JPWO2011086769A1 - パネル床構造及び建築構造物 - Google Patents

パネル床構造及び建築構造物 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2011086769A1
JPWO2011086769A1 JP2011505306A JP2011505306A JPWO2011086769A1 JP WO2011086769 A1 JPWO2011086769 A1 JP WO2011086769A1 JP 2011505306 A JP2011505306 A JP 2011505306A JP 2011505306 A JP2011505306 A JP 2011505306A JP WO2011086769 A1 JPWO2011086769 A1 JP WO2011086769A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration system
surface material
floor structure
width direction
length direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011505306A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4880087B2 (ja
Inventor
誠明 中安
誠明 中安
半谷 公司
公司 半谷
岡田 忠義
忠義 岡田
豊樹 山本
豊樹 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2011505306A priority Critical patent/JP4880087B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4880087B2 publication Critical patent/JP4880087B2/ja
Publication of JPWO2011086769A1 publication Critical patent/JPWO2011086769A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04FFINISHING WORK ON BUILDINGS, e.g. STAIRS, FLOORS
    • E04F15/00Flooring
    • E04F15/02Flooring or floor layers composed of a number of similar elements
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04BGENERAL BUILDING CONSTRUCTIONS; WALLS, e.g. PARTITIONS; ROOFS; FLOORS; CEILINGS; INSULATION OR OTHER PROTECTION OF BUILDINGS
    • E04B5/00Floors; Floor construction with regard to insulation; Connections specially adapted therefor
    • E04B5/02Load-carrying floor structures formed substantially of prefabricated units
    • E04B5/10Load-carrying floor structures formed substantially of prefabricated units with metal beams or girders, e.g. with steel lattice girders

Abstract

このパネル床構造は、互いに所定間隔をあけて略平行に配置された上面材及び下面材と、これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、前記上面材及び前記下面材の長さ寸法、幅寸法、板厚、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法、板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)及び下記(B)を満たすように調整されている。(A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。(B)前記上面材、前記下面材、あるいは、前記芯材それぞれの部分振動系の1次固有振動数が707Hz以上20000Hz以下である。

