JP5195969B2 - コーティング剤を用いた積層材料 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースを用いたガスバリア性コーティング剤を塗布して得られる積層材料に関するものである。
従来、ガスバリアフィルムとしては、塩化ビニリデン共重合体(PVDC)等の塩素系のものが各種包装材料などに広く普及している。しかし、最近の環境問題に対する意識の高まりから、非塩素系のガスバリア材としてポリビニルアルコール(PVA)とエチレンビニルアルコールとの共重合体、あるいはこれらの樹脂がコートされたフィルムが使用されている。しかしながら、これらのガスバリアフィルムは、湿度依存性が大きく、また、酸素透過度が1cc/m・day・atm以下という高いガスバリア性を実現することができない。
一方、高いバリア性を実現するガスバリアフィルムとしては、SiOx、Al等の無機物を蒸着法によりプラスチックフィルム基材上に蒸着した、いわゆる、セラミック蒸着フィルムが開発され、その優れたガスバリア性から注目されている。
しかしながら、セラミック蒸着フィルムは、その蒸着層がセラミックからなる故に脆く、可撓性に欠けるので、包装材料としての加工適性に問題を有するものとなっている。
そこで、セラミック蒸着フィルムの問題を解決する手段として、ポリウレタン樹脂等の樹脂溶液中に特定のアスペクト比を有するマイカ粉末等の無機物を分散させた塗液を、基材上に塗布することにより形成した有機無機複合膜や、セラミック蒸着フィルム上にPVA等の樹脂保護層を積層した積層体が検討されている。
しかしながら、従来の樹脂中に無機化合物を分散させた有機無機複合膜も、十分なガスバリア性が得られず、さらに、湿度劣化や温度依存性に対する耐性も十分とはいえず、これらを改善することが課題となっている。
また、セラミック蒸着フィルム上に樹脂保護膜を形成した積層材料も、その樹脂保護膜は、セラミック蒸着層を外力による機械的損傷等から保護するための保護膜として機能するが、ガスバリア性を十分に向上させるものとはなっていない。
そのため、この積層材料は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化が見られ、また、撓みや引っ張りによって損傷しやすく、ラミネート加工や製袋等に対する加工適性が依然として不十分であるという問題を有している。
一方、近年、これまでの環境負荷型技術から環境保全型への技術転換が世界中で巻き起こる中、再生可能な天然資源が注目されてきている。これはほとんどの天然資源は、石油由来のプラスチックより燃焼熱が低い上に、生分解性もあり土に戻すことができ、廃棄物処理の心配がない。そこで、天然資源を有効利用した材料を使用することは、環境問題の深刻化する中で、重要な課題であろう。
そこで最近では、環境保全型の資源を利用した、水溶性デンプンや水溶性セルロース誘導体をはじめとする多糖類を用いたガスバリア性コーティング剤が開発されている(特許文献1参照)。これらのコーティング剤は、天然物由来ということで環境的にも安全上の観点からもPVA等の合成高分子由来のコーティング剤に比べ好ましい。
しかし、水溶性多糖類のコーティング剤は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化は避けられない問題があった。
特開2001−334600号公報
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、環境保全型の天然資源を利用し、廃棄処理あるいはリサイクリングが可能でコスト的にも安価であり、かつ可撓性と優れたガスバリア性を有し、湿度劣化や温度依存性が抑制できるコーティング剤を使用して塗布形成した塗膜が、透明で、ガスバリア性を有し、加工適性や保存適性にも優れた積層材料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料である。
請求項2に係る発明は、セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上30%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料である。
請求項3に係る発明は、前記微細セルロースの平均粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料である。
請求項4に係る発明は、前記微細セルロースの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料である。
請求項5に係る発明は、前記グルクロン酸残基を導入する酸化が、水分散させた微細セルロースを水系で処理する酸化方法であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層材料である。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で処理する酸化方法であることを特徴とする積層材料である。
請求項7に係る発明は、請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で、水中で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩のうち少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化することを特徴とする積層材料である。
請求項8に係る発明は、前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシルであることを特徴とする請求項6または請求項7記載の積層材料である。
請求項9に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の前記コーティング剤中に、他の添加剤を含むことを特徴とする積層材料である。
請求項10に係る発明は、前記添加剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料である。
請求項11に係る発明は、前記添加剤が、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料である。
請求項12に係る発明は、前記有機金属化合物が、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項11記載の積層材料である。
