JPWO2011151921A1 - リングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置 - Google Patents

リングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置 Download PDF

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Abstract

リングギヤ(3)とデフケース(2)の締結構造(1)において、前記リングギヤ(3)に、環状に設けられたギヤ側圧入面(21)と、前記ギヤ側圧入面(21)より内側に形成された凸部(23)と、前記凸部(23)を隔てて前記ギヤ側圧入面(21)と反対側に設けられたノッチ部(5)と、を設け、前記デフケース(2)に、環状に設けられ、前記ギヤ側圧入面(21)が圧入されるケース側圧入面(6)と、外径寸法が前記ケース側圧入面(6)より小径で、前記ノッチ部(5)にかしめられる鍔部(8)と、前記凸部(23)に当接して前記リングギヤ(3)を前記デフケース(2)に対して位置決めするケース側平滑面(9)と、を設けることにより、デフケース(2)を小型化する。

Description

本発明は、リングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置に関する。
自動車の駆動機構に用いられるデフギヤ(differential gear)は、自動車の駆動輪を繋ぐシャフトに用いられ、自動車がカーブを曲がるときに内輪と外輪の速度差を吸収する差動装置の1つである。
簡単に構造を説明すると、デフギヤは、デフケースの外側に保持されるリングギヤと、デフケース内部に設けられ、デフケースに取り付けられたピニオンギヤ、そしてピニオンギヤと噛み合う車軸に取り付けられたギヤよりなる。
そして、自動車のエンジン等が発生する駆動力はデフケースに締結されるリングギヤに伝達され、デフケースに取り付けられたピニオンギヤにより車軸に取り付けられたギヤを回転することで車軸に動力を伝える。
この他、自動車に用いられる差動装置としては、一方の車輪が無負荷状態の時に車軸を空転させてしまうデフギヤの欠点を補ったLSDと呼ばれる物も存在するが、デフケースの外側にリングギヤを用いるという点では同じ構造となる。
そして、この差動装置に備えるデフケースにリングギヤを締結する方法は、従来ではボルトを用いて締結する方法が採られてきた。
しかし、このボルトでの締結方法を用いると、ボルトの重量やボルトで締結する為に必要な肉厚等を必要とするので、重量が増加する問題がある。
そこで、デフケースとリングギヤの締結をボルトによる締結によらずに、かしめ固定により行う方法も検討されている(例えば特許文献1参照)。図10は、従来のデフギヤ110の概略構成図である。図11は、差動ギヤ112の組み付け模式図である。図12は、リングギヤ103をデフケース102に圧入する工程を示す図であって、圧入完了前の状態を示す。図13は、リングギヤ103をデフケース102に圧入する工程を示す図であって、圧入を完了した状態を示す。図14は、リングギヤ103をデフケース102にかしめ固定する工程を示す図である。
図10に示すデフギヤ110は、図11に示すデフケース102の一端外周面に環状のリングギヤ103が圧入された後、かしめ加工により締結する締結構造101を採用している。図12〜図14に示すように、リングギヤ103の外周面には、駆動を伝達されるギヤ部104が設けられている。また、リングギヤ103の内周面には、複数のノッチ部105が周方向に連続して形成されている。
図12に示すように、デフケース102は、リングギヤ103が圧入されるケース側圧入面106が、デフケース102と同軸上に設けられている。ケース側圧入面106の外側(図中右端部)には、ヒール部107がケース側圧入面106に対して垂直に立設され、リングギヤ103の圧入量を規制するようになっている。また、ケース側圧入面106の内側(図中左端部)には、鍔部108がデフケース102の軸方向に沿って延設されている。鍔部108がケース圧入面106から延設される長さは、リングギヤ103をヒール部107に突き当てるまでケース側圧入面106に圧入した場合に、鍔部108がリングギヤ103から側方に突出する長さに設定されている。
