JPWO2011118361A1 - 帯電防止用積層体およびこれを備えた積層材料 - Google Patents

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Abstract

天然資源を有効利用した材料を用いて高透明度を確保するとともに、低湿度環境下での帯電防止性の低下を抑制し得る、基材と、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む帯電防止層とを備える帯電防止用積層体、及びこれを備えた積層材料を提供する。

Description

本発明は、複数の層が積層されてなる積層体に係り、特に、天然資源であるセルロースを含む帯電防止層を備えた帯電防止用積層体およびこれを備えた積層材料に関する。
一般に、物質は、その表面内部に、接触や摩擦により電荷を生じる。特に、物質が化学繊維やプラスチック等の電気絶縁体である場合には、物質の表面に生じた電荷が漏洩せずに蓄積してしまう。表面に蓄積した電荷は、埃の付着や、くっつき、反撥、電撃、放電等の現象を引き起こし、当該物質の使用上あるいは製造工程中における様々なトラブルの原因となる。そこで、従来から、発生した電荷を物質表面に蓄積させないで速やかに漏洩させるために、帯電防止性を付与する手法が多く提案されてきた。
例えば、窓やディスプレイでは、その表面での外光の反射を防止する目的で設けられる反射防止フィルムにおいて、反射防止フィルムの表面への埃の付着が問題とされる。そこで、例えば、特許文献1及び2に記載の技術では、複数の層が積層されてなるフィルムのハードコート層に、酸化錫、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の導電性を有する金属酸化物粒子を添加して体積的に帯電防止性を付与する手法が提案されている。
また、例えば、食品用包装材料では、微粉体や薄葉体(例えば、削り節、小麦粉、カレー粉、七味唐辛子、ふりかけ、とろろ昆布、粉末医薬品など)の内容物を包装材料に充填する際、静電気によるシール部への微粉体あるいは薄葉体の付着がシール不良の原因となる。また、開封し取り出す際には、内容物が包装材料に貼りつき取り出し難いという問題も生じる。また、外装への埃付着は外観不良となる。そこで、例えば、特許文献3に記載の技術では、積層体からなる包装材料において、第4級アンモニウム塩等の界面活性剤を含む層を導入し、これにより大気中の水分を吸着して帯電防止性を付与する手法が提案されている。
また、例えば、工業資材用包装材料では、電子機器等を包装する場合、帯電や放電による内容物の破壊が問題とされる。そこで、例えば、特許文献4記載の技術では、Al蒸着フィルム、Al箔積層フィルム等の導電性の良い金属薄膜が用いられている。
特開2006−161022号公報 特開2006−106427号公報 特開2008−143033号公報 特開平9−309514号公報 特開2008−308802号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の技術のように、高分子材料に導電性粒子を添加して体積的に導電化する手法では、高い導電性を得ることはできるものの、粒子同士が接触しなければ期待する効果が得られ難い。そのため、導電性粒子の添加量が多くなり、それによる粒子の凝集や沈降、さらには着色や透明性低下等の問題が生じる。
また、上記特許文献3に記載の技術のように、大気中の水分を吸着して導電性を得る界面活性剤を用いた場合には、乾燥雰囲気下では帯電防止性能が劣ること、また、主に界面活性剤が水溶性であるため、洗浄により期待する効果が消失してしまう等の問題が生じる。
また、界面活性剤の帯電防止効果が環境湿度に大きく影響を受けることから、極めて低湿度環境下で充填する必要がある場合には、界面活性剤の帯電防止効果が期待できないという問題が生じる。
さらに、界面活性剤は徐々に包装材料の表面に拡散するので、包装材料の表面が白化して外観不良となったり、包装材料の製造時や保存時にブロッキングが発生したり、さらには水洗や摩擦によって消失するという問題も生じる。
また、上記特許文献4に記載の技術のように、金属薄膜を設けた包装材料は不透明なので、内容物を透視して識別ができないことや、検査の際に金属探知機が使用できないこと、また、使用後は不燃物として処理しなければならない等の問題が生じる。
従って、上述したような問題を改善した新たな帯電防止技術に対する需要が依然として多く存在する。
一方、地球環境への負荷や化石資源の枯渇化、廃棄物処理等の環境問題が深刻化している近年、化石資源の代わりに天然資源を有効利用する材料開発が求められている。中でも、地球上で最も多く生産されるバイオマス材料として、また自然環境下にて生分解可能な材料としてセルロース系材料が注目されている。特に、セルロースの特徴である、高強度、高弾性率、高結晶性、低熱線膨張係数に加え、高い透明性を有するナノファイバー状セルロースは、新規セルロース材料として機能性材料への利用が期待されている(例えば、特許文献5参照)。
そこで、本発明では、上述したような従来の帯電防止技術における問題を解決するために、天然資源を有効利用した材料を用いて高透明度を確保するとともに、低湿度環境下での帯電防止性の低下を抑制し得る帯電防止層を備える帯電防止用積層体、これを備えた包装材料、反射防止フィルムなどの積層材料を提供することを課題とする。
すなわち、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、帯電を防止するために用いられ、複数の層が積層されてなる積層体であって、基材と、該基材の少なくとも一方の面の側に積層された帯電防止層とを備え、前記帯電防止層が、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む層であることを特徴とする帯電防止用積層体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記セルロース繊維が、酸化反応によりカルボキシル基が導入されたセルロース繊維であり、セルロース繊維1g当たりのカルボキシル基の含有量が、0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記カルボキシル基の少なくとも一部が、カルボン酸塩であることを特徴とする請求項2に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記セルロース繊維の繊維幅が、2nm以上50nm以下であり、前記セルロース繊維の長さが、1μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記セルロース繊維が、結晶性セルロースであり、セルロースI型の結晶構造を有することを特徴とする請求項4に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