JP4622147B2 - セルロース複合体、及びこのセルロース複合体を用いた内添紙製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機金属化合物をセルロース担持体に担持させた複合材料と、この複合材を内添した内添紙、又はこの内添紙を用いた紙容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年は、環境保全型の技術開発や有限な化石燃料由来の材料系から環境負荷の少ない天然資源由来の材料系への移行などに波及している。天然資源の中でも植物繊維を原料とした紙は、自然再生でリサイクル可能であり、ゴミ焼却時の燃焼熱も低く、生分解性もある為、環境ホルモンが懸念される合成樹脂系の各種容器に代わり、紙容器の需要が増加してきている。
【0003】
しかし、紙は合成樹脂に比べ強度や耐水性、耐油性、ガスバリア性などの物性が劣っているため、その使用範囲が限定されていた。
【0004】
このため、紙材料にこれらの機能を付与する方法として、耐水性や耐油性を付与する場合は、天然系のロジン、澱粉やその誘導体、アルギン酸などを除いて殆どすべて合成高分子系の内添剤や外添剤を使用する場合が多く、特に現在使われている湿潤紙力剤は有機塩素化合物やホルマリンを原料にしているものが多い。
【0005】
また、紙のガスバリア性付与に関しても、合成高分子との複合化による方法が一般的にとられている。この様に合成高分子を用いているので、この合成高分子を用いないで耐水性等の機能を発揮することができる、環境保全型の新しい紙の機能化方法の開発が望まれている。
【0006】
このバリア性等の機能を発揮できる環境保全型の機能化材料の一つとして、微細化セルロースがあり、従来から微細化セルロースの製造方法やその応用面についての提案は数多くなされている。
【0007】
微細化セルロースは、大きく分けて2種類あり、一つはセルロース繊維を化学処理して結晶部分のみを取り出しボールミルなどで機械的に粉砕した微粉化(結晶性)セルロースであり、もう一つはセルロース繊維のミクロフィブリルを残したまま微細処理した微細フィブリル化セルロースである。
【0008】
前者の微細化セルロースは、一般的にセルロースの結晶部分を粉末化にしたもので、フィブリルがなく、粒子には多数の微細な空隙が有する特徴がある。用途としては、乳化助剤、成形付与剤、皮膜形成剤、塗料、各種バインダーなどに使用されている。
【0009】
また、微細フィブリル化セルロースは、紙料に添加、或いは塗布して引張り強度や透気度、又は平滑度を向上させる目的で使用されており、その微細フィブリル構造によって、充填料の保持性や染料の吸着性を向上させる技術が検討されている。
【0010】
また、上記以外の材料で環境保全の見地から使用に適している一つの材料として無機物が挙げられ、その誘導体とも言えるオルガノアルコキシ金属化合物が適しており、中でもオルガノアルコキシシラン化合物(シランカップリング剤)は、無機的なシロキサン結合形成が可能な特性から、耐熱性や耐水強度の向上が計られる。さらに、同時に、アルカリで加水分解されることから紙へ添加してもアルカリでの離解が可能なことから、紙の機能化方法として、オルガノアルコキシシランを利用する検討が多く為されている。
【0011】
しかし、前記の検討の大部分は、オルガノアルコキシシランを加水分解用触媒と各種溶媒に溶かしてコーティングする技術であり、紙全層にわたる均一な改質技術は数少なかった。
【0012】
そこで、本出願人は、上記オルガノアルコキシシランを用いた改良を、特開平10−212693号、特開平10−226890号、或いは特願平11−011875号として出願しており、製紙用の内添剤としてパルプスラリー中へオルガノポリシロキサン(酸化珪素)を添加する方法を提案している。これらの発明では、パルプスラリー中へ内添することから、紙中で均一に分布し、耐水性(低吸水性、高湿潤強度)を向上させることができる。
【0013】
しかし、その定着率が十分でなく、紙の強度や耐水性に限界があった。そこで、定着率をさらに高めた構成とし、強度や耐水性の向上させることが望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、環境負荷の小さい紙の機能化方法として、同じく環境負荷の小さい微細化セルロースやオルガノアルコキシ金属類であるオルガノアルコキシシランを使って、オルガノポリシロキサンを高濃度に内添・定着させて、その紙強度や耐水性、透気性(ガスバリア性)改善、リサイクル性に優れた機能紙、またはこの機能紙を用いた紙容器等の紙製品を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、R1mM(OR2)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式1と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R1は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上で構成され、エポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基を1個以上その構造中に含む。R2は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)と、R3mM(OR4)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式2と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R3は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上よりなり、炭素主鎖間または末端のいずれか1方もしくは双方にエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基を1個以上その構造中に含む。R4は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)とで構成されたオルガノポリ酸化金属の水溶液、或いは水性エマルジョンに、改質微細化セルロースからなるセルロース担持体を混合してオルガノポリ酸化金属を担持させてなり、前記改質微細化セルロースが、微細フィブリル化セルロース、あるいは微粉末化セルロースを酸化処理して、セルロース分子の還元末端、またはセルロース骨格におけるピラノース環の第6位を選択的に酸化し、カルボキシル基に変換された構造を含むことを特徴とするセルロース複合体である。
