JPWO2011077911A1 - 真空チャック - Google Patents
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Abstract
低発塵性と微細なエンボスと低い表面抵抗と高い機械的強度を備えた真空チャックを提供する。真空チャック(1)はアルミニュウム製のベース(2)と導電性の吸着部(3)とを備える。吸着部(3)を、導電性のポリイミドで形成し、このポリイミドを、導電性の接着樹脂シート(4)を介してベース(2)の表面(21a)に接着した。また、ウエハ(W)を載置させるための複数のエンボス(30)と外周壁部(33)とを、この吸着部(3)に表面と外周縁部とに設け、ベース(2)と接着樹脂シート(4)と吸着部(3)とには、吸着及び解放用の空気通路(24),孔(25,26)を設けた。さらに、ベース(2)の軸部(22)を、モータと機械的に連結し、ベース(2)をこのモータによって回転させるようにした。
Description
この発明は、ウエハ等のワークを真空吸着する導電性の真空チャックに関するものである。
従来、この種の真空チャックは、ベースと、ウエハ等を載せる吸着部とを備え、ウエハの裏面側を負圧又は正圧にすることで、ウエハ等を吸着部上に吸着し又は吸着部から解放するようにしている。
通常、このような真空チャックでは、静電気がウエハ等に帯電する事態を防止するために、チャック全体を、導電性部材で形成している。具体的には、ベースや吸着部等、真空チャック全体を導電性のポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」と記す)を用いて、機械加工や射出成形によって一体成形している(例えば、特許文献1〜4参照)。
通常、このような真空チャックでは、静電気がウエハ等に帯電する事態を防止するために、チャック全体を、導電性部材で形成している。具体的には、ベースや吸着部等、真空チャック全体を導電性のポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」と記す)を用いて、機械加工や射出成形によって一体成形している(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかし、上記した従来の真空チャックでは、次のような問題がある。
真空チャックの素材であるPEEKは、ウエハとの接触時に発塵が生じ易く、ウエハを汚染するおそれがある。
また、通常は、ウエハを載せる複数のエンボスを、真空チャックの吸着部表面に形成して、ウエハと吸着部との接触面積の低減化を図る。しかし、エンボスをPEEKに形成する場合には、機械加工によって形成しなければならず、微細なエンボスを形成することができない。このため、ウエハと吸着部との接触面積が十分に小さくならず、十分な発塵防止効果を発揮することができない。
また、PEEKを用いた場合、吸着部の表面抵抗が、102〜104Ωの範囲でばらつき、安定した抵抗値を得ることができない。
さらに、PEEKは、引張強度が100MPa以下であり、機械的強度に劣っている。
真空チャックの素材であるPEEKは、ウエハとの接触時に発塵が生じ易く、ウエハを汚染するおそれがある。
また、通常は、ウエハを載せる複数のエンボスを、真空チャックの吸着部表面に形成して、ウエハと吸着部との接触面積の低減化を図る。しかし、エンボスをPEEKに形成する場合には、機械加工によって形成しなければならず、微細なエンボスを形成することができない。このため、ウエハと吸着部との接触面積が十分に小さくならず、十分な発塵防止効果を発揮することができない。
また、PEEKを用いた場合、吸着部の表面抵抗が、102〜104Ωの範囲でばらつき、安定した抵抗値を得ることができない。
さらに、PEEKは、引張強度が100MPa以下であり、機械的強度に劣っている。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、低発塵性と微細なエンボスと低い表面抵抗と高い機械的強度を備えた真空チャックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、導電性のベースとこのベースの表面に固着された吸着部とを備え、導電性のベースが、表面で開口した空気通路を有し、吸着部が、空気通路の開口と連通した吸着及び解放用の孔,複数のエンボス,及びこれらエンボスと等しい高さの外周壁部を有する真空チャックであって、吸着部を、低発塵性の導電性樹脂シートで形成し、導電性の接着樹脂シートを介してベースの表面に固着した構成とする。
