JPWO2011102450A1 - 化合物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

化合物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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佳美 谷本
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Abstract

導電性薄膜(8)の透過率が高く、コンタクト抵抗が低く、かつ導電性薄膜(8)のシート抵抗が低いという特徴を有する化合物半導体発光素子を製造する。本発明の化合物半導体発光素子の製造方法は、基板(1)上に、III族窒化物半導体からなり発光層(3)を含む半導体層を形成するステップと、該半導体層の基板(1)と接する側とは反対側に、導電性薄膜(8)を形成するステップと、導電性薄膜(8)に対し酸素を含む雰囲気でファーストアニールを行なうステップと、導電性薄膜(8)に対し酸素を含まない雰囲気でセカンドアニールを行なうステップと、ファーストアニールを行なうステップと、セカンドアニールを行なうステップとの間に、導電性薄膜(8)を大気に曝すステップを含むことを特徴とする。

Description

本発明は、化合物半導体発光素子の製造方法に関し、特に透光性、シート抵抗、およびコンタクト抵抗の性能を高めた導電性薄膜を備えた化合物半導体発光素子の製造方法に関する。
照明器具を種々の照明用途に展開するためには、赤・緑・青の光の3原色を発光させる技術が不可欠である。その点、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、青色LEDの完成が遅れていたため、3原色のうちの青色が欠けており、各種の用途に展開できていなかった。
しかし、1990年代に窒化物系の青色LEDが発明されてから、LEDを用いた製品は、信号だけに留まることなく、液晶モニターのバックライト、さらに液晶テレビのバックライト、家庭用等の各種照明用途に展開されている。
近年、LEDバックライトを搭載した液晶テレビの価格が下落しており、急速に普及し始めている。また、LEDを用いた照明は、従来の照明よりも低消費電力・省スペース・水銀フリーのため環境によい等のメリットがあるため、2009年夏に従来よりもはるかに安い価格でLEDを用いた照明が発売され、一気に普及が進んでいる。
ところで、照明および液晶テレビのバックライトには、白色光が用いられる。白色光は、一般に青色LEDと、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)黄色蛍光体との組合せ、または青色LEDと緑色蛍光体と赤色蛍光体との組合せにより実現される。すなわち白色光を実現する場合はいずれの組合せにせよ青色LEDが必要となる。このため、高輝度の青色LEDを安く・大量に製造する方法が必要とされている。
一般に、青色、青緑色等の短波長LEDやレーザダイオード(LD:Laser Diode)の発光層には、窒化ガリウム(GaN)や窒化アルミニウム(AlN)や窒化インジウム(InN)およびそれらの混晶などが用いられ、さらにV族元素として窒素を含有するIII−V族化合物半導体が用いられる。従来の青色LEDの一例を以下に説明する。
図10は、従来のダブルヘテロ接合型の青色LEDの一例を示す模式的な断面図である。従来のダブルヘテロ接合型青色発光素子は、図10に示されるように、サファイアからなる基板101上に、Siを添加したn形GaN層からなる下部クラッド層102;InGaN層からなる発光層103;Mgを添加したp形AlGaNからなる上部クラッド層104;およびコンタクト層105をこの順に積層することにより形成される。
そして、コンタクト層105上には導電性薄膜108が形成されており、当該導電性薄膜108上の一部にはp型電極106が設けられる。一方、下部クラッド層102上の一部にはn型電極107が設けられる。p型電極106から電流を注入すると、電流が導電性薄膜108の面方向に拡散される。そして、p型電極106から注入した電流が上部クラッド層104、および発光層103に広面積に注入されて発光層103が発光する。
発光層103で上方へ発光した光は、上部クラッド層104、コンタクト層105、および導電性薄膜108を透過して外部に取り出される。導電性薄膜108としては、たとえばITOのような高透光性の材料を用いることにより、発光層103が発光した光が導電性薄膜108を透過するときの光の損失を低減することができる。また、ITOからなる導電性薄膜108は、コンタクト層105に比して低抵抗であるため、発光を得るための動作電流の広範囲への拡散が促進され、発光面積の拡張がもたらされることにより、発光効率を向上させることができる。
一方、ITOからなる導電性薄膜108は、シート抵抗が20Ω/□以上60Ω/□以下という比較的高い値を示し、しかもその部位によってシート抵抗の高いところと低いところとのバラつきがある。このため、化合物半導体発光素子の駆動電圧Vfが高くなったり、発光層の発光が不均一になったりするという問題があった。
これらの諸問題を一掃するためには、導電性薄膜108のシート抵抗を20Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下とするのが理想である。導電性薄膜108のシート抵抗を低減するためには、導電性薄膜108に結晶化した酸素欠損状態を作ることにより、導電性薄膜108のキャリア密度を上昇させる手法が考えられる。
