JPWO2011105379A1 - エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子を導入した組換え微生物によるポリヒドロキシアルカン酸の製造法 - Google Patents

エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子を導入した組換え微生物によるポリヒドロキシアルカン酸の製造法 Download PDF

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Abstract

植物油を基本原料として、3−ヒドロキシヘキサン酸分率の高いポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)[P(3HB−co−3HHx)]を生産することを目的とする。本発明によれば、脂肪酸β−酸化系中間体をモノマーである(R)−3−ヒドロキシアシル−CoA[R−3HA−CoA]に変換するR−ヒドラターゼをコードする遺伝子を、P(3HB−co−3HHx)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株に導入することによって、植物油を基本原料として、3−ヒドロキシヘキサン酸分率の高いポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)を生産する微生物を製造する方法が提供される。

Description

本発明は、植物油を基本原料として、微生物により分解可能であり、生体適合性にも優れた共重合ポリエステルの1つであるポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)を微生物により製造する方法に関する。
現代社会における必須材料である石油合成プラスチックは安価で加工しやすい反面、難分解性のため廃棄された際の処理が問題になっている。そこで、多くの微生物がエネルギー源として細胞内に蓄積するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、石油ではなくバイオマスを原料とし、かつ生分解性を有する環境低負荷型のプラスチック素材として期待されている。ポリ(3−ヒドロキシブタン酸)(本明細書中「P(3HB)」と略記する。)は多くの微生物が生合成する代表的なPHAである。しかしながら、P(3HB)は固くて脆いという物性のため実用化が困難である。
一方、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)などによって植物油から合成されるポリ((R)−3−ヒドロキシブタン酸−co−(R)−3−ヒドロキシヘキサン酸)共重合体[P(3HB−co−3HHx)]は柔軟性に富む優れた物性を示す。さらに、本共重合体は、3HHx組成に応じて硬質ポリマーから軟質ポリマーまで応用可能な幅広い物性を示すため、多様の用途に向けた応用が期待できる(非特許文献1)。
これまで、アエロモナス・キャビエは、植物油を原料とし、3HHx(ヒドロキシヘキサン酸)の分率が9〜13mol%であるP(3HB−co−3HHx)を合成することで知られている。しかしながら、その菌体内蓄積率は約6〜12重量%と低く、実生産に適用することは困難であった(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。そこで、アエロモナス・キャビエ由来のPHAシンターゼ(重合酵素)遺伝子であるphaCAcを効率的P(3HB)生産菌である水素細菌クプリアヴィダス・ネカトール(Cupriavidus necator)のPHA蓄積能欠損株であるPHB-4株に導入することによって、植物油からP(3HB−co−3HHx)を高い蓄積率(70〜80重量%)で蓄積する組換え株が本発明者らによって作製された。しかしながら、この場合では3HHx分率が4〜5mol%と低く、またPHB-4株は野生株であるH16株と比較して増殖能が低下していることが問題点であった(特許文献3、非特許文献2)。実用可能な柔軟性を有するポリマーとするためには3HHx分率が7〜15mol%であることが好ましいことから、高い3HHx分率のP(3HB−co−3HHx)を効率良く蓄積し、かつ増殖能の高い組換え株の作製方法が探索されてきた。本発明者らはphaCAcをクプリアヴィダス・ネカトールH16株の染色体へ導入することによって高い増殖能及び高いPHA生産能を示す菌株を作製したが、3HHx分率の低下が観察された(非特許文献3)。またアエロモナス・キャビエ由来のPHAシンターゼの変異酵素の遺伝子phaCNSDGを染色体に導入し、3HBモノマーの供給酵素であるβ−ケトチオラーゼ遺伝子及びアセトアセチル−CoA還元酵素を不活性化した方法が開示されている(特許文献4)。
一方、本発明者らによって、アエロモナス・キャビエにおけるPHA生合成の解析から、PHAシンターゼのすぐ下流に位置する遺伝子phaJAcが、脂肪酸β−酸化系の中間体であるエノイル−CoAをR−3HA−CoAに変換するR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ(以下、単に「R−ヒドラターゼ」と略記する場合がある。)をコードすることが明らかにされた(図1)(特許文献3、非特許文献4)。このphaJAcとphaCAcの両方を大腸菌に導入することにより、本来PHA合成能を有しない大腸菌に脂肪酸を炭素源としてP(3HB−co−3HHx)を生合成する能力を付与できることが本発明者らによって示された(非特許文献5)。また、アエロモナス・キャビエにおけるR−ヒドラターゼの発見以降、さまざまな微生物で類似のR−ヒドラターゼ及びその遺伝子が見出され、PHA合成能を有しない大腸菌に適切なPHA重合酵素遺伝子とともに導入することで炭素数4−6のヒドロキシアルカン酸からなる共重合PHAや、炭素数6−12の中長鎖3−ヒドロキシアルカン酸からなる共重合PHAの微生物合成に利用できることが示されている(非特許文献6、7及び8、特許文献5)。しかし大腸菌は脂肪酸を炭素源とした際の増殖能が低いために、これらの例におけるPHA生産性は低く、また大腸菌では炭素源として安価な植物油を使用できないことが問題点であった。
一方、上述のクプリアヴィダス・ネカトールPHB-4株由来の組換え株の作製において、phaCAcと共にphaJAcを導入した各種組換え株が作製され、オクタン酸を炭素源としたPHA生合成について検討されているが、これらの株におけるPHA蓄積率や3HHx分率とphaJAc導入との明確な相関は確認されなかった(特許文献3、非特許文献9、10)。したがって、クプリアヴィダス・ネカトール株を用いたP(3HB−co−3HHx)生合成におけるR−ヒドラターゼ遺伝子導入の効果については明らかになっていない。また、クプリアヴィダス・ネカトールがR−ヒドラターゼを有しているという報告例はない。
特開平5−93049号 特開平7−265065号 特許3062459号 特開2008−29218号 特開2004−321167号
Doi等、Macromoclecules,28:4822−4828(1995) Fukui等、Appl.Microbiol.Biotechnol.,49:333−336(1998) Mifune等、Can.J.Chem.,86:621−627(2008) Fukui等、J.Bacteriol.180:667−673(1998) Fukui等、FEMS Microbiol.Lett.,170:69−75(1999) Reiser等、Appl.Microbiol.Biotechnol.,53:209−218(2000) Tsuge等、FEMS Microbiol.Lett.,184:193−198(1999) Park等、J.Bacteriol.185:5391−5397(2003) Fukui等、J.Bacteriol.179:4821−4830(1997) Kichise等、Int.J.Biol.Macromolecules,25:69−77(1999)
本発明者らは、脂肪酸β−酸化系中間体をモノマーである(R)−3−ヒドロキシアシル−CoA[R−3HA−CoA]に変換するR−ヒドラターゼをコードする遺伝子を、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株に導入することによって、植物油を基本原料として、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)を生産する微生物を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、(i)既知のアエロモナス・キャビエ由来のR−ヒドラターゼ遺伝子をP(3HB−co−3HHx)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株の染色体に導入することにより、植物油のみを原料として高3HHx分率のP(3HB−co−3HHx)を高い蓄積率で製造する方法、及び(ii)水素細菌クプリアヴィダス・ネカトールより新規に同定したR−ヒドラターゼ遺伝子をP(3HB−co−3HHx)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株に導入することにより植物油のみを原料として高3HHx分率のP(3HB−co−3HHx)を高い蓄積率で製造する方法が提供される。
より具体的には、本発明によれば、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール(Cupriavidus necator)株の染色体にR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子を相同性組換えによって形質転換し、又は前記株に該遺伝子が組み込まれた自律複製ベクターを導入することによって形質転換し、炭素源として植物油を含有する培地で形質転換体を増殖させることを含む、3−ヒドロキシヘキサン酸の分率が5〜20モル%であり、及び形質転換体内蓄積率が50〜90重量%であるポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)を製造する方法が提供される。
本発明の製造方法に使用することができる組換えクプリアヴィダス・ネカトール株は、限定されないが、NSDG株、NSDGΔA株、又はMF01株である。