このようなデフギヤ110は、図12に示すように、リングギヤ103をデフケース102の鍔部108側からケース側圧入面106に圧入する。図13に示すように、リングギヤ103は、端面103aがヒール部107に突き当てられるまでケース側圧入面106に圧入される。このとき、リングギヤ103は、ノッチ部105がヒール部107と反対側に配置されるように、ケース側圧入面106に圧入される。そして、図14に示すように、鍔部108のリングギヤ103から張り出した部分をノッチ部105側へ押し倒し、ノッチ部105に対して押し付ける。すると、鍔部108の材料が各ノッチ部105に対して塑性流動する。これにより、リングギヤ103は、鍔部108がノッチ部105にかしめられて締結され、当該かしめ部分とヒール部107との間で保持される。
欧州特許出願公開公報第647789号
しかしながら、従来のデフギヤ110は、図14に示すように、ヒール部107がケース側圧入面106よりも外側(図中右端部)に設けられているため、図10及び図11に示すように、デフケース102の軸方向の長さが、ヒール部107の軸方向厚みCだけ長くなってしまっていた。特に、デフケース102のケース側圧入面106にリングギヤ103を圧入する圧入工程を行う場合、ヒール部107には、例えば800kgもの荷重が作用することがある。また、デフギヤ110が動力伝達を行う場合、鍔部108とノッチ部105のかしめ部には、例えば2トンもの力が作用し、その噛み合い反力がヒール部107に作用する。この圧入荷重や噛み合い反力に対応するために、ヒール部107は、図10、図11、図14に示す軸方向の厚みCをある程度必要とし、デフケース102の軸方向長さが長くなる傾向があった。しかも、図14に示すように、ヒール部107に位置決めを行わせるためには、ヒール部107の外径寸法D2をケース側圧入面106の外径寸法D1より大径にする必要があった。よって、従来の締結構造101及びデフケース110は、ヒール部107がリングギヤ103の外側へ大きく突出していた。
ヒール部107の軸方向厚みCが大きくなるほど、また、ヒール部107の外径寸法D2を大径にするほど、素材の重量が増加し、コストアップに繋がる。
また、ヒール部107がケース側圧入面106から外側に突出していると、部品搬送時に部品同士が衝突し、打痕がヒール部107に残ることがある。ヒール部107は、リングギヤ103の端面103aと突き合わされる面に打痕が形成されると、リングギヤ103をデフケース102に対して正確に位置決めできなくなる。この場合、当該デフケース102が不良品となり、歩留まりを悪化させることになる。
更に、デフギヤ110は、図11に示すように、デフケース102に設けられた組付スペース111に差動ギヤ112が組み付けられる。差動ギヤ112を組付スペース111に自動で組み付けるためには、差動ギヤ112がすっぽり収まるように組付スペース111をデフケース102に設ける必要がある。しかし、ヒール部107がケース側圧入面106から張り出し、デフケース102の軸方向長さが長くなると、差動ギヤ112をすっぽり収めるように組付スペース111の軸方向長さEを確保することが設計上困難になる場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、デフケースを小型化できるリングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るリングギヤとデフケースの締結構造は、前記リングギヤが、環状に設けられたギヤ側圧入面と、前記ギヤ側圧入面より内側に形成された凸部と、前記凸部を隔てて前記ギヤ側圧入面と反対側に設けられたノッチ部と、を有し、前記デフケースが、環状に設けられ、前記ギヤ側圧入面が圧入されるケース側圧入面と、外径寸法が前記ケース側圧入面より小径で、前記ノッチ部にかしめられる鍔部と、前記凸部に当接して前記リングギヤを前記デフケースに対して位置決めするケース側平滑面と、を有する。
上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造は、前記凸部が、前記リングギヤの軸線に対して直交するように設けられ、前記ケース側平滑面が、前記デフケースの軸線に対して直交するように設けられていることが好ましい。
