JP5154206B2 - 木質系住宅の床構造 - Google Patents

木質系住宅の床構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5154206B2
JP5154206B2 JP2007308205A JP2007308205A JP5154206B2 JP 5154206 B2 JP5154206 B2 JP 5154206B2 JP 2007308205 A JP2007308205 A JP 2007308205A JP 2007308205 A JP2007308205 A JP 2007308205A JP 5154206 B2 JP5154206 B2 JP 5154206B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floor
dynamic damper
joist
joists
floor structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007308205A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009133071A (ja
Inventor
孝啓 可知
優二 開田
修治 伊香賀
憲之 古屋敷
伸介 西谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Forestry Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Forestry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd, Sumitomo Forestry Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2007308205A priority Critical patent/JP5154206B2/ja
Publication of JP2009133071A publication Critical patent/JP2009133071A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5154206B2 publication Critical patent/JP5154206B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Floor Finish (AREA)

Description

本発明は、例えば一般住宅や集合住宅(アパート、マンション)等の在来工法(木造軸組工法)により建造される木質系住宅の床構造に関する。
一般住宅等においては、床に飛び跳ねや踏み台からの降下等による衝撃が加わると振動が発生し、その振動が不快音や不快振動等の原因となることから問題となる。特に、複数階建ての戸建住宅や集合住宅等においては、居室や廊下の床に発生する振動や衝撃音が下階に直接的に伝播されるため、下階の住人にとっては甚だしい騒音となる場合がある。
そこで、一般住宅等の床に発生する振動や衝撃音を抑制するために、従来より種々の対策が講じられており、例えば木質系住宅においては、特許文献1に提案されているような床衝撃音対策が講じられている。この特許文献1には、木質系住宅における床や床支持部材(梁、根太等)の所定位置に、複数個のダイナミックダンパを設置することにより、重量床衝撃音をより効果的に低減し得るようにした床構造が開示されている。
ここで採用されるダイナミックダンパは、振動入力によって床や床支持部材が特定の周波数で振動するときに、床や床支持部材に対してマス部材がばね部材のばね作用を介して共振することにより、床や床支持部材の振動を減衰させて抑制することができる。なお、ダイナミックダンパの共振周波数は、マス部材の質量とばね部材のばね定数とによって基本的に定まり、低減すべき振動や衝撃音の周波数に合わせてチューニングされる。
また、特許文献2及び3には、住宅等に好適に設置されるダイナミックダンパとして、互いに距離を隔てて取付けられる一対の取付部材と、両取付部材の間に配置される長尺柱状のマス部材と、両取付部材にそれぞれ固着されてマス部材の両端を弾性支持する一対のゴム弾性体とを備えたタイプのダイナミックダンパが開示されている。
ところで、床の遮音性能を向上させる方策として、床重量を重くする方法が有効であることから、床の剛性を高めたり、床の総重量を増大させたりすることによって、遮音性能を向上させることが可能である。また、上記のダイナミックダンパは、マス部材の総質量が大きくなるほど、より良好な振動低減効果を発揮することができる。よって、ダイナミックダンパを床に設置する場合には、より多くのダイナミックダンパを使用してマス部材の総質量が大きくなるようにし、多数個のダイナミックダンパを床の広範囲に分散させて設置することにより、良好な振動低減効果を得ることが可能となる。
