JP6547519B2 - 木鋼合成床構造 - Google Patents

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本発明は、木造建築物の床構造として設けられる木鋼合成床構造に関する。
従来から、大きなスパンの鋼製梁を用いて床を支持する場合に、床の居住性を確保するために、床の上下方向の振動の速やかな減衰を可能とし、簡単な構造で低コストかつ容易に施工可能とすることを目的として、特許文献1、2に開示される制振床構造等が提案されている。
特許文献1に開示される制振床構造は、平板状の床材が互いに間隔をあけて配列された複数の鋼製横架材により支持された床構造本体の上下方向の振動を減衰させる制振床構造であって、前記鋼製横架材の下側に、前記床構造本体の当該鋼製横架材以外の部分に支持された受け部材が設けられ、当該受け部材と当該鋼製横架材との間に減衰材が設けられていることを特徴とする。
特許文献2に開示される床の構造は、2条で1組をなす鋼製帯状のテンション構造体を平行に配設した複数の床根太の軸方向と直交方向に設置し、かつ、隣り合う床根太の間で交差させてブレース状に設けたうえ、各床根太の上下部を狭持するように緊張して配設することで、当該テンション構造体を介して各床根太を一体化し、床に作用する衝撃力に対し、床根太全体にて抵抗できる構成としたことを特徴とする。
特開2011−38277号公報 特開2002−364110号公報
特許文献1に開示される制振床構造は、受け部材と鋼製横架材との間に粘弾性材料からなる減衰材が設けられることで、床構造本体の上下方向の振動を減衰材で減衰させるものとなる。このため、特許文献1に開示される制振床構造は、粘弾性材料からなる減衰材が経時劣化することで、長期的な振動減衰性能の確保が困難になるという問題点があった。
特許文献2に開示される床の構造は、各床根太の上下部を狭持するように、鋼製帯状のテンション構造体を緊結することで、複数の床根太を一体化させて振動を抑制するものである。このため、特許文献2に開示される床の構造は、テンション構造体を緊結するための施工に要するイニシャルコストの増大や、テンション構造体が緩んだときの再緊結等のメンテナンスコストの増大が懸念されるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、木造建築物において、床材同士を一体化させて床振動を抑制するとともに、床梁間の位相差を解消してうなりの発生を抑制して、居住性に優れた木鋼合成床構造を提供することにある。
第1発明に係る木鋼合成床構造は、木造建築物の床構造として設けられる木鋼合成床構造であって、建築物の外周に架設されて木材が用いられる複数の胴差材と、前記胴差材同士の間に架設されて鋼材が用いられる複数の床梁材と、前記床梁材同士の間に略直交して架設されて前記床梁材と同形の鋼材が用いられる直交横架材とを備え、前記床梁材は、前記胴差材に接続される接続端部から、所定のスパン長で建築物の内部に向けて延びて形成されて、前記直交横架材は、前記床梁材と略直交した交差部が、前記床梁材の前記接続端部から所定のピッチで離間して設けられて、前記交差部で前記床梁材と互いに接合されており、前記交差部では、前記床梁材と前記直交横架材とが、互いにボルト止めされて連結されていることを特徴とする。
第2発明に係る木鋼合成床構造は、第1発明において、前記床梁材及び前記直交横架材は、前記床梁材の前記接続端部から、前記床梁材の前記接続端部に隣り合った前記直交横架材の前記交差部までのピッチ、及び、複数の前記直交横架材が設けられる場合に、隣り合った前記直交横架材の前記交差部を互いに離間させたピッチを、前記床梁材のスパン長で除した値が、0.25以上、0.5以下となることを特徴とする。
第3発明に係る木鋼合成床構造は、第1発明又は第2発明において、木鋼合成床構造の床振動評価値を示す模擬評価値VI(2)が、木鋼合成床構造の1次モード質量Mmode1と、木鋼合成床構造の1次モード剛性Kmode1との関係から、下記(1)式により規定される関係を満足することを特徴とする。
Figure 0006547519
第1発明〜第3発明によれば、1箇又は複数の直交横架材を設けることで、直交横架材が設けられない従来の床構造と比較すると、床振動評価値VI(2)を−0.8以下となるまで低減させると同時に、1次振動モードに対する2次振動モードの振動数比率を1.5倍〜2倍程度まで高めることができる。これにより、第1発明〜第3発明によれば、床全体の面外の曲げ剛性を向上させることにより床振動評価値VI(2)を低減させて床振動を抑制すると同時に、振動数比率を高めて振動の位相差を解消してうなりの発生を抑制することで、床構造の環境性能を十分に向上させることが可能となる。