Description

本発明は、建築構造物の床に適用されるパネル床構造及び建築構造物に関する。特に、遮音性を向上させるのに好適なパネル床構造及びこのパネル床構造を備えた建築構造物に関する。
本願は、2010年01月14日に、日本に出願された特願2010−005543号、及び2010年05月20日に、日本に出願された特願2010−116764号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
床構造の一つとして、互いに間隔を空けて平行に配置された鋼製の上面材及び下面材と、上面材及び下面材の間に配置される鋼製の芯材とにより構成されるパネル床構造が提案されている。このパネル床構造では、コンクリートを用いる従来の床構造より軽量であることから、地震時の水平外力を低減することができ、柱、梁、杭、基礎といった構造部材の数量を削減することができる。これにより、建築物全体の軽量化とコスト削減を図ることができ、合理的かつ経済的な構造設計が可能になるというメリットがある。
ここで、建築物における床構造に関しては、特に重量床衝撃音に対する遮音性を優れたものにすることが要求される。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献1においては、パネル部材を支持する梁部材の長さ方向の中間部を保持してその梁部材を固定する振れ止め材を設置する。振れ止め材を設置した後の梁部材振動モードの腹部分に、固有振動数が44〜88Hzの範囲内となるように設定されたダイナミックダンパを設置する建築用制振構造が開示されている。これにより、梁部材の振動時における節同士の間隔を短くして梁部材及びパネル部材の振動の振幅を小さくする。そして、逆位相の振動により応答を低減させて、遮音性を向上させている。
また、特許文献2においては、上階床部の振動に対して逆位相で振動することで上階床部の振動を低減するダンパを上階床部に設ける。更に、上階床部の下方に設けられる下階天井部の固有振動数をダンパの固有振動数とは異なる値に設定した建築用制振構造が開示されている。これにより、特許文献2の開示技術は、ダンパによって上階床部の特定の振動数の振動を抑制し、さらに、上階床部の振動に起因した下階床部での振動の励起を効果的に抑制することにより、44.5Hz〜89.1Hzの帯域の振動に対する遮音性を向上させている。
特開2007−126940号公報 特開2007−211415号公報
ところで、特許文献1に開示されている技術は、振れ止め材を備えることにより、床や天井等のパネル部材の振動を効果的に抑制している。また、特許文献2に開示されている技術は、ダンパを備えることにより、上階床部にて生じた振動に起因した下階天井部での音の発生を防止、または、低減している。
しかしならが、振れ止め材やダンパを備えた構成では、コストがかかり、配置も考慮しなくてはならないので、煩雑になる。さらには、振れ止め材やダンパを備えた分、全体の質量も重くなってしまう。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、簡単な構成で、軽量化を図りつつ、重量床衝撃音に対する遮音性を向上させることが可能なパネル床構造及び建築構造物の提供を目的とする。
(1)本発明の一態様に係るパネル床構造は、互いに所定間隔をあけて略平行に配置された上面材及び下面材と、これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、前記上面材及び前記下面材の長さ寸法及び幅寸法、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法及び幅寸法及び板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)及び下記(B)を満たすように調整されている。
(A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。
(B)前記上面材、前記下面材、あるいは、前記芯材それぞれの部分振動系の1次固有振動数が707Hz以上20000Hz以下である。
(2)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(1)を満たす等方性を有し;前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(2)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面における断面2次モーメント(mm
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
: 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
(3)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(3)を満たす等方性を有し;前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(4)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ν : 前記全体振動系のポワソン比
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面の断面積(mm
: 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
: 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
(4)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(5)を満たす異方性を有し;前記全体振動系の前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(6)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
: 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
(5)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(7)を満たす異方性を有し;前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(8)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Figure 2011086769
: 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
: 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
ν : 前記全体振動系のポワソン比
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
Sx : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
Sy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面の断面積(mm
(6)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(9)を満たす等方性を有し;前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(10)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面における断面2次モーメント(mm
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
: 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
(7)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(11)を満たす等方性を有し;前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(12)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ν : 前記全体振動系のポワソン比
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記横架材の長さ方向に直交する断面の断面積(mm
: 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
: 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
(8)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(13)を満たす異方性を有し;前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(14)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
: 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
: 前記全体振動系の前記幅方向に直交する鉛直断面の断面積(mm
: 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向の前記横架材の配置間隔(mm)
(9)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系が下記数式(15)を満たす異方性を有し;前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(16)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Figure 2011086769
: 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
: 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
ν : 前記全体振動系のポワソン比
: 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
Sx : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
Sy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面の断面積(mm
(10)上記(1)〜上記(9)のいずれか1項に記載のパネル床構造では、前記芯材と前記上面材との接触部に、前記上面材及び前記芯材を固定する第1芯材固定部材と、前記芯材と前記下面材との接触部に、前記下面材及び前記芯材を固定する第2芯材固定部材と、をさらに備え;前記上面材及び前記下面材の1次固有振動数fが下記数式(17)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
: 前記上面材または前記下面材のヤング係数(N/mm
: 前記上面材または前記下面材の厚み(mm)
ρ : 前記上面材または前記下面材の密度(kg/m
ν : 前記上面材または前記下面材のポワソン比
: 前記上面材または前記下面材の前記長さ方向の長さ(mm)
: 前記芯材間の配置間隔(mm)
(11)上記(1)〜上記(9)のいずれか1項に記載のパネル床構造では、前記芯材と前記上面材との接触部に、前記上面材及び前記芯材を固定する複数の固定部材と、前記芯材と前記下面材との接触部に、前記下面材及び前記芯材を固定する複数の固定部材と、をさらに備え;前記上面材及び前記下面材の1次固有振動数f10が下記数式(18)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
: 前記上面材または前記下面材のヤング係数(N/mm
: 前記上面材または前記下面材の厚み(mm)
ρ : 前記上面材または前記下面材の密度(kg/m
ν : 前記上面材または前記下面材のポワソン比
: 前記上面材または前記下面材の前記長さ方向の長さ(mm)
: 前記芯材間の配置間隔(mm)
(12)上記(1)〜上記(9)のいずれか1項に記載のパネル床構造では、前記芯材の1次固有振動数f11が下記数式(19)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
: 前記芯材のヤング係数(N/mm
: 前記芯材の板厚方向の厚み(mm)
ρ : 前記芯材の密度(kg/m
ν : 前記芯材のポワソン比
: 前記芯材の前記長さ方向の長さ(mm)
: 前記所定間隔(mm)
(13)上記(11)に記載のパネル床構造では、前記芯材の1次固有振動数f12が下記数式(20)を満たすことが好ましい。
Figure 2011086769
ただし、
: 前記芯材のヤング係数(N/mm
: 前記芯材の板厚方向の厚み(mm)
ρ : 前記芯材の密度(kg/m
ν : 前記芯材のポワソン比
: 前記芯材の前記長さ方向の長さ(mm)
: 前記所定間隔(mm)
(14)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とを備え;下記数式(21)から(23)を満たすことが好ましい。
EI≧0.65×EIall ・・・(21)
w≧0.40×Mall ・・・(22)
w≧EIw/(k×l4)(k=719) ・・・(23)
ただし、
w :前記芯材の質量(kg/m2
EIf :前記上面材及び前記下面材の曲げ剛性(N・m2
EIw :前記芯材の曲げ剛性(N・m2
all :前記上面材、前記下面材及び前記芯材の合計質量(kg/m2
EIall :前記上面材、前記下面材及び前記芯材の曲げ剛性(N・m2
l :前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(m)
(15)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記芯材が、前記上面材と平面で接触する上平面部と、前記下面材と平面で接触する下平面部と、前記上面材及び前記下面材に対して傾斜した傾斜部とを有し、前記上平面部と、前記傾斜部と、前記下平面部とがこの順に連続して形成されていることが好ましい。
(16)上記(1)に記載のパネル床構造では、前記空間内に、吸音材が充填されていることが好ましい。
(17)本発明の一態様に係るパネル床構造は、互いに所定間隔をおいて略平行に配置された上面材及び下面材と、これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、前記空間内に、充填された吸音材を備え;前記上面材及び前記下面材の長さ寸法、幅寸法、板厚、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法、板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)を満たすように調整されている。
(A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。
(18)上記(1)または上記(17)に記載のパネル床構造では、ウェブと、このウェブの一端に設けられ前記幅方向に延びる上フランジと、前記ウェブの他端に設けられ前記上フランジと逆方向に延びる下フランジとを有し、前記長さ方向に延在するパネル構成部材を複数備え;前記複数のパネル構成部材は、前記上フランジ及び前記下フランジそれぞれが同一平面を形成するように前記幅方向に隣接して配列され;隣接して配列された前記複数の上フランジが、前記上面材を形成し;隣接して配列された前記複数の下フランジが、前記下面材を形成し;前記ウェブが前記芯材であることが好ましい。
(19)本発明の一態様に係る建築構造物は、上記(1)または上記(17)に記載のパネル床構造を備える。
上記(1)に記載のパネル床構造によれば、上面材、下面材、芯材により構成されたパネル床構造は、全体振動系の1次固有振動数と、部分振動系の1次固有振動数とを有する。これらの1次固有振動数が、重量床衝撃音の評価範囲(45Hzを超えて、707Hz未満の範囲)内であると、遮音性が低下する。そこで、本パネル床構造では、上面材及び下面材の長さ寸法及び幅寸法、所定間隔、芯材の長さ寸法及び幅寸法及び板厚、さらには各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが、上記(A)及び上記(B)を満たすように調整されている。これにより、全体振動系の1次固有振動数及び部分振動系の1次固有振動数が重量床衝撃音の評価範囲外となる。したがって、本発明に係るパネル床構造は、ダンパ等の特別な構成を採用しないため、安価な構成により、軽量化を図りつつ、重量床衝撃音に対する遮音性を改善することが可能である。特に、本発明に係るパネル床構造は、単なる面材から構成されるパネル構造によって、優れた剛性、軽量性の発揮という効果を奏しつつ、パネル床構造の遮音性を改善するといった効果が発揮されている。
なお、ここでいう全体振動系の1次固有振動数とは、各振動系の寸法、物性値、断面特性値等から表される上述した数式に基づいて決定される。
上記(2)から(9)に記載のパネル床構造によれば、パネルの性質、横架材の支持位置、固定部材による固定の仕方に応じた数式を用いる。そして、全体振動系の1次固有振動数f〜fが15Hz以上45Hz以下となるように、上面材及び下面材の長さ寸法及び幅寸法、所定間隔、芯材の長さ寸法及び幅寸法及び板厚、さらには各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つを調整する。これにより、より効果的に、重量床衝撃音に対する遮音性に優れたパネル床構造を提供することができる。
上記(10)から(13)に記載のパネル床構造によれば、パネルの性質、横架材の支持位置、固定部材による固定の仕方に応じた数式を用いる。そして、部分振動系の1次固有振動数f〜f12が707Hz以上20000Hz以下となるように、上面材及び下面材の長さ寸法及び幅寸法、所定間隔、芯材の長さ寸法及び幅寸法及び板厚、さらには各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つを調整する。これにより、より効果的に、重量床衝撃音に対する遮音性に優れたパネル床構造を提供することができる。
上記(14)に記載のパネル床構造によれば、従来のパネル床構造全体の質量Mallと同程度で、かつ、全体の曲げ剛性EIallが大幅に低くなっているにも拘わらず、従来と同等又はそれ以上の遮音性を得ることが可能となる。さらに、パネル床構造の厚みも低減させることが可能となる。また、本発明を実現するにあたって、1次固有振動数fを45Hz以上とするために必要な最小質量に対する過度の質量Mallの増大を抑えることができる。これにより、可能なかぎり軽量化を図りつつ、遮音性に関して優れた効果を得ることが可能となる。