【0017】
請求項2に記載の発明は、R1mM(OR2)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式1と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R1は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上で構成され、エポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基を1個以上その構造中に含む。R2は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)と、R3mM(OR4)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式2と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R3は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上よりなり、炭素主鎖間または末端のいずれか1方もしくは双方にエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基を1個以上その構造中に含む。R4は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)とが少なくともオルガノポリ酸化金属を担持させた状態でポリマー化している事を特徴とする請求項1に記載のセルロース複合体である。
【0019】
請求項3に記載の発明は、式2中に示されるオルガノアルコキシ金属のエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基が、アミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基の中の少なくとも1つ)であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース複合体である。
【0020】
請求項4に記載の発明は、式1の化合物と、式2の化合物との混合モル比が、5/5〜9.99/0.01であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のセルロース複合体である。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記オルガノアルコキシ金属が、酸性、或いはアルカリ性の条件下の水、或いは水/水溶性有機溶媒の混合系で混合することで加水分解縮合させたオルガノポリ酸化金属の水溶液、或いは水性エマルジョンを用いたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のセルロース複合体である。
【0023】
請求項6に記載の発明は、前記改質微細化セルロースのカルボキシル基量Xが、改質処理前の微細化セルロースのカルボキシル基量をX0とした場合、X0<X≦30X0の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のセルロース複合体である。
【0024】
請求項7に記載の発明は、前記式1、および式2のオルガノアルコキシ金属中の金属元素のMが、Si、Al、Sn、ZrまたはTiであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のセルロース複合体である。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記式1、および式2のオルガノアルコキシ金属中の金属元素のMが、Siからなるオルガノアルコキシ金属の中からオルガノポリシロキサンを選択したことを特徴とする、請求項7に記載のセルロース複合体である。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載のセルロース複合体を内添したことを特徴とする内添紙製品である。
【0027】
請求項10に記載の発明は、前記オルガノアルコキシ金属の内添量が、SiO2換算値で1重量%以上含まれることを特徴とする、請求項9に記載の内添紙製品である。
【0028】
請求項11に記載の発明は、前記オルガノアルコキシ金属の水溶液、或いは水性エマルジョンのSiO2固形分濃度が0.01%以上10%以下、或いは樹脂分を含めた全固形分濃度が2.5%以上40%以下である水溶液、或いは水性エマルジョンに改質微細化セルロースを混合してオルガノポリシロキサンを担持した改質微細化セルロース複合体からなるセルロース複合体を内添したことを特徴とする請求項9に記載の内添紙製品である。
【0030】
請求項12に記載の発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載の内添紙製品が、湿式のパルプモールド成形により成形された容器であることを特徴とする内添紙製品である。
【0031】
前記のように、本発明は、微細化セルロースを、例えば、オルガノポリシロキサンの水溶液、或いは水性エマルジョンに混合することで、微細フィブリル化セルロースにオルガノポリシロキサンを吸着させて微細化セルロースとオルガノポリシロキサンとの複合体を作製し、それをパルプスラリーへ内添することで、従来の定着率を大幅に向上させることが可能となった。
【0032】
そして、内添紙製品の耐水性をさらに向上させることが出来た。また、微細フィブリル化セルロースの特性との相乗効果により、表面平滑性や透気性(ガスバリア性)も改善した。また、微細フィブリル化セルロースや微細化セルロースのセルロース分子の還元末端、またはピラノース環の第6位のカルビノール基を選択的に酸化してカルボキシル基に変換された構造を含む改質微細化セルロースを担持体として、前述の如くオルガノポリシロキサンとの複合体を作製し、それを内添剤として使えば、さらにオルガノポリシロキサンの定着率と内添紙製品の物性の向上が可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0034】
本発明に関わる紙や微細セルロース(微細フィブリル化セルロースと微細化セルロース)の原料となるセルロース繊維としては、木材などの通常のパルプ原料、さらに具体的には、針葉樹または広葉樹から得られる漂白または未漂白の亜硫酸パルプ、クラフトパルプ、砕木パルプ、爆砕パルプ、溶解パルプ、熱機械パルプ(TMP)、化学熱機械パルプ(CTMP)などから選ばれる1種類または2種類以上を混ぜたものでも良く、特に限定されるものではない。
