JP2005307437A - 建築遮音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重量衝撃音と軽量衝撃音とを共に効果的に低減する。
【解決手段】 床スラブ1の下面には所定間隔d1の空気層3を介して天井板2が設置され、空気層3は連続した多角柱体や円柱体などのハニカム状の区画壁4によって拡がり方向に対して区画され、それぞれ区画空気層6となっている。区画壁4の下端は天井板2の上面に固着され、その上端は床スラブ1の下面との間に間隙5が設けられている。区画壁4の壁面間隔Lは遮音対象の音の波長の1/2以下、区画壁4の高さは壁面間隔L以上に設定する。このような寸法の制限により、空気層3内での音波の進行方向つまり空気の振動する方向は床スラブ1と天井板2の振動面に対しほぼ垂直方向に制約されるため、天井板2の透過損失がその特性の範囲で最大となる。また、空気層の拡がり方向での共振が抑制される。それによって高い遮音性能が達成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、集合住宅などの床、天井、壁などとして利用される建築構造体に関し、更に詳しくは、床衝撃音や空気伝搬音等の各種の騒音が階下、階上、或いは隣戸へ伝搬するのを防止するための、高い遮音性を有する建築遮音構造体に関する。
近年、低層、中高層に限らず集合住宅においては、清潔性やメンテナンスの容易性などから木質系床材いわゆるフローリングの床仕上面が多用される傾向にある。こうした床仕上面は特に階下に生活音が伝搬しやすいため、防音性能や遮音性能の改善の要求は非常に高まっている。また、特に建物の高層化に伴い、軽量で遮音性能の優れた外壁、間仕切壁などの開発が強く要望されている。
一般に、床衝撃音には、人間の通常の歩行音、物の落下音など、比較的軽くて硬い衝撃音である軽量衝撃音と、子供が飛び跳ねたときなどに生じる重くて鈍い感じの衝撃音である重量衝撃音とがある。このうち、前者の軽量衝撃音については床仕上面上にカーペットなどを敷いて衝撃を吸収することにより或る程度の低減が可能であり、個人レベルでも対策を施し易い。また、フローリング自体でも、床下地であるスラブとの間に発泡スチロール系の緩衝部材などを敷設したり、或いは弾性を有する脚でフローリングの下板を支持した浮床構造としたりするなどの対策が試みられており(例えば特許文献1など参照)、或る程度の効果を生んでいる。
しかしながら、こうした対策は比較的コストを抑制することができるとともに現実の建物構造に適用し易いという利点はあるものの、居住者の要望に照らすと効果は必ずしも十分に満足できるものとは言えず、特に重量衝撃音を代表とする低周波帯域の騒音対策には効果的ではなかった。
一方、重量衝撃音を低減するために最も有効な方法は床下地(通常、中高層建築ではコンクリート製のスラブ)の有効質量を大きくすることと、曲げ剛性を高めることであると言われている。こうしたことから、スラブ本体及び床仕上構造自体を厚く重くするなど、建物の躯体そのものに直接関わるような対策が試みられる場合もある(例えば非特許文献1など参照)。
しかしながら、こうした対策は施工コストを増大させ工期も長くなるといった大きな問題があるため、一般の集合住宅のような建物には採用しにくい。また、新築の場合には可能であっても、既存の建物については躯体の改修作業はきわめて難しいから、重量衝撃音に対する遮音性能を高めることは殆ど不可能である。
また、軽量で遮音性能の優れた壁体については、二重、三重等、できる限り振動を絶縁した多重壁構造とした上で、その中間層に吸音材を設けたものが基本的な構造となっているものが多い(例えば特許文献2など参照)。こうした構造を基本として、振動絶縁性を高める構造と適当な材料とについて様々な提案がなされている。しかしながら、従来のこうした遮音性壁体構造では、遮音性を高めようとするほど構造が複雑でコストが高くなり、低廉なコストで高い遮音性を達成するものではなかった。
特開平10−259658号公報 特開2002−4467号公報 「床板の遮音設計方針 重量衝撃音レベルの計算方法」、[online]、安藤建設株式会社、[平成16年4月5日検索]、インターネット〈URL : http://ando-corp.jp/p/pa/pa4003.htm〉