しかし、マス部材の総質量を増大させると床重量も増大してしまうことから、躯体や基礎を大きくしたり頑強に補強したりする必要があるため、住宅(建造物)の基本構造の変更やコストアップを強いられることとなり、床重量を重くする方法には限界がある。そのため、重量床衝撃音の低減をより効果的にできるようにするためには、床が振動するときの振動モードを考慮したり、ダイナミックダンパの設置箇所のバランスや重量効率等を考慮して工夫することが必要となる。
また、特許文献2及び3に開示されたタイプのダイナミックダンパは、長尺状のものであって、単体重量が5.0〜7.5kgの比較的重いものである。そのため、ダイナミックダンパを床や床支持部材に取付ける際には、ダイナミックダンパの両端部に設けられた取付部材を床支持部材の取付位置に押し付けた状態で、ビス止め等の取付作業を行わなければならないため、1人での取付作業が困難となり、施工性が非常に悪いという問題がある。
特開2007−146480号公報 特開2007−100449号公報 特開2007−132406号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、第一の解決すべき課題は、木質系住宅の床構造に対してダイナミックダンパを設置するに際して、床重量の増大を抑制しつつ重量床衝撃音をより効果的に低減できるようにすることであり、また、第二の解決すべき課題は、その床構造に対して設置されるダイナミックダンパの施工性の向上を図り得るようにすることである。
上記第一の解決すべき課題を解決する第一の発明は、矩形に組まれた大梁と、該大梁の内側に互いに所定距離を隔てて並列状に配置された複数本の小梁と、各該小梁と交差する方向に延びて互いに所定距離を隔てて並列状に配置された複数本の根太とからなる床支持部材によって、上方に配設される床材が支持され、前記小梁及び前記根太に対して複数個のダイナミックダンパが設置されている木質系住宅の床構造であって、前記ダイナミックダンパは、前記大梁と前記小梁と前記根太とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する前記小梁及び前記根太に対して1個ずつ設置されているとともに、前記小梁及び前記根太の両側面のうちの一方の側面に取付けられていることを特徴としている。
本発明に係る木質系住宅の床構造においては、複数個のダイナミックダンパが、大梁と小梁と根太とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する小梁及び根太に対して1個ずつ設置されていることから、床の広範囲に均等に分散させた状態で効率良くダイナミックダンパを設置することが可能となる。これにより、床重量の増大を抑制しつつ重量床衝撃音をより効果的に低減することが可能となる、ダイナミックダンパの最適配置が実現される。また、ダイナミックダンパは、小梁及び根太の両側面のうちの一方の側面に取付けられていることから、小梁及び根太の下方に形成される床下空間の高さを十分に確保することができるので、床下空間内に配設される他の機能部材の十分なスペースを確保することが可能となり、スペース効率を高めることができる。
本発明において、大梁と小梁と根太とにより形成される最小単位の矩形とは、その内側に小梁や根太が存在していない矩形のことであり、このような矩形は、大梁と小梁と根太とにより形成されるものと、小梁と根太とにより形成されるものとがある。なお、矩形が大梁と小梁と根太とにより形成されている場合には、大梁に対してダイナミックダンパは設置されない。大梁は壁などに支持されることから剛性が高いので、ダイナミックダンパを設置することによる振動低減効果を期待できないからである。
また、二つの最小単位の矩形が隣接している場合には、その隣接箇所で二つの矩形の共通する一辺となる箇所に一つの小梁又は根太が位置しているので、その一つの小梁又は根太に対して1個のダイナミックダンパを設置すればよい。
そして、上記第二の解決すべき課題を解決する第二の発明は、第一の発明に係る木質系住宅の床構造に設置されるダイナミックダンパであって、前記小梁又は前記根太に対して互いに距離を隔てて取付けられる一対の取付部材と、一対の該取付部材の間に配置される長尺柱状のマス部材と、一対の前記取付部材にそれぞれ設けられて前記マス部材の両端を弾性支持する一対のゴム弾性体と、を備え、各前記取付部材は、前記小梁又は前記根太の側面に固定される取付基板と、前記床材の下面に当接した状態に取付けられる当接基部とを有することを特徴としている。
本発明に係るダイナミックダンパは、木質系住宅の床構造における小梁又は根太に対して、互いに距離を隔てた状態に配置された一対の取付部材を取付けることにより設置される。この時、各取付部材は、小梁又は根太の側面に取付基板が押付けられると同時に、床材の下面に当接基部が当接されることによって、小梁又は根太の側面と床材の下面とが交わる角部の2面に押付けられた状態で位置決めされ、その状態でビスや釘などを打ち込むことにより固定される。小梁又は根太の1面を利用して押さえるよりもさらに床材の下面のもう1面を利用して2面で隅部に押さえつけることで、ダイナミックダンパを支持する支持力が軽減されることにより取付作業が容易になり、施工性が向上する。