記帯電防止層が、さらに、水分吸収剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項7に記載の発明は、前記帯電防止層に含まれるセルロース繊維と水分吸収剤との重量比(セルロース繊維/水分吸収剤)が、(5/95)以上(95/5)以下の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項8に記載の発明は、前記水分吸収剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項7に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項9に記載の発明は、前記帯電防止層に含まれるセルロース繊維と無機層状化合物との重量比(セルロース繊維/無機層状化合物)が、(20/80)以上(70/30)以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項10に記載の発明は、前記帯電防止層の膜厚が、100nm以上であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項11に記載の発明は、帯電防止用積層体の表面における、25℃、20%RH環境下での電気抵抗値が、1.0×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項12に記載の発明は、帯電防止用積層体の表面における、25℃、20%RH環境下での表面帯電量の半減期が、10秒以下であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項13に記載の発明は、前記基材が、プラスッチックであり、前記帯電防用積層体のヘイズが、0.1%以上10%以下の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項14に記載の発明は、前記基材が、紙であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体である。
また、請求項15に記載の発明は、請求項9に記載の帯電防止用積層体を備えたことを特徴とする積層材料である。
本発明に係る帯電防止用積層体、これを備えた積層材料によれば、帯電防止層を形成する材料としてセルロース系材料を用いているので、高透明度を確保することができるとともに、天然資源の有効活用を促進することができる。
そして、この帯電防止層が、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む層なので、低湿度環境下での帯電防止性の低下を抑制することができる。また、この帯電防止層が、セルロース繊維と、さらに水分調整機能に優れた水分吸収剤を含む層であることで、低湿度環境下での帯電防止性の低下をさらに抑制することができる。
本発明に係る帯電防止用積層体の第1実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第2実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第3実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第4実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第5実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第6実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第7実施形態の断面図である。 本発明に係る帯電防止用積層体の第8実施形態の断面図である。
以下、本発明に係る帯電防止用積層体、およびこれを備えた積層材料について、実施形態に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る帯電防止用積層体100は、基材1と、この基材1の少なくとも一方の面に積層された帯電防止層2とを備えている。ここで、この帯電防止層2は、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む層である。
詳しくは、基材1は、種々の高分子組成物から成るプラスチック材料を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等)、ポリアミド系(6−ナイロン、6,6−ナイロン等)、アクリル系(ポリメチルメタクリレート等)や、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等からなるものが用いられる。また、前述のプラスチック材料の中から、少なくとも1種以上の成分を持つ、或いは共重合成分に持つ、或いはそれらの化学修飾体を成分に有する有機高分子材料も可能である。
また、この基材1は、その表面に設ける他の層と基材1との密着性を向上させるために、予め基材1の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、アンカーコート処理等の表面改質を施してあっても良い。
更に、近年では、少しでも環境負荷を低減させる材料を利用することが有効とされている。すなわち、本実施形態の基材1においても、例えば、ポリ乳酸、バイオポリオレフィンなど植物から化学合成されるバイオプラスチック、或いはヒドロキシアルカノエートなど微生物が生産するプラスチックを含む基材を用いることができる。或いは木材や草木など天然繊維をパルプ化、抄紙などの工程を経て得られる紙や、天然繊維からなる不織布などを用いることができる。更にはセルロース系材料を含む、セロハン、アセチル化セルロース、セルロース誘導体等や、後述の帯電防止層2にて使用しているナノファイバー状のセルロースを含む基材も用いることが可能である。
また、上記基材1の形状は、特に限定されることはなく、例えば、フィルム状、シート状、ボトル状、筒状などの各種成形体を、用途によって適宜選択することができる。しかし、特に、後に詳述する帯電防止層2に含まれるナノファイバー状セルロースの有する優れた透明性や屈曲性を活かすことを考慮すると、基材1はフィルム状であることが望ましく、透明なプラスチックフィルムまたは紙を好適に用いることができる。
特に、基材1をフィルム状のプラスチックフィルムとする場合は、延伸、未延伸のどちらを採用しても良い。また、機械的強度や寸法安定性を有するものが良く、例えば、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタラートフィルムやポリアミドフィルムを好適に用いることができる。