上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造は、前記ギヤ側圧入面の軸方向の長さと、前記ケース側圧入面の軸方向の長さ)が同一であることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る差動装置は、上記リングギヤとデフケースの締結構造を用いている。
上記態様のリングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置は、リングギヤの凸部をケース側平滑面に突き当てるまで、ケース側圧入面とギヤ側圧入面を圧入する。そして、鍔部をノッチ部に押し付けてかしめる。リングギヤは、凸部をケース側平滑面に突き当てることにより、デフケースに対して位置決めされている。凸部は、ギヤ側圧入面より内側に設けられ、ノッチ部とギヤ側圧入面との間に配設されているため、ケース側平滑面との接触部分がデフケースの外側に張り出していない。よって、上記態様のリングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置は、デフケースのケース側圧入面の外側にリングギヤをデフケースに対して位置決めするための凸部を設ける必要がなく、デフケースを小型化することができる。
上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造は、凸部がリングギヤの軸線に対して直交するように設けられ、ケース側平滑面がデフケースの軸線に対して直交するように設けられている。そのため、リングギヤをデフケースに圧入して凸部をケース側平滑面に突き当てた場合に、凸部をケース側平滑面に面接触させて位置決めを行う。よって、上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造によれば、リングギヤをデフケースに対して正確に位置決めすることができる。
上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造は、ギヤ側圧入面の圧入方向の長さが、ケース側圧入面の圧入方向の長さと同一になるように、凸部がギヤ側圧入面の内側に配置されているので、凸部をケース側平滑面に突き当てて位置決めした場合に、リングギヤがデフケースの外側に張り出さない。
本発明の第1実施形態に係り、リングギヤとデフケースの締結構造を適用した差動装置の概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係り、リングギヤとデフケースの締結構造の模式図である。 リングギヤの軸方向に対して直交する方向の部分断面図である。 図3のK方向から見たリングギヤの内周面の部分拡大図である。 デフケースの部分断面図である。 圧入工程を説明する図であって、圧入完了前の状態を示す。 圧入工程を説明する図であって、圧入を完了した状態を示す。 かしめ工程を説明する図である。 かしめ部分の部分拡大図である。 従来のデフギヤの概略構成図である。 差動ギヤの組み付け模式図である。 リングギヤをデフケースに圧入する工程を示す図であって、圧入完了前の状態を示す。 リングギヤをデフケースに圧入する工程を示す図であって、圧入を完了した状態を示す。 リングギヤをデフケースにかしめ固定する工程を示す図である。
1 リングギヤとデフケースの締結構造
2 デフケース
3 リングギヤ
6 ケース側圧入面
8 鍔部
9 ケース側平滑面
10 デフギヤ(差動装置の一例)
21 ギヤ側圧入面
23 凸部
次に、本発明に係るリングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係り、リングギヤ3とデフケース2の締結構造1(以下「締結構造1」という。)を適用した差動装置の概略構成図である。図2は、本発明の第1実施形態に係り、デフケース2とリングギヤ3の締結構造1の模式図である。
図1及び図2に示す締結構造1は、従来技術と同様、自動車の駆動機構に用いられるデフギヤ10(差動装置の一例)に適用される。締結構造1は、リングギヤ3をデフケース2に対して圧入した後にかしめ加工を行うことにより、リングギヤ3がデフケース2に締結されている。