本発明の一態様では、本発明の製造方法に使用されるR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の一態様では、R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(a)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。あるいは、
(a)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の一態様では、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
(d)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の一態様では、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(d)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
R−ヒドラターゼをポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)[P(3HB−co−3HHx)]生産微生物に導入することにより、高い増殖能と高いPHA生産能を維持しつつ、3HHx分離の高いP(3HB−co−3HHx)を生産する株を製造することができる。
アエロモナス・キャビエにおけるポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)の生合成の経路を示す。 作製した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株の名称と染色体上の関連遺伝子の構成を示す。 クプリアヴィダス・ネカトール組換え株における遺伝子の配置を示す。 エノイル−CoAヒドラターゼによる水和反応とPHA顆粒による重合反応との共役によるPhaJ1、PhaJ2、PhaJ3の立体選択性を検討した結果を示す(A)PhaJ1、(B)PhaJ2、及び(C)PhaJ3;黒四角:精製酵素添加、白三角:精製酵素添加なし)。
以下、本発明の説明のために、好ましい実施形態に関して詳述する。
前述の通り、本発明は、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)[P(3HB−co−3HHx)]生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株の染色体にR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ(R−ヒドラターゼ)遺伝子を相同性組換えによって形質転換し、又は前記株に該遺伝子が組み込まれた自律複製ベクターを導入することによって形質転換し、炭素源として植物油を含有する培地で形質転換体を増殖させることを含む、3−ヒドロキシヘキサン酸(3−HHx)の分率が5〜20mol%であり、及び形質転換体内蓄積率が50〜90重量%であるP(3HB−co−3HHx)を製造する方法を提供する。
(1)組換えクプリアヴィダス・ネカトール株
本発明の製造方法に使用される微生物としては、P(3HB−co−3HHx)生産能が付与された組換えクプリアヴィダス・ネカトール株が好ましい。ここで、「P(3HB−co−3HHx)生産能が付与された組換えクプリアヴィダス・ネカトール株」とは、P(3HB−co−3HHx)を生合成させることを目的として、クプリアヴィダス・ネカトール株が本来有しているPHAシンターゼを変異あるいは遺伝子破壊などにより欠損した株に、炭素数6の3HHx−CoAを基質とすることができる広基質特異性PHAシンターゼ(例えばアエロモナス・キャビエ株由来PHAシンターゼやその変異酵素の遺伝子)を導入された菌株、あるいは、クプリアヴィダス・ネカトール株が本来有しているPHAシンターゼ遺伝子が広基質特異性PHAシンターゼやその変異酵素の遺伝子に染色体上で置換された菌株を意味し、広基質特異性PHAシンターゼの作用によってクプリアヴィダス・ネカトール野生株が生合成できないP(3HB−co−3HHx)を合成する能力を有することを特徴とする。このような遺伝子の操作は、一般的な遺伝子工学的手法により容易に実行することができる。上記のP(3HB−co−3HHx)生産能が付与された組換えクプリアヴィダス・ネカトール株には、例えば、限定されないが、NSDG株、NSDGΔA株、MF01株が挙げられる。ここで、「NSDG株」とは、水素細菌クプリアヴィダス・ネカトールの一種であるH16株の染色体にPHAシンターゼ変異酵素の遺伝子であるphaCNSDGが導入された形質転換体をいう。「phaCNSDG」とは、クプリアヴィダス・ネカトールにおいてPHA合成酵素をコードするphaC遺伝子であって、phaCのアミノ酸配列(配列番号4)において、149位のアスパラギン(N)がセリン(S)に置換され、171位のアスパラギン酸(D)がグリシン(G)に置換された変異遺伝子をいう。また、「NSDGΔA株」とは、前記のNSDG株において、β−ケトチオラーゼ遺伝子であるphaACnを欠失させた形質転換体をいう。一方、「MF01株」とは、前記NSDG株のphaACnを広基質特異性β−ケトチオラーゼ遺伝子bktBCnに置換した形質転換体である。上記3種のH16変異株は、クプリアヴィダス・ネカトールのPHAシンターゼ酵素をコードする遺伝子の配列情報を基にして、一般的な遺伝子工学的手法を用いて作製することができる(例えば、特許文献4を参照されたい)。
(2)R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ(「R−ヒドラターゼ」)遺伝子のクローニング
本発明の製造方法に使用される「R−ヒドラターゼ」とは、脂肪酸β−酸化系中間体(例えば、エノイル−CoA)をポリヒドロキシアルカン酸(PHA)モノマーである(R)−3−ヒドロキシアシル−CoA[R−3HA−CoA](例えば、(R)−3−ヒドロキシブタン酸[(R)−3HB]、(R)−3−ヒドロキシヘキサン酸[(R)−3HHx])に変換する酵素をいう。なお、本発明の製造方法に使用されるR−ヒドラターゼをコードする核酸は、一本鎖又は二本鎖型DNA、及びそのRNA相補体も含む。DNAには、例えば、天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成したDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明で使用される核酸としてはDNAが好ましい。なお、周知の通り、コドンには縮重があり、1つのアミノ酸をコードする塩基配列が複数存在するアミノ酸もあるが、R−ヒドラターゼをコードする核酸の塩基配列であれば、いずれの塩基配列を有する核酸も本発明の範囲に含まれる。
本発明の製造方法において、R−ヒドラターゼ遺伝子として、アエロモナス・キャビエ株由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子(phaJAc)の塩基配列:GenBank Accession No.D88825中のヌクレオチド4475−4879(“ORF3”)を利用することができる。本明細書では、該遺伝子の塩基配列を配列番号1として配列表に記載する。
また、本発明の製造方法において、R−ヒドラターゼ遺伝子として、クプリアヴィダス・ネカトール由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子の塩基配列:(i)GenBank Accession No.AM260479中のヌクレオチド1167077−1167553(“H16 A1070”)、本明細書中では「phaJ1」に相当、及び(ii)GenBank Accession No.AM260480中のヌクレオチド454107−454562(“H16 B0397”)、本明細書中では「phaJ2」に相当、を利用することができる。本明細書では、上記(i)の遺伝子の塩基配列を配列番号2、(ii)の遺伝子の塩基配列を配列番号3として配列表に記載する。
本発明の一態様として、アエロモナス・キャビエ株由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の好ましい態様として、アエロモナス・キャビエ株由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、
(a)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の一態様として、クプリアヴィダス・ネカトール株由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、
(a)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなるか、あるいは
(a)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の好ましい態様として、クプリアヴィダス・ネカトール株由来のR−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、
(a)配列番号2で表される塩基配列からなる核酸;又は
(b)配列番号2で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなるか、あるいは
(a)配列番号3で表される塩基配列からなる核酸;又は
(b)配列番号3で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。
本発明の一態様として、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
(d)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。なお、上記R−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、核酸(a又はb)と核酸(c又はd)を隣接して又は隣接しないで連結したものであるが、連結される2つの核酸の順序は限定されず、さらに、適切なプロモーターの制御下であれば、染色体への挿入位置は限定されない。
