JP3908553B2 - 高剛性パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築構造用の高剛性パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2階以上の建築物は、上階での歩行や飛び跳ね、物の落下等が下階での衝撃音の発生を招き、この衝撃音の程度が居住性に大きな影響を及ぼすため、例えばJIS規格において音圧レベルの周波数特性を考慮に入れたL等級という指標で遮音性能を規定しているように、衝撃音の発生を低減できる構造であることが望まれている。
【0003】
ところで、衝撃音には、比較的に低い周波数が主である重量床衝撃音と、比較的に高い周波数が主である軽量床衝撃音とがある。重量床衝撃音は、重量物の落下等による上階の床振動が下階の天井や壁を振動させることにより放射される固体伝播音が主であるため、この重量床衝撃音を低減しようとすると、建築物の上階床、天井及び壁の剛性を高くして振動し難いものにする必要がある。一方、軽量床衝撃音は、上階床での軽量な小物の落下等により発生する床を構成する部材の局部振動が原因であるため、小物の落下等による床への加振力を緩和することにより重量床衝撃音に対する対策よりは比較的容易に低減することができる。
【0004】
そこで、従来においては、例えば図17に示すように、山部と谷部とが交互に形成された折板104を表面板102・103で挟み込み、折板104の山頂部104aと谷頂部104bとを表面板102・103にそれぞれ接合したトラス断面構造の高剛性パネル101により床や壁を形成することによって、主要構造部分の設計段階においては重量床衝撃音を低減する対策のみを施す。この後、床仕上げとしてクッション付フローリングを床面に施工したり、床仕上げ材の下にゴムシートを敷設することによって、軽量床衝撃音を低減する対策を施している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、重量床衝撃音のみに注力して高剛性パネルを敷設した後、床面に付帯工事を行って軽量床衝撃音を低減する方法は、事後対策として軽量床衝撃音が低減されるものであり、軽量床衝撃音の発生原因に対策を施すものではないため、床全体の構成に無駄があると共に、現場作業の作業工程が増加する。
【0006】
そこで、軽量床衝撃音の発生を抑制するために、高剛性パネル101を構成する折板104や表面板102・103そのものの局部振動を低減させる方法が考えられる。例えば、設計段階から高剛性パネル101の折板104の傾斜部104cに制振材を貼り付けて減衰を付与したり、折板104の山部および谷部に発泡材や吸音材を充填して、板を押さえつけたり、折板104や表面板102・103の板厚を厚くして剛性・重量をあげることにより振幅を下げた場合には、高剛性パネル101の製造段階で重量床衝撃音の対策と共に、軽量床衝撃音の発生を抑制し軽量床衝撃音の対策を施すことができるため、床全体として無駄のない構成とすることができ、現場作業の工程増加を防止することができる。
【0007】
ところが、制振材や発泡材等を付加した場合には、これらの材料を大量に使用することが必要になるため、製造コストが高騰すると共に製造が煩雑になるという問題が発生する。また、板厚を厚くした場合には、板の剛性が上がって加工が困難になり、さらに、自重の大幅な増加により施工が困難になると共に、その自重を支持するため、建築物自体に大きな強度が必要になるという問題が発生する。
【0008】
従って、本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、重量床衝撃音および軽量床衝撃音に対して高い遮音性能を有し、製造コストの高騰を招来することなく容易に製造することができ、軽量で施工性の高い高剛性パネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明の高剛性パネルは、一定間隔をおいて対向配置された一対の表面板と、これら表面板の間に配置された板状の支持面部により前記表面板同士を複数箇所で連結する支持機構とを有した高剛性パネルにおいて、前記支持機構の支持面部の少なくとも一方には、前記支持面部の長手方向または幅方向の少なくとも一方において、前記支持面部の端から端まで局部振動を低減する振動低減部が延在して形成されていることを特徴としている。
以上
【0010】
