JP4723435B2 - 床‐天井構造 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の壁で支持された床‐天井構造に関し、特に防音性能に優れたものに関するものである。
近年、住宅建設において、木材の骨組みに床板を接合した床構造に代わり、金属形材製の枠材と梁材とによる骨組みに床板を接合した床構造(鋼製住宅)が採用されるようになってきた。この鋼製住宅は、金属形材製の枠材および梁材による骨組みを用いるため、耐震性および耐久性を向上させることができる。
また、このような金属形材製の枠材および梁材による骨組みを有する床構造を共同住宅の上下階の境界にある界床として用いた場合(以下、床‐天井構造と呼ぶ。)、従来の木材の骨組みによる床構造よりは改善されるものの消費者の要求の高まりによりさらに、防音対策が必要になることがある。特に、人の飛びはねや歩行の際に階下に発生する衝撃音(以下、重量床衝撃音とよぶ)等の対策が必要となる。
一般的な重量床衝撃音の低減方法としては、(1)床構造の重量を増加させる方法、(2)床構造の曲げ剛性を増加させる方法がある。また、衝撃力作用後の床振動を早く減衰させて、不快感を抑制する方法として、(3)床に制振性を付与する方法等がある。さらに、これらの(1)(2)(3)の方法を併用することも可能である。
特許文献1には、部品数が増えることなく、また、床内の空間での配管の妨げとならずに、階上の重量床衝撃音振動モードの振動を天井で分散させて階下への重量床衝撃音を低減させた天井構造及び建物を提供する天井構造および建物について開示されている。
特許文献1記載の天井構造および建物においては、天井パネルの野縁に取着した錘部材によって、階上の重量床衝撃音振動モードの振動を天井パネルで分散させて、階下への重量床衝撃音を低減することになり、錘部材が天井パネルの野縁に取着されているので、その錘部材を取り付けるための部品数が増えることなく、また、床部内の空間が全く閉鎖されないので、床部内での配管の妨げとならないという効果がある。さらに、錘部材を取着した天井パネルの周縁部が防振ゴムを介して床根太に取着されているので、天井パネルにおける振動分散がより有効になされ、錘部材による重量床衝撃音の低減効果がさらに向上するという効果が得られる。
また、特許文献2には、軽量衝撃時及び重量衝撃時のどちらに対しても、階上から階下への振動の伝搬を抑制して床衝撃音を低減させることができ、特に低周波数域での遮音性を向上させることができる防音天井構造について開示されている。
特許文献2記載の防音天井構造においては、天井基材から吊り具を介して天井材に振動が伝搬する際に、防振材が振動減衰作用を持つことにより、固体伝搬により生じる天井材の振動レベルを大幅に低減させることができるという効果が得られる。
さらに、特許文献3には、広い周波数帯域の振動を吸収可能な天井用吊り具について開示されている。
特許文献3記載の天井用吊り具においては、天井裏の梁に取り付けられる上側取付部材と、該上側取付部材の側から下方に延び、下端部分で天井下地を支持する下側取付部材とを有し、前記上側取付部材と前記下側取付部材との連結部分にダンパ部材を備えた天井用吊り具において、前記ダンパ部材は、振動吸収帯域が異なる複数の防振ゴムを備えているため、広い周波数帯域の振動を吸収することができるという効果が得られる。
特開2002−121856号公報 特開平10−183849号公報 特開2003−313987号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献3のいずれの構造においても、錘部材を付加したり、弾性体の内部に流体を封入したり、硬度の異なる防振ゴムを重ねて配置する必要がある。そのため、1箇所においてはわずかな部品またはコストの増加であっても、構造体が大きくなるに伴い部品点数およびコストの増加も急激に上昇することとなる。
本発明の目的は、広い周波数帯域に渡って床衝撃音を大きく低減することができ、かつ部材の追加および複雑な設計が不要な床‐天井構造を提供することである。
(1)
前記目的を達成するために、本発明は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記天井板を吊り下げるための天井用梁であって前記端根太に跨って前記側根太と略平行に配置される天井用梁とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井用梁は、前記壁の近傍にのみ設けられていることを特徴とするものである。
上述したように、第1の発明に係る床‐天井構造は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記天井板を吊り下げるための天井用梁であって前記端根太に跨って前記側根太と略平行に配置される天井用梁とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井用梁は、前記壁の近傍にのみ設けられているものである。
第1の発明に係る床‐天井構造においては、側根太および端根太からなる枠体内に、床根太が側根太と略平行で端根太に設置される。また、側根太および端根太からなる枠体内に、天井用梁が側根太と略平行で端根太に設置される。側根太および複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太が壁により支持され、天井用梁は、壁の近傍にのみ設けられる。
ここで、床板に力が作用し、振動が生じた場合、側根太および端根太からなる枠体に振動が伝達される。根太群のうち少なくとも1つの根太が壁により支持されているので、前記枠体における当該壁に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁の近傍にのみ天井用梁を設けることにより、天井用梁の振動を低減させることができるため、床板から天井板に伝達される振動を低減させることができる。
その結果、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、このような構造では空気伝搬成分より固体伝搬成分の寄与度が大きいため、天井用梁の振動を低減させることにより大きな低減効果を得ることができる。
(2)