【0035】
また、場合によっては、最近、古紙の再生技術の進歩と古紙の再生利用が高まっている為、脱墨パルプ(DIP)などの古紙再生パルプを使用しても良い。
【0036】
また、前記パルプ原料以外に、非木材繊維である麻類、綿(リンター)、わら、竹、ケナフ、バカス、シオグサ、エスパルト、楮、三椏、雁皮、ラミーなどを用いても良く、レーヨン、テンセル、ポリノジック繊維などの再生セルロースも非木材繊維に含まれる。その他、微生物産生セルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロースなどでも構わない。
【0037】
微細セルロースに複合化させるオルガノポリ酸化金属は、原料となるオルガノアルコキシ金属化合物を酸性下、或いは塩基性下で脱水反応、或いは脱アルコール反応などのいわゆるゾル・ゲル法によって高分子化させる。
【0038】
金属種としては、Si系、Ti系、Al系、Zr系などが挙げられるが、中でも、オルガノアルコキシシラン化合物は、種類も豊富で工業的に入手し易いので好ましい。
【0039】
次に、オルガノアルコキシ金属化合物の具体例を示す。
まず、R1mM(OR2)n−m(式1)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<lの整数、R1は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上で構成され、エポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基を1個以上その構造中に含む。R2は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で示されるオルガノアルコキシ金属化合物のうち、金属Mが、Siのものとしては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N、N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、N−トリメトキシプロピル−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、又はオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドなどが例示できる。
【0040】
この中でも、特に1級と2級のアミノ基を有するN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0041】
R3mM(OR4)n−m(式2)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<lの整数、R3は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上よりなり、炭素主鎖間または末端のいずれか1方もしくは双方にエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基を1個以上その構造中に含む。R4は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で示されるオルガノアルコキシ金属化合物において、エポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基としてはアミノ基、ヒドラジノ基、アミド基などが用いることが可能であるが、ヒドラジノ基は製造時の安全施設が高価になり、また、アミド基は開環反応性が薄いためにアミノ基が好ましい。
【0042】
また、金属Mが、Siのものとしては、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジエトキシメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどが例示できる。
【0043】
この中でも、特にエポキシ基の反応活性が高いエポキシシクロヘキシル基を有する2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0044】
R5mM(OR6)n−m(式3)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R5は炭素数1〜20個のアルキル基、又はフルオロアルキル基やシリコーン基、アルケニル基、芳香族を含有する置換基を1種以上で構成される。R6は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で示されるオルガノアルコキシ金属化合物のうち、金属Mが、Siのものとしては、炭素数1〜20個のアルキル基、又はフルオロアルキル基やシリコーン基、アルケニル基、芳香族を含有する置換基を1種以上で有したオルガノアルコキシシラン化合物の例を挙げると非常に多い。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、ビニル基やアリル基、アクリル基、メタクリロイル基等のアルケニル基、ペルフルオロメチルエチル、ペルフルオロジエチル、ペルフルオロブチルエチルなどのペルフルオロアルキルエチル基、フロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5−ペンタフルオロペンチル基、ジフルオロモノクロルプロピル基などのフルオロアルキル基などの置換基が例示される。
【0045】
以下オルガノアルコキシ金属化合物として、オルガノアルコキシシラン化合物を用いた例で説明する。
【0046】
まず、以上の様な各種オルガノアルコキシシラン化合物を混合しハイブリッド化させることで、本発明に関わるオルガノポリシロキサンを作製することができる。ハイブリッド化は、主に式1と式2の化合物の混合物を主体にして、場合によっては式3の化合物も加えて、水、或いは水溶性の有機溶媒、望ましくはアルコール類を混合した溶媒中で、酸性、或いは塩基性下、脱水、或いは脱アルコール反応などの加水分解−縮合反応いわゆるゾル・ゲル法によってハイブリッド化させ、各種オルガノポリシロキサンができる。
【0047】
この場合、式1のアミン系オルガノアルコキシシランのエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基は、水中でのオルガノアルコキシシランの加水分解−縮合に触媒として働く為、他の触媒を敢えて添加しなくても良い。
【0048】