デフギヤ10は、リングギヤ3に回転トルクが伝達されると、デフケース2が、リングギヤ3にかしめられたかしめ部分と、リングギヤ3を圧入された圧入部分を介して回転トルクをリングギヤ3から伝達され、リングギヤ3と一体的に回転する。
図2に示すように、デフケース2には、差動ギヤ12を組み付けるための組付スペース11が設けられている。組付スペース11には、図示しないピニオンシャフトを介して図示しないピニオンギヤが回転不能に配設されている。差動ギヤ12は、組付スペース11内にすっぽり入れられた状態で配設され、図示しないピニオンギヤに噛合される。差動ギヤ12には、図示しない車軸が連結される。このようなデフギヤ10は、デフケース2がリングギヤ3と一体的に回転すると、図示しないピニオンギヤが図示しないピニオンシャフトを介してデフケース2と一体的に回転し、リングギヤ3からデフケース2に伝達された回転トルクの力の向きを変換して差動ギヤ12に伝達し、車軸を回転させる。このようなデフギヤ10に適用される締結構造1は、リングギヤ3をデフケース2に対して軸方向に位置決めする部位が、リングギヤ3の外側に張り出さないように設けられている。
図1及び図2に示すリングギヤ3は、低炭素鋼を軸方向の長さの短い円筒形状に成形したものであって、表面に浸炭処理が施されている。図1に示すように、リングギヤ3の外周面には、外部装置から回転トルクが伝達されるギヤ部4が設けられている。
図3は、リングギヤ3の軸方向に対して直交する方向の部分断面図である。図4は、図3のK方向から見たリングギヤ3の内周面3cの部分拡大図である。
図3に示すように、リングギヤ3は、図中右側の第1端面3aから、環状のギヤ側圧入面21が形成されている。ギヤ側圧入面21は、内径寸法A11がリングギヤ3の内周面3cの内径寸法A12より大きく設定され、リングギヤ3の軸線と同軸上に形成されている。ギヤ側圧入面21は、第1端面3aから軸方向に所定長さW2で形成されている。そのため、リングギヤ3は、図中左側の第2端面3bから軸方向に所定長さW1を有する凸部23が、ギヤ側圧入面21の内側(図中左側)に環状に形成されている。ギヤ側平滑面22は、リングギヤ3の内周面3cとギヤ側圧入面21との間に段差を形成する面(凸部23のギヤ側圧入面21側の面)により構成されている。ギヤ側平滑面22は、リングギヤ3の軸線に対して直交するように平坦に形成されている。
尚、凸部23の軸方向の所定長さW1は、リングギヤ3をデフケース2に圧入する場合に、圧入荷重を受ける凸部23の変形を阻止すると共に、ギヤ部4に作用する回転トルクをリングギヤ3からデフケース2に伝達する場合に、ギヤ部4の噛み合い反力を受ける凸部23の変形を阻止できる剛性を確保するように設定されている。
リングギヤ3は、凸部23を隔ててギヤ側圧入面21と反対側に複数のノッチ部5が設けられている。図4に示すように、ノッチ部5は、リングギヤ3の第2端面3b側(図3のK方向)から見て、山形形状に形成されている。ノッチ部5は、リングギヤ3の第2端面3bに開口する内周面3cの開口部に沿って連続して設けられている。
図5は、デフケース2の部分断面図である。
デフケース2は、かしめ工程時に塑性流動を発生しやすいように、リングギヤ3より軟らかい鋳鉄により形成されている。デフケース2は、ケース側圧入面6、鍔部8、ケース側平滑面9、組付スペース11などが、切削加工により形成されている。
ケース側圧入面6は、デフケース2の一端外周面上に環状に設けられ、リングギヤ3のギヤ側圧入面21が圧入されるものである。鍔部8は、外径寸法A2がケース側圧入面6の外径寸法A1より小径で、リングギヤ3のノッチ部5にかしめられるものである。鍔部8は、環状に設けられている。ケース側圧入面6と鍔部8は、デフケース2の軸線と同軸上に設けられている。ケース側平滑面9は、ケース側圧入面6と鍔部8との間に形成される段差部分により、構成されている。ケース側平滑面9は、デフケース2の軸線に対して直交するように平坦に設けられている。