前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、前記上階または下階の第1の壁で支持される根太とこの第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太とを含んでいて、前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/4以下となっていることが好ましい。
この場合、各壁からその近傍の天井用梁までの距離が第1の壁と第2の壁の間の距離の1/4以下となっているので、例えば、床が端根太の長手方向において1次モードまたは2次モードで振動した場合でも、天井用梁が振動の腹(振幅最大部分)に配置されず、振動の節(振幅の最小部分)の近傍に設けられるので、床板から天井に伝わる振動を低減することができる。
(3)
前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、前記上階または下階の第1の壁で支持される根太とこの第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太とを含んでいて、前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/6以下となっていることが好ましい。
この場合、各壁からその近傍の天井用梁までの距離が第1の壁と第2の壁の間の距離の1/6以下となっているので、例えば、床が端根太の長手方向において1次、2次または3次モードで振動した場合でも、天井用梁が振動の腹(振幅最大部分)に配置されず、振動の節(振幅の最小部分)の近傍に設けられるので、床板から天井に伝わる振動を低減することができる。
(4)
前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、前記上階または下階の第1の壁で支持される根太とこの第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太とを含んでいて、前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/8以下となっていることが好ましい。
この場合、各壁からその近傍の天井用梁までの距離が第1の壁と第2の壁の間の距離の1/8以下となっているので、例えば、床が端根太の長手方向において1次〜4次モードで振動した場合でも、天井用梁が振動の腹(振幅最大部分)に配置されず、振動の節(振幅の最小部分)の近傍に設けられるので、床板から天井に伝わる振動を低減することができる。
(5)
前記第1の壁と第2の壁の間には、少なくとも5本の床根太が配置されており、前記天井用梁は、前記各壁から2本目の床根太までの範囲内に設けられていることが好ましい。
この場合、壁に近接した位置に天井用梁が設けられるので、床板の大きな振幅が天井板に伝達されず振動を低減することができる。
(6)
第2の発明に係る床‐天井構造は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井支持部は、前記端根太に跨って配置される天井用梁と、この天井用梁に垂設される吊り部材と、この吊り部材に取り付けられる野縁受けと、この野縁受けに取り付けられ、前記天井板が固定される野縁とを有し、前記壁の近傍以外の領域には、前記天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つが設けられていないものである。
第2の発明に係る床‐天井構造においては、側根太および端根太からなる枠体内に、床根太が側根太と略平行で端根太に設置される。また、側根太および端根太からなる枠体内に、天井支持部が端根太に設置される。側根太および複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持されており、また、天井支持部は、天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁を含み、壁の近傍以外の領域において天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つが設けられていない。
ここで、床板に力が作用し、振動が生じた場合、側根太および端根太からなる枠体に振動が伝達される。根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持されているので、前記枠体における当該壁に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁の近傍以外の領域に、天井支持部を構成する天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つを設けないことにより、床板から天井板に伝達される振動を低減させることができる。したがって、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、このような構造では空気伝搬成分より固体伝搬成分の寄与度が大きいため、振幅の大きい部分に天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つを設けないで振動を低減させることにより大きな低減効果を得ることができる。
(7)
第3の発明に係る床‐天井構造は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井支持部は、前記端根太に跨って配置される天井用梁と、この天井用梁に垂設される吊り部材と、この吊り部材に取り付けられる野縁受けと、この野縁受けに取り付けられ、前記天井板が固定される野縁とを有し、前記壁の近傍以外の領域では、前記天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていないものである。
第3の発明に係る床‐天井構造においては、側根太および端根太からなる枠体内に、床根太が側根太と略平行で端根太に設置される。また、側根太および端根太からなる枠体内に、天井支持部が端根太に設置される。側根太および複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持される。また、天井支持部は、天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁を含み、壁の近傍以外の領域において天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていない。