また、加水分解−縮合したオルガノポリシロキサンの構造中のエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基は、微細(フィブリル化)セルロースや改質微細化セルロースのアニオン基と水中でイオン的に結合するサイトとして働く。アミン系オルガノ酸化珪素は、ハイブリッド化した全体のオルガノポリシロキサンの内、0.01〜50mol%(SiO2換算値)の範囲、望ましくは0.01〜40mol%である。この範囲であれば、耐水性、撥水性、表面平滑性の向上が期待できる。これ以上にアミン系オルガノ酸化珪素の比率が増えるとアミノ基の親水性から撥水性は得にくくなる。
【0049】
触媒を添加して加水分解−縮合を行う場合、酸触媒としては、無機酸である硫酸、亜硫酸、塩酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、クロム酸、重クロム酸、炭酸、ホウ酸などが挙げられ、有機酸では、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸類、ギ酸、酢酸、酪酸などのカルボン酸類が例示できる。
【0050】
この中でも、塩酸が好ましく、添加に際しては、水で予め希釈し水素イオン濃度を下げたものを、系中のp.H.を若干酸性側にシフトさせる触媒量の添加で良い。
【0051】
塩基性触媒の添加は、本発明においてアミン系オルガノアルコキシシランが必須成分である為、触媒としても働き、敢えて添加する必要はないが、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物は金属塩を形成するので縮合し難く、含窒素塩基性化合物が適当である。
【0052】
例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン類、R2NH2(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル、フェニル、トルイルなどのアリール基などである)で示される二級アミン類、RNH2(式中、Rは上記と同じである)で示される一級アミン類、或いはアンモニア、さらには塩基性の水溶性高分子でも良く、例えばポリビニルアミン類やポリアリルアミン類、ポリアミド類、ポリアルキルアミン類、ポリエチレンイミン類、ポリアミジン類、ポリ尿素−メラミン類、ポリホルムアルデヒド−メラミン類、そしてこれらの変性体や誘導体が例示できる。
【0053】
オルガノポリシロキサンの水溶液、或いは水性エマルジョンの作製は、水系、或いは水とイソプロパノールのようなアルコール類との混合溶媒系で、原料である各種オルガノアルコキシシランを混ぜて室温下、およそ1時間から最大20時間程度攪拌するだけの温和な反応条件である。
【0054】
水性エマルジョンを作製する場合は、アミン系オルガノアルコキシシランの量を少なくして、所定量の水/イソプロパノール混合溶媒系で十分に加水分解−縮合させたものを、所定量の水で希釈させることで、微細なオルガノシリカゲルの白濁水性エマルジョンが得られる。
【0055】
これは、通常のシリコーンエマルジョンを作製する時に使用する乳化剤や界面活性剤を一切使用しない為、環境的、人体的、経済的にも優位性がある。
【0056】
本発明に使用される微細化セルロースで微細フィブリル化セルロースは、例えば、特公昭60−19921号や特開平4−82907号、特開平06−10286号、特開平7−310296号、特開平8−284090号に開示された一般的な微細化処理を施した微細フィブリル化セルロースや市販品が使用できる。
【0057】
従って、本明細書における微細化とは微粉化も含む概念である。
また、微細化セルロースとして、例えば、酸などの化学処理によって結晶領域のセルロースにしたものを各種形式のボールミルで粉砕した表面積の大きい極微小粒子状のセルロース粉末等が挙げられる。
【0058】
以上のような微細化セルロースと前述のオルガノポリシロキサンを複合化させる方法は、微細化セルロースが微細フィブリル化セルロースの場合は、オルガノポリシロキサンの水溶液や水性エマルジョンに混合するだけで、多数の微細フィブリルにオルガノポリシロキサン中のアミノ基が定着サイトとしてイオン的、或いは電気的に吸着し、微細フィブリル化セルロースが造核的に担持体の役目を果たすため、一種の微細フィブリル化セルロース−オルガノポリシロキサン複合体ができる。
【0059】
また、微細化セルロースの場合は、ミクロフィブリルがない為、そのままでは、オルガノポリシロキサンとの相互作用は小さいが、微細化セルロースを酸化処理してセルロース分子の末端、またはピラノース環の第6位を選択的に酸化することでカルボキシル基を導入した改質処理を行えば、オルガノポリシロキサンとのイオン的相互作用が強く働き、一種の複合体ができる。
【0060】
また、微細フィブリル化セルロースにもこの改質処理を行えば一層複合化は進む。この改質処理をおこなった微細化セルロース、及び微細フィブリル化セルロースを本願では総称して改質微細化セルロースとしている。
【0061】
改質処理方法は、具体的には、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、微細化セルロースを酸化することで得ることができる。
【0062】
N−オキシル化合物には、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシル(以下、TEMPOと称する)などが含まれる。この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。
【0063】
この酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物またはヨウ化物との共存下で行うのが有利である。臭化物またはヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、又はそれらの塩、ハロゲン酸化物。窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
【0064】
この酸化では、セルロース分子の第6位のカルビノール基を選択的に酸化しカルボキシル基に改質するもので、N−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、微細化セルロース重量に対して10ppm〜2%程度あれば充分である。
【0065】
酸化条件などは特に限定されず、セルロースの性状、使用する設備などによって最適化されるべきであるが、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できる。
