接触状態(浮上した状態)で搭載されたマスクステージ20を有する。マスクステージ20には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが支持されている。マスクステージ20は、マスクステージ装置MSTが有するマスクステージ駆動系70(図4及び図5参照)により、一対のマスクステージガイド35上で、X軸方向(走査方向)に所定の長ストロークで駆動されるとともに、Y軸方向及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。また、マスクステージ装置MSTでは、マスクステージ20は適宜Y軸方向にも短いストロークで移動される。マスクステージ装置MSTの構成については、後に詳しく説明する。
投影光学系PLは、マスクステージ20の図1における下方において、ボディ30の一部である鏡筒定盤33に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書あるいは米国特許第6,552,775号明細書などに開示された投影光学系と同様の構成のものを用いることができる。投影光学系PLは、前述した複数の照明領域に対応して、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数、例えば5つの投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系のそれぞれとしては、例えば光軸に沿って配置されたプリズム、光学素子群(レンズ群)、反射鏡を各2組備える2段インミラーレンズ光学系から構成され、例えば両側テレセントリックな拡大系で正立正像を形成するものが用いられている。
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージ20と基板Pを保持する基板ステージ装置PST(より正確には後述する微動ステージ50)との同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、液晶露光装置10では、照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
ボディ30は、基板ステージ架台31、一対のサイドコラム32、及び鏡筒定盤33を有している。基板ステージ架台31は、Y軸方向に延びる部材から成り、X軸方向に所定間隔で例えば2つ設けられている(図1では+X側の基板ステージ架台は−X側の基板ステージ架台に対し紙面奥側に隠れている)。2つの基板ステージ架台31は、それぞれY軸方向の両端部が床130上に設置された防振装置34により下方から支持されており、床130に対して振動的に分離されている。一対のサイドコラム32は、X軸方向に延びる部材から成り、2つの基板ステージ架台31の+Y側の端部上、及び−Y側の端部上にそれぞれ架け渡された状態で固定されている。鏡筒定盤33は、平板状の部材から成り、そのY軸方向の両端部を下方から支持する一対のサイドコラム32によって水平に(XY平面に平行に)支持されている。これにより、ボディ30、及びボディ30に支持された投影光学系PLなどが、床130に対して振動的に分離されている。
基板ステージ装置PSTは、定盤12、一対のベースフレーム14、一対のベースフレーム14に下方から支持されるX粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載されX粗動ステージ23Xと共にいわゆるガントリー式のXY二軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ50、定盤12上で微動ステージ50を下方から支持する重量キャンセル装置40などを備えている。
定盤12は、例えば石材により形成された平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、2つの基板ステージ架台31上に架け渡された状態で搭載されている(図2参照)。
一対のベースフレーム14のそれぞれは、定盤12のY軸方向の一側と他側に配置されている。一対のベースフレーム14のそれぞれは、図2に示されるように、X軸方向に延びるXZ平面に平行な板状部材から成る本体部14aと、該本体部14aを下方から支持する複数(例えば3つ)の脚部14bとを有し、基板ステージ架台31に非接触状態(基板ステージ架台31を跨いだ状態)で複数のアジャスタ装置14cを介して床130上に設置されている。本体部14aの両側面及び上端面には、図3に示されるように、X軸方向に平行に延びる3つのXリニアガイド部材16が、それぞれ固定されている。また、各本体部14aの両側面のXリニアガイド部材16の上方には、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む一対の磁石ユニット15aのそれぞれが固定されている。なお、図3では、図面の錯綜を避ける観点から重量キャンセル装置40などの図示が省略されている。
図1に戻り、X粗動ステージ23Xは、Y軸方向を長手方向とする平面視矩形の枠状部材、すなわち板状部材の中央部に矩形の開口部23Xa(図2参照)が形成された部材から成る。図1及び図3に示されるように、X粗動ステージ23Xの下面のY軸方向の両端部には、一対のXキャリッジ21が一対のベースフレーム14のそれぞれに対応して固定されている。各Xキャリッジ21は、YZ断面逆U字状の部材から成り、図3に示されるように、その一対の対向面間に本体部14aが挿入されている。各Xキャリッジ21の一対の対向面、及び天井面には、それぞれXリニアガイド部材16にスライド自在に係合する複数のXスライダ19が固定されている。また、各Xキャリッジ21の一対の対向面には、一対の磁石ユニット15aのそれぞれに対向して複数のコイルを含むコイルユニット15bが固定されている。一対の磁石ユニット15aとこれに対向するコイルユニット15bとは、X粗動ステージ23XをX軸方向に駆動するための電磁力(ローレンツ力)駆動方式のXリニアモータ15を構成する(図3参照)。X粗動ステージ23XのX軸方向に関する位置(X位置)は、本体部14aに固定されたXリニアスケール13aと、Xキャリッジ21に固定されたXエンコーダヘッド(検出器)13bとをそれぞれ含むXリニアエンコーダシステム13(あるいは不図示の干渉計システム)により計測されたX位置情報に基づいて、不図示の主制御装置により+Y側及び−Y側の一対のXリニアモータ15を介して制御される。また、図2に示されるように、X粗動ステージ23Xの−X側、及び+X側部分のそれぞれの上面には、Y軸方向に延びる各一対のYリニアガイド部材28が固定されている。X粗動ステージ23Xの−X側、及び+X側部分のそれぞれの上面において、一対のYリニアガイド部材28の間にY軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット60aが固定されている。
Y粗動ステージ23Yは、X軸方向の長さがY軸方向の長さより幾分長い平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部23Yaが形成されている。Y粗動ステージ23Yの下面には、X粗動ステージ23Xの上面に固定された前述の2対(4つ)のYリニアガイド部材28のそれぞれにスライド可能に係合するYスライダ29が、複数(1つのYリニアガイド部材28につき、例えば4つ)固定されており(図3参照)、Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23Xに対してY軸方向に所定のストロークで移動自在となっている。これに対し、Y粗動ステージ23Yは、Yリニアガイド部材28とYスライダ29とが係合していることにより、X粗動ステージ23Xに対するX軸方向への相対移動が制限されており、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。また、図2に示されるように、Y粗動ステージ23Yの−X側及び+X側の端部のそれぞれの下面には、コイルを含む一対のコイルユニット60bのぞれぞれが、前述の一対の磁石ユニット60aのそれぞれに対向して固定されている。各磁石ユニット60aと対向するコイルユニット60bとは、Y粗動ステージ23YをX粗動ステージ23X上でY軸方向に駆動するための電磁力(ローレンツ力)駆動方式のYリニアモータ60を構成する(図2参照)。Y粗動ステージ23YのY軸方向に関する位置(Y位置)は、不図示の計測系(Yリニアエンコーダシステム(あるいは干渉計システム)を含む)により計測されたY位置情報に基づいて不図示の主制御装置により+X側と−X側の一対のYリニアモータ60を介して制御される。
微動ステージ50は、図1に示されるように、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成るステージ本体51、ステージ本体51の下方に設けられたレベリング装置52、及びステージ本体51の上面に固定された基板ホルダ53を有している。基板ホルダ53は、例えば図示しない真空吸着装置(又は静電吸着装置)を有しており、その上面に基板Pを吸着保持する。ステージ本体51の+Y側の側面には、ミラーベース24Yを介してY軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)22Yが固定されている。また、図2に示されるように、ステージ本体51の+X側の側面には、ミラーベース24Xを介してX軸に直交する反射面を有するX移動鏡(バーミラー)22Xが固定されている。ステージ本体51のXY平面内の位置情報は、Y移動鏡22Y及びX移動鏡22Xのそれぞれに測長ビームを照射し、その反射光を受光するレーザ干渉計システムによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。レーザ干渉計システムは、Y移動鏡22Y、X移動鏡22Xのそれぞれに対応したY干渉計39(図1参照)、X干渉計(不図示)を有している。Y干渉計39及びX干渉計のそれぞれは、不図示の光源からの光を光分離素子(例えばビームスプリッタ)で2つの光束に分離し、一方の光束を測長光として対応する移動鏡(Y移動鏡22Y又はX移動鏡22X)に照射するとともに、他方の光束を投影光学系PL(あるいは投影光学系PLと一体と見なせる部材)に取り付けられた固定鏡(不図示)に参照光として照射し、測長光及び参照光それぞれの移動鏡及び参照鏡からの反射光を再度同軸上で合成して干渉させ、その干渉光を受光素子で受光することで、その干渉光の光電変換信号に基づいて固定鏡の反射面の計測方向の位置を基準とする移動鏡の反射面の位置(すなわち、ステージ本体51の変位量(移動量))を求める。
また、微動ステージ50(ステージ本体51)は、図2に示されるように、Y粗動ステージ23Yに支持部材55を介して固定されたZ固定子(例えば、コイルユニット)36aと、ステージ本体51に支持部材56を介して固定されたZ可動子(例えば、磁石ユニット)36bとをそれぞれ含む複数の電磁力(ローレンツ力)駆動方式のZボイスコイルモータ18zにより、Y粗動ステージ23Y上でZ軸方向に微少ストロークで駆動されるようになっている。Zボイスコイルモータ18zは、例えばY粗動ステージ23Yの4隅に対応する箇所などの少なくとも同一直線上にない3箇所に各1つ設けられており(図2では、1つのZボイスコイルモータ18zのみを代表的に図示)、その複数のZボイスコイルモータ18zのそれぞれで異なる駆動力を発生することで、ステージ本体51をXY平面に対するチルト方向(例えばθx方向、θy方向など)にも微少駆動できる。また、Y粗動ステージ23Yと微動ステージ50との間には、微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するZ軸方向の相対移動可能範囲を機械的に制限するZストッパ装置(不図示)が設けられている。また、ステージ本体51は、後述するX駆動装置70X、Y駆動装置70Y(図3参照)により、Y粗動ステージ23Y上で、それぞれX軸方向、Y軸方向に微少ストロークで駆動される。なお、図1では上記複数のZボイスコイルモータ18zの図示が省略されている。
重量キャンセル装置40は、図1に示されるように、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り(心柱とも称される)、レベリング装置52を介してステージ本体51の中央部を下方から支持している。重量キャンセル装置40は、図2に示されるように、X粗動ステージ23Xの開口部23Xa内、及びY粗動ステージ23Yの開口部23Ya内に挿入されている。
重量キャンセル装置40は、筐体41、空気ばね42、Zスライダ43などを含む。筐体41は、XY平面に平行な板状部材から成るベース41aと、該ベース41aの上面に固定されたZ軸方向に延びる筒状部材から成る周壁部41bとを有する。筐体41は、ベース41aの下面に取り付けられた複数の気体静圧軸受、例えば3つのスラスト型エアベアリング44(以下、ベースパッド44と称する)により、定盤12上に所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して非接触(浮上)状態で支持されている(図2では、3つのベースパッド44のうちの1つは不図示)。空気ばね42は、筐体41内に収容され、ベース41a上に設置されている。Zスライダ43は、Z軸方向に延びる筒状の部材から成り、空気ばね42上に載置され、かつその外周面が周壁部41bの内壁面に取り付けられた複数のエアベアリング45の軸受面に所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向している。Zスライダ43は、空気ばね42の伸縮に伴い、複数のエアベアリング45により非接触状態でZ軸方向に直進案内される。Zスライダ43の上面には、複数のスラスト型エアベアリング43a(以下、シーリングパッド43aと称する。図1では不図示)が取り付けられており、複数のシーリングパッド43aそれぞれの軸受面から噴出される加圧気体の静圧により、レベリング装置52を下方から非接触支持している。従って、微動ステージ50と重量キャンセル装置40とは、X軸、及びY軸方向に関して振動的に分離されている。重量キャンセル装置40は、空気ばね42が発生する上向き(+Z方向)の力を、Zスライダ43を介してその支持対象物、具体的には、微動ステージ50(及び基板P)に伝達してその重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、複数のZボイスコイルモータ18zの負荷を軽減する。
また、ステージ本体51の下面には、複数(例えば4つ)のZセンサ(例えば、レーザ変位計、レーザ干渉計など)47が固定されている。4つのZセンサ47は、周壁部41bの外壁面に片持ち状態で固定された複数(例えば4つ)のアーム部材48の先端に取り付けられたターゲット49を介して微動ステージ50のZ軸方向、及びXY平面に対するチルト方向(例えばθx方向、θy方向など)に関する位置情報を計測する。また、ステージ本体51の下面には、後述するレバー113の一部などが収容される凹部51aが形成されている。なお、Zセンサ47、ターゲット49の位置関係は逆でも良い。
レベリング装置52は、シーリングパッド43aに下方から非接触支持されるベース部材52aと、ステージ本体51の下面に取り付けられ、ベース部材52aの上面に形成された凹部内に挿入される半球状の球体エアベアリング54とを含み、微動ステージ50を、その重心位置G1(以下、重心G1とも称する)を回転中心にしてXY平面に対して揺動(チルト動作)可能に支持する球面軸受装置として機能する。なお、レベリング装置52の構成としては、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるレベリング装置のような多角形部材と複数のスラスト型エアベアリングとを用いた疑似球面軸受構造を採用することもできる。
また、重量キャンセル装置40の周壁部41bは、板ばね(あるいは、ばね性を有しない薄い鋼板)、及びボールジョイントなどの滑節装置を含む複数の連結装置46(フレクシャ装置とも称される)によりY粗動ステージ23Yに機械的に連結されている。重量キャンセル装置40は、複数の連結装置46の少なくとも1つを介してY粗動ステージ23Yに牽引されることにより、Y粗動ステージ23Yと一体的にX軸方向及び/又はY軸方向に移動する。また、複数の連結装置46のZ軸方向に関する位置(Z位置)は、重量キャンセル装置40の重心G2のZ位置とほぼ一致している。このため、重量キャンセル装置40は、Y粗動ステージ23Yに牽引されることにより、定盤12上でXY平面に平行に移動するが、この際に重量キャンセル装置40にθx、あるいはθy方向のモーメントが作用しない。従って、重量キャンセル装置40は、定盤12上でXY平面に平行に(傾くことなく)移動する。これに対し、レベリング装置52は、複数のシーリングパッド43aにより重量キャンセル装置40に対してXY平面に平行な方向に関して分離(実質的に摩擦のない状態で搭載)されていることから、重量キャンセル装置40に対してXY平面に沿って移動可能となっている。なお、重量キャンセル装置40、レベリング装置52、連結装置46などの具体的構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
ところで、本実施形態の液晶露光装置10では、複数の拡大投影光学系それぞれを介して基板P上に形成される複数の投影像の合成により、一つのパターン(パターンの一部)が基板P上に生成されるため、マスクMのパターン面は、Y軸方向に所定間隔で離間した複数箇所が同時に照明系IOPに照明される。すなわち、マスクM上には、Y軸方向に所定間隔で離間した複数の照明領域が形成される。また、マスクMのパターン面には、スキャン方向(X軸方向)に延びる複数の帯状(短冊状)の領域が、Y軸方向に所定間隔で設けられている。複数の帯状の領域は、照明系IOPにより、一つおきに照明されるようにY軸方向に関する間隔が設定されている。これらの複数の帯状の領域には、基板P上に特定のパターン(以下、パターンAと称する)を形成するためのマスクパターンの一部、及び、上記パターンAとは異なる別のパターン(以下、パターンBと称する)を基板上に形成するためのマスクパターンの一部が、Y軸方向に関して交互に形成されている(各マスクパターンは不図示)。
このため、液晶露光装置10では、基板P上にパターンAを形成するためのマスクパターンの一部を有する複数の帯状の領域が照明系IOPに照明されるようにY軸方向に関してマスクMを位置決めした状態で走査露光を行うことにより、基板P上にパターンAを形成することができ、基板P上にパターンBを形成するためのマスクパターンの一部を有する帯状の領域が照明系IOPに照明されるようにY軸方向に関してマスクMを位置決めした状態で走査露光を行うことにより、基板P上にパターンBを形成することができる。
そして、本実施形態に係るマスクステージ装置MSTでは、上記Y軸方向に関するマスクMの位置決めを可能にするために、マスクMを保持するマスクステージ20を、Y軸方向(クロススキャン方向)にも短いストロークで移動させることができるようになっている。ここで、マスクステージ装置MSTの構成について図4及び図5に基づいて説明する。
マスクステージ装置MSTは、前述したように、一対のマスクステージガイド35、マスクステージ20及びマスクステージ駆動系70などを有している。なお、図4では、照明系IOP、投影光学系PL、ボディ30、基板ステージ装置PSTなどの図示が省略されており、図5では、照明系IOP、基板ステージ装置PSTなどの図示が省略されている。
一対のマスクステージガイド35は、図4及び図5に示されるように、鏡筒定盤33上にY軸方向に所定間隔で配置(固定)され、X軸方向にそれぞれ延設されている。一対のマスクステージガイド35のそれぞれの長手方向(X軸方向)の寸法は、マスクMのスキャン動作時の移動ストロークよりも幾分長く設定されている。一対のマスクステージガイド35のそれぞれは、例えば石材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。
マスクステージ20は、図4に示されるように、Y軸方向の長さがX軸方向の長さに比べて幾分長い平面視矩形の枠状の部材から成る。マスクステージ20の下面の例えば4隅部近傍には、それぞれエアベアリング27がボール(又はヒンジ)62を介して取り付けられている(図5参照、図5では−X側のエアベアリング27は+X側のエアベアリング27に対して紙面奥側に隠れている)。各エアベアリング27の下面(軸受面)は、マスクステージガイド35の上面に微少なクリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向している。マスクステージ20は、例えば4つのエアベアリング27のそれぞれがその軸受面から対向するマスクステージガイド35の上面に向けて噴出する加圧気体の静圧により一対のマスクステージガイド35上に浮上支持(非接触支持)されている。
図4に示されるように、マスクステージ20の中央部には、マスクMが収容される平面視矩形の開口20aが形成されている。マスクステージ20の開口20aの−X側及び+X側の内壁面のそれぞれには、マスクMの端部を真空吸着保持する複数(例えば5つ)の吸着パッドを含む保持部材64が固定部材66を介して取り付けられている。
マスクステージ20の−X側の端面には、X軸に直交する反射面をそれぞれ有する一対のX移動鏡68XがY軸方向に離間して固定されており、マスクステージ20の−Y側の端部の下面には、X軸方向に延び、Y軸に直交する反射面を有するバーミラーから成るY移動鏡68Yが固定されている。マスクステージ20のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、一対のX移動鏡68Xのそれぞれに対応して設けられ、対応するX移動鏡68Xの反射面に測長ビームをそれぞれ照射してその反射光を受光する一対のXレーザ干渉計72X、及びY移動鏡68Yに対応して設けられ、Y移動鏡68Yの反射面にそれぞれ測長ビームを照射してその反射光を受光する一対のYレーザ干渉計72Yにより計測される。一対のYレーザ干渉計72Yは、図5に示されるように、鏡筒定盤33の−Y側の端部の上面にX軸方向に離間して固定されており(図5では、−X側のYレーザ干渉計72Yは+X側のYレーザ干渉計72Yに対し紙面奥側に隠れている)、Xレーザ干渉計72Xは、図示は省略されているが、鏡筒定盤33の−X側の端部の上面にY軸方向に離間して固定されている。