ここで、床板に力が加えられ、振動が生じた場合、側根太および端根太からなる枠体に振動が伝達される。根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持されているので、前記枠体における当該壁に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁の近傍以外の領域では、天井支持部を構成する天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つをその他のものに連結させないことにより、床板から天井に伝達される振動を低減させることができる。したがって、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、このような構造では空気伝搬成分より固体伝搬成分の寄与度が大きいため、振幅の大きい部分において、天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つをその他のものに連結させないで振動を低減させることにより大きな低減効果を得ることができる。
(8)
第4の発明に係る床‐天井構造は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井支持部は、前記端根太に跨って配置される天井用梁と、この天井用梁に垂設される吊り部材と、この吊り部材に取り付けられ、前記天井板が固定される野縁とを有し、前記壁の近傍以外の領域には、前記天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つが設けられていないものである。
第4の発明に係る床‐天井構造においては、側根太および端根太からなる枠体内に、床根太が側根太と略平行で端根太に設置される。また、側根太および端根太からなる枠体内に、天井支持部が端根太に設置される。側根太および複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持される。また、天井支持部は、天井用梁、吊り部材、野縁を含み、壁の近傍以外の領域において天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つが設けられていない。
ここで、床板に力が作用し、振動が生じた場合、側根太および端根太からなる枠体に振動が伝達される。根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持されているので、前記枠体における当該壁に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁の近傍以外の領域に、天井支持部を構成する天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つを設けないことにより、床板から天井板に伝達される振動を低減させることができる。したがって、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、このような構造では空気伝搬成分より固体伝搬成分の寄与度が大きいため、振幅の大きい部分に天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つを設けないで振動を低減させることにより大きな低減効果を得ることができる。
(9)
第5の発明に係る床‐天井構造は、上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部とを備え、前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、前記天井支持部は、前記端根太に跨って配置される天井用梁と、この天井用梁に垂設される吊り部材と、この吊り部材に取り付けられ、前記天井板が固定される野縁とを有し、前記壁の近傍以外の領域では、前記天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていないものである。
第5の発明に係る床‐天井構造においては、側根太および端根太からなる枠体内に、床根太が側根太と略平行で端根太に設置される。また、側根太および端根太からなる枠体内に、天井支持部が端根太に設置される。側根太および複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太が壁により支持される。また、天井支持部は、天井用梁、吊り部材、野縁を含み、壁の近傍以外の領域において天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていない。
ここで、床板に力が加えられ、振動が生じた場合、側根太および端根太からなる枠体に振動が伝達される。根太群のうち少なくとも1つの根太が壁に支持されているので、前記枠体における当該壁に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁の近傍以外の領域では、天井支持部を構成する天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つをその他のものに連結させないことにより、床板から天井板に伝達される振動を低減させることができる。したがって、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、このような構造では空気伝搬成分より固体伝搬成分の寄与度が大きいため、振幅の大きい部分において、天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つをその他のものに連結させないで振動を低減させることにより大きな低減効果を得ることができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る床‐天井構造100の一例を示す斜視図であり、図2は図1の床‐天井構造100の平面図である。