【0066】
臭化物及び/又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、セルロース重量に対して100ppm〜20%である。
【0067】
セルロースの酸化反応系は、特に、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いることが望ましい。また、反応系のp.H.は、反応効率の面からp.H.=9〜12の間で行うことが望ましい。
【0068】
また、改質微細化セルロース中のカルボキシル基量は、TAPPI TESTMETHODS T237 om−93に従って定量したカルボキシル基量Xが改質処理前の微細化セルロースのカルボキシル基量をX0 とした場合、X0<X≦30X0の範囲にあり、より好ましくはX0<X≦10X0の範囲である。
【0069】
具体的には、標準的な針葉樹クラフトパルプ全体のカルボキシル基量が約0.04mmol/gとすると改質微細化セルロース全体のカルボキシル基量が0.04〜1.2mmol/g、より好ましくは0.04〜0.4mmol/gの範囲にある。
【0070】
セルロース中の第6位カルビノール基全てをカルボン酸に改質したものはセロウロン酸となり、水可溶性になるので好ましくない。TEMPO酸化は、主にセルロース分子の非晶領域で酸化が進行するので、酸化させる微細化セルロースやその原料セルロース繊維を各種の非晶化方法、具体的には、水酸化ナトリウムによるマーセル化や銅エチレンジアミン溶液による再生処理、SO2−DEM(ジメチルアミン)−DMSO溶液による再生非晶化処理などによって部分的、或いは全体的に結晶化度を下げると酸化反応効率が良くなる。
【0071】
しかし、微細化セルロースは、微小体である為、カルボキシル基量が1.2mmol/g以上になると親水性が高くなり、反応水溶液からの単離が困難になる。従って、通常の結晶領域が存在する微細化セルロースを酸化改質すれば十分である。
【0072】
以上のような処方による、本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体をパルプスラリーに添加した場合、微細フィブリル化セルロースや改質微細化セルロースを担持体として使用しない場合に比べて、次の優位性が認められた。
【0073】
それは、▲1▼定着量の向上(パルプ固形分に対して20〜25wt%以上の定着)、▲1▼定着率(歩留まり率)の向上(90%以上)、▲2▼定着率向上による内添紙の耐水性の向上、▲3▼微細フィブリル化セルロース、又は改質微細化セルロースの添加効果による内添紙の耐透気性(ガスバリア性)の向上、などが挙げられる。
【0074】
本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体を内添した紙シート、又は内添紙容器は、従来の製紙工程で製造できる。
【0075】
即ち、オルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体をパルプの水分散スラリー中に任意の割合で添加し、抄紙・抄造、プレス工程、加熱乾燥工程を経て作製できる。紙の坪量は、特に制限はないが、30〜200g/m2位の紙から、600g/m2位の厚紙でも可能である。
【0076】
また本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体を添加した紙で紙容器を作製する場合には、従来公知の方法が可能であり、例えば、プランジャー型製缶機で打ち抜き4隅を貼りあわせる組み立てや、専用のトレー成形機で熱圧押付成形できるプレス式成形法、また或いは、湿式のパルプモールド成形手法によりパルプモールド成形することで、後工程なく内添紙容器を作製することが可能である。
【0077】
次に本発明の適用例と製造例を含む実施例に基づきさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0078】
〈適用例1〉叩解パルプの調整
原料パルプは、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)抄紙用原料を、JIS−P8209『パルプ試験用手漉き紙調整方法』に準拠して離解し、JIS−P8121『パルプの濾水度試験方法』に準拠したカナダ標準濾水度試験方法で300mlCSFの濾水度(叩解度)のものをビーターで作製し、固形分濃度1.0%パルプスラリーを得た。
【0079】
〈適用例2〉微細フィブリル化セルロース
特種製紙株式会社製の微細フィブリル化セルロースの水分散スラリー(N.V.=2wt%)を用いた。
【0080】
〈適用例3〉微細化セルロース
市販の微細化セルロースとして「セオラスクリームFP−03」(N.V.=10wt%水分散物)を用いた。使用に際しては、水で希釈分散させて、N.V.=2wt%に調整した。
【0081】
これらを使用して、次に製造例を示すが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0082】
〈製造例1〉改質微細フィブリル化セルロースの作製
適用例1の微細フィブリル化セルロースの水分散スラリー(固形分量=10g相当)にTEMPO;0.025g、臭化ナトリウム;0.25gを溶解させた水溶液を加え、固形分濃度約1.0wt%になる様に調整した。このスラリーを冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(C1=5%)2mlを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持した。反応中はスラリーのp.H.が低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、p.H.=10.8付近に調整した。15分後反応を停止し、300meshのテフロン(登録商標)シートで濾過後、十分に水洗し、約1.0wt%の改質微細フィブリル化セルロース水分散スラリーを得た。
【0083】
〈製造例2〉改質微細化セルロースの作製
適用例2の微細化セルロースを使用し、製造例1と同様にして、約1.0wt%の改質微細化セルロース水分散スラリーを得た。
【0084】
〈製造例3〉オルガノポリシロキサン水溶液の作製
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製;サイラエースS320)4.5g(0.02mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製;サイラエースS530)7.4g(0.03mol)、イソプロピルアルコール13.5g(0.225mol)、水13.5g(0.75mol)を18時間室温下で攪拌混合した。これを、イソプロピルアルコールで希釈してSiO2濃度1%となる水溶液を調整した。