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その主たる目的とするところは、軽量衝撃音と重量衝撃音とを含む床面を通した上下階での騒音問題や、間仕切り壁などを介しての騒音問題に対し、幅広い周波数帯域で高い遮音性能を発揮することで、集合住宅等において階下や隣室・隣戸への騒音伝搬を極力防止しながら、施工が簡単であって且つコストが低廉であるような建築遮音構造体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、新築の建物施工時に設置できるのはもちろんのこと、既に建築済みの建物であっても後からの比較的容易な追加工事によって遮音性能を高めることができるような建築遮音構造体を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明に係る建築遮音構造体は、
a)互いに所定間隔を有して略平行に延展する二枚の平板体と、
b)該二枚の平板体の間に形成される空気層をその拡がり方向に小さく区画するべく、少なくとも一方の平板体の内向面に対向する端部が該内向面と接触しない程度の狭い間隙を有して設けられた区画壁と、
を含み、一方の平板体の外向面に直接的に加えられた振動又は空気振動に対し、他方の平板体の外向面から放出される音を抑制することを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係る建築遮音構造体は、
a)一枚の平板体と、
b)該平板体の一方の面と該面から所定距離離れた仮想的な面との間の空気層をその拡がり方向に小さく区画するべく、該平板体から直立して形成された区画壁と、
を含み、前記平板体にあって前記区画壁が設けられた側の面に到来する空気振動に対し、平板体の反対側の面から放出される音を抑制することを特徴としている。
第1発明に係る建築遮音構造体は、建物内の空間を上下方向や横方向に仕切るため、或いは建物空間内と外部とを仕切るために用いられるものであり、具体的には、建物躯体である床スラブとその階下の天井板から構成される床・天井の二重天井構造、床スラブとその階上の床仕上げ板から構成される二重床構造、及び、住戸内で各室を仕切る間仕切り壁や隣接した住戸を隔てる戸境壁などに採用される二重壁構造(以下、これらを「二重板構造体」と称する)に適用される。一方、第2発明に係る建築遮音構造体は、建物内の空間や建物空間内と外部とを横方向に仕切るために用いられるものであり、具体的には、通常の一重壁やガラス窓などに適用される。但し、第1、第2発明ともに、遮音に関する基本的な思想は同様である。
すなわち、第1発明に係る建築遮音構造体では、上記二重板構造体を成す二枚の平板体は所定間隔離れているのでその間には空気層が形成されており、第2発明に係る建築遮音構造体では、一枚の平板体に接する片面或いは両面に、該面と該面から所定距離離れた仮想的な面と間に空気層が形成されているとみなし得る。平板体を通しての音の伝搬は、この空気層内での空気振動が平板体に入射し、平板体を振動させてその反対面から再び空気中に振動波を放射すると捉えることができる。
一般に質量則として知られている単板の音響透過の最も基本的なメカニズムによれば、音波の入射が垂直方向から擦過角に近づくに伴いその単板での透過損失が減じてくる。逆に言えば、単板への音波の入射角が垂直に近いほどその単板による透過損失が大きくなる。第1発明では二枚の平板体で挟まれる空気層における音波に対してこうした現象を最適に利用することによって、また、第2発明では上記のように一枚の平板体の一面に沿って形成される空気層における音波に対してこうした現象を最適に利用することによって、平板体の遮音作用を最大限に発揮させて遮音性能を向上させる。そのために、空気層をその拡がり方向に小さく区画するべく区画壁を設けている。但し、第1発明では、区画壁が両平板体に接していると、空気層を通してではなく区画壁を通して機械的振動がそのまま伝搬される可能性があるため、少なくとも一方の平板体の内向面とは区画壁が接触することのないように設けられている。
第1発明の構成において、例えば一方の平板体の外向面に機械的振動が加えられると、該平板体が振動して空間層に空気振動が発生する。この空気振動が音波であるが、その音波の進行方向は区画壁によって制約を受けるため、他方の平板体の内向面に対して垂直入射に近い状態で入射する。また第2発明の構成においては、空気層を挟んで平板体と反対側の空間から到来した空気伝搬音は上記空気層に入ると、その音波の進行方向は区画壁によって制約を受けるため、平板体に対して垂直入射に近い状態で入射する。これによって、その音波に対する平板体の透過損失はその平板体の厚さや剛性などによって決まる特性の最大又はそれに近いものとなり、平板体の反対面から放射される音波を効率良く低減することができる。
