JPWO2011086904A1 - リチウムイオン二次電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびその製造方法

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Abstract

リチウムイオン二次電池10は、正極板14、負極板18およびセパレータ15を含み、扁平な形状に巻かれた極板群30と、極板群30の最外周部分の内側であって巻き方向に関する極板群30のコーナー部分31に組み込まれた、多孔性を有する弾性部材21と、を備えている。弾性部材21は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料の発泡体で構成されている。

Description

本発明は、扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池の代表的な構造として、正極板、負極板およびセパレータを組み合わせて形成された極板群を渦巻き状に巻いた、いわゆる巻回構造が知られている。中でも、扁平な形状に巻かれた極板群を用いたリチウムイオン二次電池は、モバイル機器等の分野で需要が多い。巻かれた極板群の弛みを防止するために、極板群の巻き終り部は、通常、粘着体(典型的には粘着テープ)で固定されている。
ところで、充電に伴って極板群が膨張する現象は、リチウムイオン二次電池の分野の当業者に知られている。具体的には、正極活物質からのリチウムイオンの脱ドープによって正極板が体積膨張し、かつ負極活物質へのリチウムイオンのドープによって負極板が体積膨張する。ただし、巻き終わり部が粘着体で固定されているので、外方向への極板群の膨張は制限される。そのため、極板群に比較的大きい応力が発生し、この応力を解放するように極板群が変形する場合がある。例えば、極板群が地層のように褶曲することもある。極板群の変形は、しばしば、電池の厚さの増加を伴う。
この問題に対処するために、特開2006−302801号公報には、粘着剤の存在しない基材のみの部分に折り目部を設けた粘着体を使用して巻き終り部を固定する技術が記載されている。当該文献に記載された粘着体によると、折り目部が伸びることによって極板群の弛みが許容されるため、極板群の膨張を吸収できる空間が極板群を巻いた後にも確保される。これにより、充電に伴う電池の厚さの増加を抑制できる。
特開2006−302801号公報
特開2006−302801号公報に記載された技術によれば、確かに、厚さの増加を抑制する一定の効果を享受できるものの、その効果は必ずしも十分でない。こうした事情に鑑み、本発明は、充電に伴う電池の厚さの増加を抑制するための更なる改善技術の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、
扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池であって、
正極板、負極板およびセパレータを含み、扁平な形状に巻かれた極板群と、
前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に組み込まれた、多孔性を有する弾性部材と、
を備えた、リチウムイオン二次電池を提供する。
他の側面において、本発明は、
扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
正極板、セパレータおよび負極板を準備する工程と、
前記正極板、前記セパレータおよび前記負極板を組み合わせて極板群を形成するとともに、前記極板群を巻く工程と、
前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に、多孔性を有する弾性部材が組み込まれるように、前記巻き工程の終了時点よりも前の段階で、前記弾性部材を前記正極板、前記負極板または前記セパレータの上に配置する工程と、
前記極板群の巻き終わり部を固定する工程と、
を含む、リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。
上記本発明によると、極板群の最外周部分(最も外側の部分)の内側であって巻き方向に関する極板群のコーナー部分に、多孔性の弾性部材が組み込まれる。極板群が膨張すると、多孔性の弾性部材は極板群から荷重を受け、その体積を減少させる。自らの体積を減少させることで、弾性部材は極板群の膨張を許容する。特に、コーナー部分に弾性部材が組み込まれていることにより、電池の面内方向(厚さ方向に垂直な方向)への極板群の膨張が許容される。その結果、充電に伴う電池の厚さの増加を効果的に抑制でき、電池の初期厚さを小さくできる。
なお、本明細書において「電池の初期厚さ」とは、組み立て後に最初に充電した状態での電池の厚さを意味する。
本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の斜視図 図1に示すリチウムイオン二次電池に用いられた極板群の部分断面図 極板群の最外周部分の断面図 弾性部材を配置するべき位置を示す平面図 アルミニウム製の電池ケースを用いた他のリチウムイオン二次電池の分解斜視図 図3に示す極板群を有したリチウムイオン二次電池の製造工程図 巻かれた極板群を作るための各工程の概略図 弾性部材を配置するべき他の位置を示す斜視図 弾性部材を略一周に組み込んだ他の極板群の断面図 特開2006−302801号公報に記載された粘着体の平面図および断面図
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、電池ケース11と、電池ケース11に収容された極板群30とを備えている。電池10は、扁平かつ方形の形状を有する。極板群30も扁平かつ方形の形状を有する。極板群30には、正極リード33および負極リード34が取り付けられている。リード33および34は、それぞれ、電池ケース11の外に取り出されている。
図2に示すように、極板群30は、正極板14、負極板18およびセパレータ15を組み合わせることによって形成されている。正極板14は、正極集電体12と、正極集電体12の両面に設けられた正極活物質層13とで構成されている。負極板18は、負極集電体16と、負極集電体16の両面に設けられた負極活物質層17とで構成されている。セパレータ15は、正極板14と負極板18との間に配置されている。巻かれた極板群30を形成するために、複数のセパレータ15(典型的には2枚)が用いられている。極板群30には、非水電解液が含浸されている。
図3に示すように、極板群30は、渦巻き状に巻かれている。巻かれた極板群30の最外周部分の内側であって巻き方向に関する極板群30のコーナー部分31に、多孔性の弾性部材21が組み込まれている。弾性部材21は、充電に伴う極板群30の膨張を吸収する役割を担っている。極板群30の最外周部分は、末端部としての巻き終わり部32を含む。巻き終わり部32は正極集電体12で構成されているとともに、粘着テープ19(粘着体)で正極集電体12自身に固定されている。なお、「コーナー部分31」とは、巻かれた極板群30の円弧状の部分のことである。「巻き方向」とは、巻かれていない状態での極板群30の長手方向に平行かつ電池10の厚さ方向に直交する方向のことである。
後述する変形例のように、コーナー部分31以外の部分に弾性部材21を組み込むことも可能である。しかし、本実施形態のように、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込めば、弾性部材21自身による極板群30の厚さの増加を回避できる。また、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込んだとしても、充電に伴う電池10の厚さの増加を抑制する効果は十分に得られる。
極板群30は、巻き方向に関して2つのコーナー部分31を有する。本実施形態では、2つのコーナー部分31のそれぞれに弾性部材21が組み込まれている。このようにすれば、極板群30の変形を抑制する効果が電池10の面内方向で均一に得られる。また、電池10の厚さの増加を抑制する効果の向上も期待できる。もちろん、一方のコーナー部分31にのみ弾性部材21が組み込まれていたとしても、厚さの増加を抑制する効果をある程度得ることができる。
本実施形態において、極板群30の最外周部分は、正極集電体12だけで構成されている。すなわち、最外周部分を構成している正極集電体12の上に正極活物質層13が設けられていない。巻き終わり部32も正極集電体12だけで構成されている。そして、正極板14における正極集電体12だけの部分に、弾性部材21が配置されている。詳細には、弾性部材21は、最外周部分を構成している正極集電体12の部分と、最外周部分から見て1周内側に位置している正極集電体12の部分との間に配置されている。最外周部分から見て1周内側に位置している正極集電体12の部分には、片面にのみ正極活物質層13が設けられている。このように、正極活物質層13が設けられていない領域に弾性部材21を配置すれば、発電に寄与しない活物質が生じることを回避できる。
図示を省略するが、正極板14と負極板18との位置関係を逆にすることによって、極板群30の最外周部分を負極集電体16だけで構成することも可能である。この場合、弾性部材21は、最外周部分を構成している負極集電体16の部分と、最外周部分から見て1周内側に位置している負極集電体16の部分との間に配置されうる。さらに、本実施形態では、正極集電体12だけで構成されている部分が約1周形成されている。しかし、正極集電体12または負極集電体16だけで構成されている部分が1周を超えて形成されていたとしても、その部分は「最外周部分」の概念に含まれる。言い換えれば、「最外周部分」では、正極活物質層と負極活物質層とが向かい合っていない。
正極活物質層13が設けられていない正極集電体12の部分に弾性部材21を配置すると、次のような効果が得られる。まず、正極活物質層13を設けないことによって、極板群30の寸法を小さくできる。さらに、正極活物質層13が設けられていない正極集電体12の部分の表面に、弾性部材21を粘着剤、粘着テープ等で容易に取り付けることができる。こうした効果は、最外周部分を負極集電体16だけで構成する場合も同様に得られる。
ところで、極板群30の最外周部分以外の部分の内側に空間が存在する場合にも、極板群30の膨張を吸収する効果は得られる。一例として、本発明者は、次のような予備実験を行った。