しかしながら、キャリア密度の上昇に伴い、導電性薄膜108の仕事関数が低下し、導電性薄膜108とコンタクト層との界面の導電性薄膜側のポテンシャルが上昇する。これにより導電性薄膜からコンタクト層にホールが注入されにくくなり、結果として導電性薄膜とコンタクト層とのコンタクト抵抗が高くなるという問題があった。
また、導電性薄膜に対しアニールを行なうことにより、導電性薄膜の結晶性を高めることをもって、シート抵抗を低減させるという手法も考えられる。しかし、アニールにより導電性薄膜とコンタクト層との界面の結合状態が変化し、Ga−O、N−O、Hの化合物等の安定な結合状態が損なわれて、やはりコンタクト抵抗が高くなる。
そこで、特開2007−287786号公報(特許文献1)では、ファーストアニールとセカンドアニールとの2ステップのアニールを行なうことにより、コンタクト抵抗を低く保ちつつ、導電性薄膜のシート抵抗を低下させる試みがなされている。特許文献1のファーストアニールは、酸素を含む雰囲気で250℃以上600℃以下でアニールを行なうことにより、導電性薄膜108のコンタクト抵抗を低下させる。そして、続くセカンドアニールでは、酸素を含まない雰囲気で200℃以上500℃以下でアニールを行なうことにより、導電性薄膜108のシート抵抗を低減させる。
特開2007−287786号公報
しかしながら、上記のように2段階に分けてアニールを行なうと、シート抵抗を下げることはできるものの、導電性薄膜とコンタクト層とのコンタクト抵抗が上昇する傾向にあった。コンタクト抵抗が上昇すると、化合物半導体発光素子の駆動電圧が上昇し、所期の目的にも反する。
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電性薄膜の透過率が高く、導電性薄膜とコンタクト層とのコンタクト抵抗が低く、かつ導電性薄膜のシート抵抗が低い化合物半導体発光素子の製造方法を提供することである。
本発明の化合物半導体発光素子の製造方法は、基板上に、III族窒化物半導体からなり発光層を含む半導体層を形成するステップと、該半導体層の基板と接する側とは反対側に、導電性薄膜を形成するステップと、導電性薄膜に対し酸素を含む雰囲気でファーストアニールを行なうステップと、導電性薄膜に対し酸素を含まない雰囲気でセカンドアニールを行なうステップと、ファーストアニールを行なうステップと、セカンドアニールを行なうステップとの間に、導電性薄膜を大気に曝すステップを含むことを特徴とする。
そして、セカンドアニールは、窒素雰囲気または真空雰囲気で行なうことが好ましい。ファーストアニールは、600℃以上700℃以下の温度で行なうことが好ましい。セカンドアニールは、ファーストアニールの温度以下の温度で行なうことが好ましい。
導電性薄膜は、ITOからなることが好ましく、300nm以上400nm以下の膜厚であることが好ましい。
導電性薄膜に導通する第1の電極を形成するステップと、基板または発光層を挟んで導電性薄膜形成部に対向する側の半導体層の露出面上に第2の電極を形成するステップとを含むことが好ましい。
セカンドアニールを行なった後に、さらにサードアニールを行なうステップを含むことが好ましい。導電性薄膜は、0.05Ω・cm2以下のコンタクト抵抗であることが好ましい。
本発明の製造方法により作製される化合物半導体発光素子は、導電性薄膜の透過率が高く、コンタクト抵抗が低く、かつ導電性薄膜のシート抵抗が低い。これにより化合物半導体発光素子の駆動電圧を低くするとともに、光取出し効率を高めることができる。
(a)は、本発明の製造方法により製造された化合物半導体発光素子の一例を示す模式的な斜視図であり、(b)は、(a)で示される化合物半導体発光素子をA−A’の面で切断したときの断面図である。 導電性薄膜の膜厚とシート抵抗との関係を示すグラフである。 導電性薄膜のコンタクト抵抗と、化合物半導体発光素子の駆動電圧との関係を示すグラフである。 セカンドアニールを行なうときの雰囲気および温度を変えたときの導電性薄膜のシート抵抗の変化を示したグラフである。 図2のグラフに対し、500℃の真空雰囲気でセカンドアニールを行なったときの導電性薄膜のシート抵抗のプロットを加えたグラフである。 真空雰囲気または窒素雰囲気でセカンドアニールを行なったときの導電性薄膜のコンタクト層に対するコンタクト抵抗と、導電性薄膜のシート抵抗とをプロットしたグラフである。 セカンドアニール条件を変更したときの400nm以上500nm以下の波長の光における導電性薄膜の透過率(%)を示すグラフである。 (a)は、各アニールを行なった後の導電性薄膜のシート抵抗の変化を示したグラフであり、(b)は、各アニールを行なった後の導電性薄膜の450nmの波長の光の透過率(%)の変化を示したグラフである。 実施例1および実施例3の化合物半導体発光素子の光出力および駆動電圧を示したグラフである。 従来のダブルヘテロ接合型の青色LEDの一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の製造方法により作製された化合物半導体発光素子を説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<化合物半導体発光素子>