図1および図2の床‐天井構造100は、上階の床板50と下階の天井板60(図示せず)との間の構造であり、主に端根太11、側根太12、床根太20、天井用梁30、吊り部材31(図示せず)、野縁受け32(図示せず)、野縁33(図示せず)を含む。なお、天井用梁30、吊り部材31、野縁受け32、野縁33は、端根太11から天井板60を吊り下げるための天井支持部を構成する。
図1および図2に示すように、床‐天井構造100では、互いに略平行に配置される一対の端根太11およびこの端根太11と略直交するように配置される一対の側根太12の端部がそれぞれ接続されることにより矩形状の枠体が形成される。前記枠体内には、側根太12と略平行に複数の床根太20が配置されていて、それらの床根太20の両端部はそれぞれ一対の端根太11に固設される。換言すれば、一対の側根太12は、床根太20をその配列方向から挟む位置に配設され、一対の端根太11は、床根太20をその配列方向と直交する方向から挟む位置に配設されている。一対の端根太11および側根太12と、複数の床根太20とにより床板50が固持される。
また、図2に示すように、前記枠体内には、一対の側根太12および複数の床根太20と略平行に複数の天井用梁30が配置され、それらの天井用梁30の両端部はそれぞれ一対の端根太11に固設される。この天井用梁30の数および配置の詳細については後述する。
図3は、天井用梁30の詳細を示す模式的斜視図である。図3に示すように、一対の端根太11の上面、一対の側根太12の上面、および複数の床根太20の上面は、ほぼ同高さとなっており、床板50を支持可能になっている。端根太11は、内側に開口する略コ字状の断面形状を有していて、側根太12および床根太20の両端部は、端根太11の開口内に入り込んでいる。なお、端根太11の断面形状は、略コ字状に限らず、例えばI字状等の他の形状であってもよい。天井用梁30は、断面が略コ字状をなすものである。なお、天井用梁30の断面形状は、略コ字状に限定されず、ロ字状、Z字状等任意の形状であってもよい。
天井用梁30には、図4(a)に示すように、吊り部材31が垂設されていて、天井用梁30からは吊り部材31が下方に延びている。吊り部材31の材質は、木または金属からなり、特に金属製の場合、吊り金物、吊り金具とも呼ばれる。この吊り部材31の下部には、天井板60が固定される野縁33が野縁受け32を介して取り付けられている。野縁受け32は、野縁33と略直交する方向に延びる棒状の部材である。なお、野縁受け32は、吊り部材31の下端よりも上側の位置に取り付けられてもよいし、吊り部材31の下端に吊り部材31よりも下側に張り出す状態で取り付けられてもよい。
この天井用梁30は、一対の端根太11の上面から突出することなく設けられる。そして、吊り部材31も一対の端根太11の上面から突出することなく設けられ、下面から突出して設けられる。すなわち、天井用梁30は、床板50と接しないように設けられ、天井用梁30には、吊り部材31、野縁受け32および野縁33を介して天井板60が取り付けられる。
次に、床‐天井構造100における振動の伝達メカニズムを説明する。図4(a)および図4(b)は、床板50からの振動伝達を説明するための図である。図4(a)は、床‐天井構造100の構造を示す断面図であり、図4(b)は、床板50に力Fが与えられた場合の挙動を説明するための図である。
まず、図4(b)に示すように、床板50に力Fが与えられる。これにより発生した振動は、固体伝搬成分として端根太11、側根太12および床根太20に伝えられる。端根太11に伝達された振動が天井用梁30に伝えられ、側根太12および複数の床根太20に伝えられた振動は、端根太11を介して天井用梁30に伝えられる。天井用梁30に伝えられた振動は、吊り部材31、野縁受け32および野縁33を介して天井板60に伝えられる。
また、床板50に力Fが与えられた場合、同時に空気伝搬成分(音)として床板50の振動が床‐天井構造体内の空気を介して天井板60に伝わる。このような構造では、空気伝搬成分よりも固体伝搬成分が支配的である。
次に、本実施の形態における床板50、枠体および床根太20の構造(以下、床板50、床根太20、枠体(端根太11および側根太12)をまとめて床200と呼ぶ。)における振動の一般的形態について説明する。なお、本実施の形態においては、床200の端根太11の長手方向における振動モードの発生が顕著であるので、一方向における振動モードのみについて説明する。
図5(a)〜図5(e)は、2つの床200a,200bが端根太11の長手方向に並べられて構成された床の振動を説明するための模式図である。図5(a)は床の模式的断面図であり、図5(b)は床の1次モードを示し、図5(c)は床の2次モードを示し、図5(d)は床の3次モードを示し、図5(e)は床の4次モードを示す。なお、床200aおよび床200bにより仕切られた空間の上部が上階となり、下部が下階となる。
図5(a)に示すように、2つの床200a,200bは、互いの側根太12が接触する状態で配置されている。なお、床200a,200bは、互いの側根太12同士の間に所定の隙間が形成されるように配置されていてもよいし、互いの側根太12が共通に使用されるように一体に構成されていてもよい。
床200aの一端側(図5(a)では左側)の端部に壁70が上下に設けられ、床200aの中央部の上面に壁70が設けられている。具体的には、上下に設けられた壁70は、床200aの一端側の側根太12に連結されており、上階の左から2番目の壁70は、中央部の床根太20に連結されている。換言すれば、一端側の側根太12は、下階および上階の壁70に支持されており、中央部の床根太20は、上階の壁70に支持されている。
また、床200bの他端側(図5(a)では右側)の端部に壁70が上下に設けられ、床200bの中央部の下面に壁70が設けられている。具体的には、上下に設けられた壁70は、床200aの他端側の側根太12に連結されており、下階の右から2番目の壁70は、中央部の床根太20に連結されている。換言すれば、他端側の側根太12は、下階および上階の壁70に支持されており、中央部の床根太20は、下階の壁70に支持されている。
以下、説明のために、床200aの上階だけに設けられた壁70から床200bの下階だけに設けられた壁70までの距離を距離Lとして表す。