上記の構成によれば、一対の表面板と、これらの表面板同士を複数箇所で連結して支持する支持機構とでパネルを形成することによって、パネルに高い剛性を持たせることができ、この高剛性パネル自体の振動を抑えることができる。そのため、高剛性パネル自体の振動に伴って発生する、比較的に低い周波数が主である重量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。また、局部振動を低減する振動低減部が形成されているため、局部振動に伴って発生する、比較的に高い周波数が主である軽量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。更に、振動低減部は、局部振動を低減できる程度に形成されていれば良く、大きなサイズで大量に形成する必要はない。この結果、重量床衝撃音および軽量床衝撃音の両方を高剛性パネル自身で十分に防止することができ、高い遮音性能を有しており、従来技術のような大幅な製造コストの増大を招来することなく容易に製造することができ、軽量で施工性の高いものとすることができる。
【0011】
第2の発明である高剛性パネルは、第1の発明において、前記振動低減部は、記支持機構の支持面部の全体に渡って形成されていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、局部振動する板全体の剛性を高めることができることから、局部振動を低減し、軽量床衝撃音を一層抑制することができる。
【0013】
第3の発明である高剛性パネルは、第1の発明または第2の発明において、前記振動低減部は、前記表面板または前記支持機構の支持面部の一部を曲折して形成されたリブであることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、表面板や支持面部を形成するときに、同時にリブの形成を行うことができるため、工程数の増加を伴うことなく高剛性パネルを作成することができる。
【0015】
第4の発明である高剛性パネルは、第1の発明または第2の発明において、前記振動低減部は、前記表面板または前記支持機構の支持面部に取り付けられた錘であることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、表面板や支持面部の任意の部位に錘を取り付けることができると共に、錘を最適な重量に設定することができるため、局部振動を起こし易い部位に対して重点的に振動の抑制を行うことができる。
【0017】
第5の発明である高剛性パネルは、第1の発明または第2の発明において、前記振動低減部は、前記表面板または前記支持機構の支持面部の一部を曲折して形成されたリブと、前記表面板または前記支持機構の支持面部に取り付けられた錘との組み合わせであることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、リブによりコストの増加を最小限に抑制しながら、局部振動を低減させ、錘により局部振動の更なる抑制が可能である。
【0019】
第6の発明である高剛性パネルは、第1の発明乃至第5の発明の何れか1において、並設されたリブ間の中間位置に前記錘が設けられていることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、効率よく局部振動を抑制することができる。
【0021】
第7の発明である高剛性パネルは、第1の発明乃至第6の発明の何れか1において、前記支持機構は、少なくとも一方向に連続する凹凸を形成した波形形状の薄板であることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、高剛性パネルをトラス断面とし、剛性の高いものとすることができる。
【0023】
第8の発明である高剛性パネルは、第1の発明乃至第6の発明の何れか1ににおいて、前記支持機構は、少なくとも一方向に間隔を設けて複数並設された金属製梁であることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、既製の鋼材を利用して、高剛性パネルを容易に製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図16に基づいて以下に説明する。
【0026】
本実施の形態に係る高剛性パネル1は、図1および図2に示すように、上板(表面板)2と、上板2に一定間隔を置いて対向配置された下板(表面板)3と、上板2および下板3同士を複数箇所で連結する折板4とを備えている。本実施形態においては、高剛性パネル1は、上階の床に位置する構造材として用いられる場合について説明する。
【0027】
上板2は、金属製や木製、プラスチック製等の薄板が用いられる。上階の床の仕上げとなる床材を使用してもよいし、上板2を下地として更に床仕上げを行ってもよい。