【0085】
〈製造例4〉オルガノポリシロキサン水性エマルジョン液の作製
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製;サイラエースS320)1.1g(0.005mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製;サイラエースS530)11.1g(0.045mol)、イソプロピルアルコール13.5g(0.225mol)、水13.5g(0.75mol)を18時間室温下で攪拌混合した。これを、水/イソプロピルアルコール=1/1溶液でSiO2濃度0.5%まで希釈後、さらに水をゆっくりと加えてSiO2濃度0.2%となる白濁水性エマルジョン液を調整した。
【0086】
次に、本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体、及びそれらを内添した紙シート、又は内添紙容器の実施例を示すが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0087】
【実施例】
(実施例1)微細フィブリル化セルロース複合体の作製
適用例2の微細フィブリル化セルロース水分散スラリー25g(dryで0.5g)を製造例4のオルガノポリシロキサン水性エマルジョン250g(SiO2換算で0.5g)に加えて3分間攪拌し、本発明の微細フィブリル化セルロース複合体スラリーを得た。
【0088】
(実施例2)改質微細フィブリル化セルロース複合体の作製
製造例1の改質微細フィブリル化セルロース水分散スラリー50g(dryで0.5g)を製造例4のオルガノポリシロキサン水性エマルジョン250g(SiO2換算で0.5g)に加えて3分間攪拌し、本発明の改質微細フィブリル化セルロース複合体スラリーを得た。
【0089】
(実施例3)改質微細化セルロース複合体の作製
製造例2の改質微細化セルロース水分散スラリー50g(dryで0.5g)を製造例4のオルガノポリシロキサン水性エマルジョン250g(SiO2換算で0.5g)に加えて3分間攪拌し、本発明の改質微細化セルロース複合体スラリーを得た。
【0090】
(比較例1)微細化セルロース複合体の作製
適用例3の微細化セルロース水分散スラリ−25g(dryで0.5g)を製造例4のオルガノポリシロキサン水性エマルジョン250g(SiO2換算で0.5g)に加えて3分間攪拌し、微細化セルロース複合体スラリーを得た。
【0091】
(実施例4)微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙作製
実施例1で作製した微細フィブリル化セルロース複合体スラリーを適用例1の濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−250g(dryで5g)に投入し3分間攪拌混合した。この時、対パルプ固形分重量比で、微細フィブリル化セルロース複合体とオルガノポリシロキサン(SiO2換算値)は各々10wt%添加したことになる。この混合スラリーを、標準型手漉き角型抄紙機で、坪量約80g/m2の内添紙を抄紙し、脱水プレス(3.43×105Pa)を3分間行い、ヤンキードライヤー(表面温度が約120℃)で加熱乾燥させ、本発明の微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙を作製した。
【0092】
(実施例5)改質微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙作製
実施例2で作製した改質微細フィブリル化セルロース複合体スラリーを適用例1の濾水度300CSFのNBKP水分散スラリー250g(dryで5g)に投入し3分間攪拌混合した。この時、対パルプ固形分重量比で、改質微細フィブリル化セルロース複合体とオルガノポリシロキサン(SiO2換算値)は各々10wt%添加したことになる。この混合スラリーを、実施例4と同様の操作を行い、本発明の改質微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙を作製した。
【0093】
(実施例6)改質微細化セルロース複合体の内添紙作製
実施例3で作製した改質微細化セルロース複合体スラリーを適用例1の濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−250g(dryで5g)に投入し3分間攪拌混合した。この時、対パルプ固形分重量比で、改質微細化セルロース複合体とオルガノポリシロキサン(SiO2換算値)は各々10wt%添加したことになる。この混合スラリーを、実施例4と同様の操作を行い、本発明の改質微細化セルロース複合体の内添紙を作製した。
【0094】
(比較例2)
適用例1で調整した濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−250g(dryで5g)をそのまま、標準型手漉き角型抄紙機で、坪量約80g/m2の内添紙を抄紙し、脱水プレス(3.43×105Pa)を3分間行い、ヤンキードライヤー(表面温度が約120℃)で加熱乾燥させ、NBKP原紙を作製した。
【0095】
(比較例3)
比較例1で作製した微細化セルロース複合体スラリーを適用例1の濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−250g(dryで5g)に投入し3分間攪拌混合した。この時、対パルプ固形分重量比で、微細化セルロース複合体とオルガノポリシロキサン(SiO2換算値)は各々10wt%添加したことになる。この混合スラリーを、比較例2と同様の操作を行い、微細化セルロース複合体の内添紙を作製した。
【0096】
(比較例4)
適用例1で調整した濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−に適用例2の微細フィブリル化セルロースを対パルプ固形分重量比で10wt%添加し、3分間攪拌混合後、この混合スラリーを比較例2と同様の操作を行い、微細フィブリル化セルロースの内添紙を作製した。
【0097】
(比較例5)
適用例1で調整した濾水度300CSFのNBKP水分散スラリ−に製造例4のオルガノポリシロキサン水性エマルジョン液をそのまま、対パルプ固形分重量比で10wt%添加し、3分間攪拌混合後、この混合スラリーを比較例2と同様の操作を行い、SiO2内添紙を作製した。
