JP4995469B2 - 遺伝子組み換え微生物及びそれを用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、生分解性ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の商業的生産に有用な、改良された微生物と、当該微生物を利用したPHAの製造方法に関する。
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、広範な微生物によって生成されるポリエステル型有機分子のポリマーである。これらのポリマーは生分解性を示し、また、再生可能な資源から産生されることから、環境調和型素材または生体適合素材として工業的に生産し、多様な産業へ利用する試みが行われている熱可塑性ポリマーである。
遺伝子組換え技術を応用して作製された菌株を用いて、PHAを工業的規模で培養する際に最も重要な課題のひとつは、導入した遺伝子の安定的な保持と発現である。原核生物の遺伝子の導入法としてしばしば利用されるのは以下の2つの方法である。1つは宿主となる菌株内で自律複製することができ、かつ選択マーカー遺伝子を持つプラスミドを調製し、PHA合成に関与する遺伝子を組み込んだのち、菌体内に導入する方法である。もう1つは宿主染色体へ当該遺伝子を組み込む方法である。
前者の方法では、当該遺伝子を組み込まれたプラスミドが、増殖あるいは分裂する際にしばしば脱落することが知られている(特許文献1参照)。プラスミドが脱落した菌体はPHA生産能を失うので、商業的生産性が低下する。プラスミドの脱落を防止するために、従来、組換え菌の培養では選択マーカーとして抗生物質耐性遺伝子を用い、選択圧として抗生物質を培地に添加することでプラスミド保持菌のみを生育させる手法が一般的であった。しかしながら、抗生物質使用によるコストの増加や、培養廃液中の残留抗生物質による環境への影響が問題となっている。
プラスミド安定化のために、R1プラスミド由来のparB遺伝子をポリ−3−ヒドロキシ酪酸(以下、P(3HB)と表記)生産プラスミドに組み入れた組換え大腸菌が作製された(非特許文献1参照)。この大腸菌は、110−120世代の培養後もほぼ100%プラスミドを保持していた。しかしながら、人工的に作製されたプラスミドは、脱落しても宿主に影響がないため、このようなプラスミドはやはり脱落の可能性を含んでいる。
後者の宿主染色体へ当該遺伝子を組み込む方法においては、染色体上に組み込まれた遺伝子は世代を超えても忠実に複製、保持されることから安定であると考えられ、PHAの合成に関する遺伝子を染色体に組み込んだ微生物がすでに報告されている(特許文献2、非特許文献2、非特許文献3参照)。PHA生合成酵素をコードする遺伝子を大腸菌の染色体にランダムに挿入することによって作製された組換え大腸菌株は、細胞乾燥重量の85%を超えるレベルでP(3HB)を産生した(特許文献2参照)。しかしながら、実用面においては、P(3HB)よりもやわらかい物性を有することが用途範囲の拡大につながる。そういった性質をもったPHAにポリ(3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシヘキサン酸)(以下、P(3HB−co−3HH)と表記)があるが、当ポリマーを大腸菌に産生させるためには基質モノマー供給のための遺伝子をさらに共存させる必要があり、なお、高い生産効率を達成するための妨げになっている。さらには、染色体上にランダムに遺伝子を組み込む場合には、組み込まれた部位によっては、その部位上の、あるいはその部位周辺の遺伝子の発現に影響を及ぼし、PHA生産株として充分は能力を発揮できない状況が存在する。
Ralstonia eutropha H16株をはじめとした複数の微生物では、染色体DNAのほかに巨大なプラスミド(メガプラスミド)を持つことが知られており、Ralstonia eutropha H16株のメガプラスミドpHG1はすでに配列情報も公開されている(GenBankアクセッション番号AY305378)。メガプラスミド上の遺伝子の機能を解析する手段としてトランスポゾン変異を利用してAlcaligenes eutrophusのメガプラスミド上にランダムな遺伝子組み換えが行われた報告がある(非特許文献4参照)。しかし、この場合は導入遺伝子の安定的な保持と発現を目的としていなかったし、導入された遺伝子はPHA合成に関連しない抗生物質耐性遺伝子(Tn5)であった。
従来、導入した遺伝子を安定的に発現させるためには、染色体上に遺伝子を導入することが有効であるとされていたが、宿主微生物が本来有するプラスミド上に遺伝子を導入することで安定的に共重合ポリエステルを生成させた例はなかった。さらに、該プラスミド上の遺伝子のうち、合成されたPHAを分解することでPHA生産の低下を引き起こす可能性があるPHAデポリメラーゼのホモログをコードする遺伝子上に部位特異的にPHA合成酵素を挿入することで、デポリメラーゼホモログ遺伝子の破壊と導入遺伝子の発現を同時に行って共重合ポリエステルを蓄積させた場合の効果は知られておらず、また、従来知られていた技術から単純には予測することもできなかった。
特開昭59−205983号公報 米国特許第6593116号明細書 Lee等、J.Biotechnol.,32:203−211(1994) Kranz等、Appl.Environ.Microbiol.,63:3003−3009(1997) York等、J.Bacteriol.,183:4217−4226(2001) Thomas Eitinger and Barbel Friedrich,J.Biol.Chem.266:3222−3227(1991)
本発明は、上記現状に鑑み、微生物を利用した生分解性ポリエステルの生産過程において、ポリエステル合成に関与する遺伝子を安定的に発現する遺伝子組換え微生物を作製する。その際、遺伝子の安定的な発現に抗生物質など選択圧を必要としないこと、かつ遺伝子組換えによって当該微生物の生存や物質生産に直接的あるいは間接的に関与する代謝系に悪影響を与えないことを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、外因性のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を、宿主微生物が本来有しているプラスミド上に挿入したポリエステル生産微生物が、何の選択圧も必要とすることなく、かつ安定的に高レベルのPHAを蓄積できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は以下の通りである。
(1)宿主微生物が本来有しているプラスミドのDNA上に、ポリエステル合成に関与する遺伝子が挿入された微生物。
(2)前記プラスミドがメガプラスミドである上記(1)の微生物。
(3)宿主微生物が、Ralstonia属、Cupriavidus属、Wautersia属、Shinorhizobium属、Rhodococcus属、Pseudomonas属、Gordonia属又はAgrobacterium属の何れかに分類される上記(1)又は(2)の微生物。
