JP4960033B2 - 酵素活性を低下させた微生物を用いる共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、柔軟な性質を示す3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットの比率が高い共重合ポリエステルを生産できるよう改良された微生物を用いる、生分解性ポリエステルの製造方法に関する。
ポリヒドロキシアルカン酸は、広範な微生物によって生成されるポリエステル型有機分子ポリマーである。これらのポリマーは生分解性を有し、熱可塑性高分子であること、また、再生可能資源から産生されることから、環境調和型素材または生体適合型素材として工業的に生産し、多様な産業へ利用する試みが行われている。
このポリエステルを構成するモノマー単位は一般名3−ヒドロキシアルカン酸であって、具体的には3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、あるいはよりアルキル鎖の長い3−ヒドロキシアルカン酸が単重合もしくは共重合することにより、ポリマー分子が形成されている。3−ヒドロキシ酪酸(以下3HBと略す)のホモポリマーであるポリ−3−ヒドロキシ酪酸(以下、P(3HB)と略す)は、1925年にバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)で最初に発見されたが、このP(3HB)は結晶性が高いため、硬くて脆い性質を持っており、実用的には応用範囲が限られている。
また、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)とからなる共重合体(以下P(3HB−co−3HV)と略す)はP(3HB)に比べると柔軟性に富むことが知られ、製造方法も開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、実際にはP(3HB−co−3HV)は3HVモル分率を増加させても、それに伴う物性の変化が乏しく、特に柔軟性が向上しないため、シャンプーボトルや使い捨て剃刀の取っ手等、硬質成型体の分野にしか利用されなかった。
また、アルキル鎖の炭素数が6から16の3−ヒドロキシアルカン酸で構成される中鎖PHAはP(3HB)やP(3HB−co−3HV)よりも結晶性が低く、弾力に富んでいるので(非特許文献1参照)、異なる分野への用途が期待されている。中鎖PHAの製造研究は、シュードモナス属のPHA合成酵素遺伝子を、シュードモナス属、ラルストニア属、大腸菌に導入することによって行われてきたが、いずれも生産性が低く工業生産に適したものではなかった(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。
また、ポリヒドロキシアルカン酸の一種として、3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下、3HHと略す)との2成分共重合ポリエステル(以下P(3HB−co−3HH)と略す)が知られており、その製造方法が開示されている(特許文献3、特許文献4参照)。これら報告のP(3HB−co−3HH)の製造方法は、土壌より単離されたアエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を用いてオレイン酸等の脂肪酸やオリーブオイル等の油脂から発酵生産するものであった。また、P(3HB−co−3HH)の性質に関する研究もなされている(非特許文献5参照)。この報告では炭素数が12個以上の脂肪酸を唯一の炭素源としてアエロモナス・キャビエを培養し、3HH組成が11〜19mol%のP(3HB−co−3HH)を発酵生産している。このP(3HB−co−3HH)は3HH組成の増加にしたがって、P(3HB)の硬くて脆い性質から次第に柔軟な性質を示すようになり、P(3HB−co−3HV)を上回る柔軟性を示すことが明らかにされた。すなわちP(3HB−co−3HH)は3HH組成を変えることで、硬質ポリエステルから軟質ポリエステルまで応用可能な幅広い物性を持つため、テレビの筐体等のように硬さを要求されるものからフィルム等のように柔軟性を要求されるものまで、幅広い分野への応用が期待できる。しかしながら、本製造方法ではポリエステル生産性は1.2g/Lと低いものであり、本ポリエステルの実用化に向けた生産方法としては未だ不十分と言わざるを得なかったため、実用化に向けて更に高い生産性が得られる方法が探索された。
P(3HB−co−3HH)の工業生産を目指した取組みもなされている。アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)を用いた培養では、オレイン酸を炭素源とした43時間の流加培養において、ポリエステル生産性43g/L、3HH組成17%のP(3HB−co−3HH)が生産された(非特許文献6参照)。また、アエロモナス・ハイドロフィラを炭素源としてグルコース及びラウリン酸を用いて培養し、菌体生産量50g/L、ポリエステル含量50%を達成した(非特許文献7参照)。しかしながら、アエロモナス・ハイドロフィラはヒトに対して病原性を有する(非特許文献8参照)ことから、工業生産に適した種とはいえない。また、これらの培養生産では高価な炭素源を使用するため、製造コストの観点より安価な炭素源の利用も求められている。
このため、安全な宿主での生産及び生産性の向上を目指した取組みが行なわれた。アエロモナス・キャビエよりポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成酵素遺伝子がクローニングされた(特許文献5参照)。本遺伝子をワーテルシア・ユートロファ(Wautersia eutropha、別名カプリアビダス・ニケーター、旧名ラルストニア・ユートロファ、アルカリゲネス・ユートロファス)PHB−4株に導入した形質転換体を用いてP(3HB−co−3HH)の生産を行った結果、P(3HB−co−3HH)生産性は2.9g/L、3HH組成4%であった。さらに、植物油脂を炭素源とした同菌株の培養条件改善によりP(3HB−co−3HH)生産性28g/L、3HH組成8.1%にまで向上したように、培養方法によって高3HH組成のP(3HB−co−3HH)を生産する方法も研究された(特許文献6参照)。しかしながら、工業的生産に応用するには、未だ不十分な生産性であった。
また、P(3HB−co−3HH)の物性を制御する方法も開示されている(特許文献6参照)。少なくとも2種類の炭素数の異なる油脂および/または脂肪酸を炭素源として用いることによって、3HH組成が1〜40mol%のP(3HB−co−3HH)を生産することが可能となり、種々の物性を有するP(3HB−co−3HH)が生産できるようになった。しかしながら、本製造方法では、3HH組成制御のために比較的高価なヘキサン酸、オクタン酸等を添加する必要があり、また高濃度のヘキサン酸は細胞毒性を示すことから菌体生産性が低下する結果となっている。また、多成分の炭素源を添加するため、生産設備が複雑・高価なものになりかねない。
また、フラクトースを炭素源としてP(3HB−co−3HH)を生産できるワーテルシア・ユートロファも構築されたが、本菌株のポリエステル生産性は低く、実生産に適しているとはいえなかった(非特許文献9参照)。
大腸菌を宿主としたP(3HB−co−3HH)生産株も構築された。アエロモナス属のPHA合成酵素遺伝子及びワーテルシア・ユートロファのNADP−アセトアセチルCo−A還元酵素遺伝子等を大腸菌に導入した株が構築された。ドデカンを炭素源として同大腸菌を培養した結果、40.8時間培養でP(3HB−co−3HH)生産性21g/L、3HH組成10.8%であった(非特許文献10参照)。