図1(a)は、本発明の製造方法により製造された化合物半導体発光素子の一例を示す模式的な斜視図であり、(b)は、(a)で示される化合物半導体発光素子をA−A’の面で切断したときの断面図である。本発明の製造方法により作製される化合物半導体発光素子は、図1に示されるように、基板1上に、下部クラッド層2、発光層3、上部クラッド層4、およびコンタクト層5をこの順に積層することにより形成される。そして、コンタクト層5上には導電性薄膜8が形成されており、この導電性薄膜8上に第1の電極6が設けられる。一方、下部クラッド層2上には第2の電極7が設けられる。
ここで、下部クラッド層2、発光層3、および上部クラッド層4によりダブルヘテロ接合が形成されている。また、発光層3は、アンドープ、n型、p型、およびn型とp型の両方の不純物を含んだものが必要に応じて選択される。これらの半導体層の任意の界面がpn接合面となる。
<下部クラッド層>
クラッド層とは、ダブルへテロ構造の技術的意義に照らせば、発光層のバンドギャップよりもバンドギャップが大きく、そのギャップ差に基づく電位障壁によって電子および正孔をせき止める機能を有する半導体層を意味するものである。本発明において定義する下部クラッド層2は、基板1と発光層3との間の緩衝層としての役割や、基板1が絶縁体の場合のn型電極とのコンタクト層としての役割を果たす各層を含むものとする。このような下部クラッド層2は、n型不純物がドープされた窒化物半導体のみではなく、アンドープ窒化物半導体を含む複数の層であってもよい。このような下部クラッド層2としては、たとえば低温バッファ層、AlNバッファ層、アンドープ層、n型ドーピング層、n型コンタクト層等を用いることができる。
このような下部クラッド層2は、クラッド層として機能する層が単層であってもよいし、多層であってもよいが、単層の場合には、GaN、AlGaN、InAlGaN、またはInGaNを用いることができ、これにSiを含んでいてもよいし、アンドープ層を含んでいてもよい。また、下部クラッド層2が複数層の場合、InGaN/GaN、InGaN/AlGaN、AlGaN/GaN、InGaN/InGaNのような積層構造であってもよいし、複数の層が繰り返し積層した多層構造を形成していてもよい。さらに、これらの多層構造は超格子構造を形成していてもよい。
<発光層>
本発明において発光層3は、GaNからなる障壁層と、Inを含む窒化物半導体からなる井戸層とを交互に積層させたものであることが好ましい。井戸層の厚さは、井戸層が発光する波長により最適な層厚は異なるが、2〜20nmの範囲であることが好ましい。このような発光層3の構造は、量子構造に限られるものではなく、単一井戸構造、多重井戸構造、多重量子井戸構造等のいずれであってもよい。
発光層3が複数の井戸層を含む場合、少なくとも1つの井戸層は、発光層として機能するものである。このような井戸層は、InpGa1-pN(0<p<1)からなることが好ましい。
<上部クラッド層>
上述したように、クラッド層とは、ダブルへテロ構造の技術的意義に照らせば、発光層のバンドギャップよりもバンドギャップが大きく、そのギャップ差に基づく電位障壁によって電子及び正孔をせき止める機能を有する半導体層を意味するものである。本発明において定義する上部クラッド層4は、蒸発防止層、キャリアブロック層、または電流拡散層として働くp型層を含むものとする。これらの各層は、単層または複数層のいずれであってもよく、GaN、AlGaN、InAlGaN、またはInGaNに対しp型不純物をドープしたものを用いることができる他、アンドープのものを用いてもよい。上部クラッド層4が複数層の場合は、InGaN/GaN、InGaN/AlGaN、AlGaN/GaN、InGaN/InGaNのような積層構造であってもよいし、複数の層が繰り返し積層した多層構造を形成していてもよい。さらに、これらの多層構造は超格子構造を形成していてもよい。
このような上部クラッド層4の厚みは、500nm以下であることが好ましい。上部クラッド層4の厚みが500nmを超えると、発光層3が高い温度で長時間にわたって熱に曝されることになり、発光層3の熱劣化による非発光領域が増大する。なお、発光層の上部には、発光層中に含まれるInの蒸発を防止する目的で、蒸発防止層を形成することが望ましい。
<コンタクト層>
本発明において、コンタクト層5は、導電性薄膜8と半導体層との接触抵抗を低減するために設けられるものである。このようなコンタクト層5は、上部クラッド層4よりも高濃度にp型不純物をドープした窒化物半導体であることが好ましい。なお、コンタクト層5を設けることなく、上部クラッド層4上に導電性薄膜8を形成してもよい。この場合、上部クラッド層4の導電性薄膜8側表面近傍のp型不純物の濃度を高濃度にすることが好ましい。
<第1の電極および第2の電極>
本発明において、第1の電極6および第2の電極7は、外部回路と電気的に結線するワイヤーボンドの台座となるものである。第1の電極6および第2の電極7は、従来公知の構造を採用することができ、たとえばTi、Al、Au等を用いることができる。また、第1の電極6および第2の電極7は、単層構造に限られるものではなく、多層構造とすることもできる。
そして、第1の電極6および第2の電極7が多層構造からなる場合には、その最上層には、層厚が500nm程度のAuからなる層を形成することが好ましい。これにより化合物半導体発光素子をパッケージに実装するときに、外部回路とのワイヤーボンド安定性を確保することができる。
ところで、発光層3により発せられる光のうちの一部は、発光層3の上部クラッド層4側の方向に発せられる。したがって、第1の電極6は、発光層3から上部クラッド層4側への光取り出し方向に配置された電極となる。