また、マスクステージ20の+Y側の端部のX軸方向の中央には、+Z側及び+Y側に開口する凹部20bが形成されている。また、マスクステージ20の−Y側の端部のX軸方向の中央には、+Z側及び−Y側に開口する凹部20cが形成されている。凹部20b、20cそれぞれのX位置は、マスクステージ20の重心GのX位置とほぼ一致している。なお、凹部20b、20cのX位置は、重心GのX位置と一致していなくても良い(重心Gより−X側、あるいは+X側でも良い)。
マスクステージ駆動系70は、平面視でマスクステージ20を挟むようにY軸方向に離間して配置された一対の(+Y側及び−Y側の)XYステージ装置76a、76bと、+Y側のXYステージ装置76a上に搭載された+Y側の駆動装置78aと、−Y側のXYステージ装置76b上に搭載された−Y側の駆動装置78bとを有する。
図5に示されるように、+Y側のXYステージ装置76aは、ボディ30の+Y側に設置された支持架台74aにより下方から支持されており、−Y側のXYステージ装置76bは、ボディ30の−Y側に設置された支持架台74bにより下方から支持されている。支持架台74a、74bのそれぞれは、その上面がXY平面に平行になるように床130(図1参照)上に設置されている。支持架台74a、74bそれぞれの上面には、XYステージ装置76a、76bの一部をそれぞれ構成する一対のXビーム61が固定されている。各Xビーム61は、X軸方向に延びるXY平面に平行な板状部材から成り、その長手方向寸法は、マスクステージガイド35の長手方向寸法と同程度に設定されている。各Xビーム61の上面には、X軸方向に延びるXリニアガイド部材77が、Y軸方向に離間して複数、例えば一対(2つ)固定され、この一対のXリニアガイド部材77の間に、X軸方向に所定間隔で配置された複数の磁石を含む磁石ユニット82が固定されている。
+Y側のXYステージ装置76aは、水平に(XY平面に平行に)配置された平板部材から成るXステージ83Xaと、Xステージ83Xa上に搭載された平板部材から成るYステージ83Yaとを有する。
Xステージ83Xaは、その下面に固定された複数のXスライダ79を介して一対のXリニアガイド部材77にX軸方向にスライド可能に支持されている。Xスライダ79は、図5では紙面奥側に隠れているが、1つのXリニアガイド部材77につき、例えば2つ設けられている。Xステージ83Xaの下面には、コイルを含むコイルユニット86が磁石ユニット82に対向するように固定されている。磁石ユニット82とコイルユニット86とは、Xステージ83Xaを支持架台74a上のXビーム61に対しX軸方向に所定の長ストロークで駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のXリニアモータ87aを構成する。すなわち、Xステージ83Xaは、Xリニアモータ87aにより一対のXリニアガイド部材77に沿って(X軸方向に)直進駆動される。Xステージ83Xaの位置は、不図示の計測系(例えば、リニアエンコーダシステム(あるいは干渉計システム))の出力に基づいて不図示の主制御装置により制御される。
Xステージ83Xaは、図4に示されるように、Xビーム61(支持架台74a)の−X側及び+X側の端部近傍に設置されたショックアブソーバをそれぞれ含む一対のストッパ97により、そのX軸方向の移動範囲が機械的に制限されている。このXステージ83Xaの移動範囲は、具体的には、マスクステージ20に取り付けられた複数のエアベアリング27のいずれもがマスクステージガイド35の上方から外れない範囲内に設定されている。また、Xステージ83Xaの上面には、Y軸方向に延び、かつX軸方向に離間する複数(例えば2つ)のYリニアガイド部材84、及びY軸方向に所定間隔で配置された複数の磁石を含む磁石ユニット(不図示)が固定されている。
Yステージ83Yaは、図5に示されるように、その下面に固定された複数のYスライダ129を介して2つのYリニアガイド部材84にY軸方向にスライド可能に支持されている。Yスライダ129は、1つのYリニアガイド部材84につき、例えば2つ設けられている。Yステージ83Yaの上面のZ位置は、+Y側のマスクステージガイド35の上面のZ位置よりも高い位置に設定されている。Yステージ83Yaの下面には、コイルを含むコイルユニット(不図示)がXステージ83Xaの上面に固定された磁石ユニット(不図示)に対向するように固定されている。上記磁石ユニット及びコイルユニット(いずれも不図示)は、Yステージ83YaをXステージ83Xaに対しY軸方向に所定の短ストロークで駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のYリニアモータを構成する。すなわち、Yステージ83Yaは、Yリニアモータにより2つのYリニアガイド部材84に沿って(Y軸方向に)直進駆動される。Yステージ83Yaの位置は、不図示の計測系(例えば、リニアエンコーダシステム(あるいは干渉計システム))の出力に基づいて不図示の主制御装置により制御される。
−Y側のXYステージ装置76bは、XY平面に平行に配置された平板部材から成るXステージ83Xbと、Xステージ83Xb上に搭載されたYステージ83Ybとを有する。Xステージ83Xbは、Xステージ83Xaを駆動するXリニアモータ87aと同様の構成を有する(コイルユニット86と磁石ユニット82とを含む)Xリニアモータ87bによりX軸方向に駆動され、Xステージ83Xaと同様に、Xリニアガイド部材77とXスライダ79とをそれぞれ含む複数のリニアガイド装置によりX軸方向に直進案内される。Xステージ83Xbの下面のZ位置は、Yレーザ干渉計72Yの上面のZ位置よりも高い位置に設定されている。Yステージ83Ybは、その上面が+Y側が−Y側よりも低くなるように傾斜するベース部材88と、該ベース部材88の上面(傾斜面)に沿って固定された平板状の部材から成る支持部材89とを有する。ベース部材88は、Yステージ83Yaを駆動するYリニアモータと同様の構成を有するYリニアモータにより、Xステージ83Xbに対してY軸方向に駆動され、Yステージ83Yaと同様にYリニアガイド部材84とYスライダ129とをそれぞれ含む複数のリニアガイド装置によりY軸方向に直進案内される。
+Y側の駆動装置78aは、図4及び図5に示されるように、ボイスコイルモータ71及びレバー73などを含む。ボイスコイルモータ71は、図4に示されるように、Yステージ83Yaの+Y側の端部近傍に配置されている。ボイスコイルモータ71は、図5に示されるように、Yステージ83Yaの上面に支持部材72を介して固定された固定子69(例えばコイルユニット)と、該固定子69に対応して設けられた可動子75(例えば磁石ユニット)とを含む。可動子75は、YZ断面略U字状の磁性体から成るヨーク75aと、該ヨーク75aの一対の対向面それぞれに固定された複数の永久磁石75bとを有する。固定子69は、複数のコイル(不図示)と、該複数のコイルを収容するYZ断面略I字状の収容部材69aとを有する。収容部材69aは、上記複数のコイルを収容するその一部が、ヨーク75aの一対の対向面間に、該一対の対向面のそれぞれに固定された永久磁石75bにY軸及びZ軸方向に微少クリアランス(隙間、ギャップ)を介して挿入されている。以上の構成より、固定子69の複数のコイルに電流が供給されると、固定子69内に、可動子75内に発生するZ軸方向の磁界をY軸方向に横切って電流が流れ、固定子69と可動子75との間にX軸方向の電磁力(ローレンツ力)が作用する。そこで、以下、ボイスコイルモータ71をXボイスコイルモータ71とも称する。なお、固定子69の複数のコイルへの電流供給は、主制御装置により制御される。
レバー73は、XY平面に平行に配置された細長い部材から成り、その長手方向一端部に可動子75のヨーク75aが固定され、その長手方向の他端部が、後述するエアベアリング80などと共に、マスクステージ20に形成された凹部20b内に挿入されている。また、レバー73は、その長手方向の中間部が、Yステージ83Yaに固定されたZ軸方向に延びる軸部材90に回転自在に支持されている。詳述すると、レバー73の上記中間部には、Z軸方向に貫通する貫通孔73a(図4参照)が形成されており、該貫通孔73aに軸部材90が挿通されている。軸部材90は、Yステージ83Yaの上面であって、マスクステージ20に形成された凹部20bの+Y側の位置に、固定部材91を介して固定されている。レバー73のZ位置は、マスクステージ20の重心GのZ位置を含むように設定されている。なお、図4において、レバー73は、その長手方向がY軸に平行である基準位置(θz方向に関する中立位置)に位置している。なお、レバー73を構成する部材としては、軽量かつ高剛性で振動減衰性の高いものが好ましい。
レバー73の−Y側の端部(長手方向他端部)の−X端面及び+X端面のそれぞれには、エアベアリング80が、ボール99(又はヒンジ)をそれぞれ介してθz、θy方向に揺動可能に各1つ取り付けられている。−X側のエアベアリング80の軸受面は−X側を向いており、+X側のエアベアリング80の軸受面は+X側を向いている。これに対し、マスクステージ20の凹部20bの−X側の内壁面には、−X側のエアベアリング80の軸受面に所定(微少)クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するYZ平面に平行な対向面を有する対向部材81が固定されている。同様に、マスクステージ20の凹部20bの+X側の内壁面には、+X側のエアベアリング80の軸受面に所定(微少)クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するYZ平面に平行な対向面を有する対向部材81が固定されている。エアベアリング80は、図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)に接続されており、その軸受面から対向部材81の対向面に対し加圧気体を噴出し、この加圧気体の静圧により該対向部材81との間に上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を形成する。エアベアリング80の軸受け剛性及び負荷容量は、マスクステージ20を加速するときに、少なくともエアベアリング80が、対向する対向部材81に接触せず、かつマスクステージ20の位置決め制御を高速で行える程度の適正な大きさに設定されることが好ましい。この適正な軸受剛性及び負荷容量を得るために、例えばエアベアリング80の軸受面積などに応じて上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)が適宜調整される。また、図5に示されるように、エアベアリング80及び対向部材81それぞれのZ位置は、マスクステージ20の重心GのZ位置とほぼ一致している。
ここで、上述のように、エアベアリング80と対向部材81とは、X軸方向に上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向しているため、X軸方向に互いに拘束されているが、この方向以外の方向(Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)には互いに拘束されていない。従って、エアベアリング80と対向部材81(マスクステージ20)とは、後者の方向(Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に関する相対移動が許容されているとともに、Yステージ83Yaに発生する後者の方向に関する振動が+Y側の駆動装置78aを介してマスクステージ20に伝わることは殆どない。一方、前者の方向(X軸方向)に関する振動は、Xボイスコイルモータ71を制御することによりマスクステージ20に伝わることが抑制される。
+Y側の駆動装置78aでは、Xボイスコイルモータ71の固定子69の複数のコイルに電流が供給されると、可動子75(磁石ユニット)と固定子69(コイルユニット)との間の電磁相互作用によってX軸方向の一側(例えば+X方向)に向く電磁力(ローレンツ力)が固定子69(コイルユニット)に作用し、その反作用として可動子75(磁石ユニット)が固定されたレバー73の+Y側の端部にX軸方向の他側(例えば−X方向)の力が作用する。これにより、レバー73に軸部材90の軸線周り(θz方向)の一方向(例えば図4の矢印L方向)のモーメントが発生し、レバー73の−Y側の端部に設けられた一方(例えば+X側)のエアベアリング80により、そのエアベアリング80に対向する対向部材81が+X方向に非接触で押圧され、マスクステージ20の+Y側の端部にX軸方向の力(駆動力)が作用する。この際、エアベアリング80は上述の如くレバー73の−Y側の端部に対しθz方向に揺動可能になっているので、レバー73が軸部材90の軸線周り(θz方向)に揺動しても、その軸受面とこれに対向する対向部材81の対向面とは上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して互いに平行に保たれる。
ここで、軸部材90の軸線(+Y側の駆動装置78aによりマスクステージ20に伝達される力の支点)とレバー73の+Y側の端部(+Y側の駆動装置78aによりマスクステージ20に伝達される力の力点)との距離と、軸部材90の軸線とレバー73の−Y端部(+Y側の駆動装置78aによりマスクステージ20に伝達される力の作用点)との距離との比、すなわちレバー比は、例えば4:1に設定されている。従って、Xボイスコイルモータ71が発生した上記電磁力は、てこの原理により、約4倍に増幅されて、マスクステージ20の+Y側の端部に伝達される。なお、レバー比は、4:1に限らず、Xボイスコイルモータ71の推力(Xボイスコイルモータ71に発生する電磁力)に応じて適宜変更しても良い。具体的には、Xボイスコイルモータ71の推力が小さいほど、レバー比を大きくすると良い。
また、図5に示されるように、マスクステージ20の凹部20bの−Y側の内壁面には、XY平面に平行なZ軸方向に離間する一対の平板部材から成る可動子92が固定されている。可動子92の一対の対向面のそれぞれには、複数の磁石を含む磁石ユニット(不図示)が固定されている。これに対し、レバー73の−Y端面には、複数のコイルを含むコイルユニットから成る固定子93が可動子92の一対の対向面それぞれに固定された磁石ユニット間に挿入された状態で固定されている。以上の構成より、固定子93の複数のコイルに電流が供給されると、固定子93内に、可動子92内に発生するZ軸方向の磁界をX軸方向に横切って電流が流れ、固定子93と可動子92との間の電磁相互作用によってY軸方向の電磁力(ローレンツ力)が発生する。すなわち、可動子92と固定子93とは、レバー73、軸部材90及び固定部材91を介してマスクステージ20をYステージ83Yaに対しY軸方向に微少駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のYボイスコイルモータ96aを構成する。なお、Yボイスコイルモータ96aのX位置は、マスクステージ20の重心GのX位置とほぼ一致しており、Yボイスコイルモータ96aに発生する電磁力は、マスクステージ20の重心Gに伝達される。
また、マスクステージ20とYステージ83YaとのX軸及びY軸方向に関する相対的な位置情報(距離)は、図4に示されるように、Yステージ83Yaに固定部材91を介して固定されたXギャップセンサとYギャップセンサとを含むギャップセンサ94aにより、マスクステージ20の+Y端面に固定されたXターゲット95Xa及びYターゲット95Yaを介して計測される。
−Y側の駆動装置78bは、図4から分かるように、マスクステージ20の重心Gを含むXZ平面に平行な平面に関し+Y側の駆動装置78aと平面視でほぼ対称な構成(その取り付け構造を含む)を有しており、マスクステージ20の−Y側の端部をX軸方向に駆動する。ここで、上述の如く、Xステージ83Xbは、Yレーザ干渉計72Yよりも高い位置に配置されており、−Y側の駆動装置78bは+Y側の駆動装置78aに比べてその設置高さが高くなるため、−Y側の駆動装置78bのレバー73は、水平状態のままでは、その+Y側の端部をマスクステージ20の凹部20cに挿入できない。そこで、−Y側の駆動装置78bは、図5から分かるように、側面視で、そのレバー73、ボイスコイルモータ71などが、+Y側が−Y側よりも低くなるように傾斜した状態でYステージ83Ybに搭載されている。なお、−Y側の駆動装置78bは、図4及び図5から分かるように、+Y側の駆動装置78aのYボイスコイルモータ96aに対応するYボイスコイルモータを有していない。−Y側の駆動装置78bの構成部材には、対応する+Y側の駆動装置78aの構成部材と同じ符号を付している。また、マスクステージ20とYステージ83YbとのX軸及びY軸方向に関する相対的な位置情報(距離)は、図4に示されるように、Yステージ83Ybに固定部材91を介して固定されたXギャップセンサとYギャップセンサとを含むギャップセンサ94bにより、マスクステージ20の−Y端面に固定されたXターゲット95Xb及びYターゲット95Ybを介して計測される。
以上より、+Y側及び−Y側の駆動装置78a、78bのそれぞれのXボイスコイルモータ71が同期駆動されることにより、マスクステージ20の+Y側及び−Y側の端部それぞれにX軸方向の一側(例えば−X方向)に向く同じ大きさの力が作用し、マスクステージ20は、+Y側及び−Y側のYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向の一側(例えば−X方向)に相対移動(微少移動)する。すなわち、マスクステージ20は、例えて言うなら、手漕ぎボートにおいて、水から2本のオール(本実施形態のレバー73に相当)に伝わる反力(本実施形態のボイスコイルモータ71の推力に相当)によりボートが移動するようにX軸方向に駆動される。また、Xステージ83Xa、83XbがX軸方向に長ストロークで同期駆動される際に、+Y側の駆動装置78aのレバー73の−Y側の端部、及び−Y側の駆動装置78bのレバー73の+Y側の端部が、それぞれXステージ83Xa、83Xbに同期してX軸方向に駆動されることにより、マスクステージ20は、Xステージ83Xa、83Xbと共にX軸方向に長ストロークで移動する。また、Yステージ83Ya、83YbがY軸方向に短ストロークで同期駆動される際に、+Y側の駆動装置78aのYボイスコイルモータ96aが、Yステージ83Ya、83Ybに同期して駆動されることにより、マスクステージ20は、Yステージ83Ya、83Ybと共にY軸方向に短ストロークで移動する。
また、図4に示されるように、Yステージ83Ya上であって、上記基準位置に位置する+Y側の駆動装置78aのレバー73(以下、+Y側のレバー73と称する)の+Y側の端部の−X側近傍及び+X側近傍には、一対のXストッパ11のそれぞれが搭載されている。各Xストッパ11は、ショックアブソーバ11aと、該ショックアブソーバ11aに装着されたコイルスプリング11bと、ショックアブソーバ11aのロッドの先端に取り付けられたパッド11cとを含む。各Xストッパ11は、パッド11cがレバー73の+Y側の端部に対向し、コイルスプリング11bの伸縮方向がX軸方向になるようにショックアブソーバ11aが支持部材42を介してYステージ83Yaの上面に固定されている。レバー73が上記基準位置にある状態では、−X側及び+X側のパッド11cそれぞれとレバー73の+Y側の端部との間に均等なクリアランス(隙間、ギャップ)が形成されている。同様に、Yステージ83Yb上であって、上記基準位置に位置する−Y側の駆動装置78bのレバー73(以下、−Y側のレバー73と称する)の−Y側の端部の−X側近傍及び+X側近傍にも、それぞれXストッパ11が設けられている。
各レバー73は、上記基準位置(θz方向に関する中立位置)からθz方向の一方向(図4の矢印L方向)に所定量揺動した位置と、上記基準位置からθz方向の他方向(図4の矢印R方向)に所定量揺動した位置との間の所定の揺動範囲内においていずれのXストッパ11にも干渉することなく揺動可能となっている。そして、例えば露光動作時などに、+Y側及び−Y側のレバー73は、+Y側及び−Y側のXボイスコイルモータ71が同期駆動されることにより一方が上記揺動範囲内でθz方向の一方向(例えば図4の矢印L方向)に揺動し、他方が上記揺動範囲内でθz方向の他方向(例えば図4の矢印R方向)に揺動し、これに伴い、マスクステージ20は、上記揺動範囲に対応するX軸方向の移動範囲内(有効ストローク内)でYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向の一側(−X方向又は+X方向)に微少移動する。また、+Y側及び−Y側のレバー73は、+Y側及び−Y側のXボイスコイルモータ71それぞれの推力の大きさ及び向きの少なくとも一方が互いに異ならされることにより、それぞれが上記揺動範囲内でθz方向の一方向(例えば図4の矢印L方向又は矢印R方向)に揺動し、これに伴い、マスクステージ20は、θz方向に微少移動(回転)する。