アエロモナス・キャビエのPHA合成酵素遺伝子、エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子及びアシルCoAデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入した大腸菌も構築された。同大腸菌をラウリン酸を含む培地で培養すると、P(3HB−co−3HH)含量約16%、3HH組成約16%であった(非特許文献11参照)。これらの大腸菌では生産性は低く、工業的生産への適用は困難であった。
P(3HB−co−3HH)の生産性向上並びに3HH組成制御を目指して、PHA合成酵素の人為的な改変が行なわれた。アエロモナス・キャビエ由来のPHA合成酵素変異体のなかで、149番目のアミノ酸アスパラギンがセリンに置換された変異体酵素や、171番目のアスパラギン酸がグリシンに置換された変異体酵素は、大腸菌内でのPHA合成酵素活性や3HH組成が向上していることが示された(非特許文献12参照)。また、同酵素の518番目のフェニルアラニンがイソロイシンに置換された変異体酵素や214番目のバリンがグリシンに置換された変異体酵素は大腸菌でのPHA合成酵素活性やP(3HB−co−3HH)含量が向上したことが報告されている(非特許文献13参照)。しかし、これらは宿主として特殊な大腸菌を用いており未だP(3HB−co−3HH)含量は低いことから、これらの変異体酵素の特徴を活かした工業的生産に向けた更なる改良が必要であった。
ワーテルシア・ユートロファをP(3HB−co−3HH)生産用の宿主として用いる場合、合成経路で重要な酵素遺伝子はβ−ケトチオラーゼ遺伝子(phbA)およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子(phbB)である(図1参照)。この両酵素は基質特異性の特徴から3−ヒドロキシ酪酸のモノマーユニットを優先的に供給していると考えられている。従って、両酵素の活性を低下させることによって相対的に3HH組成の高いP(3HB−co−3HH)が得られると期待できる。しかしながら宿主として頻用されているワーテルシア・ユートロファPHB−4株は、β−ケトチオラーゼ活性およびアセトアセチル−CoA還元酵素活性が親株であるH16株に比べてそれぞれ20分の1程度に減少している(非特許文献14参照)にもかかわらず、この株を宿主とした3HH組成が高くかつ生産性が高いP(3HB−co−3HH)生産株の報告例はなく、PHB−4株以外のβ−ケトチオラーゼ活性あるいはアセトアセチル−CoA還元酵素活性が低下した株を用いた3HH組成が高くかつ生産性が高いP(3HB−co−3HH)生産株の報告例もない。
特開昭57−150393号公報 特開昭59−220192号公報 特開平5−93049号公報 特開平7−265065号公報 特開平10−108682号公報 特開2001−340078号公報 Madison等、Microbiol.Mol.Biol.Rev.,63:21−53(1999) Matsusaki等、J.Bacteriol.,180:6459−6467(1998) Matsusaki等、Appl.Micrbiol.Biotechnol.,53:401−409(2000) Langenbach等、FEMS Microbiol.Lett.,150:303−309(1997) Doi等、Macromolecules,28:4822−4828(1995) Lee等、Biotechnol.Bioeng.,67:240−244(2000) Chen等、Appl.Microbiol.Biotechnol.,57:50−55(2001) 国立感染症研究所 病原体等安全管理規定 別表1付表1(1999) Fukui等、Biomacromolecules,3:618−624(2002) Park等、Biomacromolecules,2:248−254(2001) Lu等、FEMS Microbiology Letters,221:97−101(2003) Kichise等、Appl.Environ.Microbiol.,68:2411−2419(2002) Amara等、Appl.Microbiol.Biotechnol.,59:477−482(2002) Schubert等、J.Bacteriol.,170:5837−5847(1988)
上述したようにP(3HB−co−3HH)の工業的生産のために多くの取り組みがなされているが、低3HH組成P(3HB−co−3HH)生産系に比べ、柔軟な性質を活かしたフィルム等への加工に適した高3HH組成P(3HB−co−3HH)の安全且つ安価な生産系が確立されていないため、その高生産系開発が望まれていた。
本発明の目的は、高3HH組成のP(3HB−co−3HH)を従来よりも効率よく生産し、その生産収率を増大させるのに有効な方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、P(3HB−co−3HH)生産能を有する微生物において、そのP(3HB−co−3HH)の基質モノマーの一つである3ヒドロキシ酪酸CoAの生合成系酵素の活性、特にアセトアセチル−CoA還元酵素及びβ−ケトチオラーゼ活性が欠損若しくは減少した変異株を作製し、これを培養して生産されたP(3HB−co−3HH)の3HH組成を比較したところ、親株よりも高い3HH組成を示すことを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明は以下の通りである。
[1]以下に示す(a)(b)のいずれか一方もしくは両方の特徴を有し、かつ、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの生産能を有するワーテルシア属、カプリアビダス属、ラルストニア属、アルカリゲネス属及びシュードモナス属からなる群より選択される微生物。
(a)アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の全部もしくは一部が欠失されたことにより、またはアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンより上流10塩基以内に存在するリボソーム結合部位の塩基配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入がなされたことにより、アセトアセチル−CoA還元酵素活性が0.3U/mg蛋白質以下である。
(b)β−ケトチオラーゼ遺伝子のDNA配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入がなされたことにより、β−ケトチオラーゼ活性が欠損又は減少されている。
[2]ワーテルシア・ユートロファであることを特徴とする、[1]に記載の微生物。
[3]ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の85番目の塩基アデニンがチミンに置換され、かつ88番目の塩基チミンがシトシンに置換されている、[2]に記載の微生物。
[4]さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されている、[3]に記載の微生物。
[5]さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されている、[3]に記載の微生物。
[6]さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失している、[3]に記載の微生物。
[7]ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されている、[2]に記載の微生物。
[8]ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されている、[2]に記載の微生物。