さらに、この基材1には、周知である種々の添加剤や安定剤、例えば、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線防止剤などを用いて機能を付加させたものを用いることも可能である。
また、基材1は、用途によって適宜に選定することができる。例えば、この帯電防止用積層体100(および後述の他の実施形態200、300、400、500、600、700、800をも含む、以下同様。)を、積層材料である包装材料用途とする場合には、価格面、防湿性、充填適性、風合い、廃棄性からポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系フィルムが好ましい。
また、この帯電防止用積層体100を、積層材料であるディスプレイ用反射防止フィルム等の光学用途で用いる場合には、透明性や光の屈折率、耐衝撃性、耐熱性、耐久性から、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。中でも、トリアセチルセルロースは、複屈折率が小さく、透明性が良好であることから液晶ディスプレイ用途で好適に用いられる。
基材1としてプラスッチックを用いた場合、その帯電防止用積層体のヘイズ(濁度)が0.1%以上10%以下の範囲であることが好ましい。帯電防止用積層体のヘイズが0.1%以上10%以下の範囲であれば、透明性の高い積層体が得られるため、包装材料として用いる場合には内容物の確認が容易にできる。また、高意匠性の包装材料への応用も期待できる。
帯電防止用積層体のヘイズは、例えば、ヘイズメータNDH−2000(日本電色社製)を用い、JISーK7105に準じ測定をおこなうことができる。
次に、上記帯電防止層2について詳しく説明する。
この帯電防止層2は、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含むものである。これにより、帯電防止層2が、天然資源を有効利用した材料を用いて高透明度を確保することが可能である。そして、通常のイオン伝導型の帯電防止剤の場合には、低湿度環境下で十分な性能を発揮することができないのに対し、この帯電防止用積層体100によれば、セルロース繊維を用いているので、セルロースの優れた保水力により、低湿度環境下での帯電防止性低下を抑制することができる。
また、セルロース繊維は、酸化反応によりカルボキシル基が導入されたセルロース繊維であり、また、セルロース繊維1g当たりのカルボキシル基の含有量が0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲であり、好ましくは0.5mmol以上3.0mmol以下、さらに好ましくは1.0mmol以上2.0mmol以下の範囲である。セルロース繊維が酸化反応により導入されたカルボキシル基を有し、かつカルボキシル基の含有量が上記範囲である場合、セルロース繊維の結晶性を保持しつつ、セルロース繊維を解繊することができる。
また、そのセルロース繊維が有するカルボキシル基は、その少なくとも一部がカルボン酸塩であることを特徴とする。塩を形成したセルロース繊維は、界面活性剤と同様の原理で、つまり、帯電防止層の表面に水分を効率良く吸着することによって高い帯電防止性を発現することができる。
例えば、カルボキシル基の対イオンとなるカチオンは、アルカリ金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属イオン(カルシウム等)、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等)が挙げられる。これらを2種以上混合して塩を形成することもできる。
ここで、塩を形成したセルロース繊維は、界面活性剤と同様の原理で、つまり、帯電防止層2の表面に水分を吸着することによって帯電防止性を発現すると考えられる。一般的に、帯電防止剤としては、五酸化アンチモンのようなイオン伝導型の帯電防止剤や、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの高分子導電材料のような電子伝導型の帯電防止剤があるが、この帯電防止層2に用いるセルロース繊維は、イオン伝導型の帯電防止剤に相当する。
通常のイオン伝導型の帯電防止剤の場合には、低湿度環境下で十分な性能を発揮することができないのに対し、上記セルロース繊維を用いた場合には、セルロースの優れた保水力により、低湿度環境下での帯電防止性低下を抑制することができる。特に、塩を形成したセルロース繊維を用いることで、帯電防止機能を十分に発揮することができる。
この帯電防止層2では、そのセルロース繊維が塩を形成する場合、その塩の種類や、セルロース繊維が有するカルボン酸塩の量によって帯電防止の程度を適宜制御することができる。塩の種類としては、上述のカチオンを対イオンとしたカルボキシル基が挙げられるが、特に、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンをカチオンとした塩が好ましい。
さらに、この帯電防止層2に含まれるセルロース繊維は、その繊維幅が2nm以上50nm以下であり、その長さが1μm以上であることを特徴とする。繊維幅が50nmを超えると、膜の透明性が低下してしまい、長さが2μm未満(特に1μm以下)であると、膜の強度低下の原因となってしまうため、好ましくない。また、セルロース繊維の大きさが2nm以上50nm以下であり、その長さが1μm以上の範囲内であれば、セルロース繊維の密な絡み合い構造により、バインダーを用いなくとも強度と透明性に優れた膜を形成することができる。また、繊維同士の密なからみ合い構造をとることから、洗浄による効果消失がなく、耐水耐久性に優れた膜となる。
一方、上述の通り、セルロース繊維は保湿性に優れるため、通常のイオン伝導型の帯電防止剤と比較し、低湿度環境下での性能低下が少ない。また、例えば、第4級アンモニウム塩などの界面活性剤を用いた場合に生じる表面白化や消失による性能低下の問題も回避することができる。ただし、さらなる改善の余地がある。
そこで、本発明の帯電防止積層層2は、セルロース繊維の他、水分吸収剤を含む。水分吸収剤を添加することで、帯電防止層に水分調整機能を付与することができ、低湿度環境下における帯電防止性低下を抑える。
水分吸収剤は、合成ゼオライト、無機層状化合物、活性炭などのゲージ化合物、ポリアクリル酸塩や硫酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどいわゆる吸湿剤が挙げられ、適宜選択して用いることができる。特に、透明性、水分保持率、安全性などに優れる無機層状化合物が好ましい。無機層状化合物は、層間に水分を保持することで、低湿度環境下においてもセルロース繊維の有する帯電防止性を維持することができる。中でも、膨潤性を有するものが特に好ましい。無機層状化合物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウム、マグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者としては、カオリナイト族、アンチゴライト族などを挙げることができ、後者としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族などを挙げることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモ−リロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