本発明の好ましい態様として、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号2で表される塩基配列からなる核酸;又は
(d)配列番号2で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。なお、上記R−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、核酸(a又はb)と核酸(c又はd)を隣接して又は隣接しないで連結したものであるが、連結される2つの核酸の順序は限定されず、さらに、適切なプロモーターの制御下であれば、染色体への挿入位置は限定されない。
本発明の一態様として、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(d)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。なお、上記R−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、核酸(a又はb)と核酸(c又はd)を隣接して又は隣接しないで連結したものであるが、連結される2つの核酸の順序は限定されず、さらに、適切なプロモーターの制御下であれば、染色体への挿入位置は限定されない。
本発明の好ましい態様として、
R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子は、
− アエロモナス・キャビエ株由来であり、
(a)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸;又は
(b)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
− クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
(c)配列番号3で表される塩基配列からなる核酸;又は
(d)配列番号3で表される塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
からなる。なお、上記R−ヒドラターゼをコードする遺伝子は、核酸(a又はb)と核酸(c又はd)を隣接して又は隣接しないで連結したものであるが、連結される2つの核酸の順序は限定されず、さらに、適切なプロモーターの制御下であれば、染色体への挿入位置は限定されない。
前記R−ヒドラターゼ遺伝子は、例えば、後述する実施例10及び16に記載するように、配列番号1〜3の塩基配列に基づいてプライマーとして合成ヌクレオチド(それぞれ、配列番号17と18、配列番号23と24、及び配列番号25と26)を設計し、それぞれ、クプリアヴィダス・ネカトール株の染色体DNAや、染色体DNAを含むプラスミドなどを鋳型として増幅することができる。核酸を増幅するための手法としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki R.K.ら,Science,230,1350−1354(1985))、ライゲース連鎖反応(LCR)(Wu D.Y.ら,Genomics,4,560−569(1989))、及び転写に基づく増幅(Kwoh D.Y.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,1173−1177(1989))等の温度循環を必要とする反応、並びに鎖置換反応(SDA)(Walker G.T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,392−396(1992);Walker G.T.ら,Nuc.Acids Res.,20,1691−1696(1992))、自己保持配列複製(3SR)(Guatelli J.C.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,1874−1878(1990))、及びQβレプリカーゼシステム(Lizardi,P.M.ら、BioTechnology,6,1197−1202(1988))等の恒温反応を利用することができるが、これらに限定されない。本発明の製造法においては、PCR法を使用することが好ましい。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、中程度又は高程度なストリンジェントな条件においてハイブリダイズすることを意味する。具体的には、中程度のストリンジェントな条件は、例えば、DNAの長さに基づき、一般の技術を有する当業者によって、容易に決定することが可能である。基本的な条件は、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,7.42−7.45(2001)に示されるが、ニトロセルロースフィルターに関し、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液、約40〜50℃での、約50%ホルムアミド、2×SSC〜6×SSC(又は約42℃での約50%ホルムアミド中の、スターク溶液(Stark’s solution)などの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件、及び約60℃、0.5×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の使用が含まれる。高ストリンジェントな条件もまた、例えばDNAの長さに基づき、当業者によって、容易に決定することが可能である。一般的に、こうした条件は、中程度にストリンジェントな条件よりも高い温度及び/又は低い塩濃度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を含み、例えば上記のようなハイブリダイゼーション条件、及び約68℃、0.2×SSC、0.1% SDSの洗浄を伴うと定義される。当業者は、温度及び洗浄溶液塩濃度は、プローブの長さ等の要因に従って、必要に応じて調整可能であることを認識するであろう。
上記のような核酸増幅反応又はハイブリダイゼーション等を使用してクローニングされる相同な核酸は、配列表の配列番号1、配列番号2、及び配列番号3に記載の塩基配列に対して、それぞれ、少なくとも30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の同一性を有する。
なお、同一性パーセントは、視覚的検査及び数学的計算によって決定することが可能である。あるいは、2つの核酸配列の同一性パーセントは、Devereuxら,Nucl.Acids Res.,12,387(1984)に記載され、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープログラム(GCG Wisconsin Package、バージョン10.3)を用いて、配列情報を比較することによって、決定可能である。
本発明の最も好ましい態様として、アエロモナス・キャビエ由来のR−ヒドラターゼとしては、配列番号1で表される塩基配列からなる核酸、あるいはクプリアヴィダス・ネカトール由来のR−ヒドラターゼとしては、配列番号2又は3で表される塩基配列からなる核酸である。
(3)遺伝子置換ベクターの構築及び組換え微生物の作製
本発明によれば、R−ヒドラターゼをコードする遺伝子を相同性組換え用ベクターに組み込んだ遺伝子置換ベクター、又は該遺伝子を自律複製ベクターに組み込んだ発現ベクターが提供される。ここで、ベクターに遺伝子を組み込む方法としては、例えば、Sambrook,J.ら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,1.1(2001)に記載の方法などが挙げられる。簡便には、市販のライゲーションキット(例えば、トーヨーボー社製等)を用いることもできる。
ベクターは、簡単には当該技術分野において入手可能な組換え用ベクター(例えば、プラスミドDNA等)に所望の遺伝子を常法により連結することによって調製することができる。本発明のポリヒドロキシアルカン酸共重合体の製造方法に用いられるベクターとしては、微生物内で、微生物の染色体に既に組み込まれている微生物由来のポリエステル重合酵素遺伝子を外来の広基質特異性ポリエステル重合酵素遺伝子によって置換することを目的として、限定されないが、相同性組換え用ベクターpK18mobsacB(Schaferら,Gene 145,69−73(1994))、pJQ200(Quandt,J.及びHynes,M.P.,“Versatile suicide vectors which allow direct selection for gene replacement in gram−negative bacteria”,Gene(1993)127:15−21を使用することが好ましい。あるいは、グラム陰性菌で自律複製することが知られている広宿主域ベクターpBBR1−MCS2(GenBank Accession No.U23751)、pJRD215(M16198)(Davision,J.ら、(1987)Gene,51,275−80を参照)、pJB861(U82000)、pHRP311(Parales,R.E.及びHarwood,C.S.(1993)Gene,133,23−30を参照)が例示されるが、これらに限定されない。また、大腸菌用のプラスミドとして、例えば、pBAD24(GenBank Accession No.X81837)、pDONR201、pBluescript、pUC118、pUC18、pUC19、pBR322等を使用することができる。
また、当業者であれば、組換えベクターに適合するように制限末端を適宜選択することができ、さらに、所望のタンパク質を発現させるために、宿主細胞に適した組換えベクターを適宜選択することができる。このようなベクターは、本発明で使用する遺伝子が目的の宿主細胞の遺伝子と相同性組換えが起るように機能する領域(必要に応じて、自立複製起点、接合伝達領域、選択マーカー(例えば、カナマイシン耐性遺伝子)等)が適切に配列されており又は導入することにより、該核酸が適切に組換えられるように構築されている又は構築することが好ましい。ベクターの構築については、実施例10、11、13、及び16に記載した。