[9]ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、かつ配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失している、[2]に記載の微生物。
[10]3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの重合酵素遺伝子を染色体上に保持していることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の微生物。
[11]重合酵素遺伝子がアエロモナス・キャビエ由来の酵素又は変異体をコードするものである、[10]に記載の微生物。
[12]重合酵素遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列をコードするものである、[11]に記載の微生物。
[13]配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されていることを特徴とする、[2]〜[12]のいずれか1項に記載の微生物。
[14]配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されていることを特徴とする、[2]〜[13]のいずれか1項に記載の微生物。
[15]配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失していることを特徴とする、[2]〜[14]のいずれか1項に記載の微生物。
[16]配列番号3に示すβ−ケトチオラーゼ遺伝子の16番目のアミノ酸であるリジンが終止コドンに置換していることを特徴とする、[2]〜[15]のいずれか1項に記載の微生物。
[17][1]〜[16]のいずれか1項に記載の微生物を用いた、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの製造方法。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステル(以下、ポリヒドロキシアルカン酸ともいう)とは、以下の一般式:
Figure 0004960033
(式中、mおよびnは該ポリマーのモノマー単位数を表し、1以上である。)で表される共重合ポリマーである。
本発明の方法によって製造されるP(3HB−co−3HH)は、3HH組成が7.5mol%〜40mol%のものが好ましく、より好ましくは10mol%から25mol%である。
本発明に使用する微生物としては、ワーテルシア属、カプリアビダス属、ラルストニア属、アルカリゲネス属及びシュードモナス属のいずれかに属する微生物であればいかなるものでもよく、例えばWautersia eutropha(分類学上、Ralstonia eutropha、Cupriavidus necatorと同一)、Alcaligenes latus、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida等の細菌類が含まれる。安全性及び生産性の観点から好ましくはワーテルシア属であり、より好ましくはWautersia eutrophaであり、更に好ましくはWautersia eutropha H16株である。
本発明に使用する微生物は、P(3HB−co−3HH)の生産能を有するように、少なくともポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を細胞内に保持し、発現することが必要であるが、そのポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子は細胞内のプラスミド上で存在しても、染色体上に存在してもよい。生産能の安定性の観点から染色体上に存在する方がより好ましい。
本発明に使用する微生物に存在するポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子は各種のPHA蓄積生物に由来する遺伝子のうち、P(3HB−co−3HH)を蓄積させるものであればどのようなものでもよい。そのような遺伝子としては例えば、アエロモナス・キャビエ(特許文献5)およびアエロモナス・ハイドロフィラ(GenBankアクセッション番号AY093685)などから単離されているポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子がある。
また、目的とする酵素活性が失われない範囲内でアミノ酸配列が改変するようにそれらの遺伝子の塩基配列の一部を改変したものも使用することができる。例えば、非特許文献12に記載されている、149番目のアミノ酸のアスパラギンがセリンに置換されたアエロモナス・キャビエ由来であるPHA合成酵素遺伝子(N149S変異体遺伝子)、171番目のアミノ酸のアスパラギン酸がグリシンに置換されたアエロモナス・キャビエ由来であるPHA合成酵素遺伝子(D171G変異体遺伝子)、または、上記の2つのアミノ酸置換が組み合わされたアエロモナス・キャビエ由来であるPHA合成酵素遺伝子等を好ましく用いることができる。本発明で用いるポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子としては、アエロモナス・キャビエ由来の酵素又は変異体をコードするものが好ましく、149番目のアミノ酸のアスパラギンをセリンに、かつ171番目のアミノ酸のアスパラギン酸をグリシンに置換したアエロモナス・キャビエ由来の変異体酵素をコードするもの(N149S/D171G変異体、配列番号1)がより好ましい。ワーテルシア・ユートロファH16株場合、染色体上にある配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までを、配列番号25に示す遺伝子配列に置換することが好ましい。
本発明の微生物は、(a)アセトアセチル−CoA還元酵素活性が0.3U/mg蛋白質以下となっているか、及び/又は、(b)β−ケトチオラーゼ遺伝子が不活化されている。
前記した微生物を親株として用いて、アセトアセチル−CoA還元酵素活性が欠損もしくは減少した微生物とするには、通常に行われる変異処理方法が採用される。その変異処理方法としては、公知の方法、例えば遺伝子操作による方法、細胞に変異源性のある薬剤を接触させる方法、またX線、紫外線、放射線、光などを照射する方法などを挙げることができる。前記の薬剤を接触させる方法に用いられる薬剤としては、例えばN−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)、メタンスルホン酸エチル(EMS)などを挙げることができる。
アセトアセチル−CoA還元酵素の活性を特異的に欠損又は減少させる方法としては、遺伝子操作による染色体遺伝子置換法がある。この方法によれば、目的以外の遺伝子に損傷を与えることなく、目的遺伝子の活性発現のみを欠損又は減少させることができ、目的遺伝子以外の合成経路に変動を与えることがないことから、この方法が特に好ましい。具体的には、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の発現領域を含む遺伝子断片をクローニングし、アセトアセチル−CoA還元酵素活性が欠損又は減少するようにDNA配列の変更を施して改変遺伝子を構築する。この改変遺伝子を親株に形質転換すると、親株の正常な同領域との間で相同組換えの機構によって遺伝子の組換えが起こり、改変遺伝子に置換された変異株を得ることができる。
改変の対象となるアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の例としてはワーテルシア・ユートロファのphbB遺伝子(GenBankアクセッション番号J04987)、シュードモナス プチダのphbB遺伝子(GenBankアクセッション番号AB085816)、シュードモナス sp.61−3のphbB遺伝子(GenBankアクセッション番号AB014757)が挙げられる。