特に、第2発明によれば、1箇以上、3箇以下の直交横架材を設けるものとすることで、単位重量当たりの床振動評価値VI(2)が小さくなると同時に、単位重量当たりの振動数比率が大きくなり、環境性能を十分に向上させた木鋼合成床構造を経済的に提供することが可能となる。
特に、第3発明によれば、従来の方法で床振動評価値VI(2)を算出することを必要とすることなく、環境性能の指標となる模擬評価値VI(2)を、計算負荷の低いモード解析のみから、上記(1)式により簡易に算出して、木造建築物の床構造の設計を容易に実施することが可能となる。
本発明を適用した木鋼合成床構造が導入される木造建築物を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用した木鋼合成床構造で3箇の直交横架材を設けた状態を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用した木鋼合成床構造で1箇の直交横架材を設けた状態を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用した木鋼合成床構造で2箇の直交横架材を設けた状態を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用した木鋼合成床構造で直交横架材の交差部を示す側面図であり、(b)は、その底面図である。 本発明を適用した木鋼合成床構造で直交横架材の交差部の変形例を示す側面図である。 「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」における床振動評価値VI(2)と「気になり具合評価尺度」との関係を示すグラフである。 本発明を適用した木鋼合成床構造の解析モデルを示す斜視図である。 本発明を適用した木鋼合成床構造の解析モデルで負荷される加振力を示すグラフである。 (a)は、過渡応答解析の結果として0.2秒までの変位と時間との関係を示すグラフであり、(b)は、その加速度と時間との関係を示すグラフである。 (a)は、過渡応答解析の結果として1.6秒までの変位と時間との関係を示すグラフであり、(b)は、その加速度と時間との関係を示すグラフである。 (a)は、P/Lに対する床振動評価値VI(2)を示すグラフであり、(b)は、その単位重量当たりの床振動評価値VI(2)を示すグラフである。 (a)は、P/Lに対する振動数比率(f2/f1)を示すグラフであり、(b)は、その単位重量当たりの振動数比率(f2/f1)を示すグラフである。 P/Lに対する単位重量当たりの床振動評価値VI(2)、及び、単位重量当たりの振動数比率(f2/f1)を示すグラフである。 (a)は、1次モード質量の逆数と最大加速度との関係、(b)は、1次モード剛性の逆数と最大変位との関係、(c)は、加速度が14.1cm/sec2まで減衰するまでの時間と最大加速度との関係を示すグラフである。 振動固有値解析から算定される模擬評価値VI(2)と過渡応答解析結果の床振動評価値VI(2)との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した木鋼合成床構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、図1に示すように、住宅又は事務所等の木造建築物8に導入されるものである。本発明を適用した木鋼合成床構造1は、特に、店舗併用住宅又は介護老人保健施設等、比較的規模の大きい木造建築物8の床構造として設けられる。
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、例えば、2階建又は3階建の建築物等、複数の階層からなる木造建築物8において、上階から下階まで連続する柱材81、各々の階層の耐力壁等の壁材82及び木材の根太83等とともに設けられて、上階と下階とを隔てる床構造となる。
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、建築物の外周8aに架設される胴差材2と、胴差材2に架設されて建築物の内部8bに向けて延びる床梁材3と、床梁材3と略直交して架設される直交横架材4とを備えて、例えば、平面方向で略矩形状に形成される。
胴差材2は、無垢材又は集成材、LVL、CLT等の木質材料が用いられる。胴差材2は、例えば、断面形状が略矩形状に形成されて、図2に示すように、木鋼合成床構造1の四辺の各々に設けられる。胴差材2は、建築物の幅方向Xに隣り合って高さ方向Zに延びる複数の柱材81、及び、建築物の奥行方向Yに隣り合って高さ方向Zに延びる複数の柱材81に架設される。