上述したような遮音性向上の原理から、振動の伝達過程(空気と平板体との接触面)において、音波の進行方向が振動面とほぼ垂直になるようにその方向を制約するべく区画壁を構成することが好ましい。そのためには、区画壁の壁面間隔と高さとがパラメータとして重要である。また、二重板構造体にあっては、上記条件に加え空気層の拡がり方向での共振を抑制することができるように区画壁の壁面間隔と高さとを設定するとよい。こうしたことから、具体的には、区画壁の壁面間隔を遮音対象の音の波長の2分の1以下に定めるようにするとよい。また、逆に区画壁の高さはこの区画壁の壁面間隔以上に定めるとよい。
なお、第1発明の構成の場合、空気層に適宜吸音材を導入することにより、特に、軽量衝撃音などの比較的高い周波数帯域の音に対して、一層大きな遮音効果を得ることができる。
第1発明に係る建築遮音構造体によれば、床スラブや床仕上げ板で発生した振動が階下への放射音となる過程、或いは間仕切り壁や戸境壁などの音響透過において隣室への放射音となる過程で、機械的な振動抑制効果を高めるのではなく音波の挙動を制御することにより、空気と平板体との接触面における振動伝達を効果的に抑制することができる。また、空気層内の共振現象はその共振周波数で大きな音響放射を引き起こすが、こうした現象の発生も抑制することができる。したがって、床衝撃音問題に関し、主として床面に加えられる直接的な衝撃によって階下へと伝搬する衝撃音について、軽量衝撃音はもちろんのこと特にこれまでは解決が困難であった重量衝撃音をも効果的に低減することができる。また、一般の間仕切り壁や戸境壁などの遮音性能も大幅に向上させることができる。
また、第1発明の構造は極めて簡単であり、区画壁に用いる材料も数mm厚程度のベニヤ合板で十分である。したがって、第1発明によれば、遮音性を高めるために床スラブなどを必要以上に厚くする必要がなくなり、建設コストを抑制することができる。また、既存の建物躯体に追加設置することも比較的容易であるので、新規の建築物のみならず、既に建設済みの集合住宅などにも適用が可能である。
また第2発明に係る建築遮音構造体では、その構造は一層簡単であり、例えば一重壁や窓ガラス等で遮音性能を高めたい場合に容易にそうした対策を施すことができる。
以下、本発明に係る建築遮音構造体の幾つかの実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[第1実施例]
図1は第1実施例による建築遮音構造体の概略構成図、図2は横断面図である。この第1実施例は、第1発明の建築遮音構造体を、例えば集合住宅において床面と天井板からなる床・天井の二重構造体に適用した例である。
図1において、集合住宅の階上戸、階下戸を隔てる建物本体であるコンクリート製の床スラブ1の下面には、所定間隔d1の空気層を介して天井板2が設置されている。基本的に天井板2は床スラブ1の振動(動き)に拘束されることなく振動する(動く)ことが可能であるように、振動絶縁用ゴムなどの防振部材8を介して壁面9に固定されている。
床スラブ1と天井板2との間に形成される空気層3は、連続した多角柱体(四角柱、六角柱、八角柱など)や円柱体などのハニカム状の区画壁4によって床及び天井の拡がり方向に対して区画され、それぞれ区画空気層6となっている。区画壁4の下端は天井板2の上面に固着されているが、その上端は床スラブ1の下面との間に所定間隔d2の間隙5が設けられている。この間隔d2は、床スラブ1及び天井板2がそれぞれ最大に振動したときでも区画壁4の上端が床スラブ1に接触しない範囲で、且つできるだけ小さくなるように考慮されている。これによって、床スラブ1と天井板2との間での機械的な振動伝達は起こらず、しかも、隣接する区画空気層6の間での音波の空気伝搬が起きにくくなっている。
区画壁4の壁面間隔Lは対象とする振動波長の1/2以下とし、区画空気層6の深さ、つまり区画壁4の高さは壁面間隔L以上に設定する。このような寸法の制限により、空気層3内での音波の進行方向つまり空気の振動する方向は床スラブ1と天井板2の振動面に対しほぼ垂直方向に制約される。また同時に、空気層3の拡がり方向での共振を抑制することができる。なお、区画壁4の材料は、音波の進行をある程度遮る材質であればどのようなものでも適用可能である。コストの点から考えると、例えば厚さが数mm程度のベニヤ合板や合成樹脂などが手軽な材料として考えられる。
