JP5670728B2 - 改良されたポリヒドロキシアルカノエート生産微生物及びそれを用いたポリヒドロキシアルカノエートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素数4以上の3−ヒロドキシアルカノエート単位を有するポリヒドロキシアルカノエート共重合体を生産する微生物および該微生物を用いて該共重合体を効率よく製造する方法に関する。
ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと記す)は、広範な微生物によって生成されるポリエステル型有機分子ポリマーである。PHAは生分解性を有する熱可塑性高分子である。また、PHAは再生可能資源から産生されうる。これらのことから、PHAを環境調和型素材または生体適合型素材として工業的に生産し、多様な産業へ利用する試みが行われている。
現在までに数多くの微生物において、エネルギー貯蔵物質としてポリエステルを菌体内に蓄積することが知られている。その代表例としては3−ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと記すこともある)のホモポリマーであるポリ−3−ヒドロキシ酪酸(以下、P(3HB)と記すこともある)が挙げられる。P(3HB)は1925年にBacillusmegateriumで最初に発見された。P(3HB)は熱可塑性高分子であり、自然環境中で生物学的に分解されることから、環境にやさしいプラスチックとして注目されている。しかし、P(3HB)は結晶性が高いために硬くて脆い性質を持っていることから実用的には応用範囲が限られている。応用範囲を広げるためには、P(3HB)に柔軟性を付与することが必要であった。
そこで、3HBと3−ヒドロキシ吉草酸(以下、3HVと記す)とからなる共重合体(以下、P(3HB−co−3HV)と記す)の製造方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。P(3HB−co−3HV)はPHAの一種である。P(3HB−co−3HV)は、P(3HB)に比べると柔軟性に富むため、幅広い用途に応用できると考えられた。しかしながら、実際にはP(3HB−co−3HV)中の3HVモル分率を増加させてもそれに伴う物性の変化が乏しく、特にフィルムやシート、軟質系包装容器等へ加工するために要求される程には柔軟性が向上しないため、シャンプーボトルや使い捨て剃刀の取手等、硬質成型体の限られた分野にしか利用されていない。
P(3HB)の柔軟性を高めるために、3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下、3HHと記すこともある)からなる共重合体(以下、P(3HB−co−3HH)と記すこともある)及びその製造方法について研究がなされた(特許文献3、特許文献4)。P(3HB−co−3HH)もPHAの一種である。これら報告におけるP(3HB−co−3HH)の製造方法は、土壌より単離されたAeromonascaviaeの野生株を用い、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸を炭素源として発酵生産するものであった。3HH組成比はオレイン酸を炭素源としたとき15mol%、パルミチン酸を炭素源としたとき5mol%であった。
P(3HB−co−3HH)の物性に関する研究もなされている(非特許文献1)。この報告では、炭素数が12個以上の脂肪酸を唯一の炭素源としてA. caviaeを培養し、3HH組成が11〜19mol%のP(3HB−co−3HH)を発酵生産している。P(3HB−co−3HH)が3HH組成の増加にしたがって、P(3HB)の様な硬くて脆い性質から次第に柔軟な性質を示すようになり、P(3HB−co−3HV)を上回る柔軟性を示すことが明らかにされた。すなわち、P(3HB−co−3HH)は3HH組成比を変えることで、硬質ポリマーから軟質ポリマーまで応用可能な幅広い物性を持たせることができるため、低3HH組成比のP(3HB−co−3HH)を用いたテレビの筐体等のように硬さを要求されるものから、高3HH組成比のP(3HB−co−3HH)を用いたフィルム等のように柔軟性を要求されるものまで、幅広い分野への応用が期待できる。しかしながら、前記製造方法では菌体生産量4g/L、菌体あたりのポリマー含量30%とポリマー生産性は低いものであったため、実用化に向けて更に高い生産性、特にポリマー含量を向上させる方法が探索されてきた。
P(3HB−co−3HH)の工業生産を目指した取組みの例として、以下の技術が挙げられる。非特許文献2では、Aeromonas hydrophilaを用い、オレイン酸を炭素源とした43時間の流加培養を行うことにより、菌体量95.7g/L、ポリマー含量45.2%、3HH組成比17mol%のP(3HB−co−3HH)が生産された。また、A.hydrophilaを用いたグルコース及びラウリン酸を炭素源とした培養により、3HH組成比が11mol%であり、菌体量50g/L、ポリマー含量50%が達成された(非特許文献3)。しかしながら、A.hydrophilaはヒトに対して病原性を有する(非特許文献4)ことから、工業生産に適した微生物とはいえなかった。また、これらの培養生産で用いられている炭素源は高価であるため、製造コストの観点より安価な炭素源の利用が求められていた。
このため、安全な宿主での生産及び生産性の向上を目指して以下のような取組みが行なわれた。A. caviaeよりクローニングされたポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成酵素遺伝子をCupriavidusnecator (旧分類:Ralstonia eutropha或いはAlcaligenes eutrophus)に導入した形質転換体を用い、オクタン酸を炭素源としてP(3HB−co−3HH)の生産を行った結果、3HH組成比は22mol%であり、菌体量4g/L、ポリマー含量は33重量%であった(特許文献5、非特許文献5)。更に前記形質転換体を、炭素源として植物油脂を用いて培養した結果、3HH組成比は4〜5mol%であり、菌体量4g/L、ポリマー含量80%が達成された(非特許文献6)。後者の製造方法は安価な植物油脂を炭素源とし、ポリマー含量も高いものの、菌体量が低いため、ポリマー生産性が低く、且つ3HH組成比4〜5mol%ではフィルム等の用途に適用できるほど柔らかいものではなかった。
大腸菌を宿主としたP(3HB−co−3HH)生産株も構築された。Aeromonas属のPHA合成酵素遺伝子、C. necatorのNADP−アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子等を大腸菌に導入した株が構築された。ドデカンを炭素源として該大腸菌を40.8時間培養した結果、菌体量79g/L、ポリマー含量27.2%、3HH組成比10.8mol%であった(非特許文献8)。A.caviaeのPHA合成酵素遺伝子、エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子及びアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入した大腸菌も構築された。ラウリン酸を含む培地で該大腸菌を培養すると、菌体生産性は1g/L、ポリマー含量約16%、3HH組成比約16mol%であった(非特許文献9)。これらの大腸菌でもポリマー生産性は低く、工業的生産への適用は困難であった。
P(3HB−co−3HH)の生産性向上並びに3HH組成制御を目指して、PHA合成酵素の人為的な改変が行なわれた(非特許文献10)。A. caviae由来のPHA合成酵素変異体のなかで、149番目のアミノ酸アスパラギンがセリンに置換された変異体酵素や、171番目のアスパラギン酸がグリシンに置換された変異体酵素は、大腸菌内でのPHA合成酵素活性や3HH組成が向上していることが示され、また、518番目のフェニルアラニンがイソロイシンに置換された変異体酵素や214番目のバリンがグリシンに置換された変異体酵素は大腸菌でのPHA合成酵素活性やポリマー含量が向上したことが報告されている。しかし、これらは宿主として特殊な大腸菌を用いており、更にポリマー含量は約13%と低いことから、これらの変異体酵素の特徴を活かした工業的生産に向けた更なる改良が必要であった。
また、pJRD215(ATCC 37533)にポリエステル合成酵素遺伝子やR−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子等を導入したpJRDEE32やpJRDEE32d13等(特許文献5、非特許文献5参照)のPHA合成酵素発現プラスミドにによってC.necatorを形質転換し、該形質転換体のPHA生産性が調べられている。該菌株の菌体量は4g/Lと低かったが、植物油脂を炭素源とした同菌株の培養条件改善により菌体量45g/L、ポリマー含量62.5%、3HH組成比8.1mol%にまでポリマー生産性が向上した。このように、培養方法によってP(3HB−co−3HH)の3HH組成比やポリマー生産性を改善する試みがなされた(特許文献6)。