一般的に、形質転換体は、組換えベクターを宿主細胞に組み込むことによって作製することができる。この場合、宿主細胞として原核細胞(例えば、大腸菌(S17−1株等)、枯草菌)であっても真核細胞(哺乳類細胞、酵母、昆虫細胞等)であっても使用することができる。組換えベクターの宿主細胞への導入(形質転換)は公知の方法を用いて行うことができる。例えば、細菌(大腸菌、Bacillus subtilis等)の場合は、例えばCohenらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972))、プロトプラスト法(Mol.Gen.Genet.,168,111(1979))やコンピテント法(J.Mol.Biol.,56,209(1971))、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。また、ラルストニア属、アルカリゲネス属、シュードモナス属等に属する菌体への発現ベクターの導入では、接合伝達法を使用することができる(J.Bacteriol.,147,198(1981))。
この接合伝達法は、簡単には、細胞同士の接触によって染色体ゲノム又はプラスミドを一方の細胞から他方の細胞に移行させる細胞の性質を利用したものであり、例えば、目的のDNAを担持する自己伝達性プラスミドが導入された供与菌と該プラスミドを有しない受容菌との接合に始まり、両菌体における橋の形成、該プラスミドの複製と移行、並びにDNA合成の完了と共に菌体の分離といった一連の工程によって遺伝子導入を可能にする手段である。
本発明の製造方法に使用される宿主細胞としては、上述した通り、P(3HB−co−3HHx)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株が好ましい。より好ましくは、NSDG株、NSDGΔA株、又はMF01株である。なお、後述する実施例4では、作製した遺伝子置換ベクターpK18msNSDG−ABを上記の株に接合伝達法により導入し、ベクターが相同領域で単交差相同性組換えにより染色体に挿入された組換え株をカナマイシン耐性を指標に単離した。
なお、R−ヒドラターゼ遺伝子が染色体上に導入される位置は、該遺伝子が染色体上にある既存の調節配列下で発現するような位置であれば特に限定されない。一態様では、好ましくはR−ヒドラターゼ遺伝子はphaCNSDG遺伝子と同じ転写単位の領域内に挿入されたものである。より好ましくはphaCNSDG遺伝子の下流に挿入されたものである。
(4)共重合ポリエステルの合成
ポリエステル合成は、上述したP(3HB−co−3HHx)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール株(例えば、H16CAc株、NSDG株、NSDGΔA株、又はMF01株)を植物油を含む所定の培地で培養し、培養細胞(例えば、菌体)内又は培養物(例えば、培地)中に共重合ポリエステルを生成及び蓄積させ、培養細胞又は培養物から目的とする共重合ポリエステルを採取することにより行われる。なお、本発明の製造方法に使用される形質転換体の培養法は、通常、宿主細胞の培養に使用される方法に従って行われる。
組換えクプリアヴィダス・ネカトール株を宿主とした場合の培地として、微生物が資化し得る植物油を添加し、窒素源、無機塩類、その他の有機栄養源のいずれかを制限した培地が挙げられる。典型的には、培地温度を25℃〜37℃の範囲にし、好気的に1〜10日培養することにより、共重合ポリエステルを菌体内に生成し蓄積させ、その後、回収・精製することによって所望の共重合ポリエステルを調製することができる。
本発明の製造方法で使用される形質転換体の親株であるクプリアヴィダス・ネカトールは、植物油を炭素源として成長し得る細菌として知られている。ここで、使用可能な植物油としては、一般的には、市販されている植物油を使用することができ、その供給源は特に限定されない。好ましくは、大豆油、コーン油、大豆油、サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、ナタネ油、魚油、鯨油、豚油又は牛油などの天然油脂である。また、本発明によれば、本発明の形質転換体は、親株のクプリアヴィダス・ネカトールと同様の培養条件で培養することができ、培地中の植物油の濃度は、0.1〜5%が好ましいが、当業者であれば適宜調整することができる。
また、必要であれば、培地中に窒素源や無機物を添加してもよい。窒素源としては、アンモニア、塩化 アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム 等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナ トリウム等が挙げられる。
培養は、通常、振とう培養が用いられ、好気的条件下で、25℃〜37℃で遺伝子発現誘導後少なくとも1日以上行うことが好ましい。抗生物質として、カナマイシン、アンピシリン等を培地に添加してもよい。また、必要であれば、遺伝子発現誘導剤として、アラビノース、インドールアクリル酸(IAA)、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を使用することができる。当業者であれば、所望の遺伝子発現のために可能な培養条件、遺伝子発現の誘導条件等を適宜選択できる。
(5)共重合ポリエステルの精製と構造解析
本発明において、共重合ポリエステルは、下記の通り精製することができる:培地から遠心分離によって形質転換体を回収し、蒸留水で洗浄後、乾燥又は凍結乾燥させる。その後、クロロホルムに乾燥した形質転換体を懸濁させ、室温で所定時間撹拌し、共重合ポリエステルを抽出する。抽出の段階で、必要であれば加熱してもよい。濾過によって残渣を除去し、上清にメタノールを加えて共重合ポリエステルを沈殿させ、沈殿物を濾過又は遠心分離によって、上清を除去し、乾燥させて精製した共重合ポリエステルを得ることができる。
得られた共重合ポリエステルが所望のものであることを確認するための手段は、限定されないが、NMR(核磁気共鳴)、ガスクロマトグラフィーを用いる方法を含む。本発明によれば、共重合ポリエステルのモノマーユニットの比、即ち、3−ヒドロキシブタン酸(3HB)と3−ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)の比を遺伝子発現条件、培養条件等を変えることにより適宜調節することができる。本発明の製造方法によって得られる共重合ポリエステルの3HHx分率は、好ましくは5〜20モル%、より好ましくは5〜15モル%、さらにより好ましくは5〜10モル%である。用語「モル%」は、本明細書中で使用するとき、多成分系における各成分のモル数の和で、ある成分のモル数を割ったものをいう。例えば、本発明の製造方法により得られる共重合体の一般式を3HB及び3HHxのモノマーユニットの数として、それぞれ「a」及び「b」を用いて表記した場合、3HHx分率は、式:a×100/(a+b)により求めることができる。
Figure 2011105379
なお、後述する実施例18で示すように、本発明の製造方法により、3HHx分率が異なる共重合ポリエステルを得ることができた(表1及び2、後述)。本発明の製造方法によって製造された共重合ポリエステルは、乾燥菌体重量当り50重量%以上、好ましくは55重量%以上の割合で菌体に蓄積される。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 使用したクプリアヴィダス・ネカトール株
以下の実施例では、遺伝子組換え用の宿主としてクプリアヴィダス・ネカトールH16株(野生株、DSM428)、H16株の染色体上のPHAシンターゼ遺伝子phaCCnを削除したH16ΔC株(Mifune,J.ら、Can.J.Chem.(2008),86:621)、及びH16株の染色体上のPHAシンターゼ遺伝子phaCCnを土壌細菌アエロモナス・キャビエ由来のPHAシンターゼ遺伝子phaCAcに置換したH16CAc株(Mifune,J.ら、上述)を用いた。
実施例2 二重アミノ酸変異型PHAシンターゼ遺伝子のクローニング
アエロモナス・キャビエ由来のPHAシンターゼに二重アミノ酸変異を導入した変異型酵素が報告されている(Tsuge,T.ら,FEMS Microbiol.Lett(2007),277:217−222;Kichiseら,Appl.Environ.Microbiol.(2002),68:2411−2419;特開2008−29218)。本明細書では、本変異型PHAシンターゼ遺伝子を「phaCNSDG」と称する。phaCNSDGがクローニングされたpBBREE32−NSDG(Tsuge,T.ら,上述)を鋳型とし、下記の配列1及び配列2のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaCNSDGを増幅した。PCRはKODプラス(トーヨーボー社製)を用い、98℃で20秒、61℃で15秒、68℃で2分の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
配列1:GGTTCGAATAGTGACGGCAGAGAGACAATCAAATCATGAGCCAACCATCTTATGGC(配列番号5)(下線部はCsp45I制限酵素サイト)
配列2:AACCTGCAGGCCTGCCGGCGCCGTGCATATGCAAGCGTCATGCGGCGTCCTCCTCTG(配列番号6)(下線部はSbfI制限酵素サイト)
増幅したphaCNSDG断片はTAクローニングキット(トーヨーボー社製)を用いて3’−末端にアデニン塩基を付加し、Ligation High(トーヨーボー社製)を用いてベクタープラスミドpTA2(トーヨーボー社製)のマルチクローニングサイトに連結したpTA2NSDGを作製した。
実施例3 二重アミノ酸変異型PHAシンターゼ導入用ベクターの作製