各区画空気層6内には例えばグラスウールのような繊維吸音材から成る吸音層7が設けられている。これによって、より広い周波数帯域で、より一層の遮音性能向上が実現できる。その際、吸音層7の深さ方向の位置は遮音性能にほとんど影響せず、施工する際の都合によって決定できる。また、吸音材として通常用いられる密度を持ったグラスウール、ロックウールなどの繊維性吸音材であれば、この吸音層7を通した横方向の音波の伝搬は実質的に存在しないため、その吸音材までも区画する必要はない。したがって、吸音層7の上に区画壁4を設置した(実際上は載せた状態である)構成とすることも可能である。
一般に、床衝撃音は床スラブ上面に加えられた衝撃が空気層を介して天井面に伝わりその振動による音響放射で発生する。特に問題となる現象は、床スラブと天井とが質量を持った振動体、そして空気層が一種のバネとして働き、その固有振動における振動伝達の増幅作用が生じることである。このような、床衝撃音に対し天井を付けることによる逆効果はよく知られた現象である。また、通常用いられる床・天井材とその設置間隔ではその逆効果が63Hzを中心とした低周波数域に集中することも知られている。この第1実施例による建築遮音構造体は、特にこの現象を抑制する効果を持ち、床・天井二重構造の持つ中・高周波数帯域での良好な遮音性能を低周波数帯域まで拡張した特性として提供できることに大きな特徴を有する。
上記実施例の構成の効果をシミュレーションによって求めた結果について説明する。このシミュレーションでは、床スラブ1として鉄骨プレハブによる中・低層集合住宅で平均的に使用されている厚さ100mmのALC床スラブを想定し、これにd1=300mmの空気層3を設けて22mm厚の石膏ボードから成る天井板2を張設した床・天井構造で考えた。こうした床・天井構造に対し、重量、軽量衝撃を問わず、幅広い周波数帯域での床衝撃音を低減することを目的として次のように各種パラメータを設定した。
間隙(d2) :30mm
区画空気層の幅(L) :150mm
区画空気層の深さ(d1−d2) :270mm
吸音層 :グラスウール密度40K(=40kg/m3 ),100mm厚
このような建築遮音構造体に対し、床スラブ1の上面の一点に定常加振による振動を加えるという条件の下での加振周波数と天井板2の下方に放射される音響パワーとの関係を理論計算のシミュレーションにより求め、床スラブのみ(天井板無し)の放射パワーに対する、天井板のみを設けた場合、空気層を区画しただけの場合、区画空気層に吸音層を設けた場合、の各ケースにおける放射パワー低減量[dB]を計算した。その結果を図3に示す。この結果から明らかなように、空気層3を区画することの効果として、63Hz〜1kHzに亘る幅広い周波数帯域で、10dBから40dB程度の高い遮音性能の向上が達成されていることが分かる。さらに、吸音層を設けることにより、約300〜700Hzの周波数帯域において約20dB程度の高い遮音性能の改善が得られることも分かる。
[第2実施例]
図4は第2実施例による建築遮音構造体の概略構成図である。この第2実施例は、第1発明に係る建築遮音構造体を、例えば集合住宅において床スラブの上に浮床式の床仕上げ板を持つ構造体に適用した例である。上記第1実施例の構造と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
床仕上げ板10は例えばフローリング、捨張り合板、制振材、ベースパネルから成るものであり、これが弾性ゴムを備えた支持脚11によって床スラブ1上に固定される。このような基本構造は特に集合住宅などの床衝撃遮音対策として幅広く用いられている。図4に示すような、床仕上げ板10と床スラブ1とから成る構造体は第1実施例の床スラブ及び天井板の構造と基本的に同一であり、図1における構成をそのまま利用することができる。すなわち、床スラブ1上にハニカム状の区画壁4を設け、その区画壁4で床スラブ1と床仕上げ板10との間の空気層3をその拡がり方向に区画するとともに、区画壁4上端と床仕上げ板10との間に間隙5を設ける。
この構成では、通常、支持脚11で床仕上げ板10を支持する必要があり、支持脚11は防振効果を持つとしても支持脚11を介した床仕上げ板10と床スラブ1との振動の伝搬が完全には無視できない。その分だけ動作は理想的にならず、遮音効果が減じることが予想できる。但し、近年、鉄鋼製の大引ビームを使用した支持脚なしの二重床構造も開発されており、そのようなケースではこの構成の効果が最大限発揮される。また、重量衝撃で問題となる63Hz近辺の床衝撃音低減に対しては支持脚11の有無やその形態の影響はあまりなく、区画空気層6はその役割を十分に発揮し得る。したがって、この第2実施例の構成においても、低周波数帯域での遮音性能の大きな改善を図ることができる。