本パネル床構造では、重量を過度に増大させずに、遮音性を向上させることができるので、軽量で、遮音性に優れたパネル床構造を提供することができる。このように、パネル床構造を軽量にできる分、柱、梁、杭、基礎といった構造部材の数量を削減することができる。これにより、建築物全体の軽量化とコスト削減を図ることができ、合理的かつ経済的な構造設計をすることが可能となる。また、パネル床構造を薄くすることにより、建築物高さを低減でき、内装材、外装材の使用量の削減を図ることが可能となる。
上記(15)に記載のパネル床構造によれば、芯材が上面平面部と傾斜部と下平面部とがこの順に連続して形成されている。これにより、上面材及び下面材の間の空間を所定の間隔に区切る場合、複数の芯材を用いずに、例えば1枚の板材を折り曲げることにより、空間を区切ることができる。これにより、簡易な構成で、遮音性に優れたパネル床構造を提供することができる。
上記(16)に記載のパネル床構造によれば、空間内に吸音材を備えることにより、より効果的に遮音性を向上させることが可能となる。
上記(17)に記載のパネル床構造によれば、空間内に吸音材を充填することにより、部分振動系の1次固有振動数を707Hz以上20000Hz以下にすることができる。これにより、部分振動系の寸法を調整する必要がなくなるため、全体振動系の寸法を調整するだけで良い。したがって、より簡単な調整で、重量床衝撃音に対する遮音性を向上させことができる。また、本発明の一態様に係るパネル床構造は、ダンパ等の特別な構成を採用することがないため、安価な構成により、重量床衝撃音に対する遮音性を改善することが可能である。特に、単なる面材から構成されるパネル構造によって、優れた剛性、軽量性の発揮という効果を奏しつつ、パネル床構造の遮音性を改善するといった効果が発揮されている。
上記(18)に記載のパネル床構造によれば、パネル構成部材を複数配列することで、パネル床構造を形成することができる。これにより、簡易な構成で、遮音性に優れた床パネル構造を提供することができる。
上記(19)に記載の建築構造物によれば、上記パネル床構造を備えることにより、優れた遮音性を発揮することができる。
本発明の第1実施形態に係るパネル床構造を横架材に配設する前の状態について示す斜視図である。 同パネル床構造を横架材に配設した後の状態を示す側面図である。 同パネル床構造の斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 同パネル床構造を適用した住宅の斜視図である。 同パネル床構造を鉄骨造事務所ビルに適用した場合の斜視図である。 従来と本発明とのパネル床構造の重量床衝撃音試験の試験結果について示すグラフであり、横軸を周波数、縦軸を音圧レベルである。 本発明の第1実施形態に係るパネル床構造の重量床衝撃音試験の試験結果について示すグラフであり、横軸を周波数、縦軸を音圧レベルである。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造を4辺支持により横架材に配設する前の状態について示す斜視図である。 同パネル床構造を配設した後の状態を示す側面図である。 同パネル床構造を配設した後の状態を示す正面図である。 全体振動系の境界条件について説明するための側面図である。 全体振動系の他の境界条件について説明するための側面図である。 全体振動系の他の境界条件について説明するための側面図である。 第1実施形態に係るパネル床構造の部分振動系の境界条件について説明するための正面断面図である。 第1実施形態に係るパネル床構造の部分振動系の他の境界条件について説明するための正面断面図である。 全体振動系の1次固有振動数を決定するにあたって考慮すべき断面を説明するための模式的な斜視図である。 全体振動系の1次固有振動数を決定するにあたって考慮すべき断面を説明するための模式的な斜視図である。 全体振動系の1次固有振動数を決定するにあたって考慮すべき断面を説明するための模式的な斜視図である。 全体振動系の1次固有振動数を決定するにあたって考慮すべき断面を説明するための模式的な斜視図である。 第2実施形態のパネル床構造の斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造をモデル化したモデル図である。 同パネル床構造の部分振動系の境界条件について説明するための正面断面図である。 同パネル床構造の部分振動系の他の境界条件について説明するための正面断面図である。 第3実施形態に係るパネル床構造の斜視図である。 同パネル構造体の正面図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 第4実施形態に係るパネル床構造の一部切欠斜視図である。 同パネル床構造の断面図である。 重量床衝撃音試験の試験結果について示すグラフであり、横軸を周波数、縦軸を音圧レベルとしたものである。 従来技術に係るパネル床構造の構成を示す斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 パネル床構造全体の質量、曲げ剛性と上面材等の質量、曲げ剛性との関係について説明するための図である。 第5実施形態のパネル床構造を複数の横架材上に配設する前の状態について示す斜視図である。 同パネル床構造の断面図である。 第5実施形態のパネル床構造の構成を示す斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 第6実施形態のパネル床構造の構成を示す斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 第7実施形態に係るパネル床構造の構成を示す斜視図である。 同パネル床構造を構成するパネル構成部材の構成を示す側面図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 第8実施形態に係るパネル床構造の構成を示す一部切欠斜視図である。 同パネル床構造の正面断面図である。 重量床衝撃音試験の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための一実施形態として、建築構造物の床に適用されるパネル床構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明を適用したパネル床構造の第1実施形態について説明する。
図1Aは、第1実施形態のパネル床構造1を複数の横架材71に配設する前の状態について示す斜視図である。図1Bは、配設した後の状態を示す側面図である。また、図2Aは、第1実施形態のパネル床構造1の斜視図であり、図2Bは、その正面断面図である。図3Aは、本実施形態のパネル床構造1を住宅(建築構造物)の床に適用した場合の図を示している。この住宅の1階の床及び2階の床に本発実施形態のパネル床構造1が用いられている。
また、図3Bは、本実施形態のパネル床構造1を例えば、5階建ての鉄骨造事務所ビルに適用した場合の斜視図である。この鉄骨造の各階の床には、本発実施形態のパネル床構造1が用いられている。
本実施形態に係るパネル床構造1は、図1Aに示すように、一方向に間隔を空けて略平行に配置された複数の横架材71によって構成される床下構造7に配設可能なパネル体として構成されている。横架材71は、建築構造物における水平方向に延長されて架け渡される骨組である。このような横架材71によって構成される床下構造7は、その上にパネル床構造1のような床材が配設されている。床下構造7は、この他に、図6Aに示すように、一方向に間隔を空けて略平行に配置された複数の横架材71と、それらの複数の横架材71と交差するように一方向と直交する方向に間隔を空けて配置される複数の横架材71とによってグリッド状に組んで構成される場合がある。すなわち、4辺支持構造である。パネル床構造1は、各横架材71に対して、例えば、ビス、ボルト等の固定金具81によって固定されて用いられるが、その横架材71に対する固定手段は公知のものであれば特に限定するものではない。
この床下構造7の横架材71は、建築構造物の骨組として用いられる角形鋼、H型鋼等の棒状部材から構成され、例えば、事務所ビルや集合住宅等の鉄骨造の建築構造物に適用される場合、大梁や少梁が適用される。また、戸建住宅等の木造建築物やスチールハウスに適用される場合、大引きや根太、野縁や野縁受け等が適用される。また、横架材71は、鉛直面と略平行に配設した面材上に配置される棒状部材として構成されていてもよい。また、横架材71は、前記の面材の上端部によって構成されていてもよい。
本実施形態に係るパネル床構造1は、図2A及び図2Bに示すように、互いに所定間隔をあけて略平行に配置された上面材11及び下面材13と、これら上面材11及び下面材12間を連結して中空空間(空間)19を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材15とを備えている。この芯材15は、その上下端が上面材11及び下面材13に連結されることによって、幅方向Xに上面材11及び下面材13との間の中空空間19を仕切り、一つ又は複数の中空空間19に分けている。第1実施形態においては、芯材15によって幅方向Xに複数の中空空間19に仕切られている。
上面材11は、いわゆる床下地板としての役割を担うものであり、上面材11の表面には、化粧合板等が取り付けられていてもよい。下面材13は、いわゆる天井板としての役割を担うものであるが、別途天井板の機能を有するものを下面材13の下方空間に設けてもよいのは勿論である。上面材11及び下面材13は、後述するような所定の寸法からなる鋼製の板材から構成される。
芯材15は、図2Aに示すように、パネル床構造1の長さ方向(奥行方向)Yに延長された形状の鋼板、形鋼等から構成されており、第1実施形態においては、複数の溝形鋼から構成されている。この溝形鋼で構成された芯材15は、ウェブ31とウェブ31の上端及び下端から略直交方向に折り曲げられた上フランジ33及び下フランジ35とを備えている。芯材15は、上面材11及び下面材13に対して、その上下端の上フランジ33及び下フランジ35を当接させた状態で、ねじ、リベット等の固定金具(固定部材)84,85や、溶接によって固定されて接続されている。第1実施形態においては、一つの芯材15の上フランジ33及び下フランジ35が上面材11や下面材13に対して長さ方向Yに間隔を空けた複数箇所で固定金具84,85によって固定されている。具体的には、一箇所につき一つの固定金具84,85によって、上フランジ33及び下フランジ35が上面材11や下面材13に固定されて接続されている。
第1実施形態における芯材15は、図2Aに示すように、パネル床構造1の幅方向Xに間隔をおいて複数に亘って配置されている。これによって、上面材11、下面材13及び芯材15によって囲まれた中空空間19がパネル床構造1の幅方向Xに複数に亘って設けられることになる。
また、第1実施形態におけるパネル床構造1は、図1Aに示すように、長さ方向の両側の開口を塞ぐように、板材からなる端板16が取り付けられている。この端板16は、例えば、溶接やねじ等の固定金具によって上面材11、下面材13に対して接続されるものである。第1実施形態におけるパネル床構造1では、上面材11と下面材13とがそれぞれ端板16に対して溶接によって接続されている。この端板16は、本実施形態において必須の構成となるものではない。
第1実施形態におけるパネル床構造1は、図1Aに示すように、横架材71により支持されている。この横架材71は、上面材11、下面材13及び芯材15によって構成される全体振動系21の長さ方向(Y)に間隔をあけて下面材13の2つの端辺13a,13bに沿って延在して配置されている。下面材13の幅方向(X)の端辺13c,13dは、横架材71によって支持されていない。すなわち、パネル床構造1は、2辺支持構造である。また、第1実施形態におけるパネル床構造1は、図1Bに示すように、横架材71に対して下面材13のみがビス等の固定金具81によって固定されている。
第1実施形態における芯材15は、溝形鋼の他に、I形鋼、リップ溝形鋼、山形鋼、箱形鋼等の各種断面形状をもつ形鋼や、平板状の鋼板から構成されていてもよい。
本実施形態では、上面材11及び下面材13の長さ寸法及び幅寸法、上面材11と下面材13との間隔(所定間隔)、芯材15の長さ寸法及び幅寸法及び板厚、さらには各芯材15間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)及び下記(B)を満たすように調整されている。
(A)上面材11、下面材13及び芯材15により構成された全体振動系21の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。
(B)上面材11、下面材13、あるいは、芯材15それぞれの部分振動系22の1次固有振動数が707Hz以上20000Hz以下である。
ここで、図1B、図2A及び図2Bに示す上面材11及び下面材13の長さ寸法l、幅寸法l、板厚t、上面材11と下面材13との間隔(所定間隔)b、芯材15の長さ寸法a、板厚t、さらには各芯材15間の配置間隔bが、従来のように、調整されていない場合について説明する。この構成の場合、図4Aに示すように、建築構造物におけるパネル床構造の重量床衝撃音の評価範囲である45Hzを超えて、707Hz未満の範囲に2つのピークが発生する。これらのピークは、遮音等級評価曲線より音圧レベルの高いピークであるため、遮音性が低下したパネル床構造となる。低周波数側のピークは、全体振動系(上面材、下面材、及び、芯材)によって発生し、高周波側のピークは、部分振動系(上面材、下面材、あるいは、芯材)によって発生する。
そこで、本実施形態では、図4Bの矢印Q1に示すように、全体振動系の固有振動数が重量床衝撃音の評価範囲外となり、かつ、矢印Q2に示すように、部分振動系の固有振動数が重量床衝撃音の評価範囲外となるように、上記各部材の寸法を調整した。
次に、本実施形態において重要となる、パネル床構造1の上面材11、下面材13及び芯材15の寸法について説明する。本実施形態においては、下記のような考え方に基づき、上面材11、下面材13及び芯材15の寸法が調整されている。
図5Aは、第1実施形態に係るパネル床構造1をモデル化したモデル図を示すものである。このモデル図においては、上面材11及び下面材13が、溝形鋼等の複数の芯材15によって図中の白丸で示す接続部17で接続されている。
パネル床構造1上の人の歩行や、パネル床構造1上への物の落下等した場合、これに起因して、パネル床構造1の全体及び一部がその板厚方向に振動する。パネル床構造1の下階側にまでその振動が空気を介して伝達される。
ここで、パネル床構造1の振動の発生の原因となる振動源としては、全体振動系21と、部分振動系22とが挙げられる。全体振動系21は、図5Aに示すような、上面材11、下面材13及び芯材15が一体となって振動し、パネル床構造1全体から構成される薄板状構造である。部分振動系22は、図5B、図5Cに示すような、パネル床構造1の一部である上面材11、下面材13、あるいは、芯材15のそれぞれによって構成されており、上面材11及び下面材13と芯材15との接続部17においてその両端を支持された薄板状構造の第1部分振動系23及び第2部分振動系25を備えている。第1部分振動系23は、上面材11、あるいは、下面材13によって構成されており、第2部分振動系25は芯材15によって構成されている。
また、パネル構造体10は、上面材11と下面材13と芯材15とを備えている。
これら各振動系は、それぞれの固有振動数に応じた振動数で振動することになる。ここで、本実施形態においては、所定式に基づいて決定されるこれらの各振動系の1次固有振動数が所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。具体的には、全体振動系21の寸法は、後述の式(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)に基づき決定される1次固有振動数f〜fが15Hz以上45Hz以下となるように調整されており、第1部分振動系23及び第2部分振動系25の寸法は、後述の式(17)〜(20)に基づき決定される1次固有振動数f〜f12が707Hz以上となるように調整されている。即ち、全体振動系21の寸法は、所定式に基づいて決定される1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下となるように調整され、第1部分振動系23及び第2部分振動系25の寸法は、所定式に基づいて決定される1次固有振動数が707Hz以上20000Hz以下となるように調整されている。
1次固有振動数を15Hz以上とした理由は、15Hz未満であると人間にとって不快なものとして知覚される不快振動が発生するので、これを避けるためである。また、20000Hz以上の振動数は、人間にとって知覚される限界の振動数であるので、上限値を20000Hz以下とする。カーペット等の仕上げ材を設置することによって振動数を抑えることができるため、上限値は8000Hz以下であっても良い。
また、1次固有振動数を45Hz以下若しくは707Hz以上とした理由は、以下の二点にある。第1に、45Hzを超えて707Hz未満の振動数の範囲が重量床衝撃音の評価範囲であり、この範囲内の振動数であると人間にとって不快なものとして知覚される不快振動が発生するので、これを避けるためである。第2に、707Hz以上の範囲の振動数については、カーペット等の仕上げ材を設置することによって比較的容易に性能を改善できるためである。
重量床衝撃音の評価範囲は、中心周波数を63Hzとする周波数帯域の下限値から中心周波数を500Hzとする周波数帯域の上限値までの範囲で存在している。中心周波数を63Hzとする周波数帯域の下限値は、一つ下位の周波数帯域である中心周波数を31.5Hzとする周波数帯域の上限値でもあるので31.5Hz×√2により算出される。また、中心周波数を500Hzとする周波数帯域の上限値は、500Hz×√2により算出される。これらに基づき、各振動系の1次固有振動数が45Hz超えて707Hz未満の範囲の周波数に含まれないようにしている。
各振動系の固有振動数のうち、2次以降の固有振動数については、1次固有振動数と比較して振幅が小さくなり、隣接する振動モードの腹が逆位相で振動して音響放射効率が低いと考えられる。このため、本実施形態においては各振動系の1次固有振動数のみを考慮して各寸法を調整している。
次に、本実施形態において各振動系の寸法調整に用いられる数式について説明する。
各振動系のような平板状の連続体の曲げ振動の固有振動数は、各振動系の厚み等の寸法やヤング率、密度等の物性値、更には断面二次モーメントのような断面特性値から表される後述するような数式(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)〜(20)に基づき求められる。これらの数式のうち、数式(2)〜(16)は、全体振動系21の1次固有振動数を求める数式であり、その全体振動系21の周端の4辺に関する境界条件と、その幅方向及び長さ方向の変形特性とに応じて使い分ける。また、数式(17)〜(20)は、部分振動系23、25の1次固有振動数を求める数式であり、その部分振動系23、25の周端の4辺に関する境界条件に応じて使い分ける。