pTA2NSDGをCsp45IとSbfIで切断し、phaCNSDGを含む遺伝子断片を単離した。次いで、組換えphaオペロン(プロモーター領域−phaCAc−phaACn−phaB1Cn)を含むpTA2C’AB(Mifune,J.ら、上述)をCsp45I及びSbfIで切断し、アルカリホスファターゼ(トーヨーボー社製)で5’−末端を脱リン酸化し、次いで先に得られたphaCNSDG断片を挿入することによりpTA2NSDG−ABを得た。ここで、phaB1Cnはクプリアヴィダス・ネカトール株の染色体上のアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子である。pTA2NSDG−ABをBamHIで切断し、プロモーター領域−phaCNSDG−phaACn−phaB1Cnを含む5.0kbpの遺伝子領域を単離した。また、pK18mobsacB(Schaferら,Gene(1994),147:198)をBamHIで切断し、アルカリホスファターゼ処理により5’−を脱リン酸化した。Ligation highにより2つの断片を連結し、pK18msNSDG−ABを作製した。
実施例4 NSDG株の作製
得られた組換えプラスミドpK18msNSDG−ABを用いて、クプリアヴィダス・ネカトールH16ΔC株を接合伝達により形質転換した。まず、塩化カルシウム法によって、pK18msNSDG−ABを大腸菌S17−1株に導入した。次に、この組換え大腸菌をLB培地(1%トリプトン、1%塩化ナトリウム、0.5%イーストエキス、pH7.2)3.0ml中で37℃終夜培養した。これと並行して、クプリアヴィダス・ネカトールH16ΔC株をNR培地(1%魚肉エキス、1%ポリペプトン、0.2%イーストエキス)3.0ml中で30℃終夜培養した。その後、大腸菌の培養液0.2mlに対して、クプリアヴィダス・ネカトールH16ΔC株の培養液0.1mlを混合し、30℃で6時間培養した。この菌体混合液を0.2mg/mlカナマイシンを添加したSimmons Citrate寒天培地(ディフコ社製)に塗布し、30℃で3日間培養した。組換え大腸菌のプラスミドが、クプリアヴィダス・ネカトールに伝達され相同性組換えにより染色体上に取り込まれた該菌体はカナマイシン耐性を示し、一方、組換え大腸菌はSimmons Citrate寒天培地では増殖不能であるため、上記培地上で増殖したコロニーは組換え大腸菌からpK18msNSDG−ABが染色体に取り込まれたクプリアヴィダス・ネカトール形質転換体(ポップイン株)である。さらに、ポップイン株をNR培地で30℃終夜培養した後、10%スクロースを添加したNR培地に塗布し、30℃で3日間培養した。pK18mobsacB上のsacBにコードされるレヴァンスクラーゼはスクロースを基質にして細胞内に毒性多糖を蓄積する。このため、10%スクロース添加培地においてはプラスミド領域が脱離した株(ポップアウト株)のみが生育することができる。これらのコロニーの中から染色体上にphaCNSDGが挿入されたクローンをPCR法によって選抜し、これをクプリアヴィダス・ネカトールNSDG株とした。NSDG株は、以下の遺伝子組換えにおいて適宜、宿主として使用した。
実施例5 phaACn−phaB1Cn破壊用ベクター(H16CAc株用)の作製
クプリアヴィダス・ネカトールH16株のゲノムDNAを鋳型に、下記の配列3及び配列4のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaB1Cn下流の転写制御因子遺伝子(phaR)を含む1041bpの遺伝子領域を増幅した。
配列3:TCGACCGGCGCCGACTTCTC(配列番号7)
配列4:GCATGCCAGTGTCTTACTTCT(配列番号8)(下線部はSphI制限酵素サイト)
PCRはKODプラス(トーヨーボー社製)を用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で1分15秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。増幅した断片はDNA精製キット(プロメガ社製)にて精製した。その後、T4キナーゼ(トーヨーボー社製)により5’−末端をリン酸化し、HincII及びアルカリホスファターゼ処理を施したpUC118(タカラバイオ社製)とLigation Highにより連結した。さらに作製したプラスミドをNdeIとSphIで切断し、phaB1Cn下流を含む遺伝子領域を含む遺伝子領域を単離した。また、組換えphaオペロン(プロモーター領域−phaCAc−phaACn−phaB1Cn)をpK18mobsacBに挿入したpK18C’AB(Mifune,J.ら、上述)をNdeIとSphIで切断し、phaACn−phaB1Cn領域を除去した。上述のphaB1Cn下流を含む遺伝子領域を連結することで、プロモーター領域−phaCAc−phaRを持つpK18msC’Rを得た。さらに、pK18msC’RをEcoRI及びCsp45Iで切断して、Blunting High(トーヨーボー社製)により末端を平滑化した後、Ligation Highによるセルフライゲーションを行うことで、プロモーター領域とphaCAcの一部を除去することでphaACn−phaB1Cnを挟む2つの相同領域の長さを調節したpK18msC’RΔPを得た。
実施例6 phaACn−phaB1Cn破壊用ベクター(NSDG株用)の作製
pK18NSDG−ABをNdeIとSphIで切断し、上述のphaB1Cn下流を含む遺伝子領域を連結することでプロモーター領域−phaCNSDG−phaRを含むpK18msNSDG−Rを得た。さらに、pK18msNSDG−RをEcoRI及びCsp45Iで切断し、次いで、Blunting Highにより末端を平滑化した後、Ligation Highによるセルフライゲーションを行うことで、プロモーター領域とphaCAcの一部を除去することでphaACn−phaB1Cnを挟む2つの相同領域の長さを調節したpK18msNSDGRΔPを得た。
実施例7 phaB1破壊用ベクターの作製
pTA2NSDG−ABを鋳型とし、下記の配列5及び配列6のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaACnを含む遺伝子領域を増幅した。PCRはKODプラスを用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で1分20分の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
配列5:CGCCGCATGACGCTTGCATA(配列番号9)
配列6:CCATATGCGGCCCCGGAAAACCCC(配列番号10)(下線はNdeI制限酵素サイト)
その後、T4キナーゼにより5’−末端をリン酸化し、HincII及びアルカリホスファターゼ処理を施したpUC118とLigation Highにより連結した。得られたプラスミドをNdeIで切断し、phaACnを含む遺伝子領域を単離した。また、pK18msC’RをNdeIで切断し、アルカリホスファターゼ処理により5’−末端を脱リン酸化した。得られた断片をLigation Highで連結することでプロモーター領域−phaCNSDG−phaACn−phaRを有するpK18msC’ARを得た。さらに、pK18msC’ARをEcoRI及びXhoIで切断し、プロモーター領域及びphaCNSDG領域を除去した。次いで、Blunting Highにより末端を平滑化した後、Ligation Highによるセルフライゲーションを行い、pK18msARを得た。
実施例8 phaACn破壊用ベクター(H16CAc株用)の作製
pTA2NSDG−ABを鋳型とし、下記の配列7及び配列8のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaB1Cnを含む遺伝子領域を増幅した。PCRはKODプラスを用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で1分の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
配列7:CGCATATGGTTGGCGCGGA(配列番号11)(下線はNdeI制限酵素サイト)
配列8:GCCCGGATCCTATGCCCAACAAGGCACTAAG(配列番号12)(下線はBamHI制限酵素サイト)
その後、T4キナーゼにより5’−末端をリン酸化し、HincII及びアルカリホスファターゼ処理を施したpUC118(トーヨーボー社製)とをLigation Highにより連結した。さらに作製したプラスミドをNdeIで切断し、phaB1Cnを含む遺伝子領域を含む遺伝子領域を単離した。また、pK18msC’RをNdeIで切断し、アルカリホスファターゼ処理により5’−末端を脱リン酸化した。得られた断片を連結することでプロモーター領域−phaCNSDG−phaB1Cn−phaRを有するpK18msC‘BRを得た。
実施例9 phaACn破壊用ベクター(NSDG株用)の作製
pK18msNSDG−R(実施例6)をNdeIにより切断し、上述(実施例8)で得たphaB1断片を連結することでプロモーター領域−phaCNSDG−phaB1Cn−phaRを有するpK18msNSDG−BRを得た。
実施例10 アエロモナス・キャビエ由来R−ヒドラターゼ遺伝子(phaJAc)導入用ベクターの作製
クプリアヴィダス・ネカトールH16株のゲノムDNAを鋳型にし、下記の配列9及び配列10のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaACnの上流(phaCNSDGの一部を含む)1kbpの遺伝子領域を増幅した。PCRはKODプラスを用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で1分10秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。また、配列11及び配列12のオリゴヌクレオチドをプライマーとして、phaB1Cnを含むphaACnの下流約1kbpの遺伝子領域を上記と同様のPCR条件で増幅した。得られた2つ遺伝子断片をDNA精製キットで精製し、それぞれ100ngずつ混合した溶液を鋳型としたフュージョンPCRを行った。2つの断片は末端が配列10及び配列11に設計した26bpの相補的配列によって相補的になっている。プライマーを添加しないPCR反応(98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で2分10秒の反応を1サイクルとしてこれを10サイクル)を行った後、配列9及び配列12に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとして加え、さらにKODプラスを0.5μlを追加した後、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で2分10秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