アセトアセチル−CoA還元酵素活性が欠損するような改変の例としては、アセトアセチル−CoA還元酵素の構造遺伝子の内部に異種遺伝子、例えばカナマイシン耐性遺伝子断片を挿入する改変、アセトアセチル−CoA還元酵素の構造遺伝子内に終止コドンが生成するような塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変、アセトアセチル−CoA還元酵素の構造遺伝子の一部又は全部を欠失する改変などが挙げられる。アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の活性発現を完全に欠損させるには、アセトアセチル−CoA還元酵素の構造遺伝子の全部を欠失(ワーテルシア・ユートロファの場合、配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失)する改変が好ましい。
配列番号2は、DNAデータベースDDBJのAccession No.J04987の全配列であり、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子及びβ−ケトチオラーゼ遺伝子を含む。
アセトアセチル−CoA還元酵素活性が減少するような改変の例としては、アセトアセチル−CoA還元酵素のアミノ酸配列中の一箇所又は二箇所以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変わるような、塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子のプロモーターおよび/又はリボソーム結合部位への塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変などが挙げられる。
本発明においてはアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンより上流10塩基以内のDNA配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入を行う。アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンから上流10塩基内に存在するリボソーム結合部位の塩基配列を置換する改変が、改変の容易さから好ましい。ワーテルシア・ユートロファの場合、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンをシトシンに置換し、かつ1289番目の塩基アデニンをシトシンに置換するか、又は、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンをチミンに置換し、かつ1290番目の塩基グアニンをシトシンに置換することが好ましい。
β−ケトチオラーゼ活性が欠損若しくは減少した微生物とするには、前記したアセトアセチル−CoA還元酵素活性が欠損若しくは減少した微生物とする方法と同様の変異処理方法が採用できる。すなわちその変異処理方法としては、公知の方法、例えば遺伝子操作による方法、細胞に変異源性のある薬剤を接触させる方法、またX線、紫外線、放射線、光などを照射する方法などを挙げることができる。前記の薬剤を接触させる方法に用いられる薬剤としては、例えばN−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)、メタンスルホン酸エチル(EMS)などを挙げることができる。
β−ケトチオラーゼ活性を特異的に欠損又は減少させる方法としては、遺伝子操作による染色体遺伝子置換法がある。この方法によれば、目的以外の遺伝子に損傷を与えることなく、目的遺伝子の活性発現のみを欠損または減少させることができ、目的遺伝子以外の合成経路に変動を与えることがないことから、この方法が特に好ましい。具体的には、β−ケトチオラーゼ遺伝子の発現領域を含む遺伝子断片をクローニングし、β−ケトチオラーゼ活性が欠損又は減少するようにDNA配列の変更を施して改変遺伝子を構築する。この改変遺伝子を親株に形質転換すると、親株の正常な同領域との間で相同組換えの機構によって遺伝子の組換えが起こり、改変遺伝子に置換された変異株を得ることができる。
改変の対象となるβ−ケトチオラーゼ遺伝子の例としてはワーテルシア・ユートロファのphbA遺伝子(GenBankアクセッション番号J04987)およびbktB遺伝子(GenBankアクセッション番号AF026544)、シュードモナス プチダのphbA遺伝子(GenBankアクセッション番号AB085816)、シュードモナス sp.61−3のphbA遺伝子(GenBankアクセッション番号AB014757)が挙げられる。
β−ケトチオラーゼ活性を特異的に欠損又は減少させるには、β−ケトチオラーゼ遺伝子のDNA配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入することが挙げられる。
β−ケトチオラーゼ遺伝子の活性発現が欠損するような改変の例としては、β−ケトチオラーゼの構造遺伝子の内部に異種遺伝子、例えばカナマイシン耐性遺伝子断片を挿入する改変、β−ケトチオラーゼの構造遺伝子内に終止コドンが生成するような塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変、β−ケトチオラーゼの構造遺伝子の一部又は全部を欠失する改変などが挙げられる。
β−ケトチオラーゼ活性が減少するような改変の例としては、β−ケトチオラーゼのアミノ酸配列中の一箇所又は二箇所以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変わるような、塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変、β−ケトチオラーゼ遺伝子のプロモーターおよび/又はリボソーム結合部位への塩基配列の挿入、欠失又は置換をする改変などが挙げられる。ワーテルシア・ユートロファの場合、配列番号3に示すβ−ケトチオラーゼ遺伝子の16番目のアミノ酸であるリジンが終止コドンに置換するように、配列番号2に示す遺伝子配列の85番目の塩基アデニンをチミンに置換することが好ましい。この際、操作を容易にするために、上記置換と同時に、配列番号2に示す遺伝子配列の88番目の塩基チミンをシトシンに置換することにより、制限酵素NheI切断部位が生じるような塩基置換を行うこともできる。
ワーテルシア・ユートロファを親株とする場合は、酵素の基質特異性の観点からphbA遺伝子を不活化するのが好ましく、構造遺伝子内に終止コドンが生ずるような塩基配列の置換によって不活化するのがより好ましい。
β−ケトチオラーゼ活性が欠損または減少するようなβ−ケトチオラーゼ遺伝子の改変によって、染色体上でβ−ケトチオラーゼ遺伝子の下流に存在するアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の発現に影響を与え、アセトアセチル−CoA還元酵素活性が減少した菌株が得られる場合があるが、そのようにして得られた微生物も本発明の微生物として好適に用いることができる。
本発明の微生物の例として、Wautersia eutropha H16株のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子をアエロモナス・キャビエ由来であるポリヒドロキシアルカン酸合成酵素変異体遺伝子に置換した株KNK−005株を親株として用い、前記した遺伝子操作による方法でアセトアセチル−CoA還元酵素活性が欠損若しくは減少した微生物の取得例を後述の実施例に示す。