(4)宿主微生物が、Ralstonia eutropha、Cupriavidus necator又はWautersia eutrophaより選ばれる一種である上記(1)〜(3)いずれか1つの微生物。
(5)宿主微生物が、3−ヒドロキシ酪酸合成酵素をコードする構造遺伝子を完全欠失あるいは部分欠失したRalstonia eutropha H16株、Ralstonia eutropha PHB−4株、又は、Ralstonia eutropha H16株の何れかであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つの微生物。
(6)Ralstonia eutropha H16株の3−ヒドロキシ酪酸合成酵素をコードする構造遺伝子を完全欠失した株を宿主とする上記(5)の微生物。
(7)ポリエステル合成に関与する遺伝子が、宿主微生物のプラスミドのDNA上にある、PHAデポリメラーゼ及び/またはそのホモログをコードする遺伝子を破壊する形で挿入された上記(1)〜(6)のいずれか1つの微生物。
(8)ポリエステル合成に関与する遺伝子が宿主微生物のプラスミドのDNA上にある、配列番号18の塩基配列で示されるPHAデポリメラーゼホモログをコードする遺伝子を破壊する形で挿入された上記(7)の微生物。
(9)ポリエステル合成に関与する遺伝子が、チオラーゼ、レダクターゼ、PHBシンターゼ、PHAシンターゼ、アシル−CoAトランスフェラーゼ、エノイル−CoAヒドラターゼ、アシル−CoAデヒドロゲナーゼ又はエピメラーゼからなる遺伝子及び該遺伝子の変異体からなる遺伝子群より選択される、少なくとも1種類であることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1つの微生物。
(10)PHAシンターゼまたはその変異体がAeromonas caviae由来であることを特徴とする上記(9)の微生物。
(11)PHAシンターゼをコードする遺伝子の変異体が、PHAシンターゼをコードするアミノ酸配列の、149番目のアミノ酸のアスパラギンをセリンに置換、及び/又は、171番目のアミノ酸のアスパラギン酸をグリシンに置換したアミノ酸配列をコードする遺伝子である、上記(10)の微生物。
(12)PHAシンターゼをコードする遺伝子の変異体が、PHAシンターゼをコードするアミノ酸配列の、149番目のアミノ酸のアスパラギンをセリンに置換し、且つ171番目のアミノ酸のアスパラギン酸をグリシンに置換した配列番号17で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子である、上記(11)の微生物。
(13)ポリエステルが、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシノナン酸、3−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキシウンデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシトリデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、3−ヒドロキシペンタデカン酸、および3−ヒドロキシヘキサデカン酸からなる群より選択されるモノマーユニットの少なくとも2種から構成される共重合ポリエステルである上記(1)〜(12)のいずれか1つの微生物。
(14)共重合ポリエステルが3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルであることを特徴とする、上記(13)の微生物。
(15)HG−d1株(受領番号FERM ABP−10494)である微生物。
(16)上記(1)〜(15)のいずれか1つの微生物を用いたポリエステルの製造方法。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の微生物は、宿主微生物が本来有しているプラスミドのDNA上にポリエステル合成に関与する遺伝子が挿入された微生物である。
本発明における宿主微生物としては、プラスミドを本来有する微生物であれば特に制限なく利用することができ、別の炭素源を利用できるように改変された微生物、基質モノマーの生成や取り込みが改変された微生物、または生産を増大するように改変された微生物などの遺伝子組み替えされた微生物を含む。上記プラスミドは、宿主微生物が増殖あるいは分裂する際により安定して保持される点から、メガプラスミドであることが好ましい。
該宿主微生物としては、Ralstonia属、Cupriavidus属、Wautersia属、Shinorhizobium属、Rhodococcus属、Pseudomonas属、Gordonia属、Agrobacterium属の何れかに分類されるものを用いることが好ましい。例としてはRalstonia eutropha、Shinorhiozobium meliloti(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AE006469及びAL591985)、Rhodococcus opacus(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AY569453およびAY569454)、Pseudomonas putida(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AJ344068)、Pseudomonas solanacearum(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AL646053)、Gordonia westfalica(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号 AJ576039)、Agrobacterium tumefaciens(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AE008687及びAE008690)、Agrobacterium rhizogenes(メガプラスミドのGenBankアクセッション番号AP002086)などの細菌類が含まれる。
安全性および生産性の観点から好ましくはRalstonia eutropha(Cupriavidus necator、Wautersia eutrophaと分類学上同一)であり、より好ましくはRalstonia eutropha H16株(DSM428)及びその変異株、並びに、Ralstonia eutropha PHB−4株(DSM541)であり、更に好ましくはRalstonia eutropha H16株及びその変異株である。Ralstonia eutropha H16株の変異株としては、例えばRalstonia eutropha H16株から3−ヒドロキシ酪酸合成酵素をコードする構造遺伝子(phbC)を完全欠失あるいは部分欠失した株が挙げられる。上記宿主微生物としては、Ralstonia eutropha H16株のphbCを完全欠失した株が特に好ましい。この株は、Gregory M.York等、J.Bacteriol 183,14,4217−4226(2001)中に示されているR.eutropha Re1034と同様の方法で作製することができる。