ここでいう全体振動系21は、その全体振動系21の周端の4辺に関して、対向する2辺のみが横架材71によって支持されているか、あるいは、総ての4辺が横架材71によって支持されているかによって分類され、使用される1次固有振動数の数式が異なる。すなわち、図1Aにおいては、全体振動系21としてのパネル構造体10の周端の4辺のうち、対向する2辺のみが横架材71によって支持されている例を示している。一方、図6Aにおいては、全体振動系21としてのパネル構造体10の周端の4辺のうち、総ての4辺が横架材71によって支持されている例を示している。
また、全体振動系21は、その全体振動系21の周端の4辺における横架材71による支持条件が、ピン支持であるか、あるいは、固定支持であるかによって更に分類され、使用される1次固有振動数の数式が異なる。ピン支持は、図7Aに示すように、パネル構造体10の下面材13のみが横架材71に対してボルト等の固定金具81により接続されている。ピン支持の場合、その接続部17においてパネル構造体10の回転がある程度許容されている。
固定支持は、上面材11及び下面材13の両方を横架材71に固定する固定部材を備えている。具体的には、例えば、図7Bに示すように、パネル構造体10がその上面材11及び下面材13を貫通するボルト等の固定金具(固定部材)80によって横架材71に対して接続されて、その接続部17においてパネル構造体10の回転が拘束されている。固定支持の場合の他の例としては、例えば、図7Cに示すような例が挙げられる。これは、下面材13のみが横架材71に固定されており、上面材11と他部材とを固定する他の固定部材を備えている。この例では、パネル構造体10をその長さ方向Yに複数連続して配設したうえで、各パネル構造体10の下面材13のみを横架材71に対して固定金具81により接続する。更に、互いに隣接するパネル構造体10の隣接する上面材(他部材)11同士に跨る板状部材83を当接させて、その上面材11と板状部材83とを固定金具(他の固定部材)82により接続する。これにより、接続部17においてパネル構造体10の回転が拘束されている。
全体振動系21は、幅方向X及び長さ方向Yの変形特性が異方性を有しているか、あるいは、等方性を有しているかで分類される。ここでいう異方性とは、パネル構造体10の面内の直交する2方向である幅方向Xと長さ方向Yとでの変形特性が異なり、等方性とは、幅方向Xと長さ方向Yとでの変形特性が同じである。具体的には、等方性を有するパネル構造体10とは、幅方向Xと長さ方向Yにおいて、それぞれの方向のヤング係数をEx、Ey、断面2次モーメントをIx、Iyとする場合、Ex・Ix=Ey・Iy・・・(1)(前述した数式(3)、(9)、(11)も同じである)を満たす場合のことをいい、異方性を有するパネル構造体10とは、Ex・Ix≠Ey・Iy・・・(5)(前述した数式(7)、(13)、(15)も同じである)を満たす場合のことをいう。
部分振動系23、25は、その周端の4辺の上面材11等の他部材による支持条件が、ピン支持であるか、あるいは、固定支持であるかによって分類され、使用される1次固有振動数の数式が異なる。ピン支持は、図8Aに示すように、芯材15と上面材11との接触部17に、上面材11及び芯材15を固定する固定金具(第1芯材固定部材)84と、芯材15と下面材13との接触部17に、下面材13及び芯材15を固定する固定金具(第2芯材固定部材)85とを備えている。すなわち、一つの芯材15が上面材11や下面材13に対して一箇所につき一つの固定金具84,85で接続されている。ピン支持の場合、その接続部17において上面材11、下面材13、芯材15の回転がある程度許容される。
固定支持は、図8Bに示すように、芯材15と上面材11との接触部17に複数の固定金具84を備え、芯材15と下面材13との接触部17に複数の固定金具85を備えている。すなわち、一つの芯材15が上面材11や下面材13に対して一箇所につき二つ以上の固定金具84,85で接続されている。固定支持の場合、その接続部17において上面材11、下面材13、芯材15の回転が拘束される。
全体振動系21としてのパネル構造体10が等方性を有しており、その周端の4辺のうち対向する2辺のみが横架材71に対してピン支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(2)を満たす。
Figure 2011086769
: パネル構造体(全体振動系)10のヤング係数(N/mm
: 横架材71の延長方向に平行な鉛直断面における断面2次モーメント(mm
ρ : パネル構造体(全体振動系)10の密度(kg/m
: 横架材71の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
: 幅方向、あるいは、長さ方向における横架材71の配置間隔(mm)
本実施形態では、lは、図1Bに示すように、長さ方向に配置された横架材71の配置間隔である。
全体振動系21としてのパネル構造体10が等方性を有しており、その周端の4辺の総てが横架材71に対してピン支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(4)を満たす。
Figure 2011086769
: パネル構造体(全体振動系)10のヤング係数(N/mm
: パネル構造体(全体振動系)10の長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ν : パネル構造体(全体振動系)10のポワソン比
ρ : パネル構造体(全体振動系)10の密度(kg/m
: 横架材71の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
: 長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
: 幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
全体振動系21としてのパネル構造体10が異方性を有しており、その周端の4辺のうち対向する2辺のみが横架材71に対してピン支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(6)を満たす。
Figure 2011086769
: パネル構造体(全体振動系)10のヤング係数(N/mm
: パネル構造体(全体振動系)10の幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
ρ : パネル構造体(全体振動系)10の密度(kg/m
: 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
: 幅方向、あるいは、長さ方向における横架材71の配置間隔(mm)
全体振動系21としてのパネル構造体10が異方性を有しており、その周端の4辺の総てが横架材71に対してピン支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(8)を満たす。
Figure 2011086769
: 長さ方向における横架材71の配置間隔(mm)
: 幅方向における横架材71の配置間隔(mm)
ρ : パネル構造体(全体振動系)10の密度(kg/m
ν : パネル構造体(全体振動系)10のポワソン比
: パネル構造体(全体振動系)10のヤング係数(N/mm
Ix : パネル構造体(全体振動系)10の幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Iy : パネル構造体(全体振動系)10の長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
Sx : パネル構造体(全体振動系)10の幅方向に直交する断面の断面積(mm
Sy : パネル構造体(全体振動系)10の長さ方向に直交する断面の断面積(mm
全体振動系21としてのパネル構造体10が等方性を有しており、その周端の4辺のうち対向する2辺のみが横架材71に対して固定支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(10)を満たす。なお、下記の数式(10)におけるE等の内容については、数式(2)において記載したのと同様であるので、それらの説明については省略する。
Figure 2011086769
全体振動系21としてのパネル構造体10が等方性を有しており、その周端の4辺の総てが横架材71に対して固定支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(12)を満たす。なお、下記の数式(12)におけるE等の内容については、数式(4)において記載したのと同様であるので、それらの内容については省略する。
Figure 2011086769
全体振動系21としてのパネル構造体10が異方性を有しており、その周端の4辺のうち対向する2辺のみが横架材71に対して固定支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(14)を満たす。なお、下記の数式(14)におけるE等の内容については、数式(2)において記載したのと同様であるので、それらの説明については省略する。
Figure 2011086769
全体振動系21としてのパネル構造体10が異方性を有しており、その周端の4辺の総てが横架材71に対して固定支持されている場合、その全体振動系21の1次固有振動数fは、下記の数式(16)を満たす。なお、下記の数式(16)におけるD等の内容については、数式(8)において記載したのと同様であるので、それらの説明については省略する。
Figure 2011086769
第1部分振動系23としての上面材11及び下面材13の一部の周端の4辺が他部材(芯材15)に対してピン支持されている場合、その第1部分振動系23の1次固有振動数fは、下記の数式(17)を満たす。
Figure 2011086769
: 上面材11または下面材13のヤング係数(N/mm
: 上面材11または下面材13の厚み(mm)
ρ : 上面材11または下面材13の密度(kg/m
ν : 上面材11または下面材13のポワソン比
: 上面材11または下面材13の長さ方向の長さ(mm)
: 上面材11または下面材13の接続部17間の間隔(芯材15の配置間隔)(mm)
第1部分振動系23としての上面材11及び下面材13の一部の周端の4辺が他部材(芯材15)に対して固定支持されている境界条件の場合、その第1部分振動系23の1次固有振動数f10は、下記の数式(18)を満たす。なお、下記の数式(18)におけるE等の内容については、数式(17)において記載したのと同様であるので、それらの説明については省略する。
Figure 2011086769
第2部分振動系25としての芯材15の全部又は一部の周端の4辺が他部材(芯材15)に対してピン支持されている境界条件の場合、その第2部分振動系25の1次固有振動数f11は、下記の数式(19)を満たす。
Figure 2011086769
: 芯材15のヤング係数(N/mm
: 芯材15の板厚方向の厚み(mm)
ρ : 芯材15の密度(kg/m
ν : 芯材15のポワソン比
: 芯材15の長さ方向の長さ(mm)
: 芯材15の接続部17間の長さ(上面材11と下面材13との間隔:所定間隔)(mm)
第2部分振動系25としての芯材15の全部又は一部の周端の4辺が他部材(上面材11、あるいは、下面材13)に対して固定支持されている場合、その第2部分振動系25の1次固有振動数f12は、下記の数式(20)により表すことができる。なお、下記の数式(20)におけるE等の内容については、数式(19)において説明したのと同様であるので、それらの説明について省略する。
Figure 2011086769
第1実施形態におけるパネル床構造1は、パネル構造体10の長さ方向Yの両端における対向する2辺のみが横架材71によってピン支持されており、パネル構造体10が異方性を有する。したがって、全体振動系21としてのパネル構造体10の寸法調整を行なうにあたっては上述の数式(6)を用いる。また、上面材11、下面材13や芯材15から構成される部分振動系23、25は、その周端の4辺における他部材による支持条件がピン支持であると考えることができるので、部分振動系23、25としての上面材11、下面材13及び芯材15の寸法調整には、数式(17)、(19)を用いる。
また、上述した他部材とは、上面材11の場合、芯材15、隣接するパネル構造体10の上面材11、または横架材71であり、下面材13の場合、芯材15、隣接するパネル構造体10の下面材13、または横架材71であり、芯材15の場合、上面材11、下面材13、芯材15、または横架材71である。
まず、全体振動系21を調整する場合について説明する。
すなわち、数式(6)に基づいて決定される全体振動系21の1次固有振動数fを15Hz以上45Hz以下の範囲内とするためには、例えば、パネル構造体10の断面形状はそのままにしたうえで、そのパネル構造体10の横架材71の配置間隔(支持部27間の長さ)lを増減させるように寸法調整する。例えば、数式(6)に基づき決定される1次固有振動数fが15Hz未満の場合、その支持部27間の長さlを短くする。1次固有振動数fが45Hz超える場合、その支持部27間の長さlを長くすればよい。この場合、第1部分振動系23及び第2部分振動系25の1次固有振動数f、f11にほとんど影響を及ぼすことなく全体振動系21の1次固有振動数のみを増減させることができるという利点を有する。
また、この他にも、上面材11、下面材13の厚みtや芯材15の厚みt、芯材15の配置間隔(接続部17間の長さ)b、上面材11と下面材13との間隔(所定間隔)bを調節することによってパネル構造体10の断面積Sや断面二次モーメントIを増減させる。これによって上述の数式(6)に基づき決定される1次固有振動数fが15Hz〜45Hzとなるようにしてもよい。
次に、第1部分振動系23を調整する場合について説明する。
数式(17)に基づいて決定される第1部分振動系23の1次固有振動数fを707Hz以上とするためには、例えば、パネル構造体10の幅方向Xの長さはそのままとしたうえで、芯材15の数を増やして上面材11や下面材13の接続部17間の長さbを減少させる。この場合、全体振動系21、第2部分振動系25の1次固有振動数f、f11ほとんど影響を及ぼすことなく第1部分振動系23の1次固有振動数fのみを増大させることができるという利点を有する。
また、この他にも、例えば、パネル構造体10の幅方向Xの長さはそのままとしたうえで、上面材11、下面材13の板厚方向の厚みt4を増大させる。これによって上述の数式(17)に基づき決定される1次固有振動数fが707Hz以上となるようにしてもよい。
次に、第2部分振動系25を調整する場合について説明する。
数式(19)に基づいて決定される第2部分振動系25の1次固有振動数f11を707Hz以上とするためには、例えば、芯材15の板厚方向の厚みtを増大させたり、芯材15の接続部17間の長さbを減少させる。
このように構成される本実施形態に係るパネル床構造1は、パネル床構造1の振動源となる全体振動系21と、第1部分振動系23及び第2部分振動系25との両方の所定式に基づき決定される1次固有振動数が、上述した範囲内となるように、各振動系の寸法を調整するといった簡単な構成が採用されている。すなわち、パネル床構造1は、重量床衝撃音の評価範囲(45Hzを超え、707Hz未満の範囲)外となるように調整されている。これは、図4Bに示すように、各振動系の寸法を調整することによって、各振動系の1次固有振動数を矢印Q1、Q2に同時に変化させたことを意味している。このため、本実施形態に係るパネル床構造1は、ダンパー等の特別な構成を採用することなく安価な構成により、重量床衝撃音に対する遮音性を改善することが可能となっている。特に、本実施形態に係るパネル床構造1は、単なる面材によって構成されただけで、優れた剛性、軽量性の発揮という効果を奏しつつ、パネル床構造1の遮音性を改善するといった効果が発揮されている。
また、本実施形態の建築構造物である前記住宅は、上記パネル床構造を備えるので、優れた遮音性を発揮することができる。
また、各振動系の1次固有振動数f等を数式(2)等に基づき求めるにあたって、断面二次モーメントIを算定するうえでは、実験又は数値解析により3点曲げ試験を行なって得られた曲げモーメントMと長さ方向Yの位置yでのたわみ量wとから下記数式(30)に基づき算定するようにしてもよい。また、実験又は数値解析によるモード解析結果から評価して算定するようにしてもよい。
Figure 2011086769
また、パネル構造体10が横架材71によって2辺支持される場合、パネル構造体10は、長さ方向Yの両端で横架材71によって2辺支持されていてもよいし、幅方向Xの両端で横架材71によって2辺支持されていてもよい。
この場合において、パネル構造体10が等方性を有する場合、数式(2)、数式(10)におけるS、Iを決定するにあたって考慮する断面は、パネル構造体10に対する横架材71の位置に応じて異なる。即ち、図9Aに示すように、横架材71によって長さ方向Yの両端でパネル構造体10が支持されている場合、S、Iを決定するにあたって考慮すべき断面は、横架材71の延長方向である幅方向Xに平行な鉛直断面P1となる。また、図9Bに示すように、横架材71によって幅方向Xの両端でパネル構造体10が支持されている場合、S、Iを決定するにあたって考慮すべき断面Pは、横架材71の延長方向である長さ方向Yに平行な鉛直断面P2となる。
また、パネル構造体10が異方性を有する場合、数式(6)、数式(14)におけるS、Iを決定するにあたって考慮する断面は、パネル構造体10に対する横架材71の位置に応じて変化しない。即ち、図9Cに示すように、横架材71によって長さ方向Yの両端でパネル構造体10が支持されている場合でも、図9Dに示すように、横架材71によって幅方向Xの両端でパネル構造体10が支持されている場合でも、S、Iを決定するにあたって考慮すべき断面は、幅方向Xに直交する断面P2となる。これは、異方性を有するパネル構造体10の場合、幅方向Xに直交する断面P2での断面2次モーメントの方が、長さ方向Yに直交する断面P1での断面2次モーメントよりも小さい傾向があり、断面P2の性能が全体振動系の遮音性に及ぼす影響が大きく、考慮の対象とする必要があるためである。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第2実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図10Aは、第2実施形態のパネル床構造1の斜視図であり、図10Bは、その正面断面図である。
第2実施形態に係るパネル床構造1は、第1実施形態のパネル床構造1と比較して芯材の構成が相違している。第2実施形態に係るパネル床構造20では、芯材15が折板で構成されている。