かかる構成により、ワークを、吸着部のエンボスと外周壁部との上に載置した状態で、空気通路を負圧にすると、ワークの下側の空気が、空気通路の開口と連通した孔から吸引され、ワークが複数のエンボスと外周壁部の上に吸着した状態になる。かかる状態で、ワークに対して所望の加工を行うことができる。
この加工時において、静電気がワークに帯電するおそれがあるが、この発明の真空チャックが、導電性樹脂シートで形成された吸着部を導電性の接着樹脂シートを介してベースの表面に固着した構成になっているので、ワークに発生した静電気は、吸着部から接着樹脂シートを介してベース側に流れる。この結果、ワークの帯電を防止することができる。
また、ワークを複数のエンボス上で加工すると、ワークとエンボスとの接触によって、発塵が生じるおそれがある。しかし、この発明の真空チャックでは、吸着部を、低発塵性の導電性樹脂シートで形成してあるので、ワークとエンボスとの接触による発塵はほとんど生じない。
加工が終了したときには、空気通路を正圧にし、空気を空気通路の開口と連通した吸着部の孔から排気すると、ワークの下側が正圧になり、ワークを吸着部から解放することができる。
かかる構成により、ワークを、吸着部のエンボスと外周壁部との上に載置した状態で、空気通路を負圧にすると、ワークの下側の空気が、空気通路の開口と連通した孔から吸引され、ワークが複数のエンボスと外周壁部の上に吸着した状態になる。かかる状態で、ワークに対して所望の加工を行うことができる。
この加工時において、静電気がワークに帯電するおそれがあるが、この発明の真空チャックが、導電性樹脂シートで形成された吸着部を導電性の接着樹脂シートを介してベースの表面に固着した構成になっているので、ワークに発生した静電気は、吸着部から接着樹脂シートを介してベース側に流れる。この結果、ワークの帯電を防止することができる。
また、ワークを複数のエンボス上で加工すると、ワークとエンボスとの接触によって、発塵が生じるおそれがある。しかし、この発明の真空チャックでは、吸着部を、低発塵性の導電性樹脂シートで形成してあるので、ワークとエンボスとの接触による発塵はほとんど生じない。
加工が終了したときには、空気通路を正圧にし、空気を空気通路の開口と連通した吸着部の孔から排気すると、ワークの下側が正圧になり、ワークを吸着部から解放することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の真空チャックにおいて、導電性樹脂シートは、カーボンナノチューブ入りのシートである構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の真空チャックにおいて、シートは、導電性のポリイミドを素材とするシートである構成とした。
かかる構成により、カーボンナノチューブ入りのシートが、導電性のポリイミドを素材としているので、上記した従来のPEEKに比べて、非常に微細なエンボスを、エッチングによって形成することができる。したがって、ワークとエンボスとの接触面積を非常に小さくすることができ、この結果、発塵防止効果をさらに高めることができる。また、導電性のポリイミドの表面抵抗は、PEEKに比べて、バラツキがなく安定しており、しかも、抵抗値が非常に低いので、ワークに生じた静電気を素早く排出することができる。さらに、導電性のポリイミドの機械的強度は、PEEKに比べて、高く、耐久性に優れている。
かかる構成により、カーボンナノチューブ入りのシートが、導電性のポリイミドを素材としているので、上記した従来のPEEKに比べて、非常に微細なエンボスを、エッチングによって形成することができる。したがって、ワークとエンボスとの接触面積を非常に小さくすることができ、この結果、発塵防止効果をさらに高めることができる。また、導電性のポリイミドの表面抵抗は、PEEKに比べて、バラツキがなく安定しており、しかも、抵抗値が非常に低いので、ワークに生じた静電気を素早く排出することができる。さらに、導電性のポリイミドの機械的強度は、PEEKに比べて、高く、耐久性に優れている。