なお、図1(a)および(b)では、基板1が絶縁性の材料からなる場合の第2の電極7の配置を例示している。すなわち、絶縁性の材料からなる基板1を用いる場合、図1(a)および(b)に示されるように、第2の電極7は、下部クラッド層2上に設けられる。一方、基板1が導電性の材料からなる場合、第2の電極7は、基板1の下部クラッド層2とは反対側の面に形成される。
<導電性薄膜>
本発明において、導電性薄膜8は、発光層からの光を透過させ、半導体層とのコンタクトを取るとともに、接触する半導体層の表面全体に電流を拡散させることにより、その下方にある発光層3の発光面積を拡張するために設けられるものである。導電性薄膜8としては、コンタクト層5よりも低抵抗の材料を用いることが好ましい。これにより第1の電極6に注入された電流を導電性薄膜8の面方向に拡散させることができる。このような導電性薄膜8を構成する材料としては、たとえばITO、IZOなどを挙げることができるが、ITOからなることが好ましい。ITOは、透光性およびコンタクト抵抗の観点から特に優れるからである。
図2は、導電性薄膜の膜厚とシート抵抗との関係を示すグラフである。そして、図2の縦軸は導電性薄膜のシート抵抗(Ω/□)であり、横軸は導電性薄膜の膜厚(nm)である。図2に示されるように、導電性薄膜8の膜厚とシート抵抗とは反比例の関係にあり、導電性薄膜8の膜厚が小さいほど、そのシート抵抗は高くなる傾向にある。なお、本発明において、シート抵抗は、4端子法を用いて測定された値を採用する。
従来の導電性薄膜の膜厚は、100nm以上200nm以下であることから、導電性薄膜のシート抵抗を10Ω/□以下に低減することができなかった。そこで、本発明では、導電性薄膜の膜厚を300nm以上400nm以下とすることが好ましいことを見い出した。このような膜厚とすることにより、導電性薄膜のシート抵抗を低減することができる。
図3は、導電性薄膜のコンタクト抵抗と、化合物半導体発光素子の駆動電圧との関係を示すグラフである。図3に示されるように、コンタクト抵抗が0.1Ω・cm2よりも大きくなると、化合物半導体発光素子の駆動電圧Vfが一次関数的に増加する。
これに対し導電性薄膜のコンタクト抵抗が0.1Ω・cm2未満であれば、化合物半導体発光素子の駆動電圧Vfに大差はない。特に導電性薄膜のコンタクト抵抗が0.05Ω・cm2以下であれば、そのいずれのコンタクト抵抗の値であっても、化合物半導体発光素子の駆動電圧Vfは実質的に同一とみなせる程度の微差である。
以上の結果から、化合物半導体発光素子の駆動電圧Vfを低減するためには、導電性薄膜のコンタクト抵抗は、0.05Ω・cm2以下であることが好ましいことが導かれる。なお、導電性薄膜とコンタクト層とのコンタクト抵抗は、導電性薄膜とコンタクト層との界面を円形TLM(transmission line model)法により測定された値を採用する。以下、本発明の化合物半導体発光素子の製造方法を説明する。
<化合物半導体発光素子の製造方法>
本発明の化合物半導体発光素子の製造方法は、基板1上に、III族窒化物半導体からなり発光層3を含む半導体層を形成するステップと、該半導体層の基板1と接する側とは反対側に、導電性薄膜8を形成するステップと、該導電性薄膜8に対し酸素を含む雰囲気でファーストアニールを行なうステップと、該導電性薄膜8に対し酸素を含まない雰囲気でセカンドアニールを行なうステップと、ファーストアニールを行なうステップと、セカンドアニールを行なうステップとの間に、導電性薄膜8を大気に曝すステップを含むことを特徴とする。
従来の製造方法は、導電性薄膜を形成した後に、炉内に窒素ガスおよび酸素ガスを導入してファーストアニールを行なう。そして、ウエハを炉内に保持したまま、真空パージにより炉内のガスを窒素ガスに入れ替えた上で、セカンドアニールを行なう。そして、ファーストアニールの温度およびセカンドアニールの温度を調整することにより、コンタクト抵抗を低減していた。
しかし、導電性薄膜8のシート抵抗を10Ω/□以下にすることはできなかった。このため、発光層3を均一に発光させることはできず、また化合物半導体発光素子の駆動電圧も高いものであった。
本発明は、このような従来の問題を解消し得るものであり、ファーストアニールとセカンドアニールとの間に、導電性薄膜8を大気に曝すステップを含むことにより、導電性薄膜8のコンタクト抵抗および透過率を維持しつつ、導電性薄膜8のシート抵抗を10Ω/□以下に低減することができる。これにより化合物半導体発光素子の駆動電圧を低減するとともに、光取り出し効率を向上させることができる。以下、本発明の製造方法の各ステップを説明する。
<半導体層を形成するステップ>
本発明において、半導体層を形成するステップは、まず、基板1の温度をたとえば1050℃に調整し、窒素と水素とを含むキャリアガスを用いて、III族原料ガス、Siを含むドーピングガス、およびアンモニアガスをMOCVD装置内に導入することにより、基板1上に下部クラッド層2を結晶成長させる。
ここで、下部クラッド層2を形成するために装置内に導入されるIII族原料ガスとしては、たとえばTMG((CH33Ga:トリメチルガリウム)、TEG((C253Ga:トリエチルガリウム)、TMA((CH33Al:トリメチルアルミニウム)、TEA((C253Al:トリエチルアルミニウム)、TMI((CH33In:トリメチルインジウム)、またはTEI((C253In:トリエチルインジウム)等を利用することができる。また、Siを含むドーピングガスとしては、たとえばSiH4(シラン)ガス等を用いることができる。