P(3HB−co−3HH)の物性を制御する方法も開示されている(特許文献6)。少なくとも2種類の炭素数の異なる油脂および/または脂肪酸を炭素源として用いることによって、3HH組成比が1〜40mol%のポリエステルを生産することが可能となり、種々の物性を有するP(3HB−co−3HH)が生産できるようになった。しかしながら、本製造方法では、3HH組成制御のために比較的高価なヘキサン酸、オクタン酸等を添加する必要があり、また高濃度のヘキサン酸は細胞毒性を示すことから菌体生産性が低下する結果となっている。また、多成分の炭素源を添加するため、生産設備が複雑・高価になる場合がある。
C. necatorを宿主とし、果糖を炭素源とした培養で3HH組成を向上させる方法も開示されている。ポリエステル合成酵素遺伝子と放線菌Streptomycescinnamonensis由来のクロトニル−CoA還元酵素遺伝子(以下ccrと略記する)を導入すると3HH組成は0.9%であったものの、更にR−エノイル−CoAヒドラターゼ遺伝子等を導入すると3HH組成は1.6%に向上した。しかし、その時の菌体量は約1.5g/L、ポリマー含量は40%前後と低く、高3HH組成P(3HB−co−3HH)の工業的生産には一層の改良が必要であった(非特許文献7)。
フィルムやシート、軟質系包装容器等への応用には3HH組成比が12mol%以上のP(3HB−co−3HH)が望まれている。しかし、従来のP(3HB−co−3HH)生産において、3HH組成比を向上させようとすれば、ポリマー含量あるいは菌体量の低下を招いていた。工業生産において望ましいとされる70%以上のポリマー含量且つ150g/L以上の菌体量かつ3HH組成比12mol%以上を実現する方法はなく、一層の改良が必要であった。
特開昭57−150393号公報 特開昭59−220192号公報 特開平5−93049号公報 特開平7−265065号公報 特開平10−108682号公報 特開2001−340078号公報
Y. Doi, S. Kitamura, H. Abe; Macromolecules, 28, 4822-4823 (1995) Biotechnology and Bioengineering, vol.67, 240 (2000) Appl. Microbiol. Biotechnol., vol.57, 50 (2001) 国立感染症研究所、病原体等安全管理規定、別表1付表1(1999) T. Fukui, Y. Doi; J. Bacteriol, 179, 15, 4821-4830 (1997) T. Fukui等、Appl. Microbiol. Biotecnol., 49, 333 (1998) T. Fukui等、Biomolecules, vol.3, 618 (2002) S. Park等、Biomacromolecules, vol.2, 248 (2001) X. Lu等、FEMS Microbiology Letters, vol.221, 97 (2003) T. Kichise等、Appl. Environ. Microbiol., 68, 2411-2419 (2002)
本発明は、柔軟性に優れ幅広い用途が期待される高3HH組成比のPHAを、安価な炭素源である植物油を用いて、実用的な生産性で製造することを目的とする。特には、菌体のポリマー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保ったまま、3HH組成比12mol%以上のP(3HB−co−3HH)を効率よく発酵生産することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微生物中のPHA合成酵素量を増加させるとともに、3HBモノマー合成能を減少させ且つ新たな3HHモノマー合成経路を創出し3HHモノマー供給系を増強させることによって前記微生物中に、3HH組成比率の向上したPHAが大量に生成・蓄積できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、phbA遺伝子が不活性化され、phaC遺伝子及びbktB(β−ケトチオラーゼ)遺伝子発現が増強されると共に新たにccr遺伝子導入でブチリル−CoA合成経路が導入されることによって3HHモノマー合成能が向上した3−ヒドロキシヘキサン酸単位含有ポリヒドロキシアルカノエートを生産可能な微生物に関する。
より詳細には、次の(1)から(3)の要件を備えた微生物に関する;
(1)phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制されていること、
(2)bktB遺伝子の発現が強化されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が向上されていること、
(3)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子、および/または、クロトニル−CoA還元酵素遺伝子が導入されていること。
本発明の第二は、上記記載の微生物を用い、安価な炭素源を用いて菌体のポリマー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保ったまま、3HH組成比12mol%以上であることを特徴とする3HH単位含有PHAの製造方法に関する。
本発明により、安価で安全な炭素源を用いて、菌体のポリマー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保ったまま、3HH組成比12mol%以上のPHAを発酵生産することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の3HH単位含有PHAとは、3HHとともに、3HB、3HV、3−ヒドロキシオクタン酸、および、それらよりアルキル鎖の長い3−ヒドロキシアルカン酸からなる群より選らばれる1以上の3−ヒドロキシアルカン酸が共重合したポリエステルである。
本発明のphbA遺伝子とは、β−ケトチオラーゼ活性を有する酵素のうち、2分子のアセチル−CoAを縮合する反応を触媒するが、β−ケトバレリル−CoAのチオリシスを殆ど触媒しない酵素をコードする遺伝子で、例えば配列番号5に示される塩基配列からなるphbA遺伝子が例示される。配列番号5に示される塩基配列と85%以上の配列同一性を有し、2分子のアセチル−CoAを縮合する反応を触媒するが、β−ケトバレリル−CoAのチオリシスを殆ど触媒しない酵素をコードする遺伝子は本発明に好適に用いることができる。配列同一性は90%以上であればより好ましく、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上である。
本発明のbktB遺伝子とは、β−ケトチオラーゼ活性を有する酵素のうち、2分子のアセチル−CoAの縮合およびアセチル−CoAとそれよりも鎖長の長い、例えばプロピオニル−CoAの縮合の両方をよく触媒し、且つ3−ケトバレリル−CoAのチオリシスを触媒する酵素をコードする遺伝子で、例えば配列番号29に示される塩基配列からなる遺伝子が例示される(SLATER等、J.Bacteriol., vol.180, 1979-1987, 1998)。配列番号29に示される塩基配列と85%以上の配列同一性を有し、2分子のアセチル−CoAの縮合およびアセチル−CoAとそれよりも鎖長の長い、例えばプロピオニル−CoAの縮合の両方をよく触媒し、且つ3−ケトバレリル−CoAのチオリシスを触媒する酵素をコードする遺伝子は本発明に好適に用いることができる。配列同一性は90%以上であればより好ましく、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上である。
また、3HH単位含有PHAを合成可能なポリメラーゼをコードする遺伝子としては、A. caviaeのphaC遺伝子或いは、配列番号4に示される塩基配列からなるphaC変異遺伝子などが例示でき、宿主が結果として該PHAを産生可能であればよい。phaC遺伝子が有する塩基配列あるいは配列番号4に示される塩基配列と、85%以上の配列同一性を有する遺伝子で、3HH単位含有PHAを合成可能なポリメラーゼをコードする遺伝子は本発明に好適に用いることができる。配列同一性は90%以上であればより好ましく、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上である。
本発明において、bktB構造遺伝子の内在のプロモーターとは、bktB構造遺伝子の転写を誘発するDNAのことであり、宿主として用いるphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物中に内在する。
本発明におけるphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物とは、phbA遺伝子とbktB遺伝子を有する野生株、或いは該野生株に遺伝子操作した微生物であれば特に制限はなく、3HH単位含有PHAを合成可能な菌株であれば、それらを宿主として使用することができる。具体的にはラルストニア(Ralstonia)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、ワウテルシア(Wautersia)属、アエロモナス(Aeromonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属等の細菌類を使用することが好ましい。安全性及び生産性の観点から、より好ましくはラルストニア属、カプリアビダス属、ワウテルシア属に属する細菌であり、特に好ましくはCupriavidusnecatorである。C. necatorとしては、例えば、C. necator H16(ATCC17699)等が挙げられる。当該株はAmerican Type Culture Collection (ATCC)等から入手することができる。勿論、前記微生物を人工的に突然変異処理して得られる変異株、遺伝子工学的手法により変異処理された類縁菌株であっても、3HH単位含有PHAを合成可能な菌株であれば本発明に使用できる。