まず、45μmの厚さおよび10mmの幅を有するスペーサ(第1スペーサ)を準備した。次に、図6を参照して後述する方法で、8重巻きの極板群を作製した。極板群を巻くとき、全ての巻き回数でコーナー部分に第1スペーサを挿入した。つまり、合計で16個の第1スペーサを使用した。巻き工程の後、第1スペーサを極板群から抜き取った。これにより、全ての巻き回数のコーナー部分に第1スペーサに由来する空間が形成された極板群を得た。得られた極板群を電池ケースに収容させた。
他方、360μmの厚さおよび10mmの幅を有するスペーサ(第2スペーサ)を準備した。次に、図6を参照して後述する方法で、8重巻きの極板群を作製した。極板群を巻くとき、最外周部分の内側における2つのコーナー部分に第2スペーサをそれぞれ挿入した。巻き工程の後、第2スペーサを極板群から抜き取った。これにより、最外周部分の内側における2つのコーナー部分に第2スペーサに由来する空間が形成された極板群を得た。得られた極板群を電池ケースに収容させた。
上記の方法で製造した2種類の電池の初期厚みを測定したところ、いずれも5.51mmであった。この予備実験の結果は、極板群の内部のどの位置に空間が形成されていたとしても、初期厚さの増加を抑制する効果が得られることを示している。
そうだとすれば、最外周部分の内側に弾性部材21を組み込むのが最も好都合である。なぜなら、極板群30の内部の活物質層13および17が設けられている部分に弾性部材21を配置すると、弾性部材21で覆われた部分の活物質が無駄になるからである。活物質層13および17が設けられていない部分を極板群30の内部に形成してもよいが、集電体12および16の上に活物質層13および17を形成するための各工程が複雑になる可能性がある。また、電池の容量が低下する可能性もある。
弾性部材21は、多孔性を有する材料で作ることができる。多孔性を有する材料で弾性部材21が作られていると、弾性部材21自身の形状の変化および体積の変化によって、極板群30の膨張を吸収できる。逆に、弾性を有していたとしても、単なるゴムのような材料は多孔性を有さず、荷重を受けても体積の変化を殆ど伴わないので、本発明における弾性部材21の材料としての利用価値は低い。また、弾性部材21は、絶縁性を有していることが好ましく、典型的には樹脂材料で作ることができる。
具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料で弾性部材21を作ることができる。これらの材料は、リチウムイオン二次電池の一般的な電解液に溶解せず、電池の特性に影響を及ぼさないので好ましい。より詳細には、弾性部材21は、上記材料の発泡体で構成できる。上記材料の発泡体は、荷重を受けたときに形状の変化および体積の変化を起こす。すなわち、弾性部材21に要求される性質を満たす。また、連続気泡の発泡体および独立気泡の発泡体のいずれも使用できる。
なお、弾性部材21に要求される「弾性」は、必ずしもゴム弾性を意味するものではなく、形状の変化および体積の変化によって極板群30の膨張を許容できる範囲での弾性を意味する。例えば、室温で10MPaの圧力を加えたときに、10%以上の体積変化を生ずる材料を弾性部材21に使用できる。また、弾性部材21が変形後に元の形状に容易に復帰できる性質を有していると、電池10の製造過程で弾性部材21をロール等で挟んで搬送することも可能となる。
弾性部材21の寸法に特に限定はなく、弾性部材21を組み込むべき極板群30の設計に応じて適宜調整すべきである。図4に示すように、極板群30(巻かれていない)の幅方向WDに関して、弾性部材21の寸法W1は、例えば、正極集電体12の寸法W2以上、セパレータ15の寸法W3以下に調整されうる。すなわち、幅方向WDに関して、弾性部材21は、正極集電体12を横切る範囲に設けられている。このようにすれば、電池10の面内方向への極板群30の膨張を均一に吸収できる。また、弾性部材21は、極板群30の長手方向LDに関して、所定の長さL1を有している。この所定の長さL1は、例えば、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込んだときに、弾性部材21によって電池10の厚さを増加させない範囲に調整されている。弾性部材21の形状も特に限定されず、板状、角棒状、丸棒状等の各種形状を採用できる。さらに、弾性部材21は、コーナー部分31に沿う形状、例えば三日月形の断面を有する形に予め成形されていてもよい。
図3において、セパレータ15の端部は、コーナー部分31の直前で途切れているが、コーナー部分31まで延びていることもある。つまり、弾性部材21の一部または全部をセパレータ15の端部で構成できる可能性がある。他方、本実施形態では、弾性部材21は、セパレータ15とは別の部材で構成されている。この場合、弾性部材21は、セパレータ15の厚さを明白に超える厚さを有している。なお、弾性部材21の厚さは、極板群30を解いた状態において、極板群30の厚さ方向に関する弾性部材21の寸法で特定される。
上記のような弾性部材21を極板群30の内部に組み込む。弾性部材21は、自己の収縮により、正極活物質からのリチウムイオンの脱ドープによる正極板14の体積膨張と、負極活物質へのリチウムイオンのドープによる負極板18の体積膨張とを吸収できる。充電時に極板の体積膨張に伴う極板群30の膨張が許容されるので、極板群30の変形を抑制できるとともに、電池10の厚さの増加も抑制できる。
次に、電池10の他の要素について個別に説明する。
正極集電体12は、金属箔、典型的にはアルミニウム製の箔でできている。金属箔は、ラス加工またはエッチング処理されていてもよい。正極活物質層13は、正極活物質、結着剤および導電剤を含む。正極板14の厚さは、十分な柔軟性を確保できる範囲、例えば、50〜200μmの範囲にある。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる物質であれば特に限定されず、例えば、リチウム含有遷移金属化合物を使用できる。リチウム含有遷移金属化合物として、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属とリチウムとの複合金属酸化物を例示できる。リチウムを含む複合金属酸化物として、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiCoxNi(1-x)2(0<x<1)、LiCrO2、αLiFeO2およびLiVO2等を例示できる。
結着剤としては、フッ素樹脂、アクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ビニル樹脂等を使用できる。これらの結着剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、上に列挙した樹脂に用いられた2種以上のモノマーの共重合体を結着剤として使用してもよい。フッ素を含む結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体、およびポリテトラフルオロエチレン等を例示できる。
導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素材料を使用できる。これらの炭素材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
負極集電体16としては、銅製の箔または銅合金製の箔を好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。また、箔の具体例として、圧延箔、電解箔等が挙げられる。箔の形状は特に限定されず、孔開き箔、エキスパンド材、およびラス材等であっても構わない。また、予め粗化処理を施した電解銅箔、粗化処理を施した圧延銅箔も使用できる。
負極活物質層17は、負極活物質を主成分(質量比で最も多く含まれている成分)として含み、任意成分として結着剤および/または導電剤を含む。負極板18の厚さは、十分な柔軟性を確保できる範囲、例えば、50〜210μmの範囲にある。
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および脱離しうる材料、例えば、黒鉛型結晶構造を有するグラファイトを含む材料が挙げられる。そのような材料としては、天然黒鉛、球状または繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、および易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。また、シリコン、錫、シリコンと錫との合金、酸化シリコンや酸化錫等の酸化物、窒化シリコン等の窒化物も、高いエネルギー密度を得るうえで好適に使用できる。
結着剤、導電剤および増粘剤等の任意の添加剤については、正極活物質層13と同じものを負極活物質層17に使用できる。
セパレータ15としては、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜等のポリオレフィン微多孔膜が挙げられる。これらは、単層で使用可能であり、2以上を積層したものも使用可能である。例えば、ポリエチレン微多孔膜の両面にポリプロピレン微多孔膜を積層したものをセパレータ15として使用できる。セパレータ15は、例えば、8〜30μmの範囲の厚さを有する。
電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製されうる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジメトキシプロパン、4−メチル−2−ペンタノン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、スルホラン、3−メチル−スルホラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、リン酸トリメチル、およびリン酸トリエチル等を使用できる。これらの非水溶媒は、単独または2種類以上の混合溶媒として、使用できる。
電解質としては、例えば、電子吸引性の強いリチウム塩を使用できる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、およびLiC(SO2CF33等が挙げられる。これらの電解質は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの電解質は、例えば0.5〜1.8mol/リットルの範囲の濃度で非水溶媒に溶解される。