【0028】
下板3は、金属製の薄板が用いられる。下板3には、リブ(振動低減部)5が幅方向に局部的に設けられている。リブ5は、下板3の板材の一部を矩形に曲折して形成されたものである。そのため、振動低減部を設けるための新たな材料は必要でなく、従来技術のように現場作業が増えたり、加工が困難になることもない。
【0029】
折板4は、金属製の薄板が用いられ、略三角形山部と略三角形谷部とが交互に繰返し波形に成形されている。山部の頂点の山頂部4aが上板2と、谷部の頂点の谷頂部4bが下板3と長手方向に線状に接合されている。この接合は、ねじ、釘、リベット、かしめ等の機械的結合または接着剤による結合、あるいは両者の併用で行なうことができる。山頂部4aと谷頂部4bとの間は、上板2および下板3の間に配置された板状の傾斜部(支持面部)4cとされ、この傾斜部4cにより上板2および下板3同士が複数箇所で連結されている。
【0030】
尚、上板2は、建物に要求される仕様に応じるため、パーティクルボード、合板、木片セメント板、木毛セメント板等による方形板を用いることができる。また、下板3及び折板4の材質は、鉄系金属によるもののほか、アルミニウム等の各種金属材によるものであってもよい。
【0031】
また、高剛性パネル1は、床として使用される場合に限定されず、天井・壁等にも用いられる。例えば、高剛性パネル1を壁に適用する場合は、上板2として石膏ボード等を用い、上板2側が室内側になるように施工することができる。
【0032】
上記の構成において、高剛性パネル1の動作について説明する。
上階床に衝撃が加わった場合、衝撃音として、重量床衝撃音と軽量床衝撃音が発生する。
【0033】
この時、高剛性パネル1は、一対の上板2および下板3と、これらの上板2および下板3同士を複数箇所で連結して支持する傾斜部4cとで形成され、剛性の高いものとされているため、高剛性パネル1の振動は抑制され、比較的に低い周波数が主である重量床衝撃音は遮音される。また、下板3はリブ5が設けられることにより局部的な剛性が増しているため、図3において、下板3の局部振動が低減される。これにより、局部振動に伴い発生する放射音を抑えることができ、比較的に高い周波数が主である軽量床衝撃音も遮音される。
【0034】
以上示したように、本発明の高剛性パネル1は、一定間隔をおいて対向配置された上板2・下板3(一対の表面板)と、これら上板2・下板3の間に配置された板状の傾斜部4c(支持面部)により上板2・下板3同士を複数箇所で連結する折板4(支持機構)とを有しており、上板2・下板3および折板4の傾斜部4cの少なくとも一方には、局部振動を低減するリブ5(振動低減部)が形成されている。これにより、上板2・下板3と、上板2・下板3同士を複数箇所で連結して支持する折板4とで高剛性パネル1を形成することによって、高剛性パネル1に高い剛性を持たせることができ、この高剛性パネル1自体の振動を抑えることができる。そのため、高剛性パネル1の振動に伴って発生する、比較的に低い周波数が主である重量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。また、局部振動を低減するリブ5が形成されているため、主に下板3の局部振動に伴って発生する、比較的に高い周波数が主である軽量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。この結果、重量床衝撃音および軽量床衝撃音の両方を高剛性パネル1自身で十分に防止することができ、高い遮音性能を有し、製造コストの高騰を招来することなく容易に製造することができ、軽量で施工性の高いものとすることができる。
【0035】
尚、本実施形態においては、振動低減部であるリブ5が表面板である下板3に形成されている場合について説明した。下板3が軽量床衝撃音の主な発生部位であるため、その効果は非常に大きいが、これに限定されるものではない。即ち、リブ5は、折板4(支持機構)の傾斜部4c(支持面部)に形成されてもよい。これにより、高剛性パネル1の表面板(上板2)への加振力が、傾斜部4cを伝達し対向する表面板(下板3)に伝わる過程で局部振動を抑制することができ、折板加工時に同時にリブ5を成形することができ、加工コストの増加を抑制することができる。また、リブ5が上板2や下板3に形成されている場合、リブ5は、高剛性パネル1の内側および外側の何れに向かって形成されていても良い。さらに、下板3及び支持機構の支持面部(傾斜部4c)の両方にリブ5が設けられたものであってもよい。
【0036】