そして、3HH組成比を高めるためには、phbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物の染色体上に存在するphbA遺伝子が不活性化されていることが好ましい。phbA遺伝子がコードする酵素は、前記のようにアセチル−CoA2分子の縮合によって、PHAモノマーの一つである3−ヒドロキシブチリル−CoAの前駆体であるアセトアセチル−CoAを生成する反応を触媒する。一方、phbA遺伝子がコードする酵素はアセチル−CoAとブタノイル−CoAを縮合する反応を触媒しない。従って、phbA遺伝子の不活性化はポリマー中の3HB比率を低くするため、結果として3HH比率が向上すると考えられる。
phbA遺伝子を不活性化する方法は、結果としてphbAが不活性化されていればよく、例えば、1)phbA遺伝子の開始コドンと終止コドンの間に新たな終止コドンを導入する、2)リボソーム結合部位にリボソーム結合活性が低下する変異を導入する、3)phbA構造遺伝子内部に酵素の触媒活性を低下させる変異を導入する、4)RNA干渉を利用する、5)トランスポゾンを挿入する、6)phbA構造遺伝子の一部或いは全部を欠失させる等の方法が挙げられる。これらの方法は当業者に周知である。
また、PHAの生産性を高めつつ3HH組成比を高めるためには、bktB遺伝子がコードする酵素を増強することが好ましい。bktB遺伝子がコードする酵素は、アセチル−CoA2分子の縮合だけではなく、アセチル−CoAとブタノイル−CoAを縮合する反応も触媒する。アセチル−CoAとブタノイル−CoAが縮合すると、3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAの前駆体である3−ケトヘキサノイル−CoAが生じる。bktB遺伝子がコードする酵素の活性は、アセチル−CoA2分子の縮合反応に対してよりもアセチル−CoAとブタノイル−CoAの縮合反応に対しての方が高い。
bktB遺伝子がコードする酵素を増強する方法は特に限定しないが、発現ベクターによる高発現化や発現調節領域の改変による高発現化が可能である。好ましくはphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物の染色体上にある該遺伝子のプロモーターを改変して転写活性を上げること、例えば、phbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物に内在しているbktB遺伝子の上流に、さらにbktB遺伝子の転写を誘発するプロモーターが組み込まれていると、転写活性が上がることによって高発現化が可能である。
bktB遺伝子の転写を誘発するプロモーターは、bktB遺伝子の開始コドンの上流に挿入されることが好ましい。プロモーターは、bktB遺伝子の転写を誘発する限りはどのようなプロモーターでも本発明に用いうる。該プロモーターはphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物内在のプロモーター及び異種微生物のプロモーターの少なくとも何れかであることが好ましい。例えば、配列番号1に示される塩基配列からなるC.necatorのphbCABオペロンのプロモーターや、配列番号2に示される塩基配列からなるA. caviaeのphaPCJオペロンのプロモーターは、phbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物としてC.necatorを用いる場合に好適である。
ここで、プロモーターとして用いるDNAは、配列番号1および2に示した塩基配列と70%以上の配列同一性を有することが好ましく、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、更により好ましくは95%以上であり、最も好ましくは98%以上である。bktB遺伝子の転写を誘発する限りは本発明に用いることができる。
さらに、プロモーターとして用いるDNAとして、配列番号1および2に示した塩基配列と相補的な塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザン・ハイブリダイゼーション法等を行った時に、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAを用いることができる。bktB遺伝子の転写を誘発する限りは本発明に用いることができる。
前記ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning, A laboratory manual, second edition(ColdSpring Harbor Laboratory Press, 1989)等に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ハイブリダイズするDNAとは、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得できるDNAをあげることができる。好ましくは65℃で2倍濃度のSSC溶液で洗浄、より好ましくは65℃で0.2倍濃度のSSC溶液で洗浄、更に好ましくは65℃で0.1倍濃度のSSC溶液で洗浄することにより取得できるDNAである。
以上のようにハイブリダイゼーション条件を記載したが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
上記の条件にてハイブリダイズ可能なDNAとしては、配列番号1、或いは2に示されるDNAと、配列同一性が70%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のDNAをあげることができ、bktB遺伝子の転写を誘発する限り、上記プロモーターに包含される。
更に3HH組成を高める方法として、ccr遺伝子導入で3−ヒドロキシブチリル−CoA合成経路を導入することが有効である。ccr遺伝子がコードするクロトニル−CoA還元酵素は脂肪酸のβ酸化経路の中間体であるクロトニル−CoAを還元し、bktB遺伝子がコードする酵素の基質であるブチリル−CoAを生成する酵素である。この遺伝子を導入することにより、3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAはβ酸化経路からの直接的な供給のみでなく、β酸化経路から派生するアセチル−CoAからも供給される。
本発明に用いるccr遺伝子は、クロトニル−CoAを還元し3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAを生成する活性を有する酵素をコードする限り本発明に用いることができるが、配列番号3に示した塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列からなる遺伝子であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、更により好ましくは95%以上であり、最も好ましくは98%以上である。
さらに、配列番号3に示した塩基配列と相補的な塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザン・ハイブリダイゼーション法等を行った時に、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAも、クロトニル−CoAを還元しブチリル−CoAを生成する活性を有する酵素をコードする限り、本発明に用いることができる。
本発明に用いるポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子は、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする限り、本発明に用いることができるが、配列番号4に示した塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列からなる遺伝子であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、更により好ましくは95%以上であり、最も好ましくは98%以上である。
さらに、配列番号4に示した塩基配列と相補的な塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザン・ハイブリダイゼーション法等を行った時に、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAも、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする限り、本発明に用いることができる。