芯材15が、上面材11と平面で接触する上フランジ43(上平面部)と、下面材13と平面で接触する下フランジ(下平面部)45と、上面材11及び下面材13に対して傾斜したウェブ(傾斜部)41とを有している。さらに、上フランジ43と、ウェブ41と、下フランジ45とがこの順に連続して形成されている。
具体的には、この折板で形成された芯材15は、幅方向Xに略水平に設けられた上フランジ43と下フランジ45とが、幅方向Xに対して傾斜して設けられたウェブ41を介して幅方向Xに交互に形成されて波形をなして構成されている。上面材11に対しては、折板で形成された芯材15の上端側に位置する上フランジ43が当接され、下面材13に対しては、折板で形成された芯材15の下端側に位置する下フランジ45が当接され、これらはねじ、リベット等の固定金具84、85、又は溶接等によって固定されて接続されている。これにより、折板からなる芯材15は、上面材11及び下面材13の間を幅方向Xの複数の中空空間19に仕切ることになる。
なお、第2実施形態においては、芯材15における一つの上フランジ43や一つの下フランジ45が上面材11や下面材13に対して長さ方向Yに間隔を空けた複数箇所で固定金具84、85によって固定されている。上フランジ43、下フランジ45の一箇所につき一つの固定金具84、85によってそれぞれ固定されて接続されている。また、折板で形成された芯材15の幅方向Xの両端は、パネル床構造1の内側に開口された略U字状をなすように、上フランジ43又は下フランジ45に対して折り曲げられている。
上フランジ43、下フランジ45とウェブ41とのなす角度αは、45度〜80度であることが好ましい。
図11A〜図11Cは、第2実施形態に係るパネル床構造1をモデル化したモデル図を示すものである。このモデル図においても、上面材11及び下面材13が、折板で形成された芯材15によって図中の白丸で示す接続部17で接続されている。
第2実施形態に係るパネル床構造1の振動の発生の原因となる振動源としては、全体振動系21と、第1部分振動系23と、第2部分振動系25とが挙げられる。
全体振動系21は、図11Aに示すような、上面材11、下面材13及び芯材15が一体となって振動し、パネル床構造1全体から構成される薄板状構造である。第1部分振動系23は、図11Bに示すような、パネル床構造1の一部である上面材11、下面材13のそれぞれによって構成され、上面材11及び下面材13と芯材15との接続部17においてその両端を支持された薄板状構造である。第2部分振動系25は、図11Cに示すような、芯材15のウェブ41によって構成され、接続部17においてその両端を支持された薄板状構造である。
第2実施形態に係るパネル床構造20も、上述した所定式に基づいて決定されるこれら各振動系の1次固有振動数が上述のような所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。
ここで、第2実施形態に係るパネル床構造20は、等方性を有すると考えることができる。このため、第2実施形態に係るパネル床構造20が、第1実施形態におけるパネル構造体10と同じようにパネル構造体10の長さ方向Yの両端における対向する2辺のみを横架材71によってピン支持され、全体振動系21としてのパネル構造体10の寸法調整を行なうにあたっては上述の数式(2)を用いることになる。
また、第2実施形態のような断面形状の場合、部分振動系23、25の周端の4辺の上面材11等の他部材による支持条件がピン支持とは、図12Aに示すように、芯材15における一つの上フランジ43や一つの下フランジ45が一箇所につき一つの固定金具84,85で接続されている。ピン支持の場合、その接続部17において上面材11、下面材13、芯材15の回転がある程度許容される。また、固定支持とは、図12Bに示すように、芯材15における一つの上フランジ43や一つの下フランジ45が一箇所につき二つ以上の固定金具84,85で接続されている。固定支持の場合、その接続部17において上面材11、下面材13、芯材15の回転が拘束される。
第2実施形態に係るパネル床構造20は、上面材11、下面材13や芯材15から構成される部分振動系23、25は、その周端の4辺における他部材による支持条件がピン支持であると考えることができる。したがって、部分振動系23、25としての上面材11、下面材13及び芯材15の寸法調整を行なうにあたっては、第1実施形態において説明したのと同様の要領にて数式(17)、数式(19)を用いて行なわれる。
なお、芯材15は、波板から構成されていてもよく、この場合においても本実施形態のように寸法調整を行なうことによって、本発明所期の効果が得られる。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第3実施形態について説明する。
図13Aは、第3実施形態のパネル床構造30の斜視図であり、図13Bは、パネル床構造30を構成するパネル構成部材50の構成を示す側面図であり、図13Cは、その正面断面図である。
第3実施形態に係るパネル床構造30は、図13Bに示すようなパネル構成部材50を複数組み合わせることによって構成されている。パネル構成部材50は、ウェブ51と、このウェブ51の一端に設けられ幅方向に延びる上フランジ53と、ウェブ51の他端に設けられ上フランジ53と逆方向に延びる下フランジ55とを有し、長さ方向に延在する。すなわち、上フランジ53及び下フランジ55は、ウェブ51に対して、略鉛直方向に延びており、ウェブ51の上下端から幅方向Xの逆方向に折り曲げられて設けられている。これにより、パネル構成部材50の断面形状が略Z字状に構成されている。このパネル構成部材50は、鋼板を曲げ加工、ロール成形、熱押し成形等することによって構成される。
このパネル構成部材50は、図13A、図13Cに示すように、上フランジ53及び下フランジ55のそれぞれにより略同一平面が形成されるように、同一の配向状態をもって配置されている。すなわち、パネル床構造30は、上フランジ53及び下フランジ54それぞれが同一平面を形成するように幅方向に隣接して配列され、隣接して配列された複数の上フランジ53が、第1実施形態で示した上面材11を形成し、隣接して配列された複数の下フランジ55が、第1実施形態で示した下面材13を形成し、ウェブ51が芯材15である。これによって、第3実施形態に係るパネル床構造30が構成されている。パネル構成部材50における上フランジ53の先端部53aが、隣接する他のパネル構成部材50における上フランジ53の基端部53bに溶接、機械接合等により固定される。更にパネル構成部材50における下フランジ55の先端部55aが、隣接する他のパネル構成部材50における下フランジ55の基端部55bに溶接、機械接合等により固定される。これらにより、隣接するパネル構成部材50が、互いに固定されている。
このように複数のパネル構成部材50によって構成されたパネル構造体30は、複数のパネル構成部材50の上フランジ53、下フランジ55によって、上面材11及び下面材13が構成されており、各パネル構成部材50のウェブ51によって、芯材15が構成されている。換言すると、第3実施形態に係るパネル構造体30は、複数のパネル構成部材50によって、互いに所定間隔をおいて略平行に配置された上面材11及び下面材13と、その上下端が上面材11及び下面材13に接続された芯材15とを備えた構造体として構成されている。
第3実施形態に係るパネル床構造30も、上述した所定式に基づいて決定される各振動系の1次固有振動数が上述のような所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。
第3実施形態に係るパネル床構造30は、第1実施形態のパネル床構造1とその形状がほぼ同一のものとして構成されており、その振動源は第1実施形態のパネル床構造1と同じものとして考えられる。このため、第3実施形態に係るパネル床構造30の寸法調整は、第1実施形態に係るパネル床構造1の寸法調整と同様にして行うことになる。
なお、第3実施形態に係るパネル床構造30のような構造の場合、芯材15を上面材11や下面材13に対して一箇所につき複数の固定金具81で接続することができないので、上面材11、下面材13や芯材15から構成される部分振動系23、25は、その周端の4辺における他部材による支持条件としてピン支持のみ取り得る。
因みに、パネル構成部材50のウェブ51は、略垂直に設けられているものに限定するものではなく、幅方向Xに傾斜して設けられていてもよい。この場合に、第2実施形態のパネル床構造1のように、パネル構造体10がその幅方向X及び長さ方向Yの変形特性について等方性を有する際には、第3実施形態に係るパネル床構造30の寸法調整は、第2実施形態に係るパネル床構造20の寸法調整と同様にして行なうことになる。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第4実施形態について説明する。図14Aは、第4実施形態のパネル床構造40の一部切欠斜視図であり、図14Bは、そのパネル床構造40の正面断面図である。
第4実施形態に係るパネル床構造40は、第1実施形態のパネル床構造1と異なり、溝形鋼で構成された芯材15がパネル床構造1の幅方向Xの両端のみに設けられている。この芯材15によって、上面材11及び下面材13の間が一つの中空空間19として仕切られている。なお、幅方向Xの両端の芯材15は、それぞれ左右対称の配向状態で設けられている。
また、パネル床構造40は、中空空間19内に充填される吸音材61を更に備えている。この吸音材61は、例えば、ロックウール、グラスウール等の繊維質材料やウレタンフォーム等の発泡材料や、軽量コンクリートや発泡コンクリート等のコンクリート系材料等で構成される。この吸音材61は、上面材11、下面材13及び芯材15の何れかから構成される部分振動系23、25で発生する振動を吸音することによって、部分振動系23、25の実測値としての1次固有振動数が重量床衝撃音の評価範囲外である707Hz以上の高周波数帯域の周波数となるように変化させる。この吸音材61を、例えば、中空空間19内に一杯に充填することによって、パネル床構造1の重量床衝撃音に対する遮音性を向上させるにあたって、部分振動系23、25の寸法調整の必要がなくなるため、全体振動系21のみに着目して寸法調整を行なえばよいことになる。
なお、パネル床構造40は、吸音材61を中空空間19内に充填可能となるよう、長さ方向の両側の開口を塞ぐように板材からなる端板16が取り付けられている。
第4実施形態に係るパネル床構造40は、上述した所定式に基づいて決定される全体振動系21の1次固有振動数のみが上述のような所定範囲となるように全体振動系21の寸法が調整されている。
ここで、吸音材61を中空空間19内に充填した場合、上面材11、下面材13、芯材15や吸音材61の密度が一様であると、その幅方向X及び長さ方向Yの変形特性について、パネル床構造40は、等方性を有する。これにより、第4実施形態に係るパネル床構造40の全体振動系21の寸法調整は、上述した数式(2)、(4)、(10)、(12)に基づいて行なえばよい。この場合に、パネル床構造40のヤング係数等を考慮するにあたっては、上面材11等のヤング係数等の他に吸音材61のヤング係数等も含めて考慮することになる。
第4実施形態に係るパネル床構造40は、パネル床構造1の振動源となる全体振動系21の所定式に基づき決定される1次固有振動数と、部分振動系23、25の実測値としての1次固有振動数とが、重量床衝撃音の評価範囲外となるように、吸音材61が中空空間19内に充填され、全体振動系21のみの寸法が調整されている。すなわち、簡易な構成により、パネル床構造40の遮音性が向上されている。これは、図4Bに示すように、全体振動系21の寸法を調整し、かつ、吸音材61を充填することによって、各振動系の1次固有振動数を矢印Q1、Q2に同時に変化させたことを意味している。このため、第4実施形態に係るパネル床構造40によっても、第1実施形態において説明したような効果が得られることになる。
なお、パネル床構造1が吸音材61を備える場合でも、部分振動系23、25の寸法調整を行うようにしてもよいのは勿論である。また、パネル床構造1が吸音材61を備える場合でも、上面材11及び下面材13の間を幅方向の複数の中空空間19に仕切るように三つ以上の芯材15が設けられていてもよいのは勿論である。
また、吸音材61は、ウレタンフォームによって構成されることが好ましく、この場合は、芯材15と同等程度の強度、剛性をウレタンフォームからなる吸音材61によって得ることができる。このため、必要となる芯材15の個数を低減でき、パネル床構造40の製造コストの低減を図ることが可能となる。
なお、パネル構造体40の全体振動系21の寸法調整を数式(2)、数式(6)に基づき行なうにあたって、上面材11、下面材13、芯材15、吸音材61のそれぞれのヤング率や密度等が異なる場合、数式(2)、数式(6)(1次固有振動数f、f)は、以下のような数式(31)(1次固有振動数f13)で表させる。これにより、下記の数式(31)を満たすように、各部材の寸法調整を行なうことになる。ここで、下記数式(31)のnはa、b、c、dで表され、Ea1、Eb1、Ec1、Ed1はそれぞれ上面材11、下面材13、芯材15、吸音材61のヤング係数のことを意味し、他のIa1、ρa1、Sa1等も、それぞれ上面材11、下面材13、芯材15、吸音材61の断面二次モーメント、密度、断面積のことを意味する。
Figure 2011086769
また、数式(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、数式(16)〜数式(20)において説明した、寸法l、l、t、a、b、t、a、bは、モデル図では図5A〜図5C、図11A〜図11Cに示すような範囲のものとなる。これらモデル図での寸法l、l、t、t、a、b、bは、それぞれ、実際の実施形態においては、図1B、図6A〜図6C、図8A及び図8B、図12A及び図12Bに示すL、L、T、T、A、B、Bが相当するものとなる。また、モデル図における上面材11についての寸法aは、図1Bに示すAに相当しており、モデル図における下面材13についての寸法aは、図1Bに示すLに相当している。
また、図8A及び図8B、図12A及び図12Bに示すような、パネル構造体10の厚みtや、上面材11、下面材13及び芯材15の厚みt、tは、上述の所定式に基づき決定される1次固有振動数が所定範囲となり、かつ、強度、経済性を損なうことなく実用上実施可能となるように設定される。また、tについては50mm以上200mm以下と設定することが好ましく、t及びtについては0.8mm以上10mm以下と設定することが好ましい。
また、上面材11及び下面材13は、鋼製の板材から構成されるとしたが、これに限らない。
実施例1においては、下記の表1−1、表1−2及び表2−1、表2−2に示すような7種類の断面性能のパネル構造体10について、その寸法を様々に変化させた条件下において、各振動系の固有振動数を表す上述の数式(2)等から決定されるその1次固有振動数について確認することとした。
[表1−1]
Figure 2011086769
[表1−2]
Figure 2011086769
[表2−1]
Figure 2011086769
[表2−2]
Figure 2011086769
試験No.1〜43において用いたパネル構造体10は、ヤング率が205,000(N/mm)であり、密度が7850(kg/m)であり、ポアソン比が0.30の場合である。表1−1、表1−2及び表2−1、表2−2の「支持条件」の欄中に、全体振動系21の横架材71による支持条件が、長さ方向の両端のみが横架材71によってピン支持されている場合は「2辺−ピン」と記載し、長さ方向の両端と幅方向の両端とが横架材71によってピン支持されている場合は「4辺−ピン」と記載し、長さ方向の両端と幅方向の両端とが横架材71によって固定支持されている場合は「4辺−固定」と記載するようにした。また、表1−1、表1−2及び表2−1、表2−2の「支持条件」の欄中に、部分振動系23、25の他部材による支持条件が、ピン支持されている場合は「ピン」と記載し、固定支持されている場合は「固定」と記載するようにした。
全体振動系21の固有振動数を求めるにあたっては、試験No.1〜14では上述の数式(6)に基づき求めることとし、試験No.15〜21では上述の数式(2)に基づき求めることとし、試験No.22〜28では上述の数式(4)に基づき求めることとし、試験No.29〜33では上述の数式(12)に基づき求めることとし、試験No.34〜38では上述の数式(8)に基づき求めることとし、試験No.39〜43では上述の数式(16)に基づき求めることとした。第1部分振動系23の固有振動数を求めるにあたっては、試験No.1〜28、試験No.34〜38では上述の数式(17)に基づき求めることとし、試験No.29〜33、試験No,39〜43では上述の数式(18)に基づき求めることとした。第2部分振動系25の固有振動数を求めるにあたっては、試験No.1〜28、試験No.34〜38では上述の数式(19)に基づき求めることとし、試験No.29〜33、試験No.39〜43では上述の数式(20)に基づき求めることとした。
試験No.1〜5、8〜12、15〜19の各グループにおいては、主としてパネル構造体10の長さ方向の支持部間の長さlを調整している。また、試験No.22〜26、29〜43の各グループにおいては、主としてパネル構造体10の長さ方向の支持部間の長さl、幅方向の支持部間の長さlを調整している。これらの比較により把握できるように、パネル構造体10の長さ方向の支持部間の長さlや幅方向の支持部間の長さlを調整することによって、第1部分振動系23、第2部分振動系25の1次固有振動数を大きく変化させることなく、全体振動系21の1次固有振動数を所望の範囲にするよう変化させることが可能であることが確認できる。
試験No.1、6、7と、試験No.8、13、14と、試験No.15、20、21と、試験No.22、27、28との各グループにおいては、主として第1部分振動系23の接続部17間の長さbを調整している。これらの比較により把握できるように、第1部分振動系23の接続部17間の長さbを調整することによって、全体振動系21や第2部分振動系25の1次固有振動数を大きく変化させることなく、第1部分振動系23の1次固有振動数を所望の範囲にするよう変化させることが可能であることが確認できる。
実施例1により、数式(2)等に基づいて決定される全体振動系21の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下であり、数式(17)等に基づき決定される第1部分振動系23及び第2部分振動系25の1次固有振動数が707Hz以上のパネル床構造1を、全体振動系21や第1部分振動系23等の寸法調整を行なうことによって得られることが確認された。
また、表1−1、表1−2及び表2−1、表2−2の1次固有振動数の数値の下線は、本実施形態の範囲外を示す。
実施例2においては、下記の表3〜表5に示すような2種類の断面性能のパネル床構造を用いて、JIS A 1418−2に準拠して実際に重要床衝撃音試験を行い、各周波数に対する音圧レベルを調査することによって、本発明の効果を確認することとした。
[表3]