また、例えば図5に示すように、高剛性パネル1は、一定間隔をおいて対向配置された上板22・下板23(表面板)と、これら上板22・下板23の間に配置された傾斜部(支持面部)24cにより上板22・下板23同士を連結する折板(支持機構)24とを有し、折板24の傾斜部24cにリブ25(振動低減部)が長手方向に延在して形成されていてもよい。
【0037】
また、図6に示すように、リブ(振動低減部)35は、折板(支持機構)34の幅方向に延在して設けられていてもよいし、図7に示すように、リブ(振動低減部)45は、折板(支持機構)44の長手方向に対して傾斜角度を有して設けられてもよい。以上示したように、様々な方向を組み合わせることで、様々なケースに対応することが可能である。
【0038】
また、本実施形態においては、振動低減部は、下板3の幅方向に延在する突状である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、振動低減部として、突起が点在するものであってもよい。突起が点在するものとすれば、振動低減部の成形が容易であると共に、必要に応じて追加工することも可能である。
【0039】
また、本実施形態においては、下板3の一部を曲折して形成されたリブ5を振動低減部としている。これにより、高剛性パネル1を用いることで、現場作業の増加や材料点数の増加を伴うことなく高遮音床を作成することができる。尚、本実施形態においては、リブ5断面が図8(a)に示すように矩形である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、金属板の加工時(ロールフォーミング・曲げ加工・プレス加工等)に同時に加工することができる形態であればよく、増加させた剛性量に合わせて選択すればよい。例えば、図8(b)に示すように半円形であったり、図8(c)に示すように三角形状であったり、図8(d)に示すように台形であってもよい。
【0040】
また、本実施形態の高剛性パネル1は、リブ5は、下板3や傾斜部4cの長手方向や幅方向の全体に渡って形成されている。これにより、局部振動発生部である板の長手方向や幅方向の全体に渡って剛性を高めることができることから、局部振動を低減し、軽量床衝撃音を一層抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態においては、リブ5は下板3や傾斜部4cの長手方向や幅方向の全体に渡って形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、リブ5は長手方向や幅方向に対して局所的に設けられていてもよく、目標とする遮音性能によってその設置方法は変わる。
【0042】
尚、本実施形態においては、振動低減部は、下板3の一部を曲折して形成されたリブ5である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、図9に示すように、高剛性パネル61は、一定間隔をおいて対向配置された一対の上板62・下板63(表面板)と、これら上板62・下板63の間に配置された傾斜部64c(支持面部)により上板62・下板63同士を複数箇所で連結する折板64とを有し、振動低減部が下板63に取り付けられた錘65であってもよい。これにより、上板62・下板63や支持面部の任意の部位に錘65を取り付けることができると共に、錘65を最適な重量に設定することができるため、局部振動を起こし易い部位に対して重点的に振動の抑制を行うことができ、板厚を厚くして振動を抑える場合と比較して、パネル全体の重量増を抑えることができる。また、その形状も、塊・棒状等が考えられる。棒状のものであれば、リブの剛性を増す効果も同時に持たせることができる。
【0043】
また、図10に示すように、高剛性パネル71は、一定間隔をおいて対向配置された一対の上板72・下板73(表面板)と、これら上板72・下板73の間に配置された傾斜部(支持面部)74cにより上板72・下板73同士を複数箇所で連結する折板(支持機構)74とを有し、振動低減部が、折板74の山頂部74aと谷頂部74bとの間に形成された傾斜部74cに取り付けられた錘75であってもよい。これにより、傾斜部74cに発生する局部振動を抑制することができる。
【0044】
また、振動低減部は、上板2・下板3または折板4の傾斜部4cの一部を曲折して形成されたリブと、上板2・下板3または折板4の傾斜部4cに取り付けられた錘との組み合わせであってもよい。これにより、リブによりコストの増加を最小限に抑制しながら、局部振動を低減させ、必要に応じて錘により局部振動の更なる抑制が可能である。更に、錘は振動の腹となる位置に設けられることが望ましい。これにより、効率よく局部振動を抑制することができる。
