JPH0884899A - アイロン - Google Patents
アイロンInfo
- Publication number
- JPH0884899A JPH0884899A JP22336294A JP22336294A JPH0884899A JP H0884899 A JPH0884899 A JP H0884899A JP 22336294 A JP22336294 A JP 22336294A JP 22336294 A JP22336294 A JP 22336294A JP H0884899 A JPH0884899 A JP H0884899A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- dlc film
- iron
- clothing
- static electricity
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 使用時に静電気による衣類の付着や静電気放
電を防ぎ、長期間使用しても滑り性等の特性低下の少な
いアイロンを提供する。 【構成】 伝熱部材7の少なくとも衣類と当接するとこ
ろにダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)8を、イオン化
蒸着法でコーティングする。このDLC膜は温度が上昇
すると比抵抗が小さくなるという特性を備え、アイロン
使用時の約200℃では導電体に近い比抵抗を示す。 【効果】 使用時におけるDLC膜8の低抵抗により、
衣類との摺動による静電気が発生しない。
電を防ぎ、長期間使用しても滑り性等の特性低下の少な
いアイロンを提供する。 【構成】 伝熱部材7の少なくとも衣類と当接するとこ
ろにダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)8を、イオン化
蒸着法でコーティングする。このDLC膜は温度が上昇
すると比抵抗が小さくなるという特性を備え、アイロン
使用時の約200℃では導電体に近い比抵抗を示す。 【効果】 使用時におけるDLC膜8の低抵抗により、
衣類との摺動による静電気が発生しない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒーター等により加熱
された伝熱部材を衣類等に押し付けることにより、例え
ば衣類等のシワを取ったり、あるいは衣類の乾燥等を行
うアイロンに関するものである。
された伝熱部材を衣類等に押し付けることにより、例え
ば衣類等のシワを取ったり、あるいは衣類の乾燥等を行
うアイロンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3に従来のアイロンの伝熱部の断面を
示す。ヒーター1の熱は伝熱部材3を通じて衣類に伝わ
る。伝熱部材3の表面には、伝熱部材と衣類との間のす
べり性を良好にするための保護膜4が設けられている。
示す。ヒーター1の熱は伝熱部材3を通じて衣類に伝わ
る。伝熱部材3の表面には、伝熱部材と衣類との間のす
べり性を良好にするための保護膜4が設けられている。
【0003】従来から保護膜としてはテフロン等の弗素
系高分子膜が、焼付け処理等によって伝熱部材3の表面
に形成されていた。
系高分子膜が、焼付け処理等によって伝熱部材3の表面
に形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし弗素系高分子膜
を保護膜とする従来のアイロンでは、以下のような課題
があった。
を保護膜とする従来のアイロンでは、以下のような課題
があった。
【0005】弗素系高分子膜は絶縁性で抵抗が大きく、
静電気が発生しやすい。このため衣類等に押しつけて摺
動している際に、弗素高分子膜と衣類との間で静電気が
発生し、衣類が伝熱部材に静電的に付着して剥がれにく
くなったり、剥がすときに放電が発生してパチパチとい
う放電音が生じたり、この放電で感電するといった課題
があった。
静電気が発生しやすい。このため衣類等に押しつけて摺
動している際に、弗素高分子膜と衣類との間で静電気が
発生し、衣類が伝熱部材に静電的に付着して剥がれにく
くなったり、剥がすときに放電が発生してパチパチとい
う放電音が生じたり、この放電で感電するといった課題
があった。
【0006】この現象はナイロン繊維や絹でできたブラ
ウス等の衣類で特に顕著であり、改善が望まれていた。
ウス等の衣類で特に顕著であり、改善が望まれていた。
【0007】また弗素系高分子膜は、滑り性については
ほぼ満足が得られているが、硬度が低く衣類との摺動で
摩耗する。このため従来は弗素系高分子膜の厚みを20
μm〜30μm程度に厚くして、長期間使用に対する信
頼性を確保する必要があった。
ほぼ満足が得られているが、硬度が低く衣類との摺動で
摩耗する。このため従来は弗素系高分子膜の厚みを20
μm〜30μm程度に厚くして、長期間使用に対する信
頼性を確保する必要があった。
【0008】しかし弗素系高分子膜は、伝熱部材を構成
するアルミニウムに比べて熱伝導率が小さく、厚みが厚
いとヒーターの熱が効率よく衣類に伝わらないという課
題があった。
するアルミニウムに比べて熱伝導率が小さく、厚みが厚
いとヒーターの熱が効率よく衣類に伝わらないという課
題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、弗素系高分
子膜に代わって、ダイヤモンド状炭素膜(Diamond-Like
Carbon:DLC膜、以下DLC膜と記述する)を保護
膜4に用いることで上記課題の解決を図っている。
子膜に代わって、ダイヤモンド状炭素膜(Diamond-Like
Carbon:DLC膜、以下DLC膜と記述する)を保護
膜4に用いることで上記課題の解決を図っている。
【0010】
【作用】DLC膜の機械的な特性は、硬度が大きく耐摩
耗性に優れ、化学的にはほとんどの酸やアルカリに溶け
ないという特性を示す。
耗性に優れ、化学的にはほとんどの酸やアルカリに溶け
ないという特性を示す。
【0011】またDLC膜は電気的には絶縁性であると
言われているが、発明者はDLC膜の温度を高めて行く