また、帯電防止層2に水分吸収剤が含まれる場合、セルロース繊維と水分吸収剤との重量比(セルロース繊維/水分吸収剤)が、(5/95)以上(95/5)以下の範囲であることを特徴とする。(95/5)より水分吸収剤の割合が小さい場合、水分吸収剤の有する水分調整機能が十分に発揮されず、低湿度環境下における帯電防止性低下が生じてしまう。また、(5/95)よりセルロース繊維の割合が小さい場合、セルロース繊維の含有量が非常に少なくなり、十分な帯電防止性を得ることができないと共に、透明性の低下も生じる。特に、セルロース繊維と水分吸収剤との重量比(セルロース繊維/水分吸収剤)は、(20/80)以上(80/20)以下が好ましい。
さらに、水分吸収剤として、保水力の高い無機層状化合物を用いる場合には、帯電防止層2に含まれるセルロース繊維と無機層状化合物の重量比(セルロース繊維/無機層状化合物)が、(20/80)以上(70/30)以下の範囲であることを特徴とする。特に、セルロース繊維と無機層状化合物の重量比(セルロース繊維/無機層状化合物)は、(30/70)以上(60/40)以下が好ましい。
また、この帯電防止層2は、セルロース繊維と水分吸収剤以外にも、さらに他材料が混合してあっても良い。セルロース繊維および水吸収剤以外の材料は特に限定しないが、例えば、水溶性高分子(ポリビニルアルコール、エチレンビニル、アルコール共重合体、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアミン、ポリウレタンやそれらの誘導体等)、水溶性多糖類(澱粉、カルボキシメチル澱粉、カチオン化澱粉、カードラン、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチン、グアガム、カラギーナン等)、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラノール化合物、オキソザリン化合物、アミン化合物、金属アルコキシド(テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム)及びその加水分解物、多価カチオン、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、アクリレート系の官能基を有する樹脂(ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂)等を用いることができる。また、これらの中から2種以上を併用してもよい。
特に、水溶性多糖類は、セルロース繊維と化学構造が類似していることから、なじみが良く、セルロース繊維表面への高い密着性を示すため、物理的強度付与など膜の機能化を図ることができる。さらに、天然のバイオマス資源から得られるものであり、環境負荷の少ない材料としてはより好ましい。また、この帯電防止層2には、機能性付与のために更に添加剤など含まれていても良い。例えば、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料或いは安定剤などを用いることができ、これらは帯電防止性を損なわない範囲内で組成物に添加でき、用途によって積層体の特性を改良することができる。
また、この帯電防止層2は、その膜厚が100nm以上であることを特徴とする。帯電防止層2の厚みが100nm未満であると、基材1の表面の凹凸等の影響を受けてしまい、安定した帯電防止性を得ることが困難となるため好ましくない。また、帯電防止層2の厚みを100nm以上にすることにより、帯電防止用積層体100をどの用途に用いたとしても、十分な帯電防止機能を発揮することができる。
なお、本発明に係る帯電防止用積層体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ、種々の変形が可能である。すなわち、本発明に係る帯電防止用積層体は、基材の少なくとも一方の面に、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む帯電防止層を備えていればよく、例えば、上記基材1と帯電防止層2の間や、帯電防止層2上に、あるいは基材1の帯電防止層2を備えていない他方の面の表面等に他の層を更に積層しても良い。
具体的に、本発明に係る帯電防止用積層体の他の実施形態(第2から第8実施形態)を図2から図8に示す。なお、本発明の帯電防止用積層体はこれに限定されるものではない。
例えば、上記第1実施形態は、基材1と帯電防止層2のみから構成された例であったが、図2に示す第2実施形態の帯電防止用積層体200は、基材1と帯電防止層2との間に、アンカーコート層3を有する例である。また、図3に示す第3実施形態の帯電防止用積層体300は、基材1と帯電防止層2との間に、蒸着層4を有する例である。また、図4に示す第4実施形態の帯電防止用積層体400は、基材1と帯電防止層2との間に、アンカーコート層3および蒸着層4を有する例である。
これらの例に示すように、本発明に係る帯電防止用積層体は、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む帯電防止層2以外の他の層として、基材1と帯電防止層2の間に、アンカーコート層3や蒸着層4を適宜に積層したり、あるいは後述する、中間フィルム層7、ガスバリア層8、ハードコート層10等を積層できる他、印刷層や、下地層、目留め層、光学調整層等を積層したりすることができる。
また、例えば、図5に示す第5実施形態の帯電防止用積層体500のように、上述した帯電防止用積層体(例えば、第1〜第4実施形態(同図は第1実施形態の例を示す))の基材1と帯電防止層2とのいずれか一方の面に、ラミネート用接着剤層5およびヒートシール層6を更に積層することができる。このように、基材1の帯電防止層2を備えていない他方の面上や、帯電防止層2の表面には、ラミネート用接着剤層5やヒートシール層6の他、後述する、低屈折率層9、ハードコート層10等や、印刷層、表面保護層、防眩層、トップコート層等のような種々の層を積層することができる。