ここで、不図示の主制御装置は、マスクステージ20がX軸方向の一側(例えば−X方向)に移動しているときに、例えば干渉計信号エラーなどにより駆動装置78a、78bの制御不能などのトラブルが発生した場合に、Xリニアモータ87a、87bへの電力供給を停止したり、あるいはブレーキを作動させたりしてXステージ83Xa、83Xbのそれぞれを停止させる(Xステージ83Xa、83Xbは最終的にXビーム61に設けられたストッパ97に衝突して停止する)。この際、マスクステージ20は、その慣性により上記有効ストローク(範囲)内を超えてYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向の一側(例えば−X方向)へ移動する。これにより、+Y側のレバー73は上記揺動範囲を超えてθz方向の一方向(例えば図4の矢印R方向)に揺動し、+Y側かつ+X側のXストッパ11のパッド11cに当接し、−Y側のレバー73は、上記揺動範囲を超えてθz方向(例えば図4の矢印L方向)に揺動し、−Y側かつ+X側のXストッパ11のパッド11cに当接する。そして、+Y側及び−Y側のレバー73それぞれは、パッド11cと当接しつつショックアブソーバ11aの減衰力及びコイルスプリング11bの弾性力に抗して更に同方向に揺動し、コイルスプリング11bが縮みきったときにその揺動が機械的に制限される。なお、不図示のストッパ部材を設け、そのストッパ部材とレバー73とを当接させてレバー73の揺動を機械的に制限しても(停止させても)良い。これにより、マスクステージ20が停止される。このように、Xストッパ11によりレバー73のθz方向の揺動が機械的に制限されることにより、マスクステージ20の+Y側及び−Y側の端部のYステージ83Ya、83Ybに対するX軸方向の相対移動が機械的に制限される。
以上のように、Yステージ83Yaに設けられた2つのXストッパ11、+Y側の駆動装置78aのレバー73及びエアベアリング80などは、マスクステージ20の+Y側の端部のYステージ83Yaに対するX軸方向の相対移動の範囲を制限するXストッパ装置98aを構成している。また、Yステージ83Ybに設けられた2つのXストッパ11、−Y側の駆動装置78bのレバー73及びエアベアリング80などは、マスクステージ20の−Y側の端部のYステージ83Ybに対するX軸方向の相対移動の範囲を制限するXストッパ装置98bを構成している。すなわち、マスクステージ20は、Xストッパ装置98a、98bにより、Yステージ83Ya、83Ybに対するX軸方向の移動範囲が機械的に制限(設定)される。上述のように、駆動装置78aとXストッパ装置98aとは、互いに一部の構成部材を共有しており、駆動装置78bとXストッパ装置98bとは、互いに一部の構成部材を共有している。
また、Yステージ83Yaには、マスクステージ20のYステージ83Yaに対するY軸方向の相対移動の範囲を制限する複数のYストッパ(不図示)が設けられており、Yステージ83Ybには、マスクステージ20のYステージ83Ybに対するY軸方向の相対移動の範囲を制限する複数のYストッパ(不図示)が設けられている。
次に、基板ステージ装置PSTが備えるX駆動装置70X及びY駆動装置70Yについて詳細に説明する。X駆動装置70Xは、図2に示されるように、Y粗動ステージ23Yの上面における重量キャンセル装置40の−X側に設けられている。X駆動装置70Xは、ボイスコイルモータ110、レバー113などを含む。なお、図1では上記X駆動装置70X及びY駆動装置70Yの図示が省略されている。
ボイスコイルモータ110は、図3に示されるように、Y粗動ステージ23Yの上面近傍であって、ステージ本体51の下面に形成された凹部51aの真下に配置されている。ボイスコイルモータ110は、Y粗動ステージ23Yの上面に支持部材114を介して固定された固定子111(例えばコイルユニット)と、該固定子111に対応して設けられた可動子112(例えば磁石ユニット)とを含む。可動子112は、図3に示されるように、YZ断面略逆U字状の磁性体から成るヨーク115と、該ヨーク115の一対の対向面それぞれに固定された複数の永久磁石116とを有する。固定子111は、少なくともZ軸方向に電流が流れるように配置された複数のコイル(不図示)と、該複数のコイルを収容するYZ断面略I字状の収容部材117とを有する。収容部材117は、上記複数のコイルを収容するその一部が、ヨーク115の一対の対向面間に、該一対の対向面それぞれに固定された永久磁石116にY軸方向及びZ軸方向に所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して配置されている。以上の構成より、固定子111の複数のコイルに電流が供給されると、固定子111内に、可動子112内に発生するY軸方向の磁界をZ軸方向に横切って電流が流れるため、固定子111と可動子112との間にX軸方向の電磁力(ローレンツ力)が作用する。そこで、以下、ボイスコイルモータ110をXボイスコイルモータ110とも称する。なお、固定子111の複数のコイルへの電流供給は、主制御装置により制御される。
レバー113は、図2に示されるように、細長い部材から成り、その長手方向一端部が可動子112のヨーク115(図3参照)の上面に固定され、その長手方向他端部が、後述するエアベアリング118などと共に、ステージ本体51の下面に形成された凹部51a内に挿入されている。また、レバー113は、その長手方向の中間部が、Y粗動ステージ23Yに、Y軸方向に延びる軸線周りに回動自在に支持されている。詳述すると、レバー113の上記中間部には、Y軸方向に貫通する貫通孔113aが形成されており、該貫通孔113aにY軸方向を軸線方向とする軸部材119が挿通され一体的に固定されている。軸部材119は、その両端が、図3に示されるように、Y粗動ステージ23Yの上面に、微動ステージ50の重心G1を含みXZ平面に平行な平面を挟むように立設された一対の(+Y側及び−Y側の)壁部85c、85dのそれぞれに固定された一対の軸受部材120に回転自在に支持されている。レバー113は、そのY位置が微動ステージ50の重心G1のY位置と一致するように、軸部材119に対するそのY軸方向の位置が設定されている。なお、図2には、レバー113が、その長手方向をZ軸方向に向けた基準位置(θy方向に関する中立位置)に位置する状態が示されている。一対の壁部85c、85dは、該一対の壁部85c、85dを連結する一対の(−X側及び+X側の)壁部85a、85b(図2参照)と共に平面視矩形枠状の支持フレーム85を構成する。なお、レバー113を構成する部材としては、軽量かつ高剛性のものが好ましい。
図2に示されるように、レバー113の上端部(長手方向他端部)の−X端面及び+X端面のそれぞれには、エアベアリング118がボール121(又はヒンジ)を介してθy、θz方向に揺動可能に各1つ取り付けられている。−X側及び+X側のエアベアリング118の軸受面は、それぞれ−X側及び+X側に向いている。これに対し、ステージ本体51の凹部51aの−X側の内壁面には、−X側のエアベアリング118の軸受面(−X側の面)に所定(微少)クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するYZ平面に平行な対向面を有する対向部材122が固定されている。同様に、ステージ本体51の凹部51aの+X側の内壁面には、+X側のエアベアリング118の軸受面(+X側の面)に所定(微少)クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するYZ平面に平行な対向面を有する対向部材122が固定されている。エアベアリング118は、図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)に接続されており、その軸受面から対向部材122の対向面に対し加圧気体を噴出し、この加圧気体の静圧により該対向部材122との間に上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を形成する。エアベアリング118の軸受け剛性及び負荷容量は、微動ステージ50を加速するときに、少なくともエアベアリング118が、対向する対向部材122に接触せず、かつ微動ステージ50の位置決め制御を高速で行える程度の適正な大きさに設定されることが好ましい。この適正な軸受剛性及び負荷容量を得るために上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)が適宜調整される。また、エアベアリング118及び対向部材122のそれぞれのZ位置は、微動ステージ50の重心G1のZ位置を含むように設定されている。
ここで、上述のように、エアベアリング118と対向部材122とは、X軸方向に上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向しているため、X軸方向に互いに拘束されているが、この方向以外の方向(Y軸、Z軸、及びθx、θy、θzの各方向)には互いに拘束されていない。従って、エアベアリング118と対向部材122(ステージ本体51)とは、後者の方向(Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に関する相対移動が許容されているとともに、Y粗動ステージ23Yから後者の方向に関する振動が微動ステージ50に伝わることは殆どない。なお、θz方向に関しては、エアベアリング118を必ずしも微少角度揺動自在に構成しなくても良い。
以上のように構成されるX駆動装置70Xでは、Xボイスコイルモータ110の固定子111の複数のコイルに電流が供給されると、可動子112と固定子111との間にX軸方向の電磁力(ローレンツ力)が発生し、可動子112に固定されたレバー113の下端部(長手方向一端部)にX軸方向(例えば−X方向)の力が作用する。これにより、レバー113に軸部材119の軸線周り(θy方向)の一方向(例えば図2の矢印Q方向)のモーメントが発生し、レバー113の上端部に設けられた+X側のエアベアリング118により+X側の対向部材122が+X方向に非接触で押圧され、微動ステージ50の重心G1に+X方向の力(駆動力)が作用する。この際、エアベアリング118は上述の如くレバー113の上端部に対しθy方向に揺動可能になっているので、微動ステージ50のX軸方向への移動に伴いレバー113が軸部材119の軸線周り(θy方向)に回動しても、その軸受面と対向部材122の対向面とは上記所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して互いに平行に保たれる。
ここで、軸部材119の軸線(X駆動装置70Xにより微動ステージ50に伝達される力の支点)とレバー113の下端部(X駆動装置70Xにより微動ステージ50に伝達される力の力点)との距離と、軸部材119の軸線とレバー113の上端部(X駆動装置70Xにより微動ステージ50に伝達される力の作用点)との距離との比、すなわちレバー比は、例えば約4:1に設定されており、Xボイスコイルモータ110に発生する上記電磁力は、てこの原理により、約4倍に増幅されて、微動ステージ50の重心G1に伝達される。なお、レバー比は、4:1に限らず、Xボイスコイルモータ110の駆動力に応じて適宜変更しても良い。具体的には、Xボイスコイルモータ110に発生する電磁力が小さいほど、レバー比を大きくすると良い。
また、図2に示されるように、Y粗動ステージ23Y上であって、上記基準位置にあるレバー113の下端部の−X側近傍及び+X側近傍には、一対のXストッパ123Xが設けられている。各Xストッパ123Xは、ショックアブソーバ123aと、該ショックアブソーバ123aに装着されたコイルスプリング123bと、ショックアブソーバ123aのロッドの先端に取り付けられたパッド123cとを含む。一対のXストッパ123Xが有する一対のショックアブソーバ123aのそれぞれは、Y粗動ステージ23Yの上面に設置された支持フレーム85の−X側及び+X側の壁部85a、85bのそれぞれに、その伸縮方向がX軸方向になるように固定されている。また、各ショックアブソーバ123aは、その先端に取り付けられたパッド123cがレバー113の下端部に対向している。図2に示されるレバー113が上記基準位置にある状態では、−X側及び+X側のパッド123cそれぞれとレバー113の下端部との間に均等なクリアランス(隙間、ギャップ)が形成されている。
すなわち、レバー113は、上記基準位置(θy方向に関する中立位置)からθy方向の一方向(図2の矢印Q方向)に所定量揺動(回転)した位置と、上記基準位置からθy方向の他方向(図2の矢印R方向)に所定量揺動(回転)した位置との間の所定の揺動範囲内においてXストッパ123Xに干渉することなく揺動可能となっている。そして、例えば露光動作時などには、レバー113は、Xボイスコイルモータ110によりこの揺動範囲内で適宜駆動され、これに伴い、微動ステージ50は、この揺動範囲に対応するX軸方向の移動範囲内(有効ストローク内)で微少移動する。
ここで、微動ステージ50が、例えば制御不能などのトラブルにより上記有効ストローク(範囲)を超えてX軸方向(例えば+X方向)へ移動すると、レバー113は、上記揺動範囲を超えてθy方向(例えば図2の矢印Q方向)に揺動し、−X側のXストッパ123Xのパッド123cに当接する。そして、レバー113は、パッド123cと当接しつつショックアブソーバ123aの減衰力及びコイルスプリング123bの弾性力に抗して更に同方向に揺動し、コイルスプリング123bが縮みきったときにその揺動が機械的に制限される。なお、不図示のストッパ部材を設け、そのストッパ部材とレバー113とを当接させてレバー113の揺動を機械的に制限しても(停止させても)良い。これにより、微動ステージ50が停止される。このように、一対のXストッパ123Xのそれぞれによりレバー113のθy方向の揺動が機械的に制限されることにより、微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するX軸方向の相対移動が機械的に制限される。なお、レバー113のθy方向の揺動可能範囲、すなわち微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するX軸方向の移動範囲は、Zボイスコイルモータ18zの固定子36aと可動子36bとが干渉(接触)しない範囲に設定されている。
以上のように、Xストッパ123X、レバー113、エアベアリング118などは、微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するX軸方向の相対移動の範囲を制限するXストッパ装置90Xを構成している。すなわち、X駆動装置70XとXストッパ装置90Xは、互いに一部の構成部材を共有している。
Y駆動装置70Yは、図3に示されるように、X駆動装置70Xを、微動ステージ50の重心G1を含みZ軸方向に延びる軸線周りに90°回転させた構成を有するため、その説明を省略する。なお、Y駆動装置70Yの各構成部材には、対応するX駆動装置70Xの構成部材と同じ符号が付されている。ステージ本体51の−Y側部分の下面には、凹部51bが形成されており、凹部51b内には、Y駆動装置70Yのレバー113の上端部、エアベアリング118、対向部材122などが配置されている。
また、Y駆動装置70Yのレバー113の近傍には、Xストッパ123Xとほぼ同様の構成及び機能を有し、そのレバー113の揺動範囲を制限するYストッパ123Yが設けられている。Yストッパ123Y、レバー113、エアベアリング118などは、微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するY軸方向の相対移動の範囲を制限するYストッパ装置90Yを構成している。すなわち、Y駆動装置70YとYストッパ装置90Yは、互いに一部の構成部材を共有している。なお、レバー113のθx方向の揺動可能範囲、すなわち微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するY軸方向の移動範囲は、Zボイスコイルモータ18zの固定子36aと可動子36bとが干渉(接触)しない範囲に設定されている。以下、Y駆動装置70Yのボイスコイルモータ110をYボイスコイルモータ110とも称する。
次に、図6(A)及び図6(B)を参照して、微動ステージ50(図6(A)及び図6(B)では図示省略)をY粗動ステージ23Yに対し駆動するために必要なボイスコイルモータ(図6(B)では不図示)の推力の大きさについて、比較例と対比して説明する。図6(B)に示される比較例では、図6(A)に示される本実施形態の部材に対応する部材が、本実施形態の部材の符号にHを付して示されている。比較例では、微動ステージがボイスコイルモータによりY粗動ステージ23YHに対し直接的に(レバーを介さずに)駆動される。なお、図6(A)及び図6(B)では、個々の部材が他の図に比べ模式的に示されている。
以下の説明では、図6(A)において、本実施形態のY粗動ステージ23Yが微動ステージから受ける反力をF(比較例において微動ステージをY粗動ステージ23YHに対し駆動するために必要なボイスコイルモータの推力でもある)、本実施形態のYボイスコイルモータ110の推力及びY粗動ステージ23Yに作用するその反力をf、本実施形態のYリニアモータ60がY粗動ステージ23Yを駆動するために必要な推力をP1、本実施形態のY粗動ステージ23Yに作用する反力Fと反力fとによるモーメントをM1、本実施形態のYボイスコイルモータ110の推力fの作用点と支点との距離をa、本実施形態のYボイスコイルモータ110の推力fの力点と支点との距離をb1(>a)、本実施形態のY粗動ステージ23Yが微動ステージ50から受ける反力FとYボイスコイルモータ110の推力fとの合力F+fの力点と支点(Y粗動ステージ23Yの駆動位置)との距離をb2とする。なお、不図示ではあるが、比較例において、Y粗動ステージ23YHの上面に固定された支持フレーム85Hには、不図示の微動ステージをY軸方向に駆動するためのボイスコイルモータの固定子が固定される。また、図6(B)において、比較例のYリニアモータがY粗動ステージ23YHを駆動するために必要な推力をP0、比較例のY粗動ステージ23YHに作用する反力FによるモーメントをM0、比較例のY粗動ステージ23YHに作用する微動ステージからの反力Fの力点と作用点(Y粗動ステージ23YHの駆動位置)との距離をLとする。
図6(A)から分かるように、レバー113に作用する力のモーメントの釣り合いは、以下の式(1)で表される。
F×a=f×b1…(1)
従って、上記式(1)から導かれる以下の式(2)、及びa<b1の関係より、以下の式(3)の関係が成り立つ。
f=F×a/b1…(2)
f<F…(3)
また、図6(B)から分かるように、Y粗動ステージ23YHの慣性質量及びY粗動ステージ23YHに作用するYリニアガイド部材28Hからの摩擦抵抗を無視すると、Y粗動ステージ23YHに作用するX軸方向の力の釣り合は、以下の式(4)で表される。
P0=F…(4)
また、図6(A)から分かるように、Y粗動ステージ23Yに作用する力の釣り合いは、以下の式(5)で表される。
P1=(F+f)−f=F…(5)
そして、上記式(4)及び(5)より、以下の式(6)の関係が成り立つ。
P0=P1…(6)
すなわち、YリニアモータがY粗動ステージを駆動するために必要な推力は、本実施形態と比較例とで同じである。なお、上記式(3)及び(5)より、以下の式(7)の関係が成り立つ。
f<P1…(7)
ここで、仮に、b1≒b2≒b、a+b≒Lとすると、図6(B)から分かるように、微動ステージからの反力FによりY粗動ステージ23YHに作用するモーメントは、以下の式(8)で表される。
M0=F×L…(8)
また、図6(A)から分かるように、軸部材119に作用する、微動ステージからの反力Fとボイスコイルモータ110の推力fとの合力F+fによりY粗動ステージ23Yに作用するモーメントは、上記式(2)に基づいて、以下の式(9)で表される。
M1=(F+f)×b={F+(F×a/b)}×b=F×(a+b)=F×L…(9)
上記式(8)及び(9)より、以下の式(10)の関係が成り立つ。
M0=M1…(10)
このように、本実施形態における合力F+fによりY粗動ステージ23Yに作用するモーメントと、比較例における反力FによりY粗動ステージ23Yに作用するモーメントとは、ほぼ等しいことが分かる。
以上より、比較例では、微動ステージを駆動するボイスコイルモータには、Y粗動ステージ23YHを駆動するYリニアモータと同程度の大きな推力が必要である((4)参照))。これに対し、本実施形態では、ボイスコイルモータ110の推力を、比較例に対し、Y粗動ステージ23Yに作用するモーメントを増加させることなく((10)参照))、Y粗動ステージ23Yを駆動するYリニアモータの推力((6)参照))よりも小さくすることができる((7)参照))。以上、Yボイスコイルモータ110について説明したが、この説明は、Xボイスコイルモータ110、及び前述のマスクステージ駆動系70の一対の駆動装置78a、78bのそれぞれが有するXボイスコイルモータ71についても妥当する。
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージ20上へのマスクMのロード、及び不図示の基板ローダによって、微動ステージ50(基板ホルダ53)上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式と同様であるのでその詳細な説明は省略するものとする。
上記露光動作時、あるいはマスク交換動作時などに、マスクMをX軸方向に移動させる際、主制御装置は、Xステージ83Xa、83Xbを同期駆動してX軸方向(スキャン方向)に所定の長ストロークで駆動する。この際、Xステージ83Xa、83Xbにそれぞれ支持されたYステージ83Ya、83YbもXステージ83Xa、83Xbと共に移動する。また、主制御装置は、駆動装置78a、78bを介してマスクステージ20をXステージ83Xa、83Xbと同期してX軸方向に駆動する。これにより、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とが、一体的にX軸方向に長ストロークで移動する。また、マスクステージ20をX軸方向に長ストロークで移動させる際、主制御装置は、駆動装置78a、78bによる推力差によりマスクステージ20を適宜θz方向に回転させるとともに、Yボイスコイルモータ96aを用いてマスクステージ20を適宜Y軸方向に微少駆動する。そして、マスクステージ20が例えば制御不能などのトラブルによりYステージ83Ya、83Ybに対するX軸方向の移動範囲を超えて移動する場合には、前述の如く、マスクステージ20のYステージ83Ya、83Ybに対する相対移動がXストッパ装置98a、98bにより制限される。
また、前述したように、本実施形態に係る液晶露光装置10では、例えば基板Pに形成するパターンが選択される際にマスクステージ20がY軸方向に所定の短ストロークで駆動される。この際、主制御装置は、Yステージ83Ya、83Ybを、それぞれXステージ83Xa、83Xb上でY軸方向(クロススキャン方向)に所定の短ストロークで駆動するとともに、マスクステージ20をYボイスコイルモータ96aを用いてYステージ83Yaと同期してY軸方向に駆動する。