本発明におけるメガプラスミドとは、通常のプラスミドよりもサイズが大きく(100kb〜3Mb程度)、科学論文などでメガプラスミドあるいは巨大プラスミドと呼ばれるものである。メガプラスミドを有する微生物としてはRalstonia eutropha(Thomas Einger and Barbel Friedrich, J. Biological Chemistry 266:3222−3227 (1991))、Shinorhiozobium meliloti(Trevor C.Charles and Turlouh M.Finan,Genetics 127:5−20(1990))、Rhodococcus opacus(Chiristinaら、Microbiology 150:3075−3087P(2004))、Pseudomonas putida、Pseudomonas solanacearum(C Rosenbergら、J Bacteriol.150(1):402406(1982))、Gordonia westfalica(Daniel Brokerら、J Bacteriol.186(1):212225(2004))、Agrobacterium tumefaciens(L Unger,ら、J Bacteriol.164(2):723730(1985))、Agrobacterium rhizogenesなどが知られている。
本発明におけるポリエステル合成に関与する遺伝子は、各種のPHA蓄積生物に由来する遺伝子のうち共重合ポリエステルの蓄積に関与するものであればどのようなものでもよいが、チオラーゼ、レダクターゼ、PHBシンターゼ、PHAシンターゼ、アシル−CoAトランスフェラーゼ、エノイル−CoAヒドラターゼ、アシル−CoAデヒドロゲナーゼ又はエピメラーゼの何れかをコードする遺伝子及び該遺伝子の変異体からなる遺伝子群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。そのような遺伝子として例えば、Aeromonas caviae(Fukui等、J.Bacteriol.,179:4821−4830(1997))、Nocardia coralline(GenKBankアクセッション番号AF019964)、Pseudomonas aeruginosa(Timm等、Eur.J.Biochem.,209:15−30(1992))Pseudomonas oleovorans(Huisman等、J.Biol.Chem.,266:2191−2198(1991))およびThiocystit violaceae(Liebergesell等、Appl.Microbiol.Biotechnol.,38:493−501(1993))などから単離されているポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子が挙げられる。これらの内、PHAシンターゼをコードする遺伝子又はその変異体を用いる場合は、Aeromonas caviae由来であることが好ましい。
またそれらの遺伝子は、目的とする酵素活性が失われない範囲内でアミノ酸配列が改変されるように、塩基配列の一部を置換、挿入、欠失等によって変化させた変異体も使用することができる。例えば、Kichise等、Appl.Environ.Microbiol.,68:2411−2419(2002)に記載されている、149番目のアミノ酸のアスパラギンがセリンに置換されたAeromonas caviae由来であるPHA合成酵素遺伝子(N149S変異体遺伝子)、171番目のアミノ酸のアスパラギン酸がグリシンに置換されたAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子(D171G変異体遺伝子)、または上記の2つのアミノ酸置換が組み合わされた、配列番号17のアミノ酸配列で示されるAeromonas caviae由来であるPHA合成酵素遺伝子(N149S/D171G変異体遺伝子、国際公開第03/050277号パンフレット)などを好ましく用いることができる。上記の遺伝子はプロモーター及び/又はリボソーム結合部位を有し得るが、必ずしも必要ではない。
本発明におけるポリエステルとは、式:[−O−CHR−CH−CO−](RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上の整数である。Rは2種以上含まれていてもよい。)で示される3−ヒドロキシアルカン酸を繰り返しモノマー単位とする重合体で、モノマー単位が3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシノナン酸、3−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキシウンデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシトリデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、3−ヒドロキシペンタデカン酸、および3−ヒドロキシヘキサデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは2種以上の共重合ポリエステルである。その中でも、ポリエステルの樹脂としての物性の観点から、共重合ポリエステルが3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成されるポリヒドロキシアルカン酸が更に好ましい。