ケース側圧入面6は、外径寸法A1が、図3に示すギヤ側圧入面21の内径寸法A11より大きく設定され、圧入代が設けられている。ケース側圧入面6は、軸方向長さW21がギヤ側圧入面21の軸方向の所定長さW2と同一に設定され、凸部23をケース側平滑面9に突き当てて軸方向に位置決めした場合に、デフケース2の第1端面2aとリングギヤ3の第1端面3aとが同一平面上に配置されるようにしている。軸方向長さW21は、リングギヤ3がギヤ部4に駆動伝達された場合にギヤ部4に発生する噛み合い反力や、リングギヤ3をデフケース2に圧入する場合に発生する圧入荷重により、ケース側平滑面9が変形することを阻止できる大きさに設定されている。
鍔部8は、デフケース2のケース側平滑面9から、デフケース2の軸方向に所定長さW11だけ突出するように設けられている。鍔部8は、ケース側圧入面6と同軸上に、環状に設けられている。所定長さW11は、凸部23をケース側平滑面9に突き当てるまでケース側圧入面6にギヤ側圧入面21を圧入した場合に、先端部がリングギヤ3の第2端面3bから突出するように、図3に示す凸部23の軸方向の所定長さW1より長く設定されている。鍔部8の径方向の厚さBは、変形可能な厚さに設定されている。
<デフケースとリングギヤの締結方法>
図6は、圧入工程を説明する図であって、圧入完了前の状態を示す。図7は、圧入工程を説明する図であって、圧入を完了した状態を示す。図8は、かしめ工程を説明する図である。図9は、かしめ部分30の部分拡大図である。
図6に示すように、リングギヤ3のギヤ側圧入面21をデフケース2の鍔部8側からケース側圧入面6に突き合わせ、リングギヤ3を軸方向に押してギヤ側圧入面21をケース側圧入面6に圧入する。図7に示すように、リングギヤ3は、ギヤ側平滑面22をデフケース2のケース側平滑面9に突き当てるまで、ギヤ側圧入面21がケース側圧入面6に圧入される。
ギヤ側圧入面21をケース側圧入面9に圧入する場合にケース側平滑面9に凸部23が突き当てられると、ケース側平滑面9には、例えば800kgもの力が作用する。しかし、デフケース2は、ケース側圧入面6の軸方向長さW21が圧入荷重に対抗できる大きさに設定されているため、圧入荷重によりケース側平滑面9などが変形しない。また、凸部23も、軸方向長さW1が圧入荷重に対抗できる大きさに設定されているため、圧入荷重により変形しない。
ギヤ側平滑面22とケース側平滑面9は、凹凸のない平坦な形状にされている。また、ギヤ側平滑面22はリングギヤ3の軸線に対して直交するように設けられ、ケース側平滑面9はデフケース2の軸線に対して直交するように設けられている。そのため、リングギヤ3は、ギヤ側平滑面22とケース側平滑面9の面接触により、デフケース2に対して軸方向に正確に位置決めされる。
また、ギヤ側圧入面21はリングギヤ3の軸線と同軸となるように環状に設けられ、ケース側平滑面9はデフケース2の軸線と同軸となるように環状に設けられている。そのため、リングギヤ3は、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面6の圧入部分により、デフケース2に対して径方向に位置決めされる。
そして、図8に示すように、リングギヤ3の第2端面3bから側方に張り出しているデフケース2の鍔部8をリングギヤ3側へ押し倒し、ノッチ部5に強く押し付ける。鍔部8は、ノッチ部5より硬度が低いため、鍔部8をノッチ部5に押し付けると、鍔部8の材料が塑性流動して各ノッチ部5に充填される。これにより、図9に示すように、鍔部8が各ノッチ部5の断面山形形状に入り込むように塑性変形してかしめられ、かしめ部30が形成される。
上記圧入工程とかしめ工程により、リングギヤ3は、鍔部8とノッチ部5のかしめ部30と、ケース側平滑面9とギヤ側平滑面22との接触部分とで凸部23が挟み込まれ、デフケース2に対して軸方向へずれることを防止されると共に、ケース側圧入面6とギヤ側圧入面21との圧入部分によりデフケース2に対して径方向へずれることを防止された状態で、デフケース2に保持される。
<駆動伝達動作の説明>
図2に示すデフギヤ10は、リングギヤ3のギヤ部4に回転トルクが与えられると、デフケース2がリングギヤ3と一体的に回転し、差動ギヤ12に動力を伝達する。リングギヤ3からデフケース2への動力伝達は、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面9との圧入部分と、各ノッチ部5と鍔部8のかしめ部30により行われる。