さらに、他の層をドライラミネート法やウェットラミネート法等で積層する場合は、例えば、図6に示す第6実施形態の帯電防止用積層体600のように、帯電防止用積層体(第1〜第4実施形態(同図は第1実施形態での構成例))の層(1,2)と、ヒートシール層6およびラミネート用接着剤層5の層との間に、同図に示すように、中間フィルム層7〜ラミネート用接着剤層5〜ガスバリア層8〜蒸着層4〜アンカーコート層3を更に積層してもよい。このように、本発明に係る帯電防止用積層体は、他の層を積層するためのラミネート用接着剤層5や、上記ヒートシール層6を溶融押出し法で積層する場合のプライマー層やアンカーコート層3、その他、アンダーコート剤層や表面処理によって形成される表面処理層等を含んでいても良い。
さらに、本発明に係る帯電防止用積層体は、例えば、図7に示す第7実施形態の帯電防止用積層体700のように、帯電防止用積層体(第1〜第4実施形態(同図は第1実施形態での構成例))の表面に、低屈折率層9を積層することができるし、また、例えば、図8に示す第8実施形態の帯電防止用積層体800のように、帯電防止用積層体(第1〜第4実施形態(同図は第1実施形態での構成例))に、ハードコート層10および低屈折率層9を積層することができる。
本発明に係る帯電防止用積層体は、例えば、積層材料である包装材料の用途では、上記第5、第6実施形態に示す構成を好適に用いることができる。また、例えば、積層材料である反射防止フィルムの用途では、上記第7、第8実施形態に示す構成を好適に用いることができる。
ここで、上記各実施形態に示す層構成を有する帯電防止用積層体100、200、300、400、500、600、700、800は、積層体表面における、25℃、20%RH環境下での電気抵抗値(表面抵抗率)が1.0×1012Ω/□以下であることを特徴とする。積層体表面における電気抵抗値が1.0×1012Ω/□を超えると、埃付着や放電等の問題を生じるため、十分な帯電防止性を得られない。
帯電防止性の指標となる電気抵抗値の測定方法としては、例えば、高抵抗率計ハイレスターUP(ダイアインスツルメンツ製)を用い、JIS6911に準拠した方法により測定することができる。積層体表面における電気抵抗値の湿度依存性を評価する際には、25℃、20%RHから80%RHの雰囲気下で測定を行う。
更に、上記帯電防止用積層体100、200、300、400、500、600、700、800は、積層体表面における、25℃、20%RH環境下での表面帯電量の半減期が10秒以下であることを特徴とする。表面帯電量の半減期が10秒を超えると、発生した電荷を速やかに漏洩させることができない。半減期が長いほど埃付着や放電等の問題を生じるリスクが高くなる。積層体表面における表面帯電量の半減期は、さらに、5秒以下であることがより好ましい。
半減期の測定方法としては、例えば、スタティックオネストメーターH−0110(シシド静電気製)を用い、JIS1094に準拠した方法により測定することができる。電気抵抗値の場合と同様に湿度依存性を評価する際には、25℃、20%RHから80%RHの雰囲気下で測定を行う。
ここで、上記帯電防止用積層体100、200、300、400、500、600、700、800において、その表面の電気抵抗値及び表面帯電量の半減期は、これら帯電防止用積層体が用いられる用途によって、適宜制御することができる。
帯電防止用積層体表面の電気抵抗値及び表面帯電量の半減期を制御する方法としては、セルロース繊維に導入されるカルボキシル基の含有量を変更することにより制御する方法、水分吸収剤の配合量により制御する方法が挙げられる。前者を用いた場合、特に、セルロース原料をN−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)存在下、酸化剤を用いて酸化する方法を用いて、セルロースに導入されるカルボキシル基の含有量を、上述した範囲、すなわち、酸化反応後のセルロース繊維1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲で変更することにより、帯電防止用積層体表面の電気抵抗値及び表面帯電量の半減期を正確に制御することができる。また、低湿度環境下では、水分吸収剤の配合量による制御が有効である。
次に、上述した本発明に係る帯電防止用積層体(100、200、300、400、500、600、700、800)に用いるカルボキシル基を有するセルロース繊維の製造方法の一例を以下に説明する。
セルロース分子内にカルボキシル基を導入する方法としては、現在いくつかの方法が報告されているが、本発明のように、ナノサイズの繊維幅を有する繊維状で、透明性、屈曲性、強度、耐熱性に優れたセルロース繊維を得るためには、できるだけセルロースの結晶構造を保ちながら、カルボキシル基を導入する方法が好ましい。このことから、セルロース繊維は、結晶性セルロースであり、セルロースI型の結晶構造を有することが好ましい。
一般的に、セルロースは結晶性を有する繊維最小単位のミクロフィブリルが様々な方向に配向・集合することで繊維を構成している。従って、セルロースからナノサイズの繊維を得るためには、できるだけミクロフィブリルをばらばらに解きほぐす必要がある。
しかしながら、ミクロフィブリル間は無数の水素結合で強固に結合しているため、粉砕等の物理的な分散(解繊)処理だけでは前述のようにミクロフィブリルをばらばらに解きほぐすことが非常に難しい。そこで、物理的な分散(解繊)処理をおこなう前に、予めミクロフィブリル表面にカルボキシル基を導入する化学的処理をおこなう方法が有効とされている。この方法を用いると、導入したカルボキシル基の静電的反発がミクロフィブリル間の結合力を弱める働きをする。
具体的には、セルロース原料をN−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)存在下、酸化剤を用いて酸化する方法が好ましい。この方法を用いると、N−オキシル化合物の立体障害によりミクロフィブリル表面に存在するセルロースの一級水酸基のみ選択的に酸化されるため、結晶性をほとんど低下させることなく、カルボキシル基を効率的に導入することができる。
以下、さらに上記酸化方法を具体的に説明する。
本発明の酸化方法で用いるセルロース原料は、例えば、針葉樹や広葉樹などから得られる各種木材パルプ、またはケナフ、バガス、ワラ、竹、綿、海藻などから得られる非木材パルプ、またはホヤから得られるセルロース、微生物が生産するセルロース等を使用することができる。市販のセルロース粉末や微結晶粉末セルロース、紙、再生紙等も使用することができる。また、N−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシラジカルやその誘導体を用いることができる。更に、本酸化反応は、上記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。臭化物又はヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としてはハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など酸化反応を促進させることができれば、いずれの酸化剤も用いることができる。