粘着テープ19の材料は、非水電解液に溶解したり、分解したりすることがなければ特に限定されない。粘着テープ19の粘着剤としては、例えば、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルモノマーとアクリル酸ヒドロキシエチル等のモノマーとの共重合体を部分的に架橋したものが挙げられる。粘着テープ19の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびポリメチルメタクリレート等の樹脂でできた無延伸または延伸フィルムが挙げられる。
電池ケース11としては、アルミニウム箔等の金属箔をポリエチレンテレフタレート等の樹脂でラミネートした包材、いわゆるラミネート包材を使用できる。ラミネート包材は、電池の軽量化および薄型化に有利である反面、可撓性を有していることから、極板群30の変形の影響を受けやすい。そのため、ラミネート包材を用いたリチウムイオン二次電池に本発明を適用すれば、より高い効果を得ることができる。
また、図5に示すように、ラミネート包材に代えて、硬質な材料でできた電池ケース41に極板群30を収容させてもよい。この場合、耐圧強度の観点から、電池ケース41の材料として、マンガン、銅等の金属を微量に含有するアルミニウム合金、またはニッケルメッキを施した鋼鈑を好適に使用できる。電池ケース41は、上端が開口している有底のケース本体42と、ケース本体42の開口を閉じている封口板43とで構成されている。封口板43の極性端子に負極リード、ケース本体42の極性端子(または封口板43の負極用の端子を除いた部分)に正極リードがそれぞれ電気的に接続されている。封口板43をケース本体42にレーザー溶接した後、封口板43に設けた注液孔(図示せず)から電池ケース41の中に非水電解液を注入する。その後、注液孔に注液栓(図示せず)を取り付けて、レーザー溶接で封口する。
次に、図6に示す工程図を参照しつつリチウムイオン二次電池の製造方法を説明する。
まず、正極板14、セパレータ15および負極板18を準備する(ステップS1)。正極板14は、帯状の正極集電体12に正極合剤を塗布、乾燥および圧延することによって作製できる。正極合剤は、正極活物質、結着剤および導電剤を適切な分散媒と混合することによって調製できる。正極合剤を正極集電体12の片面または両面に塗布、乾燥および圧延することによって、正極活物質層13を形成できる。
分散媒としては、結着剤を溶解できる溶媒が適切である。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、およびメチルエチルケトン等の有機溶媒を好適に使用できる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、結着剤を溶解できる限りにおいて、水または温水を分散媒として使用してもよい。
また、分散剤、界面活性剤、安定剤等の添加剤を必要に応じて正極合剤に加えてもよい。さらに、必要に応じて、エチレン−ビニルアルコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、およびメチルセルロース等の増粘剤を正極合剤に加えてもよい。
正極集電体12に正極合剤を塗布する方法は特に限定されない。例えば、スリットダイコータ、リバースロールコータ、リップコータ、ブレードコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、およびディップコータ等を用いて容易に塗布できる。塗布した正極合剤を乾燥させる方法も特に限定されず、自然乾燥および加熱乾燥のいずれも採用できる。生産性を考慮して、例えば、70〜200℃の雰囲気温度で10分間〜5時間乾燥させる方法を推奨できる。圧延は、ロールプレス機を用いて行える。所定の厚さの正極活物質層13が形成されるように、数回の圧延を行ってもよいし、圧力を変えながら圧延を行ってもよい。
負極板18も正極板14と同じように、負極合剤を帯状の負極集電体16の上に塗布、乾燥および圧延することによって作製できる。負極合剤は、負極活物質を適切な分散媒と混合することによって調製できる。負極合剤を負極集電体16の片面または両面に塗布、乾燥および圧延することによって、負極活物質層17を形成できる。負極合剤は、必要に応じて、結着剤、導電剤および増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。
負極活物質としてシリコンおよび錫等の高容量材料を用いる場合には、これらの高容量材料を負極集電体16の上に真空プロセスで堆積させることによって、負極活物質層17を形成できる。具体的には、蒸着法、スパッタ法、CVD法(Chemical Vapor Deposition Method)等の真空プロセスを採用できる。中でも、蒸着法が効率的に負極活物質層17を形成する観点から望ましい。蒸着法として、電子ビーム蒸着および抵抗加熱蒸着のいずれも採用できる。高容量材料の酸化物および/または窒化物の蒸着を行う場合には、酸化物および/または窒化物を蒸発材料として使用できる。さらに、高容量材料を蒸発させながら酸素ガス、窒素ガス、またはこれらのガスをイオン化ないしラジカル化したものを蒸発源の上方に供給することによって、反応性蒸着を行ってもよい。
なお、極板群30の最外周部分を構成するべき正極板14の部分には、正極集電体12だけで構成された部分を残す点に留意する。同様に、極板群30の巻き始め部を構成するべき負極板18の部分には、負極リード34を取り付けるために、負極集電体16だけで構成された部分を残す点に留意する。
上記の方法で作製された正極板14および負極板18は、それぞれ、供給ロールに巻き取られた状態で、次の工程に供される。セパレータ15も、予め所望の幅に切断されるとともに、供給ロールに巻き取られた状態で、次の工程に供される。
次に、正極板14、セパレータ15および負極板18を組み合わせて極板群30を形成する工程を実施する(ステップS2)。具体的には、図7に示すように、正極板14、セパレータ15および負極板18を供給ロール44〜47から貼り合わせロール48に向けて繰り出す。貼り合わせロール48において正極板14、セパレータ15および負極板18が互いに貼り合わされて、巻かれていない極板群30が形成される。図3に示す構造の巻かれた極板群30を得るために、正極板14、セパレータ15および負極板18は、貼り合わせロール48の直前において、それぞれ、所定の長さに切断される。正極板14、セパレータ15および負極板18には、いわゆる巻きずれが起こらないように十分な張力が付与されている。
次に、極板群30を巻く工程を実施する(ステップS3)。具体的には、図7に示すように、極板群30を巻き芯36に巻きつける。
さらに、巻き工程を実施しながら、弾性部材21を正極集電体12の上に配置する(ステップS4)。つまり、巻き工程の途中に、弾性部材21を配置する工程を実施する。具体的には、図7に示すように、貼り合わせロール48と巻き芯36との間の極板群30の搬送経路上に部品供給機37を配置し、部品供給機37を用いて正極集電体12の上に弾性部材21を載せる。巻き工程の開始後、極板群30の最外周部分を構成するべき正極集電体12の部分が部品供給機37の有効領域(本実施形態では真下)に到来したら、巻き芯36、搬送ローラ49および貼り合わせロール48等を駆動するためのアクチュエータを一時停止する。部品供給機37には、予め弾性部材21が保持されている。CCD(Charge-Coupled Device)カメラ等の検知器で正極集電体12の位置を確認しつつ、部品供給機37から正極集電体12の上に弾性部材21を移す。弾性部材21は、粘着テープ、粘着剤等を用いて正極集電体12に取り付けることができる。巻かれた極板群30の両コーナー部分31に弾性部材21が組み込まれるように、極板群30を巻く工程と弾性部材21を配置する工程とを交互に実施する。
なお、弾性部材21を正極集電体12の上に配置する工程を実施するタイミングは、図7に示す例に限定されない。例えば、正極板14、セパレータ15および負極板18を準備する工程と、極板群30を巻く工程との間に、弾性部材21を配置する工程を実施できる。具体的には、供給ロール47と貼り合わせロール48との間の搬送経路上で、正極集電体12の上に弾性部材21を配置しうる。また、最外周部分が負極集電体16で構成される場合には、弾性部材21を負極集電体16の上に配置しうる。さらに、セパレータ15の上に弾性部材21を配置する方法も考えられる。すなわち、巻かれた極板群30の最外周部分の内側であって巻き方向に関する極板群30の少なくとも一方のコーナー部分31に、弾性部材21が組み込まれるように、巻き工程の終了時点よりも前の段階で、弾性部材21を正極板14、負極板18またはセパレータ15の上に配置しうる。
弾性部材21を正極集電体12の上に配置し終えたら、巻き芯36および搬送ローラ49等を再び回転させて極板群30を最後まで巻く(ステップS5)。極板群30を巻き終えたら、巻き終わり部32を粘着テープ19で固定する(ステップS6)。
巻き終り部32を固定した後、所定の厚さとなるように極板群30をプレス加工する(ステップS7)。これにより、極板群30に扁平な形状が付与される。極板群30を電池ケース11(または41)に収容させる(ステップS8)。電池ケース11に電解液を注入後、電池ケース11を封口する(ステップS9およびS10)。これにより、コーナー部分31に弾性部材21が組み込まれた極板群30を有する電池10が得られる。なお、プレス加工は省略可能である。
ところで、極板群の膨張を吸収できる空間を確保するために、極板群を巻くときに、極板群に付与する張力を弱めればよいのではないかとも思われる。しかし、極板群に付与する張力を弱めると、いわゆる「巻きずれ」の起こる可能性が高まる。「巻きずれ」とは、正極板、負極板およびセパレータの各位置が、設計上の位置からずれる現象のことである。「巻きずれ」の発生は、歩留まりの低下および生産性の低下を招く。