例えば、ギヤ部4は、図示しないドライブギヤから回転トルクを伝達されると、噛み合い反力が発生する。この場合、ケース側平滑面9や凸部23には、例えば200トンもの噛み合い反力が作用することがある。デフケース2は、ケース側圧入面6の軸方向長さW21が噛み合い反力に対抗できる大きさに設定されているため、噛み合い反力によりケース側平滑面9などが変形しない。また、凸部23は、軸方向長さW1が噛み合い反力に対抗できる大きさに設定されているため、噛み合い反力により変形しない。これに加え、デフケース2は、ケース側平滑面9がケース側圧入面6の内側に設けられているため、ケース側平滑面9の径方向の幅寸法(高さ)を、図10〜図14に示す従来の締結構造101のヒール部107の径方向幅寸法(高さ)と同等以上に確保できる。よって、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面6が、トルク伝達時に、滑り合って圧入部分を摩耗させることがなく、デフケース2は、リングギヤ3から回転トルク安定して伝達される。
<作用効果>
上記締結構造1及びデフギヤ10によれば、リングギヤ3の凸部23をケース側平滑面9に突き当てるまで、ケース側圧入面9とギヤ側圧入面21を圧入する。そして、鍔部8をノッチ部5に押し付けてかしめる。リングギヤ3は、凸部23をケース側平滑面9に突き当てることにより、デフケース2に対して位置決めされている。凸部23は、ギヤ側圧入面21より内側に設けられ、ノッチ部5とギヤ側圧入面21との間に配設されているため、ケース側平滑面9との接触部分がデフケース2の外側に張り出していない。よって、本実施形態の締結構造1及びそれを用いたデフギヤ10は、図11に示す従来のデフケース102のようにケース側圧入面106の外側(ノッチ部5が形成された第2端面3bと反対側の第1端面3a)にヒール部107を設ける必要がなく、デフケース2の軸方向の長さを短くして、デフケース2を小型化することができる。
デフケース2を小型化することにより、デフケース2に使用される素材重量を減らし、コストダウンできるという付随的効果が得られる。
また、デフケース2は、軸方向の全長を従来のデフケース102よりヒール部107の軸方向厚さC分だけ短くできるので、、差動ギヤ12が組み付けられる組付スペース11の軸方向長さW3(図2参照)を設計する自由度が高められるという付随的効果が得られる。
また、凸部23がギヤ側圧入面21の内側に設けられると共に、ケース側平滑面9がケース側圧入面6の内側に設けられているので、部品運搬時に、部品同士が衝突することにより凸部23のギヤ側平滑面22やデフケース2のケース側平滑面9に打痕が残ることが少ないという付随的効果が得られる。ケース側平滑面9とギヤ側平滑面22の突き合わせ面に打痕が残りにくいことにより、リングギヤ3とデフケース2の軸方向への位置決めが正確に行われるようになり、リングギヤ3やデフケース2の歩留まりを向上させることができる。
上記締結構造1は、凸部23がリングギヤ3の軸線に対して直交するように設けられ、ケース側平滑面9がデフケース2の軸線に対して直交するように設けられている。そのため、リングギヤ3をデフケース2に圧入して凸部23をケース側平滑面9に突き当てた場合に、凸部23をケース側平滑面9に面接触させて位置決めを行う。よって、本実施形態の締結構造1によれば、リングギヤ3をデフケース2に対して正確に位置決めすることができる。
上記締結構造1は、ギヤ側圧入面21の圧入方向の長さW2が、ケース側圧入面6の圧入方向の長さW21と同一になるように、凸部23がギヤ側圧入面21の内側に配置されているので、凸部23をケース側平滑面9に突き当てて位置決めした場合に、リングギヤ3がデフケース2の外側に張り出さない。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、凸部23をリングギヤ3に環状に設けたが、凸部23は、リングギヤ3の周方向に分割して3箇所以上に設けても良い。
【0004】
がる。
また、ヒール部107がケース側圧入面106から外側に突出していると、部品搬送時に部品同士が衝突し、打痕がヒール部107に残ることがある。ヒール都107は、リングギヤ103の端面103aと突き合わされる面に打痕が形成されると、リングギヤ103をデフケース102に対して正確に位置決めできなくなる。この場合、当該デフケース102が不良品となり、歩留まりを悪化させることになる。