図5(a)に示す床200aおよび床200bに着目した場合、枠体における壁70に支持される根太に対応する位置が振動の節となる。したがって、床板50に与えられる力Fが、一次固有振動数と一致する周波数成分を含んでいる場合には、図5(b)に示すように、床200aおよび床200bが一次モードで振動する。すなわち、上階のみに存在する壁70からの距離L/2の部分の振幅が最大(腹)となり、壁70に近接した部分の振幅が最小(節)となる。
また、床板50に与えられる力Fが、二次固有振動数と一致する周波数成分を含んでいる場合には、図5(c)に示すように、床200aおよび床200bが2次モードで振動する。この場合、上階のみに存在する壁70からの距離L/4、3L/4の部分の振幅が最大となり、L/2の部分と、壁70に近接した部分との振幅が最小となる。
さらに、床板50に与えられる力Fが、三次固有振動数と一致する周波数成分を含んでいる場合には、図5(d)に示すように、床200aおよび床200bが3次モードで振動する。この場合、上階にのみ存在する壁70から距離L/3、2L/3の部分と、壁70に近接した部分とで振幅が最小となる。
さらに、床板50に与えられる力Fが、四次固有振動数と一致する周波数成分を含んでいる場合には、図5(e)に示すように、床200aおよび床200bが4次モードで振動することとなる。この場合、上階にのみ存在する壁70から距離L/4毎の部分と、壁70に近接した部分とで振幅が最小となる。
したがって、この床200a,200bの端根太11の長手方向における振動モードを考慮して、床200a,200bの振動の少ない部分に天井用梁30を設けることが好ましい。
続いて、図5で説明した一般的振動形態の他の例について説明する。図6(a)〜図6(e)は、2つの床200a,200bが端根太11の長手方向に並べられて構成された床の振動を説明するための模式図である。
図6(a)は床の模式的断面図であり、図6(b)は床の端根太11の長手方向の1次モードを示し、図6(c)は床の端根太11の長手方向の2次モードを示し、図6(d)は床の端根太11の長手方向の3次モードを示し、図6(e)は床の端根太11の長手方向の4次モードを示す。
図6に示すように、床200aの一端側の端部および床200bの他端側の端部の上下に壁70が設けられる。また、床200bの上側に壁70が設けられている。すなわち、図5(a)を参照して説明したのと同様に、床200aの一端側の側根太12および床200bの他端側の側根太12は、下階および上階の壁70で支持されているとともに、床200bの一端側寄りの床根太20は、上階の壁70で支持されている。
なお、以下では、図中左の壁70から上側に設けられた壁70までの距離をL11とし、図中中央の壁70から図中右の壁70までの距離をL12として説明する。
距離L11の範囲内における床200aおよび床200bの一部は、それぞれ与えられる力に応じて床200aおよび床200bに一次モード、二次モード、三次モードおよび四次モードの振動が生じる。しかしながら、一次モードから四次モードまでのいずれにおいても、壁70からの距離がL11の1/8以下の範囲内では、床200aの振幅が少ない。すなわち、上階のみに設けられた壁70の左側では壁70に近接している部分のみに天井用梁30を設けることによって振動伝達率が最も低くなることを示している。
また、同様に、距離L12の範囲内における床200bの一部は、それぞれ与えられる力に応じて一次モード、二次モード、三次モードおよび四次モードの振動が生じる。しかしながら、一次モードから四次モードまでのいずれにおいても、壁70からの距離がL12の1/8以下の範囲内では、床200bの振幅が少ない。すなわち、上階のみに設けられた壁70の右側でも壁70に近接している部分のみに天井用梁30を設けることによって振動伝達率が最も低くなることを示している。
以上のことから、天井用梁30を、上階のみに設けられた壁70の左側では壁70からL11の1/8以下の範囲内に、上階のみに設けられた壁70の右側では壁70からL12の1/8以下の範囲内に設けることにより、床200a,200bにおいて生じた振動が固体伝搬成分により天井板60に伝達されることを低減することができる。
特に、天井用梁30を壁70から距離L11,L12の1/4以下の範囲内に設けた場合には、1次モードおよび2次モードの腹が含まれないため、1次モードおよび2次モードに起因する天井の振動を低減することができ、天井用梁30を壁70から距離L11,L12の1/6以下の範囲内に設けた場合には、1次モード、2次モードおよび3次モードの腹が含まれないため、1次モード、2次モードおよび3次モードに起因する天井の振動を低減することができ、天井用梁30を壁70から距離L11,L12の1/8以下の範囲内に設けた場合には、1次〜4次モードの腹が含まれないため、1次〜4次モードに起因する天井の振動を低減することができる。
次に、壁70の配置の具体例について説明する。図7(a1)〜図7(b2)および図8(a1)〜図8(b2)は壁70の配置例を示す模式図である。
図7(a1)および図7(a2)は床200aの下に壁70を設け、図7(b1)および図7(b2)は床200aおよび床200bの接触部分の上方に壁70を設け、図8(a1)および図8(a2)は床200aと床200bとの接触部分の上下に壁70を設け、図8(b1)および図8(b2)は床200aと床200bとの接触部分の下方に壁70を設けた。
図7(a1)に示すように、床200aの下に壁70を設けた場合、図7(a2)に示すように、天井用梁30は、壁70の近傍に配置されることが好ましい。すなわち、床200aの振動の節近くに天井用梁30を設けることにより、天井板60に伝達する振動を最小限に抑制することができる。
特に、一次モードから四次モードまでの振動を考慮すると、天井用梁30の配置する位置は、壁70からの距離がL1a(L1a’)の1/4以下の範囲内であることが好ましく、壁70からの距離がL1a(L1a’)の1/6以下の範囲内であることがより好ましく、壁70からの距離がL1a(L1a’)の1/8以下の範囲内であることがさらに好ましく、壁70からの距離が0に近いほど好ましい。
その結果、床200の振幅が最も小さい部分に天井用梁30を配置させるので、床の振動が、天井板60に伝達することを抑制することができる。
同様に、図7(b1)、図8(a1)に示すように、床200aの上に壁70を設けた場合、図7(b2)、図8(a2)に示すように、特に、一次モードから四次モードまでの振動を考慮すると、天井用梁30の配置する位置は、壁70からの距離がL1b(L1b’),L2a(L2a’)の1/4であることが好ましく、壁70からの距離が0に近いほどより好ましい。