微生物が本来有しているプラスミドへポリエステル合成に関与する遺伝子を挿入する態様は、遺伝子を挿入する部分がプラスミド上のori領域やpar領域など、プラスミドの複製および保持に関わる遺伝子以外の部分であり、かつ外因性のポリエステル合成酵素遺伝子、つまりポリエステル合成に関与する遺伝子(挿入遺伝子)が発現するように挿入されていればどのような挿入位置および挿入形態であってもよい。好ましくはPHAデポリメラーゼ及び/又はそのホモログの構造遺伝子の内部に挿入する形態、即ちPHAデポリメラーゼ及び/又はそのホモログを破壊する形での挿入である。宿主がRalstonia eutrophaの場合は、PHAデポリメラーゼのホモログをコードする配列番号18の塩基配列で示される遺伝子を破壊する形で挿入することが好ましい。これらの遺伝子を破壊することによって、菌体内で生成されたポリマーを菌自身が消費するのを抑制する効果が期待され、ポリマー高生産の一助となると推測される。挿入後に、被挿入遺伝子(PHAデポリメラーゼ及び/又はそのホモログ)はプラスミド上からすべて失われていてもよいし、一部が存在していてもよく、分断されて存在していてもよい。挿入の一つの態様として、挿入遺伝子がリボソーム結合部位を有し、かつプロモーターを有しない場合は、被挿入遺伝子のプロモーターの下流に接続されるような挿入方法が選択できる。また、前記と異なる挿入の一つの態様として、挿入遺伝子がプロモーターおよびリボソーム結合部位を有しない場合は、被挿入遺伝子のリボソーム結合部位の下流に接続されるような置き換わり方が選択できる。ポリエステル合成酵素遺伝子の挿入後に発現するポリエステル合成酵素蛋白は、挿入遺伝子がコードする単独の蛋白であってもよいし、被挿入遺伝子がコードする構造蛋白との融合蛋白であってもよく、挿入したポリエステル合成酵素遺伝子の酵素活性を有していればよい。本発明で用いるポリエステル合成酵素遺伝子の挿入の態様は以上の例示に限定されるものではないが、好ましい態様としては被挿入遺伝子の開始コドンから終止コドンまでの間の部分にプロモーター、リボソーム結合部位、構造遺伝子およびターミネーターを有する挿入遺伝子が挿入されるものである。
染色体上に遺伝子を部位特異的に挿入する方法は当業者に周知であり、微生物が本来有しているプラスミド上に遺伝子を挿入する方法も同様にして行うことができる。代表的な方法としてはトランスポゾンと相同組換えの機構を利用した方法(Ohman等、J.Bacteriol.,162:1068−1074(1985))や相同組換えの機構によって起こる部位特異的な組み込みと第二段階の相同組換えによる脱落を原理とした方法(Noti等、Methods Enzymol.,154:197−217(1987))などがあり、また、Bacillus subti1is由来のsacB遺伝子を共存させて、第二段階の相同組換えによって遺伝子が脱落した微生物株をシュークロース添加培地耐性株として容易に単離する方法(Schweizer、Mol.Microbiol.,6:1195−1204(1992)、Lenz等、J.Bacteriol.,176:4385−4393(1994))も利用することができるが、微生物が本来有しているプラスミド上に遺伝子挿入できればその方法は特に制限されない。
以下にAeromonas caviae由来であるPHA合成酵素遺伝子(N149S/D171G変異体遺伝子)をRalstonia eutrophaのPHAデポリメラーゼ酵素遺伝子ホモログ(phg178)に挿入する場合の方法を、以下により具体的に例示する。
まず、挿入遺伝子のフラグメントを作製する。挿入フラグメントは配列番号19に示すようにPHACReのコーディング配列(CDS:開始コドンから終止コドンまでを含む)直前の上流配列にPHACReのCDS、プロモーター、およびリボソーム結合部位をふくむDNA配列がつながり、コーディング配列の下流はphbBの終始コドン直後の下流配列がつながった形とする。
この挿入フラグメントをプラスミド上のPHAデポリメラーゼ遺伝子ホモログをコードするphg178の構造遺伝子(配列番号18)の中に挿入した形の配列番号20に示すような置換フラグメントを作製する。挿入遺伝子の上流配列と下流配列はプラスミド上の遺伝子と相同組換えを起こすために必要な相同配列であって、一般的にはその長さが長いほど組換え頻度は高くなるが、相同組換えさえ起こればよく、その長さは任意に設定できる。上記相同配列は、通常50bp以上、好ましくは500bp以上あればよい。
置換フラグメントには、遺伝子置換の際に選択マーカーとなる遺伝子を付加することができる。選択マーカーとなる遺伝子は、例えばカナマイシン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、アンピシリン等の抗生物質の耐性遺伝子や各種の栄養要求性を相補する遺伝子等が使用できる。宿主微生物としてRalstonia eutrophaを用いる場合にはカナマイシンの耐性遺伝子が好適である。
それらに加えて、第二段階の相同組み換えによって選択マーカー遺伝子を含む領域が脱落した微生物株の選択を容易にするための遺伝子が付加できる。そのような遺伝子としてはBacillus subti1is由来のsacB遺伝子等が例示できる(Schweizer、Mol.Microbiol.,6:1195−1204(1992))。この遺伝子が発現している微生物株はシュークロースを含む培地で生育できないことが知られており、シュークロースを含む培地での生育により、第二段階の相同的組換えによってこの遺伝子を失った株を選択することが容易となる。
これらで構成された置換フラグメントは宿主微生物株中で複製しないベクターに接続することによって遺伝子置換用のプラスミドベクターが作製される。Ralstonia属やPseudomonas属等で利用できるこのようなベクターには例えば、pUCベクター、pBluescriptベクター、pBR322ベクターあるいはそれらと同じ複製起点を持つベクター等が挙げられる。さらには、接合伝達を可能にするmob、oriTなどのDNA配列を共存させることも可能である。
このような構成で作製された遺伝子置換用のプラスミドベクターはエレクトロポレーション法や接合伝達法などの公知に方法によりRalstonia eutrophaに導入することができ、相同組換えを行うことができる。
次に、相同組換えによって宿主微生物が本来有しているプラスミドのDNA上に遺伝子置換用のプラスミドベクターが挿入された株の選択を行う。選択は、遺伝子置換用プラスミドベクターに共存させた選択用の遺伝子に基づいた方法によって行うことができる。カナマイシン耐性遺伝子を用いた場合にはカナマイシンを含む培地で生育してきた株から選ぶことができる。
次の段階で第二の相同組換えによって染色体上から選択マーカー遺伝子を含む領域が脱落した株を選択する。挿入時に利用した選択用の遺伝子に基づいて、例えばカナマイシンを含む培地で生育できなくなった株を選択してもよいが、例えばsacB遺伝子を遺伝子置換用プラスミドに共存させている場合は、シュークロースを含む培地で生育してくる株から容易に選択できる。このようにして得られた株が所望するように遺伝子が置換された株かどうか確認するには、PCR法やサザンハイブリダイゼーション法、DNA塩基配列の決定など、公知の方法が使用できる。以上のようにしてAeromonas caviaeのPHA合成酵素遺伝子がプラスミド上のPHAデポリメラーゼ遺伝子ホモログ(phg178)に挿入された株を取得することができる。
このような株としては、以下の実施例で作製したHG−d1株が挙げられ、上記HG−d1株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6にある独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、ブダペスト条約に基づいて国際寄託されている(受領日:平成18年1月31日、受領番号:FERM ABP−10494)。