胴差材2は、図2(a)に示すように、木鋼合成床構造1の四辺の各々で、建築物の幅方向X及び奥行方向Yに一対となって設けられる。胴差材2は、幅方向X及び奥行方向Yで、一対となった胴差材2が互いに離間するとともに、互いに略平行に延びて設けられる。
床梁材3は、H形鋼又は溝形鋼等の鋼材が用いられる。床梁材3は、建築物の幅方向X又は奥行方向Yに延びて設けられる。床梁材3は、例えば、複数の床梁材3が幅方向Xに延びて設けられる場合に、奥行方向Yに一対となった胴差材2の間で、複数の床梁材3が奥行方向Yで互いに略等間隔に離間して設けられる。
床梁材3は、図2(b)に示すように、幅方向Xに延びて設けられる場合に、幅方向Xに一対となった各々の胴差材2に架設される。床梁材3は、各々の胴差材2に架設される幅方向Xの両端の各々が、胴差材2に接続される接続端部3aとなる。
床梁材3は、幅方向Xの一端の接続端部3aから、幅方向Xの他端の接続端部3aまで、所定のスパン長Lで延びて形成される。床梁材3は、特に、店舗併用住宅又は介護老人保健施設等で、比較的大きいスパン長Lの木鋼合成床構造1に用いられて、6m以上、10m以下のスパン長L、さらに限定して言うと、7m以上、9m以下のスパン長Lで延びて形成される。
直交横架材4は、H形鋼又は溝形鋼等の鋼材が用いられる。直交横架材4は、床梁材3と略直交して、建築物の奥行方向Y又は幅方向Xに延びて設けられる。直交横架材4は、例えば、床梁材3が幅方向Xに延びて設けられる場合に、幅方向Xに一対となった胴差材2の間で、奥行方向Yに延びる1又は複数の直交横架材4が設けられる。
直交横架材4は、床梁材3の接続端部3aから幅方向Xに離間した位置が、床梁材3と略直交する交差部4aとなり、交差部4aで床梁材3と互いに接合されて床梁材3に支持される。直交横架材4は、図2に示すように、3箇の直交横架材4が設けられる場合に、例えば、奥行方向Yに延びる4箇の根太83が設けられる。ただし、根太83の本数は、必ずしも同図に示す本数である必要はなく、基本的には、床面材上の荷重、床面の板厚、及びその強度に応じて決定されるものとする。
直交横架材4は、床梁材3の両端の接続端部3aと、床梁材3の各々の接続端部3aに隣り合った直交横架材4の交差部4aとの間、及び、互いに隣り合った直交横架材4の各々の交差部4aの間において、各々の根太83が直交横架材4と交互に設けられる。
直交横架材4は、図3に示すように、1箇の直交横架材4が設けられる場合に、床梁材3の両端の接続端部3aと、床梁材3の各々の接続端部3aに隣り合った直交横架材4の交差部4aとの間において、例えば2箇の根太83が直交横架材4と交互に設けられる。
また、直交横架材4は、図4に示すように、2箇の直交横架材4が設けられてもよい。このとき、直交横架材4は、床梁材3の接続端部3aと、床梁材3の接続端部3aに隣り合った直交横架材4の交差部4aとの間、及び、互いに隣り合った直交横架材4の各々の交差部4aの間において、例えば3箇の根太83が直交横架材4と交互に設けられる。
直交横架材4は、図2〜図4に示すように、奥行方向Yに一対となった各々の胴差材2に、奥行方向Yの両端の各々が接続されて支持される。直交横架材4は、幅方向Xに一対となった各々の胴差材2から幅方向Xに離間することで、床梁材3と略直交する交差部4aが、床梁材3の接続端部3aから所定のピッチPで離間して設けられるものとなる。
直交横架材4は、床梁材3の接続端部3aから、床梁材3の接続端部3aに隣り合った直交横架材4の交差部4aまで、床梁材3の両端の接続端部3aからの各々のピッチPが互いに略同一となる。このとき、直交横架材4は、図3に示すように、1箇の直交横架材4が設けられる場合に、幅方向Xの略中央に1箇の直交横架材4が配置される。
直交横架材4は、図2、図4に示すように、複数の直交横架材4が設けられる場合に、隣り合った直交横架材4の交差部4aを互いに離間させたピッチPも、床梁材3の両端の接続端部3aからの各々のピッチPと略同一となる。このとき、直交横架材4は、複数の直交横架材4が設けられる場合に、複数の直交横架材4が略等間隔に配置される。なお、これらのピッチPは、略同一となるものに限らず、略同一でなくてもよい。