また、主制御装置は、上記露光動作時、アライメント動作時、基板交換動作時などの通常動作時において、一対のXリニアモータ15によりX粗動ステージ23XをX軸方向(スキャン方向)に一定速度で駆動するとともに、X駆動装置70Xにより微動ステージ50をX粗動ステージ23Xと同期してX軸方向に駆動する。この際、X粗動ステージ23Xに支持されたY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23YにX軸方向に機械的に拘束された重量キャンセル装置40などもX粗動ステージ23Xと共に移動する。また、主制御装置は、Y粗動ステージ23YをX粗動ステージ23X上でY軸方向(ステップ方向/クロススキャン方向)に適宜駆動するとともに、Y駆動装置70Yにより微動ステージ50をY粗動ステージ23Yと同期してY軸方向に駆動する。この際、Y粗動ステージ23YにY軸方向に機械的に拘束された重量キャンセル装置などもY粗動ステージ23Yと共に移動する。また、主制御装置は、X駆動装置70X及びY駆動装置70Yを適宜制御し、複数のZボイスコイルモータ18zを適宜駆動することにより、微動ステージ50を、Y粗動ステージ23Y上で、X軸、Y軸、Z軸、及びXY平面に対するチルト方向(例えばθx、θy方向など)に微少駆動(より詳細には、レーザ干渉計システムの干渉計信号に基づいてX粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yの動きからの偏差分を微少駆動)する。そして、微動ステージ50が例えば制御不能などのトラブルによりY粗動ステージ23Yに対するX軸及びY軸方向の移動範囲を超えて移動する場合には、上述の如く、レバー113の揺動がXストッパ123X、Yストッパ123Yにより制限される(微動ステージ50の移動がXストッパ装置90X、Yストッパ装置90Yにより制限される)。
以上説明したように、本第1の実施形態に係るマスクステージ装置MSTによると、Yステージ83Ya、83Ybにそれぞれ設けられたボイスコイルモータ71が発生した電磁力を、レバー73を用いた、てこの原理により増幅してマスクステージ20に伝達することができる。これにより、例えばマスクステージ20がボイスコイルモータにより直接的に駆動される構成(マスクステージ20に可動子が設けられる構成)と比べ、発生推力が小さい小型で軽量の安価なボイスコイルモータを用いてマスクステージ20を駆動するために必要な推力を得ることができる。従って、本実施形態によると、上記のようにマスクステージ20がボイスコイルモータにより直接的に駆動される構成と比べ、マスクステージを大幅に軽量化でき、その運動性能及び位置制御性を格段に向上できるとともに、コストアップを抑制できる。
また、本実施形態のようにマスクステージ20をボイスコイルモータ71によりレバー73を介してXYステージ装置76a、76bに対し駆動する場合と、例えばマスクステージ20をXボイスコイルモータによりレバー73を介さずに(直接的に)XYステージ装置76a、76bに対し駆動する場合とで、マスクステージ20からXYステージ装置76a、76bに作用する反力、すなわちXYステージ装置をX軸方向に駆動するために必要な推力は、ほぼ同じである。すなわち、前者の場合(本実施形態)は、後者の場合に対し、XYステージ装置76a、76bをX軸方向に駆動する推力をほぼ同じにしたままボイスコイルモータ71の推力を小さくすることができる。
また、本実施形態では、ボイスコイルモータ71をマスクステージ20から離れた位置に配置することができるので、例えばマスクステージ20に固定された固定子とYステージ83Ya(あるいは83Yb)に固定された可動子とを含むボイスコイルモータにより、マスクステージ20が直接的に駆動される構成と比べ、マスクステージ20及びその周辺部材(例えば、固定部材66、保持部材64、X移動鏡68X、Y移動鏡68Y、Xターゲット95Xa、95Xb、Yターゲット95Ya、95Yb、可動子92、エアベアリング27など)に熱が伝わり難く、マスクステージ20及び上記周辺部材が熱変形を起こすことが抑制される。
また、レバー73が揺動する際のレバー73のマスクステージ20側の端部の移動量とXボイスコイルモータ71側の端部との移動量の比は、レバー比により、例えば1:4とされているので、レバー73のマスクステージ20側の端部と共に移動するマスクステージ20の移動量に比べ、レバー73のボイスコイルモータ71側の端部に当接するショックアブソーバ11a及びコイルスプリング11bのストロークを長くすることができる。これにより、レバー73(マスクステージ20)は、その揺動速度(移動速度)が充分に低減された状態で(大きな運動エネルギーが効率良く熱エネルギーに変換された状態で)その揺動(移動)が機械的に制限される。これに対し、例えばマスクステージ20の移動がストッパにより直接的に(レバーを介さずに)制限される場合には、ストッパの弾性変形量をマスクステージ20の微少な移動量に応じた量に設定する必要があり、このため、マスクステージ20は、ストッパによりその移動速度が充分に低減されない状態でその移動が機械的に制限される。すなわち、本実施形態によると、例えばマスクステージ20の移動がストッパにより直接的に制限される場合に比べ、マスクステージ20の移動が機械的に制限される際の衝撃を充分に緩和することができ、マスクステージ20の変形を含む損傷、その上記周辺部材の変形を含む損傷及び位置ずれなどを防止できる。
また、Xストッパ装置98a、98bにより、マスクステージ20の+Y側及び−Y側の端部中央(マスクステージ20の重心Gの+Y側部及び−Y側部)を均等に押さえることとしているので、例えばマスクステージ20の重心Gを通るX軸に平行な直線上などのマスクステージ20の移動経路上にストッパを配置しなくても、マスクステージ20にθz方向のモーメントを発生させずにマスクステージ20を停止させることができる。従って、液晶露光装置10の設計の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態によると、マスクステージ20と共に移動するレバー73のマスクステージ20側の端部とレバー73の揺動支点(軸部材90の軸線)との距離と、Xストッパ11に当接するレバー73のボイスコイルモータ71側の端部とレバー73の揺動支点との距離との比(レバー比)が、例えば1:4とされているので、例えばマスクステージ20がストッパによりその移動を直接的に制限される場合に比べ、ストッパに掛かる負荷を低減できる。
また、本実施形態によると、レバー73のレバー比により、Xボイスコイルモータ71の可動子75が移動する距離よりも可動子75の移動に応じてマスクステージ20が移動する距離のほうが短いので、例えばマスクステージ20に可動子が設けられる構成に比べ、可動子の位置制御の精度を容易に高めることができ、ひいてはマスクステージ20の位置制御の精度を容易に高めることができる。
また、一対のXボイスコイルモータ71の固定子69と可動子75とが共にYステージ83Ya、83Ybに設けられ、可動子75は、固定子69に対しほぼX軸方向にのみ相対移動し、両者のY軸及びZ軸方向のクリアランス(隙間、ギャップ)が殆ど変化しない。従って、両者のY軸及びZ軸方向のクリアランス(隙間、ギャップ)を予め小さく設定することができ、これにより、Xボイスコイルモータ71の推力の向上を図ることができる。
また、Xボイスコイルモータ71は、例えばマスクステージ20がボイスコイルモータにより直接的に駆動される場合に比べて、その発生推力が小さく設定されているので、マスクステージ20を頻繁に加減速させるために推力を発生し続けても、その固定子69(コイルユニット)が過熱する可能性が低い。
また、本実施形態に係る基板ステージ装置PSTによると、Y粗動ステージ23Yに設けられたボイスコイルモータ110に発生する電磁力を、レバー113を用いた、てこの原理により増幅して微動ステージ50に伝達することができる。これにより、本実施形態では、例えば微動ステージ50をボイスコイルモータにより直接的に駆動する構成(Y粗動ステージに固定子が設けられ、かつ該固定子に対応する可動子が微動ステージに設けられる構成)と比べ、発生推力が小さい小型で軽量の安価なボイスコイルモータを用いて微動ステージ50を駆動するために必要な推力を得ることができる。従って、本実施形態によると、微動ステージ50がボイスコイルモータにより直接的に駆動される場合と比べ、微動ステージ50を大幅に軽量化でき、その運動性能及び位置制御性を格段に向上できるとともに、コストアップを抑制できる。
また、本実施形態によると、発熱源であるXボイスコイルモータ110、Yボイスコイルモータ110がレバー113を介して微動ステージ50を駆動する構成としているので、これらのボイスコイルモータを微動ステージ50から離れた位置(Y粗動ステージ23Yの上面近傍)に配置することができ、例えば、微動ステージ50が、これに近接して配置されたボイスコイルモータにより直接的に駆動される構成と比べ、微動ステージ50に熱が伝わり難く、微動ステージ50を構成する部材及びその周辺部材(ステージ本体51、基板ホルダ53、ミラーベース24X、24Y、X移動鏡22X、Y移動鏡22Yなど)が熱変形などを起こすことが抑制される。
また、レバー113が揺動する際のレバー113の上端部及び下端部の移動量の比は、レバー比により、例えば約1:4とされているので、レバー113の上端部と共に移動する微動ステージ50の移動量に比べ、レバー113の下端部に当接して伸縮するショックアブソーバ123a及びコイルスプリング123bの伸縮ストロークを長くすることができる。これにより、レバー113(微動ステージ50)は、その揺動速度(移動速度)が充分に低減された状態でその揺動(移動)が機械的に制限される。これに対し、例えば微動ステージ50がストッパによりその移動を直接的に(レバーを介さずに)制限される場合には、ストッパの弾性変形量を微動ステージ50の微少な移動量に応じた長さにする必要がある。このため、微動ステージ50は、その移動速度が充分に低減されない状態でその移動が機械的に制限される。以上より、本実施形態によると、例えば微動ステージ50がストッパによりその移動を直接的に制限される場合に比べ、微動ステージ50の移動が機械的に制限される際の衝撃を充分に緩和することができる。
また、微動ステージ50と共に移動するレバー113の上端部とレバー113の揺動支点との距離と、ストッパに当接するレバー113の下端部とレバー113の揺動支点との距離との比が、例えば約1:4とされているので、例えば微動ステージ50がストッパによりその移動を直接的に制限される場合に比べ、ストッパに掛かる負荷を低減できる。
また、レバー113のレバー比により、可動子112が移動する距離よりも可動子112の移動に応じて微動ステージ50が移動する距離が短いので、微動ステージ50の位置制御の精度を高めることができる。
また、ボイスコイルモータ110の固定子111と可動子112とがほぼX軸方向(又はY軸方向)にのみ相対移動し、両者のY軸方向(又はX軸方向)、及びZ軸方向のクリアランス(隙間、ギャップ)が殆ど変化しないので、両者のY軸方向(又はX軸方向)、及びZ軸方向のクリアランス(隙間、ギャップ)を予め小さく設定することができ、これにより、ボイスコイルモータ110の推力の向上を図ることができる。
ボイスコイルモータ110は、その発生推力が、例えば微動ステージ50を直接的に駆動する場合に比べて小さく設定されているので、微動ステージ50を頻繁に加減速させるために推力を発生し続けても、その固定子111が有するコイルが過熱する可能性が低い。
さらに、本実施形態に係る液晶露光装置10によると、上述したように、マスクMを保持するマスクステージ20、及び基板Pを保持する微動ステージ50を、精度良く駆動することができることから、マスクMに形成されたパターンを基板P上の複数のショット領域に精度良く転写することが可能になる。
次に、他の実施形態について説明する。以下の第2〜第4の各実施形態では、上記第1の実施形態と比べ、液晶露光装置におけるマスクステージ装置の構成が異なるのみなので、マスクステージ装置についてのみ説明し、上記第1の実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
《第2の実施形態》
図7には、第2の実施形態に係るマスクステージ装置MST2の平面図が示されている。この図7と図4とを比較するとわかるように、マスクステージ装置MST2では、マスクステージ駆動系70に代えて、マスクステージ駆動系170が設けられている点が、マスクステージ装置MSTと相違する。
マスクステージ駆動系170は、マスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybそれぞれに対し直接的に駆動するそれぞれ複数(例えば各一対)のボイスコイルモータ101a、101bを備えている点、及び−Y側の駆動装置78bに代えて駆動装置178bが設けられている点が、前述のマスクステージ駆動系70と相違するが、その他の部分の構成は、マスクステージ駆動系70と同様になっている。
複数(例えば一対)のXボイスコイルモータ101aは、マスクステージ20の+Y側の端部をYステージ83Yaに対しX軸方向に駆動し、複数(例えば一対)のXボイスコイルモータ101bは、マスクステージ20の−Y側の端部をYステージ83Ybに対しX軸方向に駆動する。
一対のXボイスコイルモータ101aは、マスクステージ20の+Y側であって、レバー73をX軸方向に関し挟む位置に配置されている。一対の(−X側及び+X側の)Xボイスコイルモータ101aそれぞれのZ位置は、マスクステージ20の重心GのZ位置を含んでいる。Xボイスコイルモータ101aは、配置が異なる点を除いてXボイスコイルモータ71と同じ構成(その取り付け構造を含む)を有しており、固定子105(例えばコイルユニット)と、該固定子105に対応して設けられた可動子107(例えば磁石ユニット)とを有する。固定子105と、対応する可動子107とは、Y軸及びZ軸方向に所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して配置されている。固定子105は、Yステージ83Yaの上面に、支持部材109を介して固定されている。可動子107は、マスクステージ20の+Y端面に固定されている。一対のXボイスコイルモータ101aのそれぞれは、主制御装置(不図示)により同期制御される。以下、適宜、一対のXボイスコイルモータ101aを併せて+Y側のボイスコイルモータ対102aと称する。
また、一対のXボイスコイルモータ101bのうちの一方は、マスクステージ20の重心Gを含むXZ平面に平行な平面に関して−X側のXボイスコイルモータ101aと対称な構成(その取り付け構造を含む)を有しており、一対のXボイスコイルモータ101bのうちの他方は、マスクステージ20の重心Gを含みXZ平面に平行な平面に関して+X側のXボイスコイルモータ101aと対称な構成(その取り付け構造を含む)を有している。一対のXボイスコイルモータ101bのそれぞれは、主制御装置(不図示)により同期制御される。以下、適宜、一対のXボイスコイルモータ101bを併せて−Y側のボイスコイルモータ対102bと称する。
本第2の実施形態では、主制御装置は、+Y側及び−Y側のボイスコイルモータ対102a、102bを同期駆動することにより、マスクステージ20をX軸方向に直進駆動できる。また、+Y側及び−Y側のボイスコイルモータ対102a、102bそれぞれの推力の大きさ及び向きの少なくとも一方を互いに異ならせることによりマスクステージ20をθz方向に駆動できる。
−Y側の駆動装置178bは、前述の駆動装置78bの構成各部に加え、+Y側の駆動装置78aのYボイスコイルモータ96aとほぼ同様の構成を有するYボイスコイルモータ96bを備えている。Yボイスコイルモータ96bは、マスクステージ20の重心Gを含むXZ平面に平行な平面に関し+Y側の駆動装置78aのYボイスコイルモータ96aと対称な構成を有している。従って、+Y側及び−Y側の駆動装置78a、178bそれぞれのYボイスコイルモータ96a、96bを同期制御することにより、マスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybに対しY軸方向に微少駆動できる。
また、本実施形態では、+Y側及び−Y側のボイスコイルモータ対102a、102bの設置に伴い、上記第1の実施形態に対し、ギャップセンサ94a、94b、Xターゲット95Xa、95Xb、Yターゲット95Ya、95Ybの位置が変更されている。具体的には、ギャップセンサ94aは、Yステージ83Yaの+X端面に固定されており、ギャップセンサ94bは、Yステージ83Ybの+X端面に固定されている。Xターゲット95Xa、Yターゲット95Yaは、それぞれギャップセンサ94aの一方及び他方に対向するように、共通のブラケット103を介してマスクステージ20に固定されている。同様に、Xターゲット95Xb、Yターゲット95Ybは、それぞれギャップセンサ94bの一方及び他方に対向するように、共通のブラケット103を介してマスクステージ20に固定されている。
本第2の実施形態では、主制御装置は、例えばマスクMを交換する際など、位置決め精度は要求されないが大推力が必要なマスクステージ20の加速時(減速時を含む)に駆動装置78a、178bを用いてマスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向に駆動する(減速時には制動力を与える)。また、主制御装置は、露光動作時においてマスクステージ20を等速で移動させる際など、位置決め精度は要求されるが大推力を必要としない場合にXボイスコイルモータ101a、101bを用いてマスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向に駆動する。
以下に、マスクステージ20がYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向に駆動される場合の一例を説明する。先ず、Yステージ83Ya、83Ybに対し停止状態にあるマスクステージ20は、駆動装置78a、178bがそれぞれ備える一対のXボイスコイルモータ71が同期駆動されることにより、Yステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向に静止保持力を与える。マスクステージ20が、その慣性力に(上記静止保持力により)打ち勝って、Yステージ83Ya、83Ybと共に同じように加速して、所定の目標速度に達したときに、駆動装置78a、178bがそれぞれ備える一対のXボイスコイルモータ71への電力供給が停止される(あるいは制御力が弱められる)とともに、一対のXボイスコイルモータ101a及び一対のXボイスコイルモータ101bへの電力供給がなされる(なお、最初から電力供給されていても良い)。これにより、マスクステージ20の駆動源が駆動装置78a、178bから各一対のXボイスコイルモータ101a、101b(+Y側及び−Y側のボイスコイルモータ対102a、102b)に切り替わり、マスクステージ20は、レーザ干渉計の計測結果に基づいて、一対のXボイスコイルモータ101a、101bによりYステージ83Ya、83Ybに対し微少な加減速による精密な位置決め制御が行われ、上記目標速度で等速駆動される。
本第2の実施形態によると、マスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybに対しX軸方向に駆動する際、マスクステージ20の加速時にのみ駆動装置78a、178bを用いることとしているので、駆動装置78a、178bがそれぞれ備える一対のXボイスコイルモータ71に位置決め精度が要求されない。従って、上記第1の実施形態に比べ、Xボイスコイルモータ71のコストダウンを図ることができる。
また、マスクステージ20の等速運動時にのみ各一対のボイスコイルモータ101a、101b(+Y側及び−Y側のボイスコイルモータ対102a、102b)を用いることとしているので、上記第1の実施形態に比べ、コストアップを抑制しつつマスクステージ20の位置決め精度を向上させることができる。
また、本第2の実施形態によると、上記第1の実施形態に比べ、+Y側の駆動装置78aに併せて−Y側の駆動装置178bにもYボイスコイルモータ96bが設けられているので、マスクステージ20をYステージ83Ya、83Ybに対しY軸方向に安定して駆動することができる。
《第3の実施形態》
図8には、第3の実施形態に係るマスクステージ装置MST3の平面図が示されている。この図8と図7とを比較するとわかるように、マスクステージ装置MST3では、マスクステージ駆動系170に代えて、マスクステージ駆動系270が設けられている点が、マスクステージ装置MST2と相違する。
マスクステージ駆動系270は、+Y側及び−Y側の駆動装置78a、178bに代えて、+Y側及び−Y側の駆動装置278a、278bが設けられている点が、マスクステージ駆動系170と相違するが、その他の部分の構成は、マスクステージ駆動系170と同様になっている。
マスクステージ駆動系270が備える+Y側及び−Y側の駆動装置278a、278bでは、それぞれのレバー73に、一対のエアベアリング80の代わりに一対の当接部材201が、それぞれ対向部材281に対向するように取り付けられている。
詳述すると、一対の当接部材201のそれぞれは、例えば半球状の部材から成り、レバー73のマスクステージ20側の端部に、対向する対向部材281側に突出するように(その頂部が、対向する対向部材281側に向くように)固定されている。本第3の実施形態の対向部材281としては、上記第1及び第2の各実施形態の対向部材81よりも、硬くて衝撃に強い高剛性のものが好ましい。図8に示されるレバー73が基準位置(θz方向に関する中立位置)に位置する状態で、一対の当接部材201それぞれの頂部と、これに対向する対向部材281との間には、均等なクリアランス(隙間、ギャップ)が形成されている。このクリアランス(隙間、ギャップ)は、上記基準位置に位置するレバー73のXボイスコイルモータ71側の端部とXストッパ11のパッド11cとのクリアランス(隙間、ギャップ)の例えば1/4未満(例えば1mm〜5mm)に設定されている。従って、上記基準位置に位置するレバー73が、θz方向の一方向に揺動して当接部材201が対向部材281に当接して、更に同方向に所定量揺動するまで、レバー73がXストッパ11に干渉することはない。当接部材201の材質としては、例えば鋼、セラミックスなどのような硬質なものでも良いし、例えばエラストマなどのような軟質なものでも良い。