次に、下部クラッド層2の形成に用いたMOCVD装置により、下部クラッド層2上にInを含む井戸層と障壁層とを交互に形成することにより発光層3を形成する。
そして、発光層3を形成した後に発光層3上に上部クラッド層4を形成する。上部クラッド層4の形成は、上部クラッド層4を結晶成長するのに適した基板1の温度にした上で、窒素および水素を含むキャリアガスと、III族原料ガスと、Mgを含むドーピングガスと、アンモニアガスとをMOCVD装置内に導入することにより、発光層3上に上部クラッド層4を結晶成長させる。さらに、上部クラッド層4の上には、コンタクト層5を形成する。
ここで、上部クラッド層4を結晶成長するのに適した基板の温度は、上部クラッド層4がGaNまたはAlGaNからなる場合、950℃以上1300℃以下であることが好ましく、1000℃以上1150℃以下であることがより好ましい。このような温度で上部クラッド層4を結晶成長させることにより、上部クラッド層4の結晶性を良好にすることができる。
ここで、Mgを含むドーピングガスとしては、たとえばCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)または(EtCp)2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)等を利用することができる。なお、(EtCp)2Mgは常温常圧下で液体なので、その条件下で固体であるCp2Mgに比べて、MOCVD装置内への導入量を変化させたときの応答性が良好であって、その蒸気圧を一定に保ちやすい。
なお、上部クラッド層4の形成に用いられるIII族原料ガスおよびアンモニアガスとしては、下部クラッド層2および発光層3と同様の種類のガスを用いることができる。上記のようにして下部クラッド層2と、発光層3と、上部クラッド層4と、コンタクト層5とからなる半導体層を形成する。
<導電性薄膜を形成するステップ>
次に、上記で形成した半導体層に対し、電子線蒸着法、またはスパッタ蒸着法を用いることにより、コンタクト層5上に形成される。なお、上部クラッド層4上に導電性薄膜8を直接形成してもよい。スパッタ蒸着法により導電性薄膜8を形成する場合、スパッタリング炉内にスパッタガスを導入してスパッタ電力を印加することにより、導電性薄膜8を成膜する。
<ファーストアニールを行なうステップ>
上記のようにして形成された導電性薄膜8に対し、酸素を含む雰囲気でファーストアニールを行なう。このように酸素を含む雰囲気中でアニールを行なうことにより、導電性薄膜8を構成する材料を結晶化させることができ、導電性薄膜8の透過率を向上させるとともに、コンタクト層5とのコンタクト抵抗を低下させることができる。一方、酸素を含む雰囲気でアニールを行なうため、導電性薄膜8に十分な酸素欠陥が生成せず、導電性薄膜8のシート抵抗を低下させることができる。
ここで、ファーストアニールは、600℃以上700℃以下の温度で行なうことが好ましい。これにより導電性薄膜8のシート抵抗を低減させる効果を高めることができる。また、ファーストアニールは、3分以上30分以下行なうことが好ましく、より好ましくは20分以下で行なう。
<導電性薄膜を大気に曝すステップ>
本発明は、ファーストアニールの後に、導電性薄膜8を大気に曝すステップを含むことを最大の特徴とする。ここでの大気に曝すステップは、ファーストアニール終了後に100℃以下の温度に下げた上で、通常の室内雰囲気に導電性薄膜を接触させることにより行なわれる。このステップによりシート抵抗を10Ω/□以下に低減することができ、もって化合物半導体発光素子の駆動電圧を3V以下にすることができる。
大気に曝すステップにより導電性薄膜8のシート抵抗が低減される詳細のメカニズムは明らかではないが、たとえば導電性薄膜8を大気に曝したときに、大気中に存在する水分が導電性薄膜8の表面に吸着し、導電性薄膜8の表面状態を安定化させるためではないかと考えられる。導電性薄膜8の表面状態を安定化させることにより、その後のセカンドアニール以降のステップにおいて、導電性薄膜8の組成(たとえば導電性薄膜8の組成中の酸素欠乏状態の促進など)になんらかの影響(すなわちたとえば導電性薄膜8組成中からの脱酸素促進、組成中への酸素の再取り込みの抑制など)を及ぼし、その影響がシート抵抗の低減に寄与しているものと推察される。
なお、大気に曝すステップは、0℃以上100℃以下の温度範囲で行なわれることが好ましく、20℃〜30℃程度の略室温状態で行なわれることがより好ましい。
また、大気に曝すステップは、ファーストステップに使用したアニール炉内で行なってもよいし、炉外に取り出したときに行なってもいい。さらに、大気に曝すステップは、水分を含んだ雰囲気であればよく、人為的に調整された雰囲気であってもよい。
このような大気に曝すステップは、60秒以上3600秒以下で行なうことが好ましい。60秒未満であると、導電性薄膜8のシート抵抗を低減する効果を得ることができず、3600秒を超えると、製造工程に要する時間が長時間となるため好ましくない。
<セカンドアニールを行なうステップ>
次に、炉内に基板をセットし、酸素を含まない雰囲気でセカンドアニールを行なう。これにより導電性薄膜の透光性を向上させるとともに、導電性薄膜のシート抵抗を低減させることができる。セカンドアニールは、真空雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、または窒素とアルゴンとの混合雰囲気で行なうことが好ましく、窒素雰囲気で行なうことが好ましい。窒素雰囲気でセカンドアニールを行なうことにより、導電性薄膜中に酸素欠陥を形成し、キャリア密度を上昇させることをもって導電性薄膜のシート抵抗を低減することができる。