配列9:TGCGAATTCAGAACTCCCTGGTCGCCT(配列番号13)(下線部はEcoRI制限酵素サイト)
配列10:CGTCGGATCCTCTAGATTCGAAGCGTCATGCGGCGTCCTCCTCTG(配列番号14)(下線部はBamHI−XbaI−Csp45I、ヌクレオチド1−26は配列11との相補的配列)
配列11:ACGCTTCGAATCTAGAGGATCCGACGATAACGAAGCCAATCAAGG(配列番号15)(下線部はCsp45I−XbaI−BamHI、ヌクレオチド1−26は配列10との相補的配列)
配列12:TGCGCAAGCTTTATGCCCAACAAGGCACTAAGAAAAG(配列番号16)(下線部はHindIII制限酵素サイト)
phaACnの上下流1kbpが連結した2kbpの遺伝子断片をアガロースゲルから切り出してDNA精製キットにより精製し、さらにEcoRIとHindIIIで切断した。また、pK18mobsacBをEcoRIとHindIIIで切断し、アルカリホスファターゼ処理により5’−脱リン酸化を行った。これらの断片をLigation Highにより連結することでphaCNSDGの一部とphaB1Cnが連結した遺伝子領域を持つpK18msNSDG−Bを得た。
その後、pEE32(Fukui,T.ら,J.Bacteriol.(1997),,179:4821)を鋳型として、下記の配列13及び配列14のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってアエロモナス・キャビエ由来のR体特異的エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子(phaJAc)を増幅した。
配列13:CATCTCCTGCAGGTTCGAAGAGGAGGACGCCGCATGAGCGCACAATCCCTGGAAGTAGGCCAGA(配列番号17)(下線部はSbfI、ヌクレオチド14−19はCsp45I制限酵素サイト)
配列14:CGCCACCTGCAGGCTCTAGATTAAGGCAGCTTGACCACGGCTT(配列番号18)(下線部はSbfI、ヌクレオチド15−20はXbaI制限酵素サイト)
得られた遺伝子断片をSbfIで切断し、イソプロパノール沈殿により精製した。またpTA2NSDG−AB(実施例3に記述)をSbfIで切断し、アルカリホスファターゼ処理により5’−脱リン酸化を行った後に、Ligation HighによりphaJ断片と連結し、pTA2−NSDG−JABを得た。pTA2−NSDG−JABをBamHIで切断し、phaCNSDGの一部−phaJAc−phaACn−phaB1Cnを含む5.4kbpの断片をpK18mobsacBのBamHIサイトに連結することによりpK18msNSDG−JABとした。
実施例11 phaACn欠失及びphaJAc導入用ベクターの作製
実施例10で得られたphaJAc断片をCsp45IとXbaIで切断し、イソプロパノール沈殿により精製した。この断片をCsp45IとXbaIで切断したpK18msNSDG−BとLigation Highにより連結することで、phaCNSDGの一部とphaJAc及びphaB1Cnが連結した遺伝子断片を持つpK18msNSDG−JBを得た。
実施例12 phaACn欠失及びbktBCn導入用ベクターの作製
クプリアヴィダス・ネカトールH16株のゲノムDNAを鋳型に、下記の配列15及び配列16のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってbktBCn遺伝子領域を増幅した。
配列15:TACATTCTAGAAAGGAGGCAAAGTCATGACGCGTGAAGTGGTAGTGGTA(配列番号19)(下線部はXbaI制限酵素サイト)
配列16:GCTCAGGATCCACCCCTTCCTCAGATACGCTCGAAGATGGCGG(配列番号20)(下線部はBamHI制限酵素サイト)
PCRはKODプラス(トーヨーボー社製)を用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で1分15秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。増幅した断片はDNA精製キットにて精製した。その後、XbaIとBamHIで切断し、イソプロパノール沈殿により精製した。またpK18NSDG−B(実施例10)をXbaIとBamHIで切断し、アルカリホスファターゼ処理を施した。2つの断片をLigation Highにより連結し、phaCNSDGの一部−bktBCn−phaB1Cnを持つpK18msNSDG−bBを得た。
実施例13 phaACn欠失及びphaJAc・bktBCn導入用ベクターの作製
pK18msNSDG−JB(実施例11)をXbaIとHindIIIで切断し、phaJAc−phaB1Cnを含む遺伝子断片を単離した。また、pK18msNSDG−bB(実施例12)をXbaIとHindIIIで切断し、ベクター領域を含む遺伝子断片をアガロースゲルから切り出し、精製した。2つの断片をLigation Highにより連結し、phaCNSDGの一部−phaJAc−bktBCn−phaB1Cnを持つpK18msNSDG−JbBを得た。
実施例14 相同性組換え株の作製
実施例13で作製した相同性組換え用プラスミドを用いて、実施例4と同様の手法によりクプリアヴィダス・ネカトール株を接合伝達により形質転換し、その後、目的とする組換えが生じたクローンをPCR法によって選抜した。すなわち、H16CAc株を宿主とし、pK18msC’BR(実施例8)、pK18AR(実施例7)、pK18msC’RΔP(実施例5)を用いてphaACn、phaB1Cn、phaACn−phaB1Cnを破壊したH16CAcΔA株、H16CAcΔB株、H16CAcΔAB株を作製した。また、NSDG株を宿主とし、pK18msNSDG−BR(実施例9)、pK18msAR(実施例7)、pK18msNSDG−RΔP(実施例6)を用いてphaACn、phaB1Cn、phaACn−phaB1Cnを破壊したNSDGΔA株、NSDGΔB株、NSDGΔAB株を作製した。またpK18msNSDG−bB(実施例12)を用いてphaACnをbktBCnに置換したMF01株、pK18msNSDG−JABを用いてphaCNSDGとphaACnの間にphaJAcを挿入したMF02株(実施例10)、pK18msNSDG−JBを用いてphaACnをphaJAcに置換したMF03株(実施例11)、pK18msNSDG−JbB(実施例13)を用いてphaACnをphaJAc−bktBCnに置換したMF04株を作製した(図2参照)。
実施例15 遺伝子発現用プラスミドの作製
クプリアヴィダス・ネカトールH16株のゲノムDNAを鋳型にし、下記の配列17及び配列18のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってPHA顆粒結合タンパク質遺伝子(phaPCn)の上流領域0.5kbpの遺伝子領域(PhaPプロモーター領域)を増幅した。
配列17:AAAGATCTAATATTGTTCTGTTCACGTCTTTGTTAGTTCC(配列番号21)(下線部はBglII−SspI制限酵素サイト)
配列18:GAGGATCCCCGGGTACCTATGAATTCATATGTATATACCTCCCAGGCGTGTGGGTGGGTCAAG(配列番号22)(下線部はBamHI制限酵素サイト)
PCRはKODプラスを用い、98℃で20秒、65℃で15秒、68℃で30秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。増幅した断片はDNA精製キットにて精製し、その後T4キナーゼにより5’−末端をリン酸化し、HincII及びアルカリホスファターゼ処理を施したpUC118とLigation Highにより連結した。さらに作製したプラスミドをBglIIとBamHIで切断し、PhaPプロモーター領域のDNA断片を単離した。また、プラスミドpBAD24(GenBank Accession No.X81837)を制限酵素BamHIで切断してBADプロモーター領域を除去し、アルカリホスファターゼ処理を施した断片と上述のPhaPプロモーター領域をLigation Highにより連結した。得られたプラスミド制限酵素SspIで切断することphaPプロモーター領域、マルチクローニングサイト、rrnBターミネーター領域を含むDNA断片を単離した。また、多くのグラム陰性菌で自律複製することが知られている広宿主域ベクターpBBR1−MCS2(GenBank Accession No.U23751)を制限酵素SspIで切断し、複製起点等を含むDNA断片を単離して脱リン酸化処理を行った後に、上述のphaPプロモーター領域を含むDNA断片をLigation Highにより連結することで、発現用プラスミドpBBRPPを作製した。
実施例16 クプリアヴィダス・ネカトール由来R体特異的−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子(phaJ1、phaJ2、phaJ3)のクローニング
既知のR体特異的−エノイル−CoAヒドラターゼとの相同性検索から、クプリアヴィダス・ネカトールにおける推定R体特異的−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子としてphaJ1(配列番号2)、phaJ2(配列番号3)、phaJ3を同定した。次にクプリアヴィダス・ネカトールのゲノムDNAを鋳型とし、下記の配列19及び配列20のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaJ1を増幅した。また同様に配列21、配列22のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaJ2を増幅した。さらに同様に配列23、配列24のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaJ3を増幅した。PCRはKODプラス(トーヨーボー社製)を用い、98℃で20秒、61℃で15秒、68℃で2分の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