本発明の微生物を用いたポリエステルの製造方法は、特に限定はないが、以下に例示する。本発明において、本発明の微生物を炭素源存在下で増殖させることにより、微生物体内に共重合ポリエステルを蓄積させることができる。炭素源としては、糖、油脂または脂肪酸を用いることができる。炭素源以外の栄養源として、窒素源、無機塩類、そのほかの有機栄養源を任意に用いることができる。
糖としては、例えば、フラクトース等の炭水化物が挙げられる。油脂としては、炭素数が10以上である飽和・不飽和脂肪酸を多く含む油脂、例えばヤシ油、パーム油、パーム核油等が挙げられる。脂肪酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸等の飽和・不飽和脂肪酸、あるいはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂肪酸誘導体が挙げられる。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第ニカリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。そのほかの有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸;ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。
培養温度は、その菌が生育可能な温度であればよいが、20℃〜40℃が好ましい。培養時間は、特に制限はないが、1〜10日間程度で良い。
得られた該培養菌体に蓄積されたポリエステルは公知の方法により回収することができる。例えば次のような方法により行うことができる。培養終了後、培養液から遠心分離器等で菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてポリエステルを抽出する。このポリエステルを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えてポリエステルを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてポリエステルを回収することができる。
ポリエステル生産確認の簡易法としては、Ni1eredを用いた染色法を利用できる。すなわち、組換え菌が生育する寒天培地にNi1eredを加え、組換え菌を1〜7日間培養し、組換え菌が赤変するか否かを観察することにより、ポリエステル生産の有無を確認できる。
本発明によれば、微生物を利用した生分解性ポリエステルの生産過程において、ポリエステル合成に関与する遺伝子を安定的に発現する遺伝子組換え微生物を作製することができる。その際、遺伝子の安定的な発現に抗生物質など選択圧を必要としない。かつ遺伝子組換えによって当該微生物の生存や物質生産に直接的あるいは間接的に関与する代謝系に悪影響を与えない。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
(製造例1)KNK−005株の作製
Ralstonia eutropha H16株由来のPHACABオペロンプロモーターおよびターミネーターを有するAeromonas caviae由来のポリエステル合成酵素変異体遺伝子(N149S/D171G変異体)をクローニングする際にPCRの鋳型として用いたKNK−005株は以下のようにして作製した。
<遺伝子置換用プラスミドの作製>
Ralstonia eutropha H16株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号1と配列番号2で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子(PHACRe)の構造遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)45℃で30秒、(4)72℃で3分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分であり、ポリメラーゼとしてはTaKaRa LA Taq(タカラバイオ製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIで切断し、ベクターpBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)を同酵素で切断した部位にサブクローニングした(pBlue−PHACRe)。
Aeromonas caviae由来のポリエステル合成酵素変異体遺伝子であるN149S/D171G変異体は、次のように作製した。
まず、pBluescriptIIKS(−)(東洋紡社製)をPstI処理し、DNA Blunting Kit(タカラバイオ製)を用いて平滑末端化しライゲーションすることによりPstIサイトを欠失したプラスミドpBlue−Newを作製した。このプラスミドのEcoRIサイトにpJRD215−EE32d13(特開平10−108682号公報)より同酵素で切り出したd13断片をクローニングした(pBlue−d13)。次に、理化学研究所より分与されたクローンE2−50由来のプラスミド(Kichise等、Appl.Environ.Microbiol.,68:2411−2419(2002))を鋳型とし、配列番号3と4に記載のプライマーのセット及び配列番号5と6に記載のプライマーのセットを用いてそれぞれPCR法により増幅、2断片を得た。その条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)55℃で30秒、(4)72℃で2分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分である。増幅された2断片を等モル混合し再びPCR反応を行い2断片を結合させた。その条件は(1)96℃で5分、(2)95℃で2分、(3)72℃で1分、(2)から(3)を12サイクルであり、ポリメラーゼとしてはPyrobestポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いた。目的サイズのDNA断片をアガロース電気泳動ゲルより切り出しPstIとXhoIで処理し、同酵素で処理したpBlue−d13に断片を入れ替える形でクローニングした(pBlue−N149S/D171G)。塩基配列決定を、PERKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー310 Genetic Analyzerを用いて行い、PHA合成酵素の149番目のアミノ酸であるアスパラギンがセリンに、171番目のアミノ酸であるアスパラギン酸がグリシンに置換された変異遺伝子であることを確認した。