また、酸化反応条件は、セルロースの性状、使用する設備によって最適化されるべきであるが、酸化反応時の温度条件は50℃以下が良く、5℃以上20℃以下の範囲がより好ましい。反応時の温度が50℃を超えると、カルボキシル基導入量は増加するが、一方で膜の強度に影響を及ぼす分子量低下やミクロフィブリル内部への酸化や副反応が生じてしまう。
また、上記方法により導入するカルボキシル基の含有量は、酸化反応後のセルロース繊維1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲が好ましい。0.1mmol以上であれば、静電的な反発力を生じ、セルロース繊維の解繊を助ける働きをする。しかし、5.0mmolを超える場合、セルロース繊維の結晶性が失われてしまうため、強度等の面で好ましくない。
導入したカルボキシル基の含有量の測定方法は、例えば、以下の操作に従いおこなう。
カルボキシル基を導入したセルロース繊維を化学処理し、乾燥重量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに、0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整する。ここに、自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシル基の含有量を算出する。
ここで、本発明に用いるカルボキシル基を有するセルロース繊維は、セルロース原料に上記方法を用いてカルボキシル基を導入した後に、さらに水中で分散処理を施しナノファイバー化したものである。以下、セルロース繊維のナノファイバー化について説明する。
上記酸化方法によりカルボキシル基を導入したセルロース繊維は、更に解繊(分散)処理を施すことでナノファイバー化することができる。解繊処理の方法としては、ミキサー、高速回転ミキサー、シェアミキサー、ブレンダー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ボールミル等のせん断力或いは衝突による処理方法を用いることができる。これにより、セルロース繊維が解繊されナノオーダーのファイバーを得ることができる。最適な条件でおこなえば、幅3nmから4nm程度、長さ数μm程度のナノファイバー状のセルロースとなる。
また、セルロース繊維の解繊処理に用いる分散媒(或いは溶媒)は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、水を用いることができる。これらの分散媒(或いは溶媒)は単独または2種以上併用しても良いが、セルロース繊維の均一な分散体を得るためには、水或いは水/アルコール系分散媒(溶媒)が好ましい。
次に、上記帯電防止用積層体の帯電防止層2の形成方法について説明する。
帯電防止層2は、セルロース繊維を含む帯電防止層形成用組成物を基材1上に塗布後、乾燥させることにより得ることができる。
帯電防止層2の形成方法としては公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いることができる。以上の塗布方法を用いて、基材の少なくとも一方の面に塗布する。
乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、UV乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等を用いることができる。
また、膜の強度や密着性を向上させるために、帯電防止層2の形成後にさらにUV照射やEB照射処理を施すことでも可能である。
さらに、帯電防止層2上にその他の層を積層することも可能である。例えば、包装材料用途とする場合には、印刷層やヒートシール層等を積層しても良い。印刷層は、包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、グラビアコート等の周知の塗布方式を用いて形成することができる。厚さは、0.01μm以上2.0μm以下の範囲で適宜選択される。
また、基材1上に設ける帯電防止層2以外の他の層は、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の塗布方法や、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法などの成膜方法により形成することができる。
また、例えば、上記蒸着層4やガスバリア層8のような層については、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素等をターゲットとして、上記成膜方法により形成することができる。
また、例えば、上記アンカーコート層3、ラミネート用接着剤層5、ハードコート層10のような層としては、上述した塗布方法を用いることができる。また、ラミネート用接着剤を用いる場合は、ラミネート用接着剤層5を介して帯電防止層2を有する積層体と他の積層体とをラミネートすることもできる。
次に、上記帯電防止用積層体を備えた積層材料について説明する。
上記帯電防止用積層体を備えた積層材料とは、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む層が形成されており、帯電防止機能を有する材料であれば特に限定されない。具体的には、微粉体や薄葉体などの内容物を充填した包装材料、工業資材や電子機器等を包装する包装材料、光学用途で用いるディスプレイ用反射防止フィルムなどが挙げられる。上記帯電防止用積層体を備えた積層材料は、帯電防止用積層体に対応する作用効果を奏することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、帯電防止フィルム(帯電防止用積層体)の性能は、下記の方法に従い評価した。
表面抵抗・・・高抵抗率計ハイレスターUP(ダイアインスツルメンツ製)を用い、JIS6911に準拠した方法により測定した。
半減期・・・スタティックオネストメーターH−0110(シシド静電気製)を用い、JIS1094に準拠した方法により測定した。
<製造例1>
[材料]
セルロース:漂白クラフトパルプ(フレッチャーチャレンジカナダ、Machenziej)
TENPO:市販品(東京化成工業)
次亜塩素酸ナトリウム:市販品(和光純薬)
臭化ナトリウム:市販品(和光純薬)
[TEMPO酸化]
漂白クラフトパルプ10g(乾燥重量換算)を水500ml中で一晩静置し、パルプを膨潤させた。これを表1に示した各条件の温度に調整し、TEMPO 0.1gと臭化ナウム 1gを添加し、パルプの懸濁液とした。さらに、攪拌しながらセルロース重量当たり10mmol/gの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この際、約1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してパルプ懸濁液のpHを約10.5に保持しながら、20℃で120分間反応をおこなった。その後、2N塩酸で中和処理し、さらに水洗し酸化セルロース(酸型)を得た。