本発明において、3HH含有PHAの生産に用い得る炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース等の糖類や、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸等の飽和・不飽和脂肪酸などの脂肪酸類、あるいはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂肪酸誘導体、乳酸等の有機酸類、炭素数が10以上である飽和・不飽和脂肪酸を多く含む油脂、例えば植物油脂、中でも、ヤシ油、パーム油、パーム核油、パーム核油オレイン(以下、PKOOとも記載する)、パームダブルオレイン(以下、POOとも記載する)等が挙げられる。培養する際の炭素源の添加量としては、菌株が増殖し、ポリエステルを合成できる範囲であれば良い。
本発明において、宿主に用いるphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物の野生株が、3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAを殆どPHAへと変換させる事ができない場合、3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAをPHAへと変換する能力の高い酵素をコードする遺伝子を染色体上へ挿入するか、或いはプラスミドベクターなどを用いて導入する事で、細胞内にて合成された33−ヒドロキシヘキサノイル−CoAをPHAへと変換する効率を向上させる必要がある。例えば、宿主としてC.necatorを使用する場合、3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAをPHAへと変換する能力の高い酵素をコードする遺伝子として、A. caviaeのphaC遺伝子或いは配列番号4に示したその変異体遺伝子を導入することが好ましい。
本発明の3HH含有PHAを生産可能な微生物の作製方法は、特に限定するわけではないが、C. necatorを宿主として以下に例示する。A.caviae由来で3−ヒドロキシヘキサノイル−CoAをPHAへと変換する能力の高い酵素をコードするポリエステル合成酵素変異体遺伝子を染色体上に相同組換え法などで元のポリエステル合成酵素遺伝子と置換する。そして遺伝子破壊法を用いて、染色体上に存在するphbA遺伝子を不活性化するが、その態様はphbA遺伝子産物であるタンパク質の活性が低下或いは消失すればどのような方法でも良い。例えば、phbA遺伝子の内部に終止コドンを導入しても良いし、遺伝子上流のプロモーター及び/又はリボソーム結合部位を改変しても良い。更にbktB遺伝子の発現を増強するが、その態様はbktB遺伝子産物の活性が上がればどのような方法でも良い。例えば、より比活性の向上したbktB変異体遺伝子を用いてもよく、bktB遺伝子の開始コドンの上流に異種又は同種のプロモーター及びリボソーム結合部位を含むDNAを挿入してもよいし、bktB遺伝子の本来のプロモーター及び/又はリボソーム結合部位を異種又は同種のプロモーター及び/又はリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAに置換する方法でもよい。本来のプロモーターは染色体上からすべて失われていてもよいし、一部が欠失していてもよい。
前記染色体の改変において、染色体上に任意の遺伝子を部位特異的に挿入/置換する方法は当業者に周知であり、代表的な方法としては特に限定するわけではないが以下の方法が挙げられる。トランスポゾンと相同組換えの機構を利用した方法(Ohman等、J.Bacteriol., vol.162, p1068 (1985))や相同組換えの機構によって起こる部位特異的な組み込みと第二段階の相同組換えによる脱落を原理とした方法(Noti等、MethodsEnzymol., vol.154, p197 (1987))などがあり、また、Bacillus subtilis由来のsacB遺伝子を共存させて、第二段階の相同組換えによって遺伝子が脱落した微生物株をシュークロース添加培地耐性株として容易に単離する方法(Schweizer;Mol. Microbiol., vol.6, p1195 (1992)、Lenz等; J. Bacteriol., vol.176, p4385(1994))も利用することができるが、染色体上に任意遺伝子を挿入/置換出来ればその方法は特に制限されない。
例えばC. necatorのbktB遺伝子の開始コドン直前に、A. caviaeのphaC遺伝子のプロモーター及びリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを挿入する場合の方法を、より具体的に例示する。まず、置換フラグメントを作製する。置換フラグメントはbktB遺伝子の開始コドンの直前にA.caviaeのphaC遺伝子(以下、phaCとも記す)のプロモーター及びリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAがつながり、その後にbktB遺伝子がつながった形とする。すなわち、該遺伝子の開始コドンの直前にphaCのプロモーター及びリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入されたDNA断片である。phaCのプロモーター及びリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを挟んで存在する上流と下流は染色体上のDNAと相同組換えを起こすために必要な相同配列であって、一般的にはその長さが長いほど組換え頻度は高くなるが、相同組換えさえ起こればよく、その長さは任意に設定できる。
置換断片には、遺伝子置換の際に選択マーカーとなる遺伝子を付加することができる。選択マーカーとなる遺伝子は、例えばカナマイシン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、アンピシリン等の抗生物質の耐性遺伝子や各種の栄養要求性を相補する遺伝子等が使用できる。C.necatorを宿主とする場合にはカナマイシンの耐性遺伝子が好適である。さらにそれらに加えて、第二段階の相同組換えによって選択マーカー遺伝子を含む領域が脱落した微生物株の選択を容易にするための遺伝子が付加できる。そのような遺伝子としてはBacillussubtilis由来のsacB遺伝子が例示できる。この遺伝子が発現している微生物株はシュークロースを含む培地で生育できないことが知られており、シュークロースを含む培地での生育によりこの遺伝子を脱落によって失った株を選択することが容易となる。
これらで構成された置換フラグメントは、宿主微生物株中で複製しないベクターに接続することによって遺伝子置換用のプラスミドとして作製される。ラルストニア属やシュードモナス属等で利用できるこのようなベクタープラスミドには、例えばpUCベクター、pBluescriptベクター、pBR322ベクター、或いはそれらと同じ複製起点を持つベクター等が挙げられる。さらには、接合伝達を可能にするmob、oriTなどのDNA配列を共存させることも可能である。
このような構成で作製された遺伝子置換用のプラスミドDNAは、エレクトロポレーション法や接合伝達法など公知の方法によりC. necatorに導入することができ、相同組換えを行うことができる。
次に相同組換えによって染色体上に遺伝子置換用のプラスミドDNAが挿入された株の選択を行う。株の選択は、遺伝子置換用プラスミドDNAに共存させた選択用の遺伝子に基づいた方法によって行うことができる。カナマイシン耐性遺伝子を用いた場合には、カナマイシンを含む培地で生育してきた株から選ぶことができる。
次の段階で、第二の相同組換えによって染色体上から選択マーカー遺伝子を含む領域が脱落した株を選択する。挿入時に利用した選択用の遺伝子に基づいて、例えばカナマイシンを含む培地で生育できなくなった株を選択してもよいが、sacB遺伝子を遺伝子置換用プラスミドに共存させている場合は、シュークロースを含む培地で生育してくる株から容易に選択できる。このようにして得られた株が、所望するように遺伝子が置換された株かどうか確認するには、PCR法やサザン・ハイブリダイゼーション法、DNA塩基配列の決定など、公知の方法が使用できる。
以上のようにして、C. necatorの染色体上にあるbktB構造遺伝子の開始コドンの上流にA. caviaeのphaCのプロモーター及びリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株を取得することができる。
次に発現ベクターについて説明する。C. necatorで通常用いられる発現ベクターにはpJRD215由来の発現ベクター(例えば特許文献5)やpBBR122由来の発現ベクター(非特許文献7)がある。発現ベクターはその宿主細胞内において、非選択圧条件下でも安定に複製・維持されることが望ましい。従って国際公開公報WO/2007/049716号公報[0041]に記載のpCUP2等がより好適である。pCUP2にはC.necatorと近縁であるカプリアビダス・メタリデュランス(Cupriavidus metallidurans)CH34株が保有するメガプラスミドpMOL28由来のプラスミドの複製や安定維持に必要な領域が含まれている。