請求項4の発明は、請求項3に記載の真空チャックにおいて、絶縁性のポリイミドを導電性のポリイミドの下に配して、吸着部をこの絶縁性のポリイミドと導電性のポリイミドとの二層構造にし、導電性樹脂シートを介して、ベースに固着すると共に、導電性のポリイミドにのみ、複数のエンボスと外周壁部とを形成した構成とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれに記載の真空チャックにおいて、
吸着部とベースとが上下方向を向く中心軸の回りで一体回転するスピンチャックである構成とした。
吸着部とベースとが上下方向を向く中心軸の回りで一体回転するスピンチャックである構成とした。
以上詳しく説明したように、この発明の真空チャックによれば、ワークの帯電を防止することができるだけでなく、発塵を効果的に防止することができる。
特に、請求項3〜5の発明によれば、エッチングによるエンボスの微細加工が可能なので、発塵防止効果をさらに高めることができる。また、表面抵抗の小さな導電性のポリイミドによって、ワークに生じた静電気を素早く排出することができる。さらに、機械的強度の高い導電性のポリイミドによって、チャックの耐久性の向上を図ることができる。
特に、請求項3〜5の発明によれば、エッチングによるエンボスの微細加工が可能なので、発塵防止効果をさらに高めることができる。また、表面抵抗の小さな導電性のポリイミドによって、ワークに生じた静電気を素早く排出することができる。さらに、機械的強度の高い導電性のポリイミドによって、チャックの耐久性の向上を図ることができる。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係る真空チャックを示す分解斜視図であり、図2は、真空チャックの概略断面図である。
図1に示すように、この実施例の真空チャック1は、ベース2と吸着部3とを備えている。
図1に示すように、この実施例の真空チャック1は、ベース2と吸着部3とを備えている。
ベース2は、導電性を有するアルミニュウムを素材としており、本体部21と軸部22とを備えている。
本体部21は、肉厚の円板状を成し、その中心に、表面21aに開口する空気通路24有している。
軸部22は、図2に示すように、本体部21と一体をなし、本体部21からの空気通路24が軸方向に通っている。また、この軸部22は、モータ10に機械的に連結しており、モータ10によって回転する。
本体部21は、肉厚の円板状を成し、その中心に、表面21aに開口する空気通路24有している。
軸部22は、図2に示すように、本体部21と一体をなし、本体部21からの空気通路24が軸方向に通っている。また、この軸部22は、モータ10に機械的に連結しており、モータ10によって回転する。
吸着部3は、図1に示すように、外径が本体部21の外径と等しく設定された薄い円板体であり、その表面3aに、複数のエンボス30を有し、外周縁部に、リング状の外周壁部33を有している。
このような吸着部3は、図2に示すように、ベース2の外周壁部33内に収納され、接着樹脂シート4を介して本体部21の表面21aに接着されている。
図3は、吸着部3と外周壁部33との高さの関係を示す部分拡大断面図である。
図3に示すように、この実施例では、吸着部3のエンボス30の上面30a迄の高さを外周壁部33の高さHと等しくなるように設定している。
このような吸着部3と接着樹脂シート4との中心には、図1及び図2に示すように、吸着及び解放用の孔26と孔25とが穿設され、これら孔25,26が、ベース2の空気通路24に連通している。
このような吸着部3は、図2に示すように、ベース2の外周壁部33内に収納され、接着樹脂シート4を介して本体部21の表面21aに接着されている。
図3は、吸着部3と外周壁部33との高さの関係を示す部分拡大断面図である。
図3に示すように、この実施例では、吸着部3のエンボス30の上面30a迄の高さを外周壁部33の高さHと等しくなるように設定している。
このような吸着部3と接着樹脂シート4との中心には、図1及び図2に示すように、吸着及び解放用の孔26と孔25とが穿設され、これら孔25,26が、ベース2の空気通路24に連通している。
以上の構成から明らかなように、この実施例の真空チャック1は、ウエハWを空気通路24及び孔25,26を通じて吸引保持し、且つモータ10で回転するスピンチャックである。
このような真空チャック1において、吸着部3を低発塵性の導電性樹脂シートで形成した。具体的には、導電性樹脂シートを、カーボンナノチューブ入りのシートで形成した。特に、この実施例では、カーボンナノチューブ入りのシートを導電性のポリイミドを素材とするシートで形成し、吸着部3の低発塵性を確保した。このような樹脂シートとして、絶縁性のポリイミドと導電性のポリイミドとの二層構造を成すデュポン社製の「カプトンRS」(登録商標)の内、導電性のポリイミドを採用することができる。このポリイミドは、厚さが25μmにすることができ、その表面抵抗は、100Ω/sqである。