床梁材3及び直交横架材4は、例えば、図3に示すように、直交横架材4を1箇とした場合に、床梁材3の両端の接続端部3aからの各々のピッチPを、床梁材3のスパン長Lで除した値が0.5となる。また、床梁材3及び直交横架材4は、図2、図4に示すように、床梁材3の接続端部3aからのピッチP、及び、直交横架材4の交差部4aを互いに離間させたピッチPを、床梁材3のスパン長Lで除した値が、直交横架材4を2箇とした場合に0.33となり、直交横架材4を3箇とした場合に0.25となる。
このとき、床梁材3及び直交横架材4は、図2〜図4に示すように、1箇〜3箇の直交横架材4が設けられる場合に、床梁材3の接続端部3aから、床梁材3の接続端部3aに隣り合った直交横架材4の交差部4aまでの各々のピッチP、及び、複数の直交横架材4が設けられる場合に、隣り合った直交横架材4の交差部4aを互いに離間させたピッチPを、床梁材3のスパン長Lで除した値が、0.25以上、0.5以下となる。
床梁材3及び直交横架材4は、断面略H形状に形成されたH形鋼が用いられて、又は、断面略C形状に形成された一対の溝形鋼を背中合わせにして用いられて、図5に示すように、断面略H形状のH形鋼材5が各々に用いられる。
H形鋼材5は、平面方向で略平板状に延びる上部フランジ51及び下部フランジ52と、高さ方向Zで略平板状に延びるウェブ53とを有する。また、H形鋼材5は、上部フランジ51及び下部フランジ52が互いに略平行に設けられるとともに、上部フランジ51及び下部フランジ52の略中央にウェブ53が連設される。
H形鋼材5は、直交横架材4のH形鋼材5のウェブ53が、床梁材3のH形鋼材5の上部フランジ51及び下部フランジ52の間まで延びるものとなる。H形鋼材5は、これに限らず、図6に示すように、直交横架材4のH形鋼材5のウェブ53が、床梁材3のH形鋼材5の上部フランジ51及び下部フランジ52の間まで延びないものでもよい。
床梁材3及び直交横架材4は、各々のH形鋼材5の上部フランジ51を、互いに略直交するように配置して、直交横架材4の交差部4aで互いに接合される。床梁材3及び直交横架材4は、例えば、合板、石膏ボード及びフローリング等の床面材6が、H形鋼材5の上部フランジ51の上方に載置されて、平面方向に連続して床面材6が設けられる。
床梁材3及び直交横架材4は、平面方向に連続して設けられる床面材6に、各々のH形鋼材5の上部フランジ51が、例えば、複数のねじ50や釘等による接合で取り付けられて、単一の連続する床面材6を介して、直交横架材4の交差部4aで互いに接合されるものとなる。
床梁材3及び直交横架材4は、直交横架材4の交差部4aで、床梁材3のH形鋼材5を幅方向Xに連続させるとともに、床梁材3のH形鋼材5が、直交横架材4のH形鋼材5の端部5aで挟み込まれて、床梁材3と略直交して直交横架材4が架設される。
床梁材3及び直交横架材4は、各々のH形鋼材5のウェブ53がL形金具54をボルト止めすることで互いに連結されて、また、各々のH形鋼材5の下部フランジ52が平鋼板55をボルト止めすることで互いに連結されるものとなる。床梁材3及び直交横架材4は、必要に応じて、各々のH形鋼材5の上部フランジ51が、下部フランジ52と同様に、平鋼板55をボルト止めすることで連結されてもよい。
建築物の床構造は、幅方向X、奥行方向Yの剛性、及び、高さ方向Zの長期変形耐力等の構造性能に加えて、上階と下階との遮音性能及び床上歩行時の振動に対する環境性能が、床構造の設計における重要な考慮要素となる。
床上歩行時の振動については、特に、日本建築学会環境基準、AIJES−V001−2004、「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」により、下記(2)式に規定される床振動評価値VI(2)に基づいて、建築物の床構造の環境性能が評価される。
ここで、Dmax:高さ方向Zの最大変位時の変位の絶対値、Vm:最大変位時の変位の絶対値を最大変位時までの時間で除した値(=Dmax/Tm)、Th:高さ方向Zの加速度が14.1cm/sec2まで減衰するまでの時間とする。
Figure 0006547519
「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」においては、図7に示すように、床振動評価値VI(2)が−0.8以下の範囲で、「気になり具合評価尺度」が4.5以上となり、床上歩行時の振動音が「全く気にならない」、又は、ほとんど気にならない状態となる。これに対して、床振動評価値VI(2)が−0.8を超えて大きくなる範囲では、床上歩行時の振動音が「やや気になる」から「かなり気になる」に推移し、床振動評価値VI(2)が0.8のときに、床上歩行時の振動音が「非常に気になる」状態となる。