このpCUP2にA. caviae由来のphaC遺伝子発現ユニットとS. cinnamonensis由来のccr遺伝子発現ユニットを挿入したプラスミドがpCUP2−631ベクターである。pCUP2−631に更にA.caviae由来のフェイシンをコードするphaP遺伝子及び同由来のR−特異的エノイル−CoAヒドラターゼをコードするphaJ遺伝子を挿入しても良い。また、pCUP2−631に更にC.necator由来のフェイシンをコードするphbP遺伝子及びA. caviae由来のR−特異的エノイル−CoAヒドラターゼをコードするphaJ遺伝子を挿入しても良い。
前述した染色体上のphbA遺伝子を破壊し、且つbktB遺伝子発現を増強した株に、この発現ベクターを導入して得られる菌株としてKNK−631株等の菌株が例示できる。これらの株はいずれも安価で安全な炭素源を用いて、菌体のポリマー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保ったまま、3HH組成比12mol%以上のPHAを発酵生産することができる。
前述した方法で作製した微生物を用いて3HH含有PHAを製造する方法について説明する。その方法は特に限定するわけではないが、以下のようにして行う事ができる。本発明のPHAの生産においては、炭素源、窒素源、無機塩類、そのほかの有機栄養源を含む培地を用いて、前記微生物を培養することが好ましい。
炭素源としては、糖類、油脂類、脂肪酸類などが好ましく、より好ましくは植物油脂類であり、更に好ましくはパーム油及びパーム核油である。窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。無機塩類としては、例えばリン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
そのほかの有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。また、培養液中に、発現プラスミドに存在する薬剤耐性遺伝子に対応する抗生物質(カナマイシン等)を添加しても良い。
本発明において、菌体からの3HH含有PHAの回収は、特に限定はないが、例えば次のような方法により行うことができる。培養終了後、培養液から遠心分離機等で菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いて3HH含有PHAを抽出する。この3HH含有PHAを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えて3HH含有PHAを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させて3HH含有PHAを回収する。
得られた3HH含有PHAの重量平均分子量(Mw)や3HH組成(mol%)の分析は、例えば、ガスクロマトグラフ法や核磁気共鳴法等により行うことができる。
本発明で得られる柔軟性の高いPHAは、フィルムやシート、軟質系包装容器などに好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお一般的な遺伝子操作は、MolecularCloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))に記載されているように行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主等は、市場の供給者から購入し、その取扱説明書に従い使用することができる。なお、酵素は、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
(実施例1)
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
挿入用DNAとしてA. caviaeのphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。A.caviaeのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号6および配列番号7で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびEcoRI消化した。このDNA断片をPAc−5P+Ecoとした。
次に、特開2008-029218号公報[0038]に記載のKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン直前をDNA挿入部位と設定し、以下の手順で該遺伝子の開始コドンより上流側の塩基配列からなるDNAを作製した。
特開2008-029218号公報[0036]に記載のKNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号8および配列番号9で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより上流の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIおよびEcoRIで2酵素同時消化した。このDNA断片をPbktB−Bam+Ecoとした。
Ac−5P+EcoおよびPbktB−Bam+Ecoをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号8および配列番号7で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で50秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびBamHI消化した。このDNA断片をbPac−5P+Bamとした。
次に、該遺伝子の開始コドンより下流側の塩基配列からなるDNAを作製した。KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号10および配列番号11で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより下流側の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびClaI消化した。このDNA断片をORF−5P+Claとした。
bPac−5P+BamとORF−5P+Claをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号8および配列番号11で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で1分30秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで2酵素同時消化した。このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)(TOYOBO製)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをbAO/pBluとした。APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認した。
続いて、特開2008-029218号公報[0037]に記載のpSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、bAO/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株Pac−bktB/AS株の作製>
次に、KNK−005AS株を親株としてbAO/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB遺伝子の開始コドン直前にphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。遺伝子挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB−Kmで大腸菌S17−1株(ATCC47005)を形質転換した。得られた形質転換体をKNK−005AS株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水和物0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK−005AS株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択して2回目の組換えが生じた株を取得した。さらにPCRによる解析により所望の遺伝子挿入株を単離した。
この遺伝子挿入株をPac−bktB/AS株と命名し、DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン直前にphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例2) Pre−bktB/AS株の作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