[カルボキシル基含有量の測定]
得られた酸化セルロースのカルボキシル基の含有量を、明細書記載の方法に従って測定した。その結果、酸化セルロースのカルボキシル基の含有量は、1.8mmol/gであった。
[酸化セルロースの分散処理]
得られた酸化セルロースをイオン交換水で固形分濃度1.5%になるよう調整した後、0.5N水酸化ナトリウムを用いてpH8に調整した。その後、高速回転ミキサーを用いて、60分攪拌し、透明なセルロース繊維1の分散液を得た。
[数平均繊維幅及び結晶化度の測定]
得られたセルロース繊維の数平均繊維幅及び結晶化度は、明細書記載の方法に従って測定した。その結果、得られたセルロース繊維の数平均繊維幅は、3.3nm、結晶化度は、73%であった。
<製造例2>
[材料]
漂白クラフトパルプ10g(乾燥重量換算)を水500ml中で一晩静置し、パルプを膨潤させた。これを表1に示した各条件の温度に調整し、TEMPO 0.1gと臭化ナウム 1gを添加し、パルプの懸濁液とした。さらに、攪拌しながらセルロース重量当たり10mmol/gの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この際、約1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してパルプ懸濁液のpHを約10.5に保持しながら、20℃で100分間反応をおこなった。その後、2N塩酸で中和処理し、さらに水洗し酸化セルロース(酸型)を得た。
[カルボキシル基含有量の測定]
得られた酸化セルロースのカルボキシル基の含有量を、明細書記載の方法に従って測定した。その結果、た酸化セルロースのカルボキシル基の含有量は、1.6mmol/gであった。
[酸化セルロースの分散処理]
得られた酸化セルロースをイオン交換水で固形分濃度1.5%になるよう調整した後、0.5N水酸化ナトリウムを用いてpH8に調整した。その後、高速回転ミキサーを用いて、60分攪拌し、透明なセルロース繊維2の分散液を得た。
[数平均繊維幅及び結晶化度の測定]
得られたセルロース繊維の数平均繊維幅及び結晶化度は、明細書記載の方法に従って測定した。その結果、得られたセルロース繊維の数平均繊維幅は、3.1nm、結晶化度は、75%であった。
なお、得られたセルロース繊維について、含有されるカルボキシル基の含有量は、具体的には、以下の方法にて算出した。化学処理したセルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに、0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。ここに、自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシル基の含有量を算出した。その結果、セルロース繊維1のカルボキシル基の含有量は、1.8mmol/g、セルロース繊維2のカルボキシル基の含有量は、1.6mmol/gであった。
<実施例1>
25μmポリエチレンテレフタレートフィルム基材シート上に、セルロース繊維1をイオン交換水で固形分濃度が1.5重量%になるよう調整した。次に、この混合液のPHを、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてPH10にした後、高速回転ミキサーで解繊処理を施し塗布液を作製した。そして、この塗布液をバーコーター(#20)により塗布した後、120℃で5分乾燥させ、膜厚約250nmの帯電防止層を形成した。得られた帯電防止フィルムの表面抵抗、半減期の測定結果を、それぞれ以下の表1、2に示す。
<比較例1>
25μmポリエチレンテレフタレートフィルム基材シート上に、キトサン(カイトマーL ユニオンカーバイド社製)を0.1N酢酸水溶液で固形分濃度が1.5重量%になるように調整し、塗布液を作製した。そして、この塗布液をバーコーター(#20)により塗布した後、120℃で5分乾燥させ、膜厚約250nmの帯電防止層を形成した。得られた帯電防止フィルムの表面抵抗、半減期の測定結果を、それぞれ以下の表1、2に示す。
<比較例2>
25μmポリエチレンテレフタレートフィルム基材シート上に、カルボキシメチルセルロース(置換度1.2)をイオン交換水で固形分濃度が1.5重量%になるように調整し、塗布液を作製した。そして、この塗布液をバーコーター(#20)により塗布した後、120℃で5分乾燥させ、膜厚約250nmの帯電防止層を形成した。得られた帯電防止フィルムの表面抵抗、半減期の測定結果を、それぞれ以下の表1、2に示す。
Figure 2011118361
Figure 2011118361
表1、2に示す結果からわかるように、本発明に係るセルロース繊維を用いた実施例1の帯電防止フィルム(帯電防止用積層体)は、比較例1のキトサンを用いたフィルムや、比較例2のカルボキシメチルセルロースを用いたフィルムと比較して、高い帯電防止性能を示した。また、低湿度である25%RH下でも、埃やゴミ付着防止に必要な表面抵抗値を維持していた。
<実施例2>
下記配合量のセルロース繊維2、無機層状化合物、イオン交換水を含む混合液を調整し、高速回転ミキサーを用いて60分解繊処理を施し、セルロース繊維2および無機層状化合物が均一に分散した塗布液を作製した。
セルロース繊維2・・・0.5重量部
無機層状化合物(Na型四ケイ素雲母DMA−350、トピー工業株式会社製)・・・0.5重量部
イオン交換水・・・99重量部
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、実施例2の帯電防止フィルムを得た。
<実施例3>
下記配合量のセルロース繊維2、無機層状化合物、イオン交換水を含む混合液を調整し、高速回転ミキサーを用いて60分解繊処理を施し、セルロース繊維2および無機層状化合物が均一に分散した塗布液を作製した。
セルロース繊維2・・・0.35重量部
無機層状化合物(Na型四ケイ素雲母DMA−350、トピー工業株式会社製)・・・0.65重量部
イオン交換水・・・99重量部
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、実施例3の帯電防止フィルムを得た。
<実施例4>
下記配合量のセルロース繊維2、ゼオライト、イオン交換水を含む混合液を調整し、高速回転ミキサーを用いて60分解繊処理を施し、セルロース繊維2およびゼオライトが均一に分散した塗布液を作製した。
セルロース繊維2・・・0.35重量部
ゼオライト(ゼオフィル、新東北化学工業株式会社製)・・・0.65重量部イオン交換水・・・99重量部