【0045】
また、並設されたリブ間の中間位置に錘が設けられているものであってもよい。これは、リブの設置により局部振動は抑制されるが、並設されたリブ間の部分は、この部分だけみると板の剛性は変化しておらず、与えられる振動によっては新たな形態の局部振動が発生する。しかし、この部分での局部振動の状況は並設されたリブ間の中間位置を振動モードの腹として振動すると予測されるため、この位置に錘を配置すれば効率よく局部振動を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、支持機構は、概三角形の山部と、概三角形の谷部とが交互に形成された折板4である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、少なくとも一方向に連続する凹凸を形成した波形形状の薄板であればよく、図11に示すように、山頂部81aと谷頂部81bとが幅広く、山頂部81aと谷頂部81bとの間の傾斜部81cとで概台形の山部と概台形の谷部とを形成するものであってもよい。
【0047】
また、図12に示すように、支持面部近傍が半円状の曲面である波板82であってもよいし、図13に示すように、接合部82aと接合部82bとを繰り返して、接合部82a・82b間の支持部82cとで矩形断面を繰り返す波板82であってもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、支持機構は薄板を波状に加工した折板4である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、少なくとも一方向に間隔を設けて複数並設された金属製梁であってもよい。例えば、図14に示すように、C型鋼84(金属製梁)が長手方向に設けられてもよいし、図15に示すように、角管85が長手方向に設けられてもよい。これにより、既製の鋼材(C型鋼84・角管85)を利用して、高剛性パネルを容易に製造することができる。
【0049】
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例として、高剛性パネルにおいて、上板は、幅方向に900mm、長手方向に2000mmのパーティクルボードを、折板は、高さが150mm、厚さ1mmの鋼板を用いた。そして、下板は、幅方向に700mm、長手方向に2000mm、厚さ1mmの鋼板を用い、幅方向に200mm間隔でリブ加工を施した。この高剛性パネルの両端を支持し、上面から軽量床衝撃加振した時の下方への放射音を測定した。図16に結果を示す。
【0050】
(比較例)
比較例として、高剛性パネルにおいて、上板は、幅方向に900mm、長手方向に2000mmのパーティクルボードを、折板は、高さが150mm、厚さ1mmの鋼板を用いた。そして、下板は、幅方向に700mm、長手方向に2000mm、厚さ1mmの鋼板を用いた。この高剛性パネルの両端を支持し、上面から軽量床衝撃加振した時の下方への放射音を測定した。図16に結果を示す。
【0051】
図16において、リブが設けられた実施例と、リブが設けられなかった比較例とを比べると、リブを設けることにより、125Hzバンド以上で放射音の大きな低減効果が得られた。これにより、下板にリブを設けることで、軽量床衝撃音の遮音性を高めることができると言える。
【0052】
【発明の効果】
1の発明によると、一対の表面板と、これらの表面板同士を複数箇所で連結して支持する支持機構とでパネルを形成することによって、パネルに高い剛性を持たせることができ、この高剛性パネル自体の振動を抑えることができる。そのため、高剛性パネル自体の振動に伴って発生する、比較的に低い周波数が主である重量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。また、局部振動を低減する振動低減部が形成されているため、局部振動に伴って発生する、比較的に高い周波数が主である軽量床衝撃音の遮音性を高くすることができる。更に、振動低減部は、局部振動を低減できる程度に形成されていれば良く、大きなサイズで大量に形成する必要はない。この結果、重量床衝撃音および軽量床衝撃音の両方を高剛性パネル自身で十分に防止することができ、高い遮音性能を有しており、従来技術のような大幅な製造コストの増大を招来することなく容易に製造することができ、軽量で施工性の高いものとすることができる。
【0053】
2の発明によると、局部振動する板全体の剛性を高めることができることから、局部振動を低減し、軽量床衝撃音を一層抑制することができる。
【0054】