更に、デフギヤ110は、図11に示すように、デフケース102に設けられた組付スペース111に差動ギヤ112が組み付けられる。差動ギヤ112を組付スペース111に自動で組み付けるためには、差動ギヤ112がすっぽり収まるように組付スペース111をデフケース102に設ける必要がある。しかし、ヒール部107がケース側圧入面106から張り出し、デフケース102の軸方向長さが長くなると、差動ギヤ112をすっぽり収めるように組付スペース111の軸方向長さEを確保することが設計上困難になる場合があった。
[0011]
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、デフケースを小型化できるリングギヤとデフケースの締結構造及びそれを用いた差動装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0012]
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るリングギヤとデフケースの締結構造は、前記リングギヤが、環状に設けられたギヤ側圧入面と、前記ギヤ側圧入面より内側に形成された凸部と、前記凸部を隔てて前記ギヤ側圧入面と反対側に設けられたノッチ部と、を有し、前記デフケースが、環状に設けられ、前記ギヤ側圧入面が圧入されるケース側圧入面と、外径寸法が前記ケース側圧入面より小径で、前記ノッチ部にかしめられる鍔部と、前記凸部に当接して前記リングギヤを前記デフケースに対して位置決めするケース側平滑面と、を有し、軸心方向において、前記ケース側圧入面の長さが、前記凸部の長さより長く形成されること、を特徴とする。
[0013]
上記構成のリングギヤとデフケースの締結構造は、前記凸部が、前記リン
しかしながら、従来のデフギヤ110は、図14に示すように、ヒール部107がケース側圧入面106よりも外側(図中右端部)に設けられているため、図10及び図11に示すように、デフケース102の軸方向の長さが、ヒール部107の軸方向厚みCだけ長くなってしまっていた。特に、デフケース102のケース側圧入面106にリングギヤ103を圧入する圧入工程を行う場合、ヒール部107には、例えば800kgもの荷重が作用することがある。また、デフギヤ110が動力伝達を行う場合、鍔部108とノッチ部105のかしめ部には、例えば2トンもの力が作用し、その噛み合い反力がヒール部107に作用する。この圧入荷重や噛み合い反力に対応するために、ヒール部107は、図10、図11、図14に示す軸方向の厚みCをある程度必要とし、デフケース102の軸方向長さが長くなる傾向があった。しかも、図14に示すように、ヒール部107に位置決めを行わせるためには、ヒール部107の外径寸法D2をケース側圧入面106の外径寸法D1より大径にする必要があった。よって、従来の締結構造101及びデフギヤ110は、ヒール部107がリングギヤ103の外側へ大きく突出していた。
ギヤ側圧入面21をケース側圧入面に圧入する場合にケース側平滑面9に凸部23が突き当てられると、ケース側平滑面9には、例えば800kgもの力が作用する。しかし、デフケース2は、ケース側圧入面6の軸方向長さW21が圧入荷重に対抗できる大きさに設定されているため、圧入荷重によりケース側平滑面9などが変形しない。また、凸部23も、軸方向長さW1が圧入荷重に対抗できる大きさに設定されているため、圧入荷重により変形しない。
ギヤ側平滑面22とケース側平滑面9は、凹凸のない平坦な形状にされている。また、ギヤ側平滑面22はリングギヤ3の軸線に対して直交するように設けられ、ケース側平滑面9はデフケース2の軸線に対して直交するように設けられている。そのため、リングギヤ3は、ギヤ側平滑面22とケース側平滑面9の面接触により、デフケース2に対して軸方向に正確に位置決めされる。
また、ギヤ側圧入面21はリングギヤ3の軸線と同軸となるように環状に設けられ、ケース側圧入面6はデフケース2の軸線と同軸となるように環状に設けられている。そのため、リングギヤ3は、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面6の圧入部分により、デフケース2に対して径方向に位置決めされる。