取得した株は、β−ケトチオラーゼ遺伝子(phbA)の構造遺伝子内に終止コドンが生成するように塩基配列を置換した株(KNK−005AS)、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子(phbB)のリボソーム結合部位の塩基配列を置換した株(KNK−005SDM1およびKNK−005SDM2)、phbB遺伝子の構造遺伝子の全部を欠失した株(KNK−005ΔphbB)、phbA遺伝子の構造遺伝子内に終止コドンが生成するように塩基配列を置換し、かつphbB遺伝子のリボソーム結合部位の塩基配列を置換した株(KNK−005ASSDM1およびKNK−005ASSDM2)、phbA遺伝子の構造遺伝子内に終止コドンが生成するように塩基配列を置換し、かつphbB遺伝子の構造遺伝子の全部を欠失した株(KNK−005ASΔphbB)である。親株であるKNK−005と比べて、これらの株のアセトアセチル−CoA還元酵素活性はいずれも低いことが確認された。そしてこれらの株を培養して得られるP(3HB−co−3HH)の3HH組成はいずれも、KNK−005を培養して得られるP(3HB−co−3HH)の3HH組成よりも高いことが確認された。
本発明の微生物を炭素源存在下で増殖させることにより、微生物体内に共重合ポリエステルを蓄積させることができる。炭素源としては、糖、油脂または脂肪酸を用いることができる。炭素源以外の栄養源として、窒素源、無機塩類、そのほかの有機栄養源を任意に用いることができる。
糖としては、例えばグルコース、フラクトース等の炭水化物が挙げられる。油脂としては、炭素数が10以上である飽和・不飽和脂肪酸を多く含む油脂、例えばヤシ油、パーム油、パーム核油等が挙げられる。脂肪酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸等の飽和・不飽和脂肪酸、あるいはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂肪酸誘導体が挙げられる。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
そのほかの有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸;ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。
培養温度は、その菌が生育可能な温度であればよいが、20℃から40℃が好ましい。培養時間は、特に制限はないが、1〜10日間程度で良い。
得られた該培養菌体に蓄積されたポリエステルは公知の方法により回収することができる。
例えば次のような方法により行うことができる。培養終了後、培養液から遠心分離器等で菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてポリエステルを抽出する。このポリエステルを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えてポリエステルを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてポリエステルを回収することができる。
本発明の方法によれば、高3HH組成のP(3HB−co−3HH)を従来の方法に比べて効率よく製造することができる。そして、本発明の方法によって製造された高3HH組成のP(3HB−co−3HH)は柔軟な性質を活かしたフィルム等への加工に適した生分解性プラスチックとして多くの分野で種々の用途に用いることができるので、産業上極めて有用である。
以下に実施例で本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)PHBH生産菌親株KNK−005株の作製
アセトアセチル−CoA還元酵素の活性及びβ−ケトチオラーゼ活性を欠損又は減少させるために用いたPHBH生産菌親株のKNK−005株は以下のようにして作製した。
<遺伝子置換用プラスミドの作製>
Wautersia eutropha H16株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号4と配列番号5で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子(phaCRe)の構造遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)45℃で30秒、(4)72℃で3分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分であり、ポリメラーゼとしてはTaKaRa LA Taq(タカラバイオ製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIで切断し、ベクターpBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)を同酵素で切断した部位にサブクローニングした(pBlue−phaCRe)。
Aeromonas caviae由来のポリエステル合成酵素変異体遺伝子であるN149S/D171G変異体は、次のように作製した。まず、pBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)をPstI処理し、DNA Blunting Kit(タカラバイオ製)を用いて平滑末端化しライゲーションすることによりPstIサイトを欠失させた。次いでこのプラスミドをXhoI処理し、DNA Blunting Kit(タカラバイオ製)を用いて平滑末端化しライゲーションすることによりXhoIサイトを欠失したプラスミドpBlue−Newを作製した。このプラスミドのEcoRIサイトにpJRD215−EE32d13(特許文献5)より同酵素で切り出したd13断片をクローニングした(pBlue−d13)。次に、理化学研究所より分与されたクローンE2−50由来のプラスミド(非特許文献13)を鋳型とし、配列番号6と7に記載のプライマーのセット及び配列番号8と9に記載のプライマーのセットを用いてそれぞれPCR法により増幅、2断片を得た。その条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)55℃で30秒、(4)72℃で2分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分である。増幅された2断片を等モル混合し再びPCR反応を行い、2断片を結合させた。その条件は(1)96℃で5分、(2)95℃で2分、(3)72℃で1分、(2)から(3)を12サイクルであり、ポリメラーゼとしてはPyrobestポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いた。目的サイズのDNA断片をアガロース電気泳動ゲルより切り出しPstIとXhoIで処理し、同酵素で処理したpBlue−d13に断片を入れ替える形でクローニングした(pBlue−N149S/D171G)。塩基配列決定を、PERIKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー310 Genetic Analyzerを用いて行い、PHA合成酵素の149番目のアミノ酸であるアスパラギンがセリンに、171番目のアミノ酸であるアスパラギン酸がグリシンに置換された変異遺伝子であることを確認した。
pBlue−N149S/D171Gを鋳型として配列番号10と配列番号11で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、N149S/D171G変異体の構造遺伝子DNAを増幅させた。PCR条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)45℃で30秒、(4)72℃で2分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分であり、ポリメラーゼとしてはTaKaRa LA Taq(タカラバイオ製)を用いた。次に、pBlue−phaCReを制限酵素SbfIとCsp45Iで処理し、同酵素で処理した上記増幅DNA断片をphaCRe構造遺伝子と入れ替える形でクローニングした(pBlue−phaCRe::N149S/D171G)。