また、極板群の膨張を吸収できる空間を確保するために、極板群を巻くときに、「多孔性の弾性部材21」に代えて、巻き工程の途中で極板群に対して何らかの冶具を挿入する方法も考えられる。しかし、極板群を巻くスピードが非常に速いことを考慮すると、そのような方法は現実的でない。巻き回数等の設計条件にもよるが、巻きスピードを相当落とさない限り、巻き工程の途中で極板群に対して冶具を挿入するのは困難である。さらに、巻かれた極板群から冶具を引き抜くときにセパレータ等の部品にダメージが及ぶ可能性も否定できない。
これに対し、本実施形態の方法によると、極板群30に付与する張力を弱める必要もないし、弾性部材21を事後的に取り除く必要もない。そのため、歩留まりの低下および生産性の低下を招来しにくい。また、セパレータ15等の部品にダメージが及ぶおそれも殆どない。
なお、極板群が円筒状に巻かれている場合、厚さの増加の問題は、扁平な形状の極板群の場合に比べて起こりにくい。なぜなら、円筒の形状を有する極板群は、自己緊縛により、扁平な形状の極板群に比べて変形しにくいからである。ただし、このことは、円筒状のリチウムイオン二次電池への本発明の適用を妨げるものではない。
(変形例)
実施形態で説明した弾性部材21は、正極活物質層13の終端に重なる位置まで延びていてもよい。そのような構造によると、次のような効果が得られる。当業者に知られているように、負極活物質層は、一般に、平面視で、正極活物質層よりも広い。また、リチウムイオン二次電池の安全性を高めるために、従来から、ポリフェニレンサルファイド等の絶縁テープを正極活物質層の終端において、正極活物質層を覆うように正極板とセパレータとの間、または負極活物質層を覆うように負極板とセパレータとの間に配置している。この絶縁テープは、本発明における弾性部材21とは異なるものである。しかし、本発明における弾性部材21と、従来のリチウムイオン二次電池における絶縁テープとを一つの部材で構成すれば、部品点数を削減できるとともに、工程数も削減できる可能性がある。
図8に示すように、変形例にかかる弾性部材21Aは、極板群30の長手方向LDに関して、正極活物質層13の終端13eに重なる位置まで延びている。終端13eに重なる位置において、弾性部材21Aは、正極活物質層13とセパレータ15との間に挟まれている。長手方向LDに関して、弾性部材21Aの厚さを適切に調整すれば、弾性部材21Aの薄肉の部分を正極活物質層13とセパレータ15との間に無理なく挟める。弾性部材21Aは、負極活物質層17とセパレータ15との間に挟まれていても構わない。このような構造によると、正極集電体12と負極活物質層17との間の絶縁を確実に確保できるとともに、正極活物質層13の終端13eの近傍での不具合、例えば、リチウムの析出による短絡を確実に防止できる。また、弾性部材21Aを追加的に設けることによる部品点数の増加も回避できる。
また、図9に示すように、コーナー部分31だけでなく、極板群30の平らな部分に弾性部材21が組み込まれていてもよい。図9に示す変形例では、極板群30の最外周部分の内側に、極板群30の1周分に相当する長さの弾性部材21が組み込まれている。
(実施例1)
LiCoO2を100重量部、アセチレンブラックを2重量部、ポリフッ化ビニリデンを3重量部、および適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して正極合剤を得た。この正極合剤を、厚さ15μmの帯状のアルミニウム箔でできた正極集電体上に塗布した。極板群の最外周部分を構成するべき正極集電体の部分には正極合剤を塗布しなかった。塗布した正極合剤を110℃で5分間乾燥させた後、3回圧延を行った。
アルミニウム製の正極リードをスポット溶接により正極集電体に固定した。内部短絡を防止するために、正極リードを挟むようにポリプロピレン製の絶縁粘着体を正極集電体に貼り付けた。このようにして、幅35mm、長さ460mm、厚さ0.14mmの正極板を準備した。
鱗片状黒鉛を100重量部、スチレン−ブタジエンゴムの水溶性ディスパージョンを固形分に換算して1重量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースを1重量部、および適量の水を混合して負極合剤を得た。この負極合剤を、厚さ10μmの帯状の銅箔でできた負極集電体に塗布した。塗布した負極合剤を110℃で30分間乾燥させた後、圧延を行った。
ニッケル製の負極リードをスポット溶接により負極集電体に固定した。内部短絡を防止するために、負極リードを挟むようにポリプロピレン製の絶縁粘着体を負極集電体に貼り付けた。このようにして、幅36mm、長さ450mm、厚さ0.14mmの負極板を準備した。
次に、セパレータを介して正極板および負極板を組み合わせて極板群を形成するとともに、極板群を巻いた。極板群の2つのコーナー部分に多孔性の弾性部材を組み込んだ。巻き終わり部を粘着テープで固定した。これにより、図3を参照して説明した構造を有する極板群を得た。セパレータとして、厚さ16μmのポリエチレン微多孔膜を用いた。多孔性を有する弾性部材として、1mm×1mm×36mmの寸法の角棒状に切断したポリエチレンフォーム(不二紙化工業社製、特殊ポリエチレンフォーム(30倍発泡・独立気泡)、厚さ1mm)を用いた。弾性部材を正極集電体に取り付けるために粘着剤(アクリル系粘着剤)を用いた。巻き終わり部を固定するための粘着テープとして、ポリフェニレンサルファイドでできた厚さ20μmの基材と、アクリル酸ブチルでできた厚さ5μmの粘着剤層とを有するものを用いた。
その後、プレス加工により、極板群に扁平な形状を付与した。得られた極板群をラミネート包材でできた電池ケースに収容した。ラミネート包材として、厚さ100μmのアルミニウム箔の両面に厚さ10μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせたものを使用した。
極板群を電池ケースに収容させた後、85℃の温度で極板群を2時間真空乾燥させた。乾燥終了後、カールフィシャー式水分計で極板群に含まれている水分量を測定した。極板群の水分量が100ppm以下であることを確認した。
エチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:2の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/リットルの濃度で溶解させた。これにより、非水電解液を得た。非水電解液を電池ケースに注入し、熱溶着によって電池ケースを封口した。このようにして、800mAhの電池容量(設計値)を有する角型リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
弾性部材を組み込まなかった点を除き、実施例1と同じ方法で角型リチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例2)
巻き終わり部を固定するための粘着テープとして、図10に示す構造を有するものを用いた点を除き、実施例1と同じ方法で角型リチウムイオン二次電池を製造した。図10に示す粘着テープ50は、基材51と、基材51の両端に設けられた粘着剤層52とで構成されている。粘着テープ50によると、折り目部53が伸びることによって極板群の膨張が許容される。すなわち、本比較例2は、特開2006−302801号公報の実施例4を再現した例である。
<初期厚さの測定>
実施例1、比較例1および比較例2の電池を3個ずつ製造し、各電池の初期厚さを以下の方法で測定した。なお、組み立て直後の各電池は、設計値として、4.9mmの厚さを有していた。
具体的には、20℃の環境下において、電池の電圧が4.2Vに達するまで定電流800mA(1.0CmA)で充電し、さらに、電流が40mA(0.05CmA)に減衰するまで定電圧で充電した。充電には、約2時間かかった。充電後、シックネスゲージを用いて電池の平らな部分の厚さを9点で測定し、9点の平均値を「電池の初期厚さ」として求めた。結果を表1に示す。
Figure 2011086904
平均値に着目すると、実施例1および比較例2の電池は、比較例1の電池の初期厚さよりも小さい初期厚さを有していた。ただし、比較例2は、実施例1に匹敵する良好な結果を示した電池(5.21mm)と、比較例1の平均値と同程度の結果を示した電池(5.29mm)とが混在していた。これに対し、実施例1は、全ての電池で良好な結果を示した。つまり、実施例1は、得られた効果のバラつきが小さかった。実施例1によると、両コーナー部分において極板群の膨張を均一に吸収できたため、初期厚さのバラつきも小さくなったと推測される。
本発明は、扁平な形状のリチウムイオン二次電池、特に、小型電子機器用電源としての薄いリチウムイオン二次電池に有用である。
本発明は、扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池の代表的な構造として、正極板、負極板およびセパレータを組み合わせて形成された極板群を渦巻き状に巻いた、いわゆる巻回構造が知られている。中でも、扁平な形状に巻かれた極板群を用いたリチウムイオン二次電池は、モバイル機器等の分野で需要が多い。巻かれた極板群の弛みを防止するために、極板群の巻き終り部は、通常、粘着体(典型的には粘着テープ)で固定されている。
ところで、充電に伴って極板群が膨張する現象は、リチウムイオン二次電池の分野の当業者に知られている。具体的には、正極活物質からのリチウムイオンの脱ドープによって正極板が体積膨張し、かつ負極活物質へのリチウムイオンのドープによって負極板が体積膨張する。ただし、巻き終わり部が粘着体で固定されているので、外方向への極板群の膨張は制限される。そのため、極板群に比較的大きい応力が発生し、この応力を解放するように極板群が変形する場合がある。例えば、極板群が地層のように褶曲することもある。極板群の変形は、しばしば、電池の厚さの増加を伴う。
この問題に対処するために、特開2006−302801号公報には、粘着剤の存在しない基材のみの部分に折り目部を設けた粘着体を使用して巻き終り部を固定する技術が記載されている。当該文献に記載された粘着体によると、折り目部が伸びることによって極板群の弛みが許容されるため、極板群の膨張を吸収できる空間が極板群を巻いた後にも確保される。これにより、充電に伴う電池の厚さの増加を抑制できる。
特開2006−302801号公報
特開2006−302801号公報に記載された技術によれば、確かに、厚さの増加を抑制する一定の効果を享受できるものの、その効果は必ずしも十分でない。こうした事情に鑑み、本発明は、充電に伴う電池の厚さの増加を抑制するための更なる改善技術の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、
扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池であって、
正極板、負極板およびセパレータを含み、扁平な形状に巻かれた極板群と、
前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に組み込まれた、多孔性を有する弾性部材と、
を備えた、リチウムイオン二次電池を提供する。
他の側面において、本発明は、
扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
正極板、セパレータおよび負極板を準備する工程と、
前記正極板、前記セパレータおよび前記負極板を組み合わせて極板群を形成するとともに、前記極板群を巻く工程と、
前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に、多孔性を有する弾性部材が組み込まれるように、前記巻き工程の終了時点よりも前の段階で、前記弾性部材を前記正極板、前記負極板または前記セパレータの上に配置する工程と、
前記極板群の巻き終わり部を固定する工程と、
を含む、リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。
上記本発明によると、極板群の最外周部分(最も外側の部分)の内側であって巻き方向に関する極板群のコーナー部分に、多孔性の弾性部材が組み込まれる。極板群が膨張すると、多孔性の弾性部材は極板群から荷重を受け、その体積を減少させる。自らの体積を減少させることで、弾性部材は極板群の膨張を許容する。特に、コーナー部分に弾性部材が組み込まれていることにより、電池の面内方向(厚さ方向に垂直な方向)への極板群の膨張が許容される。その結果、充電に伴う電池の厚さの増加を効果的に抑制でき、電池の初期厚さを小さくできる。
なお、本明細書において「電池の初期厚さ」とは、組み立て後に最初に充電した状態での電池の厚さを意味する。
本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の斜視図 図1に示すリチウムイオン二次電池に用いられた極板群の部分断面図 極板群の最外周部分の断面図 弾性部材を配置するべき位置を示す平面図 アルミニウム製の電池ケースを用いた他のリチウムイオン二次電池の分解斜視図 図3に示す極板群を有したリチウムイオン二次電池の製造工程図 巻かれた極板群を作るための各工程の概略図 弾性部材を配置するべき他の位置を示す斜視図 弾性部材を略一周に組み込んだ他の極板群の断面図 特開2006−302801号公報に記載された粘着体の平面図および断面図
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、電池ケース11と、電池ケース11に収容された極板群30とを備えている。電池10は、扁平かつ方形の形状を有する。極板群30も扁平かつ方形の形状を有する。極板群30には、正極リード33および負極リード34が取り付けられている。リード33および34は、それぞれ、電池ケース11の外に取り出されている。
図2に示すように、極板群30は、正極板14、負極板18およびセパレータ15を組み合わせることによって形成されている。正極板14は、正極集電体12と、正極集電体12の両面に設けられた正極活物質層13とで構成されている。負極板18は、負極集電体16と、負極集電体16の両面に設けられた負極活物質層17とで構成されている。セパレータ15は、正極板14と負極板18との間に配置されている。巻かれた極板群30を形成するために、複数のセパレータ15(典型的には2枚)が用いられている。極板群30には、非水電解液が含浸されている。
図3に示すように、極板群30は、渦巻き状に巻かれている。巻かれた極板群30の最外周部分の内側であって巻き方向に関する極板群30のコーナー部分31に、多孔性の弾性部材21が組み込まれている。弾性部材21は、充電に伴う極板群30の膨張を吸収する役割を担っている。極板群30の最外周部分は、末端部としての巻き終わり部32を含む。巻き終わり部32は正極集電体12で構成されているとともに、粘着テープ19(粘着体)で正極集電体12自身に固定されている。なお、「コーナー部分31」とは、巻かれた極板群30の円弧状の部分のことである。「巻き方向」とは、巻かれていない状態での極板群30の長手方向に平行かつ電池10の厚さ方向に直交する方向のことである。
後述する変形例のように、コーナー部分31以外の部分に弾性部材21を組み込むことも可能である。しかし、本実施形態のように、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込めば、弾性部材21自身による極板群30の厚さの増加を回避できる。また、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込んだとしても、充電に伴う電池10の厚さの増加を抑制する効果は十分に得られる。
極板群30は、巻き方向に関して2つのコーナー部分31を有する。本実施形態では、2つのコーナー部分31のそれぞれに弾性部材21が組み込まれている。このようにすれば、極板群30の変形を抑制する効果が電池10の面内方向で均一に得られる。また、電池10の厚さの増加を抑制する効果の向上も期待できる。もちろん、一方のコーナー部分31にのみ弾性部材21が組み込まれていたとしても、厚さの増加を抑制する効果をある程度得ることができる。
本実施形態において、極板群30の最外周部分は、正極集電体12だけで構成されている。すなわち、最外周部分を構成している正極集電体12の上に正極活物質層13が設けられていない。巻き終わり部32も正極集電体12だけで構成されている。そして、正極板14における正極集電体12だけの部分に、弾性部材21が配置されている。詳細には、弾性部材21は、最外周部分を構成している正極集電体12の部分と、最外周部分から見て1周内側に位置している正極集電体12の部分との間に配置されている。最外周部分から見て1周内側に位置している正極集電体12の部分には、片面にのみ正極活物質層13が設けられている。このように、正極活物質層13が設けられていない領域に弾性部材21を配置すれば、発電に寄与しない活物質が生じることを回避できる。
図示を省略するが、正極板14と負極板18との位置関係を逆にすることによって、極板群30の最外周部分を負極集電体16だけで構成することも可能である。この場合、弾性部材21は、最外周部分を構成している負極集電体16の部分と、最外周部分から見て1周内側に位置している負極集電体16の部分との間に配置されうる。さらに、本実施形態では、正極集電体12だけで構成されている部分が約1周形成されている。しかし、正極集電体12または負極集電体16だけで構成されている部分が1周を超えて形成されていたとしても、その部分は「最外周部分」の概念に含まれる。言い換えれば、「最外周部分」では、正極活物質層と負極活物質層とが向かい合っていない。
正極活物質層13が設けられていない正極集電体12の部分に弾性部材21を配置すると、次のような効果が得られる。まず、正極活物質層13を設けないことによって、極板群30の寸法を小さくできる。さらに、正極活物質層13が設けられていない正極集電体12の部分の表面に、弾性部材21を粘着剤、粘着テープ等で容易に取り付けることができる。こうした効果は、最外周部分を負極集電体16だけで構成する場合も同様に得られる。
ところで、極板群30の最外周部分以外の部分の内側に空間が存在する場合にも、極板群30の膨張を吸収する効果は得られる。一例として、本発明者は、次のような予備実験を行った。
まず、45μmの厚さおよび10mmの幅を有するスペーサ(第1スペーサ)を準備した。次に、図6を参照して後述する方法で、8重巻きの極板群を作製した。極板群を巻くとき、全ての巻き回数でコーナー部分に第1スペーサを挿入した。つまり、合計で16個の第1スペーサを使用した。巻き工程の後、第1スペーサを極板群から抜き取った。これにより、全ての巻き回数のコーナー部分に第1スペーサに由来する空間が形成された極板群を得た。得られた極板群を電池ケースに収容させた。
他方、360μmの厚さおよび10mmの幅を有するスペーサ(第2スペーサ)を準備した。次に、図6を参照して後述する方法で、8重巻きの極板群を作製した。極板群を巻くとき、最外周部分の内側における2つのコーナー部分に第2スペーサをそれぞれ挿入した。巻き工程の後、第2スペーサを極板群から抜き取った。これにより、最外周部分の内側における2つのコーナー部分に第2スペーサに由来する空間が形成された極板群を得た。得られた極板群を電池ケースに収容させた。
上記の方法で製造した2種類の電池の初期厚みを測定したところ、いずれも5.51mmであった。この予備実験の結果は、極板群の内部のどの位置に空間が形成されていたとしても、初期厚さの増加を抑制する効果が得られることを示している。
そうだとすれば、最外周部分の内側に弾性部材21を組み込むのが最も好都合である。なぜなら、極板群30の内部の活物質層13および17が設けられている部分に弾性部材21を配置すると、弾性部材21で覆われた部分の活物質が無駄になるからである。活物質層13および17が設けられていない部分を極板群30の内部に形成してもよいが、集電体12および16の上に活物質層13および17を形成するための各工程が複雑になる可能性がある。また、電池の容量が低下する可能性もある。
弾性部材21は、多孔性を有する材料で作ることができる。多孔性を有する材料で弾性部材21が作られていると、弾性部材21自身の形状の変化および体積の変化によって、極板群30の膨張を吸収できる。逆に、弾性を有していたとしても、単なるゴムのような材料は多孔性を有さず、荷重を受けても体積の変化を殆ど伴わないので、本発明における弾性部材21の材料としての利用価値は低い。また、弾性部材21は、絶縁性を有していることが好ましく、典型的には樹脂材料で作ることができる。
具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料で弾性部材21を作ることができる。これらの材料は、リチウムイオン二次電池の一般的な電解液に溶解せず、電池の特性に影響を及ぼさないので好ましい。より詳細には、弾性部材21は、上記材料の発泡体で構成できる。上記材料の発泡体は、荷重を受けたときに形状の変化および体積の変化を起こす。すなわち、弾性部材21に要求される性質を満たす。また、連続気泡の発泡体および独立気泡の発泡体のいずれも使用できる。