本発明の好適な態様として、当接基部には、該当接基部を床材の下面に固定する固定具が挿通される挿通孔が設けられている。このようにされていれば、挿通孔を介して、ビスや釘などの固定具で当接基部を床材に固定することができるので、小梁又は根太の側面と床材の下面の2方向にビスや釘で留めることで、取付部材を強固に固定することが可能となる。
本発明の他の好適な態様として、各取付部材は、一方側に配置されたときに床材の下面に当接する第1当接基部と、他方側に配置されたときに床材の下面に当接する第2当接基部とを有する。このようにされていれば、互いに距離を隔てて対向配置される一対の取付部材が、一方側と他方側のどちらの側に配置されていてもよいため、取付部材を1種類のものに統一することが可能となり、低コスト化を図ることができる。
本発明のその他の好適な態様として、取付基板には、一方の取付部材を小梁又は根太へ仮止めする際に利用する仮止め孔が設けられている。このようにされていれば、ダイナミックダンパを取付ける際に、仮止め孔を利用して一方の取付部材を小梁又は根太に仮止めした状態で、他方の取付部材を小梁又は根太に固定することができるので、ダイナミックダンパを支える力が不要となり、更に取付作業を容易に行うことができる。
第一の発明に係る木質系住宅の床構造によれば、ダイナミックダンパは、大梁と小梁と根太とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する小梁及び根太に対して1個ずつ設置されているため、木質系住宅の床構造に対してダイナミックダンパを設置するに際して、床重量の増大を抑制しつつ重量床衝撃音をより効果的に低減することができる。
また、第二の発明に係るダイナミックダンパによれば、各取付部材は、小梁及び根太の側面に固定される取付基板と、床材の下面に当接した状態に取付けられる当接基部とを有するため、木質系住宅の床構造に対して設置されるダイナミックダンパの取付作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る木質系住宅の床構造において上階の床を下階側から見たときのダイナミックダンパの配置状態を示す説明図であり、図2はその床構造に設置されたダイナミックダンパの正面図であり、図3はその床構造に設置されたダイナミックダンパの平面図であり、図4はその床構造に設置されたダイナミックダンパの一部を断面で示す側面図であり、図5はそのダイナミックダンパの取付部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
本実施形態の木質系住宅の床構造は、図1に示すように、上階の一つの部屋を区画する矩形の床材1を支持する床支持部材に対して、24個のダイナミックダンパD、…、Dが所定個所に設置されているものである。ここでの床材1は、図2及び図4に示すように、合板等の下地パネル1aや仕上げ材1b等の複数種類のもので構成されており、これらのものが重ね合わされた状態で床支持部材上に敷設されている。
この床材1を支持する床支持部材は、4本の木材により床材1と略同じ大きさの矩形(3640mm×3640mm)に組まれた大梁2a〜2dと、大梁2a〜2dの内側に互いに等距離を隔てて平行となるように配置された3本の小梁3、3、3と、大梁2a〜2dの内側において各小梁3、3、3と交差(直交)する方向に延びて互いに等距離を隔てて平行となるように3列に配置された12本の根太4、…、4とからなる。
小梁3、3、3は、相対向して平行に配置された2本の大梁2a、2cの側面にそれぞれ両端が連結固定されており、他の2本の大梁2b、2dとも互いに等距離を隔てて平行となるように配置されている。また、12本の根太4、…、4は、3列の各列に4本ずつ配置されている。各根太4、…、4は、小梁3、3、3又は大梁2b、2dの側面に両端が連結固定されており、他の2本の大梁2a、2cとも互いに等距離を隔てて平行となるように配置されている。
これにより、大梁2a〜2dの内側には、大梁2a〜2dと小梁3、3、3と根太4、…、4とにより形成される最小単位の矩形(910mm×910mm)が16個形成されている。より詳細には、本実施形態の床支持部材においては、大梁2a〜2dと小梁3、3と根太4、…、4とにより形成される最小単位の矩形が12個あり、小梁3、3、3と根太4、…、4とにより形成される最小単位の矩形が4個ある。
24個のダイナミックダンパD、…、Dは、大梁2a〜2dと小梁3、3、3と根太4、…、4とにより形成される最小単位の矩形の一辺に位置する小梁3、3、3及び根太4、…、4に対して1個ずつ設置されている。この場合、二つの最小単位の矩形が隣接している箇所においては、二つの矩形の共通する一辺となる箇所に一つの小梁3又は根太4が位置しているので、その一つの小梁3又は根太4に対して1個のダイナミックダンパDが設置されている。