3の発明によると、表面板や支持面部を形成するときに、同時にリブの形成を行うことができるため、工程数の増加を伴うことなく高剛性パネルを作成することができる。
【0055】
4の発明によると、表面板や支持面部の任意の部位に錘を取り付けることができると共に、錘を最適な重量に設定することができるため、局部振動を起こし易い部位に対して重点的に振動の抑制を行うことができる。
【0056】
5の発明によると、リブによりコストの増加を最小限に抑制しながら、局部振動を低減させ、錘により局部振動の更なる抑制が可能である。
【0057】
6の発明によると、効率よく局部振動を抑制することができる。
【0058】
7の発明によると、高剛性パネルをトラス断面とし、剛性の高いものとすることができる。
【0059】
8の発明によると、既製の鋼材を利用して、高剛性パネルを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高剛性パネルを下方から見た斜視図である。
【図2】高剛性パネルを下方から見た図である。
【図3】高剛性パネルの側面図である。
【図4】高剛性パネルの側面図である。
【図5】高剛性パネルの斜視図である。
【図6】折板の斜視図である。
【図7】折板の斜視図である。
【図8】リブの断面図である。
【図9】高剛性パネルの斜視図である。
【図10】高剛性パネルの斜視図である。
【図11】折板の斜視図である。
【図12】波板の斜視図である。
【図13】波板の斜視図である。
【図14】C型鋼の斜視図である。
【図15】角管の斜視図である。
【図16】放射音の測定結果を示すグラフである。
【図17】従来の高剛性パネルの斜視図である。
【符号の説明】
1 高剛性パネル
2 上板(表面板)
3 下板(表面板)
4 折板(支持機構)
4a 山頂部
4b 谷頂部
4c 傾斜部(支持面部)
5 リブ(振動低減部)

Claims (8)

  1. 一定間隔をおいて対向配置された一対の表面板と、これら表面板の間に配置された板状の支持面部により前記表面板同士を複数箇所で連結する支持機構とを有した高剛性パネルにおいて、
    前記支持機構の支持面部には、前記支持面部の長手方向または幅方向の少なくとも一方において、前記支持面部の端から端まで局部振動を低減する振動低減部が延在して形成されており、
    前記振動低減部は、前記支持機構の支持面部の一部を曲折して形成されたリブからなることを特徴とする高剛性パネル。
  2. 一定間隔をおいて対向配置された一対の表面板と、これら表面板の間に配置された板状の支持面部により前記表面板同士を複数箇所で連結する支持機構とを有した高剛性パネルにおいて、
    前記支持機構の支持面部には、局部振動を低減する振動低減部が形成されており、
    前記振動低減部は、前記支持機構の支持面部に取り付けられた錘とからなることを特徴とする高剛性パネル。
  3. 一定間隔をおいて対向配置された一対の表面板と、これら表面板の間に配置された板状の支持面部により前記表面板同士を複数箇所で連結する支持機構とを有した高剛性パネルにおいて、
    前記一対の表面板および前記支持機構の支持面部の少なくとも一方には、局部振動を低減する振動低減部が形成されており、
    前記振動低減部は、前記一対の表面板および支持面部の少なくとも一方の一部を曲折して形成されたリブと、前記一対の表面板および支持面部の少なくとも一方に取り付けられた錘との組み合わせであることを特徴とする高剛性パネル。
  4. 前記リブは
    前記支持機構の支持面部の幅方向または長手方向に対して傾斜角度を有して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の高剛性パネル。
  5. 前記リブが複数並設して形成され、当該複数のリブの中間位置に前記錘が設けられていることを特徴とする請求項3記載の高剛性パネル。
  6. 前記支持機構は、少なくとも一方向に連続する凹凸を形成した波形形状の薄板であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高剛性パネル。
  7. 前記支持機構は、少なくとも一方向に間隔を設けて複数並設された金属製梁であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高剛性パネル。
  8. 前記錘は、一対の表面板および支持面部の少なくとも一方における振動の腹部に設けられていることを特徴とする請求項3記載の高剛性パネル。
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