配列19:TCCATATGCGTACCATCGCATCGCTG(配列番号23)(下線部はNdeI制限酵素サイト)
配列20:CGCTCGAGTCACCCGTAGCGGCGCGTGA(配列番号24)(下線部はXhoI制限酵素サイト)
配列21:CACATATGAAGACCTACGAGAACATC(配列番号25)(下線部はNdeI制限酵素サイト)
配列22:CTCGAGTCAGGGAAAGCGCCGCAGGA(配列番号26)(下線部はXhoI制限酵素サイト)
配列23:CACATATGCCAAGAATCTTCCGTTCT(配列番号27)(下線部はNdeI制限酵素サイト)
配列24:ATCTCGAGTCAGAAGTAATAGCGGCTG(配列番号28)(下線部はXhoI制限酵素サイト)
増幅した断片はNdeI及びXhoIで切断し、NdeI及びSalIで切断した発現ベクターpBBRPP(実施例15)とLigation Highにより連結することで、クプリアヴィダス・ネカトール由来phaJ1、phaJ2、phaJ3の発現ベクター、pBBR−phaJ1、pBBR−phaJ2、pBBR−phaJ3を得た。
実施例17 クプリアヴィダス・ネカトール由来phaJ発現株の作製
上述の(R)−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子を含む発現ベクターをクプリアヴィダス用いて、クプリアヴィダス・ネカトールH16CAc株又はNSDGΔ株(実施例14)を接合伝達により形質転換した。まず、塩化カルシウム法によって、pBBR−phaJ1、pBBR−phaJ2、あるいはpBBR−phaJ3を大腸菌S17−1株に導入した。次に、この組換え大腸菌をLB培地(1%トリプトン、1%塩化ナトリウム、0.5%イーストエキス、pH7.2)3.0ml中で37℃終夜培養した。これと並行して、クプリアヴィダス・ネカトール株をNR培地(1%魚肉エキス、1%ポリペプトン、0.2%イーストエキス)3.0ml中で30℃終夜培養した。その後、大腸菌の培養液0.2mlに対して、クプリアヴィダス・ネカトール株の培養液0.1mlを混合し、30℃で6時間培養した。この菌体混合液を0.2mg/mlカナマイシンを添加したSimmons Citrate寒天培地(ディフコ社製)に塗布し、30℃で3日間培養した。組換え大腸菌のプラスミドがクプリアヴィダス・ネカトールに伝達され、保持される該菌体はカナマイシン耐性を示し、一方、組換え大腸菌はSimmons Citrate寒天培地では増殖不能であるため、上記培地上で増殖したコロニーはクプリアヴィダス・ネカトール形質転換体である。PCRによるベクターの保持を確認することでH16CAc/pBBR−phaJ1株、H16CAc/pBBR−phaJ2株、H16CAc/pBBR−phaJ3株、NSDGΔA/pBBR−phaJ1株、NSDGΔA/pBBR−phaJ2株、NSDGΔA/pBBR−phaJ3株をそれぞれ単離した。
実施例18 クプリアヴィダス・ネカトール組換え株による共重合ポリエステル合成
NR培地(前述)で前培養したクプリアヴィダス・ネカトール組換え株を100mlのMB培地(0.9%リン酸水素二ナトリウム12水和物、0.15%リン酸二水素カリウム、0.05%塩化アンモニウム、1%微量金属溶液)に植菌し、坂口フラスコ中、30℃で72時間振とう培養した。炭素源として1%大豆油を用いた。発現ベクターpBBR−phaJ1、pBBR−phaJ2、あるいはpBBR−phaJ3を保持する組換え株においては、培地中に0.1mg/mlカナマイシンを添加した。培養終了後に遠心分離によって菌体を回収し、付着した油分を除くために70%エタノールで洗浄したのち、蒸留水で洗浄した。得られた菌体は凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
乾燥菌体10〜30mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱することにより、菌体内ポリエステル分解物のメチルエステルを得た。これに1mlの蒸留水を添加して激しく攪拌した。静置して二層に分離させた後、下層の有機層を取り出した。有機層0.5mlをキャピラリーガラスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所製GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製InertCap−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。温度条件は、初発温度100℃から8℃/分の速度で昇温した。得られた結果を下記の表1及び2に示す。
Figure 2011105379
Figure 2011105379
phaJAc遺伝子を染色体に導入した株はいずれも高い乾燥菌体重量、高いPHA蓄積率を維持しつつ、P(3HB−co−3HHx)中の3HHx分率が有意に向上していた。特にMF03株で合成されたP(3HB−co−3HHx)中の3HHx分率は9.2mol%に達しており、実用化に十分な柔軟性を備えていることが期待できる。また、クプリアヴィダス・ネカトール由来phaJを自律複製ベクターを用いて導入した場合では乾燥菌体重量やPHA蓄積率がやや減少する傾向が見られたものの、すべての宿主株においてphaJ1遺伝子又はphaJ2遺伝子の導入によってP(3HB−co−3HHx)中の3HHx分率が増加した。特に、NSDGΔA株を宿主としてphaJ1遺伝子又はphaJ2遺伝子を導入した株では3HHx分率は7.7〜8.9mol%に達しており、実用化に十分な柔軟性を備えていることが期待できる。phaJ3遺伝子導入株では明らかな効果は見られなかった。
実施例19 phaJ1、phaJ2導入用ベクターの作製
pBBR−phaJ1(実施例16)を鋳型に、配列25及び配列26のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaJ1断片を増幅した。また、pBBR−phaJ2(実施例16)を鋳型に、配列27及び配列28のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法によってphaJ2断片を増幅した。
配列25:TTGACACTAGTTCTAGAAGGAGGAGTATATACATATGCGTACCATCGCATCGC(配列番号29)(下線部はXbaI制限酵素サイト)
配列26:GCCAAGCGGCCGCTTCGAAACTAGTTGCAGCTCGACTCACCCGTAG(配列番号30)(下線部はSpeI制限酵素サイト)
配列27:GACCCACTAGTTCTAGAAGGAGGAATATACATATGAAGACCTACGAGAACAT(配列番号31)(下線部はXbaI制限酵素サイト)
配列28:CAAGCGCGGCCGCTTCGAAACTAGTTCAGGGAAAGCGCCGCAGGAT(配列番号32)(下線部はSpeI制限酵素サイト)
PCRはKODプラス(東洋紡)を用い、98℃で20秒、60℃で20秒、68℃で50秒の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。増幅した断片はDNA精製キットにて精製した。その後、T4キナーゼにより5’−末端をリン酸化し、HincII及びアルカリホスファターゼ処理を施したpUC118とLigation Highにより連結した。さらに作製したプラスミドをXbaIとSpeIで切断し、phaJ1及びphaJ2断片を含む遺伝子領域を単離した。また、pK18msNSDG−B(実施例10)をXbaIで切断後、脱リン酸処理を施し、上述のphaJ1断片、phaJ2断片をLigation Highによるライゲーションを行った。phaCNSDGとphaJ1、phaJ2の方向が同じものを選抜し、pK18msNSDG−J1B及びpK18msNSDG−J2Bとした。
また同様に、pK18msNSDG−JB(実施例11)をXbaIで切断後、脱リン酸処理を施し、上述のphaJ1断片、phaJ2断片をLigation Highによるライゲーションを行った。phaCNSDGとphaJ1、phaJ2の方向が同じものを選抜し、pK18msNSDG−JAcJ1B及びpK18msNSDG−JAcJ2Bとした。
実施例20 相同性組換え株の作製
上述の実施例で作製した相同性組換え用プラスミドを用いて、実施例4と同様の手法によりクプリアヴィダス・ネカトール株を接合伝達により形質転換し、その後、目的とする組換えが生じたクローンをPCR法によって選抜した。すなわち、NSDG株を宿主とし、pK18msNSDG−J1B(実施例19)を用いてphaAをphaJ1に置換したNSDGΔA−J1株、pK18msNSDG−JAcJ1B(実施例19)を用いてphaAをphaJAc−phaJ1に置換したMF03−J1株、pK18msNSDG−J2B(実施例19)を用いてphaAをphaJ2に置換したNSDGΔA−J2株を、pK18msNSDG−JAcJ2B(実施例19)を用いてphaAをphaJAc−phaJ2に置換したMF03−J2株を作製した。各株の遺伝子配置構造を図3に示す。
実施例21 クプリアヴィダス・ネカトール組換え株による共重合ポリエステル合成
実施例20で作製したクプリアヴィダス・ネカトール組換え株による共重合ポリエステル合成を実施例18と同様の方法により行った。結果を表3に示す。NSDGΔA−J1株、NSDGΔA−J2株では、コントロールであるNSDGΔA株と比較してPHA生産量を低下することなく3HHx分率が3.2mol%から7.3〜8.0mol%に向上した。この3HHx分率は、アエロモナス・キャビエ由来の(R)−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子phaJAcを相同性組換えにより導入したMF03株(実施例14)での分率と比較すると、やや低かった。一方、phaJをphaJ1又はphaJ2とをタンデムに配置したMF03−J1株、MF03−J2株(図3参照)では、高いPHA生産量を維持しつつ3HHx分率が10.2〜10.5mol%に改善された。