pBlue−N149S/D171Gを鋳型として配列番号7と配列番号8で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、N149S/D171G変異体の構造遺伝子DNAを増幅させた。PCR条件は(1)94℃で2分、(2)94℃で30秒、(3)45℃で30秒、(4)72℃で2分、(2)から(4)を25サイクル、(5)72℃で5分であり、ポリメラーゼとしてはTaKaRa LA Taq(タカラバイオ製)を用いた。次に、pBlue−PHACReを制限酵素SbfIとCsp45Iで処理し、同酵素で処理した上記増幅DNA断片をPHACRe構造遺伝子と入れ替える形でクローニングした(pBlue−PHACRe::N149S/D171G)。
次に、プラスミドpJRD215(ATCC37533)を制限酵素XhoIとDraIで処理してカナマイシン耐性遺伝子を含む約1.3kbのDNA断片を単離後、DNAブランティングキット(タカラバイオ製)を用いて末端を平滑化し、pBlue−PHACRe::N149S/D171Gを制限酵素SalIで切断後同様に平滑末端化した部位に挿入した(pBlue−PHACRe::N149S/D171G−Km)。
続いて、プラスミドpMT5071(Tsuda、GENE,207:33−41(1998))を制限酵素NotIで処理してsacB遺伝子を含む約8kbのDNA断片を単離し、pBlue−PHACRe::N149S/D171G−Kmを同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子置換用プラスミドpBlue−PHACRe::N149S/D171G−KmSACを作製した。
<遺伝子置換株の作製>
遺伝子置換用プラスミドpBlue−PHACRe::N149S/D171G−KmSACで大腸菌S17−1株(ATCC47005)を形質転換し、Ralstonia eutropha H16株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがRalstonia eutropha H16株の染色体上に組み込まれた株を取得した(第一段階の相同組換え)。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択して、選択マーカー遺伝子を含む領域が脱落した株を取得した(第二段階の相同組換え)。さらにPCRによる解析によりPHACRe遺伝子がN149S/D171G変異体遺伝子に置換された菌株を単離した。この遺伝子置換株をKNK−005株と命名し、塩基配列決定を、PERKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー310 Genetic Analyzerを用いて行い、染色体上のPHACRe遺伝子の開始コドンから終止コドンまでがN149S/D171G変異体遺伝子の開始コドンから終止コドンまでに置換された株であることを確認した。上記KNK−005株は、茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6にある独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている(受託日:平成17年1月20日、受託番号:FERM BP−10207)。
(実施例1)メガプラスミド上への遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製
挿入用遺伝子としてRalstonia eutropha H16株由来のPHACABオペロンプロモーターおよびターミネーターを有するAeromonas caviae由来のポリエステル合成酵素変異体遺伝子(N149S/D171G変異体)を次のように作製した。
KNK−005株のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号9および配列番号10で示されるプライマーを用いてPCR反応を行った。PCR条件は(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、(3)68℃で2分、(2)から(3)を25サイクルであり、ポリメラーゼとしてはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素EcoRIで消化した(PRe−N149S/D171G−T)。
次に、破壊する遺伝子をRalstonia eutropha H16株のメガプラスミド上にあるPHAZホモログをコードする遺伝子(phg178)とし、以下の手順で部分欠失したphg178遺伝子を作製した。
Ralstonia eutropha H16株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号11および配列番号12で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、phg178遺伝子の上流側の構造遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR条件は(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、(3)64℃で30秒、(4)68℃で50秒、(2)から(4)を25サイクルであり、ポリメラーゼとしてはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIおよびEcoRIで2酵素同時消化した。このDNA断片をHG1とした。
同様にRalstonia eutropha H16株の菌体を鋳型DNAの供給源として、配列番号13および配列番号14で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、phg178遺伝子の下流側の構造遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR条件は(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、(3)64℃で30秒、(4)68℃で50秒、(2)から(4)を25サイクルであり、ポリメラーゼとしてはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素EcoRIおよびSalIで2酵素同時消化した。このDNA断片をHG2とした。
HG1およびHG2を等モル混合しライゲートしてできたDNA断片をテンプレートとして配列番号11および配列番号14で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、部分欠失したphg178遺伝子を含むDNA断片を増幅した。PCR条件は(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、(3)64℃で30秒、(4)68℃で1分、(2)から(4)を25サイクルであり、ポリメラーゼとしてはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIおよびSalIで2酵素同時消化した。このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)(TOYOBO製)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした(HG/pBlu)。