このダイナミックダンパDは、図2〜図4に示すように、小梁3、3、3又は根太4、…、4に対して互いに距離を隔てて取付けられる一対の取付部材5、5と、一対の取付部材5、5の間に配置される長尺円柱状のマス部材6と、マス部材6の各端部をそれぞれ保持するホルダ71、71と各ホルダ71、71の底部外面と各取付部材5、5とに加硫接着されて両者を一体的に連結するゴム弾性体72、72とからなり、取付部材5、5に対してマス部材6の両端部を弾性支持する一対の弾性支持部材7、7と、マス部材6の落下を防止する一対の落下防止部材8、8とから構成されている。各ダイナミックダンパDの重量は5kgである。
各取付部材5、5は、図5(a)〜(c)に示すように、1枚の鉄板を折り曲げ加工することにより形成されたものであり、小梁3又は根太4の側面に固定される矩形の取付基板51と、取付基板51の端部から直角方向に立ち上がる矩形の立上り部52と、取付基板51の端部に屈曲形成された第1当接基部53と、取付基板51の第1当接基部53と反対側の端部に屈曲形成された第2当接基部54とからなる。
取付基板51の所定の2箇所には、取付用のビスや釘などが挿通される取付孔51a、51aが設けられている。また、取付基板51の略中央部には、一方の取付部材5を小梁3又は根太4へ仮止めする際に利用する仮止め孔51bが設けられている。立上り部52の立上り先端部には、落下防止部材8がリベット8a、8aにより取付けられる際に利用する2個のリベット孔52a、52aが設けられている。そして、第1当接基部53及び第2当接基部54の屈曲先端部には、それら第1当接基部53及び第2当接基部54を床材の下面に固定するビスや釘などの固定具が挿通される挿通孔53a、54aがそれぞれ設けられている。
上記の取付部材5、5を有するダイナミックダンパD、…、Dは、上記の床構造における小梁3、3、3及び根太4、…、4に対して、次のようにして取付けられる。図6は、ダイナミックダンパDを小梁3に取付ける場合を示すものである。この場合、先ず、ダイナミックダンパDを取付けるべき小梁3の側面の所定部位に捨てビス55を打ち込み、その捨てビス55に、一方(図6において左側)の取付部材5の取付基板51に設けられた仮止め孔51bを引っ掛けた状態にしてダイナミックダンパDを仮置きする(図6において矢印Aの位置)。
そして、他方(図6において右側)の取付部材5を持ち上げつつ回転させて、取付基板51を小梁3の側面に押付けると同時に、下地パネル1aの下面に第2当接基部54を押付けて他方の取付部材5を位置決めする(図6において矢印Bの位置)。この時、小梁3の側面と下地パネル1aの下面とが交わる角部の2面に取付部材5が押付けられているため、作業者のダイナミックダンパDを支える力が軽減される。その状態で、取付基板51の取付孔51a、51aにビス又は釘を挿通させて打ち込むと共に、第2当接基部54の挿通孔54aにビス又は釘を挿通させて打ち込むことにより、他方の取付部材5を小梁3に固定する。この時、一方の取付部材5が捨てビス55に仮止めされているので、ダイナミックダンパDを支える力が不要となり、取付作業を更に容易に行うことができる。
その後、一方の取付部材5の取付基板51を小梁3の側面に押付けると同時に、下地パネル1a(床材)の下面に第1当接基部53を押付けて一方の取付部材5を位置決めする。その状態で、取付基板51の取付孔51a、51aにビス又は釘を挿通させて打ち込むと共に、第1当接基部53の挿通孔53aにビス又は釘を挿通させて打ち込むことにより、一方の取付部材5を小梁3又は根太4に固定する。なお、この場合にも、ダイナミックダンパを支える力が不要となるので、取付作業を容易に行うことができる。これにより、ダイナミックダンパDは、両方の取付部材5、5が小梁3に対して強固に固定された状態に取付けられる。
なお、上記の場合は、一方の取付部材5のみを捨てビス55に引っ掛けた状態でダイナミックダンパDを仮置きするようにしているが、図7に示すように、両方の取付部材5、5を捨てビス55に引っ掛けた状態でダイナミックダンパDを仮置きするようにしてもよい。また、捨てビス55の代わりに捨て釘56を用いてもよい。
以上のように構成された本実施形態の木質系住宅の床構造について、JIS・A1418−2「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法・第2部:標準重量衝撃源による方法」に基づき衝撃音レベルを測定して遮音性能を調べたところ、図8に示す結果が得られた。また、下階(対象部屋)の音のスペクトル解析を行ったところ、図9に示す結果が得られた。なお、この試験においては、床材1にタイヤを落下させて加振する位置(打点)は、床面の対角線の交点位置と、各対角線の両端から各対角線の長さの1/4となる距離を隔てた位置の合計5箇所とした。また、この場合の床構造は、床材1の下に下階の天井が配設されている「天井有り」の構造のものである。
図8からも明らかなように、ダイナミックダンパが設置されていないベースの場合には、オクターブバンド中心周波数63HzでのL値(床衝撃音レベル値)は66.5dBであるのに対して、本実施形態の床構造のように24個のダイナミックダンパD、…、Dが設置されている場合には、L値が61.5dBに低下している。よって、本実施形態の床構造によれば、ダイナミックダンパが設置されていないベースの場合に比べて、1ランク向上に相当するΔ5.0dBの大幅な低減効果が得られることが解る。