また、+Y側及び−Y側のレバー73のそれぞれにおける一方の当接部材201近傍の箇所には、ギャップセンサ202が対向部材281に対向するように固定されており、これにより、当接部材201とこれに対向する対向部材281とのギャップ(間隔)を常時監視できるようになっている。主制御装置は、ギャップセンサ202の出力に基づいてXボイスコイルモータ71を制御し、当接部材201とこれに対向する対向部材281とのギャップを適宜調整する。
主制御装置は、例えば、マスクステージ20をX軸方向(例えば−X方向)に加速する際には、一対のリニアモータ87a、87bを介して一対のXYステージ装置76a、76bをX軸方向(例えば−X方向)に加速するとともに、上記基準位置に位置する+Y側のレバー73の+Y側の端部及び−Y側のレバー73の−Y側の端部を一対のXボイスコイルモータ71のそれぞれを介して例えば+X方向に同期駆動する。これにより、+Y側のレバー73が軸部材90の軸線周りの一方向(図8の矢印R方向)に揺動するとともに−Y側のレバー73が軸部材90の軸線周りの他方向(図8の矢印L方向)に揺動し、+Y側及び−Y側のレバー73それぞれに固定された−X側の当接部材201が、これに対向する−X側の対向部材281に当接(点接触)する。そして、+Y側及び−Y側のレバー73は、それぞれ、軸部材90を支点とする、てこの原理によりXボイスコイルモータ71の駆動力を増幅して、−X側の当接部材201及びこれに当接する対向部材281を介してマスクステージ20を−X方向に押圧する。このようにして、マスクステージ20に対して、Yステージ83Ya、83Ybと一体となって(Yステージ83Ya、83Ybに取り残されないように慣性力に打ち勝って)加速するように力が与えられる。そして、マスクステージ20が所定の目標速度に到達したとき、主制御装置は、Xボイスコイルモータ71を制御して当接部材201を対向部材281から離間させるとともに、各一対のXボイスコイルモータ101a、101bを同期駆動する。これにより、駆動装置278a、278bからマスクステージ20への力の伝達が解除されて、マスクステージ20は各一対のXボイスコイルモータ101a、101bによりボディ30に対して等速駆動される。なお、この場合のXボイスコイルモータ71の制御は、例えば、Xボイスコイルモータ71への供給電力を小さくすること、Xボイスコイルモータ71への電力供給を停止すること、Xボイスコイルモータ71を逆方向に駆動すること等である。以上、マスクステージ20を−X方向に加速する際に各レバー73のXボイスコイルモータ71側の端部が、+X方向に駆動される場合について説明したが、マスクステージ20を+X方向に加速する際に各レバー73のXボイスコイルモータ71側の端部が、−X方向に駆動される場合も同様である。
本第3の実施形態によると、上述のように、マスクステージ20を加速する際に、レバー73を揺動させ、当接部材201を対向部材281に当接させてマスクステージ20を押圧するので、その押圧時の剛性を高めることができる。従って、マスクステージ20を高応答で加速させることができる。
また、マスクステージ20を、所定の目標速度まで加速した後、等速駆動する際には、当接部材201を対向部材81から離間させるので、Yステージ83Ya、83Ybに発生する振動がマスクステージ20に伝わることが防止される。
《第4の実施形態》
図9には、第4の実施形態に係るマスクステージ装置MST4の断面図が示されている。マスクステージ装置MST4は、マスクステージ駆動系170に代えてマスクステージ駆動系370が設けられている点が、前述の第2の実施形態に係るマスクステージ装置MST2と相違する。
マスクステージ装置MST2が有するマスクステージ駆動系170が一対の支持架台74a、74bにより下方から支持されているのに対し、マスクステージ装置MST4が有するマスクステージ駆動系370は、支持フレーム300により上方から吊り下げ状態で支持されている。
支持フレーム300は、ボディ30をY軸方向に関し挟むように床130上に立設されたX軸方向に延びる一対の壁部300a、300b、及び該一対の壁部300a、300b間に架設された架設部300cを含む。架設部300cは、照明系IOP(図9では不図示、図1参照)の上方に位置している。
架設部300cの下面には、X軸方向に延びる一対のベース303がY軸方向に所定間隔で固定されている。一対のベース303のうちの+Y側のベース303には、上記第1の実施形態の+Y側のXYステージ装置76a(図5参照)を上下逆さまにした構成とほぼ同じ構成を有するXYステージ376aが上方から支持されている。詳述すると、XYステージ376aでは、そのXステージ383Xaが+Y側のベース303にXリニアガイド部材77を介してX軸方向にスライド可能に上方から支持されており、そのYステージ383YaがXステージ383XaにYリニアガイド部材84を介してY軸方向にスライド可能に上方から支持されている。Xステージ383XaはXリニアモータ87a(図5参照)を上下逆さまにした構成を有するXリニアモータ387によりベース303に対しX軸方向に駆動され、Yステージ383Yaは、Yリニアモータ(不図示)によりXステージ383Xaに対しY軸方向に駆動される。
Yステージ383Yaには、上記第1の実施形態の+Y側の駆動装置78a(図5参照)を、そのボール99の中心を通るX軸に平行な軸線周りの一方向(図5の矢印Q’方向)に90°回転させた構成を有する+Y側の駆動装置378aが吊り下げ状態で支持されている。詳述すると、Yステージ383Yaの下面には、+Y側の駆動装置378aのXボイスコイルモータ71の固定子69が、レバー73の上端部(長手方向一端部)に固定された可動子75内に挿入された状態で、支持部材72を介して固定されている。また、Yステージ383Yaの下面における支持部材72の+Y側の箇所には、XZ平面に平行な平板部材から成る支持部材315が固定されており、該支持部材315の−Y端面には、固定部材91を介して軸部材390がY軸方向を軸線方向として固定されている。軸部材390は、レバー73の長手方向中間部に形成された貫通孔73a(図4参照)に挿通されている。このレバー73の下端部(長手方向他端部)は、マスクステージ20に形成された凹部20bに収容されており、この下端部には、ボール99を介してエアベアリング80が取り付けられている。また、このレバー73の下端部の−Y端面には、Yボイスコイルモータ96aの固定子93がマスクステージ20に固定された可動子92内に挿入された状態で固定されている。
また、支持部材315の下面には、X軸方向に離間する一対の固定子105が、それぞれマスクステージ20の+Y端面にX軸方向に離間して固定された一対の可動子107内に挿入された状態で固定されている(図9では、−X側の固定子105は+X側の固定子105に対し紙面奥側に隠れており、−X側の可動子107は+X側の可動子107に対し紙面奥側に隠れている)。これらの固定子105及び可動子107を各1つ含む一対のXボイスコイルモータ301aのそれぞれは、上記第2の実施形態の一対のXボイスコイルモータ101a(図7参照)のそれぞれを、その中心を通るX軸に平行な軸線周りの一方向に90°回転させた構成を有する。
一対のベース303のうちの−Y側のベース303には、−Y側のXYステージ376b、−Y側の駆動装置378b、一対のXボイスコイルモータ301b、−Y側のYボイスコイルモータ96bが、それぞれ、マスクステージ20の重心Gを含むXZ平面に平行な平面に関し+Y側のXYステージ376a、+Y側の駆動装置378a、一対のXボイスコイルモータ301a、+Y側のYボイスコイルモータ96aに対称に配置されている。
なお、本第4の実施形態のマスクステージ駆動系370の動作は、上記第2の実施形態のマスクステージ駆動系170の動作とほぼ同様である。
本第4の実施形態によると、マスクステージ駆動系370をボディ30の上方から吊り下げることとしているので、ボディ30の+Y側及び−Y側には、マスクステージ駆動系が設置されるスペースが必要ない(支持フレーム300の一対の壁部300a、300bが設置されるスペースが確保されれば良い)。従って、液晶露光装置の構成上、ボディ30の+Y側及び−Y側のスペースが限られている(狭い)場合に特に有効である。
次いで、さらに別の実施形態について説明する。次に説明する第5実施形態以降の各実施形態に係る液晶露光装置は、投影光学系PLを構成する複数の投影光学系のそれぞれとして、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。従って、これに対応してマスクステージ装置として、マスクステージ20が、クロススキャン方向には微小移動のみ可能な構成のものを用いることもできるし、上記第1の実施形態と同様のマスクステージ装置MSTを用いることもできる。以下の第5〜9の各実施形態では、上記第1の実施形態と比べ、液晶露光装置における基板ステージ装置の構成が異なるのみなので、基板ステージ装置についてのみ説明し、上記第1の実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
《第5の実施形態》
図10には、第5の実施形態に係る基板ステージ装置PST2の断面図が示され、図11には、基板ステージ装置PST2を−X方向から見た側面図が示されている。基板ステージ装置PST2は、前述の基板ステージ装置PSTと同様の構成部分に加えて、微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに対し直接的に駆動する複数、例えば各一対のボイスコイルモータ124、128を更に有している。なお、図10では、重量キャンセル装置40のシーリングパッド43aの図示は省略されている(以下の第6〜第9の実施形態においても同様)。
Xボイスコイルモータ124は、配置が異なる点を除いて前述のXボイスコイルモータ110と同様の構成を有しており、固定子125(例えばコイルユニット)と、該固定子125に対応して設けられた可動子126(例えば磁石ユニット)とを有する。固定子125と、対応する可動子126とは、Y軸及びZ軸方向に所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して配置されている。一対のXボイスコイルモータ124は、微動ステージ50の重心G1を含みXZ平面に平行な平面に関して対称な位置に配置されている(図10では、+Y側のXボイスコイルモータ124は、−Y側のXボイスコイルモータ124に対し紙面手前側に配置されている)。一対のXボイスコイルモータ124それぞれのZ位置は、微動ステージ50の重心G1のZ位置にほぼ一致している。従って、一対のXボイスコイルモータ124のそれぞれが発生する駆動力を、同じにすることにより微動ステージ50をX軸方向に直進駆動できる。また、一対のXボイスコイルモータ124のそれぞれが発生する駆動力を互いに異ならせることにより、微動ステージ50をθz方向に駆動できる。なお、Xボイスコイルモータ124は、主制御装置(不図示)により制御される。
固定子125は、支持フレーム85の−X側の壁部85aの上端に支持部材106を介して取り付けられている(壁部85aは、上記第1の実施形態に比べX軸方向の寸法が長くされている)。可動子126は、ステージ本体51の−X端面に固定されたブラケット127に取り付けられている。一対のYボイスコイルモータ128の構成は、一対のXボイスコイルモータ124を、微動ステージ50の重心を通りZ軸に平行な軸線周りに90°回転させた構成(図11参照)であるため、その説明を省略する。なお、図11では、+X側のYボイスコイルモータ128は、−X側のYボイスコイルモータ128に対し紙面奥側に隠れている。
本第5の実施形態では、主制御装置は、大きな推力が必要な微動ステージ50の加速時にX駆動装置70X、Y駆動装置70Yを用いて微動ステージ50をそれぞれX軸方向、Y軸方向に駆動する。また、主制御装置は、大きな推力を必要としない微動ステージ50の等速運動時に一対のXボイスコイルモータ124、一対のYボイスコイルモータ128を用いて微動ステージ50をX軸方向、Y軸方向に駆動する。
以下に、微動ステージ50がY粗動ステージ23Yに対しX軸方向に駆動される場合を一例に説明する。先ず、Y粗動ステージ23Yに対し停止状態にある微動ステージ50が、X駆動装置70XによりY粗動ステージ23Yに対しX軸方向に加速される。微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対する相対速度が所定の目標速度に達したときに、Xボイスコイルモータ110への電流供給が停止されるとともに、一対のXボイスコイルモータ124への電流供給がなされる。これにより、微動ステージ50の駆動源がX駆動装置70Xから一対のXボイスコイルモータ124に切り替わり、微動ステージ50は、一対のXボイスコイルモータ124によりY粗動ステージ23Yに対し上記目標速度で等速駆動される。なお、上記切り替え後において、Xボイスコイルモータ110の電力供給は、必ずしも停止しなくても良い(弱い力を発生する状態にしておいても良い)。微動ステージ50がY粗動ステージ23Yに対しY軸方向に駆動される場合も同様である。
本第5の実施形態によると、微動ステージ50の加速時にのみX駆動装置70X、Y駆動装置70Yを用いることとしているので、X駆動装置70X及びY駆動装置70Yのそれぞれが備える一対のボイスコイルモータ110に位置決め精度が要求されない。従って、上記第1の実施形態に比べ、ボイスコイルモータ110のコストダウンを図ることができる。
また、微動ステージ50の等速運動時にのみボイスコイルモータ124、128を用いることとしているので、ボイスコイルモータ124、128に位置決め精度が要求されるものの、発生推力があまり要求されない(微動ステージ50の速度を一定速度に維持する程度であれば良い)。従って、微動ステージ50を直接的に駆動するボイスコイルモータ124、128として、発生推力が小さく小型で軽量な位置決め精度の高いものを用いることで、上記第1の実施形態に比べ、微動ステージ50の位置決め精度を向上させることができる。
また、微動ステージ50を直接的に駆動する一対のボイスコイルモータが、側面視で微動ステージ50の重心G1を挟む位置に配置されているので、微動ステージ50を水平方向に直進駆動又はθz方向に回転駆動できる。
なお、微動ステージ50の加速時に、X駆動装置70Xに併せて一対のXボイスコイルモータ124を用い、Y駆動装置70Yに併せて一対のYボイスコイルモータ128を用いても良い。この場合、仮にエアベアリング80の軸受剛性が低くても、微動ステージ50を高応答で加速できる。
《第6の実施形態》
図12には、第6の実施形態に係る基板ステージ装置PST3を−X方向から見た側面図が示されている。この図12と図11とを比較すると明らかなように、基板ステージ装置PST3では、前述のZボイスコイルモータ18zに代えて、微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに対しZ軸方向に駆動するZ駆動装置70Zが設けられている点が、基板ステージ装置PST2と相違している。
Z駆動装置70Zは、X駆動装置70X又はY駆動装置70Yを水平面に平行な軸線周りに90°回転させた構成とほぼ同様な構成を有している。すなわち、Z駆動装置70Zのボイスコイルモータ110(以下、Zボイスコイルモータ110と称する)は、その推力発生方向(電磁力発生方向)がZ軸方向になるように配置されている。また、Z駆動装置70Zは、例えば、ステージ本体51の4隅に対応する箇所などの少なくとも同一直線上にない3箇所に各1つ配置されている(なお、図12では、1つのZ駆動装置70Zのみを代表的に図示している)。従って、複数のZ駆動装置70Zを同期制御することにより微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに対しZ軸方向に直進駆動できる。また、複数のZ駆動装置70Zのそれぞれが発生する駆動力(具体的には、Zボイスコイルモータ110の発生推力)を互いに異ならせることにより微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに対しXY平面に対するチルト方向(例えば、θx方向及びθy方向)に駆動できる。
Z駆動装置70Zでは、エアベアリング380は、レバー73の長手方向他端部の上端にのみ取り付けられている。エアベアリング380は、その軸受面が、ステージ本体51の下面に固定されたベース303に所定クリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するように配置されている。Zボイスコイルモータ110の固定子111は、Y粗動ステージ23Yの上面に固定されたZ軸方向に延びる支持部材301にブラケット305を介して支持されている。Z駆動装置70Zのレバー113の基準位置(水平面に平行に延びる軸線周りの中立位置)は、レバー113の長手方向がXY平面に平行になる位置に設定されている。
本第6の実施形態によると、重量物である微動ステージ50をZ軸方向に駆動する際、複数のZ駆動装置70Zを用いるので、それぞれの駆動源であるZボイスコイルモータ110として発生推力の小さい小型で軽量な安価なものを用いて、高応答で微動ステージ50を上下動させることができる。
なお、本第6の実施形態では、複数のZ駆動装置70Zにより微動ステージ50を上下動させているが、必ずしもそうする必要はなく、例えば微動ステージ50を上昇させるときにZ駆動装置70Zを用い、微動ステージ50を下降させるときには、その自重を利用しても良い。
また、重量キャンセル装置40が、微動ステージ50の重量を完全にキャンセルできていない場合や、微動ステージ50の水平面に対するチルト方向の回転中心と、微動ステージ50の重心G1が一致していない場合には、微動ステージ50は傾くため、微動ステージ50にZ軸方向の大きな推力を作用させなければならないが、Z駆動装置70Zを用いることにより、上記第1及び第5の実施形態のようにZボイスコイルモータ18zにより微動ステージ50を直接的に駆動する場合に比べ、Zボイスコイルモータ110の推力が増幅されて微動ステージ50に伝達されるので、Zボイスコイルモータ110に掛かる負荷が軽減される。なお、図12では、軸受面が+Z側(上方)を向いたエアベアリング380のみがレバー113に取り付けられているが、これに限らず、軸受面が−Z側(下方)を向いたエアベアリング(不図示)をエアベアリング380の下方に(すなわちレバー113に一対のエアベアリングを)取り付けても良い。この場合、一対の対向面間に上記一対のエアベアリングが挿入される断面U字状の部材を微動ステージ50の下面に取り付けると良い。これにより、1つのZ駆動装置70Zにより、微動ステージ50を±Z方向に駆動できる。
《第7の実施形態》
図13には、第7の実施形態に係る基板ステージ装置PST4の断面図が示され、図14には、基板ステージ装置PST4を−X方向から見た側面図が示されている。基板ステージ装置PST4は、前述のX駆動装置70X、70Yに代えて、X駆動装置470X(図13参照)、Y駆動装置470Y(図14参照)が設けられている点が、前述の第5の実施形態に係る基板ステージ装置PST2と相違する。
本第7の実施形態に係るX駆動装置470Xでは、図13に示されるように、そのレバー113の上端部に、一対のエアベアリング118の代わりに一対の当接部材401がそれぞれ対向部材133に対向するように設けられている。
一対の当接部材401のそれぞれは、例えば半球状の部材から成り、レバー113の上端部に、対向する対向部材133側に突出するように(その頂部が対向部材133側に向くように)固定されている。本実施形態の対向部材133としては、上記第1、第5,第6の各実施形態の対向部材122よりも、硬くて衝撃に強い高剛性のものが好ましい。図13に示されるレバー113が基準位置にある状態で、一対の当接部材401それぞれの頂部と、これに対向する対向部材133の対向面との間には、例えば1mm〜5mm程度の均等なクリアランス(隙間、ギャップ)が形成されている。当接部材401の材質としては、鋼やセラミックスのような硬質なものでも良いし、エラストマのような柔らかいものでも良い。
Y駆動装置470Yは、図14に示されるように、X駆動装置470Xを微動ステージ50の重心G1を通りZ軸方向に延びる軸線周りに90°回転させた構成を有し、X駆動装置470Xと同様の作用及び効果を奏するので、その説明を省略する。
図13に示されるように、X駆動装置470Xのレバー113の上端部には、ギャップセンサ402Xが−X側の対向部材131に対向するように固定されており、これにより、当接部材401とこれに対向する対向部材133とのギャップ(間隔)を常時監視できるようになっている。同様に、図14に示されるように、Y駆動装置470Yのレバー113の上端部には、ギャップセンサ402Yが−Y側の対向部材133に対向するように固定されている。主制御装置は、ギャップセンサ402Xの出力に基づいてXボイスコイルモータ110(図13参照)を制御し、ギャップセンサ402Yの出力に基づいてYボイスコイルモータ110(図14参照)を制御することにより、当接部材401とこれに対向する対向部材133とのギャップを適宜調整する。