なお、弾性部材21に要求される「弾性」は、必ずしもゴム弾性を意味するものではなく、形状の変化および体積の変化によって極板群30の膨張を許容できる範囲での弾性を意味する。例えば、室温で10MPaの圧力を加えたときに、10%以上の体積変化を生ずる材料を弾性部材21に使用できる。また、弾性部材21が変形後に元の形状に容易に復帰できる性質を有していると、電池10の製造過程で弾性部材21をロール等で挟んで搬送することも可能となる。
弾性部材21の寸法に特に限定はなく、弾性部材21を組み込むべき極板群30の設計に応じて適宜調整すべきである。図4に示すように、極板群30(巻かれていない)の幅方向WDに関して、弾性部材21の寸法W1は、例えば、正極集電体12の寸法W2以上、セパレータ15の寸法W3以下に調整されうる。すなわち、幅方向WDに関して、弾性部材21は、正極集電体12を横切る範囲に設けられている。このようにすれば、電池10の面内方向への極板群30の膨張を均一に吸収できる。また、弾性部材21は、極板群30の長手方向LDに関して、所定の長さL1を有している。この所定の長さL1は、例えば、弾性部材21をコーナー部分31だけに組み込んだときに、弾性部材21によって電池10の厚さを増加させない範囲に調整されている。弾性部材21の形状も特に限定されず、板状、角棒状、丸棒状等の各種形状を採用できる。さらに、弾性部材21は、コーナー部分31に沿う形状、例えば三日月形の断面を有する形に予め成形されていてもよい。
図3において、セパレータ15の端部は、コーナー部分31の直前で途切れているが、コーナー部分31まで延びていることもある。つまり、弾性部材21の一部または全部をセパレータ15の端部で構成できる可能性がある。他方、本実施形態では、弾性部材21は、セパレータ15とは別の部材で構成されている。この場合、弾性部材21は、セパレータ15の厚さを明白に超える厚さを有している。なお、弾性部材21の厚さは、極板群30を解いた状態において、極板群30の厚さ方向に関する弾性部材21の寸法で特定される。
上記のような弾性部材21を極板群30の内部に組み込む。弾性部材21は、自己の収縮により、正極活物質からのリチウムイオンの脱ドープによる正極板14の体積膨張と、負極活物質へのリチウムイオンのドープによる負極板18の体積膨張とを吸収できる。充電時に極板の体積膨張に伴う極板群30の膨張が許容されるので、極板群30の変形を抑制できるとともに、電池10の厚さの増加も抑制できる。
次に、電池10の他の要素について個別に説明する。
正極集電体12は、金属箔、典型的にはアルミニウム製の箔でできている。金属箔は、ラス加工またはエッチング処理されていてもよい。正極活物質層13は、正極活物質、結着剤および導電剤を含む。正極板14の厚さは、十分な柔軟性を確保できる範囲、例えば、50〜200μmの範囲にある。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる物質であれば特に限定されず、例えば、リチウム含有遷移金属化合物を使用できる。リチウム含有遷移金属化合物として、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属とリチウムとの複合金属酸化物を例示できる。リチウムを含む複合金属酸化物として、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiCoxNi(1-x)2(0<x<1)、LiCrO2、αLiFeO2およびLiVO2等を例示できる。
結着剤としては、フッ素樹脂、アクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ビニル樹脂等を使用できる。これらの結着剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、上に列挙した樹脂に用いられた2種以上のモノマーの共重合体を結着剤として使用してもよい。フッ素を含む結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体、およびポリテトラフルオロエチレン等を例示できる。
導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素材料を使用できる。これらの炭素材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
負極集電体16としては、銅製の箔または銅合金製の箔を好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。また、箔の具体例として、圧延箔、電解箔等が挙げられる。箔の形状は特に限定されず、孔開き箔、エキスパンド材、およびラス材等であっても構わない。また、予め粗化処理を施した電解銅箔、粗化処理を施した圧延銅箔も使用できる。
負極活物質層17は、負極活物質を主成分(質量比で最も多く含まれている成分)として含み、任意成分として結着剤および/または導電剤を含む。負極板18の厚さは、十分な柔軟性を確保できる範囲、例えば、50〜210μmの範囲にある。
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および脱離しうる材料、例えば、黒鉛型結晶構造を有するグラファイトを含む材料が挙げられる。そのような材料としては、天然黒鉛、球状または繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、および易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。また、シリコン、錫、シリコンと錫との合金、酸化シリコンや酸化錫等の酸化物、窒化シリコン等の窒化物も、高いエネルギー密度を得るうえで好適に使用できる。
結着剤、導電剤および増粘剤等の任意の添加剤については、正極活物質層13と同じものを負極活物質層17に使用できる。
セパレータ15としては、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜等のポリオレフィン微多孔膜が挙げられる。これらは、単層で使用可能であり、2以上を積層したものも使用可能である。例えば、ポリエチレン微多孔膜の両面にポリプロピレン微多孔膜を積層したものをセパレータ15として使用できる。セパレータ15は、例えば、8〜30μmの範囲の厚さを有する。
電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製されうる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジメトキシプロパン、4−メチル−2−ペンタノン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、スルホラン、3−メチル−スルホラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、リン酸トリメチル、およびリン酸トリエチル等を使用できる。これらの非水溶媒は、単独または2種類以上の混合溶媒として、使用できる。
電解質としては、例えば、電子吸引性の強いリチウム塩を使用できる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、およびLiC(SO2CF33等が挙げられる。これらの電解質は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの電解質は、例えば0.5〜1.8mol/リットルの範囲の濃度で非水溶媒に溶解される。
粘着テープ19の材料は、非水電解液に溶解したり、分解したりすることがなければ特に限定されない。粘着テープ19の粘着剤としては、例えば、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルモノマーとアクリル酸ヒドロキシエチル等のモノマーとの共重合体を部分的に架橋したものが挙げられる。粘着テープ19の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびポリメチルメタクリレート等の樹脂でできた無延伸または延伸フィルムが挙げられる。
電池ケース11としては、アルミニウム箔等の金属箔をポリエチレンテレフタレート等の樹脂でラミネートした包材、いわゆるラミネート包材を使用できる。ラミネート包材は、電池の軽量化および薄型化に有利である反面、可撓性を有していることから、極板群30の変形の影響を受けやすい。そのため、ラミネート包材を用いたリチウムイオン二次電池に本発明を適用すれば、より高い効果を得ることができる。
また、図5に示すように、ラミネート包材に代えて、硬質な材料でできた電池ケース41に極板群30を収容させてもよい。この場合、耐圧強度の観点から、電池ケース41の材料として、マンガン、銅等の金属を微量に含有するアルミニウム合金、またはニッケルメッキを施した鋼鈑を好適に使用できる。電池ケース41は、上端が開口している有底のケース本体42と、ケース本体42の開口を閉じている封口板43とで構成されている。封口板43の極性端子に負極リード、ケース本体42の極性端子(または封口板43の負極用の端子を除いた部分)に正極リードがそれぞれ電気的に接続されている。封口板43をケース本体42にレーザー溶接した後、封口板43に設けた注液孔(図示せず)から電池ケース41の中に非水電解液を注入する。その後、注液孔に注液栓(図示せず)を取り付けて、レーザー溶接で封口する。
次に、図6に示す工程図を参照しつつリチウムイオン二次電池の製造方法を説明する。
まず、正極板14、セパレータ15および負極板18を準備する(ステップS1)。正極板14は、帯状の正極集電体12に正極合剤を塗布、乾燥および圧延することによって作製できる。正極合剤は、正極活物質、結着剤および導電剤を適切な分散媒と混合することによって調製できる。正極合剤を正極集電体12の片面または両面に塗布、乾燥および圧延することによって、正極活物質層13を形成できる。