この吸着部3は、導電性の接着樹脂シート4によってベース2に接着されている。このような導電性の接着樹脂シート4としては、タツタシステム・エレクトロニクス社製の「CBF−300」を採用することができる。この接着樹脂シート4は、Ni−SUS304に対する接続抵抗が1Ωであり、非常に抵抗値が低い。
また、この導電性ポリイミドの引張強度は、約130MPaであり、PEEKに比べて高く、耐久性に優れている。
この吸着部3は、導電性の接着樹脂シート4によってベース2に接着されている。このような導電性の接着樹脂シート4としては、タツタシステム・エレクトロニクス社製の「CBF−300」を採用することができる。この接着樹脂シート4は、Ni−SUS304に対する接続抵抗が1Ωであり、非常に抵抗値が低い。
また、この導電性ポリイミドの引張強度は、約130MPaであり、PEEKに比べて高く、耐久性に優れている。
吸着部3は、エッチングによって形成することができる。
図4は、導電性のポリイミドの吸着部3を製造する方法を示す工程図である。
すなわち、図4の(a)に示すように、レジスト11を加工前の導電性ポリイミド3′上に散点状に配すると共に、外周縁部にリング状のレジスト11′を配した。そして、これらレジスト11,11′の上からエッチングすることで、図4の(b)に示すように、複数のエンボス30とリング状の外周壁部33とを有した吸着部3を形成することができる。
吸着部3の導電性樹脂シートが、導電性のポリイミドを素材としているので、上記のようにエッチングすることができ、この結果、従来のPEEKに比べて、非常に微細なエンボス30を形成することができる。例えば、高さが25μmで直径が0.5mmの微細なエンボス30を形成することができる。
図4は、導電性のポリイミドの吸着部3を製造する方法を示す工程図である。
すなわち、図4の(a)に示すように、レジスト11を加工前の導電性ポリイミド3′上に散点状に配すると共に、外周縁部にリング状のレジスト11′を配した。そして、これらレジスト11,11′の上からエッチングすることで、図4の(b)に示すように、複数のエンボス30とリング状の外周壁部33とを有した吸着部3を形成することができる。
吸着部3の導電性樹脂シートが、導電性のポリイミドを素材としているので、上記のようにエッチングすることができ、この結果、従来のPEEKに比べて、非常に微細なエンボス30を形成することができる。例えば、高さが25μmで直径が0.5mmの微細なエンボス30を形成することができる。
次に、この実施例の真空チャックが示す作用及び効果について説明する。
図5は、真空チャック1の作用及び効果を説明するための概略断面図であり、図6は、吸着部3によるウエハWの吸着状態を示す部分拡大断面図である。
図5に示すように、ワークとしてのウエハWを吸着部3上に載置すると、ウエハWが吸着部3の複数のエンボス30上に載る。
かかる状態で、図示しない真空ポンプにより、矢印で示すように、ベース2の空気通路24内の空気Aを引くと、ウエハW下側及び孔25,26内が負圧になる。これにより、図6に示すように、ウエハWの裏面が、複数のエンボス30の上面30aと外周壁部33の上面33aとに気密に吸着された状態になる。
この状態で、図5に示すモータ10を駆動して真空チャック1全体を回転させ、回転するウエハWに対して所望の加工を行うことができる。
図5は、真空チャック1の作用及び効果を説明するための概略断面図であり、図6は、吸着部3によるウエハWの吸着状態を示す部分拡大断面図である。
図5に示すように、ワークとしてのウエハWを吸着部3上に載置すると、ウエハWが吸着部3の複数のエンボス30上に載る。
かかる状態で、図示しない真空ポンプにより、矢印で示すように、ベース2の空気通路24内の空気Aを引くと、ウエハW下側及び孔25,26内が負圧になる。これにより、図6に示すように、ウエハWの裏面が、複数のエンボス30の上面30aと外周壁部33の上面33aとに気密に吸着された状態になる。
この状態で、図5に示すモータ10を駆動して真空チャック1全体を回転させ、回転するウエハWに対して所望の加工を行うことができる。