主制御装置は、例えば、微動ステージ50をX軸方向(例えば+X方向)に加速する際には、一対のXリニアモータ15を介してX粗動ステージ23X及びY粗動ステージ23Yを一体的にX軸方向(例えば+X方向)に加速するとともに、上記基準位置に位置するレバー113の下端部をXボイスコイルモータ110を介してX軸方向(例えば−X方向)に駆動する。これにより、レバー113が軸部材119の軸線周りの一方向(矢印Q方向)に揺動し、+X側の当接部材401が、+X側の対向部材133に当接(点接触)する。そして、レバー113は、軸部材119の軸線を支点とするてこの原理によりXボイスコイルモータ110の駆動力を増幅した状態で、当接部材401及び対向部材133を介してステージ本体51を+X方向に押圧する。これにより、微動ステージ50が+X方向に加速される。そして、微動ステージ50が所定の目標速度に到達したとき、主制御装置は、Xボイスコイルモータ110を制御して当接部材401を対向部材133から離間させるとともに、一対のXボイスコイルモータ124を同期駆動する。これにより、X駆動装置470Xから微動ステージ50への力の伝達が解除されて、微動ステージ50は一対のXボイスコイルモータ124により等速駆動される。なお、この場合のXボイスコイルモータ110の制御は、例えば、Xボイスコイルモータ110への供給電力を小さくすること、Xボイスコイルモータ110への電力供給を停止すること、Xボイスコイルモータ110を逆方向に駆動すること等である。なお、レバー113の下端部がXボイスコイルモータ110により+X方向に駆動される場合も同様である。
本第7の実施形態によると、上述のように、微動ステージ50を加速する際に、レバー113を回動させ、当接部材401を対向部材133に当接させて、微動ステージ50を押圧するので、その押圧時の剛性を高めることができる。従って、微動ステージ50を高応答で加速させることができる。
また、微動ステージ50を、所定の目標速度まで加速した後、等速駆動する際には、当接部材401を対向部材133から離間させるので、Y粗動ステージ23Yの振動が微動ステージ50に伝わることを防止できる。
《第8の実施形態》
図15には、第8の実施形態に係る基板ステージ装置PST5の断面図が示されている。基板ステージ装置PST5は、X駆動装置70X及びY駆動装置70Yに代えて、これらと構成が異なるX駆動装置570X及びこれと同様の構成のY駆動装置(不図示)が設けられている。
本第8の実施形態では、図15に示されるように、X駆動装置570X、支持フレーム85などが、Y粗動ステージ23Yの+X側部分の上面に設置されている。また、ステージ本体51に凹部51aが形成されておらず、X駆動装置570Xのレバー113は、その上端部が、ステージ本体51の+X側に位置するように配置されている。そして、レバー113の上端部とステージ本体51の+X端面とがロープ500により連結されている。ロープ500は、レバー113が上記基準位置に位置された状態で、レバー113とステージ本体51との間に張られた状態で架設されている。ロープ500としては、撚り線のワイヤーロープ、ケブラー(デュポン社の登録商標)製のロープなどの高強度なものが好ましい。また、一対のXボイスコイルモータ124それぞれの固定子125は、支持架台550及び支持部材106を介してY粗動ステージ23Yの上面に固定されている。なお、図15では、Xストッパ11などの図示が省略されている。
本第8の実施形態では、例えば微動ステージ50の+X方向の加速時に、Xボイスコイルモータ110により、レバー113の下端部が例えば−X方向に駆動されると、レバー113の上端部が+X方向に移動し、微動ステージ50がロープ500の張力により+X方向に駆動される。そして、微動ステージ50の速度が所定の目標速度に達したときに、Xボイスコイルモータ110によるレバー113の駆動が停止されるとともにXボイスコイルモータ124により微動ステージ50が+X方向に等速駆動される。このとき、ロープ500が緩み、ステージ本体51に、レバー113の駆動が停止される際のレバー113からの反力が伝わらない。
本第8の実施形態によると、X駆動装置570Xが、Xボイスコイルモータ110によりレバー113を揺動させてロープ500の張力により微動ステージ50を駆動する構成とされているので、ロープ500が張っているときはレバー113に作用する力が微動ステージ50に伝達されるが、ロープ500が緩るんでいるときはレバー113に作用する力が微動ステージ50に伝達されない。従って、微動ステージ50がX駆動装置570Xにより駆動されているときにレバー113の揺動が停止されると、ロープ500が緩むので、レバー113からの反力が微動ステージ50に伝わることを防止できる。これにより、微動ステージ50の駆動源をX駆動装置570XからXボイスコイルモータ124にスムーズに切り替えることができる。
以上、微動ステージ50を+X方向に引っ張る(駆動する)構成のX駆動装置570Xを説明したが、基板ステージ装置PST5は、X駆動装置570Xと同様な構成を有し、微動ステージ50を−X方向に引っ張る構成のX駆動装置(不図示)、微動ステージ50を+Y方向及び−Y方向それぞれに引っ張る構成のY駆動装置(不図示)も有しており、微動ステージ50を−X方向、+Y方向、−Y方向に駆動することもできる。
《第9の実施形態》
図16には、第9の実施形態に係る基板ステージ装置PST6の断面図が示されている。本第9の実施形態では、基板ステージ装置PST6のX駆動装置670X(図16参照)及びY駆動装置(不図示)のそれぞれが備えるレバー113と、微動ステージ50との連結方法が、上記第8の実施形態と相違する。
基板ステージ装置PST6では、図16に示されるように、支持フレーム85は、ステージ本体51の下面に形成された凹部51cの真下に設置されている。凹部51c内には、X駆動装置670Xのレバー113の上端部が挿入されており、この上端部の−X端及び+X端が、それぞれステージ本体51の凹部51cの−X側の内壁面及び+X側の内壁面に例えばロープ600を介して連結されている。−X側及び+X側のロープ600は、レバー113が図16に示される基準位置に位置する状態で所定量(同量)撓んでいる。従って、レバー113は、上記基準位置付近に位置するときにステージ本体51に拘束されない。
本第9の実施形態では、例えば微動ステージ50の+X方向の加速時に、基準位置にあるレバー113がXボイスコイルモータ110により例えば図16の矢印Q方向に揺動されると、+X側のロープ600は更に撓み、−X側のロープ600が張ってこのロープ600の張力により微動ステージ50が+X方向に移動する。微動ステージ50の速度が所定の目標速度に達したときに、Xボイスコイルモータ110が停止されるとともに一対のXボイスコイルモータ124により微動ステージ50が+X方向に等速駆動される。このとき、−X側のロープ600が緩み、レバー113の揺動が制限される際のレバー113からの反力が微動ステージ50に伝わることが防止される。なお、例えば微動ステージ50の−X方向の加速時に、基準位置にあるレバー113が例えば図16の矢印R方向に揺動される場合も同様である。
本第9の実施形態によると、レバー113は基準位置付近に位置するときに微動ステージ50に拘束されないので、微動ステージ50がY粗動ステージ23Yに対し中立位置付近に位置するときに、微動ステージ50は抵抗なくあらゆる方向に微少移動可能であるとともに、微動ステージ50にY粗動ステージ23Yに発生する振動がレバー113を介して伝わることが抑制される。
なお、本第9の実施形態のY駆動装置(不図示)は、X駆動装置670Xを微動ステージ50の重心G1を通りZ軸に平行な軸線周りに回転させた構成を有し、X駆動装置670Xと同様の作用及び効果を奏するので、その説明を省略する。
《第10の実施形態》
次に、第10の実施形態について説明する。この実施形態では、上記第1の実施形態と比べ、液晶露光装置におけるマスクステージ装置の構成が異なるのみなので、マスクステージ装置について説明し、上記第1の実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
本第10の実施形態に係るマスクステージ装置MST5は、図17に示されるように、一対のマスクステージガイド35、及び一対のマスクステージガイド35上にエアベアリング27(図17及び図18(A)参照)を介して非接触状態(浮上した状態)で搭載されたマスクステージ20、マスクステージ20を駆動するためのマスクステージ駆動系770、及びこれらの制御系等を含む。
マスクステージ装置MST5では、一対のマスクステージガイド35、マスクステージ20、及びマスクステージ20のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測する各一対のXレーザ干渉計72X、Yレーザ干渉計72Yを含むレーザ干渉計システムなどは、前述の第1の実施形態に係るマスクステージ装置MSTと同様に構成されている。従って、以下では、マスクステージ駆動系770について説明する。
マスクステージ駆動系770は、図17に示されるように、一対のサブステージ装置160、一対のXボイスコイルモータ101a、101b、1つのYボイスコイルモータ96a、及び一対のサブステージ装置160のそれぞれが備える一対のXステージ(Xテーブル)83Xa、83Xbのそれぞれとマスクステージ20とを接続する複数(例えば4つ)のフレクシャ装置150を含む。
一対のサブステージ装置160は、一方がボディ30(図1参照)の+Y側、他方がボディ30の−Y側に、それぞれボディ30に対して離間した状態で床130(図1参照)上に設置されている。なお、+Y側のサブステージ装置160の支持架台74aが−Y側のサブステージ装置160の支持架台74bよりも低い点(図18(A)参照)、及び+Y側のサブステージ装置160が後述するYボイスコイルモータ96aを構成する固定子93を有している点(図18(B)参照)を除き、一対のサブステージ装置160は、同じ機能を有するため、その構成要素を含み、便宜上同じ符号を付して説明する。
一対のサブステージ装置160は、それぞれ、前述したXビーム61及びXステージ83Xa、83Xbを有している。Xビーム61は、図18(A)に示されるように、床130(図18(A)では不図示。図1参照)上に設置された支持架台74a、74b上に搭載されている。Xビーム61の上面中央部には、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット82が固定されている。また、Xビーム61の上面であって、磁石ユニット82の+Y側、及び−Y側それぞれには、X軸方向に延びるXリニアガイド部材77が固定されている。
Xステージ83Xa,83Xbそれぞれの下面中央部には、磁石ユニット82に所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向するコイルユニット86が固定されている。コイルユニット86は、磁石ユニット82と共にXステージ83Xa,83XbのそれぞれをX軸方向に所定のストロークで駆動するためのXリニアモータ87a、87bを構成している。Xリニアモータ87a、87bとしては、コイルユニット86(可動子)と磁石ユニット82(固定子)との距離が変わらないことから、例えばコア付きコイルを含むリニアモータが使用される。また、Xステージ83Xa,83Xbそれぞれの下面には、転動体(例えば複数のボール、あるいはローラなど)を含み、Xリニアガイド部材77にスライド自在に係合するXスライダ79が複数(例えば、1つのXリニアガイド部材77につき2つ)固定されている。Xステージ83Xa,83XbのX軸方向に関する位置情報は、例えばXビーム61に取り付けられたXリニアスケールとXステージ83Xa,83Xbのそれぞれに取り付けられた検出器(ヘッド)とを含む不図示のエンコーダシステムにより求められる。
図18(B)に示されるように、一対のXボイスコイルモータ101a、101bは、一方がマスクステージ20の+Y側に配置され、他方がマスクステージ20の−Y側に配置されている。−Y側のXボイスコイルモータ101bは、マスクステージ20の上面の−Y側の端部近傍のX軸方向の中央部にブラケット59を介して固定された可動子107と、−Y側のXステージ83Xbの+Y側の端部に支持部材109を介して固定された固定子105とを含む。+Y側のXボイスコイルモータ101aは、マスクステージ20の下面の+Y側の端部近傍のX軸方向の中央部にブラケット59を介して固定された可動子107と、+Y側のXステージ83Xaの−Y側の端部に支持部材109を介して固定されたX固定子105とを含む。Yボイスコイルモータ96aは、マスクステージ20の+Y側の側面のX軸方向の中央部に固定された可動子92と、+Y側のXステージ83Xaの上面に支持部材109aを介して固定された固定子93とを含む。
2つ可動子107、及び可動子92は、それぞれYZ断面U字状の部材から成り、その一対の対向面には、永久磁石を含む磁石ユニット(不図示)が取り付けられている。また、2つのX固定子105、及びY固定子93は、それぞれ不図示のコイルユニットを有しており、そのコイルユニットが対応する可動子107、可動子92の一対の対向面間(磁石ユニット間)に所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して挿入されている。Xボイスコイルモータ101a,101bは、磁石ユニットとコイルユニットとの電磁相互作用によりマスクステージ20をXステージ83Xa、83Xbに対してX軸方向に電磁力(ローレンツ力)により微少駆動することができる。ここで、2つのXボイスコイルモータ101a,101bは、マスクステージ20の重心位置CGに関して点対称となる位置に配置されている。従って、2つのXボイスコイルモータ101a,101bを用いてマスクステージ20に推力を作用させる際、マスクステージ20にθy方向のモーメント(ピッチングモーメント)が作用することを抑制できる。
また、マスクステージ装置MST5では、2つのXボイスコイルモータ101a,101bの推力を異ならせることにより、一対のXステージ83Xa、83Xbに対してマスクステージ20をその重心位置CGを通るZ軸に平行な軸線周りに(θz方向)に微少駆動できる(図17参照)。また、Yボイスコイルモータ96aは、磁石ユニットとコイルユニットとの電磁相互作用によりマスクステージ20をXステージ83Xaに対してY軸方向に電磁力(ローレンツ力)により微少駆動することができる。
図17に戻り、例えば4つのフレクシャ装置150は、+Y側のXステージ83Xaの+X側、及び−X側、並びに−Y側のXステージ83Xbの+X側、及び−X側にそれぞれ1つずつ設けられている。例えば4つのフレクシャ装置150それぞれの構成は、実質的に同じであるので、以下、そのうちの1つについて説明する。なお、図17では、例えば4つのフレクシャ装置150は、それぞれ簡略化して示されている。
図20(A)及び図20(B)に示されるように、フレクシャ装置150は、一対のブラケット155、一対のブラケット155のそれぞれに軸部材152を介してθz方向に回転自在に支持された一対の回転部材153、及び一端が一対の回転部材153の一方に接続され、他端が一対の回転部材153の他方に接続されたロープ154を備えている。一対のブラケット155は、それぞれXZ断面U字状の部材から成り、一方がマスクステージ20にブラケット173を介して固定され、他方がブラケット171を介してXステージ83Xbに固定されている(図19参照)。ロープ154は、可撓性(あるいは柔軟性)を有し、かつ長手方向の剛性(伸び剛性)が高ければ、例えば金属製(複数の鋼線を撚り合わせたもの)でも、合成樹脂製でも良い。なお、図19(及び後述する図21(A)〜図21(C))では、図面の錯綜を避けるため、サブステージ装置160のXビーム61(図17参照)の図示が省略されている。
ここで、図19に示されるように、Xボイスコイルモータ101bが中立状態(可動子107が固定子105に対して+X方向、及び−X方向にそれぞれ同じストロークだけ移動可能な状態)にあるとき、Xステージ83Xb(又は83Xa)の+X側のフレクシャ装置150,及び−X側のフレクシャ装置150それぞれのロープ154が撓んだ状態となるように、各ロープ154の長さが設定されている。従って、上記中立状態では、マスクステージ20は、Xステージ83Xb(又は83Xa)に拘束されず、Xステージ83Xb(又は83Xa)に対して3自由度(X軸、Y軸、及びθz方向)に微少ストロークで相対移動が可能となっている(実際には、Z軸、θx、及びθy方向も含む計6自由度方向に相対移動可能)。
また、+Y側の2つのフレクシャ装置150と、−Y側の2つのフレクシャ装置150とは、上記2つのXボイスコイルモータ101a、101bと同様に、マスクステージ20の重心位置CGに関して点対称となる位置に配置されている(図18(B)参照)。
Xステージ83Xb(又は83Xa)に対するマスクステージ20の相対位置情報は、ブラケット171を介してXステージ83Xb(又は83Xa)に固定されたギャップセンサ172により、ブラケット173を介してマスクステージ20に取り付けられたターゲット174を介して求められる。ギャップセンサ172は、図17に示されるように、例えば4つのフレクシャ装置150に対応して、例えば4つ設けられている。なお、ギャップセンサ172とターゲット174との位置関係は、逆であっても良い。
本第10の実施形態に係る液晶露光装置は、マスクステージ装置以外の各部の構成は、前述した第1の実施形態に係る液晶露光装置10と同様になっている。
以上のようにして構成された本第10の実施形態に係る液晶露光装置では、前述の第1の実施形態と同様に、不図示の主制御装置の管理の下、あるいは主制御装置によって、マスクステージ20に対するマスクMの搬入(ロード)が行われるとともに、微動ステージ50上への基板Pの搬入(ロード)、アライメント計測などの準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
以下、上記ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時におけるマスクステージ装置MST5の動作について説明する。上記ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時において、ストロークエンドの一端側に位置するマスクステージ20は、停止状態からX軸方向に加速された後、所定の等速度で駆動されるとともに、露光動作の完了に応じて減速(進行方向に対してマイナス方向に加速)され、ストロークエンドの他端側で停止される。以下、一例として、図21(A)〜図21(C)を用いてマスクステージ20が+X方向に移動する際の動作を説明する。以下のマスクステージ装置MST5の動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。また、マスクステージ20を駆動する際、一対のXステージ83Xa、83Xb(図17参照)は、同期駆動されることから、図21(A)〜図21(C)では、−Y側のXステージ83Xbのみが図示され、+Y側のXステージ83Xaが不図示とされている。
停止状態のマスクステージ20を+X方向に加速する際、主制御装置は、図21(A)に示されるように、先ず一対のXリニアモータ87a、87b(図18(A)参照)のそれぞれを用いて一対のXステージ83Xa、83Xb(図21(A)では、+Y側のXステージ83Xaは不図示)をX軸方向に駆動する(加速させる)。この際、一対のXボイスコイルモータ101a、101bそれぞれのX可動子107が有するコイルユニットに対する電力供給は停止されており、マスクステージ20は、XY平面内の位置が拘束されない状態となっている。
このため、Xステージ83Xa、83Xbが+X方向に加速されると、Xステージ83Xa、83Xbそれぞれの−X側(Xステージ83Xa、83Xbの進行方向とは反対側)のフレクシャ装置150がそれぞれ有するロープ154に張力が作用する。そして、ロープ154の撓みがなくなった(緊張した)状態となると、ロープ154の剛性により、マスクステージ20がXステージ83Xa、83Xbに牽引されることにより、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とが一体的に+X方向に加速される。この際、Xステージ83Xa、83Xbそれぞれの+X側のフレクシャ装置150それぞれのロープ154は、図19に示される中立位置よりも撓んだ状態となる。また、上述したように、+Y側の2つのフレクシャ装置150と−Y側の2つのフレクシャ装置150とが、マスクステージ20の重心位置CG(図17参照)に関して点対称となる位置に配置されていることから、ロープ154を介してマスクステージ20を牽引する際、マスクステージ20にθy方向(ピッチング方向)のモーメントが作用することが抑制される。また、主制御装置は、複数のギャップセンサ172の出力に基づいて、一対のXステージ83Xa、83Xbそれぞれのマスクステージ20に対するX軸方向に関する相対位置を適切に制御することにより、マスクステージ20にθz方向(ヨーイング方向)のモーメントが作用することを抑制する。
この後、マスクステージ20(マスクM(図17参照))が所定の等速度に到達したことが一対のXレーザ干渉計72X(図17参照)の出力に基づいて計測されると、主制御装置は、複数のギャップセンサ172の出力に基づいて、マスクステージ20が図21(B)に示される中立位置に位置するようにXステージ83Xa、83Xbの位置制御を行い、その中立位置にマスクステージ20が位置した状態で、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20との相対速度がゼロとなるように、Xボイスコイルモータ101a、101bそれぞれの固定子105がそれぞれ有するコイルユニットに対して電力を供給し、Xボイスコイルモータ101a、101bを用いてマスクステージ20を電磁的に誘導する。これにより、一対のXステージ83Xa、83Xb(図17参照)とマスクステージ20とが、一体的に+X方向に所定の一定速度で移動する。
ここで、マスクステージ20が+X方向に所定の一定速度で移動する際、Xステージ83Xa、83Xbそれぞれの+X側、及び−X側のフレクシャ装置150のロープ154が撓んだ(弛緩した)状態となる。従って、マスクステージ装置MST5では、上記アライメント計測の結果に基づいて、一対のXボイスコイルモータ101a、101b(図18(B)参照)を用いてマスクステージ20をθz方向に微少駆動すること、及びYボイスコイルモータ96a(図21(B)では不図示。図18(B)参照)を用いてマスクステージ20をY軸方向に微少駆動することができる。これにより高精度の露光動作が可能となる。