その結果、床200の振幅が最も小さい部分に天井用梁30を配置させるので、床200の振動が、天井板60に伝達することを抑制することができる。
また、図8(b1)に示すように、床200a,200bの下に壁70を設けた場合、図8(b2)に示すように、特に、一次モードから四次モードまでの振動を考慮すると、天井用梁30の配置する位置は、壁70からの距離がL2b(L2b’)の1/4であることが好ましく、壁70からの距離が0に近いほどより好ましい。
その結果、床200の振幅が最も小さい部分に天井用梁30を配置させるので、床200の振動が、天井板60に伝達することを抑制することができる。
次に、図2に示した床‐天井構造100の他の例について説明する。図9(a)〜図9(d)は、床‐天井構造100の他の例を示す平面図である。
図9(a)は、一方の端根太11が2つの端根太11a,11bに分割され、端根太11a,11bが補助的な側根太12aを介して連結され、かつ、一方の側根太12と端根太11bが補助的な側根太12bを介して連結されるとともに、適所に複数のころび止め35が設けられる床‐天井構造100aを示し、図9(b)は、一方の端根太11が2つの端根太11a,11bに分割され、端根太11a,11bが補助的な側根太12aを介して連結される床‐天井構造100bを示し、図9(c)は、一方の端根太11が3つの端根太11d〜11fに分割され、端根太11eと端根太11d,11fが補助的な側根太12c,12dを介して連結されるとともに、適所に複数のころび止め35が設けられる床‐天井構造100cを示し、図9(d)は、一方の端根太11が3つの端根太11d〜11fに分割され、端根太11eと端根太11d,11fが補助的な側根太12c,12dを介して連結される床‐天井構造100dを示す。なお、これらの床‐天井構造100a〜100dにおいては、補助的な側根太12bが設けられておらず、側根太12が延長されていてもよいし、補助的な側根太12a,12c,12dが設けられておらず、床根太20が延長されていてもよい。
図9(a)〜図9(d)に示すように、床‐天井構造100a〜100dは、図2に示すように、矩形状に限定されず、他の任意の形状を有してもよい。これらの場合においても、壁70の近傍のみに天井用梁30を設けることにより、床から天井に伝わる振動を低減することができる。なお、複数のころび止め35は、本実施の形態においては、端根太11と同様の機能を有するものである。
また、壁70同士の間に少なくとも5本の床根太20が配置されている場合には、天井用梁30は、各壁70から2本目の床根太20までの範囲内に設けられていることが好ましい。このようにすれば、壁70に近接した位置に天井用梁30が設けられるので、床板50の大きな振幅が天井板60に伝達されず振動を低減することができる。
また、本実施の形態では、側根太12、床根太20の全長に渡って壁が存在することとして説明しているが、これに限定されず、構造物の建物における窓またはドアが壁の一部に存在することとしても同様の効果を得ることができる。また、壁に限らず、他の任意の別部材、例えば柱等により支持されていてもよい。
以上のように、本願発明に係る床‐天井構造においては、床200に力が作用し、振動が生じた場合、端根太11および側根太12からなる枠体に振動が伝達される。一対の側根太12および複数の床根太20で構成される根太群のうちの1つまたは複数の根太が壁70に支持されているので、前記枠体における当該壁70に支持される根太に対応する位置の振動が小さくなり、その位置から離れた箇所の振動が大きくなる。したがって、前記壁70の近傍にのみ天井用梁30を設けることにより、天井用梁30の振動を低減させることができるため、床板50から天井板60に伝達される振動を低減させることができる。
その結果、簡易な構造で広い周波数帯域の衝撃音を低減することができる。特に、重量床衝撃音は、固体伝搬成分の寄与度が大きいため、天井用梁30の振動を低減させることにより重量床衝撃音を低減することができる。
<実施例A>
(実施例1〜3)
実施例1〜3として、壁70からの距離L/4の範囲内に天井用梁30を設けた場合(図13(a)参照)、壁70からの距離L/6の範囲内に天井用梁30を設けた場合(図13(b)参照)、壁70からの距離L/8の範囲内に天井用梁30を設けた場合(図13(c)参照)についての床から天井への振動伝達率についてシミュレーションを行なった。
なお、シミュレーションの条件としては、床板上面1点を加振したときの天井板の振動を有限要素法により計算した。加振点は、重量床衝撃音をJIS A1418に基づいて従来構造において実験した際に最大の重量床衝撃音を発生した加振点を選択した。なお、天井振動は、ほぼ均等に配置した複数点の振動速度の和を代表値として用いた。
(比較例1)
比較例1として床‐天井構造の全面に天井用梁30を設けた従来構造(図13(d)参照)の床から天井への振動伝達率についてシミュレーションを行なった。
図10は、実施例1〜3および比較例1における床から天井への振動伝達率を示す図である。
図10の縦軸は振動伝達率(dB)を示し、横軸は周波数(Hz)を示す。ここで、振動伝達率(dB)は、天井板振動速度代表値を床板加振点振動速度で除算したものを対数で表したものである。
<評価>
図10に示すように、一般に重量床衝撃音のL等級を決定する周波数帯域(50Hzバンド(44.7Hz〜56.2Hz))において、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3の順番に振動伝達率が低減されていることが確認できた。よって、壁70からの距離が、L/4、L/6、L/8の順で天井振動の低減が大きくなることが確認できた。
<実施例B>
次に、上記実施例3および比較例1の条件と同様にして、重量床衝撃音および軽量床衝撃音をJIS A1418に基づいて測定した。
図11および図12は、重量床衝撃音および軽量床衝撃音の測定結果を示す図である。
図11の縦軸は重量床衝撃音レベル(5dB/grid)を示し、図12の縦軸は軽量床衝撃音レベル(5dB/grid)を示し、図11および図12の横軸は1/1オクターブバンド中心周波数(Hz)を示す。