次に、プラスミドpJRD215(ATCC37533)を制限酵素XhoIとDraIで処理してカナマイシン耐性遺伝子を含む約1.3kbのDNA断片を単離後、DNAブランティングキット(タカラバイオ製)を用いて末端を平滑化し、pBlue−phaCRe::N149S/D171Gを制限酵素SalIで切断後同様に平滑末端化した部位に挿入した(pBlue−phaCRe::N149S/D171G−Km)。
続いて、プラスミドpMT5071(Tsuda、GENE、207:33−41(1998))を制限酵素NotIで処理してsacB遺伝子を含む約8kbのDNA断片を単離し、pBlue−phaCRe::N149S/D171G−Kmを同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子置換用プラスミドpBlue−phaCRe::N149S/D171G−KmSACを作製した。
<遺伝子置換株の作製>
遺伝子置換用プラスミドpBlue−phaCRe::N149S/D171G−KmSACで大腸菌S17−1株(ATCC47005)を形質転換し、Wautersia eutropha H16株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがWautersia eutropha H16株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択して、2段階の相同組換えによりプラスミドが脱落した株を取得した。さらにPCRによる解析によりphaCRe遺伝子がN149S/D171G変異体遺伝子に置換された菌株を単離した。この遺伝子置換株をKNK−005株と命名し、塩基配列決定を、PERIKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー310 Genetic Analyzerを用いて行い、染色体上のphaCRe遺伝子の開始コドンから終止コドンまでがN149S/D171G変異体遺伝子の開始コドンから終止コドンまでに置換された株であることを確認した(図2参照)。
(実施例2)β−ケトチオラーゼ遺伝子破壊株の作製
<β−ケトチオラーゼ遺伝子の破壊用プラスミドの作製>
プラスミドpJRD215を鋳型とし、配列番号12と配列番号13で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、約1.2kbpのカナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を調製した。次にpMT5071を制限酵素BamHIで処理し、同酵素で処理した上記DNA断片をクロラムフェニコール耐性遺伝子と入れ替える形でクローニングした(pSACKm)。
KNK−005株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号14と配列番号5で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、約1.1kbpのβ−ケトチオラーゼ遺伝子(phbA遺伝子)を含むDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素BamHIで切断し、ベクターpBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)を同酵素で切断した部位にサブクローニングした。配列番号15で示される変異プライマーを用い、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis System(タカラバイオ製)を利用して、配列番号2に示す遺伝子配列の85番目の塩基アデニンがチミンに置換され、かつ88番目の塩基チミンがシトシンに置換されることにより、開始コドンから16残基目のアミノ酸が終止コドンとなり、同時に制限酵素NheI切断部位が生じるような塩基置換を行った。このプラスミドを制限酵素NotIで切断し、pSACKmを同酵素で切断して調製した約5.7kbのDNA断片を(oriT+Km+sacBR)を挿入して染色体置換用ベクター(pBlueASRU)とした。
<染色体置換>
実施例1の遺伝子置換株の作製方法と同様にして、KNK−005株を親株としてpBlueASRUを用いて染色体置換株KNK−005AS株を作製した。KNK−005AS株のDNA塩基配列を解析して、β−ケトチオラーゼ遺伝子がpBlueASRUの相同配列部分と置き換わって終止コドンと制限酵素NheI切断部位が生成していることを確認した(図3参照)。なお、図3中のアミノ酸配列は配列番号3のアミノ酸配列の一部であり、図3中の塩基配列は配列番号2の塩基配列の一部である。
(実施例3)アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子リボソーム結合部位変異株の作製
<リボソーム結合部位変異置換用プラスミドの作製>
KNK−005株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号16と配列番号17で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、約1kbpのアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子(phbB)のリボソーム結合部位を含むDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素BamHIで切断し、ベクターpBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)を同酵素で切断した部位にサブクローニングした。配列番号18および配列番号19で示される変異プライマーを用い、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis System(タカラバイオ製)を利用して、それぞれ、配列番号18を用いた場合は制限酵素MluI切断部位が生じるように、配列番号19を用いた場合はScaI切断部位が生じるようなリボソーム結合部位の塩基置換を行った。
配列番号18を用いた場合は、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されて制限酵素MluI切断部位が生じ、配列番号19を用いた場合は、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されてScaI切断部位が生じる。
このプラスミドを制限酵素NotIで切断し、pSACKmを同酵素で切断して調製した約5.7kbのDNA断片を(oriT+Km+sacBR)を挿入して染色体置換用ベクター(pBlueSDM1RU及びpBlueSDM2RU)とした。
<染色体置換>
実施例1の遺伝子置換株の作製方法と同様にして、KNK−005株を親株としてpBlueSDM1RU及びpBlueSDM2RUを用いてそれぞれ染色体置換株KNK−005SDM1株及びKNK−005SDM2株を作製した。また、KNK−005AS株を親株として染色体置換株KNK−005ASSDM1株およびKNK−005ASSDM2株を作製した。これら4株の染色体置換株のDNA塩基配列を解析して、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子のリボソーム結合部位に所定の変異が入っていることを確認した(図4参照)。