Figure 2011086769
[表4]
Figure 2011086769
[表5]
Figure 2011086769
この試験においては、図16A及び図16Bに示すような構造の比較例としてのパネル床構造100と、図10A及び図10Bに示すような構造の本発明例としてのパネル床構造1とを用いることとした。
図16A及び図16Bに示すパネル床構造100は、所定間隔をおいて配置された鋼製の上面材111及び下面材113と、上面材111と下面材113との間に配置された鋼製の芯材115とを備えている。この芯材115は、その上下端が上面材111及び下面材113に接続されることによって、幅方向Xに上面材111及び下面材113の間を仕切り、複数の中空空間119に分けている。
比較例としてのパネル床構造100の寸法は、パネル床構造100全体の厚みを175mm、互いに隣り合う芯材115間の間隔を300mmとした。また、本発明例としてのパネル床構造1の寸法は、パネル構造体10の厚みTを60mm、長さ方向Yの支持部27間の長さを3,000mmとし、互いに隣り合う芯材15のウェブ41の幅方向Xについての間隔を120mmとし、ウェブ41の幅方向Xへの傾斜角度αを54°とした。また、パネル構造体10は長さ方向の両端のみを横架材71によって支持された2辺支持の条件下で試験を行なった。
表3より、本発明例の全体振動系の固有振動数は21Hzであり、比較例の固有振動数は72Hzである。すなわち、本発明例のように、各部材の寸法が調整された場合、全体振動系の固有振動数が、15Hz以上45Hz以下の範囲内となるため、遮音性が向上している。また、表4より、本発明例の第1部分振動系の固有振動数は2701Hzであり、比較例の固有振動数は176Hzである。また、表5より、本発明例の第2部分振動系の固有振動数は4104Hzであり、比較例の固有振動数は283Hzである。したがって、本発明例のように、各部材の寸法が調整された場合、部分振動系の固有振動数が、707Hz以上200000Hz以下の範囲内となるため、遮音性が向上している。
さらに、図15に示される結果より、比較例において63Hzの周波数帯域で見られる実測値としての全体振動系の1次固有振動数は、本実施形態の適用によって矢印P1に示す方向に移り、比較例において125Hzの周波数帯域や250Hzの周波数帯域で見られる実測値としての部分振動系の1次固有振動数は、本実施形態の適用によって矢印P2及びP3に示す方向に移り、その結果、重量床衝撃音の周波数帯域での音圧レベルが低減していることが確認された。すなわち、重量床衝撃音の評価範囲(45Hzを超え、707未満の範囲)に音圧レベルのピークが発生していないため、遮音性に優れたパネル床構造であることが分かる。
次に、第1〜第4実施形態のパネル床構造に加えて、質量及び剛性を考慮したパネル床構造について説明する。
本発明者は、全体振動系21の1次固有振動数f〜fが15Hz以上45Hz以下、かつ、部分振動系22の1次固有振動数f〜f12が707Hz以上20000Hz以下となるようなパネル床構造の寸法について調査した。調査をするうえでは、例えば、図17に示すような、パネル床構造70全体の質量Mall(kg/m2)及び曲げ剛性EIall(N・m2)の他に、これらに対する上面材11及び下面材13の質量Mf(kg/m2)及び曲げ剛性EIf(N・m2)と、芯材15の質量Mw(kg/m2)及び曲げ剛性EIw(N・m2)とを区分して調査した。なお、ここでいうパネル床構造1全体の質量Mall及び曲げ剛性EIallとは、上面材11、下面材13及び芯材15の質量Mf、Mwを合計した値と、これらの曲げ剛性EIf、EIwを合計した値とを意味している。また、ここでいう曲げ剛性とは、パネル床構造70の長さ方向に直交する断面の曲げ剛性のことを意味している。
ここでは、図17に示す第6実施形態のパネル床構造70を例に挙げて説明したが、後述する第5、第7、第8実施形態のパネル床構造60、80、90のいずれの場合においても、同様である。
下記の表6、表7−1、7−2は、パネル床構造60の寸法を様々に変化させた際の質量と曲げ剛性との関係や、各例の遮音特性等を示す表である。表1の構造の欄に記載の溝形鋼とは、図19A及び図19Bに示すような断面形状のパネル床構造60のことである。同欄に記載の折板とは、図20に示すような断面形状のパネル床構造70のことである。パネル床構造60及びパネル床構造70それぞれの断面形状は、表の下部に模式的に示している。また、表6における支持スパンlは、図18Bに示すようなパネル床構造60を支持する横架材71とパネル床構造60との固定金具81、溶接等による支持部27間の間隔である。床厚hは、図17に示すようなパネル床構造70全体の厚みである。また、表6の長さAは、表6の下部に模式的に示すようなパネル床構造60における芯材15と上面材との接触している接触部61の長さであり、間隔Bは、隣接する接触部61の間隔である。表7−1、7−2における質量又は曲げ剛性の寄与率は、パネル床構造60全体の質量Mall又は曲げ剛性EIallに対する上面材11及び下面材13の質量Mf、曲げ剛性EIfや、芯材15の質量Mw、曲げ剛性EIwの百分率での割合である。
[表6]
Figure 2011086769
[表7−1]
Figure 2011086769
[表7−2]
Figure 2011086769
各例では、その遮音特性を評価するためにパネル床構造60のインピーダンスZ、1次固有振動数f20、遮音等級Lhを求めた。インピーダンスZは下記の数式(41)に基づき求められる。
Figure 2011086769
また、1次固有振動数f20は下記の数式(42)を満たす。
Figure 2011086769
また、遮音等級Lhの計算値は下記の数式(43)に基づき求められる。
Figure 2011086769
ここで、遮音等級Lhの計算値を求めるにあたっては、表6、表7−1、7−2の総ての例で、床構造の有効放射面積、空気の固有音響抵抗、床構造の音響放射係数、下室空間の吸音力、騒音計の動特性補正値、衝撃力実効値が同じであり、数式(43)の定数Aが147.1である条件とした。また、遮音等級Lhの実測値は、JISA1418−2に準拠して行なった重量床衝撃音試験により求めた。
また、各例では、発明の適用による軽量化効果を評価するために、次のようなパネル床構造60の最小質量とその最小質量に対する質量比を求めた。最小質量とは、あるインピーダンスZをもつ床構造の1次固有振動数f20を15以上45Hz以下にするために必要な質量のことを意味しており、各例ごとにパネル床構造60全体の曲げ剛性EIall、質量Mallを変数とする数式(41)と数式(42)との連立方程式を解くことにより得た。また、最小質量に対する質量比は、各例ごとにパネル床構造60全体の質量Mallを求めた最小質量で除算して求めた。
比較例としてのNo.1、No.2と発明例としてのNo.8との比較により、1次固有振動数f20が45Hz超の場合、数式(43)による計算値としての遮音等級Lhよりも実測値としての遮音等級Lhが高くなる傾向があることが確認できる。また、1次固有振動数f20が45Hz以下の場合、数式(43)による計算値としての遮音等級Lhと実測値としての遮音等級Lhが同程度になることも確認できる。また、発明例としてのNo.8を除いたNo.6〜No.10は、実測値としての遮音等級Lhを記載していないが、No.8の結果からその計算値としての遮音等級Lhと実測値としての遮音特性とが同程度になるものと考えられる。
ここで、本発明者は、パネル床構造60全体の質量Mallに対する芯材15の質量Mwの寄与率が40%以上である場合に、1次固有振動数fを45Hz以下にできることを知見した。また、この場合、No.1とNo.8との比較やNo.2とNo.7との比較により把握できるように、パネル床構造60全体の質量Mallが発明例と比較例とで同程度で、かつ、比較例の全体の曲げ剛性EIallより発明例の全体の曲げ剛性EIallの方が大幅に低くなっているにも拘わらず、発明例では比較例と同程度又はそれ以上の遮音性を得られることを知見した。これは、1次固有振動数fが45Hz以下になったためと考えられる。またこの場合、パネル床構造60の厚みも低減させることが可能であることを知見した。これは、パネル床構造60全体の曲げ剛性EIallを低減させたためと考えられる。
本発明者は、このようにパネル床構造60全体の質量Mallに対する芯材15の質量Mwの寄与率が重要であるとの知見のもと、可能なかぎり軽量化を図りつつ、従来と同等又はそれよりも優れた遮音性を得ることができるようなパネル床構造60を得るため、更に鋭意検討を行なった。その結果、下記のような数式(21)〜(23)の総てを満足するように上面材11、下面材13及び芯材15の寸法が調整されていれば、そのような性能のパネル床構造60を得られることを知見した。ここで、各部材の寸法の調整は、第1実施形態と同様である。
EIf≧0.65×EIall ・・・(21)
w≧0.40×Mall ・・・(22)
w≧EIw/(k×l4) ・・・(23)
数式(21)は、全体振動系の1次固有振動数f20を15Hz以上45Hz以下としつつ可能なかぎり軽量化を図るうえで必要な条件である。パネル床構造60全体の曲げ剛性EIallに対する上面材11及び下面材13の曲げ剛性EIfの寄与率が65%未満であると、パネル床構造60全体に対して芯材15の占める部位が過多になる。その分、パネル床構造60全体の質量Mallの過度の増大を招き、1次固有振動数f20を45Hzとするために必要な最小質量に対する質量Mallの過度の増大を招いてしまう。
数式(21)は、表6、表7−1、7−2に示すように、パネル床構造60全体のEIallに対する上面材11、下面材13のEIfの寄与率が65%以上の場合に最小質量に対する質量比が105%以下になり、65%未満の場合に最小質量に対する質量比が105%超になることに基づいて導出した。
なお、数式(21)の左辺である上面材11及び下面材13の曲げ剛性EIfは、その上限値について特に限定されない。しかしながら、パネル床構造60全体の曲げ剛性EIallに対するその曲げ剛性EIfの寄与率が90%超である場合、この構造を実現することが困難である。したがって、下記の数式(21−1)を満足するようにしてもよい。
0.90×EIall≧EIf≧0.65×EIall ・・・(21−1)
数式(22)は、パネル床構造60の1次固有振動数f20を15Hz以上45Hz以下とするために必要な条件である。パネル床構造60全体の質量Mallに対する芯材15の質量Mwの寄与率が40%未満であると、パネル床構造60全体に対して上面材11及び下面材13の占める部位が過多になってしまい、パネル床構造60の板厚方向中心位置から遠くに位置する上面材11及び下面材13の占める部位が過多になる。その分、パネル床構造60全体の曲げ剛性EIallの過度の増大を招き、1次固有振動数f20が45Hzを超えてしまう。
数式(22)は、表6、表7−1、7−2に示すように、パネル床構造60全体の質量Mallに対する芯材15の質量Mwの寄与率が40%以上の場合にパネル床構造60の1次固有振動数f20が45Hz以下になり、40%未満の場合にパネル床構造60の1次固有振動数f20が45Hz超になることに基づいて導出した。
なお、数式(2)の左辺である芯材Mwは、その上限値について特に限定するものではない。しかしながら、パネル床構造60全体の質量Mallに対するその芯材Mwの寄与率が90%超である場合、この構造を実現することが困難である。したがって、下記の数式(22−1)を満足するようにしてもよい。
0.90×Mall≧Mw≧0.40×Mall ・・・(22−1)
数式(23)は、パネル床構造の1次固有振動数f20を15Hz以上45Hz以下とするために必要な条件である。後述の数式(23)の導出過程から把握できるように、数式(23)を満足しない場合、パネル床構造の1次固有振動数f20が45Hz超となってしまい、共振現象が発生することにより、遮音等級Lhの実測値が増大して目標とする遮音性が得られなくなってしまう。
数式(23)を求めた根拠について説明する。上述の数式(42)より、1次固有振動数f20を15Hz以上45Hz以下にするための条件として、下記の数式(51)が導出できる。
EIall≦(90/π)2×l×Mall ・・・(51)
また、上記の数式(21)、(22)から下記の数式(52)、(53)が導出でき、上記の数式(51)から下記の数式(54)が導出できる。
1.86×EIw≦EIf ・・・(52)
f≦1.5×Mw ・・・(53)
EIw+EIf≦(90/π)2×l4×(Mw+Mf) ・・・(54)
上記の数式(52)、(53)、(54)から下記の数式(55)が導出でき、これから下記の数式(56)が導出でき、これが上記の数式(23)となる。
2.86×EIw≦(90/π)2×l4×(2.5×Mw) ・・・(55)
Mw≧EIw/(k×l4)(k=719) ・・・(56)
なお、上記の数式(21)を満足するうえでは、上面材11、下面材13の板厚を厚くしたり、パネル床構造60の床厚hを小さくしたりすればよい。また、上記の数式(22)を満足するうえでは、芯材15の板厚を上面材11、下面材13の板厚に対して厚くしたり、幅方向に隣接する芯材15間の間隔を狭める等の寸法調整をすればよい。また、上記の数式(23)を満足するうえでは、上面材11、下面材13、芯材15の板厚を厚くしたり、パネル床構造60の床厚hを小さくしたりすればよい。
なお、上述の数式(22)の代替として、下記の数式(61)が用いられていてもよい。これは、数式(22)の両辺にEIallを乗算したものを展開して得られるものである。
w×EIf+Mw×EIw≧0.40×Mall ・・・(61)
第5実施形態に係るパネル床構造60も、上述した所定式に基づいて決定されるこれら各振動系の1次固有振動数が上述のような所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。
本実施形態によれば、従来のパネル床構造全体の質量Mallと同程度で、かつ、全体の曲げ剛性EIallが大幅に低くなっているにも拘わらず、従来と同等又はそれ以上の遮音性を得ることが可能となる。さらに、パネル床構造60の厚みも低減させることが可能となる。また、本実施形態を実現するにあたって、インピーダンスZを過度に増大させることなく、かつ、1次固有振動数f20を45Hz以下とするために必要な最小質量に対する過度の質量Mallの増大を抑えることができ、可能なかぎり軽量化を図りつつ、遮音性に関して優れた効果を得ることが可能となる。すなわち、遮音性を向上させるうえで、重量の過度の増大が不要であるので、パネル床構造60を軽量なままとすることができる。その分、地震時の水平外力を低減することができ、柱、梁、杭、基礎といった構造部材の数量を削減することができる。これにより、建築物全体の軽量化とコスト削減を図ることができ、合理的かつ経済的な構造設計が可能になるというメリットがある。また、パネル床構造60を薄くすることにより、建築物高さを低減でき、内装材、外装材の使用量の削減を図ることが可能となる。
次に、本発明に係るパネル床構造を実施するための第5実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図18Aは、第5実施形態のパネル床構造60を複数の横架材71上に配設する前の状態について示す斜視図であり、図18Bは、その正面断面図である。
図19Aは、第5実施形態のパネル床構造60の構成を示す斜視図であり、図19Bは、その正面断面図である。
本実施形態に係るパネル床構造60は、図17Aに示すように、一方向に間隔を空けて略平行に配置された複数の横架材71によって構成される床下構造7に配設可能なパネル体として構成されている。すなわち、2辺支持構造である。横架材71は、建築構造物における水平方向に延長されて架け渡される骨組である。このような横架材71によって構成される床下構造7は、その上にパネル床構造60のような床材が配設されている。
床下構造7は、この他に、図6Aに示すように、一方向に間隔を空けて略平行に配置された複数の横架材71と、それらの複数の横架材71と交差するように一方向と直交する方向に間隔を空けて配置される複数の横架材71とによってグリッド状に組んで構成される場合がある。すなわち、4辺支持構造である。パネル床構造60は、各横架材71に対して、例えば、ビス、ボルト等の固定金具81によって固定されて用いられるが、その横架材71に対する固定手段は公知のものであれば特に限定するものではない。
横架材71は、建築物において略水平に配設される角形鋼、H形鋼等の骨組部材や、略鉛直に配設される面材の上端部から構成される。横架材71は、角形鋼、H形鋼等の骨組部材から構成される場合、事務所ビルや集合住宅等の鉄骨造の建築物に適用されるときは大梁、小梁等として用いられる。また、戸建住宅等の建築物やスチールハウスに適用されるときは大引き、野縁、野縁受け等として用いられる。
本実施形態に係るパネル床構造1は、図18A及び図18Bに示すように、互いに所定間隔をあけて略平行に配置された上面材11及び下面材13と、これら上面材11及び下面材12間を連結して中空空間(空間)19を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材15とを備えている。この芯材15は、その上下端が上面材11及び下面材13に連結されることによって、幅方向Xに上面材11及び下面材13との間の中空空間19を仕切り、一つ又は複数の中空空間19に分けている。第5実施形態においては、芯材15によって幅方向Xに複数の中空空間19に仕切られている。
上面材11は、いわゆる床下地板としての役割を担うものであり、上面材11の表面には、化粧合板等が取り付けられていてもよい。下面材13は、いわゆる天井板としての役割を担うものであるが、別途天井板の機能を有するものを下面材13の下方空間に設けてもよいのは勿論である。上面材11及び下面材13は、上述した第1実施形態で説明したように、各部材の寸法が調整された鋼製の板材から構成される。
芯材15は、パネル床構造60の長さ方向(奥行方向)Yに対してその長さ方向Yが略平行な鋼板や、溝形鋼、I形鋼、リップ溝形鋼、山形鋼、箱型鋼等の形鋼等から構成されており、第5実施形態においては、複数の溝形鋼から構成されている。芯材15は、その上下端を上面材11や下面材13に対して当接させたうえで、それらをねじ、リベット等の固定具81や溶接により固定することにより、上面材11や下面材13に対して接続されている。第5実施形態における溝形鋼からなる芯材15は、ウエブ31とウエブ31の上下両端側の上フランジ33、下フランジ35とを備えている。その上フランジ33、下フランジ35を上面材11や下面材13に対して当接させた状態で、ねじ、リベット等の固定金具(固定部材)84、85や、溶接により、芯材15と上面材11、下面材13とを固定する。これにより、芯材15と上面材11、下面材13とが接続されている。
第5実施形態におけるパネル床構造60は、図17Aに示すように、長さ方向の両側の開口を塞ぐように、板材からなる端板16が取り付けられている。この端板16は、例えば、溶接やねじ等の固定金具によって上面材11、下面材13に対して接続されるものである。第6実施形態におけるパネル床構造60では、上面材11と下面材13とがそれぞれ端板16に対して溶接によって接続されている。この端板16は、本実施形態において必須の構成となるものではない。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第6実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図20Aは、第6実施形態のパネル床構造70の構成を示す斜視図であり、図20Bは、その正面断面図である。
第6実施形態に係るパネル床構造70は、第5実施形態に係るパネル床構造60と比較して、芯材15の構成が相違している。第6実施形態に係るパネル床構造70では、芯材15が折板から構成されている。
芯材15が、上面材11と平面で接触する上フランジ43(上平面部)と、下面材13と平面で接触する下フランジ(下平面部)45と、上面材11及び下面材13に対して傾斜したウェブ(傾斜部)41とを有している。さらに、上フランジ43と、ウェブ41と、下フランジ45とがこの順に連続して形成されている。
具体的には、この折板で形成されたからなる芯材15は、幅方向Xに略水平に設けられた上フランジ43と下フランジ45とが、幅方向Xに対して傾斜して設けられたウェブ41を介して幅方向Xに交互に形成されて波形をなして構成されている。上面材11に対しては、折板からなるで形成された芯材15の上端側に位置する上フランジ43が当接され、下面材13に対しては、折板で形成されたからなる芯材15の下端側に位置する下フランジ45が当接され、これらはねじ、リベット等の固定金具814、85、又は溶接等によって固定されて接続されている。これにより、折板からなる芯材15は、上面材11及び下面材13の間を幅方向の複数の中空空間19に仕切ることになる。
さらに、第6実施形態に係るパネル床構造70も、上述した所定式に基づいて決定されるこれら各振動系の1次固有振動数が上述のような所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。
なお、第6実施形態においては、芯材15における一つの上フランジ43や一つの下フランジ45が上面材11や下面材13に対して長さ方向Yに間隔を空けた複数箇所で固定金具84、85によって固定されている。上フランジ43、下フランジ45の一箇所につき一つの固定金具84、85によってそれぞれ固定されて接続されている。また、折板で形成された芯材15の幅方向Xの両端は、パネル床構造1の内側に開口された略U字状をなすように、上フランジ43又は下フランジ45に対して折り曲げられている。
また、芯材15は、このように折板から構成されていてもよいし、波板から構成されていてもよい。さらに、上フランジ43、下フランジ45とウェブ41とのなす角度αは、45度〜80度であることが好ましい。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第7実施形態について説明する。
図21Aは、第7実施形態に係るパネル床構造80の構成を示す斜視図であり、図21Bはそのパネル床構造80を構成するパネル構成部材50の構成を示す側面図であり、図21Cはそのパネル床構造80の正面断面図である。
第7実施形態に係るパネル床構造80は、図21Bに示すようなパネル構成部材50を複数組み合わせることによって構成されている。パネル構成部材50は、ウェブ51と、このウェブ51の一端に設けられ幅方向に延びる上フランジ53と、ウェブ51の他端に設けられ上フランジ53と逆方向に延びる下フランジ55とを有し、長さ方向に延在する。すなわち、上フランジ53及び下フランジ55は、ウェブ51に対して、略鉛直方向に延びており、ウェブ51の上下端から幅方向Xの逆方向に折り曲げられて設けられている。これにより、パネル構成部材50の断面形状が略Z字状に構成されている。このパネル構成部材50は、鋼板を曲げ加工、ロール成形、熱押し成形等することによって構成される。
このパネル構成部材50は、図21Cに示すように、上フランジ53及び下フランジ55のそれぞれにより略同一平面が形成されるように、同一の配向状態をもって配置されている。すなわち、パネル床構造30は、上フランジ53及び下フランジ54それぞれが同一平面を形成するように幅方向に隣接して配列され、隣接して配列された複数の上フランジ53が、第5実施形態で示した上面材11を形成し、隣接して配列された複数の下フランジ55が、第5実施形態で示した下面材13を形成し、ウェブ51が芯材15である。これによって、第7実施形態に係るパネル床構造80が構成されている。パネル構成部材50における上フランジ53の先端部53aが、隣接する他のパネル構成部材50における上フランジ53の基端部53bに溶接、機械接合等により固定される。更にパネル構成部材50における下フランジ55の先端部55aが、隣接する他のパネル構成部材50における下フランジ55の基端部55bに溶接、機械接合等により固定される。これらにより、隣接するパネル構成部材50が、互いに固定されている。
このように複数のパネル構成部材50により構成されたパネル床構造80は、複数のパネル構成部材50の上フランジ53及び下フランジ55により上面材11及び下面材13が構成されており、各パネル構成部材50のウエブ51により芯材15が構成されている。
また、第7実施形態に係るパネル床構造80も、上述した所定式に基づいて決定されるこれら各振動系の1次固有振動数が上述のような所定の範囲となるように各振動系の寸法が調整されている。
次に、本発明を適用したパネル床構造の第8実施形態について説明する。
図22Aは第8実施形態に係るパネル床構造90の構成を示す一部切欠斜視図であり、図22Bはその正面断面図である。
第8実施形態に係るパネル床構造90は、上面材11及び下面材13の間において芯材15により仕切られて設けられた中空空間19内に充填される吸音材61を更に備えている。吸音材61は、例えば、ロックウール、グラスウール等の繊維質材料、ウレタンフォーム等の発泡材料、軽量コンクリート、発泡コンクリート等のコンクリート系材料等により構成される。
なお、第8実施形態におけるパネル床構造90は、吸音材61を中空空間19内に充填可能となるように、長さ方向Yの両側の開口を塞ぐ板材からなる端板16が取り付けられている。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
実施例3においては、上記の表6におけるNo.1とNo.8との2種類の断面性能のパネル床構造を用いて、JIS A 1418−2に準拠して重量床衝撃音試験を行ない、各周波数に対する音圧レベルを調査することとした。
図23は、その重量床衝撃音試験の結果を示す図である。横軸は1/1オクターブ中心周波数、縦軸は音圧レベルを示している。丸付線が比較例としてのNo.1の結果、四角付線が発明例としてのNo.8の結果を示している。
両者を比較すると、発明例としてのNo.8の方が比較例としてのNo.1のものより高い遮音性を有することが確認できる。表7−1、表7−2を参照すると、発明例としてのNo.8の全体の質量Mallが102(kg/m)であり、比較例としてのNo.1の全体の質量Mallが92(kg/m)であり、同程度である。しかしながら、発明例としてのNo.8が、数式(21)〜(23)の総てを満足しているのに対し、比較例としてのNo.1は、数式(21)しか満足しておらず、さらには、全体振動系の1次固有振動数は45Hzを超している。これにより、計算値としての本発明例のパネル床構造の遮音等級Lhが、比較例のパネル床構造の遮音等級Lhは比較例に比べて高いが、実測値においては発明例の方が比較例に比べて低くなる。したがって、数式(21)〜(23)の総てを満足し、全体振動系の1次固有振動数が15H以上45Hz以下となるように、各部材の寸法を調整することにより、軽量化を図りつつ遮音性に優れたパネル床構造を提供することが可能となる。
1 パネル床構造
7 床下構造
10 パネル構造体
11 上面材
13 下面材
15 芯材
16 端板
17 接続部
19 中空空間
21 全体振動系
23 第1部分振動系
25 第2部分振動系
27 支持部
31 ウェブ
33 上フランジ
35 下フランジ
41 ウェブ
43 上フランジ
45 下フランジ
51 ウェブ
53 上フランジ
55 下フランジ
61 吸音材
71 横架材
81 固定金具
(17)本発明の一態様に係るパネル床構造は、互いに所定間隔をおいて略平行に配置された上面材及び下面材と、これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、前記空間内すべてに、充填された吸音材を備え;前記上面材及び前記下面材の長さ寸法、幅寸法、板厚、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法、板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)を満たすように調整されている。
(A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。