図11に示すように、実施例3は、比較例1と比較して周波数が63Hzバンド以上1kHzバンド以下の範囲の重量床衝撃音レベルで5dB程度の低減を確認することができた。また、2kHzバンド,4kHzバンドで10dBの低減を実現することができた。
一方、図12に示すように、実施例3は、比較例1と比較して周波数が63Hzバンド,125Hzバンドで軽量床衝撃音レベルで3dBの低減を実現することができ、250Hzバンド以上4kHzバンド以下の範囲内で2dBの低減を確認することができた。
本発明に係る床‐天井構造は、床板50が床板に相当し、床根太20が床根太に相当し、側根太12が側根太に相当し、端根太11が端根太に相当し、天井用梁30が天井用梁に相当し、天井板60が天井板に相当し、床‐天井構造100が床‐天井構造に相当し、壁70が壁に相当し、吊り部材31が吊り部材に相当し、野縁33が野縁に相当し、野縁受け32が野縁受けに相当する。
なお、前記実施の形態では、天井用梁30を壁70の近傍にのみ設けているが、例えば天井支持部を構成する天井用梁30、吊り部材31、野縁受け32、野縁33のうち少なくとも1つを壁70の近傍以外の領域に設けないようにしても、床板50から天井板60に伝達される振動を低減させることができる。
例えば、天井用梁30を壁70の近傍以外の領域に設けたとしても、吊り部材31を壁70の近傍以外の領域に設けなければよい。あるいは、天井用梁30および吊り部材31を壁70の近傍以外の領域に設けたとしても、野縁受け32または野縁33を壁70の近傍以外の領域に設けなければよい。
また、壁70の近傍以外の領域では、天井用梁30、吊り部材31、野縁受け32、野縁33のうち少なくとも1つをその他のものに連結しないようにして、その1つがその他のものと離間した状態で独立して変位可能となるようにしても、床板50から天井板60に伝達される振動を低減させることができる。すなわち、壁70の近傍の領域においてのみ、天井用梁30、吊り部材31、野縁受け32、野縁33の全てが連結されていればよい。
なお、上述した実施の形態および各変形例においては、野縁受け32は省略可能であり、野縁33を直接吊り部材31に取り付けるようにしてもよい。
本発明は、上記の好ましい一実施の形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
第1の実施の形態に係る床‐天井構造の一例を示す斜視図 図1の床‐天井構造の平面図 天井用梁の詳細を示す模式的斜視図 (a)は床‐天井構造の構造を示す断面図、(b)は床板に力が与えられた場合の挙動を説明するための図 (a)は床の模式的断面図、(b)〜(e)はそれぞれ床の1次〜4次モードを示す模式図 (a)は床の模式的断面図、(b)〜(e)はそれぞれ床の1次〜4次モードを示す模式図 (a1)、(a2)、(b1)、(b2)は壁の配置例を示す模式図 (a1)、(a2)、(b1)、(b2)は壁の配置例を示す模式図 (a)〜(d)は床‐天井構造の他の例を示す平面図 実施例1〜3および比較例1における振動伝達率を示す図 重量床衝撃音実験測定結果を示す図 軽量床衝撃音実験測定結果を示す図 (a)〜(c)はそれぞれ実施例1〜3を示す図、(d)は比較例1を示す図
符号の説明
11 端根太
12 側根太
20 床根太
30 天井用梁
31 吊り部材
32 野縁受け
33 野縁
30 複数の天井用梁
50 上階の床板
60 下階の天井板
70 壁
100 床‐天井構造
200a,200b 床

Claims (9)

  1. 上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、
    互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、
    これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、
    前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、
    前記天井板を吊り下げるための天井用梁であって前記端根太に跨って前記側根太と略平行に配置される天井用梁とを備え、
    前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、
    前記天井用梁は、前記壁の近傍にのみ設けられていることを特徴とする床‐天井構造。
  2. 前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、
    前記上階または下階の第1の壁で支持される根太と、
    この第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太と、
    を含んでいて、
    前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、
    前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/4以下となっていることを特徴とする請求項1記載の床‐天井構造。
  3. 前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、
    前記上階または下階の第1の壁で支持される根太と、
    この第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太と、
    を含んでいて、
    前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、
    前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/6以下となっていることを特徴とする請求項1記載の床‐天井構造。
  4. 前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、
    前記上階または下階の第1の壁で支持される根太と、
    この第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太と、
    を含んでいて、
    前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、