挿入用DNAとしてC. necatorのphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNA(以下Preとする)を次のように作製した。KNK−005株のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号12および配列番号13で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、54℃で30秒、68℃で25秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化した。このDNA断片をPre−5Pとした。
次に、KNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン直前をDNA挿入部位と設定した。
bktB遺伝子の開始コドンより下流側の塩基配列からなるDNAとして実施例1で作製したORF−5P+Claを用いた。
re−5PおよびORF−5P−Claをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号12および配列番号11で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、54℃で30秒、68℃で50秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびClaI消化した。このDNA断片をPRO−5P+Claとした。
次に、該遺伝子の開始コドンより上流側の配列を作製した。KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号8および配列番号14で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより上流側の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、58℃で30秒、68℃で20秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびBamHI消化した。このDNA断片をPbktB−5P+Bamとした。
bktB−5P+BamとPRO−5P+Claをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号9および配列番号11で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で1分30秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで2酵素同時消化した。このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)を同制限酵素で消化した部位に、サブクローニングした。得られたベクターをbRO/pBluとした。塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認した。
続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、bRO/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドbRO/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株Pre−bktB/AS株の作製>
実施例1の遺伝子置換株の作製方法と同様にして、KNK−005AS株を親株としてbRO/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB遺伝子の開始コドン直前にphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。このDNA挿入株をPre−bktB/AS株と命名した。塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン直前にphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例3) BAB3/AS株の作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
DNA挿入位置をKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン上流側91塩基目と92塩基目の間、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止コドン直後と設定した。
挿入用DNAとして、A. caviaeのphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。
A. caviaeのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15および配列番号16で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をPAc−Mun/3とした。
また以下の手順で挿入部位より上流側の塩基配列からなるDNAを作製した。
KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号17および配列番号18で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上流側ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunIで消化した。このDNA断片をmiaB−Mun/3とした。
Ac−Mun/3およびmiaB−Mun/3をライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号17および配列番号16で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した。このDNA断片をBAB3−Bam+Claとした。
このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをBAB3/pBluとした。塩基配列を決定し、所望の塩基配列であることを確認した。
続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、BAB3/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB3/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株BAB3/AS株の作製>
実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様にして、KNK−005AS株を親株としてBAB3/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB構造遺伝子の開始コドンの上流側にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。このDNA挿入株をBAB3/AS株と命名した。塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン上流側91塩基目と92塩基目の間にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例4) BAB4/AS株の作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
DNA挿入位置をKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン上流側65塩基目と66塩基目の間、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止コドンから26塩基下流と設定した。
挿入用DNAとして、A. caviaeのphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。
A. caviaeのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15および配列番号19で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をPAc−Mun/4とした。
また以下の手順で挿入部位より上流側の塩基配列からなるDNAを作製した。
KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号17および配列番号20で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上流側ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunIで消化した。このDNA断片をmiaB−Mun/4とした。