【0098】
「試験例1」
作製した各内添紙中のオルガノポリシロキサンの定着性を評価する為に、各内添紙中のSiO2の定量分析を行った。測定方法を以下に示す。
【0099】
各内添紙サンプルを、凍結粉砕機で約10分間粉砕し、均一な粉末にした。ペレット成形機に所定量の各サンプルの粉末を入れ、ペレットを作製した。この各内添紙のペレットを蛍光X線装置により、SiO2の分析を行った。そのX線強度から、予め作製しておいた検量線により、各内添紙のペレット中のSiO2含有量(定着量)を求めた。その測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
上記表1の結果から判るように、本発明のオルガノポリシロキサンを用いた微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例4)、同じく改質微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例5)、同じく改質微細化セルロース複合体の内添紙(実施例6)は、いずれも定着率が95%以上と非常に高い歩留まり率であることが判った。
【0102】
また、オルガノポリシロキサンと微細化セルロース複合体の内添紙(比較例3)は、微細化セルロースと複合化せずそのままSiO2内添剤を添加した内添紙(比較例5)よりも歩留まり率が悪かった。
【0103】
これは、ミクロフィブリルのない微細化セルロースでは、オルガノポリシロキサンとの相互作用が悪く、逆にパルプスラリー中のミクロフィブリルに微細化セルロースが吸着してオルガノポリシロキサンの定着を阻害している為と考えられる。
【0104】
しかし、本発明に関わる改質処理をした微細化セルロースは導入されたカルボキシル基の影響でオルガノポリシロキサンとの相互作用が強く働き、歩留まり率が非常に高く改善された。
【0105】
「試験例2」
次に、作製した各内添紙の紙強度を評価した。なお、評価を行う前に、JIS−8111に基づいて、25℃−65%RH環境下で24時間以上の調湿を行った。
【0106】
評価は、JIS−8113に基づいてオートグラフ(島津製作所(株)製、島津オートグラフAG−500A)を使用して、乾燥状態(25℃−65%RH)と湿潤状態(試験片を蒸留水へ1時間浸水)における各々の破断強度を測定し裂断長を求め、湿潤裂断長/乾燥裂断長((wet/dry)×100)%を算出した。以下表2に評価結果を示す。
【0107】
【表2】
【0108】
上記表2の結果から、本発明のオルガノポリシロキサンを用いた微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例4)、同じく改質微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例5)、同じく改質微細化セルロース複合体の内添紙(実施例6)は、いずれもオルガノポリシロキサンの高い歩留まり率に相関して湿潤紙強度が非常に向上していることが判った。
【0109】
「試験例3」
次に、作製した各内添紙の透気度をJIS−P8117に従って測定した。測定結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
以上表3の結果から、本発明のオルガノポリシロキサンを用いた微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例4)、同じく改質微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例5)、同じく改質微細化セルロース複合体の内添紙(実施例6)は、いずれも微細セルロースを含んでいる効果から、透気度が著しく高くなっていることが判った。
【0112】
また、微細化セルロースを改質処理した複合体の内添紙(実施例5,6)は特に高かった。さらに、微細フィブリル化セルロースだけを添加した内添紙(比較例4)よりも、本発明のオルガノポリシロキサンを用いた微細フィブリル化セルロース複合体の内添紙(実施例4)の方がより透気度が高いことから、微細化セルロースとオルガノポリシロキサンの相乗効果が働いていることが判った。
【0113】
従って、片方の特性を発揮するものは比較例でもあった(例えば比較例4)が、両特性を満たすものは本実施例のみである。
【0114】
【発明の効果】
以上の結果から判るように、本発明によれば、従来の環境負荷の高い紙の機能化方法に依らずに、紙本来の生分解性を維持し、且つ環境調和型の機能化方法によって、紙強度や耐水性、耐透気性(ガスバリア性)を付与することができる。即ち、環境負荷のない微細化セルロース、或いはその酸化改質処理した改質微細化セルロースと、同じく環境負荷の小さいオルガノポリシロキサンに代表されるオルガノポリ酸化金属を複合化した内添剤を用いて紙を機能化するものである。
【0115】
本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体を内添した紙シート、又は内添紙容器は、オルガノポリシロキサンような反応性有機−無機ハイブリッド剤をパルプスラリーに内添することにより、紙中に高濃度で均一なシロキサン三次元構造を形成し、非常に高い紙強度や耐水性、耐透気性(ガスバリア性)を有している。さらに、シロキサン結合は、アルカリで容易に加水分解される為、本発明の内添紙シートや内添紙容器は、紙自体が有するリサイクル性、生分解性を損なわないものである。
【0116】
従って、本発明のオルガノポリ酸化金属を担持した微細フィブリル化セルロース複合体、或いは改質微細化セルロース複合体を使った機能化方法、及びその内添した紙シートや内添紙容器は、環境に優しいものである為、今後ますます環境対応が優先され、且つ高い耐水性や耐油性、ガスバリア性が要求される各種包装材料や建装用紙、具体的には、冷凍食品用やテイクアウト食品用トレイ、紙カップ、段ボールライナー及び中芯原紙、インスタント食品用紙容器、化粧紙、育苗ポット紙などの用途に使用ができる。
Claims (12)