分散媒としては、結着剤を溶解できる溶媒が適切である。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、およびメチルエチルケトン等の有機溶媒を好適に使用できる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、結着剤を溶解できる限りにおいて、水または温水を分散媒として使用してもよい。
また、分散剤、界面活性剤、安定剤等の添加剤を必要に応じて正極合剤に加えてもよい。さらに、必要に応じて、エチレン−ビニルアルコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、およびメチルセルロース等の増粘剤を正極合剤に加えてもよい。
正極集電体12に正極合剤を塗布する方法は特に限定されない。例えば、スリットダイコータ、リバースロールコータ、リップコータ、ブレードコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、およびディップコータ等を用いて容易に塗布できる。塗布した正極合剤を乾燥させる方法も特に限定されず、自然乾燥および加熱乾燥のいずれも採用できる。生産性を考慮して、例えば、70〜200℃の雰囲気温度で10分間〜5時間乾燥させる方法を推奨できる。圧延は、ロールプレス機を用いて行える。所定の厚さの正極活物質層13が形成されるように、数回の圧延を行ってもよいし、圧力を変えながら圧延を行ってもよい。
負極板18も正極板14と同じように、負極合剤を帯状の負極集電体16の上に塗布、乾燥および圧延することによって作製できる。負極合剤は、負極活物質を適切な分散媒と混合することによって調製できる。負極合剤を負極集電体16の片面または両面に塗布、乾燥および圧延することによって、負極活物質層17を形成できる。負極合剤は、必要に応じて、結着剤、導電剤および増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。
負極活物質としてシリコンおよび錫等の高容量材料を用いる場合には、これらの高容量材料を負極集電体16の上に真空プロセスで堆積させることによって、負極活物質層17を形成できる。具体的には、蒸着法、スパッタ法、CVD法(Chemical Vapor Deposition Method)等の真空プロセスを採用できる。中でも、蒸着法が効率的に負極活物質層17を形成する観点から望ましい。蒸着法として、電子ビーム蒸着および抵抗加熱蒸着のいずれも採用できる。高容量材料の酸化物および/または窒化物の蒸着を行う場合には、酸化物および/または窒化物を蒸発材料として使用できる。さらに、高容量材料を蒸発させながら酸素ガス、窒素ガス、またはこれらのガスをイオン化ないしラジカル化したものを蒸発源の上方に供給することによって、反応性蒸着を行ってもよい。
なお、極板群30の最外周部分を構成するべき正極板14の部分には、正極集電体12だけで構成された部分を残す点に留意する。同様に、極板群30の巻き始め部を構成するべき負極板18の部分には、負極リード34を取り付けるために、負極集電体16だけで構成された部分を残す点に留意する。
上記の方法で作製された正極板14および負極板18は、それぞれ、供給ロールに巻き取られた状態で、次の工程に供される。セパレータ15も、予め所望の幅に切断されるとともに、供給ロールに巻き取られた状態で、次の工程に供される。
次に、正極板14、セパレータ15および負極板18を組み合わせて極板群30を形成する工程を実施する(ステップS2)。具体的には、図7に示すように、正極板14、セパレータ15および負極板18を供給ロール44〜47から貼り合わせロール48に向けて繰り出す。貼り合わせロール48において正極板14、セパレータ15および負極板18が互いに貼り合わされて、巻かれていない極板群30が形成される。図3に示す構造の巻かれた極板群30を得るために、正極板14、セパレータ15および負極板18は、貼り合わせロール48の直前において、それぞれ、所定の長さに切断される。正極板14、セパレータ15および負極板18には、いわゆる巻きずれが起こらないように十分な張力が付与されている。
次に、極板群30を巻く工程を実施する(ステップS3)。具体的には、図7に示すように、極板群30を巻き芯36に巻きつける。
さらに、巻き工程を実施しながら、弾性部材21を正極集電体12の上に配置する(ステップS4)。つまり、巻き工程の途中に、弾性部材21を配置する工程を実施する。具体的には、図7に示すように、貼り合わせロール48と巻き芯36との間の極板群30の搬送経路上に部品供給機37を配置し、部品供給機37を用いて正極集電体12の上に弾性部材21を載せる。巻き工程の開始後、極板群30の最外周部分を構成するべき正極集電体12の部分が部品供給機37の有効領域(本実施形態では真下)に到来したら、巻き芯36、搬送ローラ49および貼り合わせロール48等を駆動するためのアクチュエータを一時停止する。部品供給機37には、予め弾性部材21が保持されている。CCD(Charge-Coupled Device)カメラ等の検知器で正極集電体12の位置を確認しつつ、部品供給機37から正極集電体12の上に弾性部材21を移す。弾性部材21は、粘着テープ、粘着剤等を用いて正極集電体12に取り付けることができる。巻かれた極板群30の両コーナー部分31に弾性部材21が組み込まれるように、極板群30を巻く工程と弾性部材21を配置する工程とを交互に実施する。
なお、弾性部材21を正極集電体12の上に配置する工程を実施するタイミングは、図7に示す例に限定されない。例えば、正極板14、セパレータ15および負極板18を準備する工程と、極板群30を巻く工程との間に、弾性部材21を配置する工程を実施できる。具体的には、供給ロール47と貼り合わせロール48との間の搬送経路上で、正極集電体12の上に弾性部材21を配置しうる。また、最外周部分が負極集電体16で構成される場合には、弾性部材21を負極集電体16の上に配置しうる。さらに、セパレータ15の上に弾性部材21を配置する方法も考えられる。すなわち、巻かれた極板群30の最外周部分の内側であって巻き方向に関する極板群30の少なくとも一方のコーナー部分31に、弾性部材21が組み込まれるように、巻き工程の終了時点よりも前の段階で、弾性部材21を正極板14、負極板18またはセパレータ15の上に配置しうる。
弾性部材21を正極集電体12の上に配置し終えたら、巻き芯36および搬送ローラ49等を再び回転させて極板群30を最後まで巻く(ステップS5)。極板群30を巻き終えたら、巻き終わり部32を粘着テープ19で固定する(ステップS6)。
巻き終り部32を固定した後、所定の厚さとなるように極板群30をプレス加工する(ステップS7)。これにより、極板群30に扁平な形状が付与される。極板群30を電池ケース11(または41)に収容させる(ステップS8)。電池ケース11に電解液を注入後、電池ケース11を封口する(ステップS9およびS10)。これにより、コーナー部分31に弾性部材21が組み込まれた極板群30を有する電池10が得られる。なお、プレス加工は省略可能である。
ところで、極板群の膨張を吸収できる空間を確保するために、極板群を巻くときに、極板群に付与する張力を弱めればよいのではないかとも思われる。しかし、極板群に付与する張力を弱めると、いわゆる「巻きずれ」の起こる可能性が高まる。「巻きずれ」とは、正極板、負極板およびセパレータの各位置が、設計上の位置からずれる現象のことである。「巻きずれ」の発生は、歩留まりの低下および生産性の低下を招く。
また、極板群の膨張を吸収できる空間を確保するために、極板群を巻くときに、「多孔性の弾性部材21」に代えて、巻き工程の途中で極板群に対して何らかの冶具を挿入する方法も考えられる。しかし、極板群を巻くスピードが非常に速いことを考慮すると、そのような方法は現実的でない。巻き回数等の設計条件にもよるが、巻きスピードを相当落とさない限り、巻き工程の途中で極板群に対して冶具を挿入するのは困難である。さらに、巻かれた極板群から冶具を引き抜くときにセパレータ等の部品にダメージが及ぶ可能性も否定できない。
これに対し、本実施形態の方法によると、極板群30に付与する張力を弱める必要もないし、弾性部材21を事後的に取り除く必要もない。そのため、歩留まりの低下および生産性の低下を招来しにくい。また、セパレータ15等の部品にダメージが及ぶおそれも殆どない。
なお、極板群が円筒状に巻かれている場合、厚さの増加の問題は、扁平な形状の極板群の場合に比べて起こりにくい。なぜなら、円筒の形状を有する極板群は、自己緊縛により、扁平な形状の極板群に比べて変形しにくいからである。ただし、このことは、円筒状のリチウムイオン二次電池への本発明の適用を妨げるものではない。
(変形例)
実施形態で説明した弾性部材21は、正極活物質層13の終端に重なる位置まで延びていてもよい。そのような構造によると、次のような効果が得られる。当業者に知られているように、負極活物質層は、一般に、平面視で、正極活物質層よりも広い。また、リチウムイオン二次電池の安全性を高めるために、従来から、ポリフェニレンサルファイド等の絶縁テープを正極活物質層の終端において、正極活物質層を覆うように正極板とセパレータとの間、または負極活物質層を覆うように負極板とセパレータとの間に配置している。この絶縁テープは、本発明における弾性部材21とは異なるものである。しかし、本発明における弾性部材21と、従来のリチウムイオン二次電池における絶縁テープとを一つの部材で構成すれば、部品点数を削減できるとともに、工程数も削減できる可能性がある。
図8に示すように、変形例にかかる弾性部材21Aは、極板群30の長手方向LDに関して、正極活物質層13の終端13eに重なる位置まで延びている。終端13eに重なる位置において、弾性部材21Aは、正極活物質層13とセパレータ15との間に挟まれている。長手方向LDに関して、弾性部材21Aの厚さを適切に調整すれば、弾性部材21Aの薄肉の部分を正極活物質層13とセパレータ15との間に無理なく挟める。弾性部材21Aは、負極活物質層17とセパレータ15との間に挟まれていても構わない。このような構造によると、正極集電体12と負極活物質層17との間の絶縁を確実に確保できるとともに、正極活物質層13の終端13eの近傍での不具合、例えば、リチウムの析出による短絡を確実に防止できる。また、弾性部材21Aを追加的に設けることによる部品点数の増加も回避できる。