と抵抗が小さくなって導電性になると言う新たな知見を
得た。特に炭化水素のイオンを基板に衝突させる方法で
作成したDLC膜は、特にこの傾向が大きいことを発見
した。
言われているが、発明者はDLC膜の温度を高めて行く
と抵抗が小さくなって導電性になると言う新たな知見を
得た。特に炭化水素のイオンを基板に衝突させる方法で
作成したDLC膜は、特にこの傾向が大きいことを発見
した。
【0012】この特性を備えたDLC膜を保護膜に使用
すれば、アイロン使用時の温度が高い状態ではDLC膜
は導電性となって静電気は発生せず、衣類の付着や放電
は生じない。
すれば、アイロン使用時の温度が高い状態ではDLC膜
は導電性となって静電気は発生せず、衣類の付着や放電
は生じない。
【0013】また耐摩耗特性に優れていることから弗素
系高分子膜のように厚くしなくてもよく、ヒーター熱の
伝達ロスが少ない。
系高分子膜のように厚くしなくてもよく、ヒーター熱の
伝達ロスが少ない。
【0014】DLC膜は、ダイヤモンド結合とグラファ
イト結合が混在した非晶質構造の炭素膜で、摩擦係数も
小さく衣類との摺動性に優れ、化学的にも安定なために
数々の化学薬品を混入したスプレーのりに対しても変質
することがなく、長期にわたって静電気防止や滑り性等
の初期特性を保持することができ、アイロンの保護膜と
しては理想的な材料である。
イト結合が混在した非晶質構造の炭素膜で、摩擦係数も
小さく衣類との摺動性に優れ、化学的にも安定なために
数々の化学薬品を混入したスプレーのりに対しても変質
することがなく、長期にわたって静電気防止や滑り性等
の初期特性を保持することができ、アイロンの保護膜と
しては理想的な材料である。
【0015】DLC膜の合成方法についてはこれまでに
多数の報告がある(例えば参考文献として「ダイヤモン
ドの低圧合成」、松本精一郎、現代化学、1984年9
月号等)。
多数の報告がある(例えば参考文献として「ダイヤモン
ドの低圧合成」、松本精一郎、現代化学、1984年9
月号等)。
【0016】本発明ではDLC膜の成膜は、特開昭4−
45276号公報に記載の、炭化水素ガスを原料として
これをプラズマ化し、プラズマ中の少なくともイオンを
基板に加速衝突させるイオン化蒸着法で形成した。
45276号公報に記載の、炭化水素ガスを原料として
これをプラズマ化し、プラズマ中の少なくともイオンを
基板に加速衝突させるイオン化蒸着法で形成した。
【0017】
【実施例】図1に本発明のアイロンの要部断面構造を示
す。アルミニウムからなる伝熱部材7にはヒーター5が
埋め込まれ、衣類との摺動面にはDLC膜8をコーティ
ングしている。DLC膜8は、上記のイオン化蒸着法に
より形成した。
す。アルミニウムからなる伝熱部材7にはヒーター5が
埋め込まれ、衣類との摺動面にはDLC膜8をコーティ
ングしている。DLC膜8は、上記のイオン化蒸着法に
より形成した。
【0018】図2にイオン化蒸着装置の概略を示す。こ
の方法は加熱したフィラメント9から放出される熱電子
10を利用して原料ガスをプラズマ化し、プラズマ中の
イオン11を引出して負の電位を印加した基板12に加
速衝突させることで成膜するものである。原料としては
ベンゼンを使用し、代表的な成膜条件を(表1)に示
す。なお原料ガスはベンゼンに限るものでなく、炭素元
素を含むものであればよい。
の方法は加熱したフィラメント9から放出される熱電子
10を利用して原料ガスをプラズマ化し、プラズマ中の
イオン11を引出して負の電位を印加した基板12に加
速衝突させることで成膜するものである。原料としては
ベンゼンを使用し、代表的な成膜条件を(表1)に示
す。なお原料ガスはベンゼンに限るものでなく、炭素元
素を含むものであればよい。
【0019】
【表1】
【0020】この方法で形成したDLC膜は、ビッカー
ス硬さ3000kg/mm2以上と非常に硬く、鋼球と
の摩擦係数は0.1以下と滑り性にも優れる。また比抵
抗は通常状態では1×1010Ωcm以上と高いが、温度
の上昇とともに小さくなり200℃では5×104Ωc
m程度にまで下がる。この現象は可逆的であり、繰り返
し行ってもDLC膜が劣化することはない。
ス硬さ3000kg/mm2以上と非常に硬く、鋼球と
の摩擦係数は0.1以下と滑り性にも優れる。また比抵
抗は通常状態では1×1010Ωcm以上と高いが、温度
の上昇とともに小さくなり200℃では5×104Ωc
m程度にまで下がる。この現象は可逆的であり、繰り返
し行ってもDLC膜が劣化することはない。
【0021】実際にアイロンとして使用する時には、伝
熱部材7やDLC膜8は150℃以上に加熱されてお
り、衣類との摺動で静電気を生じることはない。このた
めアイロンに衣類が付着したり、衣類とアイロンとの間
で静電気放電によるパチパチという放電が発生する現象
はおきない。
熱部材7やDLC膜8は150℃以上に加熱されてお
り、衣類との摺動で静電気を生じることはない。このた
めアイロンに衣類が付着したり、衣類とアイロンとの間
で静電気放電によるパチパチという放電が発生する現象
はおきない。
【0022】DLC膜8の厚みは0.2μm〜0.5μ
mで、繰り返し実用試験(約1000時間)の結果でも
膜剥離や摩耗することなく初期の特性を維持することが
できた。
mで、繰り返し実用試験(約1000時間)の結果でも
膜剥離や摩耗することなく初期の特性を維持することが
できた。
【0023】またDLC膜の厚みが薄いためにヒーター
熱の伝達ロスが少なく、従来のアイロンに比べて短時間
で加熱、冷却することができ作業性の向上と低消費電力
化を実現できた。
熱の伝達ロスが少なく、従来のアイロンに比べて短時間
で加熱、冷却することができ作業性の向上と低消費電力
化を実現できた。
【0024】
【発明の効果】以上のように、伝熱部材の少なくとも衣
類と当接する面にDLC膜をコーティングした本発明の
アイロンは、衣類との摺動で静電気が生ぜず、衣類がア
イロンに付着したり、衣類とアイロンとの間で静電気放
電によるパチパチという現象は発生せず作業性に優れる
ほか、長期間にわたり初期性能を維持することができる
もので、その効果は産業上極めて大きなものである。