- R1mM(OR2)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式1と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R1は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上で構成され、エポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基を1個以上その構造中に含む。R2は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)と、R3mM(OR4)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式2と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R3は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上よりなり、炭素主鎖間または末端のいずれか1方もしくは双方にエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基を1個以上その構造中に含む。R4は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)とで構成されたオルガノポリ酸化金属の水溶液、或いは水性エマルジョンに、改質微細化セルロースからなるセルロース担持体を混合してオルガノポリ酸化金属を担持させてなり、前記改質微細化セルロースが、微細フィブリル化セルロース、あるいは微粉末化セルロースを酸化処理して、セルロース分子の還元末端、またはセルロース骨格におけるピラノース環の第6位を選択的に酸化し、カルボキシル基に変換された構造を含むことを特徴とするセルロース複合体。
- R1mM(OR2)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式1と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R1は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上で構成され、エポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基を1個以上その構造中に含む。R2は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)と、R3mM(OR4)n−mで表されるオルガノアルコキシ金属1種以上(以下式2と称す)(式中、Mは金属元素、nは金属元素の酸化数、置換数mは0<m<nの整数、R3は炭素数1〜10個の炭素主鎖1種以上よりなり、炭素主鎖間または末端のいずれか1方もしくは双方にエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基を1個以上その構造中に含む。R4は炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)とが少なくともオルガノポリ酸化金属を担持させた状態でポリマー化している事を特徴とする請求項1に記載のセルロース複合体。
- 式2中に示されるオルガノアルコキシ金属のエポキシ基と反応して加水分解縮合反応により開環重合させる基が、アミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基の中の少なくとも1つ)であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース複合体。
- 式1の化合物と、式2の化合物との混合モル比が、5/5〜9.99/0.01であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のセルロース複合体。
- 前記オルガノアルコキシ金属が、酸性、或いはアルカリ性の条件下の水、或いは水/水溶性有機溶媒の混合系で混合することで加水分解縮合させたオルガノポリ酸化金属の水溶液、或いは水性エマルジョンを用いたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のセルロース複合体。
- 前記改質微細化セルロースのカルボキシル基量Xが、改質処理前の微細化セルロースのカルボキシル基量をX0とした場合、X0<X≦30X0の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のセルロース複合体。
- 前記式1、および式2のオルガノアルコキシ金属中の金属元素のMが、Si、Al、Sn、ZrまたはTiであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のセルロース複合体。
- 前記式1、および式2のオルガノアルコキシ金属中の金属元素のMが、Siからなるオルガノアルコキシ金属の中からオルガノポリシロキサンを選択したことを特徴とする、請求項7に記載のセルロース複合体。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載のセルロース複合体を内添したことを特徴とする内添紙製品。
- 前記オルガノアルコキシ金属の内添量が、SiO2換算値で1重量%以上含まれることを特徴とする、請求項9に記載の内添紙製品。
- 前記オルガノアルコキシ金属の水溶液、或いは水性エマルジョンのSiO2固形分濃度が0.01%以上10%以下、或いは樹脂分を含めた全固形分濃度が2.5%以上40%以下である水溶液、或いは水性エマルジョンに改質微細化セルロースを混合してオルガノポリシロキサンを担持した改質微細化セルロース複合体からなるセルロース複合体を内添したことを特徴とする請求項9に記載の内添紙製品。
- 請求項9ないし11のいずれかに記載の内添紙製品が、湿式のパルプモールド成形により成形された容器であることを特徴とする内添紙製品。
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JPS6233360B2 (ja) * | 1982-05-11 | 1987-07-20 | Daicel Chem | |
JPH08284090A (ja) * | 1995-04-07 | 1996-10-29 | Tokushu Paper Mfg Co Ltd | 超微細フィブリル化セルロース及びその製造方法並びに超微細フィブリル化セルロースを用いた塗工紙の製造方法及び染色紙の製造方法 |
JPH10226980A (ja) * | 1997-02-13 | 1998-08-25 | Toppan Printing Co Ltd | 抄紙用内添剤及び該内添剤を用いた機能紙 |
JP2000212897A (ja) * | 1999-01-20 | 2000-08-02 | Toppan Printing Co Ltd | 抄紙用内添剤及びその内添紙 |
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