図4は、セカンドアニールを行なうときの雰囲気および温度を変えたときの導電性薄膜のシート抵抗の変化を示したグラフである。図4の縦軸は、導電性薄膜のシート抵抗(Ω/□)を示し、横軸はセカンドアニールの温度を示す。図4では、膜厚320nmのITOからなる導電性薄膜に対し、従来条件、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、または真空雰囲気において、400℃〜800℃の温度でそれぞれセカンドアニールを行なうときの導電性薄膜のシート抵抗を示している。
図4に示されるように、導電性薄膜のシート抵抗を低減するという観点からは、真空雰囲気でセカンドアニールを行なうことが最も好ましく、次いでアルゴン雰囲気、窒素雰囲気でセカンドアニールを行なうことが好ましい。また、高温でセカンドアニールを行なうことにより、導電性薄膜のシート抵抗を低減させることができる。
また、図4に示される結果から、セカンドアニールは、450℃以上600℃以下の温度で行なうことが好ましいことが明らかである。これにより導電性薄膜のシート抵抗をより低減させることができる。500℃未満の温度でセカンドアニールを行なうと、シート抵抗が高くなる場合がある。また、セカンドアニールは、1分以上10分以下で行なうことが好ましい。
本発明において、セカンドアニールは、ファーストアニールのアニール温度以下の温度で行なわれることが好ましい。これによりコンタクト抵抗と透過率を損なうことなく10Ω/□以下のシート抵抗を得ることができる。
図5は、図2のグラフに対し、500℃の真空雰囲気でセカンドアニールを行なったときの導電性薄膜のシート抵抗のプロットを加えたグラフである。図5のグラフからも明らかなように、500℃の真空雰囲気下でセカンドアニールを行なうことにより、導電性薄膜のシート抵抗を低減する効果があることは明らかである。
図6は、真空雰囲気または窒素雰囲気でセカンドアニールを行なったときの導電性薄膜のコンタクト層に対するコンタクト抵抗と、導電性薄膜のシート抵抗とをプロットしたグラフである。図6の縦軸は、導電性薄膜のコンタクト抵抗(Ω・cm2)を示し、図6の横軸は、導電性薄膜のシート抵抗(Ω/□)を示している。
図6において、真空雰囲気でセカンドアニールを行なう場合のプロットを△で示し、窒素雰囲気でセカンドアニールを行なう場合のプロットを*で示している。図6に示されるように、真空雰囲気でセカンドアニールを行なっても、窒素雰囲気でセカンドアニールを行なっても、いずれの場合にもコンタクト抵抗を0.05Ω・cm2以下(すなわち2×10-2Ω・cm2程度)とすることができるため、駆動電圧Vfを低減させることができる。
図7は、セカンドアニール条件を変更したときの400nm以上500nm以下の波長の光における導電性薄膜の透過率(%)を示すグラフである。図7の縦軸は、導電性薄膜の透光率(%)を示し、図7の横軸は、入射した光の波長(nm)を示す。
図7において、従来の膜厚条件(100nm以上200nm以下)、窒素雰囲気下でセカンドアニールを行なう場合の導電性薄膜の透過率を▲で示し、本発明の好ましい膜厚条件(300nm以上400nm以下)、窒素雰囲気下でセカンドアニールを行なう場合の導電性薄膜の透過率を◆で示し、真空雰囲気下でセカンドアニールを行なう場合の導電性薄膜の透過率を■で示す。なお、本発明において、導電性薄膜の透過率は、分光光度計を用いて測定された値を採用するものとする。
図7のグラフから、本発明により作製された化合物半導体発光素子において、発光層から放出される発光波長の450nm付近の導電性薄膜の透過率は、従来の製造方法により製造された化合物半導体発光素子の導電性薄膜の透過率とほぼ同等であり、400nm以上500nm以下の波長範囲においては、真空雰囲気下でのセカンドアニール、窒素雰囲気下でのセカンドアニール、従来条件の順に透過率が一定基準以上で安定していることがわかる。
<サードアニールを行なうステップ>
本発明において、大気に曝すステップを行なわない場合、特にセカンドアニールを行なった後に、さらにサードアニールを行なうことが好ましい。サードアニールを行なうことにより、導電性薄膜の表面の均一性を高めることができる。これにより導電性薄膜およびコンタクト層のシート抵抗のバランスが取れ、化合物半導体発光素子の発光強度の分布を改善することができる。
ここで、サードアニールは、窒素雰囲気または真空雰囲気等の酸素を含まない雰囲気で行なうことが好ましく、サードアニールは、450℃以上600℃以下の温度で行なわれることが好ましい。また、サードアニールは、1分以上10分以下の間行なわれることが好ましい。
図8(a)は、各アニールを行なった後の導電性薄膜のシート抵抗の変化を示したグラフであり、(b)は、各アニールを行なった後の導電性薄膜の450nmの波長の光の透過率(%)の変化を示したグラフである。
図8(a)においては、3つの場合のシート抵抗(Ω/□)の変化を調べている。その3つの場合とは、ファーストアニールの後に大気に曝し、セカンドアニールの後に大気に曝し、サードアニールを行なう場合(図中◇)と、ファーストアニールとセカンドアニールとを連続して行なった後に一旦大気に曝し、サードアニールを行なう場合(図中□)と、大気に曝すことなくファーストアニールとセカンドアニールとサードアニールとを連続して行なう場合(図中△)とである。