また、図9に示すように、コーナー部分31だけでなく、極板群30の平らな部分に弾性部材21が組み込まれていてもよい。図9に示す変形例では、極板群30の最外周部分の内側に、極板群30の1周分に相当する長さの弾性部材21が組み込まれている。
(実施例1)
LiCoO2を100重量部、アセチレンブラックを2重量部、ポリフッ化ビニリデンを3重量部、および適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して正極合剤を得た。この正極合剤を、厚さ15μmの帯状のアルミニウム箔でできた正極集電体上に塗布した。極板群の最外周部分を構成するべき正極集電体の部分には正極合剤を塗布しなかった。塗布した正極合剤を110℃で5分間乾燥させた後、3回圧延を行った。
アルミニウム製の正極リードをスポット溶接により正極集電体に固定した。内部短絡を防止するために、正極リードを挟むようにポリプロピレン製の絶縁粘着体を正極集電体に貼り付けた。このようにして、幅35mm、長さ460mm、厚さ0.14mmの正極板を準備した。
鱗片状黒鉛を100重量部、スチレン−ブタジエンゴムの水溶性ディスパージョンを固形分に換算して1重量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースを1重量部、および適量の水を混合して負極合剤を得た。この負極合剤を、厚さ10μmの帯状の銅箔でできた負極集電体に塗布した。塗布した負極合剤を110℃で30分間乾燥させた後、圧延を行った。
ニッケル製の負極リードをスポット溶接により負極集電体に固定した。内部短絡を防止するために、負極リードを挟むようにポリプロピレン製の絶縁粘着体を負極集電体に貼り付けた。このようにして、幅36mm、長さ450mm、厚さ0.14mmの負極板を準備した。
次に、セパレータを介して正極板および負極板を組み合わせて極板群を形成するとともに、極板群を巻いた。極板群の2つのコーナー部分に多孔性の弾性部材を組み込んだ。巻き終わり部を粘着テープで固定した。これにより、図3を参照して説明した構造を有する極板群を得た。セパレータとして、厚さ16μmのポリエチレン微多孔膜を用いた。多孔性を有する弾性部材として、1mm×1mm×36mmの寸法の角棒状に切断したポリエチレンフォーム(不二紙化工業社製、特殊ポリエチレンフォーム(30倍発泡・独立気泡)、厚さ1mm)を用いた。弾性部材を正極集電体に取り付けるために粘着剤(アクリル系粘着剤)を用いた。巻き終わり部を固定するための粘着テープとして、ポリフェニレンサルファイドでできた厚さ20μmの基材と、アクリル酸ブチルでできた厚さ5μmの粘着剤層とを有するものを用いた。
その後、プレス加工により、極板群に扁平な形状を付与した。得られた極板群をラミネート包材でできた電池ケースに収容した。ラミネート包材として、厚さ100μmのアルミニウム箔の両面に厚さ10μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせたものを使用した。
極板群を電池ケースに収容させた後、85℃の温度で極板群を2時間真空乾燥させた。乾燥終了後、カールフィシャー式水分計で極板群に含まれている水分量を測定した。極板群の水分量が100ppm以下であることを確認した。
エチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:2の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/リットルの濃度で溶解させた。これにより、非水電解液を得た。非水電解液を電池ケースに注入し、熱溶着によって電池ケースを封口した。このようにして、800mAhの電池容量(設計値)を有する角型リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
弾性部材を組み込まなかった点を除き、実施例1と同じ方法で角型リチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例2)
巻き終わり部を固定するための粘着テープとして、図10に示す構造を有するものを用いた点を除き、実施例1と同じ方法で角型リチウムイオン二次電池を製造した。図10に示す粘着テープ50は、基材51と、基材51の両端に設けられた粘着剤層52とで構成されている。粘着テープ50によると、折り目部53が伸びることによって極板群の膨張が許容される。すなわち、本比較例2は、特開2006−302801号公報の実施例4を再現した例である。
<初期厚さの測定>
実施例1、比較例1および比較例2の電池を3個ずつ製造し、各電池の初期厚さを以下の方法で測定した。なお、組み立て直後の各電池は、設計値として、4.9mmの厚さを有していた。
具体的には、20℃の環境下において、電池の電圧が4.2Vに達するまで定電流800mA(1.0CmA)で充電し、さらに、電流が40mA(0.05CmA)に減衰するまで定電圧で充電した。充電には、約2時間かかった。充電後、シックネスゲージを用いて電池の平らな部分の厚さを9点で測定し、9点の平均値を「電池の初期厚さ」として求めた。結果を表1に示す。
Figure 2011086904
平均値に着目すると、実施例1および比較例2の電池は、比較例1の電池の初期厚さよりも小さい初期厚さを有していた。ただし、比較例2は、実施例1に匹敵する良好な結果を示した電池(5.21mm)と、比較例1の平均値と同程度の結果を示した電池(5.29mm)とが混在していた。これに対し、実施例1は、全ての電池で良好な結果を示した。つまり、実施例1は、得られた効果のバラつきが小さかった。実施例1によると、両コーナー部分において極板群の膨張を均一に吸収できたため、初期厚さのバラつきも小さくなったと推測される。
本発明は、扁平な形状のリチウムイオン二次電池、特に、小型電子機器用電源としての薄いリチウムイオン二次電池に有用である。
図3において、セパレータ15の端部は、コーナー部分31の直前で途切れているが、コーナー部分31まで延びていることもある。本実施形態では、弾性部材21は、セパレータ15とは別の部材で構成されている。この場合、弾性部材21は、セパレータ15の厚さを明白に超える厚さを有している。なお、弾性部材21の厚さは、極板群30を解いた状態において、極板群30の厚さ方向に関する弾性部材21の寸法で特定される。

Claims (11)

  1. 扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池であって、
    正極板、負極板およびセパレータを含み、扁平な形状に巻かれた極板群と、
    前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に組み込まれた、多孔性を有する弾性部材と、
    を備えた、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記弾性部材が前記コーナー部分だけに組み込まれている、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記極板群が前記巻き方向に関して2つの前記コーナー部分を有し、
    2つの前記コーナー部分のそれぞれに前記弾性部材が組み込まれている、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極板が、正極活物質層および正極集電体を含み、
    前記負極板が、負極活物質層および負極集電体を含み、
    前記極板群の最外周部分を構成している前記正極集電体または前記負極集電体の上に前記正極活物質層または前記負極活物質層が設けられていない、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記弾性部材は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料でできている、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記弾性部材が前記材料の発泡体で構成されている、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 扁平な形状を有するリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
    正極板、セパレータおよび負極板を準備する工程と、
    前記正極板、前記セパレータおよび前記負極板を組み合わせて極板群を形成するとともに、前記極板群を巻く工程と、
    前記極板群の最外周部分の内側であって巻き方向に関する前記極板群のコーナー部分に、多孔性を有する弾性部材が組み込まれるように、前記巻き工程の終了時点よりも前の段階で、前記弾性部材を前記正極板、前記負極板または前記セパレータの上に配置する工程と、
    前記極板群の巻き終わり部を固定する工程と、
    を含む、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 前記弾性部材を前記コーナー部分だけに組み込む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 前記巻き方向に関して前記極板群が2つの前記コーナー部分を有し、
    2つの前記コーナー部分のそれぞれに前記弾性部材を組み込む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 前記正極板が、正極活物質層および正極集電体を含み、
    前記負極板が、負極活物質層および負極集電体を含み、
    前記極板群の最外周部分を構成している前記正極集電体または前記負極集電体の上に前記正極活物質層または前記負極活物質層が設けられておらず、
    前記弾性部材を配置する工程において、前記正極板における前記正極集電体だけの部分または前記負極板における前記負極集電体だけの部分に、前記弾性部材を配置する、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  11. 前記準備工程と前記巻き工程との間、または前記巻き工程の途中に、前記弾性部材を配置する工程を実施する、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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