JP2004009165A - 吸着用チャック - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークにキズが発生することを防止するとともに、その加工性等を高めることができる吸着用チャックを提供すること。
【解決手段】真空チャック17のアルミナ製のセラミックス本体の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)27にDLCコーティングが施され、それにより、表面全体にコーティング層37が形成されている。このコーティング層37においては、そのビッカース硬度Hvは、3000以上であり、動摩擦係数μは、0.15未満であり、表面粗さRaは、0.4未満であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下(例えばグレー)である。
【選択図】 図2
【解決手段】真空チャック17のアルミナ製のセラミックス本体の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)27にDLCコーティングが施され、それにより、表面全体にコーティング層37が形成されている。このコーティング層37においては、そのビッカース硬度Hvは、3000以上であり、動摩擦係数μは、0.15未満であり、表面粗さRaは、0.4未満であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下(例えばグレー)である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウェハの加工、搬送、検査の際に、半導体ウェハを吸引して保持することができる真空チャック等の吸着用チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば平板状の半導体ウェハ(シリコンウェハ)を研磨加工したり、搬送や検査をするために、真空引きの技術を利用して、シリコンウェハ等を着脱自在に吸引する真空吸引装置が使用されている。
【0003】
この真空吸引装置は、その本体の先端の吸引口側に、例えばセラミックス製の円盤状の吸着プレート(いわゆる真空チャック)が取り付けられたものであり、この真空チャックには、その板厚方向に貫通する多数の小径の吸着孔が設けられている。
【0004】
前記真空吸引装置では、真空ポンプ等によって真空吸引装置内の空気を吸引して気圧を低下させることにより、真空チャックの外側面である吸着面に、シリコンウェハ等を吸引して吸着(真空吸着)することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した真空チャックは、例えば絶縁性を有するコージェライト等のセラミックスからなるが、必ずしもシリコンウェハに対して十分に摺動性が高くないので、シリコンウェハを脱着する際に、シリコンウェハにキズがつくことがあった。
【0006】
また、真空チャックとシリコンウェハが接触する際などに、真空チャックのセラミックス粒子などが脱落し、そのセラミックス粒子がシリコンウェハと真空チャックとの間に挟まることがある。それにより、真空チャックに吸着されたシリコンウェハの一部が盛り上がるので、その状態でシリコンウェハの研磨加工を行うと、シリコンウェハの加工後の面精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ワークにキズが発生することを防止するとともに、その加工性等を高めることができる吸着用チャックを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明は、作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックに関するものであり、本発明では、吸着用チャックは、吸着用チャックのセラミックス部分(セラミックス本体)をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくともワークを吸引して保持する吸着面側に、DLCコーティングにより形成されたコーティング層を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、吸着用チャックのセラミックス部分は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
また、本発明では、DLCコーティングにより形成されたコーティング層は、その硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかもワークに対する攻撃性が低いので、摩耗などによりセラミックス本体からアルミナ粒子(異物)が脱落し難い。そのため、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難くなるので、ワークは異物により歪んだりすることなく吸着面に密着する。その結果、ワークの表面に研磨等の加工を行っても、ワークの加工精度(特にワークの表面の平面度)が低下することがない。
【0010】
更に、DLCコーティングにより形成されたコーティング層の動摩擦係数は小さいので、ワークの摺動性が高まる。これにより、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、ワークの(吸着面と接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0011】
その上、DLCコーティングにより形成されたコーティング層は、ワークに対する攻撃性(ワークに対して影響を与える程度)が低いので、その点からも、ワークにキズ等が発生することを防止できるという利点がある。
尚、ここで、DLCコーティングとは、ダイアモンド状カーボンのコーティングのことであり、本発明では、DLCコーティングを行うことによりコーティング層を形成したものである。
【0012】
(2)請求項2の発明では、コーティング層のビッカース硬度Hvは、3000以上であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の硬度Xを例示したものであり、ビッカース硬度Hvが3000以上であれば、十分な硬度を有し摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0013】
ここで、ビッカース硬度Hvとは、試験荷重98.07Nにおける値を示している(以下同様)。
尚、前記硬度の上限値としては、例えばHv5000を採用できる。
(3)請求項3の発明は、作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックに関するものであり、本発明では、吸着用チャックは、吸着用チャックのセラミックス部分(セラミックス本体)をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくともワークを吸引して保持する吸着面側に、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、吸着用チャックのセラミックス部分は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
また、本発明では、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層の動摩擦係数は小さいので、ワークの摺動性が高まる。これにより、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、ワークの(吸着面と接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0015】
更に、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層は、ワークに対する攻撃性(ワークに対して影響を与える程度)が低いので、その点からも、ワークにキズ等が発生することを防止できるという利点がある。