図8(a)および(b)において、膜厚が320nmのITOからなる導電性薄膜を用いている。そして、ファーストアニールは、窒素および酸素の混合雰囲気において650℃で10分間行ない、セカンドアニールは、窒素雰囲気において500℃で1分間行ない、サードアニールは、窒素雰囲気において500℃で1分間を行なう。
まず、図8(a)中のセカンドアニール後の導電性薄膜のシート抵抗において、大気に曝すステップを含む場合(図中◇)は、大気に曝すステップを含まない場合(図中□)に比して、導電性薄膜のシート抵抗が低いものとなっている。
同様に、図8(a)中のサードアニール後の導電性薄膜のシート抵抗において、大気に曝すステップを含む場合(図中□)は、大気に曝すステップを含まない場合(図中△)に比して、導電性薄膜のシート抵抗が低いものとなっている。
これらの結果から、各アニールの間に大気に曝すステップを行なうことにより、導電性薄膜のシート抵抗の低下を早めることができ、特にセカンドアニールまでにサードアニールを行なう場合と略同等の導電性薄膜のシート抵抗が得られることがわかる。
次に、図8(b)においては、上記の3つの場合の450nmの光の透過率(%)の変化を調べている。まず、図8(b)中のセカンドアニール後の導電性薄膜の透過率(%)において、大気に曝すステップを含む場合(図中◇)は、大気に曝すステップを含まない場合(図中□)に比して、導電性薄膜の透過率が高いものとなっている。同様に、図8(b)中のサードアニール後の導電性薄膜の透過率において、大気に曝すステップを含む場合(図中□)は、大気に曝すステップを含まない場合(図中△)に比して、導電性薄膜のシート抵抗が低いものとなっている。これらの結果から、各アニールの間に大気に曝すステップを行なうことにより、導電性薄膜の透過率の上昇を早めることができ、特に、セカンドアニールまでに、サードアニールを行なった場合と略同等の導電性膜の透過率が得られることが明らかである。
<第1の電極および第2の電極を形成するステップ>
本発明において、導電性薄膜に導通する第1の電極を形成するステップと、基板または発光層を挟んで導電性薄膜形成部に対向する側の半導体層の露出面上に第2の電極を形成するステップとを含むことが好ましい。このような第1の電極と第2の電極の形成は、フォトリソグラフィ、電子線蒸着、およびリフトオフ法により行なわれることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、以下の各ステップにより化合物半導体発光素子を作製する。
<半導体層を形成するステップ>
まず、表面に凹凸加工が施されたサファイア基板上にAlNバッファ層を形成し、その上にアンドープGaN層とSiをドーピングしたn型GaN層が形成されたテンプレート基板を用いる。n型GaN層のドーピング濃度は、6×1018cm-3とする。この、テンプレート基板のn型GaN層上に、n型コンタクト層として膜厚1.5μmのn型GaN層を成長する。n型GaN層のドーパント原料にはSiH4ガスを用いて、Siドーピング濃度は6×1018cm-3とした。上記n型コンタクト層が、図1に示される下部クラッド層2に該当する。下部クラッド層2は、1000℃以上で結晶成長させることにより形成されたものである。
次に、下部クラッド層2上に、850℃に下げ、活性層として、SiドープGaN層からなる障壁層とアンドープInGaNからなる井戸層を6ペア積層した後、膜厚6.5nmのGaN層からなるラストバリア層を積層し、多重量子井戸構造(MQW)発光層3を形成する。
次いで、1100℃に昇温した後、発光層3上にp型AlGaN層を形成し、次にp型GaN層を形成する。上記p型AlGaN層およびp型GaN層が図1に示される上部クラッド層4に該当する。上部クラッド層4のドーピング濃度は2×1019cm-3以上5×1019cm-3以下とする。
次に、上部クラッド層4上に、膜厚20nmのp+型GaN層からなるコンタクト層5を形成する。コンタクト層5のドーピング濃度は、5×1019cm-3以上5×1019cm-3以下とする。
<導電性薄膜を形成するステップ>
その後、スパッタリング炉内に基板を設置し、炉内の温度を室温に保ち、スパッタガスとしてアルゴンガスを導入し、1.28kWhのスパッタ電力により、コンタクト層5上に膜厚320nmの導電性薄膜8を成膜する。
<ファーストアニールを行なうステップ>
次に、2%の酸素および98%の窒素からなる混合ガス雰囲気で、600℃10分間のファーストアニールを行なう。これにより導電性薄膜8の波長450nmの光に対する透過率を94%以上に高める。
<導電性薄膜を大気に曝すステップ>
そして、一度炉内を100℃に低下させた上で、炉の開閉扉を開けて導電性薄膜8を大気に曝す。
<セカンドアニールを行なうステップ>
そして、炉内を真空雰囲気にして、500℃で5分間のセカンドアニールを行なう。上記の一連のアニール工程により導電性薄膜8を低抵抗化する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを行なうことにより、導電性薄膜8の一部を除去する。続けて、フォトリソグラフィおよびエッチングを行なうことにより、コンタクト層5、上部クラッド層4、発光層3、下部クラッド層2の一部を除去し、下部クラッド層2を露出させる。この露出した部分に対し、通常のフォトリソグラフィ、電子線蒸着、およびリフトオフ法を行なうことにより、第2の電極7を形成する。