この加工時に、静電気がウエハWに帯電することがある。しかし、この実施例の真空チャック1は、導電性樹脂シートで形成された吸着部3を導電性の接着樹脂シートを介して導電性のベース2の表面に固着した構成になっている。このため、ウエハWに発生した静電気は、吸着部3から接着樹脂シート4を介してベース2側に流れるので、ウエハWが帯電することはほとんどない。
さらに、吸着部3を導電性のポリイミドで形成しているので、その表面抵抗が、PEEKに比べて、バラツキがなく安定しており、しかも非常に低い。このため、ウエハWの帯電防止効果がさらに高まる。
ところで、ウエハWを複数のエンボス30上で加工を行うと、ウエハWとエンボス30との接触によって、発塵が生じるおそれがある。しかし、この実施例の真空チャック1では、吸着部3を、低発塵性の導電性ポリイミドで形成してあるので、ウエハWとエンボス30との接触による発塵はほとんど生じない。
また、エンボス30をエッチングによって微細加工するので、ウエハWとエンボス30との接触面積が非常に小さく、発塵防止効果がさらに高められている。
さらに、吸着部3を導電性のポリイミドで形成しているので、その表面抵抗が、PEEKに比べて、バラツキがなく安定しており、しかも非常に低い。このため、ウエハWの帯電防止効果がさらに高まる。
ところで、ウエハWを複数のエンボス30上で加工を行うと、ウエハWとエンボス30との接触によって、発塵が生じるおそれがある。しかし、この実施例の真空チャック1では、吸着部3を、低発塵性の導電性ポリイミドで形成してあるので、ウエハWとエンボス30との接触による発塵はほとんど生じない。
また、エンボス30をエッチングによって微細加工するので、ウエハWとエンボス30との接触面積が非常に小さく、発塵防止効果がさらに高められている。
加工が終了したときには、図示しない真空ポンプにより、ベース2の空気通路24内に空気を入れる。すると、ウエハW下側及び孔25,26内が正圧になり、ウエハWが複数のエンボス30と外周壁部33とから解放された状態になる。
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図7は、この発明の第2実施例に係る真空チャックの概略断面図であり、図8は、吸着部3の構造を示す部分拡大断面図である。
この実施例は、吸着部3を二層構造にした点が、上記第1実施例と異なる。
すなわち、図7に示すように、吸着部3は、絶縁性ポリイミド31と導電性ポリイミド32との二層構造になっており、接着樹脂シート4を介して、ベース2の本体部21に接着されている。この実施例では、絶縁性ポリイミド31と導電性ポリイミド32として、前記デュポン社製の「カプトンRS」(登録商標)を採用し、前記タツタシステム・エレクトロニクス社製の「CBF−300」である接着樹脂シート4を介して接着した。
詳しくは、図8に示すように、複数の溝31aを、絶縁性ポリイミド31に設けることで、溝31a以外の部分に、複数の台部31bを形成している。導電性ポリイミド32は、このような絶縁性ポリイミド31の溝31a内にその大部分を埋没させた状態で、この絶縁性ポリイミド31の上に積層されている。これにより、各エンボス30が各台部31bの上に乗り上がった状態で突出している。
図7は、この発明の第2実施例に係る真空チャックの概略断面図であり、図8は、吸着部3の構造を示す部分拡大断面図である。
この実施例は、吸着部3を二層構造にした点が、上記第1実施例と異なる。
すなわち、図7に示すように、吸着部3は、絶縁性ポリイミド31と導電性ポリイミド32との二層構造になっており、接着樹脂シート4を介して、ベース2の本体部21に接着されている。この実施例では、絶縁性ポリイミド31と導電性ポリイミド32として、前記デュポン社製の「カプトンRS」(登録商標)を採用し、前記タツタシステム・エレクトロニクス社製の「CBF−300」である接着樹脂シート4を介して接着した。
詳しくは、図8に示すように、複数の溝31aを、絶縁性ポリイミド31に設けることで、溝31a以外の部分に、複数の台部31bを形成している。導電性ポリイミド32は、このような絶縁性ポリイミド31の溝31a内にその大部分を埋没させた状態で、この絶縁性ポリイミド31の上に積層されている。これにより、各エンボス30が各台部31bの上に乗り上がった状態で突出している。
吸着部3は、エッチングとプレスによって形成する。
図9は、二層構造の吸着部3を製造する方法を示す工程図である。