挿入用DNA断片(PRe−N149S/D171G−T)を、HG/pBluの同制限酵素で消化した部位に挿入した(HG::PRe−N149S/D171G−T/pBlu)。
塩基配列決定を、PERKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて行い、鋳型としたDNA部分の塩基配列と同一であることを確認した。
プラスミドpJRD215を鋳型とし、配列番号15と配列番号16で示されるプライマーを用いてPCR反応を行い、約1.2kbpのカナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を調製した。次にpMT5071を制限酵素BamHIで処理し、同酵素で処理した上記DNA断片をクロラムフェニコール耐性遺伝子と入れ替える形でクローニングした(pKm−sacBR)。
続いて、プラスミドpKm−sacBRを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出し、HG::PRe−N149S/D171G−T/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドHG::PRe−N149S/D171G−T/pBlu/SacB−Kmを作製した(図1)。
(実施例2)遺伝子挿入用宿主の作製
遺伝子挿入用の宿主としてphbCを完全欠失した株Ralstonia eutropha d1株を作製した。作製方法は、文献Gregory M.York等、J.Bacteriol 183,14,4217−4226(2001)中に示されているR.eutropha Re1034の作製方法と同じである。
(実施例3)遺伝子挿入株の作製
遺伝子破壊・挿入用プラスミドHG::PRe−N149S/D171G−T/pBlu/SacB−Kmを用いて大腸菌S17−1株(ATCC47005)を形質転換し、Ralstonia eutropha d1株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。250mg/lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム 2g/L、塩化ナトリウム 5g/L、硫酸マグネシウム・ 7水塩 0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素ニカリウム1g/L、寒天 15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがRalstonia eutropha d1株のメガプラスミド上に組み込まれた株を取得した(第一段階の相同組換え)。
この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、20%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択して選択マーカー遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子、sacB遺伝子)を含む領域が脱落した株を取得した(第二段階の相同組換え)。さらにPCRによる解析によりphg178遺伝子内部にPRe−N149S/D171G−Tが挿入された菌株を単離した。この遺伝子破壊・挿入株をHG−d1株と命名し、塩基配列決定を、PERKIN ELMER APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて行い、メガプラスミド上のphg178遺伝子の内部にPRe−N149S/D171G−Tが挿入された株であることを確認した。
上記HG−d1株は、上述の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている(受領日:平成18年1月31日、受領番号:FERM ABP−10494)。
(実施例4)ポリエステルの生産および精製
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Trypton、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaPO・12HO、0.15w/v% KHPO(pH6.8)とした。前培養培地の組成は1.1w/v% NaPO・12HO、0.19w/v% KHPO、1.29w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、2.5w/v%パームWオレイン油、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeC1・6HO、1w/v% CaC1・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiC1・6HOを溶かしたもの。)とした。
ポリエステル生産培地の組成は0.385w/v% NaPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeC1・6HO、1w/v% CaC1・2H0、0.02w/v% CoC1・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiC1・6HOを溶かしたもの。)、0.05w/v% BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン製)とした。炭素源はパーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインを単一炭素源として用い、培養全般を通じ、比基質供給速度が0.08−0.1(油脂(g))×(正味乾燥菌体重量(g))−1×(時間(h))−1となるように流加した。
HG−d1株のグリセロ−ルストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度30℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7−6.8の間でコントロールしながら28時間培養した。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
