JP5195969B2 - コーティング剤を用いた積層材料 - Google Patents
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Description
しかしながら、セラミック蒸着フィルムは、その蒸着層がセラミックからなる故に脆く、可撓性に欠けるので、包装材料としての加工適性に問題を有するものとなっている。
そのため、この積層材料は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化が見られ、また、撓みや引っ張りによって損傷しやすく、ラミネート加工や製袋等に対する加工適性が依然として不十分であるという問題を有している。
しかし、水溶性多糖類のコーティング剤は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化は避けられない問題があった。
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項11記載の積層材料である。
また、本発明の積層材料は、グルコースとグルクロン酸ユニットからなる改質微細セルロースを使用していることから、生分解性があり廃棄物処理の心配がない。
また、本発明の積層材料を構成しているコーティング剤乾燥塗膜は、透明性に優れ、酸素透過度が低く、湿度劣化や温度依存性が抑制される。
さらに、本発明の積層材料は、加工適性や保存適性にも優れたガスバリア材料として用いられる。
この範囲にある微細セルロースは水に不溶であるが非常によくなじみ、分散性もよい。
さらに、セルロース中に元々ある水酸基よりも極性が高く、水素結合能も高いカルボキシル基を導入することにより高いガスバリア性とコーティングした際の透明性を付与できる。
また、本発明におけるグルクロン酸残基を導入する酸化方法はN−オキシル化合物などの触媒の存在下で、水分散させた微細セルロースを水系で処理することを特徴とする。
この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。本酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。
この臭化物またはヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
さらに、改質微細セルロースの酸化反応における反応系のpHは、反応の効率の面から、PH9〜12の間で反応を行うことが望ましい。
これらの微細セルロースのセルロース粉末は平均粒径が100μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは平均粒径が10μm以下の範囲のものが、分散性、コーティング膜の透明性において優れているので好ましい。
この添加剤として、無機層状化合物を含有させることも可能で、無機層状化合物とは層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘度鉱物をあげることができる。無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は、そのガスバリアフィルムの使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
一般的には、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等をあげることができ、これらの中でも、溶液中の安定性や、塗工性等の点から好ましいものとしてモンモリロナイトをあげることができる。
この有機金属化合物は、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする。
上記一般式で示される有機金属化合物の置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基、アミノ基を有してもよく、それらの有機金属化合物を1種類または、2種類以上添加することにより、各種機能、特に耐水性、耐湿性を付与することが可能となる。
このコーティング方法は、ディッピング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、スプレー法等の公知の塗工方法によって基材の少なくとも一方の面上にコーティングし、乾燥させる。
これにより、基材上に透明な被膜を形成することができる。
ここで、コーティング剤はセルロース粉末や微細セルロースを原料とした改質微細セルロースの分散液であるが、酸化処理を経てこれらの改質微細セルロースの主に表面に導入されたカルボキシル基の存在により、乾燥後は均一な透明の薄い膜を得ることができる。
なお、被膜を基材の両面に形成する場合、被膜の厚さは、0.1〜10μmとすることが好ましい。
このセラミック蒸着フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等のプラスチックフィルム上に、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスにより、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着膜を形成したものを使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
<微細セルロースの製造方法>
それぞれの微細セルロースを水に分散させたペースト(絶乾セルロース量=10g相当)にTENPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。
反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約5wt%の改質微細セルロースペーストを得た。微細セルロースが天然セルロースであれば、上記のような酸化方法により構成単糖全体のうち60%までをグルコースからグルクロン酸に変換できる。酸化の程度を60%以下に調節するには、次亜塩素酸ナトリウムの添加量と反応時間を調整すれば、制御が可能である。
天然セルロースに比べ、酸化され易いアルカリセルロースや、レーヨンなどの再生セルロースの粉末を用いるときは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を酸化当量の60%(セルロース1gに対し6g、グルコース残基1モルに対し、1.2モル)以下にした。
セルロースの本酸化方法によっては、セルロースの種類などにより60%以上のものも得られるが、60%以上酸化したものの中には水溶性の部分も多く含まれるため、取り扱い易さや、収率の面から、60%以下が望ましい。
平均粒径3μmの市販のペースト状微結晶セルロース100g(絶乾セルロース量=10g相当)にTEMPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。この酸化処理後の改質微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
市販のセルロースパウダーの懸濁液をミルで粉砕し平均粒径100μmの微細セルロースペーストを得た。実施例1と同条件にて酸化処理を行い、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。さらに実施例1同様にコーティング、乾燥を行い膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストと、2倍量の5wt%モンモリロナイト水分散液を混合し、コーティング剤を調製した。このコーティング剤を、基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
テトラエチルオルソシリケート(Si(OC2H5)4:TEOSと略記)8.3g(0.04mol)と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ製 サイラーエースS530)9.9g(0.04mol)に0.1Nの塩酸水溶液を18g加え18時間攪拌し、加水分解溶液を作成した。これに実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストを重量比で1/1になるように混合して複合溶液を作成した。これらの溶液を基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
酸化前の微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
比較として基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)のみを試験体とした。
<透明度測定>
ヘイズメータ(日本電色工業株式会社)にて全光線透過率及びヘイズ率を測定した。
セロハンテープ剥離試験により評価した。
また、全光線透過率やヘイズ率においても、酸化処理を行った改質微細セルロースペーストをコーティングしたフィルは透明性が高かった。さらに、ペースト中の微粉末の平均粒径が3μmのものの方が100μmのものより高い透明性を示した。
Claims (16)
- セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料。
- セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上30%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料。
- 前記微細セルロースの平均粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
- 前記微細セルロースの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
- 前記グルクロン酸残基を導入する酸化が、水分散させた微細セルロースを水系で処理する酸化方法であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層材料。
- 請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で処理する酸化方法であることを特徴とする積層材料。
- 請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で、水中で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩のうち少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化することを特徴とする積層材料。
- 前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシルであることを特徴とする請求項6または請求項7記載の積層材料。
- 請求項1または請求項2に記載の前記コーティング剤中に、他の添加剤を含むことを特徴とする積層材料。
- 前記添加剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料。
- 前記添加剤が、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料。
- 前記有機金属化合物が、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項11記載の積層材料。 - 前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする請求項12記載の積層材料。
- 前記塗膜が、乾燥膜厚で0.01〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
- 前記塗膜が、乾燥膜厚で0.1〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
- ヘイズ率が40%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
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