<駆動伝達動作の説明>
図2に示すデフギヤ10は、リングギヤ3のギヤ部4に回転トルクが与えられると、デフケース2がリングギヤ3と一体的に回転し、差動ギヤ12に動力を伝達する。リングギヤ3からデフケース2への動力伝達は、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面との圧入部分と、各ノッチ部5と鍔部8のかしめ部30により行われる。
例えば、ギヤ部4は、図示しないドライブギヤから回転トルクを伝達されると、噛み合い反力が発生する。この場合、ケース側平滑面9や凸部23には、例えば2トンもの噛み合い反力が作用することがある。デフケース2は、ケース側圧入面6の軸方向長さW21が噛み合い反力に対抗できる大きさに設定されているため、噛み合い反力によりケース側平滑面9などが変形しない。また、凸部23は、軸方向長さW1が噛み合い反力に対抗できる大きさに設定されているため、噛み合い反力により変形しない。これに加え、デフケース2は、ケース側平滑面9がケース側圧入面6の内側に設けられているため、ケース側平滑面9の径方向の幅寸法(高さ)を、図10〜図14に示す従来の締結構造101のヒール部107の径方向幅寸法(高さ)と同等以上に確保できる。よって、ギヤ側圧入面21とケース側圧入面6が、トルク伝達時に、滑り合って圧入部分を摩耗させることがなく、デフケース2は、リングギヤ3から回転トルク安定して伝達される。
<作用効果>
上記締結構造1及びデフギヤ10によれば、リングギヤ3の凸部23をケース側平滑面9に突き当てるまで、ケース側圧入面とギヤ側圧入面21を圧入する。そして、鍔部8をノッチ部5に押し付けてかしめる。リングギヤ3は、凸部23をケース側平滑面9に突き当てることにより、デフケース2に対して位置決めされている。凸部23は、ギヤ側圧入面21より内側に設けられ、ノッチ部5とギヤ側圧入面21との間に配設されているため、ケース側平滑面9との接触部分がデフケース2の外側に張り出していない。よって、本実施形態の締結構造1及びそれを用いたデフギヤ10は、図11に示す従来のデフケース102のようにケース側圧入面106の外側(ノッチ部5が形成された第2端面3bと反対側の第1端面3a)にヒール部107を設ける必要がなく、デフケース2の軸方向の長さを短くして、デフケース2を小型化することができる。

Claims (4)

  1. リングギヤとデフケースの締結構造において、
    前記リングギヤが、
    環状に設けられたギヤ側圧入面と、
    前記ギヤ側圧入面より内側に形成された凸部と、
    前記凸部を隔てて前記ギヤ側圧入面と反対側に設けられたノッチ部と、を有し、
    前記デフケースが、
    環状に設けられ、前記ギヤ側圧入面が圧入されるケース側圧入面と、
    外径寸法が前記ケース側圧入面より小径で、前記ノッチ部にかしめられる鍔部と、
    前記凸部に当接して前記リングギヤを前記デフケースに対して位置決めするケース側平滑面と、を有する
    ことを特徴とするリングギヤとデフケースの締結構造。
  2. 請求項1に記載するリングギヤとデフケースの締結構造において、
    前記凸部が、前記リングギヤの軸線に対して直交するように設けられ、
    前記ケース側平滑面が、前記デフケースの軸線に対して直交するように設けられている
    ことを特徴とするリングギヤとデフケースの締結構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載するリングギヤとデフケースの締結構造において、
    前記ギヤ側圧入面の圧入方向の長さが、前記ケース側圧入面の圧入方向の長さと同一になるように、前記凸部が前記ギヤ側圧入面の内側に配置されている
    ことを特徴とするリングギヤとデフケースの締結構造。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載するリングギヤとデフケースの締結構造を用いていることを特徴とする差動装置。
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