請求項13に係る発明は、前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする請求項12記載の積層材料である。
請求項14に係る発明は、前記塗膜が、乾燥膜厚で0.01〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料である。
請求項15に係る発明は、前記塗膜が、乾燥膜厚で0.1〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料である。
請求項16に係る発明は、ヘイズ率が40%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料である。
本発明の積層材料は、再生可能な天然資源である改質微細セルロースを利用していることから、石油由来のプラスチックより燃焼熱が低く、焼却時に有毒ガス、有害物質を発生することがない。
また、本発明の積層材料は、グルコースとグルクロン酸ユニットからなる改質微細セルロースを使用していることから、生分解性があり廃棄物処理の心配がない。
また、本発明の積層材料を構成しているコーティング剤乾燥塗膜は、透明性に優れ、酸素透過度が低く、湿度劣化や温度依存性が抑制される。
さらに、本発明の積層材料は、加工適性や保存適性にも優れたガスバリア材料として用いられる。
本発明の積層材料に用いるコーティング剤は、セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とする微細セルロースを含有することを特徴とするものである。そして、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲、さらに好ましくは、1%以上30%以下の範囲であることを特徴とする。
この範囲にある微細セルロースは水に不溶であるが非常によくなじみ、分散性もよい。
さらに、セルロース中に元々ある水酸基よりも極性が高く、水素結合能も高いカルボキシル基を導入することにより高いガスバリア性とコーティングした際の透明性を付与できる。
本発明におけるグルクロン酸残基を導入する酸化方法は水分散させた微細セルロースを水系で処理することを特徴とするもので、水系で処理した後乾燥工程を経ることなくコーティング剤が調製できる為、微細セルロースの凝集などを防ぐことができる。
また、本発明におけるグルクロン酸残基を導入する酸化方法はN−オキシル化合物などの触媒の存在下で、水分散させた微細セルロースを水系で処理することを特徴とする。
本発明におけるコーティング剤に含まれる改質微細セルロースは、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、微細セルロースを酸化することにより得ることができる。N−オキシル化合物には、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシル(以下、TEMPOと称する)などが含まれる。
この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。本酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。
この臭化物またはヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
本発明においては、微細セルロースのセルロース骨格中6位の水酸基を選択的に酸化し、骨格中のグルコースをグルクロン酸に変換するものである。N−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、セルロースに対して重量比で2%〜10ppmあれば充分である。
本発明における酸化反応条件などは、特に限定されず、セルロースの性状、使用する設備などによって最適化されるべきであるが、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できるので好ましい。
ここで、臭化物及び/又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、セルロースに対し20%〜100ppmである。
本発明における改質微細セルロースの酸化反応系は、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下のもとで、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
また、微細セルロースの酸化反応では、セルロースの1級水酸基への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下で反応させることが望ましい。
さらに、改質微細セルロースの酸化反応における反応系のpHは、反応の効率の面から、PH9〜12の間で反応を行うことが望ましい。
一方、本発明における微細セルロースの原料は特に限定されるものではなく、各種木材、非木材パルプ、微生物産生セルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、レーヨン等の再生セルロース等を高圧ホモジナイザーや凍結粉砕、ミル等で粉砕した粉末状のものや加水分解などの化学的処理により精製した微細セルロースで、市販されている各種セルロース粉末や、微結晶セルロース粉末を使用できる。
これらの微細セルロースのセルロース粉末は平均粒径が100μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは平均粒径が10μm以下の範囲のものが、分散性、コーティング膜の透明性において優れているので好ましい。
また、本発明のコーティング剤中には、更に他の添加剤を含ませてもよい。
この添加剤として、無機層状化合物を含有させることも可能で、無機層状化合物とは層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘度鉱物をあげることができる。無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は、そのガスバリアフィルムの使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
一般的には、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等をあげることができ、これらの中でも、溶液中の安定性や、塗工性等の点から好ましいものとしてモンモリロナイトをあげることができる。