ここで、本発明を適用した木鋼合成床構造1については、床上歩行時の振動に係る環境性能を検討するために、直交横架材4が設けられない従来の床構造と、1箇、3箇、5箇又は7箇の直交横架材4が設けられる木鋼合成床構造1とを比較する過渡応答解析を実施した。
解析モデルでは、図8に示すように、7箇の床梁材3が設けられるものとして、各々の床梁材3のスパン長Lを7280mmとした。床梁材3及び直交横架材4の各々は、部材成400mm、フランジ幅135mm、フランジ板厚6mm及びウェブ板厚4.5mmのH形鋼として、床梁材3の両端がピン支持されるものとした。
床面材6は、幅寸法及び奥行寸法の各々を7280mmとして、板厚24mmの合板、板厚12.5mmの石膏ボード及び板厚12mmのフローリングを重ね合わせたうえで、面材全周をピン支持とした。なお、床梁材3及び直交横架材4と、床面材6とのねじ接合は、実験結果と解析結果とが一致するように、所定のばね定数に設定した。
この解析では、床梁材3と直交横架材4とが直交する箇所の上方から、幅寸法及び奥行寸法で床面材6の中央となる位置に、図9に示すように、所定の時間の経過毎に大きさを変化させる加振力Eを負荷するものとした。そして、この解析では、加振力Eを負荷する床面材6の中央の位置で、木鋼合成床構造1の高さ方向Zの変位、加速度を計測した。
過渡応答解析の結果、図10に示すように、加振力Eの負荷を開始した時点から、0.025秒経過した時点で、木鋼合成床構造1の変位及び加速度が最大となった。最大変位時までの時間Tmは、直交横架材4が設けられない従来の床構造、及び、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の何れにおいても、0.025secとなる。
また、最大変位時の変位の絶対値Dmaxは、図10(a)に示すように、従来の床構造で0.0076cm、直交横架材4を3箇とした木鋼合成床構造1で0.0025cmとなる。なお、最大変位時における最大加速度の絶対値ACCmaxは、図10(b)に示すように、従来の床構造で112.2cm/sec2、直交横架材4を3箇とした木鋼合成床構造1で40.8cm/sec2となる。
また、加速度が14.1cm/sec2まで減衰するまでの時間Thは、図11に示すように、従来の床構造で1.1400sec、直交横架材4を3箇とした木鋼合成床構造1で0.4275secとなる。従来の床構造、及び、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の各々については、表1に示すように、解析モデル及び過渡応答解析の結果が、振動の1次モード及び2次モードの固有値解析の結果とともに示される。
Figure 0006547519
従来の床構造、及び、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の各々については、過渡応答解析の結果から、Dmax、Vm及びThの各々を、上記(2)式に代入することで、床振動評価値VI(2)が算出される。このとき、上記(2)式により算出される床振動評価値VI(2)は、直交横架材4のピッチPを床梁材3のスパン長Lで除した値(=P/L)との関係で、図12に示すようにプロットされる。
ここで、上記(2)式により算出される床振動評価値VI(2)は、図12(a)に示すように、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の各々で、P/L=0.125以上、0.5以下となり、床振動評価値VI(2)≦−0.8となるため、図7に示すように、「気になり具合評価尺度」が4.5以上となって、床上歩行時の振動音が「全く気にならない」、又は、ほとんど気にならない状態となる。
これに対して、従来の床構造(P/L=1.0)では、上記(2)式により算出される床振動評価値VI(2)が−0.5程度となるため、「気になり具合評価尺度」が4.5を下回り、床上歩行時の振動音が「やや気になる」状態に接近する。
さらに、上記(2)式により算出される床振動評価値VI(2)は、7箇の床梁材3及び1箇〜7箇の直交横架材4を併せた鋼材重量Wで割り返すと、図12(b)に示すように、特に、直交横架材4が1箇以上、3箇以下の木鋼合成床構造1(0.25≦P/L≦0.5)で、単位重量当たりの床振動評価値VI(2)が小さくなることがわかる。
また、従来の床構造、及び、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の各々については、表1に示すように、固有値解析の結果から、2次モードの振動数f2を1次モードの振動数f1で除することで、振動数比率(=f2/f1)が算出される。このとき、振動数比率(=f2/f1)は、直交横架材4のピッチPを床梁材3のスパン長Lで除した値(P/L)との関係で、図13に示すようにプロットされる。