また、図9からは、ベースに対して実施形態の場合には、特に40Hz〜65Hz付近において、音圧レベルが低減していることが解り、重量床衝撃音レベルが大幅に低減されていることが解る。
以上のように、本実施形態の木質系住宅の床構造によれば、24個のダイナミックダンパD、…、Dが、大梁2a〜2dと小梁3、3、3と根太4、…、4とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する小梁3、3、3及び根太4、…、4に対して1個ずつ設置されているため、床重量の増大を抑制しつつ重量床衝撃音をより効果的に低減することができる。
また、本実施形態の木質系住宅の床構造においては、各ダイナミックダンパD、…、Dが、小梁3、3、3及び根太4、…、4の両側面のうちの一方の側面に取付けられているため、小梁3、3、3及び根太4、…、4の下方に形成される床下空間の高さを十分に確保することができる。これにより、床下空間内に配設される他の機能部材の十分なスペースを確保することが可能となり、スペース効率を高めることができる。
そして、本実施形態のダイナミックダンパD、…、Dは、各取付部材5、5が、小梁3、3、3及び根太4、…、4の側面に固定される取付基板51と、床材の下面に当接した状態に取付けられる第1当接基部53及び第2当接基部54とを有するため、木質系住宅の床構造に対して設置されるダイナミックダンパD、…、Dの取付作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
また、第1当接基部53及び第2当接基部54には、それら当接基部53、54を床材1の下面に固定する固定具が挿通される挿通孔53a、54aが設けられているため、それら挿通孔53a、54aを介して、ビスや釘などの固定具でそれら当接基部53、54を床材に固定することができるので、取付部材5、5を強固に固定することができる。
さらに、各取付部材5、5は、一方側に配置されたときに床材1の下面に当接する第1当接基部53と、他方側に配置されたときに床材1の下面に当接する第2当接基部54とを有することから、各取付部材5、5が一方側と他方側のどちらの側に配置されていてもよいため、取付部材を1種類のものに統一することが可能となり、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態における取付基板51には、一方の取付部材5を小梁3、3、3又は根太4、…、4へ仮止めする際に利用する仮止め孔51bが設けられているため、仮止め孔51bを利用して一方の取付部材5を小梁3、3、3又は根太4、…、4に仮止めした状態で、他方の取付部材5を小梁3、3、3又は根太4、…、4に固定することができるので、ダイナミックダンパDを支える力が不要となり、更に取付作業を容易に行うことができる。
〔試験〕
本発明の木質系住宅の床構造を完成するに際して、床材1の下に下階の天井が配設されていないこと以外は上記実施形態と同じ床構造のものを実施例1として準備すると共に、ダイナミックダンパの設置個数や設置箇所を種々変更した実施例2及び比較例1〜3を準備し、遮音性能を比較する試験を行った。この試験は、JIS・A1418−2「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法・第2部:標準重量衝撃源による方法」に基づいて、オクターブバンド周波数63HzでのそれぞれのL値を測定するものであり、上記実施形態の場合と同じ方法で行った。その結果は、図10(a)〜(e)に示した通りである。なお、ダイナミックダンパが設置されていないベースのL値は76.0dBである。
実施例1は、図10(a)に示すように、5.0kgのダイナミックダンパを、小梁及び根太にそれぞれ12個ずつ設置したもので、床重量比は19.5%である。実施例1のL値は70.4dBであり、低減効果はΔ5.6dBであった。
比較例1は、図10(b)に示すように、小梁にはダイナミックダンパを設置せず、根太にのみ5.0kgのダイナミックダンパを24個設置したもので、床重量比は19.5%である。比較例1のL値は71.4dBであり、低減効果はΔ4.6dBであった。
比較例2は、図10(c)に示すように、小梁にはダイナミックダンパを設置せず、根太にのみ5.0kgのダイナミックダンパを12個設置したもので、床重量比は9.7%である。比較例2のL値は72.9dBであり、低減効果はΔ3.1dBであった。
比較例3は、図10(d)に示すように、根太にはダイナミックダンパを設置せず、小梁にのみ7.5kgのダイナミックダンパを18個設置したもので、床重量比は21.9%である。比較例3のL値は73.0dBであり、低減効果はΔ3.0dBであった。
実施例2は、図10(e)に示すように、小梁に7.5kgのダイナミックダンパを12個設置し、根太に5.0kgのダイナミックダンパを12個設置したもので、床重量比は24.3%である。比較例4のL値は70.4dBであり、低減効果はΔ5.1dBであった。