    前記各壁からその近傍の前記天井用梁までの距離は、前記第1の壁と第2の壁の間の距離の1/8以下となっていることを特徴とする請求項1記載の床‐天井構造。
  5. 前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群は、
    前記上階または下階の第1の壁で支持される根太と、
    この第1の壁と離間する位置に配置される上階または下階の第2の壁で支持される根太と、
    を含んでいて、
    前記天井用梁は、前記第1の壁と第2の壁の間の領域内で各壁の近傍に設けられており、
    前記第1の壁と第2の壁の間には、少なくとも5本の床根太が配置されており、
    前記天井用梁は、前記各壁から2本目の床根太までの範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の床‐天井構造。
  6. 上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、
    互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、
    これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、
    前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、
    前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、
    前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部と、
    を備え、
    前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、
    前記天井支持部は、
    前記端根太に跨って配置される天井用梁と、
    この天井用梁に垂設される吊り部材と、
    この吊り部材に取り付けられる野縁受けと、
    この野縁受けに取り付けられ、
    前記天井板が固定される野縁と、
    を有し、
    前記壁の近傍以外の領域には、前記天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つが設けられていないことを特徴とする床‐天井構造。
  7. 上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、
    互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、
    これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、
    前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、
    前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部と、
    を備え、
    前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、
    前記天井支持部は、
    前記端根太に跨って配置される天井用梁と、
    この天井用梁に垂設される吊り部材と、
    この吊り部材に取り付けられる野縁受けと、
    この野縁受けに取り付けられ、前記天井板が固定される野縁と、
    を有し、
    前記壁の近傍以外の領域では、前記天井用梁、吊り部材、野縁受け、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていないことを特徴とする床‐天井構造。
  8. 上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、
    互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、
    これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、
    前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、
    前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部と、
    を備え、
    前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、
    前記天井支持部は、
    前記端根太に跨って配置される天井用梁と、
    この天井用梁に垂設される吊り部材と、
    この吊り部材に取り付けられ、前記天井板が固定される野縁と、
    を有し、
    前記壁の近傍以外の領域には、前記天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つが設けられていないことを特徴とする床‐天井構造。
  9. 上階の床板と下階の天井板との間の床‐天井構造において、
    互いに略平行に並ぶ状態で特定方向に配列される複数の床根太と、
    これらの床根太と略平行に並ぶ状態で当該床根太を前記特定方向から挟む位置に配設される側根太と、
    前記床根太を前記特定方向と直交する方向から挟む位置に配設され、前記側根太および前記床根太の端部が固定される端根太と、
    前記端根太から前記天井板を吊り下げるための天井支持部と、
    を備え、
    前記側根太および前記複数の床根太で構成される根太群のうち少なくとも1つの根太は、前記上階または下階の壁で支持されており、
    前記天井支持部は、
    前記端根太に跨って配置される天井用梁と、
    この天井用梁に垂設される吊り部材と、
    この吊り部材に取り付けられ、
    前記天井板が固定される野縁と、
    を有し、
    前記壁の近傍以外の領域では、前記天井用梁、吊り部材、野縁のうち少なくとも1つがその他のものに連結されていないことを特徴とする床‐天井構造。
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