Claims (19)

  1. 互いに所定間隔をあけて略平行に配置された上面材及び下面材と、
    これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、
    前記上面材及び前記下面材の長さ寸法、幅寸法、板厚、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法、板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)及び下記(B)を満たすように調整されていることを特徴とするパネル床構造。
    (A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。
    (B)前記上面材、前記下面材、あるいは、前記芯材それぞれの部分振動系の1次固有振動数が707Hz以上20000Hz以下である。
  2. 前記全体振動系が下記数式(1)を満たす等方性を有し;
    前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(2)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面における断面2次モーメント(mm
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
    : 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
  3. 前記全体振動系が下記数式(3)を満たす等方性を有し;
    前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(4)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    ν : 前記全体振動系のポワソン比
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記横架材の長さ方向に直交する断面の断面積(mm
    : 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    : 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
  4. 前記全体振動系が下記数式(5)を満たす異方性を有し;
    前記全体振動系の前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(6)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面積(mm
    : 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
  5. 前記全体振動系が下記数式(7)を満たす異方性を有し;
    前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とをさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(8)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Figure 2011086769
    : 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    : 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    ν : 前記全体振動系のポワソン比
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    Sx : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
    Sy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面の断面積(mm
  6. 前記全体振動系が下記数式(9)を満たす等方性を有し;
    前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;
    前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(10)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面における断面2次モーメント(mm
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記横架材の延長方向に平行な鉛直断面の断面積(mm
    : 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
  7. 前記全体振動系が下記数式(11)を満たす等方性を有し;
    前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;
    前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(12)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    ν : 前記全体振動系のポワソン比
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記横架材の長さ方向に直交する断面の断面積(mm
    : 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    : 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
  8. 前記全体振動系が下記数式(13)を満たす異方性を有し;
    前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;
    前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(14)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する鉛直断面の断面積(mm
    : 前記幅方向、あるいは、前記長さ方向の前記横架材の配置間隔(mm)
  9. 前記全体振動系が下記数式(15)を満たす異方性を有し;
    前記全体振動系の前記幅方向及び前記長さ方向に間隔をあけて前記下面材の4つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記上面材及び前記下面材のうち少なくとも前記下面材を前記横架材に固定する固定部材とをさらに備え;
    前記下面材のみが前記横架材に固定される場合、前記上面材と他部材とを固定する他の固定部材をさらに備え;
    前記全体振動系の1次固有振動数fが、下記数式(16)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    Ex : 前記全体振動系の前記幅方向のヤング係数
    Ey : 前記全体振動系の前記長さ方向のヤング係数
    Ix : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Iy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面における断面2次モーメント(mm
    Figure 2011086769
    : 前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    : 前記幅方向における前記横架材の配置間隔(mm)
    ρ : 前記全体振動系の密度(kg/m
    ν : 前記全体振動系のポワソン比
    : 前記全体振動系のヤング係数(N/mm
    Sx : 前記全体振動系の前記幅方向に直交する断面の断面積(mm
    Sy : 前記全体振動系の前記長さ方向に直交する断面の断面積(mm
  10. 前記芯材と前記上面材との接触部に、前記上面材及び前記芯材を固定する第1芯材固定部材と、
    前記芯材と前記下面材との接触部に、前記下面材及び前記芯材を固定する第2芯材固定部材と、
    をさらに備え;
    前記上面材及び前記下面材の1次固有振動数fが下記数式(17)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    : 前記上面材または前記下面材のヤング係数(N/mm
    : 前記上面材または前記下面材の厚み(mm)
    ρ : 前記上面材または前記下面材の密度(kg/m
    ν : 前記上面材または前記下面材のポワソン比
    : 前記上面材または前記下面材の前記長さ方向の長さ(mm)
    : 前記芯材間の配置間隔(mm)
  11. 前記芯材と前記上面材との接触部に、前記上面材及び前記芯材を固定する複数の固定部材と、
    前記芯材と前記下面材との接触部に、前記下面材及び前記芯材を固定する複数の固定部材と、
    をさらに備え;
    前記上面材及び前記下面材の1次固有振動数f10が下記数式(18)を満たす;
    ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    : 前記上面材または前記下面材のヤング係数(N/mm
    : 前記上面材または前記下面材の厚み(mm)
    ρ : 前記上面材または前記下面材の密度(kg/m
    ν : 前記上面材または前記下面材のポワソン比
    : 前記上面材または前記下面材の前記長さ方向の長さ(mm)
    : 前記芯材間の配置間隔(mm)
  12. 前記芯材の1次固有振動数f11が下記数式(19)を満たすことを特徴とする請求項10に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    : 前記芯材のヤング係数(N/mm
    : 前記芯材の板厚方向の厚み(mm)
    ρ : 前記芯材の密度(kg/m
    ν : 前記芯材のポワソン比
    : 前記芯材の前記長さ方向の長さ(mm)
    : 前記所定間隔(mm)
  13. 前記芯材の1次固有振動数f12が下記数式(20)を満たすことを特徴とする請求項11に記載のパネル床構造。
    Figure 2011086769
    ただし、
    : 前記芯材のヤング係数(N/mm
    : 前記芯材の板厚方向の厚み(mm)
    ρ : 前記芯材の密度(kg/m
    ν : 前記芯材のポワソン比
    : 前記芯材の前記長さ方向の長さ(mm)
    : 前記所定間隔(mm)
  14. 前記全体振動系の、幅方向、あるいは、この幅方向に直交する長さ方向に間隔をあけて前記下面材の2つの端辺に沿って延在して配置され、前記下面材を支持する横架材と、前記下面材と前記横架材とを固定する固定部材とを備え;
    下記数式(21)から(23)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
    EI≧0.65×EIall ・・・(21)
    w≧0.40×Mall ・・・(22)
    w≧EIw/(k×l4)(k=719) ・・・(23)
    ただし、
    w :前記芯材の質量(kg/m2
    EIf :前記上面材及び前記下面材の曲げ剛性(N・m2
    EIw :前記芯材の曲げ剛性(N・m2
    all :前記上面材、前記下面材及び前記芯材の合計質量(kg/m2
    EIall :前記上面材、前記下面材及び前記芯材の曲げ剛性(N・m2
    l :前記幅方向、あるいは、前記長さ方向における前記横架材の配置間隔(m)
  15. 前記芯材が、前記上面材と平面で接触する上平面部と、前記下面材と平面で接触する下平面部と、前記上面材及び前記下面材に対して傾斜した傾斜部とを有し、
    前記上平面部と、前記傾斜部と、前記下平面部とがこの順に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
  16. 前記空間内に、吸音材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル床構造。
  17. 互いに所定間隔をおいて略平行に配置された上面材及び下面材と、
    これら上面材及び下面材間を連結して空間を形成する少なくとも一対の鋼製の芯材と、を備えたパネル床構造であって、
    前記空間内に、充填された吸音材を備え;
    前記上面材及び前記下面材の長さ寸法、幅寸法、板厚、前記所定間隔、前記芯材の長さ寸法、板厚、さらには前記各芯材間の配置間隔、のうちの少なくとも一つが下記(A)を満たすように調整されていることを特徴とするパネル床構造。
    (A)前記上面材、前記下面材及び前記芯材により構成された全体振動系の1次固有振動数が15Hz以上45Hz以下である。
  18. ウェブと、このウェブの一端に設けられ前記幅方向に延びる上フランジと、前記ウェブの他端に設けられ前記上フランジと逆方向に延びる下フランジとを有し、前記長さ方向に延在するパネル構成部材を複数備え;
    前記複数のパネル構成部材は、前記上フランジ及び前記下フランジそれぞれが同一平面を形成するように前記幅方向に隣接して配列され;
    隣接して配列された前記複数の上フランジが、前記上面材を形成し;
    隣接して配列された前記複数の下フランジが、前記下面材を形成し;
    前記ウェブが前記芯材である;
    ことを特徴とする請求項1または請求項17に記載のパネル床構造。
  19. 請求項1または請求項17に記載のパネル床構造を備えることを特徴とする建築構造物。
JP2011505306A 2010-01-14 2010-11-22 パネル床構造及び建築構造物 Active JP4880087B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011505306A JP4880087B2 (ja) 2010-01-14 2010-11-22 パネル床構造及び建築構造物