ここで、振動数比率(=f2/f1)は、図13(a)に示すように、従来の床構造(P/L=1.0)で、振動数比率がほぼ1となる(f2≒f1)。これに対して、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1については、f2/f1=1.45〜1.95となり、従来の床構造よりも、1次モードの振動数(=f1)に対する2次モードの振動数(=f2)が、1.5倍〜2倍程度まで高められた状態となる。
さらに、振動数比率(=f2/f1)は、7箇の床梁材3及び1箇〜7箇の直交横架材4を併せた鋼材重量Wで割り返すと、図13(b)に示すように、直交横架材4が1箇以上、3箇以下の木鋼合成床構造1で、単位重量当たりの振動数比率(=f2/f1)が大きくなることがわかる。なお、図13(b)は、単位重量当たりの振動数比率(=f2/f1)を示すものであるため、直交横架材4が1箇以上、7箇以下の木鋼合成床構造1においても、鋼材重量Wで割り返した結果、振動数比率が1を下回る値となっている。
このように、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、1箇又は複数の直交横架材4を設けることで、直交横架材4を設けられない従来の床構造と比較すると、図12(a)、図13(a)に示すように、床振動評価値VI(2)を−0.8以下となるまで低減させると同時に、振動数比率(=f2/f1)を1.5倍〜2倍程度まで高めることができる。
これにより、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、床全体の面外の曲げ剛性を向上させることにより、床振動評価値VI(2)を−0.8以下まで低減させて床振動を抑制すると同時に、振動数比率を1.5倍〜2倍程度まで高めて振動の位相差を解消してうなりの発生を抑制することで、床構造の環境性能を十分に向上させることが可能となる。
特に、図2〜図4に示す直交横架材4が1箇以上、3箇以下の木鋼合成床構造1(0.25≦P/L≦0.5)では、図14に示すように、単位重量当たりの床振動評価値VI(2)が小さくなると同時に、単位重量当たりの振動数比率(=f2/f1)が大きくなるため、環境性能を十分に向上させた木鋼合成床構造1を経済的に提供することが可能となる。
ここで、従来の床構造、及び、直交横架材4が1箇、3箇、5箇又は7箇の木鋼合成床構造1の各々については、表1に示すように、振動の1次モード及び2次モードの固有値解析の結果として、1次モード質量Mmode1及び1次モード剛性Kmode1が示される。
特に、本発明を適用した木鋼合成床構造1については、図15(a)に示すように、床振動の最大加速度の絶対値ACCmaxが、1次モード質量Mmode1の逆数の97.164倍となる。また、床振動の最大速度の絶対値Dmaxは、図15(b)に示すように、1次モード剛性Kmode1の逆数の100.6倍となる。さらに、床振動の加速度が14.1cm/sec2まで減衰するまでの時間Thは、図15(c)に示すように、床振動の最大加速度の絶対値ACCmaxの0.0105倍となる。
したがって、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、過渡応答解析の結果から、Dmax=100.6×(1/Kmode1)、Vm=(Dmax/Tm)=(100.6/Kmode1)/0.025、及び、Th=ACCmax×0.0105=97.164×(1/Mmode1)×0.0105=(97.164/Mmode1)×0.0105となることがわかる。
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、上記(2)式において、Dmax=100.6/Kmode1、Vm=(100.6/Kmode1)/0.025、及び、Th=(97.164/Mmode1)×0.0105となり、木鋼合成床構造1の床振動評価値を示す模擬評価値VI(2)が、木鋼合成床構造1の1次モード質量Mmode1と、木鋼合成床構造1の1次モード剛性Kmode1との関係から、下記(1)式により規定される関係を満足するものとなる。
Figure 0006547519
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、従来の上記(2)式によって床振動評価値VI(2)を算出することを必要としないで、固有値解析から算出される木鋼合成床構造1の1次モード質量Mmode1、及び、木鋼合成床構造1の1次モード剛性Kmode1に基づいて、木鋼合成床構造1の模擬評価値VI(2)を、上記(1)式により簡易に算出することができる。