そして、通常のフォトリソグラフィ、電子線蒸着、およびリフトオフ法を行なうことにより、導電性薄膜8上に第1の電極6を形成する。ここでの第1の電極6および第2の電極7はいずれも、膜厚100nmのTiと、膜厚50nmのPtと、膜厚500nmのAuとの3層構造からなるものである。
(実施例2)
実施例1の化合物半導体発光素子の製造方法のうちのファーストアニールを行なうステップと、セカンドアニールを行なうステップとを変更したこと以外は実施例1の同様の方法により、本実施例の化合物半導体発光素子を製造する。
すなわち、ファーストアニールでは、10%の酸素と、90%の窒素との混合雰囲気において、650℃で10分間のアニールを行なう。そして、実施例1と同様の時間だけ導電性薄膜を大気に曝す。その後、再度炉内に戻し、セカンドアニールでは、炉内を窒素雰囲気にした上で、500℃で5分間のアニールを行なう。
このようにして作製される本実施例の化合物半導体発光素子は、実施例1で作製される化合物半導体発光素子の導電性薄膜のシート抵抗の低下ほどではないが、シート抵抗を低下させることができる。
(実施例3)
実施例1の化合物半導体発光素子の製造方法に対し、セカンドアニールを行なうステップを真空雰囲気から窒素雰囲気に変更したこと以外は実施例1の同様の方法により、本実施例の化合物半導体発光素子を製造する。
(実施例4)
実施例1の化合物半導体発光素子の製造方法に加えて、窒素雰囲気において500℃で1分間のサードアニールを行なうことにより、本実施例の化合物半導体発光素子を製造する。本実施例の化合物半導体発光素子は、実施例1のそれよりも導電性薄膜のシート抵抗が低いものであり、光取り出し効率を高められている。
<性能比較>
実施例1および実施例3で作製された化合物半導体発光素子の光出力および駆動電圧の性能を比較する。図9は、実施例1および実施例3の化合物半導体発光素子の光出力および駆動電圧を示したグラフである。図9の結果から明らかなように、実施例1の化合物半導体発光素子は、実施例3のそれよりも駆動電圧が低く、かつ光出力が高い。このように実施例1の化合物半導体発光素子の性能が高いのは、真空雰囲気でセカンドアニールを行なうことにより、導電性薄膜のシート抵抗が低いことによるものと考えられる。
本発明において上記で好適な実施形態を説明した化合物半導体発光素子は、上記に限定されるものではなく、上記以外の構成とすることもできる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の製造方法により作製される化合物半導体発光素子は、LED照明、液晶TVのバックライト等に好適に利用することができる。
1,101 基板、2,102 下部クラッド層、3,103 発光層、4,104 上部クラッド層、5,105 コンタクト層、6 第1の電極、7 第2の電極、8,108 導電性薄膜、106 p型電極、107 n型電極。

Claims (10)

  1. 基板(1)上に、III族窒化物半導体からなり発光層(3)を含む半導体層を形成するステップと、
    前記半導体層の前記基板(1)と接する側とは反対側に、導電性薄膜(8)を形成するステップと、
    前記導電性薄膜(8)に対し酸素を含む雰囲気でファーストアニールを行なうステップと、
    前記導電性薄膜(8)に対し酸素を含まない雰囲気でセカンドアニールを行なうステップと、
    前記ファーストアニールを行なうステップと、前記セカンドアニールを行なうステップとの間に、前記導電性薄膜(8)を大気に曝すステップを含む、化合物半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記セカンドアニールは、窒素雰囲気で行なう、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記セカンドアニールは、真空雰囲気で行なう、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記ファーストアニールは、600℃以上700℃以下の温度で行なう、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記セカンドアニールは、前記ファーストアニールの温度以下の温度で行なう、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記導電性薄膜(8)は、ITOからなる、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記導電性薄膜(8)は、300nm以上400nm以下の膜厚である、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記導電性薄膜(8)に導通する第1の電極(6)を形成するステップと、前記基板(1)または前記発光層(3)を挟んで導電性薄膜形成部に対向する側の前記半導体層の露出面上に第2の電極(7)を形成するステップとを含む、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記セカンドアニールを行なった後に、さらにサードアニールを行なうステップを含む、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  10. 前記導電性薄膜(8)は、0.05Ω・cm2以下のコンタクト抵抗である、請求項1に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
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