(実施例4)アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子破壊株の作製
<アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の破壊用プラスミドの作製>
KNK−005株の菌体を鋳型DNAの供給源として、ポリメラーゼとしてPyrobestポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCR反応を行い、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンより上流約400baseのDNA断片と終止コドンより下流約560baseのDNA断片とを調製した。上流側の断片の調製には配列番号20と配列番号21で示されるプライマーを用い、下流側の断片の調製には配列番号22と配列番号23で示されるプライマーを用いた。両DNA断片をそれぞれ末端リン酸化処理後、制限酵素BamHIで消化し、ベクターpBluescriptIIKS(−)のBamHI部位に連結挿入した。このプラスミドを制限酵素NotIで切断し、pSACKmを同酵素で切断して調製した約5.7kbのDNA断片を(oriT+Km+sacBR)を挿入して染色体置換用ベクター(pBlueΔphbBRU)とした。
<染色体置換>
実施例1の遺伝子置換株の作製方法と同様にして、KNK−005株を親株としてpBlueΔphbBRUを用いて染色体置換株KNK−005ΔphbB株を作製した。また、KNK−005AS株を親株として染色体置換株KNK−005ASΔphbB株を作製した。これら2株の染色体置換株のDNA塩基配列を解析して、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンから終止コドンまでの塩基配列が脱落(配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までが欠失)していることを確認した(図5参照)。
(実施例5)アセトアセチル−CoA還元酵素活性およびβ−ケトチオラーゼ活性の測定
まず、前培養培地(1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Trypton、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaHPO・12HO、0.15w/v% KHPO、(pH6.8))5mlに実施例2〜4で得られた菌株を植菌して30℃で1晩培養したものを、5mlの酵素活性測定用培地(1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、0.29w/v%(NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5w/v%フラクトース、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの))に対して0.05ml接種して、30℃で24時間培養した。この培養液2mlを4℃で10000×g、1分間の遠心分離を行い菌体を集めた。この菌体を緩衝液(100mM Tris−塩酸緩衝液、1mM EDTA、pH7.5)で2回洗浄し、1mlの同緩衝液に懸濁した。これを超音波処理して菌体を破砕した後、15000×g、4℃、5分間の遠心分離した上清を粗酵素液として用いた。
アセトアセチル−CoA還元酵素活性は反応液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM アセトアセチル−CoA、0.1mM NADPH)に前記粗酵素液0.05mlを添加して、全量を0.5mlとし、25℃で反応させてNADPHの酸化を340nmの吸光度で測定した。アセトアセチル−CoA還元酵素活性は、1分間に1μmolのNADPHを酸化する酵素量を1ユニットとした。比活性はタンパク質1mgあたりのユニットとした。なお、タンパク質の定量はウシ血清アルブミンをスタンダードとして、Bio−Radプロテインアッセイ試薬(バイオラッド社製)を用いたブラッドフォード法で測定した。
β−ケトチオラーゼ活性は反応液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、0.06mM アセトアセチル−CoA、0.1mM CoA−SH、20mM MgCl)に前記粗酵素液0.01mlを添加して、全量を0.5mlとし、25℃で反応させてアセトアセチル−CoAの分解を303nmの吸光度で測定した。β−ケトチオラーゼ活性は、1分間に1μmolのアセトアセチル−CoAを分解する酵素量を1ユニットとした。比活性はタンパク質1mgあたりのユニットとした。なお、タンパク質の定量はウシ血清アルブミンをスタンダードとして、Bio−Radプロテインアッセイ試薬(バイオラッド社製)を用いたブラッドフォード法で測定した。
親株と実施例2、3、および4で作製した変異株のアセトアセチル−CoA還元酵素活性とβ−ケトチオラーゼ活性を表1に示す。
Figure 0004960033
表1に示すとおり、β−ケトチオラーゼ遺伝子に改変を加えたKNK−005AS株、KNK−005ASSDM1株、KNK−005ASSDM2株、KNK−005ASΔphbB株はいずれもβ−ケトチオラーゼ活性が親株であるKNK−005株の10分の1程度であった。アセトアセチル−CoA還元酵素活性は作製したすべての変異株でKNK−005株より低く、0.3U/mg蛋白質以下であった。中でも、アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子を完全に欠失させたKNK−005ΔphbB株およびKNK−005ASΔphbB株はアセトアセチル−CoA還元酵素活性が実質的に失われていた。
(実施例6)ポリエステルの生産、精製および3HH組成(mol%)分析
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Trypton、0.2w/v%Yeast−extract、0.9w/v%NaHPO・12HO、0.15w/v%KHPO、(pH6.8)とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、0.29w/v%(NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、2.5w/v%パームWオレイン油、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの。)とした。
ポリエステル生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0・291w/v%(NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの。)、0.05w/v%BIOSPUMEX200K(消泡剤:コグニスジャパン製)とした。炭素源はパーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインを単一炭素源として用い、培養全般を通じ、比基質供給速度が0.08〜0.1(g油脂)×(g正味乾燥菌体重量)−1×(h)−1となるように流加した。
試験菌株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度30℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養した。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