類と当接する面にDLC膜をコーティングした本発明の
アイロンは、衣類との摺動で静電気が生ぜず、衣類がア
イロンに付着したり、衣類とアイロンとの間で静電気放
電によるパチパチという現象は発生せず作業性に優れる
ほか、長期間にわたり初期性能を維持することができる
もので、その効果は産業上極めて大きなものである。
【図1】本発明のアイロンの一実施例の構成を示す断面
図
図
【図2】同実施例アイロンにDLC膜を成膜するための
成膜装置の概略図
成膜装置の概略図
【図3】従来のアイロンの構成を示す断面図
5 ヒーター 7 伝熱部材 8 ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)
フロントページの続き (72)発明者 藤原 三男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】伝熱部の少なくとも衣類等と当接する面に
ダイヤモンド状炭素膜を被覆したアイロン。 - 【請求項2】ダイヤモンド状炭素膜が、加熱するに従っ
て比抵抗が小さくなる特性を備えた請求項1記載のアイ
ロン。 - 【請求項3】ダイヤモンド状薄膜が、少なくとも炭化水
素を含む原料ガスのプラズマをプラズマ中の少なくとも
イオンを加速しつつ基板に照射して作成したダイヤモン
ド状薄膜であることを特徴とする請求項2記載のアイロ
ン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22336294A JPH0884899A (ja) | 1994-09-19 | 1994-09-19 | アイロン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22336294A JPH0884899A (ja) | 1994-09-19 | 1994-09-19 | アイロン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0884899A true JPH0884899A (ja) | 1996-04-02 |
Family
ID=16796968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22336294A Pending JPH0884899A (ja) | 1994-09-19 | 1994-09-19 | アイロン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0884899A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1048751A1 (de) * | 1999-04-29 | 2000-11-02 | Hort, Stefan | Verfahren zum Aufbringen einer harten Beschichtung auf einen Gegenstand und beschichteter Gegenstand |
EP0998604B1 (en) * | 1996-09-24 | 2003-05-07 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Iron and soleplate for an iron |
JP2004009165A (ja) * | 2002-06-04 | 2004-01-15 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 吸着用チャック |
JP2011239963A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Toshiba Home Technology Corp | アイロン |
JP2018531708A (ja) * | 2015-10-29 | 2018-11-01 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 被覆されたアイロンがけプレート及び被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法 |
-
1994
- 1994-09-19 JP JP22336294A patent/JPH0884899A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0998604B1 (en) * | 1996-09-24 | 2003-05-07 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Iron and soleplate for an iron |
EP1048751A1 (de) * | 1999-04-29 | 2000-11-02 | Hort, Stefan | Verfahren zum Aufbringen einer harten Beschichtung auf einen Gegenstand und beschichteter Gegenstand |
JP2004009165A (ja) * | 2002-06-04 | 2004-01-15 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 吸着用チャック |
JP2011239963A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Toshiba Home Technology Corp | アイロン |
JP2018531708A (ja) * | 2015-10-29 | 2018-11-01 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 被覆されたアイロンがけプレート及び被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法 |
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