Figure 2011105379
実施例22 クプリアヴィダス・ネカトール由来R体特異的エノイル−CoAヒドラターゼの機能解析
実施例16において増幅し、NdeI及びXhoIで切断したphaJ1、phaJ2、phaJ3の各断片を、それぞれNdeI及びXhoIで切断した発現プラスミドpCOLDII(タカラバイオ社製)に挿入した。得られたプラスミドをpCOLD−J1、pCOLD−J2、pCOLD−J3とした。これらの発現プラスミドは、アミノ末端側にヒスチジン6残基からなるタグ配列(以下、Hisタグとする)が付加された組換え型タンパク質が生産されるように構築されている。pCOLD−J1、pCOLD−J2、pCOLD−J3を用いて大腸菌BL21(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換した。得られたそれぞれの形質転換体を100mgのアンピシリンを含む100mLのLB培地で37℃、4時間培養し、イソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度0.5mMとなるように添加して発現を誘導し、さらに15℃で24時間、培養した。菌体を遠心分離によって回収した後、30mMイミダゾールと500mMNaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で再懸濁し、超音波破砕、遠心分離によって可溶性タンパク画分を得た。
この可溶性タンパク質画分を孔径0.22μmのフィルターでろ過した。次いで30mMイミダゾールと500mMNaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)であらかじめ平衡化したHisTrap FF crudeカラム(1ml)(GEヘスケア社製)に供してHisタグを有するタンパク質を吸着させた。その後、イミダゾール濃度を30mMから500mMに直線的に増加させることにより吸着タンパク質を溶出させ、回収して精製酵素とした。
クプリアヴィダス・ネカトール由来の3つの遺伝子phaJ1、phaJ2、phaJ3から発現したタンパク質を、以下では、それぞれPhaJ1、PhaJ2、PhaJ3とする。大腸菌で生産させたそれぞれの組換え型タンパク質の精製標品について、クロトニル−CoA(炭素数4)、2−ヘキセノイル−CoA(炭素数6)、2−オクテノイル−CoA(炭素数8)を基質としたエノイル−CoAヒドラターゼ活性測定を非特許文献4に記載の方法に従って行った。すなわち、基質を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)に精製酵素を添加し(総体積400μl)、263nmにおける吸光度減少を分光光度計により測定した。その際、基質濃度を変化させて得た測定値をラインウェーバー・バークプロットによって解析することで、ミカエリス定数Kmと最大速度Vmaxを算出した。結果を表4に示す。この結果から、PhaJ1、PhaJ2、PhaJ3ともに、基質鎖長が長いほど高い触媒効率を示すエノイル−CoAヒドラターゼであることを明らかにした。
Figure 2011105379
上記のエノイル−CoAヒドラターゼ活性測定では、二重結合への水付加における立体選択性については知見が得られない。そこで、PhaJ1、PhaJ2、PhaJ3による水和反応の立体特異性について以下のように検討した。PHAを蓄積したクプリアヴィダス・ネカトールの菌体からは、水不溶性のPHA顆粒画分を調製できるが、このPHA顆粒の表面にはPHA合成シンターゼが結合している。このPHAシンターゼは(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAを特異的に重合し、CoA−SHを遊離させる。すなわち、エノイル−CoAヒドラターゼ活性測定の反応溶液にPHA顆粒画分と5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)を共存させると、エノイル−CoAヒドラターゼの特異性がR体特異的であれば、PHAシンターゼによる重合に伴って遊離したCoA−SHがDTNBと反応して412nmに特異的な吸収を有する黄色色素が生成する。逆にエノイル−CoAヒドラターゼがS体特異的であれば、黄色色素は生成しない。
測定は非特許文献4に記載の方法に従って行った。すなわち、PHA顆粒画分はクプリアヴィダス・ネカトール野生株(H16株)を実施例18に記載の方法でフルクトースを炭素源とした100mlの培地により36時間培養した菌体から調製した。培養液から遠心分離によって集菌し、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)3mLに懸濁して超音波破砕した。破砕液を1,500xg、5分間の低速遠心分離で得られた上清について、さらに15,000xg、15分間の高速遠心分離を行い、その沈殿画分を50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)3mLに懸濁してPHA顆粒画分とした。次に、0.2mMクロトニル−CoA、1mM DTNB、5μlPHA顆粒画分を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)に精製酵素を添加し(総体積400μl)、412nmにおける吸光度増加を測定した。その結果、図4に示すように、PhaJ1、PhaJ2、PhaJ3を加えた場合では412nmの吸光度増加が観察された。この結果から、PhaJ1、PhaJ2、PhaJ3は全てR体特異的エノイル−CoAヒドラターゼであることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)生産能を付与した組換えクプリアヴィダス・ネカトール(Cupriavidus necator)株の染色体にR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子を相同性組換えによって形質転換し、又は前記株に該遺伝子が組み込まれた自律複製ベクターを導入することによって形質転換し、炭素源として植物油を含有する培地で形質転換体を増殖させることを含む、3−ヒドロキシヘキサン酸の分率が5〜20モル%であり、及び形質転換体内蓄積率が50〜90重量%であるポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)を製造する方法。
  2. 前記組換えクプリアヴィダス・ネカトール株が、NSDG株、NSDGΔA株、又はMF01株であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子が、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)株由来であり、
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
    からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子が、クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
    (a)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (b)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
    からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  5. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子が、クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
    (a)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (b)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
    からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  6. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子が、
    − アエロモナス・キャビエ株由来であり、
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
    − クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
    (c)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (d)配列番号2で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
    からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  7. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子が、
    − アエロモナス・キャビエ株由来であり、
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (b)配列番号1で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸;及び
    − クプリアヴィダス・ネカトール株由来であり、
    (c)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸;又は
    (d)配列番号3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ脂肪酸β−酸化系中間体を(R)−3−ヒドロキシアシル−CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする核酸
    からなる、請求項1又は2に記載の方法。
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