ポリエステル生産培養は6Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−1000型)に前培養種母を5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量3.6L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。培養は約48時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
得られた乾燥菌体約1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のポリエステルを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mlになるまで濃縮後、約90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したポリエステルをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥ポリエステルの重量を測定し、菌体内のポリエステル含量を算出した。そして、培養液1Lあたりの乾燥菌体重量にポリエステル含量を掛けることによってポリエステル生産性を算出した。
生産されたポリエステルの3HH組成分析は、以下のようにガスクロマトグラフィーによって行った。
乾燥ポリエステルの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱することでポリエステル分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100〜200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温した。
以上のようにして親株と実施例2、3、および4で作製した変異株を培養してポリエステルを生産した成績及び3HH組成を表2に示す。
Figure 0004960033
表2に示すとおり作製した変異株のポリエステル生産性は48〜79g/Lと高く、3HH組成は7.5〜16.8mol%の高い比率を示した。
本発明の方法によれば、高3HH組成のP(3HB−co−3HH)を従来の方法に比べて効率よく製造することができる。そして、本発明の方法によって製造された高3HH組成のP(3HB−co−3HH)は柔軟な性質を活かしたフィルム等への加工に適した生分解性プラスチックとして多くの分野で種々の用途に用いることができるので、産業上極めて有用である。
ワーテルシア・ユートロファにおけるP(3HB−co−3HH)の生合成のための経路の模式図である。 ワーテルシア・ユートロファH16株とKNK−005株におけるP(3HB−co−3HH)の生合成に関与する遺伝子の染色体上の配置を示す模式図である。 実施例2で行ったβ−ケトチオラーゼ遺伝子の改変部位を示す図である。 実施例3で行ったアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子リボソーム結合部位の改変部位を示す図である。 実施例4で行ったアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の欠失部位を示す。

Claims (17)

  1. 以下に示す(a)(b)のいずれか一方もしくは両方の特徴を有し、かつ、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの生産能を有するワーテルシア属、カプリアビダス属、ラルストニア属、及びアルカリゲネス属からなる群より選択される微生物。
    (a)アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の全部もしくは一部が欠失されたことにより、またはアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の開始コドンより上流10塩基以内に存在するリボソーム結合部位の塩基配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入がなされたことにより、アセトアセチル−CoA還元酵素活性が0.3U/mg蛋白質以下である。
    (b)β−ケトチオラーゼ遺伝子のDNA配列に少なくとも1塩基以上の置換、欠失もしくは挿入がなされたことにより、β−ケトチオラーゼ活性が欠損又は減少されている。
  2. ワーテルシア・ユートロファであることを特徴とする、請求項1に記載の微生物。
  3. ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の85番目の塩基アデニンがチミンに置換され、かつ88番目の塩基チミンがシトシンに置換されている、請求項2に記載の微生物。
  4. さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されている、請求項3に記載の微生物。
  5. さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されている、請求項3に記載の微生物。
  6. さらに、配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失している、請求項3に記載の微生物。
  7. ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されている、請求項2に記載の微生物。
  8. ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されている、請求項2に記載の微生物。
  9. ワーテルシア・ユートロファの染色体上にある、配列番号24に示す遺伝子配列の842番目から2611番目までが、配列番号25に示す遺伝子配列に置換され、かつ配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失している、請求項2に記載の微生物。
  10. 3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの重合酵素遺伝子を染色体上に保持していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の微生物。
  11. 重合酵素遺伝子がアエロモナス・キャビエ由来の酵素又は変異体をコードするものである、請求項10に記載の微生物。
  12. 重合酵素遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列をコードするものである、請求項11に記載の微生物。
  13. 配列番号2に示す遺伝子配列の1288番目の塩基グアニンがチミンに置換され、かつ1290番目の塩基グアニンがシトシンに置換されていることを特徴とする、請求項2〜12のいずれか1項に記載の微生物。
  14. 配列番号2に示す遺伝子配列の1287番目の塩基グアニンがシトシンに置換され、かつ1289番目の塩基アデニンがシトシンに置換されていることを特徴とする、請求項2〜13のいずれか1項に記載の微生物。
  15. 配列番号2に示す遺伝子配列の1296番目から2036番目までを欠失していることを特徴とする、請求項2〜14のいずれか1項に記載の微生物。
  16. 配列番号3に示すβ−ケトチオラーゼ遺伝子の16番目のアミノ酸であるリジンが終止コドンに置換していることを特徴とする、請求項2〜15のいずれか1項に記載の微生物。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の微生物を用いた、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルの製造方法。
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