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、実施例4の帯電防止フィルムを得た。
<実施例5>
下記配合量のセルロース繊維2、イオン交換水を含む混合液を調整し、高速回転ミキサーを用いて60分解繊処理を施し、セルロース繊維2が均一に分散した塗布液を作製した。
セルロース繊維2・・・1.0重量部
イオン交換水・・・99重量部
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、実施例5の帯電防止フィルムを得た。
<比較例3>
下記配合量のポリビニルアルコール、イオン交換水を含む混合液を調整し、100℃にて10分攪拌し、ポリビニルアルコールを水に完全に溶解させた。
ポリビニルアルコール(PVA124、クラレ社製)・・・0.35重量部
イオン交換水・・・99重量部
次に、無機層状化合物(Na型四ケイ素雲母DMA−350、トピー工業株式会社製)0.65重量部を添加し、ポリビニルアルコールおよび無機層状化合物が均一に分散するまで攪拌し、塗布液を作製した。
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、比較例3の帯電防止フィルムを得た。
<比較例4>
下記配合量のポリビニルアルコール、イオン交換水を含む混合液を調整し、100℃にて10分攪拌し、ポリビニルアルコールを水に完全に溶解させた。
ポリビニルアルコール(PVA124、クラレ社製)・・・0.8重量部
イオン交換水・・・99重量部
次に、第4級アンモニウム塩(コータミン24P、花王株式会社製)0.2重量部を添加し、ポリビニルアルコールおよび第4級アンモニウム塩が均一に分散するまで攪拌し、塗布液を作製した。
25μmポリエチレンテレフタラートフィルム基材上に、この塗布液をバーコーター(#50)により塗布した後、120℃で15分乾燥させ、膜厚約500nmの帯電防止層を形成し、比較例4の帯電防止フィルムを得た。
実施例2から5、比較例3、4で得られた帯電防止フィルムの表面抵抗の測定結果を以下の表3に示す。
Figure 2011118361
表3に示す結果からわかるように、本発明に係るセルロース繊維および水分吸収剤を用いた実施例2から4の帯電防止フィルム(帯電防止積層体)は、実施例5の帯電防止層がセルロース繊維のみから形成されるフィルムと比較して、特に、低湿度環境下(20%RH)にて高い帯電防止性能を示し、本発明の課題であった帯電防止性能の湿度依存を大きく改善した。また、比較例3にあるようにポリビニルアルコールと水分吸収剤を合わせて用いても、帯電防止性能は発揮されないことから、水分吸収剤自体の帯電防止性能は低く、セルロース繊維と組み合わせて用いることで、その効果を十分に発揮することが分かった。また、比較例4にあるように、第4級アンモニウム塩型の帯電防止剤と比較しても、高い帯電防止性能を示した。
1・・・基材
2・・・帯電防止層
3・・・アンカーコート層
4・・・蒸着層
5・・・ラミネート用接着剤層
6・・・ヒートシール層
7・・・中間フィルム層
8・・・ガスバリア層
9・・・低屈折率層
10・・・ハードコート層
100、200、300、400、500、600、700、800・・・帯電防止用積層体

Claims (15)

  1. 帯電を防止するために用いられ、複数の層が積層されてなる積層体であって、
    基材と、該基材の少なくとも一方の面の側に積層された帯電防止層とを備え、
    前記帯電防止層が、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む層であることを特徴とする帯電防止用積層体。
  2. 前記セルロース繊維が、酸化反応によりカルボキシル基が導入されたセルロース繊維であり、セルロース繊維1g当たりのカルボキシル基の含有量が、0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止用積層体。
  3. 前記カルボキシル基の少なくとも一部が、カルボン酸塩であることを特徴とする請求項2に記載の帯電防止用積層体。
  4. 前記セルロース繊維の繊維幅が、2nm以上50nm以下であり、前記セルロース繊維の長さが、1μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の帯電防止用積層体。
  5. 前記セルロース繊維が、結晶性セルロースであり、セルロースI型の結晶構造を有することを特徴とする請求項4に記載の帯電防止用積層体。
  6. 前記帯電防止層が、さらに、水分吸収剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の帯電防止用積層体。
  7. 前記帯電防止層に含まれるセルロース繊維と水分吸収剤との重量比(セルロース繊維/水分吸収剤)が、(5/95)以上(95/5)以下の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の帯電防止用積層体。
  8. 前記水分吸収剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項7に記載の帯電防止用積層体。
  9. 前記帯電防止層に含まれるセルロース繊維と無機層状化合物との重量比(セルロース繊維/無機層状化合物)が、(20/80)以上(70/30)以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の帯電防止用積層体。
  10. 前記帯電防止層の膜厚が、100nm以上であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体。
  11. 帯電防止用積層体の表面における、25℃、20%RH環境下での電気抵抗値が、1.0×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体。
  12. 帯電防止用積層体の表面における、25℃、20%RH環境下での表面帯電量の半減期が、10秒以下であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体。
  13. 前記基材が、プラスッチックであり、前記帯電防用積層体のヘイズが、0.1%以上10%以下の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体。
  14. 前記基材が、紙であることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止用積層体。
  15. 請求項9に記載の帯電防止用積層体を備えたことを特徴とする積層材料。
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