以上の結果から、比較例1と比較例2を比較すると、ダイナミックダンパの設置個数を多くすることにより、大きな低減効果を得られることが解る。また、比較例1と比較例3を比較すると、比較例3は、床重量比が大きい割には低減効果が少ない。これにより、ダイナミックダンパを小梁に設置するよりも根太に設置した方が良いことが解る。これは、根太よりも小梁の方が太くて高剛性の角材であることから、振動入力時に振幅が大きくなり難いため、ダイナミックダンパによる重量床衝撃音の低減効果を十分に得ることができないためと考えられる。
一方、実施例1及び実施例2のように、根太と小梁の両方にダイナミックダンパを設置した場合には、いずれの場合にもΔ5.0dB以上の大きな低減効果が得られていることが解る。この場合、実施例2よりも実施例1の方が、床重量比が小さいにも拘わらず、低減効果は大きい。よって、ダイナミックダンパの重量効率を考慮すれば、実施例1の方が優れている。
なお、ダイナミックダンパの設置個数が同じである実施例1と比較例1を比較すると、比較例1のようにダイナミックダンパを根太のみに設置するよりも、実施例1のように小梁及び根太の両方にダイナミックダンパを設置する方が、大きな低減効果を得られることが解る。
したがって、以上のことから、木質系住宅の床構造に対してダイナミックダンパを設置するに際して、実施例1及び2のように、大梁と小梁と根太とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する小梁及び根太に対して、ダイナミックダンパを1個ずつ設置することにより、床重量の増大を抑制しつつ、重量床衝撃音をより効果的に低減できることが確認された。
本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造において上階の床を下階側から見たときのダイナミックダンパの配置状態を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの正面図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの平面図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの一部を断面で示す側面図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの取付部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの取付け方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造に設置されたダイナミックダンパの取付け方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る木質系住宅の床構造のレベル等級の測定結果を示すグラフである。 試験におけるベース、比較例及び実施例の狭帯域音スペクトルの解析結果を示すグラフである。 試験におけるダイナミックダンパの設置状態及び測定結果を示す説明図であり、(a)は実施例1、(b)は比較例1、(c)は比較例2、(d)は比較例3、(e)は実施例2である。
符号の説明
1…床材 1a…下地パネル 1b…仕上げ材 2a〜2d…大梁 3…小梁 4…根太 D…ダイナミックダンパ 5…取付部材 6…マス部材 7…弾性支持部材 71…ホルダ 72…ゴム弾性体 8…落下防止部材 51…取付基板 51a…取付孔 51b…仮止め孔 52…立上り部 52a…リベット孔 53…第1当接基部 53a…挿通孔 54…第2当接基部 54a…挿通孔 55…捨てビス 56…捨て釘

Claims (5)

  1. 矩形に組まれた大梁と、該大梁の内側に互いに所定距離を隔てて並列状に配置された複数本の小梁と、各該小梁と交差する方向に延びて互いに所定距離を隔てて並列状に配置された複数本の根太とからなる床支持部材によって、上方に配設される床材が支持され、前記小梁及び前記根太に対して複数個のダイナミックダンパが設置されている木質系住宅の床構造であって、
    前記ダイナミックダンパは、前記大梁と前記小梁と前記根太とにより形成される最小単位の矩形の一辺となる箇所に位置する前記小梁及び前記根太に対して1個ずつ設置されているとともに、前記小梁及び前記根太の両側面のうちの一方の側面に取付けられていることを特徴とする木質系住宅の床構造。
  2. 請求項1に記載の木質系住宅の床構造に設置されるダイナミックダンパであって、
    前記小梁又は前記根太に対して互いに距離を隔てて取付けられる一対の取付部材と、一対の該取付部材の間に配置される長尺柱状のマス部材と、一対の前記取付部材にそれぞれ設けられて前記マス部材の両端を弾性支持する一対のゴム弾性体と、を備え、
    各前記取付部材は、前記小梁又は前記根太の側面に固定される取付基板と、前記床材の下面に当接した状態に取付けられる当接基部とを有することを特徴とするダイナミックダンパ。
  3. 前記当接基部には、該当接基部を前記床材の下面に固定する固定具が挿通される挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のダイナミックダンパ。