Ac−Mun/4およびmiaB−Mun/4をライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号17および配列番号19で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した。このDNA断片をBAB4−Bam+Claとした。
このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをBAB4/pBluとした。塩基配列を決定し、所望の塩基配列であることを確認した。
続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、BAB4/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB4/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株BAB4/AS株の作製>
実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様にして、KNK−005AS株を親株としてBAB4/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB構造遺伝子の開始コドンの上流側にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。このDNA挿入株をBAB4/AS株と命名した。塩基配列を決定し、bktB構造遺伝子の開始コドン上流側65塩基目と66塩基目の間にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例5) BAB5/AS株の作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
DNA挿入位置をKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の間、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止コドンから33塩基下流と設定した。
挿入用DNAとして、A. caviaeのphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。
A. caviaeのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15および配列番号21で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をPAc−Mun/5とした。
また以下の手順で挿入部位より上流側の塩基配列からなるDNAを作製した。
KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号17および配列番号22で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上流側ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunIで消化した。このDNA断片をmiaB−Mun/5とした。
Ac−Mun/5およびmiaB−Mun/5をライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号17および配列番号21で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した。このDNA断片をBAB5−Bam+Claとした。
このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをBAB5/pBluとした。塩基配列を決定し、所望の塩基配列からなるDNAであることを確認した。
続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、BAB5/pBluを同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB5/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株BAB5/AS株の作製>
実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様にして、KNK−005AS株を親株としてBAB5/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB遺伝子の開始コドンの上流側にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。このDNA挿入株をBAB5/AS株と命名した。塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の間にphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例6) BRB5/AS株の作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
DNA挿入位置をKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の間、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止コドンから33塩基下流と設定した。
挿入用DNAとしてC. necatorのphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。
C. necatorのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号23および配列番号24で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunIで消化した。このDNA断片をPRe−Mun/5とした。
Re−Mun/5および実施例5で調製したmiaB−Mun/5をライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号17および配列番号24で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した。このDNA断片をBRB5−Bam+Claとした。
このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをBRB5/pBluとした。塩基配列を決定し、所望の塩基配列からなるDNAであることを確認した。
続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、BRB5/pBluを同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBRB5/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株BRB5/AS株の作製>
実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様にして、KNK−005AS株を親株としてBRB5/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB遺伝子の開始コドンの上流側にphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。このDNA挿入株をBRB5/AS株と命名した。塩基配列を決定し、bktB構造遺伝子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の間にphbCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
(実施例7)
<ccr遺伝子のクローニング及び発現ユニット構築>
クロトニル−CoAを、3HHモノマーの前駆体であるブチリル−CoAに変換する酵素をコードするccr遺伝子を、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomycescinnamonensis)Okami株(DSM 1042)の染色体DNAからクローニングした。配列番号25及び配列番号26記載のDNAをプライマーとしPCRを行った。その条件は(1)98℃で2分、(2)94℃で10秒、55℃で20秒、68℃で90秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで増幅した断片を精製後、制限酵素BamHI及びAflIIで切断した。EE32d13断片(J.Bacteriol., 179, 4821 (1997))を、pUC19ベクターのEcoRI部位にサブクローニングし、このプラスミドをBglIIとAflIIで切断し、BamHI及びAflII断片としたccr遺伝子と断片を置換することによってccr発現ユニットを構築した。
(実施例8)
<phaC遺伝子のクローニング及び発現ユニット調製>