ポリエステル生産培養は6Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−1000型)に前培養種母を5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量3.6L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。培養は約64時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した結果、169.3g/Lであった。
得られた乾燥菌体約1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のポリエステルを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mlになるまで濃縮後、約90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したポリエステルをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥ポリエステルの重量を測定し、菌体内のポリエステル含量を算出した。その結果、HG−d1株によるポリエステル含量は65時間で78.5(wt%)という高含量であった。
(実施例5)ポリエステル生産能の安定性評価
実施例4のポリエステル生産培養終了時の培養菌液を希釈してNutrient Agar培地に播種し、生育してきたコロニーをNileRed含有培地(リン酸水素2ナトリウム・12水塩 9g、リン酸2水素カリウム 1.5g、塩化アンモニウム 0.05g、硫酸マグネシウム・7水塩 0.02g、フルクトース0.5g、塩化コバルト・6水塩 0.25ppm、塩化鉄(III)・6水塩16ppm、塩化カルシウム・2水塩 10.3ppm、塩化ニッケル・6水塩 0.12ppm、硫酸銅・5水塩 0.16ppm、Nilered 0.5mg、寒天 15g/L)に接種した。30℃、3日間の培養後、コロニーが赤色を呈しているものがポリエステルを生産していると判定できる。100コロニーを調べた結果、すべてのコロニーがポリエステル生産能を保持していた。
本発明によれば、産業用発酵過程においてポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を安定的に高生産できる組換え微生物株が提供され、高純度のポリヒドロキシアルカン酸(PHA)が簡便かつ大量に、しかも安価に製造することが可能となる。本発明では、宿主微生物が本来有しているプラスミドにPHA合成酵素遺伝子を導入することにより、遺伝子の安定的な発現に抗生物質などの選択圧を必要とせず、遺伝子組換えによって当該微生物の生存や物質生産に直接的あるいは間接的に関与する代謝系に悪影響を与えない。
実施例1で構築した遺伝子挿入用プラスミドベクターHG::PRe−N149S/D171G−T/pBlu/SacB−Kmの構成を示した模式図である。

Claims (14)

  1. Ralstonia属、Cupriavidus属、又はWautersia属の何れかに分類される宿主微生物が本来有しているプラスミドのDNA上に、PHBシンターゼ又はPHAシンターゼの何れかをコードする遺伝子及び該遺伝子の変異体からなる遺伝子群より選択される少なくとも1種のポリエステル合成に関与する遺伝子が挿入された微生物。
  2. 前記プラスミドがメガプラスミドである請求項1記載の微生物。
  3. 宿主微生物が、Ralstonia eutropha、Cupriavidus necator又はWautersia eutrophaより選ばれる1種である請求項1または2に記載の微生物。
  4. 宿主微生物が、Ralstonia eutropha H16株(DSM428)、3−ヒドロキシ酪酸合成酵素をコードする構造遺伝子を完全欠失あるいは部分欠失したRalstonia eutropha H16株、又は、Ralstonia eutropha PHB−4株(DSM541)の何れかであることを特徴とする請求項3に記載の微生物。
  5. 宿主微生物が、Ralstonia eutropha H16株の3−ヒドロキシ酪酸合成酵素をコードする構造遺伝子を完全欠失した株である請求項4に記載の微生物。
  6. 前記遺伝子が、宿主微生物のプラスミドのDNA上にある、PHAデポリメラーゼ及び/又はそのホモログをコードする遺伝子を破壊する形で挿入された請求項1〜5の何れか1項に記載の微生物。
  7. 前記遺伝子が、宿主微生物のプラスミドのDNA上にある、PHAデポリメラーゼのホモログをコードする配列番号18の塩基配列で示される遺伝子を破壊する形で挿入された請求項6に記載の微生物。
  8. PHAシンターゼをコードする遺伝子またはその変異体がAeromonas caviae由来であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の微生物。
  9. PHAシンターゼをコードする遺伝子の変異体が、PHAシンターゼをコードするアミノ酸配列の、149番目のアミノ酸のアスパラギンをセリンに置換、及び/又は、171番目のアミノ酸のアスパラギン酸をグリシンに置換したアミノ酸配列をコードする遺伝子である請求項8に記載の微生物。
  10. PHAシンターゼをコードする遺伝子の変異体が、PHAシンターゼをコードするアミノ酸配列の、149番目のアミノ酸のアスパラギンをセリンに置換し、且つ171番目のアミノ酸のアスパラギン酸をグリシンに置換した配列番号17で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子である請求項9に記載の微生物。
  11. ポリエステルが、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシノナン酸、3−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキシウンデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシトリデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、3−ヒドロキシペンタデカン酸、および3−ヒドロキシヘキサデカン酸からなる群より選択されるモノマーユニットの少なくとも2種から構成される共重合ポリエステルである請求項1〜10の何れか1項に記載の微生物。
  12. 共重合ポリエステルが3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸のモノマーユニットで構成される共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項11に記載の微生物。
  13. HG−d1株(受領番号:FERM ABP−10494)である請求項1〜12の何れか1項に記載の微生物。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載の微生物を用いたポリエステルの製造方法。
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