まず、図9の(a)に示すように、加工前の絶縁性ポリイミド31の表面にエンボス用のレジスト12と外周壁部用のレジスト12′を配置した後、エッチングによって、図9の(b)に示すように、溝31aと台部31b,31b′とを形成する。
しかる後、図9の(c)に示すように、加工前の導電性ポリイミド32を絶縁性ポリイミド31の上に載置する。かかる状態で、図9の(d)に示すように、エンボス30に対応した複数の穴13aと外周壁部33に対応したリング穴13a′とを有する型枠13を、図示しないプレス機によって、導電性ポリイミド32の上から押圧する。
これにより、導電性ポリイミド32の大部分が、絶縁性ポリイミド31の溝31a内に埋没して、エンボス30が台部31b上で突出すると共に、外周壁部33が台部31b′上でリング状に突出する。この結果、図9の(e)に示すように、複数のエンボス30とリング状の外周壁部33とを有した二層構造の吸着部3が形成される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図9は、二層構造の吸着部3を製造する方法を示す工程図である。
まず、図9の(a)に示すように、加工前の絶縁性ポリイミド31の表面にエンボス用のレジスト12と外周壁部用のレジスト12′を配置した後、エッチングによって、図9の(b)に示すように、溝31aと台部31b,31b′とを形成する。
しかる後、図9の(c)に示すように、加工前の導電性ポリイミド32を絶縁性ポリイミド31の上に載置する。かかる状態で、図9の(d)に示すように、エンボス30に対応した複数の穴13aと外周壁部33に対応したリング穴13a′とを有する型枠13を、図示しないプレス機によって、導電性ポリイミド32の上から押圧する。
これにより、導電性ポリイミド32の大部分が、絶縁性ポリイミド31の溝31a内に埋没して、エンボス30が台部31b上で突出すると共に、外周壁部33が台部31b′上でリング状に突出する。この結果、図9の(e)に示すように、複数のエンボス30とリング状の外周壁部33とを有した二層構造の吸着部3が形成される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
1…真空チャック、 2…ベース、 3…吸着部、 3a,21a…表面、 4…接着樹脂シート、 10…モータ、 11,12…レジスト、 13…型枠、 13a…穴、
21…本体部、 22…軸部、 33…外周壁部、 30a,33a…上面、 24…空気通路、 25,26…孔、 30…エンボス、 31…絶縁性ポリイミド、 31a…溝、 31b…台部、 32…導電性ポリイミド、 W…ウエハ。
21…本体部、 22…軸部、 33…外周壁部、 30a,33a…上面、 24…空気通路、 25,26…孔、 30…エンボス、 31…絶縁性ポリイミド、 31a…溝、 31b…台部、 32…導電性ポリイミド、 W…ウエハ。
Claims (5)
- 導電性のベースとこのベースの表面に固着された吸着部とを備え、上記導電性のベースが、表面で開口した空気通路を有し、上記吸着部が、上記空気通路の開口と連通した吸着及び解放用の孔,複数のエンボス,及びこれらエンボスと等しい高さの外周壁部を有する真空チャックであって、
上記吸着部を、低発塵性の導電性樹脂シートで形成し、導電性の接着樹脂シートを介して上記ベースの表面に固着した、
ことを特徴とする真空チャック。 - 請求項1に記載の真空チャックにおいて、
上記導電性樹脂シートは、カーボンナノチューブ入りのシートである、
ことを特徴とする真空チャック。 - 請求項1又は請求項2に記載の真空チャックにおいて、
上記シートは、導電性のポリイミドを素材とするシートである、
ことを特徴とする真空チャック。 - 請求項3に記載の真空チャックにおいて、
絶縁性のポリイミドを上記導電性のポリイミドの下に配して、上記吸着部をこの絶縁性のポリイミドと上記導電性のポリイミドとの二層構造にし、上記導電性樹脂シートを介して、上記ベースに固着すると共に、
上記導電性のポリイミドにのみ、上記複数のエンボスと外周壁部とを形成した、
ことを特徴とする真空チャック。 - 請求項1ないし請求項4のいずれに記載の真空チャックにおいて、
上記吸着部とベースとが上記上下方向を向く中心軸の回りで一体回転するスピンチャックである、
ことを特徴とする真空チャック。
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