また、他の添加剤として、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物を含み、改質微細セルロースと複合化させることも可能である。
この有機金属化合物は、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする。
上記一般式で示される有機金属化合物の置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基、アミノ基を有してもよく、それらの有機金属化合物を1種類または、2種類以上添加することにより、各種機能、特に耐水性、耐湿性を付与することが可能となる。
また、前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であるコーティング剤とすることができる。
次に、本発明の積層材料は、前記のコーティング剤を予め作成し、基材にコーティングして形成させるものである。
このコーティング方法は、ディッピング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、スプレー法等の公知の塗工方法によって基材の少なくとも一方の面上にコーティングし、乾燥させる。
これにより、基材上に透明な被膜を形成することができる。
ここで、コーティング剤はセルロース粉末や微細セルロースを原料とした改質微細セルロースの分散液であるが、酸化処理を経てこれらの改質微細セルロースの主に表面に導入されたカルボキシル基の存在により、乾燥後は均一な透明の薄い膜を得ることができる。
前記被膜を基材の片面に形成する場合には、乾燥後の被膜厚さが約0.01〜100μmとなるようにコーティング形成することが好ましく、特に、0.1〜20μmとすることが好ましい。被膜が薄すぎると塗膜が形成されにくく、反対に被膜が厚すぎると不経済である。
なお、被膜を基材の両面に形成する場合、被膜の厚さは、0.1〜10μmとすることが好ましい。
これらのコーティング剤には、この他に、顔料分散剤等を配合することもできる。
一方、ここでの基材は、一般的に使用されている種々のシート状又はフィルム状の基材を、当該ガスバリア材の用途に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、紙、板紙や、ポリ乳酸等の生分解性プラスチック、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等あるいはこれらの高分子の共重合体を使用することができる。
この基材としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤を含有したものを使用することができる。また、表面に、コロナ処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、その表面に形成される被膜との密着性を向上させたものも使用することができる。
ガスバリア性を一層向上させる場合、基材としてセラミック蒸着フィルムを使用してもよい。
このセラミック蒸着フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等のプラスチックフィルム上に、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスにより、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着膜を形成したものを使用することができる。
基材として、セラミック蒸着フィルムを使用する場合に、その蒸着膜の好ましい膜厚は、当該ガスバリア材の用途や蒸着膜の膜組成等に応じて異なるが、通常、数nm〜500nmの範囲が好ましく、5nm〜300nmがより好ましい。この蒸着膜が薄すぎると蒸着膜の連続性が維持されなくなり、反対に厚すぎると可撓性が低下し、クラックが発生しやすくなる。
本発明のガスバリア材には、必要に応じて、上述の基材及び被膜の他、さらにヒートシールを可能とする熱可塑性樹脂層、印刷層等を積層することができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層してもよい。
<実施例>
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
以下の実施例で使用する微細セルロースは、一例として、下記の製造方法に基づいて製造した。
<微細セルロースの製造方法>
それぞれの微細セルロースを水に分散させたペースト(絶乾セルロース量=10g相当)にTENPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。
反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約5wt%の改質微細セルロースペーストを得た。微細セルロースが天然セルロースであれば、上記のような酸化方法により構成単糖全体のうち60%までをグルコースからグルクロン酸に変換できる。酸化の程度を60%以下に調節するには、次亜塩素酸ナトリウムの添加量と反応時間を調整すれば、制御が可能である。
天然セルロースに比べ、酸化され易いアルカリセルロースや、レーヨンなどの再生セルロースの粉末を用いるときは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を酸化当量の60%(セルロース1gに対し6g、グルコース残基1モルに対し、1.2モル)以下にした。
セルロースの本酸化方法によっては、セルロースの種類などにより60%以上のものも得られるが、60%以上酸化したものの中には水溶性の部分も多く含まれるため、取り扱い易さや、収率の面から、60%以下が望ましい。
また、微細セルロースの平均粒径が100μm以上のものは、コーティング剤としての分散性が悪くコーティングが困難な上に、乾燥後のコーティング膜も不透明で、バリア性も低い。一方、平均粒径100μm以下であればコーティング剤の分散性も良好で、乾燥後のコーティング膜も透明になる。さらに、平均粒径10μm以下であると、乾燥後のコーティング膜はより透明になり、バリア性も高くなる。
(実施例1)
平均粒径3μmの市販のペースト状微結晶セルロース100g(絶乾セルロース量=10g相当)にTEMPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。この酸化処理後の改質微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