また、マスクステージ装置MST5では、1つのショット領域に対する露光動作の終了後、次に露光予定のショット領域に対する露光動作に備えてマスクステージ20が減速される。マスクステージ20が減速される際、主制御装置は、Xボイスコイルモータ101a。101bそれぞれの固定子105、105が有するコイルユニットに対する電力供給を停止するとともに、一対のXリニアモータ87a、87bを用いてXステージ83Xa、83Xbを減速する。これにより、図21(C)に示されるように、一対のマスクステージガイド35(図21(C)では不図示。図17参照)に浮上支持されたマスクステージ20が、Xステージ83Xa、83Xbに対して(先行して)慣性により+X方向に移動する。そして、マスクステージ20がXステージ83Xa、83Xbに対して+X方向に移動すると、Xステージ83Xa、83Xbそれぞれの+X側のフレクシャ装置150が有するロープ154に張力が作用する。そして、ロープ154の撓みがなくなった状態となると、ロープ154の剛性により、マスクステージ20に制動力が作用する。これにより、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とが一体的に減速(−X方向に加速)される。
以上説明したように、本第10の実施形態に係るマスクステージ装置MST5によれば、Xステージ83Xa、83Xbがフレクシャ装置150を介して牽引することによりマスクステージ20が加速され、Xステージ83Xa、83Xbがフレクシャ装置150を介して制動力を作用させることによりマスクステージ20が減速される。ここで、停止状態のマスクステージ20を加速させる方法、あるいは等速移動中のマスクステージ20を減速させる方法としては、Xボイスコイルモータ101a、101bを用いる方法が考えられる。この場合、フレクシャ装置150がなくてもマスクステージ20を任意に駆動(加速、又は減速)することができるが、マスクステージ20に大きな推力を作用させなければならず、大型のボイスコイルモータを用いる(あるいはボイスコイルモータの数を増やす)必要がある。これに対し、本実施形態では、マスクステージ20を駆動するためXボイスコイルモータ101a、101bに大推力が要求されない(マスクステージ20を等速で誘導でき、かつ等速移動中のマスクステージ20をθz方向に微少駆動できる程度の推力で足りる)。これにより、Xボイスコイルモータ101a、101b(可動子107、及び固定子105)として小型(軽量)なものを用いることができる。これにより、マスクステージ20の運動性能及び位置制御性を向上させることができるとともに、コストダウンを図ることができる。
また、発生推力が小さい小型のXボイスコイルモータ101a、101bを用いることができるので、固定子105が有するコイルユニット(不図示)から発生する熱量が小さく、マスクステージ20を駆動するために推力を発生し続けても、マスクステージ20周辺の温度上昇を抑制できる。
また、フレクシャ装置150は、予めXステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とを機械的に連結しているので、例えばXステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20との連結、非連結状態を機械的に切り換えるアクチュエータ(例えばクランプ装置など)を設ける場合に比べ、構成が簡単であり(駆動源などを要しない)、かつ上記連結、非連結状態の切替動作が必要ないことから、迅速にマスクステージ20を駆動できる。また、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とを非接触とし、マスクステージ20がXステージ83Xa、83Xbに押圧される構成とすることも考えられるが、この場合、振動、発塵などを考慮する必要がある。これに対し、本実施形態では、予めXステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20とが連結されているので、加減速時の衝撃、発塵などが抑制される。
また、マスクステージ20が等速移動する際、各フレクシャ装置150のロープ154は、撓んだ状態とされるため(図21(B)参照)、Xステージ83Xa、83Xbとマスクステージ20との間における振動の伝達が抑制される。
なお、マスクステージ装置MST5の構成は、上記第10の実施形態に記載したものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、ロープ154を含むフレクシャ装置150(図20(A)及び図20(B)参照)に替えて、以下に説明する図22(A)及び図22(B)に示されるような薄い鋼板194を含むフレクシャ装置190を用いても良い。フレクシャ装置190は、上記実施形態と同様に一対のブラケット191、一対のブラケット191のそれぞれに軸部材192を介してθz方向に回転自在に支持された一対の回転部材193、及び一端が一方の回転部材193に取付板195を介して接続され、他端が他方の回転部材193に取付板195を介して接続された鋼板194を含む。回転部材193及び取付板195,取付板195及び鋼板194は、それぞれ複数のリベット196を介して互いに固定されている。フレクシャ装置190の機能、及び動作は、上記実施形態と同様なので説明は省略する。
また、フレクシャ装置150におけるロープ154(あるいはフレクシャ装置190における鋼板194)は、その両端部がθz方向に回転可能であれば、例えばボールジョイント、ヒンジ装置のような滑節装置を用いてブラケット171、及びブラケット173間に架設されても良い。また、上記第10の実施形態(又はその変形例)では、マスクステージ20とXステージ83Xa、83Xbとが、+X側、及び−X側それぞれにおいて、1つのフレクシャ装置150(又はフレクシャ装置190)により接続されたが、フレクシャ装置150(又はフレクシャ装置190)が複数用いられても良い。
また、Xボイスコイルモータ101a、101b、Yボイスコイルモータ96aは、それぞれムービングマグネット型であったが、これに限らずムービングコイル型であっても良い。ただし、マスクステージ20に電力供給用ケーブルを配線する必要がないこと、発熱源であるコイルをマスクステージ20から遠ざけることができることから、振動伝達の抑制、軽量化、露光精度の向上などを図れるため、ムービングマグネット型のボイスコイルモータを用いることが好ましい。
また、例えばアライメント動作時など、マスクステージ20をX軸方向に精度良く微少駆動する際などには、マスクステージ20を加速する場合であっても、一対のXステージ83Xa、83Xbを用いてマスクステージ20を牽引せず、2つのXボイスコイルモータ101a、101bを用いて一対のXステージ83Xa、83Xbに対してマスクステージ20を駆動しても良い。また、マスクMの位置決め精度が要求されない場合には、マスクステージ20を等速移動させる際であっても、フレクシャ装置150(又はフレクシャ装置190)を介してXステージ83Xa、83Xbによりマスクステージ20を牽引しても良い(Xボイスコイルモータ101a、101bによる誘導を行わなくても良い)。
《第11の実施形態》
次に、第11の実施形態について、図23〜図27(B)に基づいて説明する。本第11の実施形態では、上記第1の実施形態と比べ、液晶露光装置における基板ステージ装置の構成が異なるのみなので、基板ステージ装置について説明し、上記第1の実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第11の実施形態に係る液晶露光装置が有する基板ステージ装置PST7は、X駆動装置70X、Y駆動装置70Y、Xストッパ装置90X、及びYストッパ装置90Yに代えて、微動ステージXY駆動系、Xスイッチング装置1070X、及びYスイッチング装置1070Yが設けられている点が、前述の基板ステージ装置PSTと相違するが、その他の部分の構成は、同様になっている。以下、相違点を中心として説明する。
前記微動ステージXY駆動系は、図27(A)に示されるように、微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに対して3自由度方向(X,Y,θz方向)に微少駆動するための複数のボイスコイルモータ(Xボイスコイルモータ18x、及びYボイスコイルモータ18y)を含む。なお、図27(A)及び図27(B)では、図面の錯綜を避ける観点から基板ホルダ53,X移動鏡22X,Y移動鏡22Y、X粗動ステージ23Xなどの図示が省略されている。
Xボイスコイルモータ18xは、ステージ本体51の+X側に、Y軸方向に所定間隔で、例えば2つ設けられている。2つのXボイスコイルモータ18xは、微動ステージ50の重心位置G1を通るXZ平面に平行な面に対して対称に配置されている。また、2つのXボイスコイルモータ18xのZ位置は、図24に示されるように、微動ステージ50の重心位置G1のZ位置とほぼ一致している。従って、2つのXボイスコイルモータ18xが微動ステージ50を微少駆動する際、その推力が微動ステージ50の重心位置G1に作用した場合と同様に、ピッチング方向(θy方向)のモーメントが抑制される。以下、微動ステージ50を駆動する際、その重心位置G1に推力を作用させるのと同様に駆動することを重心駆動と称して説明する。さらに、2つのXボイスコイルモータ18xは、その推力を異ならせることにより、微動ステージ50を、その重心位置G1を通るZ軸に平行な軸線周り方向に(θz方向)に微少駆動できる。図27(A)に戻り、Yボイスコイルモータ18yは、X軸方向に所定間隔で、例えば2つ設けられている。例えば2つのYボイスコイルモータ18yは、上記2つのXボイスコイルモータ18xを、微動ステージ50の重心位置G1を通るZ軸に平行な軸線周りに90°回転させたような構成を有しているので、詳細な説明を省略する。なお、図面の錯綜を避ける観点から、図23ではXボイスコイルモータ18x及びYボイスコイルモータ18yの、図24ではYボイスコイルモータ18yの図示がそれぞれ省略されている。
Xボイスコイルモータ18xは、図24に示されるように、Y粗動ステージ23Yの上面に固定された柱状の支持部材114の先端部(+Z側の端部)に固定部材37を介して取り付けられた固定子125と、ステージ本体51の側面に支持部材188を介して取り付けられた可動子126とを含む。可動子126は、YZ断面U字状の部材から成り、その一対の対向面に永久磁石を含む磁石ユニットを有している。また、固定子125は、可動子126の一対の対向面間(一対の磁石ユニット間)に挿入されるコイルを含むコイルユニットを有している。固定子125と可動子126との間には、Y軸、及びZ軸方向に関して所定の(微動ステージ50をY軸方向、あるいはθz方向、またはZ軸方向、あるいはθx方向、θy方向に微少駆動しても互いに接触しない程度の)クリアランス(隙間、ギャップ)が形成されている。なお、Xボイスコイルモータ18x、Yボイスコイルモータ18yは、図27(A)及び図27(B)では理解を容易にするため、それぞれ固定子、及び可動子の向きが図24とは異なって示されているが、図27(A)及び図27(B)に示されるような向きで配置されても良い。
Xスイッチング装置1070Xは、図23に示されるように、ステージ本体51の+X側に配置されている。Xスイッチング装置1070Xは、図25(A)(図23の拡大図に相当)及び図25(B)に示されるように、XY断面の輪郭(外郭)形状が楕円の回転楕円体273、XY平面に平行な板状部材283などを含む。
回転楕円体273は、図23に示されるように、ステージ本体51の+X側の端面にブラケット282を介して固定された直方体状の筐体181内に収容されている。筐体181は、図24に示されるように、一対の固定部材37間に配置されている。筐体181は、図25(A)及び図25(B)から分かるように、その−Z側の面(底面)、+Y側の面及び−Y側の面(側面)それぞれに開口が形成されている。
回転楕円体273の中央には、Z軸方向に貫通する貫通孔273aが形成されており、該貫通孔273aには、軸部材277が、その軸線がZ軸に平行に、かつ回転楕円体273の中心を通って挿通されている。軸部材277に回転楕円体273は固定されており、両者は一体的に回転する。軸部材277の軸線のY位置は、微動ステージ50の重心位置G1のY位置に概ね一致している(図24参照)。なお、回転楕円体273と軸部材277とは、一部品で形成されても良い。
軸部材277は、回転楕円体273の+Z側、及び−Z側の部分(貫通孔273aから突出した部分)が、筐体181の内壁に固定された軸受279(例えば玉軸受)によりθz方向(Z軸周り)に回転自在に支持されている。また、軸部材277の−Z側の部分は、筐体181の−Z側の開口から下方に突き出しており、筐体181の下面にスペーサ298を介して固定された、例えばモータなどを含む駆動装置299に接続されている。軸部材277及び回転楕円体273は、駆動装置299によりθz方向に駆動される。
板状部材283は、図24に示されるように、一対の固定部材37間に架設されている。板状部材283は、図25(B)に示されるように、そのY軸方向中間部が筐体181内に挿通され、その+Y側、及び−Y側の端部それぞれが筐体181の外側に突き出している。板状部材283の+Y側及び−Y側の端部それぞれは、一対の固定部材37それぞれの対向面から突き出したつば部37aに複数のボルト289を介して固定されている。
また、板状部材283の中央には、Y軸方向を長手方向とする平面視矩形の開口部283aが形成されている。開口部283aのX軸方向の寸法は、回転楕円体273の長軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。回転楕円体273は、図25(B)及び図26(B)に示されるように、筐体181内において、開口部283a内に挿入されており、その外周面は、板状部材283の開口部283aを区画する内壁面に対向している。板状部材283のZ位置、及び回転楕円体273のZ位置は、それぞれ微動ステージ50の重心位置G1のZ位置に概ね一致している(図24参照)。
図25(B)に示される状態では、軸部材277は、その軸線が開口部283aのほぼ中心に位置している。そして、回転楕円体273の長軸がX軸に平行になっており、回転楕円体273と板状部材283とのX軸方向のクリアランス(隙間、ギャップ)が最小(例えば1mm以下)となっている。これにより、Y粗動ステージ23Yと微動ステージ50(それぞれ図23、図24など参照)とのX軸方向の相対移動距離が、例えば±1mm以下に制限されている。これに対し、図26(B)に示される状態では、軸部材277は、その軸線が開口部283aのほぼ中心に位置しているが、回転楕円体273の長軸がY軸に平行になっており、回転楕円体273と板状部材283とのX軸方向に関するクリアランス(隙間、ギャップ)が最大(例えば3mm以上)となっている。これにより、X軸方向に関して、Y粗動ステージ23Yと微動ステージ50(それぞれ図23、図24参照)とのX軸方向の相対移動距離が、例えば±3mm以上(+方向および−方向にそれぞれ3mm以上)許容されている。以下、図25(A)、及び図25(B)に示される長軸がX軸に平行とされた回転楕円体273のθz位置を制限位置と称し、図26(A)及び図26(B)に示される長軸がY軸に平行とされた回転楕円体273のθz位置を許容位置と称して説明する。なお、Yスイッチング装置1070Yは、Xスイッチング装置1070Xを微動ステージ50の重心位置G1を通るZ軸に平行な軸線周りに90°回転させた構成を有するため(例えば図27(A)及び図27(B)参照)、その説明を省略する。
基板ステージ装置PST7では、例えばXスイッチング装置1070Xにおいて回転楕円体273が上記制限位置(図25(A)、及び図25(B)参照)に位置された状態でY粗動ステージ23YがX軸方向(+X方向、又は−X方向)に移動すると、図27(A)に示されるように、板状部材283の開口部283aの内壁面と、回転楕円体273の外周面とが当接(線接触)し、微動ステージ50がY粗動ステージ23Y(それぞれ図23参照)と一体的にX軸方向に移動する。
基板ステージ装置PST7以外の構成部分は、投影光学系として等倍系が用いられ、マスクステージ20がクロススキャン方向に微動のみ可能である点を除き、前述した第1の実施形態に係る露光装置と同様に構成されている。
以上のようにして構成された本第11の実施形態に係る液晶露光装置では、前述の第1の実施形態と同様に、不図示の主制御装置の管理の下、あるいは主制御装置によって、マスクステージ20に対するマスクMの搬入(ロード)が行われるとともに、微動ステージ50上への基板Pの搬入(ロード)、アライメント計測などの準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
上記露光動作時、アライメント動作時、あるいは基板交換動作時などにおいて、主制御装置は、一対のXリニアモータ15(図24参照)によりX粗動ステージ23Xをスキャン方向であるX軸方向(+X方向又は−X方向)に駆動する。これにより、Y粗動ステージ23Y、重量キャンセル装置40などもX粗動ステージ23Xと共にX軸方向に移動する。
ここで、主制御装置は、例えば微動ステージ50(すなわち基板P)が停止している状態から、その微動ステージ50を所定の等速度で移動させるためにX粗動ステージ23Xを駆動(加速)する際、Xスイッチング装置1070Xの回転楕円体273を図25(A)及び図25(B)に示される制限位置に位置させる。回転楕円体273が制限位置に位置した状態でX粗動ステージ23X(図23、図24など参照)が加速されると、図27(A)に示されるように、回転楕円体273が板状部材283に押圧されることにより、微動ステージ50がY粗動ステージ23Yと一体的にX軸方向に加速される。この際、Yスイッチング装置1070Yの回転楕円体(不図示)は、微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対するY軸方向への相対移動が許容された許容位置に位置される。
また、主制御装置は、微動ステージ50が所定の目標速度に達する直前に2つのXボイスコイルモータ18xを制御して、微動ステージ50がY粗動ステージ23Yと同速度で同方向に移動するように、微動ステージ50に推力を作用させる。さらに、主制御装置は、2つのXボイスコイルモータ18xの推力発生とほぼ同時に、Xスイッチング装置1070Xの駆動装置299(図25(A)参照)を制御して、回転楕円体273を90°回転させ、図26(A)及び図26(B)に示される許容位置に位置させる。この状態では、図27(B)に示されるように、Xスイッチング装置1070X、及びYスイッチング装置1070Yの回転楕円体273がそれぞれ許容位置に(図26(A)及び図26(B)参照)に位置していることから、主制御装置は、Y粗動ステージ23Yにより一対のXボイスコイルモータ18xを用いてX軸方向に等速で誘導される微動ステージ50を、一対のYボイスコイルモータ18yを制御して適宜Y軸方向、及び/又はθz方向にも微少駆動することができる(θz方向への位置制御は、一対のXボイスコイルモータ18xを用いても良い)。
また、主制御装置は、上記等速移動する微動ステージ50を減速させる際には、再びXスイッチング装置1070Xの回転楕円体273を制限位置(図25(A)及び図25(B)参照)に位置させるとともに、一対のXボイスコイルモータ18xへの給電を停止する(あるいは給電を停止せずに一対のXボイスコイルモータ18xを減速方向に働かせる)。この状態でX粗動ステージ23X(図23、図24など参照)が減速されると、微動ステージ50は、重量キャンセル装置40上にXY平面に平行な方向に関してほぼ摩擦のない状態で搭載されていることから、慣性によりX粗動ステージ23Xに対してX軸方向に移動し、回転楕円体273、及び板状部材283とが当接する。これにより、微動ステージ50に制動力が作用する。
また、微動ステージ50をY軸方向に加速、又は減速する際には、主制御装置は、Yスイッチング装置1070Yを用いてY軸方向に関して微動ステージ50のY粗動ステージ23Yに対する相対移動を制限した状態で、Y粗動ステージ23Yを用いて(Yリニアモータにより)微動ステージ50を駆動する。また、微動ステージ50をY軸方向に等速移動させる際には、Yスイッチング装置1070Yの回転楕円体273を許容位置に位置させ、一対のYボイスコイルモータ18yを用いて微動ステージ50がY粗動ステージ23Yと一体に移動するように電磁的に誘導する。
以上説明した本第11の実施形態の基板ステージ装置PST7によれば、Xスイッチング装置1070X、又はYスイッチング装置1070Yを用いて微動ステージ50をY粗動ステージ23Yに実質的に拘束した状態で、X粗動ステージ(Xリニアモータ15)、又はY粗動ステージ23Y(Yリニアモータ60)を用いて微動ステージ50を加減速させる。ここで、仮にXボイスコイルモータ18x、あるいはYボイスコイルモータ18yを用いて停止している微動ステージ50を加速、あるいは等速移動中の微動ステージ50を減速させるためには、微動ステージ50に大きな推力を作用させなければならず、大型のボイスコイルモータを用いる(あるいはボイスコイルモータの数を増やす)必要がある。これに対し、本実施形態では、微動ステージ50を駆動するための複数のボイスコイルモータに大推力が要求されない(微動ステージ50を等速で誘導できる程度の推力で足りる)。これにより、ボイスコイルモータとして小型(軽量)なものを用いること、又はボイスコイルモータの数を少なくすることができ、微動ステージ50の運動性能及び位置制御性を向上させることができるとともに、コストダウンを図ることができる。
また、発生推力が小さい小型のボイスコイルモータを用いることができる(あるいはボイスコイルモータを減らすことができる)ので、固定子74が有するコイルユニット(不図示)から発生する熱量が小さく、仮に微動ステージ50を微少駆動するために推力を発生し続けても、微動ステージ50及びその周辺部材の温度上昇を抑制できる。