配列番号4を含むphaC発現ユニットをSpeI断片として調製した。特開2007-228894号公報[0031]に記載のHG::PRe−N149S/D171G−T/pBluを鋳型とし、配列番号27と配列番号28に示すプライマーとしてPCRを行った。その条件は(1)98℃で2分、(2)94℃で10秒、55℃で30秒、68℃で2分を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで増幅した断片を精製後、制限酵素SpeIで切断して発現ユニットを調製した。
(実施例9)
<発現ベクターの構築>
発現ベクターpCUP2−631は以下のようにして構築した。
C. necatorにおける発現ベクター構築用のプラスミドベクターとしては、国際公開公報WO/2007/049716号公報[0041]に記載のpCUP2を用いた。まず実施例7で構築したccr遺伝子発現ユニットをEcoRI処理により切り出し、この断片をMunIで切断したpCUP2と連結した。次に実施例8で作製したphaC発現ユニットをSpeI断片として調製し、ccr遺伝子発現ユニットを含むpCUP2のSpeI部位に挿入してpCUP2−631ベクターを構築した。
(実施例10)形質転換細胞の作製
pCUP2−631ベクターの種々の細胞への導入は以下のように電気導入によって行った。遺伝子導入装置はBiorad社製のジーンパルサーを用い、キュベットは同じくBiorad社製のgap0.2cmを用いた。キュベットに、コンピテント細胞400μlと発現ベクター20μlを注入してパルス装置にセットし、静電容量25μF、電圧1.5kV、抵抗値800Ωの条件で電気パルスをかけた。パルス後、キュベット内の菌液をNutrientBroth培地(DIFCO社製)で30℃、3時間振とう培養し、選択プレート(NutrientAgar培地(DIFCO社製)、カナマイシン100mg/L)で、30℃にて2日間培養して、生育してきた形質転換体を取得した。
(実施例11)
作製した種々の形質転換体の培養を行った。前培地の組成は1%(w/v)Meat−extract、1%(w/v)Bacto−Trypton、0.2%(w/v)Yeast−extract、0.9%(w/v)NaHPO・12HO、および、0.15%(w/v)KHPOで、pH6.7に調整した。
ポリエステル生産培地の組成は1.1%(w/v)NaHPO・12HO、0.19%(w/v)KHPO、0.6%(w/v)(NHSO、0.1%(w/v)MgSO・7HO、0.5%(v/v)微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6%(w/v)FeCl・6HO、1%(w/v)CaCl・2HO、0.02%(w/v)CoCl・6HO、0.016%(w/v)CuSO・5HO、0.012%(w/v)NiCl・6HO、0.01%(w/v)CrCl・6HOを溶かしたもの。)とした。炭素源としてPKOO(パーム核油オレイン画分)を流加する流加培養にて行った。
それぞれの形質転換体のグリセロールストックを前培地に接種して20時間培養し、2.5Lのポリエステル生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MD−500型)に10%(v/v)接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度420rpm、通気量0.6vvmとし、pHは6.6から6.8の間でコントロールした。コントロールには14%のアンモニア水を使用した。培養は65時間まで行った。培養後遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄後、凍結乾燥し、3HH組成比率を分析した。
生産されたポリエステルの3HH組成分析は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥ポリエステルの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、ポリエステル分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRABOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100から200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200から290℃まで30℃/分の速度で昇温した。上記条件にて分析した結果、化学式(1)に示すような共重合体ポリエステルP(3HB−co−3HH)であった。乾燥菌体重量、ポリマー含量、3HH比率を表1に示した。
Figure 0005670728
Figure 0005670728
(式中、m、nは1以上の整数を表す)

Claims (9)

  1. 次の(1)から(4)の要件を備えたCupriavidus necator由来である微生物;
    (1)phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制されていること、
    (2)bktB遺伝子の発現が強化されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が向上されていること、
    (3)配列番号4に示される塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする遺伝子、または
    配列番号4に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする遺伝子が導入され、
    前記ポリヒドロキシアルカノエートが3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸を構成単位に含むポリエステルであること、および
    (4)クロトニル−CoA還元酵素遺伝子が導入されていること。
  2. 次の(1)から(6)の少なくとも一つにより、phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制されている、請求項1記載の微生物;
    (1)phbA遺伝子の開始コドンと終止コドンの間に、新たな終止コドンが導入されている、
    (2)phbA遺伝子のリボソーム結合部位に、リボソーム結合活性が低下する変異を導入している、
    (3)phbA遺伝子内部に、phbA遺伝子がコードする酵素の触媒活性が低下する変異を導入している、
    (4)RNA干渉を利用する、
    (5)phbA遺伝子内部に、トランスポゾンを挿入している、
    (6)phbA遺伝子の一部或いは全部を欠失している。
  3. bktB遺伝子の上流に、新たにbktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するプロモーターが挿入されることにより、bktB遺伝子の発現が強化されている、請求項1記載の微生物。
  4. 新たに挿入されるプロモーターが、次の(1)または(2)のDNAである、請求項3記載の微生物;
    (1)bktB遺伝子の上流に、配列番号1または2に示される塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA、
    (2)bktB遺伝子の上流に、配列番号1または2に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA。
  5. 次の(1)または(2)のクロトニル−CoA還元酵素遺伝子が導入されている、請求項1記載の微生物;
    (1)配列番号3に示される塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、クロトニル−CoAを還元し、ブチリル−CoAを生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子、
    (2)配列番号3に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、クロトニル−CoAを還元し、ブチリル−CoAを生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子。
  6. 遺伝子組換えにより作製した請求項1〜5の何れかに記載の微生物。
  7. 植物油脂を炭素源として乾燥菌体量150g/L以上でポリマー含量70%以上、且つ3−ヒドロキシヘキサン酸組成比12mol%以上のポリヒドロキシアルカノエートを生産可能な、請求項1〜6の何れかに記載の微生物。
  8. bktB遺伝子の上流に、次の(1)または(2)のDNAからなるプロモーターが挿入されることにより、bktB遺伝子の発現が強化されている、請求項7記載の微生物;
    (1)bktB遺伝子の上流に、配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA、
    (2)bktB遺伝子の上流に、配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の微生物を、植物油脂を炭素源として培養することを特徴とする3−ヒドロキシヘキサン酸単位含有ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
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