  4. 各前記取付部材は、一方側に配置されたときに前記床材の下面に当接する第1当接基部と、他方側に配置されたときに前記床材の下面に当接する第2当接基部とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載のダイナミックダンパ。
  5. 前記取付基板には、一方の前記取付部材を前記小梁又は前記根太へ仮止めする際に利用する仮止め孔が設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のダイナミックダンパ。
JP2007308205A 2007-11-29 2007-11-29 木質系住宅の床構造 Active JP5154206B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007308205A JP5154206B2 (ja) 2007-11-29 2007-11-29 木質系住宅の床構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007308205A JP5154206B2 (ja) 2007-11-29 2007-11-29 木質系住宅の床構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009133071A JP2009133071A (ja) 2009-06-18
JP5154206B2 true JP5154206B2 (ja) 2013-02-27

Family

ID=40865203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007308205A Active JP5154206B2 (ja) 2007-11-29 2007-11-29 木質系住宅の床構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5154206B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6334881B2 (ja) * 2013-10-04 2018-05-30 株式会社竹中工務店 床制振システム
JP6547519B2 (ja) * 2015-08-28 2019-07-24 日本製鉄株式会社 木鋼合成床構造
JP7122185B2 (ja) * 2018-07-13 2022-08-19 東急建設株式会社 床構造

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009007766A (ja) * 2007-06-26 2009-01-15 Ohbayashi Corp 多層床免震装置を設置する方法、及び当該方法による部分免震建物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009133071A (ja) 2009-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5625019B2 (ja) 床構造
JP5154206B2 (ja) 木質系住宅の床構造
CA2730837A1 (en) Load-sharing bracing system for a floor
JP5600646B2 (ja) 面材の固定構造、面材の固定方法及び下地部材
JP4306644B2 (ja) 建物の天井構造
JP2006070494A (ja) 床構造
JP4231471B2 (ja) 天井構造
JP2000008526A (ja) 防音板、防音床材及び防音床構造
JP2003247294A (ja) 遮音床構造
JP2013036314A (ja) 野縁材等の接合金物
JP4121303B2 (ja) 床構造及び床構造に用いる幅木
JP7122185B2 (ja) 床構造
JPH0842021A (ja) 防振野縁及び防振天井構造
JP5758839B2 (ja) 床構造及び床構造の施工方法
JP5330887B2 (ja) 床構造、建物ユニット及びユニット建物
JP4867871B2 (ja) 遮音床構造
JP4732909B2 (ja) 床構造
WO2006030599A1 (ja) 床-天井構造
JP4560733B2 (ja) 木質系住宅の床構造
JP2005163412A (ja) 建築物の天井における防音構造
JP2024024291A (ja) 制振金物及びこれを用いた制振構造
JP2021143545A (ja) 乾式二重床構造
KR200285777Y1 (ko) 바닥충격음 저감을 위한 천장방진기
KR100454193B1 (ko) 바닥충격음 저감을 위한 천장방진기
JP2695753B2 (ja) 防振床パネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121205

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5154206

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350