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010005543 2010-01-14
JP2010005543 2010-01-14
JP2010116764 2010-05-20
JP2010116764 2010-05-20
JP2011505306A JP4880087B2 (ja) 2010-01-14 2010-11-22 パネル床構造及び建築構造物
PCT/JP2010/070805 WO2011086769A1 (ja) 2010-01-14 2010-11-22 パネル床構造及び建築構造物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4880087B2 JP4880087B2 (ja) 2012-02-22
JPWO2011086769A1 true JPWO2011086769A1 (ja) 2013-05-16

Family

ID=44304061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011505306A Active JP4880087B2 (ja) 2010-01-14 2010-11-22 パネル床構造及び建築構造物

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP4880087B2 (ja)
CN (1) CN102713101B (ja)
MY (1) MY156805A (ja)
TW (1) TWI470140B (ja)
WO (1) WO2011086769A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI477676B (zh) * 2011-12-02 2015-03-21 Harvest Engineering Consultants Inc Method of Anti - collapse Box for Drilling of Wall Pile and Its Anti - collapse
JP6092573B2 (ja) * 2012-10-30 2017-03-08 株式会社ノザワ 遮音床パネルの製造方法
CN106869385A (zh) * 2017-03-03 2017-06-20 山东大学 全装配式钢‑预制混凝土楼板组合梁
JP6993222B2 (ja) * 2017-12-27 2022-01-13 大和ハウス工業株式会社 低層建物の固有振動数推定方法
JP7114310B2 (ja) * 2018-04-16 2022-08-08 株式会社デンソーテン タッチパネル装置および操作パネルの固定方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5286473A (en) * 1976-01-11 1977-07-18 Yamamoto Kyoshi Process for making hollow plates
JPH0330937A (ja) * 1989-06-27 1991-02-08 Showa Aircraft Ind Co Ltd サンドイッチパネル
JP3900610B2 (ja) * 1997-08-29 2007-04-04 Jfeスチール株式会社 建材用軽量形鋼、その製造方法及びこれを用いたスチールハウスの床構造
JP2000282583A (ja) * 1999-03-31 2000-10-10 Sekisui Chem Co Ltd 床構造
JP3505527B2 (ja) * 2001-11-21 2004-03-08 住友金属建材株式会社 建築用パネル
JP4405416B2 (ja) * 2005-03-23 2010-01-27 株式会社竹中工務店 既存床スラブの重量床衝撃音の低減方法
JP5098052B2 (ja) * 2006-04-11 2012-12-12 新日鐵住金株式会社 壁パネル
JP2008255609A (ja) * 2007-04-03 2008-10-23 Nippon Steel Corp 床パネル構造

Also Published As

Publication number Publication date
CN102713101A (zh) 2012-10-03
JP4880087B2 (ja) 2012-02-22
MY156805A (en) 2016-03-31
TW201135021A (en) 2011-10-16
WO2011086769A1 (ja) 2011-07-21
CN102713101B (zh) 2014-10-15
TWI470140B (zh) 2015-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4880087B2 (ja) パネル床構造及び建築構造物
JP2021507145A (ja) 高層建築物用動的振動減衰システム
JP6381759B2 (ja) 吸音構造
JP4231471B2 (ja) 天井構造
JP7456753B2 (ja) 吸音器、吸音器の調整方法、天井構造、及び建物
JP2021095759A (ja) 音低減構造及び音低減方法
JP6547519B2 (ja) 木鋼合成床構造
JP5383598B2 (ja) 建物
JP4145281B2 (ja) 床−天井構造
JP3908553B2 (ja) 高剛性パネル
JP2024029435A (ja) 木造遮音床
JP2008255609A (ja) 床パネル構造
WO2007020841A1 (ja) 床‐天井構造
JP2020176493A (ja) 床構造
JP5026870B2 (ja) 耐震性を有する遮音壁構造
JP2006125195A (ja) 床構造
JP6029722B1 (ja) 天井床部材、及び天井床部材を備える建築物
JP2011137288A (ja) 建物
JP2018109306A (ja) 二重床構造
JP6329002B2 (ja) 床構造
JP2021075902A (ja) 床構造
JP4723435B2 (ja) 床‐天井構造
JP2005307437A (ja) 建築遮音構造体
JP2023085930A (ja) 天井と間仕切壁の納まり構造
JP4560733B2 (ja) 木質系住宅の床構造

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111108

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111130

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4880087

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350