上記実施例の構成の効果をシミュレーションによって求めた結果について説明する。このシミュレーションでは、図4に示したような床仕上げ構造に対して、集合住宅で通常使われる仕様を想定して、厚さ200mmのコンクリートスラブ上に厚さ150mmの空気層を設け、50mm厚の床仕上げ板(面密度50kg/m3)を設置する状態を考えた。その他のパラメータは次のように定めた。
間隙(d2) :30mm
区画空気層の幅(L) :60mm
区画空気層の深さ(d1−d2) :120mm
吸音層 :グラスウール密度40K(=40kg/m3 ),50mm厚
このような建築遮音構造体に対し、床仕上げ板11の上面の一点に定常加振による振動を加えるという条件の下での加振周波数と床スラブ1の下方に放射される音響パワーとの関係を理論計算のシミュレーションにより求め、床スラブのみの放射パワーに対する、床仕上げ板のみを設けた場合、空気層を区画しただけの場合、区画空気層に吸音層を設けた場合、の各ケースにおける放射パワー低減量[dB]を計算した。その結果を図5に示す。この結果から明らかなように、この実施例でも、31Hz〜250Hzに亘る周波数帯域では、10dBから30dB程度の遮音性能の向上が達成されており、特に63Hz近傍では高い改善効果が得られることが分かる。
但し、このシミュレーションでは大引ビームによる支持脚無しを想定して計算している。支持脚がある場合には音響パワーの低減効果は低くなることが予想されるが、それでも63Hz帯域の、主に空気層が原因となる部分に関してはこの結果に近い効果が期待できる。
[第3実施例]
図6は第3実施例による建築遮音構造体の概略構成図である。上記第1、第2実施例は第1発明に係る建築遮音構造体を床・天井構造の遮音に適用した例であるが、この第3実施例は第1発明に係る建築遮音構造体を壁を通した遮音に適用した例である。これは住戸内の各室の間仕切壁や隣接する住戸の戸境壁として用いられる、中間層を介した二重板構造である。図6でも、上記第1、第2実施例の構造と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
この第3実施例の構造では、略平行に延展する二枚の壁体20の間に形成されている空気層3を、区画壁4によってその拡がり方向に小さく区画している。このような構造も前述の床スラブ・天井の構造と基本的に同一であり、第1実施例の構成をほぼそのまま適用することが可能である。そもそも第1発明に係る建築遮音構造体は、音波と振動面との相互作用としての振動伝達に着目して開発された構造であることから、機械的な振動に対する音の放射を抑制するのみならず、空気振動として伝搬してくる音を低減する効果が得られるのは当然である。
上記第3実施例の構成の効果をシミュレーションによって求めた結果について説明する。ここで想定した構造は軽量且つ安価な間仕切壁を目的としたもので、壁体20を25mm厚の石膏ボードとし、空気層3を100mm厚とした。また、パラメータは次のように設定した。
間隙(d2) :5mm
区画空気層の幅(L) :40mm
区画空気層の深さ(d1−d2) :95mm
吸音層 :グラスウール密度40K(=40kg/m3 ),50mm厚
このような構造体に対する遮音性能として音の周波数と透過損失との関係を理論計算のシミュレーションにより求めた。その結果を図7に示す。この結果から分かるように、空気層を区画することで広帯域の周波数で遮音性能の向上(区画しない場合に比して20dB以上)が見られる。さらに吸音層と併用することで、特に高い周波数帯域で遮音性能は向上することが分かる。
[第4実施例]
図8は第4実施例による建築遮音構造体の概略構成図である。この第4実施例は第2発明の一例であり、図示した壁体20は一重壁などのほか窓ガラス等でもよく、第1〜第3実施例と異なり二枚の平板体で挟まれる空気層は存在しない。但し、ここでは、壁体20の片面或いは両面に、壁体20の表面から距離d3だけ離れた仮想的な面までの間に、その面の拡がり方向に拡がる空気層22が形成されているものとみなすことができる。そして、この空気層22を、区画壁4によってその拡がり方向に小さく区画している。この場合でも、区画壁4の間隔や高さなどの基本的な条件は上記各実施例と同じである。
上記第4実施例の構成の効果をシミュレーションによって求めた結果について説明する。ここで想定した構造は壁体20として窓ガラスを想定し、6mm厚ガラスの片面に区画壁の間隔(区画空気層の幅L)を40mm、深さを50mmとした。区画壁4の材料は空気粒子の運動を遮る材質であれば何でもよく、窓ガラスの用途から考えて例えば1mm厚程度のアクリル板などが考えられる。この条件の下での、片面と両面の2つのケースに対する理論計算のシミュレーション結果を図9に示す。特に1kHz〜2kHz程度の範囲のコインシデンス限界周波数近辺で、片面のみへの適用でも5dB以上、両面への適用であれば10dB程度の遮音性能の改善効果が得られることが分かる。