さらに、回転楕円体273は、その回転により許容位置から制限位置に移動するので、その動作時に微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの相対位置(相対距離)が殆ど変わらず、従って、複数のボイスコイルモータ(特に駆動方向に直交する方向のボイスコイルモータ、及びZボイスコイルモータ18z)の可動子と固定子とが接触することが防止される。また、回転楕円体273が制限位置から許容位置に移動する場合も、微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの相対位置(相対距離)が殆ど変わらず、直ちにボイスコイルモータを用いた微動ステージ50の高精度制御を行うことができる。
また、Xスイッチング装置1070X、Yスイッチング装置1070Yは、回転楕円体273が制限位置に位置する状態(図25(B)参照)で、回転楕円体273と板状部材283との接触部、及び軸部材277の軸線が、それぞれ微動ステージ50に対する押圧力(又は制動力)の方向(図25(B)ではX軸方向)の同軸上に位置している(図27(A)参照)ので、剛性が高い。従って、Y粗動ステージ23Yからの推力及び制動力を微動ステージ50に確実に伝達することができる。
さらに、回転楕円体273を、例えば90°回転させるだけで、素早く上記許容位置と制限位置との間で移動させることができるので、微動ステージ50の位置制御を応答性良く行うことができる。なお、許容位置は、回転楕円体273と開口部283aとの隙間が所定量以上確保可能な位置であれば良いため、制限位置に対して回転楕円体273を90°回転させた位置に限定されず、例えば45°等、90°より小さく回転させた位置であっても良い。また、Xスイッチング装置1070X、Yスイッチング装置1070Yにおいて、回転楕円体273と板状部材283の開口部283aの内壁面とが線接触するため、大きな推力をロスなく伝達することができる。
なお、基板ステージ装置PST7の構成は、上記第11の実施形態に記載したものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、図28(A)及び図28(B)に示される基板ステージ装置PST7aでは、一対のXギャップセンサ290xが一対の支持部材114それぞれに取り付けられ、1つのYギャップセンサ290yが−X側の支持部材114に取りつけられている。また、微動ステージ50には、上記一対のXギャップセンサ290x、及び1つのYギャップセンサ290yに対応して一対のXターゲット292x、及び1つのYターゲット292yが取りつけられている。基板ステージ装置PST7aでは、上記一対のXギャップセンサ290x、及び1つのYギャップセンサ290yを介して、微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの3自由度方向(X軸、Y軸、θz方向)に関する相対位置情報が常時計測されている。Xギャップセンサ290x、及びYギャップセンサ290yとしては、それぞれ、例えば渦電流センサ(あるいはレーザ変位計)が用いられる。基板ステージ装置PST7aにおいて、主制御装置(不図示)は、Xスイッチング装置1070X、又はYスイッチング装置1070Yを用いて微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの相対移動を制限するとき、あるいはその制限を解除するとき、上記複数のギャップセンサの計測値を用いて、回転楕円体273の回転中心と開口部283aの中心との間隔が所定の距離となるように微動ステージ50、及び/又はY粗動ステージ23Yの位置を制御することにより、回転楕円体273と板状部材283との当接する際の衝撃を抑制する。これにより、基板ステージ装置PST7aの動作が安定し、接触摩耗による発塵も抑制される。
また、上記第11の実施形態では、微動ステージ50の加速終了直前及び減速開始直前にボイスコイルモータが作動されるが、微動ステージ50の加速時及び減速時にボイスコイルモータを駆動して微動ステージ50の姿勢を制御しても良い。これにより、例えば微動ステージ50をX軸及びY軸方向に同時に駆動する場合、回転楕円体273の位置が微動ステージ50の重心線上からずれた場合などに、微動ステージ50がθz方向に回転することを抑制できる。
また、Xスイッチング装置1070Xは、微動ステージ50の重心位置G1を通るX軸に平行な軸線上に1つ設けられているが、これに限らず、複数設けられても良い。この場合、微動ステージ50を重心駆動することができるように配置することが好ましく、具体的には、上記X軸に平行な軸線を挟む+Y側、及び−Y側それぞれに対称に設けると良い。また、Yスイッチング装置1070Yも、同様に複数設けられても良い。また、Xスイッチング装置1070X,Yスイッチング装置1070Yを複数設け、その一部を微動ステージ50の加速用とし、別の一部を微動ステージ50の減速用として用いても良い。また、微動ステージ50に回転楕円体273が設けられ、Y粗動ステージ23Yに板状部材283が設けられているが、その配置は逆でも良い。
また、Xスイッチング装置1070X、Yスイッチング装置1070Yそれぞれの回転楕円体273は、Z軸周りに回転することにより許容位置と制限位置との間を移動するが、例えば水平面に平行な軸周り(Xスイッチング装置1070Xの回転楕円体273であればY軸周り、Yスイッチング装置1070Yの回転楕円体273であればX軸周り)に回転しても良い。また、Xスイッチング装置1070X、Yスイッチング装置1070Yでは、回転楕円体273により微動ステージ50とY粗動ステージ23YとのX軸方向、Y軸方向それぞれの間隔(相対移動可能距離)を調整したが、これに限らず、X軸方向、あるいはY軸方向にスライド可能な部材を用いて微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの間隔を調整しても良い。また、回転楕円体273が板状部材283の開口部283a内に挿入されたが、板状部材283に換えて、2つの部材を回転楕円体273を挟むように配置しても良い。この場合、回転楕円体273との距離(微動ステージ50とY粗動ステージ23Yとの隙間の距離)を容易に調整できる。
また、Xスイッチング装置1070X,Yスイッチング装置1070Yそれぞれに、真空吸引口を設け、板状部材283と回転楕円体273との当接時の摩擦接触により発生するパーティクル(摩耗粉)を吸引して外部に排出するようにしても良い。
また、基板の位置決め精度が要求されない(ボイスコイルモータによる微少駆動を行わなくても良い)場合には、微動ステージ50を等速移動させる際であっても、常に回転楕円体273を制限位置に位置させても良い。
なお、上記第1〜第11の各実施形態に係る液晶露光装置の構成は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、上記第1〜第4の各実施形態では、レバー73を揺動させるアクチュエータとしてボイスコイルモータが用いられているが、レバー73の一端部を一軸方向に駆動できるアクチュエータであれば、例えば、エアシリンダ、送りねじ機構、ラック&ピニオン機構などを用いても良い。
また、上記第1〜第4の各実施形態では、ボイスコイルモータ71として、可動子を固定子に対し直線的に移動させるリニアモータが採用されているが、これに限らず、例えば、可動子に固定されたレバー73の一端部の回転軌跡とほぼ同様な軌跡で可動子を固定子に対し回転させる回転モータを採用しても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、+Y側及び−Y側の駆動装置の構成は、ほぼ同じとされているが、異なる構成としても良い。
レバー73のXY平面に対する傾斜角度は、上記第1〜第4の各実施形態で示されたものに限らず、適宜変更可能である。
上記第1〜第4の各実施形態では、レバー73の支点、力点、作用点を同一直線上に配置したが、これ以外の配置でも良い。
上記第1、第2及び第4の各実施形態では、レバー73にエアベアリング80が設けられ、マスクステージ20に対向部材が設けられているが、これに代えて、マスクステージ20にエアベアリング80を設け、レバー73に対向部材を設けても良い。この場合、対向部材をレバー73に揺動可能に設けることが好ましい。
上記第2〜第4の各実施形態では、マスクステージ20のX軸方向への加速時に、駆動装置のみを用いているが、駆動装置に併せてマスクステージ20を直接駆動するXボイスコイルモータを用いても良い。この場合、仮にエアベアリング80の軸受剛性が低くても、マスクステージ20を高応答で加速できる。
上記第3の実施形態では、当接部材201と対向部材281とを点接触させる構成を採用しているが、これに限らず、当接部材における対向部材281との当接面を、例えば平坦面、円筒面などにして、当接部材と対向部材281とを面接触、線接触させるようにしても良い。これにより、当接部材が対向部材281を押圧するときの剛性を高めることができる。
上記第3の実施形態では、レバー73に当接部材201が固定され、マスクステージ20に対向部材281が固定されているが、これに代えて、例えば、マスクステージ20に当接部材を固定し、レバー73に対向部材を固定しても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、マスクステージ20の+Y側、及び−Y側にそれぞれXYステージ装置76a、76bが配置され、そのXYステージ装置76a、76bがそれぞれXボイスコイルモータ71,レバー73などを有していたが、例えばマスクMをY軸方向に短ストロークで移動させる必要がない場合には、Xボイスコイルモータ71,レバー73などを有する部材は、X軸方向にのみ長ストロークで移動可能なXステージ装置上に搭載しても良い。
上記第2〜第4の各実施形態におけるマスクステージ20を直接駆動するXボイスコイルモータ、Yボイスコイルモータの数及び配置は、これらの実施形態に示されたものに限らず適宜変更可能である。
上記第4の実施形態のマスクステージ駆動系370は、上記第2の実施形態のマスクステージ駆動系170のレイアウトを吊り下げ式に変更したものであるが、これと同様に、上記第1及び第3の各実施形態のマスクステージ駆動系のレイアウトを吊り下げ式に変更しても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、レバー73によりマスクステージ20を押圧することとしているが、これに代えて、例えば、マスクステージ20とレバー73とを、例えば、ロープ、ばね剛による薄板、この薄板の両端に滑節を取り付けたもの等の引っ張られる方向以外の剛性が極めて低い部材を介して連結して、レバー73によりマスクステージ20を牽引することとしても良い。これにより、レバー73の揺動が停止される際のレバー73からの反力がマスクステージ20に作用することが防止される。また、この場合、レバー73が基準位置付近に位置するときに、マスクステージ20とレバー73とを連結する部材に張力が極力作用しないようにしておけば、レバー73が基準位置付近に位置するときにレバー73からマスクステージ20に振動が伝わることが防止されるともに、マスクステージ20のあらゆる方向への微少移動を阻害しない。
また、上記第1〜第4の各実施形態では、固定された架台(例えば、支持架台74a、74b)上にX軸方向に長ストロークで移動可能なX粗動ステージ(例えば、Xステージ83Xa、83Xb)が搭載され、そのXステージ上にY軸方向に短ストロークで移動可能なY粗動ステージ(例えば、Yステージ83Ya、83Yb)が搭載される構成であったが、これに限られず、固定の架台上でY軸方向に短ストロークで移動可能なY粗動ステージ上にX軸方向に長ストロークで移動可能なX粗動ステージを搭載し、そのX粗動ステージ上にボイスコイルモータ、レバーなどを含む駆動装置を配置しても良い。
上記第1、第2及び第4の各実施形態において、エアベアリング80に替えて第1の永久磁石を、対向部材81に替えて第2の永久磁石を、互いに対向する部分の磁極が同じとなるように(例えば、N極とN極、あるいはS極とS極が対向するように)それぞれ配置しても良い。この場合、第1及び第2の永久磁石間に反発力(斥力)が発生し、レバー73揺動をさせても第1及び第2の永久磁石同士が機械的に接触することなく、上記第1、第2及び第4の各実施形態と同様にマスクステージ20をレバー73により押圧することができる。また、エアベアリングに加圧気体を供給するための配管、及び加圧気体を発生する装置などが不要となり装置の構成が簡単になる。
また、例えば、上記第1、第5〜第9の各実施形態では、X駆動装置及びY駆動装置が、それぞれ微動ステージ50の重心G1に駆動力を伝達するように各1つ設けられているが、これに代えて、例えば、X駆動装置、Y駆動装置を、それぞれY軸方向、X軸方向に離間して複数設けても良い。この場合、微動ステージ50をθz方向に回転可能とするために、複数のX駆動装置を、微動ステージ50の重心G1を含みXZ平面を挟む一側及び他側それぞれに少なくとも各1つ配置することが好ましい。また、微動ステージ50をθz方向に回転可能とするために、複数のY駆動装置を、微動ステージ50の重心G1を含みYZ平面を挟む一側及び他側それぞれに少なくとも各1つ配置することが好ましい。
上記第1、第5〜第9の各実施形態のX駆動装置、Y駆動装置では、レバー113がXY平面に平行な軸線周りに揺動可能にされているが、これに限らず、例えば、レバー113をXY平面に交差する軸線周りに揺動自在としても良い。
上記第1、第5〜第9の各実施形態では、ボイスコイルモータ110として、可動子を固定子に対し直線的に移動させるリニアモータが採用されているが、これに限らず、例えば、可動子に固定されたレバー113の一端部の回転軌跡とほぼ同様な軌跡で可動子を固定子に対し回転させる回転モータを採用しても良い。
上記第1、第5〜第9の各実施形態では、レバー113の支点、力点、作用点を同一直線上に配置したが、これ以外の配置でも良い。
上記第1、第5〜第9の各実施形態では、レバー113を揺動させるアクチュエータとしてボイスコイルモータを用いたが、レバー113の一端部を一軸方向に駆動できるアクチュエータであれば、例えば、エアシリンダ、送りねじ機構、ラック&ピニオン機構などを用いても良い。
上記第1、第5及び第6の各実施形態では、レバー113にエアベアリング118が設けられ、ステージ本体51に対向部材122が設けられているが、これに代えて、ステージ本体51にエアベアリング118を設け、レバー113に対向部材122を設けても良い。但し、この場合、対向部材122をレバー113に揺動可能に設ける必要がある。
上記第1、第5及び第6の各実施形態において、エアベアリング118(あるいは380)に替えて第1の永久磁石を、対向部材122に替えて第2の永久磁石を、互いに対向する部分の磁極が同じとなるように(例えば、N極とN極、あるいはS極とS極が対向するように)それぞれ配置しても良い。この場合、第1及び第2の永久磁石間に反発力(斥力)が発生し、レバー113揺動をさせても第1及び第2の永久磁石同士が機械的に接触することなく、上記第1、第5及び第6の各実施形態と同様にステージ本体51をレバー113により押圧することができる。また、エアベアリングに加圧気体を供給するための配管、及び加圧気体を発生する装置などが不要となり装置の構成が簡単になる。
上記第7の実施形態では、当接部材401と対向部材133とを点接触させる構成を採用しているが、これに限らず、当接部材における対向部材133との当接面を、例えば平坦面、円筒面などにして、当接部材と対向部材133とを面接触、線接触させるようにしても良い。これにより、当接部材と対向部材133との当接部の剛性を高めることができる。
上記第7の実施形態では、レバー113に当接部材401が固定され、ステージ本体51に対向部材133が固定されているが、これに代えて、例えば、ステージ本体51に当接部材を固定し、レバー113に対向部材を固定しても良い。
上記第8及び第9の各実施形態では、微動ステージ50とレバー113とがロープを介して連結されているが、ロープの代わりに、ばね剛による薄板、この薄板の両端に滑節を取り付けたもの等の引っ張られる方向以外の剛性が極めて低い部材を介してレバー113と微動ステージ50とを連結しても良い。
また、上記第1、第5〜第9の各実施形態では、露光対象物体である基板Pを保持する微動ステージ50をレバー113を含むX駆動装置70X、あるいはY駆動装置70Yを用いて駆動したが、これに限らず、例えばマスクMを保持するマスクステージ20をスキャン方向に長ストロークで駆動するために、上記第1、第5〜第9の各実施形態のX駆動装置70Xと同様な構成のX駆動装置を用いても良い。また、上記第1〜第4の各実施形態において、上記第5の実施形態と同様に投影光学系として等倍系を用いるとともに、マスクステージがクロススキャン方向に微小移動のみが可能なマスクステージ装置を用いても良い。
上記第5〜第11の各実施形態において、投影光学系として拡大系を用いる場合、マスクステージ装置として、例えば国際公開第2009/090928号に開示されるような、ふたつのマスクパターンを有するマスクをクロススキャン方向(上記実施形態ではY軸方向)にも所定のストロークで移動させることができ、そのマスクMのクロススキャン方向の位置に応じて、基板Pに形成されるパターンを選択的に切り換えるマスクステージ装置を用いても良い。なお、第1、第2、第3、第4及び第10の各実施形態に係るマスクステージ装置と上記第5、第6、第7、第8、第9及び第11の各実施形態に係る基板ステージ装置とを任意に組み合わせても良い。また、上記第1、第2、第3、第4及び第10の各実施形態に係るマスクステージ装置と従来の基板ステージ装置、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示される基板ステージ装置とを組み合わせても良いし、上記第5、第6、第7、第8、第9及び第11の各実施形態に係る基板ステージ装置と例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるマスクステージ装置とを組み合わせても良い。
また、露光装置で使用される照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
また、上記各実施形態及びその変形例では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、投影光学系の投影倍率が、拡大系又は等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、上記各実施形態の液晶露光装置の投影光学系は拡大系、等倍系及び縮小系のいずれでも良い。また、マスクは、光透過型マスクに限らず、例えば光反射型マスクであっても良い。また、これらのマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
また、上記各実施形態及びその変形例では、露光装置が、プレートのステップ・アンド・スキャン動作を伴う走査型露光を行う投影露光装置である場合について説明したが、これに限らず、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも上記各実施形態を適用することはできる。また、上記各実施形態に係る基板ステージ装置は、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)あるいはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。また、移動体装置としては、露光装置以外の装置、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置、基板の検査に用いる基板検査装置などであっても良い。
また、露光装置としては、サイズ(外径、対角線、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
また、物体を所定の二次元平面に沿って移動させる移動体装置としては、露光装置に限らず、例えば物体(例えばガラス基板、ウエハなど)の検査に用いられる物体検査装置など、物体に関して所定の処理を行う物体処置装置に用いても良い。また、移動体装置を露光装置に適用する場合、マスク(あるいはレチクル)を保持するマスクステージ装置、及び露光対象物体(例えばガラス基板、ウエハなど)を保持する基板ステージ装置のいずれに適用しても良い。
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
《デバイス製造方法》
次に、上記各実施形態に係る液晶露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。上記各実施形態に係る液晶露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
〈パターン形成工程〉
まず、上記各実施形態に係る液晶露光装置を用いて、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。
〈カラーフィルタ形成工程〉
次に、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列された、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。
〈セル組み立て工程〉
次に、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。例えば、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
〈モジュール組立工程〉
その後、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。
この場合、パターン形成工程において、上記各実施形態に係る液晶露光装置を用いて高スループットかつ高精度でプレートの露光が行われるので、結果的に、液晶表示素子の生産性を向上させることができる。