(実施例2)
市販のセルロースパウダーの懸濁液をミルで粉砕し平均粒径100μmの微細セルロースペーストを得た。実施例1と同条件にて酸化処理を行い、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。さらに実施例1同様にコーティング、乾燥を行い膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
(実施例3)
実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストと、2倍量の5wt%モンモリロナイト水分散液を混合し、コーティング剤を調製した。このコーティング剤を、基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
(実施例4)
テトラエチルオルソシリケート(Si(OC2H5)4:TEOSと略記)8.3g(0.04mol)と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ製 サイラーエースS530)9.9g(0.04mol)に0.1Nの塩酸水溶液を18g加え18時間攪拌し、加水分解溶液を作成した。これに実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストを重量比で1/1になるように混合して複合溶液を作成した。これらの溶液を基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
(比較例1)
酸化前の微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
(比較例2)
比較として基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)のみを試験体とした。
実施例及び比較例で得られた試験体について透明度、酸素透過度の測定及び密着試験を下記の測定方法及び試験方法に基づいて評価した。その評価結果を表1に示す。
<透明度測定>
ヘイズメータ(日本電色工業株式会社)にて全光線透過率及びヘイズ率を測定した。
ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製MOCON OXTRAN 10/50A)を用い30℃−70%RH雰囲気の条件で測定した。
<密着性試験>
セロハンテープ剥離試験により評価した。
Figure 0005195969
酸化処理を行った改質微細セルロースペーストをコーティングしたフィルム(実施例1〜4)はいずれも、酸化処理を行っていない微細セルロースペーストをコーティングしたフィルム(比較例1)に比べガスバリア性や、密着性に優れていた。
また、全光線透過率やヘイズ率においても、酸化処理を行った改質微細セルロースペーストをコーティングしたフィルは透明性が高かった。さらに、ペースト中の微粉末の平均粒径が3μmのものの方が100μmのものより高い透明性を示した。

Claims (16)

  1. セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料。
  2. セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とし、かつ、前記カルボキシル基量がセルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上30%以下の範囲である水不溶の微細セルロースを含有するコーティング剤からなる塗膜を、基材上に塗布形成したことを特徴とする積層材料。
  3. 前記微細セルロースの平均粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
  4. 前記微細セルロースの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
  5. 前記グルクロン酸残基を導入する酸化が、水分散させた微細セルロースを水系で処理する酸化方法であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層材料。
  6. 請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で処理する酸化方法であることを特徴とする積層材料。
  7. 請求項5記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で、水中で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩のうち少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化することを特徴とする積層材料。
  8. 前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシルであることを特徴とする請求項6または請求項7記載の積層材料。
  9. 請求項1または請求項2に記載の前記コーティング剤中に、他の添加剤を含むことを特徴とする積層材料。
  10. 前記添加剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料。
  11. 前記添加剤が、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項9記載の積層材料。
  12. 前記有機金属化合物が、下記一般式
    AmM(OR)n−m
    (式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項11記載の積層材料。
  13. 前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする請求項12記載の積層材料。
  14. 前記塗膜が、乾燥膜厚で0.01〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
  15. 前記塗膜が、乾燥膜厚で0.1〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
  16. ヘイズ率が40%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層材料。
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