なお、上記説明した各実施例は本発明の単に一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行えることは当然である。
本発明の第1実施例による建築遮音構造体の概略構成図。 第1実施例による建築遮音構造体の横断面図。 第1実施例による建築遮音構造体の床衝撃音低減効果を実証するためのシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明の第2実施例による建築遮音構造体の概略構成図。 第2実施例による建築遮音構造体による床衝撃音低減効果を実証するためのシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明の第3実施例による建築遮音構造体の概略構成図。 第3実施例による建築遮音構造体の遮音効果を実証するためのシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明の第4実施例による建築遮音構造体の概略構成図。 第4実施例による建築遮音構造体の遮音効果を実証するためのシミュレーション結果を示すグラフ。
符号の説明
1…床スラブ
2…天井板
3…空気層
4…区画壁
5…間隙
6…区画空気層
7…吸音層
10…床仕上げ板
20…壁体
22…空気層

Claims (10)

  1. a)互いに所定間隔を有して略平行に延展する二枚の平板体と、
    b)該二枚の平板体の間に形成される空気層をその拡がり方向に小さく区画するべく、少なくとも一方の平板体の内向面に対向する端部が該内向面と接触しない程度の狭い間隙を有して設けられた区画壁と、
    を含み、一方の平板体の外向面に直接的に加えられた振動又は空気振動に対し、他方の平板体の外向面から放出される音を抑制することを特徴とする建築遮音構造体。
  2. 前記区画壁の壁面間隔を遮音対象の音の波長の2分の1以下に定めることを特徴とする請求項1に記載の建築遮音構造体。
  3. 前記区画壁の壁面の高さを前記壁面間隔よりも大きく定めることを特徴とする請求項2に記載の建築遮音構造体。
  4. 前記空気層に繊維吸音材を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建築遮音構造体。
  5. 前記平板体の一方は建物躯体の床スラブであるとともに他方が該床スラブの階下の天井板となっている、二重天井構造としての請求項1〜4のいずれかに記載の建築遮音構造体。
  6. 前記平板体の一方は建物躯体の床スラブであるとともに他方が該床スラブの階上の床仕上げ板となっている、二重床構造としての請求項1〜4のいずれかに記載の建築遮音構造体。
  7. 住戸内で各室を仕切る間仕切り壁又は隣接した住戸を隔てる戸境壁である請求項1〜4のいずれかに記載の建築遮音構造体。
  8. a)一枚の平板体と、
    b)該平板体の一方の面と該面から所定距離離れた仮想的な面との間の空気層をその拡がり方向に小さく区画するべく、該平板体から直立して形成された区画壁と、
    を含み、前記平板体にあって前記区画壁が設けられた側の面に到来する空気振動に対し、平板体の反対側の面から放出される音を抑制することを特徴とする建築遮音構造体。
  9. 前記区画壁の壁面間隔を遮音対象の音の波長の2分の1以下に定めることを特徴とする請求項8に記載の建築遮音構造体。
  10. 前記区画壁の壁面の高さを前記壁面間隔よりも大きく定めることを特徴とする請求項9に記載の建築遮音構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177408A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Sanyo Industries Ltd 二重天井構造
CN109296114A (zh) * 2018-12-26 2019-02-01 上海建工集团股份有限公司 一种轻型木结构隔声墙系统及其制造方法
CN109572993A (zh) * 2017-09-29 2019-04-05 波音公司 复合吸声面板组件

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