なお、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、図16に示すように、振動の固有値解析から算定される模擬評価値VI(2)と、過渡応答解析の結果の床振動評価値VI(2)とが、約1対1の割合で対応することから、上記(1)式により算出される模擬評価値VI(2)が、環境性能を示す指標として十分な精度を有することが検証された。
これにより、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、環境性能の指標となる木鋼合成床構造1の模擬評価値VI(2)を、計算負荷の低いモード解析のみから簡易に算出して、図1に示す木造建築物8の床構造の設計を容易に実施することが可能となる。
本発明を適用した木鋼合成床構造1は、図2〜図4に示すように、特に、店舗併用住宅又は介護老人保健施設等において、6m以上、10m以下の比較的大きいスパン長Lの床梁材3に、1又は複数の直交横架材4を略直交させるものとする。
これにより、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、特に、従来から振動対策が懸念されていた比較的大きいスパン長Lの建築物においても、長期的な振動減衰性能の確保が困難となる減衰材、又は、イニシャルコスト及びメンテナンスコストの高いテンション構造体を用いずに、環境性能を十分に向上させた木鋼合成床構造1を提供することが可能となる。
また、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、図5に示すように、床梁材3及び直交横架材4となる各々のH形鋼材5の上部フランジ51が、単一の平面方向に連続する床面材6を介して、直交横架材4の交差部4aで簡易に接合される。これにより、本発明を適用した木鋼合成床構造1は、床梁材3と直交横架材4とを交差部4aで接合するときの施工性を向上させて、環境性能を十分に向上させた木鋼合成床構造1を容易に提供することが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :木鋼合成床構造
2 :胴差材
3 :床梁材
3a :接続端部
4 :直交横架材
4a :交差部
5 :H形鋼材
5a :端部
50 :ねじ
51 :上部フランジ
52 :下部フランジ
53 :ウェブ
54 :L形金具
55 :平鋼板
6 :床面材
8 :木造建築物
8a :外周
8b :内部
81 :柱材
82 :壁材
83 :根太
X :幅方向
Y :奥行方向
Z :高さ方向

Claims (3)

  1. 木造建築物の床構造として設けられる木鋼合成床構造であって、
    建築物の外周に架設されて木材が用いられる複数の胴差材と、前記胴差材同士の間に架設されて鋼材が用いられる複数の床梁材と、前記床梁材同士の間に略直交して架設されて前記床梁材と同形の鋼材が用いられる直交横架材とを備え、
    前記床梁材は、前記胴差材に接続される接続端部から、所定のスパン長で建築物の内部に向けて延びて形成されて、
    前記直交横架材は、前記床梁材と略直交した交差部が、前記床梁材の前記接続端部から所定のピッチで離間して設けられて、前記交差部で前記床梁材と互いに接合されており、前記交差部では、前記床梁材と前記直交横架材とが、互いにボルト止めされて連結されていること
    を特徴とする木造建築物の床構造。
  2. 前記床梁材及び前記直交横架材は、前記床梁材の前記接続端部から、前記床梁材の前記接続端部に隣り合った前記直交横架材の前記交差部までのピッチ、及び、複数の前記直交横架材が設けられる場合に、隣り合った前記直交横架材の前記交差部を互いに離間させたピッチを、前記床梁材のスパン長で除した値が、0.25以上、0.5以下となること
    を特徴とする請求項1記載の木鋼合成床構造。
  3. 木鋼合成床構造の床振動評価値を示す模擬評価値VI(2)が、木鋼合成床構造の1次モード質量Mmode1と、木鋼合成床構造の1次モード剛性Kmode1との関係から、下記(1)式により規定される関係を満足すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の木鋼合成床構造。
    Figure 0006547519
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