尚、ここで、PTFEコーティングとは、ポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン:登録商標)のコーティングのことであり、本発明では、PTFEコーティングを行うことによりコーティング層を形成したものである。
【0016】
(4)請求項4の発明では、コーティング層の硬度は、2H以上であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の硬度を例示したものであり、硬度が2H以上であれば、十分な硬度を有し摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0017】
ここで、コーティング層の硬度とは、JIS D0202(鉛筆硬度試験)による硬度を示している(以下同様)。
尚、前記硬度の上限値としては、例えば6Hを採用できる。
(5)請求項5の発明では、コーティング層の体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明は、コーティング層の体積抵抗率ρを例示したものであり、体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下であれば、十分な導電性を有する。そのため、吸着用チャックに静電気が蓄積されることを防止できるので、吸着用チャックが静電気力によってホコリ等の異物を吸引し難くなる。その結果、吸着面とワークとの間に異物が入り込むことを防止できるので、ワークの表面を加工する際に、ワークの加工精度を高く保つことができる。
【0019】
ここで、体積抵抗率ρの値とは、JIS−K6911により求めたものである(以下同様)。
(6)請求項6の発明では、吸着用チャックは、真空源による減圧を利用してワークを吸引して保持する真空チャックであることを特徴とする。
【0020】
本発明は、吸着用チャックの種類を例示したものであり、ここでは、ワークの表面側と裏面側とに間に圧力差を発生させ(即ち裏面側を真空引きして減圧して)、ワークを吸着する真空チャックが挙げられる。
ここで、真空源とは、所定領域を周囲よりも減圧することが可能な減圧源を示すものであり、例えば真空ポンプなどが挙げられる。
【0021】
尚、吸着用チャックとしては、真空チャック以外に、静電力等を利用してワークを吸着する静電チャックが挙げられる。
(7)請求項7の発明では、コーティング層の動摩擦係数μは、0.15未満であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、コーティング層の動摩擦係数μを例示したものであり、動摩擦係数μが0.15未満であれば、高い摺動性を有する。このため、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、また、ワークの裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0023】
(8)請求項8の発明は、コーティング層の表面粗さRaは、0.4未満であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の表面粗さRaを例示したものであり、表面粗さRaが0.4未満であれば、高い摺動性を有する。このため、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、また、ワークの裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0024】
尚、動摩擦係数μが0.15未満で且つ表面粗さRaが0.4未満であれば、キズの発生を一層効果的に防止できる。
尚、ここで、表面粗さRaとは、JIS B0601で規定するものである。
(9)請求項9の発明では、吸着用チャックの吸着面側に、ワークと吸着面との間隔を保持する多数のピンを設けたことを特徴とする。
【0025】
本発明は、吸着用チャックの形状の特徴を例示したものである。この様に吸着面側に多数のピンを設けることにより、仮に吸着面側に異物が入り込んだ場合でも、異物はワークと吸着面との隙間に存在するので、ワークが歪んだりすることがない。その結果、ワークを加工する際の加工精度を高く保持することができる。
【0026】
(10)請求項10の発明では、コーティング層の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の色調を例示したものであり、この様な色調(例えばグレーや黒)にすることにより、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
【0027】
尚、前記色に関する定義は、JIS Z 8721(1993年)によるものである(以下同様)
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空チャックの実施の形態の例(実施例)を、図面を参照して説明する。
(実施例1)
ここでは、シリコンウェハを吸引して保持し(即ち吸着し)研磨するために用いられる真空チャックを例に挙げるが、この真空チャックにはDLCコーティングが施されている。
【0029】
a)まず、本実施例の真空チャックが装着されるポリッシングマシンの全体構成について、図1に基づいて説明する。尚、図1はポリッシングマシンによる研磨状態を示す説明図である。
▲1▼図1に示す様に、ポリッシングマシン1は、半導体ウェハであるシリコンウェハ3に対して、化学的機械的研磨(CMP)を行うCMP装置であり、主として、回転可能に配置されたプラテン5と、その上面側に配置された真空吸引装置である研磨ヘッド7とから構成されている。
【0030】
前記プラテン5は円盤状であり、その上部には上面の全体を覆うように研磨パッド9が設けられている。この研磨パッド9の上面には、研磨時にCMP用のスラリー11が供給される。
また、研磨ヘッド7は、主として、筒状の金属製(例えばJIS SUS304)の研磨ヘッド本体(真空吸引装置本体)13と、円盤状のセラミックス製(例えば主成分がアルミナ)の吸着プレート(いわゆる真空チャック)17とから構成されている。
【0031】
前記研磨ヘッド本体13は、その内部の減圧空間19が、真空ポンプ(図示せず)に接続されて、真空引きされる構成となっている。この研磨ヘッド本体13の下端には、その外周から外側に向かって鍔状に突出する取付部21が設けられ、この取付部21にて真空チャック17がネジ(図示せず)により固定されている。従って、真空チャック17は、研磨ヘッド本体13の下方の吸引口15を覆うように装着される。
【0032】
▲2▼ここで、上述したポリッシングマシン1の使用方法について、簡単に説明する。
図1に示す様に、真空ポンプを作動させて、研磨ヘッド7内の減圧空間19の気圧を下げる。これにより、真空チャック17の吸着孔33の内外に気圧差を発生させて、真空チャック17の吸着面Kにシリコンウェハ3を吸着させる。
【0033】
そして、プラテン5の研磨パッド9と真空チャック17との間にシリコンウェハ3を配置した状態で、研磨パッド9の表面にCMP用のスラリー11を供給し、プラテン5及び研磨ヘッド7を図示の方向に回転させて、シリコンウェハ3の下面側の研磨を行う。
【0034】
b)次に、本実施例の要部である真空チャック17について、図2〜図4に基づいて説明する。尚、図2は真空チャック17の斜視図、図3は真空チャック17の平面図、図4はそのA−A断面図である。
図2に示す様に、本実施例では、真空チャック17の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハを吸着保持する吸着面Kであり、(吸着面Kと反対側の)図の下方の表面が非吸着面Hである。
【0035】
また、図3に示す様に、非吸着面Hのうち、取付部21と接する環状の表面が装着面S(図で斜線で示す領域)である。尚、図3では、真空チャック17の両側面のうち、紙面の手前側が非吸着面Hであり、紙面の裏側が吸着面kである。
ここでは、真空チャック17の吸着面Kの直径は、φ200mmであり、吸着面Kの(装着前の)平面度は、例えば約1μmに加工されている。一方、真空チャック17の装着面Sの(装着前の)平面度は、吸着面Kの平面度の2倍以下の範囲(例えば1.5μm)に加工されている。
【0036】
前記真空チャック17は、直径φ200mm×厚み20mmの部材であり、真空チャック17の非吸着面H側には、その外周の近傍に、複数(例えば6箇所)の固定部25が設けられている。つまり、環状の装着面Sに含まれる様に、等間隔に固定部25が配置されている。尚、この固定部25とは、真空チャック17と取付部21にネジ止めするためのものある。
【0037】
また、真空チャック17には、その厚み方向に貫通する多数の小径の吸着孔33が形成されている。この吸着孔33は、図4に示す様に、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方が大きくされている。
【0038】
特に、本実施例では、真空チャック17の基体を構成するセラミックス部分(セラミックス本体)18の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)35に(非導電性の)DLCコーティングが施され、それにより、セラミックス本体18の表面全体に(例えば膜厚1.0μm程度の)コーティング層37が形成されている。つまり、真空チャック17の表面全体には、ダイアモンド状カーボンによるDLCコーティングが施されている。
【0039】
このコーティング層37においては、そのビッカース硬度Hvは、3000以上(例えばHv4000)であり、動摩擦係数μは、0.15未満(例えば0.12)である。また、表面粗さRaは、0.4未満(例えば0.2)であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下の色調(例えばグレー)である。
【0040】
c)次に、本実施例の真空チャック17の製造方法を説明する。
▲1▼まず、真空チャック17のセラミックス本体18の製造方法について説明する。
アルミナ(Al2O3)のセラミックス粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
【0041】
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャック17の形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。特に、吸着面K及び(装着面Sを含む)非吸着面Hは、その平面度を確認しながら、吸着面Kの平面度を1μm、非吸着面Hの平面度を1.5μmに研磨する。これにより、セラミックス本体18が形成される。
【0042】
尚、平面度の測定は、例えば平面度測定機、光干渉計などのような機器を用いて行うことができる。
▲2▼次に、真空チャック17のセラミックス本体18の表面に、DLCコーティングを施す方法(プラズマCVD法)について説明する。
【0043】
このプラズマCVD法とは、対向する電極間に高周波電圧を印加することによって生ずるグロー放電を利用して、原料ガス(メタン:CH4)を分解し、セラミックス本体18表面にコーティング層37を堆積させる方法である。
詳しくは、図5に示す様に、アノード電極101とカソード電極103に対して、高周波電源105を用いて高周波電圧を印加する。それとともに、入口107側より原料ガスのメタンを供給し、出口109側より(図示しない)真空ポンプにより内部のガスを排出する。これにより、メタンを分解し、その分解した炭素をカソード電極103に配置されたセラミックス本体18表面に付着させて、セラミックス本体18表面にDLC膜(コーティング層37)を形成する。尚、成膜温度は200℃未満である。
【0044】
このプラズマCVD法により、セラミックス本体18表面に、(非導電性の)緻密なコーティング層37が形成される。
d)次に、本実施例の真空チャック17の効果について説明する。
本実施例では、真空チャック17のセラミックス本体18は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
【0045】
また、本実施例では、DLCコーティングにより形成されたコーティング層37は、そのビッカース硬度Hvが3000以上と十分な硬度を有しており、摩耗し難く、しかもシリコンウェハ3に対する攻撃性が低い。そのため、摩耗などによりセラミックス本体18からアルミナ粒子(異物)が脱落することを抑制できるので、吸着面Kとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難くなる。その結果、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることなく吸着面Kに密着するので、シリコンウェハ3の表面に研磨等の加工を行っても、シリコンウェハ3の加工精度(特にシリコンウェハの表面の平面度)が低下することがない。
【0046】
更に、コーティング層37は、その動摩擦係数μが0.15未満であり、しかも、表面粗さRaが0.4未満であるので、高い摺動性を有する。これにより、シリコンウェハ3を吸着面Kからスムーズに脱着することが可能になり、シリコンウェハ3の(吸着面Kと接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0047】
その上、本実施例では、コーティング層37の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下のグレーであるので、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0048】
本実施例2の真空チャックは、前記実施例1とは、吸着面側の構成が大きく異なるので、その点を詳細に説明する。
a)まず、本実施例の真空チャックの構成について説明する。
図6に示す様に、本実施例では、真空チャック41の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハ43を吸着保持する吸着面K(基板表面)であり、吸着面Kと反対側の図の下方の表面が非吸着面H(基板裏面)である。尚、図6では、シリコンウェハ43を吸着した状態を示している(但し半分のみを図示)。
【0049】
以下詳細に説明する。
図7に平面を示す様に、真空チャック41は、直径φ200mm×厚み20mmの円盤状の基板42を有し、その基板42の吸着面K側に多数の突起部(ピン)45が格子状に配置され、その突起部45の周囲を囲む様に環状に突出した土手であるシール部47が形成されている。尚、ここでは、基板表面のうち、シール部47で囲まれた表面を吸着面Kとするが、この吸着面Kの直径は、φ198mmである。
【0050】
前記突起部45は、高さ0.1〜0.5mm、頂上部の直径0.15〜0.5mmの円錐台の形状をしており、1mmの間隔(ピッチ)で多数が配置されている。特に、突起部45の頂上部の角部は、R半径が0.01〜0.05mmのR面取りが施されて、滑らかな面取り部となっている。
【0051】
前記シール部47は、全ての突起部45を囲むようにリング状に配置されており、シリコンウェハ43を吸着する場合には、突起部45が形成された吸着面Kの内側と外側とをほぼ気密状態で分離する(シールする)ことができる。
また、前記真空チャック41には、中央とその周囲の8カ所の合計9カ所に、その厚み方向に貫通する小径の吸着孔49が形成されている。この吸着孔49は、同一の内径の円柱形状でもよいが、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方を大きくしてもよい。
【0052】
更に、本実施例では、前記実施例1と同様に、真空チャック41のセラミックス部分(セラミックス本体:図示せず)の表面全体に、(非導電性の)DLCコーティングによって、コーティング層53が形成されている。
b)次に、本実施例の真空チャック41の製造方法について説明する。
【0053】
▲1▼アルミナ(Al2O3)のセラミック粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャックの形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
【0054】
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。
▲2▼本実施例では、吸着面K側に、突起部21及びシール部23の形成位置を覆うマスキングを行ってから、サンドブラストにより、突起部45及びシール部47の形成部分以外を所定の深さ(つまり前記高さ)となるまで除去し、突起部45及びシール部47を形成する。これにより、セラミックス本体が形成される。
【0055】
▲3▼次に、前記実施例1と同様な方法により、真空チャック41のセラミックス本体の表面全体にDLCコーティングを施す。
c)本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、特に、吸着面Hとシリコンウェハ3との間は、多数の突起部45により所定の隙間があるので、万一、異物がその隙間に入り込んでも、シリコンウェハ43の研磨加工の際の面精度が低下しないという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0056】
本実施例3の真空チャックは、その基本構成は前記実施例1と同様であるが、真空チャックにPTFEコーティングを施した点が大きく異なっている。
従って、前記実施例1の図1〜図4に基づいて、同じ図番及び部品番号を用いて説明するが、ポリシングマシン及び真空チャックの基本的な構成についての説明は省略する。
【0057】
a)本実施例では、真空チャック17の基体を構成するセラミックス部分(セラミックス本体)18の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)35に、例えばテフロン(登録商標)などのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングが施され、それにより、セラミックス本体18の表面全体に(例えば膜厚2μm程度の)コーティング層37が形成されている。つまり、真空チャック17の表面全体には、PTFEコーティングが施されている。
【0058】
このコーティング層37においては、その硬度は、鉛筆硬度試験における2H以上(例えば2H)であり、動摩擦係数μは、0.15未満(例えば0.13)である。また、表面粗さRaは、0.4未満(例えば0.2)であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下の色調(例えばグレー)であり、体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下(例えば9×10−7Ω・cm)である。
【0059】
b)次に、本実施例の真空チャック17の製造方法を説明するが、真空チャック17のセラミックス本体18の製造方法は、前記実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
ここでは、セラミックス本体18の表面に、PTFEコーティングを施す方法について説明するが、一般的なコーティング法としては、ディッピング法やスプレー法などを採用できる。例えばディッピング法は、PTFE液に、セラミックス本体18を直接浸漬してコーティングを行う方法である。このディッピング法では、コーティング厚み(即ちコーティング層37の厚み)は、PTFE液の粘度、ディッピング時間、セラミックス本体18の引き上げ速度などにより調節することができる。
【0060】
c)次に、本実施例の真空チャック17の効果について説明する。
本実施例では、前記実施例1と同様な構成の部分では、前記実施例1と同様な効果を奏する。
特に、本実施例では、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層37は、その硬度が2H以上と十分な硬度を有しており、摩耗し難く、しかもシリコンウェハ3に対する攻撃性が低い。
【0061】
そのため、摩耗などによりセラミックス本体18からアルミナ粒子(異物)が脱落することを抑制できるので、吸着面Kとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難くなる。その結果、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることなく吸着面Kに密着するので、シリコンウェハ3の表面に研磨等の加工を行っても、シリコンウェハ3の加工精度(特にシリコンウェハの表面の平面度)が低下することがない。
【0062】
しかも、本実施例では、体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下と小さく、十分な導電性を有するので、静電気力によるホコリ等の異物の付着を防止できる。従って、この点からも、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることがないので、シリコンウェハ3の加工精度が向上する。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例2と同様な箇所の説明は省略する。
【0063】
本実施例4の真空チャックは、その基本構成は前記実施例2と同様であるが、真空チャックにPTFEコーティングを施した点が大きく異なっている。
従って、前記実施例2の図6及び図7に基づいて、同じ図番及び部品番号を用いて説明するが、真空チャックの基本的な構成についての説明は省略する。
【0064】
特に、本実施例の真空チャック41では、真空チャック41のセラミックス部分(セラミックス本体:図示せず)の表面全体に、PTFEコーティングによって、コーティング層53が形成されている。
また、製造方法に関しては、前記実施例2と同様な方法により、真空チャック41のセラミックス本体を形成し、その後、前記実施例3と同様な方法により、セラミックス本体の表面全体にPTFEコーティングを施す。
【0065】
本実施例によっても、前記実施例2と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば前記実施例1〜4では、真空チャックを例に挙げたが、静電チャックに、上述したDLCコーティングやPTFEコーティングを施してもよい。
【0066】
(2)また、前記実施例1〜4では、真空チャックの表面全体にDLCコーティングやPTFEコーティングを施した例を挙げたが、少なくとも吸着面にDLCコーティングやPTFEコーティングが施されていれば効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、3の真空チャックが用いられるポリッシングマシンの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1、3の真空チャックを示す斜視図である。
【図3】実施例1の真空チャックの装着面側を示す平面図である。
【図4】図3における真空チャックのA−A断面図である。
【図5】プラズマCVD法を示す説明図である。
【図6】実施例2、4の真空チャック及びシリコンウェハを示す斜視図である。
【図7】実施例2、4の真空チャックを示す平面図である。
【符号の説明】
1…ポリッシングマシン(CPM装置)
3、43…シリコンウェハ(半導体ウェハ)
7…研磨ヘッド
13…研磨ヘッド本体
17、41…真空チャック(吸着プレート)
18、51…セラミックス本体
37、53…コーティング層
45…突起部(ピン)
47…シール部
K…吸着面
H…非吸着面
S…装着面
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウェハの加工、搬送、検査の際に、半導体ウェハを吸引して保持することができる真空チャック等の吸着用チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば平板状の半導体ウェハ(シリコンウェハ)を研磨加工したり、搬送や検査をするために、真空引きの技術を利用して、シリコンウェハ等を着脱自在に吸引する真空吸引装置が使用されている。
【0003】
この真空吸引装置は、その本体の先端の吸引口側に、例えばセラミックス製の円盤状の吸着プレート(いわゆる真空チャック)が取り付けられたものであり、この真空チャックには、その板厚方向に貫通する多数の小径の吸着孔が設けられている。
【0004】
前記真空吸引装置では、真空ポンプ等によって真空吸引装置内の空気を吸引して気圧を低下させることにより、真空チャックの外側面である吸着面に、シリコンウェハ等を吸引して吸着(真空吸着)することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した真空チャックは、例えば絶縁性を有するコージェライト等のセラミックスからなるが、必ずしもシリコンウェハに対して十分に摺動性が高くないので、シリコンウェハを脱着する際に、シリコンウェハにキズがつくことがあった。
【0006】
また、真空チャックとシリコンウェハが接触する際などに、真空チャックのセラミックス粒子などが脱落し、そのセラミックス粒子がシリコンウェハと真空チャックとの間に挟まることがある。それにより、真空チャックに吸着されたシリコンウェハの一部が盛り上がるので、その状態でシリコンウェハの研磨加工を行うと、シリコンウェハの加工後の面精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ワークにキズが発生することを防止するとともに、その加工性等を高めることができる吸着用チャックを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明は、作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックに関するものであり、本発明では、吸着用チャックは、吸着用チャックのセラミックス部分(セラミックス本体)をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくともワークを吸引して保持する吸着面側に、DLCコーティングにより形成されたコーティング層を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、吸着用チャックのセラミックス部分は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
また、本発明では、DLCコーティングにより形成されたコーティング層は、その硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかもワークに対する攻撃性が低いので、摩耗などによりセラミックス本体からアルミナ粒子(異物)が脱落し難い。そのため、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難くなるので、ワークは異物により歪んだりすることなく吸着面に密着する。その結果、ワークの表面に研磨等の加工を行っても、ワークの加工精度(特にワークの表面の平面度)が低下することがない。
【0010】
更に、DLCコーティングにより形成されたコーティング層の動摩擦係数は小さいので、ワークの摺動性が高まる。これにより、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、ワークの(吸着面と接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0011】
その上、DLCコーティングにより形成されたコーティング層は、ワークに対する攻撃性(ワークに対して影響を与える程度)が低いので、その点からも、ワークにキズ等が発生することを防止できるという利点がある。
尚、ここで、DLCコーティングとは、ダイアモンド状カーボンのコーティングのことであり、本発明では、DLCコーティングを行うことによりコーティング層を形成したものである。
【0012】
(2)請求項2の発明では、コーティング層のビッカース硬度Hvは、3000以上であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の硬度Xを例示したものであり、ビッカース硬度Hvが3000以上であれば、十分な硬度を有し摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0013】
ここで、ビッカース硬度Hvとは、試験荷重98.07Nにおける値を示している(以下同様)。
尚、前記硬度の上限値としては、例えばHv5000を採用できる。
(3)請求項3の発明は、作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックに関するものであり、本発明では、吸着用チャックは、吸着用チャックのセラミックス部分(セラミックス本体)をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくともワークを吸引して保持する吸着面側に、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、吸着用チャックのセラミックス部分は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
また、本発明では、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層の動摩擦係数は小さいので、ワークの摺動性が高まる。これにより、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、ワークの(吸着面と接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0015】
更に、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層は、ワークに対する攻撃性(ワークに対して影響を与える程度)が低いので、その点からも、ワークにキズ等が発生することを防止できるという利点がある。
尚、ここで、PTFEコーティングとは、ポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン:登録商標)のコーティングのことであり、本発明では、PTFEコーティングを行うことによりコーティング層を形成したものである。
【0016】
(4)請求項4の発明では、コーティング層の硬度は、2H以上であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の硬度を例示したものであり、硬度が2H以上であれば、十分な硬度を有し摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0017】
ここで、コーティング層の硬度とは、JIS D0202(鉛筆硬度試験)による硬度を示している(以下同様)。
尚、前記硬度の上限値としては、例えば6Hを採用できる。
(5)請求項5の発明では、コーティング層の体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明は、コーティング層の体積抵抗率ρを例示したものであり、体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下であれば、十分な導電性を有する。そのため、吸着用チャックに静電気が蓄積されることを防止できるので、吸着用チャックが静電気力によってホコリ等の異物を吸引し難くなる。その結果、吸着面とワークとの間に異物が入り込むことを防止できるので、ワークの表面を加工する際に、ワークの加工精度を高く保つことができる。
【0019】
ここで、体積抵抗率ρの値とは、JIS−K6911により求めたものである(以下同様)。
(6)請求項6の発明では、吸着用チャックは、真空源による減圧を利用してワークを吸引して保持する真空チャックであることを特徴とする。
【0020】
本発明は、吸着用チャックの種類を例示したものであり、ここでは、ワークの表面側と裏面側とに間に圧力差を発生させ(即ち裏面側を真空引きして減圧して)、ワークを吸着する真空チャックが挙げられる。
ここで、真空源とは、所定領域を周囲よりも減圧することが可能な減圧源を示すものであり、例えば真空ポンプなどが挙げられる。
【0021】
尚、吸着用チャックとしては、真空チャック以外に、静電力等を利用してワークを吸着する静電チャックが挙げられる。
(7)請求項7の発明では、コーティング層の動摩擦係数μは、0.15未満であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、コーティング層の動摩擦係数μを例示したものであり、動摩擦係数μが0.15未満であれば、高い摺動性を有する。このため、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、また、ワークの裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0023】
(8)請求項8の発明は、コーティング層の表面粗さRaは、0.4未満であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の表面粗さRaを例示したものであり、表面粗さRaが0.4未満であれば、高い摺動性を有する。このため、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、また、ワークの裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0024】
尚、動摩擦係数μが0.15未満で且つ表面粗さRaが0.4未満であれば、キズの発生を一層効果的に防止できる。
尚、ここで、表面粗さRaとは、JIS B0601で規定するものである。
(9)請求項9の発明では、吸着用チャックの吸着面側に、ワークと吸着面との間隔を保持する多数のピンを設けたことを特徴とする。
【0025】
本発明は、吸着用チャックの形状の特徴を例示したものである。この様に吸着面側に多数のピンを設けることにより、仮に吸着面側に異物が入り込んだ場合でも、異物はワークと吸着面との隙間に存在するので、ワークが歪んだりすることがない。その結果、ワークを加工する際の加工精度を高く保持することができる。
【0026】
(10)請求項10の発明では、コーティング層の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の色調を例示したものであり、この様な色調(例えばグレーや黒)にすることにより、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
【0027】
尚、前記色に関する定義は、JIS Z 8721(1993年)によるものである(以下同様)
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空チャックの実施の形態の例(実施例)を、図面を参照して説明する。
(実施例1)
ここでは、シリコンウェハを吸引して保持し(即ち吸着し)研磨するために用いられる真空チャックを例に挙げるが、この真空チャックにはDLCコーティングが施されている。
【0029】
a)まず、本実施例の真空チャックが装着されるポリッシングマシンの全体構成について、図1に基づいて説明する。尚、図1はポリッシングマシンによる研磨状態を示す説明図である。
▲1▼図1に示す様に、ポリッシングマシン1は、半導体ウェハであるシリコンウェハ3に対して、化学的機械的研磨(CMP)を行うCMP装置であり、主として、回転可能に配置されたプラテン5と、その上面側に配置された真空吸引装置である研磨ヘッド7とから構成されている。
【0030】
前記プラテン5は円盤状であり、その上部には上面の全体を覆うように研磨パッド9が設けられている。この研磨パッド9の上面には、研磨時にCMP用のスラリー11が供給される。
また、研磨ヘッド7は、主として、筒状の金属製(例えばJIS SUS304)の研磨ヘッド本体(真空吸引装置本体)13と、円盤状のセラミックス製(例えば主成分がアルミナ)の吸着プレート(いわゆる真空チャック)17とから構成されている。
【0031】
前記研磨ヘッド本体13は、その内部の減圧空間19が、真空ポンプ(図示せず)に接続されて、真空引きされる構成となっている。この研磨ヘッド本体13の下端には、その外周から外側に向かって鍔状に突出する取付部21が設けられ、この取付部21にて真空チャック17がネジ(図示せず)により固定されている。従って、真空チャック17は、研磨ヘッド本体13の下方の吸引口15を覆うように装着される。
【0032】
▲2▼ここで、上述したポリッシングマシン1の使用方法について、簡単に説明する。
図1に示す様に、真空ポンプを作動させて、研磨ヘッド7内の減圧空間19の気圧を下げる。これにより、真空チャック17の吸着孔33の内外に気圧差を発生させて、真空チャック17の吸着面Kにシリコンウェハ3を吸着させる。
【0033】
そして、プラテン5の研磨パッド9と真空チャック17との間にシリコンウェハ3を配置した状態で、研磨パッド9の表面にCMP用のスラリー11を供給し、プラテン5及び研磨ヘッド7を図示の方向に回転させて、シリコンウェハ3の下面側の研磨を行う。
【0034】
b)次に、本実施例の要部である真空チャック17について、図2〜図4に基づいて説明する。尚、図2は真空チャック17の斜視図、図3は真空チャック17の平面図、図4はそのA−A断面図である。
図2に示す様に、本実施例では、真空チャック17の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハを吸着保持する吸着面Kであり、(吸着面Kと反対側の)図の下方の表面が非吸着面Hである。
【0035】
また、図3に示す様に、非吸着面Hのうち、取付部21と接する環状の表面が装着面S(図で斜線で示す領域)である。尚、図3では、真空チャック17の両側面のうち、紙面の手前側が非吸着面Hであり、紙面の裏側が吸着面kである。
ここでは、真空チャック17の吸着面Kの直径は、φ200mmであり、吸着面Kの(装着前の)平面度は、例えば約1μmに加工されている。一方、真空チャック17の装着面Sの(装着前の)平面度は、吸着面Kの平面度の2倍以下の範囲(例えば1.5μm)に加工されている。
【0036】
前記真空チャック17は、直径φ200mm×厚み20mmの部材であり、真空チャック17の非吸着面H側には、その外周の近傍に、複数(例えば6箇所)の固定部25が設けられている。つまり、環状の装着面Sに含まれる様に、等間隔に固定部25が配置されている。尚、この固定部25とは、真空チャック17と取付部21にネジ止めするためのものある。
【0037】
また、真空チャック17には、その厚み方向に貫通する多数の小径の吸着孔33が形成されている。この吸着孔33は、図4に示す様に、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方が大きくされている。
【0038】
特に、本実施例では、真空チャック17の基体を構成するセラミックス部分(セラミックス本体)18の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)35に(非導電性の)DLCコーティングが施され、それにより、セラミックス本体18の表面全体に(例えば膜厚1.0μm程度の)コーティング層37が形成されている。つまり、真空チャック17の表面全体には、ダイアモンド状カーボンによるDLCコーティングが施されている。
【0039】
このコーティング層37においては、そのビッカース硬度Hvは、3000以上(例えばHv4000)であり、動摩擦係数μは、0.15未満(例えば0.12)である。また、表面粗さRaは、0.4未満(例えば0.2)であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下の色調(例えばグレー)である。
【0040】
c)次に、本実施例の真空チャック17の製造方法を説明する。
▲1▼まず、真空チャック17のセラミックス本体18の製造方法について説明する。
アルミナ(Al2O3)のセラミックス粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
【0041】
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャック17の形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。特に、吸着面K及び(装着面Sを含む)非吸着面Hは、その平面度を確認しながら、吸着面Kの平面度を1μm、非吸着面Hの平面度を1.5μmに研磨する。これにより、セラミックス本体18が形成される。
【0042】
尚、平面度の測定は、例えば平面度測定機、光干渉計などのような機器を用いて行うことができる。
▲2▼次に、真空チャック17のセラミックス本体18の表面に、DLCコーティングを施す方法(プラズマCVD法)について説明する。
【0043】
このプラズマCVD法とは、対向する電極間に高周波電圧を印加することによって生ずるグロー放電を利用して、原料ガス(メタン:CH4)を分解し、セラミックス本体18表面にコーティング層37を堆積させる方法である。
詳しくは、図5に示す様に、アノード電極101とカソード電極103に対して、高周波電源105を用いて高周波電圧を印加する。それとともに、入口107側より原料ガスのメタンを供給し、出口109側より(図示しない)真空ポンプにより内部のガスを排出する。これにより、メタンを分解し、その分解した炭素をカソード電極103に配置されたセラミックス本体18表面に付着させて、セラミックス本体18表面にDLC膜(コーティング層37)を形成する。尚、成膜温度は200℃未満である。
【0044】
このプラズマCVD法により、セラミックス本体18表面に、(非導電性の)緻密なコーティング層37が形成される。
d)次に、本実施例の真空チャック17の効果について説明する。
本実施例では、真空チャック17のセラミックス本体18は、アルミナを主成分とする材料からなるので、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
【0045】
また、本実施例では、DLCコーティングにより形成されたコーティング層37は、そのビッカース硬度Hvが3000以上と十分な硬度を有しており、摩耗し難く、しかもシリコンウェハ3に対する攻撃性が低い。そのため、摩耗などによりセラミックス本体18からアルミナ粒子(異物)が脱落することを抑制できるので、吸着面Kとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難くなる。その結果、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることなく吸着面Kに密着するので、シリコンウェハ3の表面に研磨等の加工を行っても、シリコンウェハ3の加工精度(特にシリコンウェハの表面の平面度)が低下することがない。
【0046】
更に、コーティング層37は、その動摩擦係数μが0.15未満であり、しかも、表面粗さRaが0.4未満であるので、高い摺動性を有する。これにより、シリコンウェハ3を吸着面Kからスムーズに脱着することが可能になり、シリコンウェハ3の(吸着面Kと接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0047】
その上、本実施例では、コーティング層37の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下のグレーであるので、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0048】
本実施例2の真空チャックは、前記実施例1とは、吸着面側の構成が大きく異なるので、その点を詳細に説明する。
a)まず、本実施例の真空チャックの構成について説明する。
図6に示す様に、本実施例では、真空チャック41の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハ43を吸着保持する吸着面K(基板表面)であり、吸着面Kと反対側の図の下方の表面が非吸着面H(基板裏面)である。尚、図6では、シリコンウェハ43を吸着した状態を示している(但し半分のみを図示)。
【0049】
以下詳細に説明する。
図7に平面を示す様に、真空チャック41は、直径φ200mm×厚み20mmの円盤状の基板42を有し、その基板42の吸着面K側に多数の突起部(ピン)45が格子状に配置され、その突起部45の周囲を囲む様に環状に突出した土手であるシール部47が形成されている。尚、ここでは、基板表面のうち、シール部47で囲まれた表面を吸着面Kとするが、この吸着面Kの直径は、φ198mmである。
【0050】
前記突起部45は、高さ0.1〜0.5mm、頂上部の直径0.15〜0.5mmの円錐台の形状をしており、1mmの間隔(ピッチ)で多数が配置されている。特に、突起部45の頂上部の角部は、R半径が0.01〜0.05mmのR面取りが施されて、滑らかな面取り部となっている。
【0051】
前記シール部47は、全ての突起部45を囲むようにリング状に配置されており、シリコンウェハ43を吸着する場合には、突起部45が形成された吸着面Kの内側と外側とをほぼ気密状態で分離する(シールする)ことができる。
また、前記真空チャック41には、中央とその周囲の8カ所の合計9カ所に、その厚み方向に貫通する小径の吸着孔49が形成されている。この吸着孔49は、同一の内径の円柱形状でもよいが、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方を大きくしてもよい。
【0052】
更に、本実施例では、前記実施例1と同様に、真空チャック41のセラミックス部分(セラミックス本体:図示せず)の表面全体に、(非導電性の)DLCコーティングによって、コーティング層53が形成されている。
b)次に、本実施例の真空チャック41の製造方法について説明する。
【0053】
▲1▼アルミナ(Al2O3)のセラミック粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャックの形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
【0054】
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。
▲2▼本実施例では、吸着面K側に、突起部21及びシール部23の形成位置を覆うマスキングを行ってから、サンドブラストにより、突起部45及びシール部47の形成部分以外を所定の深さ(つまり前記高さ)となるまで除去し、突起部45及びシール部47を形成する。これにより、セラミックス本体が形成される。
【0055】
▲3▼次に、前記実施例1と同様な方法により、真空チャック41のセラミックス本体の表面全体にDLCコーティングを施す。
c)本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、特に、吸着面Hとシリコンウェハ3との間は、多数の突起部45により所定の隙間があるので、万一、異物がその隙間に入り込んでも、シリコンウェハ43の研磨加工の際の面精度が低下しないという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0056】
本実施例3の真空チャックは、その基本構成は前記実施例1と同様であるが、真空チャックにPTFEコーティングを施した点が大きく異なっている。
従って、前記実施例1の図1〜図4に基づいて、同じ図番及び部品番号を用いて説明するが、ポリシングマシン及び真空チャックの基本的な構成についての説明は省略する。
【0057】
a)本実施例では、真空チャック17の基体を構成するセラミックス部分(セラミックス本体)18の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)35に、例えばテフロン(登録商標)などのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングが施され、それにより、セラミックス本体18の表面全体に(例えば膜厚2μm程度の)コーティング層37が形成されている。つまり、真空チャック17の表面全体には、PTFEコーティングが施されている。
【0058】
このコーティング層37においては、その硬度は、鉛筆硬度試験における2H以上(例えば2H)であり、動摩擦係数μは、0.15未満(例えば0.13)である。また、表面粗さRaは、0.4未満(例えば0.2)であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下の色調(例えばグレー)であり、体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下(例えば9×10−7Ω・cm)である。
【0059】
b)次に、本実施例の真空チャック17の製造方法を説明するが、真空チャック17のセラミックス本体18の製造方法は、前記実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
ここでは、セラミックス本体18の表面に、PTFEコーティングを施す方法について説明するが、一般的なコーティング法としては、ディッピング法やスプレー法などを採用できる。例えばディッピング法は、PTFE液に、セラミックス本体18を直接浸漬してコーティングを行う方法である。このディッピング法では、コーティング厚み(即ちコーティング層37の厚み)は、PTFE液の粘度、ディッピング時間、セラミックス本体18の引き上げ速度などにより調節することができる。
【0060】
c)次に、本実施例の真空チャック17の効果について説明する。
本実施例では、前記実施例1と同様な構成の部分では、前記実施例1と同様な効果を奏する。
特に、本実施例では、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層37は、その硬度が2H以上と十分な硬度を有しており、摩耗し難く、しかもシリコンウェハ3に対する攻撃性が低い。
【0061】
そのため、摩耗などによりセラミックス本体18からアルミナ粒子(異物)が脱落することを抑制できるので、吸着面Kとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難くなる。その結果、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることなく吸着面Kに密着するので、シリコンウェハ3の表面に研磨等の加工を行っても、シリコンウェハ3の加工精度(特にシリコンウェハの表面の平面度)が低下することがない。
【0062】
しかも、本実施例では、体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下と小さく、十分な導電性を有するので、静電気力によるホコリ等の異物の付着を防止できる。従って、この点からも、シリコンウェハ3は異物により歪んだりすることがないので、シリコンウェハ3の加工精度が向上する。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例2と同様な箇所の説明は省略する。
【0063】
本実施例4の真空チャックは、その基本構成は前記実施例2と同様であるが、真空チャックにPTFEコーティングを施した点が大きく異なっている。
従って、前記実施例2の図6及び図7に基づいて、同じ図番及び部品番号を用いて説明するが、真空チャックの基本的な構成についての説明は省略する。
【0064】
特に、本実施例の真空チャック41では、真空チャック41のセラミックス部分(セラミックス本体:図示せず)の表面全体に、PTFEコーティングによって、コーティング層53が形成されている。
また、製造方法に関しては、前記実施例2と同様な方法により、真空チャック41のセラミックス本体を形成し、その後、前記実施例3と同様な方法により、セラミックス本体の表面全体にPTFEコーティングを施す。
【0065】
本実施例によっても、前記実施例2と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば前記実施例1〜4では、真空チャックを例に挙げたが、静電チャックに、上述したDLCコーティングやPTFEコーティングを施してもよい。
【0066】
(2)また、前記実施例1〜4では、真空チャックの表面全体にDLCコーティングやPTFEコーティングを施した例を挙げたが、少なくとも吸着面にDLCコーティングやPTFEコーティングが施されていれば効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、3の真空チャックが用いられるポリッシングマシンの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1、3の真空チャックを示す斜視図である。
【図3】実施例1の真空チャックの装着面側を示す平面図である。
【図4】図3における真空チャックのA−A断面図である。
【図5】プラズマCVD法を示す説明図である。
【図6】実施例2、4の真空チャック及びシリコンウェハを示す斜視図である。
【図7】実施例2、4の真空チャックを示す平面図である。
【符号の説明】
1…ポリッシングマシン(CPM装置)
3、43…シリコンウェハ(半導体ウェハ)
7…研磨ヘッド
13…研磨ヘッド本体
17、41…真空チャック(吸着プレート)
18、51…セラミックス本体
37、53…コーティング層
45…突起部(ピン)
47…シール部
K…吸着面
H…非吸着面
S…装着面
Claims (10)
- 作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックにおいて、
前記吸着用チャックのセラミックス部分をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくとも前記ワークを吸引して保持する吸着面側に、DLCコーティングにより形成されたコーティング層を備えたことを特徴とする吸着用チャック。 - 前記コーティング層のビッカース硬度Hvは、3000以上であることを特徴とする前記請求項1に記載の吸着用チャック。
- 作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックにおいて、
前記吸着用チャックのセラミックス部分をアルミナを主成分とする材料から構成するとともに、少なくとも前記ワークを吸引して保持する吸着面側に、PTFEコーティングにより形成されたコーティング層を備えたことを特徴とする吸着用チャック。 - 前記コーティング層の硬度は、2H以上であることを特徴とする前記請求項3に記載の吸着用チャック。
- 前記コーティング層の体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下であることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の吸着用チャック。
- 前記吸着用チャックは、真空源による減圧を利用して前記ワークを吸引して保持する真空チャックであることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の吸着用チャック。
- 前記コーティング層の動摩擦係数μは、0.15未満であることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の吸着用チャック。
- 前記コーティング層の表面粗さRaは、0.4未満であることを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の吸着用チャック。
- 前記吸着用チャックの吸着面側に、前記ワークと吸着面との間隔を保持する多数のピンを設けたことを特徴とする前記請求項1〜8のいずれかに記載の吸着用チャック。
- 前記コーティング